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生活困窮者・生活保護受給者の自立支援のため の地域

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生活困窮者・生活保護受給者の自立支援のため の地域
平成24年度厚生労働省
セーフティネット支援対策等事業費補助金
社会福祉推進事業
生活困窮者・生活保護受給者の自立支援のため
の地域における包括的な支援体制の研究
報
告
書
2013 年 3 月
特定非営利活動法人自立支援センターふるさとの会
生活困窮者・生活保護受給者の自立支援のための地域における包括的な支援体制の研究
研究報告書
目次
1.委員名簿
-------------------------------------------------------
1
2.研究経過
-------------------------------------------------------
3
3.研究報告
第1章 本研究の目的と概要
----------------------------------------
第2章 ふるさとの会の実践
---------------------------------------- 11
第 1 節 生活保護受給者・生活困窮者支援の課題
-------------------- 13
第 2 節 「地域包括支援システム」構築に向けた取り組み
------------ 14
第 3 節 生活保護の手前の支援―「シェルター」の実績と必要性
第3章 単身生活者の実態と支援ニーズを把握するための調査
第 1 節 調査報告
5
------ 39
----------- 45
------------------------------------------------ 47
第 2 節 高齢化社会における生活困窮者-認知機能調査の必要性
------- 91
第4章 地域資源を活用した居住の場の確保のためのワーキング・グループ-- 95
4.特論 「生活支援と在宅医療・介護の連携が可能にする地域包括支援」
シンポジウム報告(要旨)
地域の生活者を支える医療-医療と介護の連携から-
単身困窮者の地域包括支援システム
ふるさとの会を精神保健の歴史から見る
暮らしの保健室の取り組み
----------------108
--------------------------------125
----------------------------132
----------------------------------------140
5.総括にかえて -----------------------------------------------------149
参考資料
ふるさとの会・支援付き住宅推進会議共同代表声明「たまゆら火災から 4 年
-高齢者の安心生活と安全な住環境をいかに保障するか」
(2013 年 3 月 5 日) ---154
アンケート調査票
--------------------------------------------------161
1.委員名簿
2013 年 3 月 31 日現在
(敬称略・50 音順)
〈委員長〉
高橋 紘士
〈 委員 〉
粟田 主一
井上
孝義
沖野 充彦
笠井 和明
小林 英夫
佐久間 裕章
佐藤 幹夫
園田
竹島
眞理子
正
立森
久照
原田
布川
本田
由美子
日佐史
徹
的場
水田
山岡
米倉
由木
恵
義典
克良
〈調査 WT 委員〉
岡村 毅
〈事務局〉
滝脇 憲
秋山 雅彦
黒田 昭弘
甲野 順
滝澤健一郎
野崎 瑞樹
吉田 幸將
国際医療福祉大学大学院教授/財団法人高齢者住宅財団理事長
東京都健康長寿医療センター自立促進と介護予防研究チーム研究
部長
東京都社会福祉協議会医療部会 MSW 分科会会長/(社福)信愛報
恩会信愛病院医療社会事業部医療ソーシャルワーカー
NPO法人釜ヶ崎支援機構副理事長
NPO法人新宿ホームレス支援機構代表理事
NPO法人ふるさとの会理事(就労支援事業部責任者)
NPO法人自立支援センターふるさとの会代表理事
フリージャーナリスト/『ルポ認知症ケア最前線』
(岩波書店、2011
年)他著者
明治大学理工学部建築学科教授
(独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計
画研究部長
(独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計
画研究部統計解析研究室長
京都女子大学家政学部准教授
静岡大学人文学部教授
浅草病院医師/認定NPO法人シェア(国際保健協力市民の会)
代表理事
保健師/保護司/NPO法人すまい・まちづくり支援機構理事
NPO法人すまい・まちづくり支援機構代表理事
NPO法人日本NPOセンター代表理事
生活クラブ生活協同組合グループ 市民セクター政策機構専務理
事
東京都健康長寿医療センター自立促進と介護予防研究チーム客員
研究員
NPO 法人ふるさとの会理事/東京外国語大学非常勤講師
NPO 法人すまい・まちづくり支援機構理事
NPO 法人ふるさとの会職員
NPO 法人ふるさとの会職員
NPO 法人ふるさとの会新宿サポートセンター責任者
東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科博士後期
明治大学理工学研究科建築学専攻博士前期
1
2
2.研究経過
(1)研究委員会の開催
第 1 回研究委員会
8 月 28 日
第 2 回研究委員会
11 月 8 日
第 3 回研究委員会
12 月 2 日
第 4 回研究委員会
1 月 24 日
第 5 回研究委員会
3 月 21 日
(2)単身生活者の生活実態と支援ニーズ把握のための調査
第 1 回 WT 委員会
10 月 19 日
第 2 回 WT 委員会
10 月 30 日
第 3 回 WT 委員会
11 月 8 日
(調査実施
12 月~平成 25 年 3 月)
第 4 回 WT 委員会
3 月 15 日
中間集計に関する講演会
3 月 23 日
<宿泊事業(シェルター)の実施>
平成 24 年 6 月 29 日~平成 25 年 3 月 31 日
計 12 室を 13 名が利用した。
(3)地域資源を活用した居住の場の確保のためのワーキング・グループ
第 1 回 WT 委員会
7 月 27 日
第 2 回 WT 委員会
8月7日
第 3 回 WT 委員会
8 月 26 日
第 4 回 WT 委員会
10 月 4 日
(4)
「単身生活者の実態と支援ニーズを把握するための調査」結果を踏まえた講演と
シンポジウム
3 月 23 日
岡村毅 WT 委員を講師に招聘(参加者約 70 名)
(5)研究報告会
平成 25 年 6 月に実施予定。
3
4
3.研究報告
第1章
本研究の目的と概要
5
本研究の目的
わが国の喫緊の課題である生活困窮者・生活保護受給者の自立支援には、生活困窮・
孤立者の早期把握、個々のニーズに応じた伴走型支援と多様な就労機会の確保、安定
した居住の場の確保等が必要とされている。
これらを実現するには、国や自治体の施策と、NPO 等民間の活動が連携し、生活困窮
者を地域で包括的に支援する体制を構築することが求められる。
NPO 法人ふるさとの会(本部・東京都台東区)は、住所不定の失業者、就労阻害要因
を抱える生活困窮者・生活保護受給者の自立支援に取り組んでいるが、高齢困窮者の
介護や看取りなど、多様な支援ニーズを抱える生活困窮者を地域で包括的に支援する
体制づくりにとって重要な、さまざまな課題を経験してきた。
本研究は、ふるさとの会の利用者および活動を対象に、地域における生活困窮者の
実態と支援ニーズを調査し、居住確保のあり方とともに、普遍的で有効な支援体制の
モデル及び生活困窮者・生活保護受給者を地域で包括的に支援する制度的枠組みを提
言することを目的とした。
研究方法
本研究の目的を達成するため、次の研究を行った。
1)ふるさとの会の事業の全体像を分析し、支援の現場がどういう課題を抱え、どの
ような問題解決を展望しているかを考察した。
2)居住確保のあり方、有効な支援体制モデルの検討、地域で包括的に支援する制度
的枠組みの提言の基礎資料とすることを目的として、ふるさとの会利用者の実態と
支援ニーズを調査した。
3)地域資源を活用した居住の場の確保のため、地域資源を活用した居住の場の確保
のためのワーキング・グループによる検討を行った。
4)生活支援と在宅医療・介護の連携が可能にする地域包括支援を、在宅医療、生活
困窮者支援、精神保健、訪問看護の視点からシンポジウム形式で検討を行った。
本研究の結果および考察
1)ふるさとの会の事業の全体像の分析
ふるさとの会の支援対象者は、自助と互助を失い、「住まい」や「生活」の支援を必
要とする人である。その支援の構造は「重ね餅モデル」であって、「住まい」の支援に
始まり、「生活支援」、「地域リハビリ」、そしてこれらを基礎に据えることによって可
能になる「在宅看取り」という組み立てになっている。「生活支援」は、家族そのもの
ではないが、家族のような日常生活のケアを行うという意味で「家族的支援」である。
「自助」と「互助」の力が低下し、家族や地域社会の脆弱化した現代においては、か
つては血縁や地縁の中に埋め込まれた互助を、血縁や地縁を自明の前提にせず、生活
6
支援を軸にして「地域」に埋め込んでいくことが必要になる。
疾病や障害などの生活課題を抱えて生活困窮状態にある人々に対して、生活支援を
雇用の場所に、きめ細かい支援に支えられた就労機会を提供し、本人の生活や意欲を
高めるとともに、互助の構築の視点から「地域リハビリ」を進めていく。これは、生
活保護の手前で自立を支援しようという新しい生活困窮者の支援体系にも重要な視点
である。「互助」に携わる従事者を地域に配置しながら、高齢者と障害者だけでなく、
失業者や低所得の母子世帯、老いに不安を抱える単身者、障害を抱える人の家族、家
族介護のため退職せざるを得ない現役世代など、地域住民にとっても共通の社会資源
になりうる。
住まいと生活支援が必要な人を支える生活支援事業にとって、必要条件となるのは
生活支援センターのような拠点整備費用、生活支援の人件費、空き家等既存ストック
を活用し多様な居住ニーズに対応するための改修費補助である。これらの必要条件さ
えあれば、生活困窮者を包括的に支援する十分条件は、 その地域にある社会資源に応
じて、自治体や事業体の創意工夫に任せられるべき問題となる。
2)ふるさとの会利用者の実態と支援ニーズ調査
ふるさとの会の提供するサービスを利用する利用者(1,283 名)のうち,生活支援サ
ービスを受けている利用者全数(1,056 人)を対象に個別質問紙調査を行った。有効回
答は 684 人(64.8%)であった。住まいの喪失を理由にサービスを利用するようになっ
た者は約 6 割であった。預貯金を持っておらず、一時的に頼ることのできる家族や親
族がいないために、通常であれば住まいの喪失にまで至らずに済 むようなライフイベ
ント(失業、ADL の低下、長期入院など)によって住まいを喪失しやすいことが背景に
あると考えられた。ほとんどの利用者は単身世帯であり、約 7 割の利用者が家族との
つながりはないと回答した。生活支援の実施状況は「安心生活の保持」、「社会サービ
ス・コーディネート」、「居住環境の保持」、「健康の保持」など、困った時や寂しい時
に付き合うことを含めた、安心した人間関係を基盤とした支援が中心となっていた。
また、40 歳未満の利用者は精神的な健康度が他の年齢層に比べて低いという特徴があ
り、40 歳以上 65 歳未満の利用者は身体的、精神的健康度共に国民標準値より低かった。
65 歳以上の利用者では、認知症が疑われる者の割合が実際に認知症の診断を受けてい
る者よりも多く、認知機能調査の必要性が示唆された。生活困窮者・生活保護受給者
には、日常生活の基盤となっている「住まい」や「顔なじみの関係」を喪失すること
のないような居住と生活の支援が必要であると同時に、医療、介護も含めた地域での
包括的な支援体制をつくっていくことが求められた。
3)地域資源を活用した居住の場の確保のためのワーキング・グループ
「大久保一丁目・二丁目の建物悉皆調査と大久保コレクティブ・タウン化計画」の
検討を行った。高齢期の居住の安定のための 3 要素は、「健康」「家族」「経済」である
が、ふるさとの会の支援対象者は「家族」と「経済」が非常に弱い。このような人た
ちを支援するために、プロジェクトは「施設ケア」から「地域ケア」にビジネスモデ
ルを転換した「地域・グループ居住」の検討を行った。一人ひとりの生活保護費、家
7
賃 5.3 万円と生活費 7.7 万円の月 13 万円で生活支援の費用を捻出することは到底不可
能である。しかし、3 人家族で月額 39 万円であれば相応の生活ができ、そこから生活
支援を受けるのに必要な費用を捻出できる可能性がある。
このため、民間賃貸住宅を再生したような住まい方、生活支援が必要な人達が互助
の中で暮らせるサービス付きシェアハウスのような住まい方、介護から最期の看取り
まで可能なシェアハウス的な住まい方について、地域資源を発掘するための悉皆調査
を行った。空き家が活用できれば、バランスが良く質のいい居住環境を実現できるし、
安い賃料でいい住宅として賃貸できれば、コミュニティビジネスとしての可能性があ
る。
シェア居住とは、一戸の大きな家の一室ずつをマイルームとして共同生活を営む形
式である。最低面積が緩和されれば低所得者向けの適正な共同居住の場は確保可能と
考えられる。これを実現するためには、モデル事業的に既存住宅を活用したプロジェ
クトという方法や、法律に関して、
「特定住宅」という新しい分類をつくって、中間的
な分類を設けることが考えられる。これらの法的縛りをどう突破していくのかは、こ
れからの課題である。
4)生活支援と在宅医療・介護の連携が可能にする地域包括支援の検討
在宅医療、生活困窮者支援、精神保健、訪問看護の視点からの論点をまとめる。
在宅医療:東京など大都市における高齢者人口の増 加に対応するためには、増大す
る医療ニーズに対応し、在宅や介護施設での生活を保障するという課題がある。病気
や障害を抱えても、住み慣れた地域で安心して生活を継続できる「地域の生活者の生
涯を支える医療」が求められる。住まい、医療、介護、予防、生活支援が日常生活の
場で一体的に提供できる地域包括ケアを実現する前提は、住民が相互扶助や連帯の考
え方を基に支え合うことである。地域の医療機関や介護事業所が各々の役割を認識し
て相互連携して、はじめて地域の生活者の生涯を支えることができる。
生活困窮者支援:住まいと生活支援は、自 助 、互助を失った方々を 支援する前提で
あ る 。 年 を 取 り 、 24時 間 の 支 援 が 必 要 に な っ た か ら と い っ て 、 住 ま い を 出 て い く わ
けにいかない。見 守り から 24時間365日の支 援が一つの地域の中 で 包括されているこ
とが大事である。コミュニティケアというのは、その地域の中にケアとしての共同
性をつくっていることである。地域には多様な人々がいる。支援を受けている方々
の小さな互助をつくりながらも、地域の大きなコミュニティに支えられるような互
助をつくっていかなければならない。そのためにも、生活支援を事業として、産業
として、雇用の場所にしていく。ふるさとの会の仕事は、自助と互助を喪失した人
の支援というだけでなく、そこで雇用をつくる「コミュニティビジネス」という概
念で理解される。
精神保健:精神障害者の退院促進や地域移行を進めるには、住居の問題が非常に
重要である。精神科の病院でなかなか退院が進まないのは、医療を支える体制・環
境が不十分であり、かつその解決を専門サービスだけに求めるために、難しくなっ
8
ている。身体障害、知的障害、精神障害、高齢ということにとらわれず、住居と生
活支援を一つの皿に例えて、その上に、必要に応じて専門サービスがトッピングさ
れると考えると非常にわかりやすい。土台になっているセルフケアとかインフォー
マルなコミュニティケアなどを強化し、そこに専門サービスが効率よく提供できる
ようにするのが理想的と感じている。ふるさとの会のモデルは、非専門職中心のサ
ービスをつくることで、これまで解決できなかった問題をかなり乗り越えることが
できる可能性がある 。
訪問看護:「暮らしの保健室」はボランティアが迎え入れる暖かい雰囲気の中で、病
院とは違った空間、地域の中にある敷居が低い相談場所になっている。
「地域力」の活
用につながり、専門職が働きやすい環境づく りにもつながる。一人暮らしが増え、介
護の体制が整わないからと、土地を離れざるをえない人がいる。高齢者は何らかの病
気や、障害を持っているが、それなりに暮らしていくことはできる。そのためには、
治す医療より、生活を重要視した支える医療、ちょっとした健康不安を解消するため
の気軽な相談支援の場所があることは、住み慣れた地域での暮らしを支える基盤であ
る。
結論
身寄りのない低所得高齢者等の住まいや生活を支えるためには、
(1)空き家など既
存ストックを活用し、低所得者でも入居できる「支援付き住宅」の普及、(2)安心生
活を保障する日常生活支援の仕組みづくり、
(3)新たな「互助」づくりを土台に地域
居住の推進、
(4)人を支える地域内就労による、コミュニティのさらなる活性化が必
要である。また、地域ごとに開かれた相談窓口とサポート拠点を設置し、住まいと生
活を支援していくことは、生活困窮者・生活保護受給者の自立支援や認知症高齢者の
在宅介護支援、さらには被災地における支援の仕組みづくりなど、さまざまな課題に
共通する基盤と考えられる。
9
10
第2章
ふるさとの会の実践
11
第2章要旨
生活保護受給者・生活困窮者支援をめぐる現状は、稼働年齢層と高齢者の双方の自
立支援課題として問われている。この章では、1283 名の利用者を抱えるふるさとの会
の事業の全体像を分析し、支援の現場がどういう課題を抱え、どのような問題解決を
展望しているかを考察する。
ふるさとの会の支援対象者は、自助と互助を失い、「住まい」や「生活」の支援を必
要とする人である。
「静養ホームたまゆら」の火災事件で犠牲になった、低所得、単身、
要介護高齢(65 歳以上)でかつ精神障害、知的障害、認知症、がんなど、重層的な生
活困難を抱える人の地域居住を支えるには、住まいと生活を支える仕組みを土台から
組み立てなおさなければならない。
その支援の構造は「重ね餅モデル」である。
「住まい」の支援に始まり、
「生活支援」、
「地域リハビリ」、そしてこれらを基礎に据えることによって可能になる「在宅看取り」
という組み立てになっている。
「生活支援」は、家族そのものではないが、家族のような日常生活のケアを行うと
いう意味で、「家族的支援」である。「自助」と「互助」の力が弱まり、家族や地域社
会が脆弱化した今、
「かつては血縁や地縁の中に埋め込まれた互助」を、血縁や地縁に
頼らず、生活支援を軸にして「地域」に埋め込んでいくことが必要になる。
「互助」には「生活の互助」を事業にする家族的支援と、町会などの地域コミュニ
ティに支えられる「地域の互助」という二つの概念がある。両者を区別し、生活の互
助をオーガナイズするという生活支援の特徴を制度化の軸にすることで、地域の中に
大きな雇用が生み出される。高齢者の地域居住を支えることによって若年稼働層の雇
用が生まれ、稼働層の自立支援を行うことによって高齢化が進む地域の担い手が 増え
る。
「稼働層」といっても、ふるさとの会の場合、就労支援事業利用者の半数程度は何
らかの疾病を抱えている。しかし、疾病や障害などの生活課題を抱えて生活困窮状態
にある人々に対して、きめ細かい支援に支えられた就労機会が提供されることは、本
人の生活や意欲を高めるとともに、互助の構築の視点からも高い可能性を有している
と考えられる。これは、生活保護の手前で自立を支援しようという新しい生活困窮者
の支援体系においても有効な観点である。
既存制度との関係でいえば、NPO が単身・困窮者支援の社会資源をつくり、互助のあ
る生活を支え、それを既存のシステムに嵌め込む構図になっている。ふるさとの会で
は、生活困窮者の支え合いが「地域の互助」と連携し、地域で孤立した生活困難者を
住民たちと一緒に支える事例も生まれ始めた。生活支援事業は、
「互助」に携わる従事
者を地域に配置し、高齢者と障害者だけでなく失業者や低所得の母子世帯など横断的
に提供されるが、老いに不安を抱える単身者、障害を抱える人の家族、家族介護のた
め仕事をリタイヤせざるを得ない現役世代など、地域住民にとっても共通の社会資源
になりうる。
住まいと生活支援が必要な人を支える生活支援事業 にとって、必要条件となるのは
生活支援センターの拠点整備費用、生活支援の人件費、空き家等既存ストックを活用
し多様な居住ニーズに対応するための改修費補助である。これらの必要条件さえあれ
ば、生活困窮者を包括的に支援する十分条件は、その地域にある社会資源に応じて、
自治体や事業体の創意工夫に任せられるべき問題である。
12
ふるさとの会の実践
瀧脇
第1節
憲1
生活保護受給者・生活困窮者支援をめぐる現状と課題
全国の生活保護受給者数は 2012 年 11 月時点で約 215 万人と、前年に過去最高を更
新して以降、引き続き増加傾 向にある。特に、リーマンショックによる世界金融危機
以降この傾向は加速し、10 年前と比較すると、一般に「稼働層」とみなされる「その
他の世帯」の割合が大きく増加している。その一方で、年齢別の被保護人員としては
60 歳以上の高齢者の伸びが大きく、生活保護受給者の過半数(約 51%)を占めている。
生活保護の目的の一つである「自立の助長」は、稼働年齢層と高齢者の双方に関して
問われている。
現在生活保護を受給していないが、経済的に困窮している人も存在する。日本の相
対的貧困率は 2009 年に 16.0%となり、過去最悪を更新した。非正規雇用で働く労働者
の割合は、2000 年で 26.0%だったものが 2011 年で 35.2%、加えて年収 200 万未満の
給与所得者は、2000 年で 18.4%だったものが直近では 23.4%に達している。福祉事務
所来訪者のうち生活保護に至らない人は、2011 年度で高齢者等も含め年間約 40 万人と
推計されている。生活困窮が広がるなかで、家族などのつながりをなくして孤立する
人々も少なくない。単身世帯数の急増とも重なり、社会的孤立と経済的貧困が複合し
た問題状況が広がっている。
現在国は、生活保護を受ける前の段階から生活困窮 者を幅広い就労・自立支援につ
なぐ取り組みを強化するため、厚生労働省社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の
在り方に関する特別部会」報告書(2013 年 1 月 25 日)に基づき、生活困窮者支援の新
法と生活保護法改正案を準備している。生活困窮をめぐる現状と課題は、その報告書
に詳しいので重複を避けるが、新たな制度の構築に当たっては、各地域の先駆的な取
り組みが阻害されることのないよう、国と地方自治体、行政と民間とが協働して取り
組む方向性が示されている。
国や自治体の施策と NPO 等民間の活動が連携して生活困窮者を地域で包括的 に支援
する体制を構築するには、現に生活に困窮し、あるいは地域で生活している生活困窮
者・生活保護受給者の実態と生活支援ニーズを把握することが前提である。本研究の
対象である NPO 法人ふるさとの会(本部・東京都台東区)は、生活困窮者・生活保護
受給者の自立支援に取り組んでいるが、就労に困難を抱える若い世代の自立支援、高
齢困窮者の介護や看取りなど、多様な支援ニーズを抱える生活困窮者を地域で包括的
に支援する体制づくりにとって重要な、さまざまな課題を経験してきた。
そこで本研究事業においては、ふるさとの会の全利用者を対象 に、地域における生
活困窮者・生活保護受給者の実態と支援ニーズを調査したが、調査報告は次の第3章
でなされる。その前にこの章では、1283 名の利用者を抱えるふるさとの会の事業の全
体像を分析し、支援の現場がどういう課題を抱え、どのような問題解決を展望してい
1
特定非営利活動法人 自立支援センターふるさとの会 常務理事,本研究会事務局
13
るかについて考察したい。そこで行われている事業内容は、生活困窮者・生活保護受
給者を包括的に支援するうえで普遍的に必要かつ有効な、しかし現状においては非-
制度的な支援が含まれる。提言に相当する資料編「高齢者の安心生活と安全な住環境
をいかに保障するか」と併せて読んでいただきたい。
第2節
「地域包括支援システム」構築に向けた取り組み
(1) 地域の利用者像と空間的把握
① 利用者像(図 2-1)-「四重苦」を抱える人の地域居住を支援する
ふるさとの会の支援対象者は、現に路上で暮らす人、住所不定の失業者・不安定就
業層、家族の援助を受けられない要介護高齢者、心身の障害を抱え孤立している単身
者・家族など、社会的な孤立や生活困窮を背景に「住まい」や「生活」の支援を必要
とする人である。2013 年 2 月現在、1283 名の利用者 2 がいるが、65 歳以上が 602 名
(46.9%)にのぼり、全体的に利用者の高齢化が進んでいる。疾病・障害別に分類す
ると、精神障害を抱える人が 221 名と最も多く、また高齢化に伴い要介護認定を受け
ている人(291 名)、認知症の診断を受けている人(120 名、疑い含む)、がんを抱えて
いる人(53 名)が相応の割合を占める 3 。
図 2-1(現在の支援対象者)の「全体」を右に展開すると、居住形態別に独居と共居
(共同居住)に分類されている。独居は、アパートで暮らしている人を中心に、公営
住宅、簡易旅館、グループホーム(精神)などに居住する利用者である。共居はふる
さとの会が直接住宅提供を行う無料低額宿泊所、自立援助ホーム 4 、就労支援ホーム 5 、
都市型軽費老人ホームに居住する利用者である。後者は(就労支援ホームを除き) 24
時間体制で職員が常駐し、生活支援を行い、必要に応じて介護保険や訪問診療などの
在宅サービスのコーディネートを行う。
居住形態別の分類と疾病・傷害別の分類をクロスさせると、もっとも特徴が表れる
のは認知症のケースである。独居 19 名に対し、共居が 101 名と明らかな偏りが生じて
いる。これは、介護保険を利用しても、認知症の人が一人暮らしを継続することが難
しい現状を表している。
がんを抱える利用者については、数の上で居住形態別に有意な差は無いが、これま
で経験した看取り(5ケース)の場はすべて共同居住であった。同じ地域の中で、な
じみの仲間に囲まれた環境を保ちながら、心身の状態に応じて柔軟に住み移りができ
2
3
4
5
本稿は「支援対象者」と「利用者」を区別している。支援対象者は、現に路上で生活しているなど、
アウトリーチで働きかけている状態を含む。「利用者」は、居住支援、生活支援、就労支援などを、本
人または行政等から収入を得て提供している事業(サービス)の対象者である。
この疾病・障害別分類は、医療機関に通院し、福祉手続きを行っていること、つまり制度の中に入っ
ていることが前提になる。第3章の調査結果においては、たとえば認知症が疑われる者の割合が実際
に認知症の診断を受けている者よりも多い結果となっている。すなわち、生活支援には顕在化してい
ない医療・保健・福祉的ニーズへの対応が含まれ、それが生活支援の困難さにつながっている可能性
がある。
東京都『生活保護運用事例集(2007 年度増補版』)の問 2-26「自立援助ホーム等入所者の実施責任」
に規定される「その他」の「社会的入院患者が社会復帰の訓練等を行うための民間の施設」。
前掲書の「社会的自立が可能な程度の者に対して就労支援等を行う民間の施設」。
14
る住まいと生活の支援は、単身者を支援する上で必須の条件である。
「四重苦」という概念は、低所得、単身、要介護高齢(65 歳以上)でかつ精神障害、
知的障害、認知症、がんのいずれかを抱えている状態を指す。 2009 年 3 月に群馬県で
起きた「静養ホームたまゆら」の火災事件では、東京で生活保護を受ける高齢 者が犠
牲になった。低所得で単身というだけでなく、重層的な生活困難を抱える人の地域居
住を支えるには、住まいと生活を支える仕組みを土台から組み立てなおさなければな
らない。
② 支援ニーズの把握-マッピング
図 2-2(墨田区における支援状況)は、活動地域の一つである墨田区における利用者
の居住の状況を表している。墨田サポートセンターが支援する利用者は、独居 421 名
(近隣区の居住者を含む)、共居 141 名である。このうち、墨田区内でアパートの保証
人 6 を引き受け、生活支援を行っている利用者の居所を多数のピンでマークしてい る。
墨田区の保護率は 33.0‰であり、都内でも4番目の高さであるとはいえ、ふるさとの
会の利用者だけでも地域にこれだけの要支援者が居住している。
「地域生活支援センターすみだ」(図 2-3)は、独居利用者の居場所であり訪問支援
の拠点である。独居利用者が暮らす地域の中には、ふるさとの会が借り上げた共同住
宅、民家や工場を改修または用途変更した宿泊所・自立援助ホームが4か所ある(〇
で示す)。独居利用者の年齢層でもっとも多いのは 60 代であり、数年後には 70 代にな
る。重い病気や介護に不安を抱える人も多い 7 。繰り返しになるが、独居利用者が地域
で暮らし続けるためのセーフティネットとして、共同居住 8 の社会資源は不可欠である。
稼働年齢層の利用者には、就労支援ホーム・自立準備ホーム 9 が4か所ある(□で示
す。1か所は住所非公開のため、地図上は3か所)。ハローワーク等で就労に至らない
人―しばしば知的障害の疑いなど就労を困難にする要因がある―には、ふるさとの会
が共同居住における高齢者の日常生活支援や配膳、清掃などその人にあった仕事を紹
介する。この「ケア付き就労」というプログラムによって、利用者一人ひとりの状態
に合わせて柔軟に仕事をつくり出す仕組みをつくり、アパート生活に移行した利用者
を含め現在 116 名を雇用している。
このように地図で俯瞰すると、コミュニティは多様な人々から構成されていること
が分かり、相互に連関を持った社会資源がネットワーク化される必要性(必然性)は
明らかである。図 2-4(要介護高齢者支援と雇用創出)は、高齢者の地域居住を支える
ことによって若年稼働層の雇用が生まれ、稼働層の自立支援を行うことによって高齢
6
7
8
9
ふるさとの会グループの株式会社ふるさとの「賃貸借保証委託」事業。
第3章の「2.利用者記入シート」(6)「重い病気になったり、寝たきりになったときのこと」につ
いて、全ての年齢層に共通して、重い病気にかかったり、寝たきりなどの状態になってしまった時に
心配なことが「ある」と回答している利用者は約半数であった。詳しくは当該箇所を参照。
生活のニーズにあった住まいを確保するためには、既存の民間住宅ストックを活用しながら、低廉な
家賃を実現することが必要となる。都市部においても空き家・空き室は相当数見込まれ、戸建やファ
ミリー向けのマンションは互助的な共同居住形態(グループリビング・シェアハウス)として活用し
うるが、関係法令の制約もある。この点については第4章において言及される。
法務省の「緊急的住居確保・自立支援対策」にもとづいて、人々に一時的に住居を提供し、自立を促
す施設
15
化が進む地域の担い手が増える関係を表しているが、これは地域の中で生活困窮者を
包括的に支援することによって生じる特質と 言えよう。
(2)支援の構造
住まいと生活を支える仕組みを土台から組み立てなおさなければならないと述べた
が、図 2-5 はふるさとの会が行っている支援の構造である(「重ね餅モデル」と呼ぶ)。
「住まい」の支援に始まり、住まいが確保されたら「生活支援」、生活支援を通した「地
域リハビリ」、そしてこれらを基礎に据えることによって可能になる「在宅看取り」と
いう組み立てになっている。むろん、ふるさとの会が自己完結的に行っているわけで
はなく、福祉事務所、地域包括支援センター、在宅医療・介護など社会サービスとの
日常的な連携は欠かせない。また、生活支援は、ケアワークを中心に、清掃、食事提
供などを含めたコミュニティ・ビジネスを生みだし、稼働層の就労支援を行う上で雇
用の受け皿にもなっている。
住まいは自力で確保している人もいるので、すべての人にこの順番でフルパッケー
ジの支援を行っているわけではない。あくまでニードのプライオリティを示すものと
理解されたい。
① 住まいの確保
住まいは生活の基盤であるが、生活困窮者・生活困窮者はそれぞれの年齢層に応じ
た居住リスクを抱えている(象徴的に言えば「ネットカフェ生活者」、「社会的入院患
者」、
「介護難民」など)。低廉で適切な住宅を確保するためには、既存ストックを活用
し、生活のニーズに合った住まいを提供することが支援の前提条件になる。
ふるさとの会では、既存ストックを改修し、生活のニーズに対応した住宅・施設を
共同居住、グループホーム、シェルターなどとして供給してきた。
また、民間の賃貸物件を活用するため、株式会社ふるさとでは、施設や病院等から
在宅生活に移行する際など、保証会社の審査に通らなかったケースの保証人を受託し
ている。一部は住宅の借上げ管理運営を受託し、入居制限の原因となるような入居者
のトラブル(騒音クレーム、死亡事故、賃料滞納、ゴミ処分など)に、所有者から対
価を得て対応している。トラブルの中長期的な問題解決として、入居者の疾病や障害、
ライフステージに合わせた住まいへの住み替え提案・マッチングを行うこともある。
② 生活の支援
「住まい」確保の上に、生活を支える「生活支援」(日常生活支援)が提供される。
ただし、「生活支援」という言葉には注釈が必要である。現在、「生活支援」という用
語はさまざまな制度・事業の中で用いられており、支援内容に統一的な規定はない。
そこで本稿においては、その支援がなければ生活が 成り立たず、医療や介護などのサ
ービスを受ける前提となるもの、という捉え方から出発する。
そもそもなぜ「生活」に社会的な「支援」が必要になってきたかというと、おおよ
そ次のようなロジックで説明が可能であろう。生活支援は、かつては血縁や地縁の中
16
に埋め込まれた互助として存在していた 10 。介護は家族が担い、「向こう三軒両隣」と
いった濃密な近隣関係が、地域の気付きの目になっていた。その反面、「自助」と「互
助」を失った人は、
「施設」に入所し生活の支援を受けるしかなかった。しかし現代は、
「無縁社会」という言葉が当たり前に使わ れるほど「自助」と「互助」の喪失は一般
化している。家族や近隣が担ってきたケアが、家族や地域社会の脆弱化とともに担い
手を喪失した。かといって、今後、支援が必要な人の数だけ施設を作ることは―利用
者の尊厳以前の問題として―現実的ではない。そのため、
「かつては血縁や地縁の中に
埋め込まれた互助」を、血縁や地縁に頼らず、生活支援を軸にして「地域」に埋め込
んでいくことが必要になる。
では,「生活支援」の具体的なかたちとは、どのようなものであろうか。第3章「単
身生活者の実態と支援ニーズを把握するための調査」の結果によると、 生活支援の実
施状況は「安心生活の保持」、「社会サービス・コーディネート」、「居住環境の保持」、
「健康の保持」など、困った時や寂しい時に付き合うことを含めた、安心した人間関
係を基盤とした支援が中心となっており、居所別(自宅(アパートなど)、自立援助ホ
ーム等、就労支援ホーム等)で比較した場合においても、共通して実施されている支
援となっていた。自立援助ホーム等の利用者に関しては、これらに加え、食事、睡眠、
排泄、清潔の保持、活動支援、社会生活の保持などの支援が高い割合で提供されてい
た。このような支援は、粟田主一氏 によると、「情緒的・情報的・手段的ソーシャル
サポート」に相当するものである。家族そのものではないが、家族のような日常生活
のケアを行うという意味で、「家族的支援」(図 2-6)と言い換えることができる。
次に、この「家族的支援」を地域の中に「互助」として埋め込むというのは、どう
いうことだろうか。ここで注目したいのは、日常生活支援(家族的支援)は、分業・
分担が可能であるという点である。
先ほど「日常生活支援」を頻度別に分類したが、その多くは「ケア付き就労」を通
して提供されている。ケア付き就労の中で、20%以上のスタッフが実施しているのは、
「食事の準備や見守り、介助」、「体調に応じて、おかゆやおにぎりにする」などの食
事支援、「火の元の管理をする」、「安否確認をする」などの安全確保支援、「体調が悪
いかどうかみる」などの健康保持支援、
「居室の環境を整える」などの居住環境保持支
援、
「場所が分からなくなった際に教える」などの活動支援、
「トイレをきれいにする」
などの排せつ支援である。逆に、社会サービスの利用支援(連絡調整、カンファレン
スの開催)は、研修・検定を受けた常勤職員が行う(国家資格の有無は問わない)た
め、非常勤のケア付き就労利用者は行わない。
ここで、ケアを提供する人の事例を通して日常生活支援がどのように立ち現れるか
を叙述しておきたい。知的障害を抱える若者が、高齢者の生活を「ちょっと手伝って」
みて、それをきっかけに地域のイベントや支え合いに何かと登場する過程でもある。
事例1
知的障害を抱える利用者が生活支援の担い手になる
〈20 代男性。知的障害者更生施設から就労支援ホームへ移行。愛の手帳4度。就労意
10
宮島俊彦(2013)『地域包括ケアの展望』社会保険研究所。
17
欲は高いが、対人関係がうまくいかない。ハローワークの障害者雇用窓口では仕事が
見つからず、その後就労支援ホーム職員の紹介に より要介護高齢者等が暮らす宿泊施
設の配膳・皿洗いとして働く。初めての仕事場は緊張するので、支援職員が一カ月ほ
ど皿洗い等の仕事を一緒にした。たとえば、職員が洗って、彼が拭く。その作業の中
で職場の関係が良好になり、自ら高齢者のエプロンを掛けたり、スプーンを探したり
するようになった。職場が彼の居場所の一つになり、休みの日にも職場に顔を出した
り、入院先にお見舞いに行ったりしており、利用者から頼りにされることがうれしそ
うである。これまで運送業など経験したが、人から直接感謝の言葉を言われることは
なかったという〉。
安定した食事の提供は、共同居住における生活支援の要である。その中で彼が担っ
ているのは、食事の準備や見守り、利用者の体調に応じておかゆやおにぎりにするな
どの「ケア」である。もちろん自然にそうなったのではなく、「ケア」の担い手になる
には、彼の就労支援担当者と彼が働く職場のサポートがあった。
しかし、説明文中にある通り、彼の役割はそれにとどまらず、
「職場」を居場所とし
ながら自発的な互助の担い手になっている点にもある。さらに、
「職場」の中にもとど
まらず、皆でお祭りに行くときは障害のある人を介助し、がんの利用者向けのサ ロン
ではボランティアの送迎スタッフになるなど、地域の中にさまざまな居場所ができ、
それぞれの中で役割を持つようになっていった。居所である就労支援ホームだけなら
「点」、住まいと職場を往復するだけなら「線」にすぎないが、地域の互助の中で暮ら
す彼の生活は「面」的である。
次は、彼の職場で暮らす利用者同士の互助の事例である。
「ケア前ケア」としての生
活支援がなぜ「互助」を目的とするのか、その理由が理解されると思う。
事例2
共同居住の利用者同士の互助
A 氏は 70 代の男性で、アルツハイマー型認知症とアルコール依存症を抱 える。B氏
は 60 代男性で、統合失調症を抱える。C 氏は 60 代男性で、アルツハイマー型認知症を
抱える。以下は、日常の中で交わされたちょっとした会話を職員が書き取ったもので
ある。この日は A 氏はアルコールのデイケアへ通院する日で、送迎車が来るのを待っ
ていた。先ほど担当ケアマネジャーよりデイサービス通所に向けての提案を受けたが、
「現在は必要ない」と断ったばかりであった。
B 氏:「一緒に日向ぼっこしませんか?」
A 氏:「おっ、良いですね」。
B 氏:「デイサービスに行くの?」。
A 氏:「うるさいから断ったよ」。
B 氏:「じっくり選んだらいいですよ。自分もいろいろなデイサービスを見学して、
体験して、一番しっくりくる通所先を探したんですよ」。
A 氏:
「へえ、しっくりきたんだ。なら今度 B さんが行くときに見学してみようかな」。
職員:
「(デイサービスの送迎車を町に来た C さんに)C さんもご一緒に日向ぼっこど
うですか?」
18
C 氏:「ああ、いいですね」。
A 氏:「(C さんに)「あんたは出身は何処なの?」
C 氏:「福岡ですよ。九州です。」
A 氏:「ああ。そうなの。俺はね豊島区でさ。」
C 氏:デイサービスの送迎車が到着。
A 氏:(通所される C 氏を見て)
「ああ、なるほどね。皆迎えに来るんだね。あの車は
どこの人?近くからくるの?」とデイサービスについて関心を持っていた。
デイサービスを利用することは、B 氏、C 氏にとって生活の一部になっている。A 氏
の生活も、通所に至ればさらに安定したものになるだろう。しかし、通所のモチベー
ションになっているのは、仲間との関係である。
生活の中で困っていることや、工夫していることなどについて、仲間同士が語り合
い、情報交換するといった〈関係性〉がここにある。三人とも要支援(要介護)であ
るため、共同居住における「家族的支 援」はスタッフ(ケア付き就労利用者を含む)
によって行われている。ただし、家族的支援はそれ自体が目的ではなく、利用者同士
の互助が生れるための前提となるケアである。いずれも精神の障害を抱え、認知症の
記憶障害(機能障害)は生活支援によって回復しないが、日々こまごまとしたことを
互いに気遣い合う関係性は生じうる 11 。C 氏は居室で尿失禁してしまうことがあるが、
そんな時 A 氏はトイレに連れて行ってくれる。日常の中に「つながり」が生れること
で、たとえ常に職員がそばに居なくても、認知症の人は混乱した世界を生きずにすみ、
認知機能の障害が生活の障害にならない。このように「機能障害を生活障害にしない」
ことが生活支援の意義である。
③ 地域リハビリ
「地域リハビリ」とは、日本リハビリテーション病院・施設協会によると、「障害の
ある人々や高齢者およびその家族が住み慣れたところで、そこに住む人々と共に、一
生安全に、いきいきとした生活が送れるよう、医療や保健、福祉および生活にかかわ
るあらゆる人々や機関・組織がリハビリの立場から協力し合って行う行動のすべてを
いう」。これに「福祉および生活にかかわる」立場から参画しようという発想で、「地
域リハビリ」という言葉を用いている。また同協会は、障害の予防や医療的なリハビ
リテーション・サービスにとどまらず、
「機能や活動能力の改善が困難な人々に対して
も、できうる限り社会参加を可能にし、生あるかぎり人間らしく過ごせるよう専門的
サービスのみでなく地域住民も含めた総合的な支援がなされなければならない」、また、
「一般の人々が障害を負うことや年をとることを自分自身の問題としてとらえるよう
啓発されることが必要である」と活動の指針を示している。
先の事例の考察で示した通り、家族的支援には互助をつくるという目的があったが、
それには QOL を低下させない、あるいは回復効果を持つという意味の「予防効果」が
伴っている。「機能や活動能力の改善が困難」であっても、「社会参加」を実現し「人
11
このような互助は支援者が「つくる」というよりも、利用者同士が作り出すことを助けるという(助
産術的な)志向性を持つがゆえに、「オーガナイズする」「支える」といった方が適切であろう。
19
間らしく過ごせるよう」住民同士助け合っていく総合的な支援は、QOL が低い傾向にあ
る生活困窮者 12 の支援にとって不可欠である。
ふるさとの会では、イベント、クラブ活動、共済会などさまざまな〈場〉を設定し
(あるいは見守り)ながら、日常生活を形成する〈関係性〉の支援を行っている。そ
れが持つ「リハビリテーション」
(再適応、社会復帰)の効果を、ここでも事例を通し
て考察してみたい。
事例3
イベントを通して醸成された共同性
〈70 代女性、65 歳を過ぎてから路上生活を経験したが、生活保護を申請し、簡易旅
館で暮らしていた。ふるさとの会主催のイベントをきっかけに、
「釣りクラブ」、
「女子
会」、「ボーリングクラブ」、「ガレージセール」など次々と参加。母親的雰囲気を持っ
ているため、皆から「お母さん」と呼ばれ慕われている。ところがアパート転居後、
わずか 3 か月で消化器系のがんと診断され、抗がん剤治療を開始することになった。
そこで活躍したのがボーリングクラブのメンバーである。入院中はお見舞 いや部屋の
掃除を積極的に担った。女性は退院後もボーリングクラブに参加し、自分では投げな
いが、参加者とともに楽しんでいる。また共済会のガレージセールでは商品の仕分け
などボランティア活動を行っている。〉
女性にとって、仲間たちが「お母さん」と慕ってくれる他者からの承認は、病気を
抱える日常において心の支えになっていると思われる。このような仲間に囲まれた生
活が地域のいたるところで立ち上がってくることによって、「点」(孤立した生活)や
「線」(支援者しかいない生活)ではなく、「面」(仲間と支え合う生活)として、住み
慣れた場で最期まで暮らし続ける生活条件がつくられる。
次に、利用者同士にとどまらない、アパートの中で自発的に行われている互助に目
を向けてみたい。
事例4
賃貸住宅における自発的互助
〈墨田区内の木造アパートで暮らす 70 代の男性は、隣人の生活音に悩まされ、外付
けの電気ケーブルを切断するという実力行使に踏み切った。大家から退去を求めるこ
ともありうる事件だが、相談を受けた職員が男性と共に隣人をたずねると、出てきた
のは認知症の女性で、部屋の中はゴミ屋敷化していた。それ以来、男性は女性の部屋
へお茶を持って行き、話し相手になっている。散らかしたごみも一緒に片付けている。
それを繰り返すうちにドアの開け閉めの音にも気を遣ってくれるようになり、外出時
には声を掛けてくれるようになった。女性はさびしく話し相手が欲しいようで、味噌
汁を持って行ってあげると、泣いて喜ばれたという〉。
12
第3章によると、ふるさとの会の利用者の身体的サマリースコア(PCS)は男女とも 2007 年国民標
準値を大きく下回っており、年代別では 40~50 代の 利用者で国民標準値からの乖離が大きかった。
精神的サマリースコア(MCS)は、身体的サマリースコアほどではないが男女ともに国民標準値を下
回った。
20
男性は、同じアパートに暮らす生活支援センターのメンバーや職員と相談しながら、
今後は女性を生活支援センターのイベントに誘ってみようという話をしている。この
ように、地域の中には住民による自発的な支え合いの事例がある(むろん「自発的な
支え合い」を支える体制があってこそではある)。男性は支援職員にとっては支援対象
者である。しかし一人の住民としては隣人を支える役割を担っている。隣人と顔の見
える関係ができることによって、「騒音」(の意味)が「気遣い」を感じさせる音へと
変化し、男性の生活を困らせる問題は解決した。そればかりか、当初の「騒音」とし
て体験された音は、隣人が生活を営んでいることを知らせる(安否確認の)音になっ
ている。支援される人が支援する側に回る変化の過程には、トラブルが解消するだけ
でなく、「音」の意味が変化しているのである。
男性と隣人の互助、男性を「支 援者」として孤立させない同じアパートの住人同士
の互助など、互助の波紋が重なることで、認知症になっても、がんになっても、地域
で最期まで暮らせるための生活条件が形成されつつあると思われる。
④ 在宅の看取り
住み慣れた自宅で最期を迎えるためには、在宅医療の充実に加え、一般的には同居
する家族の支えなどが必要である。ふるさとの会では、職員や利用者仲間の助け合い
という地域力(互助)によって、末期の日常を支えている。余命わずかでも、コーヒ
ーを飲みたいといえば私物のコーヒーサイフォンを持っている利用者が駆けつけるし、
冷やし中華を食べたいと言えば元そば屋の利用者が腕を振るう。地域の互助が、
「長屋」
のような共同性とともに立ち現れる。
事例5
共同居住における看取り
〈80 代男性、宿泊所入所中。腰部痛をきっかけに通院したところ、末期の肝臓がんで
あると診断された。入院も検討されたが、宿泊所の責任者に「入院は寂しいから嫌だ。
ここで皆と暮らしていきたい」と依頼。慣れ親しんだ住まいで残りの人生を過ごした。
共に暮らし、車いすを押したり、買い物を代行したりして頼りにされていた居住者の
一人は、「ここで暮らしたら身内。他人じゃない。幸せな亡 くなり方をした」と話す。
責任者は「日常の中で自然に迎えた最期だった。支え合いが生まれ、ここで亡くなる
ことについて誰も(忌避せず)何も言わなかった」と振り返る〉。
男性の「ここで皆と暮らしていきたい」という訴えは、どこで最期を迎えるか(看
取るか)という問いの抽象性に気付かせてくれる。というのも、このような問いに、
おそらくはじめから答えは無いからだ。それは日常生活がどれだけ豊かであるかによ
って変わってくる。アパート暮らしが孤独で病気を抱えていれば、生きていても辛く、
病院や施設に入りたいという人もいるだろう。 男性には「ここでみんなと暮らしてい
きたい」という日常があった。共同居住で看取った、というよりは、自分の居場所で
最期まで生きた、といった方が適切かもしれない。
次の事例は、共同居住の中で末期がんの人、重い障害を持つ人、軽度の障害がある
若者などが、それぞれ役割を持ちながらイベントに出店し、それが日常の互助を形成
21
している事例である。
事例6
末期がんの人を中心にイベント出店した互助事例
〈ふるさとの会バーベキュー大会にて共同居住 A 館が、末期がんの B 氏を中心にフ
ランクフルトを販売。同じく住民の C 氏(20 代、共同居住 D 荘にてケア付き就労中)
が助手を務め、E 氏(40 代、身体障害 1 級で車いす)が「いかがですか~」と売り子
をして売り上げに貢献。B 氏は現役時代テキヤをやっていたので、フランク焼きは「ハ
レ」の場である。出し物は A 館の利用者ミーティングで話し合って決めた。担当ケア
マネジャーによると、「B さんの体調はかなり悪くなっているが、こういうイベントが
彼を支えている」。〉
(以下はミーティングの一幕)
職 員:「今度のバーベキュー大会は何をしましょうか。」
C 氏:「カラオケはどうですか?」
B 氏:「歌いたい。村田英雄とか。」
C 氏:「機材は借りてきますよ。」
E 氏:「今はつつじがきれいだから、ちゃんと見れるとよいと思います。」
職 員:「E さん、カラオケは?」
E 氏:「美空ひばりです」。
C 氏:「E さんはどうやって行きますか?
車いす押しましょうか?」
職 員:
「B さん、ちょっと物足りなさそうですね。本当のところ何がやりたいですか?」
B 氏:「やっぱりフランクだね。」
職 員:「会場に電源は無いですが。」
B 氏:「ホットプレートがあればできる。」
C 氏:「じゃあ一緒に買いに行きましょう。」
E 氏は父親との二人暮らしをしていたが、医療費が払えなくなり保護申請、A 館に転
居した。まだ若く、入居してからも自暴自棄のような時期が続いていたが、このミー
ティングで他の利用者との関わりが生れてからは、明るい表情がみられるようになっ
た。C 氏は A 館で生活しながら、D 荘の食堂で働いている。地域で働き、D 荘で暮らす
高齢者等の生活支援の仕事をしながら、A 館では「長屋」的な共同性のなかで、「生活
の互助」を担っている。この互助が、在宅看取りや災害時にはきっと大きな支えにな
る。彼の仕事と生活から、
「生活支援を地域に埋め込む」ということの具体的なイメー
ジを持つことができるのである。
(3)互助の担い手としての稼働層の支援
事例5の男性が亡くなった後、彼を知る人たちの間で「偲ぶ会」が催された。かつ
て一緒に暮らした利用者のほか、ケア付き就労で働くメンバーや清掃スタッフも集ま
り、男性の好物を食べたり思い出を語り合ったりした。男性が生きたネットワークに
は、稼働層の利用者もさまざまなかたちで関わっている。
「稼働層」といっても、就労支援事業利用者の半数程度は何らかの疾病を抱えてお
22
り、神経症スクリーニングで「問題あり」との判定が出ている 13 。特に若い世代ほど割
合が高く、20~30 代の利用者では 85%が「問題あり」と判定されている。
健康面以外では、若年層ほど家族・親戚との関わりが稀薄である割合が高く、また
現在自宅以外の生活者ほど一人暮らし経験がないなど、仕事以前にベースとなる生活
を築く上での諸課題を多く抱えていると考えられる。利用者一人ひとりが抱えている
課題は様々であり、働き方(業務内容、就労日数・時間数)も多様である。
平成 23 年度にふるさとの会が行った調査によると、「ケア付き就労」は要介護状態
にある高齢者への支援等が中心的な業務であるが、仕事に携わることで彼らは高齢者
に共感したり、ともに働く職員等とのかかわりを通して彼ら自身の自尊感情を高め精
神状態や日常生活の安定につながったり、ヘルパー資格の取得など新たな可能性にチ
ャレンジするなどの効果がみられている。さらに、日常業務以外の場面でも積極的に
高齢者への支援を行うなど、互助的な関係に発展している例も見受けられた。現在の
業務内容に対する積極的な継続意向(自分にあっている、やりがいがある、楽しい等)
をみても、就労の場が彼らにとって居場所のひとつとして位置づけられていることが
うかがえた。
つまり、事例1からも了解されることであるが、 ケア付き就労の利用者は、「仕事」
として「生活を支える互助」の担い手であると同時に、「仕事」を離れても「地域の互
助」を支えているのである。疾病や障害などの生活課題を抱えて生活困窮状態にある
人々に対して、きめ細かい支援に支えられた就労機会が提供されることは、本人の生
活や意欲を高めるとともに、地域における互助機能の構築の視点からも高い可能性を
有していると考えられる。
これは、生活保護の手前で自立を支援しようという新しい生活困窮者の支援体系に
おいても有効な観点である。
事例 7
生活保護を申請せず地域内就労で自立
〈30 代男性。関西の製造関係の仕事をしていたが、職場の人間関係のトラブルをき
っかけに退職。上京するも生活に困窮し、約 1 ヶ月路上で生活した。福祉事務所でふ
るさとの会が運営するシェルターに入所。同業種の求人にエントリーするも、繰り返
し不採用になり、ふるさとの会で就労を始める。はじめは配膳から始め、宿直、週 5
の日勤と仕事を増やし、シェルターから自立した。男性は「お年寄りや仲間と話すう
ちに心に余裕ができ、自分を取り戻せた」と振り返る。その後、職場内研修(図 2-7)
を受け常勤職員になった 14 。〉
「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」報告書においては、直ちに一
13
14
ふるさとの会「ケア付き就労利用者の意識とプロフィール調査」(平成 24 年厚生 労働省社会福祉推進
事業)。
様々な生活課題、心身の疾病や障害など自立を阻害する要因を抱えた相談者に適切な支援を提供する
ためには、福祉・医療・介護・行政サービス等の制度・法律や、援助技術を学ぶ必要がある。ふるさ
との会では、福祉資格の有無に限らず、社会福祉を志す職員を法人独自の研修制度により育成し、ま
たケアマネジメントマニュアルに沿ったケア検定制度を設けることにより、段階に応じた職員育成を
行っている。
23
般就労が難しいものには、
「中間的な就労の場」を設けるとしているが、事業内容につ
いては、地域の資源を活用したり、地域社会への貢献に資するといった地域のニーズ
を踏まえたものが望ましい」と書かれている。男性の言葉からは、住まいや収入など
の物質的な資源だけでなく、居場所があり、仲間がいて、他者からの承認を得られ、
働くことが自己を了解する契機になっていることがうかがえる。この事例は、生活困
窮者が高齢者の生活支援など地域社会が必要とする仕事に参加し、地域社会を支え る
側に回るための諸条件を示唆するものである。生活保護の手前で自立を支援するため
の「シェルター」については、第3節で詳述する。
(4)孤立した生活困難者の包括支援と制度との関係
① 単身困窮者の包括支援と既存制度との関係
図 2-8(ふるさとの会の取り組みについて)は、これまで見てきた「重ね餅」の組み
立てと、地域の民間社会資源(インフォーマル・サポート)及び公的機関・施設等(フ
ォーマル・サービス)との関係を示している。NPO が単身・困窮者支援の社会資源をつ
くり、互助のある生活を支え、それを既存のシステムに嵌め込む 構図になっている。
この嵌め込みの構図を具体的に示すのが、次の事例である。認知症高齢者の居住と
生活の支援、そして生活の互助と雇用が生まれ、地域の介護力が全体を支えている。
事例 8
認知症の高齢者を家族的支援、生活の互助、地域の互助が支える
〈70 代の男性、共同居住(自立援助ホーム)にて生活。重度の認知症の影響と思わ
れるが、台所で放尿したり、トイレットペーパーを収集したり、周りの利用者が迷惑
している。また、外出欲求が強く、職員は不安を抱える。医療は内科と精神科の訪問
診療が入り、訪問看護も定期的に入っている。 介護保険は訪問介護の他、デイサービ
スを利用している。しかし生活上の問題は相変わらずだった。理解に苦しんだのは、
トイレットペーパーの収集癖であった。
「だめもと」であったが、男性が現役時代、製
織の職人だったことに着目した職員が方眼紙を買いに誘ってみたところ応諾。道具を
渡すと、一瞬「しゃきっとした」職人の顔を取り戻したが、
「今日は(道具の使い方を)
忘れた」とやめてしまった。しかし職員は、この時から少しコミュニケーションがと
れる感覚を得られるようになった。非常勤スタッフはミーティングを開き「彼のやる
ことを拒否しない」と支援方針を共有。その後男性は自分で思うよう外出したが、少
しして戻らないため職員が探しに行ったところ、近隣住民がすでに声をかけ、連れて
きてくれるところだった(男性に限らず、他の利用者が迷った時もだれかが声をかけ
てくれる)。共同居住(12 名のうち大部分は認知症)の中では、春に行われるバーベキ
ューの屋台出しに向けて利用者ミーティングが重ねられている。男性もミーティング
に参加。その後、頻回な外出希望はなくなった。〉
男性のライフヒストリーに内在した行動の〈意味〉を理解しようと努めながら、一
緒に方眼図を買いに行くのは「家族的支援」(日常生活支援)である。また、「ケア付
き就労」利用者を含めた非常勤スタッフのミーティングで、
「拒否しない」という「生
活の互助」が共通の援助方針として話し合われ、職員との関係だけでなく他の利用者
24
とのイベント時の役割分担、さらには近隣住民の見守りなど、コミュニティに支えら
れた「地域の互助」に包み込まれている 15 。
次は、生活困窮者の支え合いが「地域の互助」と連携し、さらに「地域の互助」を
触発している事例である。
事例 9
地域の居場所で認知症サポーター講習を開催(プログラム事例)
〈ふるさとの会が運営する居場所兼相談窓口「まちカフェふるさと」
(図 2-9)にて、
地域包括支援センターによる「認知症サポーター講習」を開催した。会場( 25 名定員)
は満席になり、自ら認知症や精神の障害を抱える利用者、ケア付き就労の利用者、カ
フェ主催のイベント(遠足など)参加者も「認知症サポーター」になった。また、町
会や老人会の役員も参加し、同じ「認知症サポーター」として新たなネットワークが
形成された。講習の数日後、参加者の 70 代男性の体調が気になり安否を確認に訪問す
るが応答はない。同じく講習参加者で近くに住む住民に 相談するが、手掛かりは得ら
れず。かかりつけ医に連絡すると、直前の受診記録が確認され、民生委員に相談。地
域包括に紹介したところ緊急連絡先が分かり安否の確認が取れた。情報は地域包括→
民生委員→まちカフェ→地域住民へとフィードバックされ、地域の見守りネットワー
クが確かめられた。〉
生活困窮者支援が地域包括支援センターの「社会資源」となって「場」と「ネット
ワーク」を提供し、地域包括支援センターはそれまで把握していた地域ネットワーク
に加え、生活困窮者の支援に専門性を提供するという連携がなされている。また、地
域に「居場所」があることで普段と違う異変や孤立に気付く仕組みが生れ、
「アウトリ
ーチ」機能があることで地域の民間社会資源と公的社会資源が連動し出し、さまざま
な関係者、関係機関の協力が得られている。生活困窮者支援が得意とする「寄り添い
支援」が、カフェという孤独死防止の「アンテナ」を持ち、地域福祉にダイナミズム
を与える可能性を示唆していると言えよう 16 。
② 生活支援事業の制度化とその意義
以上のような支援は、制度上、あるいは福祉システムにとってどういう位置にある
のだろうか。ここで、生活支援が行われる仕組みや財源の問題にも触 れておきたい。
(2)の②「生活の支援」冒頭で述べた通り、生活支援はその支援がなければ生活
が成り立たず、医療や介護などのサービスを受ける前提となるものである。にもかか
わらず、対価が制度によって保証されないインフォーマルなサポートでもある。ふる
さとの会の日常生活支援(家族的支援)は、共同居住利用者が生活保護費(生活扶助・
15
16
厚生労働省は 2012 年 9 月 に認知症施策推進5カ年計画「オレンジプラン」を公表し、これまでの病
院・施設を中心とした認知症ケア施策を、できる限り住み慣れた地域で暮らし続けられる在宅中心の
認知症施策へシフトすることを目指し、地域で医療や介護、見守りなどの日常生活支援サービスを包
括的に提供する体制づくりを推し進めることになった。認知症初期集中支援チームの設置など新たな
事業も盛り込まれているが、地域の医療や介護などの専門性はこの事例のような地域の互助力・介護
力と組み合わさることで、より大きな効果を発揮すると思われる。
この観点は水内俊雄氏(大阪市立大学都市研究プラザ)の論から触発されたものである。
25
住宅扶助)から払う利用料の中で人件費を賄い、 24 時間のローテーションを組んでい
る。いわば生活保護費の「目的外使用」である。独居の利用者に対しては、「共同リビ
ング」の会費(月千円)を払ってもらい生活支援を行っているが、当然採算は取れな
い。自治体のプログラム(委託事業等)に組まれることもあるが、普及しているとは
言えない。
たしかに、
「生活支援サービスはそれぞれの人の生活上のニーズに応じて必要となっ
ているものであるから、NPO や地域の自治会などが対象者の属性や地域の実情に応じて
醸成していくものであり、本来、定型化や制度化になじまない」 9 。しかし、現実には
NPO のように「家族ではない第三者」が生活支援を担っている。制度にはなじまないが、
ケアにはコストがかかっている。ここに生活支援のアポリアがある。
これをどのように突破することができるだろうか。宮島俊彦氏は、生活保護法の見
直しと一体で進められている生活困窮者の新たな生活支援体系に着目し、多様な「民
の力」との官民協働の支援体制のもと提供される生活支援は、
「ユニバーサルな制度化
の要請が強く、生活支援事業制度というような形で、担い手に対する事業規制と補助
制度が検討されることになろう」9 と述べている。生活保護受給者のための「個人給付」
ではなく「事業立て」17 にして、生活基盤の構築が必要な人であれば、生活保護になる
手前の人も対象にする。応能負担で高額所得者も対象に含め る可能性も考えられる。
生活支援は高齢者と障害者だけでなく、類型としては失業者や低所得の母子世帯など
も含め、横断的に提供される必要があるだろう。もっと言えば、生活支援の制度化は、
単身の生活困窮者だけでなく、家族介護に悩む家族を支え、障害のある子どもの療育
に悩む親を助け、危機に瀕した家族の助けになるような柔軟な仕組みを構想するべき
であろう。
「包括的」とはそういうことであろうし、現に事例6は、障害のある子を父
親と一緒に支援しているという側面も持っている。
それを互助として地域に埋め込むのである。これまでの事例から 分かる通り、
「互助」
は二つの概念に区別される。
第一に、家族のいない単身者、特に困窮の単身者にとっては、家族でない第三者に
よる家族的支援は不可欠である。ふるさとの会では、常勤・非常勤(ケア付き就労を
含む)の分業・分担によって、生活の互助(生活支援)を事業にしている。
第二に、イベントなどを通じて共同性がつくられる。
「生活の互助」の担い手は、仕
事を離れても要介護者の介助に手を挙げたり、防災訓練の炊き出しを担当したり、ネ
ットワークの世話役的な存在感を発揮する。さらに、単身・困窮者の互助を核にして、
町会などの地域コミュニティに関わり、貢献したり交流したりすることで、コミュニ
ティに支えられて生きることができる。
両者を区別した上で、生活の互助をオーガナイズするという生活支援の特徴を制度
化の軸にしなければ、四重苦を抱える人はもとより、孤立した生活困難者の地域生活
は支援できない。24 時間営まれる生活は一人ひとりのものであり、それを支援すると
いうことは、いわゆる「見守り」や「介護」とも違う。そして、ここを制度化の軸に
することで、地域の中に大きな雇用が生み出される発展性もある。生活支援を地域に
17
宮島俊彦・水田恵・髙橋紘士「低所得高齢者の住宅確保をどうするか」,高齢者住宅財団( 2012)『財
団ニュース』vol.110。
26
埋め込み、
「事業立て」で生活困窮者・生活保護受給者を横断的に包括し、生活支援に
関して事業法的なもの整備するという方向性が見出される。
また、高齢化を切り口に考えた場合、団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年へ向け
て、国は地域包括ケアシステムづくりを推進しているが、そこでは元気な高齢者の参
加が推進され、生活支援の担い手として活躍する地域社会の実現が目指されている。
日常生活圏域におけるサービスの提供体制についても、予防、介護、医療、生活支援、
住まいを単に並列するのではなく、地域での生活の基盤をなす「住まい」とケア前ケ
アとしての「生活支援」を基盤的に位置づけることが期待されるのである。
③ 生活支援事業の具体的な展開
住まいと生活支援が必要な人を支える生活支援事業にとって、必要条件は生活支援
センターの拠点整備費用、生活支援の人件費、空き家等既存住宅ストックを活用する
ための改修費補助である。これらが確保されれば、高齢者を含めた生活困窮者・生活
保護受給者支援の現場が抱える困難は、制度的には解決する。問題は、自助と互助を
喪失した生活困窮状態にある高齢者等(特に単身世帯)に対し、居住支援と生活支援
を組み合わせて実施する事業体が各地で想定できるかどうかであ る。
この実現可能性を検討するためには、すでに各地域の特性や事情に合わせて取り組
みを行っている団体(事業体)の経営や事業の分析が求められよう。そのような分析
は本研究事業の枠を超えているが、ここではふるさとの会の経験をもとに、生活支援
事業化の一つの筋道を要綱的に示しておきたい 18 。
〇生活支援事業の目的
高齢者・障害者・生活困窮者等が地域で孤立せず自立した生活を送れるよう支援す
る事である。そのために地域居住を推進し、住民による日常生活の支え合いを生か
しながら、地域コミュニティの活性化を行う。
〇支援対象者
経済的問題、健康問題、家庭問題など様々な問題を抱える生活困窮者であり、かつ、
本事業の支援が必要であると認められる者を対象とする。
〇事業内容
Ⅰ.サポートセンターの設置
活動地域に拠点となるサポートセンターを設置する 19 。
Ⅱ.24 時間巡回型相談・訪問事業
ⅰ)生活支援職員が 24 時間対応の巡回型相談・訪問を行う。
支援の開始に当たってはアセスメントを行い、
「 今いるところを支援付きに」
して生活を支える事業である。制度利用の手続き、困ったときの相談、服薬
管理・金銭管理等、情緒的,情報的,手段的ソーシャルサポートを、統合的・
18
19
「重ね餅」はいきなり実体的に出現するのではなく、それぞれの地域・社会的条件のもと、実現の筋
道を辿らなければならないのである。
設置・運営費用と人件費(生活支援と互助のオーガナイズ、社会サービスのコーディネートにかかる)
には公費が必要となる。ふるさとの会の場合、サポートセンターの設置と 24 時 間巡回型相談・訪問
は、平成 22 年度独立行政 法人福祉医療機構・社会福祉振興助成事業の補助金を受けて行った。
27
連続的に提供する。
ⅱ)生活の互助づくりとケア付き就労による雇用を拡充する。
支援対象者が支援者になるなど、支援対象者の近隣に支え合いが生まれる仕
組みづくりを行う。支援対象者を対象に「家族的支援」の担い手を募り、非
常勤職員として優先的に雇用する 20 。また、就業以外の地域活動に参加でき
るよう、「共済会」などの互助の枠組みを設置する。
ⅲ)支援計画を作成する。
支援計画 21 を作成し、医療、介護、福祉など社会サービスのコーディネート
を行う。サービス導入後も、24 時間巡回型相談・訪問事業の利用者は、定
期的なアセスメントやカンファレンス 22 を実施する。
Ⅲ.孤立した生活困難者の発見(アウトリーチ)
「Ⅱ」の利用者等とイベントなどを積み重ねながら、アウトリーチによるチラ
シ配布等を通して、孤立した生活困難者を発見・把握する。
Ⅳ.居住支援
ⅰ)賃貸借保証事業との連携
離職その他の理由により住宅を失った又は住宅に困窮する者に対し、賃貸借
保証事業者との連携によりアパート設定を支援する。生活困窮者に住まいを
提供する側の不安や日常生活上の課題については 24 時間巡回型相談・訪問
事業が対応する。生活支援から居住の確保、そして住み続けていく支援、退
去の場合の支援までを視野に入れて、既存住宅を活用するシステムを構築す
る。
ⅱ)一時的な居住等の支援
住居がない生活困窮者が相談窓口を来訪した場合、緊急的・一時的に宿泊場
所(シェルター)や食事の提供等の支援を行う 23 。
ⅲ)民間事業者・居住支援協議会等と連携した住宅供給
空き家・空き室を互助的な共同居住形態(グループリビング・シェアハウ
ス)として活用する。既存ストックの改修費用に対する補助の活用を視野
に入れながら、24 時間巡回型相談・訪問事業と連携して支援付きの住まい
を供給する。
Ⅴ.地域互助の組織化
ⅰ)居場所の設置
地域住民や住宅に困窮している人が気軽に立ち寄れる居場所を設置する。特
20
21
22
23
雇用するためには、生活支援の人件費がなければならない。ふるさとの会の場合は、共同居住 におけ
る「ケア付き就労」として「Ⅱのⅱ」を展開した。利 用者がサービスを利用するだけでなく、支援者
としても活動する制度的イメージは「安心生活基盤構築事業」(厚生労働省)を参考にした。
支援計画(ケアプラン)においては、①アセスメントによって明確になった課題をもとに支援方針・
目標を設定する。②目標を実施するにあたっての計画・分担をする。③計画を実 施してみて、課題が
解決されたかどうか見直す。文末に書式を添付する。
複数の事業所・関係機関の連携が必要な時、ケアの混乱や不安がある時は「トータルプラン」を作成
し、象者本人が安心した生活を送るために、課題点や生活支援としての目標を明確にして、必要な対
応・連携がスムーズにとれるようにする。文末に書式を添付する。
「特別部会」報告においては、一時的な居住等の支援を行う事業の制度化が検討されている。
28
に健康問題、経済的問題、住宅問題等、生活全般の相談に対応する。居場所
は地域に開放し、地域の住民、町会等地域コミュニティとの交流の場を設け
る。
ⅱ)イベントの開催
地域包括と協力して認知症サポーター講習を実施するなど、関係機関と連携
し多様な集いの場を設ける。
以上が生活支援事業の例であるが、拠点整備、人件費、改修費の確保は、地域にお
ける包括的な支援システムを構築することに とって、あくまで必要条件にすぎない。
必要条件さえあれば、十分条件は地域によって異なるニーズもあるだろうし、その地
域にある社会資源に応じて、事業体の創意工夫に任せられるべき問題である。生活の
互助を雇用の受け皿にして就労支援と結びつけたり、医療・介護等社会サービスのネ
ットワークをつくり、民間事業者と連携して居住支援の枠組みを作ったりする(低廉
で適切な住宅供給を行う)ことなどは、十分条件の例示である。
(5)
おわりに
地域で孤立しているのは、生活に困窮する人ばかりではない。生活支援事業が制度
化されれば、それを土台に各地域の事情に合わせた様々な互助が実現され、新たな地
域産業が出来する。支援を受けている生活困窮者・生活保護受給者の「生活の互助」
をつくりながら、コミュニティに支えられるような地域の互助をつくることは、本章
の様々な事例に照らして考えてみても、それほど難しいことではない。あとは一定の
制度的後押しだけである。生活支援事業は、「互助」に携わる従事者を地域に配置し、
老いに不安を抱える単身者、障害を抱える人の家族、家族介護のため仕事をリタイヤ
せざるを得ない現役世代など、地域住民にとっても共通の社会資源になる。生活 困窮
者支援が地域福祉にダイナミズムを与え、地域社会の持続可能性を支え、逆に、地域
社会が豊かになることによって、生活の困窮や社会的な孤立を予防し、克服すること
が可能になる。
29
2
図 2-1
支援 対 象者
図 2-2
墨 田 区に お ける 支 援状 況
地域生活支援センター「すみだ」
【生活支援センターのプログラム】
•居場所づくり(共同リビング)
•仲間づくり( イベント,クラブ活動, 共済会)
•訪問による安否の確認,生活相談
(ほか住宅相談,健康相談,就労相談等)
•介護や医療など福祉サービスの紹介
【墨田区向島5丁目(写真は外観)】
【墨田区元ホームレス被保護者自立生活支援プログラム実施場所】
墨田区からの委託をうけて元ホームレス被保護者の地域生活 を支援してい
ます。アパートや民間の宿泊施設、簡易旅館で生活 を送る被保護者を対象
として、自立にむけた生活をサポートします。その一環として、園芸教室や健
康教室なども開催していま す。
3
図 2-3
地域 生 活支 援 セン タ ー「 す み だ」
図 2-4
要 介 護高 齢 者支 援 と 雇用 創 出
頻度の高い日常生活支援
ふるさとの会 事業スキーム
( 30%
30%以上の人に求められている支援)
以上の人に求められている支援)
支援内容
利用者数 1,283名
困った時,寂しい時の相談
(H25.2月現在)
病気になったとき相談,受診予約,通院同伴 288名の雇用創出
うち116名(被保護者等)
在宅看取り
地域リハビリ
制度利用についての相談,手続きの支援
食事の準備
重篤な就労阻害要因を抱える被保護者等へ
「ケア付き就労プログラム」実施
生活支援
雇用
日常的な金銭管理
服薬管理
最低賃金を超える850円/h以上を給
与
一般就労としての雇用体系
(常勤79名 非常 勤209名)
住まい
居住環境の保持(掃除,ゴミ出し,室温・換気)
「ケア付き就労」平均月収7万4,700円
情緒的,情報的,手段的ソーシャル・サポートを,
統合的・連続的に提供すること=家族的支援
(H23年度ケア付き就労調 査)
図 2-5
ふる さ との 会
事 業 スキ ー ム
図 2-6
30
頻 度 の高 い 日常 生 活 支援
ケア研修
ふるさとの会の取り組みについて
監修:的場由木 保健師
誰でもが生活支援
目的:
を行うことができる
①日常生活支援に必要な幅広い「基礎的知識」の習得
②緊急時に必要なアセスメントと「初期的対応」ができるようにする
Ⅰ 制度理解
生活保護
ホームレス自立支援法
介護保険
障害者自立支援
就労支援
更生保護
多重債務
権利擁護
個人情報保護・守秘義務
Ⅱ 対象者理解
高齢者に多い疾患
糖尿病/高血圧
脳血管疾患/高次機能障害
知的障害/発達障害
認知症
アディクション
統合失調症
気分障害/不安障害/PTSD
育ちの支援/人格障害
摂食障害/解離性障害
自殺のリスクと対応
性の理解
緩和ケア
HIV/肝炎
結核
虐待/暴力
路上生活
刑事施設出所者
図 2-7
図 2-9
Ⅲ コーディネート
カンファレンス
アセスメントの方法
ケアとアート
社会サービス機関との連携
~生活困窮(高齢)者に対する居住と居場所(就労、社会参加含む)の確保を支援~
Ⅳ 生活支援
介護基礎知識①外出移動
介護基礎知識②食事
介護基礎知識③排泄
介護基礎知識④保清・着替え
感染症対策
金銭管理
喫煙対応・防災
応急処置・救急搬送
体調不良時の対応・計測
医療的ケアの範囲
服薬管理
7
7
ケア 研 修
図 2-8
まち カ フェ ふ るさ と
31
ふ るさ と の会 の 取り 組み
参考1
ケア検定
32
参考2
ケアプラン
33
34
35
36
参考3
トータルプラン
37
38
第3節 生活保護の手前の支援―「シェルター」の実績と必要性
新宿区福祉事務所や拠点相談所「とまりぎ」、ふるさとの会が運営する「まちカフェ
ふるさと」など相談窓口には、生活に困窮し、居住に困窮しているが生活保護の申請
を希望しない相談来所者がいる。
そのような相談に対し、緊急的・一時的に宿泊場所や食事の提供等を行う事業(シ
ェルター)を実施し、利用者から「単身生活者の実態と支援ニーズを把握するための
調査」に協力を得た。
本節では 調査結果とは別に、業実績をまとめ、生活保護の手前の支援の必要性を検
討する。
(1)事業目的
失業や収入の不足、住居喪失等により、不安定な暮らしを余儀なくされている生活
困窮者(特に就労に困難を抱える稼働年齢層)に対して、住まいと食事、職員の相談
サポート等を行う事で、生活保護の手前で安定した住まい・就労先を確保し、安心し
た地域生活を実現してもらうことを目的とした。
(2)事業実施内容
①実績
平成 24 年 4 月 1 日から平成 25 年 3 月 31 日にかけて 13 室を確保し、計 14 名が利用
した。利用終了後の進路としては就労自立1名、緊急宿泊施設入所 1 名、生活保護受
給 4 名、路上生活に戻ったケース 1 名、実家に戻ったケース 1 名、東京都のチャレン
ジネット事業活用 2 名、他法人福祉施設入所 2 名、シェルター継続利用 2 名という結
果であった。
②入所からの自立支援の流れ
支援の流れは図と説明を参照のこと。
39
【 入
所 】福祉事務所・拠点相談所「とまりぎ」より紹介を受ける。ふるさとの会の相
談窓口「まちカフェふるさと」に直接来所される相談もある。アセスメント
を行い入所手続きを行う。居室には、電化製品・生活用品・布団を設置し、
その日より生活可能な環境を用意する。
【 検
診 】保健所などで結核検診の援助する。
【支援計画】支援期間中にシェルター事業調査票(アセスメントシート)を使い、対象者
の自立支援の課題を把握し、支援計画を作成する。
【生活支援】支援計画にもとづき訪問・面談し、就労や生活についての相談に対応する。
【食事提供】食事は1日2食を提供する(宅配弁当)。
【就労支援】ハローワーク同行、履歴書の書き方支援、労働関係の施策や法人内雇用を紹
介する。
【医療支援】東京都社会福祉協議会医療部会と連携して必要な医療支援を行う。
【法律相談】法的な支援が必要な場合は福祉事務所と協議する。
【 退
所 】3 か月ごとに期限を設け最長6ヵ月間をめどに、アパート転宅(保証)又は
生活保護を申請する。必要に応じて社会サービスを紹介し、継続支援を行う。
40
③入所期間
入所期間は、1 か月以上が 4 名、1 ヶ月~3 か月未満が 3 名、3 ヶ月~6 か月未満が 1
名、6 か月以上が 3 名、平成 25 年 4 月以降も利用継続が 3 名であった。入所期間は、
各人の自立支援課題に応じてばらつきがある。
④利用終了後の進路
就労自立が 2 名、第2セーフティの利用が 2 名、実家等へ帰るが 4 名、生活保護申
請が 3 名、利用継続が 3 名となった。
41
(3)利用者像
① 年齢層
利用者は 20 代、30 代が過半数を占め、特に 30 代の利用が多かった。
シェルター入所者年齢層
②
20 歳代
2名
30 歳代
6名
40 歳代
1名
50 歳代
2名
60 歳代
2名
60 歳代以上
1名
最終職
アルバイト・日雇いなど不安定就業層が最多であった。会社員が 3 名となっている
が、うち 2 名はパチンコ店、タクシー運転手などの業種に従事し、短期の就業だった。
最終職の形態
自営業
4名
アルバイト・日雇い
5名
会社員
3名
会社役員
1名
知的障害者の作業所
1名
③
自立を困難にしている要因
障害、年齢、依存症、借金、疾病などなんらかの自立支援を抱えている利用者が多
かった。住まいと食事提供などのほかは特別な支援が必要ないと思われた利用者 2 名
であった。
42
自立を困難にしている要因
障害(知的・精神・学
習障害の疑い含む)
4名
年齢
4名
ギャンブル依存・借金
2名
疾病
2名
特になし
2名
④
具体的な支援事例と支援内容
支援ケース1
A さん(40 代・女性)
会社のホテルを借りて、フリーライターの仕事をしていたが、仕事がなくなり住所を
失った。法律家にふるさとの会を紹介されてシェルターに入所。複数の疾病を抱えな
がらも医療費を払えなくなったが、生活保護受給を強く拒否。就職活動を続けながら
現在もシェルターを利用中。
支援ケース2
B さん(30 代・男性)
IT 関連会社で働いていて、東京出張中に会社を退職し、ネットカフェにて生活。
「とま
りぎ」に相談し、緊急一時保護となる。利用期限が切れて、再度「とまりぎ」に相談
したところ、シェルターを紹介されて入所。ふるさとの会で高齢者介護の仕事をはじ
め、ゲストハウスに転宅。シェルター退所後も就労を継続し、ふるさとの会の常勤を
希望している。
支援ケース3
C さん(20 代・男性)
「とまりぎ」からの紹介で入所。東北の仮設住宅で父親と二人で暮らしていたが家族
関係のトラブルから上京。手持ち金がなくなり、困窮したため「とまりぎ」に相談。
学習障害の疑いがあり、就職活動が難しく、生活保護を申請し就労支援ホーム「上池
ハウス」に入所した。約1か月間の利用。
高齢者の利用について
今年度のシェルター運営の中で数は少ないながらも高齢者のシェルター利用があった。
稼働層を対象とした枠組みではあったが、高齢困窮者の支援ニーズもあったことを記
しておく。
43
(4)課題
(3)の③で示した通り、本人の自立意欲は高くても、障害、年齢、依存症、借金、
疾病など利用者はさまざまな自立支援を抱えているケースがほとんどである。シェル
ターは住まい、生活、医療・保健、経済(就労)の支援をオーダーメイドで提供した
が、アセスメントや利用終了後のアフターケアにも配慮が必要な利用者が多いと言え
る。
入所期間は、シェルターを設置した新宿区との話し合い で原則 3 か月、延長一回の
最大 6 か月という期限を設定したが、自立支援課題に応じて 6 か月前後と長期化する
ケースも少なくない。また、就労自立が困難で生活保護を申請するケースには、生活
保護を申請した後、
「就労支援ホーム」で継続的に支援する体制をとった。継続支援す
るための宿泊型の支援や雇用の開発等、生保・非生保に共通の社会資源を開発する必
要性も改めて確認された。
今回の典型例として、30 代男性、家族との折り合いが悪く、元々不安定就業に従事
し、知的または精神の障害を抱える人という利用者像が印象に残った。第 2 節でテー
マにした「互助」は稼働層にとっても必要であり、生活困窮支援は地域に密着して「居
場所づくり」「仲間づくり」「仕事づくり」を一体的に行っていく必要がある。また、
利用終了後も困ったことを相談できるような相談窓口や気軽に利用できる居場所も必
要と思われる。
これは住所のある地域の生活困窮者にも共通し、 60 代以上の高齢の人からも求めら
れる支援である。
「支援ケース2」のように、生活困窮者が高齢者の生活支援など地域
社会が必要とする仕事に参加し、支援する側に回る事例もある。これからは地域の資
源を活用し、地域社会への貢献に資すると いった、地域のニーズを踏まえた自立支援
の事業化・制度化が期待される。
44
第3章
単身生活者の実態と支援ニーズを
把握するための調査
45
第3章要旨
【目的】
地域における生活困窮者の実態と支援ニーズを調査し、居住確保のあり方、有効な
支援体制モデルの検討、地域で包括的に支援する制度的枠組みの提言の基礎資料とす
ることを目的とした。
【方法】
NPO自立支援センター「ふるさとの会」の提供するサービスを利用する利用者のうち、
生活支援サービスを受けている利用者全数( 1,056人)を対象に、職員記入シートと利
用者記入シートによる個別質問紙調査を行った。職員記入シートの内容は、 利用者の
基本属性、健康状態、ふるさとの会とのかかわりや支援内容等であった。利用者記入
シートは、健康状態、住環境、地域や友人とのかかわり、行事等への参加状況、重い
病気等なったときのこと、仕事、防災、生活の困り事、要望等で構成され、職員によ
る面接聞き取りによる調査を基本とした。調査は平成24年12月~平成25年3月に行われ
た。
【結果及び考察】
有効回答は684人(64.8%)で、男性87.7%、女性9.9%であった。年齢は40歳未満4.5%、
40~64歳48.0%、65歳以上45.2%であった。生活保護受給者は約9割であった。
住まいの喪失を理由に「ふるさとの会」の提供するサービスを利用するようになっ
た者は約6割で、「住まいを失った理由」の内訳は、「福祉施設や宿泊所等からの退去」
が37.1%、「失業と共に居所を喪失(社員寮・住み込み等)」 17.1%、「アパート解体
等による立ち退き」9.3%、「本人の病状悪化」7.1%であった。生活困窮者・生活保護
受給者は、預貯金を持っておらず、一時的に頼ることのできる家族や親族がいないた
めに、通常であれば住まいの喪失にまで至らずに済むようなライフイベント(失業、
ADLの低下、長期入院など)によって住まいを喪失しやすい状況にあると考えられる。
ほとんどの利用者は単身世帯であり、約7割の利用者が家族とのつながりはないと回答
した。生活支援の実施状況は「安心生活の保持」が63.6%、「社会サービス・コーディ
ネート」35.8%、「居住環境の保持」34.6%、「健康の保持」29.7%であった。困った時
や寂しい時に付き合うことを含めた、安心した人間関係を基盤とした支援が中心とな
っている。
40歳未満の利用者は精神的な健康度が他の年齢層に比べて低いという特徴があり、
40歳以上65歳未満の利用者は身体的、精神的健康度共に国民標準値より低かった。65
歳以上の利用者では認知症スクリーニング項目の結果において、認知症が疑われる者
の割合が実際に認知症の診断を受けている者よりも多く、生活困窮者においても高齢
化の問題が大きい可能性があり、認知機能調査の必要性が示唆された。
【結論】
生活困窮者・生活保護受給者には、日常生活の基盤となっている「住まい」や「顔
なじみの関係」を喪失することのないような居住と生活の支援が必要であると同時に、
医療、介護も含めた地域での包括的な支援体制をつくっていくことが求められる。
46
単身生活者の実態と支援ニーズを把握するための調査
竹島正 1 、立森久照 2 、岡村毅 3 、的場由木 4
第1節
調査報告
実施概要
(1)目的
平成 23 年度は、地域において単身で生活しながら、何らかの形でふるさとの会を利
用する人々の生活実態(生活行動範囲や他者とのつきあい等)を把握するとともに、
孤立を防ぎ互助を支援するために、新たに利用者同士が集うことができる居場所づく
りをはじめとする利用者の生活支援ニーズ(住まい、日常生活、就労等)を探るため
のプレ調査を実施した。これを受けて、今年度は調査票を保健・医療・福祉・介護の
ニーズが把握できるよう改良を加え、生活困窮者・生活保護受給者の実態と生活支援
ニーズを体系的に明らかにすることを目的として、ふるさとの会全利用者への悉皆調
査を行った。
(2)調査実施方法
1)調査対象
NPO 自立支援センター「ふるさとの会」の提供するサービスを利用する利用者のうち、
生活支援サービスを受けている利用者全数( 1,056 人)を対象とした。
2)調査方法
調査票は職員記入シートと利用者本人記入シートで構成される。回答に職員記入シ
ートはふるさとの会職員により記入を依頼。利用者に対しては、1対1の面接 聞き取
りによる調査の実施を基本としたが、自記式が可能な利用者に対しては記入状況の確
認や無回答設問の確認等を担当職員に依頼した。
なお、調査実施にあたっては実施手引きを作成して担当職員間で調査実施方法に差
異が生じないよう配慮するとともに、研究目的や個人情報保護等の内容を記した同意
書を作成し、調査対象者の協力を確認したうえで実施した。
3)調査実施時期
平成 24 年 12 月~平成 25 年 3 月
4)調査項目
調査票は職員記入シートと利用者記入シートで構成される。主な内容は以下のとおり。
【職員記入シート】
当該利用者に関する基本属性、健康状態、ふるさとの会とのかかわりや支援内容等
【利用者記入シート】
「健康状態」、「住まいの環境、地域とのかかわり」、「友人知人、近隣の人とのか
かわり」、「ふるさとの会の行事等への参加状況」、「重い病気にかかったり、寝た
きりになったときのこと」、「仕事」、「防災」、「生活の困り事、要望等」など
1
2
3
4
(独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部長
(独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部統計解析研究室長
東京都健康長寿医療センター自立促進と介護予防研究チーム客員研究員
保健師/保護司/NPO法人すまい・まちづくり支援機構理事
47
1.職員記入シート
(1)回答者基本属性
調査回答者 684 人の性別は男性が 87.7%を占めており、女性は 9.9%である。年齢は
60 歳代が最も多く 38.5%を占めているが、年齢の幅は最年少 18 歳から最年長 91 歳ま
でと非常に幅広い。
現在の居所別にみると、自宅(アパートなど)居住者の年齢構成は対象者全体の傾
向に近いが、自立援助ホーム等で暮らしている対象者は 60 歳代が 40.9%、70 歳以上も
43.9%を占めており、高齢者が中心となっている。一方、就労支援ホーム等利用者は 60
歳未満が 71.3%を占めており、比較的若い層であることがわかる。
また、調査対象者の最終学歴(卒業)は、高齢者が多いこともあり「中学校」が 45.6%
を占めている。
図 表 3-1
女性
9.9%
図 表 3-2
性別
無回答
2.3%
0
40歳未満
年齢
20
40
9.9
60~69歳
n=684
23.1
80歳以上
3.8
無回答
2.3
図 表 3-4
合計
性別
年齢区
分
現在の
居所
(統合)
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
短大・専門学校
38.5
70~79歳
20
大学以上
その他
n=684
25.0
2.6
5.1
0.9
無回答
20.8
n=684
年 齢 (基 本 属性 別 )
年齢
合計
40歳未満 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~79歳 80歳以上
684
4.5
9.9
17.8
38.5
23.1
3.8
600
4.5
9.5
18.0
39.8
23.5
3.2
68
5.9
14.7
17.6
30.9
20.6
10.3
31
100.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
328
0.0
20.7
37.2
42.1
0.0
0.0
217
0.0
0.0
0.0
57.6
42.4
0.0
92
0.0
0.0
0.0
0.0
71.7
28.3
344
2.6
8.7
23.0
43.0
17.2
2.6
230
1.3
4.8
7.8
40.9
37.8
6.1
94
20.2
27.7
23.4
17.0
7.4
3.2
15
0.0
6.7
20.0
33.3
33.3
0.0
無回答
2.3
1.5
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
2.9
1.3
1.1
6.7
自 立 援 助ホ ー ム等 : 宿泊 所、自 立 援 助ホ ー ム、 旅 館、 ルミエ ー ル ふる さ と入 居 者
就 労 支 援ホ ー ム等 : 就労 支援ホ ー ム 、精 神 GH ・CH 、 自立準 備 ホ ーム 、 ゲス ト ハウ ス、シ ェ ル ター 利 用者
48
%
60
40
45.6
高等学校
17.8
50~59歳
0
学 歴 (卒 業 )
中学校
4.5
40~49歳
男性
87.7%
図 表 3-3
%
60
図 表 3-5
家族との関係については、
「家族とのつなが
0
りが全くない」利用者が 60.8%を占めており、
「職員又は本人が連絡を取り合っている家族
同居家族がいる
職員又は本人が連絡を取り合っ
ている家族がいる
危篤状態など特別な状況のみ
連絡のとれる家族がいる
がいる」利用者は 21.6%にとどまった。
基本属性別にみると、
「家族とのつながりが
家 族 状況
20
40
60
1.3
21.6
8.3
家族とのつながりが全くない
全くない」割合は、男性(63.8%)や 65 歳以
無回答
上の高齢者層(66~68%)で高い割合を占めて
60.8
7.9
n=684
いるが、40~65 歳未満の利用者でも 57.9%を
占めている。
また、自宅(アパートなど)居住者でも 6 割近い利用者が「家族とのつながりが全
くない」状態になっているおそれがある。
図 表 3-6
家 族 状況 ( 基本 属 性別 )
家族状況
合計
合計
性別
年齢区
分
現在の
居所
(統合)
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
同居家族
がいる
684
600
68
31
328
217
92
344
230
94
15
1.3
1.2
2.9
0.0
1.5
1.4
1.1
2.6
0.0
0.0
0.0
職員又は
本人が連
絡を取り
合ってい
る家族が
いる
危篤状態
など特別
な状況の
み連絡の
とれる家
族がいる
21.6
20.2
39.7
41.9
23.2
17.1
19.6
23.3
12.6
39.4
13.3
家族との
つながり
が全くな
い
8.3
8.2
11.8
12.9
10.1
7.4
4.3
8.1
4.8
17.0
13.3
無回答
60.8
63.8
41.2
35.5
57.9
68.7
66.3
57.8
75.2
36.2
66.7
7.9
6.7
4.4
9.7
7.3
5.5
8.7
8.1
7.4
7.4
6.7
生活保護の受給状況をみると、調査対象者の 89.0%が生活保護受給者である。
基本属性別にみると、就労支援ホーム等を利用している利用者に対しては生活保護
受給前の支援が行われていることもあり、受給者割合が低くなっている。
図 表 3-7
受給して
いない
7.9%
生 活 保護 需 給状 況
図 表 3-8
生 活 保護 受 給状 況 (基 本 属 性別 )
無回答
3.1%
合計
性別
受給して
いる
89.0%
年齢区
分
n=684
現在の
居所
(統合)
合計
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
49
684
600
68
31
328
217
92
344
230
94
15
生活保護
受給して 受給して
いる
いない
89.0
7.9
90.7
7.3
83.8
14.7
83.9
16.1
88.4
8.5
92.6
6.0
90.2
8.7
91.0
4.7
94.3
3.9
68.1
30.9
100.0
0.0
無回答
3.1
2.0
1.5
0.0
3.0
1.4
1.1
4.4
1.7
1.1
0.0
%
80
(2)健康状態
1)疾病既往
調査対象者の疾病既往をみると、
「生活習慣病」や「何らかの精神疾患」などに罹患
している割合が高い。
年代別にみると、年齢が高くなるに従って「生活習慣病」や「筋骨格系疾患」、「脳
出血等」、
「循環器系疾患」などの割合が高くなるが、精神疾患に関しては 40 歳未満で
は半数以上が何らかの精神疾患を抱えている。
図 表 3-9
0
5
疾 病 既往 ( 複数 回 答)
10
15
20
%
25
30
28.2
生活習慣病
何らかの精神疾患
22.4
椎間板ヘルニア、リウマチ、痛風、骨粗しょう症、関節炎
など筋骨格系の疾患
11.8
11.0
脳出血、脳梗塞、くも膜下出血
循環器系の疾患の心筋症、狭心症、心筋梗塞、不
整脈、心不全
8.2
7.3
腎臓の病気
4.4
がん
肺結核
2.3
慢性の感染症
2.2
アレルギー
2.0
25.1
その他の疾患
n=684
図 表 3-10
20
%
60
40
0
20
40
20
40
20
23.9
12.4
9.8
14.3
脳出血、脳梗塞、くも膜下出血
0.0
8.2
循環器系の疾患の心筋症、狭
心症、心筋梗塞、不整脈、心不
0.0
6.7
9.7
腎臓の病気
0.0
5.8
9.7
がん
0.0
2.7
肺結核
0.0
1.2
慢性の感染症
0.0
3.0
1.4
2.2
アレルギー
0.0
2.4
1.4
3.3
その他の疾患
22.6
n=31
17.4
14.1
10.9
4.6
10.9
2.8
26.2
50
n=328
%
60
40
30.4
16.6
13.1
6.5
75歳以上
%
60 0
32.7
23.5
51.6
何らかの精神疾患
椎間板ヘルニア、リウマチ、痛風、骨
粗しょう症、関節炎など筋骨格
%
0
60
28.0
6.5
生活習慣病
65~74歳
40~64歳
40歳未満
0
疾 病 既往 ( 年代 別)
6.5
23.0
n=217
27.2
n=92
2)要介護認定の状況(65 歳以上)
65 歳以上の利用者の中で、介護保険制度の要介護認定を受けている割合は 40.5%に
のぼる。要介護度は「要介護1」
「要介護2」など軽~中程度の 利用者が多いが、要介
護4・5の重度要介護者も 6.6%(10 人)ほどみられる。
図 表 3-11
要 介 護認 定 の有 無
図 表 3-12
0
無回答
4.2%
要 介 護度
10
要支援1
%
30
20
11.3
要支援2
8.6
要介護1
あり
40.5%
25.2
要介護2
21.2
要介護3
なし
55.3%
7.3
要介護4
要介護5
n=309
5.3
1.3
n=151
無回答
19.9
3)認知症(65 歳以上)
65 歳以上の利用者の中で認知症と診断されている利用者は 8.7%、認知症の疑いがあ
る利用者は 10.7%であった。
居所別にみると、認知症と診断されている割合は「自立援助ホーム等」では 17.9%、
自宅(アパートなど)」では 0.7%であった。認知症の疑いがある割合も「自立援助ホー
ム等」では 17.2%と高く、「自宅(アパートなど)」でも 4.3%ほどみられる。
図 表 3-13
診断され
ている
8.7%
認知症
図 表 3-14
認知症
無回答
8.1%
合計
合計
性別
疑いあり
10.7%
認 知 症( 基 本属 性別 )
年齢区
分
なし
72.5%
n=309
現在の
居所
(統合)
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
51
309
274
31
217
92
141
145
16
7
なし
72.5
73.4
64.5
77.4
60.9
91.5
53.1
75.0
85.7
疑いあり
10.7
8.8
25.8
8.3
16.3
4.3
17.2
6.3
14.3
診断され
ている
8.7
8.8
9.7
6.9
13.0
0.7
17.9
0.0
0.0
無回答
8.1
9.1
0.0
7.4
9.8
3.5
11.7
18.8
0.0
4)障害者手帳
利用者の中で、障害者手帳を所持している割合をみると、
「身体障害者手帳」は 9.6%、
「愛の手帳(療育手帳)」は 1.5%、「精神保健福祉手帳」は 8.0%であった。
年齢別にみると、
「身体障害者手帳」所持者は 40 歳以上の中高齢者に多く、
「愛の手
帳(療育手帳)」や「精神保健福祉手帳」所持者は 40 歳未満の若年層に多くなってい
る。
図 表 3-15
障 害 者手 帳 所持 者
0
5
図 表 3-16
%
15
10
障害者手帳
9.6
身体障害者手帳あり
合計
1.5
愛の手帳(療育手帳)あり
性別
8.0
精神保健福祉手帳あり
n=684
年齢区
分
現在の
居所
(統合)
図 表 3-17
0
1級
20
2級
24.2
3級
5級
図 表 3-18
%
40
30
18.2
33.3
4級
合計
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
身 体 障害 者 手帳 等級
10
0
1.5
1級
0.0
2級
0.0
無回答
3.0
なし
684
600
68
31
328
217
92
344
230
94
15
76.0
76.3
80.9
51.6
76.5
81.6
75.0
84.3
65.7
68.1
100.0
愛 の 手帳 等 級
40
身体障害
者手帳あ
り
図 表 3-19
%
80
60
愛の手帳
あり
9.6
10.8
1.5
3.2
9.8
9.2
12.0
6.1
17.4
5.3
0.0
1.5
1.5
0.0
6.5
1.8
0.9
0.0
0.3
2.6
3.2
0.0
20
40
60
10.0
16.4
3級
無回答
n=10
3.6
n=55
自立支援法の障害程度区分認定を受けている利 用者は 6.3%であった。
障 害 程度 区 分認 定の 有 無
図 表 3-21
あり
6.3%
0
障害程度1
障 害 程度 区 分
20
23.3
16.3
障害程度3
障害程度4
なし
82.9%
無回答
%
60
40
9.3
障害程度2
7.0
44.2
n=43
n=684
52
5.7
5.0
1.5
3.2
2.1
6.0
12.0
3.5
10.0
3.2
0.0
%
80
74.5
2級
5)自立支援法の障害程度区分認定
無回答
10.8%
8.0
7.2
17.6
35.5
11.6
2.3
1.1
6.1
6.1
21.3
0.0
30.0
60.0
無回答
5.5
n=66
図 表 3-20
精神保健
福祉手帳
あり
精 神 保健 福 祉手 帳等 級
0
1級
3級
無回答
3.0
20
4級
16.7
6級
障 害 者手 帳 所持 者( 基 本 属性 別 )
(3)社会生活をおくる上での困難さ
社会生活をおくる上で障害となる読み書きの困難さ、視力や聴力の困難さがある利
用者は、年齢が高くなるほど困難を抱える割合が高くなる傾向がみられる。ただし、
若年層でも読み書きに苦労している利用者も一定割合みられる。
図 表 3-22
読 み 書き 、 視力 、聴 力
0
5
10
読 み 書き 、 視力 、聴 力 ( 基本 属 性別 )
%
20
15
読み書きに苦労していること
がある
図 表 3-23
読み書き、視力・聴力
合計
15.4
10.4
視力(ものが見えにくい)
7.2
聴力(聞こえにくい)
性別
n=684
年齢区
分
(4)生活習慣
現在の
居所
(統合)
1)金銭管理サポートの必要性
合計
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
684
600
68
31
328
217
92
344
230
94
15
読み書き
に苦労あ
り
15.4
14.8
22.1
6.5
11.3
18.0
29.3
7.6
29.6
11.7
0.0
視力(も
のが見え
にくい)
聴力(聞
こえにく
い)
10.4
10.5
11.8
0.0
10.1
9.2
17.4
11.0
10.9
8.5
0.0
7.2
7.0
8.8
0.0
3.4
8.8
19.6
6.1
9.1
6.4
6.7
金銭管理サポートが必要な割合は、利用者全体では 16.7%であった。金銭管理が必要
な理由は「浪費」が約半数を占めているが、「アルコール」や「ギャンブル」なども一
定割合を占めている。
図 表 3-24
金 銭 管理 サ ポー トの 必 要 性
無回答
7.3%
図 表 3-25
金 銭 管理 サ ポー トの 必 要 性( 基 本属 性 別)
金銭管理のサポートがないと毎月の生活費の
やりくりが困難になる心配
ある
16.7%
合計
性別
ない
76.0%
年齢区
分
n=684
現在の
居所
(統合)
図 表 3-26
0
金 銭 管理 が 必要 な理 由
( 複 数回 答 )
20
ギャンブル
その他
図 表 3-27
%
60
合計
49.1
浪費
アルコール
40
性別
17.5
12.3
20.2
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
年齢区
分
n=114
現在の
居所
(統合)
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
53
合計
684
600
68
31
328
217
92
344
230
94
15
ある
16.7
15.3
29.4
22.6
15.2
14.3
27.2
5.5
29.6
25.5
20.0
ない
76.0
78.5
67.6
71.0
79.6
78.8
64.1
89.5
57.0
73.4
80.0
無回答
7.3
6.2
2.9
6.5
5.2
6.9
8.7
4.9
13.5
1.1
0.0
金 銭 管理 が 必要 な理 由 ( 基本 属 性別 )
金銭管理サポートが必要な理由
アルコール ギャンブル
合計
浪費
その他
114
17.5
12.3
49.1
20.2
92
19.6
15.2
52.2
16.3
20
5.0
0.0
35.0
40.0
7
0.0
42.9
42.9
28.6
50
20.0
16.0
58.0
12.0
31
19.4
9.7
51.6
16.1
25
16.0
0.0
32.0
36.0
19
15.8
21.1
42.1
26.3
68
20.6
7.4
50.0
17.6
24
8.3
12.5
54.2
25.0
3
33.3
66.7
33.3
0.0
無回答
10.5
8.7
20.0
0.0
6.0
16.1
16.0
5.3
11.8
12.5
0.0
2)飲酒によるトラブルや健康問題の経験
過去に飲酒によりトラブルや健康上の問題があった経験のある利用者は 7.5%であっ
た。基本属性別にみると、男性や中高年齢層の利用者で一定割合みられる。
図 表 3-28
飲 酒 によ る トラブルや健 康 問 題の 経 験
図 表 3-29
飲酒によるトラブルや健康問題の経験
合計
ある
ない
無回答
合計
684
7.5
84.5
8.0
男性
600
7.8
85.5
6.7
性別
女性
68
4.4
89.7
5.9
40歳未満
31
0.0
93.5
6.5
328
7.9
86.6
5.5
年齢区 40~64歳
分 65~74歳
217
7.4
84.8
7.8
75歳以上
92
8.7
80.4
10.9
自宅(アパートなど)
344
5.2
88.7
6.1
現在の 自立援助ホーム等
230
10.9
75.7
13.5
居所
94
7.4
90.4
2.1
(統合) 就労支援ホーム等
旅館等
15
6.7
93.3
0.0
ある
7.5%
無回答
8.0%
ない
84.5%
n=684
図 表 3-30
0
飲 酒 によ る 問題
( 複 数回 答 )
20
40
暴力沙汰のトラブルや泥酔に
よる怪我
栄養不良
19.6
騒音(大声など)
17.6
飲 酒 によ る 問題 (基 本 属 性別 )
23.5
その他
無回答
図 表 3-31
%
80
60
飲 酒 によ る トラブルや健 康 問 題の 経 験( 基 本属 性別)
飲酒によるトラブル内容
合計
60.8
7.8
暴力沙汰
のトラブルや 騒音(大
栄養不良
泥酔によ 声など)
る怪我
n=51
性別
年齢区
分
現在の
居所
(統合)
合計
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
54
51
47
3
0
26
16
8
18
25
7
1
23.5
21.3
66.7
0.0
38.5
12.5
0.0
11.1
20.0
71.4
0.0
17.6
12.8
100.0
0.0
15.4
18.8
25.0
11.1
12.0
57.1
0.0
19.6
21.3
0.0
0.0
23.1
18.8
12.5
27.8
20.0
0.0
0.0
その他
60.8
57.4
100.0
0.0
57.7
62.5
75.0
55.6
60.0
71.4
100.0
無回答
7.8
8.5
0.0
0.0
3.8
12.5
0.0
11.1
8.0
0.0
0.0
(5)日常生活自立度
1)日常生活動作ADL(最近1か月の
平均的な状態)
ADL
図 表 3-32
食事、移動、整容、用便動作、入浴、
5 作A DL
10
日0常 生活 動
①食事:一部介助
①食事:全 介 助
平地歩行、階段昇降、更衣、排便コント
8.8
1.0
7.6
②移動:見守り・声掛け
②移動:多くの介助 ②移動:全 介 助 ロール、排尿コントロールの 10 項目につ
いて介助が必要な利用者の割合をみると、
入浴に一部介助または全介助が必要な利
1.6
0.4
③整容:一部介助,全介助
用者は 17.0%を占めているが、その他の
9.6
4.1
④用便動作:一部介助
④用便動作:全 介 助
項目に関しては概ね 10%程度の割合で介
0.9
⑤入浴:一部介助、全介助
助が必要な状態にあることがわかる。
17.0
⑥平地歩行:見 守 り ⑥平地歩行:車いす自走可
⑥平地歩行:全 介 助 2)手段的日常生活動作IADL(最近
1か月の平均的な状態)
6.6
1.6
1.0
⑦階段昇降:見守り,一部介助
⑦階段昇降:全 介 助
手段的日常生活動作として、食事の用
意、家事一般、金銭管理、薬の管理、電
話の利用、買い物、交通手段の利用状況
を把握した。
6.7
3.2
8.8
⑧更衣:一部介助
⑧更衣:全 介 助
0.9
⑨排便コントロール:一部介助
⑨排便コントロール:全 介 助
0.7
8.8
n=684
6.6
⑩排尿コントロール:一部介助
⑩排尿コントロール:全 介 助
その結果、電話の利用と買い物以外の
%
20
15
1.2
項目については 20~25%程度が「いくらか困難」または「非常に困難」な状態にある。
年代別の傾向では、高齢になるほど困難で
ある割合が高くなっているが、40 歳未満の若
年層でも家事一般、金銭管理、薬の管理につ
図 表 3-33 手 段的 日常 生 活 動作 I AD L
0
5
10
15
20
25
食事の用意
13.0
金銭管理
れる。
薬の管理
15.6
11.5
買い物
0
20
0.0
食事の用意
6.5
40
%
60
0
20
40
%
60
65~74歳(n=217)
0
食事の用意 8.8
7.0
食事の用意 14.7
家事一般 12.9 3.2
家事一般 11
5.5
家事一般 12.9
金銭管理
金銭管理 11.6
5.5
金銭管理 16.1
薬の管理 11
3.0
薬の管理 15.2
22.6
薬の管理 12.9
0.0
6.5
電話の利用 6.1 2.1
電話の利用 3.2 0.0
買い物 6.5 0.0
交通手段の利用 9.7 0.0
いくらか困難
交通手段の利用 9.8 3.7
非常に困難
いくらか困難
20
40
非常に困難
55
いくらか困難
75歳以上(n=92)
0
20
40
食事の用意
29.3
25.0
家事一般
31.5
20.7
5.5
金銭管理
28.3
16.3
6.0
薬の管理
28.3
18.5
電話の利用
27.2
13.4
買い物 11.5 3.7
交通手段の利用 14.3
非常に困難
%
60
15.2
n=684
7.0
いくらか困難
電話の利用 14.7 4.6
買い物 7 1.5
3.4
13.6
手 段 的日 常 生活 動作 I A DL ( 年代 別 )
40~64歳(n=328)
6.6
6.1
3.9
10.5
交通手段の利用
40歳未満(n=31)
9.8
14.8
電話の利用
図 表 3-34
11.8
14.3
家事一般
いては困難さを伴う割合が 15~20%程度みら
買い物
8.3
非常に困難
%
30
交通手段の利用
%
60
10.9
21.7 10.9
27.2
いくらか困難
19.6
非常に困難
(6)認知症スクリーニング項目(65 歳以上)
ここでは、65 歳以上利用者を対象とした認知症スクリーニング項目の結果を示す。
1)記憶
記憶に関する3項目で障害領域の「頻繁にある」
「いつもそうだ」に該当する割合は、
「置き場所がわからない」では 7.1%、
「5分前の話を思い出せない」では 4.9%、
「自分
の生年月日がわからない」では 2.3%であった。
図 表 3-35
DASC-18
記憶
記憶
0
5
10
財布や鍵など、ものを置いた場所がわ
からなくなること
15
20
25
30
24.9
6.1
18.8
5分前に聞いた話を思い出せないこと
%
35
1.0
1.0
3.9
1.3
自分の生年月日がわからなくなること
5.8
1.0
n=309
ときどきある
頻繁にある
いつもそうだ
2)見当識
見当識に関する3項目で障害領域の「頻繁にある」
「いつもそうだ」に該当する割合
は、「今日が何月何日かわからなくなること」では 6.8%、「自分のいる場所がわからな
くなること」では 2.2%、「道に迷って家に帰ってこられなくなること」では 4.6%であ
った。
図 表 3-36
DASC-18 見当 識
見当識
0
5
10
15
19.4
今日が何月何日かわからなくなること
20
25
30
5.5
%
35
1.3
1.6
自分のいる場所がどこだかわからなくな
ること
8.1
道に迷って家に帰ってこれなくなること
6.8
0.6
3.6
1.0
ときどきある
n=309
頻繁にある
いつもそうだ
3)判断・問題解決
判断・問題解決に関する3項目で障害領域の「あまりできない」
「まったくできない」
に該当する割合は、「電気・ガス・水道が止まったときに自分で適切に対処できるか」
では 24.9%と高いが、
「一日の計画を自分で立てることができるか」では 11.0%、
「季節
や状況に合った服を自分で選ぶことができるか」では 7.8%であった。
図 表 3-37
判断・問題解決
DASC-18 判断 ・問題 解 決
0
5
10
15
20
電気やガスや水道が止まってしまったとき
に、自分で適切に対処できるか
14.9
一日の計画を自分で立てることができる
か
7.4
3.6
季節や状況に合った服を自分で選ぶこと
ができるか
6.5
1.3
あまりできない
56
%
25
30
10.0
n=309
まったくできない
4)家庭外のIADL
家庭外の IADL に関する3項目で障害領域の「あまりできない」
「まったくできない」
に該当する割合は、
「一人で買い物に行けるか」では 13.2%、
「バスや電車、自家用車な
どを使って一人で外出できるか」では 22.1%、「貯金の出し入れや、家賃や公共料金の
支払いは一人でできるか」では 23.3%であった。
図 表 3-38
DASC-18
家庭 外のI A D L
家庭外のIADL
0
5
10
7.1
一人で買い物に行けるか
15
20
%
30
25
6.1
バスや電車、自家用車などを使って一人
で外出できるか
11.7
貯金の出し入れや、家賃や公共料金の支
払いは一人でできるか
12.6
10.4
10.7
あまりできない
n=309
まったくできない
5)家庭内のIADL
家庭外の IADL に関する3項目で障害領域の「あまりできない」
「まったくできない」
に該当する割合は、
「電話を掛けることはできるか」では 14.2%、
「自分で食事の準備は
できるか」では 27.2%、「薬を決まった時間に決まった分量のむことはできるか」では
17.8%であった。
図 表 3-39
DASC-18
家庭 内のI A D L
家庭内のIADL
0
5
10
8.4
電話をかけることはできるか
自分で食事の準備はできるか
15
20
%
30
5.8
15.5
自分で、薬を決まった時間に決まった分量
のむことはできるか
25
9.1
11.7
8.7
あまりできない
n=309
まったくできない
6)身体的ADL
身体的 ADL に関する3項目で障害領域の「一部介助を要する」
「全介助を要する」に
該当する割合は、「入浴」では 20.4%、「着替え」では 11.3%、「トイレ」では 3.2%であ
った。
図 表 3-40
0
入浴は一人でできるか
DASC-18
身体 的AD L
身体的ADL
5
10
6.8
着替えは一人でできるか
4.9
トイレは一人でできるか
5.8
15
20
15.2
9.7
25
%
30
5.2
1.6
1.9
見守りや声がけを要する
57
1.3
一部介助を要する
n=309
全介助を要する
7)認知症評価結果
前記の1)~6)までの結果をもとに認知症の評価を行ったところ、中等度以上の
認知症の疑いがある利用者は 16.5%、軽度の認知症の疑いがある利用者は 8.7%であっ
た。
年齢別にみると、65~74 歳の前期高齢者では認知症の疑いがある割合(軽度・中等
度以上の合計)は 17.6%であったが、75 歳以上の後期高齢者では 43.4%を占める。
また、居所別にみると自立援助ホーム等の利用者では 46.2%に軽度または中等度以上
の認知症の疑いがある。一方、自宅(アパートなど)でもわずかではあるが認知症の
疑いがある利用者がみられる。
図 表 3-41
DASC-18 認 知 症評価 結 果
0
認知症疑いあり(中等度以上)
認知症疑いあり(軽度)
20
40
DASC-18 認 知 症評価 結 果 (基 本 属性 別 )
DASC-18評価
16.5
合計
8.7
認知症疑いなし
無回答
60
図 表 3-42
%
80
59.9
14.9
性別
n=309
年齢区
分
現在の
居所
(統合)
図 表 3-43
合計
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
認知症疑 認知症疑
いあり(中 いあり
等度以上) (軽度)
309
274
31
217
92
141
145
16
7
16.5
15.0
32.3
11.1
29.3
2.1
31.7
12.5
0.0
8.7
8.4
12.9
6.5
14.1
2.8
14.5
12.5
0.0
DASC-18 認 知 症評価 結 果 (居 所 別)
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
認知症疑いあり
(中等度以上)
無回答
認知症疑いあり
2.1%
15.6%
(軽度)
2.8%
無回答
15.2%
認知症疑いあり
(中等度以上)
31.7%
認知症疑いなし
38.6%
認知症疑いなし
79.5%
n=141
n=145
58
認知症疑いあり
(軽度)
14.5%
認知症疑
いなし
59.9
62.0
45.2
65.9
45.7
79.4
38.6
62.5
100.0
無回答
14.9
14.6
9.7
16.6
10.9
15.6
15.2
12.5
0.0
(7)ふるさとの会との関わり
図 表 3-44
1)利用期間
ふ る さと の 会利 用期 間
0
ふるさとの会の利用期間は「1~3年未満」が 31%で
10
20
6か月未満
12.4
6か月~1年未満
13.0
最も多いが、
「6 か月未満」~「5年以上」まで幅広く分
1~3年未満
布している。
3~5年未満
%
40
30
31.1
15.4
12.0
5年以上
16.1
無回答
n=684
2)最初に利用した理由、利用時に抱えていた問題等
ふるさとの会を最初に利用した理由あるいは利用時に抱えていた問題等では、
「住ま
いのない生活をしていた」が 40.9%、「住まいを失った」が 20.5%、「住まいはあるが、
生活支援や就労支援が必要になった」が 29.5%である。
「住まいを失った」理由は、
「福祉施設や宿泊所等からの退去」
(37.1%)が最も多く、
「失業と共に居所を喪失(社員寮・住み込み等)」17.1%、
「アパート解体等による立ち
退き」9.3%、「本人の病状悪化」7.1%の順となっている。
また、
「生活支援や就労支援が必要になった」利用者のうち、約半数は「生活上の見
守りや相談(訪問支援)が必要」な利用者であり、その他に家賃保証や転宅支援、行
政委託による支援などが含まれている。
図 表 3-45
0
最 初 に利 用 した 理由 ( 複 数回 答 )
%
10
20
30
40
50
住まいのない生活をしていた
40.9
住まいを失った
20.5
住まいはあるが、生活支援や就労
支援が必要になったから
29.5
無回答
図 表 3-46
12.1
住 ま いを 失 った 理由 ( 複 数回 答 )
0
10
20
30
福祉施設や宿泊所等からの退去
失業と共に居所を喪失(社員寮・住み込
み等)
家族からのDVによる避難
その他
生 活 支援 や 就労 支援 が 必 要に な った 理 由
0
アパートにひきこもる等、支援が必要で
あった
9.3
その他(家賃保証、転宅支援、行政委託
等)
7.1
本人の病状悪化
近隣トラブルや家賃滞納等による退去
勧告や更新不可
養護者(世話をする人)の死亡や入院等
による生活維持の困難
借金の取り立てや暴力団関係者からの
避難
図 表 3-47
%
40
10
37.1 生活上の見守りや相談が必要になった
(訪問支援が必要となった)
17.1
アパート解体等による立ち退き
n=684
5.0
20
30
40
50
48.0
1.5
48.5
n=202
4.3
2.1
1.4
12.1
n=140
59
%
60
3)生活場所
ふるさとの会利用前の生活場所は、
「自宅(アパートなど)」
( 23.1%)が最も多いが、
2番目には「路上(都市公園、河川、駅舎、道路、その他)」 14.9%、3番目には「病
院」13.7%、4番目に「他団体宿泊所」12.7%の順となっている。
現在の住まいは、
「自宅(アパートなど)」が 50.3%、ふるさとの会が運営する「宿泊
所・自立援助ホーム・旅館」が 30.7%を占める。
ふるさとの会利用前の居所別に現在の住まいをみると、
「路上」や「他団体宿泊所」、
「その他(簡易宿泊所や更生施設等)」などで生活していた利用者の半数以上は自宅(ア
パートなど)で生活しており、路上生活者の移行支援やアパート転宅支援が行われて
いることがわかる。また、以前に「病院」に入院していた利用者の約 65%は「宿泊所・
自立援助ホーム・旅館等」を利用しており、利用者の身体状態等をふまえ共同居住に
よる住まいの確保が行われている。
図 表 3-48
ふ る さと の 会利 用前 の 生 活場 所
0
10
20
30
40
図 表 3-49
%
60
50
現 在 の生 活 場所
0
10
20
30
40
自宅(アパートなど)
自宅(アパートなど)
親戚・友人宅
宿泊所・自立援助ホーム・旅館
1.0
6.3
2.9
3.4
自立準備ホーム
2.5
社会福祉推進事業の借り上げ住宅(ゲストハ
ウス等)
14.9
3.4
n=684
12.9
6.1
精神障害者グループホーム・ケアホーム
2.9
その他
30.7
緊急就労居住支援事業の借り上げ住宅(就
労支援ホーム等)
13.7
路上(都市公園,河川,駅舎,道路,その他)
刑事施設(拘置所・刑務所・少年院など)
都市型軽費老人ホーム(ルミエールふるさと)
12.7
病院
社員寮・住み込み
50.3
23.1
他団体宿泊所
福祉施設(特養・老健・有料老人ホーム・障
害者施設等)
%
60
50
図 表 3-50
0.3
旅館等
2.2
その他
1.5
n=684
生 活 場所 の 変化
現在の生活場所
緊急就労
社会福祉
宿泊所・ 都市型軽 居住支援 精神障害
推進事業
自宅(アパー 自立援助 費老人ホーム 事業の借 者グループ 自立準備
の借り上
トなど)
ホーム・ (ルミエールふ り上げ住 ホーム・ケアホー ホーム
げ住宅(ゲ
旅館
るさと) 宅(就労支
ム
ストハウス等)
援ホーム等)
合計
ふ
る
さ
と
の
会
利
用
前
の
生
活
場
所
旅館等
その他
合計
684
50.3
30.7
2.9
6.1
3.4
2.5
0.3
2.2
自宅(アパートなど)
158
65.8
16.5
8.2
1.3
4.4
0.6
0.6
2.5
0.0
親戚・友人宅
7
42.9
14.3
0.0
28.6
0.0
0.0
0.0
0.0
14.3
他団体宿泊所
87
57.5
26.4
1.1
8.0
3.4
0.0
0.0
1.1
2.3
病院
福祉施設(特養・老健・有料
老人ホーム・障害者施設等)
社員寮・住み込み
路上(都市公園,河川,駅
舎,道路,その他)
刑事施設(拘置所・刑務所・
少年院など)
その他(簡易宿泊所、更生施
設等)
無回答
94
18.1
64.9
4.3
4.3
8.5
0.0
0.0
0.0
0.0
43
14.0
37.2
9.3
34.9
4.7
0.0
0.0
0.0
0.0
20
45.0
20.0
5.0
15.0
0.0
0.0
5.0
0.0
10.0
102
65.7
22.5
0.0
4.9
1.0
0.0
0.0
1.0
4.9
23
8.7
26.1
0.0
0.0
0.0
65.2
0.0
0.0
0.0
88
68.2
13.6
0.0
4.5
2.3
1.1
0.0
10.2
0.0
74
41.9
56.8
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
60
1.5
4)支援状況
図 表 3-51
①住まいに関する支援(最近1ヶ月間)
住 ま いに 関 する 支援
0
住まいに関する支援として、
「共同居住」
「家賃保証」と
もに 30%弱の利用者が利用している。また、
「 アパート管理」
10
20
%
40
30
共同居住
27.2
家賃保証
27.3
アパート管理
も一部で実施されている。
0.1
5.8
その他
25.3
特になし
無回答
14.2
n=684
②生活支援(最近1ヶ月間)
図 表 3-52
生 活 支援 ( 複数 回答 )
0
最近1ヶ月間における生活支援の実施状況をみ
20
40
28.8
ると、概ね 20~30%の利用者に対して「食事」や
食事
「睡眠」、
「排泄」、
「清潔の保持」、
「活動支援」、
「健
睡眠
康の保持」、「社会生活の保持」などの支援が行わ
排泄
れている。また、
「安心生活の保持」については約
清潔の保持
20.2
活動支援
19.7
64%の利用者に対して行われている。
20.3
15.8
29.7
健康の保持
居所別にみると、「自宅(アパートなど)」で生
居住環境保持
活する利用者の半数以上に対して「安心生活の保
安心生活の保持
持」(=訪問支援活動等)が行われている。また、
社会サービス・コーディネート
「自立援助ホーム等」利用者に対しては、「睡眠」
社会生活の保持
%
80
60
34.6
63.6
35.8
28.5
「排泄」「清潔の保持」「活動支援」については概
ね 50~60%程度の利用者に、それ以外の支援については 70%以上の利用者に対して行わ
れている。比較的若い年代の利用者が多い「就労支援ホーム等」においても、
「安心生
活の保持」や「社会サービス・コーディネート」などの支援は半数以上の利用者に対
して行われている。
図 表 3-53
自宅(アパートなど)
0
%
100
50
住 ま いに 関 する 支援 ( 居 所別 )
自立援助ホーム等
0
%
100
50
食事
2
食事
睡眠
0.3
睡眠
排泄
0.3
排泄
清潔の保持
0.9
清潔の保持
57.0
活動支援
53.5
活動支援
健康の保持
居住環境保持
2
6.4
10.8
安心生活の保持
56.7
73.9
52.6
45.7
就労支援ホーム等
0
食事
20.2
睡眠
18.1
排泄
2.1
清潔の保持
4.3
活動支援
5.3
健康の保持
69.1
健康の保持
居住環境保持
69.1
居住環境保持
安心生活の保持
75.2
安心生活の保持
社会サービス・コーディネート
8.1
社会サービス・コーディネート
71.7
社会サービス・コーディネート
社会生活の保持
4.1
社会生活の保持
67.4
n=230
社会生活の保持
n=344
61
%
100
50
22.3
42.6
60.6
55.3
26.6
n=94
参考
生活支援の内容例
分類
支援内容(例)
・食事(朝食・昼食・夕食)の準備や見守り・介助、食事の提供
食事
・買ってきた食べ物が傷まないように管理する(冷蔵庫に入れたり、賞味期限を確認する)
・体調に応じて、おかゆやおにぎりにする
・食事が十分とれないときに栄養剤を準備したりする
・朝、起こす
睡眠時間
・起きられないときに一緒にいる
・夜間何か困ったときに相談にのる
・時間がわからなくなってしまったときに教える
・トイレに行きたいときに手伝う
排泄
・オムツなどを取り替える
・便秘になったり、下痢をしたときに水分や薬を調節する
・トイレをきれいにする
・体が汚れてしまった際に、入浴を促したり、見守りや介助をする
清潔の保持
・衣服やシーツが汚れてしまった際に、洗濯を促したり、介助する
・衣服が汚れてしまった際に、着替えを促したり、介助する
・歯磨きや入れ歯の洗浄をする
・外出したいときや、通院時等に付き添う
活動
・家の中での移動の手伝いをする
・場所がわからなくなった際に、教える
・起きあがったり、立ち上がったり、体の向きを変える
・毎日きちんと服薬できるように管理する
健康の保持
・体調が悪いときに相談にのり、対応する(応急手当や医療機関への連絡・救急搬送など)
・毎日の医療的サポート(在宅酸素、インスリン注射/血糖測定、栄養剤)
・体調が悪いかどうかみる(顔色・体温・血圧など)
・居室の環境を整える(掃除・片づけ・ゴミ出し・室温調整・換気)
居住環境保持
・安定して住むことができる住居を確保・維持する
・同居人・近隣・大家さんなどとのトラブルを解決する
・ガス・水道・電気が止まらないようにする
・寂しいときや困ったときに相談にのる
安心生活
・病院の説明などを一緒に聞いたり、入院したときなどに面会に行く
・利用者の味方になって対応する
・定期的に訪問して安否確認をしたり、相談にのったり話を聞く
・往診や訪問看護・認定調査の際に立ち会う(日頃の様子を伝える)
社会サービス・
・診療所や看護師、地域包括、行政など関係機関と連絡調整をする
コーディネート
・カンファランス(ミーティング・支援方針会議)を開く
・制度(生活保護・介護保険・住民票・障害者手帳など)を利用するための相談や手続きをする
・日常的な金銭管理をする(出入金の記録、レシートの管理、通帳管理など)
社会生活の保持
・スケジュールの確認・管理をする
・大切な書類の保管・管理をする
・通信(電話・ファックス・手紙のやりとりなど)の手伝いをする
62
③地域リハビリ(イベントや各種教室・講習会等への参加状況)
ふるさとの会が主催する各種イベントや教室・講習会等への参加状況をみると、
「あ
まり参加していない」利用者が半数以上を占めている。
図 表 3-54
イ ベ ント や 各種 教室 ・ 講 習会 等 への 参 加状 況
0
10
よく参加している(月に1回以上)
20
30
40
%
60
50
8.2
ときどき参加している(年に数回程度)
21.1
54.7
あまり参加していない・ 参加していない
利用を開始したばかり(3ヶ月未満)の
ため不明
5.1
11.0
無回答
図 表 3-55
n=684
イ ベ ント や 各種 教室 ・ 講 習会 等 への 参 加状 況(基 本 属 性別 )
イベントや各種教室・講習会等への参加状況
ときどき あまり参
よく参加
参加して 加してい
している
いる(年 ない・ 参
(月に1回
に数回程 加してい
以上)
度)
ない
合計
性別
年齢区
分
現在の
居所
(統合)
合計
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
684
600
68
31
328
217
92
344
230
94
15
8.2
7.3
16.2
12.9
8.5
8.3
5.4
9.9
6.5
6.4
6.7
21.1
21.2
22.1
16.1
21.0
19.4
28.3
18.9
28.3
12.8
13.3
54.7
56.2
51.5
51.6
54.3
58.1
54.3
61.6
45.2
51.1
66.7
利用を開
始したば
かり(3ヶ
月未満)
のため不
明
無回答
5.1
5.5
2.9
6.5
6.7
3.2
3.3
0.6
3.5
24.5
13.3
11.0
9.8
7.4
12.9
9.5
11.1
8.7
9.0
16.5
5.3
0.0
(8)就労状況
現在の就労状況では、「仕事に就いている」利用者は 16.5%、「未就労(求職中)」の
利用者は 10.5%、「未就労(求職中以外)」が 61.0%であった。
「仕事に就いている」利用者の就 労期間は、1年未満が約 40%、1~3年未満が約
20%であり、比較的就労期間が短い利用者が多い。
就労先は、「ふるさとの会」が約 42%、「ふるさとの会以外」が約 50%であった。
図 表 3-56
現 在 の就 労 状況
無回答
12.0%
図 表 3-57
仕事に就
いている
16.5%
0
就 労 期間
10
未就労(そ
れ以外)
61.0%
24.8
14.2
1~3年未満
3~5年未満
7.1
9.7
無回答
n=113
23.0
63
図 表 3-58
0
現 在 の就 労 先
20
無回答
%
60
40
41.6
ふるさとの会
49.6
ふるさとの会以外
21.2
5年以上
n=684
20
6か月未満
6か月~1年未満
未就労(求
職中)
10.5%
%
30
10.6
n=113
2.利用者記入シート
(1)通院
図 表 3-59
1)通院状況
通 院 状況
無回答
0.1%
通院して
いない
25.9%
現在、「通院している」利用者は 74.0%を占める。
通院回数は「月1回」が 36.4%で最も多いが、
「月4回以
通院して
いる
74.0%
上」通院している利用者も約 26%を占める。
通院方法は、「ひとりで(徒歩・自転車・バス・電車な
n=684
ど)」が 72.3%を占めているが、「病院の送迎・往診(訪問
看護)」や「友人・ヘルパーやケアマネジャー、ケースワーカーなど同行」して通院し
ている利用者も約 9%みられる。
図 表 3-60
0
月1回未満
通 院 頻度
10
20
30
2.8
36.4
月1回
24.6
月2回
月3回
図 表 3-61
%
40
2.6
0
ひとりで(徒歩・自転車・バス・電
車など)
病院の送迎・往診(訪問看護)
友人・ヘルパーやケアマネ
ジャー、ケースワーカーなど同行
ひとりで(タクシーなど)
25.9
月4回以上
7.7
無回答
20
40
%
80
60
72.3
15.4
8.9
5.1
0.8
その他
2.0
無回答
n=505
通 院 手段
n=506
2)通院時に困ること、負担感
通院手段で困ることでは、「ひとりで通院するのが不安」「バスや電車を利用するの
が不安」「病院への行き方がわからない」「同行する人がいない、予定が合わない」な
ど、各項目に該当する利用者が一定数みられた。
また、通院による負担に関しては、
「病院が遠く疲れてしまう」が 13.0%、
「交通費や
診察代などにお金がかかる」3.6%などのほか、
「医師等からの病状説明が難しい」とい
った同行支援が必要な割合も 6.3%を占める。
図 表 3-62
通 院 手段 で 困る こと ( 複 数回 答 )
%
0
5
10
15
2.4
n=506
病院に行きたくない
交通費や診察代など等にお金が
かかる
その他
64
%
15
10
13.0
6.3
医師等からの病状説明が難しい
2.6
6.9
5
病院が遠く疲れてしまう
6.1
バスや電車を利用するのが不安
通 院 によ る 負担 (複 数 回 答)
0
8.9
ひとりで通院するのが不安
病院への行き方がわからない
同行する人がいない,予定が合わ
ない
その他
図 表 3-63
4.0
3.6
7.3
n=506
3)通院していない理由
図 表 3-64
0
現在通院していない利用者に通院して
通 院 して い ない 理由
10 20 30 40 50
悪いところはあるが,通院するほど
ではないから
悪いところはあるが,お金がかかる
ので
悪いところはあるが,病院に行きたく
ないから
に悪いところがない」という理由である
が 、「 通 院 す る ほ ど で は な い か ら 」 が 約
20%、「お金が係るから」や「病院に行き
19.8
3.4
6.2
10.2
その他
たくないから」も 3~6%ほどみられた。
%
70
58.8
特に悪いところがないから
いない理由を尋ねたところ、58.8%は「特
60
n=177
(2)健康面でのQOL(WHO-5)
健康面でのQOLを測定するため、WHO-5 指標を利用して最近2週間の健康状態の測
定を行った。その結果、得点が 13 点未満の精神的健康状態が低い利用者は 43.9%を占
めた。
年齢別にみると、精神的健康状態が低い割合は 40 歳未満や 40~64 歳の利用者では
約半数程度を占めている。また、自宅(アパートなど)居住者でも約半数が精神的健
康状態が低い結果となっている。
図 表 3-65
精 神 的Q O L( WHO-5) 評 価項 目
0%
最近2週間、私は、明るく、楽しい気分で過ごした
9.9
最近2週間、私は、落ち着いた、リラックスした気分で過ごした
7.9
最近2週間、私は、意欲的で、活動的に過ごした
最近2週間、私は、ぐっすりと休め、気持ちよくめざめた
最近2週間、私は、日常生活の中に、興味のあることがたくさんあった
まったくない
図 表 3-66
0
10
ほんのたまに
30
13~17点
26.5
18点以上
26.0
3.7
n=684
40%
11.7
17.3
18.6
12.7
11.8
23.1
半分以下の期間を
11.5
27.6
20.3
16.1
80%
90% 100%
16.4
16.7
15.2
26.3
12.6
ほとんどいつも
11.7
3.7
3.7
21.2
19.0
11.7
半分以上の期間を
図 表 3-67
70%
15.9
20.0
20.8
9.2
60%
25.6
9.6
14.6
50%
3.9
3.5
9.6
いつも
3.7
無回答
WHO-5 評 価得 点(基 本 属 性別 )
%
40
合計
28.4
6~12点
30%
16.8
WHO-5 評 価得 点
20
20%
15.5
0~5点
無回答
10%
性別
年齢区
分
現在の
居所
(統合)
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
65
合計
684
600
68
31
328
217
92
344
230
94
15
WHO-5得点
0~5点 6~12点 13~17点 18点以上
15.5
28.4
26.5
26.0
15.0
28.2
27.5
26.0
17.6
32.4
20.6
23.5
16.1
35.5
32.3
9.7
18.3
32.0
25.6
20.1
14.7
25.8
24.9
31.3
6.5
22.8
31.5
38.0
16.9
30.8
20.9
25.9
15.2
25.2
29.6
27.8
10.6
28.7
38.3
21.3
13.3
20.0
33.3
33.3
無回答
3.7
3.3
5.9
6.5
4.0
3.2
1.1
5.5
2.2
1.1
0.0
(3)住まいの環境や地域のこと
図 表 3-68
現 在 の住 ま いで の居 住 年 数
1)現在の住まいについて
0
10
20
現在の住まいでの居住年数は、「1~3年未満」が
6か月未満
12.7
32%で最も多いが、「6か月未満」から「5年以上」ま
6か月~1年未満
12.7
32.0
1~3年未満
で多様に分布している。
現在の住まいの築年数を尋ねたところ、3分の1程
3~5年未満
16.7
度の利用者は「わからない」と回答しているが、約 20%
5年以上
17.5
8.3
無回答
は築年数が 30 年以上と回答している。
%
40
30
n=684
自宅(アパートなど)居住者のトイレや風呂の設置
状況では、トイレが共同の住居は 9.3%、風呂がない住居は 33.4%ほどみられる。
図 表 3-69
現 在 の住 ま いの 築年 数
0
10
20
10年未満
7.3
10~20年くらい
7.7
20~30年くらい
図 表 3-70 現 在 の住 ま いの 設備
自 宅 ( アパ ー トな ど )居 住者の み
%
40
30
0%
16.5
40年以上
40%
6.7
60%
80%
100%
87.2
トイレ
13.2
30~40年くらい
20%
9.3
59.9
お風呂
4.1
3.5
33.4
2.6
36.5
わからない
無回答
12.0
n=684
自分の部屋についている
共同である
ない
無回答
現在の家の住み心地については、「良い」が 46.5%、「悪い」が 14.0%、「どちらとも
いえない」が 37.3%であった。
現在の家で気になること、住み心地が悪いことでは、「狭い」「日当たり」「騒音」を
指摘する割合が高い。
図 表 3-71
現 在 の住 ま いの 住み 心 地
図 表 3-72
0%
無回答
2.2%
20%
自宅(アパートなど)
どちらとも
いえない
37.3%
就労支援ホーム等
狭い
19.3
日当たり
18.0
騒音
17.5
古い・壊れている
交通の便
悪臭
その他
10.7
図 表 3-74
自宅(アパートなど)
0
狭い
%
40
20.0
46.7
どちらともいえない
無回答
気 に なる こ と等 (居 所 別 )
自立援助ホーム等
0
20
狭い
12.2
31.9
%
40
27.0
就労支援ホーム等
0
狭い
日当たり
13.0
日当たり
17.0
騒音
19.8
騒音
13.9
騒音
18.1
交通の便
古い・壊れている
4.4
7.0
14.0
悪臭
4.3
悪臭
交通の便
4.8
交通の便
古い・壊れている
古い・壊れている
7.0
15.6
その他
16.9
その他
n=344
66
13.5
その他
n=230
%
40
22.3
20.9
3.9
n=684
20
日当たり
悪臭
6.6
20
37.8
13.8
悪い
100%
38.1
10.0
33.3
良い
80%
16.6
54.3
n=684
気 に なる こ と等 (複 数 回 答)
%
0
10
20
30
60%
49.6
旅館等
図 表 3-73
40%
42.7
自立援助ホーム等
良い
46.5%
悪い
14.0%
現 在 の住 ま いの 住み 心 地 (居 所 別)
2.1
9.6
7.4
16.0
n=94
2)居住地域について
現在住んでいる地域(町内など)に対する思いを尋ねたところ、
「いま住んでいる地
域が好きだ」、「今後もこの地域にずっと住み続けたい」、「この地域に馴染めている、
馴染めそうだ」などでは「そう思う」「とてもそう思う」と回答した割合が 60%程度を
占めており、地域に対して愛着を抱いている利用者が多いことがわかる。
また、
「この地域のために何か役に立ちたい」と考えている利用者も約3分の1を占
めている。
図 表 3-75
現 在 住ん で いる 地域 に 対 する 思 い
0%
20%
①いま住んでいる地域が好きだ 8.8
②今後もこの地域にずっと住み続けたい
40%
24.9
15.5
60%
43.0
20.3
45.0
31.0
④この地域は近所づきあいが面倒だ
44.0
31.3
⑥この地域に馴染めている,馴染めそうだ
そう思わない
26.6
13.2
32.3
20.3
あまりそう思わない
4.2
20.8
5.6
13.6 5.3
5.1
10.8 7.0
28.1
43.7
そう思う
100%
19.2
37.9
③この地域は何かと不便だ
⑤この地域のために何か役に立ちたい
80%
6.3
17.4
とてもそう思う
6.9
6.7
5.4
無回答
3)地域行事等への参加経験(最近1年間)
最近1年間に、地域の行事等に参加した経験がある利用者は 19.3%であった。参加し
た行事等は「お祭り」が最も多く、次いで「バザー・ガレージセール等イベント」、
「防
災訓練、避難訓練」の順である。
また、「ボランティア活動等」の地域活動に参加している利用者もみられた。
図 表 3-76
地 域 行事 へ の参 加経 験 ( 最近 1 年間 )
無回答
3.9%
図 表 3-77
ある
19.3%
性別
ない
76.8%
図 表 3-78
n=684
参 加 した 行 事等 (複 数 回 答)
0
20
ボランティア活動等
無回答
40
%
60
年齢区
分
現在の
居所
(統合)
47.0
お祭り
バザー,ガレージセール等
イベント
防災訓練、避難訓練
地 域 行事 へ の参 加経 験 ( 基本 属 性別 )
22.0
20.5
9.8
10.6
n=132
67
合計
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
地域の祭や行事等への参加経験
(最近1年間)
無回答
合計
ある
ない
684
19.3
76.8
3.9
600
19.3
77.3
3.3
68
20.6
73.5
5.9
31
19.4
74.2
6.5
328
15.5
80.5
4.0
217
23.0
72.8
4.1
92
22.8
76.1
1.1
344
11.3
83.7
4.9
230
32.6
63.5
3.9
94
16.0
83.0
1.1
15
20.0
80.0
0.0
(4)友人や知人、近隣の人との関わり
図 表 3-79
大 家 さん や 近隣 の人 と の つき あ い
1)大家さんや近隣の人とのつきあい
0
10
20
30
44.6
つきあいはない
大家さんや近隣住民とのつきあいについて尋ね
あいさつする程度の人がいる
たところ、「つきあいはない」が 44.6%、「あいさ
世間話をする人がいる
つする程度の人がいる」が 38.0%であり、世間話
個人的な話をする人がいる
や個人的な話をする人がいる利用者は 16%程度に
無回答
38.0
9.9
6.3
1.2
n=684
とどまった。
2)相談等の相手
①家の設備や契約のこと等で相談できる人
家の設備や契約のこと等で相談できる人が「いる」と回答した割合は 76.6%であった。
相談できる相手は、「支援団体(ふるさとの会等)職員」(65.6%)が最も多く、次い
で「福祉事務所のケースワーカー」( 31.5%)や「大家・アパート管理会社・不動産会
社」(22.5%)の順となっている。
図 表 3-80
相 談 相手 の 有無 :家 の 設 備や 契 約
図 表 3-81
相 談 相手 : 家の 設 備 や 契 約
0
無回答
いない
1.8%
21.6%
20
31.5
福祉事務所のケースワーカー
22.5
11.6
友人や知人
8.2
家族や親族
いる
76.6%
n=684
5.2
地域包括支援センターの職員
2.3
(以前の)仕事の仲間
1.3
民生委員さんや近所の住民
1.1
3.4
その他
図 表 3-82
40
60
80
%
100
就労支援ホーム等
自立援助ホーム等
0
20
40
60
80
%
100
0
20
40
60
80
28.0
34.5
31.2
2.4
0.6
42.3
11.0
10.1
12.7
21.4
2.4
ヘルパー、訪問看護、ケアマネジャー等
1.5
家族や親族
3.8
地域包括支援センターの職員
2.3
2.4
2.4
(以前の)仕事の仲間
0.0
2.4
3.7
民生委員さんや近所の住民
1.5
1.2
その他
3.1
5.4
n=260
3.0
68
9.8
0.0
n=168
%
100
86.6
77.4
52.7
支援団体(ふるさとの会等)職員
n=524
相 談 相手 : 家の 設備 や 契 約( 居 所別 )
自宅(アパートなど)
20
%
80
65.6
ヘルパー、訪問看護、ケアマネジャー等
福祉事務所のケースワーカー
大家さん・アパート管理会社・不動
産会社
友人や知人
60
支援団体(ふるさとの会等)職員
大家・アパート管理会社・不動産会社
0
40
3.7
%
50
40
n=82
②普段、話をしたり、ちょっとした相談をする人
普段話をしたり、ちょっとした相談をする人が「いる」と回答した割合は 76.0%であ
った。相談相手は、
「支援団体(ふるさとの会等)職員」
( 58.7%)や「友人や知人」
(48.3%)
が多い。
図 表 3-83
図 表 3-84
普 段 話を し たり 、ち ょ っ とし た
相 談 を する 人 の有 無
いない
22.1%
無回答
1.9%
相 談 相手 : 普段 話を し た り、 ち ょっ と した
相 談 を する 人
%
0
20
40
60
80
58.7
支援団体(ふるさとの会等)職員
48.3
友人や知人
20.0
福祉事務所のケースワーカー
11.9
ヘルパー、訪問看護、ケアマネジャー等
9.2
家族や親族
いる
76.0%
n=684
(以前の)仕事の仲間
大家さん・アパート管理会社・不動産
会社
民生委員さんや近所の住民
6.2
2.1
地域包括支援センターの職員
1.7
4.6
7.3
その他
図 表 3-85
相 談 相手 : 普段 話を し た り、 ち ょっ と した 相談を す る 人( 居 所別 )
自宅(アパートなど)
0
20
40
60
福祉事務所のケースワーカー
家族や親族
(以前の)仕事の仲間
大家さん・アパート管理会社・不動
産会社
80
0
20
40
60
就労支援ホーム等
80
%
100
0
20
32.5
45.9
20.9
17.4
24.7
29.4
4.6
2.4
6.7
10.4
8.5
1.2
7.3
0.6
11.8
9.4
3.5
2.3
2.5
1.2
地域包括支援センターの職員
1.9
1.2
2.4
5.0
6.7
n=259
%
80
60
65.9
民生委員さんや近所の住民
その他
40
73.0
58.3
友人や知人
ヘルパー、訪問看護、ケアマネジャー等
自立援助ホーム等
%
100
47.5
支援団体(ふるさとの会等)職員
n=520
n=163
15.3
n=85
③趣味・娯楽を一緒にする人
趣味や娯楽を一緒にする人が「いる」と回答した割合は 35.1%であった。趣味や娯楽
を一緒にする相手は、「友人や知人」が 76.3%を占めている。
図 表 3-86
趣 味 ・娯 楽 を一 緒に す る 人の 有 無
図 表 3-87
無回答
1.5%
0
いる
35.1%
家族や親族
(以前の)仕事の仲間
20
近所の住民
その他
n=684
69
40
60
80
6.3
11.7
76.3
友人や知人
いない
63.5%
趣 味 ・娯 楽 を一 緒に す る 人
4.6
15.8
n=240
%
100
④身体の具合が悪いときに連絡できる人
身体の具合が悪いときに連絡できる人が「いる」と回答した割合は 78.2%であった。
連絡できる相手は、「支援団体(ふるさとの会等)職員」( 60.9%)が最も多く、「福
祉事務所のケースワーカー」
(32.1%)、「友人や知人」(22.8%)、「家族や親族」(20.0%)
の順となっている。
図 表 3-88
身 体 の具 合 が悪 いと き に 連絡 で き る 人 の有 無
無回答
1.8%
いない
20.0%
図 表 3-89
身 体 の具 合 が悪 いと き に 連絡 で きる 人
%
0
20
40
60
80
60.9
支援団体(ふるさとの会等)職員
福祉事務所のケースワーカー
32.1
22.8
友人や知人
20.0
家族や親族
12.1
ヘルパー、訪問看護、ケアマネジャー等
いる
78.2%
n=684
3.4
(以前の)仕事の仲間
大家さん・アパート管理会社・不動産
会社
地域包括支援センターの職員
1.1
民生委員さんや近所の住民
0.2
2.2
4.7
その他
図 表 3-90
身 体 の具 合 が悪 いと き に 連絡 で きる 人 (居 所別)
自宅(アパートなど)
0
20
40
60
自立援助ホーム等
80
%
100
0
20
40
60
20
80
31.8
25.0
3.5
(以前の)仕事の仲間
大家さん・アパート管理会社・不動
産会社
3.6
1.0
3.2
0.5
1.2
2.4
地域包括支援センターの職員
0.8
1.0
民生委員さんや近所の住民
0.4
0.0
7.1
0.0
1.0
n=248
%
100
20.0
5.6
6.9
60
29.4
ヘルパー、訪問看護、ケアマネジャー等
その他
40
74.1
14.6
20.2
家族や親族
0
11.5
32.7
友人や知人
%
100
25.5
37.9
福祉事務所のケースワーカー
就労支援ホーム等
80
77.1
45.6
支援団体(ふるさとの会等)職員
n=535
n=192
5.9
n=85
⑤孤立状態にある利用者
前記、①~④の相談相手の有無及び後述する家族・親戚等との連絡状況から、孤立
している利用者割合の推計を行ったところ、「相談者なし、 家族との連絡なし」(=社
会的孤立状態)の利用者は全体の 5.8%、相談者がふるさとの会職員のみの利用者が
11.5%いることがわかった。
居所別にみると、
「自宅(アパートなど)」で生活する利用者では「相談者なし、家族と
の連絡なし」の孤立状態にある割合が 7.3%を占めている。
図 表 3-91
孤 立 状態 に ある 利用 者 の 割合
0
相談者なし、家族との連絡なし
相談者:ふるさと職員のみ
5
図 表 3-92
%
15
10
孤 立 状態 に ある 利用 者 の 割合 ( 居所 別 )
%
0
10
20
30
自宅(アパートなど)
5.8
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等 0.0
11.5
旅館等
n=684
70
7.3
6.4
5.7
18.7
14.9
13.3
0.0
相談者なし、家族との連絡なし
相談者:ふるさと職員のみ
3)家族・親戚等とのかかわり
①連絡の有無と頻度(過去1年間)
過去1年間に家族や親戚等と連絡を取った利用者は 27.6%であった。連絡頻度は「年
1~2回」が約 35%で最も多いが、「年 24 回以上」(=月2回以上)連絡を取っている
利用者も 26.5%程いる。
図 表 3-93
家 族 ・親 戚 との 連絡 ( 過 去1 年 間)
無回答
2.6%
図 表 3-94
家 族 ・親 戚 との 連絡 頻 度
0
ある
27.6%
10
20
34.9
年1~2回
11.6
年3~4回
年5~6回
年7~11回
2.6
1.1
年12~23回
ない
69.7%
19.0
年24回以上
n=684
無回答
%
40
30
26.5
4.2
n=189
②幼少時に暮らした場所
家族との関係や生育歴を把握するため、幼少時に暮らした場所について尋ねたとこ
ろ、約 78%は「自宅で、両親や兄弟姉妹と暮らしていた」と回答している。「自宅で、
片親や兄弟姉妹と」は 9.2%、「祖父母(親戚)の家で(両親とは別居)」は 4.7%、「児
童養護施設など」は 1.0%であった。
図 表 3-95
幼 少 時に 暮 らし た場 所
0
20
児童養護施設などで暮らしていた
その他
無回答
71
60
80
77.9
自宅で,両親や兄弟姉妹と暮らしていた
自宅で,片親(父親または母親)や兄弟姉妹
と暮らしていた
祖父母(親せき)の家で,祖父母(親せき)と
暮らしていた(両親とは別居)
40
9.2
4.7
1.0
2.9
5.6
n=684
%
100
4)他者との関わりの実績と意向
他者との関わりについて、実態や意向を把握することを目的として以下の2 つの項
目について尋ねた。
○誰かと話をしたり、娯楽を楽しむこと
○誰かのために、自分の技術や経験を生かして手伝いをすること
最近1か月以内に「誰かと話をしたり、娯楽を楽しむこと」を「している」と回答
した利用者は 68.0%、また最近1年以内に「誰かのために、自分の技術や経験を生かし
て手伝いをしたこと」が「ある」利用者は 21.3%であった。
一方で、これらの項目に関する意向をみると、
「機会があれば、誰かと一緒に話をし
たり、娯楽を楽しみたい」利用者は 52.0%、「機会があれば、誰かのために、自分の技
術や経験を生かして手伝いをしたい」利用者は 35.2%であり、他者や地域・社会に対す
る貢献意欲を持つ利用者は少なくない。
図 表 3-96
他 者 との 関 わり の実 績 と 意向
0%
経
験
20%
誰かと話をしたり、娯楽を楽しむこと(最近1
か月)
誰かのために、自分の技術や経験を生かし
て手伝いをしたこと(最近1年間)
80%
機会があれば、誰かと一緒に、話をしたり、
娯楽を楽しみたいか
機会があれば、自分の技術や経験を生かし
て手伝いをしたいか
したい
100%
30.4
21.3
0%
72
60%
68.0
している、したことがある
意
向
40%
1.6
75.7
2.9
していない、したことはない
20%
40%
60%
52.0
35.2
したくない
16.5
23.0
80%
無回答
100%
19.4 12.0
33.3
わからない
8.5
無回答
(5)ふるさとの会で行っている行事等への関わり
ふるさとの会の行事に「参加したことがある」利用者は 44.9%、「参加したことはな
い」利用者は 53.8%であった。
参加経験者では、今後も「参加したい」と回答した利用者が 73.9%を占めている。
一方、参加経験のない利用者に参加していない理由を尋ねたところ、
「参加したいと思
わない」
「日程があわない」などの他、集団の場への苦手意識や健康不安による理由等
があげられている。様々な心身状態にある利用者への配慮など、更なる取組の充実が
期待される。
図 表 3-97
ふ る さと の 会で 行っ て い る行 事 等へ の 関わ り
無回答
1.3%
参加したこ
とがある
44.9%
参加したこ
とはない
53.8%
図 表 3-99
図 表 3-98
0
必要ない
参加したいと思わない
内容が自分に合わない
日程が自分の都合に合わない
その他
無回答
未 参 加の 理 由
10
20
30
0
n=684
%
40
今 後 の参 加 意向
20
40
%
80
60
参加したい
9.0
参加したいとは思わない
27.2
7.9
6.2
わからない(内容による)
18.2
無回答
33.4
13.6
73.9
19.5
0.3
n=307
n=368
未参加理由「その他」の記載
未参加理由「その他」の記載
○興味がない、遠い、めんどう
・興味がない/・好きじゃない。
・遠い、不便。/・めんどう
・出かけるのがおっくう。遠い。
○体調、健康不安、病気等
・体調が悪い。/・心身の疲れ
・通院に時間とられて疲れてるから。
・トイレの関係、心配。
・酸素吸入器で動きづらい。
・神経病持ちで参加出来ない。
○集団行動が苦手
・1人の方が楽/・人との交流が不得手。
・団体行動が苦手だが、ケースバイケース。
・あえていざこざが生じる可能性のある場所
へ出向きたくない。
・利用者の人が誰がだれかもわ からないから、
参加しにくい。
○その他
・仕事が忙しい。
・内容が分からない。
図 表 3-100
0
参加してみたい行事・講習会等を尋ねたところ、
行事では「お祭り等のイベント」や「旅行・外出」、
「食事会」、「カラオケ」、「バザー」などを希望する
利用者が多くみられた。また、講習会についても就
労関係のほか、健康や介護関係の内容を希望する利
用者もいる。
わずかではあるが、
「ボランティア・地域活動」へ
の参加を希望する利用者もみられた。
73
食事会(飲食)
お茶会
カラオケ
バザー
ボーリング
お祭り等イベント
旅行・外出
映画・演劇・音楽
将棋
麻雀
料理
園芸クラブ
ジョギング・ウォーキング
運動・スポーツ
講習会(就労)
講習会(健康)
講習会(介護)
講習会(その他)
ボランティア・地域活動
その他
参加したくない
参 加し た い行 事 等
20
40
60
26
7
23
20
14
60
35
6
7
3
5
7
6
10
7
6
2
3
9
15
46
(件)
80
(6)重い病気にかかったり、寝たきりになったときのこと
1)自分が重い病気にかかったり、寝たきり状態等になる心配
図 表 3-101 自 分が 重 い病 気 にか か っ たり 、
寝 た き り状 態 にな る 心配
%
0
10
20
30
40
自分が重い病気にかかったり、寝たきり状態等に
なる心配について尋ねたところ、「とても心配であ
とても心配である
る」が 22.4%、
「少し心配である」が 35.1%を占めた。
少し心配である
特に、自宅(アパートなど)で暮らしている利用
どちらともいえない
者では「とても心配」「少し心配」と回答した割合
あまり心配していない
16.1
まったく心配していない
17.0
が 63.3%を占めている。
22.4
35.1
8.0
1.5
無回答
図 表 3-102
n=684
自 分が 重 い病 気 にか か っ たり 、 寝た き り状 態にな る 心 配( 基 本属 性 別)
問17 重い病気にかかったり,寝たきりなどの状態になる心配
とても心
配である
合計
性別
年齢区
分
現在の
居所
(統合)
合計
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
684
600
68
31
328
217
92
344
230
94
15
少し心配
である
22.4
22.0
22.1
12.9
22.3
23.5
23.9
24.1
23.0
14.9
20.0
どちらと
もいえな
い
35.1
35.0
38.2
32.3
38.7
33.2
30.4
39.2
26.5
39.4
40.0
8.0
8.0
8.8
6.5
9.1
7.4
5.4
7.8
7.8
10.6
0.0
あまり心
配してい
ない
まったく
心配して
いない
16.1
17.0
8.8
16.1
13.1
18.0
20.7
12.2
22.6
16.0
6.7
無回答
17.0
16.8
17.6
29.0
15.5
17.1
16.3
15.1
17.8
19.1
33.3
1.5
1.2
4.4
3.2
1.2
0.9
3.3
1.5
2.2
0.0
0.0
2)重い病気にかかったり、寝たきり状態等になったときの心配ごと
仮に、自分が重い病気にかかったり、寝たきり状態等になった場合に心配ごとがあ
るかを尋ねたところ、半数以上の利用者が「ある」と回答している。
心配ごとの内容は、
「介護のこと」や「医療のこと」、「住まいのこと」などが上位を
占めたが、自宅(アパートなど)で暮らしている利用者では「孤独死の不安」を訴え
る割合が 35.9%を占めた。
図 表 3-103 自 分が 重 い病 気 にか か っ たり 、
寝 た き り状 態 にな っ たと きの心 配 ご と
図 表 3-104
0
無回答
9.2%
心 配ご と
20
40
54.5
介護のこと
わからない
13.6%
44.2
医療のこと
ある
53.9%
ない
23.2%
n=684
37.9
住まいのこと
26.3
孤独死の不安
図 表 3-105
%
60
0
医療のこと
住まいのこと
孤独死の不安
12.7
死後のこと
家族のこと
12.5
家族のこと
財産などの管理
2.7
財産などの管理
遺言について
1.6
遺言について
n=369
8.4
74
49.7
介護のこと
死後のこと
その他
心心配なこと
配ご と (居 所 別)
20
40
60
その他
%
80
60.0
42.6
41.7
30.8
39.1
35.9
12.2
12.8
11.3
11.3
7.0
1.5
5.2
1.5
0.9
自宅(アパートなど)(n=195)
7.2
自立援助ホーム等(n=115)
9.6
(7)仕事について
1)現在の就労状況と過去の就労経験
現在の就労状況では、
「仕事をしている」利用者が 17.1%、
「仕事をしていない」利用
者は 77.9%を占めた。
過去の就労経験を尋ねたところ、正規職員の経験が「10 年以上」の利用者は 41.5%、
「5~9年」が 8.5%、
「5年未満」が 12.1%、
「経験なし」は 10.2%であった。また、
「非
正規・アルバイト」経験が「10 年以上」の利用者は 14.5%、「日雇いなど」経験が「10
年以上」の利用者は 17.0%を占める。
図 表 3-106
現 在の 就 労状 況
図 表 3-107
0%
無回答
5.0%
①正規職員
仕事をして
いる
17.1%
②非正規・パート・アルバイト
仕事をして
いない
77.9%
③日雇いなど
20%
10.2 12.1
13.7
60%
8.5
80%
41.5
7.0
13.9 6.4
経験なし
5年未満
100%
27.6
14.5
43.6
17.0
45.9
2.2
5.7 10.4
28.7
④その他
n=684
40%
21.2
16.8
過 去の 就 労経 験
53.1
5~9年
10年以上
無回答
2)(未就労者)就労意向と求める支援内容
未就労者に対して今後の就労意向を尋ねたところ、
「仕事をしたい」と回答した割合
は 29.3%、
「仕事をしたくない」割合は 24.6%、
「仕事をしたいができない」割合は 44.1%
を占めた。
「仕事をしたくない」理由としては、「身体がきつい」を挙げる利用者が 66.4%を占
めている。
図 表 3-108
就 労意 向 (未 就 労者 )
0
10
20
30
19-1 (未就労者)就労意欲
29.3
仕事をしたい
合計
仕事をしたいができない
44.1
2.1
無回答
0
20
40
身体がきつい
60
%
80
66.4
9.2
その他
無回答
性別
n=533
仕 事を し たく な い理 由
仕事がない
就 労意 向 (未 就 労者 ) 基 本属 性 別
24.6
仕事をしたくない
図 表 3-110
図 表 3-109
%
50
40
24.4
5.3
年齢区
分
現在の
居所
(統合)
合計
男性
女性
40歳未満
40~64歳
65~74歳
75歳以上
自宅(アパートなど)
自立援助ホーム等
就労支援ホーム等
旅館等
n=131
75
533
472
47
18
247
183
72
270
191
59
12
仕事をし
たくない
24.6
23.1
34.0
16.7
17.0
31.1
36.1
18.1
37.7
15.3
8.3
仕事をし
たい
28.1
29.4
14.9
66.7
30.8
24.0
16.7
24.8
24.6
50.8
41.7
仕事をし
たいがで
きない
43.5
43.9
46.8
16.7
49.4
40.4
40.3
52.6
34.0
32.2
50.0
無回答
3.8
3.6
4.3
0.0
2.8
4.4
6.9
4.4
3.7
1.7
0.0
一方で、
「 仕事をしたい」利用者が望む就労形態は、
「 常勤雇用(フルタイム)」が 31.4%、
「パート・アルバイト」が 35.9%であった。
また、就労活動を行うにあたって望んでいる支援内容をみると、
「ハローワークで相談
したい」や「求人情報が欲しい」などのほか、
「何でもいいから相談 できる人が欲しい」
が 21.8%、「職業訓練が受けたい」14.7%、「ハローワークに同行して欲しい」5.1%とな
っている。
図 表 3-111
希 望す る 就労 形 態( 未 就 労者 )
0
10
20
30
0
日雇い
7.1
その他(自営など)
7.1
10
20
30
29.5
求人情報が欲しい
何でもいいから相談できる人
が欲しい
職業訓練が受けたい
n=156
21.2
ハローワークに同行して欲しい
21.8
14.7
5.1
9.0
その他
18.6
特に支援はいらない
未就労者全体に求職活動を行う上での課
図 表 3-113
n=156
求 職活 動 を行 う 上で の 課 題( 未 就労 者 )
0
題 を 尋 ね た と こ ろ 、「 年 齢 が あ わ な い 」 が
10
希望する仕事の年齢があわない
する労働時間や就労日数にあう仕事がな
職歴・技能が不十分
7.3
希望する労働時間や就労日数に
あう仕事がない
6.6
求職活動をするうえでの問題として「その
日払いでないと生活費が続かない
他」に記載された内容は、身体面や健康不
その他
安面での理由(体調や病気、年齢など)が
特に問題になることはない
20
30
25.5
25.5%、
「職歴・技能が不十分」7.3%、
「希望
い」6.6%であった。
%
40
30.8
ハローワークで相談したい
35.9
パート・アルバイト
希 望す る 就労 支 援( 未 就 労者 )
%
40
31.4
常用雇用(フルタイム)
無回答
図 表 3-112
2.8
29.5
6.0
n=533
ほとんどであるが、それ以外にも「失敗が
こわい、職種がない」、「履歴書が書けない」、「口がきけないから」などの記載もみら
れた。
76
%
40
3)(就労者)仕事の状況と今後の継続意向
①就労状況
現在就労している利用者 117 人の就労状況をみると、雇用形態は「常用雇用(フル
タイム)」が 10.3%、「パート・アルバイト」が 64.1%、「日雇い」が 18.8%であった。
収入月額は「3万円未満」が 25.6%を占める一方で、
「15 万円以上」の収入がある利
用者も 8.5%ほどいる。
就労日数は、「10 日未満」及び「10~19 日」が各々27%、「20 日以上」が 37.6%を占
めた。
図 表 3-114
就 労形 態 (就 労 者)
%
0
20
40 60
80
常用雇用(フルタイム)
無回答
10
18.8
5~10万円未満
1.7
10
8.5
無回答
9.4
②仕事先の人とのつきあい
27.4
10~19日
27.4
37.6
無回答
7.7
仕事先の人とのつきあいの程度を尋ねたと
n=117
n=117
仕 事先 の 人と の つき あ い
0
10
20
30
40
27.4
仕事の合間に世間話をする
事 の 合 間 に 世 間 話 を す る 」 が 27.4%で あ り 、
16.2
仕事の合間に個人的な話をする
仕事以外の時間に会ったり話を
したりする
その他
4.3
無回答
4.3
は各々16%であった。
16.2
n=117
③就労継続意向
現在の仕事を続けたいと思うかを尋ねたところ、「とてもそう思う」「そう思う」と
回答した利用者は 80%近くを占めた。その理由は、「やっている仕事が楽しい」、「仕事
が自分にあっている」、「職場の人が楽しい」など積極的な理由が上位を占めている。
図 表 3-118
就 労継 続 意向
0
20
0
46.2
そう思う
14.5
あまり思わない
無回答
60
32.5
とてもそう思う
まったく思わない
40
図 表 3-119
%
1.7
5.1
継 続希 望 理由
10
20
30
35.9
仕事が自分にあっている
35.9
29.3
他に仕事がない,みつからない
28.3
23.9
仕事にやりがいがある
その他
77
%
40
やっている仕事が楽しい
職場の人が楽しい
n=117
%
50
40.2
仕事だけの付き合い
ころ、「仕事だけの付き合い」が 40.2%、「仕
以外の時間に会ったり話をしたりする」割合
%
40
30
10日未満
図 表 3-117
「仕事の合間に個人的な話をする」や「仕事
20
20日以上
17.9
15万円以上
n=117
就 労日 数 /月
19.7
10~15万円未満
6.8
0
25.6
3万円未満
18.8
図 表 3-116
%
30
20
3~5万円未満
64.1
日雇い
収 入月 額
0
10.3
パート・アルバイト
その他(自営など)
図 表 3-115
12.0
n=92
(8)防災について
1)現在の家で被災したときに連絡する相
図 表 3-120
手
被 災時 に 連絡 す る相 手
0
現在の住まいで地震や火事等の災害が発
30
40
%
60
50
52.0
福祉事務所のケースワーカー
29.2
23.4
家族や親族
「支援団体(ふるさとの会)職員」がもっ
友人や知人
20.8
大家・アパート管理会社・不動産会社
11.7
カー」、「家族や親族」、「友人や知人」、「大
ヘルパー、訪問看護、ケアマネジャー等
家・アパート管理会社・不動産会社」の順
(以前の)仕事の仲間
3.1
地域包括支援センターの職員
2.3
民生委員さんや近所の住民
1.6
その他
1.8
となった。
20
支援団体(ふるさとの会等)職員
生した際に連絡をする相手を尋ねたところ、
と多く、次いで「福祉事務所のケースワー
10
5.1
誰にも連絡しない
n=684
15.8
2)災害発生時の避難場所
災害発生時の避難場所について「知っている」と回
図 表 3-121
災 害発 生 時の 被 災場 所 の 周知
答した利用者は 59.5%、
「 知らない」は 37.0%であった。
無回答
3.5%
避難場所を「知っている」利用者に対して、避難場
所を知った方法を尋ねたところ、「他の人に教えても
らった」が半数以上を占めている。避難場所を教えて
知らない
37.0%
知っている
59.5%
くれた相手としては、「支援団体(ふるさとの会等)
職員」が 76%を占めるが、
「 民生委員さんや近所の住民」、
n=684
「大家さん・アパート管理会社・不動産会社」、「友人
や知人」など、地域の住民から情報を得ている利用者も一定割合みられた。
図 表 3-122
避 難場 所 を知 っ た方 法
図 表 3-123
無回答
7.4%
自分で調
べた・以前
から知って
いた
41.4%
教 えて く れた 相 手
0
20
n=407
78
80
%
100
5.7
民生委員さんや近所の住民
大家さん・アパート管理会社・不動
産会社
友人や知人
5.3
福祉事務所のケースワーカー
4.8
4.8
(以前の)仕事の仲間
0.5
ヘルパー、訪問看護、ケアマネジャー等
0.5
地域包括支援センターの職員
0.5
家族や親族
0.0
その他
60
76.1
支援団体(ふるさとの会等)職員
他の人に
教えても
らった
51.2%
40
9.6
n=209
(9)健康関連QOL尺度(SF-8)
健康関連QOL尺度(SF-8)を利用し、ふるさとの会利用者の心身の健康状態の計
測を行った。
その結果、身体的サマリースコア(PCS)は男女とも 2007 年国民標準値を大きく下
回っており、年代別では 40~50 代の利用者で国民標準値からの乖離が大きい。
精神的サマリースコア(MCS)は、身体的サマリースコアほどではないが男女ともに国
民標準値を下回っている。また、年代別では 20~40 代の利用者のスコアが国民標準値
を著しく下回る結果となった。
図 表 3-124
全体的な健康状態
0
最高に良い
20
60
5.1
とても良い
日常活動が身体的理由で
妨げられた程度
0
20
40
%
40
ぜんぜん妨げられな
かった
8.6
良い
43.4
良くない
体を使う日常活動が
できなかった
4.5
無回答
1.9
n=684
20
40
ぜんぜん妨げられな
かった
わずかに妨げられた
25.1
かなり元気だった
少し元気だった
わずかに元気だった
ぜんぜん元気でな
かった
無回答
60
10.4
非常に元気だった
13.7
かなり妨げられた
n=684
3.8
0
5.0
n=684
無回答
53.5
48.6
48.9
48.3
51.4
48.6
48.5
51
47.5
47
44.8
45
41
39
37
45
44.9
45.1
44.5
42.9
17.7
かなり妨げられた
5.7
9.4
日常行う活動ができ
なかった
1.9
無回答
3.5
n=684
2.8
14.2
少し妨げられた
18.3
45.2
44.8
49.4
n=684
SF-8 MCS(精神的サマリースコア)
50.1
50.0
48.9
48.8
51.0
48.9
48.9
48.9
47.8
47.2
46.3
43
44.0
50.7
47.2
47.5
43.6
41
日本国民標準値
ふるさと利用者
39
37
35
35
全体 男性 女性 20代 30代 40代 50代 60代 70代
39.0
日本国民標準値
ふるさと利用者
36.9
全体 男性 女性 20代 30代 40代 50代 60代 70代
79
%
60
53.4
わずかに妨げられた
21.9
49
49.5
47
n=684
日常活動が心理的な理由で
妨げられた程度
0
20
40
53
49
43
1.8
40
15.8
平均値
55
53
51
2.3
無回答
健 康関 連 QO L 総合 評 価 結果 ( 国民 標 準値 との比 較 )
SF-8 PCS(身体的サマリースコア)
49.7
17.1
8.8
%
60
ぜんぜん妨げられな
35.5
かった
20
非常に悩まされた
23.7
非常に激しい痛み
心理的な問題(不安、気分の落ち
込み、イライラ)に悩まされた程度
かなり悩まされた
10.7
強い痛み
%
60
33.6
中くらいの痛み
n=684
少し悩まされた
6.9
無回答
図 表 3-125
平均値
55
無回答
15.8
つきあいができなかっ
た
5.3
2.9
ぜんぜん悩まされな
50.7
かった
わずかに悩まされた
11.0
少し妨げられた
43.3
2.2
2.2
40
12.7
軽い痛み
11.7
いつもの仕事ができ
なかった
n=684
20
かすかな痛み
18.3
かなり妨げられた
2.5
0
15.9
少し妨げられた
17.0
身体の痛み
%
60
47.4ぜんぜんなかった
わずかに妨げられた
家族や友人とのつきあいが身体・
心理的理由で妨げられた程度 %
0
20
40
60
%
元気の程度
0
無回答
ぜんぜん妨げられな
かった
22.1
かなり妨げられた
7.5
ぜんぜん良くない
15.2
少し妨げられた
仕事(家事)が身体的理由で
妨げられた程度
0
20
40
%
60
41.1
わずかに妨げられた
28.9
あまり良くない
健 康関 連 QO L 尺度 回 答 状況
図 表 3-126
健 康関 連 QO L 8項 目 別 評価 結 果( 国 民標 準値と の 比 較)
SF-8平均値の比較<対象者全体>
PF(身体機能)
55
MH(心の健康)
50
RP(日常役割機能身体)
45
40
RE(日常役割機能精神)
35
BP(身体の痛み)
SF(社会生活機能)
GH(全体的健康観)
VT(活力)
日本国民標準値
SF-8平均値の比較<男性>
ふるさと利用者
SF-8平均値の比較<女性>
PF(身体機能)
55
MH(心の健康)
PF(身体機能)
55
50
RP(日常役割機能身体)
MH(心の健康)
45
40
35
BP(身体の痛み)
SF(社会生活機能)
RE(日常役割機能精神)
GH(全体的健康観)
35
日本国民標準値
日本国民標準値
50
PF(身体機能)
55
RP(日常役割機能身体)
MH(心の健康)
35
RE(日常役割機能精神)
BP(身体の痛み)
SF(社会生活機能)
VT(活力)
BP(身体の痛み)
GH(全体的健康観)
VT(活力)
ふるさと利用者
日本国民標準値
ふるさと利用者
SF-8平均値の比較<50代男女>
SF-8平均値の比較<40代男女>
PF(身体機能)
55
PF(身体機能)
55
50
35
SF(社会生活機能)
GH(全体的健康観)
RP(日常役割機能身体)
MH(心の健康)
50
RP(日常役割機能身体)
45
45
40
40
35
RE(日常役割機能精神)
BP(身体の痛み)
SF(社会生活機能)
35
BP(身体の痛み)
SF(社会生活機能)
GH(全体的健康観)
GH(全体的健康観)
VT(活力)
VT(活力)
日本国民標準値
RP(日常役割機能身体)
40
40
RE(日常役割機能精神)
50
45
45
MH(心の健康)
ふるさと利用者
SF-8平均値の比較<30代男女>
PF(身体機能)
55
日本国民標準値
GH(全体的健康観)
VT(活力)
ふるさと利用者
SF-8平均値の比較<20代男女>
RE(日常役割機能精神)
BP(身体の痛み)
SF(社会生活機能)
VT(活力)
MH(心の健康)
RP(日常役割機能身体)
45
40
RE(日常役割機能精神)
50
日本国民標準値
ふるさと利用者
80
ふるさと利用者
図 表 3-126
健 康関 連 QO L 8項 目 別 評価 結 果( 国 民標 準値と の 比 較)
SF-8平均値の比較<70代男女>
SF-8平均値の比較<60代男女>
PF(身体機能)
55
PF(身体機能)
55
MH(心の健康)
50
RP(日常役割機能身体)
MH(心の健康)
45
40
35
RE(日常役割機能精神)
BP(身体の痛み)
SF(社会生活機能)
35
BP(身体の痛み)
SF(社会生活機能)
GH(全体的健康観)
GH(全体的健康観)
VT(活力)
VT(活力)
日本国民標準値
RP(日常役割機能身体)
45
40
RE(日常役割機能精神)
50
ふるさと利用者
日本国民標準値
81
ふるさと利用者
(10)困っていること、手助けして欲しいこと、ふるさとの会職員への要望
以下に、調査回答者が現在困っていること、手助けして欲しいこと、ふるさとの会職員
への要望等についての自由記述を示す。
○ 衣類
・保護費では、下着など衣類が購入できない。寄附品でも良いので衣類が欲しい。/・洋服が欲しい。
○ 食事
・食事の肉が硬くて食べられない。
・食事が美味しくない(8 件)。せめて並のクオリティーにしてほしい。
・もっとうまい飯が喰いたい。力が出るから。
・昼食抜きでもよい。朝食をおいしくしてほしい。
・食事が良くない。特に朝食。もっと栄養のある物(玉子焼、ハム等)。もう献立を工夫して欲しい。
・沖縄料理が食べたい。
・食事のメニューを多くして欲しい。食事の味つけをもう少し上手くして欲しい。
・食事で提共される物が、食べられる食事が少ない。/・食事が少ない。
・食事の味つけをしっかり、おいしくして欲しい。今の食事は、味がない。
・ごはんがやわらかすぎる。
・食事の時間がわからない。ちゃんと呼びに来てほしい。
○ 相談支援
<居所:自宅(アパートなど)>
・たまに話し相手がほしい。
・知らない事が多いので相談にのってほしいです。
・急に腰痛になったり寝込んでしまった時のその間の生活が可能でない時におちいった場合の相談。
・避難場所を教えてほしい(3 件)。
・けいたいでんわのこうにゅう支援。
・事務上の相談(手伝い)。
・毎月訪問に来 てもらいた い。→その前ま で(最近は 、毎月きてくれ ているから よいが。)しか も、
行 っ て も 、 担 当 が い な か った 。 前 ま で の 担 当 者 は 電 話の み の 、 人 が 多 く 、 顔 を みな い と 体 調 と か
わからないので、必ず月1回は来てほしい。
・ふるさとの会がれんらくとれなくなったら家に確認をとりにきてもらいたい。→生きているか、死
んでいるかを見守ってほしい。
・訪問時会えないためもっと来てほしい。/・時々の訪問。/・訪問方法の徹底。/・訪問の日時を
決めて下さい。
・ふるさとが定期的に顔見に来てくれればいい。
<居所:精神障害者 GH・ CH>
・アパート転宅後環境変わるのが不安、訪門してほしい。
・金銭的やりくりに関するアドバイスが欲しい。
<居所:自立準備ホーム>
・土地が不安内なので場所などを教えて欲しい。
<居所:自立援助ホーム等>
・使える社会サービスの種類、使い方を教えてほしい。
<居所:ゲストハウス>
・死後のこと(財産、遺骨)について、相談にのってほしい。
82
○ 住まい
<居所:自宅(アパートなど>
・部屋が狭い。フロがない。
・今の住所をうつりたい。できるだけ都営住宅へ入りたい。書類を出しているが…。
・アパート探し。・保証人。(保証会社)
・都営住宅の申し込みを行っているが、なかなか当たらない。早く一人生活がしたい。
・出来たらもう少しちゃんとした部屋にトイレフロ付きの場所へ移りたい!
・毛布がほしい。
・アパート更新の手続きをまちがわずに適切に行って下さい!!
・もし、自分が健康じゃなくなったら日本堤の施設に入れてほしい。
・ついのすみかについて気になるので、また話がききたい。いつか共同生活したい。
・ゴミの捨てる場所がない。流しがせまく自炊が出来ない。冬はすきま風が入って来てとにかく寒い。
夏は冷房がなく暑い。
・階段が急すぎる。
・今の住まいの隣にマンションが建ち、日当りが悪くなった。1年前から。電気代、暖房代がかかる
が 、 家 賃 は そ の ま ま で 不 満に 思 っ て い る 。 大 家 さ ん に相 談 し た い 。 ふ る さ と の 職員 が 同 行 で き る
と助かる。
・マンション入口の段差をバリアフリーにしてほしい。
<居所:精神障害者 GH・ CH>
・人との接触が可能となる交流会、社交の場を設けて欲しい。
・交流室にDVDプレーヤーがあるとよい。
・GHの住人が使える自転車があるとよい。
・アパートへの転宅・金銭的やりくりに関するアドバイスが欲しい。
・おそうじの手伝い。入浴時温かい部屋がほしい。
・浴室のガス湯わかし器に問題があるので、対応してほしい。
<居所:宿泊所・自立援助ホーム・旅館等>
・電車の音
・三晃でずっと暮らしたい。お酒も飲みません。約束も守ります。温和しくしています。ずっとここ
に居させて下さい。
・悪臭をなくして欲しい。
・入居費高い。
<居所:就労支援ホーム等>
・もう少し部屋が広いと良い。
・部屋が狭すぎる。
・現在仕事をしていますかアパートの話がケースワーカがうやむやな話で進行しないからいっしょに
ケースワーカの人と3人で話をしたい。アパートの話になったら色々助けてほしい。
<居所:自立準備ホーム>
・今後の住居をどうにかして欲しい。
・せまい
<居所:ゲストハウス>
・シェルターからの移転先について、手助けしてほしい。
<居所:旅館等>
・部屋(アパート転宅)
83
○ 生活支援
<居所:自宅(アパートなど>
・普段の買い物、(とうせき後の疲労時)その後、通院。
・食器などを、 あらってほ しい。いるいな どを、おし いれに、整理し てほしい。(あっぱくこっ せつ
のために体がうごかないから)
・食事の用意
・ヘルパーの時間が足りない。もっとサービスに入ってもらいたい。
・目が悪くなってきた(白内症)こともあり、書類の中身とか一緒に確認してもらいたい。
・ヘルパーのけいぞく。ふるさとからの訪問。
・公共料金の支払い方法。
・万が一、病院行く際(動けない時)に同行してほしい。
・道が覚えられない。
・十分満足しています。ありがたいです。体調が良くないことで、日常的なことができないこともあ
ります。
・料理できないのです。
・難しい事務とかあった時に、手伝ってほしい。
・携帯電話の購入同行。
・病気の時の買い物代行。
・体がゆうことをきかなくなってきた事。まだ大丈夫だとは思うができればヘルパーさんに来てもら
えたらうれしい。がでもまだヘルパーさんはいらない。おしっこが出てしまう。
・体調が万が一悪くなった時に、手助けしてほしい。
・そうじ
・ややこしい事務の時は一緒に見てほしい。
・部屋の片付けを手伝ってほしい。家族や親せきと連絡をとりたい。町会など、集まれる所がほしい。
<居所:自立援助ホーム等>
・夜や朝の着がえを手伝って欲しい。
・おふろトイレの手伝い。通院の手伝い。責任者がいない為言いたいことが言えない。
・職員にその都度声掛けしてもらいたい。
・病気の時、部屋のそうじをしてもらいたい。
・買いものに同行して欲しい。体が自由に利かないので車椅子に乗せて、買いものに連れて行って欲
しい。
・ヘルパーにもっと来て欲しい。
<居所:ルミエールふるさと>
・猫カフェに行きたい。/・買い物が自分が行きたい時に行けない。
<居所:就労支援ホーム>
・朝から夕方まで職員がいてほしい。年金の手続き。
<居所:精神障害者 GH・ CH>
・引越の時、荷物運びを手伝ってほしい。
・おそうじの手伝い。入浴時温かい部屋がほしい。
84
○ 就労支援
<居所:自宅(アパートなど>
・就労支援
・携帯が買えないため、就職活動がうまく行かない。代理で購入して欲しい。戸籍謄本のコピーが要
ると言われたり、手続きが大変。
・仕事上のトラブルの相談(就労あっせん)。
・特にないが、職につきたい。
・仕事の事
<居所:就労支援ホーム>
・現在、ハローワークの就職支援の担当者と仕事を探しているが、面接をくり返しても仲々、決まら
ない。「ふるさとの会」の入所のしおりにあるように、仕事の紹介を行ってほしいが一度もない。
又、早く自立したいと考えているのでアパート等の紹介もしてほしいが一度もない。
・今より給料の高い仕事を見つけてほしい。
<居所:精神障害者 GH・ CH>
・就労支援を望む。
<居所:自立準備ホーム>
・仕事が無いこと。/・仕事の件
<居所:ゲストハウス>
・仕事のこと(探している。就活にもお金がかかる)
<居所:その他>
・仕事に関する事を手助けしてほしい。/・求人情報が欲しい。/・仕事のあっせん。
○ 収入(金 銭)関係
<居所:自宅(アパートなど>
・金銭的問題(4 件)/・ 収入が少ない( 2 件)
・センターへの会費を免除してほしい。
・今後の生活保護費の減額に困る。
・ギャンブルへのお金のやりくり、調整。
<居所:宿泊所・自立援助ホーム・旅館>
・お金をもっともらいたい(6 件)
・通院のこと。・費用がかかる。生保減額の不安。・これからのこと。
・小づかいを多くしてほしい。昼食抜きでもよい。朝食をおいしくしてほしい。
・お金。月6千円しか収入がないのでもっと増やしたい。
・金銭面。入居費高い。
・自分のお金が自由にならない。
<居所:就労支援ホーム>
・お金が少ない。・お酒がのめない。
<居所:ゲストハウス>
・お金のこと(アクティブで、行動するのにお金がかかる)。
85
○ 健康・医 療
<居所:自宅(アパートなど>
・不眠、過食、おうと、げんちょう
・今後の体調悪化したときの介護のこととか。
・病気のため、食事・運動・仕事に制限があること。
・体がゆうことをき かなくなってきた事。まだ大丈夫だとは思うができればヘルパーさんに来てもら
えたらうれしい。がでもまだヘルパーさんはいらない。おしっこが出てしまう。(再掲)
・まずは病気について入院、治りょうをやることが第一で、それ以外は、あまり考えない様にしてお
ります。これからもよろしくお願いします。
・健康上の不安。
・医療費が高い。
・目がよくみえない。文字がよめないから書類などきても困る。足腰が弱い。外が歩くのが恐い(バ
ス、車道の段差)。
<居所:宿泊所・自立援助ホーム・旅館>
・病気を治したい。/・早く健康になりたい。
・目が見えない。/・腰が痛い、頭痛
・手足が不自由。/・足が不自由。/・足が直って欲しい。
<居所:精神障害者 GH・ CH>
・ケガ、入院を心配している。
<居所:自立準備ホーム>
・体調がすぐれない。
<居所:その他>
・背中が痛い。医師は取りあってくれない。呼吸が苦しいと感じることもある。なんでもないと言わ
れるのが辛い。
○ 人づきあ い、近隣 との関係 等
<居所:自宅(アパートなど>
・隣人(両側)の迷惑行為
・両さいどが、うるさくって…眠れない。
・静かにしていてほしい。
・階上の居住者が、精神疾患が あり、大変うるさい。入居時に知らされてない。入居してしまったら、
もう転居もさせてもらえない。不眠になった。
・アパートとなりの人のイヤガラセでほとんど寝られない。
<居所:宿泊所・自立援助ホーム・旅館>
・利用者間(宿泊所)の暴力問題。
・職員や利用者と関わるのが大変だった。職員がすぐに替わってしまうのが困る。
<居所:就労支援ホーム>
・他の利用者との、関わり方。
・自分は、タバコの煙が、嫌である。生活において、ここでの人間関係は、最低である。いろいろな
人間が、いるので、リラックスできない。
・同居人の騒音
<居所:精神障害者 GH・ CH>
・人との接触が可能となる交流会、社交の場を設けて欲しい。
86
○ 職員への 要望等
<居所:自宅(アパートなど>
・仕事ができる人とそうでない人の差が激しい。なるべく仕事ができる人の方へ近づくよう努力して
欲しい。自分はこの仕事で給料をもらっているという自覚をもって日々努力して欲しい!!
・職員のレスポンスが遅い。(折り返しの電話)
・職員のはがきは届くけど担当しか名前がわからないから名ふだとかつけてくれたら。
・新しい職員が入った際に古い職員が利用者の情報を必ず伝て欲しい。そうでないと不安になる。
・担当者(○○○)から代わる事に対して、まだしばらくは、代わる事のないようにこれからも、○
○ ○ で お 願 い い た し ま す 。前 の よ う に 1 年 に 1 ~ 2 回し か こ な い 人 間 に 代 え る ので あ れ ば そ の つ
どお話しをしましょう。
<居所:宿泊所・自立援助ホーム・旅館>
・職員や利用者と関わるのが大変だった。職員がすぐに替わってしまうのが困る。
<居所:就労支援ホーム>
・ふるさとの会の人材不足によるものと思われるのですが、何に対しても事後対応で問題についての
対 応 が 悪 す ぎ る こ と と 、 お金 に 対 し て 非 常 に ル ー ズ でい つ 支 給 日 で あ る と か ま った く わ か ら ず 、
予定が立てにくいこと。問題のある人間も時間が無いのかそのまま放ち状態。
○ その他
<居所:自宅(アパートなど>
・ケータイの操作方法を教えてもらっている。
・避難場所のかくにん。けいたいでんわのこうにゅう支援。
・酒のないイベ ントは参加 しない。・ガレ ージセール が墨田でやって いた時は参 加したが今は遠 くな
って(不便)だから参加しなくなった。
・ふるさとの会のイベントを、たまには土日にやってほしい。
第3節 高齢化社会における生活困窮者-認知機能調査の必要性
・¥1000の意味がわからない。保証人やらないのと¥1000のかんけいが不明。
・外に出るきっかけ作り(ボランティアでも何でも)を手伝ってほしい。家にいて、仕事もなく酒を
飲んでダラダラ…金の無駄使い。それを防ぎたい。
・イベントをこれまでどおりに続けてほしい。
・周りの人に生活保ゴって知られるのが嫌だ。ふるさとにはかかわりは¥1000はらっているだけ
だから…。困ったら相談に行くかも。
・家族や新せきと連絡をとりたい。・町会など、集まれる所がほしい。
・けいたい
・1人で、出来るだけ、やる。
<居所:宿泊所・自立援助ホーム・旅館>
・今までどおりして欲しい。
・娘達を幸せにしてやりたい。
・福祉行政をしっかり作っていって欲しい。
・出来るだけ早く、新宿のアパートで自立したい。/・自立/・少い自由を!!
・かんし、びこうするのをやめてほしい。胸に発信器を送り込まれ送信機能が動作しているので、医
療でとってもらって、就業したい。
<居所:ルミエールふるさと>
・前住んでいた場所へ置いてきた荷物はどうなったか心配。
<居所:就労支援ホーム>
・お酒がのめない。/・夜(門限すぎ)に出歩きたい。
87
3.考察
本調査は、地域における生活困窮者の実態と支援ニーズを調査し、居住確保のあり
方、有効な支援体制モデルの検討、地域で包括的に支援する制度的枠組みの提言の基
礎資料とすることを目的に実施された。調査対象者が「ふるさとの会」の利用者に限
定されていることから、地域での支援を必要とする生活困窮者・生活保護受給者の総
体を反映するものではないが、生活支援を必要としている生活困窮者の実態について、
保健・医療・福祉・介護および生活支援という多角的な視点から把握する貴重な調査
になったと考えられる。ここでは、今回の調査結果データから読み取ることのできる
生活困窮者・生活保護受給者の実態と生活支援ニーズについて、(1)住まいの喪失の背
景と居住支援ニーズ、(2)社会的ネットワークの状況と生活支援ニーズ、 (3)健康状態
の特徴と保健・医療・福祉ニーズ、(4)今後発展させるべき支援の 4 つの視点から考察
する。
(1)住まいの喪失の背景と居住支援ニーズ
ふるさとの会を最初に利用した理由あるいは利用時に抱えていた問題等によると、
住まいの喪失(住まいのない状態を含む)を理由に利用に至った者は約 6 割である。
「住
まいを失った理由」の内訳をみると、「福祉施設や宿泊所等からの退去」が 37.1%と最
も多い。
「福祉施設」には、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム等の高齢者施設や障
害者施設など、長期的な居住の場としての機能を備えた施設も含まれるが、緊急的な
利用や、施設内でのトラブルがあった場合は退去となり、住まいのない状態になるこ
とが考えられる。「宿泊所」の場合、ADL の低下や認知症の発症などによって介護ニー
ズが発生したために退去となり、住まいのない状態になることが考えられる。その他
の理由では、割合の多い順に「失業と共に居所を喪失(社員寮・住み込み等)」17.1%、
「アパート解体等による立ち退き」9.3%、
「本人の病状悪化」7.1%となっている。また、
生活保護を受給している場合、入院が長期化するか、刑事施設に収容された場合はア
パートを引き払う必要があるため、退院時(退所時)にあらためて住まいの確保が必
要になる。これらのことから、生活困窮者・生活保護受給者は、預貯金を持っておら
ず、一時的に頼ることのできる家族や親族がいないために、通常であれば住まいの喪
失にまで至らずに済むようなライフイベント(失業、ADL の低下、長期入院など)によ
って、住まいを喪失しやすい状況にあると考えられる。
(2)社会的ネットワークの状況と生活支援ニーズ
職員記入シートの家族状況の結果をみると、同居家族がいる利用者は 1.3%のみで、
ほとんどの利用者が単身世帯である。さらに家族とのつながりをみると、
「家族とのつ
ながりが全くない」と「危篤状態など特別な状況のみ連絡のとれる家族がいる」を合
わせて 69.1%となっている。利用者記入シートでは、家族・親族との連絡が「ない」と
回答した割合が 69.7%であり、職員記入の結果とほぼ一致している。このように約 7
割の利用者は家族や親族とのつながりのない状態である。一方、普段話をしたり、ち
88
ょっとした相談をする人が「いる」と回答した割合は 76.0%であり、相談相手は、「支
援団体(ふるさとの会等)職員」58.7%、「友人や知人」48.3%が多い。また、相談者も
家族との連絡もない孤立状態にあると回答した利用者は 5.8%、相談者がふるさとの会
職員のみと回答した利用者は 11.5%であった。
生活支援の実施状況(最近1ヶ月間)の結果をみると、
「安心生活の保持(寂しいとき
や困ったときに相談にのる、利用者の味方になって対応する、定期的に訪問して安否
確認をするなど)」が 63.6%と最も高い割合になっている。その他の理由では、割合の
多い順に「社会サービス・コーディネート(診療所や看護師、地域包括、行政など関
係機関と連絡調整をするなど)」35.8%、
「居住環境の保持」34.6%、
「健康の保持」29.7%
などと続いている。これらは、何か困った時に一緒に考えたり、寂しい時に気持ちが
落ち着くまで付き合ったりするような安心した人間関係 を基盤とした支援であって、
居所別(自宅(アパートなど)、自立援助ホーム等、就労支援ホーム等)で比較した場
合においても、共通して実施されている支援となっている。
以上のことから、家族とのつながりのない単身の生活困窮者・生活保護受給者の生
活支援においては、日常的に相談できるような人間関係を基盤とした「安心生活のた
めの支援」が求められていると考えられる。また、相談者がいないと感じている利用
者や相談相手がふるさとの会職員のみである利用者も利用期間の長短に関わらず少な
くないことや自宅(アパートなど)で暮らしている利用 者の約 2 割が孤独死の心配が
あると回答していることから、今後の互助づくり(仲間づくり)の取り組みの中で、
友人や近隣とのつながりが広がるような工夫をすることが求められる。
(3)健康状態の特徴と保健・医療・福祉ニーズ
「ふるさとの会」では、高齢の利用者の割合が高いものの、幅広い年齢層の生活困
窮者・生活保護受給者が利用している。このため、40 歳未満、40 歳以上 65 歳未満、
65 歳以上に分けて検討する。
40 歳未満の利用者の健康状態をみると、精神的な健康度が他の年齢層に比べて低い
という特徴がある。健康関連 QOL 尺度(SF-8)では精神的サマリースコアが 20 歳代~40
歳代で国民標準値を大きく下回っている。また、疾病既往の内容では「何らかの精神
疾患」に罹患した割合が最も高く 51.6%であった。障害者手帳の所持の状況をみると、
精神保健福祉手帳が 35.5%と最も高く、次いで愛の手帳(療育手帳)が 6.5%となって
おり、22.6%が精神障害者グループホーム・ケアホームを利用している。就労状況をみ
ると 45.2%が就労しており、そのうち、「ふるさとの会」が就労先となっている利用者
は 50%である。今回の悉皆調査での 40 歳未満の回答数は 31 名と少ないことから若年の
生活困窮者のごく一部の実態をとらえたに過ぎないが、地域の精神保健医療サービス
と連携した支援が求められていると考えられる。
40 歳以上 65 歳未満の利用者の健康状態では、それ以上の年齢層同様に「生活習慣病」
に罹患している者の割合が約 3 割と高かった。また、
「何らかの精神疾患」に罹患して
いる者は約 2 割であった。健康関連 QOL 尺度(SF-8)の結果では、40 歳代と 50 歳代の
身体的サマリースコア及び精神的サマリースコアが共に国民標準値より大きく下回っ
89
ている。長期にわたって生活習慣病などの慢性 疾患を抱えて生活する利用者が少なく
ないことから、医療機関との連携による健康管理や健康保持のための取り組みが重要
と思われる。
65 歳以上の利用者の健康状態をみると、健康関連 QOL 尺度(SF-8)の結果では、身
体的サマリースコアは国民標準値とほぼ同レベルであり、精神的サマリースコアは国
民標準値をやや下回る結果となっている。また、今回の悉皆調査では、 65 歳以上の対
象者すべてに認知症スクリーニング項目を加えているが、その結果においては、認知
症が疑われる者の割合が実際に認知症の診断を受けている者よりも多い結果となって
いる。このことは生活困窮者・生活保護受給者において、潜在的認知症患者が多い可
能性があることを示唆するものであり、認知症以外の精神疾患に罹患している者も少
なくないと考えられることから、本調査の結果に基づく詳細な二次調査の必要性を示
すものである。生活困窮者における認知症調査の必要性については、本報告書の岡村
の報告を参照されたい。
(4)今後発展させるべき支援
以上のことから生活困窮者・生活保護受給者が様々なライフイベント(失業、 ADL
の低下、病気の発症など)に遭遇した場合に、日常生活の基盤となっている「住まい 」
や「顔なじみの関係」を喪失することのない(一時的に居所を喪失してしまった場合
であってもスムーズにあらたな居住確保のできる)支援体制を構築していく必要があ
る。また、居住支援と職員による訪問活動だけでは孤立の防止に限界があることから、
仲間づくりのための支援と一体に居住支援や生活支援のあり方を模索していくことが
重要であると考える。
さらに、全ての年齢層に共通して、重い病気にかかったり、寝たきりなどの状態に
なってしまった時に心配なことが「ある」と回答している利用者は約半数であり、そ
の内訳で多かった心配ごとの内容は 「介護のこと」54.5%、「医療のこと」44.2%、「住
まいのこと」37.9%であった。65 歳以上 75 歳未満の利用者の 4.6%、75 歳以上の利用者
の 10.9%が「がん(既往を含む)」であることから、がんや難病等の重篤な病気になっ
た場合に備えて、医療、介護も含めて、地域で包括的に支援する体制をつくっていく
ことが求められている。
90
第2節
高齢化社会における生活困窮者-認知機能調査の必要性
はじめに
我が国の生活困窮者における悉皆的、包括的な調査の報告は調べた限りでは見いだ
せないため、代表性の問題はあるものの、この調査結果は今後の生活困窮者支援の政
策作りにおける重要な基礎情報となると思われる。従って調査結果は複数の専門家に
よって多面的に検討されるべき重要な公共の資産である。我々のグループは高齢者の
精神や認知機能をテーマとした研究活動を行なってきているため、高齢者の精神およ
び認知機能という観点から結果を考察する。特に生活困窮者において潜在的認知症患
者が多い可能性を指摘した上で、この調査の結果に基づく詳細な二次調査の必要性に
ついて言及したい。
調査結果に見られる生活困窮者の高齢化
今回の調査対象 684 名のうち、65 歳以上の高齢者が 309 名(45.2%)をしめた。
今回の調査対象は大きく分けると自宅などの在住し支援を受けているもの(地域在
住生活困窮者)と宿泊所等に在住し支援を受けているもの(共居生活困窮者)に分け
られる。地域在住生活困窮者 344 名のうち 60 歳以上は 62.8%をしめた一方、共居生活
困窮者 230 名のうち 60 歳以上は 84.8%を占め、共居ではより高齢者が多いことが示さ
れた。
調査結果に見られる生活困窮者の認知症
認知症に関しては、65 歳以上の調査対象 309 名のうち 27 名(8.7%)が認知症の診断を
受けていた。また診断は受けていないものの支援スタッフからみて認知症を有すると
疑われているものは 33 名(10.7%)であった。
ところで医療現場では「意欲が低下した」「身の回りのことをしなくなった」「性格
が変わった」等を訴えるものが精神科等の外来を受診し(あるいは家族によって受診
させられ)、アルツハイマー型認知症(意欲の低下等が多く見られる)、血管性認知症
(注意障害による身の回りの管理能力の喪失等が見られる)、前頭葉側頭葉変性症(性
格変化等が見られる)等と診断されることは多いが、診断を受けるまでは家族や 介護
者や紹介元医師(かかりつけ医)は認知症と認識していないこともしばしばある。つ
まり周囲からも認知症を疑われていないために診断されていない認知症患者が地域に
多く潜在している可能性がある。認知症と診断するためには画像診断や心理学的評価
に加えて精神神経領域を専門とする医師による診察(通常は 30 分以上かかる)が必須
であるため、ある対象集団の全員あるいは一部といった多数例に対して一定の期間に
認知症の有無の調査を行なうことは容易ではない。これに対して、高齢化の進む我が
国においてより簡易に認知症のスクリーニングを行う調 査票を開発しようという機運
がある。粟田ら
1)
は「地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメント」
(Dementia
Assessment Sheet in Community-based Integrated Care System, 以下 DASC)を開発
し報告しているが、これは 3 系列の認知機能と 3 系列の生活機能を 4 件法で評価する
18 項目の他者評価式質問票であり、感度 88%特異度 84%で軽度認知症を非認知症と弁
91
別する事が確認されている。
今回の調査において、65 歳以上の対象者全員にこの DASC を施行したところ、65 歳
以上の 309 名において、欠損値のない 262 名のデータが得られ、そのなかで 86 名が認
知症を疑う得点であった(DASC18 のカットオフ値は 28/29 を使用した)。
すなわち、ふるさとの会の支援を受けている生活困窮者のうち、 309 名の 65 歳以上
高齢者において 27 名(8.7%)が認知症と診断されていたが、支援者が認知症を疑ってい
るものを含めると 60 名(19.4%)あった。より専門的な評価尺度を用いたところ 86 名
(32.8%、有効回答 262 で除した)が認知症の可能性があった。
生活困窮者における認知機能の研究
今回の調査結果からは、生活困窮者における認知症の有病率が高い可能性が示唆さ
れた。調べ得た限りでは本邦における生活困窮者における認知症有病率の調査は見当
たらない。また海外においても認知機能低下を有する生活困窮者は先行研究が少ない
が Burra ら 2) の総説によると、4-7%が全般的な認知機能障害を有すると指摘している。
しかし諸外国の生活困窮者の認知症調査の対象者の平均年齢は、 37.6 歳(マサチュー
セッツ州の精神障害を有するシェルター在住者 116 名 3))、44.7 歳(ミュンヘンのシ
ェルター利用者 158 名、ミールサービス利用者 95 名、路上生活者 12 名、計 265 名 4))、
41.0 歳(ミルウォーキーのシェルター在住者 90 名 5))、39.8 歳(マイアミのダウンタ
ウンのシェルターにあるクリニックで、社会的支援を受けている 60 名 6))などとなっ
ていて、今回の我々の調査(平均年齢 60.9 歳)とは大きく乖離している。
生活困窮者における認知機能の調査の必要性
本邦はすでに高齢化率が 25%を超えており、今後 40 年以上かけて 40%程度まで上
昇を続ける
7)
。年齢が上昇すれば認知症の有病率は上昇するため、認知症罹患者も高
齢化率を上回る速度で増加を続けることが予想される。なかでも都市部の高齢化人口
は増加傾向にあり、東京都の高齢者人口は平成元年には 120 万人(東京都の人口の
10.3%)であったものが、平成 24 年には 270 万人(21.3%)にまで増加しており、平
成 47 年には 389 万人(30.7%)に達すると予測されている
8)
。高齢化する都市部にお
いては、独居者や単身者の増加や、地域社会の脆弱さを遠因として、認知機能の低下
を原因として適切な住環境を失うものが多数出現する可能性がある。彼らに安心でき
る安全な生活環境を提供するために、どの ような支援が効果的かを考えることは私た
ちの社会の大きな課題であるのみならず、世界の高齢化率の先頭を走る我が国の使命
であると思われる。
認知症調査の方法論
認知症の診断においては、うつ病や晩発性統合失調症等をはじめとする精神疾患の
鑑別をする必要がある。したがって認知症の疫学研究調査においては、同時に、こう
した精神疾患に関する評価が必要である。
路上生活やシェルター生活などの不安定住環境にあるものにおいては、うつ病や統
合失調症などの精神疾患の罹患率が高いという報告は多い。Nielsen ら 9) はデンマーク
92
の全国民を対象とした疫学調査において、32711 名(男性 23040 名,女性 9671 名)の
ホームレス(過去 10 年でホームレスシェルターに登録された社会保障番号の調査によ
る)を見出し、精神疾患は男性の 62.4%、女性の 36.9%にみられることを報告してい
る。このような、精神疾患を有する対象者においては自殺リスクが高いこともすでに
示されている。Desai ら
10)
は 7224 名の精神疾患を有するシェルター生活者の長期追跡
調査を行い、期間中の自殺企図歴が 51.3%にみられ、26.9%が自殺企図により入院し
たことがあり、8%が過去 1 カ月に自殺企図をしたことがあると報告している。しかし、
本邦における生活困窮者における精神疾患の疫学研究は、東京都 I 地区で路上生活者
を対象に森川ら
11)
が行った 1 調査(精神科診断と自殺リスク)があるのみである。
もっとも、生活困窮者の調査は方法論の困難が大きく、厳密な代表性を有するサン
プルにアプローチすることは現時点では不可能である。一定の限界を有する調査を重
ねることで、社会に発信していくことが現実的な戦略である。なお言葉の定義に関し
てであるが、本邦と諸外国でのホームレスの定義が異なることに留意す る必要がある。
本邦の厚生労働省の調査などでいうところのホームレスは目視確認可能な路上生活者
(狭義のホームレス)であるが、諸外国では定住する家を持たずに、シェルターや簡
易宿泊所や友人宅にいる者まで幅広い集団(広義のホームレス)なのである。諸外国
のホームレス研究というと通常はこうした幅広い生活困窮者を対象とする。
おわりに
-生活困窮者における認知症ケア試論-
以下の議論は 2013 年 3 月 23 日に著者がふるさとの会の常勤職員向けに行った認知
症の講義の一部からの転記である。
支援を必要とする集団(社会的困窮者)における認知症患者の支援はどうあるべき
であろうか。認知症の支援(認知症領域ではケアという言葉がよく使用されるが、こ
こで「ケアとは何か」という議論はひとまず置いておくこととする)のためには、歴
史的な文脈で見る認知症ケアの発展が参考になるだろう。かつて我が国の認知症ケア
は大規模施設における食事、排泄、入浴等の身体ケアが中心とされていた。徐々に単
に基本的日動生活動作の援助では不十分とされるようになり、レクリエーションや運
動などの生活の質を向上させる取り組みが注目を浴びるようになる一方、施設に入所
して集団で活動するという枠組みから、地域の小規模グループホーム等がより適切な
居場所であるとする機運が起こった(1999 年ゴールドプランなど)。さらに 2000 年の
介護保健法・成年後見法以降、介護の社会化は一層進み、2005 年の介護保険法改正に
より地域包括ケア(地域で安心して住み続けられるようにフォーマル、インフォーマ
ルなサービスを継ぎ目なく提供する)の考え方が明確化された。また「認知症があっ
ても地域で安心して暮らせる街作り」というノーマライゼーションの考え方や、
「認知
症は病気ではなく障害であり、その人に即した支援が必要」とい うパーソンセンター
ドケアの考え方も人口に膾炙するようになり、介護者にとっての「問題行動」は「行
動心理症状(BPSD; behavioral and psychological symptoms of dementia )」へと捉
えなおされ、認知症介護はかつての集団的身体ケアの時代と比べると新しい次元にあ
るように思われる。もちろん対象の多様性を考えれば正解などはなく、思想矯正の類
は慎むべきであり、常にその人にとっての幸福を考えるべきであることは言うまでも
93
ない。
認知症ケアの歴史的展開をまとめると 1)家族ケアから社会化したケア、2)身体ケア
から全人的ケア、3)問題行動から BPSD、4)集団的ケアから個別的ケア、5)施設ケアか
ら地域ケア、6)医学モデルから地域包括統合的ケアモデル、となろうか。これこそ、
1)家族がいなくても、2)末期がんでも、3)いろいろ大変な人でも寄り添い、4)その人
らしく、5)地域で、6)すべてを対象としたケアを提供するふるさとの会の実践してき
たケアと言えないだろうか。
生活困窮者における認知症調査は、生活困窮者支援の中心的課題の一つに高齢化お
よび認知症があることを実証する可能性があるため今行 うべき調査であると同時に、
適切な支援の在り方を考えるという観点からも有用と思われる。
1) 粟田主一.平成 23 年度老人保健健康等事業
地域の潜在認知症患者の早期診断に関する調
査研究事業
2) Burra TA、 Stergiopoulos V、 Rourke SB. A systematic review of cognitive deficits
in homeless adults: implications for service delivery. Can J Psychiatry. 2009;
54(2):123-33.
3) Seidman LJ、 Caplan BB、 Tolomiczenko GS、 Turner WM、 Penk WE、 Schutt RK、 Goldfinger
SM.. Neuropsychological function in homeless mentally ill individuals. J Nerv Ment
Dis. 1997; 185(1): 3-12
4) Fichter MM、 Quadflieg N. Prevalence of mental illness in homeless men in Munich、
Germany: results from a representative sample. Acta Psychiatr Scand. 2001; 103(2):
94-104
5) Solliday-McRoy C、 Campbell TC、 Melchert TP、 Young TJ、 Cisler RA. Neuropsychological
functioning of homeless men. J Nerv Ment Dis. 2004; 192(7): 471-8
6) Gonzalez EA、 Dieter JN、 Natale RA、 Tanner SL. Neuropsychological evaluation of
higher functioning homeless persons: a comparison of an abbreviated test battery to
the mini-mental state exam. J Nerv Ment Dis. 2001 Mar; 189(3): 176 -81.
7) 東京都総務局統計部
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/koureisya/kr -index.htm
8) 国 立 社 会 保 障 ・ 人 口 問 題 研 究 所 . 日 本 の 市 区 町 村 別 将 来 推 計 人 口 .
http://www.ipss.go.jp/pp-fuken/j/fuken2007/gaiyo.pdf
9) Nielsen et al. Psychiatric disorders and mortality among people in homeless shelters
in Denmark: a nationwide register-based cohort study. Lancet 2011; 377: 2205-14
10) Desai et al. Suicidal Ideation and Suicide Attempts in A Sample of Homeless People
With Mental Illness. J Nervous & Mental Disease: 2003: 191(6) 365-371
11) Morikawa S、 Uehara R、 Okuda K、 Shimizu H、 Nakamura Y. Prevalence of psychiatric
disorders among homeless people in one area of Tokyo. Jpn J Public Health. 2011; 58:
331-339 (in Japanese)
94
第4章
地域資源を活用した居住の場の
確保のためのワーキング・グループ
95
第4章要旨
第4章「地域資源を活用した居住の場の確保のためのワーキング・グループ」は、
「大
久保一丁目・二丁目の建物悉皆調査と大久保コレクティブ・タウン化計画」を実施し
た。
高齢期の居住の安定のための 3 要素は、「健康」「家族」
「経済」であるが、ふるさと
の会で支援している対象者はこの「家族」と「経済」が非常に弱い。このような人た
ちを支援するために、プロジェクトは「施設ケア」から「地域ケア」へビジネスモデ
ルを転換し、「地域・グループ居住」の提案を検討した。
一人ひとりの生活保護費、家賃 5.3 万円と生活費 7.7 万円の月 13 万円で生活支援の
費用を捻出することは到底不可能である。しかし、面的な対応をとれば、3人一緒に
互助ハウス等で共同居住するモデルが考えられる。3人家族で月額 39 万円であれば相
応の生活ができ、そこから生活支援を受けるのに必要な費用が捻出できる。地域経営、
地域マネジメントとして地域にある資源を建物も人材も活用し、質の保障された生活
が実現できる。
さらに、この金額が就労支援の人にまわれば、もしかすると未来の納税者に なるか
もしれない。つまり、生活保護費の投資から地域の経済循環を生み出す、
「地域・グル
ープ居住」による「地域経済」への波及効果という思いが前提にあった。
出発点として、プロジェクトは既存住宅を活用した、例えば古い木賃住宅でも民間
賃貸住宅を再生したような住まい方や、生活支援が必要な人達が互助の中で暮らせる
サービス付きシェアハウスのような住まい方、介護から最期の看取りまで可能なシェ
アハウス的な住まい方ができないかということで、地域資源を発掘するための悉皆調
査に着手した。
空き家の状況は、東京都では郊外よりも都心部 の方で空き家が多く、また、持家で
建てられたものはスペックとしてはかなりいいものが多いので、狙い目は持家仕様で
空き家になっているものである。
悉皆調査の結果から、大久保1丁目、2丁目の空き家・空きビルマップを作成した。
大久保1丁目では 562 棟、大久保2丁目には 1046 棟の建物があった。空き家・空き室
は、戸建ての空き家はそれほど多くなく 15 軒、アパートでは 65 棟に空き室があった。
権利関係などいろいろなことがあり放置されたままの物件もあった。意外に多かった
のが空きビルである。一方で、大久保は人が集まってくる地域で あり地域資源もそれ
なりにある。医療関連、福祉介護関連の事業所、公園もあり、またスーパーもある。
地域に居ながらにして施設と同じ機能はすべて揃っているということがわかる。
ふるさとの会では生活支援費を捻出するということもあり、本来は6畳間をとれる
ところを半分に仕切って使っているが、本当に発想の転換をして、前述のような空き
家が活用できれば、バランスが良く質のいい居住環境を実現できる。安い賃料でいい
住宅に住みたい方に賃貸できれば、ここでも経済的な循環が生み出せ、コミュニティ
ビジネスとしての可能性がある。しかし、建物 の用途変更について、目に見えない法
的な縛りがあるというジレンマもみえてきた。高度経済成長期の新築を前提とした建
築法規では、既存ストックの活用を考えていなかったため、いろいろ難しい問題があ
る。
96
シェア居住とは、一戸の大きな家の一室ずつをマイルームとして共同生活を営む形
式である。最低面積が緩和されれば低所得者向けの適正な共同居住の場は確保可能だ。
これを実現するためには、モデル事業的に既存住宅を活用したプロジェクトという方
法や、法律に関して、
「特定住宅」という新しい分類をつくって、中間的な分類を設け
るという提案がある。これらの法的縛りをどう突破していくのかは、これからの大き
な課題である。
97
地域資源を活用した居住の場の確保のためのワーキング・グループ
園田眞理子 1 、吉田幸將 2
1.プロジェクトの前提
(1)高齢期の居住の安定のための 3 要素
図 表 4-1
高 齢 期の 居 住の 安 定の た め の3 要 素
高齢期を迎えて加齢が進むと、三角形の上にあ
る「健康」レベルが低下し、三角形がつぶれてく
る。その際、三角形の下にある「家族」と「経済」
が踏ん張れば、多少ずんぐりとした三角形になる
ものの何とか頑張れる。しかし、ふるさとの会で
支援している対象者はこの「家族」と「経済」が
非常に弱い。それに重度の認知症や病気が加わる
と、「四重苦」と言われる状況になる。
特に、ふるさとの会の利用者には、認知症の人
もそうだが、潜在的にコミュニケーション障害を抱えている 人がかなりおり、本当に
何が困っているのかが伝えられない、 自ら声の出せない人をどう支援していくかが重
要になる。
図 表 4-2
「 施 設ケ ア 」か ら 「地 域 ケ ア」 へ
図 表 4-3
「 地 域」 の 普通 の 住宅 を 活 用し た
「 グ ル ープ 居 住」 の 提案
(2)「施設ケア」から「地域ケア」へ
~ビジネスモデルの転換
今までは、一か所に全部抱え込む支援モデルが
行われてきた。貧困ビジネスも、社会福祉法人や
医療法人がやっている施設ビジネスも、富裕層向
けビジネスも、ひとつの建物内に全部抱え込んで
しまうという点では、同じビジネスモデルではな
いかと考えている。それを、地域をベースにした
ものに変えようというのが「地域包括ケアシステ
ム」である。
(3)「地域・グループ居住」の提案
一人ひとりに生活保護費の家賃 5.3 万円と生活
費 7.7 万円で月 13 万円というと、生活支援の費用
を捻出することは到底不可能である。しかし、そ
れをふるさとの会が大久保や荒川、墨田で実践し
ているように地域を対象とした面的な対応をとれ
ば、13 万円ずつの人が3人一緒に互助ハウス等で
共同居住するモデルが考えられる。3人家族で月
1
2
明治大学理工学部建築学科教授
明治大学大学院理工学研究科
98
額 39 万円であれば相応の生活ができ、そこから生活支援を受けるのに必要な費用が捻
出できる。地域経営、地域マネジメントとして地域にある資源を建物も人材も活用し、
質の保障された生活が実現できる。
(4)「地域・グループ居住」による「地域経済」への波及効果
少し前の数字になるが、東京都では生活保護費
図 表 4-4
を月当たり 407 億円使っている。そのうち約5分
「 地 域・ グ ルー プ 居住 」 に よる
「 地 域 経済 」 波及 効 果
chiiki
の1が住宅扶助費で 83 億円。生活保護費の場合、
個々に対応していると、それだけのお金を使って
いながら地域には全然染み込んでいかない。 たと
えば、被保 護者たち が 3人家族に なり、家 賃 10
万円で、生活費 20 万円とすれば、月額 9 万円を生
み出すことができる。この金額が、就労支援の人
にまわれば、もしかすると未来の納税者になるか
もしれない。つまり、生活保護費の投資から地域
の経済循環を生み出す、そのようなことができな
いかという思いがこのプロジェクトの前提にあった。
2.大久保一丁目・二丁目の建物悉皆調査と大久保コレクティブ・タウン化計画
図 表 4-5
(1)大久保コレクティブ・タウン化計画
住 宅 資源 の 確保 方 法
高齢者にターゲットを絞っていくと、実は 公的
支援の手厚いところと、薄いところがある。大久
保では先駆的に都市型ケアハウスを、ふるさとの
会が地家主と手がけたわけだが、新築型だけでは
なく、既存住宅を活用した、例えば古い木賃住宅
でも民間賃貸住宅を再生したような住まい方や、
生活支援が必要な人達が互助の中で暮らせるサー
ビス付きシェアハウスのような住まい方、介護か
ら最期の看取りまで可能なシェアハウス的な住ま
い方ができないかということで、私たちのチームは出発した。
右図は、昨年の7月頃の大久保の状況である。
ケアハウスと、同じ地家主による保育所があって、
ふるさとの会はグループホームを開設していた。
私たちはもっと地域に資源があるのではないか、
住宅水準もよく安心して住めるような物件を探せ
ないかということで、この大久保1丁目、2丁目
の地域資源を発掘するための悉皆調査に着手した。
99
図 表 4-6
大 久 保コ レ クテ ィ ブ・ タ ウ ン化 計
画
図 表 4-7
(2)空き家率の状況
新 宿 区の 空 き家 率 :家 主 側 の事 情
実は現在の日本は空き家だらけになっている。
新宿区全体では 12.6%の空き家があり、賃貸住
宅に限ってみると 15%(6 戸に 1 戸)が空いてい
る。家主も実は何とかしたいと思っているのだ
が、建て替えても空き室が増えるばかりで、家
賃を下げると高齢者や低所得の人が入り孤独死
したら困ると考え、そのため空き家にしたまま
という状態になっている。さらに言えば、地家
主は相続の問題を抱えており対処に困っている。
図 表 4-8
東 京 都と 区 部に お ける 空 き 家数 の 経年 変 化
資産を持っている人が幸せかというと、実はそ
うでもない状況がある。
東京都区部と東京都全体での空き家の増え方
をみると、見事なくらいに右肩上がりで増加し
ている。東京都はちょうど日本全体の 10 分の1
だが、東京都全体で 75 万戸の空き家がある。意
外に思うかもしれないが、現時点では郊外より
も都心部の方で空き家が多く、55 万戸くらいの
空き家がある。
もうひとつ重要な点は、賃貸物件の空き家は確かに多いが、今起きているのは持ち
家の空き家現象である。日本の住宅は、持家でつくられたか、借家を前提につくられ
たかで、設備水準と住宅の広さが全然違う。持 家で建てられたものはスペックとして
はかなりいいものが多いので、狙い目としては、実は持 家仕様で空き家になっている
ものである。
図 表 4-9
ふ る さと の 会の 朝 日旅 館 の 間取 り
(3) 大久保1丁目・2丁目の建物悉皆調査
ふるさとの会は、右図のとおり、台東区、墨
田区、新宿区で、共同居住等いろいろな事業を
展開している。大久保では普通のアパートや普
通の住宅で遊休資源がないのかを発掘すること
とした。
調査は対象地域内の建物すべてを対象とした
悉皆調査とした。学生やふるさとの会職員など
が目視でガスメーターや電気メーター等も見な
がら、空き家がどのくらいあるのかを昨年の夏
に調査した。
100
図 表 4-10
大 久 保 1 丁 目・ 2 丁 目 地 域に よ る悉 皆 調査
図 表 4-11
悉 皆 調査 の 集計 結果
調査の結果、大久保1丁目では 562 棟、大久
保2丁目には 1046 棟の建物があった。大久保 2
丁目の方が、建物密度が高い。この中で空き家・
空き室は、戸建ての空き家はそれほど多くなく
15 軒、アパートでは 65 棟に空き室があった。
この結果から大久保1丁目、2丁目の空き
家・空きビルマップを作成した。意外に多かっ
たのが空きビルである。これは昨年の竹島問題
が起きる前の調査であり、もしかすると現在で
はもっと空きビルが増えている可能性がある 。大久保はとても新陳代謝が激しく建物
の利用され方も時々刻々変化しているように思われる。
一方で、大久保は人が集まってくる地域であり地域資源も それなりにある。医療関
連、福祉介護関連の事業所、公園もあり、またスーパーもある。
このように地図にプロットしてみると、どこに空き家があると、どのように活用で
きそうだとか、生活の利便性がどうかということが可視化できる。いろいろな地域資
源をみながら、医療と福祉と買い物などの利便性を満たせるようなところを円でマッ
ピングし、円の範囲程度で様々なネットワークをつくっていくと、地域に居ながらに
して施設と同じ機能はすべて揃っているということがわかる。
図 表 4-12
空 き 家・ 空 きビ ルの 所 在 と活 用 方法
図 表 4-13
空き家のなかには、なぜかほとんど空いてい
るアパートや、戸建住宅がある。ふるさとの会
で登記簿を調べたある物件では、相続により権
利関係がすごく複雑な事例もあった。親御さん
から兄弟が相続し、その兄弟も地方と都内の
別々のところに居住し、さらにその一方が亡く
なられて、その娘さんが相続している。おじさ
んと姪の両方の名前が記載されているが、両者
とも住んでおらず空き家になっているというケ
ース。おそらく相続や権利関係で非常に困って
いると思われる。権利関係などいろいろなこと
があり放置されたままの物件がある。
101
大 久 保 1 丁 目・ 2 丁 目 の 地域 資 源
図 表 4-14
悉 皆 調査 の 結論
(4)まちカフェ・ふるさと
図 表 4-15
現在、まちカフェになっている場所だが、
地 域 の空 き 家・ 空き ビ ル 等を
活 用 し たケ ー スス タ ディ
写真は、昨年の夏に、ここでどんなことが
できるのかというシミュレーションを行っ
た時のものである。段ボール製の家具を使
って「こんな雰囲気になります」という 提
案をし、利用する可能性のある人に来ても
らい意見を出してもらった。
「このカウンタ
ーは高すぎるよ」とか、
「止まり木が高すぎ
るよ」とか、
「メニューはどんなものがある
のか」とか、すごく盛り上がり、参加者の
目の輝きが変わったのが、すごく印象的だった。そのあとはふるさとの会が本設を行
い、現在では多くの人に利用されている。
(5)既存ストック活用に際しての課題
悉皆調査のあと、ふるさとの会ではいろいろな不動産屋との付き合いが深まったり、
地域の方々と情報交換するなかで、意外に利用されない資源があることもわかってき
た。しかし、その一方で、建物の用途変更について、目に見えない法的な縛りがある
というジレンマもみえてきた。
例えば、商店街にあるビルの2階で、元はクリニックだったところを グループホーム
にできないか検討してみたが、事務所ビルでつくられているため、住居用途にしよう
とすると、法的にいろいろクリアすべき問題がある。例えば、各居室に採光のための
窓をとる必要があるが、このようなオフィスビルは窓がついていないので、居室に採
光窓を取り付けようとすると、とてもお金がかかってしまう。住居でなくホテルであ
れば採光面積はいらなくなるが、ホテルと言ってしまうと、今度は防火上のいろいろ
な規定がかかってきたりする。高度経済成長期の新築を 前提とした建築法規では、既
存ストックの活用を考えていなかったため、 いろいろ難しい問題がある。
さらに、二世帯住宅でほとんど手を加えずにいける物件 があった。独立した部屋が
7室と大きなリビングがとれ、キッチンがあり、スタッフの部屋もとれる。家賃もこ
の人数で住むのであれば大丈夫なのだが、ここでもやはり建築法規の問題がある。延
床面積が 100 ㎡を超える場合、8人家族で住めば全然問題ないのだが、8人の人が別々
の人だ(家族ではない)と言ってしまうと、住宅ではなく寄宿舎の扱いになってしま
う。これは認知症のグループホームも同じ扱いだが、そうなるとスプリンクラーの設
置など設備面で厳しくなってくる。今、若い人たちの間でシェアハウスが爆発的に増
えているが、きちんと考えると実はグレーな状態 である。その辺がなかなか難しい。
ふるさとの会では生活支援費を捻出するということもあり、本来は6畳間をとれる
ところを半分に仕切って使っているが、本当に発想の転換 をして、前述のような空き
家が活用できれば、バランスが良く質のいい居住環境をつくろうと思えば 実現できる。
不動産を持っている人がみな富裕層というわけではな く、資産は遊休化しており、
どう使ってよいかがわからない状況にある。一方、入居者は安い賃料でいい住宅に住
102
みたい。これは低所得の人たちだけではない。ここを媒介する存在が必要になってい
る。媒介する人たちが、遊休化している資産に対してリノベーションの提案をして借
り上げるなどして、借りたい方に賃貸できれば、ここでも 経済的な循環が生み出せる。
コミュニティビジネスとしての可能性がある。
図 表 4-16
既 存 住宅 ス トッ クを 活 用 した 住 宅確 保 事業
昨年、国土交通省が民間賃貸住宅再生型住宅セー
フティネット整備事業を東京都で行おうとしたが、
一戸も成立しなかった。その理由は、制度が「一戸」
という概念しかないため、最低面積が 18 ㎡以上に
設定されており、東京都はそれを緩和して 13 ㎡と
したのだが、13 ㎡をクリアしたシェアハウスはあり
得ない。アパートか、極小のワンルームマンション
しか該当しない。
シェア居住とは、一戸の大きな家の一室ずつをマ
イルームとして共同生活を営む形式である。したが
って、一室あたりの基準として最低6畳(10 ㎡)以
図 表 4-17
国 土 交通 省 の制 度活 用
図 表 4-18
( 参 考) 事 業収 支構 造
上とか、認知症グループホームのように4畳半以上
まで緩和されれば低所得者向けの適正な共同居住
の場は確保可能だ。
これを実現するために、どこを突破したらよいの
かという議論も始まっている。豊島区では千葉大の
小林先生が中心となって居住支援協議会をつくっ
ているのだが、小林先生が提案されているのは、一
つは、住宅の建物だけを見ていては質がわからない
ので、運営者を選定し、モデル事業的に既存住宅を
活用したプロジェクトをやってもらおうという方
法である。そこでは、補助金を投入する際に既存住
宅を活用する事業運営者を選び、そのクオリティを
ジャッジしてはどうかという提案である。
もう一つは、 法律に関して、「特定住宅 」という
新しい分類をつくって、住宅でなければいきなり寄
宿舎や社会福祉施設になってしまうその間に、中間
的な分類を設けるという提案である。但し、それも
現時点では国土交通省サイドのガードが堅い。そう
言っていても埒が明かないので、例えばスプリンクラーであれば基準がクリアできる
簡易型の技術開発を行い、そこでクリアしてしまうほうが案外早道ではないかと思っ
たりしている。
これらの法的縛りをどう突破していくのかは、これからの大きな課題である。
103
104
特
論
「生活支援と在宅医療・介護の連携が可能にする地域包括支援」
シンポジウム報告(要旨)
105
特論
「生活支援と在宅医療・介護の連携が可能にする地域包括支援」
シンポジウム要旨
「認知症になっても、がんになっても、障害があっても、家族やお金がなくても、
地域で孤立せず最期まで暮らせるように」いま何ができるのか、なにが求められて
いるのかを在宅医療、生活困窮者支援、精神保健、訪問看護などの立場から講師が
集まり議論した。
「地域の生活者を支え る医療-医療と介護の 連携から-」
東京など大都市における高齢者人口の増加に対応するためには、増大する医療ニ
ーズに対応し、在宅や介護施設での生活を保障するという課題がある。病気や障害
を抱えても、住み慣れた地域で安心して生活を継続できる「地域の生活者の生涯を
支える医療」が求められる。しかし、医療だけでは住み慣れた地域で安心して生活
することはできない。安心生活創造事業では、ひとり暮らし世帯が地域で安心して
暮らすことができるように、必要とする人が漏れなくカバーされる体制をつくる事
を提唱している。住まい、医療、介護、予防、生活支援が日常生活の場で一体的に
提供できる地域包括ケアを実現する前提は、住民が相互扶助や連帯の考え方を基に
支え合うことである。地域の医療機関や介護事業所が各々の役割を認識して相互連
携して、はじめて地域 の生活者の生涯を支え ることができる。
「単身困窮者の地域包 括支援システム」
住まいと生活支援は、自助、互助を失った方々を支援する前提である。年を取り、
24時 間 の 支 援 が 必 要 に な っ た か ら と い っ て 、 住 ま い を 出 て い く わ け に い か な い 。 見
守 り か ら 24時 間 365日 の 支 援 が 一 つ の 地 域 の 中 で 包 括 さ れ て い る こ と が 大 事 で は な
いか。コミュニティケアというのは、その地域の中にケアとしての共同性をつくっ
ていることである。地域には多様な人々がいる。支援を受けている方々の小さな互
助をつくりながらも、地域の大きなコミュニティに支えられるような互助をつくっ
ていかなければならない。そのためにも、生活支援を事業として、産業として、雇
用の場所にしていく。ふるさとの会の仕事は、自助と互助を喪失した人の支援とい
うだけでなく、そこで雇用をつくる「コミュニティビジネス」という概念で理解し
ていただきたい。
「ふるさとの会を精神 保健の歴史から見る」
精神障害者の退院促進や地域移行を進めるには、住居の問題が非常に重要である。
精神科の病院でなかなか退院が進まないのは、医療を支える体制・環境が不十分で
あり、かつその解決を専門サービスだけに求めるために、難しくなっている。身体
障害、知的障害、精神障害、高齢ということにとらわれず、住居と生活支援を一つ
の皿に例えて、その上に、必要に応じて専門サービスがトッピングされると考える
と、非常にわかりやすい。土台になっているセルフケアとかインフォーマルなコミ
ュニティケアなどを強化し、そこに専門サービスが効率よく提供できるようにする
106
のが理想的と感じている。ふるさとの会のモデルは、非専門職中心のサービスをつ
くることで、これまで引っかかっていた問題をかなり乗り越えることができるので
はないか。
「暮らしの保健室の取 り組み」
訪 問 看 護 を 実 践 し 続 け て 20年 。 が ん の 方 の 場 合 、 予 測 を も っ て 訪 問 看 護 を す る と 、
穏やかな老化の過程をたどり、重装備を回避できる。医療へ適切にアクセスできる
人 を 育 て る た め に 、 在 宅 療 養 推 進 シ ン ポ ジ ウ ム を 開 催 し て き た 。「 暮 ら し の 保 健
室」は、ボランティアが迎え入れる暖かい雰囲気の中で、病院とは違った空間、地
域の中にある敷居が低い相談場所になっている。地域の中の『地域力』の活用につ
ながり、専門職が働きやすい環境づくりにもつながる。一人暮らしが増え、介護の
体制が整わないからと、土地を離れざるをえない人がいる。高齢者は何らかの病気
や、障害を持っているが、それなりに暮らしていくことはできる。そのためには、
治す医療より、生活を重要視した支える医療。ちょっとした健康不安を解消するた
めの気軽な相談支援の場所があることで、住み慣れた地域での暮らしが支えられる。
107
地域の生活者を支える医療-医療と介護の連携から-
野中
序
博1
在宅医療との出会 い
私 は 、 大 学 で 13年 間 慢 性 腎 不 全 の 治 療 の 人 工 透 析 の 仕 事 に 携 わ っ て き ま し た 。 昭
和 60年 に 大 学 を 辞 め ま し た が 、 そ の 頃 患 者 さ ん が 病 院 で 亡 く な ら れ る 状 況 に つ い て
疑問を感じていました。つまり病院における親子の別れとか、家族との別れについ
て大きな疑問でした。
昭 和 60年 に 父 が 亡 く な っ て 、 浅 草 の 父 親 の 診 療 所 を 継 承 す る た め に 戻 り ま し た 。
その当時古くからの父の時代の患者さんやご家族から往診を依頼されました。当時
は、自分なりに患者さんの家に往診して何ができる不安に思いましたが、往診して
必要であれば病院に入院して検査や治療を受けていただきたいと考えて往診しまし
た。ところが、ご本人は、絶対に入院だけはしたくない、先生が往診してくれれば
いいと言われました。 そうして約3ケ月の間 、毎日往診しました。
往診の度、ご本人とご家族が、喜んでくれる。こんな医療の大切さを初めて知り
ました。ご家族がご本人を中心に生き生きと生活されている、そして最終的にはご
自宅で看取りました。死を看取ることはある面負担でした。しかし、患者さんのお
じいちゃんをおばあさんがお世話しながら、娘さん夫婦も息子さん達も共にご家族
皆さんで看取りました。その様な状況から様々な生活支援の大事さを痛感し、そし
て医療で何ができるのか考えさせて頂きました。これが私の在宅医療の始まりです。
往診の際、白衣で患者さんの家に通っていたため、口伝えで往診が広がりました。
その後、看護師さんに同行してもらい一緒に往診するようになり、治療によって褥
瘡がどんどん小さくなったり、あるいは食生活を整えるだけで病状が改善する、あ
るいは在宅での患者さんの生命力等を感じました。どう死ぬかではなく、どう生き
るかの大切さを学びま した。
認知症になっても、がんになっても、障害があっても、家族やお金がなくても、
地域で孤立せず最期まで暮らせる事を支えるのが医療の本来の目的と考えます。し
かし、医療だけでは住み慣れた地域で安心して生活することはできません。地域の
様々な生活支援が大事 さをつくづく感じます 。
高齢者人口の増加と地 域の諸課題
今 後 20年 の 中 で 、 東 京 、 大 阪 、 神 奈 川 な ど 大 都 市 圏 を 中 心 に 高 齢 者 が 非 常 に 増 加
します。高齢者の人口増加の影響は、東京などの大都市圏で大きいわけですが、そ
の為高齢者同士による老々介護、あるいは独居のお年寄り、認知症、孤立死、住ま
いなど様々な課題があります。認知症や孤立死への対応として様々な活動があり、
松戸市などの自治体でも様々な取り組みをしています。医師にとっては、孤立死を
防ぐ事は大事ですが、その際医療のみならず住まいや地域の皆さんの支え合いの大
1
東京都医師会長
108
切さを強く感じます。特に認知症の診療に関わってみて、その思いを強くしていま
す。
○「一人暮らし世帯」 にとっての地域生活の 安心の確保
家族のサポートが期待できないひとり暮らしの世帯者等への基盤整備、ゾーン内
が漏れなくカバーされる基盤支援ということでは、地域では住民や民生委員による
見守りが行われています。今後はさらに基盤支援をする必要とするひとり暮らし世
帯の増加に対応でき、困難なケースを受けとめることのできる体制づくりが求めら
れます。例えば安心生活創造事業では、住民や民生委員活動などでは対応できない
部分を受けとめ、ひとり暮らし世帯が地域で安心して暮らすことができるように、
必要とする人が漏れなくカバーされる体制をつくる事を提唱しています。ぜひ、地
域の様々な人たちが確認しながら、一方で押しつけにならない様に配慮され、地域
のみんなで支援する地 域での生活を実現する 必要があると思います 。
安 心 生 活 創 造 事 業 : 安 心 生 活 創 造 事 業 で は 、 全 国 で 58の 市 町 村 が モ デ ル 地 域 と な り ま し た 。
定期的な訪問見守りが必要な人、あるいは本人は拒否しているが見守りを必要とする人達
を地域で発見して、その人達に対してきめ細やかなサービスを提供していこうということ
で、介護保険とは別のサービスです。孤立死だけではなく、もう少しその人達の生活を知
ろうというものです。
○要介護認定者数の増 大と予防の重要性
2000年 4月 の 介 護 保 険 が 始 ま っ た と き は 、 第 1 号 被 保 険 者 は 全 国 で 約 2,165万 人 で
し た 。 要 介 護 認 定 を 受 け た 方 が 218万 人 、 そ の う ち サ ー ビ ス を 利 用 し た 方 が 約 150万
人 ( 施 設 50万 人 、 居 宅 100万 人 ) で す 。 平 成 24年 2月 で は 、 第 1 号 被 保 険 者 が 約 3,00
0万 人 、 要 介 護 認 定 を 受 け ら れ た 方 が 527万 人 、 そ の う ち 介 護 サ ー ビ ス を 利 用 し た 方
が442万 人 ( 施 設 86万 人 、 居 宅 330万 人 ) で 、 施 設 サ ー ビ ス は 50万 人 か ら 86万 人 、 居
宅 サ ー ビ ス は 約 100万 人 か ら 330万 人 へ と 3 倍 に 伸 び て い ま す 。 こ の 状 況 か ら 、 今 後
様々な居宅サービスをもっと充実させる必要がありますし、地域の医者や看護師が
この需要について考え 行動することが重要で す。
も う 一 つ 、 2025年 に は 被 保 険 者 が 約 3,700万 人 、 要 介 護 認 定 を 受 け る 方 が 約 700万
人といわれています。この数の増大も大事なことですが、最も大事なことは今介護
保 険 を 利 用 さ れ な い 2,500万 人 の 方 々 が な る べ く 要 介 護 状 態 に な ら な い 様 に す る こ
と、これが実は一番の課題です。そしてその解決には、住まいの問題を始め、地域
の大きな力が必要であること、特に医療や介護に係わる関係者は理解する必要があ
ると思います。つまり、これらの高齢者の方々に対して患者さんの検査結果とか診
察だけではなく、患者さんの生活機能を適切に把握しながら、地域包括支援センタ
ーと協力して、患者さ んの生活支援、介護予 防を考えていく必要が あるのです。
○認知症高齢者への対 応
これからは、たとえ認知症になっても、できる限り住み慣れた地域で生活できる
こ と を 実 現 す る 事 が 大 き な 課 題 で す 。 平 成 16年 12月 に 痴 呆 と い う 名 称 か ら 認 知 症 に
109
変えられたことによって、急激なスピードで世の中に認知症の実態等が知られるよ
うになったことは、本当に驚きました。認知症の人が不幸なことに遭わずに、でき
る限り住み慣れた地域で生活できることを実現できたらと思います。今まではまだ
まだ、認知症になったらまず施設と考える事を、これからは在宅で生活すると考え
を変える必要があると 思います。
地域包括ケアシステム の構築と医療と介護の 機能分化・連携強化
○平成24年度介護報酬改定の基本的考え方
平 成 24年 度 介 護 報 酬 改 定 の 基 本 的 考 え 方 で 大 事 な こ と は 、 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム
の構築を推進するとともに、診療報酬と同時改定に伴う医療と介護の機能分化・連
携を強化するということです。大事なことは、被保険者が要介護状態となった場合
においても、可能な限りその居宅において、その有する能力に応じた自立生活を営
むことができるように配慮されなければならないと書いてあり、このことの実現こ
そが現場の課題だと確 認する必要があると思 います。
地域包括ケアシステムの基盤の強化、あるいは医療と介護の役割分担・連携強化
には様々な課題があります。この中でも大事なことは、ケアプラン、ケアマネジメ
ントの評価・検証手法の確立です。介護保険は、ケアマネジメントとケアプランで
動いており、これがなければ利用者さんにとって幸せな状況はありません。つまり、
多職種と協働が不可欠です。それをケアマネジャーが、自分の独占業務として協議
もしないで独断でプランを作成する事は避けなければなりません。で満足するとい
うことがあってはいけませんよ、みんなでその本人やその家族も含め、地域の様々
なサービス提供者が協働してその人の充実した生活を考える必要があります。この
理念を再度追求するこ とが効率的な介護保険 の運用なのです。
○医療と介護の機能分 化・連携強化
・医療の目的 は地域の 生活者の生涯 を支える こと
医療は病気を治すものと思いがちですが、実は医療の目的は、地域の生活者の生
涯を支えるということです。つまり、病気や障害を抱えても、住み慣れた地域で安
心して生活を継続できるということが、国民にとって医療に対する大きな期待と考
えます。
そして、さらに病気や障害を抱えないように予防するなど様々な役割があります。
しかし、残念ながら医学が幾ら進歩しても病気をすべて克服することはできません
し、障害を克服することもできません。そのことを、医療を提供する人間として改
めて確認する必要があ ると思います。
・リハビリ概 念の転換
~できるこ とを生か して社会参加 する
今までのリハビリテーションへの視点は、機能障害に直接働きかけて、その結果、
能力低下や社会的不安を改善することでした。例えば、熱があればその熱を下げ、
患者さんの生活を改善する考え方でしたが、最近のリハビリでは、心身機能あるい
110
は日常生活の活動、社会への参加に働きかけ、生活機能を向上させる。あわせて生
活環境の改善により活動制限や参加制約を減らし、本人の生活を支えるのが目標と
しています。例えば、右半身麻痺の症状に対しては、その右半身麻痺を改善するこ
とにこだわらず、左半身を活用して何ができるか考え、そして大切な社会参加を中
心にする視点が大事にされています。その視点は、医療機関だけではなく、地域社
会全体がその視点に立つことにより、病気を抱えた人たちに勇気を与えると思いま
す。
・点から面の 地域の特 性を生かした 地域医療 提供体制
今 ま で 地 域 保 健 医 療 計 画 は 、 昭 和 60年 か ら 5 年 ご と に 繰 り 返 し 見 直 さ れ 作 成 さ れ
てきましたが、なかなか計画どおり進展しない実情もあります。私も東京都医師会
の理事として、今まで何回か東京都地域保健医療計画作成に関わってきました。実
はその計画作成は、地域生活者の人生を支える視点からの地域の医療提供体制の構
築が不足していたと反省します。つまり医療提供側の論理で計画作成されていまし
た。病気を予防する視点、病気が発症したら適切に急性期の医療機関に入院し治療
を受けて、そして病状が安定したら地域に戻ってくる、その患者さんの病状に合わ
せて地域医療提供体制 が構築されているかを 十分に検証する必要が あります。
特 に 今 後 の 20年 間 を 考 え る と 、 改 め て 、 個 々 の 医 療 機 関 の 充 実 と と も に 医 療 機 関
同士の連携、つまり個人の生涯をどの様に地域で支えるかとの視点で考える必要が
あると考えます。すなわち従来の点での連携から地域での面での連携を踏まえた地
域保健医療計画、地域医療提供体制を構築することが、これからの地区医師会にと
って大きな課題です。
東京でも区部や多摩地域などの様々な地域において医療事情は異なっており、地
域の特性を生かした地域医療提供体制を構築する必要があります。そのためには、
まず地域における資源としての医療機関の把握が不可欠であり、そして地域のすべ
ての医療機関が、自ら の役割や機能を認識し て連携することが不可 欠です。
・医療・介護 機能再編 の方向性イメ ージ
社会保障と税の一体改革では、入院医療の機能分化・強化と連携、在宅医療の充
実、在宅介護の充実が示されました。医療機関や介護の関係者はこのことをあらた
めて認識するべきですが、ここでも大事なことは、患者や利用者の方々が病気にな
っても職場や地域生活へ早期復帰できること、そして医療や介護が必要になっても
住み慣れた地域での暮らしを継続できることの実現が目標である事を忘れてはなり
ません。
この目標の実現には、一般病床や療養病床、介護療養病床、介護施設や居住系サ
ービス、在宅サービスなどの様々な医療や介護サービス適切に連携することが重要
で す が 、 ま だ ま だ そ の 連 携 が 課 題 で す 。 2025年 に は 、 従 来 の 地 域 の 一 般 急 性 期 の 病
院の機能は、患者さんの高度急性期を担ったり、あるいは一般急性期、そして亜急
性期というような、病状が安定してもまだリハビリが必要など地域に戻すための様
々な機能を担う必要があります。これらの機能は一つの医療機関だけでは十分にそ
111
の機能を果たすことは不適切であり、地域の医療機関が相互に連携し、地域として
様々な機能を果たすことが望まれ、今まで以上に地域において地域の医療機関相互
の連携を進化させる必 要があります。
つまり、患者さんが疾病を患い、病院で治療をします。そして退院の際には、ケ
アマネジャーや医療機関内のソーシャルワーカー等と医療や介護の関係者が退院支
援を行い、その結果安心して退院することができます。そしてその行き先は、自宅
や介護施設など地域の多様な住まいです。そして地域で生活しながら、病院や診療
所が在宅医療やリハビリ等を提供し、訪問看護ステーションが訪問看護を提供する
ことによって、患者さんは安心して住み慣れた地域で生活することができるのです。
しかし、患者さんの病状が安定した状況が続けば良いのですが、残念ながら病状
には変化があります。その際、病院や診療所が急変の対応を行います。入院が必要
な時には病院に入院します。あるいは残念ながら看取りを行う場合もあります。そ
の際には訪問看護と一緒になって看取りします。この様な対応の繰り返しで、患者
さんは地域で生活されますが、その地域での生活を関係者が十分検討し情報共有す
ることで、安心して地域で生活することができるのです。この場合においても医療
や介護の多職種の情報 共有が必要不可欠です 。
また、例えば患者さんの状況ががんの看取りに近い場合、救急車が要請されて救
急病院に搬送されることがあります。これが今後の大きな課題です。東京でも救急
車が患者さんの家に到着してそして救急病院に到着するまでの時間が年々延びてい
ます。救急車をタクシー代わりに使うなどいろいろな課題がありますが、高齢者の
方々の看取りに近い状況での救急医療のあり方が検討されています。本来、救急病
院は搬送されてきた人の救命を実施するのが使命です。そのため救急病院に看取り
の前段階のような患者さんが搬送される事が本当に適切なのか。むしろ救急病院で
はない医療機関に搬送されるシステムの構築が重要と考えます。在宅医療を始める
際、患者さんやご家族と、もしそういう段階になったらどうしたいのかとの希望に
ついてお話しします。最初は病状が安定しているので、患者さん方は「家で死にた
いです」と言われます。しかし、病状が不安定になった時には患者さんもご家族も
迷います。私たち医療機関も迷います。ですからその際に、救急対応ではない違っ
た対応も今後検討する 必要があると思います 。
私は平成5年に8ベッドの有床診療所を開設しました。この僅か8 ベッドでも病
気を抱えた患者さんにご家族と日頃の交流をしていただき、最期の短い期間だけ、
入院していただき、看取るケースもあります。また、悪化した病状が再び安定して
ご自宅に帰る事もできる場合もあります。そのような救急医療機関ではない医療対
応も可能です。これから地域の中小病院や様々な機関と連携すればこの様な対応も
可能です。これからの多様な住居との関係において、様々な対応を検討する必要を
感じます。
・退院後の医 療と生活 の安定
病院の本来期待される機能は、退院後の医療と生活の安定の確保と考えます。そ
れには、医療機関における多職種連携による退院調整と、そしてつくられたケアプ
112
ランが、かかりつけの主治医やケアマネジャー等に提供されることです。我々はこ
の退院調整で患者さんが地域で生活されるのに、どの様なケアプランが適切なのか、
あるいは抜けはないのかを検討して適切なケアプランを作成します。それがサービ
ス担当者会議です。つまり、多職種が連携し、みんなで協議して患者さんの地域で
の生活を検討する事が重要です。医療には、患者さんへの投薬や日頃の検査も必要
な部分ですが、実は患者さんの人生にとってはこれらの投薬や検査はごく一部なの
です。むしろ患者さんにとっては病気を抱えながら地域で生活していく事こそ大事
で、医療だけでは患者さんは安心して生活することができません。そのため地域の
様々な多職種と連携することにより、患者さんは安心して生活できるということを
改めて認識する必要があると思います。特に医療に関わる人々には、この事を再認
識する必要があると思います。医師には、診断と治療が一番の役割ですが、さらに
特に高齢患者さんの場合には、患者さんの生活機能を適切に把握し、患者さんの地
域での生活を支える役 割が大切です。
・在宅医療に 必要な体 制
病を抱えながらも住み慣れた地域で生活をされる患者さんを支える、すなわち在
宅医療に必要な体制として、一つは入院医療機関と在宅医療に係る機関との協働に
よる退院支援の実施がまず必要です。そして患者の生活を支える視点からの医療を
通じての日常の生活を支える療養支援が不可欠で、そして多職種協働が重要です。
がんの病気を抱えた患者さんには、緩和ケアや家族への支援も忘れてはなりません。
患者さんが急変した場合にどの様に対応するかも重要な課題です。そして最終的に
は看取りです。住み慣れた自宅や介護施設等、患者さんが望まれる場所での看取り
を行います。
これらを適切に連携して実現することによって、患者さんは住み慣れた地域で安
心して生活できるので あり、それが在宅医療 にとって必要な体制と 考えます。
・地域医師会 に期待さ れる役割
患者さんたちの地域の生活を支える為には病院で適切な治療を受けてそして退院
できた方々を地域の診療所で受け持ち、地域での生活を支える流れが大事です。こ
の病院と診療所の両者の関係を病診連携といいますが、この関係を適切に強固にす
る た め に 、 地 区 医 師 会 が 患 者 さ ん の 24時 間 365日 の 支 援 体 制 を 構 築 す る 必 要 が あ り
ます。
○地域包括支援センタ ーの意義と活用
地域包括ケアを進めるに当たっては、あらためて地域包括支援センターの活動が、
こ れ か ら の 鍵 だ と 思 い ま す 。 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー は 、 大 体 人 口 25,000~30,000人
に 1 カ 所 つ く ら れ る こ と に な っ て い ま す 。 私 の 住 ん で い る 台 東 区 で は 人 口 17万 人 に
対 し て 7カ 所 設 置 さ れ て い ま す 。 区 役 所 に 行 か な く て も 住 み 慣 れ た 地 域 に 、 身 近 に
相談できる場所があるというのが地域包括支援センターの大きな役割ですが、その
役割に対しての理解が 不十分は状況です。
113
患者さんへの診療において相談する場所が足りないことに気づきます。患者さん
は、医者には病気や身体のことは尋ねますが、生活面の不安等は尋ねません。しか
し、高齢患者さんには生活面を確認する必要があるため、私はいろいろ質問します。
そして必要があれば、その患者さんの所管の地域包括支援センターに連絡します。
そうしますと、地域包括支援センターは患者さん宅を訪問します。必要な場合には
介護保険を申請することもあります。しかし、多くの場合は地域包括支援センター
の職員が訪問しても断られます。断られるのはある面では当然です。そこで重要な
のはつながりで今後何 かあったら相談する事 が理解される事と考え ます。
冒頭でお話しした予防の観点からすると、介護保険制度で最も重要なのが地域支
援事業と考えていますが、これがまだまだ地域には理解されていません。要介護認
定者が増加して介護費用負担が膨らんでいくと、国は要支援を含めてもっと市町村
に任せようかと検討していると聞いています。そのためこれから区市町村において
は地域支援事業を進行させることが必要で、これこそが地域の福祉、地域の住民の
力なのです。
・地域包括支 援センタ ー運営協議会
地域包括支援センターには運営協議会があります。この運営協議会には、地区医
師会や様々なサービス提供者、あるいは地域の老人クラブや民生委員など様々な人
達が参加されています。しかし、この運営協議会では、金銭面での運営のみが検討
されているのが実状です。運営協議会には必ず地区医師会が絡んでおり、その理由
としては相談内容に疾病に関する事が多い事があります。そのために地区医師会が
参加しているのです。様々な相談内容に、認知症やリハビリ、あるいは退院後の在
宅の主治医の件などがあります。この様な相談内容を地域包括支援センターに連絡
をすれば、適切に対応してくれることが期待されています。これらの機能がまだま
だ理解されていません。今後、地域包括支援センターを活用するか、そのために様
々な関係者がこの意義 を理解して活用するこ とが重要です。
・地域ケア会 議の設置 ・運営
地域包括支援センターの機能には、病院や主治医、様々な地域の人々が絡んで認
知症の患者さん等の生活を検討する地域ケア会議の設置・運営も提案されています。
そのため地域の医療機関や介護事業所が、各々の役割を認識して相互連携して初め
て地域の生活者の生涯を支えることができるのです。これらの患者さんを地域の生
活者の一人として、地域住民の一人一人が何ができるか、その視点こそ大事だとい
うことです。
・かかりつけ 医と地域 包括ケアマネ ジメント
日頃はかかりつけ医に診てもらい、健康管理をしてもらう。病状が不安定になれ
ば、地域の連携病院あるいは急性期病院に診てもらい治療を受ける。そして、退院
した後にリハビリが必要であれば集中リハビリを受け、早期回復するために急性期
の 回 復 リ ハ ビ リ 病 院 等 を 経 由 し て 早 く 自 宅 に 戻 る と の 医 療 提 供 体 制 が 、 人 口 20~30
114
万人の地域に存在して いることが大事です。
病状が安定して退院したら、医療や介護が連携して、適切な住まいが存在するこ
とによって、患者さんは病気を抱えながらも安心して地域で生活できる。このよう
な環境が人口1万人の地域にあることが地域包括ケアであり、この点においても地
域包括支援センターや ケアマネジャーの存在 も大事です。
適切な医療を受けるためには、まずはかかりつけ医をみつけてください。そして
かかりつけ医に診察に より、病状に応じて必 要であれば病院を紹介 します。
かかりつけ医は気軽に相談に応じて診察する医師です。診察の結果、感冒や発熱
など日常病では治療を開始します。あるいは、診察をして専門医の診察が必要であ
るかどうかを判断します。そして、治療を開始しても良好な結果が得られない場合
には、専門医への受診を勧める。これがかかりつけ医の基本的な役割です。そして
病状の安定後、専門医と協力して患者さんの地域での生活を支える、これもかかり
つけ医です。かかりつけ医は基本的には患者さんが選ぶ、すなわち皆さん方が選ぶ
医師のことです。そのため一言でいえばウマが合う医師をぜひ選んでいただきたい
と思います。
○早期からの認知症高 齢者対応支援体制
これからの高齢社会において増加する認知症高齢者への対応では、認知症を早期
に発見し、適切な診断を行うことができる認知症医療の充実が大事です。しかし、
この実現には認知症の患者さんには、まずはなじみの関係と本人の不安をみんなが
共有することが大事であり、そのため専門領域を越えて、地域住民も含めて様々な
人々が協働して、地域 をつくる視点こそ大事 と思います。
・かかりつけ医の参画:そのためにも、かかりつけ医が参画した早期からの認知症
高齢者対応支援体制をつくることが必要です。認知症の人達の早期発見、日頃の一
般患者としての日常的な身体的疾患対応、そして家族の介護負担、不安等を理解し
て家族にきちんと説明 する、かかりつけ医の 存在が必要です。
・認知症サポート医:さらに、認知症の人達を専門医療機関に受診誘導したり、専
門医療機関で様々な問題を克服してもらう、この様な専門医療機関とかかりつけ医
との適切な関係、さらにかかりつけ医が地域包括支援センターと連携して、本人と
家族を支えていく体制こそが大事です。この体制をつくるために、大きな役割を果
た す の が 認 知 症 サ ポ ー ト 医 で す 。 現 在 、 全 国 で 約 2,000人 の 方 々 が 認 知 症 サ ポ ー ト
医の研修を受けています。しかし、認知症サポート医は認知症の専門医ではなく、
むしろかかりつけ医と専門医との連携を調整する役割を担います。さらに地域包括
支援センターとの連携、その大切さを地域の医師に理解してもらい、その地域の認
知症診療システムをつ くることが臨床サポー ト医の役割なのです。
・認知症初期集中支援チーム:認知症診療は医療だけでは患者さんは地域で生活で
き な い こ と が 理 解 さ れ て 来 ま し た 。 そ し て 平 成 24年 6 月 に 厚 労 省 か ら 提 案 さ れ た の
が、かかりつけ医と連携をして、患者さんやご家族が認知症に気づいた、あるいは
115
疑いがある場合には、地域包括支援センター等にいる認知症初期支援チームがまず
対応して患者さんの生活を支える。そして、その後疾患医療センターも交えて対応
する。病状が増悪した場合には、精神科医療機関など様々なところで治療を受けて
再び地域や在宅に戻るという仕組みです。ここで大事なことは、初期からケアで対
応する事です。
初期支援チームの概念としては、患者さんにはどの様な生活が可能なのか、その
為生活支援には何が必要なのかをアセスメントをします。そしてケアチームで関与
しつつ、かかりつけ医や認知症診療センターと協力して診療し、また家族に対して
適切に説明し、そうしてなるべく本人が住み慣れた地域で生活できる体制をつくり
ます。
以上、地域包括ケアについて様々な視点から説明しました。しかし、大事なこと
は 、 医 療 と の 連 携 強 化 で す 。 そ し て 24時 間 対 応 の 在 宅 医 療 あ る い は 訪 問 看 護 や リ ハ
ビリテーションの充実強化も大事です。また、介護サービスの充実強化として、患
者 さ ん の 24時 間 を ど う サ ポ ー ト す る か 。 様 々 な 施 設 、 多 様 な 居 宅 が あ り ま す の で 、
そこに様々なサービスを展開することによって、患者さんが生活できることを実現
する。ただし、その中では、できる限り要介護状態にならないための予防の取り組
みや、自立支援型の介 護が大事であることを 理解する必要がありま す。
そして、生活支援では、見守り、配食、買い物など多様な生活支援サービスが大
事であり、これらは介護保険制度には定義されていないサービスもあります。その
ため、様々な地域社会において地域の市町村が中心となって見守り、配食、生活支
援、財産管理等様々な区市町村独自のサービスにより地域の人々の生活をサポート
することが大事なのです。そして、高齢期になっても住み続けることができる高齢
者の住まいの整備も欠かせません。これらの5項目を、地域社会において確認して
いくことが、地域包括 ケアにおいて重要なの です。
地域包括ケアを実現する上での前提として、自助、互助、共助、公助に対する認
識が必要です。すなわち地域で、住民が相互扶助や連帯の考え方を基に支え合うこ
とと思います。
地域の様々な人たちが生活する上において、医療はごく一部です。
我々はその視点から、地域社会の生活者の方々を支える事が重要であり、これが支
える医療です。
116
図
特 -1-1
図
特 -1-2
図
特 -1-3
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単身困窮者の地域包括支援システム
水田
恵2
1990年 代 の 初 め 頃 か ら ホ ー ム レ ス 支 援 の 活 動 を し て き て 、 自 助 と 互 助 を 失 っ て い
る単身困窮者どうやって支援するのか、という課題を抱えてきました。NPOはミ
ッション性が重要です。私たちの大きな目標は、認知症になっても、がんになって
も、障害になっても、家族やお金がなくても、地域で孤立せずに最期まで暮らせる
ように、システムと支 援の方法をつくりたい ということです。
○現在の支援 対象者
全 体 で 1,235人 が 我 々 の 支 援 対 象 者 で す 。 年 齢 は 10代 か ら 90代 ま で い ま す 。 障 害
のある方、特に精神障 害のある方々がたくさ ん独り暮らしをしてい ます。
見守り・訪問による安否確認というかたちで支援をしている方々も大勢いますが、
認 知 症 や 精 神 の 障 害 を 抱 え 、 日 常 的 に 生 活 の 支 援 が 必 要 な 人 が 328名 で す 。 重 度 化
しないようにどうするのか、あるいは亡くなられるまでどのように支援をするのか
ということが,私たちが展開してきた地域包括支援システムの基本テーマになって
います。
○ふるさとの 会の事業
厚生労働省の方に「重ね餅のようだ」と言われたので,私たちの事業をそのよう
に書いてみました。住まいと生活支援、地域リハビリ、仲間づくり、看取りまでや
っていこうという全体 像です。
私たちは、まず住まいと生活支援を土台に据えています。この住まいと生活支援が、
自助、互助のなくなった方々を支援する基本であり前提です。これがなければ、地
域で暮らすこともできず、様々な社会サービスやケアを受けることもできない。ま
ずは住まいと生活支援を整えた上で地域リハビリを行い、なるべく寝たきりになら
ないようにしながら、亡くなられるまでおつき合いしようという、我々のミッショ
ン性の決意表明という か、覚悟というものを こういう形で表しまし た。
ふ る さ と の 会 は 、 11億 円 ぐ ら い の 事 業 体 で す が 、 そ の 中 で 258名 の 雇 用 が つ く ら
れている。そのうち、元ホームレスの方とか、我々が支援しながら働いている方が
103名 い ま す 。 精 神 障 害 や 発 達 障 害 な ど を 抱 え な が ら 「 ケ ア 付 き 就 労 」 と し て 働 い
て い ま す 。 西 成 地 区 に は 600億 円 も の 生 活 保 護 が 出 て い ま す が 、 生 活 保 護 費 を 公 共
事 業 と 考 え れ ば 、 1 万 4,000人 ぐ ら い の 雇 用 が で き る の で は な い か と 思 い ま し た 。
私たちの仕事は、自助と互助を喪失した人の支援というだけでなく、そこで雇用を
つくる「コミュニティ ビジネス」という概念 で理解していただきた いと思います。
2
特定非営利活動法人すまい・まちづくり支援機構代表理事
125
○地域包括支 援
私の一番いいたいのは、地域包括という概念です。地域の中に様々な社会サービ
スがある。例えばひとりで暮らしている方に見守りが必要となり、その次は少し重
篤 に な っ て く る 。 さ ら に 24時 間 の 支 援 が 必 要 に な っ た と き に 、 住 ま い を 出 て い く わ
けにいかないから地域の中で暮らし続けていきましょうとなる。地域包括ケアとい
うのは、こういうことを土台に据えてやらないと、なかなかできないのではないか
と考えます。
私たちは、無料低額宿泊所や自立援助ホームを運営していますが、それを共同居
住 と 呼 ん で い ま す 。 こ れ は 24時 間 365日 の 支 援 で す が 、 地 域 の 独 居 の 方 に 対 し て 訪
問・見守りもしています。そこでがんになって支援が必要になったら共同居住で暮
ら さ れ た ら ど う で す か 、 と 提 案 す る こ と が で き ま す 。 見 守 り か ら 24時 間 365日 の 支
援が一つの地域の中で 包括されていることが 大事ではないかと思っ ています。
○墨田サポー トセンタ ーの例
墨 田 区 で は 現 在 、 569名 の 在 宅 の 方 を 対 象 に 見 守 り や 訪 問 支 援 を し て い ま す 。 そ
の う ち 186名 の 方 が 認 知 症 や 精 神 障 害 な ど 24時 間 365日 の 支 援 が 必 要 な 方 で す 。 共 同
居 住 の 方 も 、 独 居 の 方 も 徐 々 に 重 度 化 し て い き ま す 。「 認 知 症 ・ 精 神 障 害 」 に な ら
ないように支援はするのですが、そうなってからこそ、お亡くなりになるまで支援
しようとしています。
○ケアとして の協同性
コミュニティケアというのは、その地域の中にケアとしての共同性をつくってい
ることなのだと聞きました。お互いが知り合って、手を携えて生きていくという共
同性をつくる、その共同性自体がケアではないかと。支援が必要な方々、精神障害
の方も、知的障害の方も、あるいは共同居住の方も独居の方もおられますが、みん
な地域の中で生きていくしかない、そういうケアとしての共同性を地域でつくろう
ではないかと。
そのためには、地域には多様な人々がいることを了解することが重要だと思いま
す。みんな横向いたら、おれと同じ病気、年寄りもいるが、若い人もいるし、同じ
年齢の人もいるし、精神障害の方も、知的障害の方も、認知症の方もみんないて一
つの地域になっている 。これは当たり前の話 です。
社会サービス、特に医療等の社会サービスがなければ、この地域における包括ケ
アシステムはでき上が らないという意味では とても大事なものです 。
もう一つは互助です。その地域の中でお互いに助け合うという環境をつくれるか
どうか。支援を受けている方々の小さな互助をつくりながらも、地域の大きなコミ
ュニティに支えられるような互助をつくっていかなければならない。生活困窮者だ
けを対象にして互助をつくるわけにいきませんから、その地域の大きな支えがあっ
て互助をつくる、地域に支えられた互助をつくっていこうということです。生活支
援の制度化はその土台としてあるということで、生活支援をやり、互助をつくり、
多様な方々と一緒に暮らしながら、地域の支援をいただければありがたいと考えて
126
います。
○単身困窮者 の医療連 携課題
これは是非の以前の問題として,現実の状況です。急性期の治療が終わり、回復
期になったら帰ってきてもらう。地域に帰ってくる環境をどうつくるか、ふるさと
の会ではサポートセンターが①居所の維持・確保(居住のコーディネートと保証
人 )、 ② 回 復 期 ・ 在 宅 生 活 を 可 能 に す る 生 活 支 援 、 ③ 在 宅 の 医 療 ・ 介 護 サ ー ビ ス の
調整を行っており、これができる体制をつくっていただければありがたいと考えて
います。
○「地域リハ ビリ」「 在宅看取り」
地域リハビリというのは、互助、工夫ということです。また、在宅看取りは、医
療も含めた地域の社会サービスにはいっていただくときの基本的な集約点だと考え
ています。我々は在宅看取りをやるんだと自分に言い聞かせながら、いろいろな専
門職や制度と連携しなければだめだと考えています。今、私たちを支えてくださる
在 宅 医 療 関 係 は 全 部 で 25か 所 あ り ま す 。 こ れ だ け の 医 療 機 関 、 専 門 的 な 機 関 の 方 々
に我々は支えられてい るということです。
○地域におけ る相談拠 点と社会資源
地域には、地域包括支援センターなど様々な機関があります。私たちをどんどん
使って、地域の資源の 中にはめ込んで欲しい と考えています。
3年余り前に「静養ホームたまゆら」の火災という事件がありました。地域で暮
ら し て い た 方 が 生 活 保 護 に な り 24時 間 支 援 が 必 要 に な っ て く る と 、 地 域 の 外 へ 出 な
く て は な ら な く な り 、 集 め ら れ た 施 設 で 火 災 に よ り 10人 が 亡 く な っ た と い う 悲 惨 な
事件です。
しかし、地域包括支援センターや福祉事務所などは様々な相談に対応しています
が、地域に社会資源があるかというと、なかなかありません。ですから、我々の社
会資源を使ってください、無ければつくります、この方々が亡くなるまで支援しま
すというのがふるさと の会のスローガンです 。
○「看取りの できる互 助ハウス」モ デル事業 プラン
今後、在宅で看取りの問題にどう対応するのかは、大きな問題です。今年3月頃
から4人の方を在宅で看取ってきましたが、やはり看取りができるような空間が必
要 で あ る と 認 識 し ま し た 。 独 居 で は 難 し い 問 題 も あ る の で 、「 互 助 ハ ウ ス 」 と い う
ものをつくることにしました。これは看取りのためだけの場所ではなく、お金はな
いけれども、ひとり暮らしに耐えられない、誰かと一緒に暮らしたい、看取りまで
一緒にしたい、そういう思いを叶えようと物件を探しています。4LDK、3LD
Kの物件を互助ハウスに転換させて、亡くなるまで支援する、そういう場所をつく
っていきたいと考えて います。
127
○孤立した生 活困窮者 の地域包括支 援
最後に、何はともあれ厚労省が ずっといっている生活支援戦略において、生活保護
受給前に支援するやり方ができないかと必死で考えました。いったん生活保護を受け
ると、生活保護を脱却するのは大変です。医療費の問題もあります。自立しにくい要
因を抱えていますから、なるべくなら保護をする前に一生懸命頑張ってというやり方
を、一人一人に対して考えてみてもよいのではないか。
何が必要かといえば、雇用をつくることだと思います。働く場所がないというのに
働けと尻を叩かれたら 大変です。
私 た ち は 、 生 活 支 援 を 仕 事 に し て 少 な く と も 250名 の 雇 用 を 創 り 出 し て お り 、 そ
の 中 で ケ ア つ き 就 労 と い う 形 で 精 神 障 害 や 知 的 障 害 、 ホ ー ム レ ス の 方 々 103名 の 方
を雇用しています。生活保護を受給する前に、そういう雇用の場所を用意してあげ
ることが大事ではないかと思っています。保護前に雇用することが自立するにつな
がる、それが人間にと ってとても大事ではな いかと思っています。
その上で、一生懸命頑張ったけれども、だめなときは生活保護があるというかた
ちで、セーフティネットをきちんと使っていくべきなのです。一人一人に合わせて、
あなたは仕事ができるから仕事をしてみませんか、頑張ってだめだったら生活保護
というセーフティネットがありますよ、という本来のやり方がこの数年間できなか
ったところに、現在のいろいろな生活保護を取り巻く問題もあるのではないかと思
っています。
厚労省が生活支援戦略、保護前支援を強調されていることについては大賛成です。
私たちは、生活支援を事業として、産業として、雇用の場所になるようにやってい
ただけないかと思っています。社会保障の事業自体が金で解決するということでは
ないのですが、新しい雇用の場所を公共事業でつくるという観点で考えていただけ
ればありがたいと思い 、「重ね餅」を 出しま した。
128
図
特 -2-1
図
特 -2-2
図
特 -2-3
図
特 -2-4
図
特 -2-5
図
特 -2-6
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図
特 -2-7
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特 -2-9
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図
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特 -2-8
特 -2-10
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特 -2-16
図
特 -2-17
131
ふるさとの会を精神保健の歴史から見る
竹島
正3
私がふるさとの会とご縁を持つきっかけとなった研究は「精神障害者の住居確
保」です。この研究は、精神障害者の退院促進や地域移行を進めるには、住居の問
題が非常に重要だということで、住居を確保するにはどうしたらよいかという問題
意識からスタートしました。その中でお世話になった居住福祉の専門家の先生から
紹介を受けて、外国人、高齢者、ホームレスなど、様々な場で住居確保に取り組ん
でいる人たちにお会い することになり、その 中でふるさとの会と出 会いました。
住居確保の研究で、私が強く感じたことは、精神障害者の住居確保は、偏見の問
題が大きいと言われているが、これは半分違うということです。偏見の問題はもち
ろん影響しているかもしれないが、きちんと家賃が支払われること、困ったことが
あったら誰かが飛んで来ること、この2点がずっと大切であるということに気づい
たのです。
そのときに、住居の問題は借りる側と貸す側の2つの立場からの視点が要ること
にも気づきました。借りる側だけでは考えてはいけなくて、貸す側のことも一緒に
考えなくてはいけない。この研究の成果物として成徳大学の蓑輪先生と協力して
「精神障害者の住居確 保・居住支援の手引き 」をまとめました。
それではここから本 題に入らせていただき ます。
○主要疾患に おける障 害調整生命年 ( DALY)
精神保健の問題はたいへん大きいです。先ほど水田さんのスライドの中でもメン
タルヘルスの問題への対応が、地域サービスの中で大きな比重を占めることが報告
さ れ ま し た が 、 DALY( 障 害 調 整 生 命 年 ) で も 、 そ の 精 神 お よ び 神 経 の 疾 患 の 影 響 が
大きいことが示されて います。
○精神保健福 祉制度の 経緯
精神保健福祉制度の歴史の中では“いかに治療できる環境をつくるか”は大きな
課題でした。精神障害 者の福祉に関しては 1995年の精神保健福祉法 が重要です。
○精神病床・ 在院患者 ・措置入院患 者数の推 移
昭 和 30年 代 に 病 床 が 増 加 し 、 そ の 後 は 少 し 増 え 方 が 緩 や か に な っ て 、 こ の 20年 ぐ
らいは病床数、在院患 者数とも減少傾向にあ ります。
○昭和38年「精神障害 者措置入院制 度の強化 」(公衆 衛生局長通 知 )について
このスライドは、亡くなられた大谷藤郎先生が、座談会のときにお話になったこ
3
(独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部長
132
と を 挙 げ ま し た 。 昭 和 36年 に 国 民 皆 保 険 が で き ま し た が 、 そ の 当 時 、 精 神 障 害 の 家
族や子供さん等をもつ方達が大変苦労をしていた、治療を受けようとしても医療費
の面で苦労していた。その頃のことを大谷先生が書かれたものですが、たしか座談
会の中では、京都府庁で仕事をされていたときに、なかなか治療費を払うことがで
きないので措置入院にしてくれと、家族が三日三晩座り込みに来られた。そういっ
たことを経験されています。この背景にあるものは一体何だったのかということを
考える必要があると思 います。
○精神保健医 療福祉の 改革ビジョン ~「精神 保健医療福祉 の更なる 改革に向けて 」
改 革 ビ ジ ョ ン ( 2004年 ) は 、
「 精神保健医療福 祉の 改革ビジョン」( 2004年)は、「国民意識 の 変革」「精神医療
の 改 革 」「 地 域 生 活 支 援 の 強 化 」 の 3つ を 実 行 し て い く こ と に よ っ て 、 我 が 国 の 精 神
保健福祉を変えていこうというものです。厚生労働省には、厚生労働大臣を本部長
とする精神保健福祉対策本部ができました。つまり、精神だけならば現在の精神・
障害保健課のような課のレベルの取組になるわけですが、大臣が本部長になるため、
省の仕事として取り組むという、より高い位置を与えられたというのが改革ビジョ
ンの大きな意味です。
この本部長という体制は、自民党政権下のものでしたが、政権交代後は、これが
休 眠 中 の 状 態 で す 。 こ の プ ラ ン を 通 じ て 精 神 保 健 医 療 改 革 の 3つ が 柱 が 明 確 に な り 、
私も“これで政策が進 む”という期待を持ち ました。
そ れ か ら 5年 が 経 ち 、 そ の 中 間 評 価 を し た 上 で 「 精 神 保 健 医 療 福 祉 法 の 更 な る 改
革に向けて」が示され ました。
○精神病院入 院患者の 平均残存率と 退院率
長期入院の患者さんの退院促進が進まない中で、高齢化が進行しているという問
題があります。また、新たに入院する患者さんでも1年後に退院できずにとどまっ
ている方が10%以上いる。
国が目標と示している退院率と平均残存率(縦横の線)の両方を達成している都
道府県は、残念ながら ないというのが現状で す。
また、長期入院にな るほど、なかなか退院 できないという実態も あります。
慶応大学の山内先生が分析された「精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査事
業 」 は 精 神 障 害 者 の ニ ー ズ に 大 き な 気 づ き を 与 え て く れ ま す 。 IADL( 手 段 的 日 常 生
活動作)は生活を能率的に自分からうまく組み立てて進めることができないという
問題を示すものですが、これと病気が一緒に相まって、なかなか退院できないとい
うことがあります。そのことが地域の中で安定した居住を得ることの困難に結びつ
きます。
これを一体どのように考えたらよいか。我々は精神保健医療福祉、特に専門的な
サービス支援が必要であるというところにずっとこだわってきた。そして、専門的
なサービスをするためには、それに適した施設や専門職が必要であると。それがな
かなかできないから退院促進ができないのだと堂々めぐりをしていた。そして支援
133
化事業と専門的なサービスニーズの問題。専門職からは、自分たちをもっと地域に
増やせれば、必ずいいサービスができる、社会復帰も進む(それがないから進まな
い)と絶えず説明され てきました。
国が示した平均残存率(入院した患者さんが早く退院する指標)と退院率(長期
入院の患者さんが退院する指標)がありますが、その中で死亡や転院を除いてしま
うと、その指標ががくんと低くなります。これは、退院促進と地域移行の対象は、
いろいろな意味で“も ろさ”を抱えた人たち のことであることを示 しています。
○医療保護入 院の保護 者に関する研 究
保護 者が経験した 問題
精神障害で医療保護入院という家族等の同意に基づく入院になっている人たちに
ついて、岡山県と関係者の協力を得て行った調査があります。医療入院や保護者の
問題は精神医療改革の重要なテーマになっておりますので、保護者の方たちの協力
を得て、医療入院の実 態を把握するために調 査を行いました。
その結果、保護者の方たちは、けっこう保護者を継続したいという気持ちは持っ
ておられることがわか りました。
その一方、保護者が経験した問題として、経済の問題、健康の問題、家族の問題、
それから面会のこと、いろいろなことが書かれています。私たちは、これらも専門
的なサービスによって解決するという視点で考えてきたように思います。ところが
よく考えてみると、これらは専門職に頼らなくてもできることがあるのです。専門
職ではない人達が一緒に支援することで、実現できることがたくさんあることに研
究をとおして気づいて きました。
○医療保護入 院の保護 者に関する研 究
市町 村が経験した 問題
市町村は、入院時の連絡のみで、患者本人に会うことは滅多とないということで、
簡単にいえば市町村長が保護者になっている入院患者さんはどうもほったらかしに
なっている。つまり、行政機関ですべてのことをやっていこうというのは一つの幻
想にすぎないということであります。専門職ができることと行政ができることの間
に、ぱっくりと大きな口があいていて、そこに満たされないニーズが大量にたまり、
地域に退院することは難しいという結論が出てくるのです。つまり、精神科の病院
でなかなか退院が進まないのは、病院のせいばかりでは決してなくて、医療を支え
る体制・環境が不十分であり、かつその解決を専門サービスだけに求めるために、
余計難しくなっている という問題ではないか ということです。
○精神保健医 療サービ スの発展
私の考える精神保健医療のサービスの発展ですが、医療施設内で安定して暮らせ
ること、地域でサービスを必要とする人に適切な医療を行えること、最後は社会サ
ービスの一環としての精神保健の提供ということです。地域にはニーズのある人達
は大勢いて、そのニーズも多様である。精神保健のサービスも柔軟に地域に向かわ
なければいけないのだけれども、精神保健サービス自体が、医療施設内のニーズに
134
かなり手をとられるため、地域に向かう余力が生まれない、そういう問題が起きて
いる。
我々は精神保健をもう少し社会サービスの一環として提供できる、社会に向けら
れるようにしないとい けないのではなかろう かと感じています。
○各種社会プ ログラム の利用者のう ち精神保 健の問題を抱 えた者の 割合
オーストラリアのビクトリア州政府がつくっている精神保健改革のための資料で
は、非行の問題や司法の問題、虐待の問題など様々な領域の中で精神保健のニーズ
を持っている人達がか なり多いということが 示されています。
○ホームレス化しやすい精神障害者や発達障害者や認知症患者に対する支援のあり
方
本田徹先生が以前シンポジウムでお話されたことですが、退院促進といいながら、
実はホームレスのような形で地域に放置されてしまう人をつくっているという現状
があります。そして、 その解決策として考え るべき視点を挙げてい ます。
○単身困窮者 支援の医 療連携課題
大事なことは、地域生活に復帰することができるという態勢があれば、入院も必
要なときには可能になるということです。基本は、住居と生活支援のセットは基本
的な受け皿である。つまり、身体障害、知的障害、精神障害、高齢ということにと
らわれず、住居と生活支援を一つの皿に例えて、その上に、必要に応じて専門サー
ビスがトッピングされると考えると、非常にわかりやすいのではなかろうか。今の
ように、障害種別にいろいろなサービス体系を組み立てるとか、そういう複雑なこ
とをしなくても、かな りわかりやすくなると 考えます。
○メンタルヘ ルスサー ビスの論理的 枠組み
WHOがmhGAPと い う 開 発 途 上 国 等 の 、 支 援 の 乏 し い 国 等 で も 良 い サ ー ビ ス が で き る
ようにという形で書いた図があります。私たちは、今までずっと専門サービスが不
足していると認識して、そこを大きくすることを考えていたのですが、実は土台に
なっているセリフケアとかインフォーマルなコミュニティケアなどを強化し、そこ
に専門サービスが効率よく提供できるようにするのが理想的と感じています。私は、
ふるさとの会のサービスや、ふるさとの会のモデルについての実態は、ひょっとす
ると今までは我々がいろいろなところで引っかかっていた問題を、非専門職中心の
サービスをつくり、それを拡大するということで、かなり乗り越えることができる
ようにすることではな いかという期待を持っ ています。
135
図
特 -3-1
図
特 -3-2
図
特 -3-3
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特 -3-4
図
特 -3-5
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特 -3-6
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図
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特 -3-12
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図
特 -3-19
図
特 -3-20
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特 -3-21
図
特 -3-22
139
暮らしの保健室の取り組み
秋山
正子 4
○この町で健 やかに暮 らし、安らか に逝くた めに
私は、平成4年から市ケ谷駅近くを拠点にしながら、新宿区を中心に訪問看護活
動 を 続 け て き ま し た 。 現 在 は 16名 の 仲 間 と 、 ヘ ル パ ー ス テ ー シ ョ ン を 含 め て 30名 近
くの人員で運営してい ます。
在宅看取りというか、ホスピスケアも含めて、非がんの方の最期の看取りまで担
っ て き ま し た が 、 20年 や っ て み て 、 地 域 を 歩 き ま す と 挨 拶 を 交 わ せ る 人 達 が 増 え て
きており、少しずつ地域の中で在宅ケアを受けた人が増えているなという手ごたえ
を感じています。
非がんの方の場合、予測をもって訪問看護をすると、穏やかな老化の過程をたど
り重装備を回避できる、つまり医療がそんなに要らない状態で見送ることができる
という経験も積み重ねてきました。つまりは、早目早目に少しの手当というか、医
療的な処置を加えることで、十分に最期までお別れできることを経験していきます
と、できれば健やかに暮らし続けるための工夫、少し悪くなる前に手当をしていく
ことが結果としては安らかに人生を終えるところにつながるのではないか。そうい
うガイド役を、訪問看護は看取りに関わったがゆえに予防に思いを至らすというか、
そういうことを今考え るようになりました。
○訪問看護サ ービスを 受けるまでの 流れ
訪 問 看 護 と い う の は 、 65歳 以 上 は 介 護 保 険 が 優 先 で す が 、 医 療 保 険 で も 使 え る も
のです。そういう意味では2つの保険の組み合わせであるため使いにくいとか、単
価が高いので使ってくれないといったことがあります。状態が悪くなってから呼ば
れる、要介護4、5になってから呼ばれ、しかも大きく褥瘡ができ上がってから呼
ばれたりして、どうして、もう少し早く呼んでくれないのか、そういう思いをいつ
もしています。
どちらにしても、かかりつけ医の指示書が要りますので、医師との連携は欠かせ
ません。また介護保険では、ケアマネジャーに相談が行き、ケアプランの中に乗る
という仕組みの中で動 いています。
○急性期医療 が重介護 状態を作り出 している ?
病院の医療と在宅医療との関係ですが、高齢者が入院するといろいろなことが起
きて、あっという間に別の世界に行ってしまうというか、戻ってこられないという
ことが多々あります。
高齢者の救急でよく遭遇するのは、発熱・脱水・誤嚥・急性腹症・転倒・骨折・
4
(株)ケアーズ白十字訪問看護ステーション統括所長、暮 ら し の 保 健 室 室 長
140
便秘・意識障害の8つの症状ですが、これも単体で症状が出るわけではありません。
多くは脱水が引き金になっていることが結構あります。脱水が起きますと、少し水
不足で発熱をしたり、便秘になって急性の腹痛になったり、意識障害が起こったり、
意識障害が起こると、躓いて転んだりと、重なって起きていくわけです。それで運
ばれて、しばらくボーっとしているのはいいのだけれども、そのうち環境が変わり
ますので、認知症がなくても認知症が出るような状態になったり。軽い認知症の状
態でも、それが一気に環境の変化でせん妄が起こったりしていく、そうすると抑制
がかかり薬が入ったりして、ボーっとしているうちに誤嚥を繰り返してしまい、胃
ろうのベルトコンベアに乗るみたいに、転げ落ちるように変わっていく。そのため、
運ばれた後は何とか早目に手当をして、元のところへ戻るか、また元いたところで
少し医療が入るか、そこのところがすごく大事ではないか。できるだけ緊急入院を
しないで済むような地域をつくる、その地域の中で看ていくということがすごく大
事だと思います。
独居の人が増えてくると、不安が高じて救急車を呼ぶという事態が都会の中では
たくさん生じているわけです。ですので、むやみやたらとコンビニのように救急車
を呼ばない人、医療へ適切にアクセスできる人を育てるということは、大事ではな
いかなと強く感じてい ます。
○在宅医療・ 介護の推 進について- 在宅医療 ・介護あんし ん 2012-
今 年 、「 在 宅 医 療 ・ 介 護 あ ん し ん 2012」 が 出 た た め 在 宅 元 年 と 呼 ば れ て い ま す が 、
ここには「国民の希望に応える療養の場および看取りの場の確保は喫緊の問題」で
あると記されており、 看取りの場の確保とい う言葉がはっきり出て きています。
○在宅医療の 体制
在宅医療の体制図でとても良いことは、一番端に大きな病院の図がないことです。
中央に日常の療養支援、ここをしっかりやった上で、急変時には家で、その場でみ
るか、あるいはまたバックベッドをうまく利用するか。だけれども、なるべく早く
帰ってきて、そのサイクルの最後に、この看取りがあると。これは穏やかな老化の
過程にそって安らかに人生を終えるところを支援することにつながるのではないか
と思います。中央の日常を支える療養支援がとても大事であり、これは医療だけで
はできない、生活を支 える人と一緒でないと できないのだと考えて います。
○質の高いEnd of Life Careを
そういう意味で、私は訪問看護として結構重度の人の看取りまでみてきましたが、
質の高いケアに至るには、予防のところから大事だと考えています。そういう事態
を起こさない、または起こしたとしても早目に手当をして、急性期にかかったとし
ても早く元の地域へ戻る、そして長くなったら介護者を支える、介護者がいなかっ
たら地域ネットワークを育てて、そこを活用しながら最期に至る。それには医療・
介護の一体的な提供の 必要性があるのではな いかと考えています。
141
○在宅療養推 進シンポ ジウムを開催
~「暮 らしの保健室 」開設へ
私は今、都会の真ん中で、本当に大きな病院があるところで仕事をしていますが、
住民のみなさんは病院志向が強いです。フリーアクセスで病院に行ける。一般の人
達に、在宅で過ごせるということを知ってもらわないと、在宅医療は幾ら保険があ
っ て も 絵 に 描 い た 餅 な の で 、 2007年 か ら 「 住 み 慣 れ た 町 で 最 期 ま で 暮 ら す た め に 」
というシンポジウムを、白十字在宅ボランティアの会が企画をしながらやってきま
し た 。 そ れ を や っ て く る う ち に 、 2010年 11月 に 、 こ れ を 聞 き に 来 た 人 の 一 人 が 、 空
き店舗のオーナーで協 力を申し出てくれると いうことになりました 。
都営戸山ハイツ、戸山団地と戸山ハイツがありますが、戸山ハイツの方です。戸
山 2 丁 目 、 こ こ の 高 齢 化 率 、 去 年 の 7 月 で 46.3% で す 。 現 在 は 47% を 超 え て い ま す 。
つ ま り 2 人 に 1 人 は 65歳 以 上 。 し か も 独 居 高 齢 者 が 多 い と い う 地 域 で す 。 そ こ の 商
店街の一画に「暮らし の保健室」を開設しま した。
近くには国立国際医療研究センターもありますし、東京女子医科大学病院もあり
ますし、社会保険中央総合病院もあります。ここは都営の団地ですので、平均年収
は 200万 以 下 、 年 金 暮 ら し の 方 が 多 い 。 も ち ろ ん 生 活 保 護 世 帯 の 方 も 多 い と い う 地
域です。
もとは普通の本屋さんでしたが、そこを改修しました。ちょっとした健康不安を
早目に相談することで適切に医療にかかれる、むやみやたらと救急車を呼ばない人
をつくっていく。そのためには、単に相談という対面式だけではなく、サロンとい
うか集まってお互いによく話し合ったり情報交換したりする、そういう空間が必要
です。場の設定が大事 です。
保健室というネーミングなので、たまには子供も来ます。小学校5年生の女の子。
「うちのクラスの男子がね……」という形で来たりします。この方は、2年前にが
んの手術を受けたのですが、足がむくんで、とても歩きにくいという悩みを抱えな
がら、来られました。こうやって対面で、ご家族の相談にも乗ります。また、勉強
会をしたり、いろいろ な多様な使い方をして おります。
ここには専門職がおりますが、専門職だけを雇用しているということではなく、
地域の中の人々、特に在宅医療や訪問看護を利用してご家族を看取った経験のある
方とか、私たち聞き書きボランティアを育成していまして、その養成講座を受けた
方とか、そういう方がボランティアとして参加しています。月~金曜日の朝9時か
ら夕方5時まで開けて いますが、2~3人ず つ交替でずっといてく ださいます。
ボランティアの方たちは、初めは協力しようと思って来たのですが、来ることで
新しい人に出会え、そして普通に相談者として来られた方たちが、今度は何か自分
も手伝えるのではないかということで、ボランティア側に回っているという不思議
な人間関係がここの中 で生じています。
利 用 者 は 1 年 間 で 約 1,500人 、 そ の う ち 半 数 が 医 療 相 談 で す 。 そ の 医 療 相 談 の 2
割ぐらいが、がん相談 というところです。
142
○ひとり暮ら しの健康 不安にこたえ ることで ・・・
1人の例をご紹介します。この方は、具合が悪くなると救急車で大病院へ行って
いたという、ひとり暮らしの方です。この方は、要支援つまり要介護状態の入り口
に認定されています。東日本大震災の後、高層団地の8階に住んでいるため余震が
来るたびに建物が揺れるのですが、建物が揺れているのか自分の体の具合が悪くな
っているのかよくわからない。だんだん不安になって不眠になったり、食べ物を食
べることが少なくなったりして便秘になり、おなかが痛くなったりという、先ほど
の高齢者が救急でかか るときの症状がいろい ろ出てくるわけです。
朝方ちょっと不安になり、隣近所の人に、ひとりだと不安だから一緒にいて欲し
い と 言 っ て 駆 け 込 み ま す 。 全 く 地 縁 が 切 れ て い る わ け で は な い 、 40年 間 ぐ ら い 住 ん
でいるので、周りの人たちも最初は許容していたのですが、みんな年をとっている
ので、年をとっているのはあなただけではないのだと。みんなそれぞれ1人で頑張
っているのだから、いい加減にしてよねと、関係が悪化します。そうなると、とて
も孤立感が強くなり、今まで様々なところに情報発信していたのも、頻回に情報発
信をするようになる。ふるさとの会では、それは許容してもらえるのでしょうが、
ここの公営機関はいい加減に何度も同じことを言いに来る口うるさいおばあさんに
映っていくわけです。そこで、こういうところから、暮らしの保健室というのがで
きたから、ゆっくりと 話を聞いてもらったら といって、来ました。
この人は、もうここでは関係も悪くなり、これから先、不安だからここでは暮ら
せない。要支援だと特養の申請はできない。何か有料のホームを探すのにも、自分
は年金できちきちで暮らしている、どうしたらいいのかわからない。関西方面の安
い住むところはないだ ろうかということで来 ました。
○相談する先 があるこ とで、安心に つながり 、救急車を呼 ばなくな る
そこで、相談に来たら、まずはゆっくり話を聞きながらですが、それぞれの関係
機関がその方の情報をもっている、単体でもっているところを複合して連携をとり
ながら、調整をしていきます。また、かかりつけ医がいるのですが、時々救急車で
大病院の専門科も複数受診している。そこの情報を整理しながら、この人が本当に
安心して暮らせるためには、どうしたらいいかというサポート体制を調整していき
ます。そうしますと、近所との関係それほど変わっていないのですが、この人にと
っては気にならなくなり普通に生活ができるようになりました。そして結果として
は、むやみに救急車を 呼ばない、受容行動の 変容が起こっています 。
つまり、すっかり自信を失いかけ、もう病院にでも入らないといけない、でも病
院に入るほどではない。行っては帰される。その状況を繰り返す中でだんだん自信
がなくなる。こういう健康不安をすごく感じやすいひとり暮らしをしている方たち
に、少しのところで健康相談ができる場所ができると、かなりの自信を取り戻し、
もうちょっとここで暮らしていこうというようになっていく。この人たちをこの地
域の中で、最期まで支え続けられる、そういう体制をつくるということが、これか
らの私たちの使命では ないかなと感じていま す。
143
○住み慣れた 地域で の 暮らしを支え る
ひとり暮らしが増え、介護の体制が整わないから土地を離れざるを得ない人がい
ます。高齢者は、何らかの病気や障害をもっていますが、地域でそれなりに暮らし
ていくことはできるわけです。治す医療よりも支える医療。うまく病気とつき合っ
ていく、これはがんであっても同じではないかと考えています。がんをもちながら、
それとなく暮らしていけるという、生活を重要視したケアが要るのではないかと思
います。
暮らしの保健室を開設して1年半ほど経ちましたが、ちょっとした健康不安を解
消するための気軽な相談支援の場所があることで、支えられている安心感から自信
を取り戻しながら自立して暮らしていく、そういうところにつながるのではないか
と感じながら、今までやってきた訪問看護の中での看取りまでを支えつつ、予防も
視野に入れて、活動を 続けていきたいなと思 っています。
144
図
特 -4-1
図
特 -4-2
図
特 -4-3
図
特 -4-4
図
特 -4-5
図
特 -4-6
145
図
特 -4-7
図
特 -4-8
図
特 -4-9
図
特 -4-10
図
特 -4-11
図
146
特 -4-12
図
特 -4-13
図
特 -4-14
図
特 -4-15
図
特 -4-16
図
特 -4-17
図
特 -4-18
147
図
特 -4-19
図
特 -4-21
図
148
特 -4-20
総括にかえて
149
都市型高齢化による諸問題へのソリューションとしての
ふるさとの会の活動の意義
高橋 紘士1
大都市高齢化の問題は、後期高齢者を中心とする高齢者のボリューム増と医療介護需要の爆発
として深刻な課題となる。さらに都市部の特性がもたらす、高齢者の生活の多様性と格差の問題
から起因する対応の複雑性も課題の解決を困難にしている。
第一に、都市特有の階層分化は経済階層、出自の職業階層、ジェンダー、家族形態等の諸要素
が複合し、極めて複雑な様相を呈している。
どこに視点をあてて論議するかによって都市の高齢化対策のあり方がそれぞれ異なる。
とりわけ経済的貧困と関係的貧困が複雑な形で入り交じってきているのが、大都市の高齢化問
題の特徴としてあげられ、この点への認識が重要である。
第二に、既存の高齢者の支援のシステムの限界が明らかになっている。しばしば指摘されるよ
うに、福祉サービス等における申請主義による給付制度は、サービス利用のための申請を忌避し、
支援を拒否する人々が結果的に問題が悪化してから大きな社会的コストを発生させる。例えば孤
独死問題などがこの一例である。
大都市では高齢者の生活課題を発見し、必要な支援に結びつける機能が脆弱化しており、した
がってリーチアウトによる発見機能をどのように組み込むかは、大きな課題となっている。
また、これからの高齢化への対処は、従来型の施設や病院依存だけでは、急増する団塊の世代
の高齢化には対応できないであろう。
病院や施設のみで課題に対応するにはあまりにも強大な量の高齢者増がおこる。また、従来型
の施設等における管理的処遇では高齢者の尊厳ある生活を実現することは困難である。
第三に、要介護、要支援の増大とともに、都市部では巨大な自立した、しかも無為の高齢者が
出現するということでもある。これらの自立高齢者を職業活動だけではなく、多様な社会活動の
担い手として、地域で活動してもらうことは、彼らの有用感を高め、いわばサクセスフルエイジ
ングの可能性を開くことでもある。
最後に大都市における高齢多死時代への対処はターミナルケアのあり方を中心に様々な問題を
抱えることになる。ケアサイクルの適切な運用システムの導入が課題である。
後期高齢人口は 2025 年に 2000 万人を突破し、21 世紀半ばの団塊ジュニア世代の老後にいたる
まで、この状況が継続することになる。その大部分は都市住民であるのだから、都市部高齢化対
策は短期的視点ととも、中長期的視点が複合した問題であることを認識すべきである。
これからの大都市を中心とする高齢者急増の現象は、都市政策としての統治能力(ガバナン
ス)が問われる問題でもある。自治体の対応力と同時に、市民の地域での対応力、都市部で活動
する多様な事業体のそれぞれの課題解決能力とともに、これらの力を結集しながら問題解決を可
能にする体制・態勢づくりが課題となるという意味である。
医療・介護・福祉の領域では地域での包括的支援を可能にする地域包括ケアシステムの構築が
政策課題とされるようになってきた。
1
国際医療福祉大学大学院教授、財団法人高齢者住宅財団理事長
150
地域包括ケアの理念によれば、これからは日常生活圏域単位で包括的支援を可能にするシステ
ムを組織化することが目標とされる。ところが都市部ではこれらの地域マネジメントと行政体と
のミスマッチが著しい。地域内分権を推進し、地域マネジメント単位を分節化し、これを自治体
行政と有機的に連携させることが求められるが、これは実現困難な課題である。
同時に、給付行政としての施策とともに、地域活性化、自助と互助の活性化等の推進手法をど
う調和させながら、実践するかが地域包括ケアシステム構築の鍵となる。
地域包括ケアは、介護保険法第5条 2 項に今回法定化されたように、介護保険給付に加えて、
地域医療、とりわけ在宅医療、福祉や生活支援サービス、住宅行政などの政策、民間市場の活用、
地域互助や地域活動とりわけ NPO 活動等の連携システムの構築、いわば、今後の高齢化の進展の
なかで、介護保険の保険者としての区、市としての役割と、保健・医療施策、老人福祉施策およ
び地域福祉施策さらに住宅施策等を横断的に連携しながら、包括的支援体制を、縦割り行政を克
服しながら展開しなければならない。さらにこれらの政策の推進とともに、多様な地域の諸資源
と専門職等、地域住民の間に地域連携基盤を創出するという課題が必要となる。
都市部の社会資源はそれなりに充実しているのだから、これらの社会資源どうしが連携し、
「良き隣人のいる」「善き地域社会」の再構築を地域の状況に適合的な方式によりながら開発す
ることは可能な筈である。
市場システム、公共システムさらにコミュニティシステムの分担と協働、自助、互助、共助、
公助のアンバランスをふまえた対応、画一化から地域評価にもとづく推進へ、発見、評価、対応、
問題解決の一連のプロセス管理のシステムの整備などが求められる所以である。
このような視点から見たとき、ふるさとの会の実践は、都市型高齢化に対応するソリューショ
ンを考えるうえでのモデルとなるといえるのではないか。
これからの都市地域で目標とすべきなのは、20 世紀型の施設病院依存モデルではなく地域居住
(エイジングインプレイス)を実現するための仕組みづくりと、これを実現する推進組織の必要
性である。
高齢者住宅財団が二年越しで実施した「低所得高齢者の住宅確保に関する調査・検討」では大
都市部での低所得の居住確保のあり方への解決策として「地域善隣事業体」という構想を適した。
これは、アメリカで活動している CDC (コミュニティデベロップメントコーポレーション)に学
び、我が国の先人の地域活動を表す善隣事業(金沢に発祥し、同潤会社会事業部の不良住宅改良
事業でも使われた)の概念を 21 世紀に復活させることを提案した。
良き隣人がいる社会すなわち、自助と互助の活用と共助と公助をバランスさせ地域の包括的視
点を担う多様な事業体が日常生活圏域単位にプラットフォームとして、協働関係のもと事業推進
をはかるというイメージである。
いま、今後の後期高齢人口急増をまえに、自治体も、個人も事業者も課題の重さの前に、立ち
尽くしているようにも思える。事業所ごとの自己完結的な行動によって、貧困ビジネス、施設病
院依存など意図せざる社会資源の無駄使いがおこっており、包括的支援システムによる高齢者の
尊厳を守るべき支援が具体化する状況にはなっていない。
しかしながら、ふるさとの会はこのような状況に棹さしながら、山谷地域におけるホームレス
支援から出発し、自立援助ホームを運営しながら、地域の諸資源と連携しつつ、多様な支援手法
による事業を開拓してきた。いまや活動の範囲は台東区から墨田区、足立区そして、豊島区、新
151
宿区等に拡大し、1200 人を越える多様な問題を抱えた人々の支援を実施するようになった。また、
ケア付き就労などのケア支援を通じて、被支援者を支援の担い手として自立を可能にするプログ
ラムを開発した。
おそらく、これらの 1200 人の人々を旧来型の施設対応では、たとえば 100 人定員の救護施設や
養護老人ホームを 10 施設以上建設する必要があるが、大きな財政負担、土地確保、住民の反対等
が想定され、このような施設による解決は事実上不可能である。
ふるさとの会のたゆまぬ実践の積み重ねのなかで、行政の理解も進み、各種の事業補助等も実
現し始めたし、また、地域の家主さんをはじめとする、地域の方々と協働態勢を組むことによっ
て、地域資源を活用する仕組みを開発している。排除型ではない統合型の包括的支援モデルを開
発してきた。
さらに地域にコミュニティカフェを開発し、地域で単身居住するリスクを抱えている人々と地
域住民の共同の居場所づくりにより、問題の早期発見のしくみを創出しつつある。
また、空き住居を活用した、互助ハウスづくりにより、孤立しがちな人々が互助を回復しなが
ら、在宅生活を継続し、さらに、在宅での看取りを行う仕組みの構築の展望が見え始めている。
このようなふるさとの会の包括的支援の取り組みはまさに先にあげた「地域善隣事業体」のプ
ロトタイプでもあり、このようなスキームこそが、都市高齢化への課題解決へのソリューション
モデルであるといえる。
注 高齢者住宅財団の報告書は下記サイトでダウンロードできる。
http://www.koujuuzai.or.jp/pdf/project_20130415_02.pdf
http://www.koujuuzai.or.jp/pdf/project_2011_04_05.pdf
152
参考資料
153
たまゆら火災から 4 年
高齢者の安心生活と安全な住環境をいかに保障するか
-ふるさとの会・支援付き住宅推進会議共同代表声明-
NPO 法人自立支援センターふるさとの会代表理事 佐久間裕章
支援付き住宅推進会議共同代表 高橋紘士/水田恵/山岡義典
趣旨
・2009 年 3 月 19 日に起きた「静養ホームたまゆら」の火災では,都内の生活保護
受給者など 10 人が犠牲になりました。今年 1 月 18 日に前橋地裁で判決が言い渡さ
れましたが,身寄りのない低所得高齢者の住まいや生活をどう支えるかという問題
は,根本的に解決していません。低廉な認可施設は不足し,東京で生活保護を受け
ながら他県の施設で暮らす高齢者の数は,むしろ増えていると言われています。
・ただし,私たちは大都市における施設の拡充を訴えているのではありません。生
活保護制度や高齢者施設のあり方が見直される中,私たちは地域の中にある既存の
資源を活用し,低所得の高齢者等の安心生活と安全な住環 境を提供できるよう,試
行錯誤を重ねてきました。その一つの新たな社会資源として,地域に根差した相談
窓口「まちカフェふるさと」(1月17日より本格稼働)の開設を発表するととも
に,これまでの実践的な根拠に基づき,現実的かつ制度的な問題解決の方向性を「声
明」として示すことにしました。
ふるさとの会とは
・ふるさとの会は,山谷地域で生活する居住者の支援を行うために, 1990 年から活動
してきた NPO です(法人認証 1999 年,別紙「事業概要」参照)。現在は,台東区,
墨田区,荒川区,豊島区,新宿区にサポート拠点または事業所を構え,合計 1272 人
の利用者を支援しています(2013 年 1 月現在)。
・利用者の多くは生活困窮や社会的な孤立を背景に抱えており,住まいと生活の支援
を必要としています。ふるさとの会では,認知症になっても,がんになっても,障
害があっても,家族や金がなくても,地域で孤立せず最期まで暮らせるよう,さま
ざまな居住資源やサポート拠点の創設,ケアのネットワークづくりなどを展開し,
毎年新規事業の見学会とメディアカンファレンスを行ってきました。
・今年は新宿区大久保に「まちカフェふるさ と」を設立し,地域における「よろず相
談」窓口として,ネットカフェ等で暮らす若年の生活困窮者から,一人暮らしの認
知症高齢者まで,多様な相談を受けながら,居住,就労,生活支援などさまざまな
サポートを提供しています。また,生活に困難を抱える人の居場所であるとともに,
地域コミュニティの交流の場としても利用されています。
(「まちカフェふるさと」は独立行政法人福祉医療機構の助成を受けて運営しています)
154
問題解決に向けた実践を制度に
・このような取り組みは,まだささやかなものですが, 地域で孤立し生活に困難を抱
えている人を早期に把握し,適切な住まいと生活の支援を提供すれば,在宅医療や
介護サービスを受けながら,障害の種別を超えて地域居住を実現することが可能で
す。
・しかしながら,このような住宅提供(バリアフリー改修等の工事を含む)や生活の
支援は,制度に位置づけられないものが多く,自己資金に頼っているのが現状です。
今後,既存の住宅ストックの活用と生活の支援が制度の中で行えるようになれば,
どこの地域であれ,誰もが孤立せず最期まで暮らせるようになるはずです。
・生活保護受給者の自立支援も,単身高齢世帯の増加や,病気・障害の多様 化に鑑み,
急性期治療後の在宅生活に対応した生活支援と在宅医療・介護との連携など,包括
的な支援の構築が求められます。施設中心で対応しようとすると,コストが高くな
り,急増する高齢世帯の支援ニーズにも対応が困難です。
「支援付き住宅」モデルの普遍性
・地域ごとに,開かれた相談窓口とサポート拠点を設置し,住まいと生活を支援して
いく必要性は,昨今議論されている生活困窮者・生活保護受給者の自立支援や認知
症高齢者の在宅介護支援,さらには被災地における支援の仕組みづくりなど,さま
ざまな課題に共通する土台であると考えます。
155
声明文
1、空き家など既存ストックを活用し、低所得者
でも入居できる「支援付き住宅」の普及を!
単身の高齢者が急増する社会において,既存の住宅ストックの活用は避け
られません。空き家のバリアフリー性能や防災水準を高め,低所得者の安
全な地域居住に結び付くための施策が必要です。
2、安心生活を保障する日常生活支援の仕組みづ
くりを!
安心生活の土台は,心身が不安定な時の付き添いや居場所づくり,最終的
には地域での看取りなど,一人ひとりの生活に寄り添う支援です。生活支
援の仕組みをつくり,「今いるところを支援付きに」することによって、
医療や介護の在宅化もすすみ、「箱」ではなく「人」の力で 24 時間の安心
生活を保障することができます。
3、新たな「互助」づくりを土台に地域居住の推
進を!
「支援付き住宅」の支援を(「点」や「線」ではなく)「面」にするのは,
地域の「互助」です。生活困窮を背景にした孤立を防ぎ,多様な人々が必
要に応じて支え合う新たな「地縁」を生み出すことによって,単なる給付
増ではない,効果的で安心感のある地域ケア体制が実現します。
4、人を支える地域内就労による,コミュニティ
のさらなる活性化を!
地域の「互助」の延長に仕事づくりがあります。生活支援,清掃,給食な
どのコミュニティビジネスを雇用の受け皿にしていけば,住民の地域内就
労が活性化し,障害の有無や年齢を問わず,見守りや支援の担い手が増え
ます。また,地震や火災など災害時に声を掛け合い,「災害弱者」を生み
出さない地域づくりがすすみます。
156
支援付き住宅とは
・住まい,生活の支援,医療・保健・福祉をオーダーメイドで提供しながら,「今い
るところを支援付きに」していくとともに,空き家を活用した「看取りのできる互
助ハウス」など,低廉で適切な居住資源を創り出していく取り組みです。
・「支援付き住宅推進会議」は,NPO 等によって供給され,社会サービスのネットワ
ークで支える要支援困窮高齢者等のための住宅を,福祉政策と住宅政策の一体的な
運用によって実現するため,2009 年 8 月に NPO 団体,研究者,医療・保健・福祉関
係者などが集まり発足した会議です。以来調査や研究,会議を重ね,毎年厚生労働
省・国土交通省等に対して提言や要望を提出してきました。この声明は,昨年 8 月
20 日に厚労省社会・援護局,老健局,国交省住宅局宛てに出した要望書を元に,加
筆修正したものです。
157
【 共 同 代 表 】
高橋 紘士
国際医療福祉大学大学院教授/ (財)高齢者住宅財団理事長
水田 恵
NPO 法人すまい・まちづくり支援機構 代表理事
山岡 義典
NPO 法人市民社会創造ファンド運営委員長
【会議参加者】
粟田 主一
東京都健康長寿医療センター自立促進と介護予防研究チーム研究部長
石川 治江
NPO 法人ケア・センターやわらぎ 代表理事
井上 孝義
東京都社会福祉協議会医療部会 MSW 分科会会長/(社福)信愛報恩会 信愛病院医療
社会事業部 医療ソーシャルワーカー
大口 達也
立教大学大学院コミュニティ福祉学研究科博士後期課程・社会福祉士
尾上 義和
精神保健福祉士
沖野 充彦
NPO釜ヶ崎支援機構 副理事長
笠井 和明
NPO新宿ホームレス支援機構 代表理事
佐藤 幹夫
フリージャーナリスト/『ルポ高齢者医療』(岩波書店、 2009 年)著者
滝脇 憲
NPO 法人ふるさとの会理事/都市型軽費老人ホームルミエールふるさと 施設長/
東京外国語大学非常勤講師
竹島 正
(独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所部長
中島 明子
和洋女子大学生活科学系教授(居住学、居住政策論、居住福祉論)
中山
徹
大阪府立大学人間社会学部教授 (社会政策学)
仁科
伸子
法政大学現代福祉学部非常勤講師(アメリカの貧困地域での非営利組織の事業)
橋本 理
関西大学社会学部准教授(企業論、非営利組織論、産業システムの創成)
林 泰義
NPO法人玉川まちづくりハウス運営委員
原田由美子
京都女子大学家政学部准教授(介護福祉、高齢者福祉)
平山
神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授 (住宅・都市計画)
洋介
布川日佐史
静岡大学人文学部教授(労働経済論)
福原
大阪市立大学経済学部教授 (労働経済論、社会政策)
宏幸
本田 徹
浅草病院医師/認定NPO 法人シェア(国際保健協力市民の会)代表理事
的場 由木
保健師/保護司/NPO法人すまい・まちづくり支援機構理事
水内 俊雄
大阪市立大学大学院文学研究科教授・学長補佐(都市社会地理学、都市・地域史研究、
国土開発研究、ホームレス問題、ハウジング研究)
宮谷
正子
練馬区大泉総合福祉事務所
米倉
克良
生活クラブ生活協同組合グループ市民 セクター政策機構専務理事
支援付き住宅推進会議(敬称略・50 音順)
158
【支援付き住宅推進会議のあゆ み】
平成 21 年 2 月 25 日
「高齢被保護者等の地域における居住確保とケアのニーズ調査及びシステム構築の方法に
関する研究会 通称:支援付き住宅研究」
(平成 21 年度厚生労働省社会福祉推進事業)発足
同年 3 月 19 日
「静養ホームたまゆら」で火災
同年 4 月 20 日
厚生労働省記者クラブにて「高齢の生活困窮者が安心して生きていける『支援付き住宅』の
緊急提言」
同年 5 月 11 日
第 1 回メディアカンファレンス
スコミ・医療関係者)
ふるさと晃荘見学会・意見交換会(行政・学識経験者・マ
同年 8 月1日
第1回「支援付き住宅推進会議」を開催
同年 10 月 12 日
「支援付き住宅推進会議」設立発起人会議
シンポジウム ~たまゆらの悲劇を繰り返さない~「都内・各地域に『支援付き住宅』を」
開催
後援 社会福祉法人東京都社会福祉協議会医療部会・『山谷』地域ケア連携をすすめる会
協賛 ホームレス支援全国ネットワーク
平成 22 年 3 月 19 日
第 2 回メディアカンファレンス「~たまゆらから一年~メディアカンファレンス」を開催
平成 22 年 5 月 7 日
第 2 回「支援付き住宅推進会議」を開催。生活支援扶助を制度化する生活保護制度の改革な
ど政策提言をまとめる。
平成 22 年 10 月 11 日
第 3 回「支援付き住宅推進会議」を開催
シンポジウム「四重苦」を抱えた方々の支援と地域での新たな互助作り(「絆」の再生)を
開催
平成 22 年 12 月 10 日~23 年 3 月 31 日
平成 22 年度社会福祉推進事業「 重層的な生活課題(「四重苦」)を抱える人に対する生活支
援のあり方研究会」
平成 23 年 2 月 17 日
「『たまゆら』から 2 年 単身・低所得高齢者の生活実態の把握と日常生活支援サービスの
制度化に関する要望書」を厚生労働省社会・援護局、老健局、国交省住宅局に提出
平成 23 年 3 月 11 日
第 3 回メディアカンファレンス「~たまゆらから 2 年~メディアカンファレンス」を開催
平成 23 年 3 月 19 日
共同声明「3.19 から 3.11 へ―「ひと」を支える「支援付きの生活復興」を」発表
159
平成 23 年 6 月 25 日
第 4 回支援付き住宅推進会議「 3.19 から 3.11 へ」~「たまゆらから 2 年」と「震災以後」
をつなぐもの~
平成 23 年 10 月 10 日
第 5 回支援付き住宅推進会議を開催
シンポジウム「大都市における困窮者支援の現状と課題」を開催
平成 23 年 10 月 13 日~24 年 3 月 31 日
平成 23 年度社会福祉推進事業「重層的な生活課題(「四重苦」)を抱える人の地域生活を支
える〈居場所〉と〈互助〉の研究」
平成 24 年 6 月 5 日
第 4 回メディアカンファレンスを開催
平成 24 年 6 月 29 日~平成 25 年 3 月 31 日
平成 24 年度社会福祉推進事業「生活困窮者・生活保護受給者の自立支援のための地域にお
ける包括的な支援体制の研究」
平成 24 年 6 月 10 日
第 6 回支援付き住宅推進会議「生活困窮者を包摂する「支援付き地域」の構築を目指して―
新たな実践と制度の可能性-」
平成 24 年 8 月 20 日
「生活困窮者の包括支援 に向けての要望書」を厚生労働省社会・援護局、老健局、国交省住
宅局に提出
平成 24 年 12 月 2 日
第 7 回支援付き住宅推進会議を開催
シンポジウム「生活支援と在宅医療・介護の連携が可能にする地域包括支援」を開催
平成 25 年 3 月 5 日
厚労省記者クラブにて記者発表「たまゆら火災から 4 年
をいかに保障するか」
平成 25 年 3 月 6 日
第 5 回メディアカンファレンスを開催
160
高齢者の安心生活と安全な住環境
161
月
1. 受給している
1. 受給している(月
⑥年金の受給
円程度) 2. 受給していない
2. 受給していない
①疾病の既往歴(治療の継続と再発防止に注意しているもの)
1.なし
1.なし
1.なし
④障害程度区分の認定
⑤認知症
⑥障害手帳の有無
1
2.あり(要支援
1.なし
③介護保険の要支援・要介護認定
・要介護
級
級
3.愛の手帳
4.精神保健福祉手帳
級
3.診断されている
2.身体障害者手帳
2.疑いあり
2.あり(障害程度区分
2.あり(内容:
②健康に関する訴え(最近3か月) 1.なし
11. その他の疾患(
10.何らかの精神疾患(統合失調症、認知症、アルコール依存症など)
9. 腎臓の病気(腎炎、腎不全、尿路結石、膀胱炎、前立腺肥大)
8.循環器系の疾患の心筋症、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全
7. 脳出血、脳梗塞、くも膜下出血
6.椎間板ヘルニア、リウマチ、痛風、骨粗しょう症、関節炎など筋骨格系の疾患
5.生活習慣病(糖尿病、高血圧)
4.アレルギー
3.慢性の感染症(HIV・ウイルス性肝炎など)
2.肺結核
1.がん
)
4.大学以上
)
)
)
)
)
4.家族とのつながりが全くない(死亡、音信不通・連絡拒否、不明を含む)
⑤生活保護
(2)健康状態
日生
No.
4.大学以上
3.危篤状態など特別な状況のみ連絡のとれる家族がいる
2.職員又は本人が連絡を取り合っている家族がいる
3.短大・専門学校
(現在の状況)
2. 高等学校
年)
3.短大・専門学校
1.同居家族がいる
5. その他(
1. 中学校
2. 高等学校
年(又は西暦
④家族状況
(卒業)
1. 中学校
③学歴(進学)
5. その他(
昭・平
②生年月日
2. 女
1. 男
①性別
(1)基本属性
厚生労働省社会福祉推進事業 2012
職員記入シート
ロール
排便コント
更衣
階段昇降
平地歩行
入浴
1. アルコール 2. ギャンブル 3. 浪費 4. その他(
2.ない
3. 栄養不良
4. その他(
1. 暴力沙汰のトラブルや泥酔による怪我 2. 騒音(大声など)
2.ない
)
2
1.手洗い、洗顔、髪枕き、歯磨き、ひげ剃りができる
2.上記以外(一部介助、全介助)
1.用便動作 (便器への移動、衣服の始末、拭き取り、水洗操作)が介助なしにできる
2.安定な姿勢保持や衣服の着脱、トイレットペーパーの使用などに介助を要する
3.上記以外(全介助)
1.すべての動作を他人の存在なしに遂行できる (浴槽使用でもシャワーでもよい)
2.上記以外(一部介助、全介助)
1.少なくとも 45m、介助や監視なしに歩ける (補助具や杖の使用は可。車輪付き歩行器は不可)
2.最小限の介助や監視下で少なくとも 45m 歩ける
3.歩行不可能だが、自力で車いすを駆動し少なくとも 45m 進める
4.上記以外(全介助)
1.1 階分の階段を介助や監視なしに安全に上り下りできる (手すりや杖の使用は可)
2.介助や監視を要する
3.上記以外(全介助)
1.すべての衣服 (靴の紐結びやファスナーの上げ下ろしも含む)の着脱ができる (治療用補装具の着脱も含む)
2.介助を要するが、少なくとも半分以上は自分で、標準的な時間内にできる
3.上記以外(全介助)
1.随意的に排便でき、失敗することはない。坐薬の使用や浣腸も自分でできる
2.時に失敗する。もしくは座薬の使用や浣腸は介助を要する
3.上記以外(全介助)
(訳注 :車いすを使用していない場合には、ベッド脇に設置した肘掛け椅子とベッドとの間の移動が安全にできるか
どうかを評価する)
1.自立。必要に応じて自助具を使用して食物を切ったり、調味料をかけたりできる。
2.食物を切ってもらう必要があるなど、ある程度介助を要する
3.上記以外(全介助)
1.移動のすべての段階が自立している (プレ-キやフットレストの操作を含む)
2.移動の動作のいずれかの段階で最小限の介助や、安全のための声かけ、監視を要する
3.移動に多くの介助を要す
4.上記以外(全介助)
①日常生活動作ADL(最近1か月の平均的な状態)
用便動作
整容
トラブル等の内容
1.ある
(5)日常生活自立度
ベッドの
移動
困難になる理由
1.ある
)
2. 視力(ものが見えにくい) 3. 聴力(聞こえにくい)
2. 苦労していることがある(漢字の読み書き等)
②これまでに飲酒によるトラブルや健康問題がありましたか?
車椅子と
食事
1. 特に問題はない
1. 特に問題はない
①金銭管理のサポートがないと毎月の生活費のやりくりが困難になる心配がありますか。
(4)生活習慣
②視聴覚
①読み書き
(3)社会生活を送る上での困難さ
162
〔 0
〔 0
〔 0
〔 0
4.薬の管理(服用の時間,袋からの取り出し,処方通りの服用)
5.電話の利用(自分で電話をかけたり,受けたり)
6.買い物(食べ物や衣類など必要なものを自分で選び,支払う)
7.交通手段の利用(バス,電車などの乗り物による移動)
※困難度
0:問題ない
1:いくらか困難(援助が必要,非常にゆっくりとしている,疲れる)
2:非常に困難 (ほとんど,あるいは全く本人は実施できない)
〔 0
0
2.家事一般(食事の片づけ,掃除,布団・ベッドの整理,家の中の整頓,洗濯等) 〔
3.金銭管理(請求書の支払,貯金の管理,家計の収支勘定)
0
問題
ない
1.食事の用意(献立を考える,食材を用意する,料理する,配膳する) 〔
②手段的日常生活動作IADL(最近1か月の平均的な状態)
1.随意的に排尿できる。必要な場合は尿器も使える
2.時に失敗する。もしくは尿器の使用などに介助を要する
3.上記以外
3.頻繁にある
3.頻繁にある
3.頻繁にある
3.頻繁にある
自分の生年月日がわからなくなること
1.まったくない 2.ときどきある
がありますか
今日が何月何日かわからなくないとき
1.まったくない 2.ときどきある
がありますか
自分のいる場所がどこだかわからなく
1.まったくない 2.ときどきある
なることはありますか
道に迷って家に帰ってこれなくなるこ
1.まったくない 2.ときどきある
とはありますか
1.問題ない
1.問題ない
1.問題ない
電器やガスや水道が止まってしまった
ときに、自分で適切に対処できますか
一日の計画を自分で立てることができ
ますか
季節や状況に合った福を自分で選ぶこ
とができますか
2
3
4
5
6
7
8
9
3
3.頻繁にある
5 分前に聞いた話を思い出せないことが
1.まったくない 2.ときどきある
ありますか
1
2
2
2
2
2
2
2
非常
に
困難
〕
〕
〕
〕
〕
〕
〕
4.いつもそうだ
4.いつもそうだ
4.いつもそうだ
4.いつもそうだ
4.いつもそうだ
4.いつもそうだ
1
1
1
1
1
1
1
いく
らか
困難
2.だいたいできる 3.あまりできない 4.まったくできない
2.だいたいできる 3.あまりできない 4.まったくできない
2.だいたいできる 3.あまりできない 4.まったくできない
3.頻繁にある
1.まったくない 2.ときどきある
財布や鍵など、ものを置いた場所が
わからなくなることがありますか
(6)認知症の方を探すための質問票(65 歳以上の方のみ)
ロール
排尿コント
着替えは一人でできますか
17
1.問題ない
1.問題ない
1.問題ない
1.問題ない
1.問題ない
1.問題ない
1.問題ない
年
月から
2.見守りや声がけ
3.一部介助を要する 4.全介助を要する
を要する
2.見守りや声がけ
3.一部介助を要する 4.全介助を要する
を要する
2.見守りや声がけ
3.一部介助を要する 4.全介助を要する
を要する
2.だいたいできる 3.あまりできない 4.まったくできない
2.だいたいできる 3.あまりできない 4.まったくできない
2.だいたいできる 3.あまりできない 4.まったくできない
2.だいたいできる 3.あまりできない 4.まったくできない
2.だいたいできる 3.あまりできない 4.まったくできない
2.だいたいできる 3.あまりできない 4.まったくできない
)
4
1.生活上の見守りや相談が必要になった(訪問支援が必要となった)
2.アパートにひきこもる等、支援が必要であった
3. その他(
)
3. 住まいはあるが、生活支援や就労支援が必要になったから(具体的な状況を以下から選択)
1.アパート解体等による立ち退き
2.近隣トラブルや家賃滞納等による退去勧告や更新不可
3.本人の病状悪化
4.養護者(世話をする人)の死亡や入院等による生活維持の困難
5.家族からのDVによる避難
6.借金の取り立てや暴力団関係者からの避難
7.福祉施設や宿泊所等からの退去
8.失業と共に居所を喪失(社員寮・住み込み等)
9. その他(
2. 住まいを失った(具体的な状況を以下から選択)
他区での保護など)
1. 住まいのない生活をしていた(長期入院、路上生活、刑事施設や通過型の施設の入所、
②ふるさとの会を最初に利用した理由,または利用時に抱えていた問題等
①ふるさとの会を最初に利用した年月
(7)ふるさとの会とのかかわり
トイレは一人でできますか
入浴は一人でできますか
16
18
自分で、薬を決まった時間に決まった分
量のむことはできますか
15
自分で食事の準備はできますか
電話をかけることはできますか
13
14
貯金の出し入れや、家賃や公共料金の支
払いは一人でできますか
1.問題ない
バスや電車、自家用車などを使って一人
で外出できますか
11
12
1.問題ない
一人で買い物に行けますか
10
163
9. その他(
)
4. その他(
5. 特になし
3. アパート管理
排泄
睡眠時間
食事
分類
・トイレをきれいにする
5
・便秘になったり,下痢をしたときに水分や薬を調節する
・オムツなどを取り替える
・トイレに行きたいときに手伝う
・時間がわからなくなってしまったときに教える
・夜間何か困ったときに相談にのる
・起きられないときに一緒にいる
・朝,起こす
・食事が十分とれないときに栄養剤を準備したりする
・体調に応じて,おかゆやおにぎりにする
・買ってきた食べ物が傷まないように管理する(冷蔵庫に入れたり,賞味期限を確認する)
・食事(朝食・昼食・夕食)の準備や見守り・介助,食事の提供
支援内容(例)
(その1)
②最近1か月間で、対象者に対して生活支援として行っていること
2. 家賃保証
1. 共同居住
①最近1か月間で、住まいに関する支援として行っていること
(7)支援内容
8. 刑事施設(拘置所・刑務所・少年院など)
)
1.あり
2.なし
1.あり
2.なし
1.あり
2.なし
支援の有無
7. 路上(都市公園,河川,駅舎,道路,その他)
6. 社員寮・住み込み
3. 他団体宿泊所
2. 親戚・友人宅
5. 福祉施設(特養・老健・有料老人ホーム・障害者施設等)
4. 病院
)
1. 自宅(アパートなど)
④ふるさとの会利用前の生活場所
10. その他(具体的に
その他
9. 都市公園,河川,駅舎,道路,その他(インターネットカフェ,サウナ,カプセルホテル ,
8. 旅館等
7. 社会福祉推進事業の借り上げ住宅(ゲストハウス等)
)
・通信(電話・ファックス・手紙のやりとりなど)の手伝いをする
・大切な書類の保管・管理をする
・スケジュールの確認・管理をする
・日常的な金銭管理をする(出入金の記録,レシートの管理,通帳管理など)
や手続きをする
・制度(生活保護・介護保険・住民票・障害者手帳など)を利用するための相談
・カンファランス(ミーティング・支援方針会議)を開く
・診療所や看護師,地域包括,行政など関係機関と連絡調整をする
・往診や訪問看護・認定調査の際に立ち会う(日頃の様子を伝える)
・定期的に訪問して安否確認をしたり,相談にのったり話を聞く
・利用者の味方になって対応する
・病院の説明などを一緒に聞いたり,入院したときなどに面会に行く
・寂しいときや困ったときに相談にのる
・ガス・水道・電気が止まらないようにする
・同居人・近隣・大家さんなどとのトラブルを解決する
・安定して住むことができる住居を確保・維持する
・居室の環境を整える(掃除・片づけ・ゴミ出し・室温調整・換気)
・体調が悪いかどうかみる(顔色・体温・血圧など)
・毎日の医療的サポート(在宅酸素,インスリン注射/血糖測定,栄養剤)
・体調が悪いときに相談にのり,対応する(応急手当や医療機関への連絡・救急搬送など)
・毎日きちんと服薬できるように管理する
・起きあがったり,立ち上がったり,体の向きを変える
1. 仕事に就いている
2. 未就労(求職中※)
3. 未就労(それ以外)
③就労先
年
1. ふるさとの会
②仕事を始めた時期
※以下は仕事に就いている場合
6
2. ふるさとの会以外
月から
※求職中とは,ハローワークに通っているなどの就職活動を行っている方を指します。
①就労状況
(8)仕事について
1.あり
2.なし
1.あり
2.なし
1.あり
2.なし
1.あり
2.なし
1.あり
2.なし
1.あり
2.なし
1.あり
2.なし
支援の有無
2. ときどき参加している(年に数回程度)
4.利用を開始したばかり(3 ヶ月未満)のため不明
3. あまり参加していない・ 参加していない
1. よく参加している(月に 1 回以上)
③地域リハビリ:イベントや各種教室・講習会等への参加状況
社会生活の保持
社会サービス・
コーディネート
安心生活
居住環境保持
健康の保持
・家の中での移動の手伝いをする
・場所がわからなくなった際に,教える
・外出したいときや,通院時等に付き添う
活動
6. 自立準備ホーム
・衣服が汚れてしまった際に,着替えを促したり,介助する
・衣服やシーツが汚れてしまった際に,洗濯を促したり,介助する
・歯磨きや入れ歯の洗浄をする
清潔の保持
・体が汚れてしまった際に,入浴を促したり,見守りや介助をする
支援内容(例)
(その2)
5. 精神障害者グループホーム・ケアホーム
ふ る さと の会が
運営する施設等
分類
4. 緊急就労居住支援事業の借り上げ住宅(就労支援ホーム等)
3. 都市型軽費老人ホーム(ルミエールふるさと)
2. 宿泊所・自立援助ホーム・旅館
1. 自宅(アパートなど)
③現在の生活場所
164
つういん
ひんど
つういん
おうしんなど
2. いいえ
→
1-4 へ
と ほ
じてんしゃ
でんしゃ
どうこう
ねん
どうこう
2. ひとりで(タクシーなど)
)
No.
そうげい
おうしん
ほうもん か ん ご
こま
しゅだんめん
ふあん
ひと
よてい
あ
ふたんめん
)
しんさつだいなど
かね
びょうじょうせつめい
むずか
つういん
かた
ふあん
つか
かた
つういん
とく
い
) 6. 特にない
びょういん
りゆう
こた
4. 病 院 に行きたくない
とお
い
2. 病 院 が遠く疲れてしまう
びょういん
とく
6. 特にない
びょういん
2. バスや電車を利用するのが不安
りよう
4. 病 院 への行き方がわからない
でんしゃ
た
5. その他
かい
回
わる
かね
びょういん
わる
わる
5. その他(
た
7
4. 悪いところはあるが, 病 院 に行きたくないから
い
3. 悪いところはあるが,お金がかかるので
2. 悪いところはあるが,通院するほどではないから
つういん
わる
1. 特に悪いところがないから
とく
)
1-4.現在,通院していない方にうかがいます。通院していない理由をお答えください。
げんざい
5. その他(
た
3. 医師等からの 病 状 説明が 難 しい
い し など
1. 交通費や診察代等にお金がかかる
こうつうひ
②通院による負担面で(○はいくつでも)
つういん
5. その他(
た
3. 同行する人がいない,予定が合わない
どうこう
1. ひとりで通院するのが不安
つういん
①通院の手段面で(○はいくつでも)
つういん
1-3.通院時に困ることはありますか?
つういんじ
4. 病 院 の送迎・往診(訪問看護)
びょういん
3. 友人が同行して・ヘルパーやケアマネジャー、ケースワーカーなど同行して
ゆうじん
1. ひとりで(徒歩・自転車・バス・電車など)
つき
週 ・月・年
しゅう
1-2.どのようにして通院していますか?(○はいくつでも)
つういん
1-1.どのくらいの頻度で通院(往診等)していますか?(
1. はい
問1 現在,通院していますか?
げんざい
【健康についてうかがいます】
けんこう
利用者記入シート
り よ う し ゃ きにゅう
厚生労働 省 社 会 福祉推進事業ヒアリング
こうせいろうどうしょうしゃかい ふ く し すいしんじぎょう
か
かくこうもく
しゅうかん
わたし
あか
たの
さいきん
きぶん
しゅうかん
す
じょうたい
さいきん
わたし
4
お
はんぶん いじょう
つ
期間を
き か ん
3
半分以上の
はんぶん い
か
期間を
き か ん
2
半分以下の
きぶん
さいきん
す
たまに
ほんの
わたし
4
はんぶん いじょう
いよくてき
3
かつどうてき
期間を
き か ん
半分以上の
はんぶん い
か
す
期間を
き か ん
2
半分以下の
さいきん
1
わたし
4
3
さいきん
5
いつも
しゅうかん
わたし
いつも
4
ほとんど
にちじょうせいかつ
3
いつも
4
ほとんど
期間を
き か ん
はんぶん いじょう
8
3
半分以上の
なか
期間を
き か ん
半分以上の
はんぶん いじょう
やす
期間を
き か ん
はんぶん いじょう
半分以上の
き
か
も
期間を
き か ん
はんぶん い
2
半分以下の
たまに
ほんの
はんぶん い
か
きょうみ
期間を
き か ん
2
半分以下の
たまに
ほんの
1
1
1
0
0
0
ない
0
まったく
ない
まったく
ない
まったく
ない
まったく
ちか
か
期間を
き か ん
はんぶん い
2
半分以下の
たまに
ほんの
1
ない
0
まったく
2-5.最近2 週 間 、 私 は、 日 常 生活の中に、興味のあることがたくさんあった。
5
いつも
しゅうかん
いつも
ほとんど
たまに
ほんの
2-4.最近2 週 間 、 私 は、ぐっすりと休め、気持ちよくめざめた。
5
いつも
しゅうかん
いつも
ほとんど
2-3.最近2 週 間 、 私 は、意欲的で、活動的に過ごした。
5
いつも
しゅうかん
いつも
ほとんど
もっと
2-2.最近2 週 間 、 私 は、落ち着いた、リラックスした気分で過ごした。
5
いつも
2-1.最近2 週 間 、 私 は、明るく、楽しい気分で過ごした。
さいきん
をつけてください。
い
しるし
問2 以下の5つの各項目について、最近2 週 間 のあなたの 状 態 に 最 も近いものに 印
165
す
かんきょう
ちいき
す
す
げんざい
きょじゅうねんすう
す
ちくねんすう
年
ねん
げつ
か月
す
6. わからない
ねん
ふ ろ
2. 10~20年くらい
ねん
3. 20~30年くらい
いえ
へ や
へ や
じぶん
じぶん
す
ここち
1. 自分の部屋についている
1. 自分の部屋についている
いえ
す
2. 悪い
ここち
わる
3. どちらともいえない
きょうどう
2. 共 同 である
きょうどう
2. 共 同 である
3. ない
ねん
4. 30~40年くらい
べん
ち い き
こわ
ちょうない
ふる
2. 日当たり
6. 古い・壊れている
ひ あ
3. 騒音
た
7. その他(
そうおん
ば ん ごう
4. 悪 臭
あくしゅう
あまり
思わない
)
ふ べ ん
め ん どう
ねんかん
げんざい す
ちいき
まつ
--------
--------
--------
--------
ぎょうじなど
3
3
3
3
--------
--------
2
2
2
2
2
2
1
1
1
1
1
1
ぼうさいくんれん
--------
--------
--------
--------
--------
--------
さんか
ぎょうじ
1. ある
さんか
2. ない
ぐたいてき
→ 問7へ
とい
町 会 )に参加したことがありますか?
ちょうかい
9
)
最近1年間のなかで,現在住んでいる地域のお祭りや行事等(バザー,防災訓練,
さいきん
な じ
6-1.どんな行事に参加しましたか?(具体的に
問6
な じ
--------
ち い き
--------
--------
4
た
4
やく
⑤ この地域のために何か役に立ちたい
なに
⑥ この地域に馴染めている,馴染めそうだ
ち い き
④ この地域は近所づきあいが面倒だ
き ん じょ
ち い き
4
--------
4
なに
ち い き
3
③ この地域は何かと不便だ
つづ
--------
す
4
ち い き
② 今後もこの地域にずっと住み続けたい
こ ん ご
3
--------
す
4
ち い き
とても
そう思う
す
そう思う
① いま住んでいる地域が好きだ
問5 現在住んでいる地域( 町 内 など)について,あてはまる番号に○をつけてください。
げ ん ざい す
5. 交通の便
こうつう
1. 狭い
せま
すべてに○をつけてください。
4-3.現在の家で気になること,住み心地が悪いと思うことがあれば,あてはまるもの
げんざい
1. よい
わる
4-2.現在の家の住み心地はいかがですか?
げんざい
②お風呂
ふ ろ
①トイレ
4-1.現在のお住まいに,トイレやお風呂はついていますか。
げんざい
5. 40年以上
ねんいじょう
1. 10年未満
ねん み ま ん
らいですか。
問4 現在のお住まいについてうかがいます。現在のお住まいの築年数はおおよそどのく
げんざい
問3 現在のお住まいでの 居 住 年数はどのくらいですか。
げんざい
【住まいの 環 境 や地域のことについてうかがいます】
そう
思わない
ゆうじん
ちじん
きんりん
ひと
かか
きんりん
ちょうない
ひと
ひと
せつび
しんぞく
か ん り がいしゃ
いぜん
なかま
ふ ど う さ ん がいしゃ
しごと
2.(以前の)仕事の仲間
ひと
とい
→ 問9へ
そうだん
ほうもん か ん ご
など
ていど
はなし
ひと
2. いいえ
とい
→ 問10 へ
そうだん
ちじん
か ん り がいしゃ
いぜん
なかま
ふ ど う さ ん がいしゃ
しごと
2.(以前の)仕事の仲間
など
ごらく
ひと
1. はい
しゅみ
いっしょ
ひと
)
ひと
2. いいえ
とい
→ 問11 へ
趣味・娯楽を一緒にする人はいますか?
9.その他(
た
7.ヘルパー,訪問看護,ケアマネジャー等
ほうもん か ん ご
6.福祉事務所のケースワーカー
ふくし じ む し ょ
じゅうみん
しんぞく
4. 近所の 住 民
きんじょ
かぞく
1.家族や親族
5.その他(
た
10
しごと
じゅうみん
しょくいん
きんじょ
じゅうみん
しょくいん
なかま
ゆうじん
ちじん
3.友人や知人
ち い き ほうかつ し え ん
)
しょくいん
8.地域包括支援センターの 職 員
かいなど
6.支援団体(ふるさとの会等)職 員
し え ん だんたい
みんせい い い ん
ちじん
5.民生委員さんや近所の 住 民
ゆうじん
3.友人や知人
しょくいん
かいなど
8.地域包括支援センターの 職 員
ち い き ほうかつ し え ん
し え ん だんたい
6.支援団体(ふるさとの会等)職 員
2.(以前の)仕事の仲間
いぜん
きんじょ
5.民生委員さんや近所の 住 民
ゆうじん
みんせい い い ん
3.友人や知人
ひと
ひと
10-1.その人はどんな人ですか(○はいくつでも)
問 10
しんぞく
4.大家さん・アパート管理会社・不動産会社
おおや
かぞく
1.家族や親族
9-1.その人はどんな人ですか(○はいくつでも)
ひと
1. はい
ふだん
)
ひと
ひと
問9 普段, 話 をしたり,ちょっとした相談をする人はいますか?
9.その他(
た
7.ヘルパー,訪問看護,ケアマネジャー等
ふくし じ む し ょ
6.福祉事務所のケースワーカー
4.大家さん・アパート管理会社・不動産会社
おおや
1.家族や親族
かぞく
ひと
2. いいえ
けいやく
8-1.その人はどんな人ですか(○はいくつでも)
1. はい
いえ
はなし
4. 個人的な 話 をする人がいる
こじんてき
2. あいさつする程度の人がいる
問8 家の設備のこと,契約のことなどで相談できる人はいますか?
3. 世間話をする人がいる
せけんばなし
1. つきあいはない
問7 大家さんや近隣( 町 内 など)の人とは,どのようなおつきあいをしていますか?
おおや
【友人や知人,近隣の人などとの関わりについてうかがいます】
166
からだ
ぐあい
わる
とき
れんらく
ひと
ひと
1. はい
ひと
2. いいえ
→ 問12 へ
とい
か ん り がいしゃ
ふ ど う さ ん がいしゃ
なかま
2.(以前の)仕事の仲間
しごと
など
かぞく
しんせきなど
れんらく
)
ゆうじん
ちじん
1. ある
ひんど
とい
→ 問13 へ
れんらく
2. ない
しゅうがくまえ
ころ
じゅうみん
しょくいん
・
月
つき
く
・
年
ねん
)
かい
回
しょくいん
かいなど
8.地域包括支援センターの 職 員
ち い き ほうかつ し え ん
し え ん だんたい
6.支援団体(ふるさとの会等)職 員
かたおや
しん
そ ふ ぼ
きょうだい し ま い
く
ははおや
そ ふ ぼ
きょうだい し ま い
しん
く
く
く
りょうしん
べっきょ
あいだ
だれ
いっしょ
はなし
ごらく
たの
)
きかい
1. している
だれ
いっしょ
2. していない
はなし
ごらく
たの
この1か月の 間 に、誰かと一緒に, 話 をしたり,娯楽を楽しむことがありましたか?
げつ
5. その他(
た
4. 児童養護施設などで暮らしていた
じどうようごしせつ
3. 祖父母(親せき)の家で,祖父母(親せき)と暮らしていた( 両 親 とは別居)
いえ
2. 自宅で,片親(父親または母親)や 兄 弟 姉妹と暮らしていた
ちちおや
2. したくない
ねんかん
だれ
ぎじゅつ
けいけん
い
3. わからない
てつだ
だれ
ぎじゅつ
けいけん
い
てつだ
おも
2. したくない
15-2.どんなことをしたいですか。
1. したい
ますか。
11
3. わからない
15-1.機会があれば,誰かのために,自分の技術や経験を生かして手伝いをしたいと思い
きかい
1. したことがある
2. したことはない
この1年間で、誰かのために,自分の技術や経験を生かして手伝いをしたことが
ありますか?
問 15
14-2.どんなことをしたいですか。
1. したい
14-1.機会があれば,誰かと一緒に, 話 をしたり,娯楽を楽しみたいと思いますか。
問 14
りょうしん
じたく
1. 自宅で, 両 親 や 兄 弟 姉妹と暮らしていた
じたく
問 13 あなたは,幼児期(就 学 前 )の頃に,どこで,どなたと暮らしていましたか。
(○はいくつでも)
よ う じ き
週
しゅう
きんじょ
5.民生委員さんや近所の 住 民
みんせい い い ん
この1年間で、家族・親戚等と連絡をとることはありましたか?
ねんかん
9.その他(
た
7.ヘルパー,訪問看護,ケアマネジャー等
ほうもん か ん ご
6.福祉事務所のケースワーカー
ふくし じ む し ょ
4.大家さん・アパート管理会社・不動産会社
おおや
いぜん
12-1.どのくらいの頻度で連絡しますか?(
問 12
しんぞく
1.家族や親族
かぞく
3.友人や知人
身体の具合が悪い時に連絡できる人はいますか?
11-1.その人はどんな人ですか(○はいくつでも)
問 11
おこな
ぎょうじなど
かか
さんか
おも
2. 参加したいとは思わない
おも
さんか
こうしゅうかいなど
ないよう
さんか
3. わからない(内容による)
2. 参加したことはない→16-2 へ
かくしゅぎょうじ
じぶん
あ
さんか
ぎょうじ
こうしゅうかいなど
さんか
おも
5. その他(
ないよう
じぶん
びょうき
びょうき
9.その他(
た
かんり
5. 財産などの管理
ざいさん
かいご
1. 介護のこと
かいとう
かた
2. ない
ね
しんぱい
しんぱい
じょうたい
しんぱい
3. どちらともいえない
3. わからない
じょうたい
5. まったく心配していない
すこ
2. 少し心配である
ね
とき
こ ど く し
12
)
ふあん
6. 孤独死の不安
す
2. 住まいのこと
ゆいごん
7. 遺言について
いりょう
3. 医療のこと
し
ご
8. 死後のこと
かぞく
4. 家族のこと
17-2.「1.ある」と回答された方へ。それはどのようなことですか。
(○はいくつでも)
1. ある
に心配なことはありますか?
しんぱい
おも
4. あまり心配していない
しんぱい
しんぱい
おも
1. とても心配である
はありますか?
じしん
ね
あなたは、ご自身が重い病気にかかったり,
寝たきりなどの 状 態 になるという心配
びょうき
)
17-1. もし,あなたが重い病気にかかったり,寝たきりなどの 状 態 になってしまった時
問 17
おも
【重い病気にかかったり,寝たきりになったときのことうかがいます】
あ
3. 内容が自分に合わない
た
16-3.どのような行事・講 習 会 等なら参加したいと思いますか?
かた
すべての方へ
おも
2. 参加したいと思わない
つごう
4. 日程が自分の都合に合わない
にってい
ひつよう
1. 必要ない
16-2.
「2.参加したことはない」と回答された方へ。それはなぜですか?(○はいくつでも)
さんか
さんか
1. 参加したい
こんご
さんか
1. 参加したことがある
ありますか。
かい
この1年間に,ふるさとの会で行っている各種行事や講 習 会 等に参加したことは
かい
16-1.今後も参加したいと思いますか。
問 16
ねんかん
【ふるさとの会で 行 っている行事等への関わりについてうかがいます】
167
しごと
【仕事についてうかがいます】
なんねん
はたら
せ い き しょくいん
ひせいき
など
じえい
しごと
1. 経験なし
けいけん
かた
ちかぢかはたら
かた
おも
ひと
ふく
3. 5~9年
ねん
ねん
3. 5~9年
ねん
3. 5~9年
かいとう
かた
2. したい →19-3 へ
おも
りゆう
なん
しゅうろうけいたい
しごと
にち
かいとう
3. 日雇い
ひやと
かた
た
じえい
しゅう
時間,週
じかん
きゅうしょくかつどう
4. その他(自営など)
2.パート・アルバイト(1日
じょうよう こ よ う
かた
1. 常 用 雇用(フルタイム)
かいとう
3. その他(
た
しえん
きぼう
日)
にち
)
ほ
ひと
ほ
しえん
なに
もんだい
6. その他(
た
しょくぎょうくんれん
う
4. 職 業 訓練を受けたい
しごと
ねんれい
ぎのう
ふじゅうぶん
5. その他(
た
3. 職 歴 ・技能が不十分
しょくれき
)
1. 希望する仕事の年齢があわない
きぼう
13
とく
もんだい
せいかつ ひ
つづ
6. 特に問題になることはない
ひ ばら
しゅうろうにっすう
2. 希望する労働時間や 就 労 日数にあう仕事がない
ろうどう じ か ん
4. 日払いでないと生活費が続かない
きぼう
しごと
2. ハローワークに同行して欲しい
(○はいくつでも)
19-5. 求 職 活動をするうえで,何か問題になっていますか。
きゅうしょくかつどう
7. 特に支援はいらない
とく
5. なんでもいいから相談できる人が欲しい
そうだん
3. 求 人 情 報が欲しい
きゅうじんじょうほう
1. ハローワークで相談したい
そうだん
しますか。
(○はいくつでも)
)
→19-5 へ
19-4.仕事を「2.したい」と回答された方へ。 求 職 活動において,どんな支援を希望
しごと
(理由)
りゆう
(希望する 就 労 形態)
きぼう
(希望 職 種 )
き ぼ う しょくしゅ
しごと
2. 仕事がない
しごと
19-3.仕事を「2.したい」と回答された方へ。どんな仕事をしたいですか?
1. 身体がきつい
からだ
とい
4. 10年以上
ねんいじょう
ねんいじょう
4. 10年以上
ねんいじょう
4. 10年以上
ねんいじょう
4. 10年以上
3. したいができない
19-2.仕事を「1.したくない」と回答された方へ。主な理由は何ですか?
しごと
1. したくない
19-1.仕事をしたいと思いますか?
しごと
よてい
2. 5年未満
ねん み ま ん
ねん み ま ん
2. 5年未満
ねん み ま ん
2. 5年未満
ねん
3. 5~9年
2. している(近々 働 く予定のある人を含む)→ 問20 へ
けいけん
1. 経験なし
けいけん
1. 経験なし
ねん み ま ん
2. 5年未満
「1. していない」と回答された方にうかがいます。
かいとう
1. していない
けいけん
1. 経験なし
現在,仕事はしていますか?
げんざい
④その他(自営など)として
た
③日雇いなどで
ひやと
②非正規・パート・アルバイト等として
問 19
はたら
これまでの仕事の経験についてうかがいます。これまでに,どのような 働 き方で
けいけん
何年くらい 働 いてきましたか。
①正規 職 員 として
問 18
しごと
しごと
つぎ
ちかぢかはたら
おし
れい
など
ふく
せいそう
げつ
あいま
つ
しょくじどき
あ
つ
せけんばなし
あ
約
あいま
しょくじどき
じかん
あ
こじんてき
はなし
はなし
しごと
こんご
つづ
おも
しごと
たの
おも
しごと
つづ
りゆう
まった
現在の仕事を続けたくない理由
げんざい
せください。
おも
しごと
おも
おも
14
かいとう
た
6. その他(
じぶん
ひと
たの
かた
なん
りゆう
き
)
(○はいくつでも)
りゆう
まった
4. 全 く思わない
4. 仕事が自分にあっている
しごと
しょくば
かた
2. 職場の人が楽しい
かいとう
3. あまり思わない
20-8.
「3. あまり思わない」
「4. 全 く思わない」と回答された方へ。その理由をお聞か
ほか
おも
5. 他に仕事がない,みつからない
3. 仕事にやりがいがある
しごと
1. やっている仕事が楽しい
おも
おも
2. そう思う
)
かた
20-7.「1. とてもそう思う」「2. そう思う」と回答された方へ。その理由は何ですか。
おも
1. とてもそう思う
げんざい
20-6.現在の仕事を今後も続けたいと思いますか。
た
5. その他
4. 仕事以外の時間に会ったり 話 をしたりする
しごといがい
日)
にち
まんえん み ま ん
つき
円/月
えん
ひやと
3. 日雇い
かいとう
3. 5~10万円未満
やく
3. 仕事の合間(食事時など)に個人的な 話 をする
しごと
2. 仕事の合間(食事時など)に世間話をする
しごと
しごと
ひと
1. 仕事だけの付き合い
しごとさき
ひんど
20-5.仕事先の人とはどのような付き合いがありますか?
しごと
5. 15万円以上
まんえんいじょう
2. 3~5万円未満
まんえん み ま ん
やく
20-4.その仕事の頻度はどのくらいですか?(1か月
4. 10~15万円未満
まんえん み ま ん
1. 3万円未満
しゅうにゅうげつがく
まんえん み ま ん
しごと
し ご と ないよう
20-3.その仕事の 収 入 月額はいくらですか?(約
ぐたいてき
じえい
ひと
2. パート・アルバイト
よてい
20-2.具体的な仕事内容を教えてください( 例 :マンション 清 掃 ,等)
た
4. その他(自営など)
じょうよう こ よ う
けいたい
1. 常 用 雇用(フルタイム)
しごと
うかがいます。
とい
問19 で,仕事を「2. している(近々 働 く予定のある人を含む)
」と回答された方に
20-1.仕事の形態は次のうちどれですか?
問 20
168
おおじしん
さいがい
お
ばあい
しんぞく
か ん り がいしゃ
なかま
ふ ど う さ ん がいしゃ
しごと
2.(以前の)仕事の仲間
いぜん
など
だれ
れんらく
さいがい
お
きんりん
)
きんじょ
きんりん
ひなんばしょ
1. 知っている
し
し
ほか
ひと
おし
ひなんばしょ
し
だれ
れんらく
10. 誰にも連絡しない
ち い き ほうかつ し え ん
問 23
しんぞく
おし
しら
か ん り がいしゃ
なかま
ふ ど う さ ん がいしゃ
しごと
2.(以前の)仕事の仲間
いぜん
など
いぜん
し
せいかつ
うえ
せいかつ
こま
て だ す け
じゅうみん
ち い き ほうかつ し え ん
しょくいん
ほ
かいしょくいん
しょくいん
かいなど
8.地域包括支援センターの 職 員
【生活のこまりごと,要望など】
)
きんじょ
6.支援団体(ふるさとの会等)職 員
し え ん だんたい
みんせい い い ん
3.友人や知人
ちじん
5.民生委員さんや近所の 住 民
ゆうじん
おし
15
への要望などがあれば,教えてください。
ようぼう
現在,生活する上で困っていること,手助けして欲しいこと,ふるさとの会 職 員
げんざい
9.その他(
た
7.ヘルパー,訪問看護,ケアマネジャー等
ほうもん か ん ご
6.福祉事務所のケースワーカー
ふくし じ む し ょ
4.大家さん・アパート管理会社・不動産会社
おおや
1.家族や親族
かぞく
だれ
じぶん
2. 自分で調べた・以前から知っていた→問 23 へ
しょくいん
22-2 誰に教えてもらいましたか。あてはまるものすべてに○をつけてください。
1. 他の人に教えてもらった
しょくいん
8.地域包括支援センターの 職 員
2. 知らない →問 23 へ
し
じゅうみん
かいなど
6.支援団体(ふるさとの会等)職 員
し え ん だんたい
みんせい い い ん
5.民生委員さんや近所の 住 民
ちじん
3.友人や知人
ゆうじん
大地震などの災害が起きたときの近隣の避難場所を知っていますか?
おおじしん
9.その他(
た
7.ヘルパー,訪問看護,ケアマネジャー等
ほうもん か ん ご
6.福祉事務所のケースワーカー
ふくし じ む し ょ
4.大家さん・アパート管理会社・不動産会社
おおや
1.家族や親族
かぞく
22-1 近隣の避難場所はどのようにして知りましたか。
問 22
いえ
現在住んでいる家で大地震などの災害が起こった場合,誰に連絡をしますか?あ
げんざい す
てはまるものすべてに○をつけてください。
問 21
ぼうさい
【防災のことについてうかがいます】
い
か
しつもん
しるし
ぜんたいてき
か
こ
げつかん
けんこうじょうたい
こ
1
よ
げつかん
つか
3
ぜんぜん
あまり
ある
よ
か
こ
げつかん
2
妨 げられた
わずかに
さまた
すこ
少し
しごと
か
じ
3
妨 げられた
さまた
さまた
かいだん
4
良くない
よ
のぼ
5
良くない
よ
6
良くない
ぜんぜん
ふく
4
妨 げられた
かなり
さまた
つか
5
か
こ
わずかに
げつかん
からだ
2
妨 げられた
さまた
いた
すこ
少し
3
妨 げられた
さまた
かなり
4
妨 げられた
さまた
1
なかった
ぜんぜん
痛み
いた
2
かすかな
かる
いた
16
3
軽い痛み
痛み
いた
4
中 くらいの
ちゅう
つよ
いた
いつもの
5
ひじょう
いた
非常に
5
6
激しい痛み
はげ
し ご と
仕事ができな
かった
強い痛み
24-4.過去1ヶ月間に, 体 の痛みはどのくらいありましたか。
1
妨 げられ
なかった
さまた
ぜんぜん
でどのくらい 妨 げられましたか。
さまた
しんたいてき
かった
りゆう
にちじょう
活動ができな
かつどう
体 を使う日 常
からだ
24-3.過去1ヶ月間に,いつもの仕事(家事も含みます)をすることが,身体的な理由
1
なかった
妨 げられ
さまた
りゆう
にちじょうかつどう
よ
良い
とが身体的な理由でどのくらい 妨 げられましたか。
しんたいてき
からだ
2
よ
とても良い
24-2.過去1ヶ月間に, 体 を使う 日 常 活動(歩いたり階段を昇ったりなど)をするこ
か
さいこう
最高に良い
24-1.全体的にみて,過去1ヶ月間のあなたの健康 状 態 はいかがでしたか。
いちばん
以下のそれぞれの質問について,一番よくあてはまるものに 印 ( レ )をつけて
ください。
問 24
【さいごに】
169
か こ
げつかん
げんき
か こ
かなり
げつかん
かぞく
2
元気だった
げ ん き
ゆうじん
すこ
3
元気だった
少し
げ ん き
わずかに
げ ん き
ぜんぜん
げ ん き
しんりてき
5
元気でなかった
しんたいてき
4
元気だった
さまた
か こ
わずかに
げつかん
しんりてき
2
妨 げられた
さまた
すこ
少し
もんだい
ふあん
3
妨 げられた
さまた
かん
かなり
きぶん
4
妨 げられた
さまた
お
つきあいが
こ
5
できなかった
か こ
わずかに
げつかん
にちじょうおこな
2
悩まされた
なや
すこ
少し
かつどう
しごと
3
悩まされた
なや
かなり
がっこう
か じ
4
悩まされた
なや
ひじょう
非常に
こうどう
5
悩まされた
なや
りゆう
さまた
1
妨 げられ
なかった
さまた
ぜんぜん
3
妨 げられた
さまた
すこ
少し
4
妨 げられた
さまた
かなり
17
◎ご 協 力 ,ありがとうございました
きょうりょく
2
妨 げられた
さまた
わずかに
心理的な理由で,どのくらい 妨 げられましたか。
しんりてき
5
ができなかった
かつどう
日 常 行 う活動
にちじょうおこな
24-8.過去1ヶ月間に, 日 常 行 う活動(仕事,学校,家事などのふだんの行動)が,
1
されなかった
ぜんぜん悩ま
なや
ラしたり)に,どのくらい悩まされましたか。
なや
24-7.過去1ヶ月間に,心理的な問題(不安を感じたり,気分が落ち込んだり,イライ
1
妨 げられ
なかった
さまた
ぜんぜん
理由で,どのくらい 妨 げられましたか。
りゆう
24-6.過去1ヶ月間に,家族や友人とのふだんのつきあいが,身体的あるいは心理的な
1
元気だった
げ ん き
非常に
ひじょう
24-5.過去1ヶ月間,どのくらい元気でしたか。
生活困窮者・生活保護受給者の自立支援のための
地域における包括的な支援体制の研究
報 告 書
平成 25 年 3 月
特定非営利活動法人自立支援センターふるさとの会
Tel.03-3876-8150
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