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2014 716医療の歴史 2014-716医療の歴史 薬剤師
日本の医療の現状 2014‐716医療の歴史 2014 716医療の歴史 薬剤師 明治薬科大学 石橋賢一 日本は見掛け上低い(日本の国民医療費と比較する と 非処方薬 公衆衛生費 施設管理運営費 研究 と、非処方薬、公衆衛生費、施設管理運営費、研究 開発費を含んだ総医療費概念を採用しており、日本 の国民医療費とは必ずしも一致しない。 ) • 戦後のGHQの医療政策 • 医療保険制度 – 1961年に国民皆保険制度が設立された ○誰でも どこでも 収入によらず 同じ医療を同じ料金で受け ○誰でも、どこでも、収入によらず、同じ医療を同じ料金で受け られる ○徴収した保険料と税金を原資 • 外国では:韓国では1989年、中華民国では1995年、米国で は現在でも皆保険でない(30%が無保険) • 家計の保険料負担は約55%にまで低下し、企業は25%、政 府は残りの20%(韓国) • 政府管掌健康保険:労使折半(被保険者50%、使用者 政府管掌健康保険 労使折半(被保険者50% 使用者 50%) • 資格の国家管理、医療費の公定化、 資格の国家管理 医療費の公定化 国民保険への加入の 義務化 高齢化の割に少ない医療費の理由 医師会17万、歯科医師会6.5万、薬剤師会10万 国民医療費は1年で1兆円増加 保健医療関連支出が伸びているのは •医療技術の急速な進歩、 •人口の高齢化、 •人口の高齢化 •医療への期待感 •支出の伸び:医薬品の分野 サラリーマンの健康保険(被保険者本 人)の“医療窓口での自己負担割合 今後の懸念 • ☆カゼなどの軽微なものは医療機関にかからせな いか 全額自己負担 いか、全額自己負担 ☆健康管理をしない生活習慣病患者の自己負担 を増やす ☆中核病院は紹介状がなければ受診させない ☆かかりつけ医を定着させる ☆かかりつけ薬局を定着させる ☆混合診療の解禁 ☆自由診療クリニックが増えていく ☆医療機関がさらに厳しく淘汰されていく厳寒時代 になる ☆医療過疎地が増えていく 米国型市場原理の導入 • 市場原理・競争原理を導入すれば、サービスの質もよくなり、 価格も下がる。さらに、患者の選択の幅も広がる。 • – 株式会社による医療機関経営の解禁 • – 混合診療の解禁 • – 医療機関と保険者との直接契約の解禁 保険外併用医療 米国医療問題 • • • • • • • • 「評価療養」(将来の保険適用を検討するために評価を行うもの) 「選定療養」(保険導入を前提としないもの) • • • • • 公的医療保険の導入問題 月300ドルから500ドルの保険料は賃金に無関係に均一 配偶者も加入する場合は2人加入:家族プランはさらに高額 公民権運動に対する白人の反発:人種差別問題:貧しい白人を救う政策を実行す れば、貧しい黒人やヒスパニックも一緒に救ってしまう 民間保険会社が圧力団体として皆医療保険に反対するロビー活動 無保険者の増加:オバマ政権の国民皆保険を目指した医療制度改革:オバマケ ア:2014はじまる 市場競争があっても医療費は抑制されていない:経済的強者は有利な医療保険 が使 る が使える 営利病院の方が非営利病院よりも質が悪い:バンパイア効果(吸血鬼にかまれた ものが吸血鬼になる:医療の質を落としても利益を上げる業者がシェアをとると、 良心的な業者も追従せざるを得ない) 応急処置と外科手術の医学(戦場医学:採算度外視):西洋医学:医療ギルド 医療過誤訴訟:過剰医療と防衛医療 ブ ブラックジャック現象:どんな病気も治すが高額:医者のいい値 クジ ク現象 どんな病気も治すが高額 医者 値 大手病院チェーン:テネット、HCAが経営が苦しくなった公立病院や非営利病院を 次々に買収:競合相手の病院を買収して閉鎖すると言うことまでして強引な寡占 化 無保険者をつかった臨床試験;evidence‐based medicine 英国の医療改革 アメリカの無保険者 診療報酬の抑制 • 純粋出来高支払い制度:支払者に地獄 • 制限のある出来高支払い(マネージドケア)(診断 群別包括評価 群別包括評価DPC: diagnosis procedure g p combination)医療行為によらず、特定の診断名に 定額の報酬:手抜き医療 患者の選別 定額の報酬:手抜き医療、患者の選別 • 予算化制度(人頭割制度:英国など):過小診療、 受診待ち時間の延長、専門医療へのアクセス制限 診待 時 専 療 制 • NHS(national health service)1948労働党が導入:税金で医療 労 党が導 税金 療 費(社会保険料を払うか、税負担を上げるかの違い)全員加入: 登録医(GP)がゲ トキ 登録医(GP)がゲートキーパー:しかし自由診療も認めた :しかし自由診療も認めた • GPが紹介へらさざるをえず自由診療が増加:GP不人気で海外 へ医者が流出11000(1995年)>8700(2000年):薬剤師活躍 • 1997年労働党ブレア政権:病院外来の診療は(かかりつけ医の 年労働党ブレア政権 病院外来の診療は(かかり け医の 紹介から)13週以内に、入院待ちは26週間以内に、救急患者は4 時間以内に診察できるように • 自己負担ナシの医療サービスを提供する保健省の国民保健 サービス(NHS)は2000年に2010年までに100の病院と7千の病床 を新設 • 2010年保守党に政権交代:病院の平均待ち期間が1990年代末 の18週から2008年には6週に改善 • 大英帝国のブランド:グラクソ・スミスクラインとアストラゼネカがN HSで巨大化:アジア移民で治験(GPにみてもらえない) 「薬」 • Pharmacy、Medicine、Drug、Remedy、Physic、 Medicament、Agent、Prescription g p • Powder、Pill、Potion、Ointment、Tablet、 Capsule Lotion Capsule、Lotion • Chemicalは錬金術から生まれた言葉 • ギリシャ語の精霊を語源とした「Pharmacy」 • ドラッグストア:雑貨屋> ドラッグストア 雑貨屋> Drug麻薬 D 麻薬 • medicine‐manはインディアンの祈祷師 メガ・ファーマ (Mega Pharma) 巨大製薬企業 • メガファーマー:年間売上高が1兆円を超えるファイザーやメルク、英グラク ソ・スミスクライン 仏サノフィ・アベンティス スイスのノバルティスやロ ソ・スミスクライン、仏サノフィ・アベンティス、スイスのノバルティスやロ シュ:日本の武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共は以下 • スペシャリティファーマ:糖尿病分野におけるノボノルディスクや眼科領域 の参天製薬 • ベーシックドラッグファーマ:漢方薬ではツムラ • ジェネリックファーマ:沢井製薬、大洋薬品工業、日医工、東和薬品 • OTCファーマ:大正製薬、佐藤製薬 • 巨大製薬会社は小さい市場になればなるほど採算面が合わないため研 究開発 製品 究開発と製品化に取り組まない り組 • ファイザー:もとは食品添加物、クエン酸の原料メーカー:ペニシリンを世界 で初めて生産 ノバルティスファ マ (昔はチバガイギ で97年にサンド社と合併してノ • ノバルティスファーマー(昔はチバガイギーで97年にサンド社と合併してノ バルティス)の高血圧抑制治療薬の臨床データねつ造事件 • 薬九層倍:新薬の値段はいくらでも手前味噌でつけて、それを厚生労働省 が認可すればその価格で販売できる 薬剤師にできること • 対症療法でよいなら薬剤師は不要 命 療 薬 「通常,成 , • 患者の命を守る医療人として正しい医薬品評価: 人には」が当てはまらない患者に対する薬物治療の個別 化:メガファーマによる医薬品ビジネスのチェック • 理想的な医療制度は?:予防医学、健康診断の罠 理想的な医療制度は? 予防医学 健康診断の罠 • 社会や他の医療人はどのような薬剤師をもとめているの か?:医薬品の無駄遣いの是正:polypharmacy • 薬剤師の自画像は?:薬の科学者?病気の理解者? • 医療には物よりも大切なものがある:現象の下にある実体と 本質:医療マフィア、黒幕 • 子宮頸癌ワクチンは、延べ663万5千人に接種されて956 人に副作用:副反応の発生率はインフルエンザワクチンの1 副作 副 応 発生率 ザ 0倍:無料接種を行った区は「接種の副反応」と認め補償す る 薬剤師綱領 昨日の薬剤師 • 日本薬剤師会が1973年に制定した薬剤師はこう ある きという理想像:国から付託された資格 あるべきという理想像:国から付託された資格 • 薬剤師業務に処方監査・服薬指導なし:処方せん 通りに正確に調剤し患者に渡す 薬の説明は医師 通りに正確に調剤し患者に渡す:薬の説明は医師 から • 医薬品の製造・調剤・供給に関する責任:医療水 準の向上 準の向上:Medication‐use expert di i • 薬事衛生への責任(国民の健康増進に寄与する 社会的責務) d t 社会的責務):educator of all health professionals f ll h lth f i l • 人の生命にかかわることへの責任と人類への貢 責 類 献:絶えず薬学、医学の成果を吸収: patient medication therapy management medication therapy management 現在の薬剤師 • • • • • • • • • • 調剤業務Dispensing 製剤業務Compounding 処方監査:添付文書の理解 疑義照会 服薬指導:コミュニケーション能力 疾病知 疑義照会、服薬指導:コミュニケーション能力、疾病知 識、非薬物療法(生活習慣指導)知識 薬歴管理:症例解析能力 リスク管理 薬歴管理:症例解析能力、リスク管理 チーム医療の推進 専門薬剤師 現行制度で実施できるにもかかわらず、十分に活用さ れていない業務を明確化し 活用を促す れていない業務を明確化し、活用を促す 医師だけでは医療を支えきれない:慢性的な医師不 足、医師に過剰な医療責任 海外ではワクチン業務も薬剤師が • 父権的な医療(重篤な疾患の病名は伏せられ、治 療内容説明せず):薬剤師はラベルを切り取って患 者に渡して病名を覚らせず • 戦前の西洋医頂点に補助的民間療法から 戦前の西洋医頂点に補助的民間療法から、戦後 戦後 の西洋医だけの医療:医師優遇税制導入と医薬分 業の骨抜き:院外処方箋なく雑貨販売 • 医薬品の薬価差益を開業医が独占:薬づけを チェックできず 薬局薬剤師 – 平成21年から薬事法改正により、一般用医薬品 (大衆薬)の新しい販売制度が始まる – 大衆薬はリスクの程度により3分類される • 第一類(特にリスクが高い薬物) • 第二類(リスクが比較的高い薬物) • 第二類(リスクが比較的高い薬物) • 第三類(リスクが比較的低い薬物) – 第一類薬物は薬剤師しか販売できない 臨床活動への参加 • 化学の知識 化学の知識 • 生命科学の知識 • 薬科学(Pharmaceutical science)の知識 薬科学( )の知識 • 臨床診断学・病態の知識 • 薬物治療上の問題解決能力 • 医療コミュニケーション能力の充実 薬物治療の初期決定に参加 薬物治療 初期決定 参 • 薬物治療設計援助者 • 薬物治療の患者擁護者 • 薬物治療コスト管理者 新しい薬剤師像 • Care giver 医療人 医療人 • Decision‐maker 決断者 • Communicator 対話者 • Manager マネ ジャ • Manager マネージャー • Life‐long learner 生涯学習者 • Teacher 後進の教師 • Leader 医療チ Leader 医療チームのリーダー ムのリ ダ • Researcher 研究者 共同薬物治療管理(CDTM) Collaborative Drug Therapy Management Collaborative Drug Therapy Management • 1979年米国ワシントン州で開始:医師と薬剤師が診療ガイドライン を基に治療計画書(プロトコ ル)を文書契約 を基に治療計画書(プロトコール)を文書契約 • その範囲内で薬剤師が薬物治療開始 • 効果・副作用評価、検査オーダー、薬物治療修正 効果 副作用評価、検査オ ダ 、薬物治療修正 • 対象患者は比較的軽症で標準的薬物治療が適応(慢性疾患): 重篤で複雑な病態の患者は対象外 • 冠動脈疾患• 高血圧• 脂質異常症• 糖尿病• 血栓塞栓症• 心不 動脈疾患 高血 脂質異常症 糖 病 血栓塞栓症 心 全• 喘息• 骨粗鬆症• 予防接種• うつ病• 変形性関節症• 非悪性 疾患疼痛 整形外科疾患の疼痛 リ 疾患疼痛• 整形外科疾患の疼痛• ヘリコバクター・ピロリ菌感染• クタ ピ リ菌感染 禁煙• 緊急避妊• 旅行医学 • 1998年以降米国薬剤師教育は完全6年制(2年の教養科目、4年 間の専門科目) 1年間の臨床研修(hands‐on practice experience) 1年間の臨床研修(hands on practice experience) • 米国薬剤師会(APhA)は1976年から5分野で2年間の専門薬剤師 制度 制度:放射線薬学(1978) ・腫瘍疾患薬学(1996)• 栄養指導薬学 ( ) ( ) (1988) ・薬物治療(1988)• 精神疾患薬学(1992) ・外来ケア薬学 (2011) これからの薬剤師の役割 • 医師に対して – 薬物動態の知識に基づく個別化薬物治療の助言者 薬物動態 識 個別 薬物治療 助言者 – 薬物治療のEBM情報提供者 – 薬物治療のリスクマネージャー 薬物治療のリスクマネ ジャ • 患者に対して – 薬物治療の擁護者 • 患者の求める公平な医薬品情報の伝達者 – 患者に足りないのは薬物治療の知識であって理解力 ではない • 薬物治療の不安を見つけ出す治療パートナー • 薬物治療の不安を見つけ出す治療パ トナ • 社会に対して – 薬物治療のコスト管理者 – 薬物治療の適正化の推進者 業務範囲・役割の拡大 • 薬剤師の責任下で、剤形選択、薬剤の一包化 枚 剤 1年半の有 • リフィル処方箋: 1枚の処方せんで何回も調剤: 効期間に6回まで調剤:患者依頼に電話で主治医に確認を とって処方薬を調剤 • 医師と協議したプロトコールに基づき(独自の判断は違法)、 医師と協議したプロト ルに基づき(独自の判断は違法) 薬剤の選択、投与量、投与方法、投与期間の変更や検査 オ ダ を実施 オーダーを実施 • 病棟でも薬物治療の処方提案:臨床診断・判断能力 • 患者の薬学的管理(効果や副作用の把握、服薬指導):成果 までの責任 • 薬剤濃度や治療モニタリングに基づく治療内容変 更 提案 薬剤師 介入はプライ リケ 更の提案:薬剤師の介入はプライマリケアの投薬過誤を減らす 投薬過誤を減らす • 患者informed consent取得への参画 • 医療人として薬剤師は自立して医師と責任を分かち合うべき 薬剤師の職能拡大のために • カルテが読める • 検査値が読める • 患者のバイタルサインが取れる:薬物動態知識、製剤学知 識等に基づく薬剤師固有の関与:医療チームの一員として 医師 看護師と併走 医師・看護師と併走 • フィジカルアセスメントが出来る • 症例に則した薬物治療の評価ができる能力:知識の応用力 は実戦を通じてしか獲得できない:臨床的なジレンマ • ボディタッチ可:体温測定• 自動血圧計による血圧測定• 酸 ボデ タ 体温測定 自動血圧計 よる血圧測定 酸 素飽和度測定• 軽微な創傷処置• 服薬介助(内服薬を飲ま せる 外用薬を貼る・塗る・点眼する 坐薬を挿入するなど) せる、外用薬を貼る・塗る・点眼する、坐薬を挿入するなど) • していること>できること>するべきこと>期待されること • 業務拡大>skill mix 業務拡大> kill i