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科学技術・学術審議会 海洋開発分科会 深海掘削委員会評価小委員会
資料3‐4 (審議資料)IODPに関する我が国の取組みについて 1.地球深部探査船に関する取組みについて (1)「ちきゅう」の建造 ①「ちきゅう」の性能と研究者の提案の反映状況 地球深部探査船「ちきゅう」はジュラ紀の地層、地震発生ゾーン、マントルなど海底下大深度の掘 削を可能とするために検討されたものであり、科学掘削船として初めてライザー掘削方式を採用し、 これを高度化することにより、水深 2500m(最終目標 4000m)の海域において、掘削深度 7000mまで の連続コアリングを目指して建造した。 ○「ちきゅう」の主な仕様 船級 航行区域 全長 幅 深さ 全高(海面から) 全高(船底から) 喫水 総トン数 最大速力 推進方式 最大搭載人員 航続距離 推進器等 発電機 コア採取方法 DPS 掘削方式 最大稼働水深 ドリルストリングス長 船体関連装置 NK(日本海事協会) 遠洋(国際) 210m 38m 16.2m 121m 130m 9.2m 57,087 トン 12 ノット ディーゼル電気推進 150 名(乗組員 100 名、研究者 50 名) 約 14,800 海里(満載状態、10 ノットにて) アジマススラスタ 4,200Kw(5,710PS)×6基 サイドスラスター2,550Kw(3,470PS)×1基 5,000Kw×6基、2,500Kw×2基 ワイヤーラインによる連続コアリング NK DPS-B ライザー掘削方式 2,500m 10,000m ヘリコプター甲板等 ○従来の科学掘削船と比較した「ちきゅう」の性能 ライザー掘削方式とは、船と海底下の掘削孔の間を、ライザーパイプと噴出防止装置(BOP)を用 いて繋ぎ、この間で泥水を循環させながら地層の圧力を制御し、地層の掘削を行う方式。BOPはガ ス等の噴出による孔内圧力上昇時は安全弁の役割を果たす。 ちきゅう (ライザー掘削) JOIDES レゾリューション (ライザーレス掘削) ライザー ドリルパイプ ドリルパイプ 泥水が掘り屑を 船上に上げる 掘り屑が溜ま ってしまう 噴出防止装置 ( BOP ) ケーシング 海底面 穴の壁が崩 れてしまう 裸孔 ドリルビット 海底面 ・泥水により壁面 の圧力を調整 ・泥水のしっくい 効果 ↓ 泥水が穴の崩壊 を防止 ケーシング ドリルビット これまでの記録 2,111m 掘削能力 7,000m ○ライザー掘削の模式的手順 ○自動船位保持装置(Dynamic Positioning System : DPS)の概要 船の位置を半径15m以内に保持できる自動船位保持装置の採用によって、水深 2500mの海底と 船とをライザーパイプで繋ぐライザー掘削を可能としている。 D G PS G PS IN M A R S A T アジマススラスタ 6基 船の位置を計測 ・衛星測位装置 (DGPS) ・音響測位装置 ・ライザーの角度 (360度回転できるプロペラ) TR A N S P O N D E R TR A N S P O N D E R ○コアサンプリングシステムの種類 科学者の提案に応え、物性的に不均質な付加体で構成される地震発生帯のような地殻を 全掘削長にわたり連続コアリングするためには、固さ、温度等が様々な地殻で掘削しなければ ならないため、地殻の種類に応じたドリルビットを使用することが必要である。 ピストン式コアバーレル(APC) ピストン式コアバーレル(APC) 軟層の堆積層に一般的に使い ます。 堆積層はビットを回転させると、 資料を錯乱してしまいます。先 端がナイフのように鋭いカッ ティングシューを水圧で地層に 貫通させることにより、ビットを 回転させずにコアを採取する ことができます。 モーター駆動式コアーバーレ ル(MDCB) 硬質でで割れ目の発達した岩 硬質でで割れ目の発達した岩 石層や硬軟互層に用います。 コアバーレル内部のダウン ホールモーターを水圧で駆動し、 ビットから独立した回転と加重 をカッティングシューに与えるこ とにより、その地層に最適なコ アリングを行うことができます。 圧力保持コアバーレル(PCS) 圧力保持コアバーレル(PCS) 地層圧を保持してコアを回収し たい場合に用います。 コアは圧力容器の中に密封さ れた状態で回収され、ポートを 介して流体のサンプリングや、 圧力測定、温度測定等を行う ことができます。 標準ロータリーコアバー レル(RCB) レル(RCB) 中質から硬質の岩石層 に一般的に用います。 ○研究者・運航者による提案の反映状況 1 機構に委員会を設置することによる専門家の提案の反映 (ⅰ)深海掘削船システム技術研究会(平成 5 年 1 月〜平成 11 年 8 月) 基本設計へ備え、掘削船技術及び深海掘削研究に関し高度な知見を有する学識者及び技術 者からなる深海掘削船システム技術研究会を発足させ、深海掘削船システムの開発に関する技 術的な重要事項に関し 18 回にわたり審議。基本設計仕様として取り纏めた。 (ⅱ)地球深部探査船建造技術委員会(平成 11 年 8 月〜平成 15 年 6 月) 基本設計のため、深海掘削船システム技術研究会を科学者委員の拡充を図った地球深部探 査船建造技術委員会に改組し、 5 回にわたり、設計・建造仕様及び技術的重要事項について審 議。これも踏まえ、平成 12 年 3 月、地球深部探査船の建造契約を締結した。 (ⅲ) IODP 計画委員会地球深部探査船建造技術専門部会(平成 15 年 6 月〜) 地球深部探査船建造技術委員会を、IODP 計画委員会の下の地球深部探査船建造技術専門 部会として改組し、2回にわたり、地球深部探査船の建造に係る重要事項について審議。 2 建造中における提案の反映 (ⅰ)コンサルタントの採用 設計者の視点での設計図書等のレビューのため財団法人日本造船技術センター及び外国掘削 コンサルタント、運航者の視点での設計図書等のレビューのため㈱グローバルオーシャンディベロッ プメント等のコンサルタントを採用し、運用者の提案の反映を行っている。 (ⅱ)ワーキンググループの開催 機構、コンサルタント、運航予定者及び建造所から構成されるワーキンググループで検討。 (ⅲ)艤装員からの意見聴取 運航、掘削及び研究補助に関わる艤装員を建造所に派遣し、艤装状況の調査をさせる等により 艤装員からの意見の聴取の反映を行っている。 (ⅳ)建造監督職員の研鑽 掘削船の現状把握等を目的とし、機構の建造監督職員を米国の科学掘削船ジョイデス・レゾリ ューション号に乗船させ、研鑽に努めた。 4 提案の反映事例 研究者・運用者における提案の反映事例については以下のとおりである。 a) コア採取を行うために、各機器配置の最適化を図るとともに、折れやすいコアをドリルフロアから 研究区画まで搬送するためのコンベア方式を開発した。 b) 研究区画は研究室ごとに室内圧力が調整でき、化学薬品を使用する部屋、微生物を研究する 部屋等は室内を負圧にすることによって安全性を向上させている。 c) CTスキャナー、ICP質量分析計、蛍光X線コアロガー、微生物研究用実験機器等これまでの科 学掘削船にない機器や、物性、化学、古地磁気等の最新鋭の研究機器を搭載している。さらに各 種データを管理するためのデータベースシステムを開発している。 ②「ちきゅう」の建造体制とコスト ○地球深部探査船建造所評価委員会について 地球深部探査船の設計・建造事業者の選定に当たり、事業者の設計・建造能力を客観的に評価 することを目的として、地球深部探査船の設計・建造技術に関して高度の学識経験を有する者から 構成される「地球深部探査船建造所評価委員会」を設置した。 ・地球深部探査船建造所の評価 (平成11年6月地球深部探査船建造所評価委員会報告書「結論」) 本プロジェクトの中核をしめる、探査 船の設計・建造は長い年月と多額 の費用を要 するもの であり、何 よりも確 実 な事 業 遂 行 能 力 が求 められる。この観 点 から、本 件 については、十 分 な 実 績 ・経 験 に裏 付 けられた高 度 な技 術 力 と管 理 能 力 を有 し、確 実 に事 業 を遂 行 できる建 造 所 が、海 洋 科 学 技 術 センターの十 分 な指 導 監 督 の下 、全 体 を一 元 的 に管 理 遂 行 することが 肝要である。 また、我が国の造船技術、掘削技術等は世界に誇るべきものがあり、主建造所の一元管理 の下、これらの優れた技術を積極的に採用し、探査船をそれらの技術の粋を集めたものとする ことが望ましい。 探査船は、これから基本設計に着手するが、唯一ライザー掘削船の設計・建造を基本設計 から一貫して行った実績を有し、かつ、最も重要な要素技術であるライザー技術において最も 優 れている三 菱 重 工 業 (株 )に、探 査 船 の設 計 ・建 造 及 び全 体 の一 元 的 管 理 を行 わせること が適当であろう。 ただし、DPS搭載海洋石油掘削リグの建造実績及び研究開発実績から、DPSについては 三 井 造 船(株)が優 れており、DPSについては三 井 造 船 (株)に担 当 させることが望ましい。な お、DPSの設 計 ・搭 載 は船 体 本 体 の設 計 ・建 造 と密 接 な関 係 を有 することから、船 体 本 体 に ついても相当部分を三井造船(株)に担当させることが望ましい。 このほか、スラスター等 個 別 の機 器 については上 記 2社 より優 れた技 術 を有 する社 もある。 従って、主建造所の一 元管理の下 、これらの社の有する技術を適切に組合せ活用 することが 重要と考えられる。 ○建造コスト 「ちきゅう」建造にあたり掛かった費用の総額は平成17年度の購入品を含め約600億円。 設計及び船体 139億円 機関及び発電機 27億円 掘削装置・ウエルコントロール 194億円 船上廃棄物処理システム 27億円 各種艤装 110億円 造船直接経費・総合調整・海上試験 37億円 一般管理費・消費税 59億円 593億円 (2)「ちきゅう」及び関連施設の運用環境 ①効率的な運用体制の整備 「ちきゅう」の運用については、運航部門、掘削部門ともに「ちきゅう」の艤装に携わり、各分野にお いて十分な実績を有する国内外の会社の人材が活用されることとなっている。 試験運用期間初期 においては、知見の蓄積のため、機構が自主運用を行うこととしている。 ○「ちきゅう」運用体制図 文部科学省 自主運用体制図 IODP-MI (IODP国際計画管理法人) (財)地球科学技術総合推進機構 IODP推進支援 評価委員会 助言委員会 日本海洋事業㈱ 事前調査支援 ㈱マリン・ワーク・ジャパン 研究・科学支援 地球深部探査センター 「ちきゅう」運用 ㈱グローバルオーシャンディベロップメント 「ちきゅう」運用支援 Smedvig Offshore AS 掘削業務支援 サブコントラクター 各種サービス等 外部委託 (独)海洋研究開発機構 研究者 「ちきゅう」 ②安全な運用体制の整備 機構は「ちきゅう」の安全運用を目的として、安全衛生環境管理システムの構築及び更新を 行うとともに、委員会を設置し、「ちきゅう」安全運用に関わる重要事項について審議している。 ・ 「ちきゅう」の運用に係る安全管理マニュアルの整備にあたって、石油業界で採用されてい る安全衛生環境管理システム(HSE-MS(Health, Safety and Environment – Management System))を導入した。HSE-MS は目標管理、継続的改善、教育訓練、リスク管理、緊急事態 対応等を含む統合的なマネージメントシステムであり、一部の国では法規制により商業掘削 の操業許可条件として HSE-MS の運用が義務づけられている。 ・ 機構は基本文書となる「HSE-MS マニュアル」を完成させ、教育訓練マニュアルに沿って構 成員に対する教育訓練を行っている。運用に関するマニュアルについては請負会社管理手 順、科学支援マニュアル、保守管理規程、事前調査マニュアル、掘削計画マニュアル、緊急 時対応計画等を作成し、順次更新を行っている。 ・ 「ちきゅう」の掘削業務は外部委託を予定していることから、その運用に関するマニュアルは、 海洋研究開発機構が請負会社管理手順によりその委託会社のマニュアル等を管理および 監督する。 ・ 「ちきゅう」の運用における緊急時の対応は緊急時対応計画を作成し、検討がなされている。 「ちきゅう」は運用前であることから、事故等の緊急時を想定したシミュレーションを繰り返し行 うことにより、緊急時の組織体制、連絡体制等における不備を洗い出し、順次更新、改訂を行 い引渡後の運用に備えている。 ・「ちきゅう」研究区画の運用における科学支援は科学支援マニュアルにより実施される。また、 RI・ケミカル・バイオ等の安全に係わる手順書等は現在構築中である。 ・研究者を始めとする外部乗船者については、乗船前、乗船時に適宜、教育プログラムに沿っ て教育を行う。 ・環境保全については、「環境管理計画」、「海洋汚染防止計画」等により船上よりの油、薬品 等の廃棄物の取り扱い、海洋汚染防止に対して取り組んでいる。 掘削予定海域における事前調査の実施 ○地震探査で事前に調査することが必要なハザードの種類 ・浅部ハザード 海中(海象‐潮流等、気象等)、海底面(障害物、起伏、低質の性状や固さ等)及び海底下浅部 (500m程度までのフリーガス、地下水流等の流動性のある地層、断層、メタンハイドレートの存在 等)の掘削の障害となる因子であり、この区間はライザーパイプ設置前に掘削しなければならない ので、ハザードを防ぐことが難しい。そのため、基本的には事前調査によってハザードを摘出・評価 し、摘出されたハザードを避けられる位置において掘削できるような掘削実施計画を策定する。 ・深部ハザード 海底下深部に摘出される掘削の障害(高圧・低圧・高温等の地層や地層流体の存在、断層、破 断面、崩壊性、膨潤性の地層の存在等)となる因子であり、ライザー・BOP設置後の掘削となるの で、事前に泥水プログラム、ケーシングプログラム等を適切に設計することにより、ハザードを克服し ていくことができる。 掘削実施計画とは・・・事前調査により得られた海底下の地殻の状況等により、ドリルビットの種類、ド リルパイプの強度(肉厚)等を初めとする資材の選択、掘削行程、費用の算出 等、連続コアリング施工にあたっての孔井全体についての設計を行うことであ る。 ○事前調査で得られるデータ例 ③研究支援体制の整備 「ちきゅう」には、掘削により採取されたコアを適切に処理・管理・分析するために必要な機器が整 備されている。 ○「ちきゅう」の研究関連設備 分析機器名 搭載研究室 関連研究分野 X 線 CT スキャナー x線CTスキャナー室 Physical property 蛍光実体顕微鏡 QA/QC サンプリングルーム Microbiology/Geochemistry ガスクロマトグラフ(ECD) QA/QC サンプリングルーム Microbiology/Geochemistry イオンクロマトグラフ QA/QC サンプリングルーム 蛍光顕微鏡 微生物実験室 Microbiology 蛍光顕微鏡(位相差) 微生物実験室 Microbiology 顕微鏡写真撮影装置 微生物実験室 Microbiology ガスクロマトグラフ(TCD/FID) 微生物実験室 Microbiology/Geochemistry 熱伝導率計 コア解析サンプリングルーム Physical Property マルチセンサーコアロガー コア解析サンプリングルーム Physical Property マルチセンサーコアロガー(スプリットコア用) コア解析サンプリングルーム Physical Property マルチセンサーコアロガー(デジタル画像取得用) コア解析サンプリングルーム Physical Property マルチセンサーコアロガー(分光測色用) コア解析サンプリングルーム Physical Property XRF コアロガー コア解析サンプリングルーム Physical Property 偏光顕微鏡 コア解析サンプリングルーム Sedimentology/Petrology 実体顕微鏡 コア解析サンプリングルーム Sedimentology/Petrology X 線回折装置 コア解析サンプリングルーム Sedimentology/Petrology ペンタピクノメーター コア解析サンプリングルーム Physical Property 超伝導磁力計 古地磁気分析室/磁気シールドルーム Paleomagnetism パルス磁化器 古地磁気分析室/磁気シールドルーム Paleomagnetism スピナー磁気計 古地磁気分析室/磁気シールドルーム Paleomagnetism 交流消磁装置 古地磁気分析室/磁気シールドルーム Paleomagnetism 帯磁率異方性測定装置 古地磁気分析室/磁気シールドルーム Paleomagnetism 熱消磁装置 古地磁気分析室/磁気シールドルーム Paleomagnetism 帯磁率計 古地磁気分析室/磁気シールドルーム Paleomagnetism 3 軸フラックスゲート磁力計 古地磁気分析室/磁気シールドルーム Paleomagnetism 非履歴残留磁化器 古地磁気分析室/磁気シールドルーム Paleomagnetism ホール効果磁力計 古地磁気分析室/磁気シールドルーム Paleomagnetism ガスクロマトグラフ(NGA) 地球化学実験室 Geochemistry ガスクロマトグラフ(MSD) 地球化学実験室 Geochemistry (ホールコア用+自然ガンマ線測定用) ガスクロマトグラフ(FID) 地球化学実験室 Geochemistry 自動滴定装置 地球化学実験室 Geochemistry 汎用自動滴定装置 地球化学実験室 Geochemistry 液体クロマトグラフ 地球化学実験室 Geochemistry 紫外可視分光光度計 地球化学実験室 Geochemistry ICP 発光分光分析計 地球化学実験室 Geochemistry ICP 質量分析計 地球化学実験室 Geochemistry クーロメーター 地球化学実験室 Geochemistry CHNS/O 元素分析計 地球化学実験室 Geochemistry ロックイーバル 地球化学実験室 Geochemistry 偏光顕微鏡 薄片室 Sedimentology/Petrology 偏光顕微鏡 古生物解析室 Micropaleontology 実体顕微鏡 古生物解析室 Micropaleontology 顕微鏡用デジタルカメラ 古生物解析室 Micropaleontology 顕微鏡カメラ 古生物解析室 Micropaleontology ④海洋コア総合研究センターの整備 海洋コア総合研究センターには、コア 120km分を適切な温度下で冷蔵・凍結保存するための冷 蔵・冷凍保管庫に加えて、採取されたコア等の試料の基礎解析はもとより高精度な解析を要する研 究まで、世界最先端の研究を一貫して実施することを可能とする研究機器が設置されている。 ○海洋コア総合研究センターの設備 分析機器名 搭載研究室 関連研究分野 マルチセンサーコアロガー(分光測色) CT スキャン&MSCL 室 Physical property/Sedimentology/Petrology コア連続画像撮影装置 CT スキャン&MSCL 室 Physical property/Sedimentology/Petrology 電子スピン共鳴式堆積物年代測定装置 CT スキャン&MSCL 室 Physical property/Sedimentology/Petrology 分光測色計 CM-2022 CT スキャン&MSCL 室 Physical property/Sedimentology/Petrology 電子プローブアナライザー EPMA・レーザー顕微鏡室 Physical property/Sedimentology/etrology/etc 顕微レーザーラマン分光装置 EPMA・レーザー顕微鏡室 アミノ酸分析システム EPMA・レーザー顕微鏡室 井戸型ゲルマニウム検出器 EPMA・レーザー顕微鏡室 ICP 質量分析計 ICP 分析試料室 Geochemistry/Sedimentology/Petrology/etc. ICP 発光分光分析装置 ICP 分析試料室 Geochemistry/Sedimentology/Petrology/etc. マルチコレクター二重収束型 ICP 質量分析計 ICP 分析試料室 Geochemistry/Sedimentology/Petrology/etc. 電界放射型走査電子顕微鏡 X 線分析・電子顕微鏡室 偏光顕微鏡 顕微鏡室 試料粉砕用ボールミル P-5/4 工作室 Geochemistry/Sedimentology/Petrology/etc. 高磁場発生装置 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 3 軸フラックスゲート磁力計 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 振動型磁力計(VSM) 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 磁気特性測定システム(MPMS) 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism パルス発生器 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 全自動高温磁力計 No.2 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 全自動高温磁力計 No.1 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 自動 2 軸交流消磁スピナー磁力計 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 自動 3 軸交流消磁スピナー磁力計 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 自動交流消磁スピナー磁力計アンプ部 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 熱消磁用/電気炉 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 帯磁率計(本体) 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 3軸フラックスゲート磁力計 古地磁気・岩石磁気実験室 Paleomagnetism 電磁分離機(マグネティックセパレーター) サンプリング室 スピナー磁力計 磁気シールド室 Paleomagnetism 交流消磁装置 磁気シールド室 Paleomagnetism 熱消磁装置 磁気シールド室 Paleomagnetism 帯磁率異方性測定装置 磁気シールド室 Paleomagnetism 非履歴残留磁化着装置 615L 磁気シールド室 Paleomagnetism 超伝導磁力計 磁気シールド室 Paleomagnetism レーザー回折式粒度分布測定装置 堆積実験室 Sedimentology フロー式粒子像分析装置 堆積実験室 Sedimentology CNS同時元素分析計 堆積実験室 Geochemistry/Sedimentology 温度変化型屈折率測定装置 堆積実験室 Geochemistry/Sedimentology/Petrology/etc. トータルバイオ・イメージングシステム データ処理管理室 ルミノイメージアナライザー データ処理管理室 バイオイメージングアナライザー データ処理管理室 希ガス同位体分析前処理装置 年代測定室 希ガス同位体比質量分析装置 5400He 年代測定室 自動細胞解析分取装置(セルソーター) バイオ実験室 Microbiology ジェネティックアナライザーシステム バイオ実験室 Microbiology 遺伝子増幅装置 バイオ実験室 Microbiology 自動核酸抽出装置 バイオ実験室 Microbiology UV サンプル撮影装置 バイオ実験室 Microbiology 大型電気泳動システム バイオ実験室 Microbiology 自動コロニーピッキングロボットシステム バイオ実験室 Microbiology プレート用自動分注装置 バイオ実験室 Microbiology 紫外可視分光光度計 バイオ実験室 Microbiology HPLC バイオ実験室 Microbiology/Geochemistry 恒温振とう培養機(低温タイプ) バイオ実験室 Microbiology 恒温振とう培養機(中温タイプ) バイオ実験室 Microbiology 恒温振とう培養機(高温タイプ) バイオ実験室 Microbiology マイクロプレート用分注装置 バイオ実験室 Microbiology ATPアナライザー バイオ実験室 Microbiology プレートリーダー バイオ実験室 Microbiology ミューテーション検出システム バイオ実験室 Microbiology 微生物検索同定システム バイオ実験室 Microbiology リアルタイム PCR 定量装置 バイオ実験室 Microbiology 高速冷却遠心機 バイオ実験室 Microbiology 微量高速遠心機 バイオ実験室 Microbiology PCR 産物確認用電気泳動装置 バイオ実験室 Microbiology 超高温菌対応振とう培養器 バイオ実験室 Microbiology 多連槽振とう培養器 バイオ実験室 Microbiology 共焦点レーザー顕微鏡 バイオ実験室 Microbiology 蛍光顕微鏡 バイオ実験室 Microbiology 蛍光実体顕微鏡 バイオ実験室 Microbiology 蛍光位相差顕微鏡 バイオ実験室 Microbiology CCD カラーデジタルカメラシステム 微化石画像処理室 Micropaleontology 倒立蛍光顕微鏡 微化石画像処理室 Micropaleontology 倒立蛍光顕微鏡システム 微化石画像処理室 Micropaleontology 顕微鏡カメラ 微化石画像処理室 Micropaleontology 万能写真顕微鏡 微化石画像処理室 Micropaleontology 万能写真顕微鏡 微化石画像処理室 Micropaleontology 実体顕微鏡 微化石画像処理室 Micropaleontology 偏光顕微鏡 微化石画像処理室 Micropaleontology デジタル顕微鏡 微化石画像処理室 Micropaleontology カラーレーザー顕微鏡 微化石画像処理室 Micropaleontology 大型超音波洗浄器 物性解析室 超音波速度測定装置 物性解析室 ペンタピクノメーター 物性解析室 ウルトラミクロ天秤 無機化学実験室 大型超音波洗浄器 酸処理室 安定同位体質量分析計 質量分析計室 表面電離型質量分析計 質量分析計室 安定同位体比質量分析装置 質量分析計室 平面研磨機 石工室 中型切断用鋸(小割切断機) 石工室 大型切断用鋸(引割切断機) 石工室 薄片研磨装置 石工室 精密薄片研磨装置 石工室 EA-IR-MS 有機地球化学分析室 Geochemistry GC-MSD 有機地球化学分析室 Geochemistry GC-C-IR-MS 有機地球化学分析室 Geochemistry イオントラップ LC-MSD 有機地球化学分析室 Geochemistry GC-PFC 有機地球化学分析室 Geochemistry GC-FID 有機地球化学実験室 Geochemistry ガスクロマトグラフ質量分析計 有機地球化学実験室 Geochemistry 元素分析装置 有機地球化学実験室 Geochemistry 全自動高速濃縮装置 有機地球化学実験室 Geochemistry 全自動固相抽出装置 有機地球化学実験室 Geochemistry 高速溶媒抽出装置 有機地球化学実験室 Geochemistry 炭酸塩分析装置 有機地球化学実験室 Geochemistry 紫外可視分光光度計 有機地球化学実験室 Geochemistry 2.IODPの構造と我が国の取組みについて (1)IODPの意義 IODPの目的は、掘削を用いて海洋域における地球システム変動についての科学 的調査を行うことであり、その科学計画は「IODP初期科学計画(Initial Science Plan:ISP)」において確認されている。 ○IODPの科学計画 ISPにおける三大テーマと八つの研究課題 IODP初期科学計画(ISP)の概要 地球環境変動解明 ●極限気候環境の解明 IODPでは、深海掘削によって得られる堆 積物の高精度連続記録を用いて、極限気候 環境時の地球システムの状態を把握するこ とで、氷床形成及び寒冷化のメカニズム並 びに温室地球への移行原因の解明を目指 す。 ●急速な環境変動の解明 上の目標同様に、深海掘削によって得ら れる堆積物の高精度連続記録を用いて、短 期間での環境変動の原因の解明を目指し、 近未来の環境変動予測に用いる。 地球内部構造解明 ●地震発生帯 IODPでは、地震発生帯の掘削を、「ちきゅう」を用いた最初 の研究航海の対象と位置づけており、海溝型巨大地震発生 域の物性の理解及び長期孔内計測による微小変動のモニタ リングによって、地震発生過程の解明を目指し、地震予測手 法の開発に用いる。 ●大陸分裂と体積盆地の形成 地球システムの進化に重大な影響を与える大陸分裂及び 海洋底拡大の原因を理解する目的で、分裂及び拡大の初期 過程の詳細を把握し、大陸の縁辺部の構造及び堆積盆地の 形成のメカニズムの解明を目指す。 ●巨大火成岩岩石区 海洋域に存在する巨大な火山岩体の成因及びその形成と 地球環境変動との関係の解明を目指す。 <深海底の地質試料の分析により わかること > 現在 ◎放射性炭素同位体(14C ) 地層の年代 ◎プランクトンの化石の種類 海水温度の変化 海流の変化 1億年前 地殻内生命探求 ●深部生物圏 地殻内には地表に匹敵する量の微 生物が存在し、それらが生命進化を 理解する鍵を握っている可能性が高 いと考えられている。また、有用性の 高い遺伝子資源を持つ地下微生物 の発見も期待されている。 ●ガスハイドレート 海底下には、大量のメタンガスが ガスハイドレートとして濃縮している。 この分布状態、地殻内微生物の活 動との関連を含む生成・分解過程 及び地球環境への影響の解明を目 指す。 ●マントルへの掘削 海洋地殻全体の組成及び構造の解明並びに固体地球の 80%を占めるマントルの特性を把握することは、地球の進化 を理解するために不可欠であり、「ちきゅう」を用いて海底下 7,000mのマントルまでの到達を目指す。 ◎酸素同位体比18O /16O 氷床の発達 ◎窒素同位体比15N /14N や 炭素同位体比13C /12C 深層水循環 2億年前 寒冷 温暖 全地球システム変動の実態の解明及びサブシステム間の相互作用の理解により、これらの変動の根本的 な原因を追究する。また、地震発生メカニズムの解明等の社会的に関心の高い課題の解決にも資する。 ○IODPの運営体制 IODPでの掘削作業は、「ちきゅう」と米国が提供するノンライザー式掘削船を主 要掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船(MSP)を加えた複数の掘削船を用い て行う。 (2)IODP主導国としての我が国の取組み ①IODP構築に関する取組み 平成 15 年 4 月に文部科学大臣と米国国立科学財団(NSF)長官が覚書に署名し、IODP は平 成 15 年 10 月より我が国と米国によって開始された。 ○統合国際深海掘削計画(IODP)のための協力に関する日本国の文部科学省(MEXT)とアメリカ 合衆国の国立科学財団(NSF)との覚書概要 序文 I. 目的と責務(Purposes and Commitment) • 文部科学省(MEXT)と国立科学財団(NSF)は、IODP の計画・管理・運用において協力する。 • MEXT と NSF は、Lead Agencies として、科学面及び設備面での主要な能力を均等に提供し、均等 なメンバーシップの権利及び責任を有する。 • IODP の目的は、海洋の科学的調査であり、資源の探査及び開発は目的としない。 • IODP の科学的及び技術的な成果は公開される。 • IODP の中核的な掘削能力は 2 船の海洋科学掘削船により提供され、2 船は国際的に計画及び運 用される。(MEXT が提供し海洋科学技術センターが運用するライザー掘削船:NSF が提供し米国 実施機関が運用するノン・ライザー掘削船) • 特定任務掘削船(MSP)は、特定の科学目的達成のために、IODP メンバーにより提供される。 II. 科学計画(Scientific Planning) 科学諮問組織(Science Advisory Structure) • 科学諮問組織(SAS)は、日米及び他の IODP メンバーより任命された科学者・技術者より構成される。 日米は SAS の各委員会・パネルで平等な代表権を持ち、また、議長は、当初、日米で 2 年毎に交替 する。 • SAS は、IODP の科学計画に関して、長期的指針を示し、かつ、国際的な科学コミュニティーからの プロポーザルに基づき、年間の科学技術計画を勧告する。 • 上級執行機関は、SAS のために設置され、IODP メンバー国の研究機関及び組織の代表者から構 成され、IODP の計画検討及び運用に関して、科学的・政策的な勧告を行う。 • SAS の計画立案に対する支援は、中央管理組織により提供される。 III. 運営枠組み(Operational Framework) 計画管理(Program Management) • 中央管理組織(CMO)は、MEXT と NSF の同意を得て設立され、IODP の運営計画及び実施計画を 作成・管理する。 • CMO は実施機関及び SAS と連携しながら、MEXT と NSF からの予算上の指針に整合した予算案を 含む IODP 年間計画を作成し、NSF との契約の下、科学運用経費を運用する。 • NSF は MEXT の利益に留意しつつ、CMO との契約を管理する。 計画運用(Program Operations) • 実施機関は IODP 年間計画で認められた掘削船等を管理する責任を負う。 • MEXT 及び NSF は、IODP 計画によって得られた試料及びデータを管理し、国際科学コミュニティ ーが利用できるように確保する。 IV. IODP 計画経費及び分担金(IODP Program Costs and Funding) • MEXTとNSFは年間全体計画経費を決定し、IODP実施期間中、全体計画経費のうち、他のIODPメ ンバーの分担金を引いた残りを等分に負担する。 • 全体計画経費は掘削船運用経費と科学運用経費からなる。 • 2船の掘削船運用経費は、MEXT と NSF がそれぞれ負担する。 • MSP の運用経費はその掘削船を提供した IODP メンバーが責任を負う。 • MEXT と NSF を含め、IODP メンバーは科学運用経費を分担金として負担する。 • NSF は IODP メンバーの分担金を取りまとめ、承認された IODP 年間計画に基づき、科学運用経費 として CMO へ提供する。CMO は、契約を通じ、科学運用経費として実施機関へ資金を提供する。 • MEXT と NSF は、掘削船運用経費のための資金を実施機関に直接支出する。 V. 科学活動及び運用への参加(Participation in Scientific Activities and Operations) • 参加資格は、原則として 2013 年までの参加を基本として、MEXT・NSF との間で結ばれる覚書への 署名により保証する。 • 各 IODP メンバーは下記の権利を持つ: 1) 科学者を各航海に参加させる権利 2) 全ての計画立案・諮問パネルへ代表を送る権利 3) 科学運用経費の負担により取得された全ての試料・情報へアクセスする権利 4) 計画支援のための地球物理及びその他を用いた掘削地点調査に関する全てのデータへアク セスする権利 • 5) 掘削又は技術開発提案を SAS へ提出する権利 6) IODP 評議会(IODP Council)に参加する権利 各 IODP 参加国は下記の義務を負う: 1) IODP の全ての活動に積極的に参加する義務 2) 全てのデータ、試料、科学的・技術的成果を IODP メンバーで共有し利用可能にすることを保 証する義務 3) 掘削計画のデータやプロポーザルを提供する義務 VI. IODP 評議会(IODP Council) • IODP 評議会のメンバーは IODP の分担金を支払う各 IODP メンバーからの代表者から構成され、 最低年1回開催される。 • IODP 評議会の議長は MEXT と NSF から選出され、一年毎に交替する。 *IODP 評議会は財政・管理・その他の IODP 全体の運営に係る事柄を審議する諮問的役割を果たす。 VII. データ、情報、知的所有権(Data, Information, Intellectual Property Rights) • MEXT と NSF はデータ、試料、科学的・技術的成果が国際科学コミュニティーにより利用できるよう 必要な措置を取る。 • 知的財産の取り扱いについては、日米科学技術協力協定の附属書 IV 及び一連の議定書に準拠 する。 IX. 管理事項(Administrative Provisions) • この覚書は法的な拘束力を有しない。 • この覚書に基づく協力は利用可能な予算の範囲内で行われる。 • 海洋環境の汚染防止に関して、日米それぞれ適応可能な関連法規に従う。 • この覚書に基づく協力は 2003 年 10 月 1 日に開始し、2013 年 9 月 30 日まで継続する。 • この覚書の修正は、MEXT と NSF の合意による。 署 名 遠山 敦子 Rita R. Colwell 文部科学大臣 国立科学財団長官 日本国文部科学省 アメリカ合衆国国立科学財団 附属書 I. 定義(Definitions) Lead Agency: • Lead Agencies は同等な会員の権利及び義務を有し、主要な掘削能力を提供する。 • Lead Agencies は中央管理組織(CMO)に対して予算指針を提示し、計画実施前に IODP 年 間計画を審議・承認する。 Platform Operations Costs(掘削船運用経費): • 掘削船運用経費は、掘削船の運航に要する経費とする。 Science Operation Costs(科学運用経費): • 科学運用経費は、掘削船上における科学研究の適切な実施に要する経費、陸上における 試料とデータの適切な維持・配布、海上活動の支援及び計画の管理運営に要する経費とす る。 附属書 II • IODP 実施スケジュール(IODP Implementation Schedule) 2003 年 10 月 1 日から 2006 年 9 月 30 日までの IODP 初期実施期間は、米国のノン・ライザ ー掘削船及び必要に応じ MSP により実施する。日本のライザー掘削船は運用準備を行う(詳 細な科学計画、技術計画、技術調査・安全調査等を含む)。 • 2006 年 10 月 1 日より、IODP は完全実施とする。 附属書 III 文部科学省及び米国国立科学財団による運営管理及び事務手続き(MEXT and NSF Management and Administrative procedures) • MEXT と NSF は IODP の実施・運用・管理において、Lead Agencies による監督の任務を行う 主席監理官を指名する。 • MEXT と NSF は、CMO の運営管理のため CMO に対してそれぞれ毎年1百万ドルを提供す る。 • MEXT は IODP リエゾンを NSF 内に派遣する。 附属書 IV • メンバーの年間分担金及び権利(Annual Member contributions and rights) 2002 年現在、年間分担金は下記のとおり見積もられる。 2003 年 10 月~2004 年 9 月 30 日 US$1.5M 2004 年 10 月~2005 年 9 月 30 日 US$3.5M 2005 年 10 月~2006 年 9 月 30 日 US$3.5M • 2006 年 10 月 1 日から 2013 年 9 月 30 日までの1参加単位の年間分担金は$5.6M とする。 • 分担金により、IODP メンバーは1参加ユニットの資格を得る。(SAS の各パネルに1名、各航 海に2名の参加) ○諸外国の IODP 参加促進 IODP 発足前から我が国の研究者が外国で IODP への参加を呼びかけるキャンペーンを 実施する等我が国は従来から諸外国の IODP への参加を積極的に促進してきた。 ②世界的研究拠点の提供 我が国は「ちきゅう」及び海洋コア総合研究センターというIODPにおいて重要な役割を担う 研究拠点を提供する。 「ちきゅう」の研究関連設備については1.(2)③、海洋コア総合研究センターの設備につい ては1.(2)④を参照。 ③IODPへの参加に関する取組み ○IODP関連国際会議への研究者の派遣 IODPにおける主要な国際会議であるIODP評議会、IODP-MI理事会及びSASの各委 員会・パネルに対して、これらの開始当初から、我が国の有する権利に則り関係者が継続的に 参加している。 ○IODPに関する国際会議への参加状況 IODP評議会 IODP参加国の担当機関代表により構成され、IODPの運営等全体的な事項について意見交換を行う。 第1回 2003.12.7 第2回 2004.7.10 第3回 2005.6.17 アメリカ・サンフランシスコ 議長:米側主席監理官(NSF) フランス・パリ 議長:日本側主席監理官(MEXT) 日本・長崎 議長:米側主席監理官(NSF) IODP-MI理事会 IODP参加国より選出される理事により構成され、IODP国際計画管理法人(IODP-MI)の予算・人事・運営等に関し 承認を行う。18名の理事の内、我が国からは7名を選出。 第3回 2005.2.18 アメリカ・ワシントンD.C. 議長:米国 第1回 2003.9.9~10 アメリカ・シアトル 議長:日本 第2回 2004.3.30 日本・札幌 議長:日本 SASにおける国際会議(科学計画・方針監理委員会、科学計画委員会) SASはIODP参加国の研究者・技術者により構成され、内部に各委員会・パネルが設置されており、各々に対し我が国より 3分の1の委員を選出している。 ○科学計画・方針監理委員会 IODP科学計画全体への科学的・政策的な提言やIODP年間計画案の承認を行う。我が国 からは議長含め7名の委員を選出。 第1回 2003.12.5~6 第2回 2004.7.8~9 アメリカ・サンフランシスコ フランス・パリ 第3回 2004.12.11~12 第4回 2005.6.15~16 アメリカ・サンフランシスコ 日本・長崎 ○科学計画委員会 IODP参加国の研究者により構成され、科学提案を検討し、優先順位付けを行う。我が国からは議長含め7名の委員を選出。 第4回 2004.10.25~27 アメリカ・コーバリス 第1回 2003.9.15~19 日本・札幌 第2回 2004.3.23~26 アメリカ・ワシントンD.C. 第5回 2005.3.14~17 ポルトガル・リスボン 第3回 2004.6.14~17 日本・横浜 ○その他、各パネルに対し、我が国より委員を選出。 ○乗船研究者の派遣 我が国は米国と同数の乗船研究者が参加する権利を有しており、2003 年 10 月のIODP開 始以降、我が国の研究者は、米国及び欧州の提供する掘削船による研究航海(計 6 航海)に 参加し、このうち 4 航海で共同首席研究者として参加した。また我が国研究者は、研究航海に 関連する各種の会合にも参加している。 研究航海名・期間 乗船研究者数 研究概要 #301: Fuan de Fuca 共同首席研究 「フアン・デ・フーカ海嶺東翼部の玄武 者を含む 7 名 岩質海洋地殻の水理地質学的構造の の研究者 解明」 [2004 年 6 月 27 日~8 月 21 日] ファン・デ・フーカ海嶺東翼部の熱水循環 (複数の掘削孔(~860m掘削長)による地 下水の流量測定)と地殻内微生物の調査 研究 #302: ACEX 「北極海掘削~新生代の気候変動に おける北極海の役割の解明」 [2004 年 8 月 8 日~9 月 12 日] 8 名の研究者 北極海ロモノソフ海嶺における4地点で掘 削(~500m掘削長)、海氷の形成、氷河代 のメカニズムとプロセス、海洋構造の形成・ 進化、気候変化、ベーリング海峡の形成に 関わる調査・研究 #303: North Atlantic 1 「新第三紀から第四紀における千年ス ケールの気候変動‐北大西洋海域にお ける氷床・海洋・大気 作用の解明‐」 [2004 年 9 月 22 日~11 月 14 日] #306: North Atlantic 2 「同上:テーマ 2」 [2005 年 3 月 3 日~4 月 26 日] 共同首席研究 者を含む 8 名 の研究者 新第三紀から第四紀までの過去200万年 間を対象に数百年~数千年単位での気候 変動及び、推積物の年代・組成とそれらの 推移に関わる調査・研究 共同首席研究 者を含む 7 名 の研究者 前航海に引継ぎ、グリーンランド南東沖合 及び北大西洋中央部での推積物の年代・ 組成及びそれらの推移に関わる調査・研究 #304: Ocean Core Complex 1 「海洋コアコンプレックスの形成過程及 び海洋リソスフェアの進化過程の解明」 [2004 年 11 月 17 日~2005 年 1 月 18 日] 5 名の研究者 北大西洋中央海嶺の海洋コアコンプレック スを対象にマントルカンラン岩を採取し、形 成・進化(変形・変成・マグマの生成)過程 及びモホ面の実態解明に関わる調査・研 究 #305: Ocean Core Complex 2 「同上:テーマ 2」 [2005 年 1 月 12 日~3 月 2 日] 共同首席研究 者を含む 7 名 の研究者 #304 の掘削対象であった上盤ブロックサ イトでなく、下盤ブロックサイトを掘削し、上 記の解明に関わる調査研究 タヒチ研究航海に関する共同首席者会 議(英・レスター) ACEX Onshore Science Party (独・ブレーメン) 各種関連会議 1名 計画と実施内容、スケジューリング、船上作 業・工程等の調整・確認 7名 サンプリング仕様(分配方式)、サンプルの 観察・測定・分析等、担当者の指名、スケ ジュール管理等について検討・調整・決定 #301 第 1 回ポストクルーズ会議 (米・TAMU 大学) 合計 1名 32名 クルーズレポートの作成 (3)国内におけるIODP関連研究の推進体制 ①国内研究者組織の構築 ○日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC: Japan Drilling Earth Science Consortium)の設立 1. IODP 日本地球掘削科学コンソーシアムの設立趣旨 我が国の地球科学コミュニティーは、我が国が主導となる IODP 科学計画の策定機能と掘削科学 提案の立案の促進などのため、深海掘削に関する国内研究体制の整備・拡充が急務である。我が 国において、IODP 科学計画を円滑かつ強力に推進するためには、国内の研究機関が集結し、本計 画がもたらす生命・地球科学への波及効果を最大限に活用する基盤としての研究機関ネットワーク を設置することが不可欠である。 そこで、IODP 科学計画を担う我が国の研究機関連合としての位置づけを明確にした日本地球掘 削科学コンソーシアム(J-DESC)を設立*する。 また、J-DESC は、IODP 科学計画推進の総合的研究機関である海洋研究開発機構(JAMSTEC)と 共に、IODP 科学計画を牽引きする事になる。 [(*)設立発起人;久城育夫、小泉格、平澤朋郎、平野哲也(敬称省略)] 2.会員(正会員:44、賛助会員:20、個人会員:13 人) 3.IODP部会組織図と機能 ○国内科学目標の策定 ISPの策定には、我が国の研究者も主導的な役割を果たした。この国際的な科学目標の中で、特 に我が国が主導的な役割を果たして押し進めるべき科学目標について、J-DESC及び機構に設 置されているIODP国内科学掘削推進委員会は、国内研究者との意見交換を踏まえて、「地球シス テム変動の解明を目指して−IODPにおける我が国の科学計画」(2002 年 11 月)、「IODPにおける 我が国の科学戦略−掘削提案の実現に向けて(1)」(2004 年 3 月)を策定した。 これらは以下のURLからダウンロードできる。 地球システム変動の解明を目指して−IODPにおける我が国の科学計画 http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/cdex/cdex_infor/data_html/iodp_topic5.html IODPにおける我が国の科学戦略−掘削提案の実現に向けて(1) http://www.aesto.or.jp/j-desc/oshirase_html/kagakusenryaku_body.html ②IODP関連研究の推進 ○掘削計画の提案状況 我が国の研究者の掘削計画の提案については、IODP開始当初は、これまでの蓄積もあり、 順調に提案され、特に南海トラフ地震発生帯掘削は Complex Drilling Project として採択される 等順調であったが、現在は年々減少傾向にある。J-DESCは、最大の問題点が事前調査にあ ると認識し、これを解消するために国内提案者への情報提供と支援の検討を進めている。 ○関連研究推進における問題点の深海掘削委員会への提言 一方、多大な国費を投入して建造・運用がなされる「ちきゅう」を用いた革新的な研究を,我が国 の研究者を中心にして行うために、組織的かつ安定的な研究推進体制の構築を内容とした「IOD Pにおける我が国の科学戦略(2)−研究支援体制の確立に向けて−」が、J-DESCから深海掘削 委員会へ提言された。 上記の提言は、以下のURLからダウンロードできる。 http://www.aesto.or.jp/j-desc/oshirase_html/kagakusenryaku_body.html 3.人材の育成について (1)研究者の育成 ・乗船研究の支援・・・機構は、平成 17 年 7 月 1 日現在、のべ 66 人の国内研究者・技術者に対し、 IODP 乗船研究、プレ・ポストクルーズ会議等に派遣支援を実施。うち若手研究者(修士課程~ 特別研究員)25 名。 ・「IODP 掘削プロポーザル作成の手引き」の作成・・・IODP への参加方法に関する手引きを作成し、 冊子を出版した。また、これを CDEX ホームページに掲載し、その普及に努めている。 ・コア解析スクールの実施・・・高知大学海洋コア総合研究センターにおいて、大学生・大学院生を 対象としたコア解析に係る実習型スクールを高知大学等と共催で実施。コア解析作業を通じ、 地球科学・深海掘削科学の普及啓蒙に努めている。 ・高校生での特別授業の実施・・・機構及びJ-DESCは将来の研究者拡大に向け、J-DESC関係 教官の人的ネットワークを活用し、地元高校生を対象とした特別授業、スーパーサイエンスハイ スクールにおける特別授業等を行い、IODP及び「ちきゅう」について説明。 ・IODP大学&科学館キャンペーンの開催・・・次ページに詳細。 ○IODP大学&科学館キャンペーンの開催 対象:一般研究者・大学院生(若手研究者)及び一般(小学生~父兄・一般) 素材:(大学向け)研究者向け展示パネル・研究者向けパンフレット・広報 VTR 等 (一般向け)一般向け展示パネル・子供向け“ちきゅう”パンフレット・“ちきゅう”模型・広報 VTR・広報グッズ・ポスター 等 目的:(大学向け)IODP研究航海の乗船研究者の確保と IODP 科学コミュニティーを支える人材育 成。 (一般向け)広く一般国民、特に将来の我が国の科学界を支えることが期待される小・中・高校 生に対し、IODP に対する理解を求める。IODPを通じ、科学館と大学との協力関係を構築 する。 主催:海洋研究開発機構・日本地球掘削科学コンソーシアム 後援:文部科学省(開催ごとに申 請) 協賛・協力:各開催地(大学・科学館等) 【2004年度開催】 開催日 第1回 催し(開催場所) 動員数 4月16日 (大学向け講演会)九州大学 約 100名 4月17日 (一般向けイベント)北九州市立自然史・歴史 博物館 約 150名 5月30日 (一般向けイベント)栃木県立博物館 約 5月31日 (大学向け講演会)宇都宮大学 約 200名 5月30日~6月15日 (一般向け展示)栃木県立博物館 約6100名 (期間中入場者) 番外編 7月31日~8月1日 「青少年のための科学の祭典松本大会」に出 展(@信州大学) 一般向けブース・イベントを実施 約 50名 科学の祭典入館者 (約3000名) 番外編 8月10日~15日 国立科学博物館「2004夏休みサイエンススク エア」に出展。一般向けブース展示・子供向 けイベントを実施 約 160名 サイエンススクエア参加 者(約 16400名) 第3回 10月16日 (一般向けイベント)山形県産業科学館 約 63名 10月17日 (大学向け講演会)山形大学 約 50名 10月7日~25日 (一般向け展示)山形県産業科学館 約3000名 (期間中入場者) 10月30日 (高校生対象講演会)大阪府立岸和田高等 学校 約 367名 10月31日 (一般向けイベント)大阪市立自然史博物館 10月30日~11月7日 (一般向け展示)大阪市立自然史博物館 約6500名 (期間中入場者) 番外編 11月6日 専修大学公開講座・講演会にてIODPに関 する大学生・一般向け普及講演(@川崎) 第5回 12月4日 (大学向け講演会)岡山理科大学 約 55名 12月5日 (一般向けイベント)RSKメディアコム 約 98名 12月4日~12日 (一般向け展示)RSKメディアコム 倉敷市立自然史博物館(同時開催) 約 450名 (期間中入場者) 12月13日 埼玉県高校地学教員の会 第2回 第4回 番外編 約 90名 42名 【2005年度開催】 2月10日 (大学向け講演会)琉球大学 約 60名 2月11日 (一般向けイベント)沖縄美ら海水族館 約 50名 1月31日~2月28日 (一般向け展示)国際海洋環境情報センター 琉球大学 沖縄美ら海水族館 4月28日 (大学向け講演会)新潟大学 約 130名 4月29日 (一般向けイベント)新潟県立自然科学館 約 110名 4月28日~5月8日 (一般向け展示)新潟県立自然科学館 約12450名 (期間中入場者) 7月8日 (大学向け講演会)秋田大学 7月9日 (一般向けイベント)秋田大学附属鉱業博物館 7月8日~8月21日 (一般向け展示)秋田大学附属鉱業博物館 7月23日 (大学向け講演会)東海大学 7月24日 (一般向けイベント)東海大学海洋科学博物館 7月23日~8月31日 (一般向け展示)東海大学海洋科学博物館 番外編 7月29日~31日 信州大学自然誌科学館2005「自然はまわる」 に出展予定 番外編 8月22日~23日 国立女性教育会館「女子高生科学夏の学校 (仮称)」にて講演予定 番外編 11月5日~6日 大阪市立科学館「21世紀の地学教育を考える 大阪フォーラムこどものためのジオ・カーニバ ル」参加予定 第 10 回 11月19日 (大学向け講演会)島根大学 11月20日 (一般向けイベント)出雲科学館 11月12日~27日 (一般向け展示)出雲科学館・島根県立三瓶自 然館(調整中) 第6回 第7回 第8回 第9回 (2)技術者の育成 ○ジョイデスレゾリューション号への乗船支援等による技術者の育成 建造技術関連(各1名) 科学支援関連(各1名) 平成4年度 60日間 平成6年度 60日間 56 日間 平成8年度 3日間 54 日間 平成9年度 3日間 54 日間 平成12年度 60日間 平成 16 年度 平成 17 年度 44 日間 36 日間 50 日間 14 日間 48 日間 予定 61 日間 予定 ○掘削技術の日本への移転 「ちきゅう」の掘削は、深海掘削の経験が豊富なノルウエーのスメドヴィッグ(Smedvig)社の人 材派遣を受けて実施されるが、わが国が運用する掘削船であることから、深海掘削技術に関 わるノウハウをできるだけ早期に日本に移行させていく必要がある。このため、機構は、スメドヴ ィッグ社の協力のもと、日本への技術移転のためのプログラムを作成し、早期に実現していくこ ととしている。 (3)計画推進実務者の育成 ○IODP-MIにおける日本人計画推進実務者 IODPの中央管理組織であるIODP-MIにおいて、科学的知識を持ちながらマネジメントを 行っている職員。(事務補助業務担当者を除く) 札幌事務所 ワシントン 勤務者 事務所勤務者 (4)アジアを中心とした外国人研究者の育成 ○外国人研究者を対象としたシンポジウムの開催 実施年月 場所(国・地域) タイトル 講演者 参加者(概数) 日 04/01/10 04/03/30 04/07/09 国 立 大 学 海 洋 研 IODP: its structure 究所(台湾) science JAMSTEC(日本) A new Science creating by 徐垣 他 韓国・台湾研究 IODP in Asia 者 50 名 Asia 幸 Oceania IODP Town Meeting Geoscience 05/05/13 and M.Coffin/ 巽 好 大学教官/大学 Korean Science 末広潔/徐垣/ 院生 80 名 研究者 60 名 巽好幸 Ocean IODP: Society its structure and 巽好幸 研究者 100 名 science (韓国) ○我が国の乗船研究者枠の外国人研究者への提供 (1) J-DESC/IODP 部会長より韓国および台湾への招待状の発信 (平成 16 年度は韓国研究機関より応募があったが、乗船研究者に選出されず) (2) J-DESC/IODP 部会ではアジア諸国からの乗船研究者の応募・選考・推薦について手 順を明確化 (3) 平成 17 年度乗船予定 ①「Superfast Spreading Crust 2」(7 月 10 日~8 月 28 日) 韓国人研究者1名 ②「Cascadia Margin Gas Hydrate」(8 月 28 日~10 月 28 日) 韓国人研究者1名 4.国民への説明について ○海洋研究開発機構の広報戦略 ○インターネット及び起爆剤の活用計画 年度 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 「ちきゅう」 「ちきゅう」本船の活用 Web Web 改造期間 全体構成変更 ・窓口としての機能の拡充 ・全ての情報の集約 地震発生帯到達・超深度地下生物圏発見・マントル到達 Web 本格稼働−「ちきゅう」と国民をつなぐ唯一の媒体として− 起爆剤 IODP キャンペーン 「ちきゅう」一般公開 教育現場として「ちきゅう」を活用 ・教育者の乗船体験 ・リアルタイム通信 ○IODPにおける研究航海に関するプレス配布資料(例) 平成17年6月28日 文 部 科 学 省 統合国際深海掘削計画(IODP)における研究航海の開始について このたび、統合国際深海掘削計画(IODP)において、下記のとおり、米国の提供するジョイ デスレゾリューション号が、東太平洋中米沖において掘削を行うこととなりましたのでご案内い たします。この航海には、欧米の参加者に加え我が国から 5 名の研究者が参加する予定で す。 IODP は、海洋科学掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動の解明、地 震発生メカニズムの解明及び地殻内生命の探求等を目的として研究を行う国際研究協力プロ ジェクトであり、2003 年 10 月 1 日より我が国と米国によって開始されました。その後、欧州 12 カ国で構成される欧州海洋研究掘削コンソーシアム(ECORD)、中国が参加し、国際的な推進 体制が構築されています。IODP では、現在我が国で建造している地球深部探査船「ちきゅう」 のほか、米国が提供する科学掘削船、欧州が提供する特定任務掘削船(MSP)の複数の掘削 船を用い、科学目標を達成するため戦略的かつ効果的に研究を行うこととしています。 記 1.日程(現地時間): 2005 年 7 月 10 日 パナマ・バルボア港を出航。東太平洋中央海嶺(別添図参照)にて掘 削を実施。 2005 年 8 月 28 日 パナマ・バルボア港に帰港(掘削航海終了)。 ※気象条件や調査の進捗状況等によって変更の場合あり。 2.我が国から参加する研究者: 研究者リスト 3.研究の概要:別紙参照 以上 研究の概要 1.テーマ 高速拡大海嶺で形成された上部海洋地殻の貫通 2.概要 地殻には大陸地殻と海洋地殻があり、地球の表層は海洋地殻によって最も広く覆われてい る。海洋地殻は中央海嶺で誕生した後、移動して沈み込み帯から地球内部へ潜り込む運動を 繰り返してきた。海洋地殻の層構成は、上部から順番に堆積物層(第 1 層)、玄武岩層(第 2 層)、ハンレイ岩層(第 3 層)となっており、これらの下部には地殻とマントルの境となるモホロヴ ィチッチ不連続面を挟んでマントルを構成するカンラン岩層(第 4 層)が存在すると考えられて いるが、層構造を実際に掘削し確認した研究はない。 本研究航海の掘削予定点は、東太平洋中米沖 900 kmの海底に位置する。当該地点は、 1500万年前に年間 22cmの高速度で拡大していた東太平洋中央海嶺で形成された地殻で、 海洋地殻としての平均的な特徴を持つため、地球表層部を代表する試料が得られると考えら れている。当該海域では、IODPの前身であるODP(深海掘削計画)において 2002 年 11 月に海 底下を 700m掘削しており、第2層まで連続的にコアを採取した。本研究航海では、この掘削孔 をさらに 1000m掘削し、第 2 層下部から第 3 層上部までの連続コア採取を予定している。また、 10月には本掘削孔において、更なる深度への到達を目指した研究航海が行われる予定であ る。 本研究航海では、上部海洋地殻を貫通し、第 3 層まで連続的にコアを採取することにより、 海洋地殻の層構造を確認するとともに、掘削孔及びコアについて系統的、多面的な記載や分 析を行い、さらなるデータを得ることで、地球科学全般の進展に寄与することを目的としてい る。 上部海洋地殻: 海洋地殻のうち堆積物層(第1層)と玄武岩層(第2層)を合わせた部分。 掘削予定点 図.本研究航海における掘削地点 IODP2005年度年間事業計画の概要 航海期間 航海日数 概要 (予定) (移動/運用) Atlantis Oceanic Core Complex 2004/11/17 大西洋中央海嶺(MAR)の 2 カ所におい 5/47 (Part 1) て掘削を行い、海洋コアコンプレックスの ~2005/1/8 形成に係る条件及び海底のかんらん岩 Atlantis Oceanic Core Complex 2005/1/8 5/48 の変成過程を調査。 (Part 2) ~2005/3/2 Part 1 からの継続活動。ODP 掘削孔 North Atlantic 642E に孔内計測装置を設置し、底層水 Neogene-Quaternary Climate 2005/3/2 5/50 温度の長期的変動履歴に関する測定の (Part 2) & Norwegian Margin ~2005/4/26 可能性について調査。 Bottom Water 北大西洋のポーキュパイン海盆におい Porcupine Basin Carbonate 2005/4/26 て掘削を行い、炭酸塩マウンドを中心と 6/29 Mounds ~2005/5/31 した海域における物質循環や過去 300 万年間の気候変動について調査。 メキシコ湾の 2 地域において掘削を行 2005/5/31 い、堆積物中の間隙水圧上昇のメカニズ Gulf of Mexico Hydrogeology 5/35 ~2005/7/10 ムや流体移動の要因について調査。 東太平洋中米沖の海洋地殻の超高速拡 2005/7/10 大軸において掘削を行い、マグマ溜りで 5/44 Superfast Spreading Crust 2 ~2005/8/28 の海洋地殻形成メカニズムについて調 査。 タヒチ沖の 5 カ所において掘削を行い、 2005 年春 未定 Tahiti Sea Level 最終氷期極相期以降の海水準の変動や ~秋 周辺環境の変化を調査。 2005/8/28 東太平洋北米沖において掘削を行い、 プレート収束域におけるメタンハイドレー Cascadia Margin Gas Hydrates ~ 5/56 ト形成メカニズム解明のための調査。 2005/10/28 名称 掘削船 米国船 米国船 米国船 米国船 米国船 米国船 欧州船 米国船