Comments
Description
Transcript
ボブ・ディラン ノーベル賞おめでとう
Congratulations to Bob Dylan, Nobel Prize Lauriate! ボブ・ディラン ノーベル賞おめでとう 表 裏 ボブ・ディランに授与される『ノーベル文学賞』のメダル 直径約66mm、重さ約200g、近年のは金メッキ ノーベル賞のメダルのデザインについて ★表面: 物理学・化学・医学生理学・文学は同一。平和と経済学は異なる。 ★裏面: 物理学と化学のみ同一で、他はすべて異なる。 ボブ・ディラン Bob Dylan 1941年5月24日にアメリカ・ミネソタ州生れ。シンガーソングライター で、ジャンルはカントリー、フォーク、ロック、フォークロック、ブルース、 ゴスペルなど。来日は8回。 近年は詩人として、ノーベル文学賞の候補に、ずっと上がっていまし た。日本では、村上春樹が日本人であるために、候補者として非常に 話題になり注目されていますが、国際的にはボブ・ディランが有名で、 話題になっており、かの小室哲哉(私のホームページの『早稲田大学 出身者にはなぜ有名人が多いのか』を参照してください)は、すでに昨 年にボブ・ディランのノーベル賞の受賞を期待・予告していました。村 上春樹がなかなか取れない理由を読みましたが、なるほどと思う点が あります。でも、日本人として、近いうちにぜひ取って欲しいですねー。 面白いことに、村上春樹の作品の中にボブ・ディランが出てくる箇所も あります。たとえば『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』とい うタイトルの作品の下巻の290~291ページに、ボブ・ディランの名前が 3回も出てきます。次に示すその写真を参照してください。 今回、シンガーソングライターであるボブ・ディランが選ばれた理由を、 ノーベル賞関係者らは以下のように述べています。 ★米国の歌の伝統における新たな詩的表現を創造した。 ★彼は偉大な詩人だ。デビューから50年以上経てもなお、新たな自己 を発見し続けている。 ★耳で聞くための詩を書いているが、彼の作品を目で読んだとしても 完璧に素晴らしいものである。 ★おそらくは存命中の最も偉大な詩人。 ボブ・ディランは、グラミー賞やアカデミー賞をはじめ数々の賞をすで に受賞しており、ロックの殿堂入りも果たしてい ます。2008年には『卓越した詩の力による作詞 がポピュラー・ミュージックとアメリカ文化に大き な影響与えた』としてピューリッツァー賞特別賞 を受賞しています。 また長年の活動により、2012年には大統領 自由勲章を受章しています。(右の写真参照) 以上のように彼の偉大なる能力は、すでに大きく評価されているので す。そしてついに今回は最高の栄誉であるノーベル賞の受賞となりまし た。これは決して想定外のことではなくて、十分に想定内、予想通りの ことであり、以前から候補に上がっていました。 ボブ・ディランのことをよく知らない人は、単なる歌手だと思っており、 『なんで歌手がノーベル文学賞を取れるの?!』と思った人が多数いた ようです。ノーベル文学賞は、これまでは当然のことのように純文学者 のみに与えられていましたが今回初めて、そうではないシンガーソング ライターが受賞したことは、画期的なことです。ただし、発表が当初の 予定日よりも遅れたということは、選考委員会で早期からすんなりと決 まったのではなくて、かなりもめたのではないかと思います。さらに、純 文学者でピカイチの候補者がいなかったのではないかとも思います。 純文学者の詩人であれば、ただ単に詩を書くのみですが、シンガーソ ングライターであれば、それに加えて作曲し、歌い、さらに楽器を演奏 することも普通であり、そうなるとマルチタレントで超能力者であり、単 なる詩人よりも能力が上の、もの凄い人と言えます。特にボブ・ディラン の詩は、ノーベル文学賞に値する超一流レベルであり、他のマルチ能 力も考えると、本当に素晴らしいことなので、ノーベル音楽賞を新設し て授与するのがベストでしょう。 日本にも優秀なシンガーソングライターが何人もおられ、音楽好きの 私としては、非常に尊敬しています。本当に凄いマルチ能力者です。 ニューヨーク・タイムズ電子版は、スウェーデン・アカデミーの狙いに ついて『音楽界の象徴の受賞により、賞に新しい文化的価値を加え、 若い世代に身近に感じてもらいたかったのではないか』と分析していま す。ただ、世界的な読書離れの中で重要な意味を持ってきた文学賞が 歌手に与えられたことに批判の矛先を向け、 『ボブ・ディランは文学賞 を必要としていないが、文学はノーベル賞を必要としている』と皮肉っ ていますが、そのとおりでしょう。 彼は反骨精神旺盛な人のようで、10月13日ノーベル賞が決まった直 後にラスベガスで開かれたコンサートで、ノーベル賞のことについて一 切触れなかったようですし、スウェーデン・アカデミーは彼と直接の連絡 が全く取れずに困っているようです。さらにマスコミの取材もできないよ うで、どうやらノーベル賞を受賞しても全く嬉しくないようです。ノーベル 賞が欲しくてたまらない普通の人とは全く違いますねー。ひょっとすると このまま沈黙・無視を続けて、辞退もしないし授賞式にも行かないので はないかと私は思います。無視は、一番きつい対応の仕方です。 しかしアメリカの友人でボブ・ディランのことに詳しい人に問い合わせ てみたところ、 『ボブ・デランが受賞を拒否とは考えられない。また、彼 は今、カルフォルニアの方でローリング・ストーンズたちとコンサートを 頑張っている。』とのことでした。 そして、17日にスウェーデン・アカデミーの事務局長は、ボブ・ディラン へ直接連絡しようとする努力を13日以来してきたが、ついに断念したと 発表しました。さらに、事務局長は『ボブ・デランと最も親しい人に電話 とメールをして、とても好意的な返答をもらっている。12月10日の授賞 式に彼が来たくなければ来ないだろうが、それでも栄誉は彼のもの。私 は彼が出席してくれると思う。』とも述べています。 今までにノーベル賞を自分の意志で辞退した人は2人おり(他に政権 の圧力などで辞退させられたのが4人)、その2人とは1958年に旧ソ連 の作家、ボリス・パステルナークと1964年に有名なフランスの哲学者の ジャン・ポール・サルトルです。しかし、ボブ・ディランは辞退すらしてお らず、それ以前の問題で、沈黙・無視を続けて全く何もしないというノー ベル賞史上最初のケースとなります。それにしてもなぜ完全沈黙・無視 をし続けているのでしょうか。とても理解できませんねー。彼独自の強 固な哲学があるのでしょう。一般に、理系研究者ならもっとシンプルな 思考回路の傾向があり、しかもノーベル賞は最終目標的なんです。 色々と調べてみますと、彼はやはりシンガーであり、単なる詩人・文 学者ではなく、作詞したものは目で読んでもらうために書いたのではな くて、あくまで歌詞として書いたものであり、耳で聴いてもらうためのも のである。だから詩人・文学者として見られるのは迷惑千万なことであ り、ノーベル音楽賞ならいいが、ノーベル文学賞は貰いたくないと思っ ている可能性が十分にあります。音楽のための詩であり、独立した詩と して読むために書いたのではない!と怒っているような気がします。貰 えるものは何でも貰っておこうというような人ではない、信念のとても固 いアーティストなのです。スウェーデン・アカデミーも、よりによって対応 が厄介な人をノーベル文学賞に選びましたねー。村上春樹を選んでお けば、万事ハッピーだったのに! スウェーデン・アカデミーが、画期的に今回新たに文学賞の領域を広 げて、よりによって純文学者でない特別の信念を持ったシンガーソング ライターのボブ・ディランに授与することを決めたことが逆効果となり、 どうやら今後物議をかもすことになるような気がします。 ボブ・ディランの曲は非常に多くありますが、その中で日本で最もよく 知られていて愛聴されているのは『風に吹かれて』だと思います。この 曲は1963年頃にリリースされているはずです。私もよく聴いた曲で、シ ニア層にはとても懐かしいですが、現代の若者には一般にボブ・ディラ ンも彼の曲も知らないか興味がないのではないかと思います。今は、 若者は、『嵐』や “ONE OK ROCK” や”SEKAI NO OWARI”などを聴く時 代ですから隔世の感があります。そこで試しに、私の講義を受けている 学生諸君約300名に聞いてみました:『ボブ・ディランがノーベル賞受賞 者に決まる前から、彼の名前を知っていた人はいますか?』と。すると 数人が知っており、その中の一人がボブ・ディランを非常によく知ってい て、ファンである男子学生が次のように後で書いてくれました(原文のま ま) ➡ 『ディランはアコギを弾いている時代のものが一番好きですが、 最近のピアノを弾くスタイルも受け入れられられるようになってきました。 個人的には「見張塔からずっと」と「Like a Rolling Stone」が好きです。 エレキ反対派ではなくむしろ推奨します。3年ぶりにギターを持って歌っ たというニュースは、すなおに嬉しかったです。』 では、 『風に吹かれて』の歌詞の最初の部分を次ページに原文のま ま紹介します。訳詞は色々ありますが、やはり原文でないとボブ・ディラ ンの意図は十分に伝わりません。この詩の意味するところは、ノーベル 賞を取るくらいですから、なかなか奥が深くて高尚で単純な詩ではなく、 読む人によって様々な解釈ができますが、これは当時のベトナム戦争 に対する反戦歌なのです。 “Blowin' In The Wind” by Bob Dylan How many roads must a man walk down Before you call him a man ? How many seas must a white dove sail Before she sleeps in the sand ? Yes,'n' how many times must the cannon balls fly Before they're forever banned ? The answer my friend is blowin' in the wind The answer is blowin' in the wind. 以下の3ページは、10月20日に初版をアップロード後の22日に、最新の情報 を追記したものです。 ボブ・ディランが受賞決定に関して終始一貫沈黙を続けていることに ついて、同賞の選考委員会であるスウェーデン・アカデミーの一員が21 日に、『ボブ・ディランは傲慢(ごうまん)だ』と非難しました。 ボブ・ディランは、授賞を伝えるスウェーデン・アカデミーからの再三の 電話に出ず、受賞決定に関して公の場でも一切コメントもしていない。 同国のテレビ局SVTによると、アカデミーの委員を務めるスウェーデ ン人の著名作家ペル・ワストベルイ(Per Wastberg)氏はこうしたボブ・ ディランの態度について、『無礼で傲慢だ』と述べています。 時間が経過してもボブ・ディランの態度に何の変化もなく、日本の一 般の人たちの間にもボブ・ディランの態度に対する不信感、無礼感など が高まってきており、今や当初の祝意は消えて、人間的・人格的な面で の評価が非常に低下しており、ボブ・ディランは精神的に問題があるの ではないかとさえ言う人まで出てきています。せっかく世界最高の賞が 授与されるというのに、本当に惜しいことです。なぜ無視し続けている のでしょうか?ノーベル賞が要らないのなら辞退しないといけませんし、 受けるのならきちんと対応すべきでしょう。彼の株価はストップ安です。 なお、『ボブ・ディランの詩は耳で楽しむもの、ホメーロスやサッフォー の時代から、詩はもともと楽器と共に聞かれるものであった。』とスウェ ーデン・アカデミーの事務局長は述べており、この観点からすると、純 文学者でないシンガーソングライターのボブ・ディランが受賞しても何ら おかしくないのですが。 すぐ上に示すボブ・ディランの公式ウェブサイトの「ノーベル文学賞受賞者」 (赤のアンダーラ インの部分)の文言が削除されたことが21日、分かった。各国メディアによると、彼の公式サ イト”bobdylan.com”の書籍紹介ページでは、17日付で掲載されたとみられる歌詞集の紹介 文で「ノーベル文学賞受賞者」と英文で記されていました。ボブ・ディラン側が受賞を歓迎した ものと思われましたが、この部分は21日までに削除されています。スウェーデンのメディアは、 関係筋の情報として「削除はボブ・ディラン自身の指示だ」と報じているそうです。 以下にボブ・ディランと私の関係(ただ単に彼のレコードやCDを持って いて、現在はたまに聴くだけ)とノーベル賞と私の関係(ただ単にノーベ ル賞の本物のメダルを同時に2個持たせてもらったことがあり、ノーベ ル賞のことを色々と教えてもらっただけ)について書いておきます。ストッ クホルムにあるノーベル賞の祝賀会をする広間へ行ったこともあります。 ボブ・ディランの代表作が入っているベリーベスト的なレコード ここに入っている曲は: ★風に吹かれて ★コーヒーもう一杯 ★ライク・ア・ローリング・ストーン ★ミスター・タンブリン・マン ボブ・ディランの有名なシカゴでのライブのレコードアルバム (2枚組) 1974年1月3日 シカゴ・スタジアムにて ジャケット外側 ジャケット内側 ボブ・ディランの有名なSACD “THE FREEWHEELIN” (自由奔放) 以下はボブ・ディランと直接関係のない別のノーベル賞のこと (ボブ・ディランonlyの人は以下をパスしてください) Linus Pauling (Feb. 28, 1901-Aug. 19, 1994) The only person ever to receive two unshared Nobel Prizes— for Chemistry (1954) and for Peace (1962) ノーベル化学賞と平和賞を単独で2回受賞した唯一の偉大なアメリカ人研究者 Linus Paulingの長女でPauling財団理事長のLinda女史と女史の関連する賞の授賞式で (2004年11月22日 ロサンゼルスにて) Linda女史と親しいので、奈良を案内した時の写真(2005年1月17日 二月堂にて) Linda女史の紹介で特別訪問したポーリング研究所:Linus Pauling Institute (LPI) 2006年11月 (アメリカ・オレゴン州) ポーリング研究所内のゲート ポーリングが受賞したノーベル賞の化学賞(左)と平和賞(右)のメダルの実物 Linda女史の紹介なので特別に本物のノーベル賞のメダルを2個金庫から出して きて持たせてもらえました。当時のは純金の塊で大きく、ずっしりと重かったです。 背後の黒板の文字は、Linus Paulingの肉筆を保存してあるもの。 当研究所所長の Balz Frei教授と握手 (2006年10月29日撮影) Balz Frei所長らと『がん予防法』について討論中 終り 医学生理学賞 以上の原稿は、2016年10月22日現在のものです。 その後、ボブ・ディランの対応などに何か変化があるかもわかりません。