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5)少子・高齢化に対応した公園緑地基準の検討

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5)少子・高齢化に対応した公園緑地基準の検討
少子・高齢化に対応した公園緑地基準の検討
The examination of the park and open space standard
corresponding to declining birthrate and aging
(研究期間 平成 14~16 年度)
室長
藤原宣夫
Head
Nobuo Fujiwara
主任研究官
武田ゆうこ
Senior Researcher
Yuko Takeda
研究官
米澤直樹
Researcher
Naoki Yonezawa
環境研究部 緑化生態研究室
Environment Department
Landscape and Ecology Division
It is said that the activity of a child's mind and body is falling rapidly. This is considered to originate
in many problems in connection with growth environment, such as aggravation of play environment, loss
of natural experience, a child's isolation, emotion instability, truancy, a physical strength fall, and
reduction in the age of geriatric diseases, aggravating with social change, such as urbanization, natural
destruction, the trend toward the nuclear family, the spread of video games, and a decrease in the birthrate.
Although a city park is considered that the role which came for mind-and-body activation sure enough as
a child's familiar playground has a large thing, the state of the park based on the above social situations
fully needs to be examined. Then, it inquires for the purpose of performing grasp and analysis of the
use actual conditions, such as a basic park for neighborhood a child's familiar playground, and performing
arrangement of the park for a child, and the proposal of an institution indicator.
1. 研究目的及び経緯
る「子どもの心身活性化増進に寄与する環境整備特別
子どもの心身の活性が急激に低下しつつあるといわ
研究」で調査対象となった杉並区立杉並第十小学校区
れている。これは、都市化、自然破壊、核家族化、テ
内の住区基幹公園(表-1)を対象に調査を行った。
レビゲームの普及、少子化といった社会的変化に伴い、
遊び環境の悪化、自然体験の喪失、子どもの孤立化、
情緒不安定、不登校、体力低下、成人病の低年齢化な
ど生育環境に関わる諸問題が深刻化していることに起
因すると考えられている。
都市公園が子どもの身近な遊び場として心身活性化
に果たしてきた役割は大きいものがあると考えられる
が、上記のような社会状況を踏まえた公園のあり方が
表-1
十分に検討される必要がある。そのため、本研究は子
2.1
供の身近な遊び場である住区基幹公園の利用実態の把
(1)入退園計測調査
握・分析を行い、子供のための公園の配置、施設指針
調査対象公園
種別
名称
位 置
規模(㎡)
近隣 蚕糸の森
和田3-55-30
27,146.86
街区 和田北
和田3-41-20
1,017.99
街区 和田東
和田1-48-16
640.40
街区 和田西
和田3-15-18
371.90
街区 堀ノ内東
堀ノ内3-49-11
1,233.11
街区 梅里
梅里1-1-55
5,621.32
なお、調査の内容は、次のとおりである。
公園利用実態調査
平日及び休日の各2日について、各公園の入退園状
の提案を行うことを目的として実施しているものであ
況をカウントし、利用者数を把握した。
る。
(2)園内活動調査
なお、本研究は、(社)日本建築学会に設置された「子
供の心身活性に寄与する環境整備特別委員会」におけ
る研究の一環として行われるものである。
1)マッピング調査
来園者の園内活動、施設利用状況を把握するため、
アクティビティ・マッピング法を採用し、1時間ごと
に利用グループ形態、人数、活動を図面上に記録(プ
2.研究の方法
平成14年度は、(社)日本建築学会が良好な子どもの
生育環境の整備を目指して平成13年度より実施してい
ロット)した。
2)活動追跡調査
4,000
来年者の中から子どもあるいは子どもを含むグルー
プを調査対象者とし、その活動動線を1本の線で記録
し、調査用紙に行動内容を記録した。
人
2.2 アンケート調査
3,353
3,500
学齢前
3,000
小低学
2,500
小高学
2,000
子供計
数
青年・ 大人計
1,500
来園者の中から子どもあるいは子どもを含むグルー
1,000
プを調査対象者とし、アンケートを行った。なお、ア
500
194
ンケート項目は、次のとおり。
605
277
134
367
54 35 11
100
14 39 35 88 106
61 57 34152 126
梅里
和田北
堀之内東
0
蚕糸の森
Q1.利用グループ形態、Q2.来園発地、Q3.来園方法、
図-2
90.0
Q4.到達時間、Q6.来園目的、Q7.利用施設、Q8.滞在時
休日利用者層別利用者数
84 .7
78 .6
80.0
間、Q9.来園頻度、Q10.評価、Q11.要望、Q12.利用遊び
70.0
学齢前
54 .6
60.0
場所・活動内容、F1.性別・年齢・住所
54 .7
45 .4
50.0
小低学
4 5.3
小高学
%
2.3 その他遊び場調査
40.0
子供計
30.0
子どもが遊ぶ場所は、公園以外にも様々なロケーシ
2 1.4
1 5.3
20.0
ョンが想定される。そこで「公園利用実態調査」で対
10.0
11 .6
4.9
7.0
7.5
青年・大人計
2 1.9 2 0.5
1 2.2
20 .11 8.0
7.2
2.4
3.4
0.0
象とした公園以外の小学校区内の遊び場について、既
蚕糸の森
梅里
図-3
往資料と現地踏査により、それらの分布、概況、遊び
内容等を把握した。
4,00 0
和田北
堀之内東
休日利用者層別利用者構成比
3 ,6 06
3,50 0
学齢前
3,00 0
3.研究結果
小低学
2,50 0
小高学
人
3.1 公園利用実態調査
数
2,00 0
子供計
1,50 0
(1)入退園計測調査
1,00 0
1)1日平均利用者数
50 0
・図-1のとおり、各公園とも「休日1日平均利用者
1 40
び梅里は、他の調査対象公園より数倍から数十倍の
公園施設は通常の街区公園とそれほど差はないが、
堀ノ内東の方が利用者数は多い。これは、児童館や
蚕糸の森
う条件を持っているためと思われる。
13 4
25 2 3 1 4 62 68
梅里
図-4
10 0.0
29
5
16 8 15 0
和田北
堀之内東
平日利用者層別利用者人数
9 2.1
82 .7
9 0.0
8 0.0
7 0.0
52 .3
4 7.7
52 .8
47.2
4 2.1
学齢前
小低学
小高学
4 0.0
子供計
3 0.0
1 0.0
1 7.3
12 .6
2 0.0
7 .9
3.4 3 .6
0 .9
1 9.21 7.7
10 .8
3 .8
青年・大人計
9 .1
1.6
0 .9
0.0
蚕糸の森
保育園が隣接し、公園施設も複合遊具を有するとい
図-5
梅里
和田北
堀之内東
平日利用者層別利用者構成比
蚕糸の森及び梅里は、休日及び平日とも来園者人数
・和田東及び和田西は公園規模が700㎡未満と小さく、
1日平均利用者数が少ない。
に対する子どもの割合は低いが、子どもの来園者数が
少ないわけではない。公園面積が広い分、公園施設内
容に多様さがあることが子どもから大人まで利用者が
4,50 0
3 ,9 10
集まる要因となっている。
休日1日平均
3,50 0
一方、和田北及び堀ノ内東は面積規模が類似してお
平日1日平均
3,00 0
人
77
% 5 0.0
・和田北及び堀ノ内東は、公園面積が約1,000㎡強で、
3,96 0
4
6 0.0
利用者数となった。
4,00 0
56 17
34
数」と「平日1日平均利用者数」に大きな差はなく、
日常的利用が主体であるが、面積が広い蚕糸の森及
36 7
3 08
13 4
0
り、いずれも子どもの利用率が高い。しかし、平日、
2,50 0
2,00 0
休日ともに堀ノ内東の子どもの利用人数が約2倍にな
1,50 0
っている。
1,00 0
47 0
50 0
4 40
28 0
19 0
1 30
50
0
蚕糸の森
梅里
図-1
和田北
(2)園内活動調査
3 20
堀之内東
80
和田東
70
60
和田西
1日平均利用者数
2)利用者層別利用者数及び利用者構成比
1)マッピング調査
①蚕糸の森
休日は、グランドで小学生のサッカー大会が午前中
ここでは、利用者数が極端に少ない和田東及び和田
から昼過ぎまで開催されており、これが公園の主な利
西を除いた4公園について、比較を行った。その結果
用となった。また、芝生広場の午前中から午後にかけ
を図-2~5に示す。
ての大人の利用が目立った。
一方平日は、14時頃のいこいの広場の利用と、15時、
化を受けて、近隣公園(蚕糸の森)では6割に減少
16時以降のグランドでの小学生のグループサッカー利
し、眺める、飲食する、親と遊ぶ、カードゲームや
用が目立った。
自転車などのその他の遊びが3割を占めた。
②梅里公園
・3街区公園及び近隣公園(蚕糸の森)において、学
休日は、学齢前と小学生低学年は混在して園内で遊
齢前は遊具遊びが多くの割合を示すのに対し、小学
んでいるが、小学生高学年になると、球戯場を中心に
生低学年、小学生高学年と学年が高くなるほど遊具
遊んでいた。
の割合が低くなり、ボール遊びの割合が増加した。
一方平日は、午前中と昼前後は学齢前と大人が公園
・街区公園の小学生低学年の「仲間と遊ぶ」の比率の
を利用しているが、園内で2セグメントが棲み分けし
減少は、蚕糸の森の比率突出と補完的であり、その
て利用しており、15時以降では学齢前、小学生、大人
主な活動の場が近隣公園(学校公園)となっている
が園内を分散利用していた。
ことによると見られる。
③和田北公園
3.2
休日は、昼頃までは子どもと大人の同時利用も見ら
れ、午後は小学生低学年の利用が中心であったが、園
内の遊具は学齢前、園地は小学生低学年、球技場は小
学生高学年が中心に使っていた。
アンケート調査
(1)誘致圏
到達時間構成比率の累計が80%の時間距離を誘致
圏とした。
その結果を図-8及び図-9に示す。
1 9.7
20.0
一方平日は、午前中から昼頃までは学齢前の利用も
17 .2
少ないが、午後になると小学生が放課後に集まり、園
15 .0
15.0
13 .9
1 4.3
1 3.7
1 3.4
1 3.0 13.0
内いっぱいに散らばって遊んでいた。
12 .2 12 .4
12 .2
12 .8
1 2.7
1 3.0
小低学年
11.0
小高学年
分 10.0
④堀ノ内東公園
学齢前
全体
休日は、午前中は大人の(犬の)散歩の立ち寄り利
5.0
用が目立った。学齢前は専ら遊具で遊んでいる。小学
生低学年及び高学年になると球戯場の利用が目立つよ
0.0
蚕糸の森
うになった。なお、利用が多くなると学齢前と小学生
梅里
図-8
和田北
堀之内東
休日誘致圏
20 .0
が遊具を混在利用していたが、平日の利用者が少ない
18 .0
1 8.0
ときは、園内をすみ分けて利用していた。
1 3.7
15 .0
1 3.4 1 3 .1
1 3.0
13 .1
1 2.3
11 .0
2)活動追跡調査
9 .7
9.5
分
10 .0
活動種別毎に時間を再集計して、5%以上の比率を占
める活動について、こども年代別の延べ活動時間比率
全体
4 .0
5 .0
蚕糸の森
52
和田北
堀之内東
平日誘致圏
小学生高学年の誘致圏が広い。やや遠くからも本公
46
50
学齢前
40
小低学年
30
%
26
24
30
小高学年
20
9
13
6.仲間と遊ぶ
図-6
・一方、梅里、和田北、堀ノ内東の休日及び平日誘致
12~13分圏のレンジにあり、誘致圏から見ると梅里
0
5 .遊具遊び
園ならではの魅力を求めて来園している。
圏並びに蚕糸の森の平日誘致圏はほとんど差がなく
7
10
7 .ボール遊び
の規模及び施設メニューは有効に働いていない。
3街区公園における活動内容比率
60
52
学齢前
・平日の堀ノ内東を除くと、小学校低学年と高学年で
は高学年の方の誘致距離が広い。これは高学年の行
小低学年
小高学年
動範囲の広さの表れであると考えられる。
30
% 30
23
22
20
8
10
梅里
・蚕糸の森の休日誘致圏が広く17.2分圏である。特に
58
40
4 .9
0 .0
図-9
60
50
4.8
0 .0
をみた。その結果を図-6及び図-7に示す。
70
小高学年
学齢前
8.3
蚕糸の森公園及び3街区公園の活動追跡記録を用い、
小低学年
14
11
6
6
19
15
14
10
7
6
1
3 3
6
2
4
0
1.眺める
2.飲食
3.親と遊ぶ
4.その他遊び
5.遊具遊び
6.仲間と遊ぶ
7.ボール遊び
図-7 近隣公園(蚕糸の森)における活動時間比率
・街区公園では、遊具遊び、仲間との遊び、ボール遊
びの3種類で全活動の9割を占める一方、場の多様
・旧、都市公園法施行令の街区公園の誘致距離250m(概
ね5分)及び近隣公園の誘致距離500m(概ね10分)よ
り更に広い誘致圏を有している。
(2)公園選定理由
休日及び平日における公園別の選定理由比率は、図
-10及び図-11のとおりである
70 .0
66 .7
5 5.8
60 .0
広いから
50 .0
遊びたいもの有
3 5.9
40 .0
3 0.9
%
30 .0
に起因する。
近いから
48 .7
2 2.7
2 3.1
友達集まる
23 .2
んであるためである。他の公園でも小学生高学年の
1 8.2
14 .8
20 .0
10 .3
1 0.3
安全
15 .1
1 2.1
1 2.1
1 4.0
12 .3 1 2.3
9.3
緑が多い
10 .0
滞在時間が他の利用層に比べて長いが、これもボー
0 .0
蚕糸の森
梅里
図-10
和田北
ル遊びをしていることが主な要因である。
堀之内東
休日公園選定理由
80.0
(4)来園頻度
75 .8
70.0
週2~3回以上の利用者をヘビーユーザーと考え、
近いから
60.0
5 4.5
5 3.5
50.0
50 .0
50 .0
4 6.4
遊びたいもの有
% 40.0
2 6.2
21 .4
2 8.6
2 5.0
友達集まる
21 .4
20.0
安全
1 4.3
1 4.3
12 .1
用回数を選定し、加重平均により各セグメントの利用
きれい
35 .7
24 .6
利用者年平均利用回数は、各利用頻度ランク毎に年利
広いから
4 0.0
30.0
・蚕糸の森の小学生高学年の滞在時間が長いのは、グ
ランドでサッカー等のボール遊びなどを友達と楽し
きれい
緑が多い
者年平均利用回数を選定した。その結果を図-14及び
図-15に示す。
10.0
120.0
0.0
堀之内東
100.0
平日公園選定理由
86 .7
81 .3
%・
75 .9
58 .9
5 0.0
4 7.1
40 .5
回/年
5 0.0
/ 年)
全体
学齢前
小高学年
全体
小低学年
学齢前
小高学年
全体
小低学年
和田北
堀之内東
休日来園頻度
18 4.0
200.0
180.0
たいもの有(休日)及び友達が集まる(平日)、堀ノ
160.0
14 7.5
1 38 .7
100.0 81 .5
回/年
1 14 .4
11 0.0
120.0
%・
1 30 .0
12 6.9
140.0
内東は遊びたいもの有(休日)及び安全(平日)と
87 .7
10 7.8
1 04 .8
10 0.0
9 0.8
8 6.3
83 .3
6 2.5
50 .0 47 .1
5 0.0 5 0.0 5 0.0
8 3.3
7 8.7
7 2.8
80.0
60.0
6 6.7
60 .0
61 .5 64 .3
5 5.6
年平均利
用回数(回
/年)
20.0
0 .00 .0
蚕糸の森
98
89
85
73
小低学年
小高学年
68
梅里
図-15
和田北
全体
学齢前
小高学年
小低学年
全体
学齢前
小高学年
小低学年
全体
学齢前
小高学年
小低学年
全体
学齢前
小低学年
12 0
小高学年
0.0
120
81
ヘビーユーザー
比率(%)
91 .1
40.0
及び図-13のとおりである。
80
学齢前
梅里
図-14
(休日)及び遊びたいもの有(平日)、和田北は遊び
100
小高学年
全体
小低学年
蚕糸の森
る。蚕糸の森は広いから(休日・平日)、梅里は安全
140
用回数(回
0.0
園を選択するということがいえる。
休日及び平日における公園別の滞在時間は、図-12
年平均利
0 .0
・一方、各公園の第2位の選定理由は特色が現れてい
(3)滞在時間
2 3.1
2 1.7 2 3.0
20.0
調査対象公園は日常利用が主であり、まず近くの公
なっており、各公園で理由が異なる。
(% )
3 7.5
2 8.6 3 0.3
25 .5
1 9.4
ヘビーユー
ザー比率
5 0.0
4 5.0
4 0.6
75 .8
72 .0
67 .8
55 .55 5.0
3 5.0
40.0
50%以上の人が選定理由としてあげている。今回の
69 .4
63 .6
小低学年
選定理由の第1位である。蚕糸の森の休日を除いて
60.0
87 .8
84 .5
80.0
学齢前
図-11
和田北
小高学年
梅里
・各公園とも休日、平日を問わず「近いから」が公園
分
1 01 .8
1 00 .4
蚕糸の森
堀之内東
平日来園頻度
63
60
43
37
47
53
学齢前
51
44
40
全体
30
40
・全ての公園で、ヘビーユーザー比率及び利用者年平
均利用回数は、平日利用者の方が高かった。休日利
20
0
蚕糸の森
梅里
和田北
図-12
休日滞在時間
用者の一部は休日にのみ「月に2~3回」来る人も
堀之内東
多いためである。
1 20
・しかし、休日でもヘビーユーザー比率は、約25~45%
96
1 00
80
80
65
58
分
60
60
52
50
小低学年
57
63
65
50
56
51
小高学年
学齢前
38
36
全体
40
18
0
梅里
図-13
ビーユーザーであることから、調査対象公園は、ヘ
ビーユーザー比率、年平均利用回数とも高率を示し
ているといえる。
20
蚕糸の森
を示し、比率の最も低い梅里でさえ4人に1人はヘ
和田北
堀之内東
平日滞在時間
・蚕糸の森の休日の滞在時間は約100分と長いが、他は
休日、平日とも約50~60分のレンジに納まっている。
・蚕糸の森の休日を除くと公園規模、施設メニュー数
・その中でも、平日の和田北は約80%と最も高いヘビ
ユーザー比率を示し、年平均利用回数は148回/年に
及び、約2日に1日は公園に来ていることになる。
これは、友達が集まってくる公園であり、コミュニ
ティが形成されていることが理由としてあげられる。
と滞在時間との関連は薄い。これは、蚕糸の森の平
(5)公園に対する評価
日を含めて、調査対象公園が日常的利用であること
・図-16及び図-17に示すとおり、休日及び平日とも
全体
堀之内東
に概ね高い評価が得られているが、蚕糸の森では「悪
い」
「非常に悪い」という評価が小学生高学年に見ら
19歳以上(学齢前)
小高学年
小低学年
れた。梅里では、休日の小学生低学年及び休日の小
その他
全体
和田北
学生高学年に「普通」が多く見受けられる。
・和田北は及び堀ノ内東は、休日と平日とで評価が大
19歳以上(学齢前)
子ど もを 遊
ばせに
小高学年
小低学年
遊具・スポー
ツ 以外
全体
梅里
きく異なり、和田北は休日の方で印象がよく、堀ノ
内東は平日の方で印象がよい。
19歳以上(学齢前)
スポーツ
小高学年
小低学年
全体
遊具
大人
蚕糸の森
堀之内東
合計
小高学年
小低学年
19歳以上(学齢前)
小高学年
和田北
合計
非常によい
大人
小高学年
良い
小低学年
普通
0%
合計
梅里
小低学年
10%
図-19
悪い
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
園内活動内容(平日)
大人
非常に悪い
小高学年
(7)園内活動施設
小低学年
蚕糸の森
合計
利用した園内の公園施設内容の比率は図-20及び図
大人
小高学年
-21のとおりである。
小低学年
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
公園に対する評価(休日)
全体
堀之内東
図-16
堀之内東
合計
大人
小高学年
19歳以上(学齢前)
小高学年
小低学年
小低学年
非常によい
大人
小高学年
良い
小低学年
普通
梅里
合計
悪い
大人
非常に悪い
小高学年
全体
和田北
和田北
合計
その他
トイレ
小高学年
ベンチ
小低学年
小低学年
球戯場
合計
砂場
全体
大人
梅里
小高学年
小低学年
0%
1 0%
図-17
2 0%
30 %
4 0%
5 0%
60 %
7 0%
80 %
90 %
1 00 %
公園に対する評価(平日)
広場
19歳以上(学齢前)
遊具
小高学年
小低学年
全体
(6)園内活動内容
図-18及び図-19に示すとおり、休日及び平日とも
蚕糸の森
蚕糸の森
19歳以上(学齢前)
年齢が高いほど、「遊具」「子どもを遊ばせに」の比率
19歳以上(学齢前)
小高学年
小低学年
が低くなり、ボール遊びの比率が高くなる傾向にあっ
0%
図-20
た。また、平日と休日では、小学生の休日は活動が多
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100
園内利用施設(休日)
%
義に渡っているのに対し、平日は特定の園内活動に集
ノ内東に見られるように、平日の方に活動内容の広が
りがあった。
全体
堀之内東
中する傾向が伺えたが、学齢前は、和田北公園及び堀
全体
19歳以上(学齢前)
和田北
堀之内東
小高学年
小低学年
全体
小高学年
小低学年
その他
19歳以上(学齢前)
トイレ
小高学年
ベンチ
全体
小低学年
その他
19歳以上(学齢前)
球戯場
砂場
全体
子ど もを 遊
ばせに
小高学年
小低学年
遊具・ス
ポーツ 以外
全体
19歳以上(学齢前)
梅里
和田北
19歳以上(学齢前)
遊具
小高学年
小低学年
スポーツ
梅里
広場
19歳以上(学齢前)
小高学年
小低学年
蚕糸の森
蚕糸の森
全体
遊具
全体
19歳以上(学齢前)
小高学年
19歳以上(学齢前)
小高学年
小低学年
小低学年
0%
10%
図-18
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
園内活動内容(休日)
90%
100%
0%
図-21
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100
園内活動施設(平日)
%
1)蚕糸の森
全体では、休日は広場、遊具がともに40%を超えて、
・図-12及び図-13に示すとおり、遊び時間は、学校
のある平日は公園規模、施設メニューの多少にかか
他の施設と大きな差が出ている一方、平日は広場が
わらず1時間程度であるが、休日は面積の広い蚕糸
57%を占め、他施設を大きく上回る。
の森で遊び時間の長期化が伺えた。
年齢が高くなるほど遊具の利用率が減少し広場やそ
の他の利用率が増える傾向にある。
2)梅里
以上のことから、遊びのためには、場の広がり、人
との関わり及び時間が重要であることが伺えた。
全体では休日、平日とも遊具の利用に集中している。
また、平日の方が一つの施設に集中する傾向がある。
3)和田北
・図-6~7及び図-18~21に示すとおり、年齢が低
いほど遊具などの施設利用が増え、小学生高学年に
全体で見ると、休日は平日と比べ、利用施設が多く
なると、広場でのボール遊びなどの割合が増える傾
なっている。平日では遊具に利用が集中している。ベ
向があるなど、子どもの年齢にあわせた施設整備が
ンチの利用が多いのは、カードゲームなどを行うのに
必要であることが伺えた。
使われたためである。
3)堀ノ内東
全体で見ると、休日、平日ともに利用施設数は変わ
・図-8及び図-9に示すとおり、誘致距離が街区公
園で12~13分と近隣公園の誘致距離(概ね10分程度)
以上の誘致距離を示したことや、図-2及び図-4
らなかった。
に示すとおり、同じ面積及び施設内容の街区公園で
3.3 その他の遊び場調査
も堀ノ内東と和田北のように周辺環境の違いにより、
その他の遊び場調査の結果は次のとおりとなった。
子どもの利用者数に倍近い開きがあるなど、公園の
・4日間で101グループ、子ども延べ157人が観察され
配置計画のあり方がどうあるべきか、今後考察する
た。
・活動種別の件数は、散策等約35%、子どもを遊ばせ
る約30%、遊具及び球戯が各10%となった。
必要があることが伺えた。
4.2
今後の課題
今回の調査は、杉並区の杉並第十小学校という大都
・活動場所の件数は、道路が約30%、社寺境内(妙法
市部における調査のみであったため、更に大都市部で
寺)約25%、街区公園(和田中央公園)約20%、児
調査を進めデータを蓄積するとともに、自然遊びが中
童遊園(梅里児童遊園)約15%と続いた。
心に行われていると考えられるビオトープ的な整備が
・休日の子どもの遊び人数は、午前よりも午後の方が
された公園での子どもの遊び調査や、地方都市部にお
多く、約2.5倍であった。午前中は散歩、犬の散歩が
ける都市公園での遊び調査などを実施することにより、
多い。
様々なデータを蓄積し、子どものための身近な都市公
・平日も午後の方が子どもの人数が多く、約1.6倍であ
った。午前に見られた子どもはすべて学齢前で、母
親若しくは保育者が同伴していた。
4
研究結果のまとめと今後の課題
4.1 まとめ
・図-6及び図-7に示すとおり、公園施設の設置に
面積的な面から限界のある街区公園では遊びの内容
が遊具、ボール遊び及び友達との遊びに集中してい
る一方、面積が広い近隣公園(蚕糸の森)において
は、上記の3つの遊びが全体の6割を占めるとはい
え、その他の遊びも見られるなど遊び方に広がりが
見られた。
・図-11の和田北で「友達が集まる」が公園選定理由
に選ばれたように、住区基幹公園が身近な遊び場と
して、子どもたちに利用されているだけでなく、子
どもたちのコミュニティ形成の場として重要な役割
があることが伺えた。
園のあり方を検討する必要がある。
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