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第13章 証券会社等の監督をめぐる動き(PDF:47KB)
第 13 章 証券会社等の監督をめぐる動き 第1節 証券会社等関係 Ⅰ 証券会社向けの総合的な監督指針・監督方針 1.監督指針 これまで金融行政は、平成 10 年の金融システム改革法によるセーフティネットの 整備、証券会社の専業規制の撤廃などの制度設計に併せ、ルールに基づく事後チェ ック型行政を徹底してきており、投資者の自己選択と投資者保護を根底に置いた金 融機関の自助努力を促進する行政を進めてきている。 現在の証券会社の業務形態をみると、いわゆるインターネット専業会社、自己売買 に特化する会社、証券業以外の業務が主たる会社、国際業務を幅広く展開する会社 など、多種多様となっているが、このように多様化している証券会社に対しても、 監督上の対応を的確に行うことが求められている。 このような状況の下、日常の監督事務を遂行するため、証券会社の監督行政はどの ような視点に立って行うべきか、各種規制の基本的考え方、監督上の着眼点と留意 すべき事項、具体的な監督手法について、従来の事務ガイドラインの内容も踏まえ、 体系的に整備するとともに、特に、証券会社の経営状況や法令等遵守態勢を把握す ることが、事後チェック型行政を適切に行うための前提となることから、これらに ついて着眼点を加えることとした同監督指針を 17 年7月に策定・公表した。 2. 平成 17 事務年度証券会社向け監督方針に基づく対応(資料 13−1−1参照) (1)経営管理の強化 ①経営者の法令等遵守意識の強化、②リスク管理部門及び内部監査部門の強化、 ③金融コングロマリットの経営管理について、ヒアリング等を通じて重点的な監督 を行った。 (2)適切な業務運営の確保 ①利用者本位の業務運営のための態勢の整備、②法令等遵守態勢・適正な内部管 理体制の整備について、検査とも連携しつつ、ヒアリング等を通じて重点的な監督 を行った。 (3)財務の健全性の確保 自己資本規制比率等の財務の健全性についてヒアリング等を通じて適切にモニタ リングを行った。また、国際的に活動する証券会社グループについては、グループ 全体での適正な自己資本の確保についても検証を行った。 Ⅱ 証券会社等の概況 1.証券会社の数の推移(資料 13−1−2参照) (1)国内証券会社 国内証券会社は、平成 17 年7月以降、他業態による証券会社の設立など新規参 入が行われており、41 社が新規に登録を受けている。 一方、証券業界からの退出は合併3社、自主廃業等2社の計5社である。 この結果、18 年6月末現在における国内証券会社数は 267 社となっている。 また、この中には金融システム改革以降、最近の規制緩和や法令改正等を踏まえ、 みなし有価証券(組合ファンド)や投資信託など特定の商品の販売に重点を置いたり、 インターネット取引業務など特定業務に特化するなど、様々な特色のある証券会社 が見られる。 ※ 18 年6月末現在の国内証券会社一覧は資料 13−1−3参照 新規参入証券会社 証券会社名 登録年月日 レフコ証券 17 年7月1日 Bridge Capital 証券 17 年8月 17 日 プレミア証券 17 年9月1日 リライアンス・ジャパン証券 17 年9月1日 ヴァリュー証券 17 年9月2日 田中価値証券 17 年9月6日 DTはやぶさ証券 17 年9月 20 日 FROMEAST証券 17 年9月 21 日 プレステージ・アセット・マネジメント証券 17 年9月 26 日 フィンテックグローバル証券 17 年 10 月 14 日 エコ・プランニング証券 17 年 10 月 14 日 ビービーネット証券 17 年 10 月 26 日 JAIC証券 17 年 10 月 31 日 エービーエヌ・アムロ証券投資顧問 17 年 10 月 31 日 きっと証券 17 年 10 月 31 日 ドイツ証券準備 17 年 11 月1日 FXA証券 17 年 11 月 11 日 ジェミニ・アドバイザーズ証券投資顧問 18 年1月5日 ゴールドマン・サックス証券準備 18 年1月 13 日 JP モルガン証券準備 18 年1月 13 日 バークレイズ証券準備 18 年1月 13 日 モルガン・スタンレー証券準備 18 年1月 13 日 クレディ・スイス証券準備 18 年1月 13 日 夢真証券 18 年2月3日 エイケイ証券 18 年2月3日 バンクオブニューヨーク証券 18 年2月 14 日 ラッセル・インベストメント証券投信投資顧問 18 年2月 16 日 GMOインターネット証券 18 年3月6日 三菱UFJメリルリンチPB証券 18 年3月 10 日 東京プリンシパル証券 18 年3月 15 日 ジョインベスト証券 18 年3月 15 日 東京都市開発証券 18 年3月 16 日 三菱商事フューチャーズ証券 18 年4月3日 JPBM證券 18 年4月 26 日 アクサ・ローゼンバーグ証券投信投資顧問 18 年5月1日 レッグ・メイソン証券 18 年5月 18 日 アセット証券 18 年5月 19 日 岡三オンライン証券 18 年5月 25 日 スーパーファンド証券 18 年6月8日 GAM証券投資顧問 18 年6月 16 日 日本プライベート証券 18 年6月 26 日 合併した証券会社 合併証券会社名 新証券会社名 合併年月日 三菱証券(存続会社) ―ユーエフジェイつばさ証券 三菱UFJ証 券 17 年 10 月1日 カブドットコム証券(存続会社) ―Meネット証券 カブドットコ ム証券 18 年1月1日 ラッセル・イ ラッセル・インベストメント証券投信投資 ンベストメン 顧問(存続会社) ト証券投信投 ―ラッセル・インベストメント証券 資顧問 18 年3月1日 証券業を廃止した証券会社 証券会社名 ナショナル・オーストラリア証券 廃止年月日 17 年8月 31 日 合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した証券会社 証券会社名 アルストラ・キャピタル・マネジメント証券 解散年月日 18 年4月 10 日 (2)外国証券会社 外国証券会社は、17 年6月末で 40 社あったが 17 年7月以降、2社が新規に登 録を受けている。 一方、17 年7月以降、本国の経営戦略の見直し等による廃業により1社が撤退 している。また、株式会社化を行って国内証券会社となる動きが出てきており、こ の結果、18 年6月末現在における外国証券会社数は 36 社となっている。 ※ 18 年6月末現在の外国証券会社一覧は資料 13−1−4参照 新規参入外国証券会社 外国証券会社名 登録年月日 トレードウェブ・ヨーロッパ・リミテッド 17 年8月4日 ITG Japan Ltd. 17 年9月1日 営業譲渡により廃業した外国証券会社 廃業した外国証券会社名 譲渡先外国証券会社名 クレディアグリコルインドスエズ BNPパリバ証券会社 証券会社 譲渡年月日 17 年7月 31 日 株式会社化に伴い廃業した外国証券会社 廃業した外国証券会社名 譲渡先証券会社名 廃業年月日 ドイツ証券会社 ドイツ証券㈱ 17 年 12 月 31 日 モルガン・スタンレー証券会社 モルガン・スタンレー証 18 年3月 31 日 券㈱ クレディスイスファーストボスト クレディ・スイス証券㈱ 18 年4月1日 ン証券会社 J.P.モルガン証券会社 JPモルガン証券㈱ 18 年4月1日 バークレイズ・キャピタル証券会 バークレイズ・キャピタ 18 年4月 30 日 社 ル証券㈱ 2.金融機関の証券仲介業務の解禁 平成 16 年 12 月1日より解禁された金融機関の証券仲介業務については、18 年3 月末日現在で 97 金融機関が業務を開始している。 なお、16 年4月1日より施行された証券仲介業制度については、18 年6月末現在 における証券仲介業者数は 507 者となっている。 ※ 18 年6月末現在の証券仲介業者一覧は資料 13−1−5参照 3.国内証券会社の平成 17 年度決算概要(資料 13−1−6∼7参照) (1)経常損益 平成 17 年度における東京証券取引所(第一部、第二部)の一日平均売買代金が 2兆 4,000 億円を超えるなど株式市況が活況だったことを背景に、委託手数料が増 加(前期比 49%増)したことに加え、株式相場が概ね好調な値動きで推移したこ と等によりトレーディング損益が増加(前期比 52%増)したことから、営業収益 は、国内証券会社 249 社の合計で3兆 6,951 億円(前期比 46%増)と、大幅な増 加となった。 一方、販売費・一般管理費については、人件費及び取引関係費等が増加したこと から、2兆 1,275 億円(前期比 19%増)となり、この結果、経常損益は、1兆 3,832 億円(同 7,704 億円増、126%増)と、それぞれ大幅な増益となった。 (2)当期純損益 特別損失△1,023 億円及び法人税等 4,881 億円を計上し、7,928 億円(同 4,009 億円増、102%増)と、大幅な増益となり、3期連続の利益計上となった。 Ⅲ 証券会社等に対する行政処分 証券会社等に対する行政処分については、証券取引の公正性の確保や投資者保護等の 観点から、検査等を通じて法令違反行為が認められた場合には、法令に則り厳正に対処 してきているところである。 平成 17 年7月以降の証券会社に対する行政処分の状況については、検査局及び証券 取引等監視委員会の検査結果等に基づき、18 社(国内証券会社 15 社、外国証券会社2 社、証券仲介業者1社)に対し行政処分(業務停止命令及び業務改善命令)を行ってお り、行政処分に至った違法行為の内容は、実勢を反映しない作為的相場形成、取引一任 勘定取引契約の締結等となっている。 (18 年6月 30 日時点) Ⅳ 投資者保護基金について(資料 13−1−8参照) 金融システム改革に伴う証券取引法の改正(平成 10 年 12 月1日施行)において、 顧客資産の分別保管の義務化とともに、証券会社の破綻の際のセーフティネットとして、 投資者保護基金制度を創設し、全ての証券会社に投資者保護基金への加入を義務づけた。 基金制度創設当初より、国内系証券会社(235 社)を中心に設立された日本投資者保 護基金と外資系証券会社(46 社)を中心に設立された証券投資者保護基金が存在して いたが、14 年 7 月 1 日に統合し、日本投資者保護基金に一本化され今日に至っている (6 月末時点 303 社、基金規模 488 億円) 。 第2節 投信・投資顧問 Ⅰ 不動産投信参入の現状 平成 12 年 11 月 30 日の投信法改正により、不動産を含めた幅広い資産に投資するこ とが可能となったが、これを受け、主として不動産や不動産関連商品を投資対象とす る投資信託委託業者は 45 社となった。 また、これらの社が運用を行う登録投資法人は 43 法人となった。 Ⅱ 説明責任の充実・強化 平成 14 年8月6日発表の証券市場の改革促進プログラムを踏まえ、運用結果の顧 客への説明責任の徹底等について投資信託協会に検討を要請した。これを受けて投資 信託協会では 14 年 12 月 25 日に「国民に信頼される投資信託に向けての取り組みに ついて」を発表し、運用の目標となる指標と実際の運用結果の乖離をグラフ等を用い てわかりやすく説明することや運用状況に関する問い合わせ先の名称、電話番号の記 載を行うこと等について協会ルールで義務付け、運用報告書の充実を図ることとした。 また、営業報告書において運用方針の決定の過程や運用体制の管理の状況等につい て添付書類として提出することが義務付けられ、さらに公衆縦覧に供する等の内閣府 令等の改正を行った。 Ⅲ 投資信託委託業者等の概況 1.投資信託委託業者等の推移 (1)投資信託委託業者数(資料 13−2−1参照) 投資信託委託業者数については、免許制から認可制への移行に伴い、認可基準の 見直し・投資対象の拡大や不動産、商社等新規分野からの参入により、この1年 (平成 17 年7月から 18 年6月)については急激に増加している。 この1年間で、16 社に対して認可を行い、一方で委託業者の合併により1社の減 少となった。 この結果、18 年6月末現在の投資信託委託業者数は 117 社(証券系6社、銀・生 損保系 21 社、外資系 38 社、不動産系 18 社、その他系 14 社、独立系 20 社)となっ た。 ※18 年6月末現在の投資信託委託業者一覧は資料 13−2−2参照 新規参入投資信託委託業者 投資信託委託業者名 ADインベストメント・マネジメント㈱ ㈱三井不動産アコモデーションファンドマ ネジメント 森ビル・インベストメントマネジメント㈱ ファンドクリエーション投信投資顧問㈱ リプラス・リート・マネジメント㈱ ジャパン・ホテル・リート・アドバイザー ズ㈱ クリード・リート・アドバイザーズ㈱ ファンネックス・アセット・マネジメント ㈱ エコロジー・アセットマネジメント㈱ 三井不動産商業プロパティファンドマネジ メント㈱ ㈱シンプレクス・リート・パートナーズ キャピタル・インターナショナル㈱ ジャパンエクセレントアセットマネジメン ト㈱ パシフィック・コマーシャル・インベスト メント㈱ 青山リート・アドバイザーズ㈱ MIDリートマネジメント㈱ 合併した投資信託委託業者 合併投資信託委託 業者 三菱投信㈱(存続 会社) − ユー エフジェイパート ナーズ投信㈱ 認可年月日 17 年9月8日 17 年9月 26 日 17 年9月 26 日 17 年 10 月3日 17 年 10 月4日 17 年 10 月4日 17 年 10 月4日 17 年 12 月6日 17 年 12 月 15 日 17 年 12 月 27 日 17 年 12 月 27 日 18 年2月1日 18 年2月6日 18 年2月 17 日 18 年5月 26 日 18 年5月 26 日 新投資信託委託業 者 合併年月日 三菱UFJ投信㈱ 17 年 10 月1日 (2) 投資顧問業者数(資料 13−2−3参照) ① 投資顧問業者の登録数 17 年7月から 18 年6月末までに 186 社の登録が行われる一方で、72 社が 廃業等により登録抹消された。 ② 投資一任業者数 17 年7月から 18 年6月末までに9社に認可が行われる一方で、7社が投 資一任業務を廃止(合併によるものを含む)した。 この結果、18 年6月末現在の投資一任業者数は 139 社となった。 新規参入投資一任業者 投資一任業者名 エムエフシー・グローバル・インベストメント・ マネジメント・ジャパン 株式会社 アイエヌジー投信株式会社 野村證券株式会社 AIFAM アセットマネジメント株式会社 アストマックス株式会社 ユナイテッド投信株式会社 三菱UFJ証券株式会社 光証券株式会社 アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャ パン株式会社 投資一任業務を廃止した投資一任業者 投資一任業者名 認可年月日 17 年8月 31 日 17 年8月 31 日 17 年9月 16 日 17 年 10 月 31 日 17 年 10 月 31 日 17 年 10 月 31 日 18 年1月 30 日 18 年1月 30 日 18 年1月 23 日 抹消年月日 CMT Asia,Inc. 17 年8月 1 日 ユーエフジェイパートナーズ投信株式会社 17 年 10 月 31 日 ユーエフジェイ信託銀行株式会社 17 年 11 月8日 アストマックス・アセット・マネジメント株式 会社 ユーエイエム・ジャパン・インク 株式会社MACアセットマネジメント ジェー・ピー・モルガン・インベストメント・マ ネージメント・インク 17 年 12 月 27 日 18 年3月1日 18 年5月 15 日 18 年5月 31 日 2.運用資産の推移 (1) 投資信託(資料 13−2−4参照) 投資信託については、純資産残高は平成 18 年4月末で公募投信 588,545 億 円、私募投信 280,684 億円となっている。 (2) 投資一任契約(資料 13−2−5参照) 投資一任契約については、契約資産残高は 18 年3月末で 110 兆 3,228 億円と 過去最高となった。 3.投資信託委託業者等に対する行政処分 (1)投資信託委託業者等 平成 17 年 7 月以降 18 年 6 月末までの間に、検査局及び証券取引等監視委員 会の検査結果等に基づき、4社(投資信託委託業者3社、投資法人1法人)に対 し行政処分(業務改善命令)を行っており、処分理由は信託財産相互間取引の禁 止、受益証券の取得に係る不適切な対応、投資法人役員会議事録の不実記載等と なっている。 (2)投資顧問業者 17 年7月以降 18 年6月末までの間に、検査局及び証券取引等監視委員会の 検査結果等に基づき、6社に対し行政処分(登録取消し、業務停止及び業務改 善命令)を行っており、処分理由は営業所の不確知、偽計を用いた投資顧問契 約の締結等となっている。 第3節 金融先物取引業者 Ⅰ 金融先物取引業者向けの総合的な監督指針 金融先物取引業者監督の目的は、国民経済の適切な運営及び委託者等の保護に資するた め、金融先物取引業を行う者の業務の適正な運営を確保することにより、取引所金融先物 取引等及び金融先物取引の受託等を公正かつ円滑にすることにある。 この目的を実現するため、金融先物取引をめぐる環境の変化に対応し、金融先物取引の 委託者等の保護を図る必要に鑑み、一般顧客を相手方とする店頭金融先物取引並びに一般 顧客のために行う店頭金融先物取引の媒介、取次ぎ及び代理を金融先物取引に追加すると ともに、金融先物取引業の許可制から登録制への変更、金融先物取引業者の株主に関する 制度の整備、金融先物取引業者に対する自己資本規制の導入その他の適正化等所要の措置 を講ずるため、平成 16 年 12 月に金融先物取引法の改正が行われたところである。 このような経緯を踏まえ、日常の監督事務を通じた金融先物取引業者の経営状況や内部 管理の状況などを把握することを目的として、金融先物取引業者の監督行政はどのような 視点に立って行うべきか、各種規制の基本的な考え方、監督上の着眼点と留意すべき事項、 具体的な監督手法について、従来の事務ガイドラインの内容も踏まえ、体系的に整理し、 17 年6月に同監督指針を策定・公表し、同年7月より適用することとした。 Ⅱ 金融先物取引業者の概況 金融先物取引業については、平成 17 年7月1日の改正金融先物取引法の施行により、 許可制を登録制に変更するとともに、外国為替証拠金取引等を店頭金融先物取引として 新たに規制対象に加えた。各財務局は、改正法により新たに登録を義務付けられた店頭 金融先物取引業者等の登録申請を審査し、順次登録を行った。 これにより、金融先物取引業者は改正法施行日においては 51 社であったが、18 年6 月末には 184 社となっている。なお、廃業した登録業者は9社である。 Ⅲ 金融先物取引業者に対する行政処分 改正法が施行された平成 17 年7月以降 12 月末までの間に、店頭金融先物取引業者 54 社(いずれも外国為替証拠金取引業者)に対し 58 件の業務停止命令等の行政処分を 行った。このうち、6社に対する処分については証券取引等監視委員会からの行政処分 を求める勧告に基づくものである。 行政処分の理由としては、支払不能に陥るおそれ及び区分管理違反(債務超過)が最 も多く、その他としては不招請勧誘、債務の履行の拒否、取引一任勘定取引、両建取引 の勧誘などとなっている。 また、18 年1月以降についても、証券取引等監視委員会からの勧告に基づき、1社 について広告規制違反を理由とする行政処分(業務改善命令)を行っている。 第4節 市場仲介機能等の信頼性向上に向けた監督上の対応 Ⅰ 「証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会」及び市場機能支援室の設置 (資料 13−4−1参照) 近年、証券市場が活性化する中で、市場を取巻く様々な問題が顕在化し、証券市場に 対する信認確保及びそのための市場行政の強化の重要性が再認識されている。 こうした認識に基づき、 監督局による証券会社の監督においても、 市場仲介者として、 或いは市場におけるプレイヤーとしての証券会社の役割に着目して、証券市場における 共通の課題に即した監督に一層の重点を置く観点から、平成 18 年3月、証券会社の市場 仲介機能等に重点を置いた監督事務の企画、立案及び必要な調整を行う市場機能支援室 を設置したところである。 また、上述のような我が国証券市場を取り巻く諸課題に鑑み、証券会社のオペレーシ ョンの信頼性向上に向けた的確な監督上の対応等を通じ、市場機能の向上を図る観点か ら、同年同月、監督局において有識者を集めた「証券会社の市場仲介機能等に関する懇 談会」を設置・開催した。 Ⅱ 「証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会」の活動(資料 13−4−2∼3参照) 本懇談会では、信頼される証券市場を構築する上で、証券会社が担うべき市場仲介機 能等の適切な発揮へ向けて求められる取組みについての検討を8回にわたって行い、そ の検討結果をまとめた論点整理を同年6月に公表したところである。 本論点整理においては、 (1)市場仲介者としてのオペレーションの信頼性の向上 (2)発行体に対する証券会社のチェック機能の発揮 (3)投資家に対する証券会社のチェック機能の発揮 (4)市場プレイヤーとしての証券会社の自己規律の維持 の4つのテーマに沿って、各論点について、証券業協会に自主規制規則等の検討を要請 したり、あるいは、当局、証券業協会、証券取引所等の市場関係者が引き続き検討を行 うことが適当と位置付ける等、今後の取組みの方向性が示されている。 今後は、これを踏まえて、各関係者による具体的な検討が行われることになる。