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八幡浜支局地域農業室・産地育成室普及だより(全文)(PDF
平成 21 年 12 月 普 及 だ よ り 愛媛県 南予地方局 産業経済部 八幡浜支局 地域農業室・産地育成室 八幡浜支局 〒796-0048 八幡浜市北浜1-3-37 TEL0894-23-0163 FAX0894-23-1853 大洲農業指導班 〒795-8504 大洲市田口甲 425-1 TEL0893-24-4125 FAX0893-24-5284 西予農業指導班 〒797-0015 西予市宇和町卯之町 4-445 TEL0894-62-0407 FAX0894-62-5543 各ホームページは、 「http://www.pref.ehime.jp/nan53106/yawatahama/index.htm」よりご覧下さい。 表 彰 「たゆまぬ努力で、地域のリーダーとして、柑橘産 地の維持発展に貢献」浅野憲章さん(八幡浜市) 地域農業の発展に貢献した個人に贈られる農事 功績表彰者に浅野憲章さんが決定し、平成 21 年 11りょくはくじゅ 月 18 ゆうこう 日に東京都港区の石垣記念ホールで、 しょう 「緑 白 綬 有功 章 」を受章されました。 同氏は、長年にわたるかんきつ生産を通じて、 労働力分散のための品種更新や果実の高品質化 に努められ、地域リーダーとして、「蜜る」ブラ ンドの確立に携わられる等、産地の維持発展に大 きく貢献され、今回の受章となりました。 注) 「蜜る」は、 「温州みかん」 、 「清見」 、 「伊予柑」の 中から、糖度、酸度のバランスが最も優れたものを 厳選した特選果実。 緑白綬有功章を受章された浅野憲章さん 表 彰 「青年農業者としての産地からの情報発信 ∼3年間の取り組み 愛媛から首都圏へ∼」 八西地区青年農業者連絡協議会(八幡浜市・伊方町) 愛媛の農林水産業の振興に貢献した団体・ 個人をたたえる第 18 回愛媛農林水産賞の贈 呈式が平成 21 年 10 月 23 日に愛媛新聞社で行 われ、八西地区青年農業者連絡協議会(礒崎 真義会長)が新人賞を受賞しました。 同協議会は、地域の主幹品目であるミカン の消費量減少を危惧し、このままではいけな いと自分達でできる活動を模索、産地から積 極的な情報発信を行うこととしました。 平成 18 年度の県内小学校への出前授業を 皮切りに、テレビに出演し産地やかんきつの 協議会メンバー(右は表彰式) 品種を紹介したり、首都圏でのミカン配布の 取り組みなど、幅広い内容で地域農業への理解促進とミカンの消費拡大に 努めたことが高く評価されました。 同協議会では、これにとどまらず今後も積極的な情報発信を続け、産地の活性化を図ろう と意気込んでいます。 1 平成 21 年 12 月 表 彰 普及だより 「内子町の大程幸子さん 優秀賞(経営局長賞)受賞」 平成 20 年度農山漁村女性チャレンジ活動表彰 平成 21 年3月 10 日、日本青年館(東京都)において「農 山漁村女性の日記念の集い」が開催され、内子町の大程 幸子さんが優秀賞(経営局長賞)を受賞されました。 この賞は、農林漁業及び農山漁村女性生活の充実と 開発に優れた活動実績を持ち、男女共同参画推進のた めに積極的に活動している女性の個人または集団に対 して表彰されるものです。 「内子町知的農村 塾」への参加、農業 委員として他の女性 優秀賞を受賞された大程幸子さん 農業委員と連携して取り組んだ家族経営協定の推進、地域 興しは女性から!と仲間とともに研究している「内子フレッ シュパークからり」併設の加工場での特産品開発、さらに は、都市との交流を目指したグリーンツーリズム活動等、 これからも、新しい目標に向かって輝いている大程幸子さ んです。 体験学習の様子 地 域 えひめ夢あぐりネットワーク“西伊予チャレンジ隊” 活動開始! 地域農業室では、えひめアグリビジネス推進事業の一環とし て、女性起業家による地域農産物の加工・販売活動やネットワ ークづくりを進めています。 このほど、管内の女性起業家 52 人(グループ代表を含む)の 参加を得て「えひめ夢あぐりネットワーク“西伊予チャレンジ 隊”」を結成し、関係機関・団体の協力のもと、初めて、イベン ト販売活動を行いました。 平成 21 年 10 月3日の大洲市「オズメッセ 21」を皮切りに、 11 月8日には八幡浜市「新町ドーム」、11 月 21 日には西予市「J Aれんげ店」においてイベントを実施し、のべ 35 人の女性起業 家が、販売活動を通して、消費者や起業家同士との交流を深め ました。 いずれのイベント会場においても、新鮮な農産物や女性起業 大洲でのイベントに参加した 家の手づくり加工品は、子どもからお年寄りまで大変好評でし メンバー た。オズメッセ 21 では、12 月 19 日に2回目を、さらに 1 月以 降も、月 1 回のイベントを継続して実施する予定です。 活動を始めたばかりのチャレンジ隊ですが、女性起業家のネットワークがさらに広がり、西 伊予地域が元気になるよう頑張りますので、皆様の応援をよろしくお願いします。 2 平成 21 年 12 月 地 域 普及だより 耕作放棄地をどうにかしたい!伊方町の農家の新た な動き 果樹の耕作放棄園地が増加していく中、何とかし て今の園地を守っていこうと考えた伊方町6人の生 産者が、任意組織「あんぽん営農組合」(組合長: 川口清二郎氏)を設立し、耕作放棄地 50aを借受け して温州みかんや伊予柑・不知火等を共同管理し出 荷しています。 この組織は旧伊方町に在住する認定農業者ら6人 で構成され、地域の耕作放棄地増加に歯止めをかけ、 新たな担い手の育成と地域の活性化を目的に平成 19 年に立ち上げられました。 共同管理を行うにあたり集団組織としてどのような 総会の様子 形態がよいか、地域農業室・産地育成室や伊方町農業支援センター及び関係機関を交え協議検 討した結果、任意組織でスタートしました。 会員は自己の農業経営の傍ら組合の活動に従事、 収穫時期など自家の作業と重なる時はメンバーの 家族も動員し、短期間で効率よく行なえるよう計 画を立てています。 一人でははかどらない作業も、数人が共同で管 理すれば効率も良く、加えてメンバーは、 「全員こ の道のプロ。それぞれの技を学ぶことで、自分た ちの技術向上にも役立っている。」と意気込みも高 く、平成 20 年には園内作業道も補助事業で設置し、 あんぽん組合園地での摘果講習 さらに軽労働化を進めています。 川口組合長は、「この地域の耕作放棄地は、高齢化、後継者不足で年々増加しており、この ままでは農業ができる環境でなくなってしまう。この状況に何とか歯止めをかけようと考え、 仲間に呼びかけをしました。この我々の活動を通じて若い世代の担い手が育ち、地域の活性化 につながればいいと考えています。」と語っています。 注) 「あんぽん」は、果樹品種「はれやか」の親であるアンコール×ポンカンのかけ合わせた言葉であ り、 「安心・安全」 、 「本物」という意味も込められています。 3 平成 21 年 12 月 地 域 普及だより 肱川町予子林地区の地域振興(大洲市) 大洲市肱川町予子林地区は、急傾斜地が多く過疎化や高 齢化が進んでいます。このため、同地区の地域振興を図る ために、平成 20 年8月に地元集落リーダー9人を中心と する「予子林地区農業振興会」が設立されました。振興会 では、同地区の現状と課題を把握しながら、解決しなけれ ばならない事項に優先順位をつけ、対策について協議を重 ねてきました。 具体的な取り組みとして、平成 21 年4月に「予子林愛 農塾」を設立し、地区担い手の育成に努めています。愛農 塾は、振興会会員が講師となり、農家子弟を対象に農業技 術を習得する場として月 1 回程度の講座を開催しています。 併せて、子供たちへの食育教育の一環として、愛農塾で 大人と一緒に農作業へ触れる機会を作るとともに、命の大 切さや食物の大切さを 学んでいます。 また、振興会会員や 関係機関で耕作放棄地 の現地確認を行い、耕 作放棄地マップを作成 し、優良農地の保全や 遊休農地の活用に取り 組んでいます。 トラクター実技講習 野菜圃場管理実習 子供たちの稲刈り 地 域 サンピュアオイル企業組合(西予市) 地域密着のビジネス展開を目指して、青年農業者らが 設立したサンピュアオイル企業組合(理事長:井関智史、 西予市野村町、8人)は、今年から借り受けた転作田・ 耕作放棄地など約 4.5ha を活用して、ヒマワリ栽培に取 り組んでいます。 平成 21 年6月中旬に播種されたヒマワリは、9月中旬 頃からヒマワリ専用コンバインにより収穫され、続いて 搾油作業が行われています。 搾ったオイルは食用油として道の駅などを通じて販売 し、新たに開発した石鹸もインターネットなどを利用して 販売する計画です。 また搾油後の搾り粕は、畜産農家の乳牛用飼料として の再利用を畜産研究センターと連携して検討中で、ヒマ ワリ生産後の圃場は菜種を栽培する計画です。 その他、耕作放棄地対策として、補助事業等を活用し 約 10ha で再生作業に取り組む予定であります。 地域内の農業再生と循環型農業の実践及び住民を巻き 込んだ地域おこし活動に期待が寄せられています。 ホワイトファーム内にも植え付け ヒマワリ専用コンバイン(リース)による収穫 4 平成 21 年 12 月 果 樹 普及だより ぶらぶらハウスによる不知火の 完熟栽培について 高額な施設投資を必要とせず、ビニール被覆による樹上越冬完熟栽培で食味の良い完熟果実 を生産する方法として、みかん研究所が開発したぶらぶらハウスについて紹介します。 1 設置方法 (1) 樹高よりやや高めの支柱(竹やパイプ等を利用して T の字に加工)を、株元に縛り固定 します。 (2) 樹体を覆いつくせる程度のビニール(廃ビニールでも可)を準備し被覆します。 (3) 被覆したビニールの端をマイカー線で株元に縛り付けます。 (4) 覆ったビニールの側面に換気のための孔(U 字)を開けます。 換気孔を数箇所程度開けます。 ビニールと接する果実にはサンテを被覆します。 ・マイカー線でビニールの端と株元を固定します。 ・通気性を確保するため、隙間を開けます。 ・ビニールが破れない様に支柱の先に空き缶 や布をかぶせます。 換気孔 ・カッターで U の字に切ります。 ・風でずれないようにテープで固定します。 ・風の強い園地では切り口をテープで補強し ます。 2 設置時期 (1)最高気温が 25 度以下(11 月中旬以降)になって被覆を開始します。 (2)4月下旬∼5月上旬頃(開花終期まで被覆)にビニールを除去します。 ※収穫時には一時的にビニールを開けます。 3 効 果 現場での実証結果を基に紹介します。 (1)果実品質の向上 4月まで樹上に成らすことで、対照樹と比べ明らかに糖度が高く、クエン酸含量が 低くなりました。 5 平成 21 年 12 月 普及だより 収穫時の品質 糖度 クエン酸含量 18.2 1.02 被覆樹 対照樹 14.4 1.39 ※被覆樹は平成 21 年4月 17 日、対照樹は 1 月 10 日に分析 (2)春枝の伸張促進 ビニール被覆による春先の温度上昇で、対照樹よりも新梢(春枝)の長さ・葉数・葉 の大きさともに上回り、樹勢が旺盛となりました。 新梢(春枝)の生育状況 長さ mm 葉数 枚/本 葉幅 mm 葉長 mm 被覆樹 90 8.2 38 92 対照樹 73 7.0 28 81 (3)果形の向上(デコの発生) ビニール被覆による開花期の温度上昇で、対照樹よりも初期肥大が優れるとともに デコが発生し果形指数が低くなりました。※果形指数=横径÷縦径×100 果実横径の推移 果実縦径の推移 100 120 90 110 100 80 90 70 80 70 mm mm 60 50 60 50 40 40 30 30 20 20 10 10 0 0 6月20日 7月20日 8月20日 27 18 45 38 60 51 被覆樹 対照樹 9月20日 10月20日 11月20日 12月20日 1月20日 75 67 88 78 90 84 90 85 91 被覆樹 対照樹 6月20日 7月20日 8月20日 9月20日 35 18 58 41 73 53 90 68 10月20日 11月20日 12月20日 101 78 107 82 108 83 1月20日 108 果形指数の推移 120 110 100 90 80 70 60 被覆樹 対照樹 4 6月20日 7月20日 8月20日 9月20日 78 104 78 94 81 97 84 99 10月20日 11月20日 12月20日 87 100 84 102 83 102 1月20日 84 左の 2 個が被覆樹、右が対照樹。明らかに果形が違います。 そ の 他 (1) 次年度の着果について 遅くまで樹に着果負担をかけることで、次年度の着花数の減少が見られましたが、収 量に影響するほどではなく、むしろ無駄な着花(果)負担をかけず、樹勢の維持と大玉 果生産につながると考えられます。 (2) 労力について 被覆初年度は、支柱づくり・ビニールの準備と手間がかかりますが、2 年目以降は果実 一つ一つに袋やサンテをかけるよりも省力的だと思われます。 (3) 収穫期について 収穫を遅らせたほうがより高糖果が生産できると思いますが、樹冠内が高温になると 果皮障害が増加するため、果実分析結果や気象条件を考慮して判断すべきと考えられま す。※通常は4月上旬頃までに収穫したほうが良いと思われます。 6 平成 21 年 12 月 水 稲 普及だより 水稲直播栽培(鉄コーティング)を実証 近年の米を取り巻く環境は、米価の低迷や資材の高騰な ど、非常に厳しくなっています。 このような中、稲作の省力化と生産コスト低減は大きな 課題となっています。 その対策の一つとして、水稲直播栽培の取り組みが始ま っています。全国では、約 18,600ha の取り組みがあり、愛 媛県でも約 67ha 導入されています。以前は、播種直前にカ ルパー(酸素供給剤)でコーティングした種子を用いてい ましたが、近年は、安価な鉄資材をコーティングした種籾 を播種する方法が、冬場の農閑期に種子処理し保存できる こともあり、徐々に増えて 多目的田植機によるヒノヒカリ います。 の播種作業(西大洲) 管内でも今年度、愛媛たいき農協他関係機関の協力によっ て鉄コーティングによる直播栽培の実証を行いました。 平成 21 年6月 12 日に多目的田植機により播種し、10 月6 日に収穫しました。 約 20a の面積で実証を行い、一部倒伏があったものの収量 は約 17 俵あり、慣行栽培と同等の収量となりました。 農家からは、作業も簡単でコスト低減にもなると好評で、 収穫前の状況 来年度も関係機関と協力して実証したいと考えています。 畜 産 燃 「耕畜連携」で飼料生産に取り組んでみませんか? 1 耕畜連携集落活動支援事業について 県では、耕種農家と畜産農家が相互理解のもと、地域や集落で飼料供給体制を整備し、飼 料生産及び耕畜連携を展開する活動を支援しています。 「耕畜連携集落活動支援事業」(実施年度:21∼23 年度)の概要は、以下のとおりです。 ○ 作業受託組織が飼料生産・耕畜連携を実施する際の活動に対する補助(1/2) ○ 飼料稲等の栽培・収穫調製に係る機械をレンタルする際の経費に対する補助(1/2) ○ 畜産農家が、飼料米や稲ワラサイレージの購入する際の経費に対する補助(定額) 具体的な内容については、地域農業室・産地育成室までお問い合わせ下さい。 2 21 年度の取り組み事例について 上記の事業を活用し、21 年度、管内で4組織が飼料生産や 給与の取り組みを開始しました。 西予市にある飼料生産組織「スリーFクラブ」 ((有)新城生 産組合と畜産農家2戸で組織)では、稲ワラのサイレージ収 集調製に取り組み、調製したラップサイレージは市内の肥育 農家に販売され、給与されています。 また、同じく西予市の「農事組合法人加茂 ファーム」では、酪農家に供給される飼料稲 の栽培を受託するほか、稲・麦ワラ等と堆肥 の交換を酪農家と連携して行なっています。 皆さんも集落で話し合い、耕畜連携による 飼料生産に取り組んでみませんか? 上写真 稲ワラサイレージ 収集・調製の様子 左写真 飼料稲作業受託 (移植)の様子 7 管内の主要農産物 長浜 内子町 小 保内 大洲市 五十崎 伊方町 河辺 瀬戸 肱川 八幡浜市 西予市 宇和 三瓶 明浜 野村 城川