...

第 4 編

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Description

Transcript

第 4 編
 第 4 編
文化財の保存と活用 ~基本方針~
郷土に残る貴重な文化財や伝統文化、さらには文化的・歴史的資料の収集・保存・活用に努め
るとともに、市民に情報を提供することにより、地域に根ざした市民文化を振興し、市民の郷土を愛
する意識を高めます。
<文化財センター分館 旧田中家住宅>
1 地域文化の保護と継承
2 歴史資料の収集と活用
文化財の保存と活用
1 地域文化の保護と継承
1 文化財愛護精神の普及を図ります。
2 文化財の保存を図るための支援・指導を行います。
3 赤山城跡の保存整備を推進するとともに、周辺の自然環境と調和した総合博物館の建設を
推進します。
4 鋳物・植木・和竿などの地場産業に関する資料の収集・保存に努めます。
5 民俗芸能や民俗行事の継承・支援に努めます。
市内に所在する指定文化財
区分
種別
有形文化財
指定
民俗文化財
記念物
登録
選定
登録有形文化財
重要遺跡
計
種類
建造物
絵画
彫刻
工芸品
書跡・典籍・古文書
考古資料
歴史資料
有形民俗文化財
無形民俗文化財
史跡
名勝
天然記念物
旧跡
建造物
国指定
県指定
2
2
4
4
2
1
1
2
1
3
市指定
6
4
3
8
4
6
2
5
3
1
4
7
9
4
24
46
計
8
2
8
7
10
4
6
3
5
6
1
5
3
7
4
79
市内の民俗文化財
民俗芸能
民俗技術
安行藤八の獅子舞
江戸袋の獅子舞
領家の囃子と神楽
川口の木遣
安行原の蛇造り
・鋳物業における焼型、生型などの各種伝統技術 ・木型業における伝統技術
・植木業における接木、挿木、仕立て、根巻きなどの伝統技術 ・和竿業における伝統技術
2 歴史資料の収集と活用
1 古文書文書等史料の収集と目録化(データベース化)を推進します。
2 各種年表の作成に努めます。
3 インターネットの活用など積極的な情報提供に努めます。
文化財の保存と活用
文化財センター
施設名
文化財センターとは
約2万年の歴史を有する川口市の歩みを文化財や考古資料、歴史資料、民俗資料、古文書などの収集、整理、研
究、展示などを通して紹介することにより、市民の郷土愛の育成と文化財愛護精神の高揚を図ることを目的とした施
設です。教育委員会の諮問機関である文化財保護審議会に関する事務をはじめ、指定文化財の保存に係る補助
事業や埋蔵文化財・民具資料調査などの各種調査事業、埋蔵文化財包蔵地の照会事務、川口文化財サポーター
育成事業、文化財調査報告会の開催などを行っています。
また、市民が楽しみながら郷土の歴史や文化についての知識と理解を深めることができるよう、さまざまな体験学習
や講座、見学会、企画展示などを開催するとともに、収蔵資料を活用しての出前教室や市内巡り、教職員研修の場
として活用するなど、郷土学習や歴史の学習を通して学校教育を支援しています。
所在地
施設
開館時間
川口市本町1-17-1
電 話
048-222-1061
休館日
毎週月曜日、国民の祝日、
年末年始(12月28日~1月4日)
2階 事務室・保管施設・展示施設
3階 整理施設・実習施設
午前9時30分~午後4時30分
午前9時30分
午後4時30分
(窓口業務は午前8時30分~午後5時15分まで)
【展示室1】
藁で作られた大きな蛇(じゃ)が来館者を迎えてくれます。この部
屋では旧石器時代から江戸時代までの川口市の歴史を通史的に
紹介しています。市内の遺跡からの出土した遺物を中心に、先人
の足跡をたどることができます。中でも、縄文時代後・晩期を代表
する安行式土器は、最初の発見地である川口の地名が学名となっ
ていることから、郷土を代表する文化財と言えるでしょう。
【展示室2】
川口市域は台地と開析谷、低湿地と自然堤防が織り成す複雑な
地形に加え、荒川を挟んで江戸の北郊に位置していることから、
舟運や街道を利用した物資の流通が盛んとなり、それぞれの地域
の地理的特性を活かしたさまざまな産業が発生しました。この展示
室では、川口ならではの多彩な風土のもとに発生し、わが国の近
代化に大きく貢献し続けてきた地場産業を紹介します。
【発掘調査】
平成19年度は、206件の調査依頼に基づき52件の発掘調査を実
施しました。写真は金山町に所在する古い鋳物工場の建物解体
に伴う床下部分の発掘調査風景です。この調査の結果、キューポ
ラに取り付けられた送風設備や建物の基礎構造、地下水を防ぐた
めの張り床の構造とともに、江戸時代から連綿と続いてきた川口鋳
物製造史の一端を知ることのできる貴重な遺物をたくさん収集する
ことができました。中には、鍋や釜を製造するための鋳型も含まれ
ています。
文化財の保存と活用
【民具資料調査】
民具は先人達の生活の姿を知ることのできる重要な資料です。平
成19年度は、神根地区において農具を中心とする生活資料の調
査・収集事業と、すでに収集されている鋳物製造に係る資料の整
理を実施しました。前者は大宮台地鳩ヶ谷支台における水田稲作
と畑作を中心とした農業形態を示すまとまった資料として貴重であ
り、後者は鋳物工場で用いられていた道具類で、鋳物職人の技術
を知る上で重要な資料です。
【体験学習】
平成19年度は、文化財センターを活用した子ども歴史体験学習と
して「貝塚の貝を分類しよう!」・「縄文土器をつくろう!」・「正月を
迎える準備をしよう!」・「紙雛をつくろう!」の4事業、市民講座と
して「はじめての古文書講座」・「動物と人間の歴史講座」の2講座
を開催しました。参加された皆さんは熱心に学習に、ものづくりに
励んでいらっしゃいました。右の写真は、貝塚から出土した貝殻を
分類しながら当時の海の様子や縄文人の食糧事情、環境などに
ついて学習している様子です。
【学校支援事業】
平成19年度は小学校30校の6年生を対象とした歴史教室を実施
しました。内訳は、出前コース24校、来館コース4校、資料貸出
コース2校です。出前コースでは、子どもたちが日頃触れる機会の
少ない遺跡からの土器や石器、貝などの出土品を手にとって観察
し、縄文時代や弥生時代の先人達の知恵や苦労を紹介しました。
実際に出土品を手にとって観察する子どもたちの目の輝きを忘れ
ることはできません。また、小・中学校の教員の各種研修の場とし
てもご利用いただいております。
【文化財ボランティア育成事業】
文化財の清掃活動や学習会などを通して郷土愛を育むとともに、
将来は文化財ガイドを目指すことを目的として、平成18年8月に
「川口文化財サポーター・魅がきたい」が発足しました。平成19年
度は、主にセンターの分館である国登録有形文化財建造物旧田
中家住宅の清掃活動を中心に活躍しています。現在、市内在住
の方々33名が参加されており、将来を夢見てがんばっていらっ
しゃいます。
【川口市郷土芸能祭】
平成19年12月2日(日)に南平文化会館において、川口市指
定無形民俗文化財保存会の方々と市民とが一同に会し、実演を
間近かに鑑賞するとともに、交流を通して文化財愛護精神の育
成を図ることを目的に開催しました。長い間各地域において継
承されてきた年中行事に携わる保存会の方々のユーモアあふれ
る生の説明を加えての実演に、観客席は笑いや歓声にあふれ、
実際の祭りの場にいるかのようでした。
【川口市文化財調査報告会】
日頃実施しているさまざまな文化財調査の成果をいち早く市民に
紹介することにより、文化財に対する理解の一助とし、若いては文
化財愛護精神の高揚を図ることを目的として、平成19年度は、西
公民会講座室を会場に平成20年3月16日(日)に開催しました。
先ず「川口の中世古文書について」と題して、文化財保護審議会
副会長の田代脩先生に御講演をいただいた後、各担当者から埋
蔵文化財発掘調査や民俗調査の成果をご紹介しました。
文化財の保存と活用
施設名
文化財センター分館・旧田中家住宅
旧田中家住宅は、大正10年(1921)に上棟し、大正12年に完成した木造煉瓦造3階建ての洋館と、昭和9年
(1934)に東側に増築された和館を中心に、文庫蔵、庭園、茶室、煉瓦塀から構成されています。
洋館は、化粧煉瓦を貼ったイギリス2枚積みの壁、尖塔アーチを垂直に圧縮したチューダーアーチ、窓枠の飾りな
どにその特徴を見ることができるチューダーゴシック様式で、現存する県下有数の建造物です。
和館は、木造一部2階建て、寄せ棟屋根を載せた数寄屋造りで、1階には座敷、2階には客間が設けられていま
す。かつて、田中家は、味噌醸造業とともに材木商も営んでいたことから、これらの建物には贅を凝らした建材がふ
んだんに用いられています。
また、庭園は、茶室を離れにもつ池泉回遊式日本庭園であり、重厚な建物をさらに引き立てて、四季折々の花々が
風情を醸し出しています。特に春は桜、秋には柿が見物となります。
離れは、四畳半の小間と八畳の広間を備え、これに水屋と立礼を行うことのできるホール、調理室などから構成さ
れており、本格的な茶会を行うことができます。旧田中家住宅は、歴史的建造物としての価値が認められ、平成18年
3月27日に国登録有形文化財建造物として登録されました。現在、一般公開するとともに、和館座敷及び庭園の離
れ(茶室)を有料にて貸与し、活用を図っています。
所在地
川口市末広1-7-2
電 話
048-222-1061
開館時間
午前9時30分~午後4時30分
休館日
毎週月曜日、国民の祝日、
年末年始(12月28日~1月4日)
【文化財保護強調週間協賛事業】
毎年11月1日から文化の日を挟んだ一週間は、文化財保護強
調週間(文化庁主催)です。旧田中家住宅の公開を始めた平成18
年度から協賛事業として、川口茶道会との共催事業として、一般
市民を対象とした茶会を開催しています。平成19年度は3日(文
化の日)・4日の両日、和館座敷において「歴史の香りと抹茶のひ
ととき」と銘打って開催しました。当日は、落ち着いた雰囲気の中
で、本格的なお手前が披露され、これを楽しみに田中家住宅を訪
れた多くの市民で賑わいました。今年度も11月2・3日の両日、開
催を予定しています。
【施設利用】
市が主催するさまざまな文化事業に旧田中家住宅は利用され、市
民からの好評を博しています。平成18年度には創作能「かぐや
姫」が庭園を会場に披露されました。夜間の公演でしたが、舞台の
幽玄さが一段と引き立ち、鑑賞された市民からは、「実に良い雰囲
気の中で、十分に楽しむことができた」とか「初めての経験だった。
これからも続けてほしい」などの感想をいただきました。
また、平成19年度には、アートギャラリー開館一周年記念事業「二
人のクローデル展」のサテライト会場として、そして、「秋の園遊会」
の会場として、さまざまな本市の文化推進事業に貢献しています。
写真は、「かぐや姫」の公演の様子です。
Fly UP