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兵庫県下の白亜紀末~古第三紀初期深成岩類の分布と岩石記載

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兵庫県下の白亜紀末~古第三紀初期深成岩類の分布と岩石記載
人 と 自 然 Humans
資
and Nat ・ure, N0, 6 , H7 - j147, September 199b
兵庫県下の白亜紀末
料
分布と岩石記載
先 山
Petrography
Rocks
古第三紀初 期深成岩類 の
and
in Hyogo
Distribution
Prefecture,
徹1)
・田 結 庄 良 昭2)
of Late
Cretaceous
Southwest
Japan.
to Early
Tohru
Paleogene
SAKIYAMA"
and
Plutonic
Yoshiaki
Tainosho2'
The field occurrence and petrography
throughout Hyogo
of late Cretaceous to early Paleogene
Prefecture are reported. Based
plutonic rocks
on petrography, these plutonic rocks can be
classifiedinto six zones in an east-west direction.
Zone I mostly
has the same characteristicsas the Ryoke
belt. The
ated granite, granodiorite, tonalite and gabbro, lack magnetite. Zones
rocks being variably foliII and IIIbelong to the
San-yo belt. Zone II is characterized by coarse-grained and light colored granites. Magnetite
only locally developed. Plutonic
rocks in zone IK are composed
grained quartz gabbro, quartz
monzodiorite, granodiorite and
plutons. This
mainly
of medium-
granophyre,
some plutons. Magnetite-rich
to fine-
often as zoned
zone is characterized by the presence of inverted pigeonite in some
and the development of contact metamorphic
is
quartz gabbros
aureoles, with pyroxene hornfels developed around
rocks coexist with magnetite-free rocks in this zone. Zones IV, V
and. VI belong to the San-in belt. Plutons
in zone IV are composed
mainly of medium-grained
granodiorite, often as zoned plutons associated with granite, tonalite and quartz gabbro. They
are conspicuously magnetite-rich. Zone V is characterized bv magnetite-free plutons composed
medium-grained
light colored granite. They
Plutonic rocks distributed in Zone VI form
and light colored granite. They
of
are correlative with granites of the San-yo belt.
huge batholiths and are composed
of coarse-grained
are rich in magnetite.
Key words: Cretaceous, granitic rocks, Hyogo, ilmenite, magnetite, Paleogene
は
じ
め
組 成 の 分 析 と い っ た 岩 石 学 的 検 討 は な さ れ て お ら ず, 火
に
成活 動 の令 体像 の解明 や その成 因論 的 議論 まで 進 めるに
1行第ぐ 紀深 成 岩
い た ってい ない广 本 報告 は兵 庫県下 に広 く分布 して い る
類 の活 動域 は, 伴 う鉱床 の タ イプや 鉄チ タ ン鉱 物,│ 同位
深 成 岩 類 の 個 々 の 岩 体 に つ い て, 露 頭 の 記 載 と そ こ で 採
体 年代 など の違 い から, 領家 帯・ 山陽 帯・ 山 陰帯 にIX分
取 さ れた付 石の顕 微鏡 ドでの記 載を 資 料と して まと め る
さ れて い る(Ishihara, 1971,1977). ま た, 年 代 測定 値
こ と に よ っ て, 今 後 自 唖紀
の蓄積 や地質 調 査 の成果 に 基 づ い て,火山 岩類 も含 め た
進 め る た め の.圸 礎 資 料 と す る こ と を め ざ し た もの で あ る.
西南 囗本 内帯 に広 く分 布 する∩ 亜紀
占 第 二{紀 火 成 活 動 の 研 究 を
火 成活 動史 の総 括 が行 わ れ て き た( 飯 泉 ばか,1985 ; 原
調 査 に あ た っ て は, 兵 庫 県 下 に 存 在 す る 深 成 岩 体 の 主
山 ほ か,1985 ;田 結庄 ほ か,1985 ;先 山,1985). そ の中 で
要 な 露 頭 に つ い て, 野 外 に お け る 記 載 と 採 取 し た 岩 石 の
兵 庫県 下 に多 く存 在す る深成 岩 体 につい て は, 分 布が点
顕 微 鏡 ド で のど 絨 を 行 っ た. ま た 深 成 岩 類 の 分 類 ・ 命 名
在す るこ と もあ り, 現時 点 で はそ の分布 や片万
状 の概 要が
はStreckisen(1973) に 従 う. な お, 本 稿 の 資 料 は 兵 庫 県
よう やく明 らか にな って きたと ころ であ る. ま た個 々の
戻人 と 自 然 のI博物 館 に よ る 県 ド の│゛
‘二
・│
然 環境 情報 調査 事業
岩体 につ いて も, 二部の岩 体を 除い て は鉱物 細成 や化学
の ・環 と し て1990 年
19 肘 年 に 収 集 し た 資 料 を も と に,
!)兵庫県立人と自然の博物館 地球科学研究部 Division of Earth Sciences, Museum of Nature and Human Activities,
Hyogo,
Yayoigaoka 6, Sanda 669-13, Japan
9神戸大学発達科学部 自然環境論 Department of Natura 卜Environment, Faculty of Human Development,
Kobe University, Kobe 657, Japan
第1 図. 兵 庫 県 下 の白 亜 紀
古 第 三 紀 深 成 岩 類 の 分 布.
そ れ以 後 に収集 し た資料 を 加え て まと めた もので あ る.
磨 中 部 地 域 に は, 比 較 的 細 粒 で 不 均 質 な 岩 相 か ら な る小
事 業 の目的 と 詳細 につ いて は小 林(1995)
を 参照 さ れた
岩 体 が点 在 す る. 志 方 花 崗 岩 体 ・ 八 重 畑 石 英 閃 緑 岩 ・ 上
い. 記 載し た露 頭か ら得 ら れ た岩石 は令 て兵 庫県 立人 と
郡 花岡 閃緑 岩体 ・ 龍野花 岡閃 緑岩 体・ 船岩 複合 岩体 ・ 目
自 然 の博物 館 に資料 と して 登録・ 保 管さ れ, さ らに個 々
高 複 合 岩 体 ・ 宇 根 複 合 岩 体 が そ れ に 相 当 す る. 北 摂 地 域,
の地 点 の露 頭写 真・ 顕微 鏡写 真 は, 兵 庫県 立 人と 自然 の
播 磨 南 部 地 域 及 び 播 磨 巾 部 地 域 は 山 陽 帯 に 属 す る. 播 磨
博物 館 に保管 さ れ, 今後 当 館の デ ータ バ ンクに組 み込 ま
北 部地 域 には神 崎町 か ら千種 町 にか けて大 畑花 岡閃 緑岩
れる. 木 稿 中 の各岩 石 につ け られ た番号 は, そ の登録 番
体 ・,わ徇花 岡 閃 緑 岩 体 ●‥‘宮 花岡 閃緑 岩体 ・波 賀累 帯深
号 であ る. ま た, 試料 採集 位 置図 はす べて国 上地 理 院 発
成 岩 体 ・ 千 種 花 岡 閃 緑 岩 体 と い っ た スト ッ ク状 岩 体 が 東
行 の5 万分 の1 地形 図を 使用 し, 地形 図名 は図 巾 に示 し
西 に 並 ん で 分 布 し て い る. 侃 鵙南 部 地 域 は和 田 山 花 崗 岩 ・
て あ る.
引 原 花 崗 岩 ・ 熱 田 花 崗 岩 の 中 粒 花 崗 岩 類 か ら な る. 最 も
北 部 の但馬北 部 地域 は宮 津花 崗岩 体・ 竹野 花崗 岩体 ・矢
田叫 花岡岩 体・ 浜坂 花崗 岩体 など の粗 粒 な花崗 岩類 を主
深 成 岩類 の 概 要
西南 囗本内 帯 の白 亜紀 後期
と す る バ ソ リ スが 分 布 す る. 播 磨 北 部, 但 馬 南 部 お よ び
古 第二 紀 深成 岩類 の活動
域 は, 南か ら北 へ領家 帯 ・山 陽帯 ・山 陰帯 の3 帯 にIX分
但 馬 北 部 地 域 は 山 陰 帯 に 属 す る. 以 下 に 露 頭 ・ 岩 石 の 記
秡 お よ び 露 頭 の 位 置 を 示 す.
さ れ, そ の活動 の時 期 は領家 帯で 最 も 占く, 山 陰帯 で最
も新し いと さ れてい る. こ れ'
ら 3 帯 に分 布す る深成 岩類
深 成 岩 体 の記 載
の岩 石学 的 性質 の違 いで 最 も顕著 な の は, 岩石 中 に介 ま
れる鉄 チ タ ン鉱 物 の種類 で, 領家 ・山 陽帯 の 花崗 岩類 は
チ タン鉄鉱系 で あ るの に対 し, 山 陰帯 の花崗 岩類 は ー
般
に磁 鉄鉱 系で あるとさ れてい る(Ishihara, 1971, 1977).
田 結庄 ほか(1985)
は近 畿地 方 の∩亜 紀
lり第{ 紀火成
活 動 につい て, 領家 ・山 陽・ 山 陰 の各帯 ごと に, そ の概
淡 路島地 域
淡 路 烏 地 域 の 記 載 地 点 の 位 置 図 を 第2
匚
錨 尚 乱
6
図 に 示 す.
閇
ぷ 筑 は ん れ いy バガ ニlt
名 町志 筑付近 に志筑 花岡 閃緑 岩 に
捕 獲 さ オ1て 小 規 模 分 布 す る. 輝 石 角 閃 石 は ん れ い岩
ノー
要 を まと めた. そ れに よ ると, 兵 庫リ,lt
ドで は六甲山 地!南
ラ イ ト で, 後 期 の 花 岡 閃 緑 岩 に よ る 混 成 作 用 に よ っ て 不
部 の布引 花 岡閃緑 岩 と北 部 の六甲 花 崗岩 の境 界が 領家帯
均 質 な 社 則 を.呈 す る. 大 型 の 角 閃 石 が し ば し ば 含 ま れ る.
と 山陽帯 の境界, 播 磨北:部 の千 種・波 賀・ ヅrの東 西 に
鏡 ドで は褐 色の角閃石が輝石及び斜長石を ポイキリディッ
伸 び た深 成岩 体 の南 縁が 山陽帯 と山陰 帯 との境 界 にあ た
ク に 包 百 す る の が ・般 的 で あ る.
る(第1 図). 兵 庫県 下 の深成 岩類 は特 定 の地 域ご とに ま
頷 家 帯 の は ん オ1い こ
岩類 は従 来領家 帯 の花 崗岩 類 の先駆
と ま った分 布を 示し, そ れ ぞ れの地 域で よく 似た 性質 の
的 活 動 と さ れ て き た が, 近 年 近 畿 地 方 の は ん れ い 岩 類 に
岩 体が ま とま って分 布 す る傾向 があ る ので二 本 報告で は
つ い て のRb-Sr ・ Sm-Nd 年 代 値 お よ びSr 同 位 体 比 ・Nd
便宜 上以 下 の地 域 ごと にま とめ て記 載す る.
同 位 体 比 の デ ー タ が 蓄 積 さ れ て き た. そ の 結 果, は ん れ
淡 路 島地 域 には領 家帯 に 属す る深成 岩 体が 分布 し, い
いこ
岩 類 の ……
・j91'S
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一
賢 奐JtJ」
くっ か の岩体 に区 分 さ れて い る( 中 島 ほか, 1975,1976 ;
し,
水 野 ほか, 1990 ; 高 橋 ほか, 1992).
部 が,
こ こ で は志 筑 は ん
中 生 代 初 期 の 放 射 年 代 を 示
プ レ ー ト の 沈 み 込 み に よ って も ぐ り こ ん だ 陸 塊 の 一
後 の 構 造 運 動 に よ っ て 現 位 置 に も た ら さ れ た,
む
れい岩・ 塩 尾花 崗岩 ・ 都志 川 花 崗岩 ・志 筑花 岡閃緑 岩・
し ろ 先 領 家 あ る い ぱ 占 領 家 と 呼 ぶ べ き も の で あ る可 能 性
洲 本花 岡閃緑 岩 ・野 島 花岡閃 緑 岩・こ
岩屋 花崗 岩・ 先山 花
(Kagami d al
崗 岩 につい て記 載 する. なお 淡路 島 の領家 深成 岩 類のレく
1990),
1985 ;
田 結 庄 ほ か, 1989 ;
飯 泉 ほ か,
あ る い は 領 家 帯 に お け る 塩 基 性 火 成 活 動 が ジ ュ
分 や 前後関 係 につ いて は, 研 究 者 によ って見 解が 異な る
ラ 紀 前
が, 本 稿で は と り あ え ず 中 島 ほか(1975,1976)に 従 っ て
al., 1995)
記 載を す る. 六甲 山 地域 はほぼ令 山 が花 岡,岩類か らな っ
て は放 射 年 代 お よ び 同 位 体 比 の デ ー タ が 得 ら れ て い な い
て い る. この地 域 には領 家深 成 岩類 に属 す る布引 花陶閃
た め,
緑 岩 と山陽帯 に属 す る六 甲 花崗岩 が 分布 し, し橋石 英閃
緑 岩 が伴 う. 北 摂地 域 に は巾 性 こ
羔二
鉄質 岩石 や細 粒の 岩
石 を伴 う小 岩 体が点 在 して い る. 二 草山 複合 岩体・ 千 軒
複合岩 体・ 柏原 石 英 はん れい岩 体・ 高イ
弋寺石英 はん れい
中 期 に す で に 起 こ っ て い た 可 能 性(Kagami d
が 指 摘 さ オ1 て い る.
現 時 点 で そ の 位 置 付 け は 不 明 で あ る.
D2000363
中 粒 輝 石 角 閃 石 はん れい 岩
津 名 郡 津 名 町 塩 尾(
第2
図)
中 粒 暗 黒 色 で 塊 状 の ノ ー ラ イ ト 質 は ん れ い 岩.
角 閃石 の
人 型 の も の が 見 ら れ る.
[ 顕 微 鏡 記 載]
岩 体・ 剣尾 花崗 岩体 につ いで 記載 す る. 播磨地域 は南部,
1モ成 分 鉱 物:
中 部, 北 部 に区 分 さ れる. 播磨 南部 地域 で は瀬戸 内海 沿
副 成 分 鉱 物:
岸 に赤 穂 花崗岩 体 と柤生 花 岡岩 体 の分布 が 見ら れる. 插
志 筑 は ん れ い 岩 に つ い
斜 長 石 ・褐 色 角 閃 石 ・単 斜 輝 石 ・斜 方 輝 石
チ タ ン鉄 鉱 ・磁 硫 鉄 鉱
鏡 ドで は大 型 の褐 色 角 閃 石 と ポ イ キ リ デ ィ ッ ク に 包 有 さ
第2 図. 淡 路 島 の 領 家 深 成 岩 類 の 試 料 採 集 位 置(1).
れる輝石・斜 長石 が特徴的であ る. 斜 方輝 石 は粒状, 半自
形で, 多 くが淡緑色 緑褐色 の角閃石に取り囲まれてい る.
また単斜輝石 はすべて 種々の程度に 角閃石 化 されて い る.
斜長石は自形 で, An90 前後 の灰長石である.
D2000365 細粒片状角閃石黒雲母石英 はん れい岩
津名郡 津名 町塩尾( 第2 図)
志筑石英閃緑岩 によ る花崗岩化作用 を受 けて い る. 全体
に優黒色 で, 弱い片状構造が見られる. 風 化が 著し く, 玉
石状 にのみ新鮮な試料が得ら れる. 褐色 大型 の角閃 石を 含
む.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 単斜輝石・角閃石・黒 雲母・ 斜方 輝石 ・斜 長
石・石英・カ リ長石
副成分鉱物: チタン鉄鉱・褐簾石
鏡下で, 斜長石は灰長石質で時にせ まい リ ムを も ち, メ
ソ集積組織を有す る. 角閃石は短柱状 の ものか ら, 斜長 石
の結晶粒間を うめ る間隙充填状のもの まであ る. 褐 色種 の
ものが多いが, 淡緑色から無色のもの まで広 範囲 であ る.
輝石は角閃石中にレリックとして産 す る. 石英及 び少 量 の
カリ長石が間隙充 填状に産 する.
2.
塩 尾 花 崗 岩( 中 島 ほ か, 1985)
中 島 ほ か(1985,1986) の 第1 期 花 崗 岩 類 に 属 す る. 中
粒 で片 状
片 麻 状 の 岩 石 で, 顕 著 な ミ ロ ナ イ ト 化 作 用 を
う け, 眼 球 状 の カ リ長 石 が 含 ま れ る. 志 筑 花 岡 閃 緑 岩 に
よ っ て 貫 か れ て お り, 淡 路 島 の 領 家 花 崗 岩 類 で は, 最 も
古 期 の岩 石 で あ る. 全 体 に 偏平 な 暗 色 包 有 物 が 多 い. 圧
砕 作 用 の た め 長 石 類 は角 が と れ て 丸 み を 帯 び, 石 英 は 引
き 伸 ば さ れ て い る こ と が多 い. 岩 相 は カ リ長 石 に 富 む 花
崗 岩 質 の も の か ら, カ リ長 石 に 乏 し い 花 商 閃 緑 岩 質 の も
の ま で 変 化 に 富 む. ま たSegregation に よ る と 思 わ れ る
分 秘 脈 も各 所 に み ら れ る.
D2000364 片状角閃石黒雲母花崗岩
津名郡津名町塩尾( 第2 図)
た 眼 球 状 と な る. 石英 は, サ ブ グ レ イ ン 化 し,
塩尾花崗岩が志筑花崗閃緑岩によ って貫 か れる露 頭. 眼
球状のカリ長石が配列をなし, 眼 球片麻 岩様 の岩 相を 呈 す
る. また全体に偏平 な暗色包有物に富 む. 長 石類 は圧 砕 作
用のため角がとれて丸みをおび, 石 英 は引 き伸 ばさ れて い
ることが多 い. 岩相変化か著しく, 一 部 は花崗閃 緑岩 質 と
なる. また, Segregation による と思 わ れる分 秘脈 も多 く
みられる.
[顕 微鏡記 載]
主成 分鉱物: 石英・カリ長石・斜長 石・ 角閃 石・ 黒 雲母・
単斜輝石・斜方輝石
3.
副成 分鉱 物: チタ ン鉄鉱・ ジルコ ン・方解石
カリ長石はパ ーサイト組織が発達 し, 格子 構 造の 見ら れ
る場 合がある. 斜 長石 に は1 5mm
大 の ものと0.2 0.6
mm 大のものがあり, 前者に は累帯 構造 が発達 す る. 石英
はサブグレイ ン化している. 角閃 石 は青緑 色 で長 さ5 mm
程度の短柱状を示す. 石英・角閃 石・ 輝石 の グラ ノブ ラス
ディックな集合部があり, そのま わりを 放 射状 に黒 雲母・
角閃石が取り囲む.
都 志 川 花 崗 岩( 中 島 ほ か, 1985)
偏平化 し て
い る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石英 ・ カ リ 長 石 ・ 斜 長 石 ・ 角 閃 石 ・ 黒 雲 母 ・
単斜輝石
副 成 分 鉱 物: チ タ ン 鉄 鉱 ・ チ タ ン石 ・ 燐 灰 石 ・ ジル コ ン
カ リ 長 石 は 間 隙充 填 状 で, 格 子 構 造 を 示 し,
パ ーサイト
構 造 が 目 立 つ. カ リ 長 石 の 三 斜 度 は0.8で, 一 部 は マ イ ク ロ
ク リ ン で あ る. 斜 長 石 は 通 常 長 さ1
で, 顕 著 なoscillatory zoning
5mm
の半 自形 結晶
を 示 す. 圧 砕 作 用 に よ り,
曲 げ, 折 れ な ど が 見 ら れ, 小 型 粒 状 結 晶 も 生 じ て い る. 石
英 は平 均1
6mm
大 で1cm
以 上 に 達 す る もの もあ る. 波
動 消 光 を示 す. 黒 雲 母 に は 大 型 自 形 で 独 立 す る も の と, 小
型 葉 片 状 で タ ロ ッ ト 状 集 合 を な す も の と が あ る. 角 閃 石 は
長 さ3mm
以 下 の 半 自 形 短 柱 状 結 晶 で,
褐緑 色 のコ ア
青
緑 色 の リ ムの累 帯 構 造 を示 し, コ ア 部 に 単 斜 輝 石 を 含 む こ
と が あ る. ま た, 細 粒 の 青 緑 色 角 閃 石 が 黒 雲 母 ・ チ タ ン 鉄
鉱 と 共 に 集 合 し て 産 す る こ と が あ る。
D2000372
黒 雲 母 卜- ナ ル 岩
津 名 郡 津 名 町 赤 堂( 第2 図)
中 島 ほ か(1985,1986) の 第1 期 花 崗 岩 類 に 属 す る. 第
全 体 に 優 白 質 で 圧 砕 作 用 を受 け 顕 著 な 片 麻 状 組 織 を な す.
2 ・ 第3 期 花 崗 岩 類 中 に 捕 獲 さ れ た 岩 体 と し て 産 す る.
カ リ 長 石 が や や 斑 状 と な っ て い る. 暗 色 包 有 物 は含 ま れ ず,
捕 獲 岩 体 の大 き さ は 径10Cm 程 度 の も の か ら, 大 き な も
黒 雲 母 も 緑 泥 石 化 し て い る た め, よ り 白 っ ぽ く 見 え る. 岩
の は 最 大 で750m に 達 す る. 片 状 で 全 体 に 優 白 質 な 岩 石
相 は 比 較 的 均 質 で, カ リ 長 石 が 柱 状 で 淡 い 褐 色 を 呈 す る.
で, カ リ 長 石 が や や 大 型 と な り, 斑 状 を 呈 す る 場 合 が あ
黒 雲 母 は, 散 点 状 で タ ロ ット を な さ な い.
[顕 微 鏡 記 載]
る. ま た, し ば し ば 顕 著 な 圧 砕 作 用 の た め 眼 球 状 と な る
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母
こ と が あ る. 石 英 は サ ブ グ レ イ ン 化 し, 偏 平 化 し て い る
副 成 分 鉱 物: 燐 灰 石 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ ジル コ ン
カ リ 長 石 は 少 量 で 間 隙 充 填 的 に 産 し, パ ー サ イ ト が 認 め
こ と が 多 い. 黒 雲 母 は 緑 泥 石 に 変 化 して い る こ と も多 い.
ら れ る. 斜 長 石 は 半 自 形 でAn20
D2000371 片麻状中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
津名郡五色町岡田( 第3 図)
全体に優白質で, 顕著な圧砕構造 が みら れる. カ リ長 石
は弱い斑晶状で, 圧砕作用のため, 角 がと れ, 丸 みをお び
の 累 帯 構造 を示 す.
れ て い る. 黒 雲 母 は, 半 自 形 で, 微 粒 結 晶 の 集 合 か ら な る.
4.
志 筑 花 崗 閃 緑 岩(
水 野 ほ か(1990)
第3 図. 淡路島の領家 深成岩類の試料採集位置(2).
An30
石 英 は サブ グレ イ ン化 か 発 達 し て お り, 偏 平 に 引 き 伸 ば さ
中 島 ほ か, 1985)
の 志 筑 ト ー ナ ル 岩 に 相 当.
中 島 ほ か
第4 図. 淡 路 島 の 領家 深成 岩 類 の試 料 採 集 位 置(3).
(1985,1986) で は 第2 期 に, 水 野 ほ か(1990)
か(1992)
副 成 分 鉱 物: 燐灰 石 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ ジ ル コ ン
・高橋ほ
斜 長 石 は累 帯 構造 が 著 し く, コ ア 部 は し ば し ば 絹 雲 母 化
で は 第1 期 の花 崗 岩 類 に 属 す る. 一 般 に中 粒
で弱片 状 の角閃 石黒 雲母 花崗 閃緑岩
し て い る. カ リ長 石 は パ ー サ イト で, 間 隙 充 填 状 に 産 す る.
ト ーナル岩 か らな
石 英 は 波 動 消 光 が著 しい. 黒 雲 母 は定 向 配 列 し, キ ン ク バ
り, 塩 尾 南 西 方 の も の は ミ ロ ナ イ ト 化 作 用 を 受 け て 片 状
構 造 が 強 く な っ て い る. ま た 偏 平 化 さ れ, 片 状 構 造 に平
ンド を 有 す こ と があ る.
5.
行 に 配 列 し て い る 暗 色 包 有 物 が 多 い. 角 閃 石 は 時 々 黒 雲
津名郡津名町神原( 第4 図)
この露頭で は, 偏平に引 き伸ば され た暗色 包有 物が多 数
含 まれる. これら の包有物や角閃石 が片 状構 造と平 行 に配
列 する様子 がよく わか る. 弱い圧砕作 用 が認 め ら れる. 岩
相は均質で, 包有物との反応はあまりみられない.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石・ 角閃石・ 黒雲母
副成分鉱物: チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコ ン
斜長石 は累帯構造が顕著な ものが多 く, 圧 砕を受 け て割
れや曲げ がみられる. 石英 のサブ グレ イ ン化 か著し い. カ
リ長石 は少量で間隙充填状に産する. 黒 雲母 は赤 褐色 の半
自形 結晶で, 角閃石とともに タロット をな す ものが多 い.
また間隙充填状 にも産する. 角閃石 は自 形性 の強 い褐緑 色
結晶である.
D2000367 片状角閃石黒雲母ト ーナル岩
津名郡津名町神原( 第4 図)
有色鉱物, 特に角閃石の顕著な配 列で 特徴 づけ ら れる片
状 のト ーナル岩である. また, 偏平 な 暗色 包有 物が多 く,
片状 構造と平行に配列している. 角 閃石 は黒 雲母 と クロッ
トを なし, 片状構造と亜平行に配列することがある.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 斜長石・石英・カリ長石・ 角閃石・ 黒雲母
副成分鉱物: 燐灰石・チ タン鉄鉱・ ジルコ ン
斜長石 は一般に5mm 以下の半自 形 ないし 粒状 の結 晶で
あるが, 長 さ8mm に達す るもの もあ る. 双晶 が発 達し,
累帯 構造が顕著であ る. 石英 は4mm 以 下の結晶で集合を な
す傾向 があ る. 顕著な波動消光を示す とと もに, 圧 砕 の影
響 のあ るもので は引き伸ばさ れ, サブ グレイン化かめだつ.
しかし流動 構造 は認め られない. カリ長石は間隙充填的 で,
格子 構造が見 られることが多い. 黒 雲母 に は2
mm 内外
の自形性結晶と, より小型の結晶と があ る. 角閃石 は自形
性 の柱状結晶で最大10.5mm X 3.5mm に達する.
D2000368 中粒角閃石黒雲母ト ーナル岩
津名郡津名町塩尾( 第2 図)
全体 に弱い片状構造を呈し, 有色鉱 物 の配列 と, 暗 色包
諏 訪 ・ 濡 木, 1968)
中 島 ほ か(1985,1986)
母 と タ ロ ッ ト を な し, 片 状 構 造 と 亜 平 行 に 配 列 す る.
D2000366 粗粒角閃石黒雲母ト ーナル岩
洲 本 花 岡 閃 緑 岩(
の 第2
期 花 崗 岩 類 に 属 す る.
粗粒 で弱片 状 の角閃 石黒雲 母 花岡 閃緑岩
英 が 集 斑 状 で,
は 集 斑 状 で,
花 崗 岩.
と き に カ リ 長 石 が 斑 状 で あ る.
と 平 行 に 偏 平 な 暗 色 包 有 物 が 配 列 す る.
中
石
片状 構造
角 閃石 と黒雲 母
片 状 構 造 と 平 行 に 配 列 す る.
岩相 は一 部志
筑 花 岡 閃 緑 岩 に 似 る.
D2000360
中 粒 黒 雲 母 花 崗閃 緑 岩
洲 本 市 炬 囗( 第2 図)
海 岸 の 露 頭. 岩石 は中 粒 の黒 雲 母 花 崗 閃 緑 岩 で, 岩 相 は
比 較 的 均 質 で あ る. 暗色 包 有 物 や 有 色 鉱 物 が 片 状 構 造 と 平
行 に 配 列 し て い る. 石 英 は粒 状で 圧 砕 構 造 は あ ま り み ら れ
な い.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 黒 雲母 ・ 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石
副 成 分 鉱 物: ジ ル コ ン・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石
斜 長 石 は 半 自 形 でAn20
An30
の累 帯 構 造 が み ら れ る.
石 英 は や や 丸 み を もつ 半 自形 で, 集 斑 状 を な す こ と が あ る.
カ リ 長 石 は 間 隙充 填 状 で あ る. 黒 雲 母 は 赤 褐 色 で タ ロ ッ ト
を な し て 産 す る こ と が多 い.
D2000361
中 粒 角 閃 石黒 雲母 花 崗 閃 緑 岩
洲 本 市 炬 口( 第2 図)
暗 色 包 有 物 を 含 む中 粒 の花 崗閃 緑 岩 で,
暗色包 有物 が平
行 に 配 列 す る と と も に, 有 色 鉱 物 も 弱 い 定 向 配 列 を 示 す.
圧 砕 構 造 は 顕 著 で な く, 石 英 は粒 状 で あ る. 岩 相 は 変 化 し,
暗 色 包 有 物 周 辺 で は 有色 鉱 物 が多 く な る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英・ 斜長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
副 成 分 鉱 物: ジ ル コ ン・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石
斜 長 石 は 半 自形 で, An20
An45
と累 帯 構 造 が よ く 発 達
す る. 石 英 は 集 合 し て集 斑状 を な す. 弱 い サ ブ グ レ イ ン化
が み ら れ る. カ リ長 石 は 他形 で 間 隙 充 填 状 で あ る. 黒 雲 母
は タ ロ ッ ト を な す こ と が多 く, 弱 く 配 列 し て い る. 角 閃 石
は 柱 状 自 形 を 呈 す る.
D2000362
粗 粒 黒 雲母 花 崗岩
洲 本 市 厚 浜( 第2 図)
少 量 の 暗 色 包 有物 を 散 点 状 に含 む 中 粒 の 花 崗 岩 で,
黒雲
母 が 弱 い 定 向 配 列を 示 す. 暗 色 包 有 物 は 引 き 伸 ば さ れ 偏 平
有物 の偏平化 による配列で特徴づけ らけ る. 岩相変 化 か著
しく, 有色鉱物に富む ものと, そうでないものがみられる.
[顕 微鏡記載]
主成分鉱物: 斜長石・石英・カリ長石・ 角閃石・黒 雲母
化 し て い る も の があ る. 有 色 鉱 物 は 片 状 構 造 と 平 行 に 配 列
副成分鉱物: 燐灰石・ チタン鉄鉱・ ジルコン
角閃石 と黒雲母 は顕著な定向配列を示 す. ま た上 記鉱 物
副 成 分 鉱 物: 燐灰 石 ・ ジ ル コ ン・ 白 雲 母
はタロットをなす ことがある. 斜長石は自形 性が強く, An
20 An40 の累帯構造をなす. カリ長石は他形 で間隙充填 状
に産 する. 石英 はサブ グレ イン化か著 しい. 角閃 石 は自形
の柱状 結晶 であ る. 黒雲母 は一部キングバ ンドをなす.
D2000369 中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
津名郡津名町塩尾( 第2 図)
自形 角閃石 が目立つ, 片状構造をなす中粒の岩石であ る.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 斜長石・石英・カリ長石・ 角閃石・黒雲母
し て い る こ と が多 い. 岩 相 は そ れ ほど 変 化 な く 均 質 で あ る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母
斜 長 石 は半 自形 で 累 帯 構 造 が み ら れ る. 石 英 は や や 丸 み
を お び た形 で, 波 動 消 光 が 著 し い. カ リ 長 石 は 間 隙 充 填 状
で パ ーサ イ ト 組 織 が み ら れ る. 黒 雲 母 は 褐 色 半 自 形 で, 一
部 緑 泥石 化 し て い る.
6.
野 島 花 岡 閃 緑 岩(
中 島 ほ か(1985,1986)
島(1985)
に よ る と,
野 島花岡 閃緑岩
中 島 ほ か, 1986)
の 第2
期 花 崗 岩 類 に 属 す る.
中
岩体 内部 は常 隆寺 花岡閃 緑岩 相 ・
ア ダメロ岩 相・ 灘川 アプ ラ イト質花 岡
閃 緑 岩 相 に 区 分 さ れ, 全 体 と し て 北 に 開 い た 不 完 全 な 累
帯 配 列 を 有 す る 複 合 岩 体 で あ る. 一 般 に 中 粒 で 弱 片 状
塊 状 の角閃 石黒 雲 母花 崗閃 緑岩
花 崗 岩 で, 時 に 斑 状 の
カ リ長 石 が 見 ら れ る. 暗 色 包 有 物 は 一 般 に 少 量 で あ る が
一 部 に は富 む こ と が あ り, そ の よ う な 場 所 で は石 英 閃 緑
岩
ト ー ナ ル岩 と な っ て い る. 岩 相 は洲 本 花 崗 閃 緑 岩 に
似 る.
D2000373 中粒角閃石黒 雲母花崗閃緑岩
津名郡東浦町釜 の口( 第5 図)
中粒で ほぼ塊状 の花崗 閃緑 岩であ る. 岩相 変化 か認 め ら
れ, 細粒 の岩相 と中 粒の岩 相が混在す る. 黒 雲母 は散点 状
に産し, カリ長石 はやや桃色かかる. 圧 砕組 織 はほと んど
みられない. 暗色包有物 はごく少量である.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長 石・ カリ長石・黒雲母・角閃石
副成分鉱物: 褐簾石・ ジルコン・ チタン鉄鉱・燐灰石
斜長石 は通常長 さ5mm 以下 の半 自形結晶で, 双晶 が顕著
で累帯構造 もみられる. 石英 は3 6mm
大で, 波動 消光
が顕著で サブグレイン化 し, 引き伸ば さ れてい る. カ リ長
石 はパーサイト構造 が発達 し, 格子 構造 の見 ら れる もの も
ある. 黒雲母 の多 くは1 2mm
大 の自形 性結 晶. 角 閃石
は短柱状 の自形結晶で, 褐緑色 青緑色 のz 軸 色を もっ.
また自形で累帯構造 の顕著 な褐簾石を多 く含 む.
第6 図. 淡 路 島 の 領 家 深 成 岩 類 の 試 料 採 集 位 置(5).
の ほ か, 針 状 で 石 英 と 集 合 し て い る もの が 見 ら れ る.
D2000375
中 粒 角 閃 石 黒 雲 母 卜- ナ ル岩
津 名 郡 淡 路 町 楠 本( 第6 図)
黒 雲 母 を 多 量 に 含 む や や 優 黒 質 な 岩 石.
比較 的多 く の暗
色 包 有 物 を 含 む. 片 状 構 造 は は っ き り し な い.
ま た肉 眼で
黒 雲 母 と 角 閃 石 の タロ ット が し ば し ば 見 ら れ る. 斜 長 石 が
時 に 長 径1cm と 大 型 と な る ほ か は, 全 体 と し て 中 粒 の 等 粒
状 組 織 を 示 す.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
鏡 下 で 斜 長 石 は弱 い 累 帯 構 造 を 呈 す る. 石 英 は 他 形
半
自 形 で, 一 部 サブ グレ イ ン化 を し て い る. カ リ 長 石 は 他 形
で パ ー サ イト 組 織 を 有 し て い る. 黒 雲 母 は 自 形
半 自形 褐
色 で し ば し ば 集 合 し て タロ ット を 形 成 す る.
7.
岩 屋 花 崗 岩(
諏 訪 ・ 濡 木, 1968)
中 島 ほ か(1985,1986)
第5 図. 淡路 島の領家深成 岩類の試料採集位置(4).
第1
の 第2
期 花 崗 岩 類 に 属 す る.
花 崗 閃 緑 岩 を 主 と す る が,
D2000374 中粒黒雲母花崗岩
津名郡淡路町楠本( 第6 図)
塊状で片状構造 はあ まり見 られず, 岩相は均質 である.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石・黒 雲母・ 角閃石
副成分鉱物: チタン鉄鉱・ ジルコン・燐灰石
鏡下で石英と カリ長石 はポイキ リデ ィッ クに他 の鉱物 を
包有す ることが多い. カリ長石 に は格子状 構 造と パ ーサ イ
ト構造 がみられる. 斜長石 はAn40 50 で累帯 構造が発達 す
る. 黒雲母 は緑褐色 緑色 で自形 で大 型(2mm
大)の もの
期,
水 野 ほ か(1990)
の
粗 粒で 塊状 の黒 雲母 花 崗岩
暗色 包 有物 の配 列 によ る弱 い
片 状 構 造 が み ら れ る 場 合 が あ る.
カ リ 長 石 が や や 桃 色 で,
大 型 斑 晶 状 に な る こ と が あ る.
D2000376
粗粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
津 名 郡 淡 路 町 長 浜( 第6 図)
淡 桃 色 の カ リ長 石 が や や 斑 状 を な す. 暗 色 包 有 物 は 時 々
含 ま れ, こ れら が 弱 い 配 列 を な す こ と が あ る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 褐 簾 石 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
斑状のカリ長石 にはパーサイト構造 が発 達し, 格子 構造
も見られる. 斜長石 は長さ5mm 以 下 の半 自形 結晶 で, ア
ルバイト双晶 が目立ち, 累帯構造 も見 ら れる. 石英 は1
7mm 大で, 波動消光をなす. 黒雲 母 は暗褐 色 緑 褐 色を
呈 する3mm 以下 の自形結晶. 少量 の緑 褐色 角閃 石が含 ま
れる.
D2000377 中粒黒雲母花崗岩
津名郡淡路町松帆( 第6 図)
淡紅色 のカ リ長石が, やや大型斑晶 状と な る. 岩相 は全
体に均質であ るが, 弱い圧砕により石英が伸ばされてい る.
暗色包有物 は少ない.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カ リ長石・ 黒雲母
副成分鉱物: チタン鉄鉱・褐簾石・ジルコン・燐灰石
鏡下で石英 は丸 みをおびた形で, 一 部 サブ グレ イ ン化 か
みられる. カ リ長石 はパ ーサイト組 織が 発達 し三斜 度 は低
い. 斜長石 は自形でAnl5 An30 の累帯 構 造を なす. 褐色
黒雲母 がタロ ットをなすことがある. 柱 状の 褐簾 石が特 徴
的 に含 まれる.
構 造 の 見 ら れ る こ と もあ る. 黒 雲 母 は2.5mm
以下 の 自形
半 自 形 結 晶 で, 散在 し て い る こと が 多 い.
六甲 山地 域
1.
布 引 花 崗 閃 緑 岩(
藤 田 ・ 笠 間, 1965)
六 甲 山 地 南 西 部 に 分 布 し,
と さ れ る(
笠 間, 1968).
岩 を 主 体 と し,
領家 帯 の深成 岩類 に属 す る
中 粒 の角 閃 石 黒 雲 母 花 崗 閃 緑
弱 片 状 構 造 を 呈 す る こ と が あ る.
量 の 暗 色 包 有 物 を 含 む.
す も の が 普 通 で あ る が,
中粒 の等 粒状 組織を 示
と き に 長 径2Cm
斜 長 石 が 斑 状 結 晶 を な す こ と が あ る.
雲 母 と 角 閃 石 を 含 む が,
い る 場 合 が 多 い.
また少
六甲 花 崗岩 に貫 かれ る部分 で は
カ リ 長 石 が 増 加 す る こ と が あ る.
D2000378
程 度 の石 英 ・
有色 鉱物 とし て黒
黒雲 母 は変質 して緑 泥石 化 して
ま れ に 単 斜 輝 石 が 含 ま れ る.
中 粒角 閃石 黒 雲 母 花 崗 閃 緑 岩
神戸 市 兵 庫区 烏 原 町( 第7 図)
8. 先 山 花 崗 岩( 中 島 ほ か, 1985)
中 島 ほ か(1985,1986) の 第3 期 花 崗 岩 類 に 属 す る. ス
ト ッ ク状 岩 体 を 形 成 し, 浅 所 に 迸 人 し た 細
の黒雲 母花 崗岩
消 光 を示 す. カ リ長 石 に は パ ー サ イ ト 構 造 が 発 達 し, 格 子
中粒 で塊状
花 岡 閃 緑 岩 で あ る. 南北 方 向 に 伸長 し,
第1 ・2 期 の 花 崗 岩 類 の 構 造 を 明 瞭 に 切 る.
D2000370 中粒黒雲母花崗岩
洲本市先山( 第2 図)
黒雲母が全体に散在して産する, 等 粒状 の花崗岩で あ る.
暗色包有物 はほとんどみられず, 塊 状 であ る. 時 にカ リ長
石 の斑状結晶が見られる. 風化する とカ リ長 石が桃 色を な
す.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石・黒雲母
副成分鉱物: チ タン鉄鉱・褐簾石・ 燐灰石・ ジルコン
斜長石 は自形性の強い3mm 以下 の 結晶で, 双晶 が目立
ち, 累帯構造が弱い. 石英に包有 されて産 する. 石 英 は0.5
4mm 大でまれに8mm に達するものがあ る. 著し い波動
1cm 前後 の長 さ の角 閃 石 を 特 徴 的 に 含 む. ま た 少 量 の 暗
色 包 有 物を 含 む. 中 粒 の等 粒 組 織 を し め す も の が 普 通 に み
ら れ, と き に2cm
前 後 の石 英 ・ 斜 長 石 が 斑 状 結 晶 を な す こ
と が あ る.
[顕 微鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 褐 簾 石 ・ 燐 灰 石 ・ ジル コ ン
鏡下 で 石英 は弱 い 波 動 消 光 を し め す. カ リ 長 石 は 他 の 鉱
物 の 間 隙を 充 填 し て, 容 量 比10% 前 後 存 在 す る. 斜 長 石 は
中 性長 石 に 属 し, 累 帯 構 造 が 普 通 に 認 め ら れ る. 黒 雲 母 は
褐色 で一 部緑 泥石 化 し て い る. 角 閃 石 は 褐 色
状 自形 結 晶 で, 長 径0.5
2mm
緑 褐色 の柱
程 度 の 大 き さ を 有 す る. 斜
長 石 中 に細 粒 粒 状 の 単 斜 輝 石 ・ 角 閃 石 ・ 燐 灰 石 ・ チ タ ン 鉄
鉱 が 含 ま れ る.
D2000379
中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
神 戸 市 兵 庫区 烏 原 町( 第7 図)
中 粒 の等 粒 状 花 崗 岩 で, 弱 い 片 状 構 造 を 有 す る. 暗 色 包
第7 図. 布 引 花 崗 閃 緑 岩 の試 料 採集 位 置.
第8 図. 八 幡 谷 花 崗 岩 ・土 橋 石 英 閃 緑 岩 ・ 六 甲 花 崗 岩 の 試 料 採 集 位 置.
有物を含 む. 六甲 花崗岩の影響で再結晶作用を受 けている.
[顕 微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石 ・カリ長石・黒雲母・角閃石
副成分鉱物: 褐簾 石・ ジルコン・燐灰石
斜長石 は半 自形 で細かいアルバイト 双晶 が発 達す る. カ
リ長石 は間隙充填状 に産する正長石 であ るノ 石 英 は4 mm
大 の粒状 で弱い波動 消光を なす. 再 結晶 作用 によ り細 粒 の
黒雲母 がタロットを なして産する. 角閃 石 は褐色 で自形 ・
柱状を なすが, 細粒の緑 色角閃石 に置 き換 わ弋 だ部分 もあ
る.
D2000380 中 粒角閃石 黒雲母トーナル岩
神戸市中央区 葺合町( 第7 図)
径5 10cm の暗色包有 物を含み, 非常に弱い片 状構 造 が
みられる. 布引 の滝(雄滝)付近では六甲花崗岩(市ヶ原寄り)
に近づ くにつれ, 六甲 花崗岩の貫入 によ る影 響で カ リ長石
が増え る.
[顕 微鏡記 載]
ご
主成分鉱物: 石英・ 斜長石・カリ長石・黒雲母・角閃石
副成分鉱物: チタン鉄鉱・ ジルコ ン・燐灰石
斜長 石は半 自形 で, 弱い累 帯構造 がみ られ る. カ リ長石
は他形 で, 間隙充 填状に産する. 石英 は半 自形 他 形で,
一 部充 填状 に産する. 黒雲母は褐色 半自 形で タロ ット 状を
呈する. また黒雲母中に燐灰石が多 数 包有 さ れる. 自 形柱
状 で緑 色の角閃石が極少量産する.
2. 八 幡 谷 花 崗 岩( 中 家 ・ 中 島, 1989)
神戸 市 住吉 台付 近 に は暗色包 有物 に富 む 角閃石 黒雲 母
花 崗 岩 が 分 布 す る. 六 甲 花 崗 岩 よ り 古 期 で, 中 家 ・ 中 島
(1989)
は 布 引 花 崗 閃 緑 岩 に 対 比 し て い る.
に 似 る が,
暗 色 包 有 物 や 角 閃 石 に 富 み,
す る 点 て 異 な る.
六 甲 花 崗 岩
弱い面 構 造を 有
一 般 に 六 甲 花 崗 岩 に よ っ て シ ャ ープ に
貫 か れ る が,
漸 移 す る 場 合 も あ る.
D2000386
中 粒 角 閃 石 黒 雲 母 花 崗閃 緑 岩
神 戸 市 東 灘 区 住 吉 台 町( 第8 図)
角 閃 石 を 含 み有 色 鉱 物 量 が多 い. 弱 い片 状 構 造を 有 す る.
カ リ長 石 は桃 色 を 呈 す る. 有色 鉱 物 が タ ロ ッ ト 状 に 産 す る.
[顕 微鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲母 ・ 角 閃 石
副 成 分 鉱物: 磁鉄 鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン・ 褐
簾石
斜 長 石 は比 較 的 新 鮮 で あ る が, コ ア 部 は 絹 雲 母 化 す る.
累 帯 構 造 が著 しい. 石 英 は普 通0.2
mm
に達 す る. カ リ長 石 は0.3
3mm
3mm
大 で, と き に7
大. 弱 い パ ー サ イ ト
構 造 が み ら れ, 格 子 構 造 の見 ら れ る場 合 も あ る. 黒 雲母 は0.
1
2.5mm
大 暗 褐色 種 で 緑 泥 石 化 す る こ と が あ る. 角 閃 石
は緑 色 自 形
3.
半 自 形 で 黒 雲 母 と集 合 す る.
土 橋 石 英 閃 緑 岩(
笠 間, 1968)
六 甲 花 崗 岩 中 に 捕 獲 さ れ て 分 布 す る 岩 体 で,
英 閃 緑 岩 質 な 岩 石 か ら な る が,
受 け 岩 相 が 変 化 す る.
も あ る が,
細 粒 の石
六 甲 花崗岩 か ら の浸潤 を
六 甲 花崗岩 との境 は シ ャープな 時
花 崗 岩 化 作 用 が 進 み 不 鮮 明 な 場 合 も あ る.
斜
長 石 に富 み針 状の 角閃 石が多 数生 じ てい る のが特 徴で あ
る.
活動 の時 代及 び六 甲花 崗岩 との成 因 的関 係 は不明 で
あ る.
D2000385 細粒角閃石黒雲母石英閃緑岩
神戸市灘区六甲山町( 第8 図)
六甲花崗岩中に捕獲岩状 に産している. 花 崗岩 によ る浸潤
あるい は花崗岩化作用を受 け, 針状 の 角閃石 が多 数生 じて い
る部分で は花崗岩との境が不 鮮明 になってい る.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・ 斜長 石・ カリ長石・黒雲母・角閃石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
細粒完晶質岩であ り, 斜長石及 び有色鉱 物 がカ リ長 石中 に
ポイキリディックに産する. 石英 は25% 程度の容量比を 占め,
一般に新鮮である. カリ長石 は細粒 の早期 結晶 を包 んで,2
3mm 大で現われる. 斜長石 は50% 前後 の容量比を占 める.
An40 50 と測定される. 少量 の黒雲母が角閃石を置き 換え て
産する. 黒雲母は緑 泥石化 してい ることが多 い. 角閃 石は 褐
色で, 針状である. また針状 の燐灰石・ チタン鉄鉱が産 する.
4. 六 甲 花 崗 岩( 藤 田 ・ 笠 間, 1965)
六 甲 山 地 の 主 体 を な す 花 崗 岩 で, 一 般 に 桃 色 の カ リ長
石 を含 む中
粗 粒 黒 雲 母 花 崗 岩 か ら な る. 暗 色 包 有 物 も
含 ま ず, 全 体 に 均 質 で あ る が, 地 形 的 高 所 に は ア プ ラ イ
ト 質 花 崗 岩 が 分 布 し, 前 者 を 貫 く. 六 甲 花 崗 岩 に つ い て
は,72
77Ma
のK-Ar 年 代 が え ら れ て い る( 河 野 ・ 植 田,
1966). 有 馬 層 群 及 び布 引 花 岡 閃 緑 岩 を 貫 き, 丹 波 層 群
起 源 と 思 わ れ る ホ ル ン フ ェ ル ス の ル ー フ ペ ン ダ ント を 伴
う. 石 英 は1
石 は他形
2mm
で, 時 に 集 合 斑 晶 を な す. カ リ 長
半 自 形 で パ ー サ イ ト 組 織 を な し, 一 部 格 子 状
双 晶 を 有 す る. 斜 長 石 は 自 形
半 自形 で累帯 構造 はあま
り み ら れ な い. 黒 雲 母 の 多 く は 周 縁 部 が 緑 泥 石 化 し て い
る.
D2000381 粗粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
神戸市灘区 鶴甲 町( 第8 図)
全体に均質 で, 包有物や捕獲岩な どは 見ら れない. 方状
節理が発達 し, 節理 に沿 って ポケット状 に ペ グマ タイト が
みられる. カリ長石 が桃色をなす. 黒雲 母 の卓板 が よく発
達 しているのがわかる.
[顕 微鏡記載]
主成 分鉱物: 石英・斜長石・カ リ長石・黒雲母・角閃 石
副成 分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ジルコン
石英 は1 2mm
大で波動消光を示 し, 時 に集 合斑晶 を
なす. カリ長石 は他形 半自形で間隙充填状に産する. パー
サイト 組織を なし, 一部格子状双晶 が見 られ る. 斜長石 は
自形 半自形でAn10 An30 の細かい反復累 帯構造を 示 す.
黒雲母 は半自形で, 周縁部が緑泥化 してい る ことが多 い.
角閃石 は緑 褐緑色で, 黒雲母と タロットを形成する.
D2000382 細粒黒雲母花崗岩
神戸 市灘区東お たふ く山( 第8 図)
細かい節理 が発達してい る. 捕獲岩 など は見 ら れない.
粒度が不均質で, カリ長石と石英 が粗い 文象 組織を 示 す部
分 か肉 眼で確認さ れる. 露頭内に小断層がみられる.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 斜長石・石英・カ リ長石・黒雲母
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・ 褐簾 石・ 燐灰石 ・ ジル
コン
0.5mm 位の粒度で他形粒状組織をなす. 石英 は新 鮮で 波
動消光を示さず, 時にカ リ長石と微文 象組 織を なす. カリ
長石 は半自形 他形で, 絹雲母化作 用を受 け てい るこ とが
多い. 黒雲母は5% 前後の容量比 で, 新鮮である.
D2000383 中粒黒雲母花崗岩
神戸市東灘区荒神山( 第8 図)
住吉川中流の六甲花崗岩の石切場. 現 在六甲 花崗 岩を 採
取 してい る唯一の場所で, 近くの河 原か ら ひきあQTら れた
六甲花崗岩 の巨石が切断され, 一部 は研磨 さ れてい る. カ
リ長石が桃色をなす黒雲母花崗岩で研 磨効 果が著 し く, 桜
みかけ としての石材価値が高い.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石・黒雲母
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チ タン鉄鉱・ 燐灰 石・ ジ ルコ ン・ 褐
簾石・チ タン石
全体 に変質しており, 長石粒は粘土 化し, 黒 雲母 は緑 泥
石 に変化している. 斜長石は半自形で, コ ア部は 絹雲母 化
が著しい. カ リ長石はパ ーサイトで, 粘土 化 のた め汚濁 し
てい る. 黒雲母 は緑褐色針状で散点 状 に産 し, 一部 緑泥 石
化してい る.
D2000384 細粒黒雲母花崗岩
神戸市灘区東お多福山( 第8 図)
細粒黒雲母花崗岩中に暗褐色の角 閃石安 山岩 の岩 脈が 貫
入している. 安山岩と花崗岩の境は明 瞭であ る. 花 崗岩 は
細粒の アプ ライト質で, カリ長石・ 石英・ 黒雲 母 からな る
3 5mm
の晶洞が多 く含まれる.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石・黒雲母
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チタン鉄鉱・燐 灰石 ・ ジル コ ン・蛍
石
アプ ライト質組織を示す黒雲母花崗岩 か らな る. 石英 と
カ リ長石 は縫合状, 他形粒状を 呈する. 斜長 石 はAn10 20
で, コ ア部は絹雲母化 か顕 著である. 石英 は半 自形 他形
で粒状. 黒雲母は緑色で散点状 に産 す るが, 緑 泥石 に変化
していることが多 い. また1mm 前後 の磁鉄 鉱が含 ま れ,
そ の周囲を緑色黒雲母が取 り囲 む.
北摂 地 域
↓. 二 草 山 複 合 岩 体( 田 結 庄 ほ か, 1977)
二 草 山 複 合 岩 体 は猪 名 川 町 と 大 阪 府 能 勢 町 境 界 の三 草
山 か ら 能 勢 町 側 に 分 布 す る 約5kmX3km
の 岩 体 で, 丹
波 層 群 及 び有 馬 層 群 を 貫 き, 顕 著 な 熱 変 成 作 用 を あ た え
て い る. 田 結 庄 ほ か(1977)
によ る詳細 な岩 石学 的研 究
が あ り, そ れ に よ る と 本 岩 体 は北 岩 体 と 南 岩 体 と に区 別
さ れ る. 北 岩 体 は 両 輝 石 石 英 は ん れ い 岩, 単 斜 輝 石 石 英
は ん れ い 岩, 角 閃 石 黒 雲 母 花 岡 閃 緑 岩 か ら な り, 各 岩 相
は 漸 移 関 係 に あ る. ま た, 角 閃 石 黒 雲 母 花 岡 閃 緑 岩 か ら
は珪質片 麻岩 やざ くろ 石花 商片麻 岩 が捕獲 岩と して産 す
る が, こ れ ら 捕 獲 岩 は地 表 に は見 ら れ ず, 地 下 深 部 に 古
い 岩 石 の 存 在 が 考 え ら れ る( 中 島 ほ か, 1975).
一方南
岩 体 は 角 閃 石 文 象 斑 岩 か ら な り, 北 岩 体 を 貫 く. 南 岩 体
の文 象斑 岩 は斑晶 とし て自形 の斜長 石 ・カ リ長石 ・普 通
角 閃 石 ・ 黒 雲 母 を 含 み, 石 基 は 文 象 組 織 を 形 成 す る石 英
お よ び カ リ長 石 を 主 体 と す る.
D2000389 角閃石黒雲母文象斑岩
川辺 郡猪名川町民田( 第9 図)
南岩体. 全体に変質が進 み, 有 色鉱物 は ほとん ど緑 泥石
第9 図. 三 草 山 複 合 岩 体 ・千 軒 複 合 岩 体 ・ 高 代 寺 石 英 閃 緑 岩 体 の 試 料 採 集 位 置.
化 し てい る. 風化 作 用 が 顕 著 で, 時 に 赤 く 粘 土 化 し て い る.
主 成 分 鉱 物: 斜 長 石 ・ 単 斜 輝 石 ・ 角 閃 石 ・ 黒 雲 母 ・ 石 英 ・
カ リ長 石
こ の露 頭 で は 細 か い 節 理 が 発 達 し, ま た 一 部 鉱 化 作 用 も見
副成 分鉱 物: 磁鉄 鉱 ・ チ タ ン 鉄 鉱・ 燐 灰 石・ ジ ル コ ン
ら れ る.
半 自形 粒状 組 織を な す. 斜 長 石 は半 自形, 卓 状.An
[顕 微鏡 記 載]
70
副 成 分 鉱 物: チ タ ン 鉄 鉱・ 褐 簾 石・ 燐 灰 石 ・ ジル コ ン
で 角 閃 石 に包 有 さ れ, 多 く は ア ク チ ノ 閃 石 質 角 閃 石 に 変 化
斑 晶 とし て斜 長 石・ 石 英・ 少 量 の カ リ 長 石 を 含 む. 斑 晶
80% で 累 帯 構 造 が発 達 す る. 単 斜 輝 石 は 自 形
成分
主 成 分 鉱 物: 斜 長 石 ・ 石英 ・ カ リ 長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
して い る. 角 閃 石 は 褐緑 色 で 自形
半 自形
半 自形 で輝 石を 置 き換
絹雲 母化 作用
え る. 黒 雲 母 は他 形 で ア ク チ ノ 閃 石 質 角 閃 石 の 周 縁 部 に 少
な ど変 質 が著 し い. 緑 色 の 黒 雲 母 が 点 在 す る が, 多 く は 緑
量 産 す る の みで あ る. 石 英 及 び カ リ 長 石 は 間 隙 充 填 状 に 産
の斜 長 石 お よ び カ リ長 石 は 自形
半 自 形 で,
泥 石 化 して い る. 石 基 は 細 粒 の 卓 状 斜 長 石 と 文 象 組 織 を 形
D2000390
角 閃 石文 象 斑岩
川 辺 郡 猪 名川 町三 草山( 第9 図)
中 粒黒 雲母 花 崗片 麻 岩
南 岩 体 の 代 表 的 岩 石. 微 細 粒・ 均 質 な 岩 相 で,
大 阪 府 豊 能 郡 能 勢 町上 杉( 第9 図)
こ こで は, 石 灰 質岩 石 やざ く ろ 石 花 崗 岩
す る. ま た両 者 は し ば し ば文 象 組 織を な す.
D2000392
成 す る石 英 お よ び カ リ長 石 か ら な る.
細か い節
花崗 片麻 岩 な
理 が よ く 発 達 す る. 肉 眼 的 に 桃 色 味 を 帯 び た 灰 白 色 の 岩 石
ど の レ ン ズ 状 捕 獲 岩 が 含 ま れ る. 試 料 は 優 白 質 な 花 崗 片 麻
で, 一 般 に 石 基 の 全 面 に わ た っ て 文 象 組 織 が 発 達 し て い る.
岩 で, 有 色 鉱 物 と し て は 細 粒 の 黒 雲 母 が タ ロ ット を 形 成 し
本 岩 石 は, 著 し い変 質 作 用を 被 っ て い る. 斑 晶 は 斜 長 石 ・
て 産 す る の み で あ る. 少 量 の ざ く ろ 石 を 含 む.
角 閃石 ・ カ リ長 石 か ら な り, そ の 容 量 比 は32
[顕 微鏡 記 載]
34% で あ る.
[顕 微 鏡記 載]
主 成 分鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母
主 成 分 鉱 物: 斜 長 石 ・ 石 英 ・ カ リ長 石 ・ 角 閃 石
副 成分 鉱 物: ざ く ろ 石 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジル コ ン
副 成 分 鉱物: チ タ ン 鉄鉱 ・ 褐簾 石 ・ 燐灰 石・ ジ ル コ ン
斜 長 石 は 半 自形 で 全 体 に 曹 長 石 質 で 累 帯 構 造 は 弱 く, 絹
斜 長 石 は 自形 で, 絹雲 母 化 作 用 な ど 変 質 が 著 し い.
普通
雲 母 化 作 用 が 顕 著 で あ る. カ リ 長 石 は パ ー サ イ ト で 粘 土 化
角閃 石 は 著 し い 融食 形 を 示 す. カ リ長 石 は 半 自 形 でOr 成 分
が著 し い. 粒 状 の 石 英 の 集 合 し た 部 分 が 偏 平 に 伸 び る. 黒
75%.
雲 母 は緑 色 で 半 自 形 を 呈 す る. ま た 斜 長 石 の 周 囲 を 文 象 組
を主 体 と す る.
織を 示 す カ リ 長 石 と 石 英 が 取 り 巻 く.
D2000391
角 閃 石 輝 石 石 英 モ ンソ は ん れい 岩
川 辺 郡 猪名 川 町上 阿 古 谷( 第9 図)
北 岩 体 の主 体 を な す 岩 石. 暗 緑 色 塊 状 で, 全 体 に 風 化 が
進 み, 玉 石 状 に 新 鮮 な 試 料 が 採 取 さ れ る.
[顕 微 鏡 記 載]
D2000393
石 基 鉱 物 は文 象 組 織を 形 成 す る 石 英 お よ び カ リ 長 石
細粒 輝 石 角 閃 石石 英 は ん れ い 岩
大 阪 府 豊 能郡 能勢 町 長 谷( 第9 図)
北 岩 体. 全 体 に 細 粒 優黒 質 で あ る が, 一 部 で 斜 長 石 が 粗
粒 と な っ て 弱 い 斑 状 組 織を な す.
[ 顕 微 鏡 記載]
主 成 分 鉱 物: 単斜 輝 石・ 斜 方輝 石 ・ 角 閃 石 ・ 黒 雲母・ 石 英・
カ リ長石・斜長石
副成分鉱物:,チ タン鉄鉱・燐灰石・ジルコン
単斜輝石 は半自形で大部分ウラル石 化し てい る. 単斜 輝
石を取り囲んで角閃石が晶出してい る. 黒 雲母 は 他形 半
自形. 緑泥石等に変質していることが多 い. 斜長 石 は半 自
形卓状で,An 成分60% のコアからAn 成 分35% の リ ムまで
顕著な累帯構造を もつ. 石英・カリ長 石 は間隙充 填的 で,
文象組織をなして産することが多 い.
2. 千 軒 複 合 岩 体( 田 結 庄 ほ か, 1977)
三 草 山 複 合 岩 体 の 南 側 に 位 置 す る 約800mX300m
の小
岩 体 で, 細 粒 の 石 英 は ん れ い 岩 と 文 象 質 花 崗 岩 か ら な る
( 田 結 庄 ほ か, 1977).
ま た, 周 囲 の 丹 波 層 群 に顕 著 な 鉱
化 作 用 を 与 え て い る.
第10図. 柏 原 石 英 は ん れい 岩 体 ・ 剣 尾 花 崗 岩 体 の 試 料 採 集 位 置.
D2000406 細粒黒雲母花崗岩
川辺郡猪名川町子軒( 第9 図)
斜長石斑晶が目立つ斑状の花崗岩. 変 質 により 有色鉱 物
が青灰色とな ってい る.
[顕 微鏡記載]
主成分鉱物: 斜長石・石英・カ リ長石・黒雲母
副成分鉱物: チタン鉄鉱・ ジルコ ン・燐灰石
他形粒状 の斜長石・石英・カ リ長石 か らな るが, 斜 長石
にやや大型で自形 のものがあり, 弱い 斑状 組織 を示 す. ま
たカリ長石 と石英 はしばしば文象組織 をな す. 有 色鉱物 の
大 部分は著 しい変質を受け, 緑泥石 及 び緑 簾 石に 変 わって
いる. 斜長石 はコアでAn50%,
リ ムでAn30% の顕著 な累
帯 構造を示す. 有色鉱物 はもと もと黒雲 母で あ ったと 考え
られるが, 大部分緑泥石・緑簾石に 置き換 わ ってい る. 石
英 は半自形 自形で, 一部斑晶斜長 石 と ミルメ カイト をな
す. カリ長石 は, 弱い パーサイト組織を もつ.
D2000407 細粒輝石角閃石黒雲母石英 はん れい岩
川辺 郡猪名川町子軒( 第9 図)
[顕 微鏡記載]
主成 分鉱物: 斜長石・単斜輝石・ 斜方輝 石・ 角閃 石・ 黒雲
母・石英・ カリ長石
副成 分鉱物: チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコ ン
斜長石 は卓状で累帯構造が著しい. 輝 石 は単斜 輝石 と少
量の斜方輝石で, 角閃石 に包有あ るい は置 き換え ら れて産
する. 角閃 石は斜長石を ポイキリディッ クに包 有 する. 褐
色の黒雲母・角閃石・輝石 のタロット を形 成 する. 間 隙充
填状に石英 と少量 のカリ長石が産する.
3.
高 代 寺 石 英 閃 緑 岩 体( 松 浦 ほ か, 1995)
川 西 市 高 代 寺 山 を 中 心 に1 km
す る中
X 1.3km の 範 囲 に 分 布
細 粒 の 角 閃 石 一 黒 雲 母 石 英 閃 緑 岩 質 の 小 岩 体 で,
し ば し ば 径 数cm 内 外 の 暗 色 包 有 物 を 含 む. 岩 相 は 一 般
に不 均 質 で 一 部 細 粒 の も の が み ら れ る. 鉄 チ タ ン鉱 物 と
し て 磁 鉄 鉱 を 含 む.
D2000396
中粒輝石角閃 石黒雲母石英閃緑斑岩
川西市横路町高代寺( 第9 図)
肉眼で斜長石が黒色を帯 び, 全 体に 暗灰 色の 見か けを呈
する. また比較的暗色包有物 に富む.
[顕微鏡記 載]
主成分鉱物: 石英・ カリ長石・斜 長石 ・黒 雲母・ 角閃 石・
単斜輝石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チタン鉄鉱・燐灰石
斑晶として自形の斜長石が産 する. 石基 は拍 子木状 の斜
長石と間隙充 填状の石英及 びカリ長 石 からな る. 黒 雲母 は
自形 半自形 で, 周縁部 が緑泥石化 して い る. 角閃石 は緑
色 淡緑色で針状 によく伸長 する. 単 斜輝 石 は角閃石 に 置
き換えられ, また斜長石を オフィティックに包有する.
4.
柏 原 石 英 は ん れ い 岩 体( 田 結 庄 ほ か, 1983)
猪 名 川 町 柏 原 付 近 に 分 布 す る 東 西2.3km,
南 北1.6km
の 小 岩 体 で, 有 馬 層 群 を 貫 く. 一 般 に 角 閃 石 ・ 黒 雲 母 を
比 較 的 多 く 含 む 石 英 モ ン ゾ 閃 緑 岩 か ら な り, 時 々 暗 色 包
有 物 を 含 む. 全 体 に 岩 相 は 不 均 質 で, 有 色 鉱 物 が 濃 集 し
て は ん れ い 岩 質 な 部 分 も み ら れ る. 井 本 ほ か(1991)
よ っ て73.6Ma
に
のK-Ar 年 代 が 得 ら れ て い る.
D2000394 中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
川辺郡猪名川町柏原( 第10図)
全体に不均質で, 有色鉱物が濃集 しは んれい 岩質 の部分
もみら れる.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 単斜輝石・ 角閃石・ 黒雲 母・ 石英 ・斜 長石・
カリ長石
副成分鉱物: チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
単斜輝石は半自形 他形 で, 一 般 に著 しく融 食を うけ不
規則な形をなす. また角閃 石の反 応縁 によ って, 縁 どら れ
ていることが多 い. 角閃石は緑色半自 形, 柱 状で ある が,
不規則な形をなすものも多 い. 黒 雲母 は 褐色半 自形 で鱗片
状. 斜長石はアルバイト, カールスバ ッド双 晶を なし, 弱
い累帯構造がみられる. カリ長石 は他形で 結晶 間隙 に晶 出
している. 石英は他形 で包有物に乏 しく新鮮であ る.
D2000395 中粒輝石角閃石黒雲母花崗閃緑岩
川辺郡猪名川町柏原( 第10図)
中粒・等粒状で角閃石が目立つ. 玉 石状 に比 較的 新鮮 な
ものが得 られる.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石 ・ 角閃石 ・黒 雲母・
単斜輝石
副成分鉱物: チ タン鉄鉱・ 燐灰 石・ ジルコン
斜長石は半自形, 卓 状. 顕著なpatchy zoning をな す.
単斜輝石は半自形・粒状で, 2V = 53゜ であ る. 黒雲 母 は褐
色 赤褐色他形で, 輝石 やアクチ ノ閃 石質 角閃 石 の周縁 に
みら れる. 石英・カリ長石は間隙充 填状 に産 し, 斜 長石を
包有する.
5. 剣 尾 花 崗 岩 体( 田 結 庄 ほ か, 1983)
猪名 川町北 部 から東 方 の大阪 府 と京都府 境界 の剣 尾山
に か け て, 東 西 に の び た 約15km
X 6km の 比 較 的 大 き な
岩 体 を つ く る. 中
粗 粒 等 粒 状 で カ リ長 石 が 桃 色 を 呈 す
る 角 閃 石 黒 雲 母 花 崗 岩 か ら な り, 全 体 に 均 質 で 暗 色 包 有
物 も ほ と ん ど 含 ま れ な い. 丹 波 層 群 及 び 相生 層 群 を貫 き,
播 磨 南部地 域
1. 赤 穂 花 崗 岩 体( 新 称)
赤 穂 市 か ら 岡 山 県 境 に か け て 東 西 約8km
の海岸付近
古 第 三 紀 の 籠 坊 層 に 覆 わ れ る と さ れ て い る( 田 結 庄 ほ か,
に 分 布 す る 花 崗 岩 体 で, 兵 庫 県(1961)
1983). 72.7Ma
と 呼 ば れ て き た も の の代 表 的 な 岩 相 で あ る. 中
のK-Ar 年 代 が 得 ら れ て い る( 井 本 ほ か,
で 播磨 花崗 岩 類
粗粒 で
1991). 一 般 に 風 化 作 用 が 顕 著 で, 黒 雲 母 ・ 角 閃 石 は 緑
桃 色 の カ リ長 石 を 含 む 黒 雲 母 花 崗 岩 を 主 と す る. 塊 状 で
泥 石 に 変 質 し て い る こ と が多 い. 石 英 ・ カ リ 長 石 が 斑 状
捕 獲 岩 を 含 ま ず, カ リ長 石 が や や 桃 色 を な す, 六 甲 花 崗
に 産 す る こ と が あ る.
岩 に 似 た タ イ プ で あ る. 黒 雲 母 の 多 く は 緑 泥 石 に 変 化 し
D2000387 中 粒角閃石黒 雲母 花崗岩
川辺郡猪名川町杉生( 第10図)
優白質で1mm 以下 の有 色鉱 物が点 在す る. 風 化作 用 が
顕著で, 真 砂土化し ている部分が多 い. 細 かい板 状節 理 が
発達して いる.
[顕微鏡記載]
,主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石・ 黒雲母・ 角閃石
副成分鉱物: チタン鉄鉱・ 燐灰石・ ジルコ ン
半自形粒状組織を 呈する. 角閃 石 は自形 性が 強 く, 褐色
のコアから緑色 のリムまで累帯 構造を示 す も のがあ る. 黒
雲母 は褐色で集合し て分布 している. 石 英及 びカ リ長 石 に
対して間隙充填状 である. 斜長石に は中 粒結 晶と 細粒 結晶
がみられる. また, コアは絹雲母化 作用 によ る変 質を受 け
てい る場合 が多 い. カリ長 石のパ ーサ イト組 織 はあ まり発
達 せず, ラメラの巾も狭い. 細粒 の黒雲 母・ 角閃 石・ 斜長
石 が石英・カ リ長石中 にポイキリ ディ ックに 包有 さ れる こ
とがあ る.
D2000388 中粒角閃石含有 黒雲母花崗岩
川辺郡猪名川町杉生新 田( 第10図)
中粒等粒状 で均質 な岩 相を示 す. 細粒 の有 色鉱 物 が点 在
するのみで, 全 体に優白質 な見かけを 有す る. 暗 色包 有物
は含 まれない. 一部 アプライト 脈が貫 く.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・ 斜長石・ カリ長石・ 黒雲母・ 角閃石
副成分鉱物: チタン鉄鉱・ 燐灰 石・ ジルコ ン・褐簾石
角閃石 は少量 で著 しく融食され, 緑泥 石 に変 って いる こ
と が多い. 黒 雲母 は一 般に集合せず, 分 散し て分 布し てい
る. カ リ長石 は粘土 化していること が多 く, 弱い パ ーサ イ
ト組織を もつ. 石英 は融食されている.
て い る. 優 白 質 で 肉 眼 的 に も 斑 状 構 造 が 見 ら れ る と い う
特 徴 が あ る. 斑 晶 は 斜 長 石 ・ 石 英 ・ カ リ 長 石 で そ れ ぞ れ
の 量 に は変 化 が あ る. 黒 雲 母 は あ っ て も 少 量 で 緑 泥 石 化
す る. 斜 長 石 の 累 帯 構 造 は あ ま り 発 達 せ ず, 絹 雲 母 化 か
著 し い. カ リ長 石 は パ ー サ イ ト 組 織 が 発 達 し て い る. 丸
み を お び た 石 英 が み ら れ る. ま た 角 閃 石 を 含 む 岩 相 も あ
る.
D2000402 中 粒角閃石黒雲母 花崗岩
赤穂市 福浦( 第11図)
風化 は著し いが, 玉石 から新 鮮な試 料が 得 られ る. 塊状
で捕獲岩 もない. 板状 の節理が見 ら れる. ほぼ等 粒状 であ
るが, 風化面などでカ リ長石 による斑状 構 造が 見 られ る.
黒雲母 は葉片状で全体 に散在 する.
[顕 微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石・ 黒雲 母・ 角閃石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱 ・燐 灰 石・ ジ ルコ ン・ 褐
簾石
斜長石 はAn20 前後で, コアの絹雲母化 がみられる. カ リ
長石 はパーサイト組織 が発達 する. 三斜 度 は低 い. 石英 は
丸 みをお び, 一部 サブグレイン化 が みら れる. 角 閃石 は少
量で緑 緑褐色, 黒雲母 は褐色で, 両 者共 に 細粒 の黒 雲母
に一部 置き換え られている。
D2000403 粗粒斑状黒雲母花 崗岩
赤 穂市春日( 第11図)
カリ長石 が桃色を なし, 石英 がや や丸 みを お びた岩 石で
あ る. 全 体に優白質・均質 で, 暗色包有物は見られない.
[顕 微鏡記載]
主成 分鉱物: 石英・斜長 石・ カリ長石・ 黒雲母
副成 分鉱物: チタン鉄鉱・燐灰 石・ ジルコン
第11 図. 赤 穂 花 崗 岩 体 の 試 料 採 集 位 置.
斑 晶 は 斜長 石 ・ 石 英 ・ カ リ長 石 で,
それぞ れの 量に は変
化 か あ る. 黒雲 母 は緑 泥 石 化 し て い る. 斜 長 石 の 累 帯 構 造
は あ ま り 発達 せ ず, 絹 雲 母 化 か 著 し い.
カ リ長 石 は パ ー サ
イ ト 組 織 が発 達 し, 丸 みを お びた 石 英 が み ら れ る。
D2000404
× 2km
の岩 体 を 形
成 し て い る と 考 え ら れ る. 黒 雲 母 花 崗 岩 か ら な り, 全 体
に 風 化 が 著 し い. 一 般 に 等 粒 状 で あ る が, カ リ長 石 が や
や 大 型 と な る 斑 状 の も の もあ る. 岩 相 は 均 質 で 捕 獲 岩 も
粗粒角閃石黒雲母花崗岩
な く, 火 砕 岩 を 貫 く 部 分 で も 岩 相 変 化 は な い. 塊 状 で 節
赤 穂市 真 木( 第11 図)
角 閃 石 と黒 雲 母 が 一 部 タロ ット を な し て い る. 斜 長 石 は
一 部 大 型 とな り, 時 に 斑 晶 状 を な す. 直 径1
5cm
位 の包
有 物 が ご く少 量 み ら れ る. カ リ長 石 は あ ま り 桃 色 を 呈 し て
理 は 比 較 的 よ く 発 達 し て い る. 黒 雲 母 の 多 く は緑 泥 石 に
変 化 し て い る こ と が 多 い. 81Ma
のK-Ar 年 代 が 得 ら れ て
い る( 河 野 ・ 植 田, 1965).
い な い.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ 長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
副 成 分 鉱 物: 磁 鉄 鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン・ 褐
簾石
角 閃 石 の含 有 量 は変 化 す る. 斜 長 石 は累 帯 構 造 が発 達 し,
カ リ長 石 は一 部 他 形
半 自 形, パ ー サ イ ト 組 織 は 顕 著 で あ
る. 時 々, 角 閃 石 と 黒 雲 母 が タロ ッ トを な す.
2.
ら み て, 湾 内 の 海 底 で 連 続 す る 約4
相 生 花 崗 岩 体(
新 称)
相 生 湾 を 取 り 囲 む 狭 い 範 囲 に 分 布 し て い る が,
岩 相 か
D2000408 粗粒黒雲母花崗岩
相生市野瀬( 第12図)
カリ長石がやや大型 で斑状を呈す る. 岩相 は均質 で, 捕
獲岩もなく塊 状であ る.
[顕微鏡記 載]
主 成分鉱 物: 石英・斜長石・ カリ長石・黒雲母
副成分鉱物: チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコ ン
中粒・ 等粒状 の黒雲母花崗岩であ る. 斜長 石 は累 帯 構造
が弱く, An30 前後 のものからな る. カ リ長石は半自形 他
形で, パーサイト の発達 が著 しい. カ リ長石 と カリ長 石の
境には, 曹長石質リムが発達 する. ま た一部 に ラパ キビ組
織が見られる. 石英 は半自形粒状. 黒雲母 は半自形褐色 で,
一 部へき開にそって, 緑泥石化 が見 ら れる. 粒間 に方 解石
あるいは白雲母 が存在 する.
播磨 中部
1.
八 重 畑 石 英 閃 緑 岩 体( 兵 庫 県, 1961)
尾 崎 ほ か(1995)
姫路 市東 部 の八重 畑
で は 山 崎 文 象 斑 岩 と 呼 ば れ て い る.
塩 崎 に か け て 分 布 し, 花 崗 斑 岩 ・
花 崗 閃 緑 斑 岩 ・ 文 象 斑 岩 を 主 体 と す る 小 岩 体 で, 石 英 閃
緑 岩 を と も な う. こ の地 域 で 最 も 古 い 古 期 花 崗 岩 の 可 能
性 が 指 摘 さ れ て い た が( 兵 庫 県, 1961),
周 囲 の 白亜 紀
火 山 岩 類 を 貫 き, そ れ ら と と も に 火 山 一 深 成 複 合 岩 体 を
形 成 し て い る こ と が 明 ら か に な っ た( 坂 本, 1984).
花
崗 閃 緑 斑 岩 は 細 粒 で, 斜 長 石 ・ 石 英 ・ カ リ長 石 斑 晶 と,
文 象 組 織 を な す 石 英 と カ リ長 石 の 石 基 か ら な る. 一 部 花
崗 岩 に よ り 貫 入 を 受 け て い る. 全 体 に 針 状 の 角 閃 石 で 特
徴 づ け ら れ る.
第12 図. 相生 花 崗岩 体 の試 料 採 集 位 置.
D2000397 黒 雲母花崗閃緑斑岩
姫路市飾東 町豊国( 第13図)
第13図. 八重 畑 石 英 閃 緑 岩 体 ・ 志 方 花 崗 岩 体 の 試 料 採 集 位 置.
加 占川 巾 志 方 町 行 常( 第13 図)
細 粒 斑 状 で 全 体 に均 質 であ る. 風 化 が 進 み 新 鮮 な 試 料 を
志 方 花 崗 岩 と 火 山 砕 屑 岩 の接 触 部( 黒 色 部). 花 崗 岩 が 火
得 に くい た め, 転 石 の一
一
一
一
一
部を 採 取 し た.
砕 岩 を 貫 き, 接 触 変 成 を 与 え て い る.
[顕 微 鏡 記 載]
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 斜 長 石 ・ 石 英 ・ カ リ長 石 ・黒 雲 母
主 成 分 鉱 物: 黒 雲 母 ・ 角 閃 石 ・ 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 褐 簾 石 ・燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
副 成 分 鉱 物: 磁 鉄 鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
細 粒 で 斜 長 石 ・ 石 英 ・ 少 量 の カ リ長 石 斑 晶 と 他 形 粒 状 の
石 基 か らな る. 斑 晶 斜 長 石 は 自形 で 累 帯 構 造 が 弱 く 変 質 し
斑 品 状 の 斜 長 石 の ま わ り を 文 象 組 織 を な す 石 英 と カ リ長
て い る. カ リ長 石 は弱 い パ ー サ イ ト 組 織 を 示 し, 粘 土 化 し
石 が と り ま く 特 異 な 産 状 を 呈 す る. 斜 長 石 は 自 形 で 顕 著 な
て い るこ とが 多 い. 石 英 は新 鮮. 黒 雲 母 は緑 色を 呈 す る.
累 帯 構 造 を 示 す. カ リ長 石 は斑 晶 の も の は 弱 い パ ー サ イ ト
D2000398
細粒角閃石黒雲母石英閃緑岩
組 織 を な し, 粘 …
…1
・
こ
イ
ヒカぶ
著しい二石英 は大部 分カ リ長石 と文
姫 路 市 飾 東 町 山 崎( 第13 図)
象 組 織 を な す. 黒 雲 母 は 緑 泥 石 に 変 化 し て お り, 仮 晶 と し
て の み 残 っ て い る. 角 閃 石 は緑 褐 色 自 形 で 独 立 し て 産 す る.
全 体 に 風 化 が 著 し く細 かい 節 理 が 発 達 し て い る. 花 崗 岩
に よ り 貫 入 を 受 け て い る.
[顕 微 鏡 記 載]
3.
主 成 分 鉱 物: 斜 長 石 ・ 石 英 ・ カ リ長 石 ・黒 雲 母 ・ 角閃 石
上 郡 花 岡 閃 緑 岩 体(
新 袮)
[汨 汨\f
の 南 東 部 か ら 赤 稙 市 北 東 部 に か け て 分 布 す る5
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 褐 簾 石 ・燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
全 体 に 針 状 の角 閃 石 が 特 徴 的 で あ る, 一一 jl'S
グ`ラ フ ィ ッ ク
km
X 3.5km の 岩 体.
中
細 粒 で 斑 状 の花 岡 閃 緑 岩
花
組 織 を な す 優 黒 質 な 岩 石 で あ る. 斜長 石 は 自形 ・ 柱 状 でAn
陶 坿 を 上 体 と す る が,
40前 後. 石 英 は カ リ長 石 と と も に, 他 形 も し く は グラフ ィ ッ
岡 閃 緑 斑 岩 質 な 岩 相 も 見 ら れ る.
ま た南部
巾
こ れ ら が す べ て 同 一一の
クを な す. 黒 雲 母 は散 点 状 で 黒 褐色 ・ 半 白 形 を.呈 す る. 角
岩 体 東 部 で は石 英 は ん れ い 岩 や 花
粗 粒 黒 雲 母 花 崗 岩 も 含 ま れ,
南 東部 で は
閃 石 は自 形 ・ 針 状 を 呈 す る.
D2000399
岩 体 内 部 に お け る 岩 相 変 化 な の か,
角閃石黒雲母花崗閃緑斑岩
す る の か は 不 明 で あ る.
姫 路 市飾 東 町 山 崎( 第13 図)
八 重 畑 石 英 閃 緑 岩 体( 花崗 閃 緑 斑 岩 類) の代 表 的 な 露 頭.
全 体 に 変 質 が 顕 著 で, 有 色 鉱 物 が 変 質 し て 白 色 の 見 か け を
呈 す る. 捕 獲 岩 もあ まり 含 ま れず,
微細 粒均質 で細 か い節
白 亜 紀 火 山 砕 屑 岩 類( 相 生 層 群)
及 び ‥l
・4
回=y1
系 の 龍 野 洲 群 を 貫 き,
岩 体北 東縁 の佐 用谷 で は
龍 野 洲 群 の 泥 質 岩 に輝 石 ホ ル ン フ ェ ル ス相 の 接 触 変 成 作
J:
ノ
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を 与 え て い る(
理 が 発 達 して い る.
異 な った岩 体を 構成
猪 木 ・ 弘 原 海, 1980).
中
粗 粒 花 岡
坿 は 均 質 な 岩 相 を 熨 す る 優 白 質 の 黒 雲 母 花 崗 岩 で,
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・角 閃 石 ・黒 雲 母
包 有 物 は み ら れ な い.
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・赤 鉄鉱
崗 斑岩
ま た 磁 鉄 鉱 は 含 ま れ な い.
暗色
一 方花
花 岡閃 緑岩質 な岩石 は斜 長石 ・石 英を 斑晶 と す
斑 晶 と して 斜 長 石 ・ 石 英 を 有 す る. 斑 晶 斜 長 石 は 累 帯 構
造 が 弱 く, 曹 長 石 化 して い る/ 石 基 は 拍 子 木 状 の 斜 長 石 と
間 隙 充 填 状 の石 英 ・ カ リ長 石 か ら な る. 角 閃 石 は 半 白 形 緑
色
褐 緑 色 を 呈 す る. 黒 雲 母 は角 閃 石 と タ ロ ッ ト を 形 成 し
て 産 す る.
2.
志 方 花 崗 岩 体(
成 す る 約4kmX4km
岩 相 を.¥ す る こ と が あ る.
D2000405
ま た 磁 鉄 鉱 が 含 ま れ る.
粗粒 黒雲 は花 崗岩
優 臼 質 の 黒 雲 吁 花 崗 岩 で カ リ長 石 が 桃 色 を な し, 均 質
尾 崎 ば か, 1995)
の 岩 体 で,
広 峰層 群 の火山 碎屑 岩 類
露 頭 状 況 は 良 く な い.
岩 で カ リ 長 石 が 桃 色 を な す.
細 粒 の 花 岡・
岩
一
一
一
般- に,
均 質 で あ る.
文象 斑
風 化 作 用 が 顕 著 で,
有 色 鉱 物 は 緑 泥 石 に 変 質 し て い る こ と が 多 い.
ど は み ら れ ず,
暗 色 包 有 物 が 多 く含 ま れ 不 均 質 な
赤 穂 市 有 年 牟 礼( 第14 図)
志 方 花 崗 岩 体 は志 方 町 巾 央 部 の 比 較 的 平 坦 な 部 分 を 構
を 貫 く が,
る 斑 状 組 織 を 有 す る.
捕 獲岩 な
斜 長 石 が 斑 晶 状 に 産 し,
そ
の ま わ り を 石 英 と カ リ長 石 が グ ラ フ ィ ッ ク組 織 を な す 特
異 な 組 織 を 示 す.
有 色 鉱 物 は 角 閃 石 と 黒 雲 母 か ら な る.
不 透 明 鉱 物 と し て 磁 鉄 鉱 が 含 ま れ る.
な 岩 相 を ‰1す る. 捕 獲 岩 は 見 ら れ な い. ま た 方 状 節 理 が
よ く 発 達 す る. 卓 板 の 発 達 し た 黒 雲 母 が よ く 見 ら れ る.
斜 長石 の 一
一
一
一:│?71S
カ
・
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暃li,
犬と な る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ 長 石 ・ 黒 雲 母
副 成 分 鉱 物: チ タ ン 鉄 鉱 ・ ジ ル コ ン・ 燐 灰 石
斜 長 イニi
は 半 白 形 で, 累 帯 構 造 は あ ま り 発 達 し て い な い.
石 英 は半 自 形 を 呈 す る. 黒 雲 母 は 褐 色 で 散 点 状 に 産 す る.
カ リ 長 石 に は パ ー サ イ ト が 幅 広 く 発 達 す る.
D2011403
角閃 石黒 雲母 文 象斑 岩
赤 穂 郡 上 郡 町 竹 万( 第14 図)
白色 の斜 長石 と球状 の石 英 の斑 晶が 目立 つ斑 状組 織 を
D2000400
角 閃 石 黒 雲 母 文 象 斑岩
加 古 川 市 志 方 町 行 常( 第13 図)
カ リ長 石 が淡 桃 色 を な し, 有 色 鉱 物 は 独 立 し て 産 す る.
一
一般 に風 化 作 用 が顕 著 で, 捕 獲岩 な ど み ら れ ず均 質 で あ る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分鉱 物: 角 閃 石 ・黒 雲 母 ・石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ 長 石
副 成 分鉱 物: 磁鉄 鉱 ・ チ タ ン 鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
斜 長 石 の斑 晶 と, そ の ま わ りを 取 り 囲 む 石 英 と カ リ 長 石
の文 象 組 織 が 特 徴 的 で あ る. 斜 長 石 は 自 形 で 累 帯 構 造 が 発
達 す る. 角閃 石 は緑 色, 黒 雲 母 は 褐 色 を 呈 し, 両 者 は 不 透
明 鉱 物 と と も に タ ロ ッ ト を形 成 す る.
D2000401
細 粒 斑 状角 閃石 黒 雲 母 花 崗 岩
j二I/1
す る. 風 化 が 進 み, 全 体 が 淡 紅 色 を 呈 す る.
[顕 微 鏡 記 載]
… 成 分 鉱 物 レ石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ 長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
…1
ミ
副 成 分 鉱 物: 磁 鉄 鉱 ・ チ タ ン 鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ 褐 簾 石 ・ ジ
ルコ ン
斑 品 と し て は 石 英 ・ 斜 長 石 ・ 角 閃 石 ・ 黒 雲 母 が あ る.
斜 長 石 は 半 自 形 で 集 斑 状 に 産 す る. ま た 石 英 は 他 形 で 石
基 に よ っ て 融 食 さ れ る. 角 閃 石 ・ 黒 雲 母 は 半 白 形 で 独 立
し て 産 す る こ と もあ る が, タ ロ ッ ト を 形 成 す る こ と が 多
い. 石 基 は 自 形 の 斜 長 石 と, そ れ を 放 射 状 に 取 り 巻 き 文
象 組 織 を 呈 す る 石 英 と カ リ長 石 か ら な る. ま た 石 基 に は
第14図. 上 郡 花 崗岩 体 の試 料 採 集 位 置.
針 状に 伸 びた角閃 石・ 黒雲 母・燐 灰石 が特 徴的に産する.
D2011404 斑 状角閃 石黒 雲母 花崗 岩
赤 穂市 有年 楢原( 第14図)
全体 が灰 色で, 白 色の斜 長石 と球 状 の石英 の斑晶 が目
立 つ斑 状組 織を 呈す る. 細粒 の有色 鉱物 が タロ ット 状 に
産 す る.
[顕微 鏡記載]
主 成分 鉱物: 石英 ・ 斜長石 ・ カ リ長 石・ 黒雲 母・ 角閃 石
副 成分 鉱物: 磁 鉄鉱・ チ タ ン鉄鉱・ 燐灰 石・ 褐簾石 ・ ジ
ルコ ン
斑晶 と して は石 英 と斜長 石 があ る. 斜 長石 は半 自形 で
集 斑状 に産 す る. ま た石英 は他形 で 石基 によ って融 食 さ
れる. 石基 は他形 の石 英 とカ リ長石 か らな る. 黒雲 母 は
緑 色で 角閃 石と タロ ットを 形成する. 角閃石のうち クロッ
トを 形成 す るもの や間隙 充填 的 に産す る ものは緑 色 で あ
る が, 自形 性 が強 く独立 して 産す る ものに は褐緑 色 の も
のが多 い.
D2011405 細 粒黒 雲母 花崗 岩
赤穂 郡上 郡町 奥( 第14図)
細粒で 全体 が桃 色が か って見え る. 斑晶 として 斜 長 石
と 石英 が目立 つ. また有 色鉱 物 のタロ ット に富 み, 暗 色
包有 物 も含 まれる.
4.
龍 野 花 崗 閃 緑 岩 体( 新 称)
新 宮 町 南 部 か ら 相 生 市 及 び 龍 野 市 北 部 に, 市 ・ 町 界 に
沿 っ て 東 西 に 伸 び て 分 布 す る 約7.5km
第15 図. 龍 野 花 崗 閃 緑 岩 体 の 試 料 採 集 位 置.
X 3.5km の岩 体 で,
岩 体 の 北 側 で 相 生 層 群 を,
南 側 で 龍 野 層 群 を 貫 く.
に中
細 粒 で斑状 の花崗 岩
る が,
一 部 石 英 閃 緑 岩 質 の 岩 石 も 含 み,
形 成 し て い る 可 能 性 も あ る.
花岡 閃緑 岩質 の百 石 か らな
累 帯深 成 岩体を
ま た岩体 東 部で は拑 粒で カ
リ 長 石 の 巨 斑 晶 を 有 す る 花 崗 岩 も 存 在 す る.
し て 一 般 に 角 閃 石 と 黒 雲 母 を 含 む が,
針 状 に 伸 び る.
全般
有色鉱 物 と
角閃 石 はし ばし ば
不 透 明 鉱 物 は 千 タ ン 鉄 鉱 の み で,
磁鉄鉱
は 見 ら れ な い.
D2000410
中粒角閃石黒雲母花崗岩
揖 保 郡 新宮 町 善 定( 第15 図)
比 較 的 有 色 鉱 物 に 富 む 等 粒 状 の岩 石 で あ る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母・ 角 閃 石
第16図. 船 岩複合岩 体の試 料採 集位置
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ 褐 簾 石
石 英 ・ カ リ 長 石 に 富 み, 斜 長 石 は比 較 的 少 な い. 斜 長 石 は
自 形・ 柱 状 で 顕 著 な 累 帯 構 造 を 示 す. 普 通 角 閃 石 は 半 阡形 で
短 柱 状 を 示 し, 一 般 に 弱 い 融 食 を 受 け て お り, 黒 雲 母と クロ ッ
ト を な し て 産 す る. 黒 雲 母 は半 自 形 で 鱗 片 状
短 柱 状. 石 英
細粒斑状角閃石黒雲母花崗岩
接 触 変 成 作 用 を 与 え て い る. 不 透 明 鉱 物 は磁 鉄 鉱 と チ タ
揖 保 郡 新 宮 町 二 柏 野( 第15 図)
細 粒 で 有 色 鉱 物 が 全 体 に 散 在 す る. 全 体 に 均 質 な 背 石 で
あ る が, 時 折 有 色 鉱 物 が タロ ット を 形 成 す る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 言 母・ 角 閃 石
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
斑 晶 と し て 自 形 性 が良 く累 帯 構 造 の 顕 著 な 斜 長 石 が 見 ら
れ る. 石 基 は 自 形 で 拍 子 木 状 の斜 長 石 と 他 形 粒 状 の 石 英 ・
カ リ 長 石 か ら な る. 角 閃 石 は自 形 短 柱 状 で, 緑 褐 色 の コ ア
か ら 緑 色 の リ ムヘ と 累 帯 構 造 を 示 す.
黒雲 母 は自形 で間 隙
充 填 的 に 産 し, 緑 泥 石 化 が 著 し い 。
D2011407
角閃石黒雲母花岡斑岩
相 生 市 能 下( 第15 図)
全 体 に 細 粒 で, 有 色 鉱 物 に 富 む. 斜 長 石 の 斑 品 が「TI立 つ.
鉛 直 方 向 の 節 理 が 発 達 し て い る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石・ ジ ル コ ン
斑 晶 は 自 形 で 累 帯 構 造 の顕 著 な 斜 長 石 か ら な る. 石 基 は
自 形 の 斜 長 石 と 他 形 粒 状 の石 英 ・ カ リ 長 石 か ら な る. 針 状
に 伸 び た 褐 緑 色 角 閃 石 を 特 徴 的 に含 む. 黒 雲 母 は 緑 色 で 間
隙 充 填 状 に 産 す る.
D2011408
細粒斑状角閃石黒雲母花岡閃緑 岩
相 生 市 能 下( 第15 図)
肉 眼 的 に は ほぼ 等 粒 状 の花 岡 閃 緑 岩 で あ る が, 斜 長 石 が
や や 斑 状 を 呈 す る. 微 細 な 有 色 鉱 物 が 全 体 に散 在 す る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 褐 簾 石 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
斑 晶 の 斜 長 石 は自 形 で 累 帯 構 造 が 著 し い. 石 英 ・ カ リ 長
石 は石 基 に 産 し, 文 象 組 織を 呈 す る. 針 状 に 伸 び た 角 閃 石
が 特 徴 的 に産 す る. 黒 雲 母 は緑 色 を 呈 す る.
5.
船 岩 複 合 岩 体(
布 す る 累 帯 深 成 岩 体 を 形 成 し て い る( 猪 木 ・ 弘 原 海,
1980). 龍 野 層 群, 夜 久 野 複 合 岩 類 及 び 相 生 層 群 を 貫 き,
は 半 自 形 で 粒 状.
D2011406
緑岩 ・ 角閃石 花 岡閃緑 斑岩 ・ 花岡閃 緑岩 が取 り囲 んで 分
猪 木 ・ 弘 原 海, 1980)
上 郡 町 北 部 の 船 岩 に,
約3km
伸 び た 岩 体 と し て 分 布 す る.
岩 相 は 著 し く 変 化 し,
X 1.4km の 北 西 一 南 東 に
花 岡 閃 緑 岩 を 主 体 と す る が,
石 英 はん れい岩 を核 と して 石英 閃
ン鉄 鉱 で あ る.
D2011409 中 粒輝石角閃石石英モ ンゾはんれい岩
赤穂郡Iこ郡町黒石( 第16図)
等粒状で有色鉱物が点 在して産す る. 一部 圧 砕作用 を受
けている.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 斜長石・ 単斜輝石・斜 方輝 石・ 角閃 石・ 黒雲
母・石英・カリ長石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チ タン鉄鉱・燐灰石・ ジルコ ン
斜長石は自形で累帯構造が著しい. 有 色鉱 物 は主 とし て
角閃石と輝石からなり, 黒雲母は少量 であ る. 輝 石 は角閃
石中の残品として産しに 大部分がウ ラ ル石化 して いる. 角
閃 石は褐緑 色を呈し, 一般に新鮮で変 質 して いな い. 石英
と少量のカリ長石が間隙充填状に産する.
D2011410[t] 粒輝石角閃石黒雲母石英モ ンゾ はん れい岩
赤穂郡上郡町黒石( 第16図)
中粒で優黒質な岩石で, 表面の風化 が 進 み, 新鮮 な岩 石
ぽ玉石状に産する.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 斜長石・単斜輝石・斜 方 輝石・ 角 閃石・ 黒 雲
母・石英・カリ長石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チ タン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
斜長石は自形で顕著な累帯構造を示 し, 粒状 の輝 石を 包
有する. 角閃石は常に輝石を置 き換え て おり, 単独 で産 す
ることはない. 黒雲母は赤褐色他形 で, 他 の有 色鉱物 と 集
合して産する. 文象組織をなす石英 と カリ長 石 が間 隙充 填
状に産する.
6.[│
高 複 合 岩 体( 新 称)
凵 」町 目 高 の 約1.4km
x lkm の 小 岩 体. 細 粒 斑 状 の 花
崗 閃 緑 岩 を 主 体 と し, 石 英 は ん れ い 岩 を と も な う. 上 月
層 を 貫 き 接 触 変 成 作 用 を 与 え て い る. 含 ま れ る不 透 明 鉱
物 は 磁 鉄 鉱 と チ タ ン 鉄 鉱 で あ る. 全 体 に 風 化 が 進 み, 新
鮮 な 岩 石 か ら な る 露 頭 が 少 な い.
D2011411 中粒角閃石輝石石英はんれい岩
佐用郡寸1
月町目高( 第17図)
播 磨北 部地 域
↓.
大 畑 花 岡 閃 緑 岩 体(
中 村(1985)
新 称)
に よ っ て 大 畑 花 崗 岩 体 と 命 名 さ れ て い る が,
む し ろ 花 岡 閃 緑 岩 が 主 体 で,
花 崗 岩 は 少 量 で あ る の で,
こ こ で は 大 畑 花 岡 閃 緑 岩 体 と 呼 ぶ こ と と す る.
畑 付 近 で 東 西 約6 km,
南 北 約2km
神 崎町大
の 東 西 に 伸 び た岩 体
で,
生 野 層 群 の 火 山 碎 屑 岩 類 を 明 瞭 に 貫 く.
状
斑 状 の花崗 岩・ 花岡閃 緑岩 ・石 英 モ ンゾユ岩 か らな
る 累 帯 深 成 岩 体 を な し て い る(
中 村, 1985).
は 角 閃 石 と 黒 雲 母 を 主 と す る が,
花 岡閃 緑岩
ゾ ユ 岩 相 で は 輝 石 を と も な う こ と が あ る.
(1985)
中粒 で弱斑
有 色 鉱 物
石英 モ ン
な お,
中 村
に よ っ て チ タ ン鉄 鉱 系 の 岩 石 が 主 体 で あ る と 報
告 さ れ て い る が,
今回 記載 さ れた岩 石 は全て 相当量 の磁
第17図. 目 高 複合 岩 体 ・ 宇 根 複 合 岩 体 の 試 料 採 集 位 置.
鉄 鉱 を 含 み,
崖錐中の礫. 周囲から風化 が進 み, 玉 石状 に新 鮮 な部分
が残る. 新鮮な部分は灰 黒色で非常に硬い.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 斜長石・ 角閃石・斜 方輝 石・ 単斜輝 石・ 黒雲
母・ 石英・ カリ長石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
輝石・角閃石が斜長石を オフィティ ックに 包有 する. 輝
石の周囲やへき開 に沿った部 分は角閃石に置 き換えら れる.
また斜方輝石にはinverted pigeoniteが含 まれる. 間隙充
填状に石英・カリ長 石・ 黒雲母 が産 し, 石 英と カ リ長 石 は
一部文象組織を示 す.
D2011412 細粒角閃石黒雲母 花崗閃緑岩
佐用郡上月町目高( 第17図)
細粒で斜長石がやや斑状の見 かけ を呈 す る. 比 較的 均質
で暗色包有物 は見 られない. ここで は上月層 の 泥質岩 を貫
き, 熱変 成作用を与え ている.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 斜長 石・石英・ カリ長石・黒雲母・角閃石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
斑晶の斜長石は累帯 構造 が著しい が, コアの部 分 は絹雲
母化している. 石基 は他形粒状の 石英・ カ リ長石 ・斜 長石
からなり, 石 基の石英中 にポイキリデ ィッ クに拍 子木 状 の
斜長石が包有 される. 黒雲母 は赤褐色 で点 在 する. 角 閃石
は長柱状 で緑 泥石化 して いる.
7. 宇 根 複 合 岩 体( 新 称)
上 月町 宇根 か ら岡山県 作東 町蓮 花寺 にか けて の県境 付
近 に 分 布 す る 約1kmX500m
崗閃 緑岩
の 小 岩 体 で, 細 粒 で 斑 状 花
花 崗 閃 緑 斑 岩 か ら な る. 上 月 層 を 貫 く.
D2011413 角閃石 花崗閃緑斑岩
佐用郡上月 町宇 根( 第17図)
青灰 色の見 かけを呈し,2 3mm
の角閃 石 の斑晶 が顕
著である1
cm 前後 の優黒質の タロットが含まれる.
[顕微鏡記載]
主成 分鉱物: 斜長石・石英・カリ長石・角閃石
副成 分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
斑晶として斜長石・石英・角閃石を 有し, 拍子 木状 の斜
長石と粒状 の石英・ カリ長石が石基を 構成 す る. 斜長 石斑
晶は自形 で累帯構造 が著しい. 石英斑 晶 は球状 で, 石 基に
より融食 される. 角閃石 は緑褐色で自 形を 呈す る. ま た細
粒の角閃石 と斜長石 が集斑状を呈する部分がある.
D2000411
磁 鉄 鉱 系 に 属 す る。
中 粒 輝 石 角 閃 石 黒 雲 母 花 崗 閃 緑岩
神 崎 郡 神 崎 町 大 畑( 第18 図)
斜 長 石 ・ 石 英 が 斑 晶 を な す 斑 状 組 織 を 示 す. 全 体 に 青 灰
色 で, 時 々 径 数cm の 暗 色 包 有 物 を 含 む. こ の露 頭 で は ひ ん
岩 の岩 脈 が 花 崗 閃 緑 岩 を 貫 い て い る. 径2
3cm の暗 色 包 有
物 が ス ポ ット 状 に 入 っ て い る. カ リ長 石 が 桃
淡赤 紫色を
呈 す る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石・ カ リ 長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石 ・
単斜輝石
副 成 分 鉱 物: 磁 鉄 鉱 ・ チ タ ン 鉄鉱 ・ 燐灰 石 ・ ジ ル コ ン
角 閃 石 は半 自 形 で 淡 緑 色
淡 褐緑 色 を 呈 す る. 黒 雲 母 は
褐 色 で 鉄 鉱 を 密 接 に 伴 い, 多 く が タ ロ ッ ト を な す. 半 自 形
他 形 で 一 部 石 英 ・ カ リ 長 石 に対 し て間 隙 充 填 状 に 産 す る.
単 斜 輝 石 は角 閃 石 に 置 き 換 え ら れ る. 斜 長 石 は 顕 著 な 累 帯
構 造 を 示 し, 粒 状 の 輝 石 を 包 有 す る. 石 英 ・ カ リ 長 石 は 間
隙 充 填 状 に 産 す る.
D2000412
中 粒 角 閃 石 黒 雲 母 花 崗 閃 緑岩
多 可 郡 加 美 町 三 谷( 第18 図)
岩 体 の 主 体 を 占 め る 岩 相. こ こ で は 生 野 層 群 の 火 山 砕 屑
岩( 黒 色 部) を 貫 い て い る. 全 体 に 変 質 が 著 し く, 白 っ ぽ
い 見 か け を 呈 す る. 弱 斑 状で 一 部 微文 象 組 織 を な す.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 黒 雲 母・ 角 閃石 ・ 単 斜 輝 石 ・ 石 英 ・ 斜 長 石 ・
カリ長石
副 成 分 鉱 物: 磁 鉄 鉱・ チ タ ン 鉄鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジル コ ン
鏡 下 で 黒 雲 母 は半 自形 の短 柱 状 で 褐 色 を 呈 し, そ の多 く
は タロ ッ ト を な す. 角閃 石 は半 自 形 で 淡 緑 色 を 呈 す る. 輝
石 は 主 に 単 斜 輝 石 か ら なり, 一 部 斜 方 輝 石 を 包 有 す る.
D2011414
中 粒 黒雲 母 角 閃 石 花 崗 岩
神 崎 郡 神 崎 町 大 畑( 第18 図)
自 形 性 の良 い斜 長 石 と粒 状 の角 閃 石 が 目 立 つ 等 粒 状 の 岩
石. 風 化 し た 部 分 で は カ リ長 石 が 桃 色 を 示 す.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
副 成 分 鉱 物: 磁 鉄鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
や や 大型 の 斜長 石 とそ の間 を 埋 め る 石 英 ・ カ リ 長 石 か ら
な る. 石 英 と カ リ長 石 は文 象 組 織 を 示 す. 有 色 鉱 物 は 角 閃
石 が主 体 で少 量 の黒 雲 母 を 伴 う. 角 閃 石 は 褐 緑 色 自 形
半
自形 で コ ア に輝 石 か ら変 化 し たと 思 わ れ る 無 色 角 閃 石 を 含
む. 黒雲 母 は褐 色 で 角 閃 石 と タロ ッ ト を 形 成 す る ほ か, 間
隙充 填 状 に産 す る.
第18図. 大 畑 花 崗 閃 緑 岩 体 の試 料 採 集 位 置.
D2011415 中粒角閃石黒 雲母花崗閃緑 岩
神崎郡神 崎町大畑( 第18図)
中粒・均質 で, 有色鉱物 のタロットが多 い.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石・黒 雲母・ 角閃石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
斜長石 は自形・卓状で, 累帯構造 が著 し い. 石英 ・ カ リ
長石 は間隙充填状 に産 する. 角閃 石 は淡緑 色 青緑 色で 斜
長石を包有す る. 黒雲母 は褐色. また, 繊 維状 の無 色 淡
緑色角閃石と黒雲母及 び不透明鉱 物 がし ばしば 集合 して 産
す る.
D2011416 中粒輝石黒雲母花崗閃緑岩
神崎郡神崎町大畑( 第18図)
黒色の自形斜長石が目立つ. その ため全 体 に優黒 質 な見
かけを呈する. 比較的均質であ るが, 細 粒の有 色鉱 物 が集
合して5mm 程度の タロ ットを形成す ることがあ る.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カ リ長石 ・黒 雲母 ・角 閃石 ・
単斜輝石・斜方輝石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
有色鉱物は主に輝石と黒雲母で, 角閃 石 は少量 であ る.
単斜輝石と斜方輝石 はと もに1 2mm
の短柱 状結 晶か ら
なる. 黒雲母は褐色で輝石 の周囲を取 り 巻 くほ か, 間隙充
填状に産する. 角閃石 は緑色で単 斜輝 石を 置 き換え て産 す
るのみで, 単独で出現する こと はな い. 斜 長石 は自形 卓 状
で累帯構造が著しい. 石英とカ リ長石 は間隙充填状に 産し,
両者はしばしば文象組織を示す.
2.
寺 前 花 崗 閃 緑 岩 体( 新 称)
大 河 内 町 寺 前 付 近 に 分 布 す る 約2kmX3km
中
細 粒 の石 英 は ん れ い 岩
の小 岩 体.
花 崗 閃 緑 岩 か ら な る が, 詳
細 は 明 ら か で は な い.
D2011417 細粒輝石角閃石黒雲母石英はん れい岩
神崎郡大河内町鍛冶( 第19図)
斜長石がやや斑状の石英はんれい岩 で, 斜 長石 が黒 色を
呈するため, 全体が優黒質な見かけとなる.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カ リ長 石・ 黒 雲母・ 角閃 石・
単斜輝石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チ タン鉄鉱・燐灰石・ ジルコ ン
斜長石は自 半自形で累 帯構造が著 し い. 単斜 輝石 は斜
第19図. 寺 前 花 崗 閃緑 岩 体 の試 料 採 集 位 置.
長石とオフィティック組織を示 す. 一般に自形性が良 いが,
周縁部を角閃石に置き換えられること もあ る. 角 閃石 は淡
褐色 淡緑 色の他形 結晶で, 間隙充 填 的 に産す る. 黒 雲母
は赤褐色で角閃石とともに集合する. 石 英と 極少 量 のカ リ
長 石が間隙充填状に産する.
3. 波 賀 累 帯 深 成 岩 体( 田 結 庄, 1986)
波 賀 町 か ら 千 種 町 に か け て 東 西 約16km
に 及 ぶ が, 単
一 の 岩 体 で は な く, 東 岩 体, 西 岩 体 及 び 北 岩 体 の3 岩 体
か ら な る. こ の う ち 東 岩 体 が も っ と も古 く, 北 岩 体 が 最
も新 し い. 東 岩 体 と 西 岩 体 は い ず れ も磁 鉄 鉱 系 で, 岩 体
周 縁 部 が 花 崗 閃 緑 岩, 中 心 部 が ア ダ メ ロ 岩 の累 帯 深 成 岩
体 で あ る こ と か ら, 一 連 の マ グ マ 活 動 に よ っ て 形 成 さ れ
た と 考 え ら れ る. 一 方 北 岩 体 は ア プ ラ イ ト 質 花 崗 岩
文
象 斑 岩 で チ タ ン鉄 鉱 系 に 属 し, し か も 南 北 方 向 に 伸 長 し
て 西 岩 体 を 明 瞭 に貫 く こ と か ら, 東 及 び 西 岩 体 と は 別 の
活 動 と 考 え ら れ て い る( 田 結 庄, 1986).
な お西 岩 体 の
分 布 す る 千 種 町 ゼ は た た ら 遺 跡 や 鉄 穴 流 し 跡 が 残 さ れ,
本 岩体 の磁 鉄鉱 が山 砂鉄鉱 床 として 利用 さ れてい たこ と
が わ か る.
D2000413 中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
宍粟郡波賀町上野( 第20図)
暗色包有物を含むことが多く, 岩相 は変化 す る. ま た角
閃石 は黒雲母とと もに タロットをなすことが多 い.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石・ 黒雲母・ 角閃石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チ タン鉄鉱・燐 灰 石・ ジ ルコ ン・ チ
タン石・褐簾石
斜長石 は顕著な累帯構造をなす. 石英・ カ リ長 石 は他形
半自形で, 間隙充填状に産する. カ リ長石 の パー サイト
組織 は弱い. 有色鉱物 はタロットをな す こと が多 い. 黒雲
母 は淡褐色 黄色の白形を呈する. 角閃 石 は褐緑 色 緑 色
で弱い累帯構造をなす. 石英・カ リ長石 に対 して 間隙充 填
状 に褐簾石が見ら れる.
D2000414 細粒黒雲母角閃石花崗閃緑岩
宍粟郡波賀町水谷( 第20図)
カリ長石 が桃色 の細粒花崗閃緑岩で, 斜長 石が 粗粒 とな
る弱い斑状組織をなす. 舞鶴層群の泥 岩と 接触 し, そ の接
触面 はシャープで泥岩に著しい熱変成を与えている.
[顕 微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カ リ長石・黒雲母・ 角閃石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チ タン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
斜長石 は顕著なoscillatory zoning を示 す. ま た, 時
にpatchy zoning もみられ る. 石英 は半 自形 で, 部 分的
にカリ長石 と微文象組織をなす. カリ長 石 は半自形 他形
でパーサイト組織 は弱い. 黒雲母は褐 色 黄褐 色で, 角閃
石 とタロ ットをなす ことが多い. 角 閃石 は淡 緑色 淡 褐緑
色で, コア部 には輝石から変質し たと考 え られ るア クチ ノ
閃石質 角閃石が産する. 角閃石の容量 比 は, 黒雲 母よ り多
い.
D2000415 中粒斑状角閃石黒雲母花崗閃緑岩
宍粟郡波賀町上野( 第20図)
塊状・均質 の岩石で, 斜長石と角 閃石 の大 型結晶 が みら
れる. 角閃石 は黒雲母とと もに集合し て産 す る. 斜長 石が
黒色化 し, 全 体に黒 っぽい見かけを与える.
[顕微鏡記載]
主成 分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石・黒雲母・角閃石
副成 分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコ ン
斜長石・石英・ カリ長石 の斑晶を もっ 顕著 な斑 状組 織を
示す. 石 基部は石英 とカリ長石 のアプ ラ イト 組織 をな す ほ
か, 一部では微文象組織をなす. 斑晶斜長石はコ アでAn30
で, 顕著な累帯 構造を有 する. 石 基斜 長石 は短冊 状を 呈す
る. 石英 は融食を受けており, 斑 晶 カリ長 石は きわ めて弱
いパーサイト組織を もつ. 角閃石 は淡緑 色 青緑 色で 黒雲
母と集合して産する. 針状 の燐灰石が見ら れる.
D2000416 中粒角閃石 黒雲母石英閃緑岩
宍粟郡波賀町水谷( 第20図)
方状の節理が発達 する. 弱 い斑状 組織 を示 し, 捕獲 岩な
ど含まれず, 均質 な岩相であ る.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石・黒雲母・角閃石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコ ン
有色鉱物として角閃石 と黒雲母を含 む. 斜 長石 は自 形で
核部の絹雲母化作用 が顕著であ る. 石英 は他形 半 自形.
カリ長石は他形で粘土化 か著 しい.
D2000417 中粒角閃石黒雲 母石英閃緑岩
宍粟郡波賀町前地( 第20図)
細粒 中粒で, 有色鉱物 はタロ ットを なし てい る. 捕獲
岩などあまり含まれず均質であ る. 節 理 は細かい も のがよ
く発達している. アプ ライト 脈が入 っているのがみられる.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・ 斜長石・ カリ長石・黒雲母・角閃石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコ ン
斜長石が粗粒となる斑状組 織を なす. 斜 長石 はコ ア組成
がAn60 40 で, oscillatory zoning が 発達 する. 石 英 は
自形・粒状. カリ長石 は弱い パーサイト 組織を もっ. 黒雲
母は褐色 黄色で散点状 に産 する. 角 閃石 は淡緑 色 緑色
で, 弱い累帯 構造がみられる.
D2000418 中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
宍粟郡波賀町前地( 第20図)
角閃石・黒豊ほを含 み, 時々斜長石が弱い斑状を呈 する.
自形角閃石と, そのまわり に集合 す る黒雲 母に より クロ ッ
トが形成されている. 斜長石 が斑 晶状 とな る弱 い斑状 組織
第20図. 波賀累帯深成岩体 の試料採集位置
をなす.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石・黒雲母・ 角閃 石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰 石・ ジルコン
斜長石 は顕著なoscillatory zoningを なす. 石英 は半 自
形・粒状. カ リ長石 は弱い パーサイト 組織を 示 す. 黒雲 母
は褐色 黄褐色で角閃石 とタロット を なす こと が多 い. 角
閃石 は淡緑色 淡黄色で コア部 に アクチ ノ閃石 質 角閃石 が
みら れる.
4.
一 宮 花 崗 閃 緑 岩 体( 新 称)
大 河 内 町 西 部 か ら 波 賀 町 東 部 ま で, 一 宮 町 を 横 切 り 東
西 約13km,
南 北 約6km
の 範 囲 に 分 布 す る 岩 体 で, 生 野
層 群 及 び 舞 鶴 層 群 を 貫 く. 主 と し て 角 閃 石 黒 雲 母 花 崗 閃
緑 岩 か ら な る が, 岩 相 が 不 均 質 で 一 部 に 石 英 閃 緑 岩
石
英 は ん れ い 岩 相 もふ く ま れ る が, そ の 詳 し い 地 質 学 的 ・
岩 石 学 的 研 究 は な さ れ て い な い. 一 般 に 暗 色 包 有 物 に 富
む. 淡 紅 色 の 長 石 を 有 す る の を 特 徴 と す る. 有 色 鉱 物 と
し て は 黒 雲 母 ・ 角 閃 石 の ほ か, 単 斜 輝 石 ・ 斜 方 輝 石 を 含
み, ま た 磁 鉄 鉱 を 多 く 含 む. 有 色 鉱 物 は緑 泥 石 お よ び緑
簾 石 に 変 化 し た も の が 多 い.
D2011418
第21図. 一宮 花崗閃緑 岩体の試料採集位置(1).
中粒輝石角閃石石英 はん れい岩
宍粟郡一宮町坂の辻峠南( 第21図)
生野層郡の流紋デ イサイト質凝 灰岩 中に 貫入 す る小岩 体
で, 一宮岩体から派生した ものと考 え られ る. 優黒 質塊 状
で均質な岩相からな る.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石 ・黒 雲母 ・角 閃石 ・
単斜輝石・斜方輝石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
自形 半自形 の斜長石と オフィテ ィッ ク組織 を なす角 閃
石を主体とす る. 斜長石 の累帯構造 は顕 著で, 細粒 の輝 石
を包有することがあ る. 角閃石 は褐緑色 淡緑色を呈 す る.
輝石は角閃石に包有さ れること が多 い. また斜 方輝 石 の周
囲を単斜輝石が取り巻く産状 も見 られ る. 少量 の黒 雲母 が
間隙充填状また は角閃石 の周辺部 に見 られ る. 石英 は間 隙
充填状に産し, その石英と文象組 織を な して少 量 のカ リ長
石が産する.
D2011419 細粒輝石角閃石黒雲母花崗閃緑岩
神崎郡大河内町高倉( 第21図)
細粒緻密で全体が灰色 の見 かけを 示 す. アプ ラ イト脈 が
見ら れる.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石 ・√
黒 雲母 ・角 閃石 ・
単斜輝石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
全体的に は1mm 前後 の粒度 の斜長 石・ 石英 ・ カリ長 石
からな るが, 3 mm 程度 の大 きさ の斜 長石 の斑 晶 が見 られ
る.
D2000419 細粒輝石角閃石黒雲母花崗閃緑岩
宍粟郡波賀町谷( 第22図),
細粒 の角閃石黒雲母花崗閃緑岩であ る. ここでは径数cm
の暗色包有物を含む. また自形 の角閃石 が よく みら れる.
カリ長石 は淡紅色を示す.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石 ・黒 雲母 ・角 閃石・
単斜輝石
副 成 分 鉱 物: 磁 鉄 鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン ・ チ
タ ン石
一 部 微 文 象 組 織 を 呈 す る. 角 閃 石 は 緑 色 半 自 形
他形 で
黒 雲 母 と と もに 集 合 す る. ま た 角 閃 石 の コ ア に 単 斜 輝 石 が
レ リ ッ クと し て 残 る. 黒 雲 母 は 褐 色 の 自 形
半 自形を 呈 す
る.
D2000420
中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
宍 粟 郡一 宮 町 上 野 田( 第22 図)
やや青味を帯びた淡灰色を呈す る中粒 の 花崗 閃緑岩 か ら
な る. 径 数cm 以 内 の 暗 色 包 有 物 が よ く み ら れる. ま た 自 形
の 角 閃 石 が 発 達 し, そ の ま わ り に 黒 雲 母 が 集 合 を なす クロ ッ
ト が み ら れ る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ 長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石
副 成 分 鉱 物: 磁 鉄 鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
斜 長 石 は 顕 著 な 累 帯 構 造 を 呈 す る. An50
60
で, 核 部 が
絹 雲 母 化 し て い る. 石 英 お よ び カ リ長 石 は 他 形 粒 状. 角 閃
石 と 黒 雲 母 は 自 形 性 が 強 く 独 立 し て 産 す る ほ か,
を 形 成 す る こ と もあ る. 1
mm
タロ ット
前後 の 自形 の褐 簾石 が多 く
見 ら れ る.
D2011420
中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
宍 粟 郡 一 宮 町 梶 原( 第22 図)
岩 体 の 主 体 を な す 岩 相. 等 粒 状 で 有 色 鉱 物 は タ ロ ッ ト 状
に 産 し, カ リ 長 石 が や や 桃 色 を な す.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母 ・ 角 閃 石 ・
単斜輝石
副 成 分 鉱 物: 磁 鉄 鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ルコ ン
斜 長 石 は 自形 で累 帯 構 造 に 富 む. 石 英 お よ び カ リ長 石 は
間 隙 充 填 状 に 産 す る. 有 色 鉱 物 は 角 閃 石 と 黒 雲 母 を 主 と し,
タロ ット 状 に 集 合 し や す い. ま た 角 閃 石 の 核 部 に 単 斜 輝 石
ま た は 無 色 角 閃 石 が 包 有 さ れ る こ と が あ る.
5.
千 種 花 崗 閃 緑 岩 体(
新 称)
千 種 町 北 半 部 に 分 布 す る 岩 体 で,
本 岩 体 北 西 部 の鳥 取
第22図. 一 宮 花 崗閃 緑 岩 体 の試 料 採 集 位 置(2).
県 側 に 広 く 分 布 す る 沖 ノ 山 累 帯 深 成 岩 体(
田 結 庄,
1985) と 連 続 す る可 能 性 が あ る が, そ の詳 細 は 不 明 で あ
る. 中 粒 の 角 閃 石 黒 雲 母 花 崗 閃 緑 岩 か ら な り,
凵ま
`
しば
暗 色 包 有 物 を 含 み 岩 相 変 化 が み ら れ る. 角 閃 石 は黒 雲 母
と と も に タ ロ ッ ト を な す こ と が多 い. 一 般 に 等 粒 状 で あ
る が, や や 大 型 の 斜 長 石 が 斑 晶 状 を な す こ と もあ る.
D2000421 中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
宍粟郡千種町川井( 第23図)
暗色包有物を含み, 岩相変化がみら れる. 角閃石 は黒 雲
母とと もに タロ ットをなす. 斜長石 は乳白 色 で一部 斑晶 状
をなす. また弱い圧砕を受けている.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石・黒雲母・角閃石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チタン鉄鉱 ・燐 灰石 ・ ジル コン・ チ
タン石
鏡下で斜長石は半自形卓状を 呈し, コアでAn34 44, リ
ムでAn22 28 の累 帯構造を 有する. 石英 は他形粒状で, 一
部集合状をなす. カリ長 石はパーサ イト構 造が よく 発達 し
ている. 角閃石は自形 で緑 色 濃緑色 のZ軸色を もち, 周囲
に黒雲母を密接に伴う. 黒雲母 は1 3mm
大 の半 自形 結
晶である.
D2000422 粗粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
宍粟郡千種町宝の木( 第23図)
千種岩体のうちやや有色鉱物 が多 い部 分で, 暗色 包有物
に富む. また一部で大型 斜長石 が斑 晶と な る. 角閃石 が や
や配列している.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石・黒雲母・角閃石
副成 分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
斜長石は短 柱状. コ アでAn30 40, リ ムでAn22 30 の
顕著な累帯 構造をな す. 石英 は粒状. カリ長 石 はパ ーサ イ
ト が顕 著で, 一部斜長石を ポイキリディ ッ クに包有 す る.
角閃石は緑色の柱状結晶で, 弱い累帯 構造 を有 す る. 黒雲
母は褐色半 自形 で, 角閃石とと もに タロット を なすこ とが
多 い.
但馬 南部地 域
1. 和 田 山 花 崗 岩 体( 石 原 ほ か, 1981)
和 田 山 花 崗 岩 は和 田 山 町 を 中 心 に, 東 西19km,
南 北1
1km の 範 囲 に 広 が る バ ソ リ ス 状 の 岩 体 で, 優 白 質 な 花 崗
岩 か ら な る. 主 に 中 粒 黒 雲 母 花 崗 岩 か ら な り, 角 閃 石 黒
雲 母 花 崗 岩 ・ 細 粒 黒 雲 母 花 崗 岩 を 伴 う. 一 般 に 岩 相 は均
質 で, 捕 獲 岩 や 暗 色 包 有 物 な ど は少 な い. 一 部 変 質 作 用
が 顕 著 で あ る. 79.3Ma
原 ほ か, 1988).
のK-Ar 年 代 が 得 ら れ て い る( 石
ま た 磁 鉄 鉱 は 含 ま れ な い か, 含 ま れ て
も 少 量 で, チ タ ン鉄 鉱 系 に 属 す る( 石 原 ほ か, 1981).
D2000430 中粒角閃石黒雲母花崗岩
養父郡和田山町和田山( 第24図)
中粒 の花崗岩でカリ長石が桃色を な す. 岩 相は均 質で あ
る. カ リ長石と斜長石がやや斑晶状 に大 き くな る. また カ
リ長石と石英の文象組織が肉眼で見られる.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長 石・ カリ長石・黒雲母・角閃石
副成分鉱物: チタン鉄鉱・燐灰 石・ ジルコン
第23 図. 千 種 花 崗 閃 緑 岩 体 の 試 料 採 集 位 置.
斜 長 石 は累 帯 構 造 を 示 し, コ ア 部 は 亜 灰 長 石 の こ と が あ
る. ま た斑 晶 状 に やや 大 き く な る こ と が あ る. 石 英 は 清 明
で 時 に カ リ長 石 と文 象 組 織 を 示 す. カ リ 長 石 は 微 弱 な ペ ル
ら, 石 原 ほ か(1981)
ト 石 構 造 を 示 す. 黒 雲 母 は 褐緑 色
系 の 和 田 山 花 崗 岩 と一 連 の も の と し て い る が, 付 近 に 磁
淡 黄 色で ジ ルコ ンをあ
ま り 含 ま な い. 堯 曲 し, あ るい は緑 泥 石 に 変 化 し,
また角
閃 石 中 に 不 規 則 な 鉱 物 片 と し て 見 ら れ る こ と が あ る.
石は淡緑色
角閃
帯 褐 淡 黄 色 で, 不 規 則 で 凹 凸 に 富 ん だ 輪 郭 を
有 し, し ば し ば 双 晶 を 示 す.
D2000431
中粒黒雲母花崗岩
養 父 郡 和 田 山 町 岡( 第24 図)
全 体 に 風 化 が 著 し く, 長 石 類 の多 く は 粘 土 化 し て い る こ
と が多 い.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母
副 成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン
鏡 下 で は, 斜 長 石 は 弱 い 累 帯 構 造 を 示 す. 石 英 は清 明 で,
時 に 文 象 組 織 を示 す. カ リ 長 石 は 格 子 状 構 造 を 有 し, 幅 広
い パ ー サ イ ト が 発 達 す る. 半 自 形 で 針 状 の 黒 雲 母 が 点 在 す
る. 黒 雲 母 は 褐 色
2.
引 原 花 崗 岩(
淡 黄 色 で ジル コ ンを あ ま り 含 ま な い.
新 称)
波 賀 町 北 部 の 音 水 湖 付 近 に 花 崗 岩 の小 岩 体 が い くっ か
見 ら れ る.
こ れ ら を 引 原 花 崗 岩 と 呼 ぶ.
細 粒 の 黒 雲 母 花 崗 岩 を 主 と し,
を 呈 す る.
貫 く.
わ り, 長 石 は粘 土 化 し て い る. 引 原 コ ー ル ド ロ ン の 中 央
深 成 岩 体 で あ る 可 能 性 が あ る. 磁 鉄 鉱 を 含 ま な い こ と か
引 原花 崗岩 は中
は引 原花 崗岩 を同 じ くチ タ ン鉄鉱
鉄 鉱 に 富 む 花 崗 岩 も あ り, 詳 細 は 不 明 で あ る.
D2000423 中粒黒雲母花崗岩
宍粟郡波賀町引原( 第25図)
カリ長石が桃色をなす黒雲母花崗岩 で, 石 英 と斜長 石 が
やや大きく, 斑状を呈する. 全体に岩 相 は均質 であ る が,
断層による圧砕作用や変質作用( 熱水作用による) を受 け,
カ リ長石のピ ンク色と, 変質した有色鉱物がよくわかる.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石・黒雲母
副成分鉱物: チ タン鉄鉱・燐灰石・ジ ルコ ン
鏡下で, 斜長石は半自形で, 弱い累 帯構 造 がみ られ る.
核部は, 絹雲母に変 化していること が多 い. カ リ長石 は半
自形で, パーサイトが認められるが, 粘土 化 して い るこ と
が多 い. 石英 は丸い外形で新鮮. 黒 雲母 の多 く は熱水 変質
のため, 緑泥石に変 化していることが多 い.
D2000424 黒雲母文象斑岩
宍粟郡波賀町日ノ原( 第25図)
露 頭に面して左 側の優白色の花崗岩 が, 右 側 の暗褐 色 の
均 質 で カ リ長 石 が 桃 色
引 原 コ ー ル ド ロ ンを 構 成 す る 火 山 砕 屑 岩 類 を
全 体 に 変 質 が 著 し く,
黒 雲 母 は緑 色 の 緑 泥 石 に 変
第24 図. 和 田 山 花 崗 岩 体 の試 料 採 集 位 置.
第25 図. 引 原 花 崗 岩 の 試 料 採 集 位 置.
安 山 岩 脈 に貫 か れ る. な お, こ の 花 崗 岩 は 下 位 の 流 紋 岩 質
凝 灰 岩 を 貫 く.
豊 岡 市 東 部,
出 石 町 北 東 部 か ら 京 都 府 宮 津 市 に 至 る丹
後 山 地 を 構 成 す る,
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母
副 成 分 鉱 物: チ タ ン 鉄 鉱・ 燐 灰 石・ ジ ル コ ン・ 褐 簾 石
斑 晶 と し て 斜 長 石 と 石英 が 見 ら れ る. 斜 長 石 は 自 形 で 累
帯 構 造 が 弱 く, 絹 雲 母 化 し て い る. 石 英 の 周 辺 部 は カ リ長
石 と 連 晶 す る. 石 基 は 石英 と カ リ 長 石 の 顕 著 な 文 象 組 織 か
東 西30km,
南 北30km
以 上 に及 ぶ大
規 模 な バ ソ リ ス 状 岩 体 を 形 成 し て い る.
粗粒 で優 白色 の
黒 雲 母 花 崗 岩 を 主 体 と し,
鳥 取 県, 1961)
と 似 て い る が,
鳥 取 花 崗 岩(
石英 閃緑 岩
ラ イ ト 質 な 岩 相 も 伴 い,
花 岡 閃 緑 岩 質 な 岩 相 や アプ
全 体 が 単 一 の 岩 体 で は な く,
く つ か の 岩 体 か ら な っ て い る 可 能 性 が あ る.
い
岩 体 内 の各
らな る. 黒 雲 母 は 石 基 に 針 状 の 結 晶 と し て 産 す る が, そ の
多 く は緑 泥 石 化 し て い る. 全 体 に 変 質 に よ る 緑 泥 石 ・ 緑 簾
Ar 年 代 が 得 ら れ て い る(
石 が 多 く 見 ら れ る.
3.
熱 田 花 崗 岩 体(
延 長200m
程 度 の 狭 い 範 囲 に 露 出 す る.
黒 雲 母 花 崗 岩 を 主 と す る が,
一 般 に 変 質 が 進 み,
物 は 緑 泥 石 化 し て い る こ と が 多 い.
い が,
中 粒
有 色鉱
露 頭 の 分 布 範 囲 は狭
矢田 川沿 い の各地 で照来 層群 の凝 灰角 礫岩 や貫入
と,
か ら45Ma
ま で の 幅 広 いK-
河 野 ・ 植 田, 1966).
す 粗 粒 黒 雲 母 花 崗 岩 で は,
新 称)
美方 町熱 田 の沢沿 いに北 但層 群及 び照来 層群 に不 整合
に 覆 わ れ,
地 で 年 代 測 定 が 行 わ れ, 68Ma
主 体 を な
カ リ長 石 が 淡 い 桃 色 を な す こ
石 英 が 丸 み を 帯 び て い る こ と が 特 徴 と な る.
鉄 チタ
ン 鉱 物 と し て 磁 鉄 鉱 ・チ タ ン 鉄 鉱 を 含 む.
D2000425
粗粒黒雲母花崗岩
出石 郡 但 東 町 唐 川( 第27 図)
大 き な石 切 場 の露 頭. 岩 相 は 均 質 で 包 有 物 や 岩 脈 な ど は
み ら れ ない. カ リ長 石 が 桃 色 が か り, 黒 雲 母 は や や 緑 色 が
角 礫 岩 中 に 礫 と し て 産 す る こ と か ら,
この付近 で は照来
層 群 の 下 位 に 広 が っ て 分 布 し て い る と 予 想 さ れ る.
明 鉱 物 に 乏 し く,
D2011421
不透
磁 鉄 鉱 は 見 ら れ な い。
中粒黒雲母花崗岩
前後 のカ リ長 石 の 巨 晶 が 認 め ら れ る.
副成 分 鉱物: 磁鉄 鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン・ チ
タ ン石
の 滝 を形 成 し てい る.
斜長 石 は累 帯 構 造 が 弱 い. 黒 雲 母 は 褐 色 で 単 独 で 産 す る.
[顕 微鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ 長 石・ 黒 雲 母
副成 分 鉱 物: チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石・ ジ ル コ ン
半 自 形 で 絹 雲 母 化 か 進 み, 累 帯 構造 は はっ
きり し ない. 石 英 ・ カ リ長 石 は 文 象 組 織 を 示 す. 黒 雲 母 は
緑
長 径2cm
主 成 分 鉱物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母
川 底 に連 続 し て 露 出 し, 北 但 層 群 に 不 整 合 に 覆 わ れ る.
斜 長 石 は自 形
自形 で丸 味をお び
て い る. ま た水 平 方 向 の 節 理 が よ く 発 達 し て い る. 肉 眼 で
[ 顕 微 鏡記 載]
美 方 郡 美 方 町 熱 田( 第26 図)
方 状 の節 理 が発 達 し, 高 さ 約2m
か っ た 色を 呈 し て い る. 石 英 は半 自 形
褐緑 色 で 自 形 の もの と, 石 英 ・ 斜 長 石 に 対 し て 間 隙 充
填 状 に産 す る もの と が あ る. 多 く が 緑 泥石 化 し て い る.
カ リ 長 石 は他 形 で 斜 長 石 を 包 有 す る. 石 英 は 間 隙 充 填 状 に
産 す る.
D2000426
粗 粒角 閃 石 黒 雲 母 花 崗 岩
出 石 郡 出 石町 奥矢 根( 第27 図)
カ リ 長石 ・ 石 英 が1
2cm
に 成 長 し た 粗 粒・ 塊 状 の 花 崗
岩 か ら な る. カ リ長 石 が 桃 色 を な し, 風 化 が 著 し い. 石 英
は 丸 味 を お び た形 を な し, 斜 長 石 は乳 白 色 を 示 す. 有 色 鉱
物 は タ ロ ット 状 に産 す る. ま た径5cm
但馬北 部地 域
1.
宮 津花 崗岩 体
前後の暗色包有物 が
含 ま れ る.
[顕 微 鏡 記載]
主 成 分 鉱物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母・ 角 閃石
副 成 分 鉱物: 磁鉄 鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン・ チ
タ ン石 ・ 褐 簾 石
斜 長 石 は半 自 形 で 弱 い 累 帯 構 造 が み ら れ る.
またコ ア部
は 絹 雲 母化 し て い る こと が 多 い. カ リ 長 石 は 大 型 で 顕 著 な
パ ー サ イト 組 織 が み ら れ, 斜 長 石 を ポ イ キ リ デ ィ ッ ク に 包
有 す る こ と が多 い. 石 英 は粒 状 で 一
一部 集 斑 状 を な す. 黒 雲
母 は 褐 色種 で 一 部 タロ ット を な す. 角 閃 石 は 緑 色 で 自 形
半 自形 を 呈 す る.
D2000427
粗 粒角 閃 石 黒 雲 母 花 崗 岩
出 石 郡但 東町 正 法 寺( 第27 図)
塊 状で カ リ長 石 が や や 斑 状 を な す. 捕 獲 岩 や 岩 脈 な ど な
く, 均 質 な岩 相 を 示 し て い る. 石 英 が 丸 味 を お び, 有 色 鉱
物 は タ ロ ット 状 に産 す る.
[ 顕 微鏡 記 載]
主 成 分鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ 長 石 ・ 黒 雲 母・ 角 閃石
副成 分鉱 物: 磁鉄 鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン・ チ
タ ン石 ・ 褐 簾 石
鏡 下 で, 斜 長 石 は 灰 曹 長 石 で 累 帯 構 造 を 示 さ な い. 一 部
絹雲 母 に交 代 さ れて い る. 石 英 は 波 動 消 光 を 示 し, 縁 辺 部
は細 粒 化 し て い る. カ リ長 石 は 微 斜 長 石 構 造 を 有 し,
第26 図. 熱 田 花 崗 岩 体 の 試 料 採 集 位 置.
パー
サ イト が発 達 す る. 黒 雲 母 は濃 褐 色 で 自 形 を 呈 す る. 角 閃
第27図. 宮津花崗岩体の試料採集位置(1).
石は淡緑 色 青緑色の自形結晶で, 細 粒の黒 雲母 に 置き換
えられることがある.
D2000428 粗粒黒雲母花崗岩
豊岡市下宮( 第28図)
カリ長石が淡桃色をなす塊状の花 崗岩 であ る. 捕獲 岩 も
含まず, 岩相がきわめて均質である. 石英は丸味をお びる.
黒雲母が散点 状に産する.
[顕 微鏡記載]
主 成分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石・黒雲母
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チフ
タ ン鉄鉱・ 燐灰 石・ ジル コン・ チ
タン石・褐簾石
斜長石は半自形で累帯構造 はあま り発 達せ ず, コア部 は
絹雲母化している. カ リ長石のパ ー サイト 組織 が著 しく 発
達している. 石英は半自形粒状. 黒雲 母 は褐色 ・半 自形 で
散点 状に産する.
D2000429 粗粒黒雲母花崗岩 プ
豊岡市法花寺( 第28図)
水平 の節理がよく発達 して いる. 桃色 のカ リ長 石と 丸 味
を おびた石英 が特徴で ある.
[顕 微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石・黒 雲母
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱 ・燐 灰 石・ ジ ルコ ン・ チ
タン石・ 褐簾石
カリ長石・石英 に富 み斜長 石は少 な い. 斜 長石 は半 自形
で累帯 構造の発達 は弱い. カリ長石 は格子 状構 造を 有 し,
幅の広いパーサイト が発達 する. 石英 は粒 状で 半自 形. 黒
雲母は褐色種で卓 板がよく発達する. 黒 雲母 ・磁 鉄鉱 ・ チ
タン鉄鉱・ チタン石のタロットが見られる.
2.
竹 野 花 崗 岩 体( 新 称)
竹 野 花 崗 岩 体 は 竹 野 町 か ら香 住 町 に か け て 分 布 し, 主
と して中 粒で カ リ長石 が桃 色を な す黒雲 母 花崗 岩か ら な
り, 一 部 に 角 閃 石 を 含 む. ま た 細 粒 の 花 崗 岩 も伴 わ れ るよ
岩 相 は均 質 で 捕 獲 岩 な ど は ほ と ん ど 見 ら れ な い. 新 第 三
第28図. 宮 津 花 崗岩 体 の試 料 採 集 位 置(2).
紀 の 北 但 層 群 に 覆 わ れ る た め実 際 の 岩 体 の 広 が り は 不 明
布 す る. 細 粒
で あ る が, 少 な く と も10kmX8km
雲 母 花 崗 閃 緑 岩 か ら な る が, 両 者 の 関 係 は不 明 で あ る.
以 上 の 広 が りを 持 つ
中粒 の黒 雲母 花崗 岩及 び中粒 の角 閃石 黒
バ ソ リ ス状 岩 体 で, 東 方 の 宮 津 花 崗 岩 体 と 連 続 す る 可 能
ま た ア プ ラ イ ト 質 花 崗 岩 を 伴 う. 均 質 ・ 塊 状 で 暗 色 包 有
性 もあ る.
物 に 乏 し い. 節 理 面 に 沿 っ て ア プ ラ イ ト の 脈 が 見 ら れ る
D2000434 中粒斑状角閃石黒雲母花崗岩
城崎郡竹野町西町( 第29図)
1cm 前後の斑晶状の桃色カリ長石を含 む花崗岩 であ る.
岩相は均質で包有物などはほとんど見 ら れない. 黒 雲母 は
全体に散らばって産する. なお, こ の露 頭で は黒色 の安 山
岩脈が見られる.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石・黒雲母・ 角閃石
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チ タン鉄鉱・燐 灰石 ・ ジル コ ン・ チ
タン石・ 褐簾石
鏡下でみると, 珪長鉱物の量は3 者ともほぼ等量で あ る.
カリ長石は格子状構造を有し, パー サイト が発達 す る. 斜
長石は累帯構造が発達せず, コア部が 絹雲 母化 して いる.
黒雲母は褐色で一部緑泥石化してい る. 角閃 石は緑 色で 周
囲を黒雲母に置き換えられる.
D2000435 中粒黒雲母花崗岩
城崎郡竹野町西町( 第29図)
中粒塊状の黒雲母花崗岩である. 捕獲 岩 などな く, 岩 相
は均質である. カリ長石が顕著な桃色を な し, 黒雲 母 の緑
泥石化がみられる. 斜長石は乳白色を呈 し, 石 英 は丸味 を
おびているのがよくわかる. 節理は 細か い ものがよ く発 達
している. 一 部アプライト質 な部分 があ る.
[顕微鏡記載]
主成分鉱物: 石英・斜長石・ カリ長石・黒雲母
副成分鉱物: 磁鉄鉱・チ タン鉄鉱・燐灰石・ ジルコン
カ リ長石・石英に富み斜長石に乏 し い. 斜長 石 は半 白形
で累帯構造はみられない. カリ長 石 は半自 形で パ ーサ イト
組織がよく発達する. 石英 は粒状 で 縫合状 に他 鉱物 と接 す
る. 黒雲母は少量で散点状 に産する.
こ と が あ る. 一 般 に 風 化 作 用 が 顕 著 で 真 砂 化 し, 新 鮮 な
岩 石 は玉 石 状 に 残 っ て い る の み で あ る.
D2000432 中粒黒雲母花崗岩
美方 郡香住町長井( 第30図)
この露 頭では小断層 があり, そ の付近 が風化 して い る.
黒雲母は少 なく, 緑泥石に変質してい る.
[顕 微鏡記載]
主 成分鉱物: 石英・斜長石・カ リ長石・黒雲母
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタン鉄鉱・ 燐灰 石・ ジルコ ン・ チ
タン石
斜長石は半自形で, 絹雲母化作用が顕著である. AnlO
20. カリ長石 は半自形 他形で, 弱い パ ーサイト 組織 をな
す. 粘土化 か著 しい. 石英 は半自形・ 粒状 で, 一 部集 斑状
を なす. 黒雲母 は全体に変質が著しく, 緑泥石化が著し い。
D2000433 粗粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩
美方 郡香住町中野( 第30図)
風化作用 が顕著で真砂化し, 玉石 状 に新鮮 な岩 石が残 っ
ている. カリ長石がピ ンク色をなして いる. 黒 雲母 は, 卓
板 が発達 してい る.
3. 矢 田 川 花 崗 岩( 新 称)
矢 田 川 層 群 の 火 山 砕 屑 岩 類 を 貫 い て, 矢 田 川 沿 い に 分
第29図. 竹野花崗岩体の試料採集位置.
第30 図. 矢 田 川 花 崗 岩 体 の 試料 採 集 位 置.
第31図. 浜 坂 花 崗 岩 体 の 試 料 採 集 位 置.
主 成分鉱物: 石英・ 斜長石・カリ長石・黒雲母
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石 ・ 黒 雲 母
副 成 分 鉱 物: 磁 鉄 鉱 ・ チ タ ン鉄 鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン・ チ
タ ン石
斜 長 石 は半 自 形 で, 弱 い 累 帯 構 造 が み ら れ る.
絹 雲 母 化 作 用 が 著 し い. カ リ長 石 は 半 自 形
コア部 は
他 形で パ ーサ
イト 組 織 が み ら れ る. 石 英 は半 自 形 粒 状. 黒 雲 母 は 卓 板 状
で あ る. 角 閃 石 は半 自 形
自 形. 緑 色 で,
双晶 を なす こと
が 多 い.
4.
浜 坂 花 崗 岩 体(
新 称)
浜 坂 町 か ら 鳥 取 県 境 付 近 に 分 布 す る.
中 粒 で 塊 状 の黒
雲 母 花 崗 岩 か ら な り, 均 質 で 岩 相 変 化 に 乏 し ぐ カ リ 長 石
が 淡 紅 色 を 呈 す る な ど,
鳥 取 花 崗 岩 に 似 る.
イ ト 質 の 花 崗 岩 が 貫 く.
暗色 包有 物 は ほとん どみ ら れな
い.
節 理 は 一 般 に よ く 発 達 し て お り,
進 ん で い る.
節 理面 か ら風化 が
岩 体 の 西 部 で は 鉛 山 迸 入 岩 類(
1979 ; 飯 泉 ほ か, 1985)
ま たアプ ラ
笹 田 ほ か,
に 属 す る文 象 斑 岩 に貫 か れ る
( 田 結 庄, 1985).
D2000436
中 粒 黒 雲 母 花 崗岩
美 方 郡 浜 坂 町 居 組( 第31 図)
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チタ ン鉄鉱・燐灰石・ ジルコ ン
自形 半自形の斜長 石と石英の間を, 間隙 充填 状 にカ リ
長石が埋める. 斜長石は自形 に近く, い ずれ も汚濁 し, ま
た均質に散在しないで, いくつかが集 ま る傾向 があ る. 石
英は波動消光が顕著である. 黒雲母 は針状 で, ほと んど の
ものが緑泥石化されている.
D2000438 中粒黒雲母花崗岩
美方郡浜坂町居組( 第31図)
優白質・均質で一 部アプ ライト質 とな って いる. 板状 の
細かい節理が発達していることが多 い. 斜長 石・ 石英 が 少
し大きくなり, 弱い斑状をなしてい る. 有 色鉱物 は黒雲 母
であるが, 緑泥石化している. 晶洞が見ら れる.
[顕微鏡記載]
主 成分鉱物: 石英・斜長石・カリ長石・黒雲母
副成分鉱物: 磁鉄鉱・ チ タン鉄鉱・燐灰石・ ジルコ ン
等粒状組織をなす. 斜長石 は半 自形 で弱 い累帯 構 造 がみ
ら れる. An20 30. カリ長石 はパーサイト組織が顕 著に 発
達している. またカリ長石とカリ 長石 の粒 界に 曹長 石 が見
ら れる. 石英 は半自形粒状で一部集 斑状 を呈 す る. 黒雲 母
は比較的大きく, 褐色・半自形で一 部 タロ ット をな す場 合
がある.
カ リ長 石 及 び 球状 の石 英 が や や大 型 で 斑 状 を 呈 す る. 全
体 に 岩 相 は均 質 で, 暗色 包 有 物 は ほ と ん ど み ら れ な い. 節
理 はよ く発 達 し てお り, 節 理 面 か ら 風化 が 進 ん で い る.
[顕 微 鏡 記 載]
主 成 分 鉱 物: 石 英 ・ 斜 長 石 ・ カ リ長 石・ 黒 雲 母
副 成 分 鉱 物: 磁鉄 鉱 ・ チ タ ン 鉄鉱 ・ 燐 灰 石 ・ ジ ル コ ン・ チ
タ ン石
斜 長 石 は弱 い累 帯 構造 を 示 し, 二 次 的 に 絹 雲 母 な ど の 粘
土 鉱 物 に分 解 し て い る. カ リ長 石 は 格 子 状 構 造を 有し, パ ー
サ イト が発 達 す る. 黒 雲 母 は 褐色 で 自 形 を 呈 す る. し ば し
考
察
Ishihara(1971,1977) 以 来, 西 南 囗 本 の 白 亜 紀
古第
三 紀 火 成 岩 類 の う ち, 山 陰 帯 の 花 崗 岩 類 は 磁 鉄 鉱 系 に 属
し, 山 陽 ・ 領 家 帯 の 花 崗 岩 類 は チ タ ン 鉄 鉱 系 に 属 す る も
の と さ れ て き た. さ ら に, 大 き な 帯 状 区 分 だ け で な く,
そ れ ぞ れ の岩 石 が 磁 鉄 鉱 系 に 属 す る か チ タ ン鉄 鉱 系 に 属
ば 細 粒 の黒 雲 母 ・ 斜 長 石 ・ 石 英 ・ チ タ ン石 が 集 合 し て 産 す
す る か は, 単 に 記 載 的 な 意 味 に と ど ま ら ず, そ の 成 因 論
る.
上 の 意 義 も大 き い と 考 え ら れ る. 兵 庫 県 下 の 白 亜 紀
D2000437
中 粒 黒 雲 母 花 崗岩
美 方 郡 浜 坂 町 居 組( 第31 図)
カ リ長 石 が 桃 色を な し, 石英 は 丸 味 を お び た 自形 を な す.
黒 雲 母 は一 部 が緑 泥 石 に変 化 し て い る. 節 理 が よ く 発 達 し
て い る.
[顕 微鏡 記 載]
古
第 三 紀 深 成 岩 類 は, そ の 岩 相 に 着 目 す る と, 粗 粒 で 優 白
質 な花 崗岩 を主 体 とす る岩体 と中 粒
細粒 で花 崗閃 緑岩
を 主 と す る 岩 体 と に 区 分 さ れ る. 前 者 は 一 般 に 岩 相変 化
に 乏 し く, し ば し ば バ ソ リ ス 規 模 の 岩 体 を 形 成 す る. 一
方 後 者 は花 崗 岩 ・ 花 崗 閃 緑 岩 ・ 石 英 モ ン ソ 閃 緑 岩 ・ ト ー
ナ ル岩 ・ 石 英 は ん れ い 岩 な ど 岩 相 変 化 に 富 み, し ば 凵1
一 部 にinverted pigeoniteが含 まれ ること や, 輝 石 ホル
累 帯 深 成 岩 体 を な す ス ト ッ ク 状 岩 体 で あ る. こ の こ と に
ンフ ェ ルス相 の接触変 成作 用 が見 られ る( 猪木・弘原海,
磁 鉄 鉱 の 有 無 や 既 存 の 放 射 年 代 値 な ど を 加 味 し, そ の 分
1980) な ど, 他 の帯 に は見 られな い特 徴が あ る.72
74
布 状 況 を 見 る と, 兵 庫 県 下 の 深 成 岩 類 は 南 か ら 北 へ, 以
Ma のK-Ar 年 代が 得 られてい る. 同様 の岩 体 は本地 域以
下 の6 帯 に 分 け ら れ る( 第32 図).
西 に も点 在 し, そ のうち岡山県 の妙見山岩体( 白川1975 ;
山 陰 帯 と の 対 応 で は,I
従来の領家・山陽・
帯 が 領 家 帯,H
・ Ⅲ帯 が山 陽 帯,
IV ・V ・VI 帯 が 山 陰 帯 に 相 当 す る.
浅 見・濡 木,1978 ; Takagi and Nureki, 1994), 広 島 県
の久 代岩 体( 沼野,1978) な ど で 詳 し い 研 究 が な さ れ,
い ず れも山陽帯 にあり なが ら磁 鉄鉱を 含 み, 輝石 ホル ン
│帯
フ ェ ルス相 の接触変 成作 用を 与え てい るな ど, 共 通 した
淡路 島
六 甲 山 地 南 部 で, 領 家 深 成 岩 類 か ら な る. 中
粗粒 で面 構造 の発達 し た花岡 閃緑 岩
ト ー ナ ル岩 質 を
特 徴を持 って い る. こ れら の スト ック状岩 体の地 質的 位
置付 け は, 今後 の重 要な 課題 の一つ と なるで あろ う.
主 と す る が, 最 新 期 の も の に は 塊 状 で 細 粒 の 花 崗 岩 もあ
る. い ず れ の 岩 石 も 鉄 チ タ ン鉱 物 に 非 常 に 乏 し く, 含 ま
れ た と し て も チ タ ン 鉄 鉱 の み で あ る. こ の こ と は 従 来 知
IV帯
播磨北 部地 域 に当 たり, 千 種・ 波賀 ・一宮 など, 主 体
ら れて い る 領 家 花 崗 岩 類 の 性 質 と一 致 す る. た だ し, 八
は中 粒角閃 石黒 雲母 花岡 閃緑 岩
幡 谷 花 崗 岩 で は 少 量 の 磁 鉄 鉱 が 含 ま れ る. 領 家 深 成 岩 類
体で, い ず れも磁 鉄鉱を多 く含む 典型的 な山 陰帯 の深成
に つ い て は 淡 路 島 の も の が 最 も よ く 研 究 さ れ て い る が,
岩 の特徴を もつ. 播 磨中 部 のも のとく らべて 粒度 が上 が
岩 体区 分 や相互 関係 につ いて は研究 者 の間で 意見 の一致
り, 露 頭 規模 で は均 質で あ る. ただし大 畑・ 寺前 岩体で
ト ーナ ル岩 か らな る岩
を 見 て い な い( 中 島 ほ か,1985, 1986 ; 水 野 ほ か,1990 ; 高
は細粒で, 播 磨巾部 地域 の岩 石と 似 た岩相を 呈 する. ま
橋 ほか,1992).
た大畑 岩 体で は磁鉄 鉱 に乏し い岩 相 もあ る とさ れてい る
(中 村, 1985). 波 賀 花岡閃 緑岩 体 につ い て, 66Ma
のK-
Ar 年代 が得 ら れてい る( 柴 田, 1979). この年 代 値 は中
││帯
六 甲 山 地 北 部 と 播 磨 南 部 地 域 を 含 む 地 帯 で, バ ソ リ ス
状 の 花 崗 岩 類 か ら な る. 中
粗 粒 の角閃石 黒雲 母花 崗岩
国 地方 山陰 帯 の花岡 閃緑 岩類 で得 ら れて い る一 般的なKAr 年 代値 と一
一致 する.
黒 雲 母 花 崗 岩 か ら な り, カ リ 長 石 が 淡 桃 色 を 呈 す る.
こ れ ら の 岩 体 は81
72Ma
の 白 亜 紀 末 のK-Ar 年 代 値 を 示
し, 中 国 地 方 の 広 島 花 崗 岩 に 対 比 さ れ て い る. こ れ ら の
V帯
但馬 南 部地 域に当 たり, 優 白質 な中
粗粒 花崗 岩か ら
花 崗 岩 は 一 般 に チ タ ン 鉄 鉱 系 に 属 す る が, 中 家 ・ 中 島
な る. 山陰 帯 の岩石 は一般 に 磁鉄鉱系 に属するのに対し,
(1989)
こ の地 域 の和田 山・ 引原・ 熱 田花 崗岩 は例外的 に チ タン
は六甲 花崗岩 の一 部 につ い て帯 磁率 の測 定 を 行
い, 鶴 甲
住吉川 付近 の六 甲花 崗岩 に磁鉄 鉱 が含 まれ る
鉄鉱系 に 属す る. 山 陰帯 のな かで 千 タン鉄鉱系 に 属す る
こ と を 示 し た. 今 回 記 載 し た 六 甲 花 崗 岩 も 鶴 甲 周 辺 の も
岩体 に は鳥 取県 東部
の が 多 く, 少 量 の 磁 鉄 鉱 を 含 ん で い る. 同 様 に 播 磨 南 部
崗岩(山 田,1961 ;先 山,1985)があり, 山 陽帯 の 花 崗岩 の
地 域 の 相 生 ・ 赤 穂 岩 体 の 花 崗 岩 に も少 量 の 磁 鉄 鉱 が 含 ま
活 動 が山陰帯 にも及 んだ もの とさ れてい る( 飯泉,1985 ;
れ る こ と が あ る. し か し 両 系 列 の 岩 石 が 岩 体 内 で ど の よ
先 山,1985). 和 田山 花崗 岩 は用 瀬花 崗岩 と似 た岩 相を 呈
う な 分 布 を し て い る か, 詳 細 は明 ら か で は な い.
す ること, ま た79.3Ma のK-Ar 年代 を有 す ること( 石 原
山 陽 帯 の 花 崗 岩 の多 く は チ タ ン鉄 鉱 系 に 属 す る が, 岡
山 県 南 部 の万 成 花 崗 岩( 田 結 庄, 1986b)
計 岩 体( 鈴 木, 1986)
岡山 県北 部 の用瀬 花崗 岩・ 越畑花
ほか,1988) か ら, 用瀬 花崗 岩(80.9Ma ; 柴田,1979) に
や広 島 県 の加
対 比 さ れう る. し たが って, 和 田山 花崗 岩か ら中国 地方
で は磁 鉄 鉱 を 含 む こ と が 知 ら れ て
東 部 の用瀬 ・越 畑花 崗岩 まで, チ タ ン鉄鉱 系花 崗岩 が連
い る. ま た こ の よ う な 特 徴 の あ る 花 崗 岩 類 が 山 陽 帯 の 花
続的 に分布 して い る可 能性 か おる.
崗 岩 類 の 活 動 の 中 で ど の よ う に 位 置 付 け ら れ る の か, 地
質 的 に 検 討 さ れ る べ き で あ る.
VI帯
但馬 北部 地域 に相当 す る. 粗 粒優 白質 のバ ソ リス状花
Ⅲ帯
北 摂 地 域 と 播 磨 中 部 地 域 で, 中
崗岩 体か らな る. 磁 鉄鉱 に富 み, 鳥 取 花 崗岩( 鳥 取県,
細 粒 の花岡 閃緑 岩・
石 英 モ ンゾ 閃 緑 岩 ・ 石 英 は ん れ い 岩 を 主 と し, 花 岡 閃 緑
斑 岩 や 文 象 斑 岩 な ど の 斑 状 岩 を 伴 う ス ト ッ ク状 岩 体 を 特
徴 と す る. 磁 鉄 鉱 に 富 む 岩 石 と 磁 鉄 鉱 を 含 ま な い も の と
が 共 存 す る. こ れ ら は し ば し ば 累 帯 深 成 岩 体 を 形 成 し,
1961) に対 比 さ れ得 る典型 的 な山陰 帯 の花崗岩か らなる.
第32 図. 兵 庫 県 下 の 白 亜 紀
古 第 三 紀 深 成 岩 類 の 岩 相 分 布 と 帯 状 区 分.
お
わ
り
に
以 上, 今 回 の 調 査 で 兵 庫 県 下 の 深 成 岩 類 に つ い て 記 載
igneous rocks from the Ryoke
Belt, Southwest
Japan:Remains
of Jurassic igneous activityin a late
Cretaceous granitic terrane. Geoch. J.,29,123-135.
笠 間 太 郎(1968)
六 甲 山 地 域 の 花 崗岩 類. 地 質 雑, 74,117-128.
し, そ の 岩 相 か ら, 従 来 の帯 状 区 分 に 検 討 を 加 え た. そ
河 野 義 礼 ・ 植 田 良 夫(1966)
の 結 果, 兵 庫 県 下 に お い て は 従 来 の 山 陽 帯= チ タ ン 鉄 鉱
西 南 日 本 の 花 崗 岩 類-.
系, 山 陰 帯= 磁 鉄 鉱 系 と い う 図 式 が 必 ず し も成 り 立 た ず,
岸田孝蔵・弘原海
鉄 チ タ ン 鉱 物 の 産 状 を お さ え る と と も に, 帯 磁 率 の 測 定
な ど に よ って 定 量 的 に 扱 っ て い く 必 要 が あ る. い ず れ に
小 林 文 夫(1995)
兵 庫 県 地 質 関 係 基 礎 資 料-1990 年 度
松浦浩久・栗本史雄・寒川
質. 地 域 地 質 調 査 報 告(5
1992 年 度
旭・ 豊
遥 秋(1995)
広 根地 域 の地
万 分 の1 地質 図 幅), 地 質 調 査 所,
llOp・
水野清秀・服部
仁・寒川
質. 地 域 地 質 研 究 報 告(5
旭・ 高 橋
浩(1990)
明 石地 域 の地
万 分 の1 地質 図 幅), 地 質 調 査 所,
90p・
的 に も進 ん で い る と は い え ず, 今 後 個 々 の 岩 体 に つ い て
中 島 和 一 ・ 政 岡 邦 夫 ・ 小 笹 誠二 ・ 森 鼻隆 夫 ・ 田 結 庄 良 昭 ・ 天 野 啓
三(1986)
ら か に し て い く と と も に, 放 射 年 代 な ど の 測 定 も 含 め て
帯 状 配 列 の 意 味 を 考 え て い く こ と が 必 要 と 考 え ら れ る.
柴田秀賢教授退官記 念論文
収 集 資 料 一人 と 自 然, no.5, 37-43.
し て も兵 庫 県 下 の花 崗 岩 類 の 研 究 は 地 質 学 的 に も 岩 石 学
岩 石 ・ 鉱 物 の化 学 組 成 を は じ め と す る岩 石 学 的 性 質 を 明
姫 路 酸 性 岩 類 の 火 山 層 序 一近 畿 の
集. 241-255.
基 づ く も の で あ り, ど こ ま で 一 般 化 で き る か は今 後 の 問
題 と し て 残 さ れ て い る. ま た, 磁 鉄 鉱 の 有 無 に つ い て も,
一
岩 鉱, 56,191-211.
後 期 中 生 代 火 成 岩 類 の 研 究(1).
6 帯 に 分 け ら れ る可 能 性 が 高 い. し か し な が ら 本 稿 で 示
し た岩体 の分 布傾向 は限 られた範 囲で の少 ない デ ータに
清(1967)
本邦 産 火 成 岩 のK-Ar dating(V)
淡 路 島 北 部 の 領 家 花 崗 岩 類.
地 球 科 学, 40,227-
237.
中 島 和 一 ・ 政 岡 邦 夫 ・ 田 結 庄良 昭・ 杭 田 康 弘(1985)
淡 路 島中央
部 の 領 家 帯 一 特 に 花 崗岩 類 の区 分 と 相 互 関 係 に つ い て. 地 球
科 学, 39,124-135.
文
献
中 島 和 一 ・ 田 結 庄良 昭 ・ 池垣 憲二(1975)
三 草山 貫入岩 体 に捕獲
さ れた 特 異 な 変 成 岩, 深 成岩 類. 日 本 地 質 学 会82 年 次 講 演 要
原山 智・小井土由光・石沢一吉・仲井 豊 ・沓 掛俊夫(1985)
中部地方 におけ る白亜紀 古第三紀火成 活動 の変 遷. 地 球科
学,39,345-357.
早瀬一一・石坂恭一(1967) Rb-Sr 法による地質年令,0)
西南
日本. 岩鉱, 61,182-188.
藤田和夫・笠 間太郎(1965) 神戸市及び隣接 地域 地質 図, 同 説明
書. 神戸市調 査月報,16 号, 62-92.
兵庫県(1961)兵庫県地質鉱産図及 び同説明書. 171p.
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