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2011年1月号 - ITIL - itSMF Japanオフィシャルサイト
IT サービスマネジメントフォーラムジャパン it SMF Japan 理事長 年頭の挨拶 it SMF Japan 理事長 富田 修二 3 it SMF International 年次総会・支部リーダ会議報告 it SMF Japan 副理事長 西野 弘 5 【会員寄稿】 it SMF UK Conference 2010 London 参加レポート 東京海上日動システムズ株式会社 小川 創也/山田 登志朗 7 ・サービス・ポートフォリオ管理:不況後の需要に対応するための鍵 ・ITIL® と伝統的マネジメントの融合 From service TALK 11 it SMF Japan / PMI 日本支部共催シンポジウム報告 セミナ担当 16 関西支部報告 it SMF Japan 関西支部 18 it SMF Japan 事務局 20 『第 4 回 it SMF Japan Newsletter Contribution Award』募集 特定非営利活動法人 理事長 年頭の挨拶 富田 修二 3)V3 資格・試験の普及のため、ITIL® V3 インターミディ 新年、明けましておめでとうございます。 エイト試験の日本語化作業を行い、試験、研修機関に提供 2010 年の活動 しました。これにより、日本語での ITIL® V3 インターミデ 2010 年は、ITIL® V3 普及元年と名づけ、あらゆる面で、 ィエイト受験が可能となりました。 V3 の普及活動を推進してまいりました。新規および主たる プログラムとしては、 4)書籍関連:新たな V3 補完書籍の投入に注力し、『ITIL® 1)3 種の White Paper の発行:『ITIL® V3 導入事例』、『や V3 ファンデーション・ハンドブック』、『ITIL® V3 ファンデ わらかい ITIL® ~組織に見合った ITIL® V3 導入に向けて ーション』の発売を開始しました。これにより、5 冊のコ ~』、導入の解説である『ITIL® V3 に取り組んでみませんか』 ア書籍が親しみやすいものとなり、ITIL® V3 の内容の理解 であります。これに加え、米国に ITIL® V3 調査団を派遣し、 及びファンデーション試験に容易に取り組めます。 United Airlines、Toyota Financial Services、Austin Energy 社を訪問、調査し、これも報告書としてまとめ、第 7 回コンファレンスにて配布しました。 2)通常のセミナに加え共同セミナ・シンポジウムの開催: 2 月 5 日 に ISACA Japan と、5 月 31 日 に JIPDEC と、11 月 26 日には PMI Japan と共催し、両分野にご関心がある方々 から、好評をいただきました。今後も、他の団体会員への ITIL® の普及を促進するとともにサービスマネジメントに他 の分野の知見を活用し、より強固なものにしたいと考えま す。また 2 月 25 日には、福岡で九州初のセミナを開催し、 5)新規分科会: 『IT 戦略とポートフォリオ研究分科会』、 『継 好評を得ました。さらに、セミナ、コンファレンスに参加 続的サービス研究分科会』、『プラグラムマネジメント研究 できなかった会員の便を図るため、セミナ、コンファレン 分科会』、『サービス妥当性確認研究分科会』を立ち上げま スでのトピックを WEB セミナとして、インターネットでの した。結果の一部は、2011 年のコンファレンスで公表でき ると考えます。 発信を開始しました。 3 ご案内のように、『第 7 回 it SMF Japan コンファレンス / EXPO』を 7 月 22 日・23 日に日経ホールにて、日経コンピ ュータとの共催、31 スポンサ、10 の IT 関連団体のご後援 をいただき、開催しました。『ビジネスを成功させる運用管 理の最適化、-クラウド時代に真価が問われるサービスマ ネジメント-』と題し、若干数、昨年を上回る参加を得ま した。今回の特徴は、従来の IT 企業に加え、ネット関連企 業、クラウド企業の ITIL® 提供例の紹介が増えたことです。 6)ユーザ会員増の強化策として、 『ユーザ企業向け会費無 料キャンペーン』を開始、少しずつ効果を上げつつあります。 第 7 回 it SMF Japan コンファレンス /EXPO 2011 年の活動 2011 年は、2010 年に改定した活動体制を引き継ぎ、また、 V3 のアップグレード、ISO/IEC 20000 の改定などを踏まえ、 1)さらなるユーザ会員増加の企画 2)IT サービス価値の創造、IT サービスのライフサイクル マネジメントを強く意識した書籍の発行、White Paper、種々 のセミナ、コンファレンス、分科会を通じた発信を行います。 3)ITIL® での企業内での人材育成への発信および V3 上級 資格・試験の普及の支援活動を行います。 4)ISACA、JIPDEC、PMI Japan、SIRI(Service Innovation Research Institute)に加えて、IT ユーザ関連団体との交流、 活動連携を深め、ITIL® の普及とサービスメネジメントの 充実を図ります。 5)it SMF UK、it SMF US と の よ り 密 接 な 交 流 を 実 施 し、 it SMF Japan の活動の活発化を図ります。 第 7 回 it SMF Japan コンファレンス /EXPO 4 2010 it SMF International 年次総会・支部リーダ会議報告 日時 : 2010 年 10 月 16 日 ・ 17 日 会場 : マレーシア ・ クアラルンプール マリオットホテルにて 参加 : 約 15 ヵ国 今年は、初めてアジアパシフィックでの開催となりまし 2 支部会議 た。今までは欧米でのみ開催されていましたので、アジア パシフィックでの開催が要望されており、今回それが実現 ① USA 支部より、新資格制度 pri SM® についての説明があ しました。 りました。現在米国でパイロットが行われており、2010 年 には、英国、オーストラリア、北欧諸国に拡大をしていく 2009 年の理事改選選挙では、アジアで初めてマレーシア ようです。 の Michael Kum 氏が、選任されました。 参照 URL は以下の通りです。 私は、it SMF Japan を代表し国際渉外担当理事として、 http://www.itsmfusa.org/prism 全日程に参加しました。10 月 16 日は夕食兼ねた懇談会、 17 日には朝 9 時から 15 時まで会議が行われました。 資格は知識判定とは違い業務経験成熟度レベル、4 段階 の認定レベル分けをし、$100 ~$400 の受験料を予定して 開催の概要は以下の通りです。 いるとの説明がありました。 1 AGM (年次総会) 議事内容 資格の特徴として ITSM のプロの資格としての認定を明確 化しました。インターナショナルの将来収入源となるよう ① 理事の補欠選挙を行い、以下の 4 名が決定 に考えていきたいと表明しました。 1、Alejandro Debenedet (Argentina) 2、Hon P Suen (Hong Kong) ② 支部の情報交換 3、Sallie Kennedy (USA) 参加した感想:アジアでの最初の開催は歓迎すべきでは 4、Ulf Myrberg (Sweden) ありますが、インターナショナルの財政難から、今回参加 費用が各支部負担となり、加えてアジアでの開催でもあり、 ② 決算報告書と活動報告書の承認 15 ヵ国程度の参加のみでしたので、欧州での開催より参加 ③ 来年度の方向性 国が、大幅に減少しました。 ④ 質疑:今後のインターナショナルの収入についてどうし V3 の普及状況は各国共に順調に行われているようであ ていくのか、今後の出版方針などが主な質疑でした。 り、V3 の資格取得制度も、全世界レベルで言えば順調に受 5 験者数が伸びているようです。 今後の課題としては、会議の質の向上と組織全体の利益 につながる施策が明確に見えていません。今後真剣に新理 事を含めて検討していく必要があると感じました。 基本的にインターナショナル自身が、どのような存続意 義と価値を支部や利害関係者に証明できるかが、大きな課 題となってると感じました。 また、残念ながらインターナショナルの組織運営能力 が落ちてきているように感じました。それは今回の会議 運営事務能力が低下し、事前の案内や当日の配布資料な どが、以前と比べますと準備不足だったからです。 全会議日程終了後、参加者がお互いにビデオインタビュ を行いました。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。 http://www.itsmfi.org/content/video-interviews-itsmf-agm-chapter-meeting-kuala-lumpur 来年度の開催は米国を予定しています。 it SMF Japan 副理事長 西野 弘 6 会員寄稿 it SMF UK Conference 2010 London 参加レポート 2010 年 11 月 8・9 日 Novotel London West 渡英前、実は、英国でも「クラウド」というキーワード でのセッション、出展が数多くあるのではないかと予想し ていた。というのも、今年度の it SMF Japan コンファレン スでは「クラウド」をキーワードとしたセッションが多く、 人気もあったように、「クラウド」の導入を検討している企 業が英国でも多数あるのではないかと感じていたからだ。 しかし、今回の it SMF UK コンファレンスでは、2 日目 Novotel London Hotel の基調講演が「クラウド」をテーマにしていた程度で、日 Ⅰ はじめに 本と英国のそれに対する関心の差を感じた。 2007 年のサブプライムローン問題、2008 年のリーマンシ ョックを引き金に全世界が 100 年に一度の大不況に陥り、 では、英国ではどのような取り組みに注力しているの どの業界もこの大不況を乗り切るため、試行錯誤しながら、 か? 様々な戦略を打ち出そうと取り組んでいる。 そのような状況の中、コスト削減、人材不足の問題を抱 える一方で、効率化や安定した IT サービスの提供を実現す るために、どう対応すればよいか世界中の企業が糸口を探 っている状況である。 当社も同様の課題を抱える中で、この厳しい状況を打開 する方法はないか、何かしらのヒントが掴めないかという 思いで、今回、「it SMF UK Conference 2010 London」に参 Conference Opening Barry Corless, it SMF UK Chairman 加した。 7 今回の it SMF UK コンファレンスでは、自分たちで独 自のツールを作成、導入する、また社内の人材育成に力 を入れている、という事例がいくつか紹介されていた。 それまで、コンサル会社や SIer、アウトソーサなどの外 部にすべてを任せていた部分を、自分たちで何とか実践 し、企業内部に力をためようと試みているというものだ。 例えば、英国国境局では、内部に IT の専門スキルを持っ た社員が過去にはほとんどおらず、コンサルや契約社員が 大半を占めていたが、SFIA や ITIL® を導入し、アナリスト、 アーキテクト、PM、PMO といった社内の人材を育成し、現 Exhibition floor 在は、90% 以上が正社員で成り立っているといった事例が あった。 しかし、一方で、複数のフレームワークを取り入れるこ クラウド先進国と言われる日本が、クラウドに矛先を向 とで、顧客に提供するサービスの費用が高くなることは間 け、クラウドと ITSM の関係について関心を注いでいる一方 違いなく、投資対効果と、コストに見合ったサービス提供 で、英国では、ITIL® と各種フレームワークとの共存・使 を前提にした上で、各種フレームワークの共存と使い分け い分けを考え、より実効性の高い CSI を目指して地道な努 が必要なのではないかと感じた。 力をしていることが伺えた。当レポートではその辺りを中 心に今年の UK コンファレンスを振り返りたい。 Ⅲ CSI の重要性 ITIL® V3 は、IT サービスマネジメントを戦略、設計、導入、 Ⅱ 他のフレームワークとの共存・使い分け 運用、改善というライフサイクルの観点で構成される 5 冊 2009 年 2 月に「CMMI-SVC」が公開されたが、「CMMI-SVC」 のコアブックのうち 1 冊に「継続的サービス改善」が加え と「ITIL® V3」の違いを踏まえ、いずれか一方、もしくは、 られている。今回の it SMF UK コンファレンスでも昨年度 いずれも適用すべきかという内容のセッションがあった。 はカテゴリとしてなかった「CSI」のセッションが 7 つもプ ログラムされており、ITIL® V3 において「継続的な改善」 IT サービスのライフサイクル全体をスコープにすると、 が重要視されていることが伺えた。 CMMI のみならず、PMBOK、COBIT、など、様々なフレームワ ークの適用が考えられる。 日本でも、安定的かつ継続的に IT サービスを提供するた めに、ITIL® のガイドラインに準じて、組織として PDCA の そんな中、どのフレームワークが優れているのか、どの サイクルを回すという「継続的な改善」は重要と認識され フレームワークを適用すべきか、または、すべて適用すべ ている。 きかといった悩みが出てくる。 しかし、他の ITIL® プロセスの実装とプロセス自体の成 本セッションでは、「CMMI-SVC」をプロセスの改善の観点 果(KPI)に比べて、実装した効果、有効性が見えるまでに で、何を実施するのかのロードマップとして、「ITIL® V3」 ある程度時間がかかるという理由から、他企業の成功事例 をプロセスの実装の観点で、どのように実施するのかとい に関心をもつ企業が多い。 うガイダンスとして使うことにより、より効果的なサービ スの提供ができるのではないかという提案があった。 今回のコンファレンスの「CSI」のセッションでは、いず れも約 80 席の会場が、満席に近い状況になっており、英国 確かに、複数のフレームワークを取り入れて、それぞれ でも日本同様、関心が高いテーマであることが感じられた。 の利点を生かすことは、より良い IT サービスマネジメント を目指すためには重要なことだ。 コンファレンスに出展していた、ITSM に関するコンサル・ 8 ルアップを実感できるような仕組みも紹介されており、当 社としても導入の検討が必要と感じた。 Ⅳ 人財の育成 今回のコンファレンスで、it SMF Japan の富田理事長と お話しさせていただく機会があったが、その中で、日本 は ITIL® ファンデーションの資格保有者は多いのに、上 位の資格(Intermediate、Practitioner、Expert、Manager) 保有者が少ないという話を伺った。 Session Hall 英国では、コンファレンス参加者にも上位資格取得者が トレーニング提供会社のコメントによると、「ITIL® にはプ 多数おり、全体の取得者数も多いと聞いた。この違いは何 ロセスのグッドプラクティスが記載されているが、それが か。私たちの得た結論は、日本と英国(欧州)の資格に対 どの程度機能しているかを評価する物差しがない。このこ する考え方に違いがあるということだ。 とが、企業がうまく継続的な改善を定着させることができ 日本の場合、企業の中で知識を身に着ける傾向にあるが、 ない原因だ」と評価されていた。 欧州では、資格を持って雇用され、仕事をするという考え 方なのだ。 そこで、ITIL® に完全準拠とはいかないが、「規格に必要 なプロセスを包括的に実装しているか」、「IT サービスマネ ジメントの改善が継続的に行われているか」を、第三者が ITIL® ファンデーションは、確かに IT サービスマネジメ 一定の評価軸で定期的に評価する「ISO/IEC 20000」の活用 ントを実践する上での基礎知識を得るには有用であるし、 を、問題解決のひとつの手段として位置づけていた。 運用プロセスの構築には役立つと思うが、欧米並みに戦略 的、経営的な視点で IT サービスマネジメントを捉え、また、 ~ CSI および ISO/IEC20000 への関心事について~ 継続的な改善を行うことで本来の目的である企業ビジネス 「ISO/IEC 20000」 の 規 格 は、 英 国 で 生 ま れ た ITIL® や への貢献に繋げるという発想までは至らないのではないか BS15000 をもとにしているものであるが、世界的に見ると と感じた。グローバルなビジネスを展開する日本企業にと 2010 年 11 月時点の取得企業数は、1 位 中国、2 位 日本、 って、ビジネスに踏み込んで IT サービスマネジメントをリ 3 位 英国であり、英国のコンサルや教育機関も、「ISO/IEC ードできる Expert や Manager の人財育成が必要だ。当社も、 20000」の新たな取得企業の拡大を積極的に進めているよう このような人財育成が今後の課題であると認識している。 である。 一方、これら上位資格の取得には大きなコストが掛かる 一方、当社も「ISO/IEC 20000」の認証を取得しているが、 取得して間もない頃は、規格要求事項に照らし合せて、改 善が見込まれる点が可視化され、改善活動が機能している 実感があった。しかし、3 年目の更新審査を終えた今、規 格要求事項を満たしているか否を評価基準としている定期 的な審査では、CSI のツールとしての意味が薄れてきたと 感じている。 やはり、この課題意識は英国も同じようで、今回のコン ファレンスでも、同様の課題意識から、「ISO/IEC 20000」 のフレームワークに CMMI のように、5 段階の評価を取り入 れ、昨年より今年、今年よりも来年と、毎年成熟度のレベ Closing Keynote Sharon Taylor, Aspect Group 9 ことも現実だ。個人で投資するには今の日本ではリスクが ッション、スポンサ展示が行われ、11 月 10 日~ 12 日の 3 高い。一方で、特に当社のようなユーザ企業としては、上 日間は予約制のトレーニングが開催された。 位資格者を多数輩出することのコストメリットが見えてい 2 日間のコンファレンスは、大ホールでの基調講演が 3 セ ない。 ッション、個別セッションについては、「Lesson Learned」、 このジレンマを解決するためには、これらの上位資格が、 「CSI」、「Tips & Techniques」、「People」、「Interactive」、 ユーザ企業や資格を取得した本人にとって、相応のコスト 「Back to Basic」の 6 つのカテゴリに分けて 47 セッション が行われ、EXPO 会場ではソリューションベンダや、研修サ メリットがあることを示す必要があると感じる。 ービスを中心に、44 社のスポンサ展示が行われた。 自分たちにできることは社内に向けてのアピールである が、it SMF Japan の今後の活動にも期待したい。 今回のコンファレンスには、当社の他に日本から it SMF Japan の富田理事長と、日本アイ・ビー・エム社、アイエ Ⅴ 参考(会場と期間、セッションの傾向) ス情報システム社、CTC テクノロジー社が参加されていた。 2010 年 11 月に開催された it SMF UK のコンファレンスは 《UK Conference の状況》 開 催 年 2008 年 開 催 回 数 第 17 回 開 催 地 Birmingham 開 催 日 数 3 日間 セッション数 66 回 出展企業数 77 社 今回で 19 回目を数え、当社としては、2006 年から 5 回目 の参加となった。 今 回 の コ ン フ ァ レ ン ス の 日 程 は、11 月 8 日 ~ 12 日 の 計 5 日 間 で、London と Heathrow 空 港 の 間 に 位 置 す る Hammersmith の「Novotel London Hotel」で開催された。 2009 年 第 18 回 Birmingham 2 日間 60 回 49 社 2010 年 第 19 回 London 2 日間 47 回 44 社 東京海上日動システムズ株式会社 5 日間のうち、11 月 8 日・9 日の 2 日間は基調講演やセ 小川 創也/山田 登志朗 一番左・小川氏、左から三番目・山田氏 10 サービス・ポートフォリオ管理: 不況後の需要に対応するための鍵 今や多くの企業が不況から抜け出し始め、将来の成長を視野に入れ始めてい ますが、IT 部門は数年にわたる予算引き締めの後、目の前の需要に対応しよ うと今でも苦闘が続いています。Rob Stroud が、限られた IT リソースを最適 に活用しようとしている担当者の皆さんにいくつかアドバイスします。 IT マネジメントでの長年の経験と技術的観点から得た は、今のリソース・レベルで運用責任を果たし、絶えず 知見から、コストに見合った付加価値をもたらす投資と 変化する事業のニーズに対応しながら、どのようにそれ リソースを見分けるのはますます困難になっていると感 を実行するのかです。 じています。事業に対する IT の真の価値を理解するこ とへのプレッシャーが、今ほど高まったことはありませ ある大手ヘルスケア企業の CIO と最近話をすることが ん。同様に、経済動向も予測困難になっています。経済 あったのですが、IT 予算は今年わずか(約 1%)しか増 は回復するのでしょうか、それとも二番底に向かおうと えなかったそうです。しかし、それに伴う事業からの しているのでしょうか? この質問に答えが出れば、事 命令は単にプロセスを自動化するだけではなく、成長戦 業の需要が増えるのか減るのかがわかるでしょう。そし 略を反映するよう技術革新せよというものでした。彼女 て事業の需要が急速に増大するとするなら、IT 予算の水 はアプリケーションの合理化により、また、アウトソー 門は開くのでしょうか? おそらく、そうはいきません。 シングや仮想化サーバ、ストレージおよびデスクトップ の迅速な展開も視野に入れてコスト削減を行うといいま 事業と IT マネージャには日々幾つもの課題が課せら す。こうしたコスト削減で今年度はひと息つけますが、 れます。経済が混乱したこの 2 年間というもの、厳しい 本当に持続可能な成長とは、事業戦略を理解し、リソー 予算削減、プロセスの自動化、仮想化への投資、多くの スを優先度付けし、需要に対してより素早く対応する能 技術革新の延期や取り消し、人員削減などが行われてき 力から生まれるものです。今やヘルスケア部門はあらゆ ました。しかし、今や要求事項が変わりつつあります。 る面で緊急救命室化しているようです。医師は即座に患 不況から抜け出し(二番底になるかどうかはわかりませ 者記録にアクセスし、モニタ装置を操作しなければなり んが)、事業は IT に技術革新への着手を求めるようにな ません。しかも、より長い期間にわたる患者の健康と、 るでしょう。これは良いことではありませんか? 問題 こうした重要なサービスを推進する予算を基準に、すべ SERVICETALK OCTOBER 2010 11 てを管理する必要があります。例 多くの組織がサービス・ポートフォリオ管理(SPM)を えば、以前の診療や検査から得た 進めています。SPM を個人的に定義すると、事業が優先順 履歴データにもっと適切かつ柔軟 位を決定できるよう、需要すべてを総計し組織要件に対し にアクセスできれば、医師はより て投資をバランスさせることになります。この重要な側面 迅速に診断でき、患者にとっても の 1 つがサービス・カタログによる反復的なサービスの提 医師にとっても良いばかりか、予 供であり、これにより顧客は事業要件に対してサービスの 算が限られた中でコストのかかる 品質をバランスさせることができます。車の購入など、日 不要な手間を避けることができる 常的にありうる意思決定と変わりありません。秘訣は、基 のでしょうか?おそら ため、費用対効果が大幅に改善さ 礎となるインフラストラクチャからビジネス・サービスを く、そうはいきません」 れる可能性があります。ここまで 分離し、IT が最も費用対効果の高いサービス提供方法を判 わかれば、ネットワークのアップ 断できるようにすることです。その方法の例としては、社 グレードが患者記録の確実な共有 内システム、アウトソーシング契約、クラウド・コンピュ 化をサポートする理由を理解する ーティング活用などがあります。 「事業の需要が急速に 増大するとするなら、 IT 予 算 の 水 門 は 開 く のは造作ありません。 SPM の導入により、基幹道路への入り口、つまり目指す 現在の業務負荷を管理し、将来 べき道の出発点が複数できます。需要管理、財務管理、サ の需要を予測し、予期せぬ成長に ービスレベル管理、ポートフォリオ分析、サービス・カタ 対するリソースを確保するための ログなど、多くの要素が関わりますから、いきなり走り出 プロセスを整備する必要性は、今 すのは禁物です。まず諸要素のいずれかに着手し、カタロ やどの CIO にとっても優先度の高 グを利用して需要を満たし、時間をかけて成熟させるのが い項目に違いありません。IT はポ 適切なアプローチです。 ートフォリオ全体をくまなく管理 する必要があるのですから。それ Robert E Stroud は、CA, Inc のサービスマネジメ を効率的に行う唯一の方法は、需 ントおよびガバナンス担当副社長、ISACA および 要のあらゆる側面(戦術的なもの、 ITGI の国際副理事長、および it SMF 国際執行委員会 戦略的なもの、および通常の事業 の委員。近々開催される it SMF UK コンファレンスで、 も含めて)を利用可能なキャパシ サービス・ポートフォリオ管理のテーマについて講 ティと照らしながら管理し、現在 演を行う予定です。 提供されているサービスをサポートし、事業戦略の実現に も役立つ投資決定を行うのに必要な知識を事業に提供する ことです。 あるクライアントから拝借した 4 段階の手引き: 段階 1 一般的な要求にはサービスデスクを利用する。 マネージャの承認さえあればよい単純なプロセスを提供する。 段階 2 ユーザがサービスを「要求」できるように公開されたカタログ・インタフェースを作成し、サービスの期待 事項と財務的な影響を詳細に提示する。この段階ではバックエンドが人手による作業になってもよい。 段階 3 バックエンド・プロセスを自動化し、納期遵守を実現する。 段階 4 事業ライン別の、役割に基づいた利用権のカタログを完備し、コストに応じてサービスを複数レベルに分類 して記載し、選択に応じた供給と請求を行う。 このような段階的アプローチにより、SPM は事業戦略の変更に対応し、IT の本当の値打ちを実現するうえで欠かせ ないツールとなるでしょう。 SERVICETALK OCTOBER 2010 12 ITIL と 伝統的マネジメントの 融合 ® ITIL® がこの数年間で IT 関係者に有用なアイデアをもた その中核プロセスがあります。サービスマネジメント・ソ らしてきたことには疑問の余地がありません。IT 部門で、 フトウェアでテストされるのは、これらのプロセスを反映 より密接に事業のニーズに整合された一群のプロセスを利 させる能力です。良かれ悪しかれ、ITIL® はそのプロセス 用するというその中核的な原則は、一部の企業でサービス によって一般に認知されています。問題は、一部の人間に 提供を大変革させ、ITIL® 用語は IT サービスの共通語にな は ITIL® が IT サービスのマネジメントのすべてであるか りました。 のように映ることです。要するに、ITIL® が「IT サービス マネジメントのベストプラクティス」としてすっかり普及 一般的には、ITIL® はあくまでフレームワークだと認識 したということです。もちろん、その対応範囲にかかわら されており、詳細は領域によってまちまちです。本当に効 ず、ITIL® が IT であろうがなかろうがどのような部門のマ 果的な導入のためには、ほぼ必ずと言ってよいほど事業環 ネジメントについても知っておくべきあらゆるものを網羅 境にマッチさせる調整が必要であり、企業の IT への浸透 していると考えるのは、単純すぎるでしょう。やはり、そ に応じてその調整の詳細度も増していきます。このように こにはリスクがあります。その証拠に、サービスデスクと 再調整が必要なのも、IT 提供が ITIL® だけでは済まないこ IT サポートのイベントや it SMF コンファレンスの展示フロ との証です。プロセスを最適に機能させるには、少なくと アを見てみてください。従来のマネジメント課題について も事業との連携を付加しなければなりません。 少しでも触れたものを見ることは滅多にありません。 より深いレベル 昔からマネジメント原則の基本とされてきた「人材、プ しかし、ITIL® で説明しきれない深いレベルや、ITIL® ロセス、技術」の 3 要素においてすら、ITIL® フレームワ が対応し始めてすらいない領域もあります。そのような領 ーク自体は実際のところ「プロセス」部分を見ているだけ 域では伝統的な「マネジメント」の考え方で対応していま で、「技術」部分はおそらく ITIL® のプロセスを反映しよ す。生産の需要があり、それに対応するために人材が配備 うとしているソフトウェア・ベンダによって対応されてい されるところでは以前からほぼ必ず必要になってきたもの るのです。しかし、John Adair、Rosabeth Moss Kanter、 です。これは私が行っている IT コンサルティングと IT サ Elton Mayo、Max Weber といったマネジメントの権威は、 ポート・チームへのトレーニングの中核をなすものです。 昔から「マネジメント」をツールや官僚機構をオーケスト レーション(統率)することではなく、技術者、顧客、提 「マネジメント」という言葉の伝統的な用法は ITIL® に 携先、競合相手なども含めた人々が企業レベルで集約的な おける用法に先立つもので、比較的限定されたサブセット 成果を生みだすための努力をオーケストレーションするこ である ITIL® のそれとはまったく異なる、より幅広い範囲 とであると教えてきました。実際、何世紀にもわたる英知 が「マネジメント」とは何であるかを示してきたものを の項目を指しています。ITIL® フレームワークの中心に、 SERVICETALK OCTOBER 2010 13 ITIL® ではカバーしていないというなら、「IT サービスマ うな、数多く頻繁に生じる状況にどう対処するかは助言で ネジメント」、まして「ベストプラクティス」と呼ぶこと きません。それは、手順の問題ではなく、経験的なものです。 は正しいことなのでしょうか? ITIL® は実際には「マネジ 「人」の問題、事業の本質なのです。ITIL® がすべてではあ メント」の一部しか体現していないのだから、あくまで「ア りません。そうであるはずはないのです。楽曲はハーモニ ドミニストレーション(管理運営)」の一形態であると呼 がすべてではありません。チャンピオン・リーグで優勝す ぶほうがより正確ではないかという議論もあります。 ることも、チーム編成がすべてではありません。 組織のオーケストレーション ITIL® 自体から例を挙げれば、サービス・カタログは優 個人的な経験からも、人材を基本とするリソースのオー れたアイデアです。サービスすべてが公表され、顧客は何 ケストレーションが鍵であるという伝統的なマネジメン が利用できるかわかりますし、事業は何に投資しているの トの説明が正しいことはわかります。適切に文書化され かがわかります。しかし、ITIL® の範囲を超えたところに た官僚機構と、活力があり人望のあるリーダのどちらが部 も視野を向けているマネージャであれば、それを利用して 門を成功に導けそうでしょうか? 国家や企業の歴史を見 できることややるべきことがもっとあるでしょう。 ても、強力なリーダシップのもとで成功や繁栄がもたらさ れ、逆にリーダシップのないところには凡庸と停滞が訪れ ITIL® を超えて る例は枚挙に暇がありません。高度なマネジメント・スキ まとめると、サービス・カタログは単に自部門の製品を ルを持つ人間のリーダシップは、プロセスのみに依存する 列挙したものではなく、実質的には自部門の IT サービス よりも圧倒的に良い成果を生みます。もちろん当のリーダ 工場の生産ラインを列挙したものだと言えます。これらの も、多くがそうするように、日常的な作業を自動化するた 生産ラインにはそれぞれ定義可能な需要のレベルがあり、 めに ITIL® などのプロセス・フレームワークを展開する選 それを常にベンチマークして、ラインをどれだけ速く稼働 択をするかもしれません。しかし、ITIL® 導入者たちも認 できるか、またベンチマークされた需要を満たすためにど めるように、マネジメントとリーダシップが先決であり、 れだけのリソースを投入しなければならないかを把握する ITIL® 導入はそれに従うものです。 必要があります。そのため、各ラインについて数量を正確 に理解しなければなりません。そうでなければ、ラインが マネージャが第一で、プロセスは二の次とならなければ 需要を満たすためにどれだけのリソースを投入すればよい なりません。プログラムがいかにうまく設計されていよう 良いのかがわかりません。次に、ラインから送り出される と、スタッフの意識がそれに沿っておらず、顧客の期待事 製品の品質が問題になります。品質が高すぎては不要なコ 項が管理されていないのであれば、意味がありません。世 ストがかかりますし、低すぎても事業のニーズに応えられ 界最高の機械が作れたにしても、人がそれを正しく利用し ません。そこで、実際に必要な品質レベルを交渉する必要 なければその効果は失われます。その証拠に、過去のサー があります。つまり、エコノミークラスが求められている ビスデスク賞を見れば、他社を圧倒する IT サービスを実 のか、ビジネスクラスが求められているのかということで 現するのに ITIL® は必要ないことがわかります。 す。この違いは重要です。生産ラインはすべて 4 つの要素 からなります。原材料、付加価値、プロセスの相互関係、 理想 そして作業者のスキルです。この 4 要素すべての管理を、 もちろん、理想は、ITIL® の手引きの構造と、前向きで どのラインに対しても行わなければなりません。前述のカ 人望あるマネージャやマネジメント・チームのカリスマ的 タログの各製品を見て、それらの製品をどれだけの数量つ で組織的な手さばきの両方を手にすることです。一方が他 方の足りない部分を互いに補うでしょう。リーダは ITIL® 導入を進める領域を戦略的に考えます。プロセスが現場を 対象とするのに対し、リーダは政治的な障害の回避、顧客 の期待事項の明確化、社内の各サービスレベルの交渉や社 員への動機づけなどに意を注ぎます。 ITIL® のカバーしている範囲すべてを援用しても、専門 技術、政治的状況、および人格が互いにオーバーラップし て顧客との関係やチームの構造に独自のひねりを加えるよ SERVICETALK OCTOBER 2010 14 くれるのか、納期が速いのか遅いのか、品質レベルはどう ーチ」により、バージョン 2 に比べてサービス市場の伝統 か、財務およびリソースのコストはどのくらいかなどが、 的なマネジメントにより近づきましたが、その代わりに ライン同士を比較しながら、製品それぞれを事業のニーズ、 運用レベルでの詳細で実務的な手引きが後回しになりまし 期待事項および財務的な許容度と照らしながら、正確に把 た。今のところ、IT サービス提供は ITIL® で完全にカバー 握できる必要があります。 されているとは言えません。しかし、伝統的マネジメント が ITIL® を取り入れるにつれ、それらが相互に排斥しあう 上位概念 ものではないことが明らかになるでしょう。どちらも連携 明らかに前述の例は、予測できない数の問い合わせを受 しあうものです。ただ、ITIL® だけではマネジメントの全 け付けてそれらを「処理する」グループを幾つか整備する 体像を描き切ることはできませんが、伝統的マネジメント だけでは済まない、はるかに複雑な状況を示しています。 は ITIL® なしでも IT を運用できるのは自明です。 ITIL® の適用範囲より上位の概念である伝統的なマネジメ Noel Bruton は、英国で活動するコンサルタント兼 ントが、こうしたその他の課題に対応します。ITIL® は全 トレーナで、IT サポートの管理と改善の実務につ く「人材」を扱っていません。しかし、伝統的な意味での いて企業への助言を行っており、IT サービス提供 マネージャなら、IT スタッフが配備され、スキルがあり、 のあらゆる側面についての著書が幾つもベストセ 士気が高く、リソースが充分で、満足度が高く、政治的な ラーになっています。筆者の著作については、www. 邪魔がなく、無秩序な要求に仕事を中断されることがない noelbruton.com を参照してください。 ようでなければ、いかに優れたプロセスでも正しく機能し ないことをわかっています。また、 顧客の期待事項が妥当で、 対応可能で、会社の慣習に沿ったものでなければ、サービ Noel Bruton は、ITIL® によるプロセス スはそれに応ずることができず、失敗したと見なされます。 への体系的なアプローチは、IT サービ スマネジメントを成功させるという難題 の一部でしかないと主張します。。 ITIL® バージョン 3 は、その「ライフサイクル・アプロ ಖᏲ䝃䞊䝡䝇ᴗົ䜢㧗┈ ᨷ䜑䛾⤒Ⴀ䛻 広告 ➨5ᅇ 䜰䝇䝔䜰䝉䝭䝘䞊㛤ദ ᪥䠖2011ᖺ3᭶9᪥ 13:00ሙ䠖ᮾிᅜ㝿䝣䜷䞊䝷䝮 ಖᏲ䝃䞊䝡䝇ᴗົ ⤫ྜ䝋䝸䝳䞊䝅䝵䞁䝋䝣䝖䜴䜵䜰 AsteaAlliance™䠄䜰䝇䝔䜰 䜰䝷䜲䜰䞁䝇䠅 ಖᏲ䝃䞊䝡䝇ᴗ⏺䛾ືྥ䛸 䝰䝞䜲䝹䜢ά⏝䛧䛯䝅䝇䝔䝮 䜾䝻䞊䝞䝹䝃䞊䝡䝇ᴗ䜈䛾ά⏝ 䛣䛱䜙䛛䜙䛤Ⓩ㘓䛟䛰䛥䛔䜎䛫 ¾Web䝧䞊䝇 ¾䜾䝻䞊䝞䝹ᑐᛂ www.astea.com/jp/seminar/ ‽ᣐ ¾ ¾ᡂᆺ䝟䝑䜿䞊䝆䝋䝣䝖 䠄㛤ᑒ䛧䛯䛭䛾᪥䛛䜙䠅 ITIL 9㢳ᐈ䞉〇ရ䞉ዎ⣙䞉䝧䞁䝎䞊ሗ 9䝁䞊䝹䝉䞁䝍䞊 9䝣䜱䞊䝹䝗䝃䞊䝡䝇 9㏉ရಟ⌮ 9Ⴀᴗᨭ䞉䝬䞊䜿䝔䜱䞁䜾 9ᅾᗜ≀ὶ 9䝰䝞䜲䝹䞉GPS 䛺ᡭᑟධ㢳ᐈ ᮾⰪ䜾䝹䞊䝥ᴗᵝ ᐩኈ䝣䜲䝹䝮䜾䝹䞊䝥ᴗᵝ Ἀ㟁Ẽ䜾䝹䞊䝥ᴗᵝ 䝋䝙䞊䜾䝹䞊䝥ᴗᵝ 䝉䜲䝁䞊䜾䝹䞊䝥ᴗᵝ 䚸ᅜෆ40♫௨ୖ䠄䜾䝻䞊䝞䝹600♫䠅䛻᥇⏝䛥䜜䛶䛔䜎䛩 ᮏ♫䠖⡿ᅜ䝨䞁䝅䝹䝞䝙䜰ᕞ ᪥ᮏἲே䠖 ༊༡㟷ᒣ 㟷ᒣ䝒䜲䞁䝍䝽䞊 15 www.astea.com/jp it SMF Japan/PMI 日本支部共催 シンポジウム報告 2010 年 11 月 26 日(金) IT ライフサイクル・マネジメントを真剣に考える ~プロジェクトマネジメントと IT サービスマネジメントの融合~ ●テーマ: 関連団体と連携したイベントの 3 回目として、一般社団 「IT ライフサイクル・マネジメントを真剣に考える 法人 PMI 日本支部様と共催のシンポジウムを開催いたし ました。今回のシンポジウムは、首都圏のイベントとして ~プロジェクトマネジメントと IT サービスマネジメントの融合~」 は初めて東京を少し離れて、横浜・日吉の慶應義塾大学の 記念ホールにて、大学関係の講師の方も迎えて非常にアカ ●講演テーマと講演者: デミックなムードで行われました。 <ご挨拶> PMI 日本支部 会長 神庭 弘年氏 参加者として、PMI 日本支部会員、it SMF Japan 会員含め、 it SMF Japan 理事長 富田 修二氏 258 名の方にお集まりいただき、年次コンファレンス以外 ではこれまでの最大のイベントとなりました。 概要は以下のとおりです。 ●開催日時 :11 月 26 日(金) 13 時 00 分~ 18 時 20 分 ●場所:慶應義塾大学(日吉キャンパス) 藤原洋記念ホール 神庭氏 16 富田氏 システムデザイン・マネジメントに関するご講演をいただ <基調講演> きました。参加者から「大学が取り組んでいる新たな視点 『サービスイノベーションとサービスサイエンス』 東京工業大学大学院 の教育(自主性を求める)がよくわかった」「学生がやって イノベーションマネジメント研究科教授 いる ALPS をもう少し詳しくお話しいただきたかったです」 日高 一義氏 「PL の育成ポイントを知りたかった」などのコメントをい 日高氏 ただきました。 < PMI 日本支部 講演> it SMF Japan 事例講演として、損保ジャパン・システム 『慶應 SDM ~プロジェクトリーダー育成への挑戦』 慶應義塾大学大学院 ソリューション 井場様より自社の ITIL® への取り組みに システムデザイン・マネジメント研究科准教授 ついてご講演をいただきました。損保ジャパン様のシステ PMI 日本支部理事 当麻 哲哉氏 ムの運用の責任者として、クラウドサービスの利用も含め 当麻氏 て、ますます複雑化していくシステムの課題に対して、例 < it SMF Japan 事例講演> えば、サービスカタログによる、「システムサービス」を起 点としたアプローチの導入や、プロジェクト・ライフサイ 『損保ジャパンにおける運用サービスの現状と 今後の課題』 クルの上流工程から保守運用部隊の関与を強めるなどの活 株式会社損保ジャパン・システムソリューション 動を説明していただきました。参加者からは、「サービスカ タログは良いとりくみだと思う。参考にしたい」「実際に現 システム基盤第二グループリーダー 井場 隆史氏 井場氏 場を持っている方のお話は具体的で示唆に富んでいて大変 興味深かったです」「SaaS への考え方が参考になった」な どコメントをいただきました。 <パネルディスカッション> 『IT ライフサイクル・マネジメントを真剣に 最後のパネルディスカッションでは、今回のシンポジウ 考える~プロジェクトマネジメントと IT サ ムのテーマでもある『IT ライフサイクル・マネジメントを ービスマネジメントの融合~』 モデラ:PMI 日本支部 会長 神庭 弘年氏 平石氏 真剣に考える~プロジェクトマネジメントと IT サービスマ ネジメントの融合~』について、PMI 日本支部と it SMF パネリスト: Japan の双方の理事の方々および井場様をパネリストとして PMI 日本支部 理事 当麻 哲哉氏 ディスカッションが行われました。 会場との質疑応答も積 PMI 日本支部 理事 平石 謙治氏 極的に行われ、非常に好評をいただきました。 it SMF Japan 副理事長 西野 弘氏 西野氏 今回のシンポジウム参加者のアンケートでは、「PM と 株式会社損保ジャパン・システムソリューション 井場 隆史氏 ITSM の融合は重要なこと、今後も定期的に開催して欲しい」 PMI 日本支部 神庭会長および it SMF Japan 富田理事長 「共催は画期的であり、今後実務事例なども含めた構成での からのご挨拶に続き、基調講演として、東京工業大学大学 継続を期待します」など、it SMF Japan と PMI 日本支部と 院 日高先生よりサービスサイエンスに関するご講演をいた の初めての合同シンポジウムについて、再度開催すること だきました。サービスをサイエンスの対象ととらえ、サー を期待するコメントが多く見られ、ぜひ今年も企画してい ビスとは、から始まり、さまざまな角度から大学でのご研 きたいと思います。 究の一端を紹介いただきました。サ ービスの時代的背景や海外・国内で の動向など、データを交えて興味深 いご講演でした。 次に、PMI 日本支部理事でもある 慶應義塾大学大学院 当麻先生より 17 セミナ担当より 関西支部活動報告 ■ it SMF Japan 関西支部 第 1 セッションでは、7 月にテーマ:「ビジ 新年あけましておめでとうございます。 ネスを成功させる運用管理の最適化」で大手町 皆様には 2011 年の新春をご健勝にてお迎えのこととお喜び申 の日経ホールにて開催しました「第 7 回 it SMF し上げます。併せまして、平素より it SMF Japan の運営・活動 Japan コンファレンス /EXPO」のご報告と最近の へ多大なご協力をいただき、心より御礼申し上げます。関西支 ITIL® の動向、併せてコンファレンス会場で配 部につきましても、昨年同様よろしくお願いいたします。 布しました White Paper についてもご紹介しました。 2010 年は、国際情勢の不透明性が増し、円高が急激に進むな 第 2 セッションは、教育コースとして、ITIL® ど、経済を取り巻く環境に暗い影を落としましたが、その一方で、 V3 認定教育の応用コースであるインターミディ 「探査機はやぶさのイトカワの微粒子確認」「ノーベル化学賞に エイトコース:「RCV」の概要について、株式会 日本人 2 氏が受賞」など、日本の科 ( 化 ) 学技術の高さを世界 社プロシード・河合様にご講演賜わりました。 に証明した年でもありました。 アンケートでは「サービストランジションのプ ロセスが理解できた」「体系だった説明で良く理解できた」と高 IT 業界においては、「持つ/作る経済」から「使う/共有す い評価を頂戴いたしました。 る経済」へのシフトがおき、クラウドコンピューティングが普 及した年でした。また、タブレット型端末やポケット WiFi など 今後も皆様の活動に役立つ教育コースを選定させていただき の携帯利用型の新商品がヒットし、IT の利用形態に大きな変革 たいと考えております。 が起こり始めた一年であったと言えるのではないでしょうか? このように多様化する IT ニーズに応じて、場当たり的に IT 運 最後のセッションでは、ユーザ事例講演とし 用するのではなく、必要なところを『おいしいとこどり』して て、加古川市・三和様より ITIL® 導入とサービ 活用できるのも ITIL® であると考えております。 スデスク運用開始までの経緯について、その実 現の難しさなどを自治体のおかれている現状を さて、関西支部では会員様サポートとしてセミナを年 2 回 折り混ぜ、ご講演いただきました。参加された 開催しており、第 1 回目は 10 月 25 日 ( 月 ) に TKP 大阪梅田 皆様から、 「非常に有意義でプロアクティブな活動に感心した」 ビジネスセンターで行いました。月末のお忙しい中にもかか 「自治体の状況が理解できた」などの感想を多くいただき、具 体的な事例への関心の高さがうかがえました。 わらず多くの方々にご出席をいただきました。ありがとうご ざいました。 18 また、今回のアンケートでは、セミナ参加の動機や、セミナ への期待といった項目で、具体的な導入事例の要望を数多くい ただきました。今後のプログラムの参考にさせていただき、セ ミナ活動をよりよいものにしていきたいと考えております。な お、セミナアンケート・実施報告につきましては、it SMF Japan の会員ホームページよりダウンロードが可能となっております ので、参考にしていただければ幸いです。 今回のセミナでは、初めて自治体のユーザ事例を取り上げま したが、引き続き自治体への ITIL® 紹介や意見交換、新規分科 会の支援など、ITIL® 普及啓蒙活動に積極的に取り組みます。 今年度 2 回目の関西セミナは、2011 年 3 月の開催を予定して おります。詳細は、it SMF Japan ホームページに掲載いたしま すのでご参照ください。皆様のご参加を心よりお待ちしており ます。 末筆ではございますが、今後とも it SMF Japan の会員皆様に とって喜ばれる活動、内容をめざして参りますので、ご指導、 ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げますとともに、皆様の今 年一年のご健勝とご活躍をお祈りしております。 ■広告の募集 各種募集のお知らせ it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」では、IT サービスマネジメ ントに関するビジネスに取り組む企業会員様からの itSMF Japan 会 報誌「ニュースレター」( 年 4 回発行 ) への広告掲載を募集してお ります。 it SMF Japan オフィシャルサイト(http//www.itsmf-japan.org) 会報誌のページにございます「広告掲載規定」をご確認のうえ、 「it SMF Japan 広告掲載申込書」にご記入の上、事務局までメール にてお申し込みください。 ([email protected]) 回数 掲載場所 表紙の次のページ 1回 上記以外 ( 通常のページ ) 半年 (2 回 ) 通常のページ 通年 (4 回 ) 通常のページ ページ 料金 ( 税込 ) 1 ページ 105,000 円 半ページ 42,000 円 1 ページ 84,000 円 半ページ 68,250 円 1 ページ 136,500 円 半ページ 105,000 円 1 ページ 210,000 円 ■投稿の募集 it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」では、会員の皆様からの投稿を随時募集しております。ぜひ会員の皆様の貴重なご意見・ it SMF Japan Web ペー ご経験をお伝えさせていただきたいと考えております。なお投稿を採用させていただきました会員様には、 ジで販売している書籍(PDF 書籍は除く)からご希望の書籍を 1 冊贈呈させていただきます。 ■インタビュをお受けいただける会員様の募集 it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」では、企業会員様及びコンファレンスでご講演いただきました企業様を対象として 1 時 間ほどのインタビュを行わせていただき、IT 組織の概要、運用システムの概要とともに、自社における IT サービスマネジメン トの取り組みをご紹介させていただいております。こちらも随時募集しております。投稿と同様ご希望の書籍を 1 冊贈呈させ ていただきます。 19 『第 4 回 it SMF Japan Newsletter Contribution Award』 募集のお知らせ ■応募資格者 it SMF Japan 会員 ■募集対象期間 2010/10月号 2011/ 1月号 2011/ 4月号(4月15日発行予定、原稿締め切り 3月18日) 2011/ 7月号(7月 1日発行予定、原稿締め切り 6月10日) に応募された原稿。 ■応募要綱 【募集テーマ】 ITIL® に関連する記事(IT サービスマネジメント関する事例や調査・研究発表など) 【字数】 4000 字~ 8000 字程度(図表・写真を含め A4 4 ~ 8 枚程度) 【原稿の構成】 1. 見出し符号は次の順に用いてください。また、符号には句読点を打たず 1 字あけてください。 Ⅰ II III・・・、1 2 3・・・、1)2)3)・・・、(1)(2)(3)・・・、・・・ 2. 大見出しの符号(I II III・・・)の前行は、必ず 1 行あけてください。 3. 文章は「である」調に統一してください。 4. 第三者データの引用がある場合は、事前に著作権者に引用許諾を受けてください。 ※ ITIL® の商標権は CrownCopyright であり、ITIL® の書籍からの図や文章の利用については OGC からのライセンスが必要 になります。もし利用する場合は、事前に it SMF Japan 事務局(会報誌担当)までご相談ください。 <OGC のガイドライン > http://www.ogc.gov.uk/intellectual_property.asp http://www.ogc.gov.uk/copyright_using_ogc_copyright_material.asp ※ ITIL® の商標権は英国政府 OGC にあるため、原稿内では ITIL® と記載してください。また、ITIL® 初出のページには 以下の注釈を付記してください。 ITIL® is a Registered Trade Mark of the Office of Government Commerce in the United Kingdom and other countries. 【ファイル形式】 MS Word もしくはテキスト形式 【その他】 1. 企業の製品やサービスなどの宣伝につながる記述はご遠慮ください。 it SMF Japan による当該寄稿文の再配(出 2. 掲載された寄稿文の著作権は著者に帰属しますが、著作権者は、 版物や Web への掲載、CD-ROM への収録など)を許諾するものとします。 3. 顔写真を添付いただければ、掲載させていただきます。 4. レイアウトは、it SMF Japan にて実施しますのでご了解ください。 ■賞品 【最優秀賞】 2011 年開催の it SMF USA Fusion 11 あるいは、it SMF UK コンファレンス参加のための交通費・宿泊費・ コンファレンス参加費を最大 50 万円まで負担いたします。 ※報告レポートをご執筆いただき、it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」に掲載いたします。 【入賞】 各号毎に寄稿を選定し、it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」に掲載いたします。 掲載させていただいた方には、it SMF Japan Web ページで販売している書籍(PDF 書籍は除く)より、ご 希望の書籍1冊を贈呈いたします。 ■審査の方法・審査結果の発表 会報誌編集委員会、理事会にて審査を行います。審査結果は、第 8 回 it SMF Japan コンファレンス /EXPO にて 発表し、表彰いたします。 ■応募先・お問い合せ先 it SMF Japan 事務局([email protected])まで、メールにて応募・お問い合わせください。 20 少し遅いですが、新年明けましておめでとうございます。今年は卯年ですね。卯年生まれの人には平和主義者が多いと聞 いたことがあります。今年はひとりでも多くの人が平和に暮らせること、そして日本の景気が回復(ジャンプ)することを 期待します。 さて、今年も昨年同様、「it SMF Japan Newsletter Contribution Award」の募集をしています。例年コンファレンス直 前の7月号に寄稿が集中しますので、応募を予定されている方は早めの寄稿をお願いします。残念ながら、作年は最優秀賞 の該当者がいませんでした。今年は是非とも最優秀賞を獲得し、UKまたはU.S.Aに行きましょう。(岡田) ■ご意見: 本ニュースレターへのご意見・ご要望は、it SMF Japan会報誌担当宛てにメールにてお 送りください。 メールアドレス: [email protected] ■寄稿: ITサービスマネジメント導入、運営における経験を他の会員の皆様とシェアしていただ ける方を募集しております。ご協力いただける方は、it SMF Japan会報誌担当宛てにメールにて ご連絡ください。 メールアドレス: [email protected] ■広告: 本ニュースレターは皆様の広告料で制作されています。広告掲載に興味をお持ちの方は it SMF Japan 事務局にご連絡ください。 メールアドレス: [email protected] ■it SMF Japan ニュースレター 2011年1月号 (1月、4月、7月、10月発行) 編集人: 佐久間 洋(特定非営利活動法人it SMF Japan 会報誌担当理事) 編集取りまとめ: 岡田 雄一郎(日本電気㈱) 編集委員(アイウエオ順): 伊奈 信也(マイクロソフト㈱) 、井ノ口 泰彦(日本電気㈱) 、岡田 雄一郎(日本電気㈱) 、品田 京子 ( 日本アイ・ビー・エム㈱ )、瀧本 研介(マイクロソフト㈱) 、中井 秀有 ( 日本アイ・ビー・ エム㈱ )、中川 悦子 (EXIN JAPAN)、藤井 宏子 ( ㈱アビリティ・インタービジネス・ソリューシ ョンズ )、八木 隆 ( ㈱日立製作所 ) 翻訳に協力いただいた方々(敬称略、アイウエオ順) : 佐藤 俊哉、林 智之(日本電気㈱) ■発行所 : 特定非営利活動法人 it SMF Japan 東京都港区芝 5-16-7 芝ビル 6F-A 電話 : (03)5439-5591 Fax: (03)5439-5592 URL: www.itsmf-japan.org ■ ITIL® is a Registered Trade Mark of the Office of Government Commerce in the United Kingdom and other countries. ■その他記載の組織名 ( 会社 / 団体 / 機関 )、製品名は、それぞれの会社 / 団体の商標または登録 商標です。 注 . 記事において記載の組織や製品に対し it SMF Japan がなんらの推奨を行うものではありません。 ■本誌掲載記事の無断転載を禁じます。 21