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目消外会誌 31(3):825∼ 835,1998年 IV部の動脈支配 十二指腸第 I・ III・ ― 同領域縮小手術 の 解剖学的考察 ― 札幌医科大学第 1外 科,同 第 2解 剖ネ 高室 雅 村 上 米 弦 平 田 公 一 幽 門輪 を温存 す るH4 頭 部領 域 の縮 小 手術 の新 た な展 開 の た め214体の解 剖体 を用 い て十 二 指腸 第 I・ III・ IV部の動脈支配 について検 討 した。十 二 指腸上動脈 は299%第 I部 に存在 していた。幽門下 動脈 はほぼ恒常的 (976%)に 第 I部 お よび幽門輪 を支配 し,705%は 幽門前庭部 に も分 布 していた。 後上膵十 二 指腸 動脈 も第 I部 に分布 してお り (800%),十 二 指腸後動脈 (出現率85%)よ り第 I部 には大切 な動脈 と思われた。下膵十 二 指腸動脈 の55.6%は 上部空腸動脈 と共 同幹 を形成 して第 ⅡI・IV 部 に分布 して いたが,上 腸 間膜動脈 か ら単独 で分岐 す る例 も認 めた (24.2%).後 下膵十 二 指腸 動脈 の 56%は 上腸 間膜 動脈 か ら分岐 す る肝動脈 か ら分岐 して い た。第 IV部は上 部空腸動脈 か ら支配 され る こ ともあったが (16,7%),直 接上腸 問膜動脈 か ら支配 され る こ とはなか った.陣 頭部領域 の縮小手術 に おいて は幽 門下動脈 の温存 と,下 膵十 二 指腸 動脈 の分岐型 を確認 す る必 要が あ る。 Key words: anatomy of the duodenum,blood supply of the duodenum は じめに であ る (Table 3)。この動脈 が独立 した概念 であ るか 膵頭部領域早期癌 お よび良性腫瘍 に対 し,幽 門輪温 存膵 頭 十 二 指腸 切 除術 が 第 1選 択 となって きて い る が,教 室 で は術後栄養状 態 ・膵 内外分泌機能 維持 の点 下膵十二才 旨腸 動 脈 (inferior pancreticoduodenal artery:以 下,IPDA)の 分岐型 お よび上 腸 間膜 動 脈 か ら,十 二 指腸第 I・ III・ IV部 を温存 す る膵頭に (superiOr mesenteric artery:以 下,SMA)と 指 否 か,必 ず しも吟 味 され て い な い と考 える。 下,minimal PD)を 積極 的 に行 ってい る。minimal PD の位 置 について 々の が 関係 も種 報告 ある (Table 4)。し か し 一 の 定 傾 向 が 出てお らず,ま た SMAか ら第 III・ IV部の を安全 かつ確実 に行 うにあた って は,何 が手技上大切 なのか要 点 を明 らか にす る必 要 が あ る。 直接支配 の可能性 も残 っている. この ように,用 語 ・支配領域 な どにつ いて混乱 が あ 腸 切 除 術 (minimal pancreaticoduodenectomy:以 1911年に WilkieDが初 めて十 二 指腸上動脈 の名称 を り,各 報 告 を比 較 す るの に困難 が あった。今 回,我 々 用 いて この動脈 の走行 お よびその支配領域 について発 は解剖体 を用 いて十 二 指腸第 I・ III・ IV部の動脈 支配 表 した。 その後,多 くの研 究者 によって 同動脈 につい ての発表 が続 いた (Table l).しか し幽門動脈 との異 血管名 につ いて整理 した。第 I部 において は,そ の支 同 について混乱が残 る。 配動脈名 を支配領域 か ら整理 し,第 I11・ IV部 において 同 じ く1911年に Wilkiel)に よ り初 めて十 二 指腸 後 動 脈 の名称 が用 い られた。 この動脈 について は,後 上膵 十 二 十 旨腸 動 脈 (posteriOr superior pan― creaticoduOdenal artery:lttT, PSPDA)あ る↓ゝはそ につ いて再検討 を行 い,ま た これ まで用 い られ て きた は,そ の支配動脈 の分 岐様 式 について詳細 に観察 し, これ に伴 う リンパ 節郭 清 方法 につ い て も検 討 を加 え た。 対象 お よび方法 の枝 との混 同 が あ り (Table 2),その結 果,定 義 と出 現率 にあい まいな点 が残 る。 通常解剖体 (164体),色 素注入体 (25体),樹 脂注入 体 (25体),合 計 214体 を用 いた.色 素 は洋朱 (星印顔 幽門下動脈 は報告者 によって最 も名称 が 異 な る動脈 料)を アマニ 油500mlに 溶解 し大腿動 脈 か ら注入 した, 樹脂 は昭和 ネオ プ レンの ラテ ックス を用 い,総 頭動脈 < 1 9 9 7 年1 1 月5 日 受理> 別 刷請求先 : 高 室 雅 〒0 0 3 8 5 8 5 札 幌市 白石 区東札 幌 3 条 3 丁 目 7 - 3 5 東札幌病院外科 か ら8′注入 した。十 二 指腸 の各部 ご とに血 管 の保存及 び注入 条件 が 良好 な もの を抽 出 して検 討 したため,各 十二指腸第 I・ Hl・IV部の動脈支配 24(826) Table l 100% ヽ Vilkiel) i b a i r a m 和 v Inci A n a t o m i c a ls t u d i e s dence Origin (55%) (175%) Rrowne') 20% variable l.GDA (590%) 2.RGA (143%) Shapiro") 70% variable l.GDA (60%) 2.HA (25%) Douglasso) N d oftenGDA 回消外会誌 31巻 3号 Supraduodenal artery Distribution End artery or not Relationship to PA Yes different entity uttt路 r歩' 3鳥ヨ ‖府 2/3 o r wall 1/3∼ Relationship to other artery Nd poste五 PA included Nd Yes ヽ VilkiettCD Wilkie+CD(24%) different entity Nd Compensated by RDA and RGA, or IPA NO Nd, Nd NO Nd Nd No Patten5) Nd variable l.HA 2.GDA upper, anterior, and posterior wall for an inch or more Priestley6) N d variable upper 2/3 of anterior wall 絆断Fuoen創 路持駄皆 No Nd Nd N d Nd N d 1962 96% variable l.PSPDA (50%) 2.GDA (25%) Gray') 1985 Nd vartable l.PSPDA 2.GDA Vandam 1988 94% variable l.GDA (22%) 2.PHA (20%) Gabellall) Nd 1995 Nd %% ヽ Vindlり ︲ b a A i r H a ・ ︲ 和 v 巾Iichels打 mobile portion and a small part of fixed portion n u:昂 岳 te品 !耽品 坊す different entity PA included Nd same as Shapiro Nd Nd different entity Nd Nd different entity Nd posterior wall 1/3 variable l.GDA 2.HA .The wall of the first portion of the duodenumand also supplied the lower extreme right end of the hepatoduodenalligament (45%) **-I'he upper, anterior, and posterior surfacesof the first 3cm of the superior part of the duodenum ***The superior half circumferenceof the proximal half or more of the duodenum'ssuperior part N.d. : Not determined CD: common bile duct PA : pyloric artery GDA: gastroduodenal artery RHA : right hepatic artery IPA: infrapyloric artery HA: hepatic artery RDA: retroduodenal artery PHA: proper hepatic artery PSPDA: posterior superior pancreaticoduodenalartery RGA: right gastric artery 部 ご とに母 集 団 が若干異 なる。各 血管 について検 索 し た標本数 を Table 5に示 す。 十 二 指腸第 I部 を支配 す る動 脈 につ い て は,過 去 の 報告 (Table l∼3)の 公約数 として以下 の ように仮 に 定義 し,そ の変 異 を検索 す る ことで各動脈概 念 の妥 当 性 を検討 した。 十 二 指腸上動脈 :膵 と接す る ことな く肝 十 二 指腸 間 す る動脈. PSPDA:総 胆 管 の右 方 を下行 し十 二 指腸 お よび膵 枝である 後 面 を 支 配 す る腹 腔 動 脈 枝 で,SMAの IPDAと 吻合 し,膵 後面 アー ケー ドを形成 す る動脈. IV部 を支配 す る動脈 について また ,十 二 指腸第 III・ は,分 布域 を精査 す る こ とで各動脈 を同定 し,動 脈根 部 の分岐様 式 と太 さを検 索 した。 膜 内 を走 り十 二 指腸第 I部 前壁 の上 部 2/3,後 壁 の1/3 を支配 す る動脈. 十 二 指腸後 動脈 :十 二 指腸 第 I部 後壁 の2/3を支 配 るいは その枝 は十 二 指腸 後動脈 す る動脈.PSPDAあ としない。 幽門下動脈 :十 二 指腸 第 I部 前壁 の下 部 1/3を支 配 結 果 1.十 二 指腸第 I部 A.十 二 指腸上動脈 肝十 二 指腸 間膜 内 を走 り,分 布域 は十 二 指腸第 I部 の上 部領域前 ・後壁 に限局 した。 かつて は直動脈 す な わ ち終動脈 と考 え られ ていたが,辺 縁動脈 としての性 1998年 3月 25(827) Table 2 Retroduodenalartery Anatomical studies Distribution Origin Incidence 、 、 rilktel) 1911 Edwardslり 1941 97% GDA Wilmerl鋤 1941 Nd GDA Piersol114) 1943 Nd GDA The lower 1/3 of the posterior u'all 'l'he lorver 2/3 of the posterior wall Shapir03) 1946 Nd GDA The posterior wall A′ ヽ oodburn15) 1951 926% GDA Patten5) 1953 Nd GDA RGEA Priestieyu) 1956 Nd GDA GDA 99、3% The lower 2/3 <tf the posterior u'all Nd The lorver posterior wall The lower 2/3 of the posterior wall ヽ4ichels7) 1962 Gray") 1985 Nd GDA(90%) Vandamm') 1988 N d GDA GDA(90%) dorsal side *ln the majority of cases **Use the denomination "retroduodenal artery" to identify PSPDA N.d.: Not detennined GDA: gastroduodenal artery RGEA: right gastroepiploic artery PSPDA : posterior superior pancreaticoduodenalartery Table 3 Infrapyloric artery Anatomical studies Rossl16) 1904 Origin lncidence Nd RGEA Recurrent branch Anterior duodeno-pyloric branch ヽ ヽ ア ilkiel) 1911 Nd RGEA ASPDA Villeminlコ 1921 Nd RGEA ASPDA Ciuffo pilorico inferiore %%% 100% Kuroda18) Nomenclature Tri RGEA ASPDA %%%% RGEA ASPDA GDA ・Tri 1988 100° /。 Mrind10) 1994 100% RGEA GDA ASPDA (44%) (30%) (20%) Infrapyloric artery SaHral19) 1995 100% GDA (64%) ASPDA (21%) RGEA (12%) Infrapyloric artery Gabellall) 1995 GDA Nd the lower l/3 of the anterior wall Nd Pyloric branch Vandammee) Nd Distribution Infrapyloric artery Small branch to the pyloric end of stomach N d Antrum and pylorus ring Nd * Tri.: Trifurcation(from the wedegedposition between origin of ASPDA and RGEA) ** Type A: Pyloric branch supplies the greater curvature of the gastric antrum and of the duodenal bulb, and pylorus (42%) Tyoe D: Pyloric branch supplies the pylorus, the greater curvature of the duodenal bulb, and the oral portion of the descendingduodenum(13%) Type A+D : (40%) '**Distributedtotheduodenumbutnottothepylorus Q6.7%).Anothercaseintendedforthepylorus(54.3%) N.d.: Not determined RGEA: right gastroepiploic artery GDA: gastroduodenalartery ASPDA: anterior superior pancreaticoduodenalartery IV部の動脈支配 十二指腸第 I・III・ 26(828) 日消外会誌 31巻 3号 Table 4 Relationship of the IPDA and JA Anatomical studies side of origin from SMA Incidence-1 327% Posterior Piersontt) 372% Posterior Others Shapiro3) 700% Falconer") Woodbur Kosinski20) 1928 410% Not determined 161% Not determined Posterior 200% Not determined 259% Not determined 630% Not determined 460% Not determined 220% Not determined POstettOr (50%) Right (50%) 478% Not determined calas23) 46% \randamme' Benoit2" 1989 % % 86% (64%) Q6%) t h f g ei L R NIeyer22) MIichels7) side of origin from SMA Incidence-2 573% 600% Posterior or right 400% Not determined 470% Not determined 450% Not determined Nd Not determined 570% Not determined Incidence-l: Incidenceof IPDA arising from SMA Incidence'2: Incidenceof common trunk , n t e r i o r ( 1. 3 % ) , L e f t ( 3 z . 6 % ) ,R i s h t ( 1 6 . 0 % ) o f I P D A a n d f r o m S M A * : P o s t e r i o r ( 7 . 3 % )A SMA : Superior mesentericartery IPDA: Inferior pancreaticoduodenalartery Table 5 Numbers of specimens examined か った。 また肛 門側 は第 I・ II部境界付近 に達 し,数 Subject 枝 の直動脈 を上縁 か ら前後壁 にか けて分岐 し,十 二 指 Numbers 腸第 I・ II部境界付近 を面 状 に支配 していた.十 二 指 First portion 腸上動脈 と PSPDAと の間 に壁 外 の吻 合 は認 めず ,十 二 指腸上動脈 か ら胆 嚢 ・ 総胆管 へ の枝 も認 めなか った。 Supraduodenalartery Retroduodenalartery T-f*^^,,1,.*i^ rrrrrdPyr(rrrL JA: upper jejunal artery ^-l^-,. dr Lcry Posterior superior pancreaticoduodenal u'l:_'_I..__ ____ Third and fourth portions Inferior pancreaticoduodenalarteries Hepatic artery arising from SMA 以上 の所見 を整理 す る と,十 二 指腸上動脈 は十 二 指 92 が0 8mm前 後 で,肝 十 二 指腸 間膜 内 を走 り,支 配領域 125 ⅢⅢ fOund in 157 Tota1 214 cadavers(102 males and l12 females),aged 36-88,、vere dissected SMA:superior mesenteric artery 格 もあった (34.8%),必 ず しも連 続 的 に広範 囲 で はな く,多 くの場合 (65.2%)は 上 部前壁 の1/3か ら上部後 壁 の1/5を点状 に支配 して い た。その起始部 の径 は比 較 的細 く平均08(05∼ 1.2)mmで 腸第 I部 上縁 の頭側 で親動脈 か ら分岐 し,起 始部 の径 あった。十 二 指腸上 は先 の定義 よ りやや狭 く十 二 指腸第 I部 の上 部 前壁 1/ 3か ら後壁 1/5であ った。 B.十 二 指腸後動脈 (Fig。2)。 先 の定義 に比 べ その支配域 は極 めて狭 く,十 二 指腸 第 I部 後壁 か ら下 縁 にか けて面状 で な く点状 に支 配 し,心 ず膵 実質 に も細 枝 を出 して いた。 この膵 実質 ヘ の細枝 は多 くの場合終枝 で あった。十 二 指腸後動脈 の 起始部 での径 は細 く平均0,6(0.5∼2.0)mmで が ,1例 を 除 く と す べ て1 0mm以 あ った 下で平均 は 動脈 の出現頻 度 は29.9%で ,そ の親動 脈 の頻 度 を Fig. 052(0.5∼ 06)mmで 1に 示 すが,右 肝動脈 か ら8,8%,そ の他 か らを129% と低 く,親 動脈 として は,胃 十 二 指腸動脈単独 か らが 78.6%,胃 十 二 指腸動脈 か ら PSPDAと 同時分岐 す る 認 めた。 あった.そ の出現頻 度 は8.5% 十 二 指腸上動脈 が 良 く発達 したpll(34.8%)で は, 明 らか に辺 縁動脈 の性格 を有 して い た。 日側 は幽門輪 例 が14.3%,左 肝動脈 が7.1%で あった。 に接 す る領域 まで支配 し,右 胃動脈 の幽門枝 (幽門動 同時分岐 した例 に見 られた。 起 始部 での径 が2.Ommに 脈)と 吻合 したが,幽 門輪 を越 えて吻合す る ことはな もな り,膵 実質 に接 す る十 二 指腸第 I部 後面 か ら下 縁 十 二 指腸 後 動 脈 が 最 も発 達 した 1例 は PSPDAと 1998年 3月 27(829) Fig. 1 Origin of the supraduodenalartery a: From the gastroduodenal artery (GDA) (39.f%) :b: From the properhapatic artery (PHA) (30.4%); c : From the right gastricartery (RGA) (8.S%) So-calledpyloric artery, a branch of RGA, did not reach the first portion of the duodenumin case c. SDA with arrow : supraduodenal artery; CD: common bile duct ; PV : p o r t a l vein; CHA: commonhepaticartery b 39.r% C 88% 304% Fig. 2 The retroduodenal artery The retroduodenalartery (RDA) was a fine twig supllying the pancreasand the posterior wall of the first portion. The stomachr'"'asreflectedsuperiorly. ASPDA: anterior superior pancreaticoduodenal artery; CHA: commonhepaticartery ; GDA: gastroduodenal artery; IPA: infrapyloric artery; PSPDA: posterior superior pancreaticoduodenal artery; RGEA: right gastroepiploicartery. GDA C.幽 門下動脈 横行結腸 間膜 内 また は大網 内 を走 り十 二 指腸 第 I部 の 回側 2/3域の 下部 前 壁2/3か ら幽 門 輪 を支 配 して い た。 さ らにその722%は 幽門前庭部大彎側 まで も支配 して いた。幽門下動脈 の起始 部 での径 は比 較 的太 く, 平均 1.2(0.5∼20)mmで あ り,出現率 は976%で あっ た。その主た る親動脈 の頻 度 を Fig,3に 示す。PSPDA か ら分岐 す る例 は認 めなか った,親 動脈 か ら 1本 のみ 分岐 す る例 を77.7%, 2本 分岐 す る例 を167° /。 , 3本 分岐す る例 を55%に 認 めた。この動脈 はさ らに数本 の 枝 に分 か れ,そ の分 布 様 式 は以 下 に示 す 4型 あった (Fig。4). (a)幽 門前庭部大彎側 ,幽 門輪 お よび十 二 指腸第 I 部 口側 の下 縁 お よび前壁 を支配 す る (50.0%). (b)幽 門輪 お よび十 二 指腸 第 I部 口側 の 下 縁 お よ び前壁 を支配 す る (22.2%). (c)幽 門前庭部大彎 か ら十 二 指腸第 I・ II部の境界 にか けて多数 の細枝 をほ うき状 に分枝 し,面 として支 配 して い た。十 二 指腸 第 I・ II部境界部 お よび膵 実質 に も細 枝 を分枝 し,PSPDA枝 の ご と く見 えた。14 実 質 内 で は十 二 指腸後動脈 由来 の膵枝 は,他 動脈 か ら膵 実 質枝 と吻合 して い た。他 に,胃 十 二 指腸 動脈 か ら分岐 部 まで の 下 縁 お よび 同 範 囲 の 前 壁 を広 く支 配 す る (222%). (d)幽 門輪 お よび十 二 指腸第 I部 日側 か ら第 I・ II 部 の境 界部下縁 お よび前壁 を支配 す る (5.6%). も達 しな い細枝 を19.5%に 認 めた。この 幽 門下 動脈 が 右 胃大 網動 脈 と末梢 で 吻 合 す る例 は 61.5%に 認 めたが,そ の親動脈 との間 には一 定 の関係 細枝 は十 二 指腸第 I部 後壁下面 を点状 に支配 し,さ ら は認 め られ なか った。十 二 指腸上動脈 が欠如 また は微 に膵実質 内 に も 1∼ 2本 終枝 を分 けて いた。 細 な例 の 中 で,幽 門下動脈 が十 二 指腸上動脈 の支配領 域 を補 うように発達 して い る例 を40%に 認 めた。 す る0.5mmに 以上 の所 見 を整理 す る と,十 二 指腸後動脈 は多 くは 胃十 二 指腸動脈 か ら分岐 し(929%),起 始部 での径 が 以上 の所 見 を整理 す る と,幽 門下動脈 は右 胃大網動 0.5mm前 後 で,膵実質 に接 して十 二 指腸第 I部 後壁 な い し下 縁 に向 い,同 部 を点状 に支配 し,同 時 にB4 実 質 1 指腸動柳R ( a n t e r i O r s u p e r i o r p a n ‐ 脈 また は前_ L t t t 二 内 に も終枝 を分 けて いた。 胃十 二 指腸動脈 か らの枝 で,起始部 での径 が1.2mm前 c r e a t i c o d u o d e n a l a r t e 下, r y :A以 SPDA)あ るい は 十 二指腸第 I・ III・IV部 の動脈支配 28(830) 日消外会誌 31巻 3号 Fig. 3 Origin of the infrapyloric artery a: From RGEA (33.1%); b: From the wedged position betweenorigins of ASPDA and RGEA (Trifurcation) (25.9%); c : From ASPDA (22.3%) ; d : From both of ASPDA and RGEA {.r4.4%). Distributions are shown in Fig. 4. See abbreviationsin Fig. 2. ASpDA a 33.1% b C d 25_9% 223% 144% Fig. 4 Distributions and ramificationsof the infrapyloric artery a: To antrum and pylorus ring (indicated by dotted line) as well as the first portion (50.0%) ; b : Smallestdistribution limited to the first portion and pylorus ring (22.2o7o) ; c : Largestcasesincludingantrum, pylorus ring and a border of the secondportion (22.2%) ; d: To pylorus ring and a border of the secondportion also(5.6%). a b 505% 22_2% d C 22.2% 5.6% 後 で,横 行結腸 間膜 内 また は大 網 内 を走 り,支 配領域 は先 の定義 よ り広 く,必 ず十 二 指腸第 I部 を支配 し幽 部 1/3に十 二 指腸枝 を分岐 し,同部 を点状 に支 配 してい 門前庭部 か ら十 二 指腸 第 I部 の 日側2/3の範 囲 の 下部 た.そ の数 は 0∼ 1(平 均0.8)本 で あ り,分 岐部 の径 前壁 の2/3を支配 して い た。 は平均 1.8(1.0∼2.0)mmだ D. PSPDA 通常 は,膵 十 二 指腸動脈 ア ー ケ ー ドを介 して十 二 指 で あった。総胆管右方 を下行 す る際 に,第 I部 後壁下 った。走行 中 に必 ず膵実 い を分 して た。SMAか らの枝 で あ る IPDAと 質枝 布 ー ー ア ケ ドを形成 して いた もの は99%で あ った。 腸第 II部を支配 す る動脈 と理 解 され てい るが,第 I部 2.十 二 指腸第 III・ IV部 に とって も大切 な動脈 であ った。 IPDAが 100%存 在 し,胃十 二 指腸動脈 か ら単独 で分岐 す る事 が 多 か った (99.3%).ASPDAと SMAか ら分岐 す る様 式 には主 として以 下 の 4型 が 区別 され,そ の他 わずかの例外 が認 め られた。 共 同幹 を形成 す る例 二 は認 めなか った。 胃十 指腸動脈 か らの分岐位 置 は総 以下,JA)が 3%,右 方が29.3% 胆管 の左 方が42,4%,前 方中央 が28。 (55.6%)(IPDAttJA型 で あった。PSPDAが 総胆管 の前面 を走 る例 は72.8%, (1)IPDAと 上部空腸動脈 (upperjdunal artery: 共 同幹 を形成 して SMAか ら分岐 す る型 ) 共 同幹 は他 の型 に比 べ て明 らか に太 く,分 岐す る高 29(831) 19e8+ 3E 'fopographic Fig. 6 anatomy of independentorigins of 2 inferior pancreaticoduodenalarteries arising from the upper jejunal artery Subtype IPDAs+JA (See also Fig. 5). a: Independentorigins of 2 IPDAs are located at the left sideof SMA ; b : At the left and posteriorside of SMA ; c : A single origin without clear common trunk at the right side of SMA. Note that independentorigins of 2 IPDAs from JA are consistently located at the left side of SMA. See abbreviationsin Fig. 5. Fig. 5 Topographic anatomy of common trunk origin of the inferior pancreaticoduodenaland upper jejunal arteries Type IPDA + JA (55.6%) . a : From the left side of the superior mesenteric artery (SMA) (48.4%); b: From the right side of SMA G . a % ) ; c : F r o m t h e p o s t e r i o rw a l l o f S M A Q.8%). Note that the bifurcationof the inferior pancreaticoduodenalartery (arrow) is consistently located at the right side of SMA. AIPDA: anterior inferior pancreaticoduodenal artery; Ao : abdominal aorta ; IPDA : inferior pancreaticoduodenalartery; JA: upper jejunal artery, PIPDA: posterior inferior pancrealicoduodenal artery. Ao SMA 観 C 十 二 指腸 外膜 と14 実質下縁 の 間 を膵 前筋 膜 に埋 まって 有 方 に走 った。十 二 指 腸 第 IV部 に平 均 AIPDAは a 484% b 64% さの SMAの 4)本 分枝 アー し,同 部 の 前壁 を支 配 した。全 例 で ASPDAと ー ケ ドを形成 した。 1.7(1∼ c 08% 径平均 81(7.0∼ 120)mmの PIPDAは 30∼70% で,平 均 4.0(30∼ 5.0)mmで あった.共 同幹 の長 さ は,平 均64(1.0∼ 160)mmで あった.共 同幹 の分 膵後面 に密着 して右 方 に走 り,十 二 指腸 第 IV部 に平均 1.6(1∼ 2)本 ,1lI部 に平均2.0(1∼ 4) アー 本分枝 し,同 部 の後壁 を支配 しつつ,PSPDAと 岐様式 お よびその頻 度 を Fig.5に 示 す. IPDAと 2)本 ,第 III部に平均3.0(2∼ して の 共 同幹 が 形 成 され て い るか 否 か に ケー ドを形 成 した (99%)。 一般 に PIPDAの ア ー ケ ー ドは AIPDAの アー ケー ドに比 べ て,十 二 指腸 か ら離 よって,前 下膵十 二 指腸動脈 (antettor inferiOr pa‖ れ て よ り頭 側 に 存 在 して い た。 この た め直 動 脈 は creadcoduodenal artery:以下,AIPDA)と PIPDA枝 後下膵十 二子 旨腸動lFFK(posterior inferior pancreaticoduodenal artery:以 下,PIPDA)の 分岐部位 が SMAの 右方 か の方が2∼4mm長 あ つた。同部 の前 後壁 にIV部枝 を出 した後,AIPDA, 分岐 した。 この場 合 の IPDAは 長 く,平 均 否 か が 決 ま る傾 向 が認 め られ た。 す な わ ち,JAと PIPDAに IPDAと の共 同幹 が SMAの 14.5mmだ った, とも,IPDAと SMAの どの方 向 か ら分岐 しよ う しての共 同幹 が形成 され てい る場合 は, 右方 で AIPDAと PIPDAに 分 かれた。また, IPDAの 形成 が 明瞭 で な い場合 は,AIPDAと PIPDA か った。 この型 の1.6%に IPDAが 第 IV部 を支配 す る こ とが IPDAと JAが 分 か れ た後 の 」Aか ら細 枝 が 第 IV部 に入 る例 を この型 の30%に 認 めた。 その67%は トライ ツ靭帯付近 か ら10mm以 内 の第 IV部 を支配 し,残 りの の分 岐部位 は SMAの 後面 な い し左方 だ った。 この場 33%で は よ り広範 囲 に第 IV部 を支配 して いた。 同部 を 合,AIPDA,PIPDAは 必 ず SMAの 後面 を経 て右方 に す べ て支配 して いた例 を 1例 認 めた。これ らの例 で は, 」Aと IPDAと の分岐直 後 の径 を比 較 す る と, ほ ぼ 第 IV部 が 明 らか に 」Aに 支 配 され て い る と考 え られ た。 SMAか ら直 接 分岐 す る短 い細 枝 が 第 IV部 に入 る 走 っていた (Fig。6). 全例 で (98%)」Aの 方 が 太か った。太 さか らだ けみれ ことは無 か った。 IV部を支配 して い る とい う見 ば,JAが 十 二 指腸第 III・ (2)IPDAが 方 もで きる と考 えた。例 外的 に JAが IPDAよ り細 い (IPDA単 独型) 例 で は,SMAの SMAの 右方 で 」Aと IPDAに 分 かれ,JAは 後 方 を左 方 に走 った. SMAか ら直接分岐 す る型 (24.2%) I P D A の径 は , 同 部 で の S M A の 径 平 均 5.0) 7 . 6 ( 6 0 ∼8 . 0 ) m m の 3 7 ∼5 8 % で , 平 均3 . 6 ( 2 . 5 ∼ 十二指腸第 I・ HI・IV部 の動脈支配 30(832) mmだ った。I P D A の 長 さは平 均 1 0 6 ( 3 0 ∼ 2 5 0 ) m m だ った。 I P D A の S M A か らの分岐 様 式 お よび その頻 度 を F i g . 7 に 示 す。 IPDAが IPDAの PIPDAに 分 岐 す る位 置 は らの分 岐型 に係 わ らず,す べ て SMA の右方で あった。す なわ ち SMA左 る場 合,IPDAは SMAの 縁 か ら IPDAが 出 後方 を通 る分 だ け長 くなっ た。十 二 指腸第 III・ IV部の支配様式 は,上 述 の「 IPDA十 JA型 」とほぼ同 じで,IPDAが ,(IPDA tt」A型 )と は異 な り,全 例 SMA の左方 にお いて共 同幹 か ら分岐 し,SMAの 第 IV部枝 を出 して い る AIPDAと JAの 分岐直径 の径 は,」Aの 方が常 に太 JAか ら分 岐 後 の AIPDAお の PIPDAは よび SMAか IPDAttJA型 ,そ れ ぞれ 「 」 と同 じ走行 PIPDAの IV部枝 (直動脈)は ,(IPDAtt」 A 第 III・ 型)よ りさらに2∼3mm長 部 の 前壁 は 」Aに 支配 され,後 壁 は PIPDAに JAか らの 細 枝 が 第 IV部 に入 る こ とは 無 か った。 ら直接分岐 す る短 い細枝 が 第 IV部 を支配 す る 例 も無 か った。 AIPDAは PIPDAカ ミ丹」 々 に SMAか SMAの ら分 岐 す 立型)(Fig.8‐ a). 右側 よ り常 に分岐 す る。この場 合 」Aと 必 ず共 同幹 を形成 し,SMAの り分岐 した。PIPDAは 左側 よ 必 ず共 同幹 よ り上方 で SMAか ら分岐 した。 PIPDAと mmで mmで 110)mmの 径 は,同 部 の SMAの 径平均 19∼38%で ,平均 2.1(15∼ 3.0) あった。 JAと AIPDAの 支配 さ れ る と考 え られた。 ら肝 動脈 と PIPDAが (4)SMAか 共 同幹 を形 成 し SMAか ら異所性肝 動脈 が 分岐 す る型 を12.7%に 認 めたが,そ れ らの44.1%に 肝動脈型 を認 めた。 す なわ SMAか ち,PIPDAは ら分岐 す る右肝動脈 また は総肝 動脈 と共 同幹 を形成 し常 に SMAの AIPDAは 右側 か ら分 岐 し, 」Aと 共 同幹 を形 成 し常 に SMAの 左側 か . 共同 詩 の 距 離 は, 平 均 ら 分 岐 し た ( F i g .b8)‐ 共 同幹 との距 離 は平 均5.3(2.5∼ 130) あった.PIPDAの 84(70∼ か った。十 二 指腸第 III・ IV て分岐 す る型 (5.6%)(肝 動脈型) る型 (11.3%)(AIPDA/PIPDA独 PIPDAは ら分 岐 後 と分 布様 式 を示 した. 部 は IPDAだ けによって支配 され る と考 え られた。 (3)AIPDAと 後 面 を右 か った。 IV 例 を1.6%認 めた。 この型 の場 合 は,十 二 指腸第 III・ SMAか 3号 方 に向 か っていた。 AIPDAと SMAか AIPDAは 目消外会誌 31巻 8.3(4.0∼ 12.0)mmで あ り,「AIPDA/PIPDA独 立 型 Jに 比 べ てやや距離 が あった。 PIPDAの 共 同幹 の径 は,同 部 の SMAの 肝動脈 ・ 平 均 9,0(7,0∼ 110)mmの 33∼ 56%で 径 平 均 共 同幹 の径 は,同 部 で の SMAの 30∼57%で ,平 均3.4(3.0∼5.0)mmで ,(IPDAttJA 型 ) よ り や や 細 か った . 共 同 幹 の 長 さ は 平 均 2 . 7 ( 2 . 0 ∼1 0 ) m m で あった。 JA and cOnsistently originated at the left side of SMA Sec abbreviations in Fig 5 バ Fig. 7 Topographic anatomy of Origin ofthe infe‐ rior pancreaticoduodenal artery arising directly frO■ l the superiOr mesenteric artery Type lPDA independent(242%)at FrOm the right side of SMA(178%);b i From the left side of SMA(4_8%),ct FrOm the posterior wall of SMA(16%) Note that the bifurcation of IPDA (arrow)is consistently located at the right side of SMA See abbreviations in Fig 5 Fig. 8 TM′ o special types Of the inferlor pan― creaticoduodenal arteries a. Type AIPDA/PIPDA independent(113%) The PIPD7ヽ cOnsistently originated from the right side of SMA In contrast,the AIPDA for‐ med a commOn trunk with JA and originated at the left side of SMIA See abbreviations in Fig 5 b. Type with hepatic artery(56%).At the right side of SMIA,the PIPDA originated frOm the hepatic artery(HA)arising from SMA In con trast,the AIPDA formed a common trunk with 土 瑚 c 財 a 113% :告 A 1998年3月 31(833) 40(3.0∼ 60)mmだ った。 また, 共 同幹 の長 さは平 示 した よ うに右 胃動脈 の枝 で,良 く発達 した幽門動脈 あった。肝動脈 と P I P D A の を十 二 指腸上動脈 とわ けて報告 してい る例 もあ る。し か し,十 二 指腸上動脈 は必 ず しも 1本 とは限 らず 1)り , 均3 . 8 ( 2 _ 5 ∼6 0 ) m m で 分 岐 直後 の径 を比 較 す る と, 全 例 で 肝 動 脈 の 方 が 太 か った。 また支配領域 か ら見 て も,良 く発達 した幽門動脈 は十 J A ・ A I P D A の 共 同幹 の径 は, 共 同幹 を分岐す る高 さ の SMAの 2 7 ∼5 6 % で 平 均3 ゃ 5(2.0∼ 5.0)mmで AIPDA/PIPDA独 「 立型J と ほぼ同 じで あった。 また, 共 同 幹 の 長 さ は 平 均9 3 ( 6 0 ∼ 160)mmで あ り 「A I P D A / P I P D A立独型 」 よ り 長 か った 。J A と AIPDAと の分岐直後 の径 を比較 す る と,」Aの 方 が 太 か った。AIPDAは す べ て SMAの 立型Jと同様 , ,「AIPDA/PIPDA独 左 方 にお いて共 同幹 か ら分岐 し,SMA の後 方 を経 て右方 に向 か った。 AIPDA,PIPDAの IV部 走行 お よび十 二 指腸第 III・ 二 指腸上動脈 に含 めて考 えた方が良 い と思われ る。 十 二 指腸上動脈 が右 胃動脈枝 で あ る場合 ,幽 門動脈 との 鑑別点 は,後 者 は幽門輪 を越 えて球部 に分 布 しな い こ とであ る と考 えた。 しか し,発 達 した十 二 指腸上動脈 との間 に吻合 が生 じる と, この鑑別点 はあい まい にな る. 2)十 二 指 腸 後 動 脈 :Micheに7)は,PsPDAを 十二 指腸後動脈 と定義 して い るが,わ れわれ は別 の動 脈 と 定義 した。その出現頻度 は,8.5%と 低 く,ま た その径 1 3)14)の ように十 二 指 も細 く,支 配領域 も諸家 の報告 1)。 AIPDA/PIPDA独 の支配様 式 は「 立型 」と同 じだ った。 二 I V部の前壁 は 」Aに , 肝動脈型 の場 合,十 指腸 第 III・ 腸第 I部 後壁 の下部 1/3を支配 す るこ とはな く,ご く狭 く点状 で あ り,PSPDAの 分布域 の ご く一 部 を補充 す 後壁 は肝 動脈 に支配 され る と考 え られた。 る弱小枝 と考 え られた。従 って十 二 指腸第 I部 の支配 PIPDAを 分 けた後 の肝 動脈 か ら直 接 第 IV部 枝 が 分 枝 す る例 は認 めなか った.ま た SMAか ら直 接第 IV部 枝 が分 枝 す る例 も認 めなか った.AIPDAを 分 けた後 の JAか ら第 lV部枝 が分枝 す る例 も認 めなか った。 考 察 <解 剖学的考察> 1)十 二 指腸上動脈 :わ れわれが検 索 した ところ,諸 1)3ン )のと比 べ この動 脈 の 出現 率 は意 外 に少 な 家 の報 告 あった。こ れ は, と くに後壁 において, 膵 と接 して PSPDAま た は 胃十 二 指 腸 動 脈 か ら分 岐 く,29.9%で し上 部 に向 か う動脈分枝 を本動脈 か ら除 外 したた め と 思われ る。支配領域 も十 二 指腸第 I部 前壁 の上2/3,後 壁 の1/3を支配 しさ らに総胆 管 まで を支配 す る との諸 l13141の 1い に比 べ狭 く,652%は 十 二 指腸第 I部 家 の報告 の上 部 前 壁 1/3か ら後 壁 1/5を点 状 に支 配 す るの み で あった。 に よれ ば,右 胃動脈枝 の い わ ゆ る幽 過去 の報 告 1)1の ・ 門動脈 は,幽 門 十 二 指腸球部 の上面 を支配 し,前 ・ 後壁枝 は幽門下動脈 とも吻 合 し,さ らに十 二 指腸上動 脈 とも吻 合 す る と言われ ている。 また十 二 指腸上動脈 が欠如 また は微細 な場 合,こ れ を補 う よ うに発 達 す る3)とも言われて い る。しか しわれわれの検索 で は,幽 門動脈 が 幽門輪 を越 えて十 二 指腸 に まで達 して い る例 や,幽 門下動脈 ・十 二 指腸 上動脈 と吻合 して い る例 は 認 めなか った。 われわれ は幽 門輪 を越 えて十 二 指腸 第 I部 を支配 す る動脈 をす べ て十 二 指腸上動脈 としたが,Table lに 動脈 と して あ えて記載 す る必 要 はな い よ うに思 わ れ る。 3)幽 門下動脈 :こ の動脈 につ いて はあ ま り注 目 さ れて い なか ったが ,最 近 幽門下動脈 を温存 し,か つ 幽 門輪 を温存 す る術 式が発表 され その重要性 が見直 され て い るItll"。 また,十 二 指腸上動脈 が 未発達 で あった り 欠 けて い る場 合,本 動脈 が これ を補 うように発達 す る 3)この で も大切 な動脈 で あ る 点 。われわ れ 報告 もあ り の検 索 で も,十 二 指腸上動脈 が 未発達 であった り欠 け て い る場 合 に本動脈 が発達 した例 を40%に 認 めた.幽 門下動脈 の支配領域 は,わ れわれの検索 に よる と他 の 1鴻 19)ょ り広 く,幽 門前庭部 か ら十 二 指腸 第 I部 報告 )。 の 日側2/3域の下部 2/3を支配 して い た。 その分布域 か “ "と い う名称 を用 いた報告 もあ る ら本動脈 を 幽門枝 1的 が ,右 胃動脈 か らの幽門枝 も存 在 し混乱 を生 じる。同 "と “ 1)め 表現 す る文献 。7)もあ 様 にその走行 か ら 反 回枝 "と い う名称 は他 の多 くの部位 で も用 い るが,“反 回枝 られ るのでふ さわ しい とは思 えな い。 1の 動 脈 を十 二 指 腸 後 動 脈 と報 告 つゆ して い る こともあるので注意 す る必 要 が あ る。 胃十 二 1"は80%が 指腸 動脈 か らの分 岐位 置 は Woodburneら 4)PSPDA:本 総胆管 の左 方か らと報告 して い るが,そ れ とはやや 異 なって総 胆 管 の左 方 か らが424%,前 方 中央 か らが 28.3%,右 方か らが293%で あった。PSPDAか ら第 I 部後壁 へ の直動脈 は意外 と太か ったが,そ の分枝数 は 少 な く,支 配領域 も意外 と狭 か った。 しか し十 二 指腸 後 動 脈 の 出現 率 の低 さ とその支 配領 域 の狭 さか ら, ・ に 指腸 第 I ・ H l ・1 ヽ 部 の動脈 支配 32(834) PSPDAは 十 二 指腸第 I部 後壁 を支配 す る大切 な動脈 と思 われた, □消外会誌 31巻 3号 後 14c,ま た は PIPDAの 肝動脈 か らの分 岐部 を明 らか に し,そ の根部 を郭清 し,最 後 に14aの 郭清 を行 う。こ 5)十 二 指腸第 III・ IV部を支配 す る動脈 :こ れ まで は され て きて い IPDAか ら分岐 す る AIPDA,PIPDAと れ によ り14番の完全郭清 を行 った こ とにな る。こ の よ うに,分 岐型 ご とに リンパ 節郭清操作 を進 めな くて は たが,わ れわれの検 討 で は この型 は24.2%に 過 ぎず, 十 二 指腸 を広 く温存 す る膵頭 十 二 指腸切 除 にお ける14 多 くは JAと 共通幹 を形成 した。従 って 多 くの場合,十 二 指腸 第 III・ IV部は上 部空腸動脈 に支配 され る と表現 番 リンパ 節 の完全郭清 はあ りえな い。 注意 点 は,手 術 の さい に不 用意 に JAを SMAの した ほ うが正 しい と思われ る。 また同部 の後壁 に関 し IV部の循環障害 を引 き起 こし 部 で切 断す る と,第 111・ て は SMAか 同部 の温 存 が不可能 となって しまうことであ る。 また ら分岐 す る右肝動脈 また は総肝動脈 に支 配 され る こと もあった (5.6%). 「 肝動脈型」の場合 には PIPDAを SMAの 根 根部 で切 断 <今 回の結果 の臨床応用> す る と,肝動脈 を損傷 して しまう こととな る。IPDAが 1)十 二 指腸 第 1部 :こ の部 の温存 を図 るに,先 に述 単独 で SMAか べ た 支 配 血 管 を出来 る 限 り温 存 す る こ とが 望 ま し 2の ぃ2の が, と くに十 二 指腸第 I部 お よび幽 門輪 をほぼ 恒常 的 に支配 して い る幽門下動脈 の温存 を図 るよう心 掛 ける。 さらに今 回のわれわれの検 索 で十 二 指腸上動 脈 の存 在 す る頻 度 が 意 外 と少 なか った こ とを考 え る と,一 般 に行 われて い る幽門輪温存陣頭 十 二 指腸切 除 術 にお ける右 胃動脈 の根部 か らの処理 は避 け,右 胃動 脈 の 幽門枝 (幽門動脈)を 温存 させ るよう心 掛 けるべ きで あ る. 2)十 二 指腸第 III・ IV部 :通 常 の血 管造影 で SMAと IPDAの 位置関係 を明 らか にす るの は困難 との報 告 28) が あ る。こ の領域 の分枝形成 と手術操作 の 関係 におい て問題 とな るの は,14番 リンパ 節郭清 を行 う場合 の血 管処理 のあ り方で あ る。 これ を以下 に記 す る。 IPDAttJA型 J;こ の 型 で は 」Aと IPDAが 共 同 「 幹 を形成 して い るため,14dを 郭清後 IPDAの 分 岐部 を明 らか に し,14bの 郭清 を行 い,そ の後 14c,14aの 郭清 を進 め る ことが肝 要であ る。 IPDA単 独型J:こ の型 は IPDAが 「 SMAか ら独立 して分枝 す る型 なので,14d,14c,14b,14aの 順 に郭 清 を進 め る. AIPDA/PIPDA独 「 立型 」:AIPDAと PIPDAが そ れ ぞれ SMAか ら分 岐 し, さ らに JAと AIPDAが 共 い るた め,14dの 郭 清 後 」Aか らの して を形 同幹 成 AIPDA分 岐部 を明 らか に し,そ の根部 を郭清 す る。そ の後 SMAの 右側 か ら出 る PIPDAの 郭 清 を行 う。こ れ によ り14bの 完全 な郭 清 を行 った こ とにな る。 その 後 14c,14aの 郭清 を行 う。 「 肝 動 脈 型J:AIPDAと ら分 岐 し,AIPDAは PIPDAが 」Aと ,PIPDAは 別 々 に SMAか 肝動脈 と共 同 幹 を 形 成 し て い る 型 で,14dの 郭 清 後 」Aか ら の AIPDA分 岐部 を明 らか に し,そ の根部 を郭 清 しその ら分岐 してい るの は24%に す ぎな い こ とを念頭 に入 れ手術 に臨 む必 要 が あ る。 t f f i Wilkie D: Blood supply of the duodenum. Surg GynecolObstet 3 : 399 405, 1911 Browne B : Variation in origin and courseof the hepatic artery and its branches.Surgery8 I 424-445, t940 Shapiro A, Robillard G: Morphology and variation of the duodenal vasculature. Arch Surg 52: 571 602, 1946 DouglassT, Cutter W : Arterial supply of the common bile duct. Arch Surg 57 :599-612, 1948 Patten BM : The cardiovascularsystem.Edited by SchaefferJP. Morris' Human Anatomy. Eleventhedition. 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The supraduodenal artery (SDA) was sometimes (29.9%) present in the first portion. However, the infrapyloric artery (IPA) was a constant (97.6%\ feeder of this portion. Moreover, the IPA was frequentlr 00.5%) distributed to the antrum as'*'ell as to the first portion. The posterior superior pancreaticoduodenal artery also extended a branch to the first portion, in contrast to the retroduodenal artery which was sometimes (8.5%) found as a fine twig of the gastroduodenal artery. The nomenclature of these arteries was discussed. The inferior pancreaticoduodenal artery (IPDA) often (55. l7) formed a common trunk with the upper jejunal artery (JA), but sometimes (24.2%) arose directly from the superior mesenteric artery (SMA). In case of the (right) hepatic artery arising from the SMA, the posterior branch originated from the hepatic artery (5.6%). The fourth portion was sometimes (16.7%) supplied by the JA, but never by direct twigs from the SMA. Consequently, preservation of the IPA as well as reconfirmation of the origin of the IPDA seemed to be required essentially during the minimal invasive operation. Reprint requests: Tadashi Takamuro Department of Surgery, Higashi Sapporo Hospital 3-3-7-35 Higashi Sapporo, Shiroishi-ku, Sapporo, 003 8585JAPAN