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ガスセグメント
OSAKA GAS ANNUAL REPORT 2007 1 ガスセグメント 豊岡エネルギー 福井県 丹後ガス 岐阜県 長田野ガスセンター 兵庫県 篠山都市ガス 伊丹産業 愛知県 京都府 大津市営ガス 近畿幹線 滋賀ライン 近畿幹線 第3西部ライン 近畿幹線 京滋ライン 近畿幹線 第2西部ライン 姫路製造所 泉北製造所第一工場 泉北製造所第二工場 三重・滋賀ライン 中部電力 四日市火力発電所 近畿幹線第2西部ライン (株) ガスアンドパワー 近畿幹線 湾岸ライン 酉島エネルギーセンター 中山共同発電 (株) 船町発電所 滋賀県 大阪府 三重県 中山名古屋共同発電 (株) 名古屋発電所 近畿幹線 第1東部ライン 奈良県 名張近鉄ガス 近畿幹線 第2東部ライン 桜井ガス 河内長野ガス 大和ガス 洲本ガス 五条ガス 和歌山県 凡 例 高圧幹線 (既設) 高圧幹線 (計画中・建設中) 主要導管 (既設) 日本におけるガス事業の特徴 本社・事業所・支社など 研究所 • 日本のガス会社は、全国で200社以上ありますが、 マーケットは大手数社による寡占状態となってい ます。 • 主な原料であるLNGは、 ほとんどが海外からの輸入 に依存しています。 • 諸外国に見られるような、 国際ガスパイプラインや 国内を貫通するガスパイプラインはありません。 • ガス事業に関しては、 ガスの輸入・備蓄・製造から販 売までが分割されずに一貫された経営となってい ます。 22 新宮ガス 製造所 製造所+発電所 発電所 近畿圏内の大阪ガス グループ以外の主な ガス事業者の供給エリア OSAKA GAS ANNUAL REPORT 2007 天然ガスと石油の可採年数比較 天然ガスの特性 (単位:年) 天然ガスの特性として、 ①他の化石燃料と比較して 環境負荷が小さいこと、 ②石油のように特定の地域に 天然ガス 63 偏在せず、 かつ埋蔵量が石油と比較して豊富であるこ と、が挙げられます。 41 石油 特に、天然ガスの環境優位性については、環境意識 の高揚とともに、ますます関心が高まっており、天然 2006年末の確認可採埋蔵量を同年末の生産量で除して算定 資料:BP「Statistical Review of World Energy 2007」 ガスは 「環境に優しいエネルギー」 として、 今後さらに 需要が拡大することが見込まれています。 化石燃料の燃焼生成物発生量の比較(石炭=100) ガス事業の規制緩和 CO2 SOX NOX 日本のガス事業は、 1995年に初めて小売の自由化が 石炭 100 100 100 導入されて以降、 徐々に小売自由化範囲を拡大する形 石油 80 68 71 で、規制緩和が進められてきました。2007年4月には、 天然ガス 57 0 20∼37 ガス契約使用量が10万m3/年以上の需要家まで小売自 資料:火力発電所大気影響評価技術実証調査報告書 (1990.3 エネルギー総合工学研究所) IEA (国際エネルギー機関) 「Natural Gas Prospects (1986)」 由化範囲が拡大され、販売量ベースで約6割の市場が 自由化されるに至っています。 電気事業・ガス事業の規制緩和の経緯と今後の予定 電気事業 ガス事業 自由化範囲 全国 販売量 シェア 主なポイント 自由化範囲 全国 販売量 シェア 主なポイント 1995年 — — 電力卸事業 (IPP) の 導入、 原料費調整制度の導入 200万m3/年 以上 44% 託送供給の導入、 原料費調整制度の導入 1999年/ 2000年 2,000kW 以上 26% 特定規模電気事業者の 創設 100万m3/年 以上 49% 託送供給の義務化 (大手4社) 2004年 500kW 以上 40% 振替供給料金の廃止 50万m3/年 以上 52% 託送供給の義務化 2005年 50kW 以上 63% 卸電力市場の創設 — — — 59% — 主な対象 大規模工場・ビル 3 2007年 — — — 10万m /年 以上 大型の商業施設・ ホテルなど 中小の工場・病院・ ビジネスホテル・ スーパーなど 資料出所: 「電力自由化・新制度の徹底解説」 (電気新聞編) 、2002年都市熱エネルギー部会資料 当社の事業エリア 当社のガス販売量は約84億m3で、全国の約30%を の供給基盤が整いました。 さらに、当社供給区域の東 占めています。 当社の顧客数は約680万戸に達し、 全国 側では、ガスの供給安定性の向上を目的に、 中部電力 の約25%を占めています。 当社の供給区域は、 近畿2府 (株)と共同で「三重・滋賀ライン」 (滋賀県多賀町∼三 4県の77市29町に及び、 供給区域の面積は約3,169km2、 重県四日市市、延長約60km、 2010年頃完成予定)の建 ガスパイプラインの延長は約57,200kmとなっていま 設を進めているほか、当社供給区域の西側では、姫路 す。 2006年10月には、 滋賀県の草津市と多賀町を結ぶ 市から岡山市に至るガスパイプラインの敷設検討を ガスパイプライン「近畿幹線滋賀ライン」 ( 延長約 行っており、今後も着実に、供給区域の拡大と供給基 46km) が完成し、 滋賀地区のガス需要に対応するため 盤の強化を進めていきます。 23 OSAKA GAS ANNUAL REPORT 2007 1 ガスセグメント エネルギーを 「無駄なく使う」 工夫をすることが、 環境面でも経済面でも重要です。 お客さまの 立場に立ったエネルギーのベストミックス提案によって、 他エネルギーとの競合に打ち勝ち ます。 家庭用ガスマーケティング 家庭用ガスエンジンコージェネレーションシステ や立ち消え安全装置などの安心センサーの搭載が完 ム 「エコウィル」 による 「マイホーム発電」 、 ミストサウ 了しているほか、 2008年3月までには、 ガスコンロ全機 ナを用いた 「マイホームエステ」 、 ガス火でどんな調理 種の全バーナーに、 これらの安全センサーを搭載する もできる 「マイホームクッキング」 など、 お客さまの立 予定としています。 場に立ったエネルギー利用提案を行い、ガスによる、 さらには、防犯意識の高まりに対応して、当社子会 環境に優しく、経済的で、快適・便利で、安全な暮らし 社との連携により、 インターネットを活用したホーム ∼ウィズガスライフ∼を実現できる商品の一層の普 セキュリティ・サービス 「アイルス」 などの提供を行っ 及と利用促進に取り組んでいます。 ているほか、 住宅の24時間換気設備の義務化に対応し 「エコウィル」は、発電をしながら給湯・暖房も可能 て、 湿度調節にガス温水を利用した家庭用セントラル な画期的製品で、 トータルとしての光熱費を抑制する 換気ユニット 「エアキュア」 を2006年12月に発売開始 ことができます。 高効率性や快適性の点でお客さまか するなど、 お客さまのご要望に総合的にお応えしてい らご好評をいただき、 2007年3月期の年間販売実績は、 ます。 12.5千台、 累計で33.8千台となっています。 また、ガス料金に関して、2006年11月、小口ガス料 ミストサウナは霧状の温水により浴室をサウナ状 金を平均2.33%引き下げるとともに、 選択約款料金を 態とするもので、 浴室暖房乾燥機 「カワック」 などに付 「GAS得プラン」 と総称して、 割引率のアップや適用条 加された機能です。 近年の健康や美容志向の高まりを 件を変更するなどの改定を行いました。 この料金改定 受け、2004年4月の発売以来、大変好評を博していま により、お客さまに、より分かりやすくご利用いただ す。2007年3月期の年間販売実績は53千台で、前期比 きやすい料金体系が実現しています。 +70%の伸びとなりました。 ガスコンロは、デザインとお手入れ性に優れた「ガ ラストップコンロ」の機種拡大を行い、順調に販売実 績を伸ばしています。 安全性についてもより一層の向 上を図っており、 既にビルトイン型ガラストップコン 24 ロ全機種の全てのバーナーに、 天ぷら油過熱防止装置 OSAKA GAS ANNUAL REPORT 2007 お客さまの課題を顕在化すること。そして、 問題解決に必要な商品やシステムを開発し、最適 な組合せとしてご提供すること。 技術力に支えられた、 この 「エネルギーコンサルティング力」 が大阪ガスグループの強みです。 業務用ガスマーケティング 商業用・公用・医療用のガス販売も、 ガス空調やコー 都市ガスは、 鉄鋼・金属・化学・機械など、 さまざまな ジェネレーションシステムでのご利用を中心に増加 工業用分野の基幹エネルギーとして重要な役割を果 しています。 大型ビルではガス吸収冷温水機を中心に たしています。 他の一次エネルギーと比較して省エネ ガス空調システムが既に主流となっていますが、 中小 ルギー性・省スペース性・クリーン性が優れているこ 型のビルでも個別空調ニーズに対応できる利便性な と、お客さまのニーズを的確に捉え、高い技術に基づ どからガスヒートポンプエアコンの普及が進み、 ガス くきめ細かい提案営業活動を行っていることにより、 需要の押し上げに貢献しています。 需要が拡大しています。 また、 空調分野では、 空調しながら発電を行い、 建物 工業用のガス販売では、 工業炉やボイラーなどの熱 内に電力を供給できる発電機能付き業務用ガスエン 需要分野において、 生産工程に適合した天然ガス燃焼 ジンヒートポンプエアコン 「ハイパワーエクセル」を 技術、業種・業態ごとに異なるニーズに応じたオン 開発し、2006年4月より発売しています。コージェネ リーワンバーナーなど、長年培った当社独自の技術 レーションシステムは、大規模商業施設から病院・ホ 力・エンジニアリング力を活かした需要開拓を進めて テル・小規模店舗まで、さまざまな規模のお客さまに います。また、冷却工程やクリーンルームといった冷 ご採用いただいています。 特に、 1999年3月期から中小 熱需要でもガス利用が進んでいるほか、 熱と電気を同 規模の店舗など向けに発売している小型コージェネ 時に作り出すコージェネレーションシステムは、 工場 レーションシステム「ジェネライト」シリーズが好評 操業において大幅な省エネルギーを実現するシステ で、 既に2,000台以上の導入実績をあげています。 業務 ムとして普及が進んでいます。 用厨房機器では、涼しく快適な厨房環境を実現する 「涼厨 (すずちゅう)」の提案を強化しています。 中小規模店舗等のお客さまに好評を博している 小型コージェネレーションシステム 「ジェネライト」 触れることができるほどの機器表面温度にして輻射熱 を削減し、 涼しく快適な厨房を実現する「涼厨」 25 OSAKA GAS ANNUAL REPORT 2007 1 ガスセグメント コージェネレーションシステム(CGS) ④当社供給区域外にもチェーン店舗を持つシリーズ コージェネレーションシステムとは、 お客さま先に オーナー向けには、 区域外でのコージェネレーショ 設置した設備によって、 発電を行った上で発電の際に ン事業を行う子会社 (株) コージェネテクノサービス 発生する排熱を回収し、 空調や熱処理などに活用する と連携することで、 一括してご要望にお応えします。 システムです。排熱を有効利用する点と、お客さま先 ⑤都市ガスだけでなく、 バイオガスを燃料とするエンジ で発電するために送電ロスが少ないことから、 エネル ンや、 植物への二酸化炭素供給を含めた農業用システ ギー利用効率は約7∼9割まで向上します。 ムなど、 多彩なバリエーションを用意しています。 大阪ガスブランドのコージェネレーションシステ 以上の強みによって、 当社グループでのコージェネ ムの強みは、 レーション累積設置容量は既に約1,470MWに達して ①高い発電効率を持つシステムを開発しています。 既 います。 存の火力発電所の平均的な効率は約40%ですが、 コージェネレーション最新鋭機では約43%の発電 効率を達成しており、 システムの導入によってコス ガスCGSとガス空調システムの期末累積設置容量計画 コージェネレーション (MW) 空調 (千RT) 2,000 4,500 トメリットが出るお客さまの層が拡大しています。 ②遠隔監視システム「エコーライン」などを通じたメ ンテナンス体制により、業界屈指のサービス・メン 1,710 1,479 1,500 4,000 1,385 1,277 3,710 3,563 1,000 3,500 テナンス水準を持っています。 3,405 3,230 ③「設備資産を保有したくない」、 「原料費の変化によ 450 500 206 る料金の変動を一定にして欲しい」 などのお客さま 287 289 06.3 07.3 0 3,000 2,500 05.3 ニーズにお応えできる、 さまざまなファイナンスス 08.3/E 09.3/E ■ 区域内CGS(左軸) ■ 区域外CGS(左軸) キームを用意しています。 — • 空調(右軸) 天然ガスコージェネレーションの一般概念 従来方式による発電システムの例(火力発電) コージェネレーションシステムの例 発電所 ガス製造所 コージェネレーション パイプライン 一次エネルギー (石油、 天然ガス、石炭など) 100 56 利用されない排熱 (海などへ廃棄) 電気エネルギー 40 4 送電ロスなど 電気エネルギー 一次エネルギー (天然ガス) 100 10∼30 エネルギー利用率 エネルギー利用率 利用困難な排熱 40% 70∼90% 発電効率は2003年の実績値より算定(LHV基準) 出典:社団法人日本ガス協会「ガスコージェネレーションシステム」 26 20∼45 有効利用可能排熱 30∼60 OSAKA GAS ANNUAL REPORT 2007 ガス事業の上流部門としての位置付けだけではなく、 LNGの売買・輸送などのトレーディン グ事業や、資源開発事業を新たな発想によって能動的に進めています。 原料調達/天然ガス輸送・資源開発事業 資源開発事業については、 既にオーストラリア北部 世界の天然ガス市場では、 価格の高騰と需給の逼迫 海域ガス田開発への参加や、 インドネシアにおける生 が続いており、 エネルギー事業における天然ガス調達 産中のガス田鉱区への出資、 北海油田に権益を保有す の役割はますます重要になっています。当社では、原 る出光スノーレ石油開発 (株) への出資を行っており、 料調達先の多様化、自社保有LNG船の機動的な運用、 今後も、 ①LNGプロジェクト全体への開発段階からの 相対的に良い条件の新規契約への切替などの施策を 参画、 ②自社がLNGを購入するプロジェクトへの少数 通じて、 安定調達の確保とエネルギー事業の価格競争 株主としての参加 (LNG液化販売会社のみへの参加を 力の確保に努めています。 含む) 、 ③生産中及び開発が決まっており、 商業化リス また、 天然ガスバリューチェーンの上流側への事業 クの限定された油・ガス田権益の取得の3つの類型を 拡大のため、 天然ガス輸送事業及び資源開発事業にも 対象に優良案件の発掘に努め、 事業の拡大を目指して 進出しています。 います。 天然ガス輸送事業では、 当社が購入するLNGの輸送 を自社船で行うことにより、輸送コストを透明化し、 輸送コストの削減を実現します。さらに、余裕船腹を 活用した他社向け輸送やトレーディング事業による 収益の獲得も目指しています。 2006年9月に新たに就 航した 「LNG DREAM」 を含めて、 既に4隻のLNG船を保 有しており、今後2010年3月期までに6隻まで船団を 北海油田の海上プラットフォーム (写真提供:出光スノーレ石油開発㈱) 増強する計画です。 注:都市ガスの原料調達事業はガスセグメントに、資源開発・天然ガス輸送事業は、 LPG・電力・その他エネルギーセグメントに所属します。 世界の主な天然ガス埋蔵国と大阪ガスの天然ガス調達先 ノルウェー 2.9 旧ソ連 58.1 アルジェリア 4.5 カタール 25.4 エジプト 1.9 サウジアラビア 7.1 UAE 6.1 ナイジェリア 5.2 イラン 28.1 オマーン 1.0 マレーシア 2.5 インドネシア 2.6 カナダ 1.7 中国 2.5 アメリカ 5.9 世界の天然ガスの確認埋蔵量 181兆m3 ブルネイ 0.3 主な天然ガス埋蔵国 ベネズエラ 4.3 大阪ガスの天然ガス調達先 オーストラリア 2.6 出典:BP「Statistical Review of World Energy 2007」 27