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労働移動、失業期間と労働者の属性 −労働力調査特別調査による分析

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労働移動、失業期間と労働者の属性 −労働力調査特別調査による分析
( 第三研究)
[要
労働移動、失業期間と労働者の属性
−労働力調査特別調査による分析−
旨]
本稿の目的は、高齢化する日本経済にかかる議論の基礎となる実証的な事実を示すとこ
ろにある。具体的には、1)労働移動と労働者(雇用者)の所属した産業の関係、2)労働移動が
産業内であるか、産業間であるかということと失業期間の関係、3)労働者(雇用者)の属性(年
齢、性別、学歴など)と失業期間の関係、を示すことである。
この背景には、1)所属産業の特殊な技能や知識の蓄積が労働移動に負の効果を持ってお
り、異なる産業への移動には失業期間というコストがかかるのではないか、2)失業期間に
は労働者の様々な属性が大きく影響しているのではないか、というものがある。産業固有
の技能や知識の蓄積と就業確率に関しては、Abe and Tsutsumi(1997)において勤続年数を代
理変数としたときに負の効果をもっていることや年齢が再就業確率に負の効果を持ってい
ることなどが明らかにされたが、失業期間という点については触れていない。その意味で
本稿は先の論文と補完関係にある。
分析には昭和 62 年及び平成 4 年の「労働力調査特別調査」(総務庁)の個票を用いて分析
した。分析の主要な結果は次の通りである。
1.労働移動に関して、産業内移動が農業を除く全ての産業で中心を占めている。次に、精
密機械から電気機械、飲食・小売から飲食店など関連の深いと思われる産業間移動が比
較的大きなシェアを示している。
2.ほとんどの産業において、当該産業離職者に占める建設業へ移動した人の比率は建設業
離職者に占める他産業へ移動した人の比率より高い。
3.産業内移動をした者は約 85%が一年以内に再雇用される一方、産業間移動をした者は
20%弱である。また、産業間移動を選択することで一年超の失業確率は約 49%上昇する。
4.産業内移動の場合に年齢と共に失業期間が短期化し 50 歳台以降長期化する一方、産業間
移動の場合には年齢と共に長期化する。一歳の加齢は同失業確率を約 2.8%上昇させる。
5.男女の間の違いでは、女性であることが同失業確率を約 3%低下させる。
6.学歴に関しては、大学卒であることが同失業確率を約 2.7%低下させる。
7.離職理由に関しては、本人都合で離職する場合の方が同失業確率を約 2.0%上昇させる。
8.配偶者がいることは、一年超の失業確率を約 3.9%上昇させる。
従って、これらの事実からは次のようなことが導き出せる。
失業が労働者本人にとっての「職探し」という投資であるという側面は否定出来ない。
労働者は個人単位ではなく家計単位の所得を念頭に「職探し」する側面を持っている。
しかし、年齢という労働者に不回避の要件が失業期間の長期化に正の相関を持っている
●
●
●
ことは年齢に依存した雇用制度を維持する限り失業という社会的ロスを増大することに
なる。また、需要構造の変化に伴う産業横断的な労働移動の必要性は、労働者のどのよ
うな属性よりも失業期間の長期化に影響する。
−89−
1 .序
論
本稿の目的は、労働移動の傾向が属した産業によってどの程度異なるか、また労働者の
様々な属性が失業期間にどのような影響を与えるのか、という点について定量的に分析す
るところにある。
労働経済学の一般的な理解からは、同一産業間(Intra-Industry)で転職を行う労働者と異な
る産業(Inter-Industry)で転職を行う労働者に平均失業期間の違いが有意にあるならば、こ
れはそれぞれの業界独自のトレーニング、言い換えれば企業特殊的資本(Firm Specific
Human Capital)の存在を暗示していると考えられる。企業特殊的資本の存在は、労働者の当
該企業における生産性を高めるが、他企業・産業においては機能しない性質のものである
ため、所与の留保賃金率の下では転職を困難にすると考えられるからである。Abe and
Tsutsumi(1997)では、企業特殊的資本の存在が離職・転職の成功確率に与える影響を定量的
に計測したが、本稿の分析は、これを補完する形で失業期間に注目している。
人的資本理論が教えるように、企業内のトレーニングとそれによって付与される企業特
殊的資本の存在が労働の固定性を高め、その結果離・転職が困難になるのであれば、様々
な経済変動(需要変動、技術革新など)に対して弾力的に労働力の配分することが出来ず、社
会全体としてのロスを高める可能性は否めない。特に高齢化にある日本が、今後も活力あ
る経済社会であることを維持するためには、弾力的な労働者、業種等に左右されにくい普
遍的な能力の高さを備えた労働者を育成することが不可欠となるはずである。
本稿は、実証分析であるため上記の目的のためにどのような施策が望ましいかについて
は余り触れないが、そのような議論の基礎となる定量的な現状把握に資する分析を行う。
具体的には、
「どのような産業にいる労働者がどこへ移動しやすく、また移動しにくい
のか」
、「失業というロスはどの程度の期間発生するのか」、「どのような属性を有する
労働者の失業期間が比較的長いのか」という問いに対して定量的な回答を与える。
2 .失業期間分析の先行例
失業に対する経済学の関心は古くからあるが、その分析は、失業発生のメカニズムを追
求する理論的研究を軸に進んできた。これまで、「何故失業は発生するのか」、そして「そ
れはどの程度の期間発生するのか」について経済学上の様々な立場から説明がなされてい
る。ケインズ派の摩擦的失業(非自発的失業)観から新古典派の自発的失業観まで先行研究は
−90−
多岐にわたるが、ここでは新古典派の枠組みに準拠して回顧することにする。新古典派及
び New Keynsian 学派の代表的な理論としては、Job Search(職探し)理論、Efficiency Wage(効
率賃金)理論、Implicit Contract(暗黙の契約)理論などが挙げられる。1 中でも Job Search 理論
は、従来のケインズ的な失業観、すなわち「失業は総じて非自発的なものであり、政府は
これを積極的に改善しなければならない」、というテーゼ に対して「合理的な選択の結果
としての失業」があり得ることを精緻に説明することで新しい失業観を提示した。
Lippman and McCall(1976)等に見られる萌芽的な Job Search 理論は、
職を選択する最初の
段階で「待ち」をするかどうか、また、どの程度「待ち」を行うかを理論的に説明したも
のである。形式は、確率分布を仮定した将来の収益環境に対して「待ち」によるコストと
それに伴って変化する期待収益の間の最適化を図るメカニズムになっている。このような
「職探しのための失業」という点には、複数の先験的・実証的な反論があった。例えば、
Tobin (1972) は専門的職業人のなかで、職探しのため失業中の者を探し出すのは困難であ
ると指摘し、また、Mattila (1974) は、多くの労働者が非失業状態で次の仕事に移動して
いると主張している。
後者の批判に対する答え、すなわちOn the Job Search を取り組む点については、Burdett
(1978) に始まっている。既に就業状態にある労働者の転職ケースに拡張させた場合には、
一般的に現在の職を継続するというケースの期待収益率と、失業というコストを含めた転
職先での期待収益率の均衡条件を転職の基準としてモデル化することになる。新規就業者
の場合であれ既就業者の場合であれ、このモデルの仕組みと含意については大差がなく、
限界条件で決定される新古典派の枠組みにある。
また、現在就業している者について Job Search 理論を適用する際には、幾つかの留意点
がある。2 最も重要な点は、現実に観察される退職金を含めた賃金構造とその背後にあると
思われる人的資本に関することである。一般的な企業・産業で観察される年功型の賃金構
造は、 (それが、労働者の限界生産力の上昇によるものかどうかはともかく) 労働者に当
該企業への定着を促し、勤続年数の上昇が、サーチコストを引き上げるように作用する性
格を持っている。賃金カーブの傾きや退職金制度と長期雇用に相関があることは周知の事
実であるが、これを Job Search の視点から考察すると、勤続年数に対して逓増する機会費
1
これらの理論・実証サーベイについては、Handbook of Labor Economics Vol 2 O.C. Ashenfelter and R. Layard
eds.の Part 4 を参照のこと。
2
中馬(1995) は、就業者の転職移動を織り込むことは企業の賃金・人事政策や労使間のエイジェンシー問題につ
ながる点を記している。
−91−
用が所与の収益環境の下では、転職確率を低下させるためであると解釈できる。
このような Job Search(職探し行動)を実証的に捉えようとした van den Berg(1990)は、1983
年∼85 年の失業者の個別失業期間の個票データをもちいて Structural Job Search model を推
定している。これは、失業状態から非労働力化への移行を含んでいるもので、On the Job
Search や期待賃金率の上昇の職探し行動に与える影響をも吟味している。サンプルの失業
期間の大半は、非労働力化への移行で終了している。また、失業期間に対する優遇策の変
化の影響は、ごくわずかなものであると結論付けている。
日本における失業期間に関する代表的な研究は、水野(1992)第六章である。3 ここでは、
総務庁統計局が1986 年1 月に実施した第3 次試験調査の個表を基に失業期間の分析を行っ
ている。同調査の特色は、通常の「労働力調査特別調査」で失業期間を測る際の問題点、
すなわち 1) 、中断失業スペル問題、2) 、複数回失業の問題を回避することが出来る点
にある。同データを用いた分析では、失業者が年間に経験した労働力状態別に失業期間と
スペル数と失業参入フロー確率をマッチさせ男女の比較を行っている。
3 .利用する統計とその特性について
今回の分析で利用する統計は、労働力調査特別調査(昭和 62 年及び平成 4 年分)の各個票
である。同調査は前職の産業と現在の産業を調査しており、これから労働者がどの産業か
らどの産業へ移動したかを知ることが出来る。また、平成 4 年分については、現職への就
業時期と前職の離職時期を調査しているため、失業期間を計測することが出来る。4
利用した統計の標本特性は次のとおりである。昭和 62 年調査は票 3-1 にあるが、サンプ
ル数 90,341 人であり、男女比率は、48.2%対 51.8%、配偶関係は、64.9%が有配偶であり、
41.9%が世帯主となっている。学歴は、34.6%が小・中卒、46.2%が高卒、19.1%が短・大卒
以上となっている。サンプルの就業状態は、就業者 53,992 人(60.1%)、完全失業者 1,734 人
(1.9%)、非労働力人口は 34,180 人(38%)である。前職の有無に関しては、就業者の内 18,171
人(約 34%)が有りと回答しており、一度以上の離職を経験している。サンプルの年齢構成は、
若年から中高齢者までほぼ均等になっており、20 歳代が 19.7%、30 歳代と 40 歳代がそれ
3
同論文は「我が国労働市場の動態について :労働統計に関する第 3 次試験調査結果に基づいて」総務庁統計
局(1987)を加筆修正したものである。
4
「労働力調査特別調査」の目的と調査事項等については水野(1992)第 3 章に詳しい。
−92−
ぞれ 23.4%と 22.7%、50 歳代は 20.3%、60 歳代は 13.9%である。最後にサンプルの年収の
分布であるが、頻 度としては 100 万円以下が 22.7%と最も多く、階級を上がるごとに徐々
に低下する傾向があるが、収入ゼロと回答しているサンプルも相当数存在する。
平成 4 年調査は表 3-2 に詳細があるが、サンプル数 88,084 人であり、男女比率は、48.1%
対51.9%、
配偶関係は、
有配偶64.2%、
世帯主比率は42.2%である。
就業状態は、
就業者 54,492
人(62.0%)、完全失業者 1,139 人(1.3%)、非労働力人口は 32,211 人(36.7%)である。前職の有
無に関しては、就業者の内 23,902 人(約 44%)が有りと回答しており、一度以上の離職を経
験している。サンプルの年齢構成は、若年から中高齢者までほぼ均等になっており、20 歳
代が 19.3%、
30歳代と 40 歳代がそれぞれ 18.6%と24.3%、
50歳代は 20.6%、
60歳代は 17.9%
である。5
4 .移動の分析
第一の分析では、産業内 (Intra−industry) 移動と産業間 (Inter−industry) 移動の比較を
行う。先験的に、産業内移動比率は産業間移動比率より大きいと思われるが、ここでは個
票における前産業と現産業を比較することで移動の程度を示す。まず最初に、どの程度の
移動が起こっているのかを単純なデータ加工で観察してみる。表3-3-1 及び 3-3-2 は昭和 62
年、平成 4 年の前産業・現産業のマトリックスである。行は、移動元から移動先への流れ
を示しており、表示は産業別移動シェアを表している。表 3-3-1 については、総サンプル数
4,476 人が抽出されており、表 3-3-2 については、総サンプル数 5,465 人が抽出された。表
には、前産業の人数が 100 人を超えているものについて掲載している。6
例えば、昭和 62 年において、金融保険業(50)から金融保険業(50)へと産業内移動した労
働者は同産業から移動した総数のうち、24%であり、建設業(15)へ移動したものは 3.8%と
読むことができる。このように見てゆくと太字になっている同一産業内(Intra)移動が主要な
シェアを占めており、同業種内での移動が中心であることが観察される。この傾向は平成 4
年調査のデータからも観察される。
同表から読み取れるもう一つの興味深い点は、取り扱う財サービスに類似性の想像され
5
より詳細なデータ特性は、付録を参照。
6
この産業間労働移動マトリックスでは失業期間がコントロールされていない。
従って単純な移動者の数だけのマト
リックスであることに注意が必要である。
−93−
る他産業への移動も多く観測される点である。典型的には、昭和 62 年調査の飲食・小売(45)
からの飲食店(46)、小売業(49)への移動は産業内移動と同程度に多く観測されている。平成
4 年調査における飲食・小売(55)からの移動についても同様の傾向がやはり見られる。これ
らの事実は人的資本理論のエッセンスとも整合的である。
ところで、同表を縦に見ると、各前産業ごとの現産業へ移動した者のシエアとなるが、
図 3-1-1 及び 3-1-2 は、昭和 62 年及び平成 4 年調査における、同一産業内移動者比率と、
他産業からの流入者のそれぞれの産業に占める比率の単純平均を棒グラフ(左軸)に表し、さ
らにその比を折れ線グラフ(右軸)に描いたものである。全ての産業で、他産業からの流入比
率が下回っている点は、表 3-1 及び 3-2 と同様のことであるが、産業内/産業間の比率から
は次のようなことが想像できる。すなわち、平均的な格差(昭和 62 年であれば、約 5.8、平
成 4 年では、約 7.7)に対して上回った産業は、相対的に同一産業内から、労働者の補充を
行っており、下回ったところは相対的に他産業から労働者の補充を行っているということ
である。
具体的には、昭和 62 年の場合、建設(15)、繊維(20)、電気機械(35)、衣料・家具(44)、飲
食店(46)、運輸・通信(60)、対個人サービス(75)、専門サービス(87)、その他サービス(95)において平
均を上回る結果となり、平成 4 年の場合には、建設(9)、繊維(14)、その他化学(22)、金属製
品(28)、精密機械(29)、衣料・家具(54)、対個人サービス(73)、娯楽業(77)、専門サービス(86)が平
均を上回る結果となっている。
これら二時点で取り上げられた産業には大きな共通性があり、これらの産業が外部から
の労働流入よりは、同一産業内において雇用調整を行う傾向が強いことが示唆される。7
また、2 時点しかないものの、昭和 62 年の比率が 5.8 に対して、平成 4 年が 7.7 に上昇し
ているのは,平成 4 年のほうがより多く産業内の移動が発生したということである。この
点は雇用の流動化 (産業内比率の低下) と職業の専門化 (産業内比率の上昇) の大小関係
に関する検討が必要な点である。8
7
理由としては、産業(企業)特殊的資本( 技能) の蓄積が求められており、離職・転職の際に履歴効果が働くことが
考えられる。しかし、これを主張するためには個別労働者の従業上の地位を折り込むことで雇用の固定性が高いか
否かを検討する必要がある。
8
自明であるが、景気循環要因を除く必要があることは言うまでもない。
−94−
5 .失業期間の分析
5 . 1 産業内移動と産業間移動の失業期間比較
前章の分析では、総じて同一産業内で移動した比率が他産業へ移動した比率よりも高い
ことが分かった。ここではそれを踏まえて、同一産業内移動は、産業間移動に比べて失業
期間が短いか否かを分析する。先験的には、人的資本の論理などによるように、産業・職
種横断的な移動は、人的資本ロスを伴うと考えられるので比率は少なく、また再就業が困
難と思われるので失業期間は長期化すると期待される。
平成 4 年調査では、前職の問いの中に離職時期を質問すると同時に就業者に関して就業
期間を聞いているため、大まかな失業期間を計算することが出来る。これを利用して、同
一産業内移動者と異産業間移動者の比較を試みたのが表 3-4 であり、図 3-2 である。9
ここでは、就職・離職の申告時期から算出される失業期間を掲載したが、12 カ月を超え
るものは階級値になってしまうため、0∼11 カ月のみ月次単位で観察することができる。ま
た、12 カ月を超えるものを集計しているので背後にある分布について一概に判断すること
はできない。
ただし、同一産業内で移動する労働者の約 50%が 0 カ月の失業期間で転職成功するのに
対して、産業間移動を試みる労働者の内、0 カ月で転職に成功する者は10%弱しかいない。
観察された平均失業期間は同一産業内移動者の方が短いという理論的帰結は支持されるも
のと思われる。10
5 . 2 労働者の属性をコントロールする
前節の比較が、どの程度頑健なものであるかということは、労働者の属性をコントロー
ルすることで確認できる。以下では、年齢、性別、続柄、学歴、失業理由、産業等を取り
上げて再度分析してみる。
5 . 2 . 1 年齢
ここでは若年齢、中・高年齢者の間での比較を行う。人的資本理論からは、勤続年数に
9
現在就業者にサンプルを限定したため、中断スペル問題は排除してある。しかし、複数回失業は残された問題で
ある。
10
産業内移動のサンプル数 1,487 人、平均値 3.30 カ月、産業間移動のサンプル 20,836 人、平均値 10.71 カ月で
ある。
−95−
対して上昇する資金カーブを所与とした場合、勤続年数が年齢に比例するならば、高齢者
の方が、離・転職に伴う埋没費用が大きいため離職しにくく、かつ入職し難い。それゆえ期
待される失業期間は、年齢が上がるにつれて長期化すると思われる。
また、産業内、産業間移動の比較では、産業内移動の方が人的資本が活用されるため、
失業期間はすべての年齢で短いことが期待される。
実際のデータを 20 歳から 10 歳刻みに 5 階級(69 歳まで)とり、図 3-3-1 と図 3-3-2 を作成
し、傾向を比較してみた。産業間移動に関しては、明らかに若年労働者の平均失業期間が
短く、約半数が一年以内に転職しているのに対し、高齢者では一割程度の労働者しか一年
以内に転職に成功していない。このことは、産業間移動に伴う人的資源のロスが高齢者程
大きいことを示している。
他方産業内移動に関しては、四十代をピークにするように失業期間が短くなり、さらに
年齢を重ねるごとに同期間が長くなるように観測される。このことは、配偶者がいるとい
った扶養関係の影響など労働者の他の属性による可能性がある。
5 . 2 . 2 性別
次に男女という性別に別けて同じデータを観察してみる。先験的に、男女という性別か
らは失業期間が有意に異なると判断する材料は見当たらない。仮に違いが観察されたとし
ても、それは男女の差ではなく、世帯を形成する際の伝統的な習慣、すなわち、主たる勤
労者は男子であり、補助的な収入を女子が得るというものに帰着すると想像できる。
図 3-4-1 と図 3-4-2 からは、産業間移動、産業内移動ともに、大きな男女差があるとは断
言できないが、産業内移動では女子の失業期間が長めに観測されるのに対して、産業間移
動では、男子の方が長めに観測されている。
5 . 2 . 3 配偶者の有無
配偶者の有無の効果については、独身、既婚、その他(死別・離別)に区別することで違い
をみることにする。先験的な考察からは、既婚者の失業期間は世帯を養うという点からは
短く観測されると思われるが、他方、家計の構成員が補完的に所得を稼いでいる場合には、
多少のジョブ・サーチを行う余裕があるとも言える。
図 3-5-1 及び図 3-5-2 の結果を観察すると、産業間移動では、既婚者の失業期間は独身者
よりも長く、ジョブ・サーチが長めにとられているもしくは、なかなか就業出来ないこと
が分かる。他方、産業内移動の場合には、既婚者の失業期間が独身者のそれより短くなっ
ていることが示唆される。
−96−
ただし、これらの観察結果については、留意しなければならない点がある。それは、既
婚者は総じて独身者より年齢が高く、それゆえ、産業内での転職には、困難が少ないもの
の、異なる産業への転職にはサンク・コストとしての特殊的資本の存在のため平均失業期
間が長く観測されているという年齢の効果が現れている可能性がある。
5 . 2 . 4 続柄
家計における続柄の違いによって相違があるか否かを比較をする。ここでは、世帯主と
配偶者の二タイプについて図 3-6-1 と図 3-6-2 を作成した。これによると、産業内、産業間
移動とも世帯主の方が平均失業期間が短く、配偶者の方が長いことが分かる。先験的な判
断からも、世帯の主たる収入を稼ぐ世帯主の失業期間が短いことは予想される。
5 . 2 . 5 学歴
サンプルの属性のうち、最終学歴の効果について比較する。分類は、小・中卒、高卒、
短大・専門学校卒、大学・大学院卒の四種類に別けて検討する。図 3-7-1 と 3-7-2 によると、
産業内・産業間ともに、学歴間による失業期間のずれは大きくはないことが分かる。短大、
専門学校が多少産業間移動で失業期間が短く、産業内移動で失業期間が長い点については、
同学歴修了者の男女比率が影響しているとも考えられる。
5 . 2 . 6 失業理由
失業理由を、自発的と強制的失業に分け、違いを検討する。平成 4 年度調査では、なぜ
離職したかという点について、10 の回答項目から選択させるようにしている。こ こでは 10
の回答項目を、会社都合(Involuntary )、自己都合(Voluntary)、その他(Others)の3 つに分けて
図 3-8-1 及び図 3-8-2 を作成した。
まず、産業間移動については、会社都合による離職の平均失業期間が最も長く、続いて、
自己都合、その他となっている。会社都合によって離職する者が転職しにくい点は想像に
難くない。それは、第一に転職するための準備をしていない、若しくは、準備が不足して
いる。第二に会社都合は、おおむね経営上の都合であり、当該産業に対する需要減による
ものと解釈すると、同業界固有の人的資本を持つ労働者は他業種では賃金率を変えない限
り就業確率が低下すると考えられる。
一方、産業内移動では、理由による格差は大きくない。多少本人都合で失業期間が長め
になっているのは、結婚・出産等が含まれており、一時的に非労働力化した者が再度就業
するという影響のためとも考えられる。
−97−
5 . 2 . 7 所得
次に所得階級によってどのように異なるかを見てみる。その際には、収入なしを排除し
た。というのも現在就職していて収入なしという回答は、Consistentではなく、サンプルも
277 人と 9 人の合計 286 人しかない。従って、それ以外の階級値について検討を加えること
にする。
図 3-9-1 及び図 3-9-2 によると、産業間移動では、中・低所得者の平均失業期間が短く、
高所得になるにつれて長期化する傾向がある。ただし、より高所得になれば、逆になる点
も見られる。この点は、各人のスットク保有状態や、年齢効果及び税制も考える必要があ
るのだが、ここでの所得が就業活動後のものである点を考慮すると、「より待ったほうが
より高い収入につながる (待ちのコストに見合う収入を得る) 」という Job Search 理論を
指示するものとも言える。
これは、産業内移動になると逆転する。産業内移動では、収入が高いほど失業期間が短
かったことを表しており,Job Search 理論の帰結とは異なる結果となっている。
5 . 2 . 8 産業
前産業によって、平均失業期間がどのように異なるのかを次に検討してみることにする。
図 3-10 では、前所属産業ごと期間 (1 年未満/1 年超) の人数を棒グラフに、そのシエア
の比率を折れ線にしたものである。
(1 年未満/1 年超) 比率の全産業平均は、約 7.3 倍であるが、これを下回れば相対的に
長期失業を生み出している産業であり、上回れば比較的流動性の高い移動者を生み出して
いる産業であると判断できる。
例えば、林業 (2) 、漁業 (3) ,鉱業(5)石油化学 (20) 、精密機械 (29) 、飲食料品
小売 (55) 、金融保険 (61) に前職を持つ者は、比較的失業期間が長く、流動性の低い労
働者を出していると判断できる。他方、農業 (1) 、繊維 (14) 、その他化学 (22) 、運
送・機械 (31) 、衣服 (54) 、公務 (97) は、流動性の高い労働者を出していると思われ
る。
6 .計量分析
ここでは、前章にて明らかになった労働者の属性と失業期間の関係をより厳密に検討す
ることにする。具体的には、労働者の属性が、失業期間を決定するものと仮定して次のよ
−98−
うな回帰式(確率モデル)を考える。
PROB=f(IND,Z(i))
それぞれの記号の意味するところは、
PROB:失業期間(一年未満の場合には 0、一年以上の場合には 1)
IND: 移動の種類(産業内移動の場合には 1、産業間移動の場合には 0)
であり、Z(i)の中身には、
AGE: 年齢
FEMALE: 性別(男子を 0、女子を 1)
HAIGU: 配偶関係(未婚を基準として、有配偶と死別・離別をそれぞれダミー処理)
STATUS: 続柄(世帯主基準として配偶者とその他をダミー処理)
SCHOOL: 学歴(高卒を基準として中卒と短大・専門卒、大卒をダミー処理)
REASON: 失業理由(会社都合と本人都合をその他を基準としてダミー処理)
を導入する。
同モデル式をプロビット法を用いて推定することで、他の事情に等しい場合の変化の程
度を示す偏微分係数を計算することができる。それ故、どの要因が失業期間の長短に影響
力を持っているか検討することができる。当該属性の純粋な影響を析出できることになって
おり、各属性が失業期間に与える影響を定量的に示すことが出来る。11
表 3-5 にあるとおり、分析に用いた有効なサンプル数は、22,202 人であり、同サンプル
の PROB(失業期間分布)の平均は 0.7925 となっている。この場合、1 が一年以上の失業であ
り、0 は一年未満の失業であるので、標本平均は一年以上が多いことが容易に想像できる。
また、産業間移動か産業内移動を示す IND は平均が 0.0663 であり、産業間移動のサンプル
が多く含まれていることが類推できる。同様にサンプルの平均年齢は 44.67 歳であり、女性
比率は約 40%である。
6 . 1 労働力調査特別調査による分析−推定結果の考察 ( その 1 )
まず最初の推定は、移動先を折り込まず、労働者の属性だけを説明変数として用いた。
すなわち、上の式の Z に該当する部分だけでパラメーターの推定を行なった。結果は表 3-6-1
及び 3-6-2 の通りである。ここからは、
1.
11
男子と女子の間では、女子である方が長期失業期待確率が約 3%程度低下する。
実際の推定は、最小自乗法によるものとProbit Model による推定を行った。推定には LIMDEP Version 7.0 を用
いた。
−99−
2.
年齢の上昇は失業期間の長期化を意味しており、一歳の加齢は、一年越の失業確率
を 3%程度高める。但し、二階項が負であることからその程度は逓減してゆく。
3.
未婚者に対して有配偶者は、約 5.8%ほど一年越の失業確率が高い。
4.
学歴に関しては、高卒者に対して大卒者の方が約 4%程度一年超の失業確率が低い。
5.
離職理由のうち、本人都合の場合に一年超の失業確率が 2%程度高まる。
推計されたパラメーターは概ね先験的な認識に合致していると思われる。
6 . 2 労働力調査特別調査による分析−推計結果の考察 ( その 2 )
次に推定した式には IND という産業間移動かそれとも産業内移動かという情報が付加さ
れている。推定結果は表 3-7-1 及び 3-7-2 にあるが、これから読み取れることは、
1.産業間移動か産業内移動 という点は大きな影響を持っている。すなわち、産業内移動
であれば、産業間移動の場合に比べて約 49%も長期失業化の確率を低下させることがで
きる。
2.男女差を示すパラメーターは、移動先変数を導入した後も安定している。
3.年齢に関するパラメーターは、水準では多少小さくなるものの有意である。
4.配偶関係にかかるパラメーターの値も有意である。
5.移動先要因を導入した結果、推計式全体の当てはまりは 6%ポイントも上昇した。
以上のように、失業期間が一年を超えるか否かという確率に対しては、移動先が同一産
業内か否かという点が大きく関係していることが定量的にも明らかになった。このことは、
人的資本理論が想定している事柄を支持するものである。
7 .分析のまとめ
本稿では、冒頭に記したように「どのような産業にいる労働者がどこへ移動しやすく、
また移動しにくいのか」、「失業というロスはどの程度の期間発生するのか」、「どのよ
うな属性を有する労働者の失業期間が比較的長いのか」という問いに対して定量的な回
答を与えることを目的としてきた。ここで明らかになった点をまとめると、
1.
労働移動については、同一産業内移動が農業を除く全ての産業で主流を占めている。
2.
次に、精密機械から電機機械、飲食・小売から飲食店など関連の深いと思われる産業
間移動が比較的大きなシェアを示している。
3.
ほとんどの産業において、当該産業離職者に占める建設業へ移動した人の比率は建設
−100−
業離職者に占める他産業へ移動した人の比率より高い。
4.
産業内・産業間労働移動比率は、産業間でばらついていること。
5.
産業内移動と産業間移動の失業期間には有意な差があること。具体的には、産業内移
動をした者は約 85%が一年以内に再雇用される一方、産業間移動をした者は 20%弱で
ある。また、産業間移動を選択することで一年超の失業確率は約 49%上昇する。
6.
産業内移動の場合に年齢と共に失業期間が短期化し50 歳台以降長期化する一方、産業
間移動の場合には年齢と共に長期化する。一歳の加齢は同失業確率を約 2.8%上昇させ
る。
7.
男女の間の違いでは、女性であることが同失業確率を約 3%低下させる。
8.
学歴に関しては、大学卒であることが同失業確率を約 2.7%低下させる。
9.
離職理由に関しては、本人都合で離職する場合の方が同失業確率を約 2.0%上昇させる。
10. 配偶者がいることは、一年超の失業確率を約 3.9%上昇させる。
11. 故に、産業間移動、男性、高年齢、低学歴、本人都合による離職、有配偶者などとい
った属性を持つ労働者の移動で長期失業確率が増加する。
などが明らかになった。詳細な定量分析の結果については前章及び表を参照されたい。
これらの結果を前提にすると、失業が労働者本人にとっての「職探し」という投資であ
るという Job Search 理論のメッセージは否定出来ない。また、労働者は個人単位ではなく
家計単位の所得を念頭に「職探し」する側面も持っている。
高齢社会に対する含意としては、年齢という労働者に不回避の要件が失業期間の長期化
に正の相関を持っていることは年齢に依存した雇用制度を維持する限り失業という社会的
ロスを増大することになる。また、需要構造の変化に伴う産業横断的な労働移動の必要性
は、労働者のどのような属性よりも失業期間の長期化に影響する。
今後の課題としては、政策へのインプリケーションを明示的に出すために推計式に失業
保険受給などの政策変数を直接・間接に織り込むことを検討したい。また、本文中でも触
れたが、データの制約から一年超過の失業になるか否かという形でのパラメーター推定に
止まっている点は残念である。12 ヶ月以内は月次のデータが計算できるのであるが、12 ヶ
月を超えるものが階級値になってしまうため本稿の手法を用いることは不適切であった。
複数回失業の問題も制約として残されている。離職・転職が特定の人々によって何度も
行われているという事実は、同じ人が (0 ヶ月かもしれないが) 、何度も失業しているとい
うことと同値であり、この点についても何らかの工夫が必要である。
−101−
[参考文献]
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Loss of Human Capital-" ERI Discussion Paper No. 71 Economic Research Institute,
Economic Planning Agency.
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3.
Burdett, K. (1978) "Employee search and quits", American Economic Review, 68:212-220
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5.
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64:235-240
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水野朝夫 (1992)
10. 中馬宏之(1995)
「日本の失業行動」
「労働経済学」
中央大学出版部
新世社
−102−
図表
表 3-1:1987 年(昭和 62 年)労働力調査特別調査の特性
表 3-1-1: 性別
性別(Sex)
標本数(Sample)
比率(Share)
男(Male)
43568
48.2
女(Female)
46773
51.8
合計(Sum)
90341
100
表 3-1-2: 配偶関係
配偶関係(Relation)
未婚(Single)
配偶者(Married)
死別・離別(Death & Divorce)
合計(Sum)
表 3-1-3: 最終学歴
最終学歴(Education, final degree)
小学・中学(Elementary and Junior)
高校・旧中(High school)
短大・高専(College)
大学・大学院(University)
表 3-1-4: 就業状態
就業状態(Status)
就業(Employed)
完全失業(Unemployed)
非労働力(Non-participation)
標本数(Sample)
比率(Share)
22322
24.7
58574
64.9
9355
10.4
90251
100
標本数(Sample)
比率(Share)
30524
34.6
40805
46.2
7091
8
9822
11.1
標本数(Sample)
比率(Share)
53992
60.1
1734
1.9
34180
38
表 3-1-5: 前職の有無(就業者、失業者)
就業者
標本数(Sample)
比率(Share)
失業者
ある(Yes)
18171
33.9 ある(Yes)
なし(No)
35499
66.1 なし(No)
標本数(Sample)
比率(Share)
1627
93.9
105
6.1
表 3-1-6: 年齢の分布
年齢階級
標本数(Sample)
比率(Share)
20-29
30-39
40-49
50-59
60-69
14626
17372
16838
15090
10280
19.7
23.4
22.7
20.3
13.9
比率は、20 歳未満、及び 70 歳以上を除いたもの
表 3-1-7: 年収の分布
∼100
100∼200 200∼299 300∼399 400∼499 500∼699 700∼999 ∼1499 1500∼
標本数
12442
11325
10368
7603
5243
4732
2028
683
361
(Sample)
比率
22.7
20.7
18.9
13.9
9.6
8.6
3.7
1.2
0.7
(Share)
単位は、万円
−103−
表 3-2:1992 年(平成 4 年)労働力調査特別調査の特性
表 3-2-1:性別
性別(Sex)
男(Male)
女(Female)
合計(Sum)
標本数(Sample)
42336
45748
88084
表 3-2-2:配偶関係
配偶関係(Relation)
未婚(Single)
配偶者(Married)
死別・離別(Death & Divorce)
合計(Sum)
表 3-2-3:最終学歴
最終学歴(Education, final degree)
小学・中学(Elementary and Junior)
高校・旧中(High school)
短大・高専(College)
大学・大学院(University)
表 3-2-4:就業状態
就業状態(Status)
就業(Employment)
完全失業(Unemployment)
非労働力(Non-participation)
比率(Share)
48.1
51.9
100
標本数(Sample)
21958
56494
9523
87975
比率(Share)
25.0
64.2
10.8
100
標本数(Sample)
27025
40998
8433
10399
比率(Share)
31.1
47.2
9.7
12.0
標本数(Sample) 比率(Share)
54492
62.0
1139
1.3
32211
36.7
表 3-2-5:前職の有無(就業者、失業者)
就業者
標本数(Sample)
比率(Share)
失業者
あり(Yes)
23902
44.1 ある(Yes)
なし(No)
30306
55.9 なし(No)
標本数(Sample)
比率(Share)
1077
94.8
59
5.2
表 3-2-6:年齢の分布
年齢階級
20-29
30-39
40-49
50-59
60-69
標本数(Sample)
13708
13260
17304
14679
12181
比率(Share)
19.3
18.6
24.3
20.6
17.1
比率は、20 歳未満、及び 70 歳以上を除いたもの
表 3-2-7:年収の分布
∼100
100∼200 200∼299 300∼399 400∼499 500∼699 700∼999 ∼1499 1500∼
標本数
11705
8484
9108
7641
5631
6553
3844
1424
604
(Sample)
比率
13.4
9.7
10.5
8.8
6.5
7.5
4.4
1.6
0.7
(Share)
階級単位は、万円
−104−
表 3-3-1:産業間移動マトリックス(昭和 62 年調査)
1
15
18
20
35
39
40
44
45
46
49
50
60
75
84
87
95
1
13
26
5.7
4.6
2.3
4.6
2.3
2.3
2.3
1.1
3.4
1.1
8
3.4
6.9
9.2
3.4
15
4.7
45
1.1
1.7
1.4
3
6.4
1.9
1.9
3.3
5
3
11
1.7
2.2
3
3.6
18
20
6.9
0.7
3.9
3.3
14
5.3
7.8
32
7.8
9.3
2.9
5.3
6.9
9.3
1
1.3
13
7.9
6.9
3.3
4.9
7.9
4.9
1.3
4.9
5.3
4.9
1.3
3.9
3.3
2.9
2
2.9
0.7
35
2.3
8.1
2.9
5.2
32
4
5.8
2.9
5.2
2.9
6.4
4
4.6
3.5
4.6
3.5
1.7
39
40
2.1
1.3
7.6
8
3.5
3.3
7.6
2.7
4.9
2.3
18
3.7
8.3
29
3.5
3.7
5.6
5
4.9
6
6.3
7
4.2
5
3.5
6.7
4.2
1.3
7.6
5.7
6.9
5.4
1.4
3.7
44
1
4.9
1
6.8
2.9
3.9
8.7
17
5.8
8.7
16
7.8
3.9
1
3.9
3.9
2.9
45
46
2.3
0.6
7.5
1.3
4.6
3.2
4.6
2.6
2.9
2.3
1.7
1.6
8.7
5.2
4
2.9
16
5.5
14
43
15
6.8
4
6.5
2.3
2.3
3.5
8.7
2.9
2.6
4.6
3.2
1.2
1.6
49
0.9
4.2
0.9
4.7
4.2
5.1
10
6
3.7
7
24
7.9
3.7
0.9
2.8
9.3
4.2
50
60
2.5
2.4
3.8
13
2.5
3.6
2.5
0.8
0.6
2
3.1
2.4
13
7.3
4.4
2
1.9
2
6.9
5.2
9.4
6.9
24
1.6
7.5
38
1.9
2.8
3.8
3.6
8.1
3.2
3.8
2.4
75
4.3
3.1
1.9
6.8
4.3
3.7
4.9
2.5
4.3
12
9.9
2.5
3.1
20
6.2
7.4
2.5
84
3.1 6.1
1.5
87
0.6 7.8
0.8
95
1.4 6.8
0.7
産業の分類は次の通り
01
15
農業
建設業
45
46
飲食・小売
飲食店
95
その他サービス
3.6
3.4
3.4
3.6
2.8
5.4
5.1
1.4
4.1
13
5.3
6.8
1
0.6
5.4
0.5
4.5
3.4
7.1
3.4
3.4
8.2
7.3
4.1
5.1
6.2
4.1
14
3.6
8.8
2.6
2.8
5.4
17
3.1
3.4
4.1
41
13
4.1
5.3
21
18
食品・タバコ
49
小売業
20
繊維業
50
金融保険
35
電気機械
60
運輸・通信
39
その他製造
75
個人サービス
40
卸売業
84
事業所サービス
44
衣料・家具
87
専門サービス
55
1.6
1.3
7
5.1
11
1
2.1
6
3.7
4.9
3.6
5.3
24
4.9
12
3.9
4.7
3.8
5
3.4
3.4
61
3.3
1.9
2.1
3.6
1.9
3.9
5
4
2.1
3.1
3.6
2.3
2.7
3.9
2.2
23
2.8
2.9
6.8
2
3.4
83
8.2
5.9
7.7
6.6
2.8
4.9
2.1
5.5
3.7
4.6
8.3
6.1
2.7
4.9
2.6
6.5
7.4
5.8
22
6
4.8
表 3-3-2:産業間移動マトリックス(平成 4 年調査)
1
9
12
14
22
28
29
30
34
40
49
54
55
58
59
61
73
77
83
86
95
1
9
11
11
2.9 4 4
3.5 3.5
2.9 3.6
0.9 10
2 9.8
0.7 2.8
1 3.5
0.5 5.3
2.3 9.1
0.3 7.4
1.5 1.5
2.2 1.8
0.3
2
0.7 2.2
0 4.6
1.9 3.7
2.9 5.8
0.9 7.6
0.5
4
1.9 7.7
12
6.6
1
18
5.1
2.8
5.9
5.7
2
3.7
1.7
4.4
1.5
4
3.9
3.7
1.3
0.9
1
2.1
1.4
1.4
14
0
0.8
4.9
38
6.5
1
1.4
8.5
3.2
1.4
1.9
4.6
1.8
1.3
1.5
1.3
1.9
1.9
1.8
2
2.9
22
3.3
2.7
1.4
5.1
20
5.9
3.5
2
2.6
2.3
0.8
0
2.2
1.3
0.7
2
0.5
1
0.9
0.5
1
28
0
2.7
4.2
0.7
2.8
20
6.4
2.5
5.3
2.3
2.8
0
1.3
1.3
0.7
1.3
0.9
0
2.1
0.5
1.4
29
0
3.3
2.1
0.7
5.6
7.8
21
5
1.6
2.3
1.7
0.8
0.9
1.6
0.4
3.3
0.9
1.9
0.9
1.3
2.9
30
1.6
2.3
4.9
2.2
0.9
6.9
14
24
5.8
2.3
2.8
3.1
5.4
2.3
3.3
2.6
3.7
2.9
5.9
1.8
3.4
34
15
2.3
8.5
5.1
7.5
3.9
3.5
4.5
22
3.1
3.3
2.3
1.8
2.3
1.8
3.9
3.3
1.9
3.8
3.3
1.4
40
8.2
7.1
4.2
2.9
3.7
2.9
8.5
4.5
6.3
29
6.1
3.1
3.6
5.2
4.4
5.9
5.1
4.8
5.6
2.9
6.8
49
3.3
5.4
7
4.4
10
6.9
7.1
5
11
8.3
27
9.2
6.3
5.9
2.6
6.5
2.8
7.7
7.4
3.8
4.3
54
1.6
1
1.4
0
2.8
2.9
0
2
2.6
0.9
3.3
20
2.2
8.2
1.5
3.9
5.1
1
1.8
2
2.4
58
1.6
5.2
4.2
5.1
2.8
3.9
1.4
4.5
6.3
6.9
7.4
14
8
26
7.3
10
6
9.6
5
3.4
10
59
0
2.5
5.6
2.2
2.8
1
2.1
5.5
3.7
4.6
3.3
8.4
14
6.2
36
3.3
11
15
4.1
2.5
3.9
73
4.9
0.8
1.4
1.5
0.9
2.9
2.1
2.5
1.1
0.9
2.2
3.8
7.6
4.9
5.9
3.9
26
3.8
3.5
2.4
1.4
77
0
1.5
0
0
0.9
2
0
2
2.6
1.4
1.7
0.8
1.3
2
2.6
0
2.3
16
0.9
0.9
0.5
86
16
2.3
6.3
1.5
2.8
3.9
5
3.5
4.2
3.7
5.2
6.1
4.5
6.9
4.8
7.8
5.1
4.8
8.5
51
16
95
1.6
1.7
2.1
3.6
0
1
5
1.5
2.6
4
2.5
3.8
1.8
3.9
2.6
2.6
3.7
1.9
2.6
3.8
18
産業の分類は次の通り
01
農業
34
その他製造業
73
対個人サービス
09
建設業
40
運輸・通信
77
娯楽業
12
食品・タバコ
49
卸売業
83
対事業所サービス
14
繊維業
54
衣料・家具
86
専門サービス
22
その他化学
55
飲食・小売
95
その他サービス
28
金属製品
58
その他小売
29
精密機械
59
飲食店
30
電気機械
61
金融保険
表示は前産業に占める移動先産業のシェアである。離職総数が 100 人を超えるもののみを取り上げた。
−105−
表 3-4: 産業内移動と産業間移動における失業期間の分布
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11 12and
産業間
農業内
2076
746
805
300
216
82
95
47
70
24
27
16
48
7
14
9
14
6
5
9
8
5
over
6 17452
0
236
産業間
産業内
9.96
50.17
3.86
20.17
1.04 0.46
5.51 3.16
0.34
1.61
0.13
1.08
0.23
0.47
0.07 0.07
0.61 0.40
0.02
0.61
0.04
0.34
期間
0.03
0.00
83.76
15.87
注 1:上段は実数(人数)であり、下段はシェアを表している。
注 2:期間は月数
表 3-5: 標本集団の基礎統計量
Variable
PROB
IND
AGE
FEMALE
SEX
HAIGU
STATUS
SCHOOL
REASON
AGE2
HAIGU2
HAIGU3
STATUS2
STATUS3
SCHOOL1
SCHOOL3
SCHOOL4
REASON1
REASON2
Mean
Std. Dev.
Skew.
Kurt.
Minimum Maximum Cases
0.7925
0.4055
-1.4
3.1
0
1
22202
0.0663
0.2488
3.5
13.2
0
1
22202
44.6698
13.2816
0.2
2.4
16
81
22202
0.4019
0.4903
0.4
1.2
0
1
22202
1.4019
0.4903
0.4
1.2
1
2
22202
1.8823
0.4943
-0.2
3.7
1
3
22202
1.658
0.8063
0.7
1.9
1
3
22202
2.0532
0.9157
0.8
3
1
4
22202
1.9494
0.7457
0.1
1.8
1
3
22202
2171.787
1233.12
0.8
3.2
256
6561
22202
0.7419
0.4376
-1.1
2.2
0
1
22202
0.0702
0.2555
3.4
12.3
0
1
22202
0.233
0.4227
1.3
2.6
0
1
22202
0.2125
0.4091
1.4
3
0
1
22202
0.2762
0.4471
1
2
0
1
22202
0.0937
0.2914
2.8
8.8
0
1
22202
0.1179
0.3225
2.4
6.6
0
1
22202
0.3046
0.4603
0.8
1.7
0
1
22202
0.4414
0.4966
0.2
1.1
0
1
22202
注:AGE2 は年齢の自乗値を表し、HAIGU2,3 はそれぞれ有配偶と死別・離別ダミーである。SCHOOL1 は中卒、3
が短大専門学校卒、4 が大卒ダミーを表している。REASON1 は会社都合による離職、2 が本人都合による離職ダミ
ーを表している。
−106−
表 3-6-1:
労働者の属性と失業期間の推計結果 (移動先を考慮しない場合)
Variable
Constant
FEMALE
AGE
AGE2
HAIGU2
HAIGU3
STATUS2
STATUS3
SCHOOL1
SCHOOL3
SCHOOL4
REASON1
REASON2
Coefficient Standard Error z=b/s.e.
P[|Z|≧z] Mean of X
-2.5013
0.11263 -22.209 0.00000
-0.11043
3.16E-02
-3.49 0.00048
0.4019
0.12026
5.18E-03
23.198 0.00000
44.67
- 9 . 8 5 E -0 4
5.46E-05 - 18.036 0.00000
2172
0.21713
3.34E-02
6.51 0.00000
0.7419
3.67E-02
5.09E-02
0.72
0.47170
7.02E-02
-1.02E-02
3.97E-02
-0.256
0.79797
0.233
0.18332
3.04E-02
6.028 0.00000
0.2125
3.88E-02
2.60E-02
1.49
0.13624
0.2762
-4.48E-03
3.44E-02
-0.13
0.89633
9.37E-02
-0.15383
3.15E-02
-4.881 0.00000
0.1179
-8.16E-02
2.82E-02
-2.9
0.00373
0.3046
8.73E-02
2.50E-2
3.486 0.00049
0.4414
表 3-6-2: マージナル効果の推計結果 (移動先を考慮しない場合)
Variable
Coefficient Standard Error
Constant
FEMALE
AGE
AGE2
HAIGU2
HAIGU3
STATUS2
STATUS3
SCHOOL1
SCHOOL3
SCHOOL4
REASON1
REASON2
z=b/s.e.
P[|Z|≧z] Mean of X
-0.66996
3.07E-02 - 21.791 0.00000
- 2 . 9 6 E -0 2
8.48E-03
-3.49 0.00048
3.22E-02
1.40E-03
22.996 0.00000
- 2 . 6 4 E -0 4
1.47E-05 - 17.899 0.00000
5.82E-02
8.94E-03
6.505 0.00000
9.82E-03
1.36E-02
0.72
0.47177
-2.72E-03
1.06E-02
-0.256
0.79796
4.91E-02
8.15E-03
6.027 0.00000
1.04E-02
6.97E-03
1.49
0.13616
-1.20E-03
9.21E-03
-0.13
0.89633
- 4 . 1 2 E -0 2
8.44E-03
-4.883 0.00000
-2.19E-02
7.54E-03
-2.901
0.00372
2.34E-02
6.70E-03
3.486 0.00049
同決定係数 ZM=(N-1)*VAR(YF)/(N+(N-1)*VAR(YF))
ZM
= 0.400300
−107−
0.4019
44.670
2172
0.7419
7.02E-02
0.233
0.2125
0.2762
9.37E-02
0.1179
0.3046
0.4414
表 3-7-1: 労働者の属性と失業期間の推計結果 (移動先を考慮する場合)
Variable
Coefficient
Standard Error z=b/s.e.
P[|Z|≧z]
Mean of X
Index function
for probability
Constant
-1.9309
0.11025 -17.513
0.00000
IN D
-1.8818
4.16E-02 - 45.28
0.00000 6.63E-02
FEMALE
-0.11514
2.30E-02 - 5.004
0.00000
0.4019
AGE
0.10805
5.37E-03 20.134
0.00000
44.67
AGE2
- 8.88E-04
5.70E-05 - 15.576
0.00000
2172
SCHOOL1
7.51E-02
2.77E-02
2.713
0.00667
0.2762
SCHOOL3
4.26E-02
3.63E-02
1.171
0.24161
9.37E-02
SCHOOL4
-0.10447
3.35E-02
-3.12
0.00181
0.1179
REASON1
-7.63E-02
2.99E-02
-2.554
0.01066
0.3046
REASON2
7.63E-02
2.64E-02
2.889
0.00386
0.4414
HAIGU2
0.14996
3.23E-02
4.641
0.00000
0.7419
HAIGU3
-3.61E-04
5.22E-02
-0.007
0.99448
7.02E-02
表 3-7-2: マージナル効果の推計結果 (移動先を考慮する場合)
Variable
Coefficient
Standard Error
z=b/s.e.
Constant
-0.4994
2.89E-02 - 17.252
IND
-0.48672
1.18E-02 - 41.375
FEMALE
- 2.98E-02
5.95E-03 - 5.006
AGE
2.79E-02
1.40E-03
19.99
AGE2
- 2.30E-04
1.48E-05 - 15.475
SCHOOL1
1.94E-02
7.16E-03
2.714
SCHOOL3
1.10E-02
9.40E-03
1.171
SCHOOL4
- 2.70E-02
8.66E-03 - 3.121
REASON1
-1.97E-02
7.73E-03
-2.554
REASON2
1.97E-02
6.83E-03
2.889
HAIGU2
3.88E-02
8.36E-03
4.637
HAIGU3
-9.34E-05
1.35E-02
-0.007
同決定係数:ZM=(N-1)*VAR(YF)/(N+(N-1)*VAR(YF))
ZM = 0.467066
−108−
P[|Z|≧z]
Mean of X
0.00000
0.00000 6.63E-02
0.00000
0.4019
0.00000
44.67
0.00000
2172
0.00664
0.2762
0.24163
9.37E-02
0.00180
0.1179
0.01064
0.3046
0.00386
0.4414
0.00000
0.7419
0.99448
7.02E-02
図 3-1-1 現職産業別、前職産業における現職産業への移動シェア(昭和 62 年調査)
Comparison of Intra and Inter-industry movement (S62)
−109−
注 1: シェアの計算方法は、産業内移動は、当該産業からの移動者に占める現在同一産業従事者の比率であり、産業間移動は、非同一産業それぞれにおける、現在当該産業
への流出比率の平均値である。
注 2: Intra/Inter ratio は、両シェアの比率であり、大きい程その産業への流入が少ないか、同一産業からの流入が相対的に多いと解される。
図 3-1-2 現職産業別、前職産業における現職産業への移動シェア(平成 4 年調査)
Comparison of Intra and Inter-industry movement(H04)
−110−
注は同上。
図 3-2: 産業内移動と産業間移動での失業期間の違い(平成 4 年調査)
Unemployment spell
■Different Industry
■Same Industry
−111−
図 3-3-1: 年齢をコントロールした際の産業内移動の失業期間
Unemployment Spell by age (Intra-industry)
図 3-3-2: 年齢をコントロールした際の産業間移動の失業期間
Unemployment spell by age (Inter-industry)
−112−
図 3-4-1: 性別をコントロールした際の産業内移動の失業期間
Unemployment spell by sex (Intra-industry)
図 3-4-2: 性別をコントロールした際の産業間移動の失業期間
Unemployment spell by sex(Inter-industry)
−113−
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