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食品の新たな機能性表示制度 における安全性の確保について
第2回 食品の新たな機能性表示制度に関する検討会 資料1 食品の新たな機能性表示制度 における安全性の確保について 平成26年1月31日 消費者庁食品表示企画課 目次 安全性の確保に係る検討事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 日本における状況 食品の安全性確保のための基本的な規定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 食品衛生法の規定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 栄養機能食品の規定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 特定保健用食品の規定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 錠剤、カプセル状等食品の原材料に関する自主点検ガイドライン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 「いわゆる健康食品」の摂取量及び摂取方法等の表示に関する指針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 米国における状況 ダイエタリーサプリメント(DS)制度の対象となる食品と成分の考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 NDI (New Dietary Ingredient)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 GRAS (Generally Recognized As Safe)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 DSの義務表示事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 対応方針(案) 対象となる食品及び成分並びに摂取量の在り方の対応方針(案)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 対象となる食品及び成分並びに摂取量の在り方の対応方針(案)①・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 対象となる食品及び成分並びに摂取量の在り方の対応方針(案)②・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 2 安全性の確保に係る検討事項 ○ 対象となる食品及び成分の考え方並びに摂取量の在り方 ・ 関与成分を中心とする食品の安全性についての事業者自らによる評価 ・ 消費者への情報開示 ○ 生産・製造及び品質の管理 ○ 健康被害等の情報収集 ○ 危険な商品の流通防止措置等 3 日本における状況 4 食品の安全性確保のための基本的な規定 ○ 特定保健用食品及び栄養機能食品を含む全ての食品について、安全性の観点において、食品 衛生法に基づく規定の適用を受ける。 ○ 特定保健用食品及び栄養機能食品については、上記に加えて、健康増進法に基づく規定の適用 を受ける。 食品(食品衛生法に基づき、安全性の確保が求められる。) 【保健機能食品】 食品衛生法に加え、健康増進 法に基づく規定も適用される。 《健康食品》 医薬品 【特別用途食品】 【特定保健用食品】 保健の機能の 表示ができる (例) 【栄養機能食品】 栄養成分の機能の表示ができる (例) カルシウムは骨や歯の形成に 必要な栄養素です。 おなかの調子を整えます。 食物繊維 オリゴ糖 他 病者用 乳児用 他 ・医療用医薬品 ・一般用医薬品 ビタミン ミネラル 医薬部外品 5 食品衛生法の規定 食品等事業者の責務(法第3条) 食品等事業者は、販売食品等について、自らの責任においてそれらの安全性を確保するため、販売食品等の安全性の確 保に係る知識及び技術の習得、販売食品等の原材料の安全性の確保、販売食品等の自主検査の実施その他の必要な措 置を講ずるよう努めなければならないとされている。 健康を損なうおそれのある食品又は添加物の販売等の禁止(法第6条) 次に掲げる食品又は添加物は、販売等をしてはならないとされている。 ① 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの ② 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの ③ 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの ④ 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの 新開発食品の販売禁止(法第7条) 次に掲げるものは、食品衛生上の危害の発生を防止するため、厚生労働大臣は販売を禁止することができるとされている。 ① 一般に飲食に供されることがなかった物であって人の健康を損なうおそれがない旨の確証がないもの又はこれを含 む食品 ② 一般に飲食に供されているものであるが、通常の方法とは著しく異なる方法により飲食に供されているものについて、 人の健康を損なうおそれがない旨の確証がないもの ③ 食品によるものと疑われる人の健康に係る重大な被害が生じた場合において、当該被害の態様からみて当該食品に 当該被害を生ずるおそれのある一般に飲食に供されることがなかったものが含まれていることが疑われるもの 食品又は添加物の基準及び規格(法第11条) 公衆衛生の見地から販売に供する食品若しくは添加物の製造等の基準又は成分についての規格を、厚生労働大臣は定 めることができる。これらの基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により製造等した食品若しくは添加 物又はその規格に合わない食品若しくは添加物を販売等をしてはならないとされている。 (出典)食品衛生法(昭和22年法律第233号) 6 栄養機能食品の規定①(対象食品・成分) 対象食品 鶏卵以外の生鮮食品を除く食品 対象となる食品・成分の要件 ○ 対象成分はビタミン12種類、ミネラル5種類 (ビタミン):ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、 ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸 (ミネラル):亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム ○ 一日当たりの摂取目安量に含まれる対象成分の量が、栄養表示基準に定められた下限・ 上限量の範囲内であることが必要。なお、上限量は「日本人の食事摂取基準」の耐容上限量 及び医薬部外品の最大分量等を考慮し決定 ○ 特定保健用食品と異なり、個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度 7 栄養機能食品の規定② (表示事項) 安全性に関連するものとして、以下の事項が表示されている。 ○ 1日摂取目安量の表示が必須 ○ 栄養表示基準に基づき、摂取する上での注意事項が必須 ○ 消費者庁長官により個別審査を受けたものではない旨の表示が必須 ≪パッケージ表示例≫ 商品名:●▲ 栄養機能食品(ビタミンC) ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。 「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」 名称:ビタミンC含有食品 原材料名:・・・、・・・、・・・ 賞味期限:枠外○○に記載 内容量:○○g 製造者:△△株式会社 栄養成分表示:1粒当たり エネルギー○kcal、たんぱく質○g、脂質○g、炭水化物○g、ナトリウム○g、 ビタミンC○mg 1日当たりの摂取目安量:1日当たり2粒を目安にお召し上がり下さい。 摂取の方法及び摂取する上での注意事項 本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。 1日の摂取目安量を守ってください。 1日当たりの摂取目安量に含まれる機能の表示を行う栄養成分の量の栄養素等表示 基準値に占める割合:ビタミンC ○% 調理又は保存の方法:保存は高温多湿を避け、開封後はキャップをしっかり閉めて 早めにお召し上がり下さい。 本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官により個別審査を受けたものではありません。 8 特定保健用食品の規定①(対象食品・成分) 対象食品 販売に供する食品(生鮮食品も対象) 対象となる食品・成分の要件 1. 食生活の改善が図られ、健康の維持・増進に寄与する事が期待できるものであること 2. 食品又は関与する成分について、保健の用途の根拠が医学的、栄養学的に明らかにされていること 3. 食品又は関与する成分の適切な摂取量が医学的、栄養学的に設定できるものであること 4. 食品又は関与する成分が、添付資料からみて安全なものであること 5. 関与成分について以下の事項が明らかにされていること ア、物理学的、化学的及び生物学的性状並びにその試験方法 イ、定性及び定量試験方法 6. 同種の食品が一般的に含有している栄養成分の組成を著しく損なったものではないこと 7. まれに食べられているものではなく、日常的に食べられている食品であること 8. 食品又は関与成分が、専ら医薬品として使用されるものではないこと 安全性の評価に必要な資料 (出典)平成17年2月1日付食安発第0201002号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知 (平成21年9月消費者庁設置以降、消費者庁へ移管) ○ 特定保健用食品は、食経験、 in vitro試験、動物を用いたin vivo試験、ヒト試験等に基づく添付資料を基 に、消費者委員会、食品安全委員会において審査される。 【添付資料として必要な資料】 ・ 食経験:食習慣等を踏まえた関与成分又は含有食品の日常的な摂食量のデータ、市販食品中の市販された時期、 これまでの販売量、当該成分の含有量のデータ等 ・ in vitro及び動物を用いたin vivo試験:遺伝毒性試験データ、単回経口投与試験データ、反復経口投与試験データ等 (食品等としてヒトが摂取してきた経験が十分に存在するものであって、合理的な理由があるものは、省略可) ・ ヒト試験: 長期投与試験(12週)、過剰摂取試験(3倍量、4週) 9 特定保健用食品の規定②(表示事項) 安全性に関連するものとして、以下の事項が表示されている。 ○ 1日摂取目安量の表示が必須 ○ 許可時の要件に基づき、摂取をする上での注意事項の表示が必須 ○ 血糖や血圧に関するものは、治療を受けている者等が当該製品を摂取する際には、医師等への相談が必 要であることの注意喚起を表示 ≪パッケージ表示例≫ 特定保健用食品 後から入力 商品名: ●▲ ●▲ 名称:粉末清涼飲料 賞味期限:○○/△△/×× 原材料名:・・・、・・・、・・・ 内容量:○○g 許可表示: ●▲ ●▲には△△が含まれているため、便通を改善します。 おなかの調子を整えたい方やお通じの気になる方に適しています。 「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」 栄養成分表示:1袋当たり エネルギー○Kcal、たんぱく質○g、脂質○g、炭水化物○g、ナトリウム○g、関与成分△△○g 1日当たりの摂取目安量:1日当たり2袋を目安にお召し上がりください。 摂取方法:水に溶かしてお召し上がりください。 摂取をする上での注意事項:一度に多量に摂りすぎると、おなかがゆるくなることがあります。 1日の摂取量を守ってください。 調理又は保存の方法:直射日光を避け、涼しいところに保存してください。 製造者:○○○株式会社 東京都△△区・・・・ (1日あたりの摂取目安量に含まれる該当栄養成分の量が栄養素等表示基準値 に占める 割合:関与成分が栄養素等表示基準値の定められた成分である場合) 【条件付き特定保健用食品の表示例】 許可表示: 「○○を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、 △△に適している可能性がある食品です。」 ※赤字は特定保健用食品としての義務表示事項 10 錠剤、カプセル状等食品の原材料に関する自主点検ガイドライン 趣旨 ○ 錠剤、カプセル状等食品は、原材料の中に天然に微量に含まれる毒性物質も濃縮されているおそれが あり、過剰摂取等による健康被害の発生を防止する観点から、その安全性確保についてはより一層の注意 が必要である。 ○ 錠剤、カプセル状等食品の原材料の製造、販売等に関しては、その特性に鑑み、安全性確保に向けた 事業者の自主的な取組が期待される。 対象の範囲 自主点検の実施が推奨される対象者は、天然からの抽出物であって分画、精製、化学的反応等により、本 来天然に存在するものと成分割合が異なっているもの及び化学的合成品を、錠剤、カプセル剤、粉末剤、液 剤等の形状の加工食品に使用する原材料として製造、販売等する事業者、及びこれらの原材料を使用して 上記の形状の加工食品を製造、販売等する事業者である。 自主点検の考え方 ○ 錠剤、カプセル状等食品については、過剰摂取の可能性があるため、食経験のみによって人の健康を害 するおそれがないとはいえない。 ○ 次のことを基本とし、事業者自らが当該食品の原材料の製造方法の適否や販売の可否等を判断するた めの安全性点検を実施する。 ・ 原材料の製造に使用される基原原料について、文献検索により安全性・毒性情報等の収集を行う。 ・ 食経験に基づいて安全性を担保できない場合は、原材料等を用いて毒性試験を行う。 ○ なお、この自主点検の実施のみをもって当該食品の安全性が確実に担保されるものではないことに留意 する必要がある。 (出典)平成17年2月1日付食安発第0201003号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知 別添2 11 「いわゆる健康食品」の摂取量及び摂取方法等の表示に関する指針 目的 いわゆる健康食品について、過剰摂取による健康被害等を防止するとともに、消費者の適切な利用に資する こと。 表示事項 食品衛生法等の法令で表示することが定められている事項のほか、次に掲げる事項を表示すべきであること。 ○ 一日当たりの摂取目安量 ○ 通常の形態及び方法によって摂取されないものにあっては、摂取の方法 ○ 摂取をする上での注意事項 ○ バランスの取れた食生活の普及啓発を図る文言 表示方法及び留意事項 ○ 包装の見やすい箇所に邦文をもって明瞭に表示すること。 ○ 文字の大きさは日本工業規格Z8305(1692)に規定する8ポイント以上とすること。 ○ 摂取をする上での注意事項等の表示は、独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページの「「健康食 品」の安全性・有効性情報等の科学的かつ客観的な情報データベース」等を活用すること。なお、当該情報は 素材に関するものであり、個々の品質に左右される個別の商品の有効性を証明するものではないこと。 ○ 表示の根拠等については、事業者のホームページ等で消費者に対し積極的に情報を開示すること。 ○ 医薬品の用量等の表示及び特別用途食品の表示と誤解されないよう配慮すること。 (出典)平成17年2月28日付食安発第0228001号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知 (平成21年9月消費者庁設置以降、消費者庁へ移管) 12 米国における状況 13 ダイエタリーサプリメント(DS)制度の対象となる食品と成分の考え方 対象食品 1) 食事を補充する目的で、以下の食品成分を1つ以上含むタバコ以外の食品: ① ビタミン/② ミネラル/③ ハーブ又はその他の植物/④ アミノ酸/ ⑤ 総摂取量を増加させることによって食事を補充するためにヒトが使用できる食品成分/ ⑥ ①~⑤の濃縮物、代謝物、抽出物又は混合物 2) タブレット、カプセル、粉末、ソフトジェル、ジェルカップ又は液体で摂取するもの 3) 一般的な食品として、又は食事や食物の唯一の品目として使用することを意図していないもの 4) 「ダイエタリーサプリメント」と表示するもの なお、新薬として承認されたもの、抗生物質として認証されたもの、又は生物製剤として認可されたもの で、それらの承認、認証、認可の以前からDS又は食品として流通していたものを含む。 対象成分 1) 対象食品 1. に該当する成分で、1994年10月15日以前に米国でDSの形で販売されていた成分 (Grandfathered substance) 2) 対象食品 1. に該当する成分で、1994年10月15日以前に米国でDSの形で販売されていなかった成分 ⇒新規成分(New Dietary Ingredient: NDI)として所定の安全性評価(合理的に安全と考えられることの証 明)を行い、販売75日前までにFDAに届け出なくてはならない 3) 一般的に安全とみなされる(Generally Recognized As Safe: GRAS)成分 4) 上記1.~3. に該当しない成分については、食品添加物としての使用許可を受けたもの 14 NDI (New Dietary Ingredient) NDIとは ○ 1994年10月15日以前に米国でDSの形で販売されていなかった成分 ○ NDIが含まれているDSを販売予定の場合は、所定の安全性評価(合理的に安全と考えられることの証 明)を行い販売75日前までにFDAに届け出なくてはならない 【届出事項】 ○ 製造者又は販売者の名称及び所在地 ○ NDIの名称。ハーブや植物の場合は、正式学名を含む。 ○ NDIが含まれているDSの下記の説明 ● 製品中のNDIの含有量 ● ラベルに表示されている製品の使用条件(表示が無い場合は、通常の使用条件) ○ DSのラベルに表示されている製品の使用条件で、当該NDIが合理的に安全と考えられることの裏付けとなる食経 験その他安全性に係るエビデンス ○ 担当者の署名 食経験その他安全性に係るエビデンスについて 食経験その他安全性に係るエビデンスとして何を示すべきかは、FDAがガイダンス案を公表している。 ○ 安全性の情報は、適切な食経験の歴史、安全性試験又はこれらの両方を含めるべきとされている。 ○ 適切な食経験の考え方については、妥当性を評価する重要な要素として以下のとおり挙げられている。 食経験の長さ(期間)、摂食集団(年齢、性別、健康状態等)、摂取量、摂取形態、摂取方法、摂取頻度、摂取者の規模(人数) 等 ○ FDAは「安全使用の歴史の確立には、25年間の広範な使用が最低限必要と考えているが、本件に関す る科学的な文献がほとんどないため、現時点では具体的な推奨はできない」としている。 ○ NDIの使用条件が食経験と異なる場合などは、安全性試験を提出することが適当とされている。安全性 試験については、遺伝毒性試験、亜慢性経口毒性試験、生殖毒性及び催奇形性試験、反復投与毒性試 験、ヒトにおける忍容性試験及び動態試験等の実施が示されている。 (出典)Draft Guidance for Industry_Dietary Supplement_New Dietary Ingredient Notifications and Related Issues(2011.7) 15 GRAS (Generally Recognized As Safe) GRASとは ○ 食品に直接又は間接的に添加される物質の安全性評価に関する専門的な訓練を受け、当該分野におけ る経験を有する専門家の見解に基づいて、科学的な手続を経て「一般的に安全である」と判断されたもの。 ○ 科学的な手続に基づいて一般的に安全であるとみなされるためには、当該成分に適用される食品添加 物規制に基づく承認を得る場合と量的及び質的に同等の科学的エビデンスが要求される。 ※ なお、1958年1月1日より前に食品に使用されていた物質については、相当数の消費者によって当該食品使用に関して 相当程度の消費の歴史があるという実績に基づいてGRASと判断することが可能。 ○ GRASの審査は、原則的に企業が自ら実施。GRAS決定の評価をFDAに通知するかどうかは、企業の自 発的手続による。 GRASであることの確認事項 i. 物質に関する事項: a. 一般名 b. 化学名 c. ケミカルアブストラクトサービ ス(CAS)の登録番号 d. 実験式 e. 構造式 f. ヒ素および重金属を含む食品 等級材料規格 g. 量的組成 h. 製造工程(企業秘密を除く) ii. 物質の使用に関する事項: a. 使用開始年月日 b. 食品のこれまでの使用に関する情報 c. 使用の対象となる食品、そうした食品中における使用レベル、及びその目的 iii. 食品中の当該物質の検出方法: a. 食品中の当該物質の定性的及び定量的検出方法。 b. 分析方法の検出感度及び再現性。 iv. 食品中の当該物質の安全性及び機能性を証明する情報 v. 申請者の署名入りの申立書 等 16 DSの義務表示事項 ① ⑥ 栄養成分表示 ⑥ ○DSの栄養成分表示は、 「Supplement Facts」として表示 ○1回当たりの推奨摂取量を表示 ○義務表示である栄養成分: エネルギー、脂質エネルギー、脂質、 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレ ステロール、ナトリウム、炭水化物、 食物繊維、糖類、たんぱく質、V.A.、 V.C.、カルシウム、鉄 ⑤ ③ ④ ② ① 商品名・Dietary Supplementである旨 ④責任者の名称及び連絡先 ② 内容量 責任者(製造者/包装者/販売者)の名称及 び国内の住所又は電話番号を表示 ③ 原材料 原材料を重量順に表示 (⑥に示したDSの関与成分として含まれる 成分は除く。) ※ 各成分とも、含有量がゼロ表示規定 値を上回る場合に表示(規定値以下の 場合は表示しない。) ※ FDAが設定した各成分の1日摂取目 安量に対する割合(%Daily Value : %DV)の表示が原則として必須 ○DSの関与成分として含まれる成分 の名称と量も「Supplement Facts」 と して表示(原材料のリストには含め ない) ⑤ 免責表示 「この表示はFDAによって評価されたもので はありません。この製品はいかなる病気の 診断、処置、治療、予防を目的としたもので はありません。」 17 対応方針(案) 18 対象となる食品及び成分並びに摂取量の在り方の対応方針(案) 基本的方向性(案) ○ 機能性を表示する食品については、当該機能に関与する成分(以下「関与成分」 という。)が増強される場合が多いことから、関与成分を中心とする食品についての 安全性の確保を第一に考慮する。 ○ そのためには、当該食品の関与成分が明らかにされていることが必要である。 (関与成分以外の成分については、一般の食品成分と同等の安全性を有してい ることが必要) ○ 対象となる食品は、これらの点を満たした食品とする。 ○ 今回検討する制度は、企業等の責任においてされるものであり、特定保健用食 品制度のように、国が事前に確認するものではないことにも留意が必要である。 対応方針(案) 上記方向性(案)を踏まえた対応方針(案)としては、次のとおりとする。 ① 関与成分を中心とする食品の安全性について事業者は自ら評価する。 ② ①の結果は、広く情報開示することとする。 19 対象となる食品及び成分並びに摂取量の在り方の対応方針(案)① ① 関与成分を中心とする食品の安全性について事業者は自ら評価する。 背景 ○ 機能性を表示する食品については、関与成分が増強される場合が多いことから、関与成分を中心とする食 品についての安全性の確保を第一に考慮する。 ○ 米国のDSに使用できる成分であるNDI・GRASについては、いずれも事業者において、食経験や安全性試験 に基づく関与成分の安全性に係る情報の評価が求められている。 ○ いわゆる健康食品については、医薬品との飲み合わせによる健康被害が懸念されている(『「健康食品」の 表示等の在り方に関する建議』(平成25年1月29日 消費者委員会))。 対応方針の具体(案) ○ 関与成分を中心とする食品の安全性について、以下の観点から、事業者が自ら評価する。 ア.関与成分を中心とする食品そのものの安全性 (1)食経験に関する情報の評価 + (食経験よりも摂取量が増加する等、食経 験に関する情報では十分ではない場合) (2)安全性試験に関する情報の評価 (特定保健用食品の安全性評価に必要な情報を参考に) イ.関与成分と医薬品等の相互作用 関与成分と医薬品との 相互作用の有無 + (関与成分を複数含む場合) 関与成分同士の相互 作用の有無 ○ その際、錠剤・カプセル・液状等の食品/その他の加工食品/生鮮食品の食品形状の違いにも留意 (例: 錠剤・カプセル・液状等の食品を評価するに当たり、そのような形状ではない一般的な食品における食経験で十分と言えるか。) 20 対象となる食品及び成分並びに摂取量の在り方の対応方針(案)① ア.関与成分を中心とする食品そのものの安全性 (1)食経験に関する情報の評価 一般に、個々の食品の安全性については、それらの長い食経験を通じて担保されてきたものであることから、 以下のように、具体的なエビデンスに基づき、食経験を評価 ・ 食習慣等を踏まえた関与成分又は含有食品の日常的な摂取 量のデータ ・ 市販食品中の市販された時期 ・ これまでの販売量 ・ 成分の含有量のデータ ・ 摂取集団(年齢、性別、健康状態等) ・ 摂取形態、摂取方法、摂取頻度、摂取者の規模 等 評価 ・ 全国規模で、機能性を表示する食品以上に広範囲の摂取集 団において、同等以上の摂取量での、一定期間の食経験があ ること ・ 日本人と食生活・栄養状態等で類似している国又は地域で、 機能性を表示する食品以上に広範囲の摂取集団において、同 等以上の摂取量での、一定期間の食経験があること 等 (2)安全性試験に関する情報の評価 食経験よりも摂取量が増加する等、食経験に関する情報では十分ではない場合については、特定保健用食 品の安全性評価に必要な情報を参考として、以下のような安全性試験に関する情報を評価 ○ in vitro試験、in vivo試験(遺伝毒性試験、急性毒性試験、反復投与試験、生殖発生毒性試験など) ○ ヒトを対象とした試験(過剰摂取試験、長期摂取試験など) 等 なお、成分での安全性評価か、当該成分を含む食品での安全性評価であるかに留意 (例:成分での安全性評価の場合は、その評価が当該成分を含む食品に適用できることの合理的な根拠があるか) イ.関与成分と医薬品等の相互作用 医薬品との飲み合わせ等による健康被害を防止するため、摂取上の注意を要するかという観点から、以下 の事項を評価する。 ○ 製品に含まれる関与成分と医薬品との相互作用の有無 ○ 関与成分を複数含む場合については、当該関与成分同士の相互作用の有無 等 21 対象となる食品及び成分並びに摂取量の在り方の対応方針(案)② ② ①の結果は、広く情報開示することとする。 背景 ○ 今回検討する制度は、企業等の責任においてされるものであり、特定保健用食品制度のように、国が事前 に確認するものではない。 ○ 健康の保持増進に役立つ旨が表示される食品であり、過剰摂取されるおそれがあるなど、通常の食品と は異なる摂取方法が想定される。 対応方針の具体(案) ○ ①で事業者が評価した安全性に係る情報は、消費者を健康被害から守る上で極めて重要なものであり、 商品が安全であることの科学的根拠を含めて、以下の2つの手段により、広く情報開示する必要がある。 その際、錠剤・カプセル・液状等の食品/その他の加工食品/生鮮食品の食品形状の違いにも留意 (例: 錠剤・カプセル・液状等の食品については、医薬品との誤認を防止するための記載が必要か) (1) 容器包装への表示:情報開示で最も重要な役割を果たすツールの一つであることに鑑み、消費者に確実に 伝えるべき以下の事項は、容器包装に記載することで情報提供 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 関与成分名 1日摂取目安量 1日摂取目安量当たりの関与成分の含有量 摂取上の注意(医薬品等との飲み合わせ、過剰摂取を防止するための注意喚起等) 表示及び製品の安全性については国による評価を受けたものではないこと 疾病の診断、治療、予防を目的としたものではないこと 医薬品を服用している者は医師に相談した上で摂取すべき旨 等 (2) 表示以外の情報開示:容器包装はスペースが限られる等の問題があり、 ①で事業者が評価した安全性に 係る情報を全て情報開示することは困難であることから、容器包装への表示以外の情報開示についても検討 22