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珠江デルタ地区の改革発展計画概要 - think GLOBAL, think HONG

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珠江デルタ地区の改革発展計画概要 - think GLOBAL, think HONG
珠江デルタ地区の改革発展計画概要
(2008 年-2020 年)
国家発展・改革委員会
2008年12月
<目次>
前言
1. 珠江デルタ地区の改革発展を加速させる重要な意義
(1)改革発展30年間の成果
(2)直面する挑戦と機会
(3)重要な意義
2.包括的要件と発展の目標
(1)指導方針
(2)戦略策定
(3)発展目標
3.産業近代化体制の構築
(1)近代的サービス産業の優先的発展
(2)先進的製造業の加速的発展
(3)ハイテク産業の重点的発展
(4)伝統産業の再構築と優位性向上
(5)近代的農業の積極的発展
(6)企業の全体競争力向上
4.自主革新力の向上
(1)コア技術の革新と転化の推進
(2)企業の自主革新の主力領域強化
(3)開放型の地区革新体制の構築
(4)国家と地方の革新連動メカニズムの深化
(5)自主革新環境整備の強化
5.インフラ設備の近代化推進
(1)開放的・近代的な総合交通輸送システムの構築
(2)清潔・安全・信頼性のある資源保障体制の構築
(3)人と水の調和が取れた水利工事体制の構築
(4)利便性と効率性の高い情報ネットワーク体制の構築
6. 都市と農村の発展計画
(1)都市・農村計画と建設管理水準の向上
(2)農村の基礎施設の建設強化
(3)都市と農村の基本公共サービスの均質化推進
(4)「以城帯郷(都市が農村を牽引)」、「以工補農(工業が農業を補
う)」の新メカニズム構築
7. 地域の協調的発展の推進
(1)中心都市の放射促進作用の活用
(2)珠江デルタ東岸地区の功能・配置向上
(3)珠江デルタ西岸地区の発展水準向上
(4)珠江デルタ地区全域の経済一体化推進
(5)環珠江デルタ地区の加速的発展の推進
8. 省エネルギーと環境保護の強化
(1)土地利用の集約化と合理化
(2)循環型経済の重点的発展
(3)汚染改善の速度向上
(4)生態系の環境保護強化
9. 社会事業発展の強化
(1)教育分野の優先的発展
(2)医療衛生サービスの整備
(3)健全な住宅保障体制の構築
(4)就業と社会保障体制の整備
(5)協調的文化の構築
10.体制再構築による新たな優位性の創出
(1)行政管理体制の革新
(2)経済体制の改革深化
(3)社会管理体制の改革推進
(4)民主法制の構築推進
(5)経済特区における改革開放先行事例の活用
11.開放・合作の新メカニズムの構築
(1)開放型経済水準の向上
(2)香港・マカオとの緊密な協力関係の推進
(3)台湾との経済貿易協力水準の向上
(4)珠江デルタ地区域内協力の深化
(5)アセアン諸国などとの国際的経済地域協力の強化
12.計画実施のための保障体制
(1)組織統制の強化
(2)計画的協調の強化
(3)監督検査体制の強化
はじめに
珠江デルタ地区は我が国の改革開放の先頭に立つ地域であり、最も
重要な経済センターでもある。また、中国が全国規模で経済発展と改革
開放を進める中で、規範及び重要且つ戦略的な地位を示す役割を果
たしている。改革開放政策の導入以降、中央政府の正しい指導の下で
珠江デルタ地区は迅速に改革、開放、開拓を進め、飛躍的な経済発
展を実現、全国の改革開放と社会主義現代化建設に大きく貢献した。
今、国内外の経済情勢は大きく変化しており、珠江デルタ地区は経済
構造と発展方法の転換期に面している。今後の更なる発展過程におい
ては、困難な挑戦と同時に大きなチャンスも待ち受けているだろう。改革
開放 30 周年に当たって、国家戦略と長期的な発展計画に基づき、珠
江デルタ地区における新たな優位性を築くために、更には全国各地に手
本を示す役割を果たすために、本「珠江デルタ地区改革発展計画概
要」は起草された。
本計画が適用される範囲は広東省の広州、深圳、珠海、佛山、江
門、東莞、中山、恵州、肇慶各市を主体として、珠江デルタ流域の広
域圏にまで拡大する予定となっている。香港・マカオとの協力関係構築も
計画に組み込まれており、計画対象期間は2020年までである。
本計画は珠江デルタ地区の現在及び今後の改革発展を指導する概
要及び具体的な計画を編成する根拠となる。
1.珠江デルタ地区改革発展を加速させる重要な意義
(1)改革発展30年間の成果
30年に亘る改革開放政策において、珠江デルタ地区は「改革モデル」
の役割を果たしており、社会主義市場経済の体制を早い段階に構築、
市場化の水準が最も高く、市場体制が最も進んだ地区である。当該地
区は香港・マカオに近いという地理的な優位性に加え、国際的産業移転
と再構築という歴史的なチャンスを掴み、先陣を切って改革開放経済体
制を確立、広東省を農村型地域から我が国ナンバー1の経済地区に転
換させることに成功した。既に当該地区の経済水準はアジア太平洋先
進国・地域であるシンガポール、香港、台湾を凌駕しており、国際的製
造業基地としての基盤を築くことに成功している。我が国の経済を大きく
発展させた当該地域は、人口規模と主要な経済要素を兼ね備えてお
り、都市化水準の向上、インフラ整備が比較的進んでいるため、現代的
且つ南方特有の魅力を備えた地域となっている。都市部・農村部の収
入は大幅に上昇、社会保障体制の初期段階が形成され、教育、科学
技術、文化、衛生、体育などの社会事業も急速に発展、公共サービス
体制も確立されている。珠江デルタ地区の改革発展の成果は、改革開
放路線こそが中国を豊かにする必要不可欠な道であることを証明してい
る。
(2)直面する挑戦と機会
現在、国際金融危機が世界中に蔓延し、実体経済への影響がます
ます大きくなる状況下、背珠江デルタ地区の発展も同様に打撃を受けて
いる。国際金融危機の影響と未解決な構造的矛盾、海外からの需要
縮小と特定品種の過剰生産、原材料価格の大幅な変動と国際市場へ
の高い依存度などの要因が複雑に絡み合うことにより、経済運営上深刻
な問題が顕在化している。主として、産業総体的なレベルが低い、製品
の付加価値が低い、貿易構造が合理的ではない、新機軸を打ち出す
能力が不足している、競争力が弱い、土地開発が行き過ぎている、資源
保障能力が比較的弱い、環境汚染問題が目立つ、資源環境に制約が
あるなどの理由で、伝統的な発展様式を維持することは難しい。都市部
と農村部の発展バランスは悪く、生産力の分布は合理的ではなく、空間
の利用率も高くなく、社会事業の発展が停滞しているため、人的資源の
開発レベル、公共サービス水準と文化方面の実力を向上させる必要があ
る。行政管理体制、社会管理体制等の面においては改革がますます難
しくなっている一方、珠江デルタ地区にはまだまだ大きなビジネスチャンスが
ある。グローバル企業のアジア重視の政策は変わることなく、アジア地域と
の経済協力・提携はますます活発化している。中国-アセアン自由貿易
区は、迅速な進展を見せており、我が国は戦略的なチャンスという好機を
迎えている。工業化、情報化、都市化、市場化、国際化いずれにおいて
も発展する余地があり、広東省、香港とマカオという三つの地域経済が早
期に融合することになれば、更なる経済発展に対する期待が高まるだろ
う。特に改革開放 30 年の間に珠江デルタ地区はインフラ整備を着々と
行ったため、経済実力、域内競争力が高まっている。これらの要因全てが、
珠江デルタ地区の改革発展に際しての有利な条件と空間を生み出して
いる。
(3)重要な意義
新たな情勢のもと、更なる発展を目指して自らの優位性を発揮し、顕
在化した問題を重点的に解決して、プレッシャーを原動力に変換、挑戦
をチャンスとして捉え、国際金融危機がもたらしたマイナス影響を極小化
することが、珠江デルタ地区の新たな経済発展方式とって必要不可欠な
選択である。同時にこれは、我が国の経済成長を維持し、科学的な発
展を実現するための戦略の一つでもある。珠江デルタ地区の改革発展を
加速することは、当該地区の経済構造の調整を促進するだけではなく、
経済発展の原動力と活力を強化することにも繋がる。また、我が国の総
合的な実力、国際競争力と国際危機を乗り越える能力を高めることにも
なる。国際経済協力と国際競争に参画し、珠江デルタの周辺地区の経
済発展に好影響を与え、域内相互協力体制の構築によって地域経済
活性化を実現する。「一国二制度」を貫徹することは、香港・マカオ地区
の長期的な繁栄・安定を維持するに当たって有利に働いており、本制度
の深化は新たな体制作りに役立つだけでなく、科学的な発展体制を構
築するための新たな道を探索するという経験に繋がっている。
2.包括的要件と発展の目標
(1)指導方針
中国の特色である社会主義を大きな旗印として掲げ、鄧小平理論と「
三つの代表」思想を基本的な指導方針とし、思想の解放を進め、改革
開放を継続することによって実践科学の発展に邁進することが本計画の
指導方針である。具体的には、近代的産業体制整備に重点に置き、
発展方式の転換を加速、省エネルギー型・環境友好型社会を構築、科
学技術の振興と自らの創造能力を強化し、創造型地域を先陣を切って
確立することを目標としている。当該地域は住民の大問題の解決を重点
に置き、都市部と農村部のバランスを調整し、調和が取れた社会を実現、
体制改革を進め、体制の新機軸作りを促進、完全な社会主義市場経
済体制を先んじて構築する。香港とマカオ間の協力関係を強化し、国
内・外に向けて開放政策を拡大、更なる開放的な体制作りに当たっては、
目前の問題解決を長期的な発展と結合する必要がある。珠江デルタ地
区の経済を安定化させ、速いスピードでの発展を維持することは、香港と
マカオ地区の長期的な繁栄にとって大きな支えとなる。これは、我が国の
改革開放と社会主義現代化への新たな貢献であり、豊かで安定的な社
会を実現し、社会全体の近代化に繋がるものである。
(2)戦略策定
- 科学発展モデル試験区の探求。珠江デルタ地区に更なる発展に
際しての自主権を付与し、経済発展方式の転換方法、都市と農村が
調和を保ちながら発展する社会作りの新たな道を探索することを支援す
る。更には、将来同地区が全国の規範となるべく、生活が豊かで、生態
が良好な文明社会への道を先んじて開拓することをサポートする。
- 改革先行地区の深化。同地区は全国改革のモデルの役割を継続
して担い、経済体制、政治体制、文化体制、社会体制改革を促進す
るために、主要領域と重要分野で先頭に立ち、科学の発展の実現に強
大な原動力を与えて、中国独自の社会主義創造という新たな経験の発
展に資する。
- 重要な国際協力パートナーの拡大。同地区は、「一国二制度」と
いう基本方針を堅守、香港とマカオとの協力関係を維持しながら、融合
的発展形態を目指し、アジア太平洋地域で最も活気力溢れ、国際競
争力のある都市群を創造する。国際協力のためのメカニズムを新たに導
入し、全面的に経済の国際化水準を高め、内外相互扶助、平等互
恵、安全且つ高効率の開放型経済体制を構築する。
- 世界最先端の製造業と近代的なサービス産業の基地。常に最先
端を目指す戦略を執り、創造力を発揮し、スケールメリットのある世界先
端水準の製造産業基地を作り上げ、国際的に競争力のある世界レベル
の企業とブランドを育成し、国際金融センターとしての香港に相応しい近
代的なサービス業体制を充実させ、香港・マカオ両地域と連携して国際
運輸、物流、貿易、展示会、旅行及びイノベーションのセンターとしての
地位を確立する。
- 国内の重要な経済センター。総合的な実力が全国経済区の中で
も最先端に位置している同地区は、他地域の経済発展を牽引する力を
強化して、珠江デルタを中心とした資源調達、産業連携、更には段階
的に多層的産業圏を発展させ、環珠江デルタ及び汎珠江デルタ地域の
最先端として、更なる全国規模の発展を牽引できる存在になる。
(3)発展目標
現段階及び今後の一定期間内までは、情勢の厳しさと複雑さを充分
に認識した上で、自信を持って対処し、経済を順調に且つ早く発展させ
ることを最重点目標として、内需拡大に関する中央からの具体的指示を
スピーディーに実現して行く。珠江デルタ地区の実情に基づいて民生の改
善を図り、最終的には消費力を引き上げて民間の投資を促し、海外輸
出を大々的に推進することで経済発展の総合力向上に繋げる。
2012 年までに、全体的な生活水準を引き上げ、科学発展のための
初期的体制作りを進め、明確な産業構造レベルを向上させる。創造力
の強化、生態環境の改善、民生の改善、域内の都市部・農村部の格
差縮小により、地域一体化構想の初期段階が完成し、広東・香港・マ
カオ経済の更なる融合的発展を実現する。
一人当たり GDP を 8 万元、サービス産業の伸長率を 53%にまで引き
上げ、都市部と農村部の一人当たりの所得水準を 2007 年実績に比べ
て大幅に向上させる。平均寿命を 78 歳まで延ばし、社会保障システム
を都市部・農村部いずれにも普及させ、基本的な公共サービスが満遍な
く受けられるようにする。都市化比率を 80%以上にまで引き上げ、1 地区
当たりの GDP が1億元増加する毎に建設用地を削減し、GDP 向上のた
めのエネルギー消費を引き下げることができれば、世界先進国との距離が
縮まり、環境問題の更なる改善が可能となる。
2020 年までに、基本的な現代化を実現し、社会主義市場経済体制
の基礎作りを進め、先進的サービス産業と先進的製造業を産業構造の
主体として、世界先進レベルの科学技術を確立する。全人民が調和の
もとで共存できる社会環境を整備し、広東・香港・マカオ三地区の協力
体制が進展すれば、同地域は地球上でも最も競争力を持った大都市
圏となる。一人当たり GDP を 13.5 万元、先進的サービス業の伸長率を
60%にまで引き上げ、都市部と農村部の所得水準を 2012 年比で倍増
させ、所得を合理的且つ適正に分配する体制を構築する。平均寿命を
80 歳にまで引き上げ、同時に高度な社会保障制度を実現、都市化の
レベルは 85%程度にまで達し、単位生産当たりのエネルギー消費と環境
レベルは世界先進国の水準に追いつくことが可能となる。
3.
産業近代化体制の構築
情報化と工業化の融合を推進し、先進的サービス産業を発展させ、
先進的製造業の発展を加速する。ハイレベルの技術産業を重点的に発
展させ、伝統的な産業については改善を進める。また、積極的に農業を
発展させ、先進的サービス産業と先進的製造業を両輪とした産業群を
構築するに当たり、しくみの高度化と産業の集約化を進め、産業競争力
の高い近代的産業システムを構築する。
(1) 近代的サービス産業の優先的発展
珠江デルタ地域と広東・香港・マカオ地区が先進的サービス産業分野
において協力関係を深めることを支持し、金融業、展覧、物流、情報サ
ービス、科学技術サービス、商業サービス、受託サービス、文化創造サー
ビス、地域統括本部誘致に加え旅行業を重点的に発展させ、サービス
業のレベルを全面的に向上させる。広州市、深圳市が地域の金融センタ
ーとなることを支援し、資本市場の多様化と金融総合サービスシステムの
構築をサポートする。具体的には、上場要件を備えた優良企業の資本
調達を支持し、直接融資比率を引き上げ、国際競争力を有する金融ホ
ールディングスカンパニーを育成する。深圳証券取引所の「創業板」にお
ける上場による株式取引システムを完成させ、広東金融高度技術サー
ビス区の構築に資する。また、金融アフターサービス業の発展に力を入
れ、同地区をアジア太平洋地区の近代的金融アフターサービス基地とし
て育成する。国際的に影響力のある産業別展示会、特に中国(広州)
輸出入商品貿易展示会、中国(深圳)国際高技術科学貿易博覧
会、中国(珠海)国際航空博覧会、中国(広州)中小企業博覧会、中
国(深圳)国際文化産業貿易展示会を発展させ、世界一流ブランドの
展示会に育て上げる。白雲空港、宝安空港、広州港、深圳港等を主
軸にして近代的物流地区建設を推進、近代的物流業と呼ぶにふさわし
いインフラ設備を完成させ、広東に世界一流水準の物流センターを建設
する。珠江デルタ地区を中国南方の物流・サービスセンターとするために、
国際電子商業センターを設立、受託サービス事業の発展に着手する。
2012 年までに、2-3 箇所の国家レベルの国際サービス受託地区としての
都市を確立し、国際サービス受託の産業メカニズムを構築する。デザイン
研究及びマーケティングの発展を図り、更には建築コンサルティング、サー
ビス仲介等第三者向けのサービス業務提供事業の発展を推進する。加
えて、科学技術サービス業と商務サービス業の発展を促進し、人材サー
ビス業の発展を推し進める。本地域における取り組みを基礎として、サー
ビス産業の発展を全国規模にまで広げ、国際競争力を持つ人材サービ
スのしくみを構築して人材の合理的な流動と効果的な配置を促進する。
新たな産業群を育成に当たり、珠江デルタ地域に国家レベルのクリエィテ
ィブ産業及びアニメーション製作基地を立ち上げる。国内外の大手企業
に加え、影響力のある仲介サービス業者が珠江デルタ地域に地域統括
本部や営業拠点を設立するための誘致活動を推進する。旅行業分野
においても、全国的な総合改革モデルとしてアジア太平洋地区において
影響力のある国際観光施設の建設を進め、2020 年までに、先進的サ
ービス業の伸長率を 60%に引き上げる。
(2)先進的製造業の加速的発展
現在の港湾のインフラ設備を十分に利用し、資本・技術集約型産業
を発展させ、関連度が高く帯同性が強い現代設備、自動車、鉄鋼、石
油化学、船舶製造等の産業を重点的に発展させ、新たな工業化の道
を進める。設備製造業、原子力発電設備、風力発電設備、大型変圧
設備、機械のコンピューターシステム、海洋工事設備などの5つの重点領
域を発展させ、問題を解決して世界レベルの技術製造業の産業基地を
建設する。主として自国ブランドと自国技術を活かして自動車産業を発
展させ、売上が1千億元を超える大企業な自動車会社を 2-3 社作り、
国際自動車の生産センターを建設する。動力の大きな中低速ディーゼル
機等の船舶設備を発展させ、世界レベルの大型船舶修理基地と現代
科学技術レベルを持つ海洋工事製造基地を建設する。宝山鉄鋼所が
韶山鉄鋼所・広州鉄鋼所と合併することを契機にして、現代的な大型
鉄鋼所を湛江に建設する。石油化学産業を集約発展させ、条件の整っ
た港湾、港湾周辺部の環境が良い沿海地区において条件のよい企業を
選び出し、石油精製とエチレン製造を一体化した大型工場を作り、世界
レベルの巨大な石油化学産業基地を建設する。民間航空機製造業と
新エネルギー自動車産業の発展を支持し、精密化学工業・医薬品産
業を育成してスケールとレベルを向上し、新たな経済成長を成し遂げる。
2020 年までに、先進的製造業の増加率を 50%までに高め、産業毎の
生産量をコントロールし、構造改革を進めて長期的発展のための良好な
基盤を作る。
(3)ハイテク産業の重点的発展
現在の優位なインフラと地理的条件を基礎に、資本集約型・技術集
約型産業の集中度を高め
、大きな新産業を創出し、国際水準の技術産業地域を作り上げる。高
レベルな産業を発展させ、技術産業を中心に競争力を高めるために、生
産要素を優勢地区に結集し、産業基地を集中化させ、産業毎の特色
を明確化し、完全な高技術産業システムを構築する。エレクトロニクス、
バイオテクノロジー、新規素材、環境保護、新エネルギー、海洋等の産
業を重点的に発展させる。エレクトロニクス産業の中ではソフト産業と電
気回路設計、新型モニターと半導体照明、インターネット無線移動通
信、次世代インターネット、家電産業等を重点的に発展させ、デジタルA
Vシステム、通信設備の競争力を高め、現代情報サービスの拠点化を推
進する。バイオテクノロジーの領域では、細胞、DNA、生物情報等の重
要な技術と製品を重点的に研究し、生物医学、生育学等の産業を発
展させる。新規素材の領域では、新型電子材料、特殊材料、環境友
好材料と高性能な材料等を重点的に発展させる。環境保護領域では、
環境保護技術と設備、環境サービス業等を発展させ、新エネルギー領
域では、風力発電、太陽発電等自然エネルギーを重点的に発展させ
る。海洋領域では、海洋生物、海洋資源の総合利用等を重点的に発
展させる。高技術産業化を重点プロジェクトとして実施し、新技術産業
開発区の「第二次創業」を推し進め、広州化学地域(北区)とシンセン
新技術産業地帯の建設を急ぎ、科学研究を加速し、標準化と科学技
術研究成果の産業化についても推し進める。広州と深圳国家新技術
産業開発区を全国的にトップレベルの科学技術地区にする。2012 年ま
でに、GDPの規模が一千億円となる新興産業を 3~5 社程度育成し、
売上が一千億元規模で、世界的レベルの大企業を 3~5 社作り上げ
る。2020 年までに、高技術製造業増加率は 30%に達する。
(4)伝統産業の再構築と優位性向上
工場改造による生産性向上、ブランド力・品質向上による優位性確
保などの転換・進化戦略においては、優良家電機器、紡績服装、軽工
業食品、建材、製紙、漢方薬などの優勢伝統産業は、集中度を高め、
製品の品質を向上させ、包括的競争力を高めて行く。先進技術を積極
的に採り入れ、応用技術と近代的管理ノウハウによる改善によって、伝
統産業の優位性向上を実現し、産業の高付加価値化を幅広く展開す
る。産業全体の能力を高め、製品の付加価値を重点的に向上、開発
費を大々的に投入し、工芸設計の強化、高新技術の設備水準の向
上、環境保護・省エネルギー事業・高付加価値型製品の発展に力を注
ぎ、優勢的伝統産業をブランド効率型産業に転換させることを推進す
る。これらの優勢伝統産業の構造的問題を解決することにより、一群の
ブランド先進企業を育成する。
先進企業、ブランド産品とその商標を連動させ、仏山の家電や建材、東
莞の服装、中山の照明、江門の製紙など国際的影響力を有する地区
毎のブランド、これらを強固な企業群に育成する。優良輸出製品の技術
と付加価値を向上させ、国産のブランド輸出比率拡大を図る。産業の存
続基準を高く設定し、資源消費型、低効率産業は逐次撤退を促す。そ
の結果産業と生産能力の淘汰が進むことになる。
(5)近代的農業の積極的発展
生産性、品質、能率、生態、安全の各基準に基づき、農業発展方
式の転換を加速させ、農業の産業構造を改善するためのしくみ構築する。
具体的には、嶺南地区特有の都市型・外向型で近代的な農業産業シ
ステムの導入を加速し、農業の近代化を実現する。作付面積の安定
化、標準農地の建設、稲作工程の高度化、食糧生産能力の低下を防
ぎ、食料安全保障能力を維持する。 野菜栽培、水産や畜産などの生
鮮農産品の生産基地を建設・強化し、農産品の鮮度保持に関する流
通課題を解決し、国際競争力のある園芸産業や農業産品の近代物流
システムを構築する。 基本農地の保護区の建設を強化し、水利灌漑
施設を改造し、品種改良や動植物検疫の基礎施設の設置を進める。
農業分野における科学技術の刷新や成果の展開を図り、科学技術の
農業に対する貢献度を向上させ、高水準で国家級の近代農業園区を
造成する。農村をグループ化し、土地の持株式協業制を完備し、農業
の産業化、大規模化、集約的経営を実践し、労働生産性と土地生産
性を向上させる。 農業の標準化に全力で取り組み、健全な「田んぼか
ら食卓まで」の農産品・食品の良好な生産規範を確立し、品質安全監
督管理システムと製品のトレーサビリティのしくみを確立する。 農業保護
システムと農業のリスク抵抗能力を強化、農業分野における国際協力を
推進し、珠江デルタ地区の外向型農業の広さと深さを増すことによって国
際競争力と継続的発展能力を強化する。
(6)企業の全体競争力向上
劣勢にある企業の淘汰、労働集約型企業への転換、優位性ある企
業のアップグレード、潜在的企業の育成などにより、企業の組織構造の
調整を推進する。企業の情報化を促進し、企業管理レベルを的確に向
上させる。現在必要なことは、各種の効果的な手段を総合的に活用し
て、苦境にある企業を支援し、優位にある企業がその主力産業の分野
でM&Aを実施するよう奨励し、自社の知的財産権を保護し、国際的ブ
ランド力及び国際競争力のある大企業を作り上げることである。大企業
が産業バリューチェーンにおいて中心的役割を果たし、中小企業の発展
を促し、大企業をトップとして専門的な中小企業がそれぞれ配下に所属
するという提携システムを構築する。2012 年までに、主要業種の年間収
入が百億元規模の企業を 100 社以上、うち 1 兆元規模の企業を約 8
社、国際的ブランド商品の数が現在の2倍になることを定量的目標とす
る。2020 年までに、主要業種の年間収入が 1 兆元規模の企業を約 20
社、国際的ブランド商品数を約 20 にまで引き上げる。
4.
自主革新力の向上
自主革新の体制構築と政策的環境の整備を目標とし、企業を主体と
して市場志向を推進、産官学連携による開放的な自主革新が可能な
システムを構築し、全国的な革新型モデル地域を率先して作り上げる。
同地域をアジア太平洋地域における重要なイノベーションセンター及びイ
ノベーションを成果に転換させる基地へと発展させ、国際競争力を全体
的に向上させる。
(1) コア技術の革新及び転化の推進
近代的産業の発展要求に基づき、重要な領域における技術導入・
吸収・消化及びそれに基づく再生的革新と集中的革新に注力し、且つ
独創的な革新とその成果を実際の生産現場で利用することを積極的に
推進、生産技術と産業の共同発展を促進して実現に繋げる。主として、
IT(電子通信業)、バイオテクノロジー、医薬、先進的な製造業、新規素
材、省エネルギー、新エネルギー、エコ産業と資源の総合的利用、現代
農業など、重点領域の自主イノベーションを促進し、業界においてコアと
なる技術や共通的技術を導入する。各領域における最先端の技術の問
題点克服を果たし、重点領域に関しては共同研究によって課題解決を
実現する。省エネルギー、汚染物質排出量削減、リサイクルエネルギーの
使用、新医薬開発の選択及び評価、新世代ネットワークの開発、新た
な移動通信システムなど、国家の自主イノベーションの重要領域に関して
は、産学間における研究の提携、または地域の共同開発によって実現を
目指す。大学の科学技術センター、産学提携研究センター及び中間の
成果を実験するセンター、新たに革新的な技術成果を生産に応用する
実験センターの設立を推進する。ハイテクを生産に応用する規範的なプ
ロジェクト運営を進め、国家の自主イノベーションの成果を珠江デルタ地
域内において生産に応用すること支援する。技術の評価、知的財産権
の移転、技術成果の工業転化などのサービスを提供する仲介部門の設
立を促進することにより、技術の転換システムを築き、イノベーションの成
果を転化することを促す体制を構築する。2012 年までに、年間の特許
申請数を百万人当たり 600 件にまで引き上げ、重要な領域における自
主イノベーションが世界的なトップレベルに達するように更なる努力を重ね、
2020 年までには、スローガン「広東製造(広東で製造)」を「広東創造
(広東で創造)」に転換することを目標とする。
(2)企業の自主革新の主力領域強化
イノベーションの要件を企業に集中し、企業が研究開発へ積極的に参
画することを奨励し、中国本土企業が自主革新を主体的に行うことを強
化・推進する。自主革新の探索をサポートする政策を実践し、企業の自
主革新能力の確立と強化を奨励するシステムを確立する。企業の自主
イノベーションを推進する政策として、研究開発費用に対する課税控除
などの優遇措置、イノベーティブな商品に対する政府の購買力拡大など
の措置を全面的且つ充分に導入する。企業と全国の高等教育機関、
研究所などを提携させ、ハイレベルの共同開発研究所及び人材育成セ
ンターを合同で設立すること、また、企業単独で設立した研究センターに
おいて国家プロジェクトを共同研究・開発することをサポートする。業界内
において技術交流の場を設けるとともに、イノベーションに対するサービスシ
ステムの確立を推進する。これにより、企業の自主革新に対する公共サ
ービスが充実し、経済的効果の高い新型企業の育成が可能となる。国
家レベルで 50 箇所、世界レベルで 10 箇所のイノベーティブな先導的企
業(リーディングカンパニー)を設立することを目標として支援を進める。
(3)開放型の地区革新体制の構築
地域内協力と国際的協力を強化、域内革新のための新配置を実行
し、革新能力の向上を進めて、開放的な融合と構造の合理化による強
力な地域革新体制を構築する。広東省、香港、マカオにおける科学技
術分野の提携を深めて、連合(共同)開発区を建設、共同科学研究と
革新プラットフォーム建設をサポートする。深圳・香港開発圏の建設を計
画、広州・香港産学研究連携を強化して国家の革新的都市開発を進
め、広州―深圳―香港を主軸とする地域の革新的構造配置を実現す
る。広州国家級開発区のモデル試験展開をサポートし、企業の国際提
携に当たっての革新的試験を実施、国内企業が海外で研究開発センタ
ーを設立することを奨励し、海外企業が国境を跨いで研究開発センター
を域内へ移転することを積極的に誘致する。革新型プラットフォームの運
営管理体制を整備し、健全な科学研究設備の建設と科学情報の開
示・共有により、革新プラットフォームの公共サービス機能を強化する。ま
た、深圳国家ハイテク産業革新センター、華南新薬創薬センター、広州
国際生物島(バイオテクノロジー・アイランド)などの主な革新的プラットフォ
ームの建設をスピードアップする。2012 年までに、近代的運営管理体制
を有する国家重点試験場、プロジェクトセンター、プロジェクト試験場など
100 を数える革新的プラットフォームの建設を進め、2020 年まで同地域
における国際的な革新システムを構築する。
(4)国家と地方の革新連動メカニズムの深化
国家級の関連部門と広東省が提携し、自主刷新のための総合試験
を実施、積極的な協調管理、審査評価、科学体制など各方面におけ
る体制改革を推進する。国家と地方の革新的資源については、効率的
な配置と総合的な集積を実践、上下の連携と協力を推進し、革新的
且つ総合的な力を創出する。省では部単位の産学連携重要科学プロ
ジェクトを発足させ、「産学研究協力総合モデル企業」行動計画と省部
企業科学技術特派員行動計画を実施する。国家重点高等教育機
関、科学研究院と広東省の自主イノベーション戦略の連携をサポートし、
100 前後の省部産学研技術革新連盟を設立する。ハイレベルな研究
型大学、科学研究機構、重要革新プラットフォームと省部産学研連携
モデル基地などを珠江デルタ地域内に配置し、国家重要科学基礎的な
施設、重要科学研究機構と重要革新能力プロジェクトを導入、中国科
学院と広東省による自主的な革新戦略連携を推進する。中性子サイク
ロン、南方深海海洋科学技術開発基地、中科院広州生命健康研究
院、中国華南コンピュターサーバーセンター、中科院広州工業技術研究
院、中科院深圳先端技術研究院などの共同プロジェクトを進める。
(5)自主革新環境整備の強化
自主的にイノベーションに取り組み、知的財産権を保護し、人材サポ
ート体制などの環境整備を推進する。財政資源を優良化・整合化する
ことによって財政の投入を拡大、革新創業融資環境を整備し、知的財
産権利による抵当権、ローン保証、ベンチャー投資を積極的に発展させ
る。また、自主的なイノベーションを支援する新型金融組織の設立と科
学技術保険の試験スポット開発を模索する。知的財産権と技術標準
戦略を実施し、知的財産権保護と応用範囲を拡大、業界、国家当局
とともに国際基準の制定業務のをサポートする。工業デザインスタッフなど
の職業能力評価認証体制の試験実施をサポートし、人材の導入、育
成、評価、登用、表彰激励とサービス保証のしくみを構築、先端人材の
導入計画と育成プロジェクトを実施する。同地区においては「中国留学
人員広州科学技術交流会」などの人材導入のためのプラットフォームを
構築し、ハイレベルで国際的な優良人材グループを排出する。2012 年ま
でに、研究と発展の支出は地域生産総額の 2.5%に達し、研究開発ス
タッフの人数は 28 万人前後にまで拡大する。2020 年までに必要とする
要素を完備させ、強力なサポートのもと、開放性と包容力を併せ持つ自
主的なイノベーション環境を創出することができるようにする。
5.インフラ設備近代化の推進
統合的な計画、合理的な配置、適切な先進度、安全で信頼のおける
原則に基づき、目前の内需拡大戦略の機会を着実に掴み、交通、エネ
ルギー、灌漑、情報インフラ建設等を加速させることは、域内のインフラ一
体化の発展を推進し、保障水準のレベルアップとインフラ設備の近代化
の実現に繋げる。
(1)開放的・近代的な総合交通輸送システムの構築
交通インフラ施設構築を強力に推進するに当たり、ネットワークを完備
し、合理的な配置を行い、運行効率を向上させ、香港・マカオ及び環珠
江デルタ地区と緊密に連携・一体化を進めた総合交通輸送システムを
構築することにより、珠江デルタ地区をアジア・太平洋地域において、最も
開放的で利便性・効率性が高く、安全な旅客・貨物物流センターにす
る。具体的には珠江デルタ各都市間の交通ネットワークを構築し、区内
鉄道及び高速道路や区域快速幹線ネットワークを完成させ、珠江デルタ
東西両岸の交通量を増強させることを早期に実現する。
珠江デルタ地区の主要インフラの重点的建設プロジェクトとして、環珠
江デルタ地区の高速道路、中山と深圳を結ぶ珠江口道路、港珠澳(香
港・珠江・マカオ)大橋、深港(深圳・香港)東部道路、広深港(広州・
深圳・香港)高速鉄道、沿海鉄道、貴州発広州行き鉄道、南寧発広
州行き鉄道や、広州、深圳、佛山、東莞の都市間での交通ルートの建
設・整備がある。都市の公共交通インフラや広州、深圳、珠海等の交通
ターミナル建設を推進することにより、地域公共交通ネットワークを完成さ
せることができる。
珠江デルタの高等河川水路網を近代化レベルに推し上げるに当たり、
珠江各港の再編と資源の有効活用を進め、広州港・深圳港・珠海港の
機能を近代化し、香港港との分業と相互補完関係を明確化して、珠江
デルタの港湾全体を共同で発展させる。
広州白雲国際空港の拡張工事をスピードアップし、同空港を中心とし
た放射状の発展的地位に強固にして国際競争力を高める。加えて、深
圳宝安空港のキャパシティを拡大、サービスレベルを向上させることによ
り、大型ハブ空港として発展させる。更に珠江デルタ地域の民航空港と
香港・マカオ空港の協力を推進、相互補完関係を構築して、地域全体
の空港運営システムを共同発展させる。
2012 年までに、珠江デルタ高速道路の開通距離を 3,000km、主要
幹線道路の開通距離を 1,100km、港湾貨物取扱量を 9 億 t、コンテナ
取扱量を 4,700 万 CTU、民航空港の利用者数を延べ 8,000 万人に引
き上げ、2020 年には、主要幹線道路の開通距離を 2,200km、港湾貨
物取扱量を 14 億 t、コンテナ取扱量を 7,200 万 CTU、民航空港の利
用者数を延べ 1.5 億人にまで引き上げる計画である。
(2)清潔・安全・信頼性のある資源保障体制の構築
地域内外のエネルギーインフラ設備建設の計画は、発電所の建設を中
心にして、開放的・多元的且つクリーンで安全、そして経済的なエネルギ
ーシステムを構築することにより、珠江デルタ地域経済の社会発展の需
要を満足させる。先ず前期工程の発展を加速させ、原子力発電所建
設をスケールアップして産業分野における利用を拡大、自主化を推進す
ることにより、広東省を我が国において重要な原子力発電基地・原子力
発電装備基地とする。
火力発電を合理化・発展させるためには、沿海・川の沿岸に環境保護
型の基幹発電所を建設、これらを珠江デルタ地区内の電力供給を担う
センター化して電気エネルギーの供給を安定化、地域の熱電冷却供給
ユニットとクリーン発電による模範プロジェクトを推進する統一計画を実行
する。広東省内の電気エネルギーを合理的に配置し、省外の電力につい
ても「西電東送(西部の電気を東部に送る)」を進めることにより、安全で
安定した電力網の構築・運転を確保する。更に一歩進めて、珠江デルタ
電力網を地域を越えた電力供給ルートとして機能させ、電力のセキュリテ
ィや応急処置システムに加え、災害対策・予防・対処体制を構築する。
国家重点プロジェクトである石油・ガス戦略計画に即した配置を前提
に、石油・ガスインフラ施設及び LNG センターの建設を早め、オイルパイプ
ラインネットワークの一体化を推進し、地域の石油流通の拠点・交易セン
ターを建設する。また、エネルギー備蓄プロジェクトを着実に進め、石油貯
蔵基地や石炭の大型積み替え基地を建設する。国内外のエネルギー協
力を強力に進め、幅広くエネルギー資源の調達源を開拓、新たなエネル
ギーやエネルギー再生の開発を積極的に行い、風力発電所の建設や太
陽エネルギー利用プロジェクトを重点的に行う。2020 年までには、供給能
力を高め、構造を改革し、効率の良い近代エネルギーの保障システムを
作り上げる。
(3) 人と水の調和が取れた水利工事体制の構築
灌漑インフラ建設の推進を加速するためには、灌漑災害対策や予防・
対処体制を整備し、水資源配置の合理化や保護、水質汚染処理の強
化を図り、洪水を防ぎ、飲料水や食糧・生態系の安全を確保し、近代
的な灌漑を支える保障システムを築かなければならない。枢軸プロジェク
トである北江の樂昌峡、湾頭、大藤峡の灌漑を重点的に推進、景豊聯
囲、江新聯囲、中順大囲など重要沿岸の堤防プロジェクトが基準を達
成することによって洪水を防ぎ、排水補強工事を行うことによって、ダムの
トラブルを取り除いて工期を早めることが可能となる。珠江河口の補修工
事を継続して実施、珠江流域の洪水防止工事基準を統括して進め、
洪水や潮の干満による災害防止管理システムや、標準値を超えた洪水
をコントロールする際の対応マニュアルを完成させる。更に、省・部が協力
して珠江デルタに中小基準の気象災害観測予告警報センターを開設、
河川整備の強化と水中の生態系保護のインフラ建設を継続して強化
し、地質・水資源・水質環境をリアルタイムに監視測定するシステムを導
入する。合理的且つ効果的に水資源の配置や安全な水を供給する保
証システムを作り、広州西部の河川から水を引き、珠海竹銀水源などの
水資源を放流する工事を重点的に行い、珠江流域の水資源の統一管
理を強化する。西の河川上流の基幹ダムと東江の三大ダムを調整・一
括管理することにより、珠江デルタ及び香港・マカオ地区へ安全・安定的
に水を供給することを保障する。同時に農業、工業、生活用水の節水を
強化し、水資源の利用効率を向上させることを目標とする。2020 年まで
に広州、深圳市の市区における洪水や潮の干満による災害防止能力の
限界値を 200 年に 1 度とし、その他の地域においては 100 年に 1 度、
郊外では 50 年に 1 度、重要な堤防においては 50-100 年に 1 度と設定、
水の供給保証率は大中都市で 97%、一般の郊外では 90%以上とし、
水資源や水質を水機能区における水質目標基準値内に収めるようにコ
ントロールする。
(4)利便性と効率性の高井情報ネットワーク体制の構築
「デジタル珠江デルタ」を構築するための総体的要件に基づき、行政区
画、部門、業界、体制などの境界障壁を越えて、情報インフラ建設に対
する取り組みを大幅に強化、新世代のモバイル通信ネットワークの拠点を
地域毎に配置し、都市部においては段階的に無線ブロードバンド化を推
し進め、「何時でも、どこでも、必要に応じて」という珠江デルタ情報ネット
ワークを構築する。情報ネットワークの計画・建設・管理は、テレコミュニケ
ーション、インターネット、テレビ放送ネットワークの「3ネットワークの融合」を
率先して実践し、ネットワーク資源を共有することによりコミュニケーションよ
り一層強化する。南方現代物流公共情報プラットフォームを作り、「物流
のオンライン化」を発展させ、通信インフラの整備、応用ネットワークと電波
反応ネットワークの融合を進めることによって、政府の情報資源を共有で
きるプラットフォームを建設し、情報安全保障システムを構築して、珠江デ
ルタ基礎地理情報資源の開発利用を行う。具体的には、2012 年まで
に、インターネット普及率と家庭でのブロードバンド普及率をそれぞれ
90%と 65%以上とし、無線ブロードバンドの人口カバー率を 60%前後に
まで引き上げる。2020 年には珠江デルタ地区は、グローバルな情報化環
境としては、先進国の中でも高いランクに名前を連ねているであろう。
6.都市と農村の発展計画
都市計画と農村計画、産業の配置、インフラの建設、公共サービスの
一体化等による総体的な要求に基づき、社会主義における新たな農村
の建設に尽力、都市機能のレベルアップを図り、都市・農村一体化を進
め、新たな構造を率先して形成する。
(1) 都市・農村計画と建設管理水準の向上
都市・農村の計画・配置を確実に強化し、経済発展レベル相応の近
代的な都市・農村モデル地区を建設することは、嶺南の特色を活かした
住み易い都市・農村を建設することである。主体的機能による区の計画
を基礎として築くシステムは、国民経済と社会発展、土地利用と都市・
農村それぞれの計画が相互に繋がっている。機能区分を合理的に画定
し、具体的な機能の定位置を明確化、都市・農村居住区と工業・農業
地区が混然一体となっている現状を変え、都市・農村の建設空間の配
置効率を向上させる。一体化の要求に基づいて、都市・農村の計画を
編制、付属施設の建設も強化するので、農村居住者の住環境を改善
することになる。土地制度に相応しい形とするために都市の中の村を変
え、過疎の村を排除し、小さな村を統廃合させることにより、都市・農村
はともに新たな地域社会作りを加速することが出来る。都市・農村におけ
る非農業産業空間の配置を統一した計画に基づいて実施することによ
り、農村の産業構造が合理化に向かい、産業発展を進めることが可能に
なる。都市・農村の一元的な計画・建設・管理の新たなメカニズムを導
入することによって、都市・農村それぞれにおいて生活水準をアップさせる
ことが出来るが、計画制定の公開性・透明度、更には一般大衆の参画
度を高めるに当たり、計画編制と実施の法制化の経過をオープンにする
ことが必要である。
(2)農村の基礎施設の建設強化
都市・農村のインフラ建設のレベルを上げるには、先ず農村のインフラ建
設強化に尽力しなければならない。農村の飲料水安全化工事を大幅に
進め、水供給の保証率や品質の安全基準を高めるためには、農村にお
ける道路建設の優先順位や要求基準を上げ、道路管理・保護のメカニ
ズムを完備し、道路のネットワークシステムを完成させる必要がある。農村
から遠方へ出かける際の公共交通機関の充実化を図り、2020 年には、
都市・農村をともに広くカバーし、高い利便性とスピードを兼ね備えた公
共の交通乗客輸送ネットワークを完成させる。農村における近代的物流
のインフラ建設を加速させることは、都市の商業貿易や流通企業が農村
との交流を盛んに行うことを奨励し、都市・農村の連結経営システムを完
備させることに繋がる。農村のクリーン化や経済的なエネルギーシステム建
設を推進していくに当たっては、都市・農村がともに共通の電力供給ネッ
トワークを利用し、農村のメタンガスやバイオクリーン燃料、太陽エネルギ
ーなどの再生エネルギーを技術普及させる必要がある。農村居住者が普
遍的にそれらの新エネルギーを使用するようになれば、クリーンで経済的な
エネルギー目標を実現させることが出来る。また、農村における清掃工事
を徹底化し、ゴミ・汚水の集中処理システムを素早く構築して、廃棄物や
人や家畜の排泄物無害化処理が実現できれば、農村の衛生条件や住
居環境を大幅に改善させることが出来る。
(3)都市と農村の基本公共サービスの均質化推進
教育、衛生、文化、社会保障などの政策を一元的に統括し、公共資
源を都市・農村間で均等配分し、社会事業建設の重点を農村に置く。
農村での公共事業レベルが財政保障により全体的に向上し、都市・農
村で同じ公共サービス制度を早急に立ち上げることにより、常住人口を
目標とした公共サービスシステムを完備することができ、基本的な公共サ
ービスの均等化が実現できる。農村の義務教育保障メカニズムを完成さ
せ、教師の資格取得基準を厳格に管理するシステムを確立することによ
り、農村における教育の質的向上を図る。これにより都市・農村間で義
務教育がバランス良く発展していくことが可能となり、農村における職業訓
練のレベルが満足行くものとなる。
農村における医療衛生インフラ建設を推進して予防保健や医療応急
処置条件を全面的に改善し、新しいタイプの協力医療制度を完成させ
ることにより、都市・農村の公共衛生、医療のサービスシステムや、医療
や薬品供給システムに構築に尽力する。
出稼ぎ労働者の権利と利益の保護を強化し、出稼ぎ労働者の子供た
ちに対する就学措置を段階的に実現させ、公共衛生などの公共サービ
スを都市と農村の住民が同等に享受できるようにする。
都市・農村の就業計画は、都市・農村が一体化した人材資源市場を
通じて、公平な競争が保証された就業制度を早急に確立し、経済や社
会発展の段階に適応した都市・農村を対象とした社会保障システムを
早期に築き上げる。
健全な農村の養老保険制度を確立し、土地を徴収された農民に対し
て適切な就業訓練や社会保障を付与する。農村の社会福祉や慈善事
業を大きく発展させ、都市との制度の整合性をとり、都市・農民居住者
双方に最低の生活保障制度の基準を設けて、最低生活保障基準と補
助水準を向上させる。農村における「五保供養(衣・食・住・医療・埋
葬)」の補助制度を整備し、被災者や救済孤児への救援政策や社会福
祉レベル全体の底上げを図る。
農村の公共文化施設建設を大々的に進め、地域社会と都市・農村
の基本的文化施設を基礎とした都市・農村の公共文化サービス体制を
完成させる。農村の基層部組織の構築を進めることにより、都市・農村
社会における一体化管理体制の水準向上に繋げる。
(4)「以城帯郷(都市が農村を牽引)」、「以工補農(工業が農業を補
う)」の新メカニズム構築
農業政策を支える健全な財政と金融システムを打ち立てることにより、
都市・農村に一律的な支援メカニズムが導入でき、都市が農村を牽引し
工業が農業を補完する新たなメカニズムの形成が可能になる。農業を財
政支援する保障メカニズムが完成すれば、級毎の農業財政支援への投
入額の増加幅を平常収入の増加幅よりも大きくすることができる。政府
が農村への投資を調整し、土地譲渡益と耕地占有による税収入の増
加分を還元するという構造は、「三農(農業・農村・農民)」対して使用す
る税金を大幅に増額することが可能であるということを意味している。農村
の特徴に適応した新しいタイプの金融機関と農村へのサービスをメインと
する地域性のある金融機関の発展を後押しし、農村への貸付担保や信
用システムを導入する。また、政策的農業保険制度、稲作・養豚・漁業
・林業などに対する保険制度の導入を積極的にサポートする。2020 年
までには、充分な資本の蓄えがあり、安全に運用され、各種機能が完備
した農村金融システムを完成させる。
都市が農村を対象として教育・衛生医療・文化など各分野における支
援を行うことにより、都市と農村、第二次・第三次産業と農業の間の連
携・協力関係が深まることになる。
7.地域の協調的発展の推進
地域内枢軸機能の定位置や珠江デルタ全体の空間的配置の合理化
を進め、広州・深圳を中心として、珠江デルタ東西両岸に重点に置き、
地域経済の一体化を進めることで、環珠江デルタ地域の発展を加速さ
せる。資源要素を合理的に配置することにより、地域の優位性を充分に
発揮した協調的発展による新たな形勢作りが可能となる。
(1)中心都市の放射促進作用の活用
省都としての優位性を充分に発揮している広州市は、科学技術を生
み出し、文化をリードしつつ総合サービス機能を併せ持つなど高付加価
値的要素を結集し、機能と産業の配置において合理化を進めている。こ
の優位性により、広州市は珠江デルタ地域内いずれの都市へも 1 時間
以内でアクセスでき、大都市圏の中核として君臨している。高付加価値
のサービス産業を優先的に発展させ、先進的メーカーの製造基地を誘致
し、自主的に新しいものを作り出す能力を大幅に上昇させるということは、
近代的な産業システムを積極的に築き上げること繋がる。広州市は、文
化ソフト面の実力と都市としての総合競争力を上げることにより、国全体
の中でも中心都市というポジションを確立し、都市と地域文化教育にお
けるセンター機能、窓口機能を強める結果となり、周囲の都市に対しても
放射状的な好影響をもたらすことになる。広州・仏山の統合による強化
策は、珠江デルタ地区における合理的な配置に基づいて設計されてお
り、同市が持つ機能性を高めることで、域内の他都市群との連携を深め
ることが可能となる。
広州市が現在建設中の広東宜居は都市・農村の「首都」となることが
予定されており、世界に対して、更には国内各都市に対して、サービスを
提供していく大都市に変貌すると見込まれている。深圳市は引き続き経
済特区の窓口として、テストケースや模範地域、科学技術の研究開発
補強、高付加価値なサービス機能という役割を果たし、全国の中でも経
済センターと国家創造型都市としてのポジションを高めて、中国独自の社
会主義モデル都市として国際化を進めている。
(2)珠江デルタ東岸地区の功能・配置向上
深圳市を中核とし、東莞市や惠州市を中継点とした珠江デルタ東岸
地区は、人口構成を改善し、土地利用の効率を高め、都市としての総
合サービスレベルを上げる等、様々な好要因を集約して発展を進めてい
る。同地域は自主的イノベーション能力を積極的に引き出し、グローバル
化を推進する一方で、国内他地域向けのサービスが生み出す新たな空
間を発展させることにより、コア競争力と放射的影響力を高めている。特
に深圳市は、IT(通信設備)やバイオテクノロジー、新規素材、新エネル
ギーの自動車等の分野において、先進メーカーを誘致し、ハイテク産業
基地の育成に力を注いでいる。東莞市は、加工メーカーが製造方法の
転換やグレードアップに取り組んでいる他、松山湖科学技術パークを建
設中、惠州市の臨港地区では基礎産業が積極的に育成され、石油化
学産業基地の建設が進んでいる。珠江デルタ東岸地区では、電子情報
ハイエンド製品メーカーが迅速な発展を遂げており、グローバル電子情報
産業の集積基地となっているほか、金融、展示会(トレードフェア)、物
流、科学技術サービス、文化創造などの近代的なサービス産業も大きく
発展しており、産業の構造を合理的にグレードアップさせ、地域サービスセ
ンターとクリエイティブセンターとなることを目指している。
(3)珠江デルタ西岸地区の発展水準向上
珠海市を中核として、仏山、江門、中山、肇慶各市を中継点とした珠
江デルタ西岸地区は、産業と人口の集約化・集中化を進めており、様々
な機能を集めて補完的生産サービスを提供し、都市や鎮の体制と産業
配置を合理化している。珠海市は経済特区であることとその地理的優位
性を活用して、交通インフラの建設・充実化を進めている。加えて同市は
珠江デルタ西岸交通の要所となっており、高付加価値的な要素を集約
して機能的に発展させるとともに、創造的能力の向上を図っている。珠江
市は、コア産業の競争力強化と共同発展能力を高めていくことで、近代
的な地域センター都市と進歩的生態文明の新特区を形成しており、科
学発展のモデル都市の地位を争う存在となっている。更には、珠海高欄
港工業区、海洋工程装備製造基地、航空産業パークと国際ビジネス・
レジャーリゾート施設の建設を進める。仏山市では機械装備や、新型薄
型モニター産業クラスターと金融サービス区を重点的に発展させており、
中山市には臨港地区に装備製造業者、精密化学工業や健康産業等
の生産基地が配置されている。江門市には先端技術製造の重点発展
区を設置、肇慶市には伝統産業の転換・グレードアップ型製造産業が
集まっている。
珠江口西岸地区においては、スケールアップを図る先端技術メーカーや
生産性の高いサービス産業を大きく発展させ、大規模にして強力な主導
型産業を育成し、国際競争力を兼ね備えた産業クラスターを形成するこ
とで、新たな経済成長を目指している。
(4)珠江デルタ地区全域の経済一体化推進
珠江デルタ地区にある9つの市は行政体制の障壁を乗り越え、政府の
指導と後楯、市場主導、資源の共有、優位性の相互補完、協調的発
展、Win-Win の原則に従い、相互協力によって新たな合作のメカニズム
を作り上げ、資源配置の合理化を図っている。今後珠江デルタ地域全
域の発展計画を統合するに当たっては、発展の一体化を有利に進める
ための行政管理体制や財政体制、懲罰制度のしくみを探求し、導入し
て行かなければならない。省政府の統一された指導体制と協調のもと、
都市間、部門間、企業間に加え、社会全体において広範囲に亘り多層
的な協力体制を構築する必要がある。そのためには、広州・仏山の「同
城化(合併)」をモデルに、交通インフラの一体化を切り口として、積極的
且つ安定的な都市計画を協調して構築、共同建設したインフラのメリット
を共に享受し、産業の発展に際しては共存共栄を目指し、相互協力に
よる公共事務の一元管理化のしくみを作ることにより、全体競争力の向
上に資する。都市計画の一体化を推進するということは、珠江デルタ都
市群の空間的構成配置を合理的にすることに繋がる。具体的には、珠
江デルタ都市間快速鉄道の交通システムを早急に確立すること、高速
道路料金所の電子化を進め一般の高速道路料金所を撤去・削減し、
統合された総合交通輸送システムを構築する。エネルギーインフラの一体
化を推進するに当たっては、天然ガスの輸送ネットワークや石油パイプライ
ンネットワークを統一して、地域内の石油、ガス、電気の同一価格化を実
現する。情報ネットワークの基本計画としては、情報交換の基準と規範を
統一し、情報をデータベース化して共同構築、共同利用できるようにして
行く。行政区域を越えた産業発展の計画は、発展度合の差異を地域
産業毎の発展形態によって相互補完し、共同してより大きな発展を目
指すものである。地域の環境監視測定や予告警報システムを共同で構
築し、地域が連携し協力して遵守するしくみを構築すれば、地域内の空
気や水質汚染防止を実現させることが可能となる。
社会の公共事務における共同管理の強化は、地域の教育、衛生、
医療、社会保障、就業などの基本的な公共サービスの均等化を推進す
ることに繋がる。2012 年までに、基本的なインフラ建設と、第一段階とし
ての地域経済の一体化を実現させ、2020 年には、本格的な地域経済
の一体化と基本的な公共サービスの均等化を実現させる。
(5)環珠江デルタ地区の加速的発展の推進
環珠江デルタ地区は広州の東部、西部、北部及び周辺の省と近隣
の地区を含む。珠江デルタ地区における放射状に広がるサービスとその促
進機能は産業移転や主要要素の流動を促す要因となるため、段階的
な発展と合理的な分業による多層的な産業間の補完関係を構築する
ことによって共同の利益を得る産業協力システムを築くことが実現できる。
共同のインフラ建設を進め、共通の港湾輸送システムを完成させ、珠江
デルタ地区を貫通する高速道路網と鉄道網は周辺地域との間を連結す
ることを可能にする。広州東西両地域の石油化学、鉄鋼、造船、エネル
ギー生産等の基地建設を早急に進め、沿海地に重化学工業クラスター
を形成する。広州北部では珠江デルタ地区における先進メーカーの製造
基地を再編成することにより更なる育成を図る。健全な珠江デルタ地区
の発展は広州東・西・北部地区間の連携とイノベーティブなしくみ作りを
促進し、産業と労働力の流動化を実現できる。主要産業を集約して発
展させる産業移転モデル地区における産業クラスター形成に加え、条件
付きの産業移転地区においては外部から隔離して管理を行う税関特殊
監視管理地域や保税監視管理地域における企業設立を重点的にサポ
ートする。広州東部・西部・北部地域の農村人口は都市部へ移動して
おり、地域の中心都市の規模拡大により、新たな経済成長が顕著になっ
てきている。
8.省エネルギーと環境保護の強化
耕地の保護と用地の有効利用の制度を厳格に実行することは、省資
源と資源の有効利用のレベルを引き上げることになり、自然環境及び生
態の保護のメカニズムを実現することにより地域の持続可能発展力を向
上し、資源節約型・環境友好型の先進的社会を率先して構築する。
(1)土地利用の集約化と合理化
土地利用の総体的な計画と年度計画を厳格に執行するに当たって
は、耕地と基本的な田畑を保護する目標を確実に実行しなければなら
ない。耕地を造成・占有・補充して規模拡大する計画においては、開発
効率の悪い果樹園や斜面の農地から積極的な移転を進めると同時に、
農業用地の整理と土地の開墾力や回復力を向上させ、耕地の占有・
補充のバランスを取らなくてはならない。厳格な耕地保護と建設用地の
極小化を積極的に進め、用地効率の高い科学発展道路と土地の新管
理方式を探索し、国家の合理化・集約化用地モデル地区を建設する。
広大な未開拓の空き地開拓を進め、建設用地として有効活用するほか、
河口や海岸の湿地の保護を有効的に行い、埋め立て地や砂浜の資源
を非農業建設の際に利用することにより、現在耕地部分に占有されてい
る非農業用途の土地を減らすことができる。そのためには土地の需要と供
給のコントロールを強化して、地域の土地供給政策及び土地の使用基
準と市場参入基準を厳格に執行しなければならない。土地は政策によ
る差別化を図り、工業パークに合理的に産業を集約・配置し、積極的に
レベルアップを図ることによって、交通インフラや都市・農村の建設用地の
集約化を進める。用地の申請制度改革では、手続きの簡略化や監視
の強化を模索し、土地収益率の調節メカニズムの探索では、経済手段
によって土地利用の集約化水準を向上させる。
(2) 循環型経済の重点的発展
開発と節制を同等に重視する中、節制・合理化を優先する場合、減
量化、再利用化、資源化の原則に基づきエネルギー・水・原材料等の
使用量を大幅に削減、資源の総合的利用効率を高めてクリーン生産を
全面的に行うことにより、投資や消費、排出を低く抑えることにつながり、
効率のよい経済発展モデルを作ることができる。そのためには省エネルギー
を実現する上での排出目標責任制を実行し、新たなプロジェクトにおいて
はエネルギー節約に対する評価と審査制度を厳しく実施する必要があ
る。重点的にエネルギーを使用する職場では、エネルギーの節約や管理
を徹底し、工業、建築、交通などの分野においては、エネルギーの消耗を
低減する技術改造を即座に実行して、2020 年までに単位当たりの石炭
の排出量を従来の基準値から更に 0.57t 分減らすことを目標としている。
発展を奨励している国の政策に合致した資源の総合利用プロジェクトと
しては、ゴミ焼却による発電システム、余熱を利用した発電システムなど
のプロジェクトがある。電気を利用する需要側に対しては管理を強化し、
節電管理のしくみを長期に亘って有効的なメカニズムとして定着させる。
また、用水総量のコントロールと定額管理を実行し、2020 年までに工業
用水の再利用率を 80%にまで高めて、都市部においては再生水利用シ
ステムを構築、クリーン生産の推進計画を制定し、企業に対するクリーン
生産指導と監視実施する。循環経済推進計画の制定に関しては、資
源を節約することと循環型経済を発展させることを比較考量し、地方に
おける価格や財政施策においてどちらが有利かを積極的に模索する。循
環型経済発展の要求水準に適合した工業団地を作り、資源の効果的
な利用や循環利用による新たな産業リンケージを創出する。「節能・節
水・節材(エネルギー・水・原材料を多く使わない)」製品の生産を奨励し、
リサイクルとエコカー生産を推進することにより、健康的且つ文化的な省エ
ネ生産・消費モデルを構築する。
(3)汚染改善の速度向上
予防を主とした包括的整備の方針を堅持し、環境管理レベルを高め、
環境管理メカニズムを一新し、人々の身体や健康を損ない経済や社会
の発展に影響をもたらす突出した問題を適切に解決する。厳格且つ有
効な措置を採り、汚染物質の放出量を減らし、産業構造を科学的に計
画して、産業転換の過程における汚染の拡散を回避する。工業企業に
ついては工業団地・産業パークに入居するよう指導し、廃水の集中的処
理を行う。都市の汚水処理施設と下水道網の建設計画を加速化し、
既成の施設については運営と管理・監督を強化する。都市のゴミ処理施
設の建設計画もスピードアップし、ゴミ回収・輸送システムを整備する。省
境における水質管理・監視測定及び川への汚水排出場所の監督管理
を強化する。水環境管理を強化し、広東省、香港及びマカオ間の協力
を推進し、共に協力して珠江デルタ地域全体の水質を改善し、水全体
の汚染度を改善し、汚水処理レベルを向上させる。飲料用水の水源地
の建設と保護を強化し、飲料用水の安全を確保し、陸・海を統一的に
管理することによって海岸付近の海域汚染を抑制する。大気の複合的
な汚染監視測定及び防止のシステムを作り、大気中に発生するスモッグ
問題の解決に取り組む。農業環境汚染問題にも積極的に取り組み、家
畜や水産養殖の汚染を重点的に抑制する。固体廃棄物処理を強化
し、残留性有機汚染物質や重金属等の土壌汚染物質を効果的に抑
制すると同時に処理にも一層力を注ぐ。これによって農耕地の質を改善
し、農業生産の安全性を確保する。より厳しい地域環境基準を制定、
環境保全インフラ建設を包括的に計画し、環境管理体制の刷新と先行
実験を奨励し、価格・財政・金融等の経済手段を十分に活用して、政
府・企業・公民其々が責任を負い、効率的に運営できる環境管理シス
テムを率先して構築する。2012 年までに、都市汚水処理率は約 80%、
都市生活ゴミ無害化処理率は約 85%、工業廃水の基準達成率は約
90%を達成する。2020 年までに、都市汚水処理率を 90%以上、都市
生活ゴミ無害化処理率を 100%にまで引き上げ、工業廃水についても
完全な基準達成を実現する。
(4)生態系の環境保護強化
地域の生態安全構造を最適化し、珠江水系、沿海の主要な緑化ゾ
ーン及び広東省北部山系を主要な枠組みとする地域生態安全システム
を構築する。生態系機能が高い地区を保全し、自然保護区及び湿地
保護プロジェクトを促進し、河口及び沿岸海域の生態系統を修復させ
る。また、沿海の防護林及びマングローブ林植林、並びに珠江河岸の防
護林植林プロジェクトに力点を置き、森林運営を強化し、森林の質と機
能を向上させ、本来の生態系構造を維持する。珠江流域の水源保全
林植林と保全にも一層力を注ぎ、土壌流失に総合的に対処する。都市
景観林、都市中心部の公共緑地、都市周囲の緑化ゾーン建設を推進
し、都市と農村の一体的緑化を促進し、高速道路と線路沿い緑化を加
速化させ、農地保全区や農地林等の緑化された開放的空間を保護
し、ネットワーク化された地域生態ゾーンを形成する。生態保全の等級別
コントロールを実施し、流域や地域の総合的な生態補償メカニズムの構
築を探求する。2020 年までに、都市の一人当たり公園緑地面積を 15
平方メートル、生態公益林を 90 万ヘクタール、自然保護区 82 ヶ所の建
設をそれぞれ完成させる。
9.社会事業発展の強化
民生の改善を重点とし、様々な社会事業を大いに発展させ、人民全
体が学びたければ学ぶことができ、働けば対価が得られ、病になればかか
ることのできる医者があり、老いれば養われて住む場所があるという状況を
目指す。全国的に高レベル、高品質の社会事業発展モデル地区を作り
上げ、人の全面的な発展を促進し、人民の幸福及び社会の調和の取
れた進歩を実現する。
(1) 教育分野の優先的発展
- 基礎教育のしくみを最適化する。義務教育運営資源を合理的に
配置し、常住人口子女への義務教育機会平等の問題を段階的に解
決する。実際の状況及び地方財政の総合計画を考慮し、学前教育か
ら中等教育の普及を段階的に実現する。中等職業教育を重点化し、
職業教育を大々的に発展させ、農村中等職業教育の無償化を率先し
て実現する。企業と学校との提携を奨励し、集約的な職業教育訓練基
地を建設し、広い地区に職業技術教育資源を分散配置している実情
に照らし、珠江デルタ地域を我が国南部における重要な職業技術教育
基地へと成長させる。高等教育普及レベル、及び大学科学技術の刷新
とサービス能力を一層向上させる。
- 新しい思考とメカニズムで高等教育のレベル向上を推進する。香港
・マカオの有名校が珠江デルタ地域にて合弁高等教育機関を創設する
ことを支援し、海外の組織が合弁で開学する権限を緩和し、幅広い分
野且つ多様な方式のアイディアで人材育成提携事業を誘致し、人材育
成のための体制を最適化する。国家が重点的に進めている大学設立へ
の支援を強化し、2020 年までに、3~5 箇所の海外の著名大学を誘致
し広州、深圳、珠海等の都市と合弁で高等教育機関を創設し、国内
一流且つ国際的にも通用する先進的なハイレベルの大学を 1~2 校作り
上げる。
- 国家教育総合改革のモデル地区を作り上げる。中長期教育発展
綱要を設定し、様々な形式の開学・運営モデルを率先して探求する。受
験教育モデルを改革し、素養教育を全面的に実施する。教学改革及び
教員養成改革を積極的に推し進め、人材育成モデル改革を深化させ、
人類文明の成果が伝承してきたルールに適した教育方式を模索する。
高等教育機関開学自主権を拡大し、高等教育機関整備モデル改革を
推進する。公的資金を主として、多様なルートで教育経費を調達する教
育経費保障システムの整備を主体的に探求する。
(2) 医療衛生サービスの整備
公共衛生及び医療サービスレベルを向上させる。疾病予防コントロー
ル、婦人及び乳幼児健康管理、精神衛生、職業衛生等の公共衛生
機関の建設を強化する。重大疾病の予防、医療究明及び衛生監督体
系の構築に力を注ぎ、突発的な公共衛生事件の応急処置能力を向上
させる。都市と農村の基層医療衛生サービスシステムを大いに発展させ、
医療衛生サービスレベルを向上し、人民の診療問題を適切に解決する。
愛国衛生運動を深化させ、国家衛生鎮を普及させる。2012 年までに、
都市と農村住民を包括的にカバーする基本医療衛生制度を率先して
成立させる。2020 年までには、都市と農村住民の誰もが良質な医療衛
生サービスを享受できるようにする。
- 医療衛生資源配置を最適化させる。大型医療設備、検査機器
を包括的に計画・使用し、外来と緊急のカルテを一本化した医療機関の
医学検査を開始し、医学映像検査の結果を相互認証し、実際のサービ
ス人口等の要素を考慮して大型医療設備の配置数量を確定する。医
療衛生資源を農村基層部や、都市コミュニティに傾斜させる。高度な医
療人材と基層部に向けた実用的な衛生人材の育成と誘致を包括的に
計画する。予防保健医療サービスにおける中医学独特の長所を充分に
生かし、基層医療衛生機関の中医学科及び漢方薬剤室の標準化及
び規格化された設立を加速化し、中医学によって「未病を治す」という予
防保健サービスネットワークを率先して構築する。
- 医療衛生機関管理体制と運営システム改革を推進する。公立病
院改革パイロット基地を作り、薬で医療を補うというスタイルを打破し、公
立病院による経済補償メカニズムを整備する。非公立医療衛生機関の
発展を積極的に促進し、投資主体が多元化或いは投資方式が多様化
した医療機関設立体制を確立する。政治と実務、管理と運営、医療と
薬剤、営利性と非営利性を明確に分けた実現形式を模索し、医薬衛
生体制改革でモデル地区としての役割を果たす。
(3)健全な住宅保障体制の構築
- 公営住宅建設を推進する。廉価の住居及び経済的に適用される
住居建設の用地確保、税や経費減免等の優遇政策を徹底し、公的資
金の投入額を増やして廉価の住居を低所得で住居に困っている層の人
達への保障を強化する。
- 住居の貨幣による分配及び政策的な賃貸メカニズムを整備する。
住居の金銭的助成の基準を不動産市場の価格及び住民の収入レベル
の状況に応じて調整するメカニズムを整備する。住居の公的積立制度を
整備し、住居公的積立金の総所得に対する比率を適切に引き上げ、
公的積立金が住居保障面で役立つようにし、労働者の家賃支払い能
力を強化する。政策的賃貸住居制度を推進し、就職した新たな労働
者、低・中所得で住居に困っている家庭及び規定条件に合う暫定居住
者の基本的な居住ニーズを満たす。
(4)就業と社会保障体制の整備
- 雇用を促進する政策体制とサービス体制の整備を加速化する。
雇用を促進する各種の優遇政策を実行し、都市と農村、及び省内外の
各グループの労働者の雇用を統一的に計画する。農村労働者の職業
技能訓練を強化し、転職能力を高め、珠江デルタ地域を全国農村労
働者の転職技能訓練モデル基地へと発展させる。労働者の職業技能
資質を高め、全国一流の職業技能開発評価モデル基地を建設する。
起業支援策及び起業サービス体制を整備し、起業訓練を強化し、起業
が雇用を産む全国的な基地を構築する。労働契約制度と集団契約制
度を全面的に実行し、労働保障監察システム及び労働争議調停仲裁
システムを整備し、法律に基づいて労働者の合法的権益を保護する。
安全な生産の監督管理を強化し、職業病の防止と治療を強化する。
- 都市と農村の全ての人民をカバーする社会保障ネットワークを整
備する。健全な高齢者保険制度を成立させ、都市部の基本的な高齢
者保険の範囲を拡大し、基本的な高齢者保険の個人口座を段階的に
開設し、高齢者保険の省レベルの統一的計画を実行する。新しい農村
高齢者保険制度を構築し、早期に高齢者保険への転換を推進する。
2012 年までに、都市戸籍の就業者保険加入率を 95%以上、外来労
働者の保険加入率を 60%以上まで引き上げる。その中で、強制収用さ
れた農民の保険加入率については 90%以上を実現する。都市と農村に
おいて、基本医療を保障し、各階層のニーズに応える医療保障システム
を整備し、全人民の医療保険を実現する。失業保険制度改革を深化
させ、職務傷害保険及び生命保険のカバーする分野を拡大する。全て
の雇用機関が法に基づいて農民工が職務障害保険に参加するよう奨
励し、国家級の職業傷害リハビリ基地を建設する。都市と農村の退職
者を対象とした社会的な管理サービスシステムを段階的に構築する。最
低生活保障を基礎とする社会救済体系を整備し、社会福祉、軍人家
族への支援、災害緊急保障制度を強化する。社会保障の待遇調整メ
カニズムを作り、社会保障レベルを段階的に向上させる。2020 年まで
に、比較的整備され、有効的な保障が約束された社会保障体系を作り
上げる。
(5)協調的文化の構築
- 公民の文明的素養を向上させる。社会主義の核心となる価値教
育モデルを刷新し、社会主義の中核となる価値体系を国民教育と精神
的文明の構築プロセスに組み込む。中華民族の優秀なる伝統文化と嶺
南地方の特色ある文化を発揚し、起業、自主創新、及び誠実を旨とす
る精神を育て、時代的特性のある新時代の広東人精神を打ち立て、物
質文明と精神文明の共同発展を促進させる。信用第一とする意識を重
点とし、社会道徳、職業道徳、過程の美徳や個人の品性を向上させ
る。学習型社会を作り、学習を愛し、知識を尊ぶ良好な環境を構築す
る。
- 都市と農村をカバーする公共文化サービス体制を構築する。基礎
文化設備の網羅プロジェクトを終えた市、県(市、区)、郷鎮(街道)、行
政村(社区)という 4 クラスの公共文化設備ネットワークが、2012 年まで
に、基層文化建設に関する各主要な指標を全国のトップレベルに達し、
都市の「10 分の文化圏」及び農村の「10 里の文化圏」を作り上げ、都
市と農村の人民が無料で各種公益文化サービスを享受できるようにす
る。公共文化サービス方式を一新し、健全な文化情報資源の共有ネッ
トワークサービスシステムの建設を加速化させ、公共文化流動サービスプ
ロジェクト建設を促進し、全国的な公共文化建設のモデル地区を設立
する。文化遺産資源を積極的に発掘・修復し、歴史的科学的価値の
ある文化遺産を効果的に保護し継承する。2020 年までに、良質のサー
ビスを提供し、社会全体をカバーした公共文化サービス体制を成立させ
る。
- 文化の刷新を促進する。文化体制改革を深化させ、国有経営に
よる文化機関を企業へと移管(民営化)、健全な文化産業競争メカニズ
ムを構築し、多元化・市場化された生産と消費を育成し、活力ある文化
商品生産とサービス運営メカニズムを形成する。ハイテク文化人材誘致
プロジェクトを実施し、優秀な文化商品創作を奨励し、優れた文化芸術
ブランドを打ち立てる。先進的文化の発展を推進、積極的に向上させ、
明確な特長を持ち、構造が最適化され、科学技術を多分に含んでいる
文化産業体系を作り上げ、人民の多元的且つ多様な精神文化ニーズ
に一層応えられるようにする。2020 年までに、文化産業が域内GDPに
占める比率を8%まで引き上げる。
10.体制再構築による新たな優位性の創出
珠江デルタ地区は、経済特区の試験地としてのモデル的役割を引き続
き果たし、行政管理体制改革を契機に経済体制と社会管理体制改革
を深化させ、民主的な法制度を整備、重要な分野及び局面で先行的
に実験を行い、健全な社会主義市場経済メカニズムを率先して作り上
げて科学発展に強い原動力を提供する。
(1) 行政管理体制の革新
- 中国特有の社会主義管理体制の全体的な需要に依拠し、経済
段階、市場監視、社会管理及び公衆サービスの基本定義に基づき、循
環を整理、統一し、効率の改革方向、職務の効力を転換、関係を整理
し、構造を優良化し、市場が資源分配の中で果たす役割を十分発揮
し、サービスする政府、責任を果たす政府、法制政府、廉潔な政府を目
指す。政府と企業、資金、市場仲介組織との分立を徹底し、市場経済
で調整できることは市場に任せ、企業が自主的に決められることは企業
に任せ、社会組織が解決できることは社会組織に積極的に管理を任
せ、政府が負担すべき責任は着実に実施する。政府は国家のマイクロ経
済政策の実施に集中し、発展環境を改善、経済発展を遂行し、就職
率と社会保障を促進し、市場管理を強化し、市場秩序を整備し、社会
事業の発展を加速し、確実に生体環境を保護する。公衆突発事件に
対しては社会治安総合能力を強化する。財力と権力を調和させる原則
の下、各地方政府の財務基盤を科学的に配置し、サービス提供能力を
強化する。さらに垂直管理部門と地方政府との責任と権限を整理・明
確化する。一連の施策を打ち出し、政府の主要な責任の確認、審議、
責任追及制度を完備する。
- 政府の組織体制と執行体制を更に最適化する。深圳市等が市
毎の決済権、執行権、監視権を持つことを尊重し、相互牽制と相互協
調の要求に基づき、政府機構の中で職務能力が有機的に統合されてい
る大部門体制を率先して追求し、時期が成熟した暁には珠江デルタ地
域及び全省でも本体制を導入する。条件を満たす一部の地方行政機
構を選択し、科学化、規範化、法制化のための管理テストの拠点とし、
機構編成、財政予算、組織人事管理の協力体制を模索して、行政事
業編成を合理的に配置する。また、経済発展の需要に応じて条件を満
たす地方を選択し、合理的な行政計画の調整を行う。直轄県体制をテ
ストするに当たり、県政府の経済社会管理権限を更に拡大する。積極
的に郷・鎮の機構改革を推進するに当たっては、人口規模と経済力のあ
る中心鎮に対し部分的に県級の経済社会管理権限を与え、県級政府
駐在地と緊密な連携を持つ郷鎮に対しては条件が揃った時点で県級政
府の派遣機構として扱い、更に大規模化と都市化が進んでいる特大型
郷鎮に対しては、地級市管轄区として独立させる。また、郷鎮事業所の
管理体制を更新し、新型農業の社会化サービス体制を構築する。
- 政府管理とサービス方式を改善する。行政審査制度改革を進め、
継続して行政審査項目の整理・調整を行い、行政審査規範を削減す
る。中山市を新型審査方式改革の拠点とすることをサポートする。企業
登記方式を改善し、告知承諾制を試行、行政事業性料金請求改革を
推進して料金請求項目を減らし、率先的に珠江デルタ地区で審査管理
「ゼロ請求」制度を実践する。部門間における統一ネットワークの電子政
務スタイルを確立し、オンラインによる事務処理と政務処理を積極的に推
進する。行政監督制度を完備させ、省、市、県、鎮級の電子監査系統
の四級連合ネットワークの推進を加速する。政務の公開を推進し、政府
情報発表制度を完備し、政務情報が経済、社会活動と人々の生産、
生活をサポートして行けるように、その役割を充分に発揮させる。行政企
画と行政指導、委託購買サービスと契約式管理を拡大、現代行政管
理方式を推進し、管理コストを引き下げて、業務効率を向上させる。政
府管理方式が、規範的で、秩序があり、公開的で透明性があり、人民
にとって利便性が高く、効率的な行政が実現できるよう根本的な改善を
実施する。
- 責任と権限の一元化要求に基づき、専門的な管理はより集中的
に、総合的な管理は下部に権限委譲する都市管理体制を構築する。
行政法施行資源の整合性を高め、総合的な行政法施行体制を整備
し、行政法施行の段階を減らし、政治が多方面に関与することを防止す
る。政府内部の関連部門間における情報共有と連動可能な業務体制
を作り上げる。行政法施行の争議、協調規制を完備し、行政法施行責
任制、審査制と責任追究制を完備する。都市の公共事業改革を推進
して、多元的な投資機会を創出するとともに効率的な投資運用システム
を整備する。公共事業の建設と市場を段階的に開放、公共事業の監
査方式を刷新し政府、民間、社会の三位一体、有機的な監査システム
を構築する。
(2)経済体制の改革深化
- 農村経済システムの改革。農村の基本的な経営システムの安定
化と改善のために、現在の小作農制度を長期的に維持し、関連する政
策を法制化する。農村における新たな共同体を育成し、農村に特化した
サービス体制を発展させる。農村共同体の改革を積極的に推進し、農
民が経営の主体となるようにする。農村下請け経営と、払い下げ市場を
活性化し農村経済を発展させる。力のある地方の様々な大規模経営を
支援する。農地登記および証明書発行を全面的に推進し、農村におけ
る各種登記資料の収集、整理、共有、支払い管理を滞りなく完了し、
登記項目についての検索サービスを提供する。検地改革を一層進めると
同時に検地範囲を縮小、検地補助制度の改善を促し、法律に基づい
て集合田畑の測量を行い、公正な基準を以って速やかに共同体及び農
民に合理的な補助を支給する。更には、検地対象の農民の就業、住
居、社会保障を実施する。共同体の建設用地の使用権取引、転売を
促進し、集合体及び国有地の土地価格基準の標準化を実現する。宅
建管理制度を刷新し、宅建管理の厳格化と法律に基づいて農民の宅
地権を保障する。鎮区域の建設用地の増強と農村建設用地の削減を
同時に進め、土地利用におけるシステム有効化と最適配置を行う。農業
の保障制度を整備し、村級の公共事業に対しても新しい制度を確立す
る。村級の公共建設工事に関する財政支援、報酬制度を明確化し、
農村の信用度に応じて農村金融サービスの新たな活路を開く。恵州、仏
山、中山などを郷鎮の調達改革の試行地域として発展させることを支持
する。
- 財政と投資システムの改革。基本的な公共サービスの標準化と主
要施設の建設要求に基づき、財務システムの改善を図る。予算編成、
執行と監督審査において、相互牽制と相互協力が機能する体制を構築
する。健全な財力と利権の関係を保ち、各級毎の収入・分配と支出の
バランスを取り、財政支出の構造調整と公共サービスの標準化を重点的
に実施する。主体的機能の要素を取り入れるのと同時に、支払い方法
については健全な転換を実施する。財政資金の分配方法の改革を行い、
制度の改善と健全化のプロセスを通じて公平且つ透明な財政資金管理
制度を作る。投資プロジェクト管理に当たっては、地方政府による投資プ
ロジェクト批准権を拡大する。政府の投資管理制度を改善し、規範的
な政府投資のあり方として、政府投資プロジェクトの公示を試行する。
- 金融改革と刷新。金融改革と刷新を先行して実施する上で、刷
新総合試行区域を設定する。条件に符号する企業には企業債券の発
行を認め、投資ファンド機構を育成する。起業の資金調達の需要に応え
るためファンドを設立し、企業投資を活性化して、中小企業の資金調達
形態を刷新する。中小企業の信用担保ファンドと地域性再担保機構の
設立を積極的に進め、小規模、中小の投資会社の発展を促進する。
金融業の経営総合化を緩やかに推進し、人民元債券の展開を慎重的
に進める。各種経済主体の為替リスク管理の目的で、短期輸出信用保
険市場の設立を検討し、輸出信用保険がカバーできる範囲を拡大し、
海外志向企業のグローバル化を支援する。国家の外貨管理改革の下、
海外投資に関する外貨管理改革を進め、条件に見合う企業をに限って
は、国際貿易の決済通貨として人民元を試験的に適用する。内部管
理・監査及びリスク回避の体制を健全化し、金融の監督・管理を強化し、
金融リスクの防止・解消に努める。
- 企業体制の改革。先進国の国有企業の進歩的な経験を取り入
れ、国有資産の運営及び監督・管理モデルを改新する。国有資産の流
動体制を合理化・健全化し、国有経済の配置と構造調整を加速し、国
有企業の株式会社化の改革を積極的に進める。国営・民営混合の所
有式経済の発展に力を入れ、総合的な改革を経た国有企業の株式市
場上場を推進し、延いては国有経済に活力を与え、国有企業の統制
力と影響力を向上させる。国有資産を積極的に重点分野、基幹産業
及び先導型産業に集中投下することを推進、近代的企業制度を確立
して、「人」ではなく「法」によるガバナンス制度を導入する。国有企業の経
営人材の選抜・任命制度を改革して健全化し、プロのマネジャー人材市
場を創出する。国有企業のリスク管理体制を確立・健全化し、多種多
様な新型民衆経済を探索し、発展させる。資本転売、株式の構造調
整、M&A及びその他の有効な手段を運用しながら民衆経済の改革を
促進する。民営経済の発展に力を入れ、非公有企業の投資分野を広
げて投資の業種制限を緩和し、非公有企業を合理的に誘導して金融
サービス産業、市政公共事業、インフラ設備建設の分野に参入させる。
非公有企業の自社改革を奨励し、近代的経営を取り入れて規模の拡
大と体質強化を目指すことを支持する。
- 市場環境を健全化する。電気、石油、ガス、水、鉄鉱石など資源
性製品とその価格に関する改革を推進し、市場の需給関係に基づく価
格変動システムを確立する。具体的には、資源の稀少性・供給状況に
加え、環境に関わる費用を反映した価格メカニズムを導入する。土地の
供給制度を改革し、販売向け土地の使用権入札・競売・売値表示体
制を健全化にし、市場体制が土地資源を配置するに当たっての基礎的
役割を強化する。更に行政主導による寡占や特定地域の封鎖政策を
撤回し、市場経済への一本化を推進する。また、水管理の体制改革を
推し進め、行政執行、業界自律、メディアによる監督及び民衆参加を結
びつける市場監督・管理体制を健全化にする。市場監督/管理モデル
を改正し、行政執行と司法が繋がる監督/管理体制を確立する。市場
の経済秩序を規範化し、商品の品質の監督・管理を健全に実行できる
体制を作る。社会の信用システムの確立を加速し、組織コード及び身分
証明書番号をベースにした実名制の信用システムを導入する。企業の信
用警告、信用懲罰及び信用予告体制を健全化し、誠実かつ信用でき
る社会環境を作り、適度に開放された信用サービス市場の構築を模索
する。現行の法律・規定を整理しながら完備するに当たり、経済秩序を
規範化し、安定した政策及び法制環境を作ることに尽力する。
(3) 社会管理体制の改革推進
- 社会管理制度を改善し、社会管理方式を改正する。先進国の
進歩的経験を取り入れ、公共管理の構造を改善する。基層レベルにお
ける管理体制の改革を推し進め、政府と地方自治の組織関係を整理
する。社会管理の資源を統合し、基層レベルの自治機能を強化する。
社区管理体制を改善し、社区共有資源の共有及び総合管理の体制
を取り入れて、治安管理を都市管理、市場管理、業界管理等と結合す
る新型管理モデルを構築する。珠江デルタ地域は、先頭に立って全面的
に政府部門の各種類別の改革を完成させる。公共サービスについては、
政府の直接供給、政府委託を受けた民間供給及び政府購買など複数
の方式を取り入れ、多元化サービスの供給モデルを形成する。公共サー
ビスの提供に当たっては、社会組織及び企業の参加を奨励し、公共サー
ビス提供の能力と効率を向上させる。積極的にボランティアを育成し、社
会組織の登録手続を簡潔化して、珠海市やその他の都市における社会
管理の試験的総合改革をサポートする。
- 収入構成の調整。国民の収入構成を調整するために、段階的に
住民の収入を増やして行く中で労働報酬に当たる部分を初回配分中に
占める比率を高める。これは、労働報酬の初期分配率を引き上げること
を意味しているが、最低労働賃金の基準を定め、経済発展及び物価上
昇の要因を加味して給与金額を決定するシステム構築が前提条件とな
る。更に、給与に関して、集団協議、最低賃金保証、給与支払い保
障、給与指導ガイドラインや企業給与調査等の制度を確立し、低所得
労働者の給与水準向上や、段階的な定年退職者の収入基準引き上
げを実施する。また、住民の中でも特に農村住民の(仕送り等による)財
産転移型収入の増加も念頭に入れ、同時に農民の自主収入の継続
的増大が望めるような制度の確立も検討する。収入構成の調整を進め
ることにより、社会階級間の収入格差が縮小することになる。
- 戸籍管理制度改革。まずは都市、農村住民における戸籍の統一
登記管理制度を導入する。戸籍移動の政策について改革と調整を推
進し、外来人口を地元の社会に馴化させた上で管理を行う。更に、流
動人口に対するサービスの向上や管理体制の刷新を進め、併せて中小
都市居住枠の条件を緩和することによって、実際に都市で安定的に就
労・居住している農村戸籍者が都市住民として登記変更することを認め
る。産業シフトの要求に適応し、中級以上の技能を有する流動性のある
就労者についても都市戸籍取得の対象とする。また、積上点数方式に
よる流動人口の管理方法の導入も検討中であるが、これは流入者を都
市社会に融合させる役目を果たして行くことになる。居留証及び「一証
通」の制度により、流動人口に対する管理・サービスを強化し、広東省在
住の外省人の登記管理制度についても整備を進める。
(4)民主法制の構築推進
- 法治政府の構築に注力。法に基づく行政及び規範的な法の遵守
を堅持し、厳格に法定権限や法定秩序に基づいた行政を執行して、法
律の権威を維持・保護する。権利と責任の一体化を進め、権力を用い
るに当たっては相応の監査を受け入れ、権利を侵すことには賠償責任が
伴い、法を侵せば責任を追及されるという法的意識を強化する。公務員
の法制に対する責任意識を強化し、法に基づいた行政責任制度を全面
的に取り入れる。政務内容を公開し、法律行使の効果向上、法律執
行の際の監督強化、科学的且つ厳格な法治評価体制を確立する。同
時に、司法の公開を推進、公正な司法を保証し、司法による救済や法
律的な支援を強化して、立法方式改善のために多方面に亘る法規規
則を起草する制度を導入する。制度上からの立法起草、諮問論証シス
テムの有効プロセス確立を目指し、健全な立法公聴会を開いて市民参
加型の政治制度を確立する。
- 政策決定における科学化・民主化の推進。重大な政策決定にお
ける規則や手続を完備するために、重用事項の健全な集団決議に当た
っては、専門家によるコンサルティング、市民参加によると決議と評価等が
可能な制度を取り入れる。同時に、重要決議のフィードバック機能と責
任追及制度を導入し、人民代表、政治協商会議委員の監督と政治参
加、議会制度と選挙制度の確立を目指す。重大な決議に際しては、民
主党派と無党派からの意見が反映される規則としくみを構築し、制度
化・規則化を進める。市民に政治参加を呼びかけ、市民が法に基づいた
権力の行使と義務の履行を実践するように導いて行く。更にマスメディア、
世論やインターネット情報に対する監督を強化するほか、科学的決議・
手続に関する研究と制定を強化し、知る権利、言論の自由、参政権、
監督権等の合法的権益を保障する体制を作る。基層における民主制
度の健全化と発展を図り、市民がより多く、より現実的な民主権利を享
受できるようにする。
(5)経済特区における改革開放先行事例の活用
経済特区は全国の改革開放のシンボルであり、新たな歴史のページが
開くに当たって、継続的に先駆的な立場を貫き、大胆な挑戦の実行、改
革開放政策の深耕において推進役という大きな役割を担っている。珠江
デルタ地区は、全国規模で改革開放政策を推進する中で、窓口機能の
みならず、試験的で規範となることを期待されており、思想を解放し、改
革開放を推し進めるにあたって、科学発展観と社会主義の調和が取れ
た社会の構築において先頭を走る存在である。経済特区とりわけ深圳特
区総合改革試験区においては、総合的な改革全体方案の制定に基づ
き改革を推進し、その過程で直面する難題解決に当たっては試行錯誤
が許容されており、特に重点領域のプロジェクトにおいては新たな突破口
を切り開くことを率先して行うことが認められている。
11.開放・合作の新メカニズムの構築
広東・香港・マカオ合作区は、より一層「窓口」としての機能を発揮し、
汎珠江デルタ地区の域内協力及び中国-アセアン自由貿易圏構築に
おける重要なプラットフォームと位置づけられる。同地区は、対内外開放
に当たっての大きな推進力であり、全面的に世界の主要経済との貿易や
国際分業に参画し、率先して進むべき方向を示して、多層的、広域的、
高レベルの開放型経済の局面を形成する。
(1)開放型経済水準の向上
- 対外貿易発展方式を刷新する。全国の「龍頭」として模範を示
し、輸出入のメカニズムを改良、品質重視の政策を堅持し、対外貿易を
製品貿易型からサービス貿易型への転換を推進・加速する。積極的に
対外貿易経営方式の転換を進め、グローバル資源の活用、産業を国際
チェーンに乗せて貿易を振興する。加工貿易の産業チェーンへの延伸を
推進し、一定の規模を保ちながらOEM生産・委託生産形態から自社ブ
ランド生産への転換を進め、設計開発能力・ブランド力を向上させて内
販を増やし、全国の加工貿易の構造転換のための模範区と生まれ変わ
らせる。また、科学的計画を導入し、税関の特殊監督区、保税区業務
の監視網を確立して、珠江デルタ地区の保税加工業、保税物流業の
健全な発展をサポートする。また、全国税関特殊管理区域計画におい
て、白雲空港内に総合保税区の設立を推進し、金融・ソフトウエア・文
化サービス貿易を発展させるため国際サービスのアウトソーシング基地を
立ち上げる。率先的に安全・環境・技術・労働に亘る国際基準に適合
した品質水準を達成し、電子通関システムの導入、通関検査・検疫な
どの面で規範化・国際化・利便化を推進する。全貿易額に占めるサービ
ス貿易の比率を 2012 年に 20%、2020 年には 40%以上にまで引き上
げることを目標とする。
- 外資の活用レベルを引き上げる。フォーブスの世界ベスト 500 企業
やグローバル企業、海外のトップクラスの企業を積極的に誘致し、低生産
性、高汚染、高エネルギー消耗型の外資企業の参入は厳格に制限する。
外資の中でも高度新技術産業、近代的サービス産業、研究開発センタ
ー、物流センターなどを優先的に引き込み、資源・交通・環境・物流・旅
行の各領域で国際合弁を積極的に誘導する。また、金融・教育・医療・
文化などの領域においても、中外合資・合弁を試験的に積極誘致す
る。海外の優秀な人材が同地区において創業・投資することを奨励し、
海外の資金・先進技術・管理経験や高い資質を持った人材を取り入る
など、外資を活用することによって、製造業中心の産業形態からサービス
業中心の産業形態への転換を図る。
- 海外進出(「走出去」)戦略の加速。条件に適合した企業は、国
外で生産基地・物流センター・研究開発センターを設立することを認め、
経済貿易協力区、発展域外資源共同開発、国際労働協力、国際製
造受託を奨励し、国外で鍵となる技術を持つ中小企業、研究開発機
構や販売網の買収を進める。国内企業の海外進出戦略を支持し、企
業全体の協調メカニズムを構築し、資金調達、外貨管理・審査、人員
の選出、貨物の通関、検査検疫、プロジェクト管理などに亘って効率的
な域内推進体制を確立し、領事保護、危機管理、情報連絡、政府協
調など各方面において域外向けサービス体制を充実させる。2020 年に
は 10 ヵ年で営業収入が 200 億ドルを稼ぐ本土のグローバル企業を育成
することを目標とする。
- 規範化・国際化された商環境の構築に向けて努力する。国際慣
例や規則を合理的に利用し、国際規則・基準の制定に積極的に参画、
主体的にそれらに適合する体制機構を設立する。法令遵守の精神、法
治の概念や商業信用意識を強化し、法制度、透明且つ安定的な商業
制度と規範的な商業紛争解決システムを完備し、国際規則を熟知した
金融・法律・会計方面の専門人材を育成する。企業の設立、営業許
可、人材の招聘、事業登記や国境を跨ぐ交易など各方面において便宜
を供与し、効率的なサービス、投資者の権益保護などを提供する同地
域は、香港・マカオと共に世界でも最も事業環境の良い地域のひとつであ
る。
- 国際金融危機に積極的に立ち向かう。国際金融危機を事前に
予知・防備するためのメカニズムと国境を越えた健全な資金フローをコント
ロールするしくみを構築する。国際金融システムの創設と国際協力によっ
て、国を跨る企業買収、国際産業の技術標準の調整、国際貿易紛
争、為替レートの変動、国際資源の価格変動などから引き起こされる危
機に備える。
(2)香港・マカオとの緊密な協力関係の推進
- 重要なインフラ施設の結合を推進する。互恵の原則に基づき、香
港・マカオとの協調・協力を強化、その優位性を十分に発揮するために、
香港・マカオとの間で、都市計画、鉄道交通網、通信網、エネルギーイン
フラネットワーク、市内の供水など各方面の一体化の推進をサポートす
る。広州-深圳-香港の客運専用線の建設を加速し、香港-珠海-
マカオ大橋の建設と深圳東部国境高速道路と香港西部の市街地を連
結する高速道路の基礎設備建設を加速し、蓮唐/香園圏港湾計画
の実行、港・埠頭・空港の基礎建設、運営と管理面における協力を積
極的にサポートする。環珠江地区の港湾重点計画の共同実施をサポー
トし、香港・マカオの税関との協力を積極的に推進する。港湾における通
関業務の改革を進め、各税関が監督・管理情報を共有するしくみを作り、
密輸を厳しく取り締まって知的財産権保護面における協力関係を構築
する。広東省と香港・マカオ地区間の人的往来の利便性を図り、「144
時間便利免簽証(144 時間以内はビザ取得不要)」の発行を推進す
る。
- 産業面での協力を強化する。全力で珠江デルタ地区の香港・マカ
オの加工貿易企業の産業チェーンを延伸し、近代的サービス産業と先進
的製造業の発展に向け、工程転換とレベルの向上を実現する。同時に、
労働集約型産業のスムーズな業態転換をサポートし、香港資本企業と
協力して内陸地市場の開拓を推進して、外部の経済環境の急激な変
化にも対応ができる体制を作る。内陸と香港・マカオとの間の「経済貿易
緊密化協定(CEPA)」を深化させ、香港・マカオに対して優遇措置を付
与して、スムーズな先行実験を実施する。香港・マカオのサービス産業と
の協力・発展をサポートし、香港の国際金融・貿易・運輸・物流・高付
加価値サービスと、世界的なマカオのレジャー・遊興センターとしての地位
を確固たるものにする。上と下の自由な往来と地域による不均一な発展
状態を堅持し、香港・マカオの金融業との間の協力関係を強化する。香
港・マカオ地区の銀行における人民元業務を段階的に開放し、対香港・
マカオ地区との貿易については人民元取引を試験的に認める措置を採
る。国際物流業を共同して発展させ、展示会産業、文化産業、旅行産
業などを奨励し、銀行・証券・保険・評価・会計・法律・教育・医療など
の領域においても、異なる資格要件を相互に認め合い、これらサービス産
業の発展・創造の条件を整備する。珠江デルタ地区の企業が香港株式
市場において上場することを支持し、科学技術分野においては、香港-
深圳、香港-広東、珠海-マカオそれぞれが協力する体制を構築す
る。広州南沙新区、深圳前後海地区、深港辺境区、珠海横琴新区、
珠海マカオ両境地区などの合作区域を計画的に建立し、香港・マカオの
サービス産業、高度新技術産業分野における協力体制を強化する。広
東・香港・マカオの3地域における優位性の相互補完関係を発展させる
ことにより、連携して国際競争参画する。
- 優良な生活圏を建設する。教育・医療・社会保険・文化・危機
管理・知的財産保護などの方面における協力を進め、香港・マカオの居
留者に対しては、内陸における仕事と生活面における便宜が供与され
る。3地域の専門技能の訓練協力を推進し、協力して伝染病の情報共
有、防疫対応に最善を尽くす。突発的な公共衛生事件に対処する体
制を作り、食品、農産品の衛生事件についても相互に協力して検査を
行う体制を構築する。労働関係協調のしくみを作り、共同して珠江デル
タ地区内に優良なグリーン生活圏を建設する。環境汚染の連鎖を防ぎ、
汚染を治めるメカニズムを構築して環境を改善し、共同の環境生態保
護区を設けてダム取水区の保護を行う。香港・マカオと共同で省エネルギ
ー、再生エネルギーの研究を行い、クリーン生産方面における協力関係
を構築し、経済効率向上のために区域の資源需給ネットワークを整備す
る。香港・マカオの農副産品や水の質と安全を確保し、広東・香港・マカ
オのクリーン・エネルギー政策を支持し、段階的に全国他地域の自動車
燃料、船舶燃料の排出基準を統一化することに繋げる。珠江デルタの
大気汚染を改善し、地域の循環経済型産業の発展を支持して、広東・
香港・マカオにおける物品回収を奨励し、再使用・再生利用、ゴミのエネ
ルギー転換や廃棄物管理方式などにおける合作モデルの研究を進める。
- 新たな合作方式。香港・マカオとの協調的コミュニケーションを強化
し、経済・社会発展における協力関係を推進する。中央政府関係部門
の指導の下、広東・香港・マカオ3地区が自主的に拡大して合作の範囲
を策定することを支持する。広東・香港間及び広東・マカオ間でそれぞれ
行政首長が列席するハイレベルの会議を開催し、相互協力の実際的効
果を創出する。市場主義を堅持し、政府主導の原則の下、企業と社会
の組織的作用を一歩進めて発揮し、学術界・工商界において多様な交
流協力が可能なしくみを構築する。
(3)台湾との経済貿易協力水準の向上
珠江デルタ地域にある台資企業が、対台湾交易を拡大するための合
作領域を広げる。様々な交流の機会を創出することを支援し、協会・商
工会などの民間交流を増やして、経済貿易交流、業界内における協
力、合作フォーラムや視察ミッションなどを奨励する。台湾との間で経済貿
易、ハイテク産業、先進技術の製造業、近代化農業、観光、科学技術
イノベーション、教育、医療、社会保険、文化等の領域で協力関係を深
める。海峡西岸の農業合作プロジェクトを強化し、珠海金湾台湾農業
開発パーク、佛山海峡西岸農業プロジェクト実験区の建設を推進する。
台資企業に対して、良好なビジネス創出と快適な生活環境を積極的に
提供するため、台湾人学校の建設や、関連する医療施設の建設、労災
などの保険制度の確立を進める。華南地区における人的ネットワークと、
言語の共通性という優位性を通して、対台貿易を発展させ、台湾企業
との合作レベルの向上を図る。
(4)珠江デルタ地区域内協力の深化
珠江デルタ地域における協力体制を全国的に広げて行くことが包括的
な戦略であると位置づけ、合作を継続して深化させる。東部・中部・西
部地区の優位性の相互補完を促進し、良好な相互扶助関係のもと、
協調して発展を推進する。強力な指導と協調関係により、絶えず合作の
機会と計画を見直して、新たな協力のモデルを創出し、小規模の合作プ
ロジェクトチーム等の方式を取り入れて、協力体制の実績と効果を確保
する。資金・技術・人材・情報・資源などの迅速なフローを実現し、工業
地区間の協力を推進して、省境を跨ぐインフラと珠江デルタ地域を核とし
た周辺エリアへの交通網を整備する。また、西部から東部への電力輸送
を重要なエネルギープロジェクトと位置づけ、電力ネットワークの構築を進
め、環境保護プロジェクトの一環として、水源保護と汚染防止のプロジェ
クトを推進する。科学技術・人材・知的財産保護・観光等の分野におけ
る協力関係を構築し、域内共通の技術・人的資源プラットフォーム、バリ
アフリーの観光エリアを確立する。高速情報データベースの基礎を作り、
電子商取引を推進する。積極的に政治的障壁を排除し、企業に信頼
性のある情報を提供することによって、ビジネスチャンスを共有するシステム
を作り、連携体制の確立と監察制度の整備によって、迅速且つ公平で
開かれた一大市場を作り上げることを支援する。
(5)アセアン諸国などどの国際的経済地域協力の強化
国際経済地域及び新興市場において多層的・多面的・複数領域に
跨るグローバルな協力関係を展開することによって、多元的国際協力の
局面を構築する。中国-アセアン自由貿易協定の枠組みの下、東南ア
ジア各国の関連機構との対話・協調と友好省・友好都市関係の樹立を
支援し、民間交流、経済貿易商談会の開催に加え、文化交流を拡大
する。シンガポールなどのアセアン先進国との間で、経済・技術・工業区
管理・人材育成等多方面に亘る協力を推進する。先進的技術を有す
る企業の東アジアへの投資を支援し、エネルギー開発、マーケティング、イ
ンフラ建設、農産物や水産業の養殖加工技術など多方面での協力を
進める。アセアンに対する輸出入貿易を拡大し、アセアンとの観光業にお
ける連携を深めるため、旅行者ビザ簡便化措置のしくみを確立する。E
U、北米自由経済区とも経済・技術・人材・貿易等の多方面での協力
を拡大し、インド、ロシア、ブラジル、中東地区などの新興市場を開拓し、
グローバルな経済協力体制を構築する。オーストラリア、ニュージーランド
及び南アメリカ、アフリカ各国との間でも経済協力体制を構築し、グローバ
ル国際協力体制を発展させる。中国(広州)輸出入商品交易会、中国
(広州)中小企業展覧会、中国(深圳)国際ハイテクノロジー交易会、
広東国際コンサルティング会議、友好省・友好都市等のプラットフォーム
を有効的に活用し、高次元の対外開放と交流を図る。
12.計画実施のための保証体制
珠江デルタ地域の改革発展の重大な意義を認識し、計画実施のた
めの組織作りと実行を厳格に推進する。計画の実施メカニズムを改善
し、計画の円滑な実施を保障する。
(1) 組織統制の強化
広東省と国務院の関連部門は、確実なプロジェクト要項の実施、及
び組織指導力を強化する。実施法案を制定し、業務分担を明確にし、
制度の改善を行い、責任を明確化する。国家関連部門の指導の下、
関連重点領域の専門プロジェクトを編成する。これらのプロジェクト要項
の定義と効能、重点項目の内容に基づき、関連項目の組織体制を速
やかに構築する。最も緊急性の高い、切迫した重要な課題から着手し、
実施する。プロジェクト要項の円滑な実施を実現するための基礎を構築
する。プロジェクト実施の過程においては、常に状況の変化に留意し、新
たな問題を解決すると同時に新たな経験を総括し、重大な課題が生じ
た場合には速やかに国務院に報告する。
(2) 計画的協調の強化
国務院の関連部門はそれぞれの職能を結びつけ、プロジェクト実施要
項の指導を強化する。
本プロジェクトの要項要求に基づき、珠江デルタ地域の改革発展のため
の具体的な施策を制定し、関連プロジェクトを編成し、政策の実施、プロ
ジェクトの計画、体制革新など各方面で支援をするのと同時に、組織間
の協力体制を確立する。各部門間の協力と対話を促進し、的確な指導
と支援によって、プロジェクト実施の過程で発生する問題を解決する。
(3)監督検査体制の強化
国家発展改革委員会は関連部門と共に、本要項の実施状況のフォ
ローと分析を実施する。それぞれの作業及び政策実行の監督、監査など
確認作業を確実に執り行う。広東省人民政府は定期的にプロジェクト
実施状況の評価を行い、実施状況を国務院に報告する。社会監査の
しくみを改善し、国民が積極的にプロジェクトの実施と監査を参画すること
を奨励する。
新しい時代の推進、珠江デルタ地域の改革発展の新たな段階、光栄
な任務、重大な責任、本プロジェクト実施をまたとない機会として、多くの
市民を総動員し、精神を奮い立たせ、思想を解放し、新時代の担い手
となり、不屈の精神で、珠江デルタ地域の改革開放を推進する。社会主
義の近代化という偉大なる歴史の変遷の中で、新たな局面を開拓し、
新たな実績を積み上げ、輝かしい未来を創造する。
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