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第72回国際隕石学会 (72nd Annual Meeting of the Meteoritical Society) 開催期間:2009年7月13~18日 開催場所:フランス ナンシー 北海道大学大学院 理学院 自然史科学専攻 博士研究員 江端 新吾 貴財団のご援助を賜りまして、2009年7月13日から18日にかけてフランス, ナンシーで行なわれた第72回 国際隕石学会(72nd Annual Meeting of the Meteoritical Society)に出席して参りました。本会は一年に 一度世界中の隕石研究者が一堂に会し、最新の研究報告及び議論が行なわれる会議です。 今回の会議において私は、“Presolar Grains in Primitive Enstatite Chondrites”という題目で“PRESOLAR MATERIALS”セッションにおいて口頭発表行ないました。本発表は、太陽系起源の最大問題の一つである プレソーラー粒子に関して、エンスタタイトコンドライト中に新しいプレソーラー粒子を発見し、原始太陽系星 雲の進化と太陽系極初期天体におけるプレソーラー粒子の生存について新知見を得たというものです。 プレソーラー粒子は太陽系を創る材料になった粒子で、惑星間塵、始原的隕石などから発見されてきました。 始原的な隕石にはエンスタタイトコンドライト、炭素質コンドライト、普通コンドライトの計3種類あり、各々の 隕石の特徴は太陽系形成時の酸化還元状態の多様性を反映しています。エンスタタイトコンドライトは最も 還元的な環境で形成された特殊な隕石ですが、その形成過程について満足のいくモデルはありませんでし た。本研究ではプレソーラー粒子が周囲の環境に多大な影響を受け生き残った事をエンスタタイトコンドラ イト中のプレソーラー粒子の鉱物種を同定する事により明らかにしました。本研究で発見されたプレソー ラー粒子は炭素質粒子(SiC, グラファイト)、ケイ酸塩粒子(パイロキシン, オリビン)、そしてプレソーラー粒 子を含んだ複合粒子です。SiCとグラファイト比、パイロキシンとオリビン比をより酸化的環境で形成された と考えられている炭素質コンドライトや惑星間塵における先行研究と比較する事により、還元的環境の影響 を受けていなければ説明できないという結論を導き出しました。また、複合粒子が太陽系内で形成されたと いう結果から、このような粒子がエンスタタイトコンドライトにのみ存在しているのは周囲の環境の影響を受 けたという事と調和的な結果となりました。 本発表後、プレソーラー粒子研究の専門家だけでなく、エンスタタイトコンドライトや太陽系形成を専門とす る研究者の方々からも賞賛のお言葉を頂き、更に今後の研究に大いに役立つような深い議論を交わす事 ができました。国内外の研究者から高い評価を得る事ができ、本研究の成果が宇宙科学の進展に対して深 く貢献できている事を認識する事ができました。 最後になりましたが、本研究内容についてご理解頂き、このような貴重な発表の機会を与えて頂いた貴財 団及び関係各位に厚く御礼申し上げます。