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発表資料 - UNISEC 大学宇宙工学コンソーシアム
非燃焼型 CEES-3Bロケット 我々は なぜ 失敗したか 大阪府立大学 宇宙環境利用工学研究室 福西 瑛司 結果は・・ 日時:2008年9月13日 (土) 場所:和歌山県和歌山市 コスモパーク加太 CEES-3Bロケット打上げ試験 失敗 なぜこの失敗は起きたのか 非燃焼型 CEESロケット について 非燃焼型CEESロケット C :Cryogenic E :Economical 経済的 E :Ecological エコ S :Safe 極低温 安全 人にも 環境にも 財布にも優しい小型ロケット CEESロケット搭載エンジンの仕組み GN2 ○燃焼課程を伴わない 減圧弁 ○推進剤がLN2 加熱剤がH2O H 2O 加熱剤 LN2 推進剤 安全性 爆発の危険がない 環境性 ノズルから出るのは GN2とH2Oのみ 経済性 管理しやすく入手が容易 冷却装置不要 バルブ 混合室 ノズル 他ロケット(エンジン)との性能比較 Chemical Propulsion Nuclear Propulsion CEES Engine Resistor jet MPD Hall Thruster Ion Engine Specific Impulse Isp [s] 比推力が小さいが、大推力が得やすい CEESロケットの歴史 項目 CEES-1 CEES-2A CEES-3A CEES-3B CEES-X 目標高度 70 m 150 m 200 m 350 m 1 km 到達高度 60 m 30 m 202 m - - 用途 実証機 Can-Sat用 上空大気採取 時期 2005年 2008年 ?年 機体写真 Can-Sat用 Can-Sat用 2006年 2007年 CEES-3Bロケット 開発について 今年度 の活動目標 ○高度 350 mへの到達 ‐エンジンの高性能化 ‐搭載機器の改良を含めた目標高度に対応した機体の開発 ○上空でのCan-Sat放出 ‐放出機構の開発 ○新射場における運営の成功 (大阪府堺市 → 和歌山県和歌山市) ‐安全対策組織作りの工夫 CEES-3A と CEES-3B 仕様比較 2007年度 (CEES-3A) 2008年度 (CEES-3B) 項目 実績値 項目 全長 2.27 m 乾燥重量 推進剤重量 (LN2/H2O) 12.3 kg 3.1/3.5 kg 全長 乾燥重量 推進剤重量 (LN2/H2O) 打上げ 試験時 2.22 m 15.2 kg 5.9/5.8 kg 平均推力 平均比推力 推進時間 到達高度 352 N 26.4 s 5.0 s 202 m 平均推力 平均比推力 推進時間 目標高度 347 N 26.9 s 8.4 s 350 m CEES-3B詳細 推進系 ① エンジン FM地上試験 推力15%上昇(3A比) GN2 Tank LN2 Tank H2O Tank 配管1/4inch→1/2inch 圧力損失の減少 CEES-3B詳細 推進系 ② エンジン FM地上試験 比推力3.4%上昇(3A比) インジェクタ H2Oタンク側にLN2タンク側より 圧力損失が大きいインジェクタを使用 (左右非対称) CEES-3B詳細 推進系 ③ CEES-3A エンジン CEES-3B タンク 3.5 ℓ ノズル 出口直径 (開口比) 26.0mm (2.25) 7.5 ℓ 26.6mm (2.35) CEES-3B詳細 搭載機器 ① アビオ二クス CCUを含むアビオニクス の全システムを自作 計測機器として ・GPSシステム ・1軸高精度加速度センサ ・気圧センサ を搭載 さらに・・ 自己診断機能を持つ CEES-3B詳細 搭載機器 ② CEES3A CEES3B 目標高度 200 m 350 m 落下可能 範囲 半径 400 m 半径 200 m パラシュート クロス型パラシュートを採用 実験用1/8モデル 最高到達点を中心に 半径 200 m 以内に 落下するように設計・製作 CEES-3B詳細 搭載機器 ③ カメラ 実験的搭載 画像からロケットの 高度、傾きを計測 小型ピンホールカメラ (市販 20g) CEES-3B詳細 搭載機構 ○60 g (軽量) ○0.1秒で反応 Can-Sat Can-Sat・パラュート 放出用機構 Parachute テグス ヒータ バッテリ SW回路 射場運営のための組織作り 問題 新射場 一般公開 対策 「安全&環境班」 設立 結果 マスコミ・一般人のスムーズな対応に成功 新射場での運営の実績 能代大会等と同等の運営を可能 CEES-3B開発に対する その他の活動 • 当日の作業内容の効率化 • ランチラグの改良 • 光学カメラとトランジットを併用した外部から の計測 ? 失敗 射場で 一体何が起こったのか 得られたデータ • • • • GPS 一軸高精度加速度センサ 気圧センサ ピンホールカメラ × 無し 解析は映像のみ 加速度比較 35 加速度 [m/s2] 30 25 20 15 10 5 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 時間 [s] 1 1.2 加速度(映像) 加速度(地上実験) CEES-3Bの動き ロケットの第1ランチラグが外れる ロケットの角加速度が減少 発射0.8秒後 発射1.53秒後 ロケットの第2,第3のランチラグがはずれ これ以降ロケットの傾き角が90°を ロケットが完全にランチャ‐から離れる 越える 角加速度が発生 発射1.06秒後 発射1.86秒後 角加速度:重心に原点を置いた機体座標系の角加速度 なぜ機体は大きく傾いたのか? • 仮説① 空力設計に問題があったのではないか • 仮説② 液面の傾きにより重心位置が変化しトルクが発生 したためではないか • 仮説③ ランチャー離脱時に突風が吹いたのではないか • 仮説④ 推力軸が傾いていたのではないか 検証 仮説 ①空力 ②重心位置の変化 ③突風 ④推力軸の傾き 検証結果 途中から傾き角の角加速度減少 →安定性はあった 必要なトルクの0.38% →重心位置のずれは影響しない 風速27m/sの風が必要 →このような風は吹いていない 次の説明へ 仮説④推力軸のずれ 検証 機体の傾きに発生に必要な 推力軸の傾きは 約4° 推力軸が 約3.5° 傾いていた 失敗は・・ 推力軸の傾きが問題! 混合室とノズル内での 非対称性 インジェクターを 左右非対称 CEES-3A CEES-3B 顕著化 詳しい検証実験を行う予定 結論 今回の失敗は、現エンジンの混合システムでより高い ただの 打上げ試験の失敗 到達高度(推力、比推力向上)を目指していった場合に ではなく あたるべくしてあたった失敗 次につなげる失敗 高推力下における2液の混合の現象を把握 混合室の混合システムの改良 今までと異なった視点から検証できる 主な成果 • 新型エンジンの実験データの取得 • 大阪府立大学独自に統合システムをもった アビオ二クスの開発、地上試験の成功 • 安全バルブの取り付けなど機体の安全性の 向上 • 打上げ当日の作業に対する組織作りと 新しい射場での運営の成功 リーダー :福西瑛司 エンジン :小泉拓郎 機体開発取りまとめ:藤本卓也 アビオ二クス統括 :齋藤亮祐 空力 :小野達也 開放機構 :田中康平 気圧センサ :新穂那奈 アビオ二クス補助 :柳田将志 ランチャー取り付け:徳地幹人 機体製作 :荒木俊輔 Can-sat放出機構 :平井単于 カメラ :横山賢悟 パラシュート補助 :大内一平 計測補助 :高垣壮志 当日参加 :古川卓也 :片山いつか :松下用亮 :河原たかえ : 磯野隆章 : 井坂友紀 完 研究室 安全環境班 :佐藤裕徳 ランチャー班:中島義人 計測班 :小坂真也 安全環境班 :林幹子 安全環境班 : 木内真人 ランチャー班 : 加藤智也 安全環境班 : 坂田智 ランチャー班 : 矢追貴士 Special Thanks 東先生、苗村様、真鍋先生、比江島先生、 新井先生、小木曽先生、金子先生、中村先生 丸山様、秋山先生、和歌山大の方々 ロケット打上げに関わったすべての人 CEES-3B エンジンの高比推力化 液体窒素の流量 気化した気体窒素 気化効率 = 供給した液体窒素 混合室長さ 混合室長さ 流量比 = 温水の流量 インジェクタ インジェクタ 圧力損失係数 mm 気化効率 % ZH 流量比 気化効率 Isp ① 39 682 95.7 ④ 682 0.92 92.9 25.92 ② 112 682 95.8 ⑤ 1913 1.08 90.9 26.84 ③ 39 1065 96.6 インジェクタ圧力損失係数Z: 圧力損失 ΔP=Zu2 比推力3.4 %向上 CEES-3B エンジンの設計結果 GN2 Tank 項目 平均推力 目標値 地上試験 飛行時予測 477 N 404 N 347 N 平均比推力 30.0 s 26.9 s 26.9 s 推進時間 7.6 s 7.6 s 8.4 s LN2 Tank H2O Tank 38 GPSユニット ① -特徴と仕様 • GPS: GARMIN Inc. GPS15L • Format: NMEA-0183,$GPGGA, 8bit char, 84byte/sentence(Max) • 演算処理装置: PIC 16F876A, 20MHz clock • INPUT×1, OUTPUT×1 • 1sentence/sec – Time(UTC) – 緯度 – 経度 – 捕捉衛星数 (0-12) – アンテナ高度[m] 39 システムブロック図 Power Signal Data BAT2 BAT1 BAT3 Power Control Unit (9V→5V) ブザー & LED GPS (PIC16F876A) GPSA EEPROM (24LC256) CCU (PIC16F876A) トリガ 1軸加速度計 (PIC16F876A) 3軸加速度計 (PIC16F876A) EEPROM (24LC256) EEPROM (24LC256) 40 システムシーケンス① CCU GPS POWER ON POWER ON 初期化 初期化 衛星補足モード GPSスタンバイモード Time>20s No CAN-SAT解放機構作動 LED点滅 捕捉衛星数>0 Yes No INPUT_GPS=1 Yes Time>25s No No OUTPUT=1 パラシュート解放機構作動 トリガ “発射” トリガ=0 EEPROM start LED常時点灯 Yes トリガ=0 INPUT=1 No Yes Yes No 発射後のタイマ(<300s) INPUT=0 RESET 各装置へのOUTPUT=1 発射後のタイマ(<300s) “RESET” トリガ=1 Yes No シーケンス終了 Yes トリガ =1 CCU 初期化より OUTPUT_GPS=0 No シーケンス終了 Yes 41 システムシーケンス② 1-axis 3-axis POWER ON POWER ON 初期化 初期化 スタンバイモード スタンバイモード TRIGGER LED 点滅 (OUTPUT=0) TRIGGER LED点滅 (OUTPUT=0) CCUから OUTPUT_1axis=1 INPUT=1 CCUから OUTPUT_3axis=1 Yes INPUT=1 No Yes No LED常時点灯(OUTPUT=1) LED常時点灯(OUTPUT=1) EEPROM start EEPROM start 発射後のタイマ(<300s) INPUT=0 No シーケンス終了 Yes RESET CCU初期化より OUTPUT_1axis=0 発射後のタイマ (<300s) Yes INPUT=0 No シーケンス終了 RESET CCU初期化より OUTPUT_3axis=0 42 中央制御ユニット(CCU)① -特徴と仕様 • 演算装置: PIC 16F876A, クロック20MHz • • • • INPUT(+LED)× 3ch (システムチェックinput) INPUT(発射トリガ) ×1ch OUTPUT×5ch (システムチェックoutput) LED ×1ch(CCU用) 1000m級 推力 1000 1000 600 高度 [m] 推力 [N] 800 400 200 0 軌道 1200 800 600 400 200 0 5 10 時間 [s] 15 20 推力 [N] 0 0 50 100 150 200 250 水平距離 [m] 300 350 高度 [m] C(0,y,z) 最高点H(x,y,z) y カメラ② B(0,Y.0) H’ C’ 基準O x 発射地点 L(-48.3,0,0) カメラ① A(0,-Y,0) D C (x,y,z) b1 l c1 a1 a1 1 q2 A カメラ① d1 E y