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琵琶湖に於ける淡水真珠の養殖

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琵琶湖に於ける淡水真珠の養殖
1
7
業権の問題が附随して来るし、叉技術的には斯業の発
するものが出来たが、之に対しては養殖場に対する漁
年はアコヤガイによる養殖真珠の生産高は約一一、 0 0
0貰匁、価格にして約二 O億円余に達している c水産
滋賀県下に於てその実状を視察し以下に報告する次第
此処に於て筆者等は淡水真珠に就ては先進地である
一方淡水産の二枚貝にも天然真珠の含有されているこ
二、真珠母貝
でるる。
掠池︹オグ一ブ池)及淀川の特産種であって、従来は沿
を使用している。イケチョウガイは琵琶湖水系即ち巨
養殖周母貝としては琵琶湖では専らイケチョウガイ
は主に貝体の囲心腔の下部に多く含有されていると云
岸部に広く分布していたらしいが、現在では湖の西南
ζれ
う。勿論、﹂の真珠が全部良質と云う訳ではないが真珠
部の堅田町から大津に至る水深二メートル以浅の底質
他の研究者によって一層研究は進み、現在では琵琶湖
の手を経で養殖業者が母貝用に購入している。価格は
よってタニシ、シジミ等に混獲されるものを、仲売人
イケチョウグイは共同漁業権による貝桁網漁業者に
の泥のところに棲息している。
で真珠養殖業を蛍む会社四、個人経蛍一計五つの企業
の形成に成功し、叉その後も滋賀県水産試験場やその
試験し始め、多年の研究の結果遂に無核並に有核真珠
昭和二年頃藤田昌世氏は琵琶湖で淡水真珠の養殖を
含有率の多いことは注目すぺぎこししである。
有率は一 O%前後にも及ぶことが知られていた。
チョウガイ、メンカラスガイその他では天然真珠の含
とが知られていて、琵琶湖では只桁嗣業者によりイケ
増加し玉、 000貫に達する、だろうとのことである。
展に対し指導性をもーになければならない。
北海道でも内水面そ利用して淡水真珠の養殖を計画
体がある。
正
琵琶湖に於げる淡水真珠の養殖
一、緒言
村
庁黒田技官の談によれば今年或は明年には更に生産が
終戦後本邦の真珠養殖業は益々感となって来て、近
田
1
8
と始めはイケチョウガイの稚只と思ってい?にもの、か、
湖ではイケチョウガイの稚貝の発生を見るようになっ
たといっていたが、今回水産庁の黒田技官の談による
大体一貫匁当(約一五個)四三円位である。
イケチョウガイの生産高は一九四五年は九一、七九
実際はカラスガイで去ったらしいと一五ぅ。叉霞ヶ浦で
七ヶ、一九四六年には六六、一六C個位でるったと云
も稚只の発生が日比られると云う者 もあわ、叉之を否定
現在のとこ λJ不明の点も多いが、イケチョウガイの
三五円にも速すると云うことであっ?に。
価格の他に運賃や発死分も加算すると母貝一ケ当りは
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では琵琶湖の真珠業者の要求にも足わない生産で占める
う。滋賀県水産試験場長末次伝氏の話によれば、現在
する人もある。昨年霞ヶ浦で移植しに場合では、原料
此処に母貝の増績の必要も起って来るが、現在のと
と云う。
ころイケチョウガイの種苗の発生場と云ったようなと
移殖は余程環境条件が琵琶湖水系に近いところでなけ
ころは発見されていない。叉この只は他のカラスガイ
類と同様に、発生の途上グロキヂユ iムと云う幼生時
れば、繁殖は期待出来ないようである。
四、真珠養殖法
代を経過するのが特徴でみめって、この時代にはアュ、
貝休に真珠一貫を分泌する外套膜片を挿入すれば、こ
モロコ、ヒガイ、タナゴ等の一軟い鰭の部分に約一 0日
間位附着生活をし、後断れて湖底に沈下し底棲生活に
って真珠袋が形成され、この一中に真珠質が分泌されて
昨日の経過とともに真珠は大きくなる。手術の時期は
の外奈炉、片は貝体の組織内で培養され、細胞増殖によ
訴と秋に二回行われ、飼育期間は一│一一一年のようであ
入ると云う習生をもっている。即ふり稚貝の発生の条件
期を要する訳でらって、このことも増殖が困難な一要
としては、必ず淡水魚に附着しなければならない一時
因でもらる。グロキヂユ lムの見られるのは五月から
昭和寸一年に霞ヶ浦にイケチョウガイが移殖され、
小切片とし、外奈股、及内臓嚢の部に穿孔器で穴をあ
長二0 ミリメートル位︺之を約二×二ミリメートルの
殻に接した外奈膜を、制く蒋く切りとれノ(巾一・ O ×
手術は眼科手術用のメスで、母貝の後方周辺部の貝
る
。
その後も諏訪湖その他に移殖が行われている。昨年諏
三、イケチョウガイの移殖
七月上旬に及ぶ期間で忘る。
訪湖の水産指導所で下川所長に聞いたところでは、同
19
が、有核の場合は、更に貝殻製の球形の核を通路を通
六十個の切片を精一入する。以上は無核の場合である
け、乙の通路を通って、切片を送り込み、一ケの貝に
いると同様の核であるが、母貝が大形のものが挿入出
接触するようにする。核はアコヤ貝の養殖に使用して
して入れ、切片の外面(貝毅に接していた面)が核に
2
0
るが、技術の向上によって、一 O %位に止めることが
挿核手術を行ったものは一 O乃至六O %の築死を見
出来ると云う。
ο 叉アコヤガイの挿核手術の場合は、卵抜きを行
うのが並日唱でるるが、イケチョウガイの相場合はこの必
来る
要がない。
2
1
υ 又コイ
母貝は養殖場に地蒔しておくが、この場合は竹餐の
て従来アコヤガイ系真誌で慣れている、欧米の市場に
イ真珠に比べて赤味があるので一見区別出来る。従っ
イケチョウガイを母貝とする真珠の色町山はアコヤガ
四貫匁を飼育しておく
は向デばいと云われ、主に印度方市に輸出山じれてい
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の養魚池の池民を引用して地蒔を行うときは一挙雨得
区劃内に坪当り約一一一
となる。叉滋賀県水産試験場では垂下式養殖試験を実
当。上球一、
000円、中球一八C C円、下球六C O円
る。価絡は無核のもので寸二月に採取したものは一匁
平均八0 0円位で め
φ ると云う。叉一匁一、0ccl一、
この方法は杭打式で池中に
採用しているものも、める
二0 0円とも云う。有核のものは一匁七CC│八C C
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施し好成績を挙げているが、業者の中にも乙の方法を
木刺を造ゎ、之にアコヤガイの場合と同様、金網箆に
円で、アコヤガイ真珠よりも幾分値段は安いようであ
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現在琵琶湖には真珠養殖事業を経蛍している事業体
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六、真珠養殖業者
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た。真珠の生産は母貝十個山ら約一匁得られると一玄
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22
現在のところ淡水産養殖真珠の生産は殆んど琶琶湖
が事業化出来るならば、未利用水面の開発によりその
北海道内の広大な水域を利用して、淡水真珠の養殖
挙げることが出来る。
受ける利益も大なものとなろう。北海道内の有用淡水
に限られているので、年在日一五l 二C貫程度のもの
一五万円の生陀をあげていると云う。
貝類を見るに、現在のところシジミが利用されている
と推定むれ、新興真珠約二八六万円、琵琶湖真珠約三
無核のもので、これはネックレスに
JU
シ等は相当に棲息しているものと考えられる。乙の中
程度で、外にはカワジシジユガイ、カラスガイ、タニ
真珠は大部分
これにどれ位消費されるかは不明である。有核莫円真
0 薬用とさるものもらると云われるが
造られると云5
で淡水真珠の母貝と考えられるものは、カワシンジュ
ら移殖することも考えられるが、茨城県︺霞ヶ浦︺や
ガイとカラスガイ、かある。イケチョウガイを琵琶湖か
長野県︹諏訪湖)では余り成功していないし、叉果し
珠も優秀なものが生産され、これは母貝が大きいので
イケチョウガイによる真珠養殖業は今のところ琵琶
三分玉以上の大形真珠も出来ていた。
に
湖では技術的にも、経蛍の面から見ても一応安定L?
て北海道に移殖出来るかどうかは、移殖試験を行って
けるイケチョウガイの生産も多くないので、これは余
凡なければ結論を出すのは困難であるが、琵琶湖に於
事業と云うことが出きょう。
七、北海道に於げる淡水真珠養殖に説て
つては、先ず生産費の基礎が信頼すぺき確実な結果に
就て、先ず基縫的研究が必要でるる。事業を行うに当
道内産の二枚貝を使用するとすれば、前記の二種に
り期待出来ない。
北海道に於ける淡水真珠の養殖卒業に於て同盟凡を述
F
内水面漁業として見るときは、他府県のものに比して
北海 泊では湖沼、河川は広大な面積を有しているが
べる。
生産高は比較的少く、叉利肘の程度も一般に低い。こ
琵琶湖のイケチョウガイの場合でも、昭和二年に研
よって算出窓れなければならない。
は挙げられなかった。終戦後の真珠熱に刺戟され、昭
究に着手し、昭和十一年に事業化されたが、余り利益
淡水
HH
魚の需要が低調で、価格も比較的安いこと。同成育に
されたものが少いから、生産力が乏しいこと。
れには色々の原因があるが、 H湖沼の水質が富栄午変化
適する期間が比較的短いので成長がおそいこと。等を
2
3
和二十一年から斯業は始めて活況を呈し始ゐたもので
ば叉その貝に適しに技術が必要となろう。
紋した技術者によって行われるので、貝の種類が安れ
ω
(筆者北大水陀学部教授)
く来ることを願うもので占める。
北海道に於ても斯様が着々と効果を収めるときの早
めることが肝要と考えられる
事業化は基礎的な調査と共に、確実性を得てから始
生態等も充分調査する必要がらろう。
又カワシンジュガイ、カラスガイに就ての資源量、
占
め
る
。
真珠の色調、光沢、形等は母貝の性質によって、夫
々特徴があるので、イケチョウガイも従来のアコヤガ
イ真珠と異るため、之が販路は欧米には向かず、近年
叉技術的にはカラスガイ或はカワシシジユガイを使
ようやく印度方面に開拓出来たと云う。
泊した場合には、手術方法、時期、或は分泌量を始b
施術による舞死率、養殖期間、生声量等を明にしなけ
琵琶湖ではカラスガイに就て真珠の養殖試験を行っ
ればならない。
ているが、これは今のところ好結果を得ていない実状
である。
本邦の養殖真珠の生産は、現在は飽和状態となり、
の点も充分考慮に入れる必要がある。
昨年からは一部に価格の暴落を見た位であるから、こ
北海道水産課の村上技師によれば(魚と卵、三十年
三月号)昭和二十八年に平和水産が大沼、千歳、中標
津の三ケ所で施術貝を放養したものでは、余りよい成
績ではなかったらしいが、昨年石狩水系の茨戸湖では
カワシンジュガイ、カラスガイ共に真珠質の分泌によ
わ養殖真珠が形成されたと云って云る。挿核手術は熟
還b
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