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[成果情報名]水挽き米粉の製造方法と品質特性 [要 約]白米を水に 2

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[成果情報名]水挽き米粉の製造方法と品質特性 [要 約]白米を水に 2
[成果情報名]水挽き米粉の製造方法と品質特性
[要
約]白米を水に 2~8 時間程度浸漬した後、電動石臼で粉砕し、水切りすることにより水
分 45%程度の高水分米粉を製造することができる。この水挽き米粉の平均粒度は 6
μmと細かく、またデンプン損傷率は 1~2%と低い。
[部
署]山形県農業総合研究センター・食品加工開発部
[連 絡 先]TEL 023-647-3500
[成 果 区 分]普
[キーワード]米、水挽き米粉、粒度、澱粉損傷率、乾式気流粉砕米粉、米粉パン、米粉菓子
-----------------------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい]
米粉の加工活用は増えており、小規模の加工においても自分の米を使って米粉を作りたいというニ
ーズがある。現状では、小型の乾式気流粉砕による委託製粉の利用が広がっているが、乾式気流粉砕
の米粉はデンプン損傷率が高いという問題点がある。米は水に浸漬した柔らかい状態で粉砕すれば細
かい粉にしやすく、デンプンの損傷も少ない。このため小型で安価な加工機器を用いて、米を水挽き
により粉砕し、コストがかかる乾燥を行わずにそのまま使用する、高水分米粉の製造法と利用技術を
開発する。
[成果の内容・特徴]
1.白米を水に 2 時間~8 時間程度浸漬した後、浸漬米重量の1~2倍の水と共に電動石臼で粉砕し、
自然落下及び遠心脱水によって水切りすることにより、水分 45%程度の米粉を、原料に対する歩留
まり 90%程度で製造することができる。(図1、表1)
2.これらの電動石臼による水挽き米粉の平均粒度は、6μmであり、非常に細かい米粉となる(図2)。
3.水挽き米粉のデンプン損傷率は 1.7%程度であり、乾式気流粉砕の米粉や、市販の湿式による気
流粉砕の米粉よりも、デンプン損傷率が低い(表2)。
4.水挽き米粉からの持込み水分を勘案することにより、パン、菓子などに加工することができる(図
3)。
5.10kgの米から、14kg(水分 44%)の粉を作るのにかかる時間は、米の浸漬時間を除くと、粉
砕時間が 20 分間程度、遠心脱水時間が 50 分間程度であり、自然落下による水切り時間を含め 4 時
間程度で製造できる(表3)。
[成果の活用面・留意点]
1.浸漬中、水切り中に気温・水温が高いと微生物の繁殖が懸念されるので、水温や設置場所の気温
をなるべく 20℃以下に管理する。また、器具・機械等の衛生管理にも留意する。
2.水挽き米粉の製造に必要な機器の価格は以下のとおりである。
必要な機器
磨砕機
脱水機※
(電動セラミック臼)
(遠心脱水機)
機器の価格
25万円程度
20万円程度
※家庭用洗濯機の脱水機でも代用可能
3.水挽き米粉からの持ち込み水分は、水挽き米粉と普通の米粉(水分 10~20%)に含まれる水分の
差から求めることができる。なお、水挽き米粉の水分は、「米粉水分含量の簡易測定(平成 21 年度
新しい技術の試験研究成果)」を参考にして測定する。
[具体的なデータ]
米(精米)
洗 米
浸 漬
水切り
水挽き
2~8時間(20℃前後)
水切袋:吟醸用搾り袋(綿2B 折径
270×H850mm)
ザル、寸胴鍋
「サワーボーイ」(セラミック臼)
:長沢機械製作所㈱製
精米(1kg)を、その1~2倍程度の水と共
に、手作業で機械に投入。
水切袋の口をゴムで縛り、ザルの
上に設置、自然落下で2時間程
度水切りする。
裏漉し(60メッシュ程度)を通して、水切
袋でスラリーを受ける。
直径10μm以下。
形のそろった粒子
走査型電子顕微鏡で
撮影(10000倍)
図1
水挽き米粉製造フローと米粉の写真
表1
水挽き米粉の歩留まりと水分含量
水挽き米粉
遠心脱水機
使用まで1~2日間であれば冷
蔵保存。 長期の保管は冷凍で
行う。
遠心脱水により、水分44~
47%まで低下。
頻度%
8
7
試験区(浸漬時間)※
遠心水切後の
米粉水分含量(%)
米粉の歩留まり
(%)
6
30分
1時 間
2時 間
4時 間
6時 間
8時 間
49.2
46.8
44.8
43.7
45.8
44.4
82
85
88
87
90
93
4
※水温20℃
表2
5
3
2
1
0
1
10
100
シフォンケーキ
山型食パン
図3 水挽き米粉の加工品の例
表3
水挽き米粉の製造に係る時間
処理量
磨砕
1kg
1~2分
10kg 20~30分
水切り
2時間
〃
μm
図2 水挽き米粉の粒度分布(2 時間浸漬)
水挽き米粉のデンプン損傷率
米粉の種類
平均デンプン損傷率(%)
水挽き米粉(セラミック臼)
1.7
乾式気流粉砕米粉
10.4
湿式気流粉砕米粉(市販)
3.5
1000
遠心脱水 回収袋詰め
計
出来上がり
5分
3分
2時間10分 約 1.4kg
40~50分
30分
3時間50分 約 14kg
[その他]
研究課題名:県産米の利用拡大を図るための米加工品新規製造法の開発
予算区分 :県単
研究期間 :平成 25 年度(平成 24~26 年度)
研究担当者:鬼島直子、勝見直行
発表論文等:日本食品科学工学会で発表予定
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