Comments
Description
Transcript
リテーナ入りボールスプライン SLS/SLF
新製品 Caged Ball Spline リテーナ入りボールスプライン SLS/SLF ボールリテーナを採用。 高速・低騒音・長寿命を実現。 SLF形 SLS形 SLS-L形 CATALOG No.360-2 011-0026_H1.indd 1 12.10.5 1:07:01 PM ボールリテーナ搭載。 Caged Ball Spline 高速、低騒音、長寿命を実現。 THKの技術とノウハウを結集したリテーナ技術を、ボールスプラインへ展開しました。 ボールリテーナの採用により、整列循環運動を保持し高速対応を可能としました。また、 ボール同士の衝突や相互摩擦をなくし、低騒音、好音質、低発塵を実現。グリース保持力 の向上により、長期にわたるメンテナンスフリーも実現しています。 1 011-0026_P01-P02.indd 1 10.11.2 2:11:26 PM ボールリテーナ採用による4つのメリット。 SLS形(中荷重形) スプラインナット外 径 がストレ ートな 円筒 形 状で す。キーを用 いてハウジン ボール同士の干渉音がない ボール同士の干渉音が発生 グとの固定や、 トルク伝達が可能です。 高速対応 SLS/SLF形は、ボールリテーナの採用により整列循環運動を保持し、 高速対応を可能としたため、装置の高タクト化が可能となります。 低騒音、好音質、低発塵 SLS-L形(重荷重形) SLS形と同一外径でスプラインナットを 長くした重荷重形です。スペースのない SLS/SLF形は、ボールリテーナの採用により、ボール同士の衝突や相互 摩擦をなくし、低騒音、好音質、低発塵を実現しています。 箇所で大トルクを負荷する場合や、オー バーハング荷重やモーメントがかかる 場合に最適です。 長期メンテナンスフリー SLS/SLF形は、ボールリテーナの採用によるグリース保持能力の大幅な 向上により、長期メンテナンスフリーを実現しています。 滑らかな動作(小さい転がり変動) SLS/SLF形は、ボールリテーナと新循環方式の採用により、小さい転がり 変動で安定したスムーズな動きを実現しています。 SLF形 ハウジングにボルトで固定できるフラン ジ付タイプです。組付けが簡単でキーを 用いた固定に比べ、ハウジング長さを短 かくすることが可能です。 ●SLS形 (SLS25 SLS30 SLS40 SLS50 SLS60 SLS70 SLS80 SLS100) ●SLS-L形(SLS25L SLS30L SLS40L SLS50L SLS60L SLS70L SLS80L SLS100L) ●SLF形 SLF30 SLF40 SLF50 SLF60 SLF70 SLF80 SLF100) (SLF25 2 011-0026_P01-P02.indd 2 10.11.2 2:11:27 PM Caged Ball Spline [高速性] ■ 条件 試験機外観(高速耐久試験) 使用形番 SLS50 試験環境 22∼27.5℃ ストローク 1000mm 最高速度 200m/min 加減速度 5G(49m/s 2) 負荷荷重 軽予圧(CL) 潤滑剤 THK AFB-LFグリース 試験品外観 ■試験結果 10000km走行で異常なし [低騒音・好音質] ■ 条件 騒 音レベル比 較 SLF50/LBF50 ストローク 600mm 速度 30,50,100,150m/min 測定機器 騒音計 [dBA] 使用形番 試験機概要 近接センサ 騒音計 試験品 [m/min] 駆動装置 [低発塵] 使用形番 SLF50CL+350LP/LBS50CL+350LP 最高速度 30m/min 加速度 2.84m/s2 測定器 ストローク 200mm 空気供給量 1ℓ/200sec 潤滑剤 THK AFE-CAグリース 使用機器 パーティクルカウンタ 試験品 ボールスプラインL B S形(総ボール) 500 400 300 200 232 160 180 124 146 96 84 100 54 46 21 0 0.1以上 0.15以上 0.2以上 試験機外観 0.3以上 0.5以上 発塵量 [個/200秒・リットル] 発塵量 [個/200秒・リットル] ■ 条件 アクチュエータ 最大値 平均値 リテーナ入りボールスプラインS L F 形 500 400 300 200 100 32 25 12 9 21 7 16 9 4 2 0 0.1以上 0.15以上 粒子径 [μm] 0.2以上 0.3以上 0.5以上 粒子径 [μm] [滑らかな動作(小さい転がり変動)] 転がり抵抗 試 験 ■ 条件 SLF50 20 SLF50 速度 10mm/sec 負荷荷重 中予圧(CM) 潤滑剤 THK AFB-LFグリース 15 転がり抵抗 [N] 使用形番 1.5[N] 10 5 0 -5 -10 -15 -20 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 ストローク [mm] 3 011-0026_P03-P14.indd 3 10.11.10 10:26:27 AM 製品概要 リテーナ入りボールスプライン〈SLS/SLF〉 精度規格 表2 A 表1 表2 B AB スプライン外筒 表3 A A 表3 B B 部品取付部 部品取付部 支持部 スプライン部 支持部 表4 AB 表1 スプライン軸の支 持 部に対するスプライン外筒外 径 の振れ 精度 振れ(MAX) [μm] 呼び軸径 25,30 40,50 60,70,80 100 スプライン軸全長(mm) こえる 以下 並 上 精 並 上 精 並 上 精 並 上 精 ー 200 53 32 18 53 32 16 51 30 16 51 30 16 200 315 58 39 21 58 36 19 55 34 17 53 32 17 315 400 70 44 25 63 39 21 58 36 19 55 34 17 400 500 78 50 29 68 43 24 61 38 21 57 35 19 500 630 88 57 34 74 47 27 65 41 23 60 37 20 630 800 103 68 42 84 54 32 71 45 26 64 40 22 800 1000 124 83 ー 97 63 38 79 51 30 69 43 24 1000 1250 ー ー ー 114 76 47 90 59 35 76 48 28 1250 1600 ー ー ー 139 93 ー 106 70 43 86 55 33 1600 2000 ー ー ー ー ー ー 128 86 54 99 65 40 2000 2500 ー ー ー ー ー ー 156 ー ー 117 78 49 2500 3000 ー ー ー ー ー ー ー ー ー 143 96 61 表2 軸の支 持 部に対する軸 部 端 面の直 角度 精度 表3 軸の支 持 部に対する部 品 取付部の同 軸 度 直角度(MAX) [μm] 呼び軸径 並級 上級(H) 25,30 33 13 精度 精密級(P) 9 同軸度(MAX) [μm] 呼び軸径 並級 25,30 53 上級(H) 精密級(P) 22 13 15 40,50 39 16 11 40,50 62 25 60,70,80 46 19 13 60,70,80 73 29 17 100 54 22 15 100 86 34 20 表4 軸の支 持 部に対するフランジ 取付面の直 角度 精度 直角度(MAX) [μm] 呼び軸径 並級 25,30 39 上級(H) 精密級(P) 16 11 13 40,50 46 19 60,70,80 54 22 15 100 63 25 18 4 011-0026_P03-P14.indd 4 10.11.10 10:26:29 AM 製品概要 リテーナ入りボールスプライン〈SLS/SLF〉 回転方向すきま ボールスプラインでは、円周方向のすきまの総和を回転方向すきまとして規格化しています。すきまの値は、それぞれ軸径ご とに規格化されているため、使用条件に合わせたすきまの選定が行えます。詳しくは総合カタログをご参照ください。 表5 回 転 方 向すきまの 測 定 単位:μm 呼び軸径 回転方向すきま 回転方向すきま 普通 CL CM -6∼-10 25,30,40 +1∼-2 -2∼-6 50,60 +2∼-4 -4∼-8 -8∼-12 70,80,100 +4∼-8 -8∼-12 -12∼-20 スプライン軸最大製作長さ 表6 S L S/S L F 形スプライン軸 最 大製 作 長さ 単位:mm 呼び軸径 最大製作長さ:L 並級(無記号) 上級(H) 精密級(P) 25 2000 1500 1000 30 2000 1600 1250 40 2000 2000 1500 50 3000 2000 1500 60 4000 2000 2000 L 70 4000 2000 2000 80 4000 2000 2000 100 4000 3000 3000 材質:S55C相当 硬度:H R C58∼64 スプライン軸断面形状 表7 S L S/S L F 形スプライン軸 断 面 形状 単位:mm 中空軸 質量 質量 [kg/m] [kg/m] 3.51 2.62 25 大径 φD 0 h7 25 ボール 中心径 φdp 25.2 30 30 30.2 25.8 16 5.05 40 40 40.6 35.2 22 9.18 6.19 50 50 50.6 44.4 25 14.45 10.59 60 60 61.0 54.0 32 21.23 14.90 呼び軸径 小径 φd 穴径 φd 4 21.6 12 dp φ dp φ φd φd φd4 3.47 70 70 71.0 62.8 ー 28.57 ー 80 80 80.8 71.3 52.5 37.49 20.48 100 100 101.2 90.0 67.5 58.97 30.85 φD 0 φD 0 スプライン軸断面形状 標準中空スプライン軸断面形状 5 011-0026_P03-P14.indd 5 12.10.5 1:30:48 PM 取付方法 スプラインナットとハウジングとのはめあいは、一般的に 中間ばめとします。ボールスプラインの精度をさほど必要 としない場合は、すきまばめを推奨します。 ハウジング 内径公差 一般的な使用条件 H7 すきまをおさえる場合 J6 SLS形の取付け SLF形の取付け ●スプラインナット取付例 ●スプラインナット取付例 スナップリングによる取付け フランジによる取付け 押さえフランジによる取付け 取付け時の注意 ●リテーナ入りボールスプラインSLS形のスプラインナットの両端は、樹 脂製のエンドキャップです。 叩いたり・強く押し付けたりすると破損する場合がありますので、無理 な荷重を加えないように注意が必要です。 ●スプラインの軸方向の固定強度はさほど必要ありませんが、打込みだ けで保持させることは避けてください。 止め板による取付け スプライン軸の強度設計 ボールスプラインのスプライン軸は、ラジアル荷重やトルクを受けることができる複合軸ですが、荷重やトルクが大きい場合 は、スプライン軸の強度を考慮する必要があります。 表8 スプライン軸の断 面 特 性 中実軸 断面2次モーメント I mm4 1.61×104 断面係数 Z mm3 1.29×103 極断面2次モーメント IP mm4 3.22×104 極断面係数 ZP mm3 2.57×103 中空軸 1.51×104 1.20×103 3.01×104 2.41×103 中実軸 3.33×104 2.22×103 6.65×104 4.43×103 中空軸 3.00×104 2.00×103 6.01×104 4.00×103 中実軸 1.09×105 5.47×103 2.19×105 1.09×104 中空軸 9.79×104 4.90×103 1.96×105 9.79×103 中実軸 2.71×105 1.08×104 5.41×105 2.17×104 中空軸 2.51×105 1.01×104 5.03×105 2.01×104 中実軸 5.83×105 1.94×104 1.17×106 3.89×104 中空軸 5.32×105 1.77×104 1.06×106 3.54×104 中実軸 1.06×106 3.02×104 2.11×106 6.04×104 中実軸 1.82×106 4.55×104 3.64×106 9.10×104 中空軸 1.45×106 3.62×104 2.90×106 7.24×104 中実軸 4.50×106 9.00×104 9.00×106 1.80×105 中空軸 3.48×106 6.96×104 6.96×106 1.36×105 呼び軸径 25 30 40 50 60 70 80 100 6 011-0026_P03-P14.indd 6 10.11.10 10:26:30 AM 製品概要 リテーナ入りボールスプライン〈SLS/SLF〉 [曲げを受けるスプライン軸] ボールスプラインのスプライン軸に曲げ荷重が作用する場合、 (1)式によりスプライン軸径を求めます。 M =σ • Z および Z = M σ M:曲げ モーメント …………(1) M : スプライン軸に作用する最大曲げモーメント[N・mm] σ : スプライン軸の許容曲げ応力[98N/mm2] Z : スプライン軸の断面係数[mm3] [ねじりを受けるスプライン軸] ボールスプラインのスプライン軸にねじり荷重が作用する場合、 (2)式によりスプライン軸径を求めます。 T T =τa• Z P および Z P= τa T:ねじりモーメント …………(2) T : 最大ねじりモーメント[N・mm] τa : スプライン軸の許容ねじり応力[49N/mm2] Z p : スプライン軸の極断面係数[mm3] [ねじりと曲げを同時に受ける場合] ボールスプラインのスプライン軸に曲げ荷重とねじり荷重が同時に作用する場合、相当曲げモーメント(M e)と相当ねじりモ ーメント(Te)を考えて、別々にスプライン軸の太さを計算し、その大きい方の値をとります。 相当曲げモーメント 2 2 M+ M +T M Me = = 2 2 T M 2 () 1+ 1+ …………(3) Me = σ • Z 相当ねじりモーメント 2 Te = M +T 2 T M 2 () = M• 1 + …………(4) T e = τa • Z p [スプライン軸のこわさ] スプライン軸のこわさは、スプライン軸の長さ1mに対するねじれ角で表され、1°/4ぐらいに制限します。 T•L G•IP θ= 57.3 軸のこわさ = ねじれ角 単位長さ = θ ・l L L …………(5) l < 1° 4 A B θ B' l θ : ねじれ角[°] l : 単位長さ[1000mm] L : スプライン軸長さ[mm] I p : 極断面2次モーメント[mm4] G : 横弾性係数[7.9×10 4N/mm2] 7 011-0026_P03-P14.indd 7 10.11.10 10:26:31 AM [スプライン軸のたわみとたわみ角] ボールスプラインのスプライン軸のたわみとたわみ角は、それぞれの条件に合った計算式を用い算出する必要があります。表 9、表10にそれぞれの条件における計算式を示します。 表9 たわみ・たわみ角計算式 支持 方法 両 端 自 由 両 端 固 定 δmax たわみ計算式 i P たわみ角計算式 Pl 48EI 2 l 3 δmax = l δmax l /2 P i 等分布荷重 p 2 δmax = l 等分布荷重 p δmax = l 5p l i l i i i i i i l 4 384EI pl i l Pl 192EI 3 δmax = l δmax 両 端 固 定 l /2 δmax 両 端 自 由 使用条件 l i l i 4 384EI i i 1 =0 2 = 1 =0 2 =0 2 = 2 =0 Pl 2 16EI pl 3 24EI 表10 たわみ・たわみ角計算式 支持 方法 P 一 端 固 定 l 1 l /2 i 1 δmax M0 l i 2 M0 l M0 l 216EI 2 2 i i l i l i i l l i i 2 =0 1 = 2 =0 pl 6EI 1 = M0 l 12EI 2 = M0 l 24EI 1 = M0 l 16EI 2 =0 i i l = 3 i l 1 : 支持点におけるたわみ角 : モーメント[N・mm] P : 集中荷重[N] l : スパン[mm] p I : 断面2次モーメント[mm4] E : 縦弾性係数2.06×10 5[N/mm 2] 1 3M0 l δmax = 216EI δmax = M0 i i i 2 l i i pl 8EI Pl 2EI 2 i l 1 δmax i i l i 4 δmax = δmax δmax δmax : 最大たわみ[mm] l /2 i Pl 3EI 1 l δmax 両 端 固 定 i たわみ角計算式 3 δmax = 等分布荷重p 一 端 固 定 両 端 自 由 たわみ計算式 δmax 使用条件 : 等分布荷重[N/mm] : 荷重作用点におけるたわみ角 8 011-0026_P03-P14.indd 8 10.11.10 10:26:32 AM 製品概要 リテーナ入りボールスプライン〈SLS/SLF〉 [スプライン軸の危険速度] ボールスプライン軸を回転させ動力伝達用に使用する場合、スプライン軸の回転数が高くなるとスプライン軸の固有振動数 に近づき、共振をおこして運動不能になることがあります。従って、最高回転数は危険速度以下の回転数として共振を生じな い程度におさえる必要があります。危険速度は(6)式により求められます。 (安全係数として0.8を乗じてあります。) 共振点をこえて使用する場合や、共振点付近で使用する場合は、スプライン軸径を再検討する必要があります。 ●危険速度 固定 2 Nc = 自由 3 60λ E 10 • I 2 • lγ• A 2π• l b 0.8 …(6) 固定―自由 Nc : lb : E : I : 危険速度[min -1] 取付間距離[mm] ヤング率[2.06×10 5N/mm2] 軸の最小断面2次モーメント[mm4] 支持 支持 支持―支持 π I = d 4 64 d:小径[mm] 固定 支持 γ : 密度(比重) [7.85×10 -6kg/mm3] π A = d 2 4 固定―支持 d:小径[mm] A : スプライン軸断面積[mm2] λ : 取付方法による係数 (1)固定 ‒ 自由 λ=1.875 (2)支持 ‒ 支持 λ=3.142 (3)固定 ‒ 支持 λ=3.927 (4)固定 ‒ 固定 λ=4.73 固定 固定 固定―固定 9 210-0112_P03-P14.indd 9 12.10.10 9:23:32 AM 寿命の予測 [定格寿命] ボールスプラインの寿命は、同じように製作されたものを同一運転条件で使用しても、バラツキがあります。このためボールス プラインの寿命を求める目安として、つぎのように定義された定格寿命を使用します。 定格寿命とは、一群の同じボールスプラインを同じ条件で個々に運動させたとき、そのうちの90%がフレーキング(金属表面 のうろこ状のはく離)をおこすことなく到達できる総走行距離をいいます。 [定格寿命の算出] ボールスプラインは、トルクを負荷しながら運動する場合と、ラジアル荷重を負荷しながら運動する場合およびモーメントを 負荷した場合に分けられ、定格寿命は(7)∼(10)式によりそれぞれ求められます。 (各負荷方向の基本定格荷重は各形番 の寸法表中に記載されています) ●トルク負荷の場合 Pc fT• fC CT • L= fW TC ( N Tc N•m 3 ) 50 ………(7) ●ラジアル荷重負荷の場合 fT • fC C • L= PC fW ( L : CT : TC : C : 3 ) 定格寿命[km] 基本動定格トルク[N・m] 計算負荷トルク[N・m] 基本動定格荷重[N] 50 PC : fT : fC : fW : ………(8) 計算ラジアル荷重[N] 温度係数 接触係数 荷重係数 ●トルクとラジアル荷重を同時負荷の場合 トルクとラジアル荷重を同時に負荷する場合は、 (9)式により等価ラジアル荷重を求めて定格寿命を算出します。 3 4•TC 10 PE = PC + i •dp•cosα i ………(9) PE : 等価ラジアル荷重[N] cosα : 接触角 =負荷条数 40° 3 dp : ボール中心径[mm] i 10 011-0026_P03-P14.indd 10 10.11.10 10:26:33 AM 製品概要 リテーナ入りボールスプライン〈SLS/SLF〉 ●スプラインナット1個または2個密着使用でモーメント負荷の場合 (10)式により等価ラジアル荷重を求めて定格寿命を算出します。 Pu = K•M ………(10) Pu : 等価ラジアル荷重[N] (モーメント負荷による) K : 等価係数 (表11参照) M : 負荷モーメント[N・mm] ただし、Mは静的許容モーメント内とします。 ●モーメントとラジアル荷重を同時負荷の場合 ラジアル荷重と等価ラジアル荷重の総和より定格寿命を算出します。 ■モーメント等価係数 表11 S L S/S L F 形モーメント等 価 係 数 呼び形番 スプラインナット1個 スプラインナット2個密着 SLS/SLF25 SLS25L 0.187 0.148 0.030 0.027 SLS/SLF30 SLS30L 0.153 0.129 0.027 0.024 SLS/SLF40 SLS40L 0.114 0.102 0.021 0.019 SLS/SLF50 SLS50L 0.109 0.091 0.018 0.017 SLS/SLF60 SLS60L 0.080 0.072 0.015 0.014 SLS/SLF70 SLS70L 0.101 0.076 0.016 0.014 SLS/SLF80 SLS80L 0.083 0.072 0.013 0.012 SLS/SLF100 SLS100L 0.068 0.056 0.011 0.010 ●寿命時間の算出 前記の式で定格寿命(L)が求められるとストローク長さと毎分往復回数が一定の場合、寿命時間は(11)式により求められます。 L = L 103 n1 60 ………(11) h 2 lS L h : 寿命時間[h] l S : ストローク長さ[m] n1 : 毎分往復回数[min -1] 11 011-0026_P03-P14.indd 11 12.10.5 1:30:54 PM ■fT:温度係数 リテーナ入りボールスプラインの使用温度は通常80℃以下のため、fT=1.0になります。 ■fC:接触係数 表12 接 触 係 数(f c ) 直動案内をするスプラインナットを密着状態で使用する場合、モーメント荷重や 取付面精度が影響して均一な荷重分布を得ることが難しくなります。このために 密着時のスプラインナット数 接触係数fc 2 0.81 複数のスプラインナットを密着使用する場合は、表12の接触係数を基本定格荷 重(C)、 (C 0)に乗じてください。 3 0.72 4 0.66 5 0.61 通常使用 1 注)大型の装置に不均一な荷重分布が予想される場合は表12の接触係数を考慮してく ださい。 ■fW:荷重係数 表13 荷 重係 数(f w) 一般的に往復運動をする機械は、運転中に振動や衝撃を伴うものが多く、特に 高速運転時に発生する振動や、常時繰返される起動停止時の衝撃などのすべて 振動・衝撃 速度(V) fw 微 微速の場合 V≦0.25m/s 1∼1.2 小 低速の場合 0.25<V≦1m/s 1.2∼1.5 中 中速の場合 1<V≦2m/s 1.5∼2 大 高速の場合 V>2m/s 2∼3.5 を正確に求めることは困難です。実際にボールスプラインに作用する荷重が得ら れない場合や、速度・振動の影響が大きい場合は、経験的に得られた表13の荷 重係数を基本定格荷重(C)、 (C 0)に除してください。 ●静的安全係数の算出 ボールスプラインに作用する荷重を算出する場合は、寿命計算に使う平均荷重と、静的安全係数の算出に使う最大荷重を算出する必要があります。特に、起動 停止が激しい場合や、切削荷重が作用する場合、オーバーハング荷重によるモーメントが大きく作用する場合などには、思わぬ大荷重が作用することがありま す。形番を選定する際には、その最大荷重(停止時、動作時にかかわらず)に対して適しているかどうか、 (12)式により静的安全係数を算出し、確認してくださ い。静的安全係数の基準値を表14に示します。 f= C0 Pmax ……… (12) s fS C0 Pmax : 静的安全係数 : 基本静定格荷重[N] : 最大負荷荷重[N] ※基本静定格荷重とは最大応力を受けている接触部において、転動体の永久変形量と転動面の永久変形量との和が、転動体の直径の0.0001倍になるような方向と大きさの一定した静 止荷重を言います。 表14 静 的安 全 係 数(f S )基 準値 使用機械 一般産業機械 工作機械 荷 重 条 件 fSの下限 振動・衝撃のない場合 1.0∼3.5 振動・衝撃が作用する場合 2.0∼5.0 振動・衝撃のない場合 1.0∼4.0 振動・衝撃が作用する場合 2.5∼7.0 ※静的安全係数の基準値は、使用環境、潤滑状態、取り付け部の精度や剛性等の使用条件により異なる場合があります。 12 011-0026_P03-P14.indd 12 10.11.10 10:26:34 AM 寸法表 リテーナ入りボールスプライン〈SLS/SLF〉 l0 b L φD φD0 t 3-φd0 (給脂穴) ●SLS形(ストレートタイプ) 単位:mm スプラインナット 外径 長さ 呼び形番 D SLS25 SLS25L 37 SLS30 SLS30L 45 SLS40 SLS40L 60 SLS50 SLS50L 75 SLS60 SLS60L 90 SLS70 SLS70L 100 SLS80 SLS80L 120 SLS100 SLS100L 140 許容差 0 -0.016 0 -0.019 0 -0.022 L b H8 t +0.1 0 l0 d0 給脂穴 基本定格トルク 基本定格荷重 CT [N・m] CoT [N・m] C [kN] 静的許容モーメント Co M A1 M A2 [kN] [N・m] [N・m] スプライン スプライン ナット 軸 [kg] [kg/m] 5 3 33 2 25 219.9 261.9 306.8 394.5 18.2 21.7 22.5 29.0 136 220 851 1203 0.15 0.18 3.51 70 80 7 4 41 3 30 366.5 416.4 513.3 616.0 25.4 28.9 31.5 37.8 233 330 1341 1803 0.30 0.34 5.05 10 4.5 55 3 40 818.9 890.0 1135.4 1277.3 42.8 46.5 52.5 59.1 520 652 2801 3529 0.69 0.79 9.18 15 5 60 4 50 1373.4 1571.2 1783.1 2165.2 57.6 65.9 66.2 80.4 687 996 4156 5349 1.30 1.47 14.45 3321.0 3736.2 87.8 95.3 103.0 115.8 1452 1820 7733 9570 2.25 2.50 21.23 90 100 100 112 0 -0.3 127 140 18 6 68 4 60 2506.7 2723.2 110 135 18 6 68 4 70 2986.3 3708.4 3474.7 4738.2 89.7 111.4 92.5 126.1 1038 1867 6392 10135 2.13 2.71 28.57 20 7 80 5 80 4664.6 5195.3 5477.4 6390.4 122.8 136.8 127.7 148.9 1739 2327 11482 14491 4.22 4.77 37.49 28 9 93 5 100 8922.3 10424.4 10211.6 12764.6 188.2 219.8 190.7 238.4 3155 4816 19118 26463 5.20 6.22 58.97 160 185 0 -0.4 M A2 M A1 呼び 形 番 の 構 成 例 質量 60 70 140 155 0 -0.025 許容差 スプライン 軸径 D0 h7 キー溝寸法 2 SLS50 呼び形番 UU CL +7 0 0 L 回転方向すきま記号 (P.5参照) 防塵用部品記号 無記号: シールなし UU:両側ゴムシール付き U:片側ゴムシール付き P 精度記号 (P.4参照) K スプライン軸記号 無記号:中実スプライン軸 K:中空スプライン軸 スプライン軸全長 (mm表示) 1軸に付くスプライン外筒の個数 (1個の場合は表示しない) 13 011-0026_P03-P14.indd 13 10.11.10 10:26:34 AM L F H φD φD0 φD1 φd2 φd1 h D PC 3-φd0 (給脂穴) ●SLF形(フランジタイプ) 単位:mm スプラインナット 外径 長さ フランジ径 許容差 L 許容差 H F PCD 取付穴 d1×d 2×h 2 9 21 47 5.5×9.5×5.4 25 219.9 306.8 18.2 22.5 136 851 0.26 3.51 3 10 25 54 6.6×11×6.5 30 366.5 513.3 25.4 31.5 233 1341 0.45 5.05 90 3 14 31 72 9×14×8.6 40 818.9 1135.4 42.8 52.5 520 2801 1.06 9.18 113 4 16 34 91 11×17.5×11 50 1373.4 1783.1 57.6 66.2 687 4156 1.90 14.45 4 18 45.5 107 11×17.5×11 60 2506.7 3321.0 87.8 103.0 1452 7733 3.08 21.23 4 20 47.5 117 70 2986.3 3474.7 89.7 1038 6392 3.25 28.57 5 22 48 138 16×23×15.2 80 4664.6 5477.4 122.8 127.7 1739 11482 5.82 37.49 5 25 55 162 18×26×17.5 100 8922.3 10211.6 188.2 190.7 3155 19118 7.66 58.97 D1 SLF25 37 SLF30 45 SLF40 60 90 SLF50 75 0 100 -0.019 SLF60 90 127 129 SLF70 100 110 142 SLF80 120 SLF100 140 0 -0.016 0 -0.022 60 60 70 70 140 0 160 -0.025 0 -0.3 許容差 0 -0.2 0 -0.3 168 0 -0.4 質量 スプライン 基本定格トルク 基本定格荷重 軸径 スプライン スプライン D0 CT CoT C Co M A1 M A2 ナット 軸 h7 [N・m] [N・m] [kN] [kN] [N・m] [N・m] [kg] [kg/m] 給脂穴 呼び形番 D 静的許容 モーメント 195 0 -0.4 d0 14×20×13 92.5 M A2 M A1 呼び 形 番 の 構 成 例 2 S LF5 0 呼び形番 UU CL +7 0 0 L 回転方向すきま記号 (P.5参照) 防塵用部品記号 無記号: シールなし UU:両側ゴムシール付き U:片側ゴムシール付き P 精度記号 (P.4参照) K スプライン軸記号 無記号:中実スプライン軸 K:中空スプライン軸 スプライン軸全長 (mm表示) 1軸に付くスプライン外筒の個数 (1個の場合は表示しない) 14 011-0026_P03-P14.indd 14 10.11.10 10:26:35 AM リテーナ入りボールスプライン SLS/SLF ご使用上の注意点 ●スプライン外筒とスプライン軸について ・スプライン外筒をスプライン軸からむやみに外さないでください。やむを得ず外した場合に再度セットする際には、 スプライン外 筒内のボール位置とスプライン軸の溝位置を合わせ、スプライン外筒に対して真直ぐにゆっくりスプライン軸を挿入してください。 スプライン軸が斜めになった状態で挿入しますと、ボールが飛び出したり、循環部品を破損する場合がありますのでご注意下さい。 ・挿入の際、途中でひっかかる場合には無理をせず、一度抜いて、ボール位置とスプライン軸の溝位置を再度確認して、真直ぐ にゆっくりと挿入してください。 ・スプライン外筒とスプライン軸をセットした際には、スプライン外筒またはスプライン軸がスムーズに動作するか確認してく ださい。無理に挿入した場合には、外観に破損が見られなくとも機能の損失が考えられますので、ご注意ください。 ●取扱いについて ・各部を分解しないでください。ごみの侵入や各部の組み立て精度を悪くする原因になります。 ・スプライン外筒とスプライン軸がセットされた状態でスプライン外筒またはスプライン軸を傾けますと、自重で落下する場合 がありますので、ご注意ください。 ・ボールスプラインを落下させたり、叩いたりしないでください。破損することがありますのでご注意ください。また、衝撃を 与えた場合、外観に破損が見られなくとも機能の損失が考えられますので、ご注意ください。 ●潤滑について ・防 油をよく拭き取り、潤滑剤を封入してからお使いください。 ・性状の異なる潤滑剤を混合しての使用は避けてください。 ・常に振動が作用する箇所、クリーンルーム、真空、低温・高温など特殊環境下での使用は、通常の潤滑剤を使用できない場合 がありますので、THKまでお問い合わせください。 ・特殊な潤滑剤を使用される場合は、THKまでお問い合わせください。 ・油潤滑にて使用される場合、外筒の取付姿勢によっては、潤滑油が行き渡らないことがありますので、THKまでお問い合わせください。 ・給脂間隔は使用条件により異なりますので、THKまでお問い合わせください。 ●使用上について ・異物が侵入すると、ボール循環部品の破損や機能の損失を引き起こしますので、ごみ、切り粉など異物の侵入は防止してください。 ・クーラントが外筒内部に侵入するような環境下で使用される場合は、クーラントの種類によって製品の機能に支障をきたす場 合がありますので、THKまでお問い合わせください。 ・80℃を超えての使用は避けてください。80℃を超えて使用されたい場合は、THKまでお問い合わせください。 ・ごみ、切り粉などの異物が付着した場合は、洗浄した後、潤滑剤を再封入してください。使用する洗浄液の種類は、THKまでお問い合わせください。 ・常に振動が作用する箇所、クリーンルーム、真空、低温・高温などの特殊環境下で使用される場合は、THKまでお問い合わせください。 ・外筒をシャフトから抜いて再度組付ける場合は、ボールが脱落する可能性がありますので、取扱いには十分注意してください。 ・フランジ付きボールスプラインにノック穴等の追加工を行う場合は、THKまでお問い合わせください。 ●保管について ・ボールスプラインは、弊社の梱包および荷姿で、高温、低温、多湿を避け、水平な状態で保管してください。 ●「LMガイド」 「ボールリテーナ」 「 ® 」はTHK株式会社の登録商標です。 ●本カタログ記載の図・写真と実際の製品とでは異なる場合があります。 ●改良のため予告なしに外観、仕様等変更することがありますので、ご採用の時は事前にお問い合わせください。 ●カタログの制作には慎重を期しておりますが、誤字・脱字等により生じた損害については、責任を負いかねますのでご了承ください。 ●弊社製品・技術の輸出及び輸出の為の販売につきましては、外国為替及び外国貿易法、及びその他の法令の遵守を基本方針としております。 尚、弊社製品の単品での輸出については、予めご相談ください。 無断転載を禁ずる Global site : http:/ /www.thk.com/ 東日本第一営業統括部 東 京 支 店 TEL 03(5434)0341 上 野 支 店 TEL 03(5812)2071 川 越 支 店 TEL 049(224)7180 仙 台 支 店 TEL 022(206)1301 秋田営業所 TEL 018(892)6061 宇都宮支店 TEL 028(683)2225 長 岡 支 店 TEL 0258(37)1011 日 立 支 店 TEL 029(271)9311 FAX 03(5434)0345 FAX 03(3832)3051 FAX 049(225)3187 FAX 022(206)1305 FAX 018(839)9560 FAX 028(663)4113 FAX 0258(37)0853 FAX 029(271)9313 東日本第二営業統括部 八王子支店 TEL 042(645)8101 厚 木 支 店 TEL 046(229)0808 静 岡 支 店 TEL 054(251)8261 沼津営業所 TEL 055(924)4001 浜 松 支 店 TEL 053(413)7871 甲 府 支 店 TEL 055(273)6827 諏 訪 支 店 TEL 0266(53)1144 上田営業所 TEL 0268(23)8506 FAX 042(646)0509 FAX 046(229)0809 FAX 054(251)8265 FAX 055(923)4854 FAX 053(413)7874 FAX 055(273)1159 FAX 0266(53)1146 FAX 0268(23)8507 中部営業統括部 名古屋支店 TEL 052(883)0851 豊 田 支 店 TEL 0566(82)3007 小 牧 支 店 TEL 0568(72)2031 金 沢 支 店 TEL 076(238)6158 中 部 O F C TEL 052(857)0311 FAX 052(883)0855 FAX 0566(82)3870 FAX 0568(73)1894 FAX 076(238)0246 FAX 052(857)0315 西日本第一営業統括部 大 阪 支 店 TEL 06(6222)8211 京 滋 支 店 TEL 077(553)2431 明 石 支 店 TEL 078(923)0621 西日本OFC TEL 077(553)6301 FAX 06(6222)8212 FAX 077(553)2421 FAX 078(923)6067 FAX 077(553)6341 西日本第二営業統括部 福 岡 支 店 TEL 092(474)4471 広 島 支 店 TEL 082(286)0789 福 山 支 店 TEL 084(973)1501 松 山 支 店 TEL 089(972)7411 熊 本 支 店 TEL 096(212)3630 海外営業統括部 TEL 03(5434)0351 FAX 03(5434)0353 【製品・技術に関するお問い合わせ先】 テクノセンター 応用技術統括部 〒144-0033 東京都大田区東糀谷4-9-16 TEL 03(5735)0225 FAX 03(5735)0273 ©THK CO., LTD. 011-0026_H4.indd 1 FAX 092(474)5429 FAX 082(286)0794 FAX 084(973)1502 FAX 089(972)7511 FAX 096(212)3633 201210030 J8 Printed in Japan 12.10.5 2:03:04 PM