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第7章 人事制度

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第7章 人事制度
第7章 人事制度
Ⅰ 基本的な考え方
国立大学法人大阪大学(以下「大阪大学法人」という。)の人事制度は、広く国民と社会一般
から信託された高等教育と学術研究の使命を完遂し、その評価に対して説明責任を果たしうる制
度としなければならない。
このような観点から、以下の基本的な考え方に沿って、大阪大学法人の人事制度を設計する。
① 法人化を契機として、大阪大学法人の特色や個性を伸ばすことができるよう、各部局の特徴
に配慮した柔軟な人事制度を設計するものとする。
② 大阪大学の定員内職員は、法人化の前日限りで定年又は任期満了等の理由で退職する者を除
き、所要の法律に基づいて、大阪大学法人の常勤教職員として承継するものとする。
なお、任期の定めのある常勤教職員の範囲については、今後検討するものとする。
③ 大阪大学の定員内職員以外の非常勤教職員については、法人化の際、当該業務の必要性等を
総合的に勘案したうえで、予算等の許す範囲内で新たに非常勤教職員(すべて任期の定めのあ
る教職員とする。以下同じ。)として、大阪大学法人と雇用契約を締結するものとする。
なお、外国人教師、外国人研究員等の取り扱いについては、別途検討するものとする。
④ 総長及び副学長を含む役員、部局の長及び教職員の人事を大阪大学法人が自主的・自律的に
決定することができるよう、所要の基準・規則を学内規則として定めるものとする。
⑤ 大阪大学が保有する人件費(外部資金を除く。以下同じ。)の10%に相当する常勤教職員
のポスト(教授、助教授等に区分される職種とその職種毎の数をいう。以下同じ。)は大阪大
学法人が 留保し、財務状況と部局の組織評価を勘案しながら、大阪大学法人の中期目標・中
期計画に従い、これを部局に配分するものとする。
なお、外部資金(競争的資金の間接経費の大阪大学留保分50%を含む。)を使用して雇用
することのできる任期の定めのある常勤の事務系職員(常勤教職員のうち教員を除いた者をい
う。以下同じ。)及び非常勤教職員のポストを上記10%枠に付加するものとする。
Ⅱ 教職員の構成・ポストの管理
(1)大阪大学法人における教職員の構成、ポスト、教職員数、人員配置、労働条件等に関す
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る人員管理は、大阪大学法人が部局の意見を尊重しつつ自主的に行う。大阪大学法人は、
そのために必要な規程を設ける。
法人化後は、総定員法の規制から離れることにより定員の概念がなくなるので、職種毎
の教職員数は、人件費をポスト換算して管理するものとする。なお、人員管理については、
中期計画への記載、計画の認可、運営費交付金の交付等の過程を通じて、国や文部科学省
評価委員会等の評価・判断の対象となる。
(2)教職員の構成は、現行の職種を参考としつつ、大阪大学法人のニーズに即した専門性の
高い職種を新たに設けるなど多様な設計を行う。また、常勤教職員と非常勤教職員の区別
を明確にしたうえで、職種内の適切な人員配置を行う。その際、アウトソーシングの可能
性についても検討する。
なお、教職員の具体的な職種については、今後検討するものとする。
(3)任期の定めのない常勤教職員の人件費は、運営費交付金等の中から支給することになる
が、法人への移行後、人件費枠を増やすことは、現行制度の下で概算要求によって定員を
獲得するのと同程度に困難になると予想される。したがって、これら任期の定めのない常
勤教職員の数は、現在の定員内にとどめるものとする。
(4)職種のいかんにかかわらず、すべてのポストは、大阪大学法人が一括管理し、部局への
常勤教職員ポストの配分は、現在の人件費をもとに行う。
a 部局における常勤教員(常勤教職員のうち教員をいう。以下同じ。)のポスト配置は、
部局に配分される人件費の予定額内(現在の常勤教員の人件費の90%をもとに決定す
る。)において、大阪大学法人の中期目標・中期計画に矛盾しない範囲で部局の意思を
尊重して行う。また、残り10%に相当する人件費に係る常勤教員ポストについては、
大阪大学法人役員会と部局との協議のもとに、組織評価を加味した重点的配分を行う。
各部局の外部資金による非常勤教員ポスト及びⅢ(6)の非常勤教職員ポストについて
は、部局の意思を尊重するが、その管理は大阪大学法人が一括して行う。
b 常勤の事務系職員については、大阪大学法人が一括採用し、部局の要請をもとに全学
的な観点からこれを配置する。
また、その配置に当たっては、業務内容に応じた柔軟な事務処理体制をとることが可
能となるよう留意するものとする。
(5)中期計画における期首に対する期末の常勤教職員数(任期の定めのある教職員を除く。)
の増加は極力抑制し、非常勤教職員数も中期計画期間の年度毎に人件費との関連で見直す
ものとする。
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Ⅲ 採用・昇任・解雇・懲戒等
(1)教職員の採用・昇任・解雇・懲戒等は、大阪大学法人役員会が決定する公正かつ明確な
人事方針・基準及び就業規則に基づいて行う。
(2)教職員の採用及び昇任は、性別、出身国及び障害の有無等にかかわらず、公平かつ厳正
に行うものとする。
(3)常勤教員の採用及び昇任については、部局に配置されるポストに応じてこれを行う場合
には、それが公正かつ明確な基準に基づくものであり、大阪大学法人の中期目標・中期計
画に反するものでない限り、部局の意思を尊重する。
常勤教職員のうち常勤教員以外の者の採用については、試験採用を原則とする。なお、
専門的知識と技能を必要とする職種については選考採用を行うが、公募制を積極的に導入
する。
(4)外国人教員採用の一方策として、学術交流協定を締結している大学等とのサバティカル
教員(一定年次毎に設けられる年次有給休暇中の教員)の交換を検討する。
(5)現在の文部科学大臣任命の職員についても、大阪大学法人において積み重ねた業務実績
と能力に応じて、大阪大学法人が昇任等の人事を行う。
(6)非常勤教職員の採用は、部局の意思を尊重しつつ、大阪大学法人が一括管理して行う。
(7)常勤教職員の懲戒処分は、役員会の決定に基づいて行う。ただし、常勤教員の懲戒処分
については、教育研究評議会の議を経て、役員会がこれを決定するものとする。
Ⅳ 給与制度
1) 常勤教職員
(1) インセンティブに富んだ給与・処遇を実現するため、教職員個々の能力・職責・業績
を適切に反映させることのできる給与制度を導入する。
(2) 給与表(従来の俸給表に代わるものをいう。以下同じ。)による給与額は、毎年、経
営協議会及び役員会の議を経て決定する。
(3)教職員については、原則として、当面、現行の俸給月額を基本給とする。
なお、教職員のうち指定職俸給表が現在適用されている者の給与の在り方については、
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今後検討するものとする。
(4)教職員の給与については、従来の年功序列型(終身雇用型)給与体系を見直し、基本給、
職責給、業績給及び諸手当を構成要素とした給与体系とする。
なお、その決定に当たっては、「公務員制度改革大綱」(平成13年12月25日閣議
決定)に沿った給与制度改革の進行状況に配慮しつつ、細部については大阪大学法人で決
定するものとする。
(5)教員にあっては、人件費をポストに換算した後の教授、助教授等に区分される職種毎の
教員数を年度当初の標準的な級別定数として設定することとし、級別定数は、部局の年度
計画等に基づき配分された予算の範囲内において、役員会等に申し出ることにより、これ
を変更することができるものとする。
教員以外の職員にあっては、当面、前年度の級別定数の範囲内で運用する。
なお、高度の専門的知識を必要とする職について選考採用を行う場合には、上位級での
給与支給が可能となるよう柔軟な制度設計を行うものとする。
(6)職責給は役職給として位置付け、基本給を補完する給与種目として役職手当を設ける。
教員は、役員会の指定する者、役員会の下に置く「室」員、部局長、施設長、評議員、学
科長等、事務職員及び技術職員は、部(課・室)長、事務(部)長等の職種毎に責任と職
責に応じた職責段階を設け、一定の金額を加給する。
(7)業績給は、従来の勤勉手当(年2回6月期、12月期に期末手当と併せて支給)に相当
する給与種目として、各期間毎の勤務実績と業績(実績)評価に基づいて、夏季・冬季業
績手当(ボーナス)として支給する。
業績手当は、定額部分(勤務実績)と業績(実績)反映分とからなるものとする。その
際、教員については、業績(実績)反映分に係るインセンティブ(加給)を部局に対する
評価と部局内の評価に基づいて行うものとし、教員個々の評価は部局が行うものとする。
また、教員以外の職員については、インセンティブを反映させた制度を別途検討する。
なお、特に業績のあった者に対するインセンティブとして、大阪大学法人が特別業績給
を支給する等の制度についても、併せて検討するものとする。
(8)特別昇給制度については、インセンティブをより反映させる趣旨から、そのあり方を見
直す。なお、特別昇給制度の前提となる定期昇給制度そのもののあり方についても、今後、
中長期的課題として検討を行う。
(9)諸手当については、現行制度をもとに、制度の新設や廃止、改定を含めた検討を行う。
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(10)法人化後に新設される任期の定めのある常勤教職員については、任期付職員法の例を
参考にしつつ、任期付職員に係る給与表及び年俸制等を導入することを検討する。
2) 非常勤教職員
非常勤教職員の給与については、関連法令の動向に留意しつつ、法人化後の雇用形態に合
わせ常勤教職員との均衡等を考慮し決定する。
Ⅴ 評 価
(1)個々の常勤教職員の潜在的能力が十分に発揮されるように、任用・給与等の人事制度に
能力・業績評価を導入する。
(2)常勤教職員のうち教員の評価は、部局毎に多面的で社会的批判に耐えうる評価基準を設
け、これを実施するものとする。
(3)常勤教職員で教員以外の職員の評価は、現行の勤務評定制度をもとに検討する。
(4)非常勤教職員についても、評価のあり方について、その実施の有無を含め検討を行う。
Ⅵ 研修制度
(1)常勤教職員については、職種ごとに研修を実施する。
(2)常勤教員については、海外研究機関及び民間を含めた国内組織での研修制度を設ける。
(3)教員については、FD(ファカルティ・ディべロップメント)を実施する。
(4)常勤教職員のうち教員以外の者については、階層及び専門に応じた研修を実施する。
(5)全学的な研修のほかに各部局で研修を実施する。
(6)非常勤教職員のうち教員以外の者については、職務上必要な場合に研修に参加させる。
Ⅶ 任期制・定年
(1) 常勤教職員のすべての職種について任期制を導入できる制度設計を行う。
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(2)常勤教職員の定年は、次のとおりとする。
a 常勤教員については、当面、満63歳に達した年度末をもって定年とする。ただし、
教育研究上特に顕著な業績のある者については、定年前に退職し、任期の定めのある常
勤教員として、満65歳まで勤務する道を設けるものとする。
b 常勤教職員のうち常勤教員を除く者については、当面、満60歳に達した年度末をも
って定年とする。なお、現在満63歳となっている労務職員の定年年齢についても、今
後、その在り方を検討するものとする。
c 定年延長や再雇用の問題については、高年齢者雇用安定法を含む法令のほか、他の国
立大学法人における動向等にも留意しつつ、中長期的な課題として、今後検討を行う。
(3)非常勤の教職員は、現在特別な職種を除き定年に代わる雇用制限年齢を設けているが、
すべての職種に雇用制限年齢を設けることについて、今後検討する。
Ⅷ 退職金制度
(1)法人化後の常勤教職員及び非常勤教職員の退職金の算定方法については、国家公務員の
退職手当の算定方法(退職時における俸給月額×勤続年数等に基づく支給率)を基本に検
討する。
(2)退職金の算定基礎となる勤続年数が短い教員が少なくないことに留意しつつ、退職金の
額が60歳時点でピークとなるような制度設計について、今後、早期退職制度の導入と併
せ、その可否を含めた検討を行う。
(3)勤続期間の通算(国、他国立大学法人、地方公共団体、公庫等)については、現行制度
と同様、相互通算方式の考え方を採用する方向で検討を行う。
(4)任期の定めのある常勤教員のうち特定の者については、退職金を給与に含めた給与表を
別途作成し(その場合、退職金は支給しない。)、年俸制を導入することについても検討
する。
Ⅸ 兼業・兼職
(1) 兼業・兼職については、社会貢献等の観点からその規制緩和に努める一方で、教育研
究機関に勤務する者の本分に照らし、一定の制限を設ける。
(2)国が設置し、国の支援を受ける国立大学法人としての性格にかんがみ、常勤教職員の兼
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業・兼職については、許可制を採用するものとし、大阪大学法人の公共的性格及び職務専
念義務と両立する限りにおいて、これを許可するものとする。
具体的には、常勤教職員が兼業・兼職を行おうとする場合には、総長に申し出て、その
許可を得なければならないものとする。なお、総長の審査・許可権限は、一定の場合を除
き、部局の長に委任することができるものとする。
(3)兼業・兼職の審査結果は、許可、不許可及び条件付許可に分けるものとし、具体な審査
基準(ガイドライン)は、別に定める。その際、社会貢献活動等をより積極的に行うこと
ができるよう、教育研究活動に支障のない範囲で、兼業等の規制を緩和する方向で検討を
行う。
Ⅹ 服務・勤務形態等
(1)常勤教職員の服務規律及び勤務形態、勤務時間・休暇等の労働条件については、労働基
準法に基づき、就業規則に定める。なお、その際、必要な場合には経過措置を講じるもの
とする。
(2)常勤教職員のうち教員の服務規律、勤務形態、勤務時間・休暇等の労働条件については、
その特性に配慮するものとする。なお、勤務時間については、労働基準法の改正を待って、
裁量労働制の採用を積極的に検討する。
(3)常勤教職員の育児介護については、経過措置を講じたうえで、育児介護休業法の定めに
基づき、就業規則に定める。
(4)国立大学法人の公共的性格にかんがみ、国家公務員倫理法及び国家公務員倫理規程に準
じ、独自に職務倫理規程を定める。
(5)セクシュアル・ハラスメントの防止と措置については、現行の大阪大学の仕組み及び規
程を継承するものとする。なお、その他の人権侵害についても、防止と対処の制度を検討
する。
(6)非常勤教職員については、常勤教職員とは別に就業規則を定め、その服務規律や勤務形
態等について規定する。
注) 医療系教職員及び歯学部附属歯科技工士学校講師の取り扱いについては、別途検討を行う
ものとする。
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