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発表資料
海上における船舶のための
共通通信システムについて
~小型船舶の安心・安全のための通信システム~
2009年5月22日
総務省衛星移動通信課
海上係長 松井 明
海上通信の全体図(義務船舶局:GMDSS対応)
インマルサット衛星
義務船舶局の主な無線設備
インマルサット船舶地球局、 衛星EPIRB、SART、
双方向無線電話、 VHF・MHF・HF無線電話、
ナブテックス受信機、AIS、LRIT等
:遭難通信
:海上安全情報通信
LRIT
インマルサットEGC
インマルサットシステム
インマルサットEGC
(ナブッテックスのエリア
外において気象情報等
の海上安全情報を受信)
コスパス衛星
インマルサットシステム
データセンター
(LRIT情報を受信し、
海上捜索機関へデータ
を加工して送る)
LRIT
サーサット衛星
コスパス・
サーサットシステム
(捜索救助衛星システム)
(データセンターへ
LRIT情報を送信)
インマルサットシステム
(遭難通信の他、テロ・海賊
等の場合にSSASにより
船舶保安警報を送信)
海岸地球局
KDDI(山口)
SART
航空機
遭難信号地上
受信局(横浜)
航行船舶
双方向無線電話
救命筏
衛星EPIRB
(救助信号の送信)
LRITシステム
(船舶の識別・位置)
海上保安庁
海岸局
無線電話
遭難船舶
AIS海岸局
通信所
超短波、
中短波システム
(VHF・MHF(2182kHz)無線電話)
巡視船
短波システム
(HF無線電話)
ナブテックスシステム
(気象情報等の海上
安全情報の受信)
航行船舶
A2海域(距離約280km以内)
航行船舶
A3海域(北緯70°~南緯70°)
航行船舶
A4海域(A3海域超)
義務船舶局:総トン数20トン以上の船舶で、GMDSS設備が強制されるもの
GMDSS(Global Maritime Distress and Safety System):「海上における遭難及び安全に関する世界的な制度」
1
海上通信の全体図(小型船舶用)
海上通信の利用目的
○船舶の航行の安全を確保すること
○業務の円滑な遂行を確保すること
船舶局の主な無線設備
①27MHz帯・40MHz帯無線電話
②国際VHF
③マリンVHF
④400MHz無線電話
⑤携帯電話
小型船舶の隻数:約60万隻
漁業用海岸局
①27MHz帯、40MHz帯無線電
話
漁船
27MHz 帯 無 線 電
話
②国際VHF
入港船舶
港湾管理用海岸局
②国際VHF
巡視船
③マリンVHF
海上保安庁
レジャー用海岸局
③マリンVHF
③マリンVHF
レジャー船
2
背景
護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」の海難事故をはじめ、小型船舶と大型船舶の衝
突事故が多発(毎年270件程度発生)
海難防止対策
電波政策
関係省庁海難防止連絡会議を設置(2008年2月)
船種にかかわらずすべての船舶が
共通に通信できる無線システムがないことが指摘
海難防止にとって障碍の一つになっている
「海上における船舶のための共通通信システムの在り方
及び普及促進に関する検討会」を設置(2008年4月)
3
海上通信システム
27MHz帯
無線電話
40MHz帯
無線電話
マリンVHF
国際VHF
マリンホーン
400MHz帯
無線電話
携帯電話
周波数(MHz)
26~27
39~40
156~162
156~162
342~360
352~364
800/1,500
割当てチャ
ネル数
レジャー用 2
漁業用 89
レジャー用 66
漁業用 84
最大 20
57
最大 16
最大 4
―
主な通信の
相手方
僚船
所属海岸局
巡視船 等
僚船
所属海岸局
巡視船 等
僚船
所属海岸局
巡視船 等
加入者 等
所属海岸局
巡視船 等
加入船
一般加入電話
海上保安庁 等
音声通信
データ通信
○
×
○
×
○
×
一般商船
海岸局(港湾通信
用、海上保安庁)
等
○
×
○
×
○
×
○
○
FAX通信
○
×
×
×
×
×
○
緊急時の通信
(対海上保安庁)
○
(巡視船)
○
(一部の海岸局:
公衆網)
○
(巡視船)
○
(巡視船)
×
×
○
(公衆網)
マリーナ 等
港湾管理者 等
全国漁業無線協
会
全国小型船舶
安全協会
電気通信事業者
船舶運航者
水先案内人 等
漁業者 等
レジャー目的
の個人 等
船舶運航者 等
運営管理者
(免許人)
漁業協同組合
漁業協同組合
無線協同組合 等 無線協同組合 等
主な利用者
漁業者
漁業者
レジャー目的の
レジャー目的の個 レジャー目的の個
個人 等
人 等
人 等
無線従事者
の資格
SSB 2級海上特殊
DSB 3級海上特殊
3級海上特殊
3級海上特殊
2級海上特殊:国内
1級海上特殊:国際
不要
3級海上特殊
不要
従事者免許
の講習日数
SSB 3日間講習
DSB 1日間講習
1日間講習
1日間講習
3日間講習
―
1日間講習
―
最大空中線電力
SSB 25W
DSB 1W
5W
5W
25W
5W
5W
―
通達距離
(通話エリア)
SSB 約90km
DSB 約50km
約50km
約10~30
km
約50km
約30km
約30km
海岸から約8
km
通信制限時間
制限なし
制限なし
5分間(1通話)
制限なし
2分間(1通話)
制限なし
制限なし
4
「ユビキタス時代における海上無線通信システムの在り方に関す
る調査検討会」概要より抜粋
現 状
船
上
S
AI
達成すべき目標
携
セ 帯
ル ピコ
開
発
40
無 0M
線 H
小
電 z
型
話
船
舶
)
V
ネ HF
ッ
ン
トワ アド
テ
ン
ー ホッ
ツ
ク ク
内
開
容
発
N
の
et
拡
w
大
or
k化
Clas
s
VHF -D 導入
マリン
VHF
2010
コ
z
27MH 話
無線電
営
通
信
(沿
岸
化)
ン
タル 術
ー
ジ 技
ホ
デ 素
リン
(要
マ
Hz
M
0
4
電話
線
無
自
代
次世 S
S
GMD 調)
協
(国際
SS
G MD
、
射低減
(誤発 素化)
DSC簡
2015
・安全の確保
・情報格差解消
・周波数有効利用
・操業/運航の効率化
・利便性向上
話
ユビキタス時代の海上通信
携帯電
達成したい目標
コミ
ュ
サ ニテ
ー
ビス ィー放
サ
開
送
ー
発
ビス
プロ
Ne
バ
イダ
tw
or
k化
デ
ジタ
ル
自
M
MF
営
F/H
通
/
H
F
信
F
無
(M
線
F/
電
HF
話
)/
海
岸
局
活
性
化
地
球
局
系
LAN
無線 ス開発
ビ
サー
PLB
導入
(携帯エ
リア外)
SS
G MD
遭難安全通信
携帯電話
ミリ
波
ト
開 ラポ
発
ン
高
速
小 度化
型
化
tar
deS
Wi
-B
ss 入
a
Cl 導
ト
ネッ
サ
セン 開発
ユビキタス時代
の海上通信の
技術開発ロード
マップ
ト
達成できる目標
信
追加
A
sas
l
C
S
AI
通
衆
安
行
航
イン
マル
サッ
公
船舶共通通信システム
置
(位
全
)
系
報
通
5
海上通信の課題
◎船舶の規模・船種を問わず相互に交信できない
◎小型船について、デジタル化等最新の技術成果が十分に採り入れられていない
大型内航船
小型漁船
大型外航船
小型プレジャー船
6
国際VHF周波数を使用した無線局の推移
無線局が普及していないことが問題
○マリンVHF
○国際VHF
5,100局
10,002局
8,800局
7,825局
4,005局
2,824局
2,212局
7
検討会の目的
船舶間で相互に通信できるよう、共通の通信システムを早急に普及させることが重要
検討すべき内容
共通の通信システムの構築
必要な技術的条件
無線局免許等
無線従事者資格
検討時期
平成20年4月~12月(最終報告書は平成21年1月)
中間とりまとめ結果(平成20年10月)
共通の通信システムとしては、国際VHF機器とすることが適当
8
基本的考え方
基本要件
・船舶の規模・船種を問わずすべての船舶間で共
通の通信システムとして利用できること
・外国船との交信も可能なように世界共通の周波
数を使用するものであること
国際VHF機器を基本
・迅速な危険回避行動をとるために、他者(海岸局
等)を介する必要なく、船舶間で直接交信すること
が可能であること
普及促進方策
・高度な知識・技能がなくても操作可能なものであ
り、簡易な資格で運用できること
・安価に購入でき、維持に要する費用が少なくてす
むなど運用に当たっての経済負担が軽いこと
北米等を中心に広く普
及している安価な機器
を国内でも使用可能と
する
9
船舶共通通信システム導入の進め方
北米で広く普及している
国際VHF機器
(68万台(FCCデータ))
5W
【現状】
小型船舶※
マリンVHF機器
(約2千台)
25W
携帯型
据置型
約$200
約$500
船舶共通通信システム
普及のための
条件整備
国際VHF機器
・免許制度・技術基準の見直し
・無線従事者資格制度の見直し
・定期検査制度の見直し
・適切な利用の普及・促進
小型船舶
※漁船を除く
大型船舶
クラスA国際VHF
機器(約6千台)
大型船舶
クラスA国際VHF機器
*)船舶共通通信システムと
周波数が共通
漁 船
漁業無線機器
27MHz帯 (約5万台)
40MHz帯
(約5千台)
漁 船
漁業無線機器
*)船舶共通通信システムを
追加搭載
10
免許制度・技術的条件の見直し
北米等の安価な機
器が流通可能
免許手続の簡易化
DSCの普及
(三海特資格者が二海特
資格を取得した場合にD
SCを活用)
11
無線従事者資格制度の見直し
第三級海上特殊無線技士の操作範囲拡大
空中線電力を5Wから25Wに拡大
簡易な資格でより長い電波の到達距離を確保
第二級海上特殊無線技士資格取得の緩和
第三級海上特殊無線技士が一定の条件(経歴年数又は1日程度の
講習)を満たすことにより、第二級海上特殊無線技士の資格を取得
DSCの活用を促進
12
定期検査制度の見直し
現 在
3年に1回定期検査が必要
携帯型
定期検査不要
5W以下
据置型
検査の周期を3年から5年に延長
25W以下
適切な利用の促進
運用マナーの向上
・運用マナーの確保は船舶航行の安全確保のために極めて重要
・ユーザー団体、業界、行政が一体となった運用マナーの向上に向けて取り組む
共通呼出チャネルの聴守慣行の確立
・国際VHF機器を設置するすべての船舶に対し、共通呼出チャネル(ch16)の聴守励行を徹底
13
取り組み概要(制度面)
早期にできることから着手
無線設備、定期検査など
技術基準の検討を海外輸出メーカー等を含めて検討(平成21年1月~3月)
電波監理審議会
(平成21年5月)
平成21年秋ごろには制度化
残された課題も順次着手
(無線従事者資格など)
船舶共通通信システムの普及促進
14
今後の取り組み(運用面)
国際VHFの聴守の励行
・設備を設置しても聴守していなければ意味がない。(海上保安庁との連携)
運用マナーの徹底
・関係省庁、関係団体との連携による講習会の実施
・運用マナーが悪化するようであれば、電波法令違反の取り締まりを強化
今後の取り組み(調査検討面)
船舶共通用無線機器の高度化
・簡易なDSC、AIS技術の導入
・レーダーを活用した通信
・国際VHFチャネルのデジタル化 など
15
制度改正の概要
北米等で普及している国際VHF機器を我が国へ円滑に導入するための関係規定の見直し
(無線設備規則の改正)
Ⅰ 無線設備の技術基準の見直し
北米等で普及している国際VHF機器の導入の障害となる技術的条件の見直し
【改正概要】
・干渉を与えないための基準や共通通信システムとしての基本性能に限定し、義務設備に求められる機能や
耐久性の要件を除外 例:受信性能や高度なDSC機能を除外
・ATIS(*)の装備強制を撤廃
(告示改正予定)
Ⅱ 技術基準適合証明の対象設備として追加
(技術基準適合証明規則の改正)
無線局免許手続の簡素化により普及を促進
【改正概要】
DSC付き国際VHF機器を適合証明設備の対象として追加
Ⅲ 無線局定期検査制度の見直し
(電波法施行規則の改正)
ユーザー負担の軽減を図り、普及を促進
【改正概要】
携帯型
5W以下
据置型
25W以下
定期検査不要
検査の周期を3年から5年に延長
*自動識別装置(Automatic Transmitting Identification System)の略で、発射された電波の所在を明らかにするために送信装置に組み込まれる
ものをいう。マリンVHF機器に備付けが義務づけられている。
15
海上移動業務の無線局に使用するデータ伝送システム概要
小型船舶データ伝送システム
小型船舶救急連絡システム
小型船舶が設置している無線設備を利用して、小型船舶
からの転落の情報を身につけた船員用小型発信器から、
船舶局の無線設備を介して自動的に海岸局へ非常の事
態を知らせるシステム。
小型船舶位置情報伝送システム
小型船舶が設置している無線設備を利用して、グルー
プ操業する僚船等や海岸局に対して自船の位置情
報の伝送を行うシステム。
船員用小型発信器
(小電力セキュリティシステムの技術的条件)
27MHz帯
40MHz帯
150MHz帯(船間通信のみ)
400MHz帯
転落者
捜索救助機関
船舶局
海水に浸
かると自
動発信
自動的に転落情報
を通報
小型船舶位置情報伝送
システム(附属/内蔵)
船舶局
小型船舶救急連絡装
置(附属/内蔵)
27MHz帯
40MHz帯
既存の無線設備を利用
・27MHz帯無線電話
・40MHz帯無線電話
・150MHz帯無線電話
(150MHzは船間通信のみ)
船舶局
既存の無線設備を利用
・27MHz帯無線電話
・40MHz帯無線電話
海岸局
27MHz帯
40MHz帯
海岸局
小型船舶位置情報伝送
システム(附属/内蔵)
小型船舶位置情
報伝送システム
16
参考資料
1
船舶自動識別装置の概要
(義務設備)
海岸局
AIS
概 要
・周囲の船舶局や海岸局に対して、自船の 船名、位置、速度などの情報を
自動的に送受信することで、周囲の船舶の動静が 把握できるシステム。
・SOLAS条約の改正に基づき2002年7月から大型船舶(500t以上)に搭載を義務化
指定周波数 161.975MHz
効 果
約1,700隻
・船舶同士の衝突防止や輻輳海域での港湾管理に効果
・国際VHFやDSCと併せて船舶航行の安全情報の確実な伝達に寄与
162.025MHz
船舶
局
AIS
<AIS情報レーダー表示画面>
(任意設備)
・船舶自動識別装置の技術基準(*)を簡易化
* 2006年3月に国際的な技術基準が制定
概 要
AISの機能を簡略化、小型化した装置
・技術基準適合証明設備の対象
船舶自動識別装置を非義務船舶に広く普及
AIS
簡易型AIS
価格:約150万円
大きさ:420mm×250mm×85mm程度
アンテナ×2 本体 表示器(AIS用、GPS用)
価格:約20~30万円
大きさ:190mm×135mm×83mm程度
アンテナ×2 本体 表示器(AIS用、GPS用)
17
海上無線通信システムの新たな導入に向けて
2008年からの海上通信ロードマップの取り組み状
況
達成した目標
○小型船舶データ伝送装置(2008年12月制度化) ○簡易型AIS (2009年6月制度化)
達成すべき目標
○船舶共通システム (2009年度内に当面の課題を克服)
○船舶用固体素子レーダー (平成22年度中実用化予定)
達成できる目標
○PLB (平成23年度を目途に技術基準の策定予定)(法整備、配信システムが大きな課題)
○船舶内携帯電話、海上Wi-maxなど(新たな技術提案)
○アドホックネットワーク (平成22年度を目途に技術基準の策定予定)
(衛星を介したアドホック、携帯電話中継によるアドホック等今後の拡大を想定)
達成したい目標
○レーダー通信 (平成29年度を目途に国際基準の反映を目指す)
○船舶高速通信 (衛星を介さない海上での2Mbps以上の通信速度の実現)
本格的なデジタル技術の導入(40MHz帯の再編、マリーンホーン帯域の再利用)
18
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