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「宇宙等極限環境における電子部品等の利用に関する 研究開発

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「宇宙等極限環境における電子部品等の利用に関する 研究開発
「宇宙等極限環境における電子部品等の利用に関する
研究開発プロジェクト」
事業原簿
担当部
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
機械システム技術開発部
概
要
作成日
平成 16 年 10 月
20 日
プログラム名
宇宙産業高度化基盤技術プログラム
プロジェクト名
「宇宙等極限環境における電子部品等の
プロジェクト番号 P99001
利用に関する研究開発」プロジェクト
担当推進部/担当者
機械システム技術開発部/長束
0.事業の概要
紀夫
宇宙、深部地中等の過酷な環境で使用する機器の低コスト化、高機能化等を図
るため、我国の安価で高機能な民生部品・民生技術を選び、地上模擬試験及び
宇宙実証試験を行い、過酷な環境で使用するための民生部品・民生技術の選定・
評価及び適用設計に関するガイドライン策定する。地上模擬試験では、最新の
民生部品・民生技術を選定して、耐久試験、環境試験、放射線評価試験等の試
験を実施してデータベースへの登録をおこなっており、これまでに 195 品種を
登録している。宇宙実証試験では、民生部品・民生技術を組込んだ実験機器及び
それを搭載する実証衛星を製作して軌道上実験を行う。平成 15 年 10 月 30 日に
は実証衛星1号機を所定の軌道に打上げ、47 品種の民生部品・民生技術の実験を
行っており、実証衛星2号機の準備も進めている。
また、民生部品・民生技術を適用した機器の開発を効率的に行なうために、
コンピュータシステムによる仮想環境を用いた開発支援技術を開発し、実証衛
星の開発に適用する。
Ⅰ.事業の位置付け・必要性について
【NEDOが関与する意義】
本プロジェクトでは、衛星製造等の低コスト化、短納期化、高機能化を実現するため、我が国が保
有する民生部品・民生技術を衛星製造等に活用するための知的基盤(データベース・ガイドライン)
を策定することを目的に、民生部品・民生技術を選定するための地上試験を行うとともに、地上試験
により選定された民生部品・民生技術の宇宙環境での実証試験を行うものである。
この知的基盤整備は共通的な技術基盤であり公共性が高いものであること、また、宇宙実証を実施
するには、投資規模が非常に大規模かつ長期間要することから、民間投資による推進は困難であり、
産学官の連携の下で効率的な研究開発を実施することが必要不可欠である。
上記のとおり、本プロジェクトは公共性が高く、かつ民間投資による推進が困難であることから、
NEDOによる実施が必要である。
【事業の背景・目的・位置付け】
衛星等の極限環境で使用する機器には、信頼性を重視して、耐環境性の保証されたMIL部品等が
使用されているが、民生部品と比較すると、信頼性重視の点から、高価かつ長納期で、技術的にも2
∼3世代古い部品となり、大型、低機能で、衛星等の高コスト・長納期要因となっている。
本プロジェクトでは、衛星等の低コスト化、短納期化、高機能化を実現するため、我が国が保有す
る民生部品・民生技術を衛星等に活用するための知的基盤を策定することを目的に、民生部品・民生
技術を選定するための地上試験と、選定された民生部品・民生技術の宇宙実証試験を行うものである。
また、民生部品・民生技術を適用した機器等の開発を効率的に行なうために、コンピュータシステ
ムによる仮想環境を用いた開発支援環境開発も行なう。
宇宙産業は、大きな技術波及効果を有し、国民の安全にも密接に係わるだけでなく、高度情報化社
会の実現、地球環境の保全等多様な社会ニーズに応える基盤となるものである。経済産業省では、我
が国宇宙産業の国際競争力を強化すること等を目的とした宇宙産業高度化基盤技術プログラムを実
施しており、
。本プロジェクトは、衛星製造等の低コスト化、短納期化、高機能化に資することから、
上記宇宙産業高度化基盤技術プログラムに位置づけられているものである。
Ⅱ.研究開発マネージメントについて
【事業の目標】
我が国が有する民生部品・民生技術を、衛星製造等の低コスト化、短納期化、高機能化に活用する
ため、地上模擬試験と2回の宇宙実証試験を行い、衛星製造等に適用するための知的基盤「民生部品・
民生技術データベース」「民生部品・民生技術選定評価ガイドライン」「民生部品・民生技術適用設
計ガイドライン」を作成する。地上模擬試験では200品種以上、宇宙実証試験においては60品種以上を
評価する。また、平成12年度までに民生部品・民生技術を適用した機器等の開発を効率的に行うため
i
のコンピュータシステムによる仮想環境を用いた開発支援技術を確立し、その後実証衛星の開発に適
用し効果を定量的に評価する。
中間目標としては、180 品種以上のデータベースへの登録と、宇宙実証衛星 1 号機にて 30 品種以
上の宇宙実証を実施し、知的基盤の第一次案を作成する。また開発支援技術の開発を完了し、実証衛
星の開発に適用し効果を確認する。
事業の計画内容
H11fy H12fy H13fy H14fy H15fy H16fy H17fy H18fy H19fy
主な実施事項
地上模擬試験
宇宙実証試験
ガイドライン作成
開発支援技術
【開発予算】(百万円) H11fy
H12fy
H13fy
H14fy
H15fy
(当初)
1,200
999
950
584
408
(実績)
1,146
955
944
554
395
(当初)
1,179
3,567
3,730
3,291
2,693
(実績)
1,178
3,559
3,703
3,103
1,981
(当初)
2,379
4,566
4,680
3,875
3,101
(実績)
2,324
4,514
4,647
3,657
2,376
一般会計
特会
総予算額
【開発体制】
経産省担当原課
H16fy H17fy H18fy H19fy
250
182
103
40
総額
4,716
3,994
2,528 4,562 4,398
435
26,383
13,524
2,778 4,744 4,501
475
31,099
17,518
製造産業局航空武器宇宙産業課
プロジェクト推進責任者 (財)無人宇宙実験システム研究開発機構
技術本部本部長
金井 宏
委託先
(財)無人宇宙実験システム研究開発機構
共同研究先
東北大学サイクロトロンラジオアイソトープセンター
早稲田大学理工学総合研究センター
【情勢変化への対応】
ライフサイクルの早い民生部品・民生技術に対する柔軟な対応のため、市場調査と選定を毎年実施
している。また、最近確認されてきた陽子線によるシングルイベント効果に対応するため、陽子によ
る地上模擬試験を追加し、重イオンと陽子による放射線耐性予測の分析を行なっている。
大型衛星一辺倒であった衛星市場も、リスク分散、開発コストおよび期間の短縮等のため、中小型
衛星の有用性が再確認されてきており、本プロジェクトの有用性が増してきている。
Ⅲ.研究開発成果について
平成 16 年度上期末中間目標を達成済み。平成 15 年 10 月 30 日に打ち上げられた実証衛星1号機は
順調に飛行中であり、搭載実験機器も正常に稼動している。
【研究開発項目①民生部品・民生技術の極限環境適用技術】
1)地上模擬試験
202 品種の民生部品・民生技術について、スクリーニング試験、放射線試験及び品質確認試験等を
完了し、順次データベースに登録している。このうち民生部品についてはトータルドーズ耐性
250Gy(Si)とした場合は 100 品種、150Gy(Si)とした場合は1113 品種が合格となった。
2)宇宙実証試験
9種類の民生部品・民生技術を採用した実験装置と、民生部品の振る舞いを詳細に計測するための
部品単体試験装置、民生部品が曝される宇宙の放射線環境を計測する環境計測装置を搭載した実証
衛星1号機を打ち上げ、宇宙環境下での機能・性能の確認試験を順調に実施中である。使用されて
いる民生部品は 40 品種、民生技術は 7 種類である。
ii
①ベーン式推薬タンクシステム(VTS)
宇宙での推薬排出効率99.2%(目標95%)を達成した。
②統合航法センサシステム(INU)
GPS 受信機機能性能評価実験、GPS 姿勢決定機能性能評価実験、スターセンサ(STAR)機能性能
評価実験を順調にこなしており、GPS により 1 度以下の精度で衛星姿勢決定ができ、また 100m
以下の精度で軌道決定ができることが確認された。
③統合電力制御装置(PCDS)
電力制御機能、バッテリ管理機能等が正常に動作することを確認した。
④次世代パドル駆動装置(APDM)
25,000 回転までの試験を完了し正常に機能していることが確認した。引き続き目標回転数
50,000 回転に向けて試験を続ける。
⑤無調整化 TTC トランスポンダ(ATTC)
ATTC は期待どおりの成果を得ているため、実証衛星 2 号機用通信装置(主系)として使うこと
が決定している。
⑥オンボードコンピュータ(OBC)
模擬飛行制御演算、画像処理演算、性能評価演算を繰り返し実施しており、110MIPS 以上の性能
を有することが確認されている。
⑦スターセンサ統合型衛星制御装置(SIS)
姿勢検出に必要な5等星まで検出でき、衛星姿勢/姿勢レートも検出できることが確認され、実
証衛星 2 号機用衛星制御装置(主系)へ採用することが決定している。
⑧リチウムイオンバッテリシステム(LIB)
充放電試験を 20 回実施したが、性能劣化は認められず、実証衛星 2 号機用バッテリとして採用
することが決定されている。
⑨光ファイバジャイロ慣性基準装置(FOIRU)
バイアス安定度 0.015 度/時間(1σ)、ノイズ等価角度は 0.87 秒(1σ)が確認されており、期
待以上の性能が得られている。
⑩部品単体試験装置(CPT)
メモリを中心とした民生部品の宇宙環境での状況を計測し、データを正常に送ってきている。
⑪環境計測装置(EMSS)
搭載計測装置は正常に作動しており、データ収集中。
3)ガイドライン策定
実証衛星1号機の約 1 年間にわたる軌道上実証試験結果の比較検討結果を反映した第 1 次民生部
品・民生技術選定評価ガイドラインおよび第 1 次民生部品・民生技術適用設計ガイドラインを作
成した。
【研究開発項目②極限環境で使用する機器等の開発支援技術】
開発衛星の設計情報をデータベースとし、ネットワークを介してそれらの情報の登録・保管・検
索・提供を行なう設計情報交換技術システムを構築し運用している。
論文発表:74件、
新聞報道:37件、
特許:1件
Ⅳ.実用化、事業化の見通しについて
民生部品・民生技術を宇宙に適用するための知的基盤は、衛星の低コスト化、高機能化、小型軽量
化に大きく貢献し、我が国宇宙産業界の国際競争力強化に大いに役立つものである。また石油掘削装
置、原子力関連設備等の極限環境で使用される機器への適用も期待でき、広く普及を図っていく。実
証衛星 1 号機に搭載された実験装置の一部は、国内衛星用として採用され海外からも引き合いがあ
る。その他の装置についても、国内外の衛星メーカ等に売り込みや提案活動を実施中である。開発支
援技術は衛星開発の効率的推進が行なえることが確認され国際競争力強化が期待できる。
Ⅴ.評価に関する事項
Ⅵ.基本計画に関する事項
平成16年度下期中間評価実施予定
事後評価
平成20年度実施予定
作成時期
平成11年2月作成
変更履歴
平成14年3月、平成15年3月、平成16年3月変更
iii
目次
1 事業の目的・政策的位置付けについて.................................................................................1
1.1 NEDO の関与の必要性・制度への適合性...........................................................................1
1.1.1 NEDO が関与することの意義............................................................................................1
1.2 事業の背景・目的・位置付け..............................................................................................1
1.2.1 事業の背景...........................................................................................................................1
1.2.2 事業の目的及び意義...........................................................................................................2
1.2.3 事業の位置付け...................................................................................................................2
2 研究開発マネジメントについて.............................................................................................2
2.1 事業の目標..............................................................................................................................2
2.1.1 全体目標...............................................................................................................................2
2.1.2 中間目標...............................................................................................................................3
2.1.3 中間目標設定理由...............................................................................................................4
2.2 事業計画の内容......................................................................................................................5
2.2.1 研究開発の内容...................................................................................................................5
2.2.1.1 事業計画内容....................................................................................................................5
2.2.1.2 全体スケジュールと予算.............................................................................................. 11
122.2.2 研究開発の実施体制.....................................................................................................12
2.2.2.1 研究員..............................................................................................................................12
2.2.3 研究の運営管理.................................................................................................................18
2.2.3.1 プロジェクト推進責任者の役割..................................................................................18
2.2.3.2 SERVIS 技術委員会の組織・役割 ................................................................................19
262.3 情勢変化への対応............................................................................................................28
2.4 中間・事後評価の評価項目・評価基準・評価手法及び実施時期................................29
3 研究開発成果について...........................................................................................................30
3.1 事業全体の成果....................................................................................................................30
3.2 研究開発項目毎の成果 35...................................................................................................31
3.2.1 研究開発項目①民生部品・民生技術の極限環境適用技術 35....................................31
3.2.1.1 地上模擬試験の成果 35.................................................................................................31
3.2.1.2 宇宙実証試験の成果......................................................................................................49
3.2.1.3 ガイドライン策定..........................................................................................................77
3.2.2 研究開発項目②極限環境で使用する機器等の開発支援技術の開発成果.................81
3.2.2.1 設計情報交換技術の開発成果......................................................................................81
3.2.2.2 設計情報統合技術の開発成果......................................................................................82
4 実用化、事業化の見通しについて.......................................................................................85
4.1 実用化、事業化の見通し....................................................................................................85
4.2 今後の展開............................................................................................................................86
5 成果資料...................................................................................................................................89
5.1 論文リスト............................................................................................................................89
5.2 新聞発表リスト....................................................................................................................89
5.3 出願特許リスト....................................................................................................................89
【添付資料】
1.宇宙産業高度化基盤技術プログラム
2.プロジェクト基本計画
1 事業の目的・政策的位置付けについて
1.1 NEDO の関与の必要性・制度への適合性
1.1.1 NEDO が関与することの意義
衛星等の製造においては、従来から、信頼性を重視して、主にMIL規格部品(米軍
仕様の高信頼性部品、以下「MIL部品」という。)が用いられてきたが、MIL部品
は信頼性が高いものの、非常に高価かつ長納期及び低機能であるため、衛星等の製造に
おける高コスト・長納期要因となっている。
また、MIL部品は製造量が少なく採算が合わないこと等の理由から、部品メーカー
のMIL部品生産からの撤退が顕著となっており、今後、必要な高信頼性部品の調達が
困難になる可能性がある。
一方、我が国は、自動車、電気製品等に使用されている民生部品・民生技術について、
世界的にも低コストかつ高機能な競争力のある製品を製造する能力を有しているもの
の、宇宙環境等の極限環境での使用実績がない。
本プロジェクトでは、衛星製造等の低コスト化、短納期化、高機能化等を実現するた
め、我が国が保有する民生部品・民生技術を衛星製造等に活用するための知的基盤(デ
ータベース・ガイドライン)を策定することを目的に、民生部品・民生技術を選定する
ため、地上での極限環境の模擬試験(以下「地上模擬試験」という。)を行うとともに、
地上模擬試験により選定された民生部品・民生技術の宇宙環境での実証試験を行うもの
である。
この知的基盤整備は共通的な技術基盤であり公共性が高いものであること、また、宇
宙実証を実施するには、投資規模が非常に大規模かつ長期間要することから、民間投資
による推進は困難であり、産学官の連携の下で効率的な研究開発を実施することが必要
不可欠である。
上記のとおり、本プロジェクトは公共性が高く、かつ民間投資による推進が困難であ
ることから、NEDOによる実施が必要である。
1.2 事業の背景・目的・位置付け
1.2.1 事業の背景
衛星等の極限環境で使用する機器には、信頼性を重視して、耐環境性の保証されたM
IL部品が使用されている。しかしながら、MIL部品は、民生部品と比較すると、信
頼性を重視することから、高価かつ長納期であり、技術的に2∼3世代古い部品が使用
されているため、大型、低機能であり、衛星等の製造における高コスト・長納期要因と
なっている。
また、MIL部品は製造量が少なく採算が合わないこと等の理由から、部品メーカの
MIL部品生産からの撤退が顕著となっており、今後、必要な高信頼性部品の調達が困
難になる可能性がある。
一方、我が国は、自動車、電気製品等に使用されている民生部品・民生技術について、
世界的にも低コストかつ高機能な競争力のある製品を製造する能力を有しており、我が
国の保有する民生部品・民生技術を衛星製造等に活用することにより、衛星製造等の低
コスト化、短納期化、高性能化等が期待されている。
1
しかしながら、民生部品・民生技術は地上での使用を前提とされたものであるため、宇
宙への転用可能性を有しているものの、宇宙環境等の極限環境での使用実績がないため、
民生部品・民生技術が衛星製造等に活用されていないのが現状である。
1.2.2 事業の目的及び意義
本プロジェクトでは、衛星製造等の低コスト化、短納期化、高機能化等を実現するた
め、我が国が保有する民生部品・民生技術を衛星製造等に活用するための知的基盤(デ
ータベース・ガイドライン)を策定することを目的に、民生部品・民生技術を選定する
ための地上模擬試験を行うとともに、地上模擬試験により選定された民生部品・民生技
術の宇宙環境での実証試験を行うものである。
また、民生部品・民生技術を適用した機器等の開発を効率的に行なうためには、コン
ピュータシステムによる仮想環境を用いた開発支援環境の整備が必要不可欠であり、こ
の開発支援技術の開発を行なうものである。
したがって、衛星製造等の低コスト化、短納期化、高機能化等を実現するため、以下
の2項目について研究開発を実施する。
研究開発項目①:民生部品・民生技術の極限環境適用技術(上述の知的基盤策定に対
応)
研究開発項目②:極限環境で使用する機器等の開発支援技術(上述のコンピュータシ
ステムによる仮想環境を用いた開発支援環境の整備に対応)
1.2.3 事業の位置付け
宇宙産業は、大きな技術波及効果を有し、国民の安全にも密接に係わるだけでなく、
高度情報化社会の実現、地球環境の保全等多様な社会ニーズに応える基盤となるもので
ある。経済産業省では、我が国宇宙産業の国際競争力を強化すること等を目的とした宇
宙産業高度化基盤技術プログラムを実施している。
本プロジェクトは、衛星製造等の低コスト化、短納期化、高機能化等に資することか
ら、上記宇宙産業高度化基盤技術プログラムに位置づけられているものである。
2 研究開発マネジメントについて
2.1 事業の目標
2.1.1全体目標
本研究開発の目標は以下のとおりである。
『宇宙実証の結果を踏まえ、平成 19 年度までに民生部品・民生技術を衛星に転用する
ための知的基盤を整備することにより、我が国における衛星製造等の低コスト化等を
図る。』
2
研究開発項目①に係る目標
(1)『衛星製造等に転用可能性を有する民生部品・民生技術に対し宇宙等極限環境を
模擬した地上模擬試験を実施し、その試験結果から民生部品・民生技術データ
ベースを構築する。ここにデータベースへの累積登録品種数は200品種以上とす
る。』
(2)『民生部品・民生技術データベース及びそれに基づき選定した民生部品・民生技
術の2回の宇宙実証試験(実証衛星1号機及び2号機)のデータ等に基づき、民
生部品・民生技術選定評価ガイドラインと民生部品・民生技術適用設計ガイド
ラインを策定する。ここに実証衛星1号機及び2号機への民生部品・民生技術適
用数はそれぞれ30品種以上とする。』
<上記目標値設定に関する補足>
・ 民生部品・民生技術データベースの累積登録品種数 200 品種以上:
本研究開発開始時に市販民生部品・民生技術を調査した結果、衛星機器の低コ
スト化、高機能化、小型・軽量への寄与の可能性を有する品種数は、少なくとも
200 品種あることが判明した。これに基づき、データベースへ確実な登録が期待で
きる品種数として 200 品種以上を設定した。
・ 実証衛星 1 号機及び 2 号機の民生部品・民生技術適用数それぞれ 30 品種以上:
実証衛星 1 号機用実験装置への民生部品・民生技術の適用を最終決定する段階
において、地上模擬試験結果から、約半数が宇宙等極限環境に対する耐性を有す
る予測が得られた。これに基づき、地上模擬試験を受ける 200 品種以上のうち、
宇宙実証用実験装置に組入れて運用期間に亘って確実に評価データが得られる民
生部品・民生技術の品種数として 60 品種以上が期待できると判断できた。これを
実証衛星 1 号機用実験装置と 2 号機用実験装置に等分に振り分けて、民生部品・
民生技術適用数としてそれぞれ 30 品種以上を設定した。
研究開発項目②に係る目標
『平成 12 年度までに開発支援技術の開発を完了し、実証衛星 1 号機、2 号機の開発に適
用して、その結果に基づき、極限環境で使用する機器等の設計の省力化、情報管理の
迅速化、製造・試験期間の短縮化に関する効果を定量的に評価する。
』
2.1.2 中間目標
本研究開発では、実証衛星1号機による評価データ入手1年後、平成16年度上期末
を目途として中間評価を実施することを前提に中間目標を設定した。
研究開発項目①に係る中間目標
(1)『衛星製造等に転用可能性を有する民生部品・民生技術に対し宇宙等極限環境を
3
模擬した地上模擬試験を実施し、その試験結果から第 1 次の民生部品・民生技
術データベースを構築する。ここにデータベースへの累積登録品種数は 180 品
種以上とする。』
(2)『民生部品・民生技術データベース及びそれに基づき選定した民生部品・民生技
術の実証衛星 1 号機による宇宙実証データ等に基づき、第 1 次の民生部品・民
生技術選定評価ガイドラインと民生部品・民生技術適用設計ガイドラインを策
定する。ここに実証衛星 1 号機への民生部品・民生技術適用数は 30 品種以上と
する。
』
研究開発項目②に係る中間目標
『平成 12 年度までに開発支援技術の開発を完了し、実証衛星 1 号機、2 号機の開発に適
用して、その結果に基づき、極限環境で使用する機器等の設計の省力化、情報管理の
迅速化、製造・試験期間の短縮化に関する効果を確認する。』
2.1.3 中間目標設定理由
(1) 研究開発項目①
中間評価の時期が、実証衛星1号機打上後約1年であることから、それまでに実施さ
れた地上模擬試験及び宇宙実証試験の結果を体系的に分析・関連付けを行い、「民生部
品・民生技術データベース」
、
「民生部品・民生技術選定評価ガイドライン」及び「民生
部品・民生技術適用設計ガイドライン」の第 1 次案を作成するのに十分な試験結果が得
られることが想定された。それとともに、第 1 次案を策定することにより、中間評価後
の地上模擬試験及び宇宙実証試験に対する反映が可能になるため、データベース、ガイ
ドラインの第1次案作成を中間目標に設定した。
中間評価の時期におけるデータベースへの累積登録品種数については、宇宙実証用実
験装置の開発に先行して行われる地上模擬試験の終盤段階にあたるため、180品種以
上の民生部品・民生技術の地上模擬試験による評価を行なうことを目標とした。
実証衛星1号機の民生部品・民生技術適用数は、2.1.1 項の<上記目標値設定に関する
補足>に記載の理由により、30 品種以上とした。
(2) 研究開発項目②
平成 12 年度に完了する開発支援技術の適用は、実証衛星1号機用実験装置開発の途
中から、中間評価時点において実証衛星2号機用実験装置開発の途中段階までとなるた
め、適用により「効果を確認する」とした。
4
2.2 事業計画内容
2.2.1 研究開発の内容
2.2.1.1 事業計画の内容
昨今、衛星の通信・放送・観測分野等での利用がますます進んでおり、今後更なる普
及のため、また我が国の宇宙産業界が世界市場で競争力を保持するためには、衛星価格
の低減が最重要課題となっている。これを実現するためには、設計・製造・試験・調達・
管理に対する抜本的な改革が求められているが、本課題を解決する為の最も有効な方策
は我が国が得意とする民生部品・民生技術の活用であり、この転用の為の知的基盤構築
が本プロジェクトの目的である。
本研究開発開始にあたって、先行する研究開発で開発された次世代型無人宇宙実験シ
ステム(USERS)衛星バス注)の費用構成を調査した。その結果、使用されているMIL
部品数は約 37,900 点、その購入費用はバス価格の 22%を占めることが判明した。また、
使用されているMIL部品の品種とその価格内訳を表 2.2-1 に示す。同表から明らかなよ
うに、電子部品費用の 87%がマイクロプロセッサ(CPU)、メモリ、ゲートアレイ(GA)等
の高機能な電子部品で占められていることが判る。もしこれらのMIL部品を我が国が
得意とする民生用電子部品で置き換えることができれば電子部品代が大幅に削減でき,
衛星の低コスト化,高機能化のための有効な手段となる。従って、本研究開発において
は、これらの高機能半導体部品を重点的に評価する。
また上記のMIL部品を単に民生部品に置き換えることによるコスト削減効果に加え,
高機能な CPU、メモリ、GA 等を使うことにより、従来の電子回路による処理をソフト
処理化することが可能となり、従来の電子回路を削減することが可能となる。加えて民
生技術によるハイブリッド IC(HIC)化やマルチチップモジュール(MCM)化により電
子回路の小型化、無調整化、更には小型化された機器の統合化が可能となる。これらに
よるリカーリングコスト(開発コストを除いた 2 台目以降の製造コスト)低減効果は図
2.2-1 に示すとおり、MIL部品の民生部品への置き換え以上と見込まれ、衛星の価格低
減に大きく寄与することが明らかである。
以上のように、民生部品・民生技術を衛星バスに適用できれば衛星の大幅な低価格化が
可能となり、我が国の宇宙産業界の国際競争力強化に大きく貢献するものである。
注)衛星バス:全ての衛星に備わっている共通的部分で、通信系、姿勢制御系、太陽電池パドル系、
電源系等からなる。
表 2.2-1
USERS 衛星バスに用いられている電子部品数とその費用構成
品種
CPU,メモリ,GA
デジタル IC
半導体
抵抗・コンデンサ
その他(太陽電池、リレー等)
合計
5
使用数 費用構成
250
87 %
2,530
2%
6,720
1%
14,600
2%
13,800
8%
37,900
100 %
管理費 資材費 製造・試験費
現状バス
将来低コスト化バス
37%
9%
高信頼性電子部品22%
E部品10.1
資材費
その他15%
54%
製造・試験費
コスト削減策
コスト削減策
1.民生部品・民生技術採用による機器の
1.民生部品・民生技術採用による機器の
簡素化、統合化、ソフト化、無調整化等
簡素化、統合化、ソフト化、無調整化等
コスト削減策
コスト削減策
1.高信頼性部品の民生部品に
1.高信頼性部品の民生部品に
よる置き換え
よる置き換え
2.管理の簡素化、製造・試験の自動化等
2.管理の簡素化、製造・試験の自動化等
2.調達方法改善による削減
2.調達方法改善による削減
図 2.2-1 将来衛星バスのリカーリングコスト削減効果
宇宙で民生部品・民生技術を使用する際の重要な課題は放射線耐性及び信頼性に対し、
どの様な設計を行うかである。先ず放射線耐性に対しては、民生部品・民生技術の放射
線耐性に関するデータの蓄積が必要となる。
衛星に搭載された機器は、次のような放射線環境に曝される。
・太陽系の外から来る重イオン線である銀河宇宙線
・太陽から放出される陽子、電子を主成分とした太陽宇宙線
・地球磁場に捕捉されている陽子線と電子線からなる捕捉宇宙線
これにより電子部品の場合には、放射線エネルギーの蓄積効果(トータルドーズ効果)
と放射線衝突にともなうメモリ情報反転等(シングルイベント効果)が同時に発生する。
しかし上記放射線に対する民生部品の耐性を評価するための地上模擬試験は、試験設
備の制約から、トータルドーズ効果とシングルイベント効果に対する試験を別々に実施
せざるをえない。トータルドーズ効果に対する試験はコバルト 60 から放射されるガン
マ線を電子部品に照射して試験を行い、また数千∼数万倍もの加速試験とならざるを得
ない。一方シングルイベント効果に対しては粒子加速器で加速した高速のイオン粒子を
電子部品に照射して試験を行う。
更に、宇宙環境は上記放射線環境に加え、高真空環境、衛星内部機器であっても-30°
C から+60°C の温度サイクルが加わり、これら複合環境に対する評価を行うことが民生
部品・民生技術を宇宙で使いこなすためには必須となる。
従って、宇宙空間で民生部品・民生技術が曝される複合環境下での挙動と地上の常温・
常圧下で、しかも限られた放射線源を使って個別に行われる加速試験結果とを比較・検
討し、その相関を求め、今後の民生部品・民生技術安定のための評価試験条件・方法を
確立する必要がある。
6
民生部品・民生技術を宇宙で使用する上でのもう一つの課題は信頼性に対する考え方
の確立である。一般に大量生産されている民生部品・民生技術の品質は安定しているが、
個々の品質情報を入手しにくいのが現状ある。そこで、民生部品・民生技術を宇宙で使
用するためにはどのような条件でスクリーニング試験(初期故障除去等のための試験)
を行い、またどのように品質確認試験を行えば効率的に信頼性の評価・確認ができるか
を検討する必要がある。
また視点を変えて、我が国の宇宙関連企業が衛星バス及びその搭載機器を販売する場
合、衛星は一度打上げられると修理ができないこともあり、その軌道上運用実績の有無
が常に問われる。軌道上実績がないと販売できないと言っても過言ではない。
従って本研究開発においては、地上模擬試験に加え、将来の低コスト化周回衛星バス
を構成するバス機器に民生部品・民生技術を適用して宇宙実証することにより、民生部
品・民生技術の評価と同時に低コスト・高機能な先端バス機器の評価も可能となり、我
が国の宇宙産業界の国際競争力強化に貢献する。
本研究開発の流れを図 2.2-2 に示す。
宇宙実証試験
宇宙実証#1
打上げ
宇宙実証衛星2号機
宇宙実証衛星1号機
実験装置
(10機器)
実験装置
(9機器)
民生部品民生技術選定・適用
地上模擬試験
民生部品(第1世代)
民生部品(第2世代)
民生部品(第3世代)
民生技術
民生部品・民生技
術データベース
1号機実験
装置のバス適用
衛星製造等の低コスト化等
打上げ
宇宙実証データ
宇宙実証
#2
民生部品・
民生技術の選定評価・適用設計ガイドライン
目標
開発支援技術
設計交換・統合技術
実証衛星開発への適用・効果評価
開発支援技術
図 2.2-2
本研究開発の流れ
本研究開発では、以下に示す理由により、2 機の実証衛星による2回の宇宙実証試験
を行う計画とした。
①実証衛星 1 号機では、128Mbit と 256Mbit のメモリ、実証衛星2号機では 256Mbit
と 512Mbit のメモリのように、2機の実証衛星で設計ルールの異なる 3 世代に亘
る評価を行い、その後は宇宙実証試験を行わなくとも、外挿により民生部品の放
射線耐性が予測できることを目指す。
7
②最新の民生部品・民生技術を適用した低コスト・高機能な先端の各種衛星用機器
実験装置を2回の衛星に分けて宇宙実証し、軌道上実績を作るとともに適用技術
に関するデータを蓄積する。
③実証衛星 1 号機で評価された実験装置のうち、主要な実験装置を実証衛星2号機
用バス機器として採用することにより、低コスト高機能衛星バス構築に向けた宇
宙実証データの蓄積を図る。
また、衛星の開発に当たっては、全体システム取りまとめ担当、衛星システム担当、
搭載ペイロード担当等多くの関係者から構成されている。これらの関係者間のタイムリ
ーで齟齬のない情報伝達、インタフェース情報交換は、本研究開発の実施上必須である
と考えられる。従来、この種の情報交換はインタフェースコントロール文書(ICD)に代
表される「紙ベース」により実施されており、情報伝達の遅れ、転記ミスによる設計過
誤等が顕在化してきていた。従って、本研究開発において、実証衛星バスおよび実験装
置の構成部品・構成要素の3次元設計情報を電子化し、電子化された設計情報を交換する
ソフトウェアを開発する。またコンピュータ上の仮想環境で機器等を組み立てて耐極限
環境性をシミュレートし、仮想環境で適正なシステムを構築するための技術を開発し、
実証衛星開発に適用する。
以上の目的を達成するために、本研究開発は次の 2 研究テーマを設け、実施する。
●研究開発項目①:民生部品・民生技術の極限環境適用技術
・民生部品・民生技術に対する地上模擬試験
・宇宙実証試験
・ガイドラインの策定
●研究開発項目②:極限環境で使用する機器等の開発支援技術
・設計情報交換技術の開発
・設計情報統合技術の開発
なお、研究開発項目①の宇宙実証試験には、民生部品・民生技術を中心部分に使用し
た実験装置の開発、それらを搭載して宇宙実証するための2機の実証衛星の製作・開発、
実証衛星打上げのためのロケット調達・打上げ作業、軌道上運用作業及びそのための地
上設備の整備・調達等を含むものとする。
(1)研究開発項目①民生部品・民生技術の極限環境適用技術
1) 地上模擬試験
・実証衛星 1 号機、2 号機に搭載される実験装置に用いられる可能性のある民生部品・
民生技術をはじめとして宇宙転用により衛星バスの低コスト化、高機能化、小型・
軽量化が期待できる民生部品・民生技術の地上模擬試験及び極限環境への適合性評
価を実施する。実証衛星 1 号機用は平成 13 年度までに、また実証衛星 2 号機用は平
成 16 年度までに試験を終了する。適合性評価試験は放射線試験、スクリーニング試
験、品質確認試験から構成される。各々の試験項目、試験条件等は評価条件書を定
めて、それに従い実施する。
8
また、評価試験結果は国内の宇宙関係者が使用できるように「民生部品・民生技
術データベース」を構築し、逐次登録する。
・本研究開発終了後、更なる宇宙実証試験を実施しなくても、民生部品の放射線耐
性予測を可能とすることを目的とし、民生部品の品種毎の放射線耐性予測方法を確
立する。本作業の一環として東北大学との共同実施により、プロトン照射試験及び
重イオン照射試験を行い、放射線耐性予測のための基礎実験データを取得する。更
に民生部品・民生技術が宇宙空間で曝される放射線環境をより精度良く予測するた
めの検討作業を早稲田大学と共同実施により行なう。
2) 宇宙実証試験
宇宙実証試験は、実験装置の開発、実証衛星の製作・開発、支援システムの製作
等から構成される。
a) 実験装置の開発
民生部品・民生技術を主要部分に採用した機器実験装置を開発する。機器実験装
置の開発に当たり、次の観点から開発すべき機器の選定を行う。
・将来の低コスト化衛星バスを構成するバス機器で、民生部品・民生技術の宇
宙実証試験が適切にできる機器であるとともに、民生部品・民生技術により抜
本的な低コスト化、短納期化、高機能化等が図れる機器であること。
・宇宙実証試験が必要なものであるとともに、組み込んだ民生部品・民生技術
の挙動がモニタできること。
・開発担当各社の戦略機器として機器単体でも世界市場での販売が可能なもの
であること。
上記機器実験装置の開発に加え、高機能最先端半導体メモリ部品を中心に、部品
単体としての挙動を詳細に計測するために部品単体試験装置(CPT)を開発し、実証
衛星に搭載する。本装置に搭載する民生部品は最先端の 2 世代の SRAM、DRAM 等
を搭載する。これにより 2 機の実証衛星により、3 世代の半導体メモリ部品の宇宙実
証を実施し、世代の違いが放射線耐性にどのように影響するかを調査する。
b) 実証衛星の製作・開発
実証衛星は 2 機構成とし、1号機は平成 15 年度、2 号機は平成 18 年度の打上げを
目指し、製作・開発を進める。各実証衛星には、a)の実験装置を搭載し、実証衛星 1
号機では 2 年間の軌道上運用を、また実証衛星 2 号機では 1 年間の軌道上運用を実
施する。
実証衛星 1 号機は、USERS の衛星バスで開発された機器を極力活用する。また、
実証衛星 2 号機では、実証衛星 1 号機の主要な実験装置を 2 号機のバス機器として
採用し、低コスト高機能衛星バス構築に向けた技術実証衛星バスを開発する。
また、宇宙実証期間中、機器実験装置、部品単体試験装置(CPT)が曝される放射
線環境を計測するために環境計測装置(EMSS)を製作する。民生部品・民生技術が
これらの宇宙線により誤動作や永久破壊を起こす現象を正しく理解・評価するため
9
には、その遭遇した宇宙放射線環境を正しく評価する必要がある。この為に陽子線、
電子線、α粒子線、重イオン線を計測するスペクトロメータ、アップセットモニタ
及びドーズモニタを製作し、2 機の実証衛星に搭載する。
c) 支援システム
実証衛星を打ち上げ・運用するための支援システムは以下のものから構成される。
・打上げロケット
・運用管制装置
・追跡管制システム
打上げロケットは、実証衛星 1 号機の場合は、国産ロケットである H-IIA ロケット
又は海外商用打上げロケットの中から選択するものとする。また、実証衛星 2 号機
の打上げロケットは国産の GX ロケットを使用することを念頭に置いている。
運用管制装置は、USERS の運用管制装置を改修し、本実証衛星の運用を行うこと
を基本方針とする。但し、耐用年数のあるものについては適宜更新する。
追跡管制システムは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新グランドネットワーク
システム(新 GN)を使用する。
3) ガイドライン策定
民生部品・民生技術データベース、民生部品の放射線耐性予測に関する基礎検討、
宇宙実証試験結果を総合的に分析し、再び宇宙実証試験を行うことなく宇宙等極限
環境で使用する民生部品・民生技術を適切に選定評価するために、また民生部品・民
生技術を宇宙等極限環境で使用する機器へ適用する際に検討すべき設計的配慮事項、
注意事項等をまとめた次の 2 種類のガイドラインを策定する。
・民生部品・民生技術選定評価ガイドライン
・民生部品・民生技術適用設計ガイドライン
(2)研究開発項目②極限環境で使用する機器等の開発支援技術
1) 設計情報交換技術の開発
本開発研究を齟齬なく円滑に、また効率的に進めるために、本研究開発をとおし
作成・交換される技術文書、インタフェース管理文書、プロジェクト管理文書、デ
ータベース等の蓄積及びインターネット等を使用し電子的に交換するシステムを構
築する。
2) 設計情報統合技術の開発
実証衛星の製作・開発に当たって、1)で交換されたインタフェース情報を基に、衛
星取りまとめ会社で実施される衛星システム設計・解析の入力パラメータを効率的
に創成する設計情報統合ソフトウェアの開発を実施する。
尚、本開発では、衛星取りまとめ会社が実施する熱解析、構造解析等のための解析
ソフトは含まず、入力パラメータの作成までとする。
尚、上記 1)、2)のシステム構築に必要なソフトウェアは可能な限り市販品を活用
すると共に、本研究開発に参加する企業等が可能な限り共通的に使用できるものと
する。
10
全体スケジュールと予算
2.2.1.2
【全体開発スケジュール】
開発項目
1999(H11)年度
2000(H12)年度
2001(H13)年度
2002(H14)年度
2003(H15)年度
2004(H16)年度
2005(H17)年度
2006(H18)年度
2007(H19)年度
実証衛星1号
▼
▽
▽ ▽----------▽
PDR
CDR
開発開始 SRR
▽ ▼
PSR 実証衛星1号打上
実証衛星2号
▼
▽
SRR
開発開始
▽
PDR
▽
CDR
▽ ▼
PSR 実証衛星2号打上
1号機実験装置
マイルストン
▼
▽-▽
PDR
開発開始
▽-▽
CDR
▽
PSR
2号機実験装置
▼
▽-▽
PDR
開発開始
民
生
部
品
・
民
生
技
術
の
極
限
環
境
適
用
技
術
▽-▽
CDR
▽
PSR
地上模擬試験
△
評価部品選定
宇
宙
実
証
試
験
△
評価部品選定
△
評価部品選定
[1号機]
△
評価部品選定
△
評価部品選定
△
評価部品選定
△
評価部品選定
電気噛合せ試験
設計
製造
システムPFT
運用
実証衛星
電気噛合せ試験
[2号機]
設計
製造
システムPFT
運用
[1号機]
実験装置
設計
製造
PFT
[2号機]
概念設計
設計
製造
PFT
ガイドライン策定
第一次案作成
極限環境で使用する機器等の
開発支援技術
システム設計 開発・試験・評価
第一次案見直し
最終版作成
運用
実証衛星開発への適用
略号 PDR:基本設計審査
SRR:システム要求審査
CDR:詳細設計審査
PSR:出荷前審査
【開発予算】
(単位:百万円)
一般会計
特会
総予算額
H12fy
H13fy
999
950
584
408
(実績)
1,146
955
944
554
395
(当初)
1,179
3,567
3,730
3,291
2,693
(実績)
1,178
3,559
3,703
3,103
1,981
(当初)
2,379
4,566
4,680
3,875
3,101
(実績)
2,324
4,514
4,647
3,657
2,376
(当初)
H17fy
182
H18fy
H19fy
103
40
(当初)
(当初)
H16fy
250
2,528
2,778
総額
4,716
3,994
4,562
4,398
435
26,383
13,524
(実績)
総予算額
H15fy
1,200
(実績)
特会
H14fy
(当初)
(単位:百万円)
一般会計
H11fy
4,744
4,501
475
31,099
17,518
(実績)
研究開発項目①地上模擬試験: 4,216 百万円(H11fy∼H15fy 実績 3,494 百万円)
研究開発項目①宇宙実証試験:26,383 百万円(H11fy∼H15fy 実績 13,524 百万円)
研究開発項目②開発支援技術:
500 百万円(H11fy∼H12fy 実績 500 百万円)
11
2.2.2 研究開発の実施体制
本研究開発において、NEDO は基本計画を策定し、公募により選定した(財)無人宇
宙実験システム研究開発機構(USEF)に実務を委託するとともに、委託先研究員の一員
である金井宏技術本部長をプロジェクト推進責任者に指名し、その協力を得て本研究開
発の運営管理を行なう。委託先は、本研究開発の研究主体として、目標に向かって我が
国宇宙産業界を束ね、リードする形で研究開発の推進にあたるとともに、東北大学サイ
クロトロン・ラジオアイソトープセンターおよび早稲田大学理工学総合研究センターと
共同実施することにより、研究開発の効率的推進を図る。
2.2.2.1 研究員
本研究開発の委託先であるUSEFの研究員の所属及び主要担当業務を表 2.2-2 に示
す。
また、共同実施先の研究員を表 2.2-3 に示す。
12
国
NEDO
プロジェクト推進責任者
USEF 金井技術本部長
基本計画の策定、委託
先の公募選定、委託に
係る仕様書、実施計画
書策定と運営管理等
業務委託
東北大学
財団法人 無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)
共同実施
研究開発項目①に係る研究開発
地上模擬試験の計画、評価、データベース構築
宇宙実証試験の計画、実施、評価
ガイドライン策定
研究開発項目②に係る研究開発
開発支援技術開発、適用
請負
地上模擬試験における
・試験データ取得・整理
三菱電機(株)
NEC東芝スペースシステム(株)
三菱重工業(株)
(株)IHI エアロスペース
三菱プレシジョン(株)
請負
放射線耐性
予測に関す
る基礎実験
早稲田大学
共同実施
請負
宇宙実証試験における
・実証衛星製作
・実験装置製作
・環境計測装置製作
・運用管制システム製作等
・実証衛星の運用・実験支援
三菱電機(株)
NEC東芝スペースシステム(株)
石川島播磨重工業(株)
三菱重工業(株)
(株)IHI エアロスペース
三菱プレシジョン(株)
富士通(株)
宇宙放射線
環境予測精
度の向上
開発支援
システム製作
三菱電機(株)
富士通(株)
実証衛星の
打上げ
1号機:
Eurockot
実証衛星の
追跡管制
宇宙航空研究
開発機構
図 2.2-3
全体実施体制
13
技術本部長
金井 宏
事務管理本部
経
理
部
総
務
部
調
達
課
物品等の発注、調達、管理等
経
理
課
予算、決算、金銭出納、保管等
契
約
課
事業契約
技術本部
企
画
部
調査研究部
研究開発第二部
企
画
課
宇宙環境利用システムの開発管理等
調査研究課
宇宙環境利用システムの研究開発等
総合システム課
宇宙環境利用システムの研究開発等
宇宙機システム課
環境信頼性実証システム研究開発等
実験装置課
衛星機器の低コスト化技術開発等
部品評価推進センター
運用システム部
部品技術課
民生部品・技術の宇宙転用促進
管制システム課
運用管制システムの研究開発、運用
衛星運用課
衛星の運用
USOC 運用管制センター
図 2.2-4
本研究開発委託先(USEF)の体制スキーム
14
東北大学
サイクロトロン・
ラジオアイソトープ
センター長
学長
研究部
放射線耐性予測に関する基礎実験
(照射装置の整備、放射線照射基礎実験等)
事務部
契約、経理、人事等
早稲田大学
理工学総合研究
センター長
学長
研究部
宇宙放射線環境予測精度の向上
(放射線環境データの解析評価、
放射線予測評価検討)
事務部
契約、経理、人事等
図 2.2-5
共同実施先の体制スキーム
15
表 2.2-2
氏名
研究開発委託先の研究員とその主要担当業務
所属・役職
主要担当業務
金井 宏
技術本部 本部長
プロジェクト推進責任者
宇宙実証試験全般、ガイドライン策定
地上模擬試験、開発支援技術
浜 一守
技術本部 本部長代理
兼研究開発第二部長
宇宙実証試験全般、ガイドライン策定
地上模擬試験、開発支援技術
冨士 隆義
企画部 部長
宇宙実証試験全般、ガイドライン策定
地上模擬試験、開発支援技術
鈴木 一巳
企画部 次長
宇宙実証試験全般、ガイドライン策定
地上模擬試験、開発支援技術
佐々木 謙治
企画部企画課 課長代理
宇宙実証試験全般、ガイドライン策定
地上模擬試験、開発支援技術
小林 裕太郎
調査研究部 部長 宇宙実証試験全般、ガイドライン策定
地上模擬試験、開発支援技術
斉藤 孝
調査研究部 調査研究課 課長
宇宙実証試験全般、ガイドライン策定
地上模擬試験、開発支援技術
秋山 雅胤
研究開発第二部 部品評価推進センター
センター長 兼 研究開発第二部 次長
環境計測装置、部品単体試験装置、ガイドラインの策定、
地上模擬試験、開発支援技術、
放射線j耐性予測に関する基礎実験、
宇宙放射線環境予測精度の向上
小番 光也
研究開発第二部 総括主任研究員
実験装置、ガイドラインの策定
地上模擬試験
松井 捷明
研究開発第二部 総括主任研究員
兼 総合システム課 課長
兼 宇宙機システム課 課長
宇宙実証試験全般、ガイドライン策定
地上模擬試験、開発支援技術
三浦 末志
研究開発第二部 実験装置課 課長
実験装置、ガイドラインの策定
地上模擬試験
伊地智 幸一
運用システム部 部長
運用、宇宙実証データ分析評価
安西 徳夫
運用システム部 次長
兼 研究開発第二部 次長
運用、射場・打上げ機インタフェース
開発支援技術
中村 修治
運用システム部 衛星運用課 課長
兼 研究開発第二部 総括主任研究員
運用
開発支援技術
牛越 淳雄
運用システム部 管制システム課 課長
兼 企画部 開発システム管理課 課長
兼 研究開発第二部 総括主任研究員
運用、宇宙実証データ分析評価
地上模擬試験、開発支援技術
16
表 2.2-3
氏名
馬場
護
共同実施先の研究員とその主要担当業務
所属・役職
主要担当業務
東北大学サイクロトロン・
放射線耐性予測に関する基礎実験
ラジオアイソト−プセンター教授
長谷部
信行
早稲田大学理工学総合研究センター教授
17
宇宙放射線環境予測精度の向上
2.2.3 研究の運営管理
研究開発全体の管理・執行に責任と決定権を持つ NEDO は、経済産業省とプロジェクト
推進責任者との密接な協力のもとに、社会・経済情勢の変化、技術動向及び研究開発の進
捗を踏まえて策定した基本計画の改定、年度毎の実施計画の策定を行い、本プロジェクト
の目的、目標に照らして適切な運営管理を実施する。また、必要に応じて、外部有識者の
意見を運営管理に反映させる。
他方、実施責任を有する USEF は本研究開発の推進にあたって、その目的、目標の確実
な達成を図るため、我が国宇宙産業界との連携を深めると共に、その中に競争原理を導入
して新しい方向に向けたリーダシップを発揮した運営管理を行なう。また、外部有識者に
よる SERVIS 技術委員会を組織し、技術的事項を諮問し、プロジェクト推進に反映させる。
2.2.3.1 プロジェクト推進責任者の役割
プロジェクト推進責任者は本研究開発の受託先での実施に対する責任を有し、以下の役
割と権限を有する。
(1) 組織関係
・受託先の研究開発体制の決定。
・研究員の選任・解任。
・研究員の役割分担の決定。
・技術委員会設置の要否の決定。技術委員選任に関する意見具申。
(2) 予算、研究設備及び装置等
・実施時における予算の配分の調整。
・研究開発場所の調整。
・研究設備および装置等の設置の決定と予算配分・調整。
(3) 研究計画および報告
a) 年度毎の予算要求案の策定。
・年間研究計画書案の策定。
・実施計画書案の策定。
b) 研究計画の変更
・実施計画書変更申請案の策定。
c) 軽微な研究計画の変更
・実施計画書変更届書の策定。
d) 研究経過の報告
・成果報告書の策定。
・その他必要に応じた研究報告書案の策定。
(4) 研究評価
・研究内容の受託先内での評価。
18
・研究員の受託先内での評価。
(5) 研究成果
・別途定める知的財産権取扱規程の施行およびその遵守に関する指導管理。
・論文発表等による公開を知的所有権による保護に優先させるか否かの判断。
・論文発表、新聞発表に対する可否の最終判断。
(6) 第三者との共同実施、研究者等の招聘
a) 第三者との共同実施と管理
・共同実施および共同実施契約に対する要望事項の取り纏め。
・共同実施契約書案の策定。
・各種報告書案の策定。
b) 外部研究者の必要性の検討および選任。
(7) その他
・受託先の研究活動推進のための総合調整。
・経済産業省、NEDO 等の対応、総括。
・ワークショップ、シンポジウム等の策定および実施。
2.2.3.2 SERVIS 技術委員会の組織・役割
USEF における研究開発を確実に推進するために、外部有識者からなる SERVIS 技術委員
会を組織し、技術的助言を頂き、研究開発に反映している。本技術委員会には、専門的事
項を審議するために、宇宙機システム小委員会、実験機器小委員会、運用システム小委員
会、民生部品・技術小委員会、開発支援システム小委員会の 5 小委員会を設けた。なお、
設計情報交換システムの開発が完了した平成 12 年度で開発支援システム小委員会は廃止
し、現在は 4 小委員会となっている。また、民生部品・技術小委員会の下に民生部品の放
射線耐性を予測する放射線耐性予測分科会を設けている。図 2.2-6 に SERVIS 技術委員会の
組織図を、また表 2.2-4 に技術委員名簿を示す。
SERVIS 技術委員会はプロジェクト全般に関わる事項の審議を行う。受託先における本研
究開発の年間計画、前年度成果、その他プロジェクトの重要事項に対する審議を行う。
宇宙機システム小委員会は、主として実証衛星の製作・開発に関わる事項の審議等を行
う。実証衛星本体の製作・開発、打上げロケットの選定・インタフェース調整、実証衛星
の射場整備作業等に関して審議する。
実験機器小委員会は、主として民生部品・民生技術を中心部分に採用した実験装置の開
発に関わる事項を審議する。実験装置の開発意義、開発仕様、宇宙実証の必要性、実証衛
星との各種インタフェース、実験装置の運用要求、宇宙実証試験結果、民生部品・民生技
術適用設計ガイドラインの策定等に関する審議を行う。
19
運用システム小委員会は、主として実証衛星の運用に関わる事項を審議する。実証衛星
の軌道上運用計画・運用結果、運用管制装置、追跡管制システム等に関する審議を行う。
また、平成 13 年度以降は開発支援技術の運用成果に関する審議も行う。
民生部品・技術小委員会は、主として民生部品・民生技術の宇宙転用に関わる諸問題の
審議を行う。地上模擬試験計画、試験方法、試験結果、民生部品・民生技術の宇宙実証試
験データ、民生部品・民生技術選定評価ガイドライン、民生部品・民生技術データベース
等に関する審議を行う。また、民生部品の放射線耐性予測関連作業に対するより専門的な
審議を行うために放射線耐性予測分科会を設置する。
開発支援システム小委員会は、開発支援技術の開発に関わる技術的諸問題を審議するた
めに設置された。しかし、開発支援技術の開発の完了した平成 12 年度で廃止され、開発支
援技術の運用成果に関わる審議は上記運用システム小委員会で取り扱うことにした。表
2.2-5 に SERVIS 技術委員会の開催実績を示す。
SERVIS 技術委員会
委員長:槙野教授
宇宙機システム小委員会
実験機器小委員会
小委員長:小野田教授
小委員長:中須賀助教授
運用システム小委員会
小委員長:佐々木教授
民生部品・技術小委員会
小委員長:槙野教授
放射線耐性予測分科会
分科会長:槙野教授
開発支援システム小委員会 小委員長:工藤教授
(平成 12 年度まで)
図 2.2-6
SERVIS 技術委員会組織
20
表 2.2-4
氏
SERVIS 技術委員会メンバリスト(平成 16 年 10 月現在)(1/7)
所属・役職
名
上
杉
邦
憲
宇宙航空研究開発機構
後
川
昭
雄
宇宙科学研究所
遠
藤
立
樹
シュルンベルジェ(株)マーケッティングマネージャ
大
西
一
功
日本大学
小野田
淳次郎
勲
宇宙科学研究本部
教授
名誉教授
理工学部電子情報工学科教授
宇宙航空研究開発機構
教授
工
藤
小
林
康
徳
宇宙科学研究所
斎
藤
宏
文
宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究本部
坂
本
宏
NTT アドバンステクノロジ(株)
ワイヤレスシステム事業部無線システム開発部長
佐々木
進
宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究本部
塩
登
(財)日本電子部品信頼性センター
野
北海道大学
宇宙科学研究本部
大学院工学系研究科機械科学専攻教授
名誉教授
中須賀
真
一
東京大学
中
谷
一
郎
宇宙航空研究開発機構
中
村
尚
司
東北大学
平
田
正
紘
産業技術総合研究所
廣
瀬
和
之
宇宙航空研究開発機構
槙
野
文
命
神奈川大学
向
井
利
典
宇宙航空研究開発機構
八
坂
哲
雄
九州大学
山
田
家和勝
産業技術総合研究所
横
山
幸
千葉工業大学
嗣
教授
教授
調査研究部長
大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻助教授
宇宙科学研究本部
教授
名誉教授
力学計測科圧力真空標準研究室長
宇宙科学研究本部
助教授
工学部物理学教室教授
宇宙科学研究本部
教授
大学院工学研究院航空宇宙工学部門教授
光技術研究部門副部門長
研究所助教授
21
表 2.2-4
氏
SERVIS 技術委員会
宇宙機システム小委員会メンバリスト(2/7)
所属・役職
名
上
杉
邦
憲
宇宙航空研究開発機構
後
川
昭
雄
宇宙科学研究所
小野田
工
藤
小
林
淳次郎
勲
佐々木
徳
進
宇宙科学研究本部
名誉教授
宇宙航空研究開発機構
真
一
東京大学
中
谷
一
郎
宇宙航空研究開発機構
槙
野
文
命
神奈川大学
八
坂
哲
雄
九州大学
横
山
幸
嗣
千葉工業大学
宇宙科学研究本部
中須賀
氏
教授
大学院工学系研究科機械科学専攻教授
宇宙科学研究所
表 2.2-4 (3/7)
教授
名誉教授
宇宙航空研究開発機構
北海道大学
康
宇宙科学研究本部
教授
大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻助教授
宇宙科学研究本部
教授
工学部物理学教室教授
大学院工学研究院航空宇宙工学部門教授
研究所助教授
SERVIS 技術委員会
実験機器小委員会メンバリスト
所属・役職
名
後
川
昭
雄
宇宙科学研究所
遠
藤
立
樹
シュルンベルジェ(株)マーケッティングマネージャ
工
藤
小
林
康
徳
宇宙科学研究所
斎
藤
宏
文
宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究本部
坂
本
NTT アドバンステクノロジ(株)
ワイヤレスシステム事業部無線システム開発部長
勲
北海道大学
宏
名誉教授
大学院工学系研究科機械科学専攻教授
名誉教授
中須賀
真
一
東京大学
平
田
正
紘
産業技術総合研究所
槙
野
文
命
神奈川大学
向
井
利
典
宇宙航空研究開発機構
八
坂
哲
雄
九州大学
横
山
幸
嗣
千葉工業大学
教授
大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻助教授
力学計測科圧力真空標準研究室長
工学部物理学教室教授
宇宙科学研究本部
教授
大学院工学研究院航空宇宙工学部門教授
研究所助教授
22
表 2.2-4
氏
SERVIS 技術委員会
所属・役職
名
後
川
工
藤
小
林
運用システム小委員会メンバリスト(4/7)
昭
雄
勲
北海道大学
康
徳
佐々木
宇宙科学研究所
進
名誉教授
大学院工学系研究科機械科学専攻教授
宇宙科学研究所
名誉教授
宇宙航空研究開発機構
中須賀
真
一
東京大学
平
田
正
紘
産業技術総合研究所
槙
野
文
命
神奈川大学
向
井
利
典
宇宙航空研究開発機構
横
山
幸
嗣
千葉工業大学
宇宙科学研究本部
表 2.2-4
氏
教授
大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻助教授
力学計測科圧力真空標準研究室長
工学部物理学教室教授
宇宙科学研究本部
教授
研究所助教授
SERVIS 技術委員会
民生部品・技術小委員会メンバリスト(5/7)
所属・役職
名
後
川
昭
雄
宇宙科学研究所
名誉教授
遠
藤
立
樹
シュルンベルジェ(株)マーケッティングマネージャ
大
西
一
功
日本大学
小
林
康
徳
宇宙科学研究所
斎
藤
宏
文
宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究本部
坂
本
宏
NTT アドバンステクノロジ(株)
ワイヤレスシステム事業部無線システム開発部長
塩
野
登
(財)日本電子部品信頼性センター
中
谷
一
郎
宇宙航空研究開発機構
中
村
尚
司
東北大学
廣
瀬
和
之
宇宙航空研究開発機構
槙
野
文
命
神奈川大学
向
井
利
典
宇宙航空研究開発機構
山
田
家和勝
理工学部電子情報工学科教授
名誉教授
教授
調査研究部長
宇宙科学研究本部
教授
宇宙科学研究本部
助教授
名誉教授
工学部物理学教室教授
産業技術総合研究所
宇宙科学研究本部
教授
光技術研究部門副部門長
23
表 2.2-4
氏
SERVIS 技術委員会
放射線耐性予測分科会メンバリスト(6/7)
所属・役職
名
後
川
昭
雄
宇宙科学研究所
大
西
一
功
日本大学理工学部
神
野
郁
夫
北
川
通
治
(社)大阪ニュークリアサイエンス協会
斎
藤
宏
文
宇宙航空研究開発機構
坂
本
宏
NTT アドバンステクノロジ(株)ワイヤレスシステム事業部システム開発部
塩
野
登
(財)日本電子部品信頼性センター
高
橋
芳
浩
名誉教授
電子情報工学科
京都大学 大学院工学研究科
附属量子理工学研究実験センター 助教授
日本大学
理工学部
静岡理工科大学
馬
場
護
東北大学
廣
瀬
藤
田
槙
野
文
命
神奈川大学
高
木
俊
治
(株)三菱総合研究所
渡
辺
幸
信
九州大学
実
調査研究部
理工学部
宇宙航空研究開発機構
工学部
部長
助教授
サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター
法政大学
教授
専任講師
裕
之
顧問
宇宙科学研究本部
波多野
和
教授
宇宙科学研究本部
電子情報学科
工学部物理学教室
助教授
専任講師
教授
主任研究員
大学院総合理工学研究院
24
教授
助教授
部長
表 2.2-4
氏
SERVIS 技術委員会
所属・役職
名
後川
開発支援システム小委員会(7/7)
(平成 12 年度まで、役職は当時)
昭雄
東京工科大学
客員教授
大須賀節雄
早稲田大学理工学部
工藤
勲
北海道大学大学院
小林
康徳
宇宙科学研究所
次世代探査機研究センター
宇宙科学研究所
衛星応用工学研究系
佐々木
進
工学部
情報学科
教授
工学研究科
教授
航空宇宙工学科
助教授
中須賀真一
東京大学
平林
寛治
CALS 推進協議会
事務局次長
槙野
文命
宇宙開発事業団
宇宙環境利用研究システム
25
教授
助教授
アドバイザー
表 2.2-5
SERVIS 技術委員会開催実績(1/2)
技術委員会
1999年9月10日 第1回技術委員会。委員会設置。プロジェクト全体計画審議
第2回技術委員会。プロジェクト基本計画、民生部品評価、EMSS開発仕様、実験機器の開発方針、宇
2000年3月31日
宙システム開発仕様、開発支援システム開発仕様の審議
2001年3月26日 第3回委員会。2000年度の活動結果の全体審議。
2001年6月4日 第4回委員会。委員会組織、SERVIS-1打上げロケット、年間活動計画の審議。
2001年12月11日 第5回委員会。全体開発状況、技術要求書、開発仕様書改訂の審議。
第6回委員会。委員会組織、02年度の活動結果,03年度の活動計画、SERVIS-1打上げに向けた準備状
2003年6月10日
況、SERVIS-2宇宙機開発状況等の審議。
H15年度活動結果、H16年度活動計画、SERVIS-1打上げ・運用状況、地上模擬試験状況、第1次ガイド
2004年3月29日
ライン案の審議。
宇宙機システム小委員会
2000年12月18日 第1回小委員会。宇宙機PDR結果の審議。
2001年4月27日 第2回小委員会。SERVIS-1打上げロケット選定に関わる審議。
2001年5月18日 第3回小委員会。SERVIS-1打上げロケット選定に関わる審議。
2001年11月5日 第4回小委員会。宇宙機システムCDRに参加。詳細設計結果を審議。
2002年3月28日 第5回小委員会。宇宙機設計進捗状況、ロケットIF調整状況審議。
2002年7月9日 第6回小委員会。SERVIS-2宇宙機開発仕様の審議。
2003年3月4日 第7回小委員会。SERVIS-1システムPFT計画、ロケットIF、射場整備作業の審議。
2003年6月10日 第8回小委員会。SERVIS-2宇宙機開発方針、宇宙機システム設計に対する審議。
2003年8月5日 第9回小委員会。SERVIS-1PQR。
2004年7月22日 第10回小委員会。SERVIS-2開発方針、開発仕様の審議。
実験機器小委員会
2000年1月24日 第1回実験機器小委員会。実験機器技術要求書、開発仕様の審議
2000年10月24日 第2回小委員会。機器開発状況の審議
2001年2月26日 第3回小委員会。実験機器開発仕様の審議。
2001年9月13日 第4回小委員会。実験機器詳細設計結果、運用要求、技術要求書改訂の審議。
2001年10月9日 第5回小委員会。SERVIS-2用実験機器選定に関する審議。
2002年3月12日 第6回小委員会。SERVIS-1,2実験装置の開発状況審議。
2002年12月25日 第7回小委員会。SERVIS-1実験機器の開発状況(PFT結果)の審議。
2003年2月27日 第8回小委員会。SERVIS-2実験機器開発仕様、開発状況の審議。
2003年12月8日 第9回小委員会。SERVIS-1実験装置実験状況、SERVIS-2実験装置開発状況、開発仕様書の審議。
2004年9月22日 第10回小委員会(運用システム小委員会と合同)。SERVIS-1運用結果と今後の運用計画審議。
26
表 2.2-5
SERVIS 技術委員会開催実績(2/2)
運用システム小委員会
2002年2月14日 第1回小委員会。運用管制システムの開発仕様、軌道上運用準備作業に関する審議。
2002年4月23日 第2回小委員会。運用管制システム開発仕様の審議。
2003年6月23日 第3回小委員会。SERVIS-1軌道上運用計画、運用訓練に関する審議。
2004年9月22日 第4回小委員会(運用システム小委員会と合同)。SERVIS-1運用結果と今後の運用計画審議。
民生部品・技術小委員会
2000年6月1日 第1回小委員会。H11年度部品評価結果、試験条件、新規評価部品の審議。
2001年3月2日 第2回小委員会。民生部品の評価状況,2001年度評価対象民生部品の審議。
2001年6月4日 第3回小委員会。放射線耐性予測分科会設置、CPT搭載部品の審議。
2002年3月14日 第4回小委員会。SERVIS-2運用軌道,2001年度部品評価結果,2002年度評価部品審議。
2002年5月15日∼23日(持ち
第5回小委員会。SERVIS-2搭載民生部品(追加)に関する審議。
回り)
2003年3月26日 第6回小委員会。2002年度民生部品評価結果、2003年度評価部品の審議。
2004年9月15日 第7回小委員会(放射線耐性予測分科会と合同)。SERVIS-1で実験装置による部品評価状況審議。
放射線耐性予測分科会
2001年7月30日 第1回分科会。SERVISプロジェクト概要説明、分科会の活動方針を審議。
2002年2月1日 第2回分科会。宇宙放射線環境予測方法、メモリの放射線耐性の傾向を審議。
第3回分科会。宇宙放射線環境予測、メモリの放射線耐性の傾向、部品データベース、東北大学との共
2003年3月26日
同実施に関する審議。
2004年9月15日 第4回分科会(民生部品・技術小委員会と合同)。SERVIS-1で実験装置による部品評価状況審議。
開発支援システム小委員会
1999年10月28日 開発支援システム 開発計画の審議
2000年3月2日 第2回小委員会。開発システムの開発仕様、拡張ICDの審議
2000年4月21日 第3回小委員会。開発支援システム設計審査を実施。
2000年8月25日 第4回小委員会。技術要求書、開発仕様書改訂、詳細開発仕様、検証計画の審議
2000年12月7日 第5回小委員会。開発進捗確認、技術要求書/開発仕様書の改訂、検証計画の審議。
2001年3月26日 第6回小委員会。開発進捗状況確認、検証評価結果に対する審議。
27
2.3 情勢変化への対応
(1)ライフサイクルの速い民生部品への対応
民生部品は一般にライフサイクルが速く、衛星バス機器の低コスト化、高機能化、小型・
軽量化に寄与できる新製品が次々と市場に投入されている。
従って、これらに柔軟に対応するために、毎年市場調査を行い、最新の高機能民生部品
とその部品を使用する際に必要な民生技術の中から、宇宙用機器の低コスト化、高機能化、
小型・軽量化に寄与できるものを選定し、地上模擬試験に供するとともに、機器実験装置
への採用を検討している。
機器実験装置に採用できなかった有効な新規民生部品・民生技術は可能な限り部品単体
評価試験装置(CPT)で評価するようにしている。
(2)陽子による放射線試験
近年中低高度周回衛星では、太陽陽子線や捕捉陽子線が半導体部品に入射することで発
生する核反応により生成される 2 次粒子によりシングルイベント現象が発生することが確
認され、銀河宇宙線(重イオン)によるシングルイベント現象より発生頻度が高く重要で
あることが確認されてきた。
従って、重イオンによるシングルイベント試験に加え、陽子によるシングルイベント試
験も実施するよう計画を変更した。このために、東北大学と共同実施を開始し、陽子によ
る放射線試験設備を整備し、試験環境を整え、陽子シングルイベント試験を開始するとと
もに、重イオンと陽子によるシングルイベント試験結果を体系的に分析し、放射線耐性予
測に役立てる工夫を行っている。
(3) 中小型衛星開発機運の高まり
通信・放送・測位・地球観測などの衛星利用産業は、今後ますます日常生活に深く浸透
してゆくものと考えられる。
これらの衛星市場を概観した場合、図 2.3-1 に示す(社)日本航空宇宙工業会の調査にも
あるように、かつては大型衛星一辺倒であった市場も、そのリスク分散、開発コスト削減、
短期開発等の視点から中小型衛星の有用性が再確認されてきている。
中小型衛星を実現する場合は特に民生部品・民生技術の活用は非常に有効な手段となり、
本研究開発は今後とも積極的に進めることが適当であると考える。
28
大型宇宙機
Large Aperture Missions
衛星のサイズ/重量
ロケcットの
打上能力増加
ミッション機器の
搭載能力増強要求
軌道と周波数
の混雑
リスク低減強化
の要求
冷戦予算
冷戦終結による予算削減と
米国防対象の局地戦への移行
(小型宇宙機による迅速な配置要求)
予算削減とDODの動向に触発
されたNASAの小型化への取組
(SAMPEX,等)
日欧宇宙機関の
小型化(FBC)への
取組
小型宇宙機
小型軍事衛星技術
の民生転用等による
商用衛星事業開始
先端的小型
軽量化技術
(SDI /GLOMR/
Lightsat等)
It all begin small
小型衛星打上手段の環境整備
(低コスト小型ロケット、空中発射、複数機同時打上・相乗り等)
1950
1960
図 2.3-1
1970
1980
1990
2000
超小型宇宙機
2010年
衛星規模(サイズ・重量)の需要動向
2.4 中間・事後評価の評価項目・評価基準・評価手法及び実施時期
NEDO は、国の定める技術評価に関わる指針及び NEDO が定める技術評価実施要領に基
づき、技術的及び実用化の観点から、研究開発の意義、目的達成度、成果の技術的意義並
びに将来の産業への波及効果等について、外部有識者による研究開発の中間評価を平成 16
年度、事後評価を平成 20 年度に実施する。
尚、評価の時期については、当該研究開発に関わる技術動向、政策動向や当該研究開発
の進捗状況に応じて、適宜見直すものとする。
29
3 研究開発成果について
3.1 事業全体の成果
中間目標に対する達成度は下表のとおりであり、全ての目標項目を達成している。
目標項目
中間目標
全体の目標
宇宙実証の結果を踏まえ、平成 19 年度まで
に民生部品・民生技術を衛星に転用するため
の知的基盤を整備することにより、我が国に
おける衛星製造等の低コスト化等を図る。
研究開発項目①:民生部品・民生技術の極限環境適用技術
衛星製造等に転用可能性を有する民生部 第1次の民生部品・民生技
品・民生技術に対し宇宙等極限環境を模擬し 術 デ ー タ ベ ー ス を 構 築 す
た地上模擬試験を実施し、その試験結果から る。ここにデータベースへ
民生部品・民生技術データベースを構築す の累積登録品種数は 180 品
る。ここにデータベースへの累積登録品種数 種以上とする。
は 200 品種以上とする。
民生部品・民生技術データベース及びそれに 第 1 次の民生部品・民生技
基づき選定した民生部品・民生技術の2回の 術選定評価ガイドライン、
宇宙実証試験(実証衛星 1 号機及び 2 号機) 第1次の民生部品・民生技
のデータ等に基づき、民生部品・民生技術選 術 ガ イ ド ラ イ ン を 策 定 す
定評価ガイドラインと民生部品・民生技術適 る。ここに実証衛星1号機
用設計ガイドラインを策定する。ここに実証 への民生部品・民生技術適
衛星 1 号機及び 2 号機への民生部品・民生技 用数は 30 品種以上とする。
術適用数はそれぞれ 30 品種以上とする。
研究開発項目②:極限環境で使用する機器等の開発支援技術
平成 12 年度までに開発支援技術の開発を完 平成 12 年度末までに、開発
了し、実証衛星 1 号機、2 号機の開発に適用 支援技術の開発を完了し、
して、その結果に基づき、極限環境で使用す 実証衛星の開発に適用し効
る機器等の設計の省力化、情報管理の迅速 果を確認する。
化、製造・試験機期間の短縮化に関する効果
を定量的に評価する。
30
中間目
標に対
する達
成状況
達成
達成
達成
3.2 研究開発項目毎の成果
3.2.1 研究開発項目①民生部品・民生技術の極限環境適用技術
3.2.1.1 地上模擬試験の成果
高機能な半導体部品を中心とした民生部品及び民生技術が宇宙等の極限環境下で使用に
耐えうるか否かを評価するため、地上模擬試験を実施した。
これまでに試験が終了した民生部品 195 品種及び民生技術 7 種の一覧表を表 3.2-1(1/2)及
び(2/2)に示す。
a) 民生部品・民生技術の選定
地上模擬試験に供する民生部品は工業機器、IT 関連機器、IT 家電等の用途のため、安定
した製造プロセスで大量に製造された半導体部品を主とした民生部品の内、衛星用機器の
小型、軽量、高機能及び低コスト化に貢献する民生部品として、実証衛星 1 号機、2 号機
搭載実験装置に搭載する民生部品及び放射線耐性予測方法の評価検討に役立つ民生部品と
して、またそれらの民生部品を使用する際に必要となる民生技術及び低コスト化に貢献す
ると期待される民生技術として、プロジェクト参画の衛星開発関連参画企業から提案され
たものから、SERVIS 技術委員会の審議を経て採択した。この選定作業は、毎年度末頃に実
施し、次年度の評価対象民生部品・民生技術を採択している。
b) 民生部品の地上模擬試験の試験項目と試験条件
民生部品の地上模擬試験の試験項目は大別するとスクリーニング試験、放射線試験及び
品質確認試験であり、第一段階としての試験項目及び試験条件としては宇宙用部品の試験
条件として広く適用されている MIL 試験規格を準用することにより実施した。
スクリーニング試験は初期故障を除去するために実施するもので、全数実施し不良が発
生したロットは除外した。その後、環境耐性を調べる放射線試験であるトータルドーズ試
験及びシングルイベント試験、機械環境・温度環境に対する耐性確認試験である品質確認
試験を実施した。地上模擬試験で採用した試験項目・試験条件を民生部品試験条件書に記
載した。(別冊-1 に示す。)
スクリーニング試験の試験項目としては、以下の通りである。
・高温ベーク:一定時間高温(定格最大保存温度)に保持した場合の耐性を確認
・温度サイクル:低温(定格最低保存温度)、高温(定格最大保存温度)の状態に交互
に曝した場合の耐性の確認
・バーンイン:部品特性を安定させる目的で使用前に一定時間動作させること及び初
期故障に係わる製造上の欠陥の有無の確認
・終始点電気性能試験:スクリーニング試験の始めと終わりにおける電気性能の変化
の確認
・超音波顕微鏡試験:パッケージ内の異物混入、樹脂/接着剤等の剥離の有無の確認
・X線検査:ワイヤボンディングの状態、チップの割れ等の欠陥の有無の確認
・外部目視検査:パッケージ、リード等の外観異常の有無の確認
ある。 民生部品は放射線環境下での使用を意図としていないため(構成素材内に微量に
含まれるアクチノイド核種から放出されるアルファ線によるソフトエラー対策を除いて)、
31
宇宙の放射線環境で使用するためには放射線試験を実施し、その放射線耐性を求めること
は必須条件である。民生部品に対する放射線効果としては、放射線から受ける吸収エネル
ギー(ドーズ)により徐々に機能・性能劣化を生じ、最終的には永久故障に至る効果であ
るトータルドーズ効果と、高エネルギー粒子1個が入射したことにより、ビット反転やラ
ッチアップを発生させるシングルイベント効果とがある。
トータルドーズ効果は放射線の電離作用に基づくものであり、宇宙放射線の内、電子線
と陽子線が主要因となる。放射線が物質に及ぼす電離作用は放射線と物質との電磁相互作
用に基づくものであるため、地上模擬試験のトータルドーズ試験としては、試験装置の制
約から放射性物質である Co-60 から放出されるガンマ線を用いて実施した。ガンマ線は電
子や陽子と同様物質との電磁相互作用を引き起こす。宇宙の電子線と同程度のエネルギー
(数百 keV から数 MeV)に加速でき、かつ低電流加速ができる適当な電子線加速器はほと
んど存在せず、海外も含めトータルドーズ試験は Co-60 から放出されるガンマ線を使用し
て行われている。ただし、近年放射線の非電離効果が特に CCD の様な光学半導体部品では
顕著な効果を生じることがわかってきたため、光学半導体部品に対しては非電離効果を与
える陽子線照射による試験も実施している。
高エネルギー粒子が半導体部品に入射することにより、部品が受ける吸収エネルギー
(LET)により発生するイオン対の内、メモリセルに集電する電荷量が、メモリのビット
を維持するに必要な電荷量(クリティカルチャージ)より多くなるとメモリのビット情報
が反転するアップセット現象や、寄生のサイリスタを ON 状態にすることに伴う通電状態
が発生して半導体素子を焼損させるラッチアップ現象がある。宇宙放射線の内、高 LET 粒
子であるアルファ粒子以上の重粒子によりシングルイベント現象が発生することから、加
速器により加速された重イオンを用いてシングルイベント試験が行われてきた。しかし、
近年中低高度周回衛星では、太陽陽子線や捕捉陽子線が半導体部品に入射することで発生
する核反応により生成される 2 次粒子によりシングルイベント現象が発生することが確認
されてきた。従って、重イオンによるシングルイベント試験と共に陽子によるシングルイ
ベント試験も実施した。ただし、高エネルギー陽子を用いた試験は低加速電流の陽子加速
器が少ないことや、陽子照射による実験機材の放射化に伴う被爆の問題等から、部品単体
試験装置(CPT)に搭載する民生部品を中心にして、約 50 品種の部品について陽子による
シングルイベント試験を実施した。
品質確認試験は民生部品の信頼性を確認するための試験であり、ロット保証試験である。
試験項目は下記に示すが、原則各試験項目に合格したロットの部品を使用する。
・外観検査、構造・物理的寸法、半田熱耐性、耐溶剤性、リードの完全性
外観検査:外観上の異常の有無の確認
構造・物理的寸法:パッケージ寸法、リード長等の寸法確認
半田耐熱性:半田付け時の高温保持状態に対する耐性の確認
耐溶剤性:半田付け時に用いるフラックス除去等で使用する溶剤に対する耐性の
確認
リードの完全性:リードの形成状態が正常であることの確認
・半田付け性:リードの半田ぬれ性の確認
・熱衝撃:高温・低温状態に交互になるような急激な温度変化に対する耐性の確認
32
・高温ベーク:長時間高温状態(定格最大保存温度)に保持した場合の耐性の確認
・高温動作寿命:高温状態での長時間動作による加速寿命試験
・バイアス印加温湿度試験:高温、高湿状態でバイアスをかけ、吸湿、リード腐食、
ホイスカ発生等の有無の確認
・オートクレーブ:高温、高圧、相対湿度 100%状態に放置し、耐湿性等の確認
・温度サイクル:極端な低温、高温状態に交互に曝した場合の影響に対する耐性確認
・静電破壊感度:静電気に対する耐性電圧の確認
・脱ガス特性評価:部品の材料からの真空中でのガス放出特性の確認
これらの各試験については、試験条件の第 1 段階として、宇宙用部品で広く用いられて
いる MIL 試験規格を基本として採用している。今後地上模擬試験結果と宇宙実証結果の比
較検討・評価を通して、最低限実施すべき試験項目とその試験条件を評価検討及び選定し
て民生部品・民生技術選定評価ガイドライン及び民生部品試験条件書に反映する。
なお、スクリーニング試験と品質確認試験の中には、同一の試験項目があるが、その場
合のスクリーニング試験の条件は品質確認試験の試験条件より緩やかである。
【参考】 宇宙用途用 MIL 部品、MIL 試験規格の説明
・MIL 部品の内、耐放射線設計・製造された部品で、高信頼性で放射線耐性のある部品
である。
・MIL 部品は、一般民生部品として市場投入し使用され、十分にバグ出しが終わった
部品の回路を基に高信頼性設計、放射線耐性設計を加えて、特別に管理された製造ラ
イン、製造プロセスで生産され、かつ特別な試験・検査された部品であり、一品生産
的な部品である。
・衛星開発等の極限環境において高信頼性であることから使われる部品である。
・MIL 試験規格は製造工程中及び製造後の MIL 部品の試験・検査規格である。
c) 民生部品の試験結果
これまでの地上模擬試験が終了した 195 品種について、各年度毎の評価品種数と合格数
を表 3.2-1(1/2)に示す。合否の判定基準は、スクリーニング試験で全数パスし、かつ品質確
認試験でパスしたロットの部品について、放射線試験の判定基準として下記の基準を用い
た。
・トータルドーズ耐性:中低高度の周回衛星の寿命は一般に 5 年未満と言われている。
従って、トータルドーズ耐性としては、高度 1,000km の円軌道
でアルミニウム換算遮蔽厚 3mm とした場合のドーズ量である
250Gy(Si)とした。実際の衛星の場合、構体厚さは 2mm 以上、
民生部品が搭載されている機器のシャーシ厚は 3mm 以上あり、
遮蔽厚としては 5mm 以上あるので、250Gy(Si)は安全余裕を考
慮した値である。また、アルミニウム厚 1mm の遮蔽を部品自体
に施すことにより上記 250Gy(Si)の部品と同等に扱うことので
きる耐性は 150Gy(Si)である。従って、第 2 の判定基準として
150Gy(Si)を用いた。
33
・アップセット耐性
:民生部品を使用する場合、ビット反転が発生した場合の
修正回路(一般的には 1 ビット反転修正、2 ビット反転
検出回路)
、3 重系あるいはそれ以上の多重冗長系による多
数決回路等の設計的配慮で防ぐことができることから考
慮しない。
・ラッチアップ耐性 :過電流保護回路を付加することで、ラッチアップ発生に伴う
過電流を機能喪失する前に防ぐための電源遮断と、多重冗
長系による多数決回路等の設計的配慮で回避できるが、ラ
ッチアップ感受性を持つ部品を使用することは機器の信頼
性に危惧をもたれる可能性があるので、ラッチアップを生
じないことを条件とした。
これらの判定基準に基づき地上模擬試験結果を調べるとトータルドーズ耐性 250Gy(Si)
以上の場合合格数は 100 品種で全体の 51%、150Gy(Si)の場合合格数は 113 品種で 58%であ
った。
d) 民生技術の試験項目及び試験結果
これまでに表 3.2-1(2/2)に示す 7 品種の民生技術について地上模擬試験を実施した。この
うち、グリース潤滑を除く6品種の民生技術は技術単独では評価できないため、これらの
民生技術を搭載した機械実験装置レベルでの試験を実施し、全て正常であった。試験項目
を以下に示す。
・機能・性能試験:全試験の前後で機能・性能に変化がないことの確認
・EMC 試験:電磁障害(放出特性、感受特性)の確認
・正弦波振動試験:衛星打ち上げ環境対する耐性の確認
・ランダム振動試験:衛星打ち上げ環境に対する耐性の確認
・衝撃試験:衛星打ち上げ環境等に対する耐性の確認
・熱真空試験:軌道上での温度環境に対する耐性を確認
一方、グリース潤滑については放射線照射に伴う特性劣化について確認するため、一例
として静止衛星軌道で 15 年間に受ける放射線量 10,000Gy を Co-60 から放出されるガンマ
線を用いて照射し、グリースの組成変化及びグリース潤滑特性に変化がないことを確認し
た。
なお、これら民生部品 195 品種及び 7 品種の民生技術の地上模擬試験結果は 3.2.2 項で述
べる開発支援システムの一部であるデータベース作成機能を用いて、第1次の民生部品・
民生技術データベースとして逐次登録して、本プロジェクト関係者等に公開し活用してい
る(別冊-2 に示す)。民生部品・民生技術は本来宇宙機器への適用を考慮しておらず、放射
線対策は施されていない。従って、部品製造メーカの許可なく民生部品・民生技術の放射
線耐性等を評価しているため、このデータベースの一般公開はしていない。代わりに、一
般公開用データベースを作成して USEF ホームページに掲載して公開する予定である。な
お、この一般公開用データベースでは民生部品・民生技術の製造メーカ名は記載せず、型
式は型式 ID で置き換えることで、製造メーカへの配慮を行っている。一般公開用データベ
34
ース(案)を表 3.2-2 に示す。
表 3.2-1(1/2)
分類
CPU
DSP
SRAM
SOI-SRAM
DRAM
PROM
EEPROM
Flash Memory
Gate Array
Digital IC
Digital IC (SOI)
Analog IC
光部品
SOI(他)
その他
合計
11 年度
12 年度
13 年度
14 年度
15 年度
合計
5
1
4
3
1
0
2
0
3
3
2
6
2
0
5
37
3
0
12
1
10
2
1
0
0
0
2
10
3
1
5
50
4
1
6
4
1
0
1
3
7
19
2
21
1
0
11
81
1
0
1
0
1
0
0
0
1
5
0
4
0
0
1
14
0
0
1
2
3
0
0
1
2
0
2
1
0
0
1
13
13
2
24
10
16
2
4
4
13
27
8
42
6
1
23
195
表 3.2-1(2/2)
No.
1
2
3
4
5
6
7
評価民生部品
名 称
ベーン式タンク
グリース潤滑
表面実証技術
MCM化技術
実装技術
リチウムイオンバッテリセル
PHIC実証技術
合格数 1
(TID=250Gy)
0
1
11
9
9
1
1
0
3
14
7
24
5
1
14
100
合格数 2
(TID=150Gy)
評価民生技術
搭載実験装置
ベーン式推薬タンクシステム(VTS)
次世代パドル駆動装置(AODM)
無調整化TTCtランスポンダ(ATTC)
トランスポンダ(ATTC)
オンボードコンピュータ(OBC)
スターセンサ統合型衛星制御装置(SIS)
リチウムイオンバッテリシステム(LIB)
リチウムイオンバッテリシステム(LIB)
35
2
1
12
10
11
1
1
1
3
15
7
29
5
1
14
113
表 3.2-2
第1次民生部品・民生技術データベース(公開用)(1/7)
放射線耐性
トータルドーズ(TID)耐性
No.
型式ID
品種
主要緒元
γ線TID
シングルイベントアップセット(SEU)耐性
重イオンSEU
陽子TID
Gy(Si)
シングルイベントラッチアップ(SEL)耐性
陽子SEU
重イオンSEL
閾値LET
飽和断面積
閾値エネルギー
飽和断面積
発生LET
SEL断面積
MeV/(mg/cm2)
cm2
MeV
cm2
MeV/(mg/cm2)
cm2
(CPU)
1
11101
CPU
32bit(内部128bitバス)、DRAM(2M)内蔵
>200
-
<1.44
>2.25E-03(d)
-
-
59.8
機能不良
2
11112
CPU
32bit
150
-
<1.5
>2.0E-06(d)
-
-
5.5
>1.0E-06(d)
3
11113
CPU
32bit with FPU
200
-
<1.5
>4.0E-06(d)
-
-
5.5
>1.0E-06(d)
4
11114
CPU
32bit
200
-
<2.9
>1.0E-06(d)
-
-
>61.8
<1.0E-06(d)
5
11225
CPU
32bit
150
<240
∼2
∼1.0E-06(b)
<20
>3E-13(b)
5.5
4.9E-06(d)
6
11401
CPU
32bit
200
<400
1.5
5E-08(b)
<9.7
1E-013(b)
1.5
4.9E-07(d)
7
21101
CPU
32bit, RISC, 100MHz
170
-
3.5
9.24E-03(d)
-
-
>60
<1.0E-05(d)
8
41315
CPU
64bit
>300
-
3
2.0E-03(d)
-
-
19.8
9.8E-05(d)
9
41320
CPU
64bit
>300
-
3
1.7E-07(b)
-
-
14
6.6E-07(d)
10
51201
CPU
マイクロコンピュータ
<200
307
4.3
1.0E-05(b)
0.12
1.5E-13(b)
26.2
4.56E-04(d)
11
51301
CPU
16bit 1チップCPU, 256kB(Flash), 8kB RAM
123
-
0.64
7.9E-08(b)
0.5
4.0E-14(b)
1.85
6.7E-03(d)
12
51308
CPU
32bit、40MHz,3.3V 内蔵Flash512kbyte 内蔵RAM32kby
200
-
2.9
2.0E-04(d)
16.3
1.59E-16(b)
5
6.80E-04(d)
13
61204
CPU
16bit
300
-
7.5
7.0E-03(d)
-
-
26.2
>2.5E-05(d)
14
41101
DSP
32bit
100
-
3
1.1E-02(d)
-
-
14
2.5E-05(d)
15
51306
DSP
32ビットRISC
752
-
3
2.1E-09(b)
0.6
8.50E-14
>26
<9.32E-0(d)
16
11103
SRAM
4Mbit(512K × 8bit)
150
-
1.44
2.44E-08(b)
-
-
>82.2
<1.0E-06(d)
17
11107
SRAM
4Mbit(256K × 16bit)
100
-
>5.5
<1.0E-06(d)
-
-
5.5
>1.0E-06(d)
18
11207
SRAM
4Mbit(256k word ×16bit)
160
-
>2.9
<1.0E-06(d)
-
-
5.5
3.7E-06(d)
19
11209
SRAM
4Mbit(256k word ×16bit)
400
>200
2
3.0E-07(b)
<20
1.0E-13(b)
>61.8
<1.0E-05(d)
(DSP)
(SRAM)
20
11210
SRAM
1Mbit(128k word ×8bit)
500
>200
<1.5
1.4E-09(b)
<20
1.0E-13(b)
>61.8
<4.0E-06(d)
21
11211
SRAM
4Mbit(256Kword×16bit)
800
>200
2
1.0E-06(b)
<20
1.0E-13(b)
>61.8
<1.0E-05(d)
22
11212
SRAM
1M(128k word ×8bit)
800
>200
<1.5
1.0E-09(b)
<20
1.0E-13(b)
>61.8
<1.0E-05(d)
23
11213
SRAM
1M(128k word ×8bit)
400
>110
<1.5
>3.0E-09(b)
<20
>4.0E-14(b)
1.5
>1.0E-06(d)
>1.0E-06(d)
24
11214
SRAM
1M(128k word ×8bit)
250
>200
<1.5
>3.0E-10(b)
<20
1.0E-13(b)
2.9
25
11215
SRAM
4M(256k word ×16bit)
500
>200
2
1.2E-07(b)
<20
7.0E-14(b)
>61.8
<1.0E-05(d)
26
11216
SRAM
1M(128k word ×8bit)
250
>200
2
1.2E-07(b)
<20
7.0E-14(b)
>61.8
<1.0E-05(d)
27
11322
SRAM
4M(512k × 8bit)
-
-
32
4.0E-11(b)
>51
<2.4E-16(b)
>61.8
<1.0E-06(d)
28
11323
SRAM
4M(512K × 8bit)
-
-
2.9
6.0E-07(b)
<10
1.0E-13(b)
>61.8
<1.0E-03(d)
29
11402
FIFO
1024×18bit / 2048×9bit
>990
-
1.5
∼1.0E-02(d)
>70
<5.4E-24(b)
14.2
2.9E-06(d)
30
11503
SRAM
8M(512K×16bit)
600
-
∼10
2E-06(b)
<20
∼3.0E-14(b)
26.6
2.29E-05(d)
36
表 3.2-2
第1次民生部品・民生技術データベース(公開用)(2/7)
放射線耐性
トータルドーズ(TID)耐性
No.
型式ID
品種
主要緒元
γ線TID
シングルイベントアップセット(SEU)耐性
重イオンSEU
陽子TID
Gy(Si)
600
閾値LET
MeV/(mg/cm2)
2
飽和断面積
cm2
3.39E-07(b)
シングルイベントラッチアップ(SEL)耐性
陽子SEU
閾値エネルギー
MeV
-
重イオンSEL
飽和断面積
cm2
-
発生LET
MeV/(mg/cm2)
>59.9
SEL断面積
cm2
<1.0E-05(d)
31
21105
SRAM
4M(256k word ×16bit)
32
21206
SRAM
144kbit(16kword×9bit) FIFO
50
-
5.4
5.0E-08(b)
-
-
>37.4
<1.0E-06(d)
33
21207
SRAM
128k(8kword×16)bit FIFO
>220
-
4
4.0E-08(b)
-
-
>37.4
<1.0E-06(d)
34
41312
DPSRAM
1Mbit(64kword ×8bit)
>300
-
5
1.4E-07(b)
-
-
>34
<2.0E-07(d)
35
41313
FIFO
16kword×9bit
>300
-
5
1.6E-07(b)
-
-
14
9.0E-08(d)
36
41314
SRAM
4Mbit(512kword×8bit)
>300
-
測定不可
測定不可
-
-
3
2.4E-03(d)
37
51319
SRAM
1MB×16ビット
1000
-
<5.5
1.0E-09(b)
∼10
2.0E-16(b)
14.2
発生
38
61102
SRAM
4Mbit(4bitx1M)
20
-
2.1
5.0E-08(b)
-
-
>82.2
<1.0E-06(d)
39
61201
SRAM
4Mbit
100
-
1.44
1.0E-06(b)
-
-
>36.8
<1.0E-06(d)
(SOI-SRAM)
40
21107
SOI-SRAM
256Kbit(32Kword × 8bit)
>1000
-
57.5
1.6E-12(b)
-
-
>161
<1.0E-06(d)
41
21108
SOI-SRAM
256Kbit(32Kword × 8bit)
570
-
2.6
1.4E-08(b)
-
-
>119
<1.0E-06(d)
42
21109
SOI-SRAM
128Kbit(8Kword × 16bit)
220
-
4
2.2E-08(b)
-
-
>119
<1.0E-06(d)
43
21201
SOI-SRAM
128k(8kword×16)bit
370
-
10
3.0E-08(b)
-
-
>99.8
<1.0E-06(d)
44
21301
SOI-SRAM
256Kbit(32Kword × 8bit)
380
-
4
1.4E-08(b)
-
-
>82.4
<1.0E-06(d)
45
21307
SOI-SRAM
256Kbit(32Kword × 8bit)
580
-
7.7
1.0E-08(b)
-
-
>82.4
<1.0E-06(d)
46
21308
SOI-SRAM
128Kbit(8Kword × 16bit)
>1000
-
7
1.3E-08(b)
-
-
>68.9
<1.0E-06(d)
47
21309
SOI-SRAM
128Kbit(8Kword × 16bit)
>1000
-
13
8.5E-11(b)
-
-
>119.4
<1.0E-06(d)
48
21501
SOI-SRAM
128Kbit(8Kword × 16bit)
510
-
2.5
1.0E-08(b)
-
-
>119
<1.0E-06(d)
49
21502
SOI-SRAM
128Kbit(8Kword × 16bit)
780
-
6
2.0E-08(b)
-
-
>104
<1.0E-06(d)
(DRAM)
50
11202
DRAM
256Mbit(16Mword ×4bit ×4bank)
1100
>200
5
1.3E-08(b)
<20
2.5E-16
61.8
>1.0E-06(d)
51
11217
DRAM
128M(8M word ×4bit ×4bank)
1100
>200
5
1.0E-07(b)
<20
3.0E-16(b)
61.8
>1.0E-06(d)
52
11218
DRAM
256Mbit(16M word ×4bit ×4bank)
600
>200
14.2
2.3E-08(b)
<20
2.0E-18(b)
>61.8
<1.0E-05(d)
53
11219
DRAM
128M(8M word ×4bit ×4bank)
600
>200
5
1.0E-07(b)
<20
5.0E-16(b)
>61.8
<5.0E-06(d)
54
11220
DRAM
256M(16M word ×4bit ×4bank)
1800
>200
14.2
1.0E-07(b)
<20
2.2E-15(b)
61.8
>1.0E-06(d)
55
11221
DRAM
128M(8M word ×4bit ×4bank)
1400
>200
<1.5
>2.6E-11(b)
<20
10E-15(b)
>61.8
<1.0E-05(d)
56
11222
DRAM
256Mbit(16M word ×4bit ×4bank)
600
>200
5
1.0E-07(b)
<20
8.0E-17(b)
>61.8
<1.0E-05(d)
57
11223
DRAM
128Mbit(8M word ×4bit ×4bank)
600
>200
5
1.0E-07(b)
<20
7.0E-17(b)
>61.8
<1.0E-05(d)
58
11224
DRAM
256Mbit(16Mword ×4bit ×4bank)
>500
-
<1.5
1.6E-09(b)
-
-
>63
<1.0E-06(d)
59
11502
DRAM
512M bit( 32M X 16 bit )
200
-
15
1.0E-08(b)
<20
3.7E-10(b)
>81.4
<9.4E-06(d)
60
11504
SDRAM
256M(32M×8bit)
1000
-
15
5.0E-10(b)
<20
1.0E-10(d)
>81.4
<4.6E-06(d)
37
表 3.2-2
第1次民生部品・民生技術データベース(公開用)(3/7)
放射線耐性
トータルドーズ(TID)耐性
No.
型式ID
主要緒元
品種
γ線TID
-
陽子SEU
重イオンSEU
陽子TID
Gy(Si)
シングルイベントラッチアップ(SEL)耐性
シングルイベントアップセット(SEU)耐性
閾値LET
MeV/(mg/cm2)
15
飽和断面積
cm2
5.0E-10(b)
閾値エネルギー
MeV
<20
重イオンSEL
飽和断面積
cm2
8.0E-11(d)
発生LET
MeV/(mg/cm2)
>81.4
SEL断面積
cm2
<2.1E-05(d)
<1.0E-05(d)
61
11505
SDRAM
512M(64M×8bit)
200
62
21102
DRAM
64Mbit, SDRAM
1000
-
3.2
2.65E-08(b)
-
-
>60
63
21204
DRAM
256Mbit(4MWord×4bank×16bit) SDRAM
>220
-
3.1
1.2E-09(b)
-
-
26.7
4.80E-06(d)
64
21401
DRAM
64Mbit(1Mword×4bank×16bit)
>263
-
3
5.0E-09(b)
-
-
>58
<1.0E-0(d)6
65
41316
SDRAM
128Mbit(16Mword×8bit)
>300
-
3
測定不可
-
-
14
8.4E-08(d)
>500
-
>63
<1E-06(d)
-
-
>63
<1.0E-06(d)
38
-
7
6.7E-07(d)
-
-
>37.7
<1.0E-06(d)
<1.0E-06(d)
(PROM)
66
11201
SRAM
256kbit(32k word X 8bit)
67
21205
PROM
1M(128Kword × 8bit)EEPROM
68
11104
EEPROM
16Mbit,FLASH
>200
-
<3.36
>1.0E-06(d)
-
-
>59.8
69
11208
PROM
1Mbit(128k word ×8bit)
166
-
>5.5
<1E-06(d)
-
-
14.2
ハードエラー
70
11321
EEPROM
1.6Mbit
100
-
>61.8
<9.2E-12(b)
>51
<9.2E-15(b)
>61.8
<1.0E-06(d)
71
61103
EEPROM
64Mbit(8bitx8M)
850
-
>82.8
<1.0E-06(b)
-
-
11.4
1.5E-05(d)
(EEPROM)
(Flash Memory)
72
11314
FLASH
32Mbit(4Mword×8bit/2Mword×16bit)
200
200
>2.9
<3.0E-14(b)
>51
<1E-09(d)
5.5
機能不良
73
11315
FLASH
32M(4Mword×8bit/2Mword×16bit)
>280
>300
>61.8
<3.0E-14(b)
>51
<1E-09(d)
14.2
ハードエラー
74
11506
FLASH
128M(16M×8bit / 8M×16bit)
<200
-
7.9
測定不可
>70
<4.6E-17(d)
>26.6
<1.0E-05(d)
75
51305
FLASH
2Mbit
107
-
9.53
4.0E-07(b)
-
-
>26
<9.95E-07(d)
(Gate Array)
76
11102
FPGA
32kゲート
800
-
-
-
-
-
-
-
77
11301
FPGA
SRAM type
600
>250
≦1.5
>6.3E-06(d)
<50
>1E-9(d)
14.2
>1.0E-06(d)
78
11302
FPGA
EEPROM type
150
300
≦1.5
>8.9E-05(d)
<50
>3E-10(d)
14.2
>1.0E-06(d)
79
11317
FPGA
SRAM type
140
100
≦1.5
>1.8E-06(d)
<50
>1E-9(d)
1.5
1.4E-05(d)
80
11318
FPGA
FLASH type
300
300
<1.5
測定不可
>51
<5.0E-10(d)
14.2
8.2E-05(d)
81
11319
FPGA
SRAM type
500
>300
≦1.5
>3.0E-06(d)
>51
<1E-09(d)
14.2
9.51E-03(d)
82
11320
FPGA
EEPROM type
150
>300
≦2.9
>8.1E-06(d)
>51
<1E-09(d)
2.9
2.55E-06(d)
83
11407
FPGA
EEPROM type
>300
-
2.9
∼1.0E-04(d)
>70
<2.9E-10
98.3
1.5E-06(d)
84
11501
FPGA
anti fuse
250
-
>11.7
<1E-06(d)
>70
<2.0E-11
11.7
1.0E-06(d)
85
11507
FPGA
SRAM type
800
-
≦1.0
>1.8E-06(d)
<20
>1.4E-11(d)
26.6
4.6E-06(d)
86
21103
Gate Array
32kゲート FPGA
309
-
17
9.69E-04(d)
-
-
>66
<1.0E-06(d)
87
51309
FPGA
108kゲート
400
-
10.8
6.67E-10(b)
>50
発生せず
>61.8
<8.13E-07(d)
88
61101
ゲートアレイ
700k
350
-
>20.2
測定不可
-
-
20.2
<6.4E-06(d)
(Digital IC)
89
11108
Digital IC
LVDSドライバ
>300
-
>37.9
<1E-06(d)
-
-
14.2
>1.0E-06(d)
90
11109
Digital IC
LVDSレシーバ
>280
-
>37.9
<1E-06(d)
-
-
14.2
>1.0E-06(d)
38
表 3.2-2
第1次民生部品・民生技術データベース(公開用)(4/7)
放射線耐性
トータルドーズ(TID)耐性
No.
型式ID
品種
主要緒元
γ線TID
11303
バストランシーバー 16bit
重イオンSEU
陽子TID
Gy(Si)
91
シングルイベントアップセット(SEU)耐性
100
-
シングルイベントラッチアップ(SEL)耐性
重イオンSEL
陽子SEU
閾値LET
飽和断面積
閾値エネルギー
飽和断面積
発生LET
SEL断面積
MeV/(mg/cm2)
cm2
MeV
cm2
MeV/(mg/cm2)
cm2
-
-
-
-
>61.8
<1.0E-06(d)
92
11304
バストランシーバ
16bit
>300
-
-
-
-
-
>61.8
<1.0E-06(d)
93
11305
バストランシーバー 16bit
>300
-
-
-
-
-
>61.8
<1.0E-06(d)
94
11306
インバータ
<380
-
-
-
-
-
>61.8
<1.0E-06(d)
95
11307
インバータ
<380
-
-
-
-
-
>61.8
<1.0E-06(d)
96
11316
バストランシーバー 16bit
100
-
-
-
-
-
>61.8
<1.0E-06(d)
97
21106
Digital-IC
EIA422 ラインドライバ
113
-
>119
<1.0E-06(d)
-
-
>119
<1.0E-06(d)
98
21306
Digital-IC
8bit Bus Transciev
208
-
>163
<1.0E-07(d)
-
-
>163
<1.0E-07(d)
シュミットトリガ
99
21402
Digital-IC
ラインドライバ/レシーバ
>247
-
3.8
1.0E-05(ch)
-
-
>78
<1.0E-06(d)
100
21403
Digital-IC
ラインドライバ
>225
-
>73
<1.0E-07(d)
-
-
>73
<1.0E-07(d)
101
21404
Digital-IC
ラインレシーバ
>225
-
16
5.5E-06(ch)
-
-
>73
<1.0E-06(d)
102
21405
Digital-IC
EIA422 ラインレシーバ4ch
>242
-
15
3.0E-05(ch)
-
-
>78
<1.0E-06(d)
103
21406
Digital-IC
16bit Bus Transciev
>247
-
>89
<1.0E-07(ch)
-
-
>89
<1.0E-07(d)
104
41301
DAC
16bit
>300
-
10
2.0E-04(d)
-
-
>53
<1.5E-05(d)
105
41302
ADC
12bit
>300
-
3
2.0E-05(d)
-
-
>34
<9.3E-07(d)
106
41317
IEEE1394 I/F
>300
-
3
1.0E-04(d)
-
-
19.8
2.8E-06(d)
107
41322
PCI I/F
>300
-
3
1.0E-07(d)
-
-
14
5.1E-05(d)
108
41323
EDAC
>300
-
81.4
5.0E-07(d)
-
-
>81.4
<5.0E-07(d)
109
41324
バッファ
>300
-
81.4
1.0E-06(d)
-
-
>81.4
<6.0E-07(d)
110
51310
バスドライバ
<50
-
34.7
4.39E-12(b)
-
-
>61.8
<6.99E-07(d)
111
51313
タイマ
400
-
1.45
2.1E-06(d)
∼10
1.92E-14(d)
>61.8
<6.80E-07(d)
112
51315
ラッチ
<50
-
>61.8
<4.59E-07(d)
-
-
>61.8
<4.59E-07(d)
113
51317
NANDゲート
100
-
>61.8
<6.80E-07(d)
-
-
>61.8
<6.80E-07(d)
114
51322
インバータ
100
-
>61.8
<4.59E-07(d)
-
-
>61.8
<4.59E-07(d)
115
51323
バッファ
50
-
>61.8
<8.06E-07(d)
-
-
>61.8
<8.06E-07(d)
<1.0E-06(d)
CAN
(Digital IC - SOI)
116
21110
Digital-IC(SOI)
シフトレジスタ
500
-
3
3.3E-08(b)
-
-
>119
117
21111
Digital-IC(SOI)
ハーフブリッジMOSゲートドライバ
83
-
14.5
6.1E-05(d)
-
-
>119
<1.0E-06(d)
118
21202
Digital-IC(SOI)
シフトレジスタ
>1000
-
8.2
3.0E-06(d)
-
-
>119
<1.0E-06(d)
119
21208
Digital-IC(SOI)
シフトレジスタ
>1000
-
8
1.5E-06(d)
-
-
>119
<1.0E-06(d)
120
21310
Digital-IC(SOI)
シフトレジスタ
540
-
2
1.0E-05(d)
-
-
>119.4
<1.0E-06(d)
39
表 3.2-2
第1次民生部品・民生技術データベース(公開用)(5/7)
放射線耐性
トータルドーズ(TID)耐性
No.
型式ID
品種
主要緒元
γ線TID
シングルイベントアップセット(SEU)耐性
重イオンSEU
陽子TID
閾値LET
Gy(Si)
シングルイベントラッチアップ(SEL)耐性
陽子SEU
重イオンSEL
飽和断面積
閾値エネルギー
飽和断面積
発生LET
SEL断面積
MeV/(mg/cm2)
cm2
MeV
cm2
MeV/(mg/cm2)
cm2
121
21311
Digital-IC(SOI)
シフトレジスタ
380
-
15
1.2E-05(d)
-
-
>119.4
<1.0E-06(d)
122
21503
Digital-IC(SOI)
シフトレジスタ
>1000
-
25
2.0E-05(d)
-
-
>120
<1.0E-06(d)
123
21504
Digital-IC(SOI)
シフトレジスタ
>1000
-
10
2.0E-05(d)
-
-
>104
<1.0E-06(d)
3.3V
>300
-
-
-
-
-
14.2
>1.0E-06(d)
50
-
-
-
-
-
>14.2
<1.0E-06(d)
14.2
>1.0E-06(d)
>1.0E-06(d)
(Analog IC)
124
11110
レギュレータ
125
11111
ドライバ
126
11204
ADC
8bit
130
-
5.5
>2.5E-06(d)
-
-
127
11205
ADC
8bit
50
-
1.5
>2.8E-06(d)
-
-
5.5
128
11206
ADC
8bit
50
-
5.5
>9.6E-07(d)
-
-
14.2
8.2E-07(d)
129
11403
ドライバ
CAN
1000
-
-
-
-
-
>98.3
<1.0E-06(d)
130
11404
CANドライバ
<190
-
-
-
-
-
>98.3
<1.0E-06(d)
131
11405
アンプ
<330
-
-
-
-
-
>98.3
<1.0E-06(d)
132
11406
アンプ
133
21104
Digital-IC
16bit Bus Transciev
<300
-
-
-
-
-
>98.3
<1.0E-06(d)
223
-
>119
<1.0E-06(b)
-
-
>119
<1.0E-06(d)
134
21303
Analog-IC
汎用リニア
141
-
5.8
8.5E-04(d)
-
-
>84.4
<1.0E-06(d)
135
21304
Analog-IC
汎用リニア
>267
-
2.7
2.0E-04(d)
-
-
>68.9
<1.0E-06(d)
136
21305
Analog-IC
レギュレータ
>266
-
2.7
1.0E-03(d)
-
-
>84.4
<1.0E-06(d)
137
41102
MMIC
ローノイズアンプ
>300
-
-
-
-
-
>63
<7.5E-07(d)
138
41103
MMIC
コンバータ
>300
-
-
-
-
-
>63
<9.3E-07(d)
139
41104
MMIC
シンセサイザ
>300
-
34
8.7E-05(d)
-
-
>63
<7.3E-05(d)
140
41201
レギュレータ
Pos、Adjustable
200
-
-
-
-
-
-
-
141
41202
レギュレータ
Neg、Adjustable
300
-
-
-
-
-
-
-
142
41203
ADC
16bit
400
-
5.9
1.3E-05(d)
-
-
>53
<7.1E-07(d)
143
41303
MMIC
Receiver IF
>300
-
-
-
-
-
>62.9
<1.0E-06(d)
144
41304
MMIC
ローノイズアンプ
>700
-
-
-
-
-
>62.9
<8.5E-07(d)
145
41305
MMIC
ミキサ
>700
-
-
-
-
-
>62.9
<9.9E-07(d)
146
41306
MMIC
スイッチ
>700
-
-
-
-
-
>62.9
<9.4E-07(d)
147
41307
MMIC
アップコンバーター
>700
-
-
-
-
-
>62.9
<9.0E-07(d)
148
41308
MMIC
モジュレータ
>700
-
-
-
-
-
>62.9
<9.5E-07(d)
149
41309
MMIC
トランシーバ
>700
-
-
-
-
-
>62.9
<9.6E-07(d)
150
41310
MMIC
ドライバアンプ
>700
-
-
-
-
-
>62.9
<9.1E-07(d)
40
表 3.2-2
第1次民生部品・民生技術データベース(公開用)(6/7)
放射線耐性
トータルドーズ(TID)耐性
No.
型式ID
主要緒元
品種
γ線TID
陽子SEU
重イオンSEU
陽子TID
閾値LET
Gy(Si)
シングルイベントラッチアップ(SEL)耐性
シングルイベントアップセット(SEU)耐性
飽和断面積
2
2
閾値エネルギー
重イオンSEL
飽和断面積
MeV
cm
2
発生LET
SEL断面積
MeV/(mg/cm2)
cm2
MeV/(mg/cm )
cm
151
41311
アンプ
パワーアンプ
>700
-
-
-
-
-
>62.9
<9.7E-07(d)
152
41318
ドライバ
LVDS
>300
-
59.7
5.0E-08(d)
-
-
>81.4
<1.0E-07(d)
153
41319
レシーバ
LVDS
>300
-
59.7
2.3E-07(d)
-
-
>81.4
<1.0E-07(d)
154
41321
PLL
>300
-
1.45
1.0E-04(d)
-
-
34
4.1E-07(d)
155
51202
マルチプレクサ
<100
-
>82.1
<1.0E-06(d)
-
-
37.5
1.0E-06(d)
156
51203
リレードライバ
400
-
>82.1
<1.0E-06(d)
-
-
>82.1
<1.0E-06(d)
157
51206
アンプ
158
51302
ラインドライバ
151
-
-
-
-
-
-
-
<60
-
>37.4
<8.77E-07(d)
-
-
>37.4
<8.77E-07(d)
159
51307
160
51311
レギュレータ
<100
-
-
-
-
-
-
-
電流リミッタ
50
-
-
-
-
-
-
161
51312
レギュレータ
-
100
-
-
-
-
-
-
-
Octal
2.5V
162
51316
アンプ
100
-
-
-
-
-
-
-
163
51318
シャントレギュレータ
500
-
-
-
-
-
-
-
164
51501
アンプ
165
61202
コンバータ
差動
<100
-
-
-
-
-
-
^
300
-
-
-
-
-
-
-
(光学部品)
166
11203
CCD
-
<100
-
-
-
-
-
-
167
11308
フォトカプラ
>300
100
-
-
-
-
-
-
168
31102
光源
2720
584
-
-
>20
<1.0E-11(d)
>82.1
<1.0E-06(d)
169
31103
受光素子
400
64
>62.9
<1.0E-06(d)
>20
<1.0E-11(d)
>62.9
<1.0E-06(d)
170
51205
フォトカプラ
100
>500
-
-
-
-
-
-
171
61203
CCD
100
300
-
-
-
-
-
-
>1000
-
15
1.3E-07(d)
-
-
>82.4
<1.0E-06(d)
-
(その他部品 -SOI)
172
21203
SOI(その他)
10bit A/D Converter
(その他部品)
173
11105
トランジスタアレイ
8ch,ダーリントン
300
-
-
-
-
-
-
174
11106
水晶発振器
16MHz
400
-
-
-
-
-
-
-
175
11309
サーミスタ
汎用
>7800
-
-
-
-
-
-
-
176
11310
サーミスタ
>7700
-
-
-
-
-
-
-
177
11311
ヒータ
>7800
-
-
-
-
-
-
-
178
11312
ヒータ
>7800
-
-
-
-
-
-
-
179
11313
ヒータ
>7700
-
-
-
-
-
-
-
180
21209
Analog-IC
>250
-
-
-
-
-
-
-
汎用、NPN
41
表 3.2-2
第1次民生部品・民生技術データベース(公開用)(7/7)
放射線耐性
トータルドーズ(TID)耐性
No.
型式ID
主要緒元
品種
γ線TID
シングルイベントアップセット(SEU)耐性
重イオンSEU
陽子TID
閾値LET
Gy(Si)
飽和断面積
2
MeV/(mg/cm )
シングルイベントラッチアップ(SEL)耐性
陽子SEU
cm
2
閾値エネルギー
MeV
重イオンSEL
飽和断面積
cm
2
発生LET
SEL断面積
MeV/(mg/cm2)
cm2
181
21210
Analog-IC
汎用、PNP
>250
-
-
-
-
-
-
-
182
21211
Analog-IC
ツェナーダイオード
>250
-
-
-
-
-
-
-
183
21302
Analog-IC
汎用
114
-
-
-
-
-
26.6
特性劣化
184
31101
光導波路
2800
579
>62.9
<1.0E-06(d)
-
-
-
-
185
31104
ファイバー
27
48
-
-
-
-
-
-
186
31105
FOG
35
-
-
-
-
-
-
-
187
31401
FET
その他
30
-
-
-
-
-
>34
<1.0E-06(d)
電力用
>500
-
-
-
-
-
37
1.0E-06(d)
>94
-
-
-
-
-
-
-
37.6
破壊(>380V)
188
51204
FET
189
51207
ツェナー
190
51303
IGBT
電力用
1157
-
-
-
-
-
191
51304
FET
電力用
324
-
-
-
-
-
37
2.0E-05(d)
192
51314
FET
電力用
500
-
-
-
-
-
>61.8
<8.85E-07(d)
193
51320
汎用
1000
-
-
-
-
-
>61.8
<6.58E-07(d)
194
51321
汎用
1000
-
-
-
-
-
>61.8
<9.26E-07(d)
195
51502
ホールセンサ
<100
-
-
-
-
-
-
-
>10,000
-
-
-
-
-
-
-
(民生技術)
196
71301
グリース潤滑
半導体装置用真空グリースによる潤滑技術
熱・機械環境耐性
機能性能試験
正弦波振動試験
( 15Gp-0 )
ランダム振動試験
( 19.7Grms )
熱真空試験
( -30℃∼+60℃ )
197
71302
ベーン式タンク
超塑性加工法による圧力容器製造技術
合格
合格
合格
合格
198
71303
表面実装技術
民生電子回路用部品組み立て技術
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
合格
199
71304
MCM化技術
200
71305
201
71306
多数のベアチップ部品を用いた高密度組み立て技術
多数のパッケージ部品を用いた高排熱・耐放射線組
高密度実装技術
み立て技術
リチウムイオンバッテリセル 民生用極版・電解液を用いたバッテリ技術
202
71307
PHIC実装技術
民生機器用電力ハイブリッドIC技術
注1) (b) : bit当たりの断面積、 (d) : デバイス当たりの断面積、 (ch) : チャンネル当たりの断面積
42
d) 耐性予測方法の検討
耐性予測方法の検討は、東北大学と共同実施している放射線耐性予測基礎実験とこれま
での地上模擬試験結果を用いて新規部品の放射線耐性を予測する放射線耐性予測方法の検
討の2つの課題を実施している。
東北大学における放射線耐性予測基礎実験では、サイクロトロン・ラジオアイソトープ
センターにある 90MeV サイクロトロンの 1 本のビーム輸送系を用いて、その先端に民生部
品照射用の陽子照射設備と重イオン照射設備を設置した。本照射設備の特徴は、陽子ある
いは重イオン加速ビームを大気中に取り出し、大気中で民生部品の照射を行うことができ
ることである。このことにより、照射民生部品の交換等が短時間でできる利点がある。
この照射設備を用いて、民生半導体部品のシングルイベント試験を実施すると共に放射
線耐性予測に用いるデータ取得を実施している。サイクロトロン加速器を写真 3.2-1 に、ま
た照射装置を写真 3.2-2 に示す。
写真 3.2-1
サイクロトロン加速器
43
写真 3.2-2
照射装置
民生部品、特に民生半導体部品は日常的に製造プロセスの変更が行われており、また設
計ルールの微細化による増産が行われている。
放射線耐性は製造プロセスに影響されるため、ロット依存性がある。また、近年民生半
導体部品の製品ライフサイクルが短くなり、せっかく評価しても実際に使用する際には廃
止部品になっている場合が多々ある。そのため、新規民生部品についてその都度全ての地
上模擬試験と宇宙実証試験を行ってから使用するのでは低コスト化効果が相殺される。
従って、必要最小限の地上模擬試験と解析により、新規民生部品の宇宙機器への適用可
否判断の基準を決めることが本プロジェクトの最大の課題であり、その成果を民生部品・
民生技術選定評価ガイドラインとして取りまとめる。
その解析の全く新しい試みとして、新規半導体部品の放射線耐性を予測する方法を考案
した。半導体部品の放射線耐性は設計、設計ルール、製造プロセスに依存するが、そのよ
うな情報は民生部品の場合は部品メーカのノウハウであり入手不可能である。
従って、本プロジェクトで評価した半導体メモリ(SRAM と DRAM)について設計ルー
ル情報を反映しているビット当たりのメモリセル面積(チップ面積をビット数で割った値)
を横軸に取り、放射線耐性を縦軸に表示し、最小自乗法フィッティングした耐性予測曲線
を考案した。
この方法で作成した、トータルドーズ耐性、シングルイベントアップセット耐性(閾値
LET、飽和断面積)についての耐性予測曲線を表示したグラフを図 3.2-1 から図 3.2-3 まで
示す。なお、他機関のデータを同時にプロットして、本耐性予測曲線の妥当性を示した。
本耐性予測曲線により新規部品の放射線耐性を予測するための使用方法を以下に示す。
44
(1)新規部品のチップサイズの計測
・プラスチックパッケージ゙を開封してチップの寸法を測る。
・チップ面積を計算
(2)メモリセル面積の計算
・チップ面積を全ビット数で割ることにより、メモリセル面積を算出する。
(3)新規部品の放射線耐性の導出
・本耐性予測曲線の横軸のメモリセル面積の値の点で垂直に線を引く。
・垂直に引いた線と予測曲線(中心線)との交点で水平に線を引く。
・水平線と縦軸との交点の値が新規部品の放射線耐性予測値である。
・同様に、垂直線と上下の曲線との交点から水平線を引き、縦軸と交わる点の値が
新規部品の放射線耐性の予測誤差を与える。
このようにして、新規部品の放射線耐性の予測値がわかれば、実際に放射線耐性試験を
する際の試験方法の目安となるため、試験時間を短縮することができ、放射線耐性試験の
効率化、簡易化が図れることになる。
今後新規部品の数を増やして耐性予測精度の向上に努めると共に、宇宙実証結果の反映
について検討していく予定である。
この方式は、SRAM や DRAM のメモリについては内部構造が比較的簡単であり単純化し
たメモリセル面積を基準として放射線耐性を表現しており、システム LSI のような数種類
の機能素子から構成される複雑な構造を持つ半導体部品への適用は単純ではないが、この
方式を拡張することにより他品種への適用の拡張性について検討していく予定である。
このことにより、放射線耐性試験の試験方法の見直しを行い、ガイドラインに反映する。
[参考]
以下にトータルドーズ効果(TID)とシングルイベント効果(SEE)について概説する。
・トータルドーズ効果:
半導体部品が放射線に曝されると、部品内部で電離作用に伴い部品内でイオン・電子
対が多数生成される。ゲート酸化膜やフィールド酸化膜で生成されたイオン・電子対の
うち比較的移動度の大きい電子は短時間に正電極に集電するが、移動度の小さいイオン
は電子との再結合により消滅するものの他に固定正電荷として負電極(Si-SiO2 境界面)
に集まってくる。また、界面順位も生成される。
このことに伴い、半導体素子の動作電圧が変動し、漏れ電流の増加、動作時間の劣化、
機能劣化等が発生し、最後には、機能不良となる。
固定正電荷は電子と再結合して徐々に消滅する傾向があり、温度が高いほど再結合時
間が早くなる(アニール効果)。一方、界面順位は固定正電荷の再結合と比較して長期間
消滅しないと言われている。
なお、地上模擬試験においては、Co-60 のガンマ線及び陽子線を用いて試験を行って
おり、宇宙でのドーズレートと比較して数千倍から数万倍強いドーズレートで行ってい
45
る(試験設備のため)
。また、トータルドーズ耐性は部品の電源電流値がその部品の最大
電流値(部品メーカのスペック値)に達したときのドーズ量として定義している。
・シングルイベント効果:
1個の高エネルギー粒子が入射することにより半導体部品が誤動作や永久故障を発生
する現象の総称である。
デジタル部品では、ビット情報が反転するシングルイベントアップセット現象(SEU)、
過電流に伴う永久故障を生じるシングルイベントラッチアップ現象(SEL)がある。
アナログ部品では、瞬時的な電流変動が生じるシングルイベントトランジェント現象、
過電流による永久故障を生じるシングルイベントバーンオウト現象(SEB)、ゲート酸化
膜の破壊を伴う現象(SEGR)等がある。
地上模擬試験におけるシングルイベント試験は、加速器からの各種重イオン粒子線を
用いた方法と陽子線を用いた試験とを行っている。
重イオン粒子線での試験では、イオン種を変えることにより部品中の Si に与える線エ
ネルギー付与(LET)を変化させ、LET 依存の発生断面積を求めている。
SEU 試験では、LET を変えることによりビット反転が発生始めるところから、さらに
LET を上げていき発生断面積がある一定値に近づくまで行っている。
発生断面積が一定値になる値を飽和断面積(断面積が一定にならない場合は、
LET=100MeV/(mg/cm2)の点まで断面積を外挿した値)と定義し、断面積の値が飽和断面
積の 1/100 となる点の LET の値を閾値 LET(LETth)と定義している。
46
ETth (SEU) -メモリセル面積 : SRAM
100.0
LETth (MeV/mg/cm2)
10.0
1.0
カーブ作成データ
評価対象データ
フィッティング中心値
標準偏差(上限)
標準偏差(下限)
0.1
1.00E-08
1.00E-07
1.00E-06
1.00E-05
メモリセル面積
図 3.2-1
放射線耐性予測曲線
(SEU の LETth)
SEU飽和断面積−メモリセル面積 : SRAM
1.00E-05
SEU飽和断面積
1.00E-06
1.00E-07
1.00E-08
1.00E-09
1.00E-10
1.00E-08
カーブ作成データ
評価対象データ
フィッティング中心値
標準偏差(上限)
標準偏差(下限)
1.00E-07
1.00E-06
メモリセル面積
図 3.2-2 放射線耐性予測曲線
(SEU 飽和断面積)
47
1.00E-05
TID耐性−メモリセル面積 : SRAM
1000
TID耐性 (krad)
100
10
カーブ作成データ
評価対象データ
フィッティング中心値
標準偏差(上限)
標準偏差(下限)
1
1.00E-08
1.00E-07
1.00E-06
メモリセル面積
図 3.2-3 放射線耐性予測曲線
(TID 耐性)
48
1.00E-05
3.2.1.2 宇宙実証試験の成果
3.2.1.2.1 実験装置の宇宙実証試験成果
実証衛星に搭載される実験装置の開発に先立ち、国内の宇宙関連企業に公募し、SERVIS
技術委員会の審議を経て、表 3.2-3 に示される機器を実証衛星 1 号機に搭載する実験装置と
して選定した。選定に当たっての評価基準は 2.2.1.1 項(1)1)a)で述べた基準を適用した。同
表において、No.1 から No.9 までが主要部分に民生部品・民生技術を採用した機器実験装
置であり、これらの概要を別冊-3 に示す。また No.10 は民生部品の振る舞いを詳細に計測
するための部品単体試験装置である。
実験装置に搭載され宇宙実証されている民生部品・民生技術を表 3.2-4 に示す。同表から
実証衛星 1 号機の実験装置では 40 品種の民生部品と 7 品種の民生技術が採用されており、
中間評価目標の 30 品種を達成している。
実証衛星 1 号機に搭載されている実験装置は、打上げ直後約1ヶ月間に順次行われた初
期チェックに続き定常運用へと移行し、今日まで大きな問題もなく順調に運用されてきて
いる。以下、各実験装置の概要と宇宙実証試験実施状況を述べる。
【参考】 宇宙機器に民生部品を使用する上での設計上の一般的配慮事項
○信頼性の確保
宇宙機器の信頼性を保証するため、機器の信頼度を計算する必要がある。
一般には MIL-HDBK-217F に記載の手法が使用されており、この計算で使用される部
品の各種パラメータの内、特に品質ファクタの値は MIL 部品の値に対して民生部品の場合、
5倍から10倍大きい値を使用すべしと規定されている。
このため、MIL 部品使用の機器設計をそのまま民生部品に置き換えるだけでは計算
された予測信頼度が設計要求信頼度を達成することが難しい場合がある。この場合、
多重冗長系設計の採用等により予測信頼度を向上させる必要がある。
○放射線設計
衛星の運用期間、軌道条件に合わせた宇宙放射線環境のシミュレーション計算を実
施し、その放射線環境に耐えうる十分な放射線設計が必要になる。
・トータルドーズ対策
放射線耐性のマージンが足りない部品には、スポットシールド等の対策が必要で
ある。
・シングルイベント対策
アップセットによる誤動作対策として、誤り訂正回路の付加、多重冗長多数決回
路方式等の対策が必要である。
ラッチアップ対策として、過電流保護回路の付加が必要である。
バーンアウト等の対策として、部品のディレーティング設計(余裕度を十分に取
った設計)が必要である。
49
表 3.2-3
No.
実証衛星 1 号機に搭載され宇宙実証されている実験装置
名 称
略称
概 要
1 ベーン式推薬タンクシステム
(Vane-type Propellant Tank System)
VTS 低価格な表面張力型推薬排出機構を有する推薬タンク
2 統合航法センサシステム
(Integrated Navigation Unit)
INU
GPS受信機、恒星センサを統合した衛星の高精度位置・
姿勢検出装置
3 統合電力制御装置
(Power Control and Distribution System)
PCDS
太陽電池出力のピーク電力追尾、バス電圧制御、バッテリ
充電制御機能を統合した電力制御装置
4 次世代パドル駆動装置
(Advanced Paddle Drive Mechanism)
APDM
民生用グリース潤滑剤を使い、小型軽量化されたパドル
駆動装置
5 無調整化TTCトランスポンダ
(Advanced TT&C Transponder)
ATTC
MMIC化、デジタル化によるマイクロ波回路の無調整化を
進めたSバンド衛星バス機器用トランスポンダ
6 オンボードコンピュータ
(On Board Computer)
OBC MCM実装技術等による汎用32bitOBC
7 スターセンサ統合型衛星制御装置
スターセンサを姿勢検出器とした衛星姿勢・軌道制御及び
(Satellite Controller Integrated with Star sensors) SIS データ処理装置
8 リチウムイオンバッテリシステム
LIB コバルト系電極50AHリチウムイオン電池システム
(Lithium Ion Battery System)
9 光ファイバジャイロ慣性基準装置
(Fiber Optic Gyro Inertial Reference Unit)
部品単体試験装置
10 (Commercial Parts Tester Unit)
表 3.2-4
実験
機器名
1 VTS
2 INU
3 PCDS
4 APDM
No.
5 ATTC
6 OBC
7 SIS
8 LIB
9 FOIRU
10 CPT
合計
FOIRU 光ファイバを用いた角速度検出器による慣性基準装置
CPT 民生部品を単体で宇宙実証する装置
実証衛星 1 号機の実験装置に搭載され宇宙実証されている民生部品・民生技術
民生 民生
計
品種
部品 技術
1
1 2 タンク 、ボイドセンサ
1
0 1 RFチップ
1
0 1 16bit CPU
0
1 1 グリース潤滑
16b D/A C, 12b A/D C, Receiver IF, LN AMP, LN AMP/MIXER, TRASMIT/RECEIVE SWITCH,
11
1 12
UPC, MODULATOR, TRANCEIVER, PA DRIVER AMP, POWER AMP、表面部品実装(SND)技術
6
1 7 CPU, SDRAM, FPGA, Dig_IC×2, SRAM, MCM化技術
4
1 5 CPU, EEPROM, CCD, SDRAM, 実装技術
0
2 2 セル 、PHIC実装技術
5
0 5 受光、光源、導波路、ファイバ、FOG
11
0 11 SRAM×2, SDRAM×2, フラッシュメモリ×1, FPGA×2, SOI-SRAM×2, EEPROM, レベルシフタ
40
7 47
注):太斜体文字 は民生技術、他は民生部品
50
(1)ベーン式推薬タンクシステム(VTS)
本装置(VTS:写真 3.2-3)は表面張力型の推薬タンクシステムで、推薬排出機構として構
造の簡単な仕切り板(ベーン)を採用し、推薬タンクの低価格化を目指した機器である。
民生部品・民生技術として超塑性加工技術を用いて安価に製作された推薬タンク及び配管
中を流れる推薬に気泡の混入率を計測するボイドセンサを採用している。
宇宙実証試験では推薬タンクからどこまで完全に推薬が排出できるか検証し、平成 15 年
12 月末までに全ての試験を成功裏に終了した。宇宙実証結果は、図 3.2-4 に示すように、
排出効率は 99.2%(目標 95%)を達成することができ、その実用化を確実なものにするこ
とができた。
写真 3.2-3 ベーン式推薬タンクシステム外観
0.900
100
排出効率
圧力センサ1
圧力センサ2
排出効率
0.700
圧力センサ1
(VTK側)
圧力 MPa(abs)
0.600
0.500
50
0.400
圧力センサ2
(RTK側)
0.300
推薬の枯渇による
圧力急変
0.200
0.100
実験1
実験2
実験3
実験4
実験5
0.000
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
1800
2000
時間 sec
図 3.2-4
ベーン式推薬タンスシステム宇宙実証試験結果
51
0
2200
排出効率 %
0.800
(2)統合航法センサシステム(INU)
一般に人工衛星の姿勢検出はアースセンサ(ESA)、精太陽センサ(FSS)、慣性基準装置
(IRU)を用いて行われ、衛星制御装置(搭載コンピュータ)で演算されている。また、
衛星の軌道決定は、地上局からの測距信号を衛星の通信装置で中継し再び地上局へ戻し、
地上処理で行われている。これらの方法は、機器数が多く、高価なシステムとなっており、
また人手が介在し複雑なシステムとなっていた。本装置(INU:写真 3.2-4)は、これらの課
題を解決するために開発された装置であり、低価格な衛星の姿勢・軌道決定システムであ
る。民生用 RF チップを採用し、機器の小型化、低価格化を図っている。
今日までの宇宙実証成果として、GPS 受信機機能性能評価実験、GPS 姿勢決定機能性能
評価実験、スターセンサ(STAR)機能性能評価実験を順調にこなしており、GPS により
0.34 度以下の精度で衛星姿勢決定(STAR との差)ができ、また 30m(RSS)以下の精度で軌道
決定(衛星レンジング結果の基づく軌道予測値との差)ができることが確認されている。
民生部品である RF チップの劣化も認められていない。図 3.2-5 に GPS による衛星軌道決定
結果を示す。
統合航法計算機(INE)
スターセンサ(STAR)
GPS アンテナ(GPSA)
GPS ローノイズアンプ(GPSL)
写真 3.2-4 統合航法センサシステム外観
52
図 3.2-5 GPS による軌道決定結果
(衛星レンジングにより求めた軌道予測値との差)
(3)統合電力制御装置(PCDS)
先に開発された USERS 衛星を含め、従来多くの衛星の電源系には図 3.2-10 に示すシャ
ント方式が採用されてきた。この方式は、太陽電池出力電圧を約 50V に保ち、衛星各部に
電力を供給して、余剰電力をシャントデシペータで消費させるものである。
しかしこの方式は 4 機器と機器数が多く、また重量もバッテリを除き 15kg と重いものと
なっていた。本研究開発で開発された統合化電力制御装置(PCDS:写真 3.2-5)は図 3.2-7 に
示すように、シャントデシペータを不要とし、また民生用 16bit CPU を用いることにより
機器の小型化を図り、従来の電力制御器とバッテリ充放電制御器を統合したものである。
この電力制御方式はシリーズスイッチングレギュレータ方式と呼ばれ、バッテリを除く
電源系重量は 6kg と USERS の電源系(図 3.2-6)と比べ約 1/3 に軽量化が達成できている。
また機器数は 2 機器に削減でき電源系のコスト低減に大きく貢献するものである。
本装置の特長の一つに常に太陽電池の最大電力を利用するピークパワートラッキング
(PPT)機能がある。本機能を使った場合、図 3.2-8 に示すように、シャント方式と比べ運用
開始時では 15%も多くの電力を取得することが可能となる。図 3.2-9 に軌道上実証された
PPT 機能確認結果を示す。
今日までの宇宙実証成果として、予定した自動運用モードによる電力変動追従性の確認、
バッテリ管理機能の確認、PPT 制御を順調に実施している。図 3.2-8 に軌道上実証された
PPT 機能確認結果を示す。
53
写真 3.2-5
太陽電池
統合電力制御装置外観
電力制御器
シャント
デシペータ
衛星
各部へ
バッテリ
充電制御器
バッテリ
図 3.2-6
太陽電池
USERS の電源方式(シャント方式)
電力制御器
(PCDS)
バッテリ
図 3.2-7 統合化電力制御装置(PCDS)の電源方式
(シリーズスイッチングレギュレータ方式)
54
衛星
各部へ
発生電力プロファイル サンプル
1900
1800
PPT方式での利
用可能電力
1700
発生電力[W]
1600
1500
1400
シャント方式での
利用可能電力
1300
1200
1100
2005/2/1
2006/2/1
2007/2/1
2008/2/1
2009/1/31
2010/1/31
年/月/日
図 3.2-8 ピークパワートラッキングによる太陽電池電力の有効利用例
(軌道高度約 550km, 軌道傾斜角約 30deg 周回衛星の例)
2 太陽電池電流(A)
太陽電池電力(W) 50
1.8
45
1.6
40
1.4
35
1.2
30
1
25
0.8
20
0.6
太陽電池電流測定結果
15
0.4
太陽電池電力測定結果(最大43.48W)
10
PPT制御時電力(平均43.29W)
0.2
5
PPT制御誤差=(1-43.29/43.48)×100=0.44%
0
0
35
37
39
41
図 3.2-9
43
45
47
太陽電池電圧(V)
PPT 制御軌道上実験結果
55
49
51
53
55
(4)次世代パドル駆動装置(APDM)
人工衛星には太陽電池パドル駆動装置、アンテナポインティング装置、マニュピュレー
タ等の回転・可動部を持つ装置が搭載されている。これらの装置の可動部には、地上の機
械装置と同様、潤滑がなされている。しかし宇宙空間は真空のため、地上で使われている
オイルやグリース等の潤滑剤は使えず、真空中でも蒸発しない固体潤滑剤である二硫化モ
リブテン(MoS2)が広く使われてきた。
しかし MoS2 の処理作業は特殊で多くの工程を要し、
装置のコスト高の要因となっていた。また固体皮膜の面圧強度が低いため接触面を大きく
する必要があり機構部品の小型・軽量化が阻害されていた。
本研究開発で開発した次世代パドル駆動装置(APDM:写真 3.2-6)は、上記欠点を改善す
るために、民生技術として地上の半導体製造装置等で使用されている蒸発しにくい真空グ
リースを採用した実験装置である。
今日までの宇宙実証成果として以下の成果が得られている。
・設計目標回転数 50,000 回転に対し、25,000 回転まで試験した
・駆動モジュールの効率に変化は認められない(図 3.2-10)
・駆動モジュール用モータの最大発生トルクに変化は認められない
上記の結果から、選定された民生用真空グリースは宇宙でも劣化はなく、パドル駆動装
置を始めとした宇宙用機構装置に適用可能であることが確認された。
駆動機構部
駆動制御部
トルク負荷装置
駆動モジュール
角度検出器
トルク検出器
Efficiency (%)
写真 3.2-6
次世代パドル装置外観
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
0
図 3.2-10
5000
10000 15000 20000
Revolution (rev)
25000
30000
次世代パドル駆動装置による潤滑特性評価試験結果
56
(5)無調整化 TTC トランスポンダ(ATTC)
多くの衛星では衛星バス通信機器としてSバンド帯の通信装置が広く使われている。し
かしこの通信装置の中心部分は従来型の抵抗、コンデンサ、トランジスタ、IC 等の電子部
品で作られたアナログ回路で構成されており、所定の性能を得るためには数ヶ月にもおよ
ぶ電気調整作業を必要としている。その結果、装置は大型で重く、高価なものとなってい
た。本研究開発で開発された無調整化 TTC トランスポンダ(ATTC:写真 3.2-7)には、民生
部品として AD コンバータ、DA コンバータ、ローノイズアンプ、パワーアンプ他合計 11
品種が採用されており、またアナログ回路の民生用 MMIC による置き換えやデジタル処理
化を進め、電子部品数の削減、電気調整工数の削減、小型・軽量化を実現した。
S バンド送受信機
写真 3.2-7
ダイプレクサ
アンテナ
無調整化 TTC トランスポンダ外観
今日までの宇宙実証成果として次の成果を得ている。ATTC は期待どおりの成果を得て
いるため、実証衛星 2 号機用通信装置(主系)として使われることが決定している。
・ATTC から地上に送信された周波数が正常であることを確認した(図 3.2-11)。
・ATTC で正常に測距できることを確認した(図 3.2-12)。
・USB コマンド機能確認
総受信ビット数
: 1 億 333 万 bit
エラービット数
: 0bit
誤り率
: 0 (目標値:1e-6 以下)
・USB テレメトリ機能確認
総受信ビット数
: 7564 万 bit
エラービット数
: 0bit
誤り率
: 0 (目標値:1e-5 以下)
・HSB テレメトリ機能確認
総受信ビット数
: 53.717 億 bit
エラービット数
: 244bit
誤り率
: 4.54E-8 (目標値:1e-5 以下)
57
SERVIS ATTC初期チェックアウト
KTU1受信周波数(ATTC送信周波数評価)
0.05
解析値
勝浦測定周波数
0.03
0.02
0.01
TLM可視
0
-0.01
0
300
600
900
1200
1500
-0.02
-0.03
-0.04
-0.05
-0.06
時間(21時45分からの経過秒)
図 3.2-11 ATTC ダウンリンク周波数の評価試験結果
SERVIS ATTC初期チェックアウト
6000
5000
4000
距離(km)
公称中心周波数からの差(MHz)
0.04
解析
レンジング結果
3000
2000
1000
0
0
300
600
900
1200
時間(21:45からの経過秒)
図 3.2-12
ATTC 測距機能確認試験結果
58
(6)オンボードコンピュータ(OBC)
近年、衛星の高機能・高性能化は優れた搭載計算機システムによって実現されると言っ
ても過言ではなく、搭載計算機は衛星の姿勢決定、姿勢・軌道制御、データ入出力等の重
要な処理を行っている。本研究開発が発足した当時、一般に入手可能な衛星搭載用の高信
頼性CPUは、16bit/10MIPS程度であり、パソコン等のCPUと比較すると2∼3世代旧式のもの
であった。本研究開発で開発したオンボードコンピュータ(OBC:写真3.2-8)には、民生
部品として32bitCPU、SRAM、SDRAM、FPGA、デジタルIC等6品種採用しており、また民
生技術としてMCM(Multi-chip Module)化技術を採用している。本装置は、次の特長を
持ったものである
・32bitRISC型CPUを用いて100MIPSを達成した。
・計算機を構成する高性能民生部品であるCPU、SRAM、SDRAM、FPGAを名刺サイズ
にMCM化し、小型・低コスト化を実現した。
・冗長系システム構成、ウォッチドッグタイマー、過電流検出回路、メモリエラー検出・
訂正回路等の放射線対策を採用している。
今日までの宇宙実証成果として、模擬飛行制御演算、画像処理演算、性能評価演算を繰
り返し実施しており、110MIPS 以上の性能を有することが確認されている。今後は長期運
用における搭載民生部品の耐放射線性評価や計算機の信頼性評価の実験を計画している。
写真 3.2-8
オンボードコンピュータ外観
59
(7)スターセンサ統合型衛星制御装置(SIS)
本装置(SIS:写真3.2-9)は、衛星の姿勢検出を行うスターセンサと搭載計算機を統合し
た衛星制御装置である。本装置には、民生部品として32bitCPU、CCD、EEPROM、SRAM
が用いられており、また民生技術として表面実装技術を採用している。本装置は次のよう
な特長を持っている。
・32bit RISC 25MHz CPUを用いた4重冗長構成の計算機システムであり、多数決処理
により民生部品を使用しながら高い信頼度を持っている。
・4方向の視野を持つスターセンサにより、従来の衛星で使われている地球センサ、精太
陽センサ、慣性基準装置を使わなくても、衛星の姿勢検出を可能とした。これにより、
ハードウェアの削減と低コスト化を実現した。
・従来衛星では外付けであったデータレコーダを制御装置内に取り込み、データレコー
ダの制御もCPUで行うことにより、機能の重複が無く、機器数の削減、コスト削減を
図っている。
・スターセンサのバックアップとして、簡単な構造の粗太陽センサと内蔵レートセンサ
を備えており、異常発生時でも太陽捕捉姿勢の維持ができる。
今日までの宇宙実証成果として以下の成果を得ている。本結果は十分満足できるもので
あり、SISを実証衛星2号機の衛星制御装置として採用することにしている。
・スターセンサで姿勢検出に必要な5等星まで検出できることを確認(図3.2-13)
・衛星姿勢/姿勢レートが検出できることを確認(図3.2-14)
・宇宙放射線によるCPUの異常(SEU)が発生した場合でも正常な処理を継続できるこ
とを確認
・データレコーダの記録/再生が正しく行われることを確認
制御装置
写真3.2-9
粗太陽センサ
スターセンサ
スターセンサ統合型衛星制御装置外観
60
CheckOut 1,2枚目 (ゲイン補正後、実視等級)
140
―― :設計値∝10^-0.4
A-1
◆:A系(1回目撮像)
A-2
◇:A系(2回目撮像)
B-1
◆:B系(1回目撮像)
B-2
◇:B系(2回目撮像)
C-1
◆:C系(1回目撮像)
C-2
◇:C系(2回目撮像)
D-1
■:D系(1回目撮像)
D-2
□:D系(2回目撮像)
100
5x5の和(digit)
5×5の領域の輝度和
120
120
80
80
60
40
40
20
00
2.5
33
3.5
44
実視等級 ( Mv )
4.5
55
実視等級
図 3.2-13
SIS スターセンサ撮像試験結果
初期捕捉時刻
図 3.2-14
SIS による衛星姿勢決定実験結果
61
5.5
(8)リチウムイオンバッテリシステム(LIB)
衛星に搭載されるバッテリは、充放電可能なニッケルカドミウム電池、ニッケル水素バ
ッテリが使われてきた。実証衛星 1 号機でも容量 50Ah のニッケル水素バッテリが使われ
ているが、それでもその重量は衛星重量の 6.5%に当たる 55kg と電子機器の中では最も重
い機器となっている。本研究開発で開発されたリチウムイオンバッテリ(LIB:写真 3.2-10)
は、コバルト系電極を使用した容量 50Ah の民生用リチウムイオンバッテリセルを 11 個直
列に接続した電池システムであり、重量は 30kg で製作可能となり、更に容積も半減された。
今日までの宇宙実証成果として、図 3.2-15 に示す充放電試験を 20 回実施したが、性能劣
化は認められていない。本装置の宇宙実証結果は満足できるものであるため、実証衛星 2
号機用バッテリとして採用することが決定されている。
写真 3.2-10
45
リチウムイオンバッテリ外観
7
バッテリ電圧
40
6
35
5
電流
4
25
3
20
2
15
1
10
0
バッテリ温度
5
-1
0
-2
-5
-3
0
2
4
図 3.2-15
6
8
10
時間(hr)
12
14
16
LIB の充放電サイクル試験結果
62
18
20
電流(A)
電圧(V), 温度(℃)
30
(9)光ファイバジャイロ慣性基準装置(FOIRU)
人工衛星の姿勢検出装置の一つである慣性基準装置(IRU)では、主に機械式ジャイロスコ
ープが利用されてきた。しかし、機械式ジャイロスコープは回転部分を有するために回転
体のマスアンバランスによる擾乱が発生する。これは最大 0.1N にもなる場合があり、観測
衛星等のミッションに悪影響を与えることが懸念されている。また、機械式ジャイロスコ
ープは衛星打上げ時に加わる振動・衝撃に弱く、また使用温度範囲が狭い等の欠点があり、
衛星システム設計に特別の配慮が必要であった。本研究で開発された民生用光ファイバジ
ャイロを使用した光ファイバジャイロ慣性基準装置(FOIRU:写真 3.2-11)は、民生部品とし
て受光素子、光源、導波路、光ファイバが採用されており、可動部を持たないジャイロで
あるため擾乱が全く発生せず、また耐機械環境性に優れ、使用温度範囲も広く、他の電子
機器と同様に扱うことができる特長を持っている。FOIRU と従来型の機械式慣性基準装置
の性能比較を表 3.2-5 に示すが、FOIRU は消費電力を除く全ての項目で卓越した性能を持
っている。
今日までの宇宙実証成果として、図 3.2-16 に示すようにバイアス安定度は 0.015 度/時間
(1σ)が得られており、また図 3.2-17 に示すようにノイズ等価角度は 0.87 秒(1σ)が確
認されており、期待以上の性能が得られている。
写真 3.2-11 光ファイバジャイロ慣性基準装置外観
表 3.2-5
光ファイバジャイロ慣性基準装置(FOIRU)と
機械式慣性基準装置との性能比較表
FOIRU
機械式慣性基準装置
角度検出範囲
350 度/秒以上
2 度/秒以上
スケールファクタ直線性
150ppm 以下
1000ppm 以下
バイアス安定度
0.03 度/時間(1σ)
0.03 度/時間(1σ)
ノイズ等価角度
10 秒以下
30 秒以下
消費電力
48W
39W
形状
30cmx25cmx10cm(H)
29cmx25cmx17cm(H)
重量
6.6kg
9.9kg
63
バイアスショートターム安定度[規格0.03deg/h(1σ)以下]
バイアス[deg/h(1σ)]
0.03
0.025
0.02
Y-FOG
X-FOG
0.015
0.01
0.005
0
PFT
04/2 04/3 04/4
04/5 04/6 04/7 04/8
測定日
図 3.2-16
FOIRU
バイアスショートターム安定度
NEAデータトレンド(規格10arcsec以下)
NEA[arcsec(1σ)]
5
4
3
X-FOG
Y-FOG
2
1
0
PFT
04/2
04/3
04/4
04/5
04/6
04/7
測定日
図 3.2-17
ノイズ等価角度トレンドデータ
64
04/8
(10) 部品単体試験装置(CPT)
部品単体試験装置はメモリを中心として民生部品の宇宙での振る舞いを詳細に計測する
装置である。CPT には開発時点で入手できる最先端の部品を搭載し、かつ 2 世代の SRAM 、
DRAM 等を搭載する。これにより本研究開発期間を通して 3 世代の半導体メモリ等の宇宙
実証を行い,世代の違いによる放射線耐性を把握し、放射線耐性予測に有効なデータを取
得している。CPT に搭載される民生部品を表 3.2-6 に示す。CPT は今日まで順調に稼働し
ており、搭載した部品に対し次の計測を行なっている。
・シングルイベントアップセット(SEU)発生回数
・シングルイべントラッチアップ(SEL)発生回数
・ハードエラー発生回数
・デバイス電源電圧及び電流
表 3.2-6 CPT に搭載され宇宙実証されている民生部品
品種
実証衛星1号機
SRAM
1Mbit, 4Mbit
DRAM
128Mbit, 256Mbit
SOI SRAM
256kbit (0.35μm)
フラッシュメモリ
NOR型 32Mbit
FPGA
SRAM型,EEPROM型
CPT に搭載した民生部品がより多くの放射線量に曝されるようにするため、CPT は衛星
構体外の暴露部に設置され、さらに民生部品が搭載されている面のシャーシの厚さを
0.2mmAl とし、その外側は断熱材(MLI)があるのみで宇宙空間に面している。このこと
により、衛星構体内に設置された実験装置が曝される放射線のドーズ量は2年間で約
100Gy(si)(遮蔽厚:3mmAl の場合)であると比較して、CPT に搭載された民生部品は2年
間で約 2,600Gy(Si)のドーズ量に曝される。
3.2.1.2.2 搭載民生部品・民生技術の宇宙実証結果
各機器実験装置及び CPT に搭載されている評価対象民生部品・民生技術の打上げ後の約
1年間で得られた宇宙実証結果及び地上模擬試験結果と宇宙放射線のシミュレーション結
果(設計の基礎となる実証衛星1号機の軌道上運用条件に基づいて計算されたもの)を用
いて1年間の予測した値との比較した結果を表 3.2-7 に示す。これらの結果は2年間運用予
定の途中段階の結果であるが、次のことが判明している。
・トータルドーズ(TID)耐性、SEU 耐性共に地上模擬試験からの予測値より良い結
果である。
・地上模擬試験で SEL 感受性のあると評価された民生部品も使用しているが、軌道上
では SEL は発生していない。
この理由として、TID 耐性は地上模擬試験のドーズレートが数千倍から数万倍の加速条
件で短時間に行っているため照射中のアニール効果がほとんど効いていないのに比較して
宇宙実証試験では非常に低いドーズレートであることからアニール効果が効いているため
65
と考えられる。一方、シングルイベント効果(SEE)については、個々の実験装置に搭載され
ている民生部品までの遮蔽厚が厚く SEE を引き起こす主要因である捕捉陽子線の遮蔽中で
のエネルギー減衰とフラックス減衰が現時点では評価に取り入れられていないことによる
と考えられる。今後、これらの取得したデータの評価解析を実施すると共に、地上模擬試
験結果との比較評価を通して、更に今後 1 年間の宇宙実証結果を踏まえて、その結果をガ
イドラインへ反映する。
図 3.2-18 は部品単体試験装置に搭載した 1Mbit SRAM の累積アップセット回数を時系列
表示したものである。図 3.2-19 は 1Mbit SRAM の消費電流値の変動を示したものである。
平成 15 年 12 月 16 日及び 31 日付近で消費電流値が上昇し始めているのはトータルドーズ
効果によりリーク電流が発生し始めたためである。図 3.2-20 は CPT に搭載した 256kbit
SOI-SRAM の累積アップセット回数の時系列表示したものである。
これらの図に 2 本の線(青と赤)は、搭載位置の異なる同種の部品のデータであり、平
成 16 年1月末から 2 月上旬にかけて空白部分が存在するのはこの期間、調整のため CPT
を停止していたためである。
一方、各実験機器に搭載している 7 品種の民生技術は約 1 年間の宇宙実証試験期間中正
常に機能している。
66
表 3.2-7
No.
機器
部品名
名
民生部品の宇宙実証結果サマリ(1/2)
地上模擬試験結果からの予測
宇宙実証結果
(1年間の予測値)
1
VTS
ボイドセンサ
性能劣化無し
性能劣化無し
2
INU
RF チップ
消費電流変化 : ±1%
変化無し
評価
SEU 発生回数:1 回
3
PCDS
16bit CPU
再試験実施中
WDT 暴走発生回数:
1回
4
16bit DAC
SEU 発生頻度 : 0.8 回/日
SEU 発生回数:0 回
5
16bit ADC
SEU 発生頻度 : 1 回/日
SEU 発生回数:0 回
6
Receiver IF
消費電流変化 : ±2.5%
7
LN AMP/MIXER
消費電流変化 : ±1%
8
LN AMP/MIXER
消費電流変化 : ±1%
ATTC
9
Transmit/Receive Switch 消費電流変化 : ∼0%
10
UPC
消費電流変化 : ±1%
変化率 : 0 ∼
-1%
変化率 : 0 ∼
-1%
変化率 : 0 ∼
-1%
変化率 : 0 %
変化率 : 0 ∼
・TID耐性、SEU 耐性
-0.4%
共に地上模擬試験
11
Modulator
消費電流変化 : ±6%
変化率 : ±0.3%
からの予測値より、
12
Tranceiver
消費電流変化 : ±1%
変化率 : 0 %
同程度か良い結果
13
PA Driver AMP
消費電流変化 : ±2%
変化率 : ±023%
を示している。
14
Power AMP
消費電流変化 : ±3%
0 ∼ -0.7%
15
CPU
SEU 発生頻度 : 3.78 回/日 0.19 回/日
・SEL 感受性のある
16
SDRAM
SEU 発生頻度 : 16.7 回/日 SEU 発生回数:1 回
民生部品も使用して
FPGA
SEU 発生頻度 : ∼0 回/日
SEU 発生回数:0 回
いるが、軌道上では
Dig. IC1
SEU 発生頻度 : ∼0 回/日
SEU 発生回数:0 回
SEL は発生していな
19
Dig. IC2
SEU 発生頻度 : ∼0 回/日
SEU 発生回数:0 回
い。
20
SRAM
SEU 発生頻度 : 17 回/日
3.7 回/日
21
CPU
SEU 発生頻度 : 0.23 回/日 0.073 回/日
EEPROM
SEU 発生頻度 : ∼0 回/日
SEU 発生回数:0 回
CCD
性能劣化無し
白傷発生
24
SDRAM
SEU 発生頻度 : 4.5 回/日
0.21 回/日
25
受光素子
p-TID 耐性=584Gy
26
光源
p-TID 耐性=64Gy
光導波路
p-TID 耐性=579Gy
28
ファイバ
p-TID 耐性=48Gy
29
FOG
p-TID 耐性=48Gy
17
18
22
23
27
OBC
SIS
FOIRU
67
劣化無し
(TID=4.5Gy)
劣化無し
(TID=4.5Gy)
劣化無し
(TID=4.5Gy)
伝搬損失 0.35dB 増
加
出力低下 9.2%
表 3.2-7
30
1M SRAM
31 CPT1 4M SRAM
128M SDRAM
32
256M SDRAM
33
Flash Memory
34
FPGA(SRAM タイプ)
35
FPGA(EEPROM タイプ)
36
CPT2
SOI-SRAM1
37
SOI-SRAM2
38
EEPROM
39
レベルシフタ
40
図 3.2-18
民生部品の宇宙実証結果サマリ(2/2)
SEU 発生頻度:0.99(2.8)回/
日
SEU 発生頻度:3.36(6.6)回/
日
SEU 発生頻度:2.6(0.2)回/日
0.33∼0.38 回/日
SEU 発生頻度:3.6(0.5)回/日
0.5∼0.9 回/日
1.16∼2.22 回/日
2.20∼8.29 回/日
TID 耐性=280Gy 以上
TID 耐性=500Gy
TID 耐性=150Gy
TID 耐性=380Gy
解析中
TID 耐性=580Gy
TID 耐性=100Gy
TID 耐性=100Gy
SRAM のアップセット回数累積値の時系列表示
68
・予測値の()内の値は
陽子 SEU の値。軌道
上の結果は陽子 SEU
の予測値とほぼ一致
する。
図 3.2-19
図 3.2-20
SRAM の消費電流値の変動
SOI-SRAM のアップセット回数累積値の時系列表示
69
3.2.1.2.3 実証衛星1号機の概要
(1)実証衛星1号機
実証衛星 1 号機は、研究開発の効率的推進の観点から、先に開発された USERS の資産を
最大限活用することにした。実証衛星バス部は USERS の衛星バス部をそのまま使い、また
USERS 宇宙機リエントリモジュール(REM)の代わりに大部分の実験装置を搭載するペイロ
ードユニット(PLU)を取り付けることにした。実証衛星 1 号機の外観を写真 3.2-12 に示す。
また実証衛星1号機の主要諸元を表 3.2-8 に示す。
実証衛星 1 号機の打上げはロシアのプレセツク射場からロコットを使い、平成 15 年 10
月 30 日に実施された
(写真 3.2-13)。実証衛星1号機の投入された軌道を表 3.2-9 に示すが、
申し分無い精度で投入された。その後、バス機器の初期チェックアウトと実施し、実験装
置の初期点検を経て、定常運用に移行している。現在、衛星は何の問題もなく正常に飛翔
しており、所定の手順に基づいて実験装置の運用を行なっている。
表 3.2-8
項目
軌道高度
軌道傾斜角
離心率
実証衛星 1 号機の概要
打上げ日
平成 15 年 10 月 30 日
打上げロケット
ROCKOT
運用軌道
1000 km
i= 99.5 deg. SSO
運用期間
2 年
衛星重量
840 kg
外形寸法
2.5 m(H) x 10.2 m(L)
発生電力
1300 W 以上
衛星制御
ISC による統合化制御
姿勢制御
3 軸制御
電源系
50 V フローティングバス
データハンドリング
CCSDS 準拠のパケット方式
通信系
テレメトリ
USB(2 kbps), HSB(256 kbps)
コマンド: 4 kbps
推進系
1 液式(ヒドラジン)
1N スラスタ 12 本
運用管制設備
USEF 運用管制センタ (USOC)
追跡管制局
JAXA 新グランドネットワーク局
ペイロードリソース
重量:300 kg 以上, 電力:500 W 以上
データレート:2400 bps 以上
表 3.2-9
要求値
1,000km
99.52°
−
実証衛星1号機の投入された軌道
許容値
実測値
要求値
実測値
997.1km
±15km
-2.9km
99.52°
±0.05°
0.002°
−
<0.0025
0.00115
70
写真 3.2-12
実証衛星 1 号機の外観(下部がバス部、上部が PLU)
写真 3.2-13
ロコットによる実証衛星 1 号機の打上げ
71
(2)環境計測装置(EMSS)
宇宙放射線環境を計測する環境計測装置(EMSS)の製作も順調に終了し、軌道上で正常に
データ取得ができている。図 3.2-21 に機器構成図(部品単体試験装置も含む)を示す。ま
た、EMSS の主要諸元を表 3.2-10 に示す。
部品単体試験装
環 境 計 測 装(EMSS
CPT
シールド付きドーズモニタ ( SDOS) (外部)
アップセットモニタ (USM)
部 品 単 体 試 験 装 置 CPT2
スペクトロメータ ( LPD)
データ収集装置 (DAE)
部 品 単 体 試 験 装 置 CPT1
シールド付きドーズモニタ (SDOS)(内部)
ドーズモニタ ( DOS)
図 3.2-21
表 3.2-10
3個
環境計測装置の機器構成
環境計測装置(EMSS)の主要諸元
センサ
スペクトルメータ
(2 SSDs+
Scintillator)
アップセットモニタ
(SRAMs)
ドーズモニタ (FET)
計測範囲
electron : 0.3 -10MeV
: 4 bin
proton : 1.2 -150MeV
: 6 bin
α particle : 7 -640MeV
: 1 bin
heavy ion : 2 -160MeV/nuc. : 1 bin
LETth = 3.3 MeV/(mg/cm2),
σ = 9.8×10-10 cm2/bit
LETth = 8.0 MeV/(mg/cm2),
σ = 7.3×10-8 cm2/bit
0.18 ∼ 103 Gy , 12bit ADC
・宇宙放射線環境の評価検討
実証衛星1号機に搭載されている。環境計測装置のセンサとしては、粒子エネルギース
ペクトロメータ(電子、陽子、アルファ粒子、重イオンを計測)、アップセットモニタ(ア
ップセット耐性が既知である2種類の SRAM)、及びドーズモニタ(特性のわかった
MOSFET で、3種類のシールド付きのもの2個とシールド無しのもの3個)を搭載してい
る。環境計測装置で計測された宇宙放射線環境データの一部を下記に示す。
図 3.2-22 は電子、陽子、アルファ粒子及び重イオンをそれぞれワールドマップ上にプロ
72
ットしたものであり、各粒子とも地球磁場が低高度まで低下している南大西洋異常(SAA)
と称されていているブラジル近辺でフラックスが最も高く、ついで極付近でフラックスが
高くなっている。その他の地域ではほとんど存在しない。図 3.2-23 は衛星の衛星構体外に
設置したシールド付きドーズモニタによるドーズの積算量(右図)と衛星構体内に設置し
た 3 個のドーズモニタによるドーズの積算量(左図)の時系列表示したものである。7 月
下旬で急に立ち上がっているのはこの時期に発生した大きな太陽フレアの影響である。図
3.2-24 は衛星構体の内外に設置したアップセットモニタでの計測値の累積値を時系列表示
したものである。アップセットは高エネルギー陽子により発生するため、比較的低エネル
ギーの電子や陽子を放出している太陽フレアの影響は表れていない。図 3.2-25 は衛星構体
外部に設置されたアップセットモニタの計測値をワールドマップ表示したもので、アップ
セット発生の主要因である陽子の分布(図 3.2-22)と同様 SAA 付近で大部分が発生してい
る。
電子
陽子
重イオン
アルファ
図 3.2-22
各粒子のワールドマップ表示
73
ドーズモニタ(衛星構体内部)
シールド付きドーズモニタ(衛星構体外部)
図 3.2-23 ドーズモニタ計測結果の時系列表示
図 3.2-24
アップセットモニタ計測結果の時系列表示
図 3.2-25 アップセットモニタ計測結果のワールドマップ表示
74
3.2.1.2.4 支援システムの概要
(1)打上げ機
本研究開発発足当初、国産ロケットである H-II ロケット使用を前提に実証衛星 1 号機の
製作に着手した。しかし、その後の宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構:JAXA)と
の調整により実証衛星 1 号機打上げ希望時期に適切な相乗り衛星が無いことが明らかにな
り、更には平成 11 年 11 月 15 日に打ち上げられた H-II8 号機の失敗に伴う不具合対策によ
り、その打上げ再開が予測できない状況に陥った。このため本研究開発の所期の目的を達
するためには、H-II ロケット以外の打上機による打上げもやむを得ないものと考え、関係
機関との調整を経て、海外商用衛星打上げロケットによる実証衛星 1 号機の打上げを決定
した。
上記決定を受け、平成 13 年 1 月に海外の打上げサービス会社 5 社に対して提案要請を行
い、技術評価及び契約面での評価を経て、平成 13 年 11 月にロコット(ROCKOT)による
打上げ提案を行ったドイツのユーロコット(Eurockot)社と打上げサービス契約を締結し
た。
ロコットはロシアの ICBM の SS-19 をベースとしたロケットで、高度 200km に約 1.9 ト
ンのペイロード打上げ能力を有する。実証衛星 1 号機の打上げはロコットの 4 回目の商用
打上げであった。写真 3.2-14 にロコットの外観写真を示す。
写真 3.2-14
ロコットの外観
75
(2)運用管制装置
実証衛星の運用計画立案、実運用、取得データの処理等を行う運用管制装置は、先に打
ち上げられ運用を行っている USERS の運用管制装置を改修して使用している。改修に当た
っての基本方針として、システムの低コスト化及び運用の省力化を掲げた。可能な限り市
販品のパソコン、EWS 等をベースとしてシステムを構築することにした。
USERS 運用管制装置に対する主要な改修項目は以下のとおりである。
・USERS と実証衛星 1 号機が同時に運用可能な装置とした。
・海外にある追跡管制局を使用するために VCDU(Virtual Channel Data Unit)インタフ
ェースを追加した。
・ATTC 実験のためのコマンド生成機能を追加した。
・実験者が各自の工場で実験状況をモニタしたり、実験データを取得するための外部
ユーザのためのポート数を 5 人分に拡張した。
・追跡管制局の動作状態のモニタ機能を追加した。
・海外にもある追跡管制局を含めた運用計画の立案機能を追加した。
以上の改修を施した運用管制設備は、実証衛星 1 号機の打上げ、定常運用に問題なく使
用されている。定常運用は、指揮者、コマンド送信者及びテレメトリモニタ者の 3 名で運
用ができており、基本方針に掲げた運用の省力化は十分達成できていると考えている。
(3)追跡管制システム
本研究開発の効率的推進の観点から、実証衛星を追跡管制する地上局は本研究開発では
整備せず、図 3.2-26 に示す宇宙航空研究開発機構(JAXA)保有の新グランドネットワーク局
(新 GN 局)を活用することで進めた。新 GN 局は世界各地に 7 局あり、これらを上手に
選択することにより、USERS との同時運用、実証衛星 1 号機の自由度の高い運用が実現で
きている。
TLM:テレメトリ
CMD:コマンド
R:追跡データ
R&RR:レンジ&レンジレート
ICV:軌道決定値
V:音声
TM:テレメトリ遠隔表示用データ
D:配布データ
SERVIS-1,2
S-Band(USB&HSB)(TLM/CMD/R&RR)
S-Band(USB)(TLM/CMD/R&RR):ATTC
(SERVIS主局)
JAXA
沖縄局
JAXA
増田局
JAXA
サンチャゴ局
TLM,R
JAXA
マスパロマス局
JAXA
勝浦局
JAXA
キルナ局
USOC
CMD
TLM,ICV,R
JAXA
筑波宇宙
センター
JAXA
パース局
SERVIS
運用管制システム
CMD
V
付帯
設備
TM
外部
ユーザ
D
図 3.2-26
実証衛星 1 号機の追跡管制に使用している新グランドネットワーク局
76
3.2.1.3 ガイドライン策定
(1)民生部品・民生技術選定評価ガイドライン
本研究開発における知的基盤の構築の一環をなす民生部品・民生技術選定評価ガイドラ
インは、民生部品・民生技術を宇宙等極限環境下で使用に耐えうるか否かを評価するため
の試験項目及び試験条件、使用に当たっての配慮事項、注意事項等をまとめるものである。
本ガイドラインは、民生部品・民生技術の地上模擬試験結果と宇宙実証試験結果を分析し、
耐環境性を評価する地上試験として最適で、かつ必要最小限な試験項目と試験条件を導き
出すものである。また、民生部品を宇宙機器として使用する場合に必要となる信頼度計算
に用いる部品単体の信頼度に対する考え方を整理したものである。本ガイドラインは、宇
宙用機器開発企業が有効且つ短時間で、また宇宙実証することなく民生部品・民生技術の
選定評価を行うことを可能とするものである。本ガイドラインは、宇宙実証試験等の進捗
とともに内容の充実を図るが、中間評価段階では実証衛星1号機の約 1 年間にわたる軌道
上実証試験結果の比較検討結果を反映した第 1 次民生部品・民生技術選定評価ガイドライ
ンを策定した。全文は別冊-4 に示すが、その目次を表 3.2-11 に示す。
(2)民生部品・民生技術適用設計ガイドライン
本研究開発における知的基盤の構築の一環をなす民生部品・民生技術適用設計ガイドラ
インは、民生部品・民生技術を宇宙等極限環境で使用される機器設計に有効に適用するた
めの配慮事項、注意事項等をまとめたものである。本ガイドラインは、本研究開発終了後
に各企業に於いて民生部品・民生技術を採用した宇宙用機器を設計する際の手引きとなる
もので、実験装置の開発、宇宙実証試験、地上模擬試験等で得られた民生部品・民生技術
を宇宙機器に適用するための設計的ノウハウをまとめたもので、本ガイドラインに従って
機器設計を実施すれば、見落としなく適切に宇宙用機器設計が実施できることを狙いとし
ている。本ガイドラインは、宇宙実証試験等の進捗とともに内容の充実を図るが、中間評
価段階では実証衛星1号機の約 1 年間にわたる軌道上実証試験結果の比較検討結果を反映
した第1次民生部品・民生技術適用設計ガイドラインを策定した。全文は別冊-5 に示すが、
その目次を表 3.2-12 に示す。なお、同ガイドラインの付録として、機器実験装置毎に、民
生部品・民生技術の適用事例をまとめてある。
77
表 3.2-11 第 1 次民生部品・民生技術選定評価ガイドライン目次(1/2)
総則
1.1 目的
1.2 適用範囲
2.関連文書
2.1 適用文書
2.2 関連文書
3. 基本方針
4. 民生部品選定基準
4.1 民生部品の定義
4.2 環境条件
4.2.1 放射線
4.2.2 高真空
4.2.3 温度サイクル
4.2.4 使用温度範囲
4.2.5 振動・衝撃
4.3 選定基準
4.3.1 品質水準
4.3.2 寿命
4.3.3 調達(要求)条件
5.評価試験
5.1 スクリーニング項目/条件設定
5.2 品質確認試験項目/条件設定
5.3 放射線耐性試験
5.3.1 トータルドーズ試験方法
5.3.2 Single Event Effect 耐性
5.3.3 その他の放射線耐性特性
6.信頼性保証
6.1 製造品質
6.2 ディレーティングと故障率
6.3 信頼度予測
6.4 部品メーカの品質管理状況の調査
6.5 保管・取り扱い
7. 採用に当たっての留意点・制約事項
8.宇宙実証結果との比較方法
8.1 周辺遮蔽厚の評価及びドーズ量評価方法
8.1.1 目的
8.1.2 結果
8.1.3 各実験機器の遮蔽厚マップ及びドーズマップ
8.2 陽子エネルギースペクトルとフラックスの評価方法
9.宇宙実証結果から得られた放射線試験に対する留意事項
1.
78
表 3.2-11 第 1 次民生部品・民生技術選定評価ガイドライン目次(2/2)(解説編目次)
民生部品の定義
1.1 定義
2.民生部品の特徴
2.1 民生部品の特長
2.2 民生部品の短所
3. 信頼性上の考察
3.1 故障メカニズムと故障モード
3.2 摩耗(疲労)故障メカニズムと故障モード
4. 自動車用電子部品について
4.1 自動車用電子部品の位置づけ
4.2 自動車用部品と一般産業用部品との相違点
5. 放射線施設
5.1 軌道上環境の予測方法
5.2 試験方法
6. 民生部品の地上評価試験と宇宙実証結果との比較検討
1.
79
表 3.2-12
第 1 次民生部品・民生技術適用設計ガイドライン目次
1. 目的
2. 適用・関連文書
3. 定義
4.設計基準
4.1 全般
4.2 機器総合設計
4.3 電気設計
4.4 機構設計
4.5 熱設計
4.6 EMC 設計
4.7 耐放射線設計
4.7.1 全般
4.7.2 宇宙放射線環境予測方法
4.8 インタフェース設計
4.9 信頼性設計
4.9.1 全般
4.9.2 ディレーティングと故障率
4.9.3 信頼度予測方法
4.10 安全性設計
4.11 実装設計
4.11.1 全般
4.11.2 マルチチップモジュール
4.11.3 ハイブリッド IC 化
4.11.4 表面実装化
4.11.5 プリント基板設計標準
4.12 部品・材料選定基準
付録:
民生部品・民生技術を使用した機器の設計例
80
3.2.2 研究開発項目②極限環境で使用する機器等の開発支援技術の開発成果
実証衛星の開発に参画する関係者間のタイムリーで齟齬のない情報伝達、インタフェー
ス設計情報交換及び機器・衛星等の3次元 CAD モデルを使った3次元設計、仮想環境を用
いた解析を効果的かつ効率的に行なうために、設計情報交換システム及び設計情報統合シ
ステムから成る開発支援技術を、平成 12 年までに構築完了し、研究開発項目①民生部品・
民生技術の極限環境適用技術の研究開発に適用している。
3.2.2.1 設計情報交換技術の開発成果
3.2.2.1.1 設計情報交換技術のシステム開発成果
実証衛星及び実験装置の開発業務並びに、プロジェクト管理業務を支援するためのシス
テムであり、衛星及び機器の開発仕様情報とプロジェクト管理情報をデータベースとし、
ネットワークを介してそれらの情報を登録・保管・検索・提供を行っている。本システム
の構成は図 3.2-27 に示すとおりであり、以下の機能を持っている。
a) ドキュメント管理機能
文書の体系定義、登録管理、検索、構成管理および文書アクセス権管理を行う。
b)プロジェクト管理支援機能
スケジュール管理、アクションアイテム管理、不具合管理、宇宙機部品情報(システム、
サブシステム、コンポーネントおよびそれに付随するソフトウェア、文書)構成管理を行
う。
c) 設計調整支援機能
一括連絡(掲示板)、電子会議室/会議室予約、設計審査会支援(指摘票管理)機能を有
する。
d) セキュリティ機能(共通)
個人認証データ管理、個人認証およびネットワーク授受データに対する暗号化を行う。
e) データベース運用機能
データベースのバックアップ、ログ収集等を行う。
f) 宇宙部品データベース機能
地上模擬試験結果を登録するデータベースである。
図 3.2-27
設計情報交換システムの機能
81
3.2.2.1.2 設計情報交換技術のシステム導入の効果
設計情報交換技術のシステムを導入し、民生部品・民生技術の極限環境適用技術の研究
開発を進めているが、今日までに認められている効果は以下のとおりである。
a) ドキュメント管理機能
基準文書や設計文書が一括管理され、いつでも最新の情報を本研究開発担当者間でリア
ルタイムに共有可能となったため、文書の検索・参照時間が大幅に削減された。また、基
準文書の最新版を誤認することによる設計作業手戻りが無くなった。あわせて、文書の複
写・配布費用および文書保管スペースの削減にも貢献している。
b) プロジェクト管理支援機能
スケジュール管理は原則 MS Project を使うことで設計したが、場合によっては見にくい
場合があり、EXCEL 等のツールも使用可能とし、スケジュール管理を行っている。プロジ
ェクト参画企業が、共通の認識の基にプロジェクト推進ができている。
また、日常行われている打ち合わせ用資料の事前登録、打ち合わせ終了直後の議事録・
アクションアイテムの登録等を行うことにより、効率的な打ち合わせや最新アクションア
イテムの参照と確実なフォローができるようになった。
c) 設計調整支援機能
設計審査において、事前にインプットパッケージを登録し、事前審査過程で指摘表管理
機能を用いて指摘表の回答、回答の承認を電子的に行うことで、審査員やオブザーバの指
摘を短期間に重複することなく反映でき、効率的な本審査が可能になった。
d) セキュリティ機能
インターネット利用において、暗号化による VPN(Virtual Private Network)を使用したこ
とにより設計情報の盗聴からの保護に効果を発揮し、設計図等セキュリティ・レベルの高
い情報もネットワークを介して交換可能になった。
f) 宇宙部品データベース機能
地上模擬試験結果を「民生部品・民生技術データベース」として逐次登録している。参
画企業間で情報の共有ができて、民生部品・民生技術の宇宙転用に貢献している。
3.2.2.2 設計情報統合技術の開発成果
3.2.2.2.1 設計情報統合技術のシステム開発成果
実証衛星を構成するシステム、サブシステム、実験装置の設計業務を各社間で効率的且
つ正確に行うためのシステムであり、衛星の設計情報をデータベースとし、ネットワーク
を介して、それらの情報の登録、保管、検索、提供を行うことができる。本システムの特
長は、我が国の宇宙業界で初めて採用した 3 次元 CAD モデルを含む機器インタフェースコ
ントロール文書(ICD)の採用であり、これを従来の ICD と区別して「拡張 ICD」と呼んでい
る。本システムは以下の機能を持つが、衛星システム解析に用いる解析ソフトそれ自体は
衛星システムメーカの既存のソフトを活用できるようにしており、本システムの開発範囲
には含まれていない。
a) 3 次元設計機能
拡張 ICD の 3 次元 CAD 情報を用い、解析ソフト(Pro/E)を用い、各構成品の形状から実証
衛星システムのレイアウト設計を行う。
b) 解析入力データ作成機能
衛星システム解析に使用する入力データを拡張 ICD の情報から作成するもので、以下の
82
解析用入力データを作成する。図 3.2-28 に衛星のシステム解析の流れを示す。
・熱解析
・構造解析
・視野解析
・質量特性解析
・配線設計
・姿勢解析
・ミッション解析(軌道上で実施する各種ミッション運用について、その成立性
や運用手順の確立のための解析・シミュレーション)
・回線解析
・放射線解析
c) 拡張 ICD 機能
拡張 ICD の体系定義、登録管理、検索、構成管理およびアクセス権管理を行う。図 3.2-29
に拡張 ICD の構成を示す。
d) リソース情報管理機能
リソース情報の体系定義、登録管理、検索、構成管理およびアクセス権管理を行う。
e) リソース情報インタフェース機能
リソース情報から衛星システムの重量、電力値を出力する。また、テレメトリ・コマン
ド(T/C)情報の種類別集計を行う。
f) データベース運用機能
データベースのバックアップ、ログ収集等を行う。
g) テレメトリ・コマンド情報データベース機能
衛星及び搭載機器のテレメトリ・コマンド情報をデータベース化している。
サブシステム、コンポーネントメーカ
設計・解析データベース
拡張 ICD
リソース情報
三次元
熱解析
構造解析
視野解析
重量特性
配線設計
重量リソース
電力リソース
CAD
I/F
I/F
I/F
解析
I/F
集計
集計
コマンド
I/F
I/F
チャネル数
I/F
I/F
テレメトリ/
集計
宇宙機
宇宙機
宇宙機
宇宙機
宇宙機
宇宙機
宇宙機
宇宙機
三次元
熱解析
構造解析
視野解析
重量特性
配線設計
重量リソース
電力リソース
コマンド
集計
集計
チャネル数
設計
解析
テレメトリ/
集計
図 3.2-28
衛星システム解析の流れ
83
図 3.2-29
拡張 ICD の構成
3.2.2.2.2 設計情報統合技術のシステム導入の効果
設計情報統合技術のシステムを導入し、民生部品・民生技術の極限環境適用技術の研究
開発を進めているが、今日までに認められている効果は以下のとおりである。
a) 3 次元設計機能
衛星のレイアウト設計は、実験装置側から提出された拡張 ICD の 3 次元 CAD モデルを
使い、すべて3次元 CAD ソフト(Pro/E)を使った 3 次元モデルにより実施した。センサ
やアンテナの視野要求、包絡領域制限が厳しいロケット側からの要求についても 3 次元
CAD にて検討し、従来の2次元 CAD を利用した手法に比べて容易かつ効率的に設計を行
うことができた。電子的な情報交換のため、入力ミス等が避けられ、手戻りのない設計作
業が実施できた。また、搭載機器の実装検討、クリアランス検討、計装配線のルート検討、
パドル穴あけ位置座標決定等も迅速且つ効率的にできた。
また、実証衛星 2 号機の設計に際しては、実証衛星 1 号機からの変更点の修正と確認で
済ませることができ、作業効率向上が図れている。
b) 解析入力データ作成機能
各システム解析に必要な機器情報を電子的に拡張 ICD から抽出でき、システム設計解析
に利用できるようになったため、再入力の手間の減少、入力ミスに起因するインタフェー
スミスの防止ができた。
c) 拡張 ICD インタフェース機能
紙ベースのインタフェース調整から 3 次元 CAD を用いた電子データの交換・共有になっ
たことから入力ミスに起因するインタフェースミスが激減し、工数の削減および作業品質
の向上が実現した。
d) リソース情報管理機能
リソース情報(電力・重量・データ量等)が一元管理された事により、サブシステム、
実験装置設計者側からも同情報を確認できるようになり、設計の効率化が図られた。
e) テレメトリ・コマンド情報データベース機能
実験装置側のテレメトリ・コマンド(T/C)情報を TC-DB サーバで一元管理・情報共有
することで、設計段階から試験、運用まで一貫した管理ができたことにより、試験及び運
用品質の向上と維持管理工数が削減できた。
また実証衛星 2 号機の設計に際しては、実証衛星 1 号機からの変更点の修正と確認に留
めることができ、作業工数の大幅な減少を図っている。
84
4 実用化、事業化の見通しについて
4.1 実用化、事業化の見通し
(1) 知的基盤の構築
平成 11 年度のプロジェクト開始以来、202 品種の民生部品・民生技術を試験して極限環
境における機能についてのデータを蓄積するとともに、これらの部品、技術を使用した衛
星搭載機器を9機器開発して宇宙実証に供してきた。これらの成果を踏まえて民生部品・
民生技術を宇宙に適用するための「民生部品・民生技術選定評価ガイドライン」ならびに
「民生部品・民生技術適用設計ガイドライン」の第1次案を策定した。また、民生部品・
民生技術の試験結果は「民生部品・民生技術データベース」として蓄積した。なお、これ
らのガイドラインデータベースは衛星機器メーカですでに活用を開始している。
これはいずれも我が国としては初めての成果であるばかりではなく、世界的に見てもそ
の試みが始まった段階である。これらを使用して民生部品・民生技術の宇宙への適用技術
の開発の第一段階が完成したと言える。これはわが国宇宙産業界で早くから期待されてい
たものであり、今後ますます入手が困難になると思われている MIL 部品に代わるものとし
て民生部品・民生技術を積極的に利用して行こうという流れに乗るものである。また、本
知的基盤の確立により、衛星および搭載機器の低コスト化、短納期化、高機能化、小型軽
量化が進み、我が国の宇宙産業界の国際競争力強化にも大いに役立つものであると考える。
(2) 実証衛星 1 号機に搭載された機器実験装置の売り込み状況
実証衛星に搭載された実験装置を選定する際の判断基準として、開発担当企業の戦略機
器として単独でも販売可能なポテンシャルのある機器を選定する方針とした。実証衛星 1
号機が打ち上げられて約1年が経過した今日、民生部品・民生技術は特に機器の性能劣化
を引き起こすこともなく、順調に軌道上運用実績も蓄積しつつある。この軌道上実績をベ
ースに、開発担当各社における実用化・事業化状況(売り込み状況)を別冊-6 に示すが、
既に 1 機器は国内外各 1 社から受注をすることができた。また、その他の企業も説明資料
等を作成し、海外の衛星メーカにPR活動を展開している。今後更なる軌道上実証実績が
蓄積され、民生部品・民生技術に対する評価が進めば、より多くの機器の販売ができるも
のと期待されている。
(3) 他産業への波及効果
放射線耐性を持つ民生部品・民生技術のデータベースおよびそれを選定・利用するため
のガイドラインは、宇宙関連機器への適用にとどまらず石油掘削装置、原子力関連設備等
への波及効果が期待できるため、これら我が国関連企業等へのデータベース等の提示を開
始している。特に民生部品・民生技術の選定に当たっては、
「極限環境に耐えうる」ことを
示すデータも貴重であるが、
「極限環境では使えないこと」を示すデータも、同程度に貴重
なものであり、民生部品・民生技術の実力値を含む民生部品・民生技術データベースは、
我が国の貴重な公共財であると考えられる。
(4) 開発支援技術の開発成果
従来我が国の衛星開発における設計情報交換、インタフェース調整等は、所謂「紙ベー
ス」で開発が進められてきた。機器側が作成した紙ベースのインタフェース情報等を、衛
星システム側で再び紙に移しインタフェース調整、製造図面等の作成を行ってきた。
85
また、一方で、各企業は生産効率向上ために独自の生産戦略の基に、独自の CAD システ
ム、解析システム等を導入してきており、今日まで業界で横断的に使える CAD システムは
存在しなかった。
かかる状況の中で、本研究開発にて開発した「開発支援技術」は我が国の主要な宇宙関
連企業間に於いて、インタフェース部分の共通化を図り、3 次元 CAD ソフトもデファクト
スタンダードとなりつつあるソフトに統一し、インターネットを使用した電子的情報交換
システムを確立した。このシステムを本研究開発に適用することにより、効率的な衛星開
発が行えることが確認できた。本システムは、既に他の衛星機器開発への適用が開始され
ており、今後更なる適用の拡大が見込まれる。我が国の宇宙産業界の国際競争力強化につ
ながることが期待できる。
他方、我が国では 10 年間で 10 機程度の新規衛星開発が見込まれるため、そこに開発支
援技術を適用することによって、開発支援技術の開発に投じた予算に比べ、十分な衛星開
発費低減が期待できる。
(5) 成果の普及方策
本研究開発の成果であるデータベース、ガイドラインは、我が国宇宙産業界のみならず、
石油掘削装置や原子力関連設備業界、中小企業、大学等における活用が見込まれており、
オンラインアクセスが可能なデータベース化等の普及策を図っていく。ただし、ノウハウ
の第3者への流失防止の観点からの手段も講じていく。
4.2 今後の展開
本研究開発の全体目標を達成するために、以下の作業を推進する。
(1)地上模擬試験
1) 新規の民生部品の内、放射線耐性予測曲線の精度向上に資する民生部品を選定して,
地上模擬試験を継続する.。
2)
新規民生部品の地上模擬試験結果及び宇宙実証試験結果を取り込むことにより,放
射線耐性予測曲線の精度向上を図ると共に,その有効性の検証を行う。
3)
宇宙実証試験結果(実証衛星 1 号機及び 2 号機)と地上模擬試験結果との差異の比
較検討及び評価を通して,民生部品・民生技術選定評価ガイドラインの評価試験条件
の見直しを行う.。また、それらの試験結果を民生部品・民生技術データベースに登録
することで最終化を図る。
4)
2)、3)の成果に基づき, 民生部品・民生技術選定評価ガイドラインの評価試験の試験
項目,試験条件を見直しことにより,必要最小限の試験項目と簡易化された試験条件を
選択して,民生部品・民生技術選定評価ガイドラインに反映し、最終化を図る
(2)実証衛星 2 号機搭載実験装置の開発
実証衛星 1 号機に搭載された 9 種類の機器実験装置に加え、更に衛星の低コスト、短納
期、高機能化等に役立つ 8 種類の機器実験装置および部品単体試験装置(CPT)を開発し、宇
宙実証を行う。これにより累計で 60 品種以上の民生部品・民生技術の宇宙実証目標を達成
86
する。SERVIS 技術委員会で審議・確認され、実証衛星 2 号機に搭載される実験装置を表
4.2-1 に、また宇宙実証予定の民生部品・民生技術を表 4.2-2 に示す。
表 4.2-3 には CPT に搭載される民生部品の詳細を実証衛星 1 号機で評価されている民生
部品とあわせ示すが、実証衛星 2 号機の宇宙実証により実証衛星 1 号機の実証結果をあわ
せ、3 世代にわたるメモリを中心とした民生部品評価を実施する。
(3)実証衛星 2 号機の開発
実証衛星 1 号機の宇宙実証結果をベースに、実証衛星 2 号機の開発を行う。実証衛星 1
号機搭載の機器実験装置であった以下の機器は軌道上実証試験で特に異常現象も見られず
バス機器としての機能を十分果たすものと考えられるので、2 号機のバス機器として採用
して、低コスト・高機能衛星バス構築に向けた宇宙実証データの蓄積を図る。
・ スターセンサ統合型衛星制御装置(SIS)
・ 無調整化 TTC トランスポンダ(ATTC)
・ リチウムイオンバッテリシステム(LIB)
表 4.2-1
実証衛星 2 号機に搭載予定の実験装置
名 称
No.
略称
概 要
リチウムイオン電池実験装置
1 (Lithium Ion Battery system with Automotive
LIBA 自動車用電子技術を用いたMn系Liイオン電池システム
technology)
2 データマネージメント装置
(High Assurance Data Management System)
自動車用電子技術、自律分散システム技術をベースとし
ADMS て、システム管理などの信号処理に対応できる分散型コン
ピュータシステム
自律フォールトトレラント計算機
CRAFT
先端的な民生部品・技術用い、独自の耐故障性システム
を組み込んだ64ビット計算機システム
4 リモートターミナル実験装置
(Plug-and-Play Remote Terminal Unit)
PPRTU
データバス関連の先端的な民生部品・技術を使用したプラ
グアンドプレイ型のリモートターミナルユニット実験装置
5 高性能データ圧縮装置
(High Performance Data Compressor )
HPDC
民生データ圧縮技術を用いた高速・高精度なデータ
圧縮装置
3 (64bit Autonomous Fault Tolerant Computer with
CRAFT SYSTEM)
先進測位実験装置
6 (Advanced Position detection Experiment
APE
低価格測位実験装置。GPS測位誤差の内、GPS衛星位置
誤差を実時間で推定し、GPS測位精度の向上を図る。
ASM
電子機器・計装系を構体パネルに組み込み、実装効
率を向上させた低価格構体パネル実験装置
system)
7 先進衛星構体実験装置
(Advanced satellite Structure Module)
8 磁気軸受けホイール実験装置
(Magnetic Bearing Wheel)
9 部品単体試験装置
(Commercial Parts Test unit )
MBW 磁気軸受けを使用したホイール実験装置
CPT 民生部品を単体で宇宙実証する装置
87
表 4.2-2
実証衛星 2 号機の実験装置に採用されている民生部品・民生技術
SERVIS2号機搭載民生部品・民生技術
実験
民生 民生
No.
計
機器名 部品 技術
1 LIBA
6
2 ADMS
17
3 CRAFT
4
4 PPRTU
H14.12.3現在
品種
EV用リチウムイオン電池(90Ah、9.5Ah) , CPU ,マルチプレクサ, フォトカプラ,
リレードライバ, MOS-FET, OPAMP
32bitCPU, FLASH MEMORY, SRAM,
0 17
FPGA, FET, Digital IC×6種, Analog IC×4種, Transistor×2種
64bit MPU, 64bit MPU, SRAM
0 4
SDRAM
1
7
9
0
IEEE-1394 I/F LSI, PLL LSI, LVDS Line Driver
9 LVDS Line Receiver, PCI I/F デバイス,
デュアルポートSRAM, 高速FIFO, EDAC, バッファIC
5 HPDC
7
2
9
6 APE
4
2
6
7 ASM
7
1
8 MBW
9 CPT
合計
1
9
64
LVD Line Driver, LVDS Line Receiver,
LVDS Line Driver/Receiver, Line Receiver,
16bit Level Shifting Tranceiver, SDRAM, Image Comp Chip
MCM実装技術 , SOI技術
OPAMP, FIFO), FPGA, SDRAM, GPS受信機 ,
実装技術
CPU, FPGA, DRV, DRV
OPAMP, EEPROM) SDRAM, 実装技術
1 2 パワーMOSFET, 磁気軸受け
0 9 SRAM×2, SDRAM×2, フラッシュメモリ×1, FPGA×2, SOI-SRAM×2
5 69
8
注):太斜体文字 は民生技術、他は民生部品
表 4.2-3
実証衛星2号機の部品単体試験装置に搭載予定の民生部品
品種
SRAM
DRAM
SOI SRAM
フラッシュメモリ
FPGA
実証衛星2号機
4Mbit, 8Mbit
256Mbit, 512Mbit
128kbit (0.18μm )
NOR型128Mbit
SRAM型,EEPROM型
88
5 成果資料
5.1 論文リスト
研究開発開始以来、今日までに 74 件の論文発表(一部予定を含む)を行い、本研究開発
の成果をPRした。詳細は表 5-1 に示す。
5.2 新聞発表リスト
本研究開発開始以来、今日までに 37 件の新聞発表(報道)が行われた。詳細は表 5-2 に
示す。
5.3 出願特許リスト
この成果は、我が国宇宙産業界の国際競争力強化の上で戦略的ノウハウと位置付けられ
る。従って、この成果の特許の取得(公開)は必要最小限に留めた。
本研究開発開始以来、今日までに出願された特許を表 5-3 に示す。
89
表 5-1
No.
発表年月日
1 平成11年9月3日
2 平成11年10月20日
3 平成11年12月1日
学会発表リスト(1/3)
3次元CADの事例発表
SERVISプロジェクトの概要
民生部品・技術の宇宙転用
発表先
コンパック社HPセミナー
NASDAで講演
JSUPで講演
著者(機関)
MELCO
USEF
USEF
宇宙CALSの適用
SOI部品(ポスターセッション)
宇宙CALS
宇宙CALS
SERVISの概要
宇宙CALS
SERVISプロジェクトにおけるCOTSの評価
NASDAで講演
NSREC
宇宙応用シンポジウム
富士通技報
JUSTSAP
IASAシステム研究計画会
COTS Workshop
USEF
USEF
USEF
富士通
USEF
USEF
USEF
○
○
○
○
○
○
○
○
○
11 平成13年5月9日
人工衛星の企業間協調設計システム
MELCO
○
○
12 平成13年10月
SERVISプロジェクトの概要
USEF
○
○
13 平成14年1月7日
USEFの衛星開発計画
日本ユニシス
52th International Astronautical
Congress
ISASシステム研究計画会
USEF
○
○
14 平成14年5月31日
SERVISプロジェクトの概要
USEF
○
○
15 平成14年10月10-19日
One-shot Fabrication Technique for Spacecraft Structure
MELCO
○
○
USEF
USEF
USEF
USEF
USEF
MELCO
NTSpace
NTSpace
MELCO
NTSpace
MHI
NTSpace
MPC
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
4
5
6
7
8
9
10
16
17
18
19
20
21
22
23
23
24
26
27
28
平成12年6月30日
平成12年7月
平成12年7月
平成12年11月
平成12年11月13日
平成13年1月9日
平成13年2月15日
平成14年10月11日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
論文名
USEFに於ける衛星開発
SERVISプロジェクトの概要
SERVISプロジェクトにおける民生部品評価
SERVIS運用管制システムの開発
SERVIS開発支援システムの開発
宇宙環境信頼性実証システム(SERVIS)宇宙機1号機の開発
統合電力制御装置の開発
次世代パドル駆動装置の開発
SERVIS衛星搭載によるリチウムイオンバッテリの宇宙実証
無調整化トランスポンダの開発
SERVIS-1搭載実験装置オンボードコンピュータ(OBC)の開発
SERVIS-2搭載用自律フォールトトレラント計算機の開発
SERVIS搭載用環境計測装置(EMSS)の開発
90
23th International Symposium on Space
Technology and Science
53th International Astronautical
Congress
日本航海学会航空宇宙研究会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
口頭
○
○
○
論文
○
○
表 5-1
学会発表リスト(2/3)
発表年月日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
平成14年10月23日
論文名
統合航法センサシステムの開発
SIS−スターセンサ統合型衛星制御装置の開発
SERVIS-1搭載実験装置光ファイバージャイロ慣性基準装置の開発
ベーン式推薬タンク内流体挙動の数値解析
33 平成15年3月10-11日
宇宙環境信頼性実証システム(SERVIS)プロジェクトの状況
34 平成15年3月27-30日
内部全反射遮光型スターセンサの遮光性能評価結果
No.
29
30
31
32
35 平成15年5月19-23日
Development of SIS - Satellite controller integrated with Star sensors -
36 平成15年6月
宇宙環境信頼性実証システム(SERVIS)について
37 平成15年6月
USEFに於ける衛星開発
38 平成15年8月号
宇宙環境信頼性実証システム(SERVIS)が拓く低軌道標準衛星の開発
Development of the Integrated Navigation Unit;
Combining a GPS Receiver with Star Sensor Measurements
スターセンサ統合型衛星制御システム
Space Environment Reliability Verification Integrated System (SERVIS)
39 平成15年12月10-11日
40 平成16年1月
41 平成16年3月25日
42 平成16年7月19-23日
Energetic Charged Particle Spectrometer for the Space Environment
Reliability Verification Integrated System (SERVIS-1) Satellite
43 平成16年10月6日
SERVIS Project: Application of Commercial Technology for Space
44 平成16年10月8-10日
Flight Experience of the integrated Navigation Unit; Combining GPS
Attitude Determination with STAR Sensor Measurements
45 平成16年10月8-10日
46 平成16年10月21-22日
47 平成16年10月21-22日
発表先
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第46回宇宙科学技術連合講演会
第1回国際CubeSatシンポジウム(超)小 型衛星及び宇宙実証 2003年春期応用物理学関連連合講演
7th International Symposium on
Artificial Intelligence, Robotics and
Automation in Space (i-SAIRAS
2003)、ポスターセッション
電子情報通信学会信学技報
日本航海学会誌平成15年6月号(156
号)
三菱電機技報8月号
International Space Conference of
Pacific-basin Societies
三菱電機技報1月号
電子情報通信学会 2004年総合大会
Nuclear and Space Radiation Effects
Conferenceでの発表
IEEE Transactions on Nuclear Science
への掲載
55th International Astronautical
Congress
2nd ESA Workshop on Satellite
Navigation User Equipment
Technologies NAVITEC 2004
2nd ESA Workshop on Satellite
Flight Experience of Single and Dual Frequency GPS Receivers onboard
Navigation User Equipment
of SERVIS and USERS Satellites
Technologies NAVITEC 2004
統合航法センサシステム(INU) GPS姿勢決定と恒星センサ宇宙実験結 第21 回誘導制御シンポジウム
第21 回誘導制御シンポジウム
光ファイバジャイロ慣性基準装置の開発と軌道上実験状況
91
著者(機関)
NTSpace
MELCO
MPC
IHI
口頭
○
○
○
○
USEF
○
MELCO
○
論文
○
○
○
○
○
MELCO
○
USEF
○
USEF
○
MELCO
○
NTSpace
○
MELCO
USEF
○
○
○
PSI
○
○
USEF
○
○
NTSpace
○
○
NTSpace
○
○
NTSpace
MPC
○
○
○
○
表 5-1
No.
48
49
50
51
52
53
発表年月日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
54 平成16年11月4∼5日
55
56
57
58
59
60
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
61 平成16年11月4∼5日
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
平成16年11月4∼5日
学会発表リスト(3/3)
論文名
SERVISプロジェクトについて
SERVISプロジェクトにおける民生部品の評価
SERVIS衛星運用管制システムについて
SERVIS開発支援システムについて
実証衛星1号機の開発と運用結果
ベーン式推薬タンクシステム(VTS)の開発と宇宙実証結果
統合航法センサシステム(INU) GPS姿勢決定と恒星センサ宇宙実験
結果
統合電力制御装置(PCDS)の開発と宇宙実証結果
次世代パドル駆動装置(APDM)の開発と宇宙実証結果
無調整化TTCトランスポンダ(ATTC)の開発と宇宙実証結果
オンボードコンピュータ(OBC)の開発と宇宙実証結果
スターセンサ統合型衛星制御装置の開発と宇宙実証結果
リチウムイオンバッテリ(LIB)の開発と宇宙実証結果
光ファイバージャイロ慣性基準装置(FOIRU)の開発と宇宙実証結
果
環境計測装置(EMSS)による宇宙環境計測結果
実証衛星2号機の開発
リチウムイオン電池実験システム(LIBA)の開発
データマネージメント装置(ADMS)の開発
自律フォールトトレラント計算機(CRAFT)の開発
リモートターミナル実験装置(PPRTU)の開発
高性能データ圧縮装置(HPDC)の開発
先進測位実験システム(APE)の開発
先進衛星構体実験装置(ASM)の開発
磁気軸受ホイール実験装置(MBW)の開発
粗太陽センサの軌道上試験結果における地球干渉評価
73 平成17年3月(予定) 宇宙環境信頼性実証システム(SERVIS)の開発と軌道上実証
74 平成17年9月(予定)
発表先
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
著者(機関)
USEF
USEF
USEF
USEF
MELCO
IA
口頭
○
○
○
○
○
○
論文
○
○
○
○
○
○
第48回宇宙科学技術連合講演会
NTSpace
○
○
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
NTSpace
NTSpace
NTSpace
MHI
MELCO
MELCO
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
第48回宇宙科学技術連合講演会
MPC
○
○
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
第48回宇宙科学技術連合講演会
Optics Japan 2004
電子情報通信学会和文論文集B
投稿:H16年5月
USEF
MELCO
IA
IA
NTSpace
NTSpace
MHI
MELCO
MELCO
MPC
MELCO
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
傾斜磁極磁気軸受ホイールの開発(第1報:磁気軸受制御系設計と 日本機会学会誌論文集(C編)
投稿:H16年7月
センサ・磁極面歪の補正)
92
USEF
○
MELCO
○
表 5-2
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
新聞発表(報道)リスト(1/2)
年 月 日
記 事 タ イ ト ル
平成11年10月19日 低コスト実証衛星プロ CALSを本格適用 VI手法の確立を目指す
平成11年11月18日 放射線に耐える下 民生部品を宇宙で応用 衛星を打上げ耐久性を試験
平成11年11月25日 民生用部品利用した衛星 三菱電機2基受注
平成11年11月25日 低コスト実証衛星 三菱電機が受注 民生部品転用 ビジネス用途にらむ
平成12年1月19日 人工衛星仮想組み立て 開発支援システム構築へ 工数3割削減目指す
平成12年2月3日 低コスト実証衛星 搭載実験機器11種決定 耐放射線地上テスト開始
平成12年12月4日 衛星仮想組み立て実現 設計コスト5割削減 USEFがシステム 来年度にも実用化
平成13年7月24日 低コスト衛星打ち上げ 民生用電子部品を転用 来年度にも経産省実施
平成14年3月13日 汎用部品採用 コスト引き下げ 人工衛星の姿勢制御装置を拡販 三菱電機
平成15年7月3日 宇宙実証衛星1号機 10月打ち上げ NEDO市販部品をテスト
平成15年7月3日 実証試験衛星10月打ち上げ 無人宇宙実験機構
平成15年7月3日 NEDO 市販電子部品など使用 宇宙実証衛星10月に打ち上げ
平成15年7月3日 民生用部品を搭載 実験衛星打ち上げへ 経産省の外郭団体
平成15年7月3日 既製品耐久性分析で実験衛星打ち上げへ
平成15年7月5日 携帯部品 宇宙でも動くかな? 衛星コスト減へ 汎用品を試験
平成15年8月7日 民生部品で格安衛星 国産「サービス1」完成 欧米追撃へ新作戦
平成15年8月7日 民生部品の評価指針作成/衛星バスは低価格化へ USEF 宇宙実証衛星1号機SERVIS-1を報道公開
平成15年10月20日 コスト低い宇宙技術確立、経産省、衛星打ち上げ
平成15年10月20日 コスト低い宇宙技術確立 民生部品の性能などデータベース化
平成15年10月22日 民間主導ロケット「GX」2007年に初の衛星打ち上げ
平成15年10月29日 宇宙実証衛星1号機 きょうロシアで打ち上げ
平成15年10月29日 <宇宙実証衛星>大気状態不良のため打ち上げ延期
平成15年10月30日 経産省外郭団体 宇宙実証衛星打ち上げへ
平成15年10月31日 電子部品使えるか 実証衛星打ち上げ
平成15年10月31日 日本の宇宙実証衛星 ロシアで打ち上げ成功
平成15年10月31日 経産省が開発した実証衛星打ち上げ ロシアのロケットで
平成15年10月31日 電子部品使えるか 実証衛星打ち上げ
平成15年10月31日 民生用電子部品の放射線耐久度を調査 経産省実証衛星打ち上げ
平成15年10月31日 日本の宇宙実証衛星ロシアから打ち上げ
93
報 道 機 関 名
日刊工業新聞
日経産業新聞
日本経済新聞
日刊工業新聞
日経産業新聞
日刊工業新聞
日刊工業新聞
産経新聞
日刊工業新聞
日刊工業新聞
日経産業新聞
日本工業新聞
日本経済新聞
毎日新聞
讀賣新聞(夕刊)
讀賣新聞
航空通信(日本航空新聞社)
日本経済新聞
日本経済新聞
讀賣新聞(夕刊)
日刊工業新聞
Yahoo News
愛媛新聞
asahi.com
日本経済新聞
讀賣新聞
朝日新聞
産経新聞
毎日新聞
表 5-2
No.
30
31
32
33
34
35
36
37
新聞発表(報道)リスト(2/2)
年 月 日
記 事 タ イ ト ル
平成15年10月31日 宇宙実証衛星打ち上げ、経産省外郭団体 露のロケットを使用
平成15年10月31日 実証衛星を打上げ 経産省の外郭団体 部品、技術転用に期待
平成15年10月31日 宇宙実証衛星打ち上げ成功=ロシアのロケットで 経産省系団体
平成15年10月31日 経産省で宇宙実証衛星、ロシアで打ち上げ軌道投入
平成15年11月5日 低価格衛星の開発を指導する金井 宏さん
平成15年11月7日 国産衛星の競争力向上へ、汎用部品採用でコスト3分の1に
平成15年11月21日 宇宙CALS全面稼働へ、USEF画面上で衛星を組み立て
平成16年1月19日 民生品の宇宙利用 射程に、実証衛星で可能性確認
94
報 道 機 関 名
中国新聞
静岡新聞
Yahoo News
Yomiuri Online
讀賣新聞
日刊工業新聞
日刊工業新聞
日経産業新聞
表 5.3
本研究開発で出願された特許リスト
特許出願名称:液体用タンク
出願国:日本
出願日 :20010518
出願番号 :P2001-149482
出願人 :今井良二 、有馬克朗、山田啓介、北村真弓(IHI)
95
【別冊】(非公開)
別冊-1
民生部品評価試験条件書
別冊-2
民生部品・民生技術データベース(例)
別冊-3
実証衛星 1 号機搭載実験装置の概要
別冊-4
第1次民生部品・民生技術選定評価ガイドライン
別冊-5
第1次民生部品・民生技術適用設計ガイドライン
別冊-6
実証衛星 1 号機に搭載された実験装置の売込み状況
別冊-7
極限環境で使用する機器等の開発支援システムの詳細
【添付資料】
1.宇宙産業高度化基盤技術プログラム
2.プロジェクト基本計画
96
宇宙産業高度化基盤技術プログラム
∼
我が国宇宙産業の国際競争力強化
16FY( う ち 運 営 費 交 付 金 )
112.0億円(75.0億円)
∼
15FY( う ち 運 営 費 交 付 金 )
115.4億円(36.4億円)
目的
大きな技術波及効果を有し、国民の安全にも密接に関わるだけでなく、高度情報化社会の実現、地
球環境の保全等多様な社会ニーズに応える基盤となる宇宙産業の国際競争力の強化を図る。
目標・効果
我が国宇宙産業の国際競争力強化に向け、次世代の宇宙機器開発に向けた基盤技術(衛星の軽量
化・長寿命化技術、民生部品の宇宙転用技術、高度センサ技術、ロケット設計合理化技術等)及び宇
宙利用を促進するための基盤技術(無人宇宙実験技術、衛星画像データ処理・解析技術等)を確立す
る。これにより、我が国における宇宙開発利用の産業化を促進し、中長期的に拡大が見込まれている
(2001年:9.9兆円→2005年:14.2兆円)世界の宇宙産業において、我が国宇宙産業
の規模拡大を図る。
【主要プロジェクト】
施策パッケージのポイント
◎衛星系産業競争力向上基盤技術開発
①次世代衛星基盤技術開発プロジェクト(’03∼’07)
国際市場における我が国衛星メーカーの競争力強化を図るため、次世代の衛星技術として期待されて
いる準天頂衛星システムの構築に必要な基盤技術(産業競争力強化にも直結する衛星の軽量化・長寿命
化技術等)やエネルギー密度が極めて高い衛星搭載用リチウムイオンバッテリーの開発を行う。
16FY (15FY)
21.0億円(18.9億円)
②SERVISプロジェクト(’99∼’07)
衛星製造等の低コスト化、短納期化、高機能化を実現するため、衛星への転用の可能性を有する民生
用電子部品を選定するための地上試験を行い、試験データを知的基盤(データベース・ガイドライン
等)として整備するとともに、選定された民生部品の耐環境性能を宇宙環境で実証する。
16FY (15FY)
27.8億円(31.0億円)
③ASTER・PALSARプロジェクト(ASTER:’87∼’04,PALSAR:’93∼’09)
資源探査の能力を格段に向上した光学センサ(ASTER)及び合成開口レーダ(PALSAR)を
開発する。
16FY (15FY)
1.0億円(1.1億円)
◎輸送系産業競争力向上基盤技術開発
④次世代輸送系システム設計基盤技術開発プロジェクト(’01∼’05)
国際ロケット市場における我が国宇宙産業の競争力確保を図るため、ロケットを効率的に開発・運用
し、ロケットの開発や受注から打上までの期間を大幅に短縮するための基盤技術や、低コストで環境に優
しい液化天然ガス(LNG)を活用したエンジンを用いたロケットシステムを制御する機器開発に資する
基盤技術の開発を行う。
16FY (15FY)
33.5億円(23.7億円)
◎宇宙利用促進基盤技術開発
⑤USERSプロジェクト(’95∼’04)
宇宙実験の低コスト化を図ることが可能となる次世代型無人宇宙実験システム(USERS)を開発
するとともに、微小重力下で大型超電導材料の結晶成長実験を行い、同材料の地上における製造技術に
関する知見を得る。
16FY (15FY)
6.5億円(17.9億円)
⑥石油資源遠隔探知技術の研究開発(’81∼’09)
資源探査の能力を格段に向上した光学センサ(ASTER)及び合成開口レーダ(PALSAR)を
用いて取得した衛星画像データ処理・解析技術の開発を行う。
16FY (15FY)
22.2億円(22.8億円)
政策上の活用等のポイント
(研究開発成果の政策上の活用)
プロジェクトを通じて得られた基盤技術、データ(宇宙利用可能民生部品データベース、リモー
トセンシングデータ等)等について、成果報告会、データベースの一般公開、画像データの一般提
供等により、可能な限り速やかに社会に普及し、民間主導による実用化、新技術への応用を促進す
る。
(政策目標の実現に向けた環境整備)
・産業化を促進するための環境整備(政府による国産ロケットの優先使用等)に向けた関係府省及
機関との連携
・関係府省、機関及び企業をメンバーとする連絡会議を活用した産業化関連プロジェクトの推進
宇宙産業高度化基盤技術プログラム
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
政策目標
衛
宇宙環境信頼性実証プロジェクト(SERVIS)
星
NASA
との連携
●民生部品の活用により衛星の低コスト化を図るための基盤技術の開発
高度センサ技術の開発(ASTER)
文科省
との連携
衛星開発に必要な
技術力の強化
次世代衛星基盤技術開発プロジェクト
●準天頂衛星システムの構築に不可欠な基盤技術やエネルギー密度が極めて高
い衛星搭載用リチウムイオンバッテリーの開発。
●高分解能光学センサ(ASTER)の開発
●高分解能合成開口レーダ(PALSAR)の開発
ロケット
文科省との連携
次世代輸送系システム設計基盤技術開発プロジェクト
●ロケットを効率的に開発・運用するための基盤技術や、ロケットの制御系機器
の開発に資する基盤技術の開発
石油資源遠隔探知技術の研究開発
●ASTER及びPALSARによる地球観測データを処理・解析するための基盤技術の開発
環境整備
・産業化を促進するための環境整備(政府による国産ロケットの優先使用等)に向けた関係府省及び関係機関との連携
・関係府省、関係機関及び企業をメンバーとする連絡会議を活用した産業化関連プロジェクトの推進
総合科学技術会議(宇宙開発利用専門調査会)
産業構造審議会(航空機宇宙産業分科会宇宙産業委員会)
宇宙利用に必要な
技術力の強化
宇宙利用
無人宇宙実験システムの開発(USERS)
●宇宙実験の低コスト化を図ることが可能な無人宇宙実験システムの開発及び微
小重力下における大型超電導材料の製造実験
ロケット開発に必要な
技術力の強化
高度レーダ技術の開発(PALSAR)
国際競争力の強化による宇宙開発・利用の産業化
文科省、総務省、国交省
との連携
平成 16・02・03 産局第 9 号
平 成 1 6 年 2 月 3 日
宇宙産業高度化基盤技術プログラム基本計画
1.目的
大きな技術波及効果を有し、国民の安全にも密接に関わるだけでなく、高度情報化社会の
実現、地球環境の保全等多様な社会ニーズに応える基盤となる宇宙産業の国際競争力の強化
を図る。
2.政策的位置付け
宇宙分野は、科学技術基本計画(2001年3月30日閣議決定)における重点分野であ
る「フロンティア」分野に位置づけられていることに加え、その重要性にかんがみ、200
1年10月には総合科学技術会議に宇宙政策について調査審議する「宇宙開発利用専門調査
会」が設置され、2002年6月に「今後の宇宙開発利用に関する取組みの基本について」
が決定されている。本プログラムは、同報告書において示された宇宙開発利用の産業化及び
宇宙利用の戦略的拡大等の政策課題に対応するものである。
また、
「e−Japan戦略Ⅱ」
(2003年7月、IT戦略本部とりまとめ)における新
しいIT利活用戦略〔衛星測位システム(GPS等)の高度な活用と、準天頂衛星システム
等の測位システムや地理情報システム(GIS)の研究開発や整備を統合的に推進し、我が
国の国土空間における正確な位置を知ることができる環境の整備〕
、
「e−Japan重点計
画2003」(平成2003年8月、IT戦略本部とりまとめ)における重点政策5分野の1
つに対応するものである。加えて、
「産業発掘戦略−技術革新」(「経済財政運営と構造改革
に関する基本方針2002)2002年6月閣議決定」に基づき2002年12月取りまと
め)の情報家電・ブロードバンド・IT分野における戦略目標(GPS、準天頂システム、
GIS等を活用した自動車、列車、船舶等でのシームレスな通信・測位システム整備・確立、
ITSサービスの実用化、ITS関連市場の拡大及び衛星等による不法投棄監視技術の確立)
及び「環境・エネルギー分野」における戦略目標(技術のグリーン化)にも対応するもので
ある。
3.目標
我が国宇宙産業の国際競争力強化に向け、次世代の宇宙機器開発に向けた基盤技術(衛星
の軽量化・長寿命化技術、民生部品の宇宙転用技術、高度センサ技術、ロケット設計合理化
技術等)及び宇宙利用を促進するための基盤技術(無人宇宙実験技術、衛星画像データ処理・
解析技術等)を確立する。これにより、我が国における宇宙開発利用の産業化を促進し、中
長期的に拡大が見込まれている(2001年:9.9兆円→2005年:14.2兆円)世
界の宇宙産業において、我が国宇宙産業の規模拡大を図る。
4.研究開発内容
[プロジェクト]
Ⅰ.衛星系産業競争力向上基盤技術開発
(1)次世代衛星基盤技術開発プロジェクト(フォーカス21:準天頂衛星システムの開発
を含む)(運営費交付金)
①概要
国際商業市場における我が国衛星メーカーの競争力を強化するべく、次世代の衛星技
術として期待されている、準天頂衛星システム※(移動中の利用者等に対し、米国が運用
するGPSとの補完による高精度な位置情報と高品質の移動体用コンテンツ・サービス
の提供を可能にする新システム)の構築に不可欠な基盤技術(産業競争力強化にも直結
する衛星の軽量化、長寿命化に関する技術等)及び拡大傾向にある商用衛星の電力消費
への対応を可能にする、エネルギー密度が極めて高い衛星搭載用リチウムイオンバッテ
リーの開発に不可欠な基盤技術の開発を行う。本プロジェクトの一部については、他部
門と比較して需要増加の割合が高い運輸部門のエネルギー消費を抑制すべく、航空機、
自動車、高速車両等の輸送機器の軽量化・効率化にも資する複合材料製造設計及び次世
代型高密度エネルギーリチウム電池開発のための基盤技術を確立するためのものであり、
エネルギー需給構造の高度化を図る観点から行うものである。
※ 静止軌道と一定の角度をなす傾斜軌道に複数の衛星を配置し、見かけ上、常に天頂付近に最低1つの衛
星を位置させるシステム。
②技術目標及び達成時期
2007年度までに、準天頂衛星システムの構築に不可欠な基盤技術(産業競争力強
化にも直結する衛星の軽量化、長寿命化に関する技術等)及びエネルギー密度が極めて
高い衛星搭載用リチウムイオンバッテリーを開発するために不可欠な基盤技術の開発を
行う。
③研究開発期間
2003年度∼2007年度
④中間・事後評価の実施時期
中間評価を2005年度に、事後評価を2008年度に実施。
⑤実施形態
総務省、文部科学省及び国土交通省と連携しつつ、民間企業、大学、公的研究機関等
から、最適な研究体制を構築し実施。
(2)SERVISプロジェクト(運営費交付金)
①概要
我が国衛星製造の低コスト化、短納期化及び高機能化を実現するため、我が国産業が
有する優れた民生用電子部品について耐放射線試験、温度・振動等の地上試験を行い、
民生部品を衛星に転用するための知的基盤(データベース・ガイドライン)を整備する
とともに、地上試験によって選定された民生部品の耐環境性能を宇宙において実証する。
本プロジェクトの一部については、地中における複合的な極限環境(温度、衝撃、放射
線)を加速的に模擬できる唯一の環境である宇宙において耐環境性を有することが確認
できた民生部品を石油掘削装置にも適用することを目指すものであり、石油の生産及び
流通の合理化を図る観点から行うものである。
②技術目標及び達成時期
宇宙実証の結果を踏まえ、2007年度までに民生部品を衛星に転用するための知的
基盤を整備することにより、我が国における衛星製造等の低コスト化等を図る。
③研究開発期間
1999年度∼2007年度
④中間・事後評価の実施時期
中間評価を2004年度に、事後評価を2008年度に実施。
⑤実施形態
民間企業、大学、公的研究機関等から、最適な研究体制を構築し実施。
(3)ASTERプロジェクト
①概要
石油の生産及び流通の合理化を図る観点から行うものであり、石油及び可燃性天然ガ
ス資源の開発に資するため、資源探査能力を格段に向上した光学センサである資源探査
用将来型センサ(ASTER)の開発及び運用評価を行い、人工衛星から取得される画
像データを用いた石油・天然ガス資源の遠隔探知を行う技術を確立する。
②技術目標及び達成時期
ASTERの開発、画像データの取得及び評価を実施することにより、2004年度
までに、センサ技術の高度化(ポインティング機能の追加、分解能の向上、熱センサの
搭載等)を図る。
③研究開発期間
1987年度∼2004年度
④中間・事後評価の実施時期
事後評価を2005年度に実施。
⑤実施形態
民間企業、大学、公的研究機関等から、最適な研究体制を構築し実施。
(4)PALSARプロジェクト
①概要
石油の生産及び流通の合理化を図る観点から行うものであり、石油及び可燃性天然ガ
ス資源の開発に資するため、資源探査能力を格段に向上した合成開口レーダである次世
代合成開口レーダ(PALSAR)の開発及び運用評価を行い、人工衛星から取得され
る画像データを用いた石油・天然ガス資源の遠隔探知を行う技術を確立する。
②技術目標及び達成時期
PALSARの開発、画像データの取得及び評価を実施することにより、2009年
度までに、レーダ技術の高度化(アンテナ指向の電子制御化、分解能の向上、多偏波観
測等)を図る。
③研究開発期間
1993年度∼2009年度
④中間・事後評価の実施時期
中間評価を2005年度に、事後評価を2010年度に実施。
⑤実施形態
文部科学省と連携しつつ、民間企業、大学、公的研究機関等から、最適な研究体制を
構築し実施。
Ⅱ.輸送系産業競争力向上基盤技術開発
(1)次世代輸送系システム設計基盤技術開発プロジェクト(運営費交付金)
①概要
国際ロケット市場における我が国宇宙産業の競争力確保を図るため、ロケットを効率
的に開発・運用し、ロケットの開発や受注から打上までの期間を大幅に短縮する基盤技
術開発や、低コストで環境に優しい液化天然ガス(LNG)を活用したエンジンを用い
たロケットシステムを制御するための制御系機器の開発に資する基盤技術開発を行う。
本プロジェクトの一部については、天然ガスの普及を図るために開発が期待されている
小型のLNG制御機器に必要な要素技術と共通の基盤技術を開発するものであり、エネ
ルギー需給構造の高度化を図る観点から行うものである。
②技術目標及び達成時期
2005年度までに、ロケット開発におけるシステム統合・設計基盤技術等を確立す
るとともに、自己診断・自律対応機能を有する超小型LNG制御系設備の導入基盤技術
を確立する。
③研究開発期間
2001年度∼2005年度
④中間・事後評価の実施時期
中間評価を2004年度に、事後評価を2006年度に実施。
⑤実施形態
文部科学省と強固に連携しつつ、民間企業、大学、公的研究機関等から、最適な研究
体制を構築し実施。
Ⅲ.宇宙利用促進基盤技術の開発
(1)USERSプロジェクト(運営費交付金)
①概要
宇宙実験の低コスト化を図ることが可能となる次世代型無人宇宙実験システムを開発
する。本プロジェクトの一部については、宇宙の微小重力環境を利用した大型高温超電
導材料の製造実験を実施し、大型高温超電導バルク材料の製造技術を早期に確立するこ
とにより、発電施設の利用の促進を図る観点から行うものである。
②技術目標及び達成時期
2002年度から2003年度にかけて実施する宇宙実験の結果を踏まえ、2004
年度までに宇宙実験の低コスト化を図るための知見を獲得するとともに、地上における
大型高温超電導材料の製造に係る知見を獲得する。
③研究開発期間
1995年度∼2004年度
④中間・事後評価の実施時期
中間評価を1998年度に、事後評価を2005年度に実施。
⑤実施形態
民間企業、大学、公的研究機関等から、最適な研究体制を構築し実施。
(2)石油資源遠隔探知技術の研究開発
①概要
石油の生産及び流通の合理化を図る観点から行うものであり、資源探査能力を格段に
向上した資源探査用将来型センサ(ASTER)及び次世代合成開口レーダ(PALS
AR)を用いた衛星画像データ処理・解析技術の開発を行い、人工衛星から取得される
画像データを用いた石油・天然ガス資源の遠隔探知を行う技術を確立する。
②技術目標及び達成時期
2009年度までに、我が国石油・天然ガス資源の安定供給のための高度リモートセ
ンシング技術の向上及び利用の拡大を図る。
③研究開発期間
1981年度∼2009年度
④中間・事後評価の実施時期
中間評価を2004年度に、事後評価を2010年度に実施。
⑤実施形態
民間企業、大学、公的研究機関等から、最適な研究体制を構築し実施。
5.研究開発の実施に当たっての留意事項
事業の全部又は一部について独立行政法人の運営費交付金により実施されるもの(事業
名に(運営費交付金)と記載したもの)は、運営費交付金の総額を算定する際に使用する
ものであることから、当該部分は、国の裁量によって実施されるものではなく、中期目標、
中期計画等に基づき当該独立行政法人の裁量によって実施されるものである。
[フォーカス21の成果の実用化の推進]
フォーカス21は、研究開発成果を迅速に事業に結び付け、産業競争力強化に直結させ
るため、次の要件の下で実施。
・技術的革新性により競争力を強化できること。
・研究開発成果を新たな製品・サービスに結びつける目途があること。
・比較的短期間で新たな市場が想定され、大きな成長と経済波及効果が期待できること。
・産業界も資金等の負担を行うことにより、市場化に向けた産業界の具体的な取組が示さ
れていること。
具体的には、成果の実用化に向け、実施者による以下のような取組を求める。
・次世代衛星基盤技術開発プロジェクトのうちフォーカス21分
次世代衛星基盤技術開発プロジェクトのうち、フォーカス21事業である準天頂衛星
システムの開発については、民間は、国の研究開発事業と同時並行的にビジネスプラン
に合わせた研究開発・製造を実施し、これらの成果を活用した事業化を推進する。なお、
適切な時期に、実用化・市場化状況等について検証する。
6.プログラムの期間、評価等
プログラムの期間は2003年度から2009年度までとし、プログラムの中間評価を2
008年度までに、事後評価を2010年度に行うとともに、研究開発以外のものについて
は2010年度に検証する。
また、中間評価を踏まえ、必要に応じ基本計画の内容の見直しを行う。
7.研究開発成果の政策上の活用
プロジェクトを通じて得られた基盤技術、データ(宇宙利用可能民生部品データベース、
リモートセンシングデータ等)等について、成果報告会、データベースの一般公開、画像デ
ータの一般提供等により、可能な限り速やかに社会に普及し、民間主導による実用化、新技
術への応用を促進する。
各プロジェクトで得られた成果のうち、標準化すべきものについては、適切な標準化活動
(国際規格(ISO/IEC)、日本工業規格(JIS)、その他国際的に認知された標準の提案等)
を実施する。
8.政策目標の実現に向けた環境整備
・産業化を促進するための環境整備(政府による国産ロケットの優先使用、民間能力の発揮
を促すため1社が全責任を持ってシステム全体を取りまとめるプライム契約方式の採用、
大型試験研究設備の利用等)に向けた関係府省及び機関との連携
・関係府省、機関及び企業をメンバーとする連絡会議を活用した産業化関連プロジェクトの
推進(準天頂衛星システム開発・利用推進協議会等)
9.改訂履歴
(1)平成15年3月10日付け制定。
(2)平成16年2月3日付け制定。宇宙産業高度化基盤技術プログラム基本計画(平成1
5・03・07産局第13号)は、廃止。
P99001
(宇宙産業高度化基盤技術プログラム)
「宇宙等極限環境における電子部品等の利用に関する研究開発」プロジェクト基本計画
機械システム技術開発部
1.研究開発の目的・目標・内容
(1)研究開発の目的
大きな技術波及効果を有し、
国民の安全にも密接に関わるだけでなく、
高度情報化社会の実現、
地球環境の保全等多様な社会ニーズに応える基盤となる我が国宇宙産業の国際競争力の強化を図
るため、次世代の宇宙機器開発に向けた基盤技術及び宇宙利用を促進するための基盤技術を確立
することにより、我が国における宇宙利用の産業化を促進し宇宙産業の規模拡大を目指すことを
目標とする宇宙産業高度化基盤技術プログラムの一環として本プロジェクトを実施する。
宇宙、深部地中等、地上環境に比べ高温、高放射線等の過酷な環境(以下「極限環境」という。)
で使用する機器には、耐環境性の保証されたMIL規格の電子部品等(以下「MIL部品」という。)
が使用されている。しかし、MIL部品は、一般に商用部品として使用されている電子部品等(以下
「民生部品」という。)と比較し、高価でかつ長納期であるばかりでなく、2∼3世代古い部品
が使用されていることから大型、低機能であり、極限環境で使用する機器等の低コスト化、短納
期化、小型化、高機能化を妨げる要因となっている。その結果、宇宙開発においては人工衛星等
の長納期化及び高コスト化を引き起こしており、油田開発においては試掘から商用生産移行への
期間の長期化及び高コスト化の一因となっている。また、MIL規格が廃止を含めた見直しが行われ
ていることから、早急な対応策が望まれている。
かかる状況において、わが国が得意とする低コスト、短納期、小型、高機能の民生部品、並び
にその実装技術をはじめとする民生技術が極限環境に適用可能となれば、宇宙開発における人工
衛星等の低コスト化、短納期化、高機能化、また油田開発における低コスト、短期間での商用生
産移行が可能となる。しかし、現状の民生部品・民生技術は地上環境で使用することを目的とし
て開発されたものであり、極限環境での耐性は評価されていないのが実状である。
本研究開発においては、極限環境で使用する機器の低コスト化、短納期化等を目指し、わが国
の民生部品・民生技術について、地上での極限環境の模擬試験(以下「地上模擬試験」という。)
及び地中空間の複合的な極限環境の加速的な模擬環境ともなる宇宙での極限環境の実証試験(以
下「宇宙実証試験」という。)を行うことにより、極限環境で使用できる民生部品・民生技術の
選定技術、検証技術及び適用技術(データベース・ガイドライン等の知的基盤)の開発を行う。
また、極限環境で使用する機器及びその構成要素(以下「機器等」という。)開発の効率化を図
り、低コスト化、短納期化等を実現するための、仮想環境を用いた開発支援技術の開発を行う。
本技術の確立は、我が国衛星に係る基盤技術開発を通じた我が国宇宙産業の国際競争力強化に
資するとともに石油掘削装置にも適用する事により石油の生産及び流通の合理化に資する。
(2)研究開発の目標
宇宙実証の結果を踏まえ、平成19年度までに民生部品・民生技術を衛星に転用するための知
的基盤を整備することにより、我が国における衛星製造等の低コスト化等を図る。
1
(3)研究開発の内容
宇宙等極限環境における電子部品等の利用に関する研究開発に係わる以下の項目について、別
紙の研究開発計画に基づき研究開発を実施する。
①民生部品・民生技術の極限環境適用技術
②極限環境で使用する機器等の開発支援技術
2.研究開発の実施方式
(1)研究開発の実施体制
本研究開発は、基本計画に基づき独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「N
EDO技術開発機構」という。)によって選定される民間企業等(この民間企業から再委託され
た大学等研究開発実施者を含む。)(以下「委託先」という。)が主体となって行うものとし、
必要に応じて委託先と共同研究契約を締結した国立研究所等との共同研究を実施するものとする。
(2)研究開発の運営管理
研究開発調査全体の管理・執行に責任を有するNEDO技術開発機構は、経済産業省および研
究開発責任者と密接な関係を維持しつつ、プログラムの目的及び目標、並びに本研究開発の目的
及び目標に照らして適切な運営管理を実施する。具体的には、必要に応じて、NEDO技術開発
機構に設置する技術検討会等、外部有識者の意見を運営管理に反映させる他、四半期に一回程度
プロジェクトの進捗について報告を受けること等を行う。
3.研究開発の実施期間
本研究開発の期間は平成11年度から平成19年度までの9年間とする。
4.評価に関する事項
NEDO技術開発機構は、技術的及び政策的観点から、研究開発の意義、目標達成度、成果の
技術的意義ならびに将来の産業への波及効果等について、外部有識者による研究開発の中間評
価を平成16年度下期、事後評価を平成20年度に実施する。なお、評価の時期については、
当該研究開発に係る技術動向、政策動向や当該研究開発の進捗状況等に応じて、前倒しする等、
適宜見直すものとする。
5.その他の重要事項
(1)研究開発成果の取扱い
①研究開発成果の公開について
得られたデータベース、ガイドライン等の研究開発成果については、部品供給業者、ユーザ
ーにとって不利益とならないように、また産業政策的観点から我が国の産業界に貢献できる
方法を講じて公開するものとする。
②知的財産権の帰属
委託研究開発の成果に係る知的所有権については、「独立行政法人新エネルギー・産業技術
総合開発機構産業技術研究開発等業務方法書」第26の規定等に基づき、原則として、すべ
てを委託者に帰属させることとする。
2
(2)基本計画の変更
NEDO技術開発機構は、研究開発内容の妥当性を確保するため、社会・経済的状況、内外の
研究開発動向、政策動向、プログラム基本計画の変更、第三者の視点からの評価結果、研究開発
費の確保状況、当該研究開発の進捗状況等を総合的に勘案し、達成目標、実施期間、研究開発体
制等、基本計画の見直しを弾力的に行うものとする。
(3)根拠法
本プロジェクトは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構第15条第1項第2号
に基づき実施する。
6.基本計画の改訂履歴
(1)平成11年2月、通商産業省 機械情報産業局長によって制定。
(2)平成14年3月、省庁再編に伴う経済産業省とNEDOの役割分担の見直し、プログラム
/プロジェクト制度の導入を受けて、研究開発の目的、内容、目標を統一的に明記する等の
改訂。
(3)平成15年3月、宇宙実証衛星2号機の打上げ時期変更に伴う研究期間等の改定、経済産
業省宇宙産業高度化基盤技術プログラム基本計画(平成15年3月)の反映、中間評価に係る記
載等の追記、不明確な文言等の明確化、等。
(4)平成16年3月、NEDO独立行政法人化に伴う新規程等の反映。
3
(別紙)研究開発計画
研究開発項目①「民生部品・民生技術の極限環境適用技術」
1.研究開発の必要性
低軌道周回衛星を利用した通信ネットワーク構築等に見られるように、近年の宇宙商業利用活
動はめざましく、宇宙産業市場(民需)は急速に拡大しつつあり、衛星の高性能化等が期待され
ている。しかし、現在、衛星等に使用されている耐環境性の保証されたMIL部品は大型、低機能で
あり、高性能化等を妨げる要因となっている。
かかる状況に鑑み、本研究開発は、民生部品・民生技術を宇宙等の分野へ広範に適用し、宇宙
等極限環境で使用する機器等の低コスト、短納期、小型、高機能を実現可能とするための知的基
盤を提供することを目的とする。具体的には、民生部品・民生技術に対して、地上模擬試験及び
宇宙実証試験を実施し、極限環境で利用可能な民生部品・民生技術の選定技術、検証技術及び適
用技術の開発を行う。
2.研究開発の具体的内容
(1)地上模擬試験
MIL部品の置き換え等により大幅な低コスト化等が期待できる民生部品・民生技術を調査・検討
し、抽出する。抽出された民生部品・民生技術について、耐久試験、環境試験、放射線評価試験
等の地上模擬試験を実施し極限環境への適合性を評価する。地上模擬試験により取得した技術デ
ータは民生部品・民生技術データベースとして蓄積を図る。
(2)宇宙実証試験
民生部品・民生技術を宇宙極限環境で評価するための衛星搭載用の実験装置、及び衛星の打上
げから実証試験終了までの間に実験装置がさらされる、温度、放射線等の環境を計測する装置を
開発する。また、これらの装置を搭載する実証衛星を開発し、平成15年度(実証衛星1号機)
及び平成18年度(実証衛星2号機)に予定される打上げによって、宇宙実証試験を行う。この
試験では、低軌道の地球周回軌道において民生部品・民生技術の極限環境における技術データを
取得して適用性に関する分析評価を実施し、宇宙実証データとして蓄積する。
(3)ガイドライン策定
民生部品・民生技術データベース及び宇宙実証データ等に基づき、
適用対象とする製品の安定性
及び信頼性を考慮し、
極限環境に適用する民生部品・民生技術の選定技術及び検証技術を開発して
民生部品・民生技術選定評価ガイドラインを策定するとともに、民生部品・民生技術を極限環境で
使用する機器へ適用する際に必要とされる民生部品・民生技術の適用技術を開発して民生部品・民
生技術適用設計ガイドラインを策定する。
3.達成目標
(1)中間達成目標
実証衛星1号機による評価データ入手後、平成16年度上期末を目途として速やかに下記の目
標を達成すること。
民生部品・民生技術データベース及び実証衛星1号機による宇宙実証データ等に基づき、
第1次
の民生部品・民生技術選定評価ガイドラインと民生部品・民生技術適用設計ガイドラインを策定す
4
るとともに第1次の民生部品・民生技術データベースを構築する。ここにデータベースへの累積登
録品種数は180品種以上とし、
実証衛星1号機への民生部品・民生技術適用数は30品種以上と
する。
(2)事後達成目標
民生部品・民生技術データベース及び実証衛星1号機・2号機による宇宙実証データ等に基づき、
最終の民生部品・民生技術選定評価ガイドラインと民生部品・民生技術適用設計ガイドラインを策
定するとともに最終の民生部品・民生技術データベースを構築する。ここにデータベースへの累
積登録品種数は200品種以上とし、
実証衛星2号機への民生部品・民生技術適用数は30品種以
上とする。
5
研究開発項目②「極限環境で使用する機器等の開発支援技術」
1.研究開発の必要性
極限環境で使用する機器等の開発において、低コスト化、短納期化等を実現するためには、民
生部品・民生技術の適用による構成部品そのものの低コスト化、短納期化と同時に、これら部品
が組み合わされて使用されている機器等の設計、製造、試験等、開発プロセスの効率化が求めら
れ、そのための開発支援技術の開発が必要である。
2.研究開発の具体的内容
(1)設計情報交換技術の開発
極限環境で使用する機器の構成部品・構成要素の3次元設計情報を電子化し、電子化された設
計情報をコンピュータネットワークを通して交換するソフトウェアを開発する。
(2)設計情報統合技術の開発
電子化された3次元設計情報を統合し、コンピュータ上の仮想環境で機器等を組み立て、熱、
振動、構造等の解析ソフトウェアと組み合わせてネットワーク上で耐極限環境性をシミュレート
し、仮想環境で適正なシステムを構築するための技術を開発する。
(3)実証衛星開発への適用
(1)及び(2)の開発成果である開発支援システムを実証衛星開発に適用し、その有効
性を確認するとともに、必要に応じて改善を図る。
3.達成目標
(1)中間達成目標
平成12年度までに技術開発を完了し、実証衛星開発に適用して極限環境で使用する機器等の
設計の省力化、情報管理の迅速化、製造・試験期間の短縮化に関する効果を確認する。
(2)事後達成目標
実証衛星開発への適用結果に基づき、極限環境で使用する機器等の設計の省力化、情報管理
の迅速化、製造・試験期間の短縮化に関する効果を定量的に評価する。
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