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Vol 25 - 東京大学アイソトープ総合センター

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Vol 25 - 東京大学アイソトープ総合センター
I
SSN 09163328
東 京 大学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ンター
_ -
&
A
-
VOL.2
5 NO.
1 1
994.6.25
モ ロ ドフ ェ ロ の 坑 内 の 煽 煽
床
次
正
安
高 レベ ル 放 射 性 廃 棄 物 の 地 層 処 分 の 方 法 を検 討 す る為 に , ナ チ ュ ラル ア ナ ロ グの 研 究 が
欠 か せ な い 。 端 的 な ナ チ ュ ラル ア ナ ロ グで あ る天 然 原 子 炉 跡 は オ ク ロだ けで̀ あ ろ うが , 地
下 水 に よ る物 質 移 動 な どの 特 定 の 要 素 に 限 って の ナ チ ュ ラル ア ナ ロ グは幾 つ か 挙 げ られ る 。
1981-85年 度 を
こ科 研 費 の総 合 研 究 の 武 内寿 久 祢 班 で , 代 表 者 ご 自身 が オ ク ロに続 け て モ ロ
977
ドフ ェ ロの文献 を紹 介 され て いた。小 生 もサ ンパ ウ ロ大 学 の故 藤森 健 吉 先生 の お供 を して 1
年 以 降 数 回 そ の 周 辺 を うろ つ き, 山頂 に も 2度 登 って い る 。
サ ソパ ウ ロか ら約 200km 北 方 に海 抜 1300- 1
600m で 周 囲 よ りも600m も高 い 直 径 30km
余 りの 円形 の 高 原 が あ る 。 そ の北 端 に近 い と ころ に ポ ッ ソス ・デ ・カル ダ ス とい う温 泉 で
有 名 な観 光 都 市 が あ る の で , 高 原 もそ の 名 で 知 られ て い る。 周 囲 の 岩 石 は極 め て 古 い もの
で あ るが , 高 原 を作 る岩 石 は九 千 万 年 な い し六 千 万 年 前 の アル カ リや 稀 土 塀 元 素 ・放 射 性
元素こ富 む 珍 しい 火 成 岩 で あ る。
モ ロ ドフ ェ ロは , 高 原 の 中心 を
こ位 置 す る読 ん で 字 の 通 りの 鉄 (フ ェ ロ)の丘 (モ ロ)で あ る 。
10cm か ら 5m 巾 の磁 鉄 鉱 の 岩 脈 が縦 横 に走 って い るの だ が , 風 雨 で 侵 蝕 され て 散 らば っ
0cm の 深 さ まで か ち か ち の 「お こ し」 状 に くっつ い て 地 面 を
た 磁 鉄 鉱 が 表 面 近 くか ら数 1
40m も
覆 って い る の で , 周 辺 の 地 域 の岩 石 よ り侵 蝕 に 強 くて 傾 斜 は 緩 や か で あ るが 高 さ 1
の 小 山 と な って い る 。 山 頂 付 近 は樹 木 の 無 い 草 原 で 牛 が の ん び り立 った り座 った り草 を喰
935年 に磁 鉄 鉱 を採 掘 す る為 に鉱 区 権 を取 った 会 社 が そ の 当 時 に掘 った
ん だ り して い る 。1
953年
もの と思 わ れ る水 平 坑 道 が 山頂 か ら50m 程 下 に残 って い て 煽 幅 が住 み 着 い て 居 る。 1
に航 空 機 に よ る測 定 で こ こに放 射 能 の異 常 の あ る こ とが分 か り、 トリウムの鉱 床 が見 付 か っ
pm を越 え て い た か ら, 約 50F
L
Sv/時 , 1年 に 400mSvに な
た 。 地 表 で の γ線 強 度 が 5000c
る 。 坑 内 で 幾 世 代 も経 過 して い る偏 幅 の標 本 を調 べ る とい ろ い ろ と役 に立 つ で あ ろ うとの
藤 森 先 生 の ご示 唆 を我 国 の 専 門家 に伝 え て検 討 して 貰 った が 実 現 は して い な い 。
(
元 大 学 院 理 学 系 研 究 科 鉱 物 学 専 攻 ).
2
研究紹介
ムギ ネ酸 生 合成経 路 は ど こまで解 明 された か
森
敏
世 界 の2
5% 以 上 を 占 め る石 灰 質 アル カ リ土 壌 で は, 鉄 が 不 溶 態 の た め , 作 物 が鉄 欠 乏 症
と な り, 収 量 の 著 しい 低 下 を招 い て い る 。 と ころ が, オ オ ム ギ な どの イ ネ科 植 物 で は , 梶
か ら根 圏 に鉄 の天 然 キ レ一 夕-で あ るム ギ ネ酸 額 (
図 1の 2'
De
oxymugi
ne
i
cac
i
d,Mugi
ne
i
c
ac
i
d,3Hydr
oxymugi
ne
i
cac
i
d,3Epi
hydroxymugi
ne
i
cac
i
dな どの化 合 物 の総 称 )を分 泌
して , 不 溶 態 の鉄 を 可 溶 化 して く鉄 ・ム ギ ネ酸 〉の ま まの形 で 根 か ら吸 収 して い る ことが 高
城 成 一 氏 に よ り近 年 明 らか に され た 1
)
。 す な わ ち , 図 2の 2'
Deoxymugi
ne
i
cac
i
dの 3つ
の カル ボ キ シル 基 と 2つ の N と末 端 の OH基 が リガ ソ ドと な って 3価 の鉄 イ オ ソを抱 え た
986年 か ら この ム ギ ネ酸 辞 の 生 合 成 に 関 す る遺 伝 子 を
八 面 体 構 造 に な って い る O 筆 者 らは 1
ク ロー ニ ン グ して , 遺 伝 子 導 入 され た "
鉄 欠 乏 耐 性 イ ネ'
'な ど を創 成 す るた め に , まず こ
の 生 合 成 経 路 を確 定 す る研 究 に着 手 した 。 種 々 の ア ミノ酸 や 有 機 酸 を鉄 欠 乏 処 理 した オ オ
C
O
O
HC
O
O
O
H
C
O
O
H
C
O
O
HA
D
+H
_
チ
_
N
J
N
H
J
o
N
J
N
ゲ
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H
3
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K
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o
f
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m 4
2
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D
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o
x
y
m
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g
l
n
e
l
C
a
c
i
d
G
l
u
t
a
m
a
t
e
③
〔
2
0
x
o
g
l
u
t
a
r
a
t
e
+
P
L
P ・巨
ム ギ の 切 断 先 端 根 (5mm)に一 定 時 間 投 与 した の ち, そ の 7
0% ア ル コール抽 出液 を ア ミノ
酸 ア ナ ラ イ ザ ー と接 続 した ラジオ ア ナ ライ ザ ーで 分 析 す る と, カル ボ キ シル基 を標 識 した
C
O
N
A
D
HN
_
_
_
_
_
しノ
④
4
C
O
O
十
H
O
H
COOH
一
,
上
CO
十
Ni
c
ot
l
a
na
ml
ne
H
COO
C
O
O
HC
O
O
HC
4N
竹 ∧
OOH
人
H
Mugi
nei
cac
i
d
・
O
OC
r
vL
巨
SAdenos
yトLMet
h
i
oni
ne
(
SAM)
・T
c
C
O
O
H
H
3
C
S
-メ NH2
3
A:L
P
COOH
C H
OOH
H。竜
N+
oH
31
Hydr
ox
ymugi
ne
i
ca
c
i
d
3Epi
hydr
oxymugi
ne
i
ca
c
i
d
LMet
hi
oni
ne
図 1 室 者 らが提唱 して いるムギ ネ酸類 のオオ ムギ根 におけ る
生合成経路
VOL.2
5NO.11
994.6.25
1
4
C
o
o
H(
a
)
J
、
C
o
o
e
i
c
a
c
i
d
〆 ′√
Co
o
一
D
D 2・
-Deoxymugl
n
D
coo
(
ら)
図 2 各種 同位 体 を含有 す るメチオ ニ ソ(
a),(ち),
(
C
),(d),
(
e
)杏, それぞれ別 々に
前駆体 と して用 いて,鉄 欠乏条件下 の コムギ板 に吸収 させ,根 か ら分泌 され る
2'
De
oxymugi
ne
i
cac
i
dの どの元 素 の位 置 にそれ ぞれ の 同位体 が取 り込 まれ て
い るかを調 べた。一例 と して, ここに示 した 2'
De
oxymugi
ne
i
cac
i
dの構 造式
は化 合物 (
C
)か ら取 り込 まれ たDe
ut
e
r
i
um の分布 を示 した もので あ る.
(
1-1
4
C)メチオエ ソのみ が迅 速 を
エムギネ酸塀 に取 り込 まれた (
図 2(
a))2)。 その後 , Ni
c
ot
i
anami
ne
(
2'
Deoxymugi
ne
i
cac
i
d- の 中 間 体 。 図 1参 照 )- の 無 細 胞 系 の確 立 を行 い , 種 々 の 試 行
錯 誤 を経 て ,最 終 的 に 図 1の よ うな生 合成 系路 を提 案 した。す なわ ち, まず メチ オニ ンがATP
c
ot
i
anami
neが 出来 , そ れ
で 付 加 され て SAM と な り, つ ぎに SAM の 3分 子 重 合 の 結 果 Ni
が脱 ア ミノの 後 還 元 され て まず 2'
Deoxymugi
ne
i
cac
i
dが 出 来 る 。 この 2'の 位 置 が 水 酸 化
ne
i
cac
i
dとな り, この 3位 の 水 素 が 水 酸 化 され て 3Hydr
oxymugi
ne
i
cac
i
dま
され て M ugi
た は 3-Epi
hydr
oxymugi
ne
i
cac
i
dとな る とい うもの で あ る 3
)
。 そ の後 , Kawaie
tal.に よ
1-1
3
C)メチ オ ニ ンを投 与 した オ オ ム ギ根 分 泌 液 か ら精 製 され た 2'
Deoxymugi
ne
i
cac
i
d
り(
の(
2,
3',
3")の 3つ の カル ボ キ シル基 の Cが 等 し く 1
8
Cで 標 識 され て い る こ と が NM Rで 示
され た (図 2(
ち))4
)
。 また , M aandNomot
oに よ り(
3,
3,
4,
4,
D4
)メチ オ エ ソ か らの D が
2'
Deoxymugi
ne
i
cac
i
dの (
2",
1",
2'
,
1'
,
3,
4)の す べ て の 水 素 の 位 置 に取 り込 まれ て い る こ
とが 示 され た (図 2(
C))5
)
。 また , (1
5
N)メチ オ ニ ンの 1
5
Nも2'
De
oxymugi
ne
i
cac
i
dの 2つ
の N に取 り込 まれ て い た (図 2(
d) ) 。 これ らの結 果 は 筆 者 らの SAM の 3分 子 重 合 モ デ ル を
こよ り(
2D,
3,
3D2)メチ オ ニ ソを用 い た 場 合 ,
証 明す る もので あ る 。 と こ ろ が 、 馬 と野 本 か
この メチ オ ニ ソの 3位 の 2つ の D が 2'
De
oxymugi
ne
i
cac
i
dの (
2",
2',
3)の そ れ ぞ れ の 2つ
Deoxymugi
ne
i
caci
dの 想 定 され
の D に よ く取 り込 まれ る の に 対 して 2位 の 1つ の D が 2'
る(
3",
3'
,
2)の 位 置 に は ほ と ん ど取 り込 まれ な い こ とが , この 4月 の 日本 土 壌 肥 料 学 会 で
e))6
)
。 つ ま り, メチ オ エ ソ の 2位 の 水 素 が 飛 ん だ もの が 3つ 結 合 して
報 告 され た (図 2(
2'
Deoxymugi
ne
i
cac
i
dが 生 合 成 され る とい うの で あ る。 す で に 筆 者 らの グル ー プ は , 無
3
4
細 胞 系 で SAM を 基 質 と した Ni
c
ot
i
anami
neの 合 成 に 成 功 して お り(図 1参 照 ), この 酵 素
の部 分 精 製 も行 って い る7
)
。 この行 程 の前 の , メチオ エ ソが ATPと結 合 して SAM に な るSAM
合 成 酵 素 が 働 く過 程 で 2位 の 水 素 が 飛 ぶ とは 考 え に くい の で , この SAM が 3分 子 重 合 し
cot
i
anami
neが 合 成 され る過 程 が ワ ソス テ ップで あ る とい う筆 者 らの 提 案 に疑 問 が 呈
て Ni
せ られ た 。 この疑 問 に ど う答 え て い くか は 今 後 の課 題 の 一 つ で あ るO
(
農学部 農芸化学 科 )
引用文 献
1) TakagiS.,Nomot
oK.,Takemot
oT.(
1
984)J.Pl
antNut
r.,7,469477.
2)M or
iS.,Ni
s
hi
z
awaN・
K・(
1987)Pl
antCe
l
lPhys
i
o1.,28,1
0811092.
K.,Fus
hi
yaS.,Noz
oeS.,I
r
i
f
uneT.Mor
iS.(
1990)Pl
ant
3)Shoj
i
maS.,Ni
s
hi
zawaN.
Phys
i
01
.,93,1497-1503.
was
hi
t
aT.,Nomot
oK.(
1988)Te
t
r
ahedr
onLe
t
t.,
4)KawaiS.,I
t
ohK.,TakagiS.,I
29,10531
056.
5)M ad.
F.,NomotoK.(1993)Pl
antPhys
i
01
.,1
02,373378.
6) 馬 建 鋒 , 野 本 享 資 (
1994)日本 土 壌 肥 料 学 会 講 演 要 旨集 ,40,p.
62.
awaK.,Ni
s
hi
z
awaN.,Fus
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yaS.,Chi
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iS.(
1
9
94)Pl
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7)Hi
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hiK.,Kanaz
Soi
l,(印 刷 中 )
T0PICS
鉄板 の さび を指標 と した大気環境 のモニ タ リン グ
松
尾
基
之
鉄 は 我 々 の 生 活 環 境 の 中 で 最 も身 近 な 金 属 の一 つ で あ り, い ろ い ろ な構 造 物 の 材 料 と し
て 使 わ れ て い る 。 しか し, 鉄 は 放 置 して お くと さび て しまい , 特 に海 岸 地 域 で は 自動 車 の
車 体 な ど に す ぐに さび が 出 て しま うこ とは , 多 くの 人 の 知 る と ころで あ る 。 今 、表 面 を き
れ い に み が い た鉄 板 を屋 外 に つ る して お くと, 海 岸 地 域 で な くと もほ ん の 幾 日か で 表 面 の
光 沢 は 失 わ れ , さび始 め る。 この さび の 生 成 速 度 と さび の種 塀 ・量 な どか ら鉄 板 を つ る し
て お い た 場 所 の 大 気 環 境 を モ ニ タ リソ グす る こ とを試 み た 。
鉄 板 上 の さび を分 析 す る手 段 と して は メ スバ ウア -分 光 法 を用 い た 。 メ スバ ウア ー ス ペ
ク トロ メ ー ター は , 当 セ ン ター に お い て 長 年 に わ た って 共 同利 用 され て きた 装 置 な の で ,
この 分 光 法 を用 い れ ば 非 破 壊 で 試 料 中 の 鉄 の 状 態 分 析 が行 な え る こ と を御 存 知 の方 も多 い
.
24,N0.
2に紹 介 され て い
か も しれ な い (
最 近 , 新 型 の 装 置 が導 入 され , 当 ニ ュー ス の Vol
る)。 さび の 層 が十 分 に厚 く,1
0mg程 度 を 削 りと る こ とが で きれ ば , 通 常 の メ スバ ウア ー
ス ペ ク トル の 測 定 法 で あ る γ線 透 過 法 に よ り分 析 が 可 能 で あ る 。 しか し, この 方 法 で は鉄
板 を長 い 間 大 気 に 暴 露 せ ね ば な らず , 結 果 を得 るの が遅 くな って しま う。 そ こで 私 は , 敬
乱 電 子 メ ス バ ウア -分 光 法 を用 い て , さび を分 離 す る こ とな く鉄 板 全 体 を試 料 と して 測 定
す る こ と に した 。 この方 法 で は , メス バ ウア -共 鳴 に よ り γ線 を 吸 収 した 原 子 核 か ら放 出
され る 内 部 転 換 電 子 を検 出 して メ ス バ ウ ア ー ス ペ ク トル を測 定 す る 。 この 電 子 の鉄 板 内 に
お け る飛 程 は 数 百 nm な の で , わ ず か に 腐 食 反 応 が進 ん だ段 階 に お け る表 面 の 反 応 生 成 物
VOL.25NO.1 1994.6.25
5
ア -吸 収 ス ペ ク トル で , bは 散 乱 電 子 法
に よ る メ ス バ ウア -散 乱 ス ペ ク トル で あ
る 。 吸 収 ス ペ ク トル で は 金 属 鉄 の セ クス
6% )が 主 成 分 で , わ
テ ッ ト(
相 対 面 積 89.
ず か に 「鉄 さ び 」 の ダ ブ レ ッ ト(
相対面
i
C︰.
い
り
︰
。.
∼
∩..
:
.
4.
,
,'
・
く
5
州
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'
:
.
.
I
.
.:
..
.
に示 す 。 a は γ線 透 過 法 に よ る メ スバ ウ
∩ :い.,
ド
.
・
・
・
(
:
.:
:
.
;
.
mm)の メ ス バ ウ ア ー ス ペ ク トル を 図 1
0
0
0
ノ
9■
0
0
1
一
」
1 1
︻
択) ご J
cuご u一B^二二 品
豊 島 区池 袋 に設 置 し, 2週 間 大 気 に暴
露 した 鉄 板 (
20mm x20mm , 厚 さ 0.
1
⊃
U
を 分 析 す るの に有 効 な 手 段 と な る 。
●
t
ヽ
.
。
●
■
●
▼
●
■
●
●
■
●
・
I
I
J
f.
∼
1
0
0
0.
4% )が 見 られ る の に 対 し, 散 乱 ス
積1
ペ ク トル で は 鉄 さび の ダ ブ レ ッ トの み が
∩F
e
)
・
-9
-6
-3
0
3
6
9
VelocH y (mm/9)
観 測 され た 。 この こ とか ら, 散 乱 電 子 メ
図 1 豊 島区池袋 の大気腐食鉄板 の
メスバ ウアー スペ ク トル
a.吸収法
b.散乱 法
ス バ ウア -分 光 法 を用 い れ ば , 2週 間 程
度 の 暴 露 時 間 で も, さび の 分 析 が 可 能 で
あ る こ とが 明 らか とな った 。 さ らを
こ詳 し
い ス ペ ク トル の解 析 に よ り, この さ び は γFe
OOH及 び非 晶質 の オ キ シ水 酸 化 鉄 や 結 晶 性
の 悪 い 水 和 酸 化 鉄 よ り成 る こ とが わ か った 。
次 に , 南 関 東 地 方 の 十 数 地 点 で 鉄 板 を約 2週 間 大 気 に暴 露 し, 腐 食 表 面 に 生 成 した化 学
種 を メ スバ ウア -分 光 法 を
こよ り分 析 す る こ とに よ り, 鉄 板 の設 置 地 点 の 大 気 環 境 を モ ニ タ
リ ン グす る こ と を試 み た 。 各 地 点 の メス バ ウア ー ス ペ ク トル を見 る と, 地 域 に よ り鉄 さび
の 種 額 と量 は 大 き く異 な り, さび の量 が 少 な い 場 合 は 散 乱 電 子 ス ペ ク トル の み に さび が 検
出 され た 。 メ スバ ウア ー ス ペ ク トル の特 徴 か ら, 鉄 板 の さび方 を 次 の 3 タイ プ に分・
顕 した 。
Typel :さび の 層 が 最 も厚 く' γFe2
03を 含 む もの , Type2 :さ び 層 の 厚 さは 5′
∠
m程
度 で , γFe
OOHを 主 体 とす る もの , Type3 :さび の 層 は 200nm 以 下 で , γ-Fe
OOHや 非
晶 質 の オ キ シ水 酸 化 鉄 よ り成 る もの 。 これ らの さび が 見 られ た地 域 を地 図 上 に プ ロ ッ トす
る と (図 2), Typelが 海 岸 沿 い 及 び 自
動 車 交 通 の 影 響 を直 接 受 け る地 域 , Type
2が 都 市 域 , Type3が 郊 外 及 び 山 林 地
域 に対 応 す る こ とがわ か った 。
この よ うか
こ, 鉄 板 上 の さび の種 類 や さ
J
び方 を
こ地 域 差 が あ る こ と は , 大 気 中 の腐
食 性 ガ スや 降 水 中 の酸 な どの 地 域 に よ る
違 い を反 映 して い る と思 わ れ る。 実 際 に.
,
散 乱 電 子 メ ス バ ウア ー ス ペ ク トル に見 ら
れ た Fe3+の 相 対 面 積 は , 降 水 成 分 中 の
SO42 濃 度 と比 較 的 よい正 の相 関 が あ り,
鉄 板 表 面 の さび の形 成 に硫 酸 イ オ ソが 関
図 2 鉄板 の腐食 か ら見た地域分業頁
与 して い る可 能 性 を示 す 興 味 深 い結 果 も
得 られ て い る 。
(
教養 学 部化 学教 室 )
6
自己紹
介
深
揮
和
輝
教 育 学 部 よ り 4月 か らア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ 一 に 勤 務 とな り,
不 安 と緊 張 の 連 続 で す 。 こ こは 緑 も多 く小 さ な 自然 が と こ ろ ど こ ろ
に残 され て い ます 。 私 の住 んで い る三 鷹 市 は よ りい っそ う自然 が残 っ
て い る所 で あ り, 休 日な ど武 蔵 野 の面 影 を 求 め , 自然 道 な どを, ゆ っ
く り散 策 して 線 に 親 しん で お ります 。
体 を 動 か す こ と も好 きで (
下 手 の 横 好 で す が !)ス ポ ー ツ観 戦 や ,
酒 も好 きで 時 に は ギ ャ ン ブル もや ります 。 何 で も前 向 きに考 え て 生
き る こ とが 私 の 本 分 で は な い か と 自画 自賛 して お ります 。
思 い 起 こせ ば 、 十 数 年 前 一 度 研 修 で 当 セ ソ タ一 に お世 話 を
こな り, 興 味 本 位 で 楽 し く受 講
した こ と が 挺 え ります 。
R Iと い え ば 一 般 的 に怖 い , 危 険 と言 うイ メ ー ジ が あ ります が , 当 セ ソ タ - の 人 達 が 責
任 を 持 って 研 究 , 教 育 , 管 理 等 を 行 な って い る事 に安 心 感 を 覚 え ま した 。 これ か ら一 職 員
と して , セ ン タ ー を 理 解 し, よ りよ い 環 境 作 りの 一 端 を
こな れ ば と思 い ます 。 よ ろ し くお願
い い た します 。
(
会計掛長)
学
内
R
l
管
理
メ
モ
平 成 6年 度 新 規 放 射線 取扱 者
全 学 一 括 講 習会 の お知 らせ
遠
藤
正
志
新 規 に 放 射 線 や R Iを取 扱 う場 合 は , まず 所 属 部 局 の 事 務 又 は 管 理 室 に 「放 射 線 取 扱 者
登 録 申 請 書 」 を 提 出 し, 取 扱 開 始 前 に 健 康 診 断 を 受 診 し, 全 学 一 括 講 習 会 等 の R I教 育 訓
練 を 修 了 す る こ と が 必 要 で す 。 講 習 会 の 案 内 は ,「申請 書 」 の 提 出 者 に お送 りす る の で ,
必 ず 「申請 書 」 の提 出 手 続 きを 発 行 す る よ うに して 下 さい 。 また , 放 射 線 の 取 扱 内容 に 変
更 が あ った 場 合 も, 前 述 の 教 育 訓 練 が 必 要 と な る場 合 が あ ります の で , 速 や か に 「放 射 線
取 扱 者 変 更 届 」 の 提 出 を お 願 い し ます 。
今 年 度 の 各 講 習 会 を 下 記 の と お り開 催 い た します の で , ご周 知 下 さい 。
◎ R Iコ ー ス
第 57回
平 成 6年 5月 1
6日(月 ), 17日 (火 ), 18日(水 )
第 58回
5月 25日 (水 ), 26日 (木 ),27日(金 )
第 59回
7月 19日 (火 ), 20日 (水 ),21日(
木)
第 60回
9月 26日 (月 ), 27日(火 ),28日(水 )
第 61回
11月 28日 (月 ),30日 (火 ), 12月 1日 (
木)
実施済み
〟
VOL.25NO.1 1994.6.25
9:
00
第 1日
7
1
0:
00
放 射 性
同位 元 素
11:
00
放射線
の測 定
12:
00
1
3:
00
放 射 線 .休
の利 用
憩
人体
の影
響
1
4:
00
安
取
15:
00
全
扱
.
理
1
6:
0
法令
管
1
7:
00
実習 の
説 明
実 習 は 講 習 会 の 2 日 目 また は 3 日 目の い ず れ か 1 日.
◎ 英 語 R Iコ ー ス
第 4回
平 成 6年 11月 2
9日 (火 ),30日 (求 ), 12月 1日 (木 )
◎ Ⅹ線 コ ー ス
第4
4回
平 成 6年 5月 1
3日 (金 ) 実 施 済 み
第 45回
5月 24日 (火 )
第 46回
7月 15日 (金 )
〟
1
7
:
0
0
12月 14日 (水 )
第4
7回
1
3:
00
1
4:
0
0
人 体 - の影 響
15:
00
法 令 ・管 理
1
6:
00
Ⅹ線 とそ の応 用
安 全 管 理
時 間 割 は 変 更 す る場 合 が あ ります 。
◎ 診 療 放 射 線 コー ス
第 9回
平 成 6年 6月 1 日 (
水 ), 2 日 (
木 ), 3 日 (
金) 実施済み
第1
0回
6月 13日 (月 ), 1
4日 (火 ),15日 (水 )
〟
◎ 核 医 学 コー ス
第 6回
平 成 6年 6月 1日 (
水 ), 2 日 (
木 ), 3 日 (
金 ) 実 施済み
第 7回
6月 13日 (月 ), 1
4日 (火 ), 15日 (水 )
1
7:
30
第
第 2
1日
日
1
8:
30
安
測響
定
人全
体取
-扱の.
影
実
実
〟
1
9:
30
習
習
20:
*印 は核 医 学 コースの み, そ の他 は共 通
放 射 線 障害 防止 関係 法 令 の改正 の
主 要 点等 につ いて
平 成 6年 3月 1
8日付 け.
の 科 学 技 術 庁 原 子 力 安 全 局 放 射 線 安 全 課 長 か らの 通 知 に も あ りま
した よ うにリ 申 請 等 の 手 続 に 関 連 して 放 射 線 障 害 防 止 法 関 係 法 令 が 改 正 され ま した の で ,
そ の 主 要 な 点 に つ い て お 知 らせ します 。
1
申請 書 等 の A4判 化
放射 線障害防 止法 を
こ係 る 申 請 ・届 出 用 紙 の 大 き さ は , 規 則 別 記 様 式 に よ り, 様 式 別 に B
4, B5又 は A4と規 定 され て い た が , 平 成 6年 4月 1日か らA4判 に 統 一 さ れ た .
な お , 申請 ・届 出 等 を
こつ い て は , 規 則 別 記 様 式 に 基 づ き, ワ ー プ ロ等 で 作 成 して も よい 。
2 放 射 線 障 害 防 止法 施 行 規 則 の改 正
平 成 6年 2月 2
0日を も って , 次 の よ うか
こ改 正 され た 。
(
1) 申請 書 等 の 提 出 部 数 の 削 減 (
表参照)
放 射 性 同位 元 素 等 の 使 用 の承 認 (
変 更 承 認 )に 係 る 申請 書 の 提 出 部 数 及 び 使 用 場 所 の 一
時 的 変 更 届 の 提 出 部 数 が 削 減 され た 。
8
表
放 射緑 障害防 止法 におけ る提 出部数 の削減
許認可事項
根 拠 法 令(
様式 )
旧提 出部 数
改正後提 出部数
使 用 の 承 認
法 3粂 第 1項 (
様式 1) 正 1通
副 4通
正 1通
副 3通*
変 更 の 承 認
法1
0粂 第 2項 (
様式 4) 正 1通
副 4通
正 1通
副 3通*
*告示 で定 め る次 の場 合は副本 4通 とす る。
学 内で は,
・学 校 教 育 法 (
昭 和 22年 法 律 第 26号 )に よ る学 校 の 設 置 す る病 院 又 は診 療 所 (
医 学 部 附 属 病 院 本 院 , 同分 院 , 及 び 医 科 学 研 究 所 附 属 病 院 が該 当 す る)0
な お , 学 内 で の提 出部 数 は , さ らに文 部 省 用 , 学 内決 済 用 に 計 2部 が必 要 に な ります 。
(
2) 変 更 の 承 認 を 要 しな い 軽 微 な 変 更 の 事 案 の 追 加
放 射 線 発 生 装 置 の 最 大 出 力 (申請 書 上 「性 能 」 又 は 「使 用 の 方 法 」 の欄 に 記 載 され て
い る最 大 出 力 )の 減 少 を 行 う際 の 手 続 きが , 軽 微 な変 更 に係 る変 更 届 とな った 。
「最 大 出 力 の減 少 」 とみ な され る変 更 とは , 申請 書 の 「性 能 」 又 は 「使 用 の方 法 」 の
欄か
こ記 載 され た 出 力 (
最 大 放 射 線 出 力 , 最 大 加 速 エ ネ ル ギ ー値 , 最 大 加 速 電 流 値 (
最大加
速 粒 子 数 を 含 む )等 )が減 少 す る変 更 を い う。
な お , 最 大 放 射 線 出 力 の減 少 とは , 加 速 エ ネ ル ギ 一億 又 は 加 速 電 流 値 の減 少 を
こ伴 う出
力 減 少 を い い , ど ち らか 一 方 が 増 加 す る場 合 は 該 当 しな い 。
(
3) 手 数 料 の 改 正
平 成 6年 4月 4 日か ら, 施 設 ・定 期 検 査 を
こ係 る手 数 料 が 次 の と お り改 正 され ま した 。
大 規模 事 業所
493,
100円
中規 模 事 業 所
328,
700円
小規模事 業所
234,
800円
変 更 申請 に係 わ る もの
234,
800円
な お , 通 知 に は 法 令 改 正 とは別 に次 の 注 意 事 項 に つ い て 記 載 され て い るの で 併 せ て 挙 げ
て お く。
1
申請 等 の 時 期 を
こつ い て の注 意 点
(
1) 申請 の 時 期
① 「承 認 使 用 に係 る変 更 の承 認 申請 」 等 の 申請 を行 う場 合 に は , 一 般 的 に 申請 を受 理 し
て か ら承 認 され る まで 数 カ月 を 要 す るの で , 変 更 の 予 定 年 月 日か ら十 分 な 余 裕 を も っ
て 申請 す る こ と 。
⑧上記 (
丑の 申請 を 行 う場 合 に , 当該 事 業 所 が 病 院 等 の 医 療 機 関 で あ り, か つ , 放 射 線 障
害 防 止 法 に よ る手 続 き以 外 に 医 療 法 に よ る手 続 きが 必 要 な場 合 に は , 必 ず 並 行 して 厚
生 省 に 対 して 医 療 法 に 基 づ く手 続 きを行 って お くこ と。
(
2) 届 出 の 時 期
(
∋変 更 の 承 認 を要 しな い 軽 微 な変 更 の 届 出 , 放 射 線 障 害 防 止 法 第 3条 の 2第 2項 に基 づ
く届 出使 用 に係 る変 更 の届 出 等 あ らか じめ 届 け 出 な け れ ば な らな い 届 出 を行 う場 合 に
は , 科 学 技 術 庁 に お い て 変 更 の予 定 年 月 日よ りも前 に届 出 が 受 理 され る よ ラ, 余 裕 を
も って 届 出 を行 う こ と。
(
勤承 認 使 用 に 係 る氏 名 等 の変 更 の届 出 , 放 射 線 取 扱 主 任 者 の選 任 ・解 任 の 届 出等 , 変 更
して か ら30日以 内 に届 け 出 な け れ ば な らな い 届 出 を 行 う場 合 に も, 当該 期 限 に 対 し余
裕 を も って 届 出 を 行 うこ と 。
(ア イ ソ トー プ総 合 セ ン ター)
VOL.25NO.1 1994.6.25
9
● 共 同 利 用 の お 知 らせ
平 成 6年 度 共 同 利 用 計 画
第 Ⅰ期
平 成 6年 4月 1日∼ 7月 1
5日
第Ⅰ
Ⅰ期
平 成 6年 9月 5 日∼1
2月 16日
第Ⅰ
Ⅰ
Ⅰ
期
平 成 7年 1月 9 日 ∼ 3月 17日
平 成 6年 度 く通 年 ・ Ⅰ期 〉共 同 利 用 申 込 一 覧
山
谷 森
藤
工
伊
部
藤
学
部
吾 朗
部
各 種 細 胞 増 殖 因 子 に よ る細 胞 内 蛋 白 の 燐 酸 化
循 環 調 節 機 構 と臓 器 障 害 に 関 す る研 究
グル コ ー ス トラ ン ス ポ ー タ ー の 構 造 と機 能 お よ び 発 現 調 節
細 胞 成 長 因子 受 容 体 の ク ロー エ ソ グ
小 児 悪 性腫 癌 の分 子 生 物 学 的検 討
マ ウ ス 胎 盤 内 の Gr
owt
hHor
moneRe
l
e
as
i
ngHor
moneに
ト リチ ウ ム オ ー トラ ジ オ グ ラ フ ィを
こよ る金 属 材 料 中 の 水 素
の挙 動 解 析
美
機 能 材 料 の構 造 解 析
井 野 博
満
メ ス バ ウ ア ー 分 光 を 利 用 した 物 性 の 研 究
直
治
4
0
Ar-3
9
Ar法 を
こよ る岩 石 の 年 代 測 定
佳
孝
① 古 文 化 財 の放 射 化 分 析
② メ ス バ ウ ア - 分 光 法 の 無 機 化 学 ・考 古 学 - の 応 用
@ ラ ソ タ ノ イ ド トレー サ ー に よ る天 然 有 機 物 の 錯 生 成 の研 究
糖 タ ソバ ク質 の 構 造 と機 能 に 関 す る研 究
北
島
健
小
橋
浅 哉
豊
田 和
弘
ブ ラ ジル鉱 物 試 料 お よび バ イ カル 湖 堆 積 物 の地 球 化 学 的 研 究
蓑
輪
虞
極 低 温 熱 量 計 型 放 射 線 検 出 器 の 為 の ゲ ル マ ニ ウ ム サ ー ミス
タの 開 発
村
田
道
雄
海 洋 ポ リエ ー テ ル 毒 と ナ ト リウ ム チ ャ ン ネ ル の 相 互 作 用 の
解析
竹
中 麻
子
ラ ッ トイ ソ ス リソ様 成 長 因 子 Ⅰ(
I
GFⅠ
)に 関 す る研 究
森
敏
植 物 に お け る Feの 存 在 形 態
川 戸
佳
遺 伝 暗 合 の起 原
環 境 試 料 に 含 ま れ る放 射 性 核 種
ポ ジ トロニ ウ ム と気 体 分 子 の 相 互 利 用
田
秀 雄
松 尾
基 之
メ ス バ ウ ア -分 光 法 に よ る環 境 試 料 の 状 態 分 析
加 藤
将 夫
晴 乳 額 動 物 細 胞 に お け る物 質 透 過 の 解 節
八
学
磨
野 村 貴
兵 頭 俊 夫
薬
課
膜 分 離 法 に 関 す る研 究
浦 袋
養
究
T細 胞 に よ る調 節
了
杉 薬
部
学
哩
教
部
学
孝
免疫応 答の
ついて
都 留 稔
農
憲
之 知 子 司 子
岡 三 横
遠
俊
利 芳 網 欣 久
門 脇
I
:
:
コ
同
医
学
部
附属病院分院
学
研
取扱責任者
中
檎
部 部院
属
学 学醐
医 医附
所
運 動 中 及 び運 動 後 を
こお け る糖 代 謝
岡
一 郎
4
0
Ar-3
9
Ar法 に よ る岩 石 ・鉱 物 等 の 年 代 測 定
高 橋
春 男
天 然 放 射 性 元 素 の 分 布 に 関 す る研 究
宇宙線研究所
大 橋
英 雄
非 破 壊 微 量 元 素 分 析 法 の 改 良 に 関 す る研 究
原子核研究所
柴
先端科学技術
研 究 セ ン ター
満 測
地 震 研 究 所
兼
田 誠
一
邦 彦
6
3
Ni生 成 断 面 積 の 測 定
医 用 高 分 子 材 料 表 面 - の 血 奨 タ ソバ ク質 の 吸 着 過 程 の 免 疫
2重 標 識 法 を
こよ る解 析
1
0
所
属
取扱責任者
ア イ ソ トー プ
総 合 セ ン ター
井 尻
研
憲 一
究
課
題
ト リチ ウ ム生 物 効 果 実 験 と放 射 線 管 理
巻
出 義 紘
(
∋金 属 材 料 中 の 水 素 解 析
(
勤 ト リチ ウ ム と有 機 化 合 物 の 反 応
@ 固体 表 面 に於 シ
ナる硫 黄 化 合 物 の 反 応 速 度
④ 正 常 日本 人 の 環 境 中 の ト リチ ウ ム を
こよ る汚 染 の 研 究
⑤ 大 気 中 微 量 成 分 の 分 布 と挙 動
, 186
Re標 識 化 合 物 の 生 体 内 挙 動 に 関 す る研 究
⑥ 86Sr
森
岡 正
限 石 の 放 射 化 分・
析
名
●セ ンター 日誌
平 成 6年 3 月 18日
Ⅰ
Ⅰ
期 共 同利 用 終 了
平 成 5年 度 第 Ⅰ
4月 11日
共 同 利 用 ガ イ ダ ソ ス実 施
4月 11日
平 成 6年 度 第 Ⅰ期 共 同利 用 開 始
5月 11日
共 同利 用 ガ イ ダ ソ ス実 施
6月 6 日
共 同 利 用 ガ イ ダ ソ ス実 施
教 育 訓 練 の実 施
平 成 6年 5月 16日∼ 18日
第 57回 R Iコ ー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
5月 13日
4回 Ⅹ線 コー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
第4
5月 25日∼ 27日
第 58回 R Iコ ー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
5月 24日
第 45回 Ⅹ線 コ ー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
6月 1 日 ∼ 3 日
第 9回 診 療 放 射 線 コー ス, 第 6回 核 医 学 コー ス
6月 13日 ′
-15日
第 10回 診 療 放 射 線 コー ス , 第 7回 核 医 学 コー ス
平 成 6年 4月 11日, 1
2日
理学部生物学科動物学教室学生実 習
5月 11日
理学部地学科地質鉱物学教室学生実 習
5月 31日∼ 6月 9 日
農学 部 農 業 生 物 学 科 学 生実 習
6月 14日∼ 29日
工 学 部 シ ス テ ム量 子 工 学 科 学 生 実 習
●人事 消 息
○配置換 (
平 成 6年 4月 1 日) 会 計 掛 長
楠瀬
英二
(
医学部附属病院管理課用度第二掛長 )
○昇
任 (
平 成 6年 4月 1日) 会 計 掛 長
深揮
和輝 (
教 育学部会計掛主任)
○採
用 (
平 成 6年 6月 1日) 事 務 補 佐 員
大丸
聡子 (
業 務 掛 , 保 健 セ ソ タ- 出 向 )
西村
道子 (
庶 務 ・図 書 室 )
○退
職 (
平 成 6年 6月 1 日) 事 務 補 佐 員
佐藤
ツエ (
庶 務 ・図 書 室 )
〟
○客員研究員 (
平 成 6年 4 月 1 日∼ 7年 3月・
31日)
大橋
佐藤
瀧上
園雄 (
千葉大学薬学部)
純 (明治 大 学 理 工 学 部 )
豊 (
関東学 園大学法学部)
永井
尚生 (日本 大 学 文 理 学 部 )
本田
雅 裡 (日本 大 学 文 理 学 部 )
森川
尚威 (
相 模 中央 化 学研 究所 )
○受託研究員 (
平 成 6年 4 月 1 日∼ 7年 3月31日)
土屋
信 之 (コニ カ (
秩 )第 - 開 発 セ ソ タ - )
ll
VOL.25NO.1 1994.6.25
● 委 員会 だ よ り
○ セ ン タ ー ニ ュ ー ス編 集 委 員 会
8日 (水 )開 催
平 成 6年 5月 1
● 委 員会 名簿
○ ア イ ソ トー プ 総 合 セ ソ タ - 運 営 委 員 会 委 員 名 簿 (
平 成 5年 4月 1日∼ 平 成 7年 3月 31日)
部
局
官
職
氏
授
佐 々木
病
院
教
分
院
助教授
町
名
康
備
人
徹
田
工
教
授
官
理
教
授
☆富
永
負
助教授
☆中
西
友
子
夫
養
教
教
授
健
三
健
兵
頭
俊
莱
助教護
受
榎
本
武
美
医 科 研
助教授
中
村
義
一
良
一
思
研
教
授
山
本
分 生 研
教
授
☆鶴
尾
核
研
教
授
☆柴
田
徳
物 性 研
教
∃
受
毛
利
信
男
海 洋 研
助 教授
木
暮
-
啓
原 子 力 セ ソ タ-
助教∃
受
小佐 古
敏
荘
生
考
隆
保 健 セ ソ タ-
講
師
岡
崎
具
樹
ア イ ソ トー プ
教
授
☆巻
出
義
紘
医
教
授
☆青
木
芳
朗
平
委成
員長
5
6年
月
(
セ
4
7ン
月タ
1ー長
日付
日 )
☆ :幹 事 会 委 員
○ セ ン タ ー ニ ュ ー ス編 集 委 員 会 委 員 名 簿
[委
員](
◎ は委 員 長 )
一
郎
地 震 研 究 所 地 球 ダ イ ナ ミク ス 部 門 - - -- -・
・
(内線 5770)
薬
佳
孝
大 学 院 理 学 系 研 究 科 化 学 専 攻 --- - - ----(内線 43
47)
俊
夫
教養学部物理学
(
5454651
9)
(
54546133)
岡 袋 頭
◎
兼
兵
八
田
秀
雄
教養学部保健体 育
野
川
憲
夫
ア イ ソ トー プ 総 合 セ ソ タ - 放 管 部 門 -・
- - - (内線 2
878)
村
兼
治
〟
事 務 主 任 - - - - (内線 2895)
ミツ子
〟
庶 務 掛 -・
- - - - (内線 2883)
中
[幹
事]
鈴
木
12
東京 大学 7 イ ソ トー プ総合 セ ンター ニ ュー ス
目
次
巻 頭 言
モ ロ ドフ ェ ロの坑 内 の 煽 幅
床次
正安 - 1
研究紹 介
ム ギ ネ酸 生 合 成 経 路 は ど こ まで 解 明 され た か
森
敏- 2
TOPI
CS
鉄 板 の さび を指 標 と した 大 気 環 境 の モ ニ タ リン グ・
- - -- - --- --松 尾
基之- 4
自己紹 介
深滞
和輝 - 6
平 成 6年 度 新 規 放 射 線 取 扱 者 全 学 一 括 講 習 会 の お知 らせ --- ・
-・
- -遠 藤
正志 - 6
学 内 R l管 理 メモ
共 同利 用 の お し らせ
セ ソ タ - 日誌
人事消息
委員会 だ よ り
委員会 名簿
編 集 後記
ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ- ニ ュー ス も第 2
5巻 を数 え る こ と と な りま した 。 ア イ
ソ トー プ を利 用 した 様 々 な研 究 が生 き生 き と紹 介 され て きた よ うに思 い ます 。
昨 年 度 よ り編 集 委 員 と して い ろ い ろ な 分 野 の 先 生 方 の 玉 稿 を
こ接 す る こ と とな り
ま した 。 拝 読 させ て い た だ くた び を
こ, ア イ ソ トー プや 放 射 線 の利 用 が 最 先 端 の学
問 の 発 展 に大 き く貢 献 して い る との 想 い を新 た に い た しま した 。 ア イ ソ トー プ の
利 用 が 多 くの分 野 で 基 礎 的 か つ必 須 の実 験 手 法 と な って い る こ とが実 感 され ます 。
そ の 一 方 で は , ア イ ソ トー プ の 新 しい利 用 法 に つ い て の研 究 も進 め られ て お り,
広 い 領 域 で の応 用 に将 来 発 展 して い くこ とを予 感 させ ます 。 また , こ う した輝 か
しい 研 究 成 果 を 支 え る施 設 の 維 持 管 理 や ア イ ソ トー プ実 験 の教 育 に大 変 な ご苦 労
が あ る こ と も うか が わ れ ます 。
限 られ た紙 面 で は あ ります が , 最 先 端 の 研 究 が進 ん で 行 く息 吹 きの伝 わ る もの
と な れ ば と思 い ます 。
(
薬袋
東 京 大 学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ- ニ ュー ス VOL.2
5NO.1 1
99
4年 6月 25日発 行
〒 11
3 東 京 都 文 京 区 弥 生 2丁 目11番 1
6号
佳孝)
編 集 発 行 人 中村
兼治
東 京 大 学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ一 ・電 代 表 (
381
2)
2111 内 線 2881
I
SSN 091
63328
東京 大学 ア イ ソ トー プ総合セ ンター
VOL.
2
5 NO. 2 1994.9・25
当 た り前 の こ と だ け ど
清
水
誠
ア イ ソ トー プ総 合 セ ン タ ーの 井 尻 助 教 授 丹 精 の メ ダ カが 海 を越 え , さ らに 宇 宙 - と飛 び
立 ち, 実 験 に使 わ れ る とい うの は , 近 来 嬉 しい ニ ュー スで あ った 。 もち ろ ん , 国 際 的 な枠
組 み で の 共 同 の 仕 事 は 数 多 く, 取 り立 て て ニ ュ ー ス か
こな らな い もの に も重 要 な もの は た く
さ ん あ る。
今 更 国 際 協 力 が これ か らの 日本 に と って 重 要 だ な ど とい うこ とを述 べ るの は , 当 た り前
す ぎて 気 恥 ず か しい の だ が , 強 調 し過 ぎて 悪 い こ とは な い と思 うの で , や は り, この 問 題
に触 れ た い 。 これ を 改 め て 感 じさせ られ た の は , ロ シ ア (旧 ソ連 時 代 の もの を 含 め て )の 核
廃 棄 物 の海 洋 投 棄 問 題 で あ った 。
この と ころ報 道 も減 り, や や 落 ち着 い て い る が , 北 極 海 域 で 5か 所 , 極 東 海 域 で は 9か
所 で 廃 原 子 炉 を 含 む 核 廃 棄 物 が大 量 に海 洋 に 投 棄 され た こ とが 明 か に され た 当時 は , 推 定
投 棄 総 量 が 9京 2千 兆 ベ ク レル (この 数 値 の 信 頼 性 は 疑 問 で , か な り過 大 な 推 定 と考 え ら
れ るが )とベ ク レル 単 位 の せ い で 大 きな数 字 が報 じ られ た こ と もあ って , 大 騒 ぎ とな った 。
そ の後 また 日本 海 中
こ液 体 を 投 棄 した の が グ リー ン ピー ス を
こ発 見 され , 騒 ぎは さ らに大 き く
な った 。 日本 海 を含 め て 極 東 海 域 の場 合 は 燃 料 棒 入 りの 原 子 炉 の投 棄 は な い し, 放 射 能 量
か ら考 え て も広 範 囲 に 著 しい汚 染 を もた らす とは 考 え に くい し, 実 際 に これ まで の調 査 で
も, 新 た な調 査 で も フ ォー ル ア ウ ト以 外 の起 源 を示 唆 す る よ うな汚 染 は 見 つ か って い な い 。
しか し, 中 国 ・韓 国 ・台 湾 な ど原 子 力 エ ネ ル ギ ー に 頼 る国 は 多 い し, 今 後 も増 え る可 能
性 が高 い。 事 故 が起 きれ ば 国境 な ど関係 な い し, 水 は ど こにで も流 れ る。放 射 性 ア イ ソ トー
プ の使 用 ・管 理 も含 め て , 日本 の進 ん だ安 全 管 理 を周 辺 に広 げ て い くこ とは , 日本 の 義 務
で あ ろ う。 教 育 も含 め た 多 面 的 な 国 際 協 力 を セ ソ タ- も考 え て お く必 要 が あ るの で は な い
だ ろ うか 。
最 近 の ア イ ソ トー プ総 合 セ ン ター の 活 動 に つ い て , 勉 強 を怠 って い るの で , こ こで の 提
言 が 的 外 れ で あ るか も知 れ な い が , そ うで あ れ ば 幸 い で あ る 。
(
農学 部水産学科 )
2
研
究
紹
介
形状記憶合金 中の水素 の挙 動
浅
岡
照
夫
この 何 年 か , Ti
Ni形 状記 憶 合 金 に 関 す る研 究 を行 って い る 。 この材 料 に つ い て は 大 抵
の 人 が そ の名 前 を知 って いて , これ ほ ど名 の 通 った金 属 材 料 (
合 金 )は ス テ ソ レスや ジ ュ ラ
ル ミンの は か 余 りな い の で は な い か と思 わ れ る. 形 状 記 憶 合 金 が 一 般 に興 味 を持 た れ る理
由 は , そ の特 異 な挙 動 ば か りに よ るの で は な く, この挙 動 に 「
′
記 憶 」 とい う名 称 を付 け た
こ とが 大 きい の で は な か ろ うか 。 こ こで 合 金 に 「記 憶 」 され て い るの は , 結 晶 の構 造 で あ
る 。 人 間 の記 憶 作 用 と決 して 同 じで は な く, 熱 エ ネル ギ ー の 出 し入 れ に よ り同素 変 態 前 後
の 二 種 塀 の結 晶 構 造 の 間 を行 った り来 た りす るだ け で , た だ そ の 際 に大 きな変 形 を与 えて
も歪 を 残 さず (
永 久 変 形 して しまわ ず )に 回 復 させ る こ とが 出来 る とい うこ とで あ る 。 通 常
は この 回 復 力 を利 用 す るので あ るが , 繰 り返 し利 用 を して い る と次 第 を
こ回復 力 が 弱 くな っ
て くる 。 つ ま り 「記 憶 」 が少 しず つ あ や ふ や に な って , 元 の構 造 に 戻 る割 合 (
結 晶全 体 に
対 す る)が少 な くな りだ す 。 これ は 微 小 な永 久 変 形 が 少 しず つ 蓄 積 され て くるた め で あ り,
何 や ら身 に つ ま され る現 象 で あ る。
この 合 金 は 生 体 適 合 性 が良 く, 生 体 材 料 と して の利 用 が 広 く考 え られ て い る し, また海
洋 中 で あ る とか化 学 的 な環境 中 で 使 用 され る
こ と も, 温 度 を
こよ って 形 状 回 復 を コ ン トロー
直 接 手 を 下 しに くい 環 境 とい う意 味 で )有 望
と に この よ うな環 境 下 で は, 材 料 中 に少 量 で
を加 速 す る こ とが 分 か って きた (
図 1)。 前 記
れ で あ り, 材 料 中 に侵 入 した 水 素 は この 転 位
と反 応 して そ の 運 動 を容 易 に す る, す なわ ち
永 久 変 形 を し易 くす る と考 え られ て い る 。 水
素 に よ る金 属 材 料 の脆 化 , 劣 化 は か な り昔 か
ら問 題 に され て きた こ とで 今 更新 しい こ とで
皿直t範 )C
F擾 題 画室 dJL
な領 域 で 導 入 され た 転 位 と呼 ば れ る構 造 の ず
ロ
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o水素 チ ャー ジな
ロ
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の 微 小 な永 久 変 形を 引 き起 こす の は , 局 部 約
0
●
ロ
r' 1 」 7
は あ って も水素 が侵 入 し 「
記憶 の あや ふ や化 」
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,小 卜 ・
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で あ る と考 え られ る。 しか しな が ら困 った こ
Tト Ni
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ル で き る と い う点 か ら見 て (
す なわ ち人 間 が
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水素
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齢 .
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曾
は な い の だ が , 形 状 記 憶 合 金 の よ うに新 しい
材 料 で は未 だ あ ま り研 究 を され て こな か った 。
5
0
0
1
0
0
0
この 原 因 の一 つ は , 奇 妙 な あ るい は 言 って み
形状記憶サイ クル くり返 し数
れ ば 夢 の あ る特 性 を 追 う ことに精 力 が 集 中 を
図 1 TトNi
及びTi
Ni
CU合 金 の繰 り返 L
形状記憶サ イクル試験結果
形状 回復応 力に及 ぼす水素の影響
(
図 中 120A/m2は 当電 流 密 度 で 水 素
チ ャー ジを 1時間お こな った ことを示
す。矢 印は破断 した ことを示す。)
され て , 環 境 に よ る材 料 の劣 化 とい うど ち ら
か とい え ば 後 ろ 向 きの 問 題 が後 回 しに され て
きた こ と に あ る よ うに思 う。 そ して この 材 料
中 で の 水 素 の 挙 動 を 調 べ よ うとす る と, 必 ず
ぶ つ か る の が 検 出 手 段 の 問題 で あ る。
VOL.25NO.2 1994.9.25
3
ご承 知 の通 り, ほ と ん どの物 理 的 分・
析 装 置 は 水 素 を検 出 す る こ とが 出 来 な い 。 そ れ と と
もに, 量 的 な分・
折 が 可 能 で あ って も組 織 中 で の分 布 に 関 す る情 報 を 与 え うる手 段 は 通 常 の
方 法 で は , 無 い 。 そ こで ア イ ソ トー プ の トレー サ ー と して の 利 用 とい うこ と に 目を付 け.
,
ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ-で お世 話 に な って トリチ ウム を用 い た 金 属 材 料 の オ ー トラ ジオ
グ ラ フ ィー, な らび に侵 入 した 水 素 (トリチ ウム)の 時 間 的 経 過 に対 す る放 出 の 挙 動 を液 シ
ソを用 い て 測 定 す る方 法 を採 る こ と に した 。 どち ら もセ ン ター の森 川 尚威 先 生 , 野 川 憲 夫
技 官 , 田 口勇 先 生 (
現 民 族 博 )と協 力 して 発 展 させ られ て きた 技 術 で あ る 。 筆 者 も組 織 の比
較 的 簡 単 な鉄 系 材 料 の 高 分 解 能 オ ー トラ ジオ グ ラ フ ィー に 関 して は幾 ば くか の経 験 は あ る
が , 形 状 記 憶 合 金 に つ い て は非 常 に細 か い組 織 で あ る こ とか ら, 現 像 され た 銀 粒 子 自身 の
判 別 や そ の位 置 の判 別 が 分 解 能 との 関 係 か ら難 か しい 点 の あ る こ とを感 じて い る。 前 記 の
侵 入 水 素 は結 晶粒 界 の 局 部 的 領 域 に 集 ま って 塑 性 歪 を加 速 させ る こ と, また マ ル テ ンサ イ
トと呼 ば れ る組 織 の 界 面 の 動 きに は 余 り影 響 を与 え な い こ と等 が他 の 実 験 方 法 を用 い た結
果 か ら予 測 され て お り, 何 とか そ の 具 体 的 な証 拠 を見 た い もの と考 え て い る
。
一 方 も うひ とつ の , 材 料 中 に い った ん侵 入 した 水 素 が 室 温 また は 高 温 に保 た れ て い る間
を
こ材 料 中 か ら放 出 され て ゆ く挙 動 を 長 時 間 に わ た り測 定 す る方 法 か らは , い くつ か の有 用
な結 果 が 得 られ た 。 変 態 前 後 の低 温 相 と高 温 相 とで 侵 入 す る水 素 量 の違 い の あ る こ と, 表
面 被 膜 の違 い に よ りや は り侵 入 す る水 素 量 に違 い の あ る こ と, 水 素 の放 出 の 時 間 経 過 に パ
タ ー ンの あ る こ と, そ して 最 も重 要 な結 果 は 低 温 一 高 温 の サ イ クル を 与 え て 長 時 間 変 態 を
繰 り返 させ て も侵 入 した 水 素 は 完 全 に は抜 け き らず , あ る割 合 だ シ
ナ材 料 中 に と ど ま って い
る こ とで あ る (
図 2)。 これ らの結 果 か ら, 侵 入 す る水 素 の大 部 分 が 固溶 状 態 に と ど ま って ,
非 平 衡 的 に導 入 され た 場 合 に は ご く短 い 時 間 内 に 材 料 中 か ら抜 け て ゆ くこ と, 結 晶 中 で 転
位 と相 互作 用 す るの は これ らの 園溶 状 態 の水 素 及 び組 織 中 の欠 陥 に弱 く トラ ップ され て残 っ
て い る水 素 と考 え られ る こ と等 が 分・
か って きた 。 今後 さ らに他 の 測 定 手 段 と組 み 合 わ せ て ,
この 問 題 を も う少 し追 い か け た い と思 って い る.
と こ ろで 余 談 で あ るけ れ ど も, この よ うな 一 般 的 に は マ イ ナ ス と見 られ て い る水 素 に よ
る影 響 を プ ラ ス に考 え て , 何 か に利 用 出 来 な い もの で あ ろ うか 。 現 在 筆 者 の と ころで 考 え
Ni形 状 記 憶 合 金 が 外 部 か ら応 力 を 受 け る こ とに よ って 変 態 を 引 き起 こす
て い る の は , Ti
性質 (
応 力 誘 起 変 態 )と, 水 素 を 比 較 的 多
量 に 吸 収 しや す い 性 質 とを利 用 し, た と
え ば 水 素 に よ って 脆 性 亀 裂 を 発 生 しや す
5
亀 裂 の検 知 , 変 態 歪 に よ る亀 裂 先 端 の鈍
化 , ゲ ッター と して 水 素 を 集 め て 無 害 化
哨He召責
Ni粒 子 を分 散 させ て ,
い鉄 系 合 金 中 に Ti
す る こ と等 を組 み 合 わ せ , イ ソテ リジ ェ
ソ トな 材 料 と言 うに は お こ が ま しい が
「自己 修 復 型 」 の 材 料 を創 る とい うこ と
こも, ト リチ ウム を用
で あ る 。 この 場 合 か
い る オ ー トラ ジ オ グ ラ フ ィー が Ti
Ni粒
子 周 囲 の歪 場 で の 水 素 の 分 布 を 明 らか に
して くれ る こ とを期 待 して い る 。
放出時間 (×1
0
4
S)
図 2 Ti
Ni
形状記憶合金 の熱 サ イクル後 の
トリチ ウム放 出
(
生 産 技 術 研 究 所 研 究 員 ・東 京 電 摸 大 学 理 工 学 部 )
4
T0
PICS
メ ダカ宇 宙実 験 の報 告
井
尻
憲
一
宇 宙 で の メ ダ カの 交 尾 ・産 卵 ・誕 生 (
ふ化 )実 験 が成 功 し, は っ と して い る と こ ろで す 。
この 間 , セ ソ ターの 皆 様 に は御 迷 惑 を お か け した を
こもか か わ らず , 暖 か く見 守 って下 さ り,
5日間 , 向井 千 秋 さん が ス ペ ー ス シ ャ トル 内で
本 当 に感 謝 い た して お ります 。 宇 宙 滞 在 の 1
撮 影 して くれ た メ ダ カの 映 像 は ビデ オ テ ー プ 7時 間 余 に わ た って お り, そ の詳 細 な解 析 に
は 時 間 が か か ります 。 以 下 は 簡 単 な経 過 報 告 で す 。
1) 東 大 ア イ ソ トー プ総 合 セ ン ター の屋 上 で 育 て た 2
000匹 の メ ダ カを , 様 々 な選 抜 試 験 の
後3
00匹 に絞 り, 6月 初 め に ケ ネ デ ィス ペ ー ス セ ン ター (
KSC)
- 輸 送 した 。
2)
\KSCで は さ らを
こ同様 の 選 抜 試 験 を実 施 し, 最 終 的 に 4匹 の メ ダ カ (
雄 2匹 , 雌 2匹 )杏
シ ャ トル に搭 載 した 。
3) シ ャ トル は 定 刻 (日本 時 間 7月 9 日午 前 1時 43分 )に打 ち上 が り, 約 24時 間 後 に は産 卵
した 卵 3個 が 水 槽 内 に あ る と 向井 さん の 報 告 が あ った 。
4) 翌 日に は卵 が 1
0個 に増 え て い る こ とが 彼 女 か ら報 告 され た 。 メ ダ カは 交 尾 と産 卵 を 同
時を
こ行 うの で , 卵 の増 加 か ら メ ダ カが 宇 宙 で 交 尾 を行 って い る こ とは確 信 で きた 。 (
な お,
こ こで の 交 尾 とは 一 連 の産 卵 行 動 の 中 で , 雄 メ ダ カが 雌 を 背 び れ と尻 び れ を使 って 抱 き,
ひれ の刺 激 に よ って 雌 の腹 か ら卵 を 出 させ る と同時 に, 精 子 を か け受 精 させ る こ とを言 う。)
5) メ ダ カは 毎 朝 , 産 卵 行 動 を と るの で , 翌 日は ビデ オ カ メ ラを セ ッ トして も らい , 光 が
つ い て か らの行 動 を録 画 す る と と もに , リアル タイ ムで 画 像 を送 って も ら った 。 交 尾 シ ー
ソが 地 上 - 届 き, 感 激 した こ とを 覚 え て い る
。
6) 向井 さん か ら初 日に産 ん だ卵 に す で に 眼 が で きて い る との 報 告 を受 け , 発 生 が宇 宙 で
も正 常 か
こ進 んで い る こ と を確 信 した 。
7) 前 回 の ビデ オ撮 影 で は 産 卵 直 後 の 卵 の 様 子 が は っ き りとわ か らな か った の で , 再 び ビ
デ オ カ メ ラで 交 尾 シ ー ン と と もに, 産 卵 直 後 に雌 の腹 に つ い て い る卵 を ア ップで 撮 影 して
も ら った 。
8) メ ダ カの卵 は順 調 に発 生 を続 け て お り, そ ろそ ろ赤 ち ゃん メ ダ カの 誕 生 が 期 待 され た 。
た だ し水 を共 有 す る イ モ リの た め に 水温 を下 げ た た め , 宇 宙 滞 在 中 に ふ 化 が 実 現 で き るか ,
か な りの 不 安 が あ った 。 気 持 ち は 向井 さん も同 じで あ った ら し く, 毎 日ル ー ペ を持 って 来
て は 発 生 状 況 を 観 察 す るほ ど の 熱 の 入 れ よ うだ った 。
9) 12日 目, つ い に メ ダ カの ベ ビー を 見 つ け た 。 母 親 と一 緒 に泳 ぐ赤 ち ゃん メ ダ カの 映 像
は , ミ ッシ ョソの報 告 と して 全 米 に 流 され た 。
10) シ ャ トル は 1 日滞 在 期 間 を 延 期 し無 事 着 陸 。 共 同 研 究 者 の 江 口星 雄 さ ん (
東 大原 子 力
研 究 総 合 セ ソ タ- ), 水 野 利 恵 さん (当 セ ン ター )ら と と もに 着 陸 を 見 届 け た 後 , メ ダ カの
水 槽 が 出 て くる の を待 つ 。 水 槽 の 底 に沈 ん だ ま ま動 か な い 4匹 の メ ダ カを 見 て , 3人 と も
ま っ青 に な る。 ひ れ が 正 常 に 動 い て い る こ とを確 認 し, や っ と, 重 力 の重 さで メ ダ カが下
を
こ沈 ん で い る こ とが理 解 で きた . 一 匹 が , さ らに また 一 匹 が 泳 ぐ努 力 を す るの を 見 た 時 ,
初 め て 全 員 に 笑 顔 が戻 った 。
ll) 驚 きは 続 い た 。 宇 宙 で 誕 生 した 赤 ち ゃん メ ダ カは な ん と 8匹 に もな って い た 。 シ ャ ト
ル の 帰 還 が延 期 され た こ とが , さ らな る成 功 を もた ら した こ とに な る 。
VOL.25NO.2 1994.9.25
5
磨 )の 使 い 方 を 忘 れ て しま って
12) 宇 宙 か ら帰 って きた 親 メ ダ カ 4匹 は , 実 は 浮 きぶ くろ (
い た 。.
重 力 の な い宇 宙 で は角
票を使 う必 要 が 無 か った の で あ る 。 この た め 地 上 で は 水 槽 の底
に 沈 ん だ ま ま, 上 - あ が ろ うとす る が す ぐに 底 へ 落 ち る と い う, 滑 穫 な 動 き が 続 い た 。 こ
れ に反 し, 赤 ち ゃ ん メ ダ カは 地 上 で も正 常 に 泳 い で い た 。
13) 地 上 に 戻 って 4 日 目に は 親 メ ダ カは ほ ぼ 正 常 に 泳 げ る よ うに な り, 1週 間 後 つ ま り 7
月3
0日に 東 大 に 持 って 帰 った とた ん , 米 国 時 間 の 朝 に 両 方 の ペ ア が 産 卵 を 開 始 した 。 今 も
産 卵 は 続 い て い る。
東 大 に帰 ってか らの宇 宙 メダ カ と実験 グ ルー プお よび協 力者
(ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ- )
ア イ ソ トー プ と 分 離 膜
都
留
稔
了
分 離 機 能 性 膜 は , 海 水 の 淡 水 化 , 空 気 か らの 酸 素 濃 縮 , 半 導 体 の 洗 浄 に 用 い る超 純 水 の
製 造 な ど に 利 用 され て い るO 身 近 な 例 と して は 家 庭 用 浄 水 器 が あ げ られ , サ ブ ミク ロ ソ程
度 の 細 孔 を 有 す る 中 空 糸 状 の膜 が 入 って い る 。 数 nm∼1
00mm の 細 孔 径 を 有 す る限 外 渡 過
膜 は , 食 品 産 業 や 医 療 分 野 な ど に お い て , タ ンパ ク質 や 生 理 活 性 物 質 の 分 離 ・濃 縮 な どの
バ イ オ プ ロセ ス に 応 用 され つ つ あ る 。
気 体 か ら液 体 まで 様 々 な 物 質 を 対 象 とす る分 離 膜 の 研 究 を進 め る上 で , 特 に , 透 過 メ カ
ニ ズ ム を 研 究 す る場 合 , ラ ジ オ ア イ ソ トー プ法 は重 要 な 測 定 手 段 で あ る 。 例 え ば , 高 分 子
膜 中 の 水 や イ オ ソ交 換 膜 中 の カチ オ ンの 透 過 機 構 の 解 明 の た め に , ア イ ソ トー プ を トレー
サ ー とす る拡 散 係 数 の 測 定 は 非 常 に 有 力 な 手 段 と な って い る 。 一 方 , パ ラ ジ ウ ム膜 を 用 い
て 水 素 同位 体 の 分・
離 を 行 った 例 も あ り, 分 離 膜 と ア イ ソ トー プ に は 意 外 な 関 連 も あ る。
さて , ア イ ソ トー プ を 分 離 膜 - の タ ンパ ク質 吸 着 量 の 測 定 に 応 用 した 例 を 紹 介 す る。 限
外 源 過 膜 を バ イ オ プ ロセ ス - 応 用 す る場 合 の 大 きな 問 題 は , タ ンパ ク質 の 膜 - の 吸 着 で あ
る 。 吸 着 は 膜 表 面 あ るい は 細 孔 内 で 起 こ る と考 え られ て お り, 形 成 した 吸 着 相 に よ り膜 性
能 の 劣 化 が 起 こ る 。 吸 着 が 膜 性 能 に 与 え る影 響 を 定 量 的 に 明 らか に す るた め に , 吸 着 量 を
6
正 確 に 測 定 す る必 要 が あ った 。 測 定 法 に は , タ ンパ ク質 溶 液 に膜 を 浸 漬 し溶 液 濃 度 変 化 の
測 定 か ら間 接 的 に求 め る方 法 と, 膜 に 吸 着 した タ ソバ ク質 を何 らか の 手 段 で 直 接 測 定 す る
方 法 が 考 え られ る 。
まず 最 初 に, 溶 き
夜濃 度 の 変 化 に よ る吸 着 量 の測 定 を 開 始 し, 全 有 機 炭 素 測 定 に よ る タ ン
パ ク質 濃 度 の 測 定 を行 った 。 100ppm 程 度 以 上 の 測 定 は 可 能 で あ ったが , 低 濃 度 で の測 定
は 困 難 で あ った 。 最 近 で は , 微 量 タ ンパ ク質 の測 定 法 もか な り進 み , タ ソバ ク質 と鋼 イ オ
BCA法 )の よ うに 比 較 的 容 易 に微 量 測 定 (1ppm 程
ソ の錯 体 を利 用 した ビ シ ソ コエ ソ酸 法 (
皮 )が 可 能 と な って きて お り, 我 々 は BC
A法 を標 準 的 な タ ソバ ク質 の 測 定 法 と して 用 い て
い る。
しか し, 非 多 孔 性 フ ィル ム な どの よ うに外 部 濃 度 変 化 量 が 小 さい 場 合 や , 高 濃 度 タ ンパ
ク質 ラ
容液 の 吸 着 量 の よ うを
こ濃 度 変 化 量 が小 さい場 合 , 外 部 濃 度 変 化 か ら精 度 よ く吸 着 量 を
測 定 す る こ とは 困 難 で あ る 。 そ こで , ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ -で お世 話 に な りな が ら ラ
ジ オ ア イ ソ トー プ を用 い る測 定 法 を検 討 した 。 ア イ ソ トー プ法 で は , 極 め て 低 濃 度 の タ ソ
バ ク質 を 測 定 可 能 で あ るだ け で な く, 膜 に 吸 着 した タ ンパ ク質 を 直 接 比 較 的 容 易 に測 定 可
能 で あ る とい う特 徴 が あ る 。 直 接 測 定 法 で は , 膜 表 面 に 付 着 した 溶 液 を取 り除 い た後 に,
直 接 あ るい は 液 体 シ ソチ レ一 夕- を用 い て 測 定 を行 う。 2種 炉 の ラベ ル 牛 血 清 アル ブ ミソ
1
2
5
トBS
Aと 1
4
CBSAを 用 い , 種 々 の 素 材 の 膜 お よび フ ィル ム と タ ソバ ク質 濃 度 で 吸 着 量
Aと非 ラベ ルBS
Aの 吸 着 特
の 測 定 を行 った 結 果 , 意 外 な こ と が 明 らか に な った 。 ラベ ルBS
2BS
Aは 非 ラベ ルBS
Aよ りも多 く吸 着 す る こ とが 分 か った 。 吸 着
性 を 比 較 した と ころ, 1
年
の しや す さの 度 合 も材 料 を
こよ って 差 が あ り, セ ル ロー スで は 約 30倍 , ポ リエ チ レンで 約 5
倍 程 度 の 吸 着 性 を示 した 。BS
Aに は 本 来 存 在 しな い
1
2
5
Ⅰを化 学 的 に 結 合 させ た た め , タ ソ
バ ク質 の 1次 構 造 だ け・
で な く高 次 構 造 も変 化 し, オ リジ ナル の BS
Aとは 異 な る吸 着 特 性 を
4
CBS
Aの場 合 も, 非 ラベ ルBS
Aの約 3倍 程 度 吸 着 した 。
示 した もの と推 定 して い る 。1
現 在 で は , 膜 に 吸 着 した タ ソバ ク質 を ,膜 ご と酸 や ア ル カ リ加 水 分 解 しア ミノ酸 と した
後 に , ア ミノ酸 測 定 す る こ とで タ ソバ ク質 の定 量 法 の検 討 も行 って い るが , か な りの 時 間
と労 力 を 要 す る と こ ろ が 欠 点 で あ る 。 よ りよい測 定 法 が あ れ ば , お教 え願 い た い。
(
工 学 部 化 学 シ ス テ ム工 学 科 )
自
己
紹介
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大
丸
聡
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聾
6月 か ら勤 務 す る こ とに な りま した 大 丸 聡 子 で す 。 仕 事 の方 は保
健 セ ン ター で 行 な って お ります 。
3月 に学 生 生 活 を終 え, 一 転 して 社 会 人 と して の生 活 を ス ター ト
させ た わ け で す が , 働 くよ うに な って か ら, 毎 日が あ っ とい うま に
過 ぎて しま うよ うに感 じて い ます 。 限 られ た 自由 な 時 間 を大 切 に過
ご さ な くて は - と思 う今 日この 頃 で す 。
と こ ろで , 私 の趣 味 の 1つ に散 歩 が あ ります 。 東 京 大 学 は広 々 し
て 緑 も多 い の で , 歩 くに は な か な か 楽 しそ うな の で 気 に 入 って い ま
す 。 で も, 方 向音 痴 な の が 悩 み の タネ 。 地 図 を 片 手 に散 策 して み よ うと思 って い ます が,
7
VOL.25NO.2 1994.9.25
も し, 案 内 して もい い と お 思 い の 方 が い ら っ しゃい ま した ら, ど うぞ遠 慮 な く, 声 を か け
て 下 さい ね 。
陽 気 者 で す が マ イ ペ ー ス で 頑 張 ろ うと思 って い ます 。 これ か ら ど うぞ よ ろ し くお願 い致
します 。
(ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ-業 務 掛 ・保 健 セ ソ タ- 出 向)
西
村
道
子
今 年 の 3月 に工 学 部 物 理 工 学 科 を定 年 退 職 し, 毎 日が 日曜 日とな
りま した
。
初 め の うち は , ル ソル ソ気 分 で 専 業 主 婦 を満 喫 して い ま した が ,
2ケ 月 近 くな る と次 第 に 時 間 を持 て 余 す よ うに な り, ベ ラ ソ ダの 草
木 や 金 魚 を眺 め な が ら, 何 か しなけ れ ば , と思 って お りま した処 - ,
セ ソ タ- か ら就 職 の お話 が あ り, 6月 1日か ら週 2 日の 事 務 補 佐 員
と して 図 書 室 で 働 か せ て 頂 く事 に な りま した O 私 は 今 まで , い つ も
まわ りの 人 達 に恵 まれ て い て 何 とか過 して きた の で す が , 今 度 , 又 ,
家 庭 的 な 良 い 職 場 に 落 ち着 く事 が で き, 心 か ら感 謝 して お ります 。 年 令 だ け は , しっか り
重 ね て き ま した が , い つ まで た って も未 熟 な と ころ が い っぱ い あ り, 御 迷 惑 を お か け す る
事 が あ るか と存 じます が , よ ろ し く御 指 導 を お願 い い た します 。
(ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ-庶 務 掛 ・図書 室 )
● セ ンター 日誌
平 成 6年 7月 1
5日
平 成 6年 度 第 Ⅰ期 共 同利 用 終 了
9月 5 日
Ⅰ期 共 同利 用 開 始
平 成 6年 度 第 Ⅰ
9月 5 日
共 同利 用 ガ イ ダ ンス実 施
教 育 訓 練 の実 施
平 成 6年 6月 1日∼ 3 日
6月 1 日.
- 3日
第 9回診 療 放 射 線 コー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
第 6回核 医 学 コー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
(
該 当 者 な しの た め実 施 せ ず )
6月 13日∼15日
第1
0回診 療 放 射 線 コー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
6月 13日 ∼15日
第 7回核 医 学 コー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
7月 15日
第 46回 Ⅹ線 コー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
7月 1
9日∼21日
第 59回 R Iコー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
平 成 6年 9月 5 日∼ 16日
理 学部化学 科学 生実 習
● 人事 消 息
○ 退職 (
平 成 6年 6月 3
0日)
事務補佐 員
榊原
由加
● 委 員会 だ よ り
○ セ ン タ ー ニ ュ ー ス編 集 委 員 会
平 成 6年 7月 1
3日(
:
求)開 催
○ 運営 委 員会 (
第 75回 )
平 成 6年 7月 1
8日(月 )開 催
8
東京 大学 ア イソ トー プ総合 セ ンター ニ ュー ス
目
■次
巻 頭 言
当 た り前 の こ と だ シ
ナビ
清水
誠- 1
浅岡
照夫 - 2
メ ダ カ宇 宙 実 験 の 報 告
井尻
憲一 ・
-4
ア イ ソ トー プ と分 離 膜
都留
稔 7- 5
聡 子 ・西 村
道子 - 6
研究紹介
形 状 記憶 合 金 中 の水 素 の挙 動
TOPI
CS
自己紹 介
大丸
セ ン′タ 一 日
人事消息
委 員会 だ よ り
編集後記
セ ソ タ-を利 用 して 1
0年 , そ の間 お世 話 か
こな るば か りで した が, セ ン ター= ユ
ス編 集 委 員 と して 少 しは セ ン ター の お役 に た て る こ と に な りま した 。 以 前 は R I
施 設 の な い 部 局 に.
お りま した の で , セ ン タ ー を利 用 で き る こ とは 非 常 に あ りが た
い ことで した 。 さ らに セ ソ タ- で は 日常 的 な掃 除 , 定 期 床 清 掃 や 廃 棄 な どを や っ
て い た だ け る こ と も利 用 者 に は あ りが た い こ とで す 。 しか し学 内 で は 自分 の 部 局
の R I施 設 を使 う方 が 大 部 分 で す 。 そ の場 合 , セ ン ター の よ うに頼 れ る方 が い な
い の で , 各 人 が さ らに よ く注 意 して R I管 理 や 廃 棄 を しな け れ ば な りませ ん 。 セ
ソ タ-ニ ュー スが R I施 設 の 管理 運 営 の 一助 に もなれ ば 幸 い で す し, 今後 そ うい っ
た 関 係 の 情 報 を 多 く掲 載 して い くこ と も, セ ン ター ニ ュー ス の 方 向で あ ろ うと思
い ます 。 セ ン ター 出 身 の メ ダ カ が宇 宙 で 活 躍 す る, うれ しい ニ ュー ス の あ った夏
で した 。
(
八田
東 京 大 学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ - ニ ュ ー ス VOL.2
5NO.2 1
994年 9月 25日発 行
〒 11
3 東 京 都 文 京 区 弥 生 2丁 目 11番 16号
秀雄)
編 集 発 行 人 中村
兼治
東 京 大 学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ 一 ・電 代 表 (
3812)2111 内線 2881
I
SSN 09163328
東 京 大学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ンター
VOL.
2
5 NO. 3 1994.12.25
キ ュ ー リー 夫 人 と ニ ュ ー トン
小
嶋
稔
英 国王立協 会 は1
662年 に創 立 され , 今 日に 至 る まで 英 国 に留 ま らず 世 界 の 学 術 の進 展 に
も大 き な貢 献 を 為 して きて い る。協 会 の 初 期 の会 長 に は ア イ ザ ッ ク ・ニ ュー トン も名 を連
ね て い る。
嘗 て キ ュー リー夫 人 は この英 国 王 立 協 会 に招 か れ て 夫 人 の 発 見 に な る ラジ ウム に つ い て
講 演 依 頼 を 受 け て い る。 夫 人 は ポ ケ ッ トか ら素 手 で ラ ジ ウム を取 出 しテ ー ブル に置 き聴 衆
に示 しな が ら講 演 を行 った , と言 うこ とで あ る 。 先 年 王 立 協 会 を訪 れ た 際 , 案 内役 の女 性
は そ の 当 時 の テ ー ブル を示 し, 今 で もテ ー ブル か ら放 射 能 が微 か に検 出 され る, と説 明 し
て くれ た 。 キ ュ ー リー夫 人 の さ る伝 記 に.
よ る と, キ ュー リー夫 人 は 放 射 線 が 人 体 に危 険 で
あ る と言 う批 判 か
こ激 怒 した と言 うこ とで あ る 。 夫 ピエ ール と共 にリ ま さに血 の 涙 で 抽 出 し
た ラ ジ ウム を虎 の 子 の よ うに常 時 持 ち歩 い た と も言 わ れ る夫 人 に と り, 彼 ら夫 婦 愛 の 結 晶
を絵 に書 い た よ うな この ラ ジ ウ ム が か りそ め に も批 判 の対 象 に な るな ど, 一 切 我 慢 が な ら
な か った の か も しれ な い 。
英 国 王 立 協 会 の 入 口の ロ ビー に あ る ガ ラ ス の ケ ー ス に は ニ ュー トソの 髪 の 毛 が展 示 して
あ る。 つ い 近 年 墓 か ら取 り出 され た もの と言 うこ とで あ る。 この 髪 の 毛 の化 学 分 析 の結 果
は 大 変 シ ョ ッキ ン グな もの で あ った 。 極 め て 高 い 水 銀 含 有 量 が 兄 い だ され た せ い で あ る 。
ニ ュ ー トンは 後 年 錬 金 術 に熱 中 し, 狭 い 室 内 で 水 銀 を用 い 錬 金 に妻
疑 った の が そ の 原 因 と さ
こ追
れ て い る 。 事 実 , 晩 年 の ニ ュー トンは 国税 局 長 官 と して 税 金 徴 収 の た め 滞 納 者 を 自殺 を
い 詰 め る ほ どの 偏 執 ぶ りだ った と言 わ れ て い る
。
水 銀 中 毒 の典 型 的 な症 候 と され て い る。
私 達 の学 生 時 代 に は ご く普 通 に見 か け た 水 銀 拡 散 ポ ンプ が , 実 験 室 か ら姿 を 消 して 既 に
久 しい O また 危 険 な放 射 能 の実 験 も, 今 日の ア イ ソ トー プ セ ソ タ -で の 様 に , 専 門職 員 に
よ る行 き届 い た 管 理 の も とで 安 心 して 研 究 を 進 め られ る状 態 に な って きて い る 。 しか しさ
らに_
未 知 の領 域 に研 究 を進 め た 場 合 , 研 究 の 行 方 に どの よ うな危 険 が 待 って い るの か誰 に
も予 測 で きな い 。 ブ レー クス ル ー を狙 う研 究 者 の絶 え ず 心 す べ き事 で あ ろ う。
(
元理 学 部地 球 惑 星物理学教 室)
2
研
究
紹
介
シ ン クロ トロン放 射 を利 用 した核共鳴散乱 の研 究
菊
田
憧
志
メ ス バ ウア ー分 光 で よ く用 い られ る γ線 源 は 5
7
Co放 射 性 同 位 体 で あ るが , この線 源 は
全 方 位 に放 射 され るの で , 発 散 角 を絞 り平 行 度 の 高 い ビー ム を得 よ うとす る と強 度 が極 端
を
こ落 ち る 。 実 際 30mCiの線 源 で は 10 7srの 立 体 角 あ た り 1光 子 /秒 に す ぎな い 。 一 方 , 大
強 度 の シ ソ ク ロ トロ ン放 射 (
放 射 光 )を 用 い て , 5
7
Fe安 定 同位 体 が 3次 元 的 に 規 則 正 し く
配 列 した結 晶 に核 共 鳴 エ ネ ル ギ ー 14.
4ke
Vの Ⅹ線 を 回折 条 件 を 満 た して 入 射 させ る と, 核
共 鳴 ブ ラ ッグ散 乱 が生 じる。 これ か
こよ り核 第 1励 起 準 位 自然 幅 の 10倍 前 後 に広 が った 10-7e
V
程 度 の バ ン ド幅 の , よ く コ リメ ー トされ た 105光 子 /秒 程 度 の 強 さの 散 乱 線 が 得 られ る 。
した が って メ ス バ ウア -分 光 が 主 と して核 共 鳴 吸 収 ス ペ ク トル の 測 定 を
こ用 い られ るの V
L対
して , この核 共 鳴 散 乱 線 は指 向性 の 高 い ビー ム を 必 要 とす る回折 ・散 乱 実 験 に圧 倒 的 に有
利 で あ る。 な お Ⅹ線 を 分 光 す る場 合 , 結 晶 分 光 で は バ ソ ド幅 を 数 me
Vまで 狭 くす るの が
限 界 で あ る 。 核 共 鳴 散 乱 を用 い れ ば 〝e
Vか ら ne
V レベ ル の バ ソ ド幅 を もつ超 単 色 の散 乱 線
が 得 られ る 。
高 エ ネ ル ギ ー物 理 学 研 究 所 の ト リス タ ソ入 射 蓄 積 リン グ (
6.
5Ge
V)に 設 置 され た 光 増 強
器の ア ン ジ ュ レー タ - を用 い て 実 験 を 行 な った 。 ア ソ ジ ュ レ一 夕- か らの放 射 光 の 3次 の
高調波 が 5
7
Feの 核 共 鳴 エ ネ ル ギ ー に一 致 す る よ うに ア ソ ジ ュ レ- タ - の 磁 石 列 の 間 隔 が
調 整 され た 。 放 射 光 の パ ル ス間 隔 は 1・
2〝Sで あ る 。 図 1の 光 学 系 を用 い て 5
7
Feで 富化 した
ス リッ ト
図 1 放射 光 に よる核共 鳴ブ ラ ッグ散乱 を観測 するための実験配置 図
1
晶 に外 部 磁 場 を散 乱 面 内 で 結
っ
√
た もの で あ る 。 この場 合 , 結
40.
1
ブ ラ ッ グ角 の 位 置 で 測 定 され
l
X
ク トル が観 測 され た 。 図 2は
l
出器 を用 いて散 乱 の時 間 ス ペ
60
グ散 乱 を 起 こ さ せ た 。 1ns
の 高 時 間 分 解 能 を も つ Ⅹ線 検
(
点 上 /tか Lf)曝 無感
- マ タ イ ト結 晶 (
α-5
7
Fe203)
の(
777)面 か らの核 共 鳴 ブ ラ ッ
50
0
J
I
100
J
佃
I
鞠
I
200
I
..
I- Jl鍋 .
300
400 450
時間 (
ns
e
c
)
図2 5
7
Feで 富化 したヘ マ タ イ ト結 晶 か らの核 共 鳴ブ ラ ッグ
散乱
の時 間 スペ ク トル.時間の原点 が放射 光パ ルスの入射
晶 表 面 に平 行 を
こ印加 して い る
時 で,そのあ とに散 乱が減衰 Lなが ら続 く
ので , 5
7
Feの 核 準 位 の超 微 細
3
VOL.2
5NO.31
99
4.1
2.2
5
ビーム フラ ックス ・モニ ター
5
7Fe
箔
図 3 放射光 に よる核共鳴前方散 乱 を観測 す るための実験配 置図
構 造 に も と づ く 6個 の遷 移 の うち磁 気 量 子 数 の変 化 が Am - ± 1の 4個 が許 容 に な って い
る 。 この エ ネ ル ギ ー が ご くわ ず か に異 な る各 遷 移 か ら生 じる波 が 干 渉 しあ う こ とに よ る量
子 ビー トが 見 られ る 。 また 完 全 結 晶 で の 多 重 散 乱 に も とづ く動 力 学 的 な 回折 効 果 の た め に
散 乱 の 時 間 ス ペ ク トル に み られ る強 度 の減 衰 を
こお い て 見 か け の寿 命 が短 くな って い る . こ
れ は 回折 条 件 か らず れ る と孤 立 の共 鳴 核 の 寿 命 に近 づ く。 この核 共 鳴 散 乱 線 を 利 用 す る非
メ ス バ ウ ア -実 験 と して す で に Ⅹ線 位 相 光 学 的 な研 究 が 行 な わ れ て い るが , さ らに超 高 分
解 能 分 光 に よ る励 起 素 過 程 の 研 究 , Ⅹ線 幅 射 場 の 強 度 相 関 の 研 究 , Ⅹ線 の重 力 場 に よ る赤
方 偏 移 の 精 密 測 定 な どが将 来 的 に可 能 とな る 。 一 方 , メスバ ウア -実 験 と して は核 共 鳴 Ⅹ
線 光 学 ・核 物 性 の 研 究 が行 な わ れ て い るが , 磁 気 構 造 の解 析 や 結 晶構 造 解 析 に お け る位 相
決 定 も行 な う こ とが で き る 。
上 記 の 結 晶 に よ る核 共 鳴 ブ ラ ッグ散 乱 の ほ か に核 共 鳴 前 方 散 乱 に お い て も時 間 ス ペ ク ト
ル が 観 測 され た 。 この場 合 , 散 乱 角 が ゼ ロで あ るの で , 試 料 の結 晶 性 に よ らず に散 乱 波 の
位 相 が揃 う。 実 験 配 置 を 図 3に示 す 。 高 計 数 率 に よ る Ⅹ線 検 出器 の動 作 不 良 を 防 ぐた め に ,
入 射 Ⅹ線 の バ ン ド幅 を 高 エ ネル ギ ー分 解 能 の シ リ コ ン結 晶分 光 器 に よ って 8me
Vまで 絞 っ
7
Feで 富 化 した 厚 さ3.
82mg/c
m2の 鉄 箔 に 入 射 させ た O 図 4は核 共 鳴
た 。 そ の ビー ム を 5
前 方 散 乱 の 時 間 ス ペ ク トル で あ る 。 磁 場 が Ⅹ線 の 磁 場 ベ ク トル に平 行 に 印加 され て い るの
で 血n- 0の 2個 の 遷 移 が許 容 で あ って , 量 子 ビー トは 1つ だ シ
ナの 周 期 で 等 間 隔 に現 わ れ
て い る 。 包 絡 線 に は 箔 の厚 さの 効 果 が み られ る 。 この 測 定 法 は 時 間 領 域 で の メ ス バ ウア 分 光 で あ り, 従 来 の エ ネル ギ ∵領 域 の メ ス バ ウア -分 光 と相 補 的 な 関 係 に あ り, 超 微 細 相
互 作 用 を よ り高 精 度 で 解 析 す る こ と
-
1
0
0
1
研 究 と と もに そ の 特 性 を生 か した応
S
ー
鼓
_
O
坊k
gau
B
S
0
1
るの で , 従 来 の核 共 鳴 散 乱 の 基 礎 的
つ〟
0
1
本 )が こ こ数 年 で 順 次 利 用 を 開 始 す
3
鉄.
8
括2
mg′
c
ml
ー
1
3
3世 代 の 大 型 放 射 光 施 設 の ESRF
(
欧 州 ), APS(
米 国 )とSPr
i
ng8(日
g潔要 X
高 度 化 と相 侯 って 進 展 して きた 。 第
q:) .
2
核 共 鳴 散 乱 の 研 究 は放 射 光 光 源 の
ヽ
0
1
究 に.
適 して い る 。
4
0
1
分 光 や 動 的 過 程 の 時 間 発 展 な どの研
(
蚕 ⊥ /Lか
が で き る 。 高 圧 下 で の メ スバ ウア -
5
0 0 50
1
50
時間
250
350
450
(
ns
e
c
)
図4 5
7
Feで 富化 した鉄 箔 か らの核 共 鳴前 方 散 乱 の
時 間 スペ ク トル.時 間の原点 が放射光 パ ルスの入
(
工 学部物理 工学 科 )
射 時 で ,そのあ とに散乱が減衰 しなが ら続 く
用 研 究 が 盛 ん に な る と期 待 され る 。
4
琵琶湖 湖 底 堆積 物 の化学 分析 と過去 の気候 変動
豊
田
和
弘
昨 年 は ひ さぴ さの 多 雨 冷 夏 で 東 北 日本 の稲 作 は 大 不 作 だ った の に 比 べ て , 今 年 の 夏 は 猛
暑 で 特 に 西 日本 は 記 録 的 な少 雨 の た め に琵 琶 湖 の 水 位 は 1メー トル も下 が りま した 。 過 去
の 歴 史 を振 り返 って も九 世 紀 か ら十 三 世 紀 の 間 は地 球 規 模 で 今 よ りも気 候 が温 暖 で あ った
た め に , この 時 代 西 日本 の ま だ潅 漑 施 設 を もた な か った 人 々 は た び た び 干 ば つ に 苦 しん だ
とい い ます 。 一 方 天 明大 飢 健 に代 表 され る よ うに , 比 較 的 寒 冷 だ った十 七 世 紀 か ら戦 前 ま
で の 期 間 に は 東 北 地 方 の 人 々 は た び た び 冷 夏 に 見 舞 わ れ ま した 。 近 年 地 球 の温 暖 化 が地 球
環 境 に お け る大 きな 国 際 問 題 に な って い ます が , 今 か ら百 万 年 は ど前 か ら氷 河 時 代 とな り
ほ ぼ 十 万 年 周 期 で 氷 期 と間 氷 期 を繰 り返 して き ま した の で , 長 期 的 に み て 自然 状 態 な らば
次 の 氷 期 の 到 来 は 必 至 で あ り, む しろ人 間 活 動 に よ る温 暖 化 が か え って 次 の 氷 期 の 到 来 を
早 め る とい う説
1)
も あ ります 。
1
982-83年 に_
琵 琶 湖 の ほ ぼ 中央 部 の 水 深 6
8mの 地 点 (図 1)で 1
400mの ボ ー リン グ試 料 が
50m は 現 在 と 同 じ細 粒 の 粘 土 相 が 切 れ 目な く続 い て
採 取 され ま した 。 この地 点 の 最 上 部 2
0万 年 の連 続 した 堆 積 環 境 を保 存 して い る とい え ます 。 これ らの試 料 は学 際
いて ,過 去 約 5
的 な観 点 か ら種 々 の 分 析 が お こな わ れ , 第 四 紀 の 古 環 境 の 復 元 に 多 大 な 貢 献 を しま した 2)。
琵 琶 湖 湖 底 で の平 均 堆 積 速 度 は十 年 に数 mm な の で , 仮 に 多 方 面 か らの 分・
折 に 必 要 な量 の
m ごとか
こ一 つ の 試 料 を コア か ら採 取 した とす る と原 理 的 に は 百 年 ご との 細 か い 変 動 が
数c
0mお きの 分・
析値 です 。
測 定 で き ます 。 しか し, これ まで 報 告 され て い るの は 約 1
と こ ろで 降 水 量 の 変 化 は 気 温 の 変 動 と同様 に重 要 な 気 候 変 動 の要 素 で す 。 今 年 と昨 年 の
夏 を 振 り返 って み る と西 日本 で は温
暖 化 が 少 雨 を, 寒 冷 化 が 多 雨 を もた
らす よ うか
こみ え ます 。 しか し, 琵 琶
湖 の ボ ー リソ グ試 料 の 粒 度 分 析 3)に
よ る と, 寒 冷 な植 物 の 花 粉 の 多 い 層
で は 砂 の よ うな粗 い 粒 が 少 な く, 比
較 的 温 暖 な地 層 で は 粗 い 粒 が 多 く含
まれ る傾 向 が あ りま した 。 この こ と
か ら寒 冷 な 氷 期 に は 少 雨 で , 温 暖 な
間 氷 期 に は 多 雨 で あ る と考 え られ ま
す 。 粗 い 粒 は 通 常 湖 岸 で す ぐ沈 殿 し
て しまい ます が大 雨 が有 る と中央 部
まで 運 ば れ る と考 え れ ば , 粗 い粒 の
含 有 量 は 古 降 水 量 の 指 標 に な る とい
うわ け で す 。 先 は ど の話 とは 反 対 で
す が , 長 期 的 な気 候 変 動 と短 期 的 な
気 候 変 動 で は メ カ ニ ズ ム が違 い ます
し, 地 域 的 な 変 動 で あ る可 能 性 もあ
ります 。
図 1に大 文 字 の ア ル フ ァベ ッ トで
図 1 琵琶湖表層堆積物 の採取地点及び
1
40
0mボー リング コ7の振削地点
VOL.25NO.3 1994.12.25
5
位 置 を示 した 現 在 の 琵 琶 湖 表 層 堆 積
0- 12cm の 層 )の
初(
湖 底 表 面 か ら1
試 料 に つ い て 分 析 した と こ ろ , N ,
U,Cの よ うな 深 度 勾 配 が 急 な 地 点
以 外 は マ ソ ガ ソ と ア ル ミニ ウム の 比
と水 深 に つ い て 相 関 関 係 (
図 2)が得
られ ま した 4)。 ア ル ミニ ウ ム は 粘 土
の 主 成 分 な の に た い して , 水 中 か ら
粘 土 に 吸 着 す る マ ン ガ ソは そ の 含 有
80
I
5
d
5 6.
#
鴬
40
量 が 水 深 が深 い 所 の 試 料 中 に 多 い の
で す 。 ヒ素 の 濃 度 に も同様 な 関 係 が
あ り, ヒ素 が Ⅹppm とす る と, 水 深
(
m)ニ ー18.
5+4.
71Ⅹ-0.
045Ⅹ 2 と
い う検 量 線 が 引 け ます 5)。
0
1
.
1
,
5
2.
0
2.
5
3.
0
こ の よ うな相 関 関 係 を先 の ボ ー リ
ン グ最 上 層 試 料 の化 学 組 成 に 当 て は
0m お きの
め て 過 去 の 水 深 の変 化 を 1
デ ー タで 概 観 して み ます と, そ れ ま
Mn/AIx1
02
図 2 琵琶湖堆積物 中の マ ンガ ンとアル ミニ ウムの比
と試料採取地 点の水深 との関係
で 石 や 砂 が 堆 積 す る よ うな環 境 だ った の が , お そ ら く50万 年 前 ぐらい か ら急 に沈 降 して 水
深 40m ぐ らい に な り, 約 40万 年 前 か ら約 20万 年 前 まで 水 深 は増 加 して 80m に な ります 。 そ
0万 年 前 に は 50m に な ります が , 再 び 水 深 は や や 増 え て 今 の 70m ぐ
れ か ら少 し減 少 して 約 1
らい に な る と読 み 取 れ ます 。 現 在 行 って い る 1m お きの 中性 子 放 射 化 分 析 の デ ー タが 出 そ
ろ え ば も っ と確 か な 古 水 深 の変 動 が判 るで し ょ う。 た だ し, 茸 琶 湖 の場 合 , 瀬 田川 とい う
水 の 出 口が あ るの で 水 深 の変 動 は過 去 数 十 万 年 の 湿 潤 ・乾 燥 の変 化 とい うよ り採 掘 地 点 の
662年 , 琵 琶 湖 西 岸 の
構 造 的 な沈 降 速 度 の 変 動 を再 現 す るの に役 立 つ の か も しれ ませ ん 。1
活 断 層 の活 動 で マ グニ チ ュー ド7.
6程 度 の 琵 琶 湖 西 岸 地 震 が あ り, この 大 地 震 で 湖 岸 が広
範 囲 に 水 没 しま した 。 紀 元 前 1世 紀 の 弥 生 時 代 の遺 鏡 や そ れ 以 前 の縄 文 時 代 の 地 層 に も液
状 化 跡 が 発 見 され , 千 年 か ら二 千 年 程 度 の周 期 の 大 地 震 で 琵 琶 湖 は 沈 降 して きた と考 え ら
れ ます 。 茸 琶 湖 は現 在 3つ の堆 積 盆 か ら形 成 され , 北 の堆 積 盆 と先 の ボ ー リソ グ地 点 を 中
心 とす る ま ん 中 の堆 積 盆 は現 在 も沈 降 して い るの に た い し, 南 の堆 積 盆 (
南 湖 )は 沈 降 が 止
ま り, 既 に埋 ま りか か って い る とい わ れ て い ます 。 琵 琶 湖 の初 め の堆 積 盆 は数 百 年 前 に伊
賀 上 野 地 方 で 発 生 し, そ の後 次 々 と堆 積 盆 の 発 生 地 が北 上 して 今 の位 置 に来 た と され て い
ます 。 この北 上 は 日本列 島 の下 を沈 み込 んで い るプ レー トの動 き と関連 あ る と され , ひ ょっ
とす る と百 万 年 後 に は琵 琶 湖 は 若 狭 湾 とつ な が って い るか も しれ ませ ん 。
また , この よ うな化 学 組 成 と水 深 との相 関 関 係 に つ い て は 外 国 で も全 く報 告 され て い ま
せ ん O 琵 琶 湖 の よ うな 古 い年 代 を持 つ 巨大 湖 は 世 界 か
こは幾 つ もあ ります が , 湖 底 深 層 ボ ー
リン グ ・コア の 組 織 的 な研 究 は 始 ま った ば か りで す 。 例 えば ア フ リカ最 大 の湖 で あ る ビ ク
0m 高 か っ
トリア湖 は 高 原 上 の ゆ るや か な窪 み にた ま った湖 で す が, そ の湖 面 は現 在 よ りも9
た 時 期 が あ る こ とが湖 岸 地 形 か らわ か って い ます 。 これ は サ - ラ砂 漠 の あ る ア フ リカ北 部
は か つ て 湿 潤 だ った とい う証 拠 で す 。 この ビ ク ト リア湖 の表 層 堆 積 物 に つ い て も この よ う
な化 学 組 成 と水 深 に相 関 関 係 が あ れ ば , 現 在 の最 大 水 深 は 84m で あ るの に た い して , 今 よ
り90m も水 深 が 上 昇 した こ と もあ るわ け で す か ら, そ こで 掘 削 す れ ば た ぶ ん 明 瞭 な湖 水 深
の 変 動 曲線 す な わ ち東 ア フ リカの 湿 潤 乾 燥 の 詳 しい 変 動 デ ー タが 得 られ るは ず で す 。I
DE
6
AL計 画 とい う東 ア フ リカ各 地 の 巨 大 湖 湖 底 を 採 掘 す る計 画 も あ り, 興 味 深 く思 って い ま
す。
と こ ろで , 生 活 排 水 な どに よ る湖 の 富 栄 養 化 は 身 近 な環 境 問 題 の 一 つ で す 。 誕 生 した ば
か りの 湖 は 貧 栄 養 状 態 (
酸 化 状 態 )で も陸 上 か ら少 しず つ 有 磯 物 を含 ん だ土 壌 が 流 入 して埋
め 立 て るの で , 自然 状 態 で も緩 や か な 富 栄 養 化 (
還 元 化 )の進 行 は あ ります が , そ の他 の要
因 との 関 連 に つ い て は ほ とん ど研 究 され て い ませ ん 。 例 え ば 降 水 量 が増 え る と水 は濁 って
富 栄 養 化 が進 行 しそ うだ とい う こ とは 予 想 で き ます 。 そ うい えば 今 年 は少 雨 の 影 響 で 瀬 戸
内海 で 養 殖 して い る魚 が 小 型 に な った と新 聞 に載 って ま した 。 しか し乾 燥 地 域 で は 降 水 量
の増 大 は土 壌 の 流 出 を 防 ぐ樹 木 の繁 殖 を促 す た め , 気 候 変 動 と湖 の 栄 養 状 態 の長 期 的 な 関
係 は 反 対 に_
な る と も考 え られ ます 。 この よ うな天 然 状 態 で の 気 候 変 動 と湖 の化 学 状 態 の 関
係 は重 要 だ と思 い ます 。 この よ うな 自然 の し くみ が わ か らない と, 湖 の水 質 が少 しよ くな っ
て もそ れ が 人 的 汚 染 の減 少 を意 味 す るの か , 単 に気 候 変 動 の せ い な の か 区 別 出 来 な い か ら
で す 。 例 えば オ ー ス ト リアの研 究 者 は 中央 ア ル プ ス の 湖 の 湖 底 試 料 か ら気 温 が低 下 した と
きに酸 性 の湖 水 を好 む 珪 藻 塀 が 繁 殖 して い る, つ ま り酸 性 化 して い る こと を み い だ し, ど
く最 近 の北 欧 の湖 水 の酸 性 化 が 鈍 った よ うか
こい わ れ て い るの は , 酸 性 雨 の 量 が 減 少 した の
で は な く単 に温 暖 化 に よ る もの か も しれ な い と述 べ て い ます 6)。
さ き ほ どの 琵 琶 湖 の コ ア の最 上 部 250m の 分 析 で は , 温 暖 な 気 候 時 に珪 藻 の 化 石 が 多 い
よ うな傾 向 が 見 られ ます 。 す な わ ち 降 水 量 が 少 な い と推 定 され る氷 河 期 に は や は りよ り貧
栄 養 状 態 に あ った と い え るか も しれ ませ ん が , 傾 向 が は っ き り して い な い の で 現 在 の と こ
ろ断 定 で きて い ませ ん 7
)
。 陸 水 化 学 の 分 野 で は よ く堆 積 物 中 の 鉄 とマ ンガ ソの 含 有 量 の 比
が 湖 の 酸 化 還 元 状 態 の変 動 の指 標 と して 使 わ れ て い ます 。 富 栄 養 化 が 問題 に な って い る琵
400m コア試 料 の 大 まか な化 学
琶 湖 で す が , 戦 前 まで は 代 表 的 な 貧 栄 養 湖 で した 。 そ して 1
分 析 か ら数 十 万 年 間 貧 栄 養 湖 で あ り続 け て い た こ とが わ か りま した 。 さ らに 1
400m コア試
料 の 最 上 層 250m の 試 料 中 の水 酸 化 物 だ け一
抽 出 して 鉄 /マ ソ ガ ソ比 を化 学 分 析 して 気 候 変 動
0-30とか な り変 動 しま した が ,
との 相 関 に つ い て 検 討 しま した 。 鉄 /マ ン ガ ソ比 の値 は 約 1
残 念 な が ら明 瞭 な気 候 変 動 との 対 応 関 係 は み られ ませ ん で した 。 琵 琶 湖 の よ うに大 きな湖
で は 気 候 変 動 に よ る酸 化 還 元 状 態 の 変 化 は鉄 /マ ソ ガ ソ比 に表 れ るほ ど大 き くな い の か も
しれ ませ ん 。 放 射 化 分 析 で 含 有 量 の 測 定 で き る, ヒ素 や ウ ラ ンな ど酸 化 還 元 状 態 に敏 感 な
微 量 元 素 に つ い て 現 在 検 討 して い る と ころで す 。
(
大 学 院理 学 系 研 究 科 鉱物 学 専 攻 )
【引 用 文 献 】
1)G.
H.M i
l
l
e
r& A.deVe
r
nal,Nat
ur
e355(
1992)244・
1988)
2) 堀 江 正 治 編 「琵 琶 湖 湖 底 深 層 1400m に秘 め られ た 変 遷 の歴 史 」 同朋 舎 出版 (
3)K.Kas
hi
wayaetal
.,Geophys.Res.Let
t.,1
8(
1991)1
245・
e
oe
col・,1
01(
1
993)169・
4)K.Toyoda,Pal
ae
ogeogr.,Pal
aeoc
l
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mat
ol.,Pal
oc.才ap.Acad・,61(
1985)407・
5)M .Koyamae
tal.,Pr
dt,Nat
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e356(
1
992)781・
6)R.Ps
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r& R.Schmi
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r
n.Re
s.,39(
1993)154・
7)P.
A.Me
ye
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se
ta1,,Quat
7
VOL.25NO.3 1994.12.25
施
設
紹
介
薬学 部 放 射 能 セ ンター
藤
村
美佐 子 ・榎
本
武
美
平 成 6年 3月 17日, 薬 学 部 に と って ほ 今
世 紀 最 後 (?)の 放 射 線 施 設 増 設 部 ;中 央 使
用 施設 (
総 面 積 859m2
)が竣 工 した (図 1)0
この工 事 は , 平 成 5年 度 竣 工 薬 学 部 校 舎
延 面 積 570m2
)を
商 館 地 下 1階 に 使 用 施 設 (
増 設 す る と と もに, 昭 和 36年 度 竣 工 の 別 棟
使用 施設 (
延 面 積 113m 2)の 廃 止 , 昭 和 56年
,稼
度竣 工 の酉館使用 施設 (
総 面 積 344m2
動 中 )の 排 水 貯 留 希 釈 槽 (
中庭 , 地 上 式 タ ン
ク15m3
× 3基 )を 廃 止 して , 中 央 使 用 施 設
の排 水貯留 希 釈 槽 (
地 下 2階 , 貯 留 槽 室
160m2,20m3× 3基 )- の つ な ぎ こみ を と
も な うもの で , 3種 の承 認 を と ろ うとい う
申請 内容 で , い か か
こ研 究 の 中 断 が 少 な くて
済 む よ うか
こで き るか 科 技 庁 との ヒア リン グ
図 1 薬学部 の位置 (R I :放射能 セ ンター)
は 非 常 に ス リル の あ る もの で あ った 。
別 棟 使 用 施 設 の廃 止 に あ た り, 汚 染 検 査 (日本 ア イ ソ トー プ協 会 実 施 )の た め , 当該 施 設
か らの物 品 の 搬 出 と 中央 使 用 施 設 - の 搬 入 は , 法 と時 間 に追 い か け られ 「俺 た ち に 明 日は
な い 」 の か と思 わ れ る強 行 軍 を伴 った 。 そ の 後 の 新 施 設 の お披 露 目, 視 学 官 の 視 察 , 消 防
署 の 立 ち入 りが 済 み ,「我 が 家 」 とい う気 分 か らは 程 遠 い 「お預 り物 」 の よ うな新 施 設 が
や っ と落 ち つ き, 身 近 に感 じ られ 出 した の は 夏 も盛 りとな る頃 で あ った 。
0m位 の距 離 で 相 対 して
薬 学 部 の 放 射 線 施 設 は先 に述 べ た 通 り西 館 と中央 の 2か 所 で ,2
い る(
図 2)。 この 施 設 は非 密 封 R I取 り扱 い 専 用 の 施 設 で あ る 。 こ こに 紹 介 す る中央 使 用
施 設 は , 平 均 面 積 54m2の 実 験 室 が 6室 あ り, うち 1つ は P2 レベ ル の 遺 伝 子 工 学 専 用 実
験 室 で あ る 。 そ の他 の 5室 で は , 細 胞 培 養 , 生 化 学 実 験 , 薬 理 実 験 , 標 識 化 合 物 の 合 成 等
が で き, そ の 他 , 暗 室 (9m2
), 低 温 実 験 室 (
24m2
)を備 え て お り, 動 物 飼 育 を と もな う実
験 を 除 いて 薬 学 部 で 行 なわ れ る非 密 封 R Iを使 う実 験 の ほ ぼす べ て を
こ対 応 で き る よ うに
_な っ
1
6m2
)が あ り, 貯 蔵 室 (
24m2
), 測 定 器 室 (
26m2
), 汚 染
て い る 。 この ほ か に 専 用 の 洗 浄 董 (
検査室 (
15m2
)も妥 当 な広 さで 理 想 的 な 施 設 と い え る 。 保 管 廃 棄 室 は 西 館 使 用 施 設 か らの
廃 棄 物 も保 管 して お くた め 35m2と充 分 な 面 積 を もち , 更 に外 部 直 通 の 出 入 口を設 け た 。
西 館 使 用 者 - の 便 宜 を計 る と と もに , 廃 棄 物 集 荷 作 業 の効 率 を よ くす るね らい で あ る 。 こ
の 出 入 口扉 と中央 使 用 施 設 , 西 館 使 用 施 設 の 出 入 口扉 に は 電 気 錠 を 設 け , 非 接 触 カ ー ドに
Ⅰ
)を 取 り入 れ た 。 1枚 の カ ー ドで 3か 所 の
よ る入 退 室 管 理 シ ス テ ム (ア ロ カ社 製 CRB600Ⅰ
出入 口が利 用 で きる。 また排 水,排 気等 は放 射 線 モニ タ リン グシステ ム (
ア ロカ)で コン ピュー
タ ー に よ る集 中制 御 監 視 が行 な わ れ る よ うに な って い る 。
使 用核 種 が 3
H,1
4
C,3
2
P,3
3
P,3
5
S,4
5
Ca,5
1
Cr,1
1
1
I
n,1
2
5
Ⅰの 9種 塀 で あ り, 使 用 数 量 か
らみ て 換 気 設 備 動 力 の規 模 や オ ー トマ チ ック ヨ ウ素 モ ニ ター の設 置 な どは , この 施 設 に は
8
薬学 部 本館
一
■
ヽ.
-
ノ
ー
一
一
I
中央使 用 施設 (
薬学 部商館地下 1階)
香-
.
i
、
≡
け
卜
H
て
:
ヽ
\
、
-
-
実鼓室
(
含 P2)Ⅰ
実鼓室 ⅠⅠ
蒜
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秦:
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蒜
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,
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叫
榊
葦
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巴 rヽ 出入 口
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実鼓室m
暗習
測定祭主
酉虫管理室
i
l
医学 部 動物 実 験 棟
図 2 薬学部 放射能 セ ンター の配 置図
少 々 も った い な い 寿 が す る 。
大 勢 の 人 が 113m 2の 別 棟 使 用 施 設 で , ぶ つ か り合 うよ うに実 験 を して い て , い つ 不 満 が
爆 発 す るか わ か らな い よ うな状 態 か ら, 別 棟 の 約 5倍 の面 積 を もつ施 設 が で き, そ れ ぞ れ
の 目的 に応 じた 部 屋 で の び の び と実 験 が で き る よ うに な った の は夢 の よ うで あ る 。 現 在 ,
0台 以上 の液 体 シ ソチ レ- シ ョソ カ ウ ン ター
西館 と中央 使 用 施 設 の測 定 器 室 に は , 合 わ せ て 1
が あ り, ガ ソマ ー カ ウ ソ タ- も 5台 設 置 され て い る。 さ らに , 共 通 機 器 と して イ メー ジ ア
ナ ライ ザ ー もあ り, 測 定 機 器 も大 変 充 実 して い る 。
予 想 以 上 にす ぼ ら しい 施 設 が で きた の で 今 後 の 光 熱 水 道 費 等 , 施 設 の維 持 費 が どの程 度
か か るの か が 心 配 の 種 で あ り, また 施 設 が広 くな った 分 だ け 管 理 す る面 積 も広 くな り, 責
任 が 重 くな った こ と を身 に しみ て 感 じて い る 。 薬 学 部 で は 以 前 よ り使 用 と管 理 が分 離 しな
い よ うに心 掛 け て きた 。 少 々 負 担 か も しれ な い が , 使 用 者 自 らが定 期 的 に使 用 場 所 の掃 除
をす る よ うに して も ら って い る。 また使 用 量 に応 じて 廃 棄 物 の処 理 費 を分・
担 して も ら うよ
うに もな って い る 。 この よ うに して 自主 管 理 を徹 底 し, 受 益 者 負 担 の 意 識 を 強 くも って も
ら うこ とに よ り, 汚 染 を 減 ら し, また な るべ く不 必 要 な廃 棄 物 を 出 さな い よ うに努 め て い
る 。 この よ うな体 勢 の な か で 研 究 者 が受 益 者 と して , 文 字 ど お り益 を最 大 限 に引 き出 して
す ぼ ら しい研 究 成 果 に結 び つ け て も らい た い と願 って い る 。
この よ うな す ぼ ら しい 施 設 が で きた の は , 本 当 に 多 くの 方 々 の努 力 と御 協 力 に よ る もの
で , こ こに深 く感 謝 い た します 。
(
薬 学 部 ・放 射 能 セ ン ター )
9
VOL.25NO.3 1
994.12.25
学
内
R
l
管
理
メ
モ
定 期 検 査 に つ い て
昭 和 55年 の 法 例 改 正 に よ り定 期 ・施 設 検 査 が実 施 され る よ うに な って 14年 に な る。 また ,
平 成 3年 か ら放 射 線 施 設 の 自主 点 検 が 義 務 付 け られ 各 事 業 所 に お い て 定 期 的 に 施 設 の 点 検
が実 施 され , そ の結 果 が科 学 技 術 長 官 に報 告 され る こ と とな った 。
定 期 ・施 設 検 査 は 施 設 の 規 模 , 使 用 内容 に よ り, 全 て の放 射 線 施 設 に つ い て 実 施 され る
訳 で は な い が , 自分・
達 に よ る点 検 だ け で は な く, 時 に は外 部 検 閲 の 眼 で 点 検 され る こ と も,
普 段 し っか りと点 検 して い る よ うで , 案 外 見 逃 して しま って い る よ うな こ とが 指 摘 され た
り, 外 部 の 検 査 とい うこ とで 緊 張 もあ り, また刺 激 に もな り, 管 理 す る側 と して 有 効 に活
用 して い くと よい 。
0月 に 当 セ ソ タ- の定 期 検 査 が 実 施 され , 標 識 の 不 備 が指 摘 され た 。 当 セ ソ タ -の
去 る1
施 設 は使 用 の 事 業 所 と廃 棄 の 業 の 事 業 所 を兼 ね た 施 設 が何 ヶ所 か あ り, 今 回指 摘 の あ った
室 もそ の 一 つ で , ドライ エ リア に独 立 した 1室 と して 管 理 区域 が 設 定 され て お り, 使 用 施
設 の保 管 廃 棄 設 備 (
有 機 廃 液 の み )と廃 棄 の 業 の貯 蔵 施 設 を兼 ね て い る 。
この場 合 , この 室 の 出入 口扉 に は
1. 使 用 の 事 業 所 と して , (
∋保 管 廃 棄 設 備 , (
む管 理 区域 (
廃 棄 施 設 )の 標 識
2・ 廃 棄 の 事 業 所 と して , (
∋貯 蔵 室 , ⑧ 管 理 区 域 (
廃 棄 物 貯 蔵 施 設 )の 標 識
の 4枚 が法 令 上 , 必 要 とな る 。
今 回 の 検 査 で 2-① の 標 識 が 貼 られ て い な い こ とが わ か った が , これ まで 何 度 も 自主 点
検 を 実 施 し, 廃 棄 の 業 の貯 蔵 施 設 で あ る こ とは 認 識 して お り, 扉 の 耐 火 性 に つ い て は 気 を
付 け て も, 鉛 ブ ロ ック, ロ ッカ ー等 の あ る貯 蔵 室 の イ メ ー ジ とは掛 け.
離 れ て い るた め標 識
を 見 落 して しま った よ うで あ る 。
付 け な け れ ば な らな い標 識 が 多 い と い うこ とに つ い て の 意 見 もあ るか も しれ な い が , 管
さ ん の 施 設 の標 識 も, も う一 度 法 令 集 を 片 手 に見 直 して 見 て は ど うで し ょ うか 。 ひ ょっ と
して , 違 う標 識 が貼 られ て い た り, 貼 るべ き標 識 を貼 って な い よ うな所 が あ るか も しれ ま
せ ん。
上 述 の よ うに標 識 の貼 る枚 数 が 多 くな る よ うな場 合 , 記 載 事 項 を併 記 して 枚 数 を減 ら し
て も構 い ませ ん 。
例 え ば ,管 理 区域 (
廃 棄 施 設 )と管 理 区域 (
貯 蔵 施 設 )そ れ ぞ れ 1枚 を管 理 区域 (
廃 棄 施設 ・
貯 蔵 施 設 )と して 1枚 に記 載 す る こ とが で き ます 。
標 識 は , 自作 して も構 い ませ ん 。 た だ し, 放 射 能 マ ー クの 大 き さ, 色 , 表 示 等 が法 令 で
定 め られ た もの で な け れ ば な りませ ん 。
学 内 の 通 常 の 事 業 所 で は 使 用 しな い 標 識
「表 示 付 放 射 性 同位 元 素 装 備 機 器 使 用 室 」 (
表 示 付 ECDガ ス ク ロマ トグ ラ フを使 用 す る室 )
「放 射 性 同位 元 素 詰 替 室 」 (
販 売者 のみ )
「廃 棄 物 詰 香 施 設 」 (
廃 棄 業 者 のみ)
「廃 棄 作 業 室 」 (
焼 却 炉 の設 置 して あ る室 等 )
廃 棄 業 者 のみ )
「管 理 区 域 (
廃 棄 物 貯 蔵 施 設 )」 (
(ア イ ソ トー プ総 合 セ ン ター業 務 掛 )
●セ ンター 日誌
平 成 6年 1
0月 7 日
10月 20日 ∼21日
定期 検査 実 施 (
使 用 ,廃 棄 の業 )
放 射 性 同位 元 素 等取 扱 施設 教 職 員 研 修 (
文 部省,東北大学 サ
イ ク ロ トロ ソ ・ラ ジオ ア イ ソ トー プ セ ン ター共 催 , 於 東
1
0
北 大 学 サ イ ク ロ トロ ン ・ラ ジオ ア イ ソ トー プ セ ン ター)
12月 16日
平 成 6年 度 第 Ⅰ
Ⅰ期 共 同利 用 終 了
教 育訓 練 の実 施
平 成 6年 9月 2
6日 ∼28日
第6
0回 R Iコー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
11月 28日 ∼ 1
2月 1日
第 61回 R Iコー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
11月 29日 ∼ 12月 1日
第 4回 英 語 R Iコー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
12月 14日
第 47回 Ⅹ線 コー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
12月 1
4日
第 1回 英 語 Ⅹ線 コー ス新 規 放 射 線 取 扱 者 講 習 会
平 成 6年 1
0月 13日 ∼ 14日
医学部保健 科学 生 実 習
10月 19日∼ 11月 5 日
農学 部 農芸化 学科 学 生実 習
12月 6 日, 13日
教養学部 (
医 学 部 医 学 科 進 学 予 定 者 )学 生 実 習
● 委 員会 だ よ り
○ セ ン タ ー ニ ュ ー ス編 集 委 員 会
平 成 6年 1
0月 26日(水 )開催
○運営委員会
平 成 6年 1
2月 19日(月 )開催
目
次
巻 頭 言
キ ュー リー夫 人 とニ ュー トソ
小嶋
稔 - 1
研 究紹 介
シ ン ク ロ トロ ン放 射 を利 用 した核 共 鳴 散 乱 の研 究 --- - --I
--- ・
・菊 田
憧志 - 2
琵 琶 湖 湖 底 堆 積 物 の 化 学 分 析 と過 去 の 気 候 変 動 - ・
- ---- - ---=豊 田
和弘 - 4
施設紹介 ′
薬 学 部 放 射 能 セ ソ タ-
藤 村 美 佐 子 ・榎 本
武美 - 7
遠藤
正志 - 9
学 内 R l管理 メモ
定期検査 について
セ ン ター 日記
委 員会 だ よ り
編集後記
以 前 , 退 官 され た 古 森 事 務 主 任 が ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ- ニ ュー ス編 集 の世
話 を され て い た 頃 , 編 集 委 員 を務 め た 事 が あ ります 。
この 春 , 中 村 事 務 主 任 か ら編 集 委 員 委 嘱 の 電 話 を い た だ い た と き, そ の こ とを
理 由 に お 断 り した か った の で す が , 自分 が セ ソ タ -創 設 以 来 共 同利 用 を続 け させ
て い た だ い て い る こ と と, 中村 事 務 主 任 が教 養 学 部 に お られ た 頃 お世 話 に な った
思 い 出 と が 頭 に 浮 か ん で , 気 が つ い た ら, お 引 き受 け して しま って い ま した 。
セ ン タ ー は , 学 内 の 関 連 施 設 の サ ポ ー ト, 教 育 訓 練 の実 施 , 共 同利 用 研 究 の場
の提 供 等 , 大 変 重 要 な役 割 を果 た して い ます 。 そ れ らが す べ て 円滑 に磯 能 して い
るの は , セ ソ タ -教 職 員 の 方 々 の献 身 的 な努 力 に 支 え られ て い るか らだ と思 い ま
す 。 セ ン タ ー ニ ュー ス の編 集 を通 じて , そ れ らの機 能 の充 実 と発 展 の た め に, 少
しで もお役 に立 て れ ば 辛 い で す 。
東 京 大 学 ア イ ソ トー プ 総 合 セ ソ タ - ニ ュ ー ス
〒1
1
3東 京 都 文 京 区 弥 生 2丁
目1
1番 16号
VOL.2
5NO.3 1
9
9
4
年1
2月2
5日発 行
(
兵頭
俊夫)
編 集 発 行 人 中村
東 京 大 学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ 一 ・電 代 表
兼治
(
3
8
1
2
)
2
1
1
1内 線 2
8
81
I
SSN 091
63328
東 京 大学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ンター
VOL.2
5 NO. 4 1995・3・25
サ イ クロ トロ ン と ラジオ ア イ ソ トー プの多 目的利 用
織
原
彦 之丞
東 北 大 学 サ イ ク ロ トロ ン ・R Iセ ン ター は , サ イ ク ロ トロ ンの 多 目的 利 用 , 高 レベ ル R
Iや サ イ ク ロ トロ ン生 成 短 寿 命 R Iの利 用 , R I安 全 取 扱 い の全 学 的 な教 育 ・訓 練 な どを
2年 度 に設 立 され た 学 内共 同教 育 研 究 施 設 で す 。
行 うた め に , 昭 和 5
これ らの 多 目的 利 用 は 初 期 の 目的 を 果 た しつ つ あ ります が , な か で も (p ,n)反 応 に よ
る原 子 核 物 理 の研 究 に お い て 中 性 子 の 高 分 解 能 測 定 を
こ成 功 し, また オ ン ライ ン質 量 分 離 器
を使 った新 しい原 子 核 の探 索 とそ の核 構 造 の研 究 等 が 活 発 に行 な わ れ て き ま した。 さ らに,
XE
荷 電粒 子 ビーム ・原子衝 突 で放 出 され るⅩ線 分析 を
こよる研 究 は,原 子物理 学 の枠 を越 えて PI
とい う超 微 量 元 素 分 析 の手 法 を提 供 し多 くの分 野 の研 究 に応用 され て い ます 。 一 方 , 医 学 ・
生 物 学 の 研 究 に お い て は , 陽 電 子 断 層 撮 影 装 置 を使 った ポ ジ トロ ソ核 医 学 の研 究 の た め の
放 射 性 薬 剤 の 開 発 が活 発 に.
行 な わ れ , これ を
こよ る臨 床 研 究 に お い て , 癌 の広 が りの み な ら
ず 代 謝 別 ・組 織 別 診 断 法 を確 立 し, 合 理 的 治 療 , 治 療 薬 の 選 択 , 治 療 効 果 の判 定 に道 を拓
き,.さ らに_
老 人 性痴 呆 の機 構 の解 明 を
こお い て は , 世 界 で 初 め て 一 次 性 痴 呆 (アル ツ- イ マ 一
柄 )と二 次 性 痴 呆 の糖 代 謝 の 違 い を 明 らか に し, 注 目を集 め て い ます 。
以 上 研 究 の 一 端 を紹 介 させ て 頂 き ま した が , 放 射 線 安 全 管 理 の 立 場 か ら一 言 します と,
我 々 の セ ソ タ一 に は , 中型 の加 速 器 が設 置 され , 言 わ ば "自前 の 放 射 線 や R I" を持 って
い るセ ソ タ-で す が , 管 理 を す る者 と放 射 線 や R Iを使 用 す る者 との オ ーバ ー ラ ップ が非
常 に強 い所 で す 。 良 い 言 葉 で は あ りませ ん が "
二 足 草 蛙 " を履 い て い る事 に な ります 。 し
か し, 加 速 器 並 び に R Iの 利 用 が学 生 ・院 生 か ら職 員 まで の 年 齢 的 に も経 験 ・能 力 的 に も
幅広 い利 用 者 ケ
こよ って 行 わ れ , か つ放 射 線 安 全 管 理 に 関 し常 を
こ新 しい 問 題 が提 起 され て い
る大 学 の 施 設 で は , この よ うな形 態 が ポ ジ テ ィブ に機 能 して い る と考 え て い ます 。
大 学 に お け る放 射 線 管 理 の研 究 は , 未 知 の側 面 を 内包 す る放 射 線 を対 象 と した "
害 と益
との釣 合 , あ るい は調 和 の研 究'
'と位 置 付 け て い ます 。 さ らに付 け加 え るな ら, イ ソ フ ォー
ム ド ・コ ソセ ン トの重 要 性 が放 射 線 安 全 管 理 に も当 て は ま るの で は な い か とい う事 で す 。
立 場 の 違 い が あ って も, 研 究 ・教 育 の場 に お い て , 各 々 に知 識 の違 い が あ って ほ な らな い
とい う こ とだ と考 え ます 。 これ は理 想 論 か も しれ ませ ん が , 少 な くと も この知 識 あ るい は
情 報 の 違 い の毒
等を埋 め る不 断 の 努 力 が肝 要 と考 え て い ます 。
2
加 速 器 並 び に R Iを 多 目的利 用 し, 東 北 大 学 な らび に東 北 地 方 の 中核 と して の役 割 を果
た し, か つ特 長 あ る分 野 で は全 国 セ ソ タ ー と して 枚 能 し, 世 界 を リー ドす る研 究 ・教 育 に
おい て , ユ ー ザ ー支 援 とセ ソ タ-独 自の研 究 を両 立 させ るべ く, 努 力 して い る と ころです。
東 京 大 学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ- 「ニ ュ ー ス」 毎 号 楽 しみ に して 読 ませ て頂 い て お り
ます 。 貴 セ ソ タ-の 発 展 を お祈 りす る次 第 で す 。
(
東 北 大 学 サ イ ク ロ トロ ソ ・ラジ オ ア イ ソ トー プ セ ソ タ-長)
研
究
紹
介
超活性 天然 物 とイオ ンチ ャネル
村
田
道
雄
ア イ ソ トー プ総 合 セ ン ターで は , イ オ ンチ ャネル に結 合 す る天 然 物 の作 用 メ カニ ズ ムに
つ い て 共 同利 用 研 究 を行 って い る。 天 然 物 と して は , 海 の 生 物 , 特 に渦 鞭 毛 藻 と呼 ば れ る
植 物 ブ ラ ン ク トソの 生 産 す る特 異 な 2次 代 謝 産 物 を取 り上 げ , イ オ ソチ ャネル と して ほ電
位 依 存 性 ナ ト リウム チ ャネル や カル シ ウム チ ャネル を扱 って い る 。
この 研 究 を始 め た経 緯 は , 6年 前 か
こ東 北 大 学 の安 元 研 究 室 で 食 中 毒 原 因物 質 の化 学 構造
に 関 す る研 究 を行 って い た 時 に さか の ぼ る 。 この原 因 毒 は シ ガ トキ シ ソ(
C
i
guat
oxi
n)と呼
ば れ て お り, そ の毒 性 は 猛 毒 と して 有 名 な フ グ毒 (テ トロ ド トキ シ ン )の 30倍 もあ り, わず
か 7ng で ネ ズ ミ 1匹 を 殺 す こ と が で き る 。 構 造 研 究 か ら生 物 作 用 の研 究 に 興 味 が移 った
の は , そ の特 異 な化 学 構 造 (図 1)を 見 た と き, 分 子 の長 さや 運 動 性 , 酸 素 の配 置 な どが毒
性 発 現 と密 接 に 関連 して い るの で は な い か と思 い至 って か らで あ る。
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図 1 電位依存性ナ トリウムチ ャネ ルの活性化作用 を有 す る海洋毒 ・シガ ト
キシ ンとプ レベ トキ シ ン
3
VOL.25NO.41995.3.25
そ こで , 生 物 作 用 の実 験 を行 な うた め に, 毒 の 薬 理 作 用 に 関 して 共 同研 究 を行 な って い
た , 米 国 NI
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W .Dal
yの も と- ポ ス ト ドク と し
て 留 学 す る こ と に な った 。NI
Hで は , シ ガ トキ シ ン よ りむ しろ マ イ ト トキ シ ン と呼 ば れ る
更 に 毒 性 の 強 い 天 然 物 の作 用 研 究 を 中心 に行 うこ とに な った が , 両 者 は 部 分 構 造 が額 似 し
て お り, 作 用 も イ オ ソチ ャネ ル の活 性 化 とい う点 で は 同 じな の で , この と き得 た知 識 は 今
y研 究 室 で は 培 養 岸田胞 を用 い た イ オ ン流 入 の
日の 仕 事 に 大 い に 役 立 って い る 。 当 時 , Dal
実 験 や イ ノ シ トー ル リソ酸 の 代 謝 実 験 を 主 に 行 な って い た 。 当 然 , ラ ジオ ア イ ソ トー フ
(
R I)の使 用 頻 度 も高 く, 実 験 の約 9
0% は な ん らか の形 で R Iを使 って い た 。 筆 者 も, 年Ⅰ,
1
4
Cは 言 うに お よは ず , 4
5
Ca,2
2
Na, 86
Rb, 56
Mn,3
6
Clな どを使 って イ オ ンの 流 入 実 験 を行
Hで の R Iの 管 理 に つ い て 簡 単 に触 れ た い 。NI
Hを 訪 れ た 方 な
な って い た 。 つ い で に , NI
ら ご存 じと思 うが , 研 究 棟 の殆 どは R Iの管 理 区 域 に な って お り, 私 の い た 8号 館 も全 館
が 管 理 区域 に な って い た 。 この な か を
こ, 秘 書 室 とか管 理 部 門 とか R Iが 持 ち込 め な い部 屋
こ比 べ て は るか に緩 や か で あ
が 少 しあ った . 一 般 的 に R Iの 管 理 に 関 して は , 米 国 は 日本 を
るが , これ は研 究 者 の責 任 に お い て とい う条 件 付 で あ り, R Iに 関 す る専 門 的 知 識 を持 っ
て い ない非 研 究 者 を
こ対 して は , 取 扱 者 が責 任 を持 って 安 全 を確 保 しな け れ ば な らな い との
基 本 姿 勢 が は っ き り して い る 。 例 え ば , 廊 下 な ど掃 除 人 が 触 れ る可 能 性 の あ る場 所 に シ ソ
チ レー シ ョンバ イ アル な どの R Iを放 置 した りす る と研 究 室 閉 鎖 を含 む 非 常 に厳 しい罰 則
す な わ ち居 室 を含 む 大 部 分 の 部 屋 )で の飲 食 ・契 煙 等 は
が科 せ られ る 。 また , R I取 扱 室 (
厳 に 禁 止 され て い た の で , 水 を 飲 む に も廊 下 で 立 ち飲 み す る とい った 具 合 で あ った が , 多
少 の 不 便 は あ って も全 員 が ル ー ル を き っち り守 って い た 。
さて , 実 際 の 共 同利 用 研 究 の 方 は , まだ , 始 ま った ば か りで これ とい った 成 果 も出 て い
な い が , 少 し経 過 報 告 を させ て ]
頁 く。 前 述 の シ ガ トキ シ ソの 受 容 体 は電 位 依 存 性 ナ トリウ
ム チ ャネル の 第 5結 合 部 位 で あ る とい わ れ て きた が, そ の 部 位 の チ ャネ ル蛋 白上 の位 置 や ,
毒 性 の 本 質 と考 え られ て い るチ ャネ ル 活 性 化 の メ カニ ズ ム に つ い て は ま だ未 解 明で あ る 。
しか し, 天 然 物 と して の シ ガ トキ シ ンは 全 世 界 で 1m g しか 存 在 しな い の で , シ ガ トキ シ
ン を リガ ソ ドと して 用 い る こ とは現 実 的 で は な い 。 代 わ る もの を 見 つ け な け れ ば な らな い
が , 幸 い に して , シ ガ トキ シ ン と 同 じ部 位 に結 合 す る リガ ソ ドと して海 洋 天 然 物 プ レベ ト
br
e
ve
toxi
nB, 図 1)が 知 られ て い た 。 しか し, 薬 理 学 的,
'
か
こは 同 じで あ って も シ
キ シ ン(
ガ トキ シ ン と プ レべ トキ シ ン とは構 造 が異 な って お り正 確 に 同 じ位 置 に 結 合 して い る確 証
が な い 。 そ こで , 当 研 究 室 で 合 成 され た フ ラ グ メ ン ト(シ ガ トキ シ ソの 右 側 の 半 分 に相 当
す る )を用 い て 結 合 部 位 の 同 定 を進 め る こ とに した 。 まず , 電 位 依 存 性 ナ ト リ ウム チ ャネ
ル と の結 合 を調 べ るた め に は標 識 され た リガ ソ ドを調 製 す る必 要 が あ る 。 これ に は , プ レ
ベ トキ シ ソの 右 端 の ア ル デ ヒ ドを ト リチ ウム化 NaBH4で 還 元 しア ル コール 体 を 調 製 して
用 い た 。 この標 識 体 は , マ ウス脳 か ら調 製 した ナ トリウ ム チ ャネ ル を含 む 膜 画 分 に対 して
特 異 的 に結 合 し, この 結 合 は プ レベ トキ シ ンで 阻 害 され た 。 す な わ ち, 標 識 体 が特 異 的 に
チ ャ ネル を認 識 して い る こ とが 分 か り, 第 5結 合 部 位 を調 べ る プ ロー ブ と して の有 用 性 が
明 らか に な った 。 今 後 , 合 成 フ ラ グ メ ン トの 結 合 や 結 合 部 位 の 同定 を進 め る予 定 で あ り,
ます ます , ア イ ソ トー プ総 合 セ ン ター に は お世 話 に な る こ とに な るだ ろ う。
(
大学 院理学 系研 究科化 学専攻 )
4
T0
PICS
書 籍 に含 まれ る放 射 能
小
橋
浅
哉
書 籍 は , 図 書 館 や 図 書 室 に 多 量 に 置 か れ て い ます し, 大 学 の先 生 方 は , 研 究 室 あ るい は
自宅 に た くさ ん の蔵 書 を か か え て い ら っ しゃ るの で は な い で し ょ うか 。 書 籍 は , 天 然 自然
の もの を 原 料 に製 造 され るの で あ り, 当然 天 然 ・環 境 の放 射 能 を 含 む は ず で す 。 自然 放 射
4mSvで , そ の 半 分 は , 壁
線 に よ る人 の 平 均 被 曝 線 量 は , 実 効 線 量 当量 で 1年 間 あ た り2・
気 中 を 漂 う気 体 放 射 性 同 位 元 素 ラ ドソ
(222
R n)及
び娘 核 種 を 吸 い 込 む こ と に よ る 内部 被 曝
と され て い ます 。 書 籍 は , 室 内 に あ る こ とか ら, 含 まれ る
226
Ra
か ら ラ ドソが 発 生 し室 内
ラ ドソ濃 度 を 高 め る こ と に よ り, 人 体 の被 曝 線 量 を 増 加 させ て い る可 能 性 が あ ります 。 し
か し, 書 籍 に 含 まれ る放 射 能 に つ い て は, 研 究 例 は 1例
1)
しか な く, そ の例 に お い て も放
射 能 の 測 定 は され て い る もの の , 放 射 能 の原 田 は 明 らか に され て い ませ ん 。
以 上 が , 書 籍 の 放 射 能 の研 究 を始 め た 理 由 で す ○ わ が 国 で 製 造 ・発 行 され た 書 籍 (
現在
まで に 約 70点 )に つ い て 調 べ ま した 。 放 射 能 の 測 定 は , 書 籍 を 非 破 壊 の ま まで , セ ン タ ー
の ゲ ル マ ニ ウ ム検 出 器 を 装 備 した ガ ンマ線 ス ペ ク トロ メー ター を使 用 して 行 い ま した 。 測
定 の結 果 , 天 然 放 射 性 核 種 で あ る 22呪 a , 22呪
a , 228
Th , 40
K
と フ ォール ア ウ ト核 種 で あ る
137
Cs
が検 出 され ま した 。 そ れ ぞ れ の核 種 の濃 度 は ,0・
2-6・
4,0・
2-11・
2,0.
2- ll.
3,1- 1
03,0
∼3・
9Bq/kgの 範 囲 で した 。 各 書 籍 の
226
Ra濃 度
を 発 行 年 の 順 に棒 グ ラ フ と して 表 した の
が 図 1で す 。 226
Raの 濃 度 に 時 代 的 変 化 が認 め られ ます 0 1950年 代 が 最 も高 く, 1970年 代
半 ば か ら明 らか に減 少 して い る こ と が わ か ります 。
変 化 を 示 しま す 。
クを示 し,
137
C sの 濃 度 変 化
137
C s降 下 量 の 経 年 変 化
228
R a , 228
Th ,40
K
も
226
Ra
に似 た 時 代
は , 天 然 放 射 性 核 種 とは 異 な り, 1960年 代 半 ば に ピー
に似 て い ます 。
書籍 用紙 の大部分 (
85-90% )は パ ル プで , パ ル プ は ほ とん どの場 合 木 材 か ら作 られ ます 。
∼
(
豊\bg)髄 鞘 eu93朗
2
43
44
14
75
05
45
65
75
57
77
98
08
1838
487899
1
961626
56
66
76
8697
1737
各書 籍 の発 行 年
図 1 書籍 中の
226
Ra の濃度
VOL.25NO.41995.3.25
5
木 材 中 の 天 然 放 射 性 核 種 の 濃 度 は 岩 石 ・土 壌 と比 べ る と か な り低 い で す 。 と こ ろ が , 書 籍
中 の 天 然 放 射 性 核 種 の 濃 度 は , 岩 石 中 の 濃 度 に 匹 敵 し, 意 外 に 高 い濃 度 が含 まれ て い ます 。
木 材 由 来 の 天 然 放 射 性 核 種 で は , 書 籍 中 の そ の 濃 度 を 説 明 で き ませ ん 。 書 籍 用 紙 の パ ル プ
以 外 の部 分 (
1
0-15% )の ほ と ん ど は , 塀 料 で す 。 墳 料 は , 紙 の 平 滑 性 , 不 透 明 性 等 を 向 上
させ , 印 刷 に 適 す る よ うに す るた め に 加 え られ る も の で , 鉱 物 ・岩 石 の 粉 末 が 使 用 され て
い ます 。 セ ソ タ- の エ ック ス線 回 折 装 置 に よ り, 各 書 籍 に つ い て 紙 に 含 まれ る鉱 物 の 種 額
を 同定 しま した . そ の 結 果 , 墳 料 の種 頬 に は 時 代 的 変 遷 が あ って ,1
950年 代 は ヨ ウ ロ ウ石 ,
1960年 代 か ら1970年 代 前 半 まで は ヨ ウ ロ ウ石 と カ ッ石 の 混 合 物 , そ れ 以 降 は カ ッ石 が 主 流
で あ り, 最 近 は 炭 酸 カル シ ウ ム (
石 釈 岩 )が 使 用 され て い る こ と が わ か りま した 。 ヨ ウ ロ ウ
石 中 の 天 然 放 射 性 核 種 の 濃 度 は 岩 石 と して は か な り高 い こ と が 知 られ て い ます 。 この よ う
な こ と か ら, 書 籍 中 の 天 然 放 射 性 核 種 は , 主 に墳 料 か ら来 て お り, そ の 濃 度 の 時 代 的 変 化
は , 使 用 され て い る墳 料 の 移 り変 わ りに 原 因 が あ る こ と が わ か ります 。
書 籍 に 意 外 に 多 くの 放 射 能 が 含 まれ て い る と言 って も, 少 量 の 放 射 能 で あ る こ と に は違
い あ りませ ん 。 ラ ドン に つ い て , 少 量 な ら身 体 に よ い 刺 激 を 与 え る (
放 射 線 ホ ル ミシ ス効
果 )と の 報 告
2) も あ
るの で , 書 籍 の 放 射 能 が 必 ず し も人 体 に 悪 い 影 響 を 与 え る と考 え て い
るわ けで は あ りませ ん 。 本 研 究 が , 人 体 に対 す る環 境 放 射 線 の 影 響 を考 え る上 で 基 礎 的 デ ー
タ と して 役 立 つ こ と を 期 待 して い ます 。
[
文
(
大学 院理学系研 究科化学専攻 )
献]
1)B.
Y.Lal
i
tandV.
K.Shukl
a,Heal
t
hPhys.,47,447(
1984).
990)(
近 藤 宗 平 ,I
s
otopeNe
ws,1
994年 9月
2) B.
L Cohen,Envi
ron.Re
s.,53,193(1
号
p.2)
施
設
紹
介
環 境 安 全 研 究 セ ン ター放 射 線 取 扱 施 設
横
山
道
子
環 境 安 全 研 究 セ ン タ ー は , 東 京 大 学 に お け る研 究 ・教 育 ・医 療 活 動 に 伴 って 排 出 され る
有 害 廃 棄 物 を 回 収 し, 処 理 し, 処 分 を して 釆 ま した 。
平 成 5年 4月 よ り研 究 セ ン ター に 転 換 され た の に 伴 い , 研 究 機 能 を 充 実 させ , そ の 情 報
を 学 内 ・学 外 に 積 極 的 に 発 信 す る使 命 が 加 わ り,「環 境 安 全 研 究 」 と 「環 境 影 響 研 究 」 を
主 な 柱 と して 研 究 活 動 が 行 わ れ る こ と に な りま した 。 そ の 中 で 環 境 中 の 有 害 物 質 の 測 定 に
あ た り, ガ ス ク ロマ トグ ラ フ の 検 出 器 の うち の 電 子 捕 獲 型 検 出 器 (
ECD)の 導 入 が 必 至 に
な り, R Iセ ン タ ー あ るい は ど こか の 学 部 の 管 理 下 に お い て い た だ け な い も の か ?
RI
セ ン タ ー と の 交 渉 が 始 ま りま した 。 しか し, 管 理 組 織 が 違 うの で , 答 え は NOで した 。
そ こで セ ソ タ - 内 に 放 射 線 取 扱 主 任 者 が 是 非 必 要 とい う こ とで , そ の 資 格 を 取 る こ とか
ら始 ま り, 幾 多 の 努 力 の 結 果 現 在 の 環 境 測 定 体 制 が で き あ が りま した 。 特 に 「放 射 性 同位
元 素 使 用 届 」・「放 射 線 障 害 予 防 規 程 」 の 作 成 お よび 届 出 等 に 関 して , R Iセ ン タ ー の 事 務
の 方 々 に は 大 変 お 世 話 に な り感 謝 致 して お ります 。
と こ ろ で , 環 境 安 全 研 究 セ ソ タ - が どl
=に あ るか 皆 さ ん は ご存 知 で し ょ うか 。 安 田講 堂
か ら東 に 下 って 約 2分 , 御 殿 下 グ ラ ウ ソ ドの わ きを 抜 け て 池 之 端 門 - の 道 を 途 中 で ち ょ っ
6
と左 に 曲 が った と こ ろ に あ る 2階 建 て の モ ダ ン ?で こ じん ま りと した 建 物 で す 。 そ して ,
当 セ ソ タ- は お そ ら く東 京 大 学 の 中 で , 放 射 線 取 扱 事 業 所 と して は 一 番 小 さな規 模 に な り
3
Niを 装 備 した 表 示 付 ECDガ ス ク ロマ トグ ラ フ の た め
ます 。 密 封 され た 放 射 性 同位 元 素 6
管 理 区 域 は 存 在 せ ず 線 源 は ス テ ソ レス の ECDセ ル (
貯 蔵 容 器 「貯 蔵 施 設 に 相 当 」 )に よ り
遮 蔽 され て い る うえ に , さ らに そ の セ ル は 装 置 本 体 に 固 定 され て い る。 装 置 が設 置 され て
い る測 定 室 の ドア に は 放 射 能 マ ー クが書 か れ た 「表 示 付 放 射 性 同位 元 素 装 備 機 器 使 用 室 」
の 標 識 が あ り, こ こに 入 る と きに は , や は り身 の 引 き締 ま る思 い が致 します 。
こん な 小 規 模 な 施 設 で す が, 放 射 線 取 扱 事 業 所 と して 仲 間 入 りさせ て 戴 き こ こに紹 介 さ
せ て 戴 き ま した 。 宜 し くお隣 い 致 します 。
(
環 境 安 全 研 究 セ ソ タ-)
池之積∩
環 境 安 全 研 究 セ ン タ-
「
「 【
ー
ー ー 【
編
て
r
図 1 環境安全研究セ ンター の位置
学
内
R
l
管
理
メ
モ
平 成 7年度 新規 放 射線 取扱 者
全学 一括 講 習会 の お知 らせ
新 規 に放 射 線 や R Iを 取 扱 う場 合 は , まず 所 属 部 局 の放 射 線 管 理 室 また は 放 射 線 取 扱 者
担 当 の 事 務 掛 に 「放 射 線 取 扱 者 登 録 申請 書 」 を提 出 し, 取 扱 い 開 始 前 に放 射 線 取 扱 者 特 別
健 康 診 断 を 受 診 し, R I教 育 訓 練 を 受 講 す る事 が 必 要 で す 。 氏 I教 育 訓 練 は 各 部 局 で 行 わ
れ る部 局 講 習 会 と ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ-で 開催 され る全 学 一 括 講 習 会 の 両 方 を受 講 し
な け れ ば な りませ ん 。 講 習 会 の 案 内 は ,「登 録 申請 書 」 の 提 出 者 に配 布 され ます 。 未 提 出
者 は 講 習 会 を 受 講 で き ませ ん 。 平 成 7年 度 の 全 学 一 括 講 習 会 の 開催 予 定 は 次 の 通 りで す 。
VOL.25NO.41
995.3.25
7
◎ R Iコー ス
第 62回
平 成 7年 5月 1
5日 (
月 ), 1
6日(火 ),17日(
水)
第 63回
平 成 7年 5月 2
4日(
水 ),25日(
木 ),26日(
金)
第 64回
平 成 7年 7月 1
8日(火 ), 1
9日(
水 ),20日(
木)
第 65回
平 成 7年 1
0月 2 日(月 ), 3 日(火 ), 4 日(水 )
第 66回
平 成 7年 11月 27日(
月 ),29日(
水 ),30日(
木)
9:
00
第 1日
1
0:
00
放 射 性
同位元素
11:
0
0
定
放射線
の測
1
2:
00
放射線
の利用
休
1
3:
0
0
憩
1
4:
00
人体 の影響
安
取
1
5:
00
全
扱
1
6:
0
0
法令 . 実腎 の
管 理 説 明
実 習 は講 習 会 の 2 日 目 また は 3 日 目の い ず れ か 1 日で す 。
◎ 英 語 R Iコー ス
第 5回
平 成 7年 11月 28日(
火 ),2
9日(水 ),30日(
木)
時 間 割 は R Iコー ス に 準 ず る 。
◎ Ⅹ線 コー ス
第 48回
平 成 7年 5月 1
9日(
金)
第 50回
平 成 7年 7 月 1
7日(
月)
1
3:
00
1
4:
00
人体- の影響
第 49回
平 成 7年 5月 29日(
月)
第 51回
平 成 7年 1
2月 15日(
金)
1
5:
00
法令 ・規程
1
6:
00
Ⅹ線 とその応用
1
7:
00
安 全 取 扱
◎ 英 語 Ⅹ線 コー ス
第 2回
平 成 7年 1
2月 15日(
金)
時 間 割 は Ⅹ線 コー ス に 準 ず る 。
◎ 診 療 放 射 線 コー ス*
2回
第 11回 , 第 1
平 成 7年 6月 頃
◎ 核 医 学 コー ス*
第 8回 , 第 9回
平 成 7年 6月 頃
1
7:
3
0
1
8:
30
第
第2
1日
日
安全取扱
測定
人 体 - の.影
響
実
実
習
習
第 3日
法 令 .管 理
実
習
20:
実
習 **
* 診 療 放 射 線 コー ス と核 医学 コー ス の 日程 は調 整 中 で す 。
** 核 医 学 コー ス の み の実 習 で す 。
● セ ンター 日誌
教 育訓 練 の実 施
平 成 7年 1月 25日∼27日
理 学部生物化 学科学 生実 習
2月 3 日∼ 1
5日
薬学 部薬 学科学生実 習
3月 2 日∼ 3 日
平 成 6年 度 実 験 技 術 講 習 会
「遺 伝 子 操 作 の周 辺 技 術 一 発 現 蛋 白質 の精 製 」
● 委 員会 だ よ り
○ セ ソ タ- ニ ュー ス編 集 委 員 会
平 成 7年 2月 8 日(
水 )開 催
○ 運 営委 員会
平 成 7年 3月 20日(月 )開催
1
7:
0
0
8
東京 大学 ア イ ソ トー プ総合 セ ンター ニ ュー ス
目
次
巻 頭 言
サ イ ク ロ トロ ン と ラ ジオ ア イ ソ トー プ の 多 目的 利 用 --- =-- --- 織 原 彦 之 丞 - 1
研究紹介
超 活 性 天 然 物 と イ オ ソ チ ャ ソ ネル
村田
道雄 - 2
小橋
浅哉 - 4
横山
道子 - 5
トピ ックス
書 籍 に 含 まれ る放 射 能
施設紹介
環 境 安 全 研 究 セ ソ タ-放 射 線 取 扱 施 設
6 7 7
学 内 R I管理 メモ
平 成 7年 度 新 規 放 射 線 取 扱 者 全 学 一 括 講 習 会 の お知 らせ
セ ン タ一 日
委員会 だ よ り
編集後記
セ ン タ ー ニ ュー ス の編 集 か
こた ず さわ って きた 者 と して , い つ も感 謝 して い ます
こ とは , 毎 号 の こ と な が ら諸 先 生 方 が お忙 しい 中 時 間 を さい て 原 稿 依 頼 を快 くお
引 き受 け くだ き り, 期 限 を守 って 寄 稿 して くだ さ る こ とで す 。
ま も な く新 しい年 度 が始 ま ろ うと して い ます 。 今 後 も読 者 の 皆 様 に親 しんで 読
ん で い た だ け る よ う編 集 委 員 会 で は 工 夫 を重 ね , 一 層 内 容 の 充 実 に努 め 有 意 義 な
情 報 を提 供 出 来 れ ば と思 って い ます 。
私 事 で 恐 縮 で す が , この 2年 間 努 め させ て い た だ い た編 集 発 行 人 と して の役 目
も 3月 に退 職 を控 え た私 に と りま して , この拙 文 を 以 って 終 了 す る こ とに な りま
した
。
任 期 中 , 編 集 委 員 の 皆 々様 に す っか りお世 話 に な りま した こ とを , 紙 面 を お借
り しま して 厚 く御 礼 申 し上 げ ます と共 に , 本 セ ン ター及 び セ ソ タ-関 係 者 の皆 々
様 の 益 々 の ご発 展 を 祈 念 致 して お ります 。
(中村
東 京 大 学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ン タ ー ニ ュ ー ス VOL・2
5NO・4 1
995年 3月 25日発 行
〒11
3東 京 都 文 京 区 弥 生 2丁 目11
番1
6号
兼治)
編 集 発 行 人 中村
兼治
東 京 大 学 ア イ ソ トー プ総 合 セ ソ タ 一 ・電 代 表 (
3
81
2)
21
11 内線 2
881
Fly UP