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シーン1: 仕事開始~会社のネットワークに VPN を用いて安全に接続

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シーン1: 仕事開始~会社のネットワークに VPN を用いて安全に接続
7.情報通信技術の活用によるテレワーク環境の向上
シーン1: 仕事開始~会社のネットワークに VPN を用いて安全に接続
自宅でテレワークを開始するために、テレワーカーは VPN クライアントソフトウ
エアなどを使って会社のネットワークにアクセスします。テレワーカーが行うことは
接続先を指定して自分の ID・パスワードを入力することだけです。これにより企業
の本社などに置かれた VPN 装置との間で認証が行われ暗号化された安心・安全な通
信が確立します。自宅に小型の VPN ルータなどを設置している場合はその小型ルー
タと本社の VPN 装置の間で同様に通信が確立されます。
☆ 会社側のネットワークにはファイアーウォールが設置されており、外部からの不正な
進入はできません。VPN 装置で認証された人のみがアクセス可能です。
シーン2: メールのチェックや資料作りなどの作業~会社の机と同等の仕事環境
VPN 通信で安全に会社のネットワークにアクセスしていますので必要なデータ・
資料などは閲覧が可能です。通常どおり仕事を進めて行きます。
☆ 個人情報を含んだデータや機密性の高い情報などは、安易にテレワーカーの端末にダ
ウンロードや保存をさせない対策が必要です。
シーン3: 電話の応対~テレワークでもいつもの電話番号使用
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外出中の同僚からの電話が入りました。打ち合わせしたいそうですが本日は在宅勤
務であることを伝えて明日オフィスに出社した際に行うことにしました。
情報通信技術の活用による
テレワーク環境の向上
☆外出中の人はテレワーカーが今日どこにいるかは意識せずにオフィスに電話をかけま
す。テレワーカーは自宅にいますがネットワークを経由して会社のいつもの番号での
通話が可能になります。
シーン4: 問題発生!~誰かに確認をしたい!
資料作成中に要確認事項が発生しました。いくつか資料を調べましたが細かなとこ
ろを確認したいため詳しい人に聞く必要があります。チャットツールで確認すると応
答可能な人がいました。すぐにチャットで質問をすると説明できそうとのこと。詳細
説明を含めて電話で相談したいと申し出ると快諾してくれました。
☆ プレゼンス機能を使って迅速に協力してくれる人を見つけました。オフィスにいてふ
と困ったときに周りを見渡して対応してくれそうな相手を探すのと同じ感覚です。
☆ コミュニケーションの統合ツールなどを活用すると、チャット中に、ツール上の電話
のアイコンをクリックするだけで通話が可能となるなど、状況にあわせた通信手段の
変更も容易です。
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7.情報通信技術の活用によるテレワーク環境の向上
シーン5: 電話での相談~でもニュアンスが伝わらないかも。。
早速電話して質問をします。確認作業を進めていきますが電話だけでは質問の意図
が伝わらない場合もあります。そこで現在作成中の資料を見せて質問の意図を明確に
するためにファイルを共有します。別の場所にいてもお互いに同じファイルを端末で
見ながら話をすることで問題点もクリアになり、スムーズに回答を得ることができま
した。
☆電話でのコミュニケーションから会話の流れを止めずに Web 会議に移行しました。こ
れはオフィスで相談をしている際に「うーん、ちょっと説明が難しいな。ちょっと待っ
て、書類もってくるから。」というコミュニケーションが行われるのと同じ感覚です。
シーン6: そろそろ業務終了~雑談も重要なコミュニケーション
その後は仕事も順調に進み、そろそろ本日の仕事を切り上げることにしました。報
告書を作成してメールで上司に送ります。すると上司から電話があり、電話を取ると
端末の画面上で上司とのテレビ会議が始まりました。報告書に関する確認をした後は
ちょっと雑談をして電話を切ります。単なる確認事項でもテレビ会議システムを利用
することで相手の様子が把握でき、気持ちが楽になった状態で業務を終了しました。
☆ テレビ会議を使用することにより、遠隔地間でも顔の表情など、ニュアンスも含めた
コミュニケーションが可能となります。相手に対するちょっとした気遣いやさりげな
い話かけと同じ感覚での会話です。
すでにお気づきの方も多いかもしれませんが、いままで説明したテレワークに活用す
べき ICT はテレワークに限った話ではありません。重要なのは、テレワークが導入され
テレワーカーの業務スタイルを理解した従業員が増えたあとの会社全体の業務の変化で
す。遠隔地であっても十分なコミュニケーションがとれるのであれば、会って行うのと同
様の仕事ができるということに気づくと、その企業内では場所にとらわれずに自由な人
材交流がうまれ、知識やノウハウを企業全体で共有できるようになります。またプロジェ
クトチームなども場所に制限を受けることなく編成できるようになります。最近フリーア
ドレスのオフィスが増えてきたのは、テレワークをはじめとして柔軟な発想とフォーメー
ションで行う仕事をサポートする場所と考えると、自然な変化なのかも知れません。
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情報通信技術の活用による
テレワーク環境の向上
(5) テレワーク導入企業の変化
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7.情報通信技術の活用によるテレワーク環境の向上
(6) SaaS や ASP の活用
ここまでテレワークを安全かつより効果的に導入するために ICT がどのように活用で
きるかを説明してきました。しかしながらこのような設備には初期投資やその後の保守
などコストが掛かることも事実です。結果としてテレワークが一部の大企業だけのもの
だと誤解されているのかもしれません。
このような問題に対するひとつの方策として、テレワークで必要な ICT の機能をサー
ビスとして利用できる SaaS や ASP などの活用があります。SaaS や ASP の利用により、
重要データの保管やアクセス管理なども含めたセキュリティの確保、および Web 会議な
どのコミュケーション機能を新たな設備を追加することなく使用することも可能になり
ます。自分で機器を購入する『オーダメイドのシステム』とは実現の形は異なるかもし
れませんが、テレワーク導入のハードルを下げる意味も含めて検討対象としてみてくだ
さい。
SaaS:(Software as a Service の略)ソフトウェアをパッケージの商品としてではなく、その
機能をネットワークサービスとして提供し、月額などで課金するビジネスモデル。
ASP:
(Application Service Provider の略)業務アプリケーションやソフトウェアなどを商品の
組み合わせで販売するのではなく、その機能をサービスとして提供するビジネスモデル。
※ SaaS と ASP は同義語で使われることも多いが ASP
はユーザ要求に合わせてサービス(機能)の内容を専
用で構築しているケースが多い
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情報通信技術の活用による
テレワーク環境の向上
(7) テレワークのためのワークスペース
ポイント
☆在宅勤務時には、仕事と私生活の区別を付けるための工夫が必要である
☆在宅勤務について家族の理解を得ることが重要である
住宅のスペースが広くない日本では、在宅勤務の場の確保は難しいと考える人もいます
が、電子化・ペーパーレス化が進んだ現在では、パソコンとネットワーク環境が整って
いれば、たとえ狭い空間であったとしても、そこをワークスペースとすることが可能です。
しかしながらセキュリティ面や従業員の健康を考慮した際には、在宅勤務におけるワー
クスペースについては、以下のような各点に留意することが必要です。
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7.情報通信技術の活用によるテレワーク環境の向上
(ワークスペースの整備)
在宅勤務にあたっては、仕事用に独立分離したスペースを確保することが望ましいと
いえます。しかし、仕事用に個室を割り当てることができない場合でも、部屋の一角に
一定のスペースを確保し、パーティションやカーテンなどで仕切ることにより、周囲と
独立したオフィス空間を作ることなどの工夫を凝らすこともできます。仕事と私生活と
の区別を明確につけていかに業務に集中できるかという点と、セキュリティ(秘密保持)
の観点に留意することが必要です。
テレワーク導入企業のなかには、在宅勤務時のワークスペースを示す写真や住宅の見
取り図(平面図)などの提出を行っているところもあります。企業側には、従業員の健
康に留意するという義務もありますから、執務環境をできるかぎり良好なものとすると
いう点について十分な配慮が必要です。照明、騒音、温度・湿度、机・椅子などの什器
などの各項目について、本社オフィスと同様の環境を在宅で作り出 すことは難しいとも
いえますが、可能な限り本社オフィスの環境に近づけるようにすべきです。それがかな
わないとしても、在宅勤務のワークスペースについての基準を作り、その基準を充たす
ようにしたり、また指導や助言を与える事が望ましい対応です。以下の各項目も参考と
してください。
●● 照 明
暗すぎたりあるいは逆に明るすぎる照明、また机からの反射光、読んでいる書
類にできる影などが疲労の原因になります。また照明の位置によっては反射で
パソコン画面が見にくくなります。照明の明るさや位置を最も快適に作業がで
きるように調整します。
できるだけ騒音のない場所を選んでワークスペースとするが、難しい場合は、
好きな BGM を低いボリュームで流すなどして、騒音の影響を打ち消します。
●● 温度と湿度
空調の温度や湿度を適切に設定し、冷房の際には、冷気が直接体にあたらない
ように噴出し口の角度などにも留意します。
●● 椅子と机
椅子は、人間工学的に配慮されたものが望ましく高さがワンタッチで調節でき、
5本脚をもつ安定性が良いもので、キャスター付きのものが理想的です。家庭
用の木製等の椅子を用いる場合には、長時間勤務にならないよう適宜休憩を取
るなどの配慮が必要です。机は、椅子とあわせて高さを調節できるものが望ま
しいが、机自身に調節機能がない場合には、板切れ等をはさむなどして高さを
調整します。パソコンのキーボードをたたく時間が長い場合には、キーボード
との距離や腕の角度などが適切になるように調節します。
なお、巻末の資料編 (5) では、「VDT 作業における労働衛生のためのガイドライン(概
要)」を掲示しています。ぜひご参照ください。
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情報通信技術の活用による
テレワーク環境の向上
●● 騒 音
7.情報通信技術の活用によるテレワーク環境の向上
(家族との調整とワークスペース)
在宅勤務の準備や開始にあたっては、同居している家族とよく相談し、充分な理解を得
ておくことが肝心です。在宅勤務の場合には仕事と個人生活の区別が曖昧になりがちなた
め、家族の方にも在宅勤務による働き方を適切に説明し、理解を得ておくことが必要です。
「みなし労働時間制」を採用するなどして、在宅勤務の際に育児や介護等を行う在宅
勤務者の場合には、私的な時間・空間と執務の時間・空間が混在することになりがちです。
少なくとも、ワークスペースに関しては、「執務空間は仕事中は侵害してはならない空間
である」との認識を、家族には徹底して持ってもらうことが重要でしょう。
(マネージャーとの確認)
在宅勤務の開始に先立って、自宅の仕事場所のレイアウト、事務機器や通信機能など
についてマネージャーに報告し、職務の遂行に支障がない環境であることの確認を得て
おきます。一方、マネージャーにとっては、テレワーカーの健康と安全が守られており、
勤務場所として指定することに問題がないことを確認する機会になります。
自宅の場合、センターオフィスと違い、自由度が大きいことから、どのようなスペー
スで仕事をするかによって作業の能率が大きく変わるということを理解しておくことが
重要です。できるだけ多くの事例を参考にして、自分の業務の性質や嗜好にあった作業
空間を作ることが大切と言えるでしょう。
図表 7-14 在宅勤務のワークスペース例
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情報通信技術の活用による
テレワーク環境の向上
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