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担当:吉永正彦 テキスト:「離散体積計算による組合せ数学入門」 M
担当:吉永正彦 テキスト: 「離散体積計算による組合せ数学入門」M. Beck, S. Robins 著 岡本吉央訳 (ちなみに元の英語版, Computing the continuous discretely. は大学の図書から PDF がダウンロードできるかもしれない.) 格子点の数え上げは初等的ではあるが, 現代数学の最先端の様々な話題 とも関係している. 多面体上の格子点の数え上げに関する最も基本的な概 念は, Ehrhart 多項式である. (ちなみに定義は以下である: 全ての頂点 が格子点であるような整数多面体 (格子多面体)P を固定する. 自然数 n に 対して, P を n 倍して得られる多面体 nP 上にある格子点の個数を LP (n) と表すことにすると, もちろん LP (n) は n の関数なのだが, 実は (全く自 明ではないが) n に関する多項式で表される. この多項式が P の Ehrhart 多項式である.) 本セミナーの目標は, 「離散体積計算による組合せ数学入門」の第 2 章 ∼4 章を通して Ehrhart 多項式の理論に入門することである. 以下内容を 簡単に紹介する. 第 2 章「離散体積の展覧会」では, いくつかの具体的な多面体に対して, 格子点の数え上げを実行する. 本章で多くの多面体に共通する性質を観 察して次章で一般化するという流れである. (時間的な制約から, 有理多 面体の話はとばすことを考えている.) 第 3 章「多面体の格子点を数える:Ehrhart 理論」では, 前章での具体 的な例の計算から予想される一般的な結果 (Ehrhart 多項式の存在と基本 的な性質) をまとめて証明する. 第 4 章「相互法則」では Ehrhart 多項式に負の整数を代入したときの 値に意味づけをする「相互法則」が証明される. さらに余裕があれば 5∼6 章の応用へと進むのも面白いかもしれない. 数学的な予備知識は, あまり多くは必要ないが, 線型代数以外に次の二 点がクリアできていれば本書を楽しめると思う: • 等比級数の和の公式を使って有理関数と無限級数を行ったり来た ∑ 1 n りする計算ができる. (例えば, 1−x = ∞ n=0 x の両辺を微分して, ∑ 1 n = ∞ n=0 (n + 1)x を得る, 2 回, 3 回以上微分するとどのよう (1−x)2 な公式になるだろうか? またこれの多変数版はあるか?) • 多面体に関するいくらかの直感的理解がある. (この点については, 2 章 §2.1 に必要なことがまとまっている.) 1