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管理標準の作成について
資料1 「管理標準の作成について」 関西電気保安協会 1 (1)管理標準とは 「管理標準」とは、エネルギーを合理的に使用する ために、エネルギー使用設備の管理を、主に下記の内容で 定めたマニュアルのようなものです。 運転管理 計測・記録 計測・記録 保守・点検 新設措置 これらの内容を各事業所ごとに作成する必要がありますが 経済産業大臣が定めた判断基準に従って、事業者全体と して作成された管理標準に基づいて作成するものです。 ※国が定めた様式などはありません。 2 1 (2)なぜ管理標準が必要なのか 現在世界のエネルギー需要は増加を続けています。主な要因はアジアを中心とした 世界経済の発展に伴いエネルギー需要が急増していることです。 今後も、需要の伸びが予測され、2030年には2006年に比べて、世界のエネルギー需要 は1.5倍に増加するとされています。 エネルギーが無くなるまでの寿命 石炭 133年 ※現在の使用状態で推移した場合 石油 42年 天然ガス60年 原子力?年 このように深刻なエネルギー不足が予想される背景から、このエネルギーを合理的に 使用するために省エネ法が定められました。 しかし単に法で定められているから作成・実施するのではなく、管理標準を作成し、 実行に移すことにより、皆様に直接影響する地球温暖化などを 防ぐことが最も重要なのではないでしょうか。 3 (3)基本的事項について 管理標準はエネルギー消費設備のすべてについて必要です。 管理標準を作成するにあたり一連の作業は省エネの担当者が係わることになります。 エネルギー管理総括者 エネルギー管理企画推進者 エネルギー管理士 エネルギー管理員 しかし、この人たちだけでは現状の把握や対策の検討を全て行うことはできません。 作業量の多さもさることながら、エネルギー消費設備をどのように使っているのか、 設備運用ルールはどうなっているのか、どういう省エネなら業務を妨げることなく実行 できそうか、関係部署との連携は?といったことは、現場で仕事をされている職員が 一番よくわかっているものです。また、管理標準を実際に運用するのは現場サイドです から、全職員が省エネ法について趣旨を理解し、諸活動に対して前向きに取り組む 体制が敷かれていることが理想形だと言えます。 4 2 ・ 管理標準は、基本的事項と設備ごとの管理標準の2つに分けられますが、 基本的事項の中には、方針として 運用方法 管理方針 管理体制 役割 などを記載し、誰が何をするのか、目的は何かを明確にし全員で実行に移す 必要があります。 主なものとして、総合的なエネルギー管理体制の充実・その組織 及び推進委員会の組織の構築・運営方式 エネルギー管理の責任者の配置 (エネルギー管理統括者・企画推進者・エネルギー管理者等の役職) 及び、エネルギーの使用の合理化の取組等把握、取組方針と取組の推進体制 ・基本的事項には、その他施設の概要、組織図などの事業所、施設ごとの詳細な内容 を記載することも必要になります。 部長 エネルギー管理員 課長 A課 B課 C課 総務 5 (4)管理標準の位置付け及び作成義務 ☆ 改正省エネ法 ☆ ・告示第57号(基本方針)の1、⑥ 省エネ法第三条に基づき経済産業大臣が定め公表するもので、エネルギーを消費 する設備の運転並びに保守及び点検その他の項目に関し、管理標準を設定するこ とが定められている。 ・第4条(エネルギー使用者の努力) エネルギーを使用する者は、基本方針の定めるところに留意して、エネルギーの使 用の合理化に努めなければならない。 ・第5条(事業者の判断の基準となるべき事項) 工場等におけるエネルギー使用の合理化の適切かつ有効な実施を図るため基準 となるべきことを定め、公表する。 ・告示第66号(事業者の判断の基準) ①事務所等に関するもの ②工場等に関するもの ①、②に共通する事項として事業 者(会社全体)が統括的に取り組むべき事項にそって管理標準を作成する。 6 3 (5)判断基準とは 判断基準とは経済産業大臣がエネルギーを使用する事業者に対して、合理的かつ有 効にエネルギーを使用するために必要となる判断の 基準となる事項を定めたものである。 概要は下記の8項目に分かれています。(専ら事務所) (1)空気調和設備、換気設備に関する事項 (2)ボイラー設備、給湯設備に関する事項 (3)照明設備、昇降機、動力設備に関する事項 (4)受変電設備、BEMSに関する事項 (5)発電専用設備及びコージェネレーション設備に関する事項 (6)事務用機器、民生用機器に関する事項 (7)業務用機器に関する事項 (8)その他エネルギーの使用の合理化に関する事項 7 (1)空気調和設備、換気設備に関する事項 管理 設備の運転時間、室内温度、換気回数、湿度、温度外気の有効 ①-ア 利用等についての管理標準を設定。なお冷暖房温度は、政府の 推奨する設定温度を標準とする。(暖房19℃ 冷房28℃) 計測及び記録 区画ごとに、温度、湿度その他の空気状態の把握及び ②-ア 空気調和の効率の改善に必要な事項の計測及び記録 に関する管理標準を設定。 保守及び点検 空気調和設備、換気設備の自動制御装置の管理に ③-イ 必要な事項の保守及び点検に関する管理標準を 設定。定期的に保守、点検を行い良好な状態に維持。 設備新設の措置 ヒートポンプ等を活用した効率の高い熱源設備を採用。 ④-ア(イ) ※一部抜粋 8 4 (2)ボイラー設備、給湯設備に関する事項 管理 ボイラー設備は、ボイラーの容量及び使用する燃料の種類に ①-ア 応じて空気比についての管理標準を設定。 計測及び記録 給湯設備は、給水量、給湯温度その他給湯の効率の改善 ②-イ に必要な事項の計測及び記録に関する管理標準を設定。 これらの事項を定期的に計測し、その結果を記録。 保守及び点検 ボイラー設備の効率の改善に必要な事項の保守及び点検 ③-イ に関する管理標準を設定。定期的に保守及び点検を行い 良好な状態に維持。 設備新設の措置 適正規模の設備容量のボイラー設備を選定するとともに ④-ア(イ) 高効率なボイラー設備を採用。 ※一部抜粋 9 (3)照明設備、昇降機、動力設備に関する事項 管理 照明設備は日本工業規格及びこれらに準ずる規格に規定 ①-ア するところにより管理標準を設定して使用。過剰、不要な 照明を無くし、消灯を行う。 計測及び記録 照明設備は、照明を施す作業場所等の照度の計測 ② 及び記録に関する管理標準を設定。定期的に計測し その結果を記録。 保守及び点検 照明設備は、照明器具及びランプ等の清掃並びに光源の ③-ア 交換等保守及び点検に関する管理標準を設定。 定期的に保守、点検を行う。 設備新設の措置 電子回路式安定器(インバーター)を点灯回路に ④-ア(ア) 使用した蛍光ランプ等、省エネ型の導入を考慮。 ※一部抜粋 10 5 (4)受変電設備、BEMSに関する事項 ※BEMS・・ビルエネルギー管理システム 管理 受電端における力率は、95%以上とすることを基準として ①-イ 進相コンデンサ等を制御するように管理標準を設定。 計測及び記録 事務所その他の事業所における電気の使用量並びに ② 受変電設備設備の電圧、電流等電気の損失を低減 するために必要な事項の計測及び記録に関する 管理標準を設定、記録する。 保守及び点検 受変電設備は、良好な状態に維持するように保守及び点検 ③ に関する管理標準を設定。定期的に保守及び点検を行う。 設備新設の措置 電気を使用する設備や空気調和設備等を総合管理し ④-ウ 評価をするためにBEMSの採用を考慮。 ※一部抜粋 11 (5)発電専用設備及びコージェネレーション設備に関する事項 管理 高効率の運転を維持できるよう管理標準を設定して運転の管理 ①-ア をする。 計測及び記録 補機等を含めた総合的な効率の改善に必要な事項の計測 ② 及び記録に関する管理標準を設定。定期的に計測を行い その結果を記録。 保守及び点検 補機等を含めた総合的な効率を高い状態に維持するように ③ 管理標準を設定。定期的に保守及び点検を行う。 設備新設の措置 新設する場合には、電力の需要実績、将来動向について ④-ア 十分検討を行い、適正規模のものとする。 ※一部抜粋 12 6 (6)事務用機器、民生用機器に関する事項 管理 事務用機器の管理は、不要運転等がなされないように ① 管理標準を設定。 保守及び点検 事務用機器は、必要に応じ定期的に保守及び点検を行う。 ② (7)業務用機器に関する事項 ※一部抜粋 管理 厨房機器、業務用冷蔵庫、放送設備、医療機器等の管理は、 ① 季節や曜日、時間帯、負荷量、不要時等の必要な事項について 管理標準を設定。 計測及び記録 業務用機器の稼働時間の把握及び改善に必要な事項の計測 ② 及び記録に関する管理標準を設定。これらの事項を定期的に 計測し、その結果を記録。 13 保守及び点検 業務用機器は、保守及び点検に関する管理標準を設定。 ③ 定期的に保守及び点検を行い、良好な状態に維持。 設備新設の措置 エネルギー効率の高い機器を選定。 ④-ア (8)その他エネルギーの使用の合理化に関する事項 事業場の居室等を賃貸している事業者と事業場の居室等を賃貸している事業者 は、共同してエネルギーの使用の合理化に関する活動を推進するとともに、 賃貸事業者は、賃貸事業者のエネルギーの使用の合理化状況が確認できる ようにエネルギー使用量の把握を行い、賃貸事業者に情報提供する。その際 軽量設備がある場合は計量値とし、計量設備がない場合は合理的な算定方法 に基づいた推計値とする。 ※一部抜粋 14 7 (6)管理標準の作成方法について 基本的事項 管理標準 例1 設備ごとの管理標準 事業者全体の管理標準 各事業所の管理標準 15 管理標準 例2 基準温度を設定 取り決め事項を設定 実施事項を設定 16 8 管理標準 例3 省エネル 整理番号:B-1 ギー法に 「ボイラー設備」管理標準(例) 基づく 改訂: エネルギー管理標準 1.目的 このエネルギー管理標準は、省エネルギー法第 4 条並びに告示「判断基準」に基づき、運転管理、計測記録、 保守点検、新設措置を適切に行い、エネルギーの使用の合理化を図ることを目的とする 2.適用範囲 当事務所等に設置された空気調和設備の熱源機として用いるボイラー設備(温水及び蒸気発生用)に適用する。 判断 項 参照 管理基準 内 容 基準 目 マニュアル 番号 ・総合効率の向上管理 1.ボイラーの空気比 (1)負荷率 50~100%の場合の空気比を設定 (2)別表第 1(A)(1)の区分に該当するものは表記載の基準値を遵 守 2.空調機等の負荷に応じ供給温水の温度、量(供給蒸気の温度、 圧 力、量)及び運転時間を設定し、過剰な温水(蒸気)や燃料の 供 給をなくす 運 転 管 理 3.ボイラ水質の管理 4.空調需要に応じ負荷調整、台数制御等を行い総合的な効率を向 上 1(2) ①ア 1(2) ・空気比:○~○ ・[別表第1(A)(1)] ① イ 1(2) ① ウ ・温水の季節別温 度℃、量? /h ・供給蒸気温度℃ 圧力 MPa 等 ・JIS B8223 によ る 運転管理 マニュアル ・台数制御等効率向 上対策の仕方を 規定 1(2) ①エ 1(2) ① オ 管理会社に依頼 ・効率の監視、改善に必要なデータの把握 1.所要データ等 (1)燃料使用量、給水量、排ガス温度、排ガス中残存酸素量の計 測 記録 (2)供給温水の温度、量(供給蒸気の温度、圧力、量)等の計測 記録 (3)稼働台数、稼働時間の記録 計 測 記 録 ・効率の維持向上対応 1.設備等 (1)燃焼装置の清掃 (2)ばいじん、スケール等の除去 (3)エコノマイザー伝熱面等の点検、清掃 (4)保温、断熱部の保守 (5)スチームトラップの漏れ点検 2.自動制御装置、シーケンスの点検 保 守 点 検 1(2) ②ア 記録簿 1(2) ③ア 管理標準 例4 管理会社に依頼 保守点検 記録簿 1.高効率ボイラーの採用他 2.特定機器に該当する場合は、製造事業者等の判断の基準に規定 す る基準エネルギー消費効率以上の効率のものの採用を考慮 ・○回/月 17 1(2) ④オ 省エネルギー法に基づく 整理番号:P-2 「ポンプ」管理標準(例) エネルギー管理標準 改訂: 頁:1/1 1.目的 このエネルギー管理標準は、省エネルギー法第4条並びに告示「判断基準」に基づき、運転管理、計測記録,保守点検、 新設措置を適切に行い、エネルギーの使用の合理化を図ることを目的とする 2.適用範囲 当工場等に設置された汎用及びプロセス用ポンプに適用する 項 参照 判断基準 内 容 管理基準 目 マニュアル 番号 1.電動力応用 2(6-1)①ア ・不要時の定義 運転管理 (1)不要時の停止 2(6-1)①イ ・調整方法 マニュアル (2)稼働台数の調整、負荷の適正配分 運 (3)台数制御、回転数の変更、配管変更、インペラーカット、回転数 2(6-1)①ウ ・台数、回転数 転 管理等を設定 制御等により送水量、圧力の調整(吐出圧力、吸込圧力) 管 (4)電気設備毎に電圧、電流、周波数(インバータ制御を行っている 2(6-1)①カ ・定格値 理 場合)の調整 計 測 記 録 点検会社の 報告書を利用 ・○回/年 マニュアル 1(2) ③イ 新 設 措 置 ・項目、頻度 保 守 点 検 新 設 措 置 1.電動力応用 (1)配電元電圧、電流、周波数(インバータ制御の場合)の記録 2(6-1)② 1.電動力応用 2(6-1)③ア (1)動力伝達部の機械損失の低減 ①日常点検時に必要に応じて軸受、ベアリング部へのグリースアップ等 ②軸シール部の定期点検と補修 2(6-1)③イ (2)漏洩防止と配管抵抗の低減 ①機械本体の外観点検、配管接続部の漏洩点検 ②配管の上流、下流の圧力計から、配管の詰まり及びサイズの適 正化についてチェック ・項目、頻度 記録簿 ・日常点検:回/日 保守点検 ・定期点検:回/年 マニュアル ・日常点検:回/日 記録簿 ・定期点検:回/年 1.回転数制御装置の導入等、負荷変動に対応し運転状態を調整し易い 2(6-1)④ 構造のものの導入 改訂履 改訂年月日 改定内容 作成 18 承認 9 管理標準 サンプル ダブルクリックにより アクロバットリーダーが 起動します。 19 ご清聴ありがとう御座いました。 関西電気保安協会 20 10