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「InterBEE2015」で 注目を集めた衛星通信・衛星放送関連機器の動向
「InterBEE2015」で 注目を集めた衛星通信・衛星放送関連機器の動向 神谷 直亮 第 51 回を迎えた 「Inter BEE 2015」 は、 紹介した。プレゼンターとして登壇したの り、アクセスする現場のシチュエーション 思わぬ展開を見せた。衛星通信・衛星放送 は有料多チャンネル部門の今井豊サービス により、車載でも可搬でも機動力を発揮で 事業者のスカイパーフェクト JSAT(以下、 開発担当主幹で、同氏が今回デモ映像とし きるのがメリット」と説明していた。車内 スカパー)が、東京メディアセンターから て披露したのは、May’n の「Dots and に搭載される機器を聞いてみたら「目玉は、 4K High Dynamic Range (HDR) コンテ Lines」ツアー、 「アジアン・カンフー・ジェ パラダイス・データコム社の次世代 DVB- ンツを展示会場の幕張メッセに配信した。 ネレーション」と「ウーバーワールド」の S2X モジュレータ“Q-Flex-V” 」とのこと 東経 128 度の JCSAT-3A 衛星によるこ コンサート、米アリゾナ州にある「アンテ であった。 のライブ映像を受信したのは、東芝、ソ ロープキャニオン渓谷」の光景など、撮影 同社のブースには、この他に、エルグラ ニー、共信コミュニケーションズ、アスト とフィニッシングの苦労がしのばれる多彩 ンド型エコ衛星中継車、新型可搬局 QCT- ロデザインの 4 社である。 なコンテンツであった。技術的には、いず 90(アンテナ径 90cm) 、移動中でも衛星 東 芝 は、 最 新 の 4K レ グ ザ エ ン ジ ン れ も S-Log で 撮 影 し、Mistika を 駆 使 し 通信を実現する SOTM、ウルトラポータブ HDR PRO を 搭 載 し た「Z20X」 テ レ ビ て ARIB の Hybrid Log-Gamma 規格に則 ル「マンパック」 (直径 60cm)などが並 で、このコンテンツを HDR モードで再生 り完パケしたものとのことであった。結論 んでいた。 し、SDR モードとの比較デモを行って来 として、 「特に難しいと言われるライブコ 「QCT-90」 は 今 回 が 初 出 展 で、SWE- 場者を引き付けていた。ブースの説明員は、 ンサートで飛び交う照明を鮮明に再生でき DISH で は な く、 同 社 を 買 収 し た 「Z20X シリーズは、バックライトに直下 たと思う。HDR により画質の向上が図れ、 DataPath のロゴが入っていた。アンテナ 型 LED ハイブリッド・エリアコントロー 視聴者にアピールできることがはっきりし サイズは、90 x 59cm で、重量は 20kg ル機能を採用し、広色域を達成するために た」と自負していた。また、 「HDR ライブ という軽量を誇り、折りたたんで収納ケー 64 色軸カラーイメージコントロール機能 コンテンツは、OTT との差別化に役立つ」 ス に 収 め た 場 合 の 才 数 は、76 x 36 x を搭載している」と PR に余念がなかった。 と付け加えていた。 27cm とのことであった。Ku バンドの他 ソニーは、スカパーが衛星伝送した 4K に、X バンドと Ka バンドにも対応するが、 HDR 映像(ソニー製 F-55 カメラで撮影) 一方、996 社・団体が華やかな出展を を、ブース正面に設置したブラビア「KJ- 繰り拡げた会場で、衛星通信・衛星放送関 「上り下りそれぞれ約 8Mbps を達成でき 75X9400C」で再生して見せた。また、 連の機器やシステムを紹介したのは、エー る」という。一世を風靡した SWE-DISH 同社の 4K 有機 EL モニター 「BVM-X300」 ティコミュニケーションズ、マウビック、 ブランドが DataPath に代わっていくとい による HDR と SDR の画質比較も行って 三菱電機、松浦機械製作所、理経、緑屋電 うニュースに接し、少なからずさみしい思 プロの目を引いていた。 気、NTT エレクトロニクス、NEC、ヴィレッ いがした。 共信コミュニケーションズは、同社が販 ジアイランドである。 売代理店になっている SGO 社の Mistika 衛星通信の分野で、毎年のように最も 浜松市に本社を構えるマウビック社 をブースの中核に据え、カメラによって異 注目を集めるエーティコミュニケーショ は、今年、同社が販売代理店になっている なる高輝度領域の圧縮特性を Hybrid Log- ンズ社は、今回、トヨタのランドクルー Vislink 社の製品を前面に押し出して出展 Gamma(HLG)に変換するデモを行って ザー SR4 をベースにした車載局と、電源 した。小沢誠社長は、 「今年の目玉は、何 注目を浴びた。ブースのエンジニアによれ 車を兼ねた現場指揮車をペアーにして出 と 言 っ て も VIislink が 9 月 の IBC2015 ば、 「今回スカパーが配信した HDR コン 展した。中京テレビ向けという車載局の で 発 表 し て 大 き な 反 響 を 呼 ん だ HEVC/ テンツは、東京サウンドプロダクションが 車上には、着脱可能な直径 1.2 mの可搬 H.265 エンコーダ UltraCoder」と語って Mstika を駆使して、ソニーの S-Log から 局(SWE-DISH CCT-120) が 搭 載 さ れ いた。この UltraCoder は、重量が 1.9kg HLG にプロセスしたもの」という。 ていた。浅野武夫会長は、 「スライド型ロッ と世界一軽量に仕上がっているにもかかわ ク機構を基盤にした可搬局収納システムを ら ず、HEVC メ ー ン 10、10bit、4:2:0 Ku バンドの場合の伝送速度については、 スカパーは、この他にソニーが主催した 開発した。このシステムによりオフロード に 対 応 し て い る と い う。Vislink 製 品 と 「HDR テクニカルセミナー」で、同社が で、車載から可搬への切り替えが容易にで しては、もう一点、超小型可搬式アンテ 制作した HDR ライブコンテンツの事例を きることになり活動範囲が拡大する。つま ナ「Mantis MSAT」( ア ン テ ナ サ イ ズ 10 FDI・2016・01 InterBEE 2015 REPORT 65cm) も展示されていた。 Vislink 以外では、ニュ― テックとエリクソンの展示 が目を引いた。ニューテッ ク製品の目玉は、DVB-S2X モジュレータ「MCX-7000」 で、エリクソン製品として は、 「SVP4000」4K ソ フ 写真 1 東芝は、4K レグザエンジン HDR PRO を搭載した最 写真 2 ソニーも、スカパーが衛星伝送した 4K HDR 映像を、 新の「Z20X」テレビで、スカパーの HDR コンテンツを再生 75 インチのブラビア「KJ-75X9400C」で再生して見せた。 して来場者を引き付けていた。 トウエアーエンコ-ダが紹 介された。 徳島市に本社を置く松浦 機械製作所は、多様な雲台 のメーカーとして知られ る。すでに、タイの iPStar 衛星用の可搬局やカナダの C-COM 社 の「iNetVu」 用 の雲台を開発して着々と実 績を積んでいる。今回も衛 星移動体通信システムと無 線 LAN 移動中継システム用 写真 3 エーティコミュニケーションズ社は、着脱可能な直径 写真 4 マウビック社は、Vislink の「UltraCoder」、ニュ―テッ 1.2m の可搬局を車上に搭載した最新の車載局を出展して来場 クの DVB-S2X モジュレータ、エリクソンの 4K ソフトウエアー エンコ-ダなど多彩な機器を出展して来場者の耳目を集めた。 者の注目の的になった。 の雲台を披露して注目を集めていた。 同 社 は、General Dynamics 社 の 固 定 ア である。 三菱電機は、予想通りスカパーのスー ンテナ(1m ~ 11m)も取り扱っている NEC は、H.265 (MPEG-H/HEVC) パーバード B2 衛星を使うヘリサットシス と付け加えていた。 リアルタイムコーデック「VC-970/VD- テムを出展した。ブースの説明員によれば、 緑屋電気は、アメリカの AvL テクノロ 970」を初出展した。 「VC-970」は、1U 京都、東京、宮城、高知、埼玉など、14 ジーズ社の可搬局を出展して意表を突い ハーフラックサイズで、すでに販売して カ所の消防局に納入済みとのことであっ た。ビジネス面で親しい関係にあるセイロ いる「VC-8150」と比べ物にならないく た。伝送速度については、 「ヘリから地上 コミュニケーションより借用したものとの らいコンパクトに仕上がっている。遅延も 局へは 384Kbps ~ 10Mbps、地上から ことであった。この他、同社のブースには、 120msec とのことで、サッカーなどの試 ヘリへは 16Kbps を実現できる」という。 Comtech Xicom Technology 社 の 多 様 合の映像伝送に十分対応できる。 実際は、もっと高速伝送が可能だが、公表 な Rack-Mount TWTA や SSPA、BUC、 ヴィレッジアイランドは、トムソンの 値はこのレベルというような口ぶりであっ 1500W というハイレベルの衛星放送用 ViBE 4K ULTRA HD エンコーダとアメ た。 スーパーパワーアンプなどが並んでいた。 リカの Sencore 社の 4K デコーダ「AG9000」の組み合わせによる素材伝送を提 同 社 の ブ ー ス に は、 こ の 他、HEVC/ H.265 に対応するコーデック、1U ハーフ NTT エレクトロニクス、NEC、ヴィレッ 案していた。トムソンのエンコーダには、 ラックサイズのモデム(64APSK でロー ジアイランドの 3 社は、衛星による 4K の ソシオネクスト社が開発したチップが搭載 ル オ フ 5%) 、Ku バ ン ド の 屋 外 型 GaN HEVC 素材伝送用コーデック装置で競演し されており「遅延は、発売予定の 12 月末 SSPA が出展されていた。 注目を集めた。 時点での予想値は、約 1.5 秒」と語ってい 理経は、Advantech Wireless 社の Ku NTT エ レ ク ト ロ ニ ク ス は、4K/60p た。 バンド・マンパック・アンテナ・システム 4:2:2 10bit 対応の高画質リアルタイム を披露した。ブースの技術者は、 「アンテナ H.265/HEVC コーデック 「HHC-11000」 の直径は 65cm で、重量はわずか 17kg」 の試作品を出展して、2016 年 3 月から と PR に余念がなかった。スペースの関係 発売を開始すると宣言した。同社の高性能 で出展は取りやめたとのことであったが、 ワンチップ LSI を搭載した業界待望の製品 Naoakira Kamiya 衛星システム総研 代表 メディア・ジャーナリスト 11 FDI・2016・01