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地中熱利用可能性調査報告書

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地中熱利用可能性調査報告書
地中熱利用可能性調査
報 告 書
(「緑の分権改革」推進事業)
平成 23 年 2 月
岐
阜
県
岐
阜
市
株式会社帝国建設コンサルタント
目
次
1. 地中熱利用可能性調査の概要 ......................................... 1
1-1 調査目的....................................................... 1
1-2 調査項目及び作業工程........................................... 1
2. 地中熱利用に関わる関連資料 ......................................... 2
2-1 対象地域の概説................................................. 2
2-2 地下水利用の経緯と動向......................................... 8
2-3 地盤沈下と地下水規制........................................... 9
2-4 地下水障害と地下水保全施策.................................... 15
2-5 ヒートポンプによる地中熱活用事例.............................. 17
3.地中熱利用可能性調査............................................... 20
3-1 地下水利用施設分布状況調査.................................... 20
3-1-1地下水利用の特徴と施設分布状況............................. 20
3-1-2 アンケート調査の概要と結果................................ 33
3-2 地質調査...................................................... 39
3-2-1 物理探査(微動アレー探査)................................ 39
3-2-2 地下水観測孔の設置........................................ 66
3-3 地下水位・水温一斉観測........................................ 74
3-4 地中温度検層.................................................. 82
3-4-1 地中温度検層(連続観測).................................. 82
3-4-2 地中温度検層(定期観測).................................. 96
3-5 水質調査..................................................... 123
3-6 河川流量調査................................................. 128
4.地下水賦存量と地中熱利用可能性の検討.............................. 131
4-1 地下水賦存量(涵養量)の検討 ................................ 131
4-2 将来的な気候変動に伴う賦存量変動予測の検討 .................. 139
4-2-1 単純モデル式と分析方法................................... 139
4-2-2 地下水位支配要因と影響係数............................... 142
4-2-3 気候変動に伴う賦存量への影響予測 ......................... 144
4-3 給湯や冷暖房への地中熱利用の可能性検討 ...................... 148
4-3-1 2次利用を含めた効率的な地中熱利用システムの検討.......... 148
4-3-2 地中熱利用に伴う周辺環境への影響検討..................... 152
4-4 設備導入効果・概算事業費算定及び補助制度等 .................. 162
4-4-1 地中熱利用上の特徴と賦存量評価........................... 162
4-4-2 概算事業費とコスト削減効果............................... 168
4-4-3 CO2 削減効果及び人工排熱削減量............................ 174
4-4-4 補助・支援制度........................................... 200
1.地中熱利用可能性調査の概要
1-1 調査目的
再生可能なクリーンエネルギーである地中熱を最大限に活用し、地域の低炭素化を推進
するため、地中熱の供給源である地下水資源(水量・熱量・水質)について、給湯や冷暖
房への地中熱利用の可能性を調査し、具体的な事業展開に向けた基礎資料を得る。
1-2 調査項目及び作業工程
関連資料の収集整理
地下水利用施設分布状況調査
地下水量(量に関する賦存量)
物理探査
ボーリング工
地下水位観測
河川流量観測
地下水賦存量(涵養量)の検討
地下水位連続観測
地下水位一斉観測
将来的な気候変動に伴う賦存量予測の検討
地下水温(熱に関する賦存量)
地下水温観測
給湯や冷暖房への地中熱利用の可能性検討
水温連続観測
水温定期観測
水温一斉観測
設備導入の効果・概算事業費算定
補助制度等の調査
地下水質(設備への影響)
水質既往資料調査
図 1-2-1 調 査 項 目
表 1-2-1 調査・検討の作業工程
作 業 日 程
種 別
平成22年
6月
7月
8月
9月
平成23年
10月
11月
12月
1月
2月
地中熱利用可能性調査
既往資料の収集と整理
関連資料の収集整理
追加調査(アンケート調査等)
地下水利用施設分布状況調査
現地踏査 ・ 微動アレー探査(8点)
物理探査
地質調査
ボーリング調査
掘削工(3カ所)
自記温度計による連続観測(インターバル1時間)
連続観測(自記)
地中温度検層
定期観測(手動)
地下水位・水温一斉調査
水質調査
地下水賦存量
(涵養量)の検討
別業務で実施
別業務で実施
既往資料に基づく整理・解析
河川流量観測
現地踏査
5測線
5測線
賦存量の検討
将来的な気候変動に伴う
賦存量変動予測の検討
給湯や冷暖房への地中熱利用の
可能性検討
設備導入効果・概算事業費算定
及び補助制度等調査
第1回検討会(7/6)
第2回検討会(11/17)
クリーンエネルギー検討会議
- 1 -
第3回検討会(2/2)
2.地中熱利用に関わる関連資料
2-1 対象地域の概説
(1) 地勢・地形・地質の状況
1) 地 勢
断面位置
岐阜市は、木曽・長良・揖斐の木曽三川
より形成された濃尾平野の北端部に位置し、
面 積 202.89km2 、 人 口 420,064 人 、 世 帯 数
170,213世帯の中核市である(
A
根尾川
百々ケ峰
11年2月1日
扇頂部
扇状地
現在)。
金華山
総面積のうち、降水の地下浸透域にあた
る耕地や森林の占める割合はそれぞれ20%、
長良川
30%程度であり全体の約5割を占める。
扇端部
自然堤防
2) 地 形
市街地の多くは、図2-1-1の地形分類図に
示すように長良川が形成した扇状地面に位
A
置する。この扇状地は、扇頂部を百々ヶ峰
0
∼金華山に連なる山塊に接し、西∼南に向
かって順次高度を減じる。長良堀田付近で
の扇頂部の標高は約25m、また、島や加納南
4km
図 2-1-1 地 形 分 類 図
(土地分類基本調査図より転記)
陽町付近での扇端部の標高は約10mであり、
この間の距離6∼8kmから地表勾配は概ね1/400∼500程度をなす。なお、長良川扇状地は西側に広
がる根尾川扇状地に連続するものと考えられ、これら扇状地に連なる氾濫平野には、旧河道の分
布を示す自然堤防の発達が随所にみられる。
3) 地 質
長良川扇状地を通
過す る南北方向 の地
質推 定断面図を 図2-
A
(扇端部)
(扇頂部)
細粒土
礫質土
れば 、山塊に連 続す
物が 被覆してお り、
0.0m
0.0m
砂質土
深部 は砂質土層 と細
砂質土
礫質土
細粒土
粒土 層を挟在す る礫
質土 層が主体を なし
基盤岩
(投影)
-50.0m
てい る。また、 市街
地に 相当する扇 状地
面の 表層部は砂 質土
標高
50.0m
長良川
木曽川
1-2に示す。本図によ
る基 盤岩を河川 堆積
A
長良川扇状地
標高
50.0m
-50.0m
0
図 2-1-2 地質推定断面図(南北断面)
(岐阜市:地下水 地質情報把握・分析調査業務 報告書,H20.3)
- 2 -
基盤岩
2km
∼礫質土より構成されるが、扇端部以南の表層部には軟弱な粘性土あるいは緩く堆積する砂質土
の分布がみられる。
(2) 気象及び地下水の状況
1) 降水量と気温
図2-1-3は、東京管区気象台・岐阜地方気象台における年総降水量の変化を1950年以降の60年
間について示したものである。同期間の平均値は1912mmであるが、長期的には4mm/年程度で減少
傾向を示す。また、図2-1-4は、2008年から2010年までの月総降水量の変化を示したものである。
年によって春季から夏季の降水量に大きな相違が見られるものの、岐阜地区では4月∼9月にかけ
ての豊水期と10月∼3月にかけての渇水期に大別できる。なお、2010年の年降水量2441mmは、過
去60年間でも2番目に多い豊水年であった。
3000
年総降水量 (mm)
2500
2000
1500
1000
500
0
'50
'60
'70
'80
'90
'00
'10
図 2-1-3 年総降水量の経年変化(岐阜)
月総降水量 (mm)
500
400
300
200
100
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2008 年
2009 年
2010 年
図 2-1-4 月総降水量の経年変化(岐阜)
図2-1-5は、岐阜地方気象台における1950年以降の日平均気温、平均日最高気温、平均日最低
気温の変化を示したものである。過去60年間の日平均気温は15.4℃で、平均日最高気温と平均日
最低気温の差は概ね20℃程度である。長期的には、最高・平均・最低とも0.02∼0.03℃/年程度
で上昇傾向を示す。また、図2-1-6は、2008年から2010年までの日平均・日最高・日最低気温の
月変化を示したものである。各月の日最高と日最低気温の差は概ね10℃程度で、7月もしくは8月
と1月をピークとした気温変動サイクルが続いている。
- 3 -
30
25
気温(℃)
平均日最高
20
日平均
15
10
平均日最低
5
'50
'60
'70
'80
'90
'00
'10
図 2-1-5 日最高・日平均・日最低気温の経年変化(岐阜)
50
日平均気温
日最高気温
日最低気温
気 温 ( ℃)
40
30
20
10
0
-10
1 2
3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 1 2 3 4
‘08
5 6 7 8
9 10 11 12 1
2 3 4 5
‘09
6 7 8 9 10 11 12
‘10
図 2-1-6 日最高・日平均・日最低気温の月変化(岐阜)
2) 地下水位変動の推移
図2-1-7には、岐阜地域に設置される
地下水位観測井及び河川水位観測地点
中西郷井
深度 30m
の位置を示す。なお、同図のうち岐阜
県所管の岐阜井と柳津井は深度100∼
西改田井
深度 7m
250mの深層被圧地下水を、また、岐阜
萱場井
深度 7m
市所管の6地点は深度30m以浅の浅層不
長良
忠節
圧地下水を対象とする。河川水位観測
金華山
地点は国土交通省所管の5地点である。
天満公園井
深度 10m
図2-1-8∼図2-1-10は、各観測地点の
前一色井
深度 10m
月平均地下水位と月平均河川水位の経
年変化を示したものである。同図より、
穂積
岐阜市北部や東部の観測井(中西郷・西
改田・萱場・前一色)では、夏期に地下
水位が上昇し冬期に地下水位が低下す
る特徴を示す。これに対し、市街地か
岐阜井
深度 250m
華陽フロンティア高井
深度 8m
墨俣
ら南部の観測井(天満公園・華陽フロン
柳津井
深度 100m
笠松
凡
例
:地下水位観測井
:河川水位観測地点
ティア高・岐阜・柳津)では、夏期に地
下水位が低下する特徴がみられる。ま
図 2-1-7 水位観測地点配置図
た、これらの観測井では、平成12年以
(岐阜市:H19年度 地下水、地質情報把握・分析調査業務 報告書)
降水位上昇傾向を示す。
- 4 -
16
標 高 (m)
15
14
13
中西郷井
12
11
西改田井
10
前一色井
地
9
下
8
水
7
位
6
萱場井
岐阜井
天満公園井
5
柳津井
4
華陽フロンティア高井
月
総
降
水
量
(mm)
3
2
600
1
400
0
200
-1
S58
S59
S60
S61
S62
S63
H01
H02
H03
H04
H05
H06
H07
H08
H09
年
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
0
H22
月
図 2-1-8 月平均地下水位の経年変化
16
月平均地下水位 (T.P.m)
14
岐阜井
12
柳津井
10
西改田井
萱場井
8
天満公園井
6
前一色井
4
中西郷井
華陽フロンティア
2
0
H20.4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
2
3
H21.4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
2
3
平成21年度
平成20年度
図 2-1-9 月平均地下水位変動図
20
18
月平均河川水位 (T.P.m)
16
14
長良(長良川)
12
忠節(長良川)
10
穂積(長良川)
8
6
墨俣(長良川)
4
笠松(木曽川)
2
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
平成20年度
18
19
20
平成21年度
図 2-1-10 月平均河川水位変動図
- 5 -
21
22
23
24
一方、図2-1-11は、岐阜市南部地区に設置される岐阜井、柳津井、岐南井と、下流域である羽
島地区及び一宮地区に設置される地下水位観測井について、月平均地下水位の経年変化を対比し
たものである。岐阜市南部地区も含め地下水位は一様に回復傾向を示しているが、特に、愛知県
で実施された地下水揚水規制の効果もあり南部域ほど顕著な水位回復を見せている。岐阜市内の
地下水位変動の特徴については、図2-1-8にも示したように、天満公園井で1m程度の経年的な水
位回復が見られるのみで概ね安定した水位変動が続いている。このような状況から判断すると、
南部地域で見られる水位回復傾向には、濃尾平野南部地域を中心とした広域な地下水利用量の減
少が影響しているものと想定され、岐阜地域での地下水利用に伴う影響が岐阜市南部地域にまで
及んでいる可能性は非常に小さいといえる。
10.00
岐阜 (深度250m)
羽島 (深度350m)
柳津 (深度100m)
岐南 (深度100m)
一宮(深度70m)
8.00
岐南
6.00
岐阜
地下水位(T.P.m)
4.00
柳津
2.00
一宮
0.00
-2.00
羽島
-4.00
-6.00
72
74
76
78
80
82
84
86
88
90
92
94
96
98
00
02
04
06
08
10
西 暦
図 2-1-11 岐阜市南部地域における月平均地下水位変動の対比
(東海三県地盤沈下調査会:濃尾平野の地盤沈下の状況)
さらに、図2-1-12は長良川(忠節)における月平均河川水位の経年変化を示したものである。平
成17年1月を境に数10cm程度の顕著な水位低下を示しているが、これは同時期に実施された長良
川での河床掘削の影響と考えられる。
降
水
量
標 高 (m)
12
河
川
水
位
(mm)
11
600
10
400
9
200
8
0
S58
S59
S60
S61
S62
S63
H01
H02
H03
H04
H05
H06
H07
H08
H09
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
年 月
図 2-1-12 長良川における月平均河川水位変動の変化
- 6 -
H20
H21
H22
3) 地下水面分布と地下水流動の特徴
図2-1-13は、消防用井戸を用いた地下水位一斉観測による平成19年11月と平成20年2月の観測
結果に基づく地下水位等値線図を示したものである。各等値線図からは表2-1-1に示す地域別地
下水流動の特徴が判読される。
平成 20 年 2 月
平成 19 年 11 月
a
b
b
a
d
d
e
e
c
c
0
0
2km
2km
図 2-1-13 地下水位等値線図と地下水流動系の区分
(岐阜市:H19年度 地下水、地質情報把握・分析調査業務
報告書)
表 2-1-1 地下水流動区分と水位変動の特徴
流動区分
水位変動の特徴
水位は降水量の増加する夏期に高く、冬期
に低下する。年間の水位変動幅は2∼3m程
度と大きい。
水位は夏期にも顕著な水位上昇を生じるこ
とはなく、年間の水位変動幅は1∼2m程度
にとどまる。
aと同様に、水位は夏期に上昇し冬期に低
下する。年間の水位変動幅は2∼3m程度と
なる。
代表観測井
a
北西部で南へ向かう流れ
b
金華山北側の長良川右岸で東から
西へと向かう流れ
c
金華山南側での東北東から西南西
へ向かう流れ
d
金華山西側での長良川から南南西
に向かう流れ
水位の年間を通じた変動幅は1∼2m程度で
ある。6∼9月に水位低下を生じる。
天満公園井
e
岐阜市街地∼市街地南部で北北東
∼南南西に向かう流れ
水位はdと酷似した挙動を示す。6∼9月の
水位低下量も同程度である。
華陽フロンティア高井
- 7 -
中西郷井
萱場井
前一色井
2-2 地下水利用の経緯と動向
(1) 岐阜市における地下水利用の経緯
岐阜市の地下水利用に関する調査資料としては、昭
和55年3月に報告された「昭和54年度 岐阜市地下水利
用実態調査報告書」がある。同報告書によれば、昭和
図 2-2-1 地下水利用の用途
54年当時、市内8,704箇所の事業所において計9,427本
(S54年度
の井戸所有が報告されており、1日当たりの総揚水量
岐阜市地下水利用実態調査報告書)
は454,775m3/日程度と推定されている(図2-2-1に地下水利用の用途を示す)。
4500
25
4000
20
3000
3
揚水量 (万m /日)
井戸本数 (本)
3500
2500
2000
1500
1000
15
10
5
500
0
0
0.1∼9.9m
10.0∼29.9m 30.0∼49.9m 50.0∼99.9m
100m以上
0.1∼9.9m
10.0∼29.9m 30.0∼49.9m 50.0∼99.9m
井戸深度区分
図 2-2-2 深度別井戸本数
(S54年度
100m以上
井戸深度区分
図 2-2-3 深度別揚水量
岐阜市地下水利用実態調査報告書)
(S54年度
岐阜市地下水利用実態調査報告)
また、深度別の井戸本数と深度別の揚水量を図2-2-2と図2-2-3に示す。図2-2-2より、井戸本数
は10∼30m未満の井戸が最も多く、また、深度別の揚水量では、30m∼50m未満の井戸で最も多くな
っている。さらに、掘削年次別の井戸本数では、総計9,427本のうち昭和40年以前に掘削された井
戸が42%にあたる3,966本であり、岐阜市では以前から井戸利用が盛んであったことが伺われる。
(2) 最近の地下水利用の動向
100,000
岐阜市では、平成15年4月1日に施行
80,000
「H19 年度地下水、地質情報把握・分析
調査業務委託」報告書より
79,078
づき、所定の揚水設備を設置する場合
には届出を行うことが義務づけられて
いる。図2-2-4は、届出井戸の深度別
揚水量(千m3)
された「岐阜市地下水保全条例」に基
60,000
40,000
18,237
20,000
13,580
年間揚水量を比較したものである。近
6,802
6,126
9,567
1,846
1,516
0
年、揚水量の大部分は深度20m未満の
浅井戸から行われており、過去と比べ
∼19m
20m∼29m
30m∼39m
40m∼49m
50m∼59m
60m∼69m
70m∼
不明
井戸深度
図 2-2-4 届出井戸の深度別年間揚水量の比較
て揚水形態に変化が生じている可能性
がある。図2-2-5には届出井戸の日平
「平成 19 年度クールシティ推進事業 報告書」より
均揚水量を月別に示した。6月∼9月の
夏期には40万m3/日程度の揚水量である
が、それ以外の時期には概ね20万m3/日
程度の揚水量で推移している。
図 2-2-5 届出井戸の日平均揚水量
- 8 -
2-3 地盤沈下と地下水規制
(1) 地盤沈下の推移と事例研究
1) 濃尾平野における地盤沈下の推移
濃尾平野における地盤沈下問題は、昭和34年の伊勢湾台風に伴う高潮・洪水・内水氾濫等の災
害調査に端を発する。水準点観測が開始された昭和36年当時の海抜ゼロメートル地帯の面積は約
186km2であったが、地盤沈下の進行を示すように昭和40年代末には250km2と拡大し、昭和53年に
は約274km2に達している。その後、揚水規制などの各種地盤沈下対策の効果によって濃尾平野南
部の地盤沈下は沈静化し、海抜ゼロメートル地帯の拡大も生じていない。一方、東海三県地盤沈
下調査会が実施する水準点観測によれば、濃尾平野における累積地盤沈下量は、平野南部地域を
中心に最大140cm程度に達しているものの、平野周辺地域での累積沈下量は20cm未満と小さい(図
2-3-1)。また、年間沈下量1cm以上を示す地域は、昭和50年代末以降、それまでの木曽三川河口
周辺部から岐阜県南西部(図2-3-2)へ移行する傾向にある。
岐阜市
岐阜市
岐阜県
岐阜県
愛知県
愛知県
1cm以上の沈下域
1cm以上の沈下域
三重県
三重県
平成 14 年
図 2-3-1 累積沈下量等値線図
(昭和36年∼)
平成 18 年
図 2-3-2 年間沈下量 1cm 以上を示す範囲の経年的な推移
(東海三県地盤沈下調査会:濃尾平野の地盤沈下の状況)
2) 岐阜市域における地盤沈下状況
岐阜県は「濃尾平野地盤沈下防止等対策要綱」において観測地域(図2-3-5参照)に指定され
ている。このため、地盤沈下要因となる軟質な粘性土層が厚く堆積する岐阜市南部地域(国道21
号以南の地域)では、東海三県地盤沈下調査会による沈下観測が昭和40年代後半から継続的に行
われている。なお、同地域における過去20年間の累積沈下量は5cm前後と小さいものである。
これに対し、岐阜市街地や南部地域を除く周辺域では、長良川扇状地を中心に、地下水の汲上
げに伴う広域な地盤沈下の恐れがない砂・砂礫地盤を主体としている。このため、当該地域では
これまでにも地下水利用に起因した広域的な地盤沈下による障害等の報告はなされていない。
3) 地盤沈下に関わる事例研究
濃尾平野で報告されている地盤沈下の沈静化は全国的にもみうけられる傾向である。しかし、
粘性土層が厚く堆積するとともに、地下水採取が盛んな地域では現在でも年間1∼2cm以上の地盤
沈下が生じている。特に、近年では農業用や消雪用としての地下水利用が盛んな地域において、
- 9 -
地盤沈下が進行する特徴がみられる。
ここで、図2-3-3は、全国で地盤沈下が認められた主な地域と、現在から約170万年前に相当す
る年代に堆積した地層の分布を示したものである。両者の分布には重なりがみられ、地盤沈下と
地質が密接な関係にあることが伺える。さらに、図2-3-4は平成21年度までに地盤沈下が認めら
れた主な地域(64地域)と、平成21年度に年間2cm以上の地盤沈下が認められた地域(6地域)を示し
たものである。
図 2-3-3 全国の地盤沈下地域
図 2-3-4 平成21年度全国の地盤沈下の状況
(出典:平成21年度 全国の地盤沈下地域の概況、環境省)
- 10 -
以下には、広域な地盤沈下現象が軟質な地盤状況を背景に生じている代表的な事例として、図
2-3-4に示す各地域のうち、消雪用の地下水利用が多い新潟県高田平野、水道用としての採取が
多い兵庫県大阪平野、および農業用地下水利用が盛んな佐賀県筑後・佐賀平野について、各地区
の地盤状況と地盤沈下の関係等をまとめる。
事例-1 新 潟 県 高 田 平 野
地盤沈下の概要
・高田平野の地下水利用は、上越市が大正11年に上水道水源を地下水に求めたの
が始まり。その後、工業用の地下水利用量が増大。
・昭和30年代後半から地下水位の低下が顕在化。昭和40年から地下水位と地盤収
縮量の観測を開始。また、昭和43年から水準測量を実施。
・昭和45年には1年間の沈下量が6.4cmを記録。
・昭和47年には、事業者による工業用地下水揚水量の自主規制、昭和49年には新
潟県公害防止条例による地下水採取規制が始まる。
・昭和50年代になると、豪雪時の消雪用地下水の揚水による地下水位低下とそれ
に伴う地盤沈下が顕在化。
・近年、消雪用地下水揚水量削減のための対策や、冬季の地下水位低下時の緊急
時対策などが実施され、地盤沈下は小康状態を維持。
地形地質の概要
・関川及びその支流の河川によって形成された沖積低地にあり、軟質な粘性土層
の層厚は、臨海部では60m程度に達する。
・平野周辺には段丘が形成され、海岸部には砂丘が発達している。平野部の大部
分は沖積面を形成する高田層(高田面)よりなり、西側の山地と東側の丘陵部に
は新第三系が分布する。
・第四系の層厚は中央部で300∼400mに達し、最も厚い地点は430mに達する。第四
系中に分布する連続の良い砂礫層は、上位よりG1層∼G5層と呼ばれる。
地下水採取状況
・上越地区における地下水は、消雪用、工業用、水道用、建築物用等として採取
され、昭和60年度当時で、年間3,960万m3 となっている。このうち、消雪用は
1,900万m3と約5割を占めている。
地盤沈下の状況
・高田平野の地盤沈下地域は平野全体に及び、沈下面積は約240km2である。
・観測開始の昭和43年から平成21年までの累積沈下量の最大値は約46cmであり、
年間沈下量の最大値は、昭和58年∼59年の10.0cmであった。
・平成21年度の水準測量の結果では、調査面積191km2のうち沈下面積は176.6km2で
あり、年間最大沈下量は0.8cmであった。
・高田平野では、消雪用地下水の揚水の影響により、冬季に地下水位低下量及び
地層収縮量が著しく増大する。
・高田G2観測井(上越市栄町)では、
昭和59年、60年、61年の冬季におい
てそれぞれ8.9cm、6.8cm及び5.9cm
の地盤収縮量を記録。平成21年冬季
(平成20年12月∼平成21年3月まで)
の高田G2観測井における観測結果で
は、地下水位(日平均値)の最大低下
量は2.4m(前年度:6.8m)、地盤収縮
量の最大値は0.9cm(前年度:2.5cm)。
被害の状況
・深井戸の抜け上がりが目立ち、高田市街地では局所的に建物の不等沈下による
影響が生じている。海岸付近では地下水位の低下により、塩水化が生じてい
る。
(出典:環境省 全国地盤環境情報ディレクトリー 新潟県「高田平野」より)
- 11 -
事例-2 兵 庫 県 大 阪 平 野
地盤沈下の概要
・対象地域である兵庫県南東部の尼崎市、西宮市、伊丹市等は、戦前より大阪市
と一体となって著しい地盤沈下を経験してきた地域である。
・昭和10年頃から昭和16年頃までは、年間数cm以上の沈下がみられた。その後、
終戦後の昭和25年頃までは他の地域と同様な戦災に伴う地盤沈下の停滞期であ
るが、復興とともに再び生じ始めた地盤沈下は、昭和30年頃から一層激しくな
り、年間沈下量も20cm程度に達した。
・昭和32年に尼崎市の一部が工業用水法の指定地域となって以来、工業用地下水
の採取規制が進められ、昭和40年頃から急激に沈下量が減少し、最近では海岸
近くに年間1cm程度の沈下を示す地域が局部的に残る程度になっている。
地形地質の概要
・大阪平野の西部に該当し、武庫川の形成した扇状地と下流の氾濫平野及び三角
州からなり、臨海部は古くからの埋立地である。
・地質的には第三紀末より引続く造盆地運動が生じた地域の面の一角にあたり、
基盤岩の上に鮮新∼洪積世の大阪層群が分布する。
・平野の広い地域には、沖積世の軟質な粘土層が広く分布し、最大厚さは30m程度
である。
地下水採取状況
・本地域の地下水採取料は、統計資料によれば、上水道で62.1千m3/日(平成20年
度)である。
・昭和52年度に実施した地下水揚水量等実態調査によれば、尼崎、西宮、伊丹、
宝塚及び川西市における揚水量は95千m3/日で、水道用82%、工業用18%となって
いる。
・地盤沈下の範囲は、尼崎、伊丹の両市及び西宮市南部であり、過去においては
尼崎市の臨海部の被害が著しかった。
・経年的には、沈下量は昭和30年代が大きく、昭和36年に国鉄尼崎駅付近で年間
19.6cmという大きな沈下量が認められた。昭和40年以降は年間10cmを超える沈
下は生じていない。
・最近の年間最大沈下量は、年平均で約2.6cm(平成20年∼21年に約8cm)とな
り、海岸付近以外の地域ではほとんど沈下はみられない。
・累積沈下量は、尼崎市の臨海部がもっとも大きく、約298cmに達している。ま
た、地下水位は近年ほぼ横這い状態である。
地盤沈下の状況
被害の状況
・地盤沈下による直接的な被害としては、工場、事業場等の敷地の沈下によって
操業不能に陥った所があるほか、堤防や鉄道の沈下、ビルの抜け上がり、護
岸、上水道の破壊などが一部地域で認められている。
・間接的な被害としては排水不良が一部で認められる。
・尼崎市の臨海部には約16km2のゼロメートル地帯(平成4年度調査)がある。
(出典:環境省 全国地盤環境情報ディレクトリー 兵庫県「大阪平野」より)
- 12 -
事例-3 佐 賀 県 筑 後 ・ 佐 賀 平 野
地盤沈下の概要
・本地域の地盤沈下は昭和32年頃より生じたと推定されるが、昭和35年、白石平
野の背後山麓線に沿って、幅300m、長さ5kmにわたる亀裂を伴った凹溝状の沈下
帯が出現し注目されるようになった。
・その後は昭和48年に年間最大約13cmの沈下を観測したのをはじめ、全般的にか
なりの沈下が続き、その範囲も有明海北岸平野部の殆ど全域に拡大した。
・最近、佐賀市内の沈下は鈍化しており、白石地区でも近年やや鈍化しているも
のの、渇水年であった平成6年度は年間最大約16cmの沈下が生じた。
・この地域の地下水は、佐賀地区ではその殆どが工業用水及び建築用水として、
白石地区では平成13年に水道用水が表流水に転換されたことにより、現在では
殆どが農業用水として利用されている。
・県は、昭和49年7月、公害防止条例を改正して地下水採取の規制を開始、現に生
じている沈下を抑えるには、総合的な用水対策が必要と考えられている。
地形地質の概要
・佐賀平野は主に、筑後川、六角川、その他の河川の堆積作用による浅海性堆積
物及びローム(沖積世の有明粘土層)が海退により、あるいは臨海部では古くか
らの干拓により陸化したもので、平野のかなりの部分が三角州である。
・軟質な有明粘土層は厚さ10∼30m、この下位は粘土、シルト∼砂礫互層からなる
洪積層であって、主要な帯水層は深度約50m以深にある平均厚さ120m程度の砂礫
層である。
地下水採取状況
・佐賀平野の地下水採取量は、吐出口断面積21cm2を超える井戸を対象とした県調
査(21年度)によれば約6.8百万m3/年で、このうち佐賀地区の地下水採取量は約
2.4百万m3/年で工業用が約92%を占め、建築物用がこれに続いている。
・白石地区の地下水採取量は、約4.4百万m3/年で、農業用が約100%を占めている。
・全体として佐賀地区については横這い状態であるが、白石地区については灌漑
期の降雨により大きく左右される。
・地盤沈下の範囲は、佐賀市周辺とJR長崎本線及び旧佐賀線以南の佐賀平野一帯
に及ぶ約327km2となっており、特に、白石地区の沈下量が多い。
・経年的にみると、江北町内で昭和41年∼昭和45年の間に約90cmの沈下量を記録
したが、全般的には年間数cmのオーダーで沈下している。
・平成21年度の年間沈下量の最大は、佐賀市久保田町(佐賀地区)で1.71cmであ
り、累計沈下量の最大は白石町(白石地区)で約124cm(昭和32年12月∼平成22年2
月)となっている。
地盤沈下の状況
被害の状況
・学校、官庁等の建築物の基礎杭抜上がりによる脆弱化、道路との段差の発生、
道路、水路の沈下による機能低下が生じている。また、排水路の水位に対する
余裕高が不足し、排水不良の地域が生じている。
・海岸部での塩水化
(出典:環境省 全国地盤環境情報ディレクトリー 佐賀県「筑後・佐賀平野」より)
- 13 -
(2) 地下水規制の経緯と監視体制
1) 濃尾平野地盤沈下防止等対策要綱
濃尾平野では、総合的な地盤沈下
防止対策を推進するため、昭和60年
4月地盤沈下防止等対策関係閣僚会
議において「濃尾平野地盤沈下防止
等対策要綱」が制定(平成7年9月一
部改正)され、地盤沈下の防止と併
せて地下水の保全を図るため、地域
の実情に応じた総合的な対策が推進
されている。同要綱では、対象地域
を下記に示す規制地域と観測地域に
区分している。
①規制地域:地下水採取に係る目標
量を設定し、その遵守
のための規制、代替水
源の確保、代替水の供
給及び地盤沈下による
災害の防止等に関する
図 2-3-5 濃尾平野地盤沈下防止等対策要綱の対象地域
(東海三県地盤沈下調査会:平成19年度における
濃尾平野の地盤沈下の状況)
措置を講ずる区域。
②観測地域:地盤沈下、地下水位等の状況の観測又は調査等に関する措置を講ずる区域
このうち、岐阜市域は観測地域に該当し、各行政機関によって地下水位・地盤沈下観測が続け
られているが、過去20年間における年平均沈下量は2.5mm程度と小さいものである。
2) 岐阜地区地下水対策協議会
岐阜地区では、より広域的な地下水対策を図るため昭和50年に3市4町を会員として岐阜地区地
下水対策協議会が設立された。その後、昭和58年からは概ね日量千立方メートル以上地下水を汲
み上げる企業等に参加を求め、平成21年度現在では県3部局、5市3町、38団体の計49団体より構
成されている。地下水揚水量、地下水位等の調査を行うとともに、地下水の適正かつ合理的な利
用の推進をはかるための取組みが実施されている。(岐阜市ホームページより)
- 14 -
2-4 地下水障害と地下水保全施策
(1) 地下水障害事例
岐阜市内において報告された昭和50年代以降の地下水障害には、建設工事等に起因した水位低
下による井戸の揚水障害、および汚染物質の混入による水質障害がある。
1) 井戸揚水障害
① 広域河川改修に伴う井戸枯渇
昭和51年9月の台風17号に伴う「9.12 豪雨災害」に端を発した激甚災害対策特別緊急事業で
は、岐阜市内の中小河川を対象に、河床の切下げや護岸改修等の工事が広域に実施された。こ
れに伴い、市内北部を流下する鳥羽川流域では、河川沿いに設置された井戸(主に深度5∼10m
程度の浅井戸)において、工事に伴う井戸枯渇が多発したとの報告がある。また、天神川ある
いは両満川等の河川改修に際しても、一部の既設井戸では井戸枯れや揚水量の減少等が報告さ
れたが、これらの多くは工事期間中の一過性の場合が多かった。
② 大型建物建築に伴う井戸障害
岐阜市内で行われた大型建物(ビル等)の基礎掘削に伴う障害発生報告は少なく、また、報告
があった場合でも、局所的かつ工事に伴う地下水処理期間中の一過性のケースが多い。
2) 水質障害
岐阜市内では、平成15年2月までの調査により、表2-4-1と図2-4-1に示す8地区においてテトラ
クロロエチレン等による地下水汚染が判明している。
このうち、南部、鶯谷・殿町、真砂町西側の3地区では平成16年度までに浄化対策が実施され、
現在でもモニタリング調査により経年的な汚染状況の変化や浄化対策効果の追跡が進められてい
る。また、このような継続的な監視の結果に基づ
き、南部地区については平成20年7月に顕著な改善
A
傾向と汚染エリアの縮小傾向が報告されている。
なお、表2-4-1に記した要監視地区とは、汚染が
認められるものの、周辺に井戸水利用(飲用)のな
い地区や現在では汚染が終息している地区とされ
ている。
表 2-4-1 市内の地下水汚染
記号
地区名
備考
A
新粟野地区
B
南部地区
汚染地区
C
厚見地区
D
切通地区
E
岩地地区
要監視地区
F
真砂町西側地区
汚染地区
G
鶯谷・殿町地区
H
上加納地区
要監視地区
長良川
金華山
F
H
G
E
D
B
C
0
2km
(出典:岐阜市ホームページ)
図 2-4-1 市内の地下水汚染地区の分布
(出典:岐阜市ホームページ)
- 15 -
(2) 岐阜市における地下水保全施策
岐阜市では、地下水及び土壌を汚染から守り地下水を適正に利用するとともに、その涵養を図
ることによって、市民の健康と生活環境を保護し秩序ある事業活動の促進を図るため、平成15年4
月1日に「岐阜市地下水保全条例」が施行された。同条例のうち、揚水施設設置者及び地下水影響
工事等を行う者に対する責務として、下記内容が定められている。
1) 揚水設備設置者の責務
・揚水設備の届出(第11条)
ポンプの能力が1.5kw以上で、吐出口の内径が40mm以上(吐出口が二つ以上ある場合は、
それらの合計とする。)の設備は、市長に届け出なければならない。
・揚水量の報告(第16条)
揚水設備の届出をした者は、年間(4月1日から翌年の3月31日までの期間)の揚水量を市長
に報告しなければならない。
2) 地下水影響工事等を行う者の責務
・地下水影響工事等の届出(第20条)
次の工事に該当する場合は、その工事を開始する7日前までに、その内容について市長
に届け出なければならない。
(a) 掘削する深さが10mを超え、かつ建築面積が1,000m2を超えるもの
(b) 掘削する深さが10mを超える砂利採取
・地下水影響工事等による地下水への影響防止(第21条)
(a) 地下水影響工事等の届け出をした者は、その工事により、地下水の水質又は水位に
影響を与えるおそれがあるときは、あらかじめその工事を行う付近の住民に対する
説明及び地下水位の調査等を行わなければならない。
(b) 地下水影響工事等の工事施工者は、その工事により、地下水の水質又は水位に影響
を与えたときは、その工事を行った付近の住民に対し、説明及び協議を行うととも
に、地下水の水質検査等必要な措置を講じなければならない。
(c) 地下水影響工事等の工事施工者は、その工事により生じた汚濁水を公共用水域へ排
出するときは、土砂の沈殿処理、pH調整等の浄化措置をしてから排出しなければな
らない。
(出典:岐阜市ホームページより抜粋)
- 16 -
2-5 ヒートポンプによる地中熱活用事例
事例-1
名
称
愛知県小牧市市内4箇所個別住宅
所 在 地
愛知県小牧市
施工年月日
2003∼2004 年
建築物用途
戸建て個人住宅(延べ床面積 130m2)
システム用途
冷暖房
システム区分
井水井/還元井
ヒートポンプ能力
冷却能力:4.5kw,加熱能力:4.5kw
備
考
井水を汲み上げ採熱後、全量地下還元している。
出
典
地中熱利用促進協会
事例-2
名
称
所 在 地
犬山里山学センター
愛知県犬山市
施工年月日
−
建築物用途
−
システム用途
冷暖房
システム区分
熱交換井 30m×8 本
ヒートポンプ能力
−
備
考
−
出
典
地中熱利用促進協会
称
地中熱利用ヒートポンプシステムによる冷暖房・給湯システム
事例-3
名
所 在 地
滋賀県長浜町
施工年月日
2001 年 11 月
建築物用途
オフィス(延べ床面積 140m2)
システム用途
冷暖房・給湯
システム区分
杭 6m×15 本
ヒートポンプ能力
冷却能力:5.6kw,加熱能力:6.5kw
備
考
(財)新技術開発事業団補助事業
出
典
地中熱利用促進協会
- 17 -
事例-4
名
称
所 在 地
四日市市
I邸
三重県四日市市
施工年月日
−
建築物用途
−
システム用途
空調(冷暖房),床暖房
システム区分
熱交換井 50m×2 本,20m×2 本
ヒートポンプ能力
−
備
考
−
出
典
地中熱利用促進協会
事例-5
名
称
所 在 地
緑翠亭
景水
長野県大町市
施工年月日
−
建築物用途
温浴施設
システム用途
給湯
システム区分
揚水井戸:径 80mm,深度:100m,汲上量:800 ㍑/min
ヒートポンプ能力
高効率排熱回収型ヒートポンプチラー
備
考
井戸から汲上げ熱利用後に地下に還元している。
出
典
ゼネラルヒートポンプ工業株式会社
※ 「地中熱利用促進協会」
:http://www.geohpaj.org/
「ゼネラルヒートポンプ工業株式会社」:http://www.zeneral.co.jp/
※ システム区分において「杭」表記のあるものは、基礎杭を用いた熱交換方式を示す。
- 18 -
事例-6
名
称
所 在 地
飛騨川温泉
しみずの湯
岐阜県下呂市萩原町
施工年月日
−
建築物用途
温浴施設
システム用途
冷暖房,給湯,床暖房
システム区分
排湯槽 10∼40℃,80t
ヒートポンプ能力
高温型排湯熱源ヒートポンプ
備
考
浴槽に利用した温泉水の排熱をヒートポンプの熱源として活用。
出
典
ゼネラルヒートポンプ工業株式会社
事例-7
名
称
所 在 地
福井県教育センター熱源設備工事
福井県福井市
施工年月日
2003 年 3 月
建築物用途
公共施設(延べ床面積 1,510m2)
システム用途
冷暖房
システム区分
PHC 杭 25m70 本
ヒートポンプ能力
冷却能力:72kw、加熱能力:68kw
備
考
水蓄熱槽使用
出
典
地中熱利用促進協会
事例-8
名
称
所 在 地
篠山市西紀運動公園温水プール熱源設備工事
兵庫県篠山市
施工年月日
2004 年 2 月
建築物用途
公共施設(延べ床面積 2,367m2)
システム用途
冷暖房、給湯、融雪
システム区分
熱交換井 100m×40 本
ヒートポンプ能力
加熱能力:480kw
備
考
NEDO 地域エネルギー普及促進事業
出
典
地中熱利用促進協会
- 19 -
3.地中熱利用可能性調査
3-1 地下水利用施設分布状況調査
3-1-1 地下水利用の特徴と施設分布状況
本節では、表3-1-1に示す資料をもとに、岐阜市域における地下水利用の特徴と利用施設の分布
についてまとめる。
表 3-1-1 検討対象とした資料
資料名
所
管
岐阜市地下水保全条例届出資料
平成19年度
地下水、地質情報把握・分析調査業務委託
岐阜市 自然共生部 自然環境課
報告書
打込井戸設置記録
(1) 揚水量の変動
岐阜市地下水保全条例届出資料(以下、届出資料と称する)によれば、平成17年度∼平成21年
度の岐阜市域における総揚水量は
160
図3-1-1のようにまとめられる。
年度総揚水量 (百万m3)
平成17年度∼平成21年度の総揚
3
水量は、0.9∼1億m /年前後で推移
している。
一方、図3-1-2ならびに表3-1-2
は、届出資料における平成17年度
120
99.3
99.1
100.7
99.5
89.3
80
40
∼平成21年度の月総揚水量を対比
0
したものである。
平成17年度
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
4月に6.5百万m3 程度であった月
図 3-1-1 年総揚水量の対比
総揚水量は5月∼7月の間に増加を
続け、7月には11∼12百万m3に至る。8月の総揚水量は7月と同程度であるが、9月以後顕著な減
少局面に入り、11月
14.0
少して以後、その水
12.0
準で推移する。
ここで、図3-1-2と
表3-1-2において、平
成21年度と他年度の
資料を対比すると、
平成21年度にあって
は6月∼10月の揚水量
月総揚水量 (百万m3)
には4月の水準まで減
平成17年度
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平均値
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
4月
5月
6月
が他年度の揚水量に
7月
8月
9月
10月
11月
12月
図 3-1-2 月総揚水量の対比
対して少ない。
- 20 -
1月
2月
3月
前掲の図3-1-1に示した
表 3-1-2 月総揚水量の対比
年度総揚水量の対比におい
月総揚水量 (百万m3)
て、平成21年度の揚水量が
3
他年度よりも約1千万m 減
少している状況は、同年6
月∼10月の揚水量が他年度
よりも少なかったことに起
因している。
(2) 揚水量の平面的分布
表3-1-2の届出資料にお
平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
6.4
8.0
10.5
12.0
11.0
10.5
8.8
6.3
6.6
6.4
6.0
6.5
6.3
8.4
10.6
12.0
11.5
11.0
8.4
6.1
6.4
6.2
5.9
6.5
6.4
9.0
10.2
11.3
12.0
10.8
7.9
6.3
6.5
6.3
6.2
6.5
6.6
9.9
10.0
12.3
12.0
9.6
8.1
6.4
6.6
6.5
6.1
6.5
6.4
9.2
9.7
8.8
9.4
8.0
6.7
6.2
6.4
6.3
5.9
6.3
平均値
6.4
8.9
10.2
11.3
11.2
10.0
8.0
6.3
6.5
6.4
6.0
6.5
ける総揚水量と揚水井の分
布、ならびに条例の対象とならない小規模な打込井戸の分布を、東西方向800m、南北方向600m
の地図情報レベルのメッシュごとに集計し図3-1-3∼図3-1-13に示す。
表 3-1-3 図示した資料一覧表
図
番
図3-1-3∼図3-1-7
図3-1-8∼図3-1-12
図3-1-13
整理対象
年度ごとの総揚水量
(揚水施設約700箇所)
揚水井の分布
(揚水施設約700箇所)
打込井戸の分布
(約9200箇所)
参照資料
岐阜市地下水保全条例届出資料
打込井戸設置記録
これらについては、以下の状況がみられる。
1) 図3-1-3∼図3-1-7は揚水機の能力1.5kw以上で、かつ吐出口の内径40mm以上の比較的規模の
大きな揚水のみを対象とした集計であるが、揚水量の分布は山塊を除く市域の全域に及ん
でいる。
2) 長良川以南において25∼50万m3/年以上の揚水がなされている区域は、笠松町∼岐南町に接
する市域南部に集中している。
3) 長良川よりも北側において2)の規模の揚水がなされている区域は、集中することはなく散
逸的に分布する。
4) 図3-1-8∼図3-1-12に見られるように、1メッシュにおける揚水井の数は概ね5箇所未満に限
られる。25万m3/年以上の総揚水量が多いメッシュ内に分布する揚水井の数は10箇所未満で
ある。
5) 図3-1-13に見られるように、打込井戸は長良川沿いに広がる岐阜市街地に多く、市街地周
辺部では減少する。
ここで、1)は市域のいずれにおいても、地盤の状況に応じた揚水施設さえ備えれば多量の揚
水が可能なことを示している。また、4)のように少数の施設で多量の揚水が可能な状況を考え
合わせると、当地域では地下水利用が容易なことが判読できる。
また、2)と3)は市域の土地利用に起因した状況であり、平坦性に富んだ市域南側では高度な
土地利用が進んだため、揚水井施設の集中を招いたものと推察される。これに対して、市域の
- 21 -
北側では交通網の不備などにより土地利用の高度化が阻害されたため、3)のように散逸的な揚
水施設の分布を生じたものと考えらえる。
なお、5)は地盤の性状と関連した事項である。すなわち、図3-1-14の地形分類図にみられる
ように、浅部に地下水の分布する長良川扇状地を中心に小規模な揚水施設である打込井戸の利
用が進んだものと推察される。
︵本巣市︶
(山県市)
(関市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
メッシュサイズ
(羽島市)
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-3 年 総 揚 水 量 の 分 布
- 22 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
(平成 17 年度)
︵本巣市︶
(関市)
(山県市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
メッシュサイズ
(羽島市)
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-4 年 総 揚 水 量 の 分 布
- 23 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
(平成 18 年度)
︵本巣市︶
(山県市)
(関市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
メッシュサイズ
(羽島市)
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-5 年 総 揚 水 量 の 分 布
- 24 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
(平成 19 年度)
︵本巣市︶
(関市)
(山県市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
メッシュサイズ
(羽島市)
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-6 年 総 揚 水 量 の 分 布
- 25 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
(平成 20 年度)
︵本巣市︶
(関市)
(山県市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
メッシュサイズ
(羽島市)
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-7 年 総 揚 水 量 の 分 布
- 26 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
(平成 21 年度)
︵本巣市︶
(関市)
(山県市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
メッシュサイズ
(羽島市)
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-8 揚 水 井 の 分 布
- 27 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
(平成 17 年度)
︵本巣市︶
(山県市)
(関市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
メッシュサイズ
(羽島市)
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-9 揚 水 井 の 分 布
- 28 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
(平成 18 年度)
︵本巣市︶
(山県市)
(関市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
メッシュサイズ
(羽島市)
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-10 揚 水 井 の 分 布
- 29 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
(平成 19 年度)
︵本巣市︶
(山県市)
(関市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
メッシュサイズ
(羽島市)
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-11 揚 水 井 の 分 布
- 30 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
(平成 20 年度)
︵本巣市︶
(山県市)
(関市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
メッシュサイズ
(羽島市)
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-12 揚 水 井 の 分 布
- 31 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
(平成 21 年度)
︵本巣市︶
(関市)
(山県市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
(羽島市)
メッシュサイズ
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図 3-1-13 打 込 井 戸 の 分 布
- 32 -
図面承認番号:岐阜市第22号】
山地
扇状地
扇状地
自然堤防
0
2km
図 3-1-14 地 形 分 類 図
(出典:土地分類基本調査図より転記)
3-1-2 アンケート調査の概要と結果
(1) アンケート調査の概要
1) 調査の目的
地下水利用の現状把握と地中熱利用の普及に向けた地下水利用に対する意見を収集し、今後、
地下水利用計画を策定するうえでの基礎資料を得ることを目的とする。
2) 調査の概要
・ 調査対象
地下水保全条例届出施設のうち、集合住宅及び公共施設を除く事業所を対象
とした。
・ 調査方法
郵送調査法
3) 回収結果
・ 配布事業所 94 事業所
・回答事業所 29 事業所
- 33 -
(2) アンケート調査の結果
1) 設問−1
貴社における井戸水の用途及び空調設備についてご教示ください。
① 貴社の名称と所在地について
対象とした94事業所のうち、29事業所から回答を得た。
② 井戸水の用途を以下から選択してください。(複数回答可)
A.
B.
C.
D.
E.
F.
G.
H.
I.
J.
K.
L.
冷暖房用
冷却用
ボイラ用(蒸気発生用)
ボイラ用(温水補給用)
ボイラ用(不
明)
原料用
機械・製品洗浄用
洗面・トイレ用
洗車用
散水用
飲料用
その他
計
回答数
12
14
6
3
5
3
6
20
6
12
10
3
100
洗 面・
イ レ 用
ト
冷 冷
却
暖
20
14
用
房
12
用
散
水
用
飲
料
用
12
10
ボ イ ラ 用
(蒸気発生用)
ボ イ ラ 用
(温水補給用)
ボ イ ラ 用
(不 明)
6
3
5
用
6
機械・製品洗浄用
6
洗
車
原
料
用
そ
の
他
3
3
0
5
井戸水の用途 その他の記述例
15
20
25
(件)
(総回答数 29 事業所)
(※
10
図 3-1-15 井戸水の用途
→
風呂用・水質の分析用・冷房用)
③ ご使用の空調システムの方式は?(複数回答可)
A.
B.
C.
D.
E.
F.
G.
H.
ヒートポンプ
チラー+ボイラー
吸収式冷温水発生機
パッケージエアコン
マルチエアコン
水冷式クーラー
不 明
その他
計
回答数
5
7
7
13
9
4
3
2
50
パッケージエアコン
13
マ ル チ エ ア コ ン
9
チラー + ボイラー
7
吸収式冷温水発生器
7
ヒ ー ト ポ ン プ
5
水 冷 式 ク ー ラ ー
不
そ
4
明
の
3
他
2
0
2
4
6
(総回答数 29 事業所)
8
10
12
14
(件)
図 3-1-16 空調システムの様式
(※ 空調システムの方式 その他の記述例
→
ターボ冷凍機・揚水ポンプの冷暖房空調)
電気のみ
電気・ガス併用
電気・ガス・液体燃料併用
電気・液体燃料併用
液体燃料のみ
ガスのみ
不明
④ ご使用の空調設備の熱源及び概略の使量は?(複数回答可)
④-1 熱 源
回答数
A.
B.
C.
D.
E.
F.
G.
電気
ガス
液体燃料(A重油)
液体燃料(灯油)
液体燃料(その他)
その他
不 明
計
25
11
7
2
0
0
1
46
3.4%
3.4%
10.4%
10.4%
37.9%
10.4%
24.1%
図 3-1-17 空調熱源の分類
(総回答数 29 事業所)
- 34 -
④-2 熱源の概略使用量は?
回 答
A.
B.
C.
D.
E.
電気
ガス
液体燃料(A重油)
液体燃料(灯油)
液体燃料(その他)
平均
平均
平均
平均
平均
190,000
8,400
21,000
不 明
−
kWh/月
m3/月
㍑/月
㍑/月
㍑/月
⑤ 現在ご使用の空調設備が対象とする延床面積は?
回答
1,000m 未満
1,000m2以上
2,500m2以上
5,000m2以上
10,000m2以上
15,000m2以上
20,000m2以上
25,000m2以上
30,000m2以上
不 明
2,500m2未満
5,000m2未満
10,000m2未満
15,000m2未満
20,000m2未満
25,000m2未満
30,000m2未満
6
2
3
3
2
2
0
0
3
8
1,000未満 2
2,500以上 5,000未満
3
5,000以上10,000未満
3
10,000以上15,000未満
2
15,000以上20,000未満
2
20,000以上25,000未満 0
25,000以上30,000未満 0
30,000以上
不
3
明
8
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
(件)
29
計
6
1,000以上 2,500未満
延床面積(m 2 )
図 3-1-18 空調対象床面積の分布
⑥ 空調設備の設置時期もしくは直近の設備更新時期は?
回答
A.
B.
C.
D.
E.
S.63以前
H.元以降
H.10以降
H.21以降
不
明
H.9以前
H.20以前
計
7
7
8
4
3
29
設置時期もしくは直近の更新時期
A.
B.
C.
D.
E.
F.
G.
H.
I.
J.
2
S.63年以前
7
H.元年∼H. 9年
7
8
H.10年∼H.20年
4
H.21年以降
不
3
明
0
2
4
6
8
10
(件)
図 3-1-18 空調施設の設置もしくは直近の更新時期
⑦ 今後5年以内に空調設備の更新予定はありますか?
不明
6.9%
回答数
A. あ る
B. な い
C. 不 明
計
4
23
2
29
ある
13.8%
ない
79.3%
図 3-1-19 5 年以内の設備の更新予定
- 35 -
⑧ 利用後の井戸水の処理について
9.5%
回答数
A. 2次利用しないで排水路等
に直接排水している。
B. 2次利用後に排水路等へ排
水している。
C. 不 明
計
90.5%
19
2
8
29
2次利用しないで排水路等に直接排水している。
2次利用後に排水路等に排水している。
図 3-1-20 利用後の井戸水の 2 次利用
(無回答の件数は構成比の算定から除外)
2) 設問−2
地中熱を利用した冷暖房設備の導入について、貴社のご意見を伺います。
① 地下水を利用した水冷式クーラーについてお尋ねします。
9.5%
回答数
A. これまで使用したことが
ない。
B. 現在も使用している。
C. 過去に使用していたが、
現在は使用していない。
D. 無回答
計
12
7
2
9
30
57.1%
33.3%
これまでに使用したことがない。
(重複した回答を含む)
現在も使用している。
過去に使用していたが、現在は使用していない。
図 3-1-21 水冷式クーラーの使用状況
(無回答の件数は構成比の算定から除外)
①-1 使用しなくなった理由
○ 地下水利用タイプが消滅した。
○ 設備の老朽化
② 将来の施設更新時に、地中熱ヒートポンプを検討することは可能ですか?
何ともいえない。
回答数
A. 低炭素化に協力できるな
ら、選択肢の1つに加え
てもよい。
B. コスト面の問題が解決さ
れれば、選択肢の1つに
加えてもよい。
C. その時点での導入実績が
多ければ、選択肢の1つ
に加えてもよい。
D. 何とも言えない。
E. 無回答
計
コスト面の問題が解決されれば、選択肢の1つに加えてもよい。
その時点での導入実績が多ければ、選択肢の1つに加えてもよい。
1
低炭素化に協力できるなら、選択肢の1つに加えてもよい。
5.0%
5
25.0%
1
13
9
29
5.0%
65.0%
図 3-1-22
地中熱利用ヒートポンプ導入を検討する可能性
(無回答の件数は構成比の算定から除外)
- 36 -
③ 現在、検討を進めている地中熱利用では、井戸からの揚水量の増加や熱源として利用した
地下水を再度地下へ戻すことも考えられます。このような地下水の活用について不安に感
じることはありますか?(複数回答可)
わからない
8.5%
回答数
A.
B.
C.
D.
E.
F.
G.
11
13
7
7
4
5
9
56
水位の低下(水量の減少)
水質の変化
水温の変化
地盤沈下
わからない
取水規制
無回答
計
水質の変化
27.7%
取水規制
10.6%
地盤沈下
14.9%
水位の低下
23.4%
水温の変化
14.9%
(総回答数 29 事業所)
図 3-1-23
地中熱利用への地下水活用に伴う不安な事項
(無回答の件数は構成比の算定から除外)
3)設問−3 従業員の皆様へ (岐阜市在住の方がいらっしゃれば、数名程度お願い致します)
【「岐阜市の地下水」についてあなたのご意見を伺います。】
知らない
14.3%
① 岐阜地域が全国的に見ても非常に地
下水の豊富な地域であることをご存
じでしたか?
知っている
85.7%
回答数
A. 知っている。
B. 知らない。
計
66
11
77
図 3-1-24 岐阜地域が全国的に見ても非常に
地下水の豊富な地域であることをご存じでしたか
(回答者数 77 名)
② 岐阜市の上水道は、水源を地下水と
知らない
36.4%
伏流水に依存していることをご存じ
ですか?
知っている
63.6%
回答数
A. 知っている。
B. 知らない。
計
49
28
77
図 3-1-25 岐阜市の上水道は、水源を地下水と
伏流水に依存していることをご存じですか
(回答者数 77 名)
③「岐阜市の地下水」についてどのよう
わからない
1.6%
にお考えでしょうか?(複数回答可)
その他
2.4%
地域の特徴
19.0%
A.
B.
C.
D.
E.
貴重な水資源だと思う。
優れた環境要素の1つだと思う。
地域の特徴の1つだと思う。
わからない。
その他
計
回答数
70
27
24
2
3
126
(回答者数 77 名)
優れた
環境要素
21.4%
貴重な水資源
55.6%
図 3-1-26 岐阜市の上水道は、水源を地下水と
伏流水に依存していることをご存じですか
- 37 -
※ ③岐阜の地下水でのその他の記述例
・天然のミネラルウォーター並みの地下水が今後も安全・安心な水であってほしい。
・豊富な水量と品質の良い水質だと思う。
・市・県・国単位で守らなければならないと思う。
④ 地下水の保全に対して、どのような施策が有効と思われますか?(複数回答可)
回答数
A.
B.
C.
D.
E.
F.
G.
節水
雨水浸透の促進
森林保全
地下水採取の規制
地下水汚染の防止
わからない
その他
計
46
17
42
13
52
0
1
171
雨水浸透
の促進
9.9%
地下水採取
の規制
7.6%
森林保全
24.6%
その他
0.6%
地下水汚染
の防止
30.4%
節水
26.9%
図 3-1-27 地下水の保全に対して、
どのような施策が有効と思われますか
(回答者数 77 名)
※ 地下水の保全に対して有効と思われる施策のその他の記述例
・河川の汚染防止にも尽力していただきたい。
⑤ 地下水利用について心配されていることはありますか?(複数回答可)
地盤沈下
26.5%
回答数
A.水位の低下(水量の減少)
B.水質の変化
C.地盤沈下
D.わからない
E.その他
計
46
53
36
1
0
136
わからない
0.7%
水質の変化
39.0%
水位の低下
33.8%
(回答者数 77 名)
図 3-1-28 地下水利用について
心配されていることはありますか
(3) アンケート調査結果の特徴
① 設問-1
・ 地下水利用の用途では、冷却用あるいは冷暖房用としての利用が多い。
・ 現行の空調システムでは、エアコンあるいは吸収式冷温水発生器の利用が多い。
・ 空調設備の熱源としては電気が最も多く、対象床面積では1000m2以下のケースが多い。
② 設問-2
・ 今後の地中熱利用ヒートポンプの導入に対しては、中立的な回答が多い。
・ 今後の地中熱利用に対しては、水位低下、水温や水質の変化を懸念する回答が多い。
③ 設問-3
・ 岐阜地域の地下水の豊富さに対しては認識度が高い。
・ 地下水資源の重要性と保全の必要性に対する認識が高く、地下水利用に対しては将来的
な水位低下と水質の変化を懸念する回答が多い。
- 38 -
3-2 地 質 調 査
3-2-1 物理探査(微動アレー探査)
(1) 調査概要
微動アレー探査は岐阜市街地を中心とした長良川扇状地における基盤岩の分布深度を推定す
るため後述する8箇所において行った。本探査は人工的な発振を行わず、自然の微動を観測、解
析を行うことにより、数m∼数千mの地下のS波速度構造が得られる探査である。このため、ノイ
ズの影響が小さく集落や都会の中でも実施可能な探査手法である。図3-2-1に本探査の模式図を
示す。
図 3-2-1 本 探 査 の 模 式 図
(2) 調査方法
調査方法の手順は図3-2-2に示したとおりである。以下、それぞれの項目ごとに記述する。
① 微動アレー観測
② 位相速度検出
③ S波速度構造推定
S波速度(m/s)
600
観測分散
最適モデルの理論分散
5
400
深度(m)
位相速度(m/s)
500
逆解析
0
0
300
200 400 600
120
90
140
250
10
110
280
200
15
100
360
20
0
5
10
周波数(Hz)
図 3-2-2 微動アレー探査の手順
- 39 -
15
560
1) 地表面における微動アレー観測
地表に複数の地震計(表3-2-1)を面的に展開し微動を観測する。図3-2-3に示したように最少
の地震計配置は中心点および頂点に地震計を配置した正三角形アレーを用いる。地震計の配置
は、探査深度や地盤状況に合わせ、中心点を共有した大小の正三角形を組み合わせて行う。本
観測により人為的活動や気象・海象などに由来する伝播距離・方向、振幅や周波数の異なる
様々な波動が観測される。観測データはA-Dコンバータ・ロガー(表3-2-2)により変換され、PC
の記憶媒体に集積される。
二重アレー
三重アレー
図 3-2-3 地 震 計 の 配 置
表 3-2-1 地 震 計 仕 様
項 目
名
仕
称
固有周期
様
地震計 MTKV-1C
最小感度
3秒/7秒
15000 volt/kine(3秒)
2500 volt/kine(7秒)
1マイクロkine
周波数範囲
0.14-30 Hz(0.03∼7秒)
感度
表 3-2-2
A-D コンバータ・ロガー仕様
項 目
名
称
チャンネル数
増幅度
アッテネータ
ローパスフィルター
A/D変換
サンプリング周波数
観測時間
仕
様
8チャンネルADコンバータ
8チャンネル
10000倍
0-48 dB
1 Hz、30 Hz
16bit
100 Hz,200 Hz,400 Hz,800 Hz
PCの記憶容量による
- 40 -
写真 3-2-1 地
震
計
写真 3-2-2
A-Dコンバータ・ロガー
ケーブル
地震計
A-D コンバータ
ロガー
PC
(記憶媒体)
図 3-2-4 観 測 の 模 式 図
写真 3-2-3 現地における観測状況
2) 位相速度の検出
観測された微動より表面波を分散の形(位相速度−周期の関係)で検出する。空間自己相関法
(SPEC法)では、アレー中心点と各円周各点間の波形相関性を複素コヒーレンス関数で表現し、
この値が理論的に位相速度を変数に含むベッセル関数に等しくなるため、その逆関数から位相
速度を計算する(図3-2-5)。
- 41 -
図 3-2-5 位相速度検出の方法(観測分散曲線)
3) S 波速度構造の推定
観測分散曲線に適合するS波速度構造モデルを逆解析により決定する。初期モデルの作成手
順は以下のとおり行った。図3-2-6に初期モデルの作成例を示す。
・ 観測分散曲線から疑似S波速度分布を求める。
・ 疑似S波速度分布を適宜層分割し、初期モデルとする。
図 3-2-6 初期モデル作成例
4) S 波速度と地盤
岐阜市街地の地層構成は既往資料によると沖積層、洪積層、基盤岩に大別される。今回の探
査結果において、地盤のS波速度は以下のように分類できる。
- 42 -
○ 沖積層
図3-2-7に示したS波速度とP波速度の関係によれば、沖積層の最大S波速度は400m/s程度で
あり、400m/s未満の速度層は概ね沖積層に相当すると考えられる。
○ 洪積層
図3-2-7によれば、洪積層のS波速度は500m/s付近を中心として分布し、最大は800m/s程度
である。よって、400m/s∼800m/sのS波速度は洪積層に相当すると考えられる。図3-2-8に示
した未固結のS波速度とP波速度の関係においても、最大のS波速度は800m/s程度である。本
図によれば未固結層は粒径によってS波速度が異なり、特に粒径が大きくなると速度が高く
なることから、S波速度の変化は粒径による違いによるものと考えられる。
800m/s台の速度層は、本地域の基盤岩の風化部分に相当するとも考えられるが、礫の堆積
環境から考えて、基盤岩に堆積した砂礫層と考えられる。
○ 基盤岩
今回の探査において1300m/sを超える速度層は1300m/s、1700m/s、2400m/sの3層に分けら
れる。図3-2-9に示した岩盤のS波速度とP波速度の関係を参照しても、本地域の基盤岩(中・
古生層)の速度分布としては妥当であると考えられる。
沖積層
洪積層
図 3-2-7 S波速度とP波速度の関係(未固結土)
(出典:土木物探研究会(1970):S 波速度について)
- 43 -
図 3-2-8
S波速度とP波速度の関係(未固結)
(出典:土木物探研究会(1970):S 波速度について)
図 3-2-9
S波速度とP波速度の関係(岩盤)
(出典:土木物探研究会(1970):S波速度について)
- 44 -
(3) 調査位置
本調査は長良川扇状地において8箇所で行った。調査位置を図3-2-10に示すとともに図3-2-11
にアレー設定図を示す。
山塊
長良公園
早田西公園
長良川扇状地
京町小学校
一日市場
鶴田町地内
光明地内
岐阜駅駐車場
加納城跡
自然堤防
図 3-2-10 調 査 位 置 図 (S=1:100,000)
表 3-2-3 アレー設定の仕様
No
箇所名
1
アレーサイズ
多重数
最小
最大
早田西公園
3
55
4
2
長良公園
3
50
4
3
京町小学校
3
40
4
4
光明地内
3
50
4
5
鶴田町地内
3
50
4
6
一日市場(県所有地)
3
60
4
7
加納城跡
3
50
4
8
岐阜駅駐車場
3
20
3
- 45 -
4.光明地内
5.鶴田町地内
図 3-2-11 ア レ ー 設 定 図
- 46 -
(4) 調査結果及び考察
調査の結果得られた観測分散曲線を図3-2-12に示す。右図は横軸を対数で表し、10Hz以下の
分散曲線の変化と箇所による差異を見やすくしたものである。観測分散曲線は地盤構造を反映
する。よって、分散曲線の形状で地盤構造をある程度判断できる。
今回の観測分散は、周波数は低くなるにしたがって位相速度は漸増するが、いずれもある程
度周波数が低くなったところで位相速度の急激な上昇が認められる。これは地盤のS波速度が大
きく変化するものであり、地下構造の急な変化を示唆した現象である。
この急激な位相速度の増大は、岐阜駅駐車場、長良公園、早田西公園、鶴田町地内、京町小
学校、光明地内、一日市場(岐阜県所有地)、加納城跡の順に低い周波数で始まり、この順序で
基盤深度が深くなると予測される。岐阜駅駐車場及び長良公園は、他箇所に比べて高周波数帯
で位相速度が増大するため、基盤深度がかなり浅いことを示唆している。
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
長良公園
早田西公園
鶴田町地内
西日本キャンパック
京町小学校
光明地内
朝日大学
一日市場
岐阜県所有地
加納城跡
岐阜駅駐車場
10
周波数 (Hz)
位相速度 (m/sec)
位相速度 (m/sec)
以下に観測分散曲線より得られたS波速度構造モデルを地点毎に示す。
20
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
長良公園
早田西公園
鶴田町地内
西日本キャンパック
京町小学校
光明地内
朝日大学
一日市場
岐阜県所有地
加納城跡
岐阜駅駐車場
1
図 3-2-12 観 測 分 散 曲 線
- 47 -
10
周波数 (Hz)
1) 早田西公園
分散曲線は、周波数2∼20Hz、位相速度200∼1100m/sが得られた。位相速度は3Hz付近で急激
に増大しており、S波速度層の大きな変化を示唆するものである。
図3-2-13を参照すると、深度130m付近で洪積層の速度分布である約700m/sから基盤岩の速度
分布である約1400m/sへと大きく変化していることから、基盤岩の分布深度と考えられる。
早田西公園
S波速度 (m/sec)
0
10
20
0 171 1000
2000
3000
297
479
30
40
50
621
位相速度 (m/sec)
60
70
80
516
90
100
110
深度 (m)
708
120
130
140
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
早田西公園
観測分散
理論分散(最適モデル)
0
1411
10
周波数 (Hz)
150
20
160
170
層番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
180
190
1796
200
210
220
230
240
S波速度(m/s)
171
297
479
621
516
708
1411
1796
2405
2405
250
260
図 3-2-13 早 田 西 公 園 解 析 結 果
- 48 -
層厚(m)
3.7
8.8
12.3
45.8
26.4
31.4
27.3
69.2
深度(m)
3.7
12.5
24.8
70.6
97
128.4
155.7
224.9
2) 長良公園
分散曲線は、周波数3∼26Hz、位相速度200∼1200m/sが得られた。位相速度は7Hz付近で急激
に増大しており、S波速度層の大きな変化を示唆するものである。
図3-2-14を参照すると、深度50m付近で洪積層の速度分布である約600m/sから基盤岩の速度
分布である約1400m/sへと大きく変化していることから、基盤岩の分布深度と考えられる。
長良公園
S波速度 (m/sec)
0
0
1000
2000
3000
205
364
10
518
20
418
30
572
40
位相速度 (m/sec)
617
50
60
深度 (m)
70
1425
80
90
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
長良公園
観測分散
理論分散(最適モデル)
10
100
110
20
1825
120
130
140
150
周波数 (Hz)
2430
層番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
S波速度(m/s)
205
364
518
418
572
617
1425
1825
2430
160
170
図 3-2-14 長 良 公 園 解 析 結 果
- 49 -
層厚(m)
4.6
3.1
11.8
8.2
8.4
16.3
30.3
53
深度(m)
4.6
7.7
19.5
27.7
36.1
52.4
82.7
135.7
3) 京町小学校
分散曲線は、周波数2∼26Hz、位相速度180∼1100m/sが得られた。位相速度は2Hz付近で急激
に増大しており、S波速度層の大きな変化を示唆するものである。
図3-2-15を参照すると、深度170m付近で洪積層の速度分布である約800m/sから基盤岩の速度
分布である約1400m/sへと大きく変化していることから、基盤岩の分布深度と考えられる。
京町小学校
S波速度 (m/sec)
0
0 163 1000
2000
3000
281
10
20
446
30
40
50
674
60
484
位相速度 (m/sec)
70
80
90
100
110
678
120
深度 (m)
130
140
150
766
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
160
0
170
京町小学校
観測分散
理論分散(最適モデル)
10
周波数 (Hz)
20
180
190
1422
層番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
200
210
220
230
240
1808
250
260
270
280
S波速度(m/s)
163
281
446
674
484
678
766
1422
1808
2426
2426
290
300
図 3-2-15 京 町 小 学 校 解 析 結 果
- 50 -
層厚(m)
3.4
5.1
25
24.5
26.6
47.3
36.3
38.2
60.6
深度(m)
3.4
8.5
33.5
58
84.6
131.9
168.2
206.4
267
4) 光明地内
分散曲線は、周波数1.5∼26Hz、位相速度200∼1100m/sが得られた。位相速度は2.5Hz付近で
急激に増大しており、S波速度層の大きな変化を示唆するものである。
図3-2-16を参照すると、深度190m付近で洪積層の速度分布である約800m/sから基盤岩の速度
分布である約1400m/sへと大きく変化していることから、基盤岩の分布深度と考えられる。
光明地内
朝日大学
S波速度 (m/sec)
0
10
0 195 1000
2000
3000
292
424
20
30
40
553
50
60
703
位相速度 (m/sec)
70
80
90
519
100
110
120
130
685
深度 (m)
140
150
160
170
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
762
光明地内
朝日大学
観測分散
理論分散(最適モデル)
10
周波数 (Hz)
20
180
190
200
210
層番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
1402
220
230
240
250
260
1796
270
280
290
S波速度(m/s)
195
292
424
553
703
519
685
762
1402
1796
2412
300
310
2412
320
図 3-2-16 光 明 地 内 解 析 結 果
- 51 -
層厚(m)
3.2
7
9.6
39.8
24
19
47.9
36
47.1
55.9
深度(m)
3.2
10.2
19.8
59.6
83.6
102.6
150.5
186.5
233.6
289.5
5) 鶴田町地内
分散曲線は、周波数1.5∼22Hz、位相速度100∼1100m/sが得られた。位相速度は3Hz付近で急
激に増大しており、S波速度層の大きな変化を示唆するものである。
図3-2-17を参照すると、深度185m付近で洪積層の速度分布である約800m/sから基盤岩の速度
分布である約1400m/sへと大きく変化していることから、基盤岩の分布深度と考えられる。
鶴田町地内
西日本キャンパック
S波速度 (m/sec)
0
10
0 135 1000
2000
3000
306
417
20
30
595
40
170
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
180
0
50
712
60
70
637
位相速度 (m/sec)
80
90
100
110
120
769
130
140
深度 (m)
150
160
842
鶴田町地内
西日本キャンパック
観測分散
理論分散(最適モデル)
10
周波数 (Hz)
190
20
200
210
1312
層番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
220
230
240
250
260
270
1706
280
290
300
310
2420
S波速度(m/s)
135
306
417
595
712
637
769
842
1312
1706
2420
320
330
340
図 3-2-17 鶴田町地内解析結果
- 52 -
層厚(m)
5.2
3.5
8.6
18.6
30.2
28.1
38
53.5
51.6
62.2
深度(m)
5.2
8.7
17.3
35.9
66.1
94.2
132.2
185.7
237.3
299.5
6) 一日市場 (岐阜県所有地)
分散曲線は、周波数1∼24Hz、位相速度200∼1100m/sが得られた。位相速度は2Hz付近で急激
に増大しており、S波速度層の大きな変化を示唆するものである。
図3-2-18を参照すると、深度230m付近で洪積層の速度分布である約700m/sから基盤岩の速度
分布である約1400m/sへと大きく変化していることから、基盤岩の分布深度と考えられる。
一日市場
岐阜県所有地
0
10
20
30
0
S波速度 (m/sec)
2841000
2000
176
381
3000
451
40
50
60
622
70
80
90
516
位相速度 (m/sec)
100
110
120
130
140
150
642
160
深度 (m)
170
180
190
200
210
732
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
一日市場
岐阜県所有地
観測分散
理論分散(最適モデル)
0
10
周波数 (Hz)
220
20
230
240
250
層番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
1396
260
270
280
290
300
310
320
1782
330
340
350
360
370
S波速度(m/s)
284
176
381
451
622
516
642
732
1396
1782
2446
2446
380
390
図 3-2-18 一 日 市 場 解 析 結 果
- 53 -
層厚(m)
4.1
3.7
8.9
18
44.2
36.5
63.9
48.2
49.6
72.3
深度(m)
4.1
7.8
16.7
34.7
78.9
115.4
179.3
227.5
277.1
349.4
7) 加納城跡
分散曲線は、周波数1∼22Hz、位相速度300∼1300m/sが得られた。位相速度は2Hz付近で急激
に増大しており、S波速度層の大きな変化を示唆するものである。
図3-2-19を参照すると、深度280m付近で洪積層の速度分布である約800m/sから基盤岩の速度
分布である約1400m/sへと大きく変化していることから、基盤岩の分布深度と考えられる。
深度 (m)
加納城跡
0
3000
684
764
位相速度 (m/sec)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
120
130
140
150
160
170
180
190
200
210
220
230
240
250
260
270
280
290
300
310
320
330
340
350
360
370
380
390
400
410
420
430
440
450
S波速度 (m/sec)
3181000
2000
275
380
482
542
601
732
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
加納城跡
観測分散
理論分散(最適モデル)
0
10
周波数 (Hz)
20
826
1412
1809
2464
層番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
S波速度(m/s)
318
275
380
482
542
684
764
601
732
826
1412
1809
2464
図 3-2-19 加 納 城 跡 解 析 結 果
- 54 -
層厚(m)
5.4
4.2
8.3
12.1
14.1
32.1
35.6
33.7
59
72.5
55.3
65.6
深度(m)
5.4
9.6
17.9
30
44.1
76.2
111.8
145.5
204.5
277
332.3
397.9
8) 岐阜駅駐車場
分散曲線は、周波数5∼25Hz、位相速度200∼800m/sが得られた。位相速度は7Hz付近で急激
に増大しており、S波速度層の大きな変化を示唆するものである。
図3-2-20を参照すると、深度30m付近で洪積層の速度分布である約600m/sから基盤岩の速度
分布である約1400m/sへと大きく変化していることから、基盤岩の分布深度と考えられる。
岐阜駅駐車場
S波速度 (m/sec)
0
10
0 185 1000
2000
3000
230
525
301
120
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
130
0
20
30
390
510
602
40
位相速度 (m/sec)
50
60
70
1392
80
90
深度 (m)
100
110
岐阜駅駐車場
観測分散
理論分散(最適モデル)
10
周波数 (Hz)
20
140
150
160
1826
170
180
190
200
210
220
2542
層番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
S波速度(m/s)
185
230
525
301
390
510
602
1392
1826
2452
層厚(m)
2.5
3.6
3.2
5.5
10.4
2.9
4.1
71.3
102.6
深度(m)
2.5
6.1
9.3
14.8
25.2
28.1
32.2
103.5
206.1
230
240
図 3-2-20 岐 阜 駅 駐 車 場 解 析 結 果
(5) 調査結果に基づく2次元断面
調査結果に基づき岐阜市街地における2次元断面を3測線作成した。以下、それぞれの測線毎
に2次元断面を示す。
- 55 -
1) 一日市場∼長良公園
長良川北側東西方向の2次元断面である。基盤岩は山塊に最も近い長良公園では深度50m程度
を示すが、長良川下流方向に向かって深くなり、一日市場(岐阜県所有地)では深度230m程度を
示す。
山塊
B
2
A
1
長良川扇状地
C
6
3
No
No
A
C
4
5
8
7
11
22
33
44
55
66
77
88
想定基盤岩
想定基盤岩
深度
深度
130m
早田西公園
130m
早田西公園
50m
長良公園
50m
長良公園
170m
京町小学校
170m
京町小学校
185m
185m
光明地内
朝日大学
185m
西日本キャンパック
185m
鶴田町地内
230m
一日市場(岐阜県所有地)
230m
一日市場(岐阜県所有地)
280m
加納城跡
280m
加納城跡
30m
岐阜駅駐車場
30m
岐阜駅駐車場
B
箇所名
箇所名
S=1:100,000
自然堤防
6.一日市場
A
1.早田西公園
2.長良公園
A
A
A
50m
堆積層
130m
基盤岩
230m
図 3-2-21 一日市場∼長良公園 2 次元断面
- 56 -
2) 早田西公園∼加納城跡
長良川を横断する南北方向の2次元断面である。基盤岩は南側に向かって深度130∼185mと深
くなる傾向があるが、岐阜駅付近で深度30mと極端に浅くなり、深度280m付近と推定される加
納城への地質構造の連続性が遮断される。
山塊
B
2
A
1
長良川扇状地
C
6
3
No
No
A
11
22
33
44
55
6
7
8
C
4
5
8
7
箇所名
B
S=1:100,000
自然堤防
7 加納城跡
B
8岐阜駅前駐車場
4 光明地内
想定基盤岩
想定基盤岩
深度
深度
130m
早田西公園
130m
早田西公園
50m
長良公園
50m
長良公園
170m
京町小学校
170m
京町小学校
185m
光明地内
185m
朝日大学
185m
鶴田町地内
185m
西日本キャンパック
230m
一日市場(岐阜県所有地) 230m
一日市場(岐阜県所有地)
280m
加納城跡
280m
加納城跡
30m
岐阜駅駐車場
30m
岐阜駅駐車場
箇所名
1 早田西公園
3 京町小学校
BB
B
30m
堆積層
130m
185m
170m
280m
基盤岩
基盤岩
図 3-2-22 加納城∼早田西公園 2 次元断面
- 57 -
3) 一日市場∼鶴田町地内
長良川南側東西方向の2次元断面である。基盤岩は一日市場では深度230m程度、光明地内で
は深度185m程度と推定され、長良川下流方向へ傾斜しているが、岐阜駅付近では深度30mと極
端に浅くなり、深度185m付近と推定される鶴田町地内との地質構造の連続性が遮断される。
山塊
2
A
1
長良川扇状地
C
6
3
No
No
A
11
22
33
44
55
66
77
8
8
C
4
5
8
7
想定基盤岩
想定基盤岩
深度
深度
130m
早田西公園
130m
早田西公園
50m
長良公園
50m
長良公園
170m
京町小学校
170m
京町小学校
185m
朝日大学
185m
光明地内
185m
西日本キャンパック
185m
鶴田町地内
230m
一日市場(岐阜県所有地)
230m
一日市場(岐阜県所有地)
280m
加納城跡
280m
加納城跡
30m
岐阜駅駐車場
箇所名
箇所名
岐阜駅駐車場
B
30m
S=1:100,000
自然堤防
6.一日市場
C
8.岐 阜 駅 前 駐 車 場
4.光明地内
C
5.鶴田町地内
C
C
30m
堆積層
185m
185m
230m
基盤岩
図 3-2-23 一日市場∼鶴田町地内 2 次元断面
- 58 -
(6) 調査結果に基づく地下水賦存量の検討
調査により推定された基盤岩深度に基づき、岐阜市街地に相当する図3-2-24の総面積50.9km2
の範囲について現況での地下水賦存量を検討する。
1) 検討方法
賦存量の推算は以下による。
a) 図3-2-24のメッシュを東西方向と南北方向に各々2等分して東西方向400mと南北方向300mの
細区分メッシュを取得する。
b) 物理探査結果をもとに、a)の細区分メッシュ中心について基盤岩の上端面標高を求める。
a)と同様に、平成19年11月29日と平成20年2月5日の地下水位観測結果に基づき、a)の細区
分メッシュの中心点における地下水位を求める。
c) 細区分メッシュの面積をS、平均間隙率をn、堆積層の砂質土層比率を1.0とすると、細区分
メッシュの総数をN個、i番目の細区分メッシュの中心点における基盤岩上端面∼地下水位
までを湛水深Hiで表すと、領域全体の地下水賦存量Qtは次式で表現できる。
N
Qt = S・n・∑ Hi (3.2.1)
i =1
2) 検討の結果
検討対象領域における湛水深の総計は、観測日に関わらず3.93×104mと推計される。
これをもとに、式(3.2.1)に示した地下水賦存量を試算すると表3-2-4のようになる。なお、
本試算の過程である基盤岩の上端面標高、地下水位ならびに湛水深の分布推定の結果を表3-25∼表3-2-9に示す。また、図3-2-25に地下水賦存状況のイメージを示す。
表 3-2-4 検討領域における地下水賦存量
細区分メッシュ面積
砂質土層
比率
S
5
n
2
1.2×10 m
(400m×300m)
1.0
0.3
湛水深総計
ΣHi
3.93×104 m
地下水賦存量
Qt
9
1.4×10 m3 (1.4km3)
約14億トン
金華山
鷺山
N
平均間隙率
参考:徳山ダム総貯水量 6.6 億トン
浜名湖総水量
3.5 億トン
岐阜駅付近
図 3-2-25 地下水賦存状況のイメージ
- 59 -
金華山
鷺山
N
岐阜駅付近
N
地下水賦存量推定エリア
基盤岩上面鳥瞰図
(市街地を西より望む)
●:探査地点
(市街地を南より望む)
︵本巣市︶
(山県市)
(関市)
長良川
︵北方町︶
鷺
山
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
岐阜駅
高山本線
メッシュサイズ
(岐南町)
東西方向:800m
南北方向:600m
賦存量の検討範囲
(笠松町)
総面積50.9km2
(羽島市)
【平成 22 年 9 月 15 日
図 3-2-24 地下水賦存量を推算する範囲
- 60 -
図面承認番号:岐阜市第 22 号】
- 61 -
76.5
98.8
39.8
5.4
-2.3
-12.5
-21.2
-27.6
-38.8
-47.7
-49.5
-57.6
-71.4
-85.5
-102.8
-120.3
-137.6
-154.1
-169.5
-184.0
-197.9
-209.9
-218.3
-223.4
-227.0
-230.3
-233.7
-234.5
-235.1
-238.2
-241.5
-244.1
67.3
70.5
19.1
-11.9
-21.8
-30.9
-39.7
-47.7
-56.7
-64.5
-72.4
-73.6
-74.7
-87.1
-103.8
-121.4
-139.1
-155.6
-171.4
-185.7
-199.6
-210.6
-217.4
-222.4
-225.5
-229.1
-231.6
-231.1
-233.5
-238.3
-241.8
-244.5
※
※ 単位:m
:検討範囲
※ 物理探査による。
88.8
117.5
60.7
19.4
8.7
0.1
-6.8
-11.9
-18.5
-22.3
-35.2
-59.0
-73.3
-85.5
-102.7
-119.5
-134.8
-150.2
-164.8
-178.0
-190.2
-202.6
-213.2
-219.9
-224.6
-229.9
-233.2
-235.2
-236.1
-237.9
-242.3
-245.7
30.5
24.8
3.1
-19.9
-34.5
-40.3
-46.7
-52.0
-54.6
-60.2
-66.9
-66.8
-70.9
-88.3
-104.1
-120.2
-138.3
-154.2
-170.4
-184.1
-197.0
-205.7
-211.1
-217.5
-220.9
-223.8
-226.1
-227.5
-231.2
-235.6
-239.1
-243.0
34.3
60.3
38.5
-12.3
-36.0
-43.3
-45.1
-44.5
-42.2
-42.2
-45.5
-47.5
-57.9
-78.7
-96.7
-113.4
-131.6
-148.8
-165.6
-180.9
-194.0
-200.9
-205.3
-211.7
-214.9
-216.7
-219.0
-221.6
-225.2
-230.2
-235.2
-240.8
98.1
135.9
72.7
-3.2
-34.7
-43.9
-39.7
-35.8
-34.8
-33.0
-34.3
-34.7
-44.2
-64.8
-85.7
-105.1
-124.4
-143.1
-161.8
-178.1
-190.7
-196.5
-199.8
-204.7
-206.4
-207.2
-208.5
-210.5
-214.8
-221.4
-229.3
-237.7
117.4
156.6
76.2
-2.8
-35.8
-47.8
-42.0
-34.1
-33.3
-33.0
-29.3
-23.9
-31.1
-50.7
-72.4
-96.5
-120.3
-140.4
-158.7
-174.5
-186.4
-191.7
-192.3
-192.8
-193.3
-193.0
-191.4
-192.1
-198.4
-208.9
-221.5
-233.8
116.0
157.6
103.0
17.7
-19.8
-33.5
-30.1
-21.5
-19.1
-18.7
-12.6
-5.0
-5.9
-23.4
-54.6
-87.3
-115.2
-136.6
-152.7
-166.3
-178.3
-183.7
-179.3
-172.9
-169.9
-165.6
-160.3
-162.7
-175.9
-195.1
-215.0
-232.3
107.8
147.5
167.3
108.7
40.0
11.1
6.2
2.8
0.9
-1.3
1.0
6.4
8.3
-9.3
-45.5
-83.3
-111.4
-129.0
-142.3
-153.8
-165.5
-170.6
-159.9
-143.9
-130.8
-116.4
-107.6
-119.6
-150.2
-184.3
-214.1
-236.7
97.3
91.8
141.9
155.6
114.5
56.1
28.7
28.8
22.4
11.6
2.9
-2.5
-6.7
-22.2
-50.0
-81.0
-102.6
-112.9
-121.9
-131.2
-141.1
-145.0
-129.9
-107.1
-88.8
-70.0
-61.4
-86.3
-135.8
-184.2
-223.1
-247.7
103.2
55.5
47.0
88.1
105.1
54.1
18.0
28.8
28.3
9.7
-9.8
-21.3
-26.1
-35.5
-50.9
-66.9
-78.2
-82.3
-84.8
-86.4
-86.5
-84.7
-73.1
-61.1
-59.1
-59.9
-67.2
-97.9
-147.0
-196.7
-238.4
-260.3
71.2
79.0
57.1
37.1
48.7
33.7
7.4
6.0
4.1
-10.7
-26.2
-32.9
-33.9
-37.3
-43.1
-46.4
-47.1
-45.2
-39.7
-29.5
-11.6
-3.7
0.7
-9.2
-45.3
-79.9
-108.1
-136.6
-170.7
-207.4
-239.9
-257.2
32.0
-0.8
-17.4
-26.9
-31.8
-34.0
-34.0
-35.0
-36.6
-33.3
-26.6
-18.2
0.0
27.7
58.3
71.1
69.3
32.8
-43.9
-112.7
-150.7
-170.1
-189.0
-207.7
-224.6
-235.2
37.8
0.0
-17.6
-26.6
-30.7
-32.3
-32.8
-34.4
-34.6
-25.9
-8.2
7.2
29.2
58.7
101.1
102.7
64.7
32.9
-32.0
-111.7
-157.3
-174.3
-185.3
-195.6
-206.4
-213.1
108.5
135.3
84.3
14.4
-9.5
-16.0
-22.5
-30.5
-29.0
-13.2
51.5
164.3
214.4
160.5
31.6
5.8
-19.6
-50.6
-80.4
-101.1
-116.7
-133.5
-147.9
-157.4
37.6
26.7
12.0
-11.8
-24.6
-27.7
-29.5
-34.2
-34.0
-20.1
15.8
75.1
123.0
119.7
35.1
11.8
-22.4
-77.9
-120.6
-142.6
-155.5
-170.0
-183.2
-190.4
表 3-2-5 基 盤 岩 の 上 端 面 標 高 推 定 結 果 一 覧 表
172.1
54.8
17.4
8.7
-2.0
-6.0
-6.1
0.1
63.5
163.5
190.5
102.2
59.4
33.5
23.7
24.3
17.8
11.1
44.8
112.0
136.7
77.6
42.2
35.0
21.2
11.4
25.6
70.3
157.5
100.6
44.3
25.5
11.8
6.1
16.0
50.8
64.7
16.6
1.6
2.9
22.0
45.1
102.1
26.6
6.1
27.2
81.8
78.0
- 62 -
13.4
12.6
11.9
11.3
10.9
10.6
10.3
10.2
10.0
9.9
9.7
9.4
9.2
8.9
8.7
8.4
8.1
7.7
7.4
7.0
6.6
6.2
5.9
5.8
5.7
5.5
5.3
5.2
5.0
4.9
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6.1
5.8
5.7
5.5
5.4
5.2
5.0
4.8
※
※ 単位:m
:検討範囲
※ 平成19年11月29日による。
13.1
12.3
11.6
11.2
10.9
10.8
10.7
10.5
10.2
9.9
9.6
9.4
9.1
8.8
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7.3
6.8
6.2
5.7
5.5
5.4
5.2
5.1
5.0
4.9
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12.4
11.7
11.2
10.7
10.3
10.2
10.2
10.3
10.2
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8.2
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8.6
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8.7
8.7
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9.0
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7.1
7.1
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6.4
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11.1
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8.8
8.6
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7.4
6.7
6.9
7.1
6.8
6.5
6.3
6.2
6.0
5.8
5.7
5.5
表 3-2-6
13.2
12.7
12.2
11.8
11.4
11.1
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10.5
10.3
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9.5
9.5
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5.9
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13.1
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12.1
11.7
11.3
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10.3
10.3
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10.3
10.1
10.0
9.9
9.9
9.9
9.8
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8.4
7.8
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7.1
6.8
6.5
6.3
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5.7
5.6
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13.5
13.0
12.5
12.1
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11.0
10.8
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10.5
10.6
10.6
10.5
10.5
10.6
10.6
10.7
10.5
9.9
9.3
8.7
8.0
7.3
6.9
6.7
6.5
6.3
6.1
5.9
5.7
5.5
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13.4
12.9
12.5
12.0
11.7
11.4
11.2
11.0
10.9
10.8
10.8
10.9
11.0
11.2
11.4
11.2
10.4
9.6
9.3
8.9
8.1
7.3
6.9
6.7
6.5
6.3
6.1
5.9
5.6
5.4
12.1
11.8
11.6
11.5
11.3
11.2
11.2
11.3
11.6
12.0
12.1
11.7
10.6
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9.4
8.8
8.1
7.4
7.0
6.7
6.5
6.2
6.0
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5.7
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12.6
12.3
12.2
12.0
11.8
11.6
11.6
11.7
12.2
12.9
13.1
12.5
11.5
10.6
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9.0
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6.9
6.6
6.4
6.2
6.0
5.9
5.8
5.7
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7.5
6.9
6.6
6.4
6.2
6.1
6.0
6.0
6.0
13.4
13.1
12.9
12.7
12.5
12.2
12.3
12.6
13.1
13.7
13.7
13.1
12.2
11.3
地 下 水 位 分 布 推 定 結 果 一 覧 表
8.9
7.9
7.2
6.9
6.6
6.4
6.3
6.3
6.4
14.1
13.9
13.7
13.5
13.3
13.4
13.7
14.0
14.2
14.0
13.6
12.8
(1)
15.0
14.8
14.6
14.5
14.5
14.6
14.7
14.8
14.6
14.3
16.0
15.8
15.7
15.7
15.6
15.6
15.7
15.7
15.2
17.0
16.9
16.8
16.7
16.6
16.7
16.6
16.1
18.1
18.0
17.9
17.9
17.8
17.6
17.3
16.7
18.9
18.8
18.6
18.2
17.7
17.2
19.3186
18.9667
18.5681
18.1331
- 63 -
0.0
0.0
22.8
32.3
41.1
49.8
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66.5
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83.7
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192.7
206.4
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146.4
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229.7
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233.0
236.6
240.8
244.2
3.93×104 m
:検討範囲
【湛水深総計】
※
※ 単位:m
※ 平成19年11月29日による。
0.0
0.0
5.9
13.2
23.0
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37.7
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59.2
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94.4
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128.7
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161.9
176.9
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0.0
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188.2
201.1
207.8
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222.6
224.8
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0.0
0.0
14.1
45.3
54.4
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43.5
43.4
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113.8
132.8
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197.9
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199.8
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176.7
172.2
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168.8
181.9
200.9
220.7
表 3-2-7
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
4.6
7.7
9.4
11.5
9.0
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0.0
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0.0
0.0
0.0
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0.0
0.0
0.0
0.0
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68.4
66.0
66.7
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104.3
153.1
202.6
244.1
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21.7
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44.8
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58.4
56.4
50.1
39.1
21.0
12.5
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16.5
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142.9
176.7
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45.2
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0.0
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0.0
0.0
38.9
118.3
163.7
180.5
191.3
201.5
212.2
湛 水 深 分 布 推 定 結 果 一 覧 表 (1)
0.0
22.9
29.3
35.9
44.2
43.0
27.4
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20.8
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- 64 -
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12.3
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11.0
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10.2
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9.8
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9.5
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6.5
6.2
5.9
5.8
5.6
5.4
5.2
5.1
4.9
4.8
4.6
4.3
12.7
11.9
11.2
10.6
10.2
9.9
9.7
9.5
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9.1
9.2
9.1
9.0
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8.5
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7.9
7.6
7.3
7.0
6.7
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6.3
6.2
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9.7
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9.1
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7.4
7.2
6.9
6.6
6.5
6.3
6.1
5.8
5.6
5.4
5.2
5.1
4.9
4.7
※
※ 単位:m
:検討範囲
※ 平成20年2月5日による。
13.7
12.7
11.9
11.2
10.7
10.4
10.3
10.2
10.0
9.8
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4.9
12.2
11.7
11.2
10.7
10.4
10.2
10.1
10.1
10.0
9.7
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9.1
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5.7
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11.9
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11.0
10.7
10.4
10.2
10.0
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9.0
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12.7
12.2
11.7
11.3
10.9
10.6
10.4
10.1
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9.6
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9.1
9.0
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8.7
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8.4
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7.5
7.3
7.0
6.7
6.4
6.1
6.0
5.8
5.6
5.5
5.3
表 3-2-8
13.1
12.6
12.1
11.6
11.2
10.9
10.6
10.3
10.0
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8.9
8.4
7.8
7.5
7.2
6.8
6.5
6.3
6.0
5.8
5.7
5.5
5.3
13.5
13.0
12.5
12.0
11.6
11.2
10.9
10.6
10.3
10.1
10.0
10.2
10.2
10.0
9.8
9.8
9.7
9.7
9.7
9.4
8.9
8.3
7.7
7.2
6.8
6.6
6.3
6.1
5.9
5.7
5.5
5.4
14.0
13.5
12.9
12.4
12.0
11.6
11.2
10.9
10.6
10.4
10.3
10.5
10.5
10.4
10.4
10.4
10.5
10.6
10.4
9.8
9.1
8.5
7.8
7.2
6.7
6.5
6.3
6.1
5.9
5.7
5.5
5.3
14.5
14.0
13.4
12.9
12.4
12.0
11.6
11.3
11.0
10.8
10.7
10.7
10.7
10.7
10.9
11.1
11.3
11.3
11.0
10.1
9.4
8.7
7.9
7.1
6.7
6.5
6.3
6.0
5.8
5.6
5.4
5.2
12.0
11.7
11.5
11.3
11.2
11.1
11.0
11.1
11.4
11.8
12.0
11.8
11.3
10.5
9.7
8.9
8.0
7.2
6.7
6.4
6.2
5.9
5.7
5.5
5.4
5.2
12.5
12.1
11.8
11.7
11.5
11.4
11.4
11.5
12.0
12.9
13.0
12.5
11.7
10.9
10.0
9.0
8.1
7.2
6.6
6.3
6.0
5.8
5.6
5.5
5.5
5.4
14.3
13.8
13.4
13.2
13.2
13.1
13.2
13.5
13.9
14.1
14.0
13.6
12.8
11.9
8.5
7.5
6.7
6.3
6.1
5.9
5.8
5.8
5.9
5.9
8.2
7.2
6.5
6.2
6.0
5.8
5.6
5.6
5.6
5.6
(2)
13.3
12.8
12.4
12.2
12.1
12.0
12.1
12.4
13.0
13.7
13.7
13.1
12.3
11.3
地 下 水 位 分 布 推 定 結 果 一 覧 表
14.7
14.5
14.4
14.3
14.4
14.5
14.6
14.7
14.6
14.2
16.0
15.8
15.6
15.5
15.5
15.4
15.5
15.6
15.6
15.2
16.9
16.7
16.6
16.5
16.5
16.6
16.6
16.1
17.9
17.8
17.8
17.7
17.5
17.2
16.6
18.8
18.8
18.6
18.2
17.7
17.0
19.5
19.3
19.0
18.6
18.1
17.4
- 65 -
0.0
0.0
22.6
31.9
40.8
49.4
57.2
65.9
73.6
81.6
82.7
83.7
95.8
112.3
129.6
147.0
163.1
178.7
192.6
206.3
217.0
223.6
228.6
231.4
234.7
237.1
236.4
238.6
243.3
246.5
0.0
7.9
30.3
44.4
50.1
56.4
61.6
64.0
69.4
76.0
75.9
79.9
97.1
112.6
128.4
146.2
161.9
177.8
191.2
203.9
212.4
217.6
223.9
227.0
229.6
231.7
232.9
236.4
240.7
244.0
3.93×104 m
:検討範囲
【湛水深総計】
※
※ 単位:m
※ 平成20年2月5日による。
0.0
0.0
5.5
12.8
22.6
31.2
37.3
48.4
57.2
58.9
66.8
80.4
94.2
111.3
128.5
145.4
161.7
176.8
190.9
204.4
216.1
224.2
229.1
232.6
235.8
238.9
239.6
240.0
243.0
246.1
0.0
0.0
22.8
46.2
53.2
55.0
54.4
52.1
51.9
54.8
56.6
66.9
87.5
105.3
121.7
139.6
156.5
173.0
188.1
201.0
207.8
212.0
218.2
221.0
222.5
224.7
227.1
230.5
235.4
240.3
0.0
0.0
13.9
45.1
54.1
49.8
45.8
44.7
42.7
43.6
43.8
53.2
73.7
94.4
113.7
132.7
151.0
169.3
185.4
197.9
203.8
207.0
211.7
212.8
213.3
214.3
216.2
220.3
226.9
234.6
0.0
0.0
13.8
46.5
58.3
52.2
44.2
43.1
42.5
38.6
33.0
40.1
59.7
81.3
105.2
128.9
148.7
166.6
182.4
194.2
199.2
199.6
199.9
200.0
199.2
197.4
197.9
204.0
214.5
226.9
0.0
0.0
0.0
30.8
44.1
40.5
31.6
28.9
28.3
22.0
14.2
15.1
32.6
63.7
96.3
124.0
145.3
161.2
174.8
186.4
191.2
186.6
179.9
176.6
172.0
166.4
168.6
181.7
200.7
220.5
表 3-2-9
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
4.4
7.5
9.1
11.1
8.7
3.3
1.3
18.8
54.9
92.6
120.6
138.1
151.4
162.7
173.9
178.5
167.4
151.0
137.7
122.9
113.8
125.7
156.0
189.9
219.7
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
7.2
12.7
16.9
32.2
59.9
90.8
112.4
122.7
131.6
140.6
150.0
153.3
137.6
114.3
95.6
76.6
67.7
92.4
141.7
189.9
228.6
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.7
20.2
31.7
36.6
45.9
61.3
77.3
88.7
92.9
95.2
96.2
95.6
93.2
80.9
68.3
65.8
66.4
73.5
104.0
152.9
202.4
243.9
5.3
7.0
21.6
37.0
43.6
44.6
48.1
54.0
57.5
58.3
56.5
50.6
39.6
21.0
12.4
7.2
16.3
51.9
86.3
114.3
142.6
176.5
213.0
245.3
12.5
28.8
38.2
43.0
45.0
45.1
46.1
48.0
45.1
38.6
30.0
11.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
50.6
119.1
156.8
176.0
194.7
213.2
229.9
0.0
0.4
23.9
36.7
39.8
41.6
46.7
47.0
33.8
0.0
0.0
0.0
0.0
28.9
84.1
126.6
148.3
161.1
175.6
188.8
12.1
29.4
38.3
42.2
43.7
44.2
45.9
46.6
38.8
21.3
5.3
0.0
0.0
38.6
118.0
163.3
180.1
190.9
201.1
211.8
湛 水 深 分 布 推 定 結 果 一 覧 表 (2)
0.0
22.6
29.1
35.8
44.1
42.9
27.3
0.0
0.0
0.0
5.7
16.4
20.5
20.7
14.6
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
4.5
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
5.1
0.0
0.0
5.8
11.3
1.2
2.2
17.0
15.3
0.0
3-2-2 地下水観測孔の設置
地下水温・地下水位連続観測のための観測孔の設置及び観測地点の地層構成を把握する目的で、
ロータリー式掘削機によるボーリング調査を行った。
また、帯水層である堆積層の透水係数を把握するため
本調査孔を用いて現場透水試験を行った。
(1) ボーリング調査
1) 調査概要
ボーリング調査は、図3-2-26に示したボーリン
グマシンにより地下の土質、岩盤試料を削り取り、
削孔中の現象や採取されたコアおよびボーリング
孔を利用した原位置試験などから、地下の地質に
関する情報を得るために行われる。調査にあたっ
ては調査目的を考慮し、調査位置、掘削長、コア
採取方法、孔径などを決定した。
① 使用機器
ボーリング調査に使用した機械・器具を表3-210に記す。
図 3-2-26 ボーリングマシン全体図
(出典:ボーリングポケットブック)
表 3-2-10 ボーリング調査に使用した機器・器具
名
称
型
式
能
力
オイルフィード型
ボーリングマシン
東邦地下工機 DO−D型
掘進能力 : 100 m
送水用ポンプ
東邦地下工機 BG−3C型
吐 出 量 :54 l/min
ボーリング用エンジン
ヤンマー NFD型
最大馬力 :10.0 PS
常用馬力 : 8.0 PS
② 掘削方法
掘削は、ボーリングロッドの先端に取り付けたコアバ
ーレルにメタルクラウンを装着し、回転と給圧を与えて
行い、コアバーレル内にコアを取り込みながら、スライ
ム(切削屑)等は泥水の循環作用により排除した。掘削
中は、掘進速度や給圧あるいは孔内状況やスライムなど
の観察により地層状況の変化を把握した。また、孔内水
位は、無水掘削により確認することを原則とした。なお、
掘削に伴う孔壁の崩壊防止対策として、当該孔径のケー
シングパイプを随時挿入した。
2) 調査位置
調査位置は長良川からの地下水涵養に伴う周辺地下水
写真 3-2-4 早田西公園
- 66 -
温変動を把握するため、長良川近接地で2箇所(早田西公園・京町公園)と対比箇所として遠隔
地(菊地公園)を選定した。調査位置を図3-2-27に示すとともに表3-2-11に調査孔の仕様を示す。
写真 3-2-6 菊地公園
写真 3-2-5 京町公園
山塊
早田西公園
京町公園
長良川扇状地
菊地公園
自然堤防
図 3-2-27 調 査 位 置 図
- 67 -
(S=1:100,000)
表 3-2-11 調 査 孔 の 仕 様
調査孔名
孔口標高
(m)
早田西公園
T.P+15.21m
京町公園
T.P+13.48m
菊地公園
T.P+10.33m
調査深度
(m)
孔 径
(mm)
調査孔仕上
ストレーナ区間
66
塩化ビニール
パイプ
VP50
(外径60cm)
下部20m
30.00
3) 調査結果及び考察
ボーリング調査の結果、更新世の堆積物である砂礫層(Dg)、細粒分質砂層(Dsf)の上位に完
新世の堆積物である砂礫層(Ag)、砂層(As)、粘性土層(Af)がそれぞれ確認された。図3-2-28に
調査位置及び断面測線図、図3-2-29に岐阜市の既往資料である「平成19年度 地下水、地質情
報把握・分析調査業務委託」より引用した調査地点と地質想定断面を示す。以下、地点ごとに
ボーリング調査により判明した地盤の特徴、構成物、堆積状況、掘削状況などを記述する。
4
長良川扇状地
D
早田西公園
山塊
京町公園
長良川扇状地
E
菊地公園
4
図 3-2-28 ボーリング調査位置及び断面測線図 (S=1:60,000)
- 68 -
D
E
4
4
長良川
断面図凡例
京町公園
標高
菊地公園
Af:粘性土(沖積層)
早田西公園
Ag
Af
As:砂層(沖積層)
As
Ag:砂礫(沖積層)
Dsf:細粒分質砂(洪積層)
0.00
Dg:砂礫(洪積層)
Dsf
-50.00
P :基盤岩(中・古生代)
P
Dg
早田西公園
V=1:2,000 H=1:100,000
P:標高-115m
(物理探査結果)
図 3-2-29 調 査 地 点 と 地 質 想 定 断 面
(出典:平成19年度 地下水、地質情報把握・分析調査業務委託」報告書)
① 早田西公園
早田西公園井
・ 既往資料との対比によると、今回のボーリング調査で
確認された砂質シルト層(深度8m付近)下位の砂礫層
▽
は、掘削時にも相対的に締まった状態が確認されてお
初期地下水位
り、洪積層に該当すると考えられる。
・ 初期地下水位は深度5.1mであり、地下水は主に洪積層
内に分布している。
・ 洪積層は深度24∼25m付近に砂質シルト層を挟むが、全
般に砂礫層で構成され、深度14m付近までは玉石を多く
混入する。
・ 礫はφ2∼50mm程度の円∼亜円礫を主体とし、φmaxは
100mm程度である。
・ マトリックスは主に中砂で構成される。
・ 全般に細粒分が少なく、掘削時に孔壁崩壊を伴う。
図 3-2-30 早田西公園の土質柱状
② 京町公園
・ 既往資料との対比によると、深度13m付近より以深では洪積層へ遷移しているものと思わ
れ、掘削時にも相対的に締まった状態が確認された。
・ 初期地下水位は深度3.8mであり、地下水は主に洪積層内に分布している。
- 69 -
・ 洪積層は深度24∼26m付近に砂質シルト層を挟むが全般に砂礫層で構成され、深度13m付近
までは玉石を多く混入する。
・ 礫はφ2∼60mm程度の円∼亜円礫を主体とし、φmaxは100mm程度である。
・ マトリックスは主に中砂で構成される。
・ 全般に細粒分が少なく、掘削時に孔壁崩壊を伴う。
③ 菊地公園
・ 既往資料との対比によると、玉石混じり砂礫層が分布する深度10m付近以深より洪積層へ
遷移しているものと思われ、掘削時にも相対的に締まった状態が確認された。
・ 初期地下水位は深度4.6mであり、地下水は主に洪積層内に分布している。
・ 洪積層は全般に砂礫層で構成され、深度20m付近までは玉石を多く混入する。
・ 礫はφ2∼60mm程度の円∼亜円礫を主体とし、φmaxは100mm程度である。
・ マトリックスは主に中砂で構成される。
・ 全般に細粒分が少なく、掘削時に孔壁崩壊を伴う。
菊地公園井
京町公園井
▽
▽
初期地下水位
初期地下水位
図 3-2-32 菊地公園の土質柱状
図 3-2-31 京町公園の土質柱状
(2) 単孔式現場透水試験
本試験は、岐阜市街地の帯水層である堆積層に関して
水
の通しやすさを表す定数である
地盤の透水係数(k)を求めるために各調査孔の当該深度にて行った。
1) 調査概要
現場透水試験には、ボーリング孔内の水位を揚水(あるいは注水)して変化させ、その回復し
ていく過程を計測する非定常法(変水位法−回復法・注水法)と、孔内の水位を揚水(あるいは
注水)することによって一定水位を保ち、その揚水(注水)量を計測する定常法(定水位法)があ
る。また、ボーリング孔内のケーシングの有無やケーシング先端の透水試験部分の形状などの
違いによって、図3-2-33、3-2-34に示すようなオーガー法、ピエゾメータ法、チューブ法、パ
ッカー法などと呼ばれる方法があり、それぞれ透水係数を算出する式も異なる。オーガー法は
- 70 -
ボーリング孔の孔壁が十分自立する場合に可能な方法で、通常は孔壁が安定しないためケーシ
ングを用いたピエゾメータ法やチューブ法が行われる。今回は孔壁状況より非定常法(変水位
法−回復法)−ピエゾメータ法にて実施した。
単孔式 現場透 水試験
非定常 法
(変水 位法)
・回復 法
・注水 法
定常法
(定水 位法)
オーガ ー法
ピエゾ メータ 法
チュー ブ法
パッカ ー法
ピエゾ メータ 法
チュー ブ法
図 3-2-33 単孔式現場透水試験の種類
図 3-2-34 各種現場透水試験の概要図
(出典:地盤調査法)
2) 試験方法 [非定常法]
・ボーリングにより試験孔を掘削した。
・試験深度の数10cm手前で掘削を停止した。
・ケーシングパイプは、最終段階では所定の深度数10cm程度を打ち込みより挿入した。
・ケーシングパイプ内をロッドクラウン等で先掘りしつつ孔内洗浄を行った。
この場合、先掘りをケーシング先端深度で止めて試験を行えばチューブ法となり、
先端より深く先掘りし裸孔部分を設け、通水面積を大きく確保した場合はピエゾメ
ータ法となる。
・試験孔内に注水して、孔内の水位低下の時間的変化を測定した。(注水法)
試験孔内の水を水中ポンプやベーラー等を用いて揚水し、孔内の水位上昇の時間的な変化
を測定した。(揚水法)
・試験孔内の平衡水位を十分時間をかけて測定した。
なお、透水係数を求める場合、平衡水位と各時間の孔内水位の差を用いて解析するため、
基準となる平衡水位が重要となる。このため、孔内の水位変化がなくなったと判断される場
合の水位を平衡水位とするか、一日程度経過したときの水位を平衡水位として測定した。
3) 試験結果の解析
現場透水試験によって得た測定データをもとに、地盤の透水係数を算出した。なお、試験
- 71 -
方法等によって算出方法が異なるため、以下には、
1
今回実施した方法について試験方法と計算式の関
係を片対数グラフ紙上にプロットする(対数目盛り
に孔内水位と平衡水位の差、普通目盛りに時間)。
この中から図3-2-35に示すように直線部分を抽出
し、直線部分のなかの任意の2点における時間およ
水位差 h (cm)
係を記述する。まず、試験孔内の水位と時間の関
0 .1
び水位差を読み取り、式(3.2.2)、式(3.2.3)によ
って透水係数を求めた。
この 直 線 勾 配か ら
透水 係 数 を 算出 す る
なお、今回は、試験箇
所上部に不透水層がない場合の式(3.2.2)を用いた。
0. 01
0
< ピエゾメータ法 >
k =
2L
lns1−lns2
・ln
8L
2
3
4
5
6
7
8
9
10
時 間 t (sec)
[ 試験箇所上部に不透水層がない場合 ]
d2
1
・
図 3-2-35 透水試験時の
測定水位差と時間の関係
・・・・・・・ (3.2.2)
t2−t1
D
[ 試験箇所上部に不透水層がある場合 ]
d2
k =
4L
lns1−lns2
・ln
8L
・
・・・・・・・ (3.2.3)
t2−t1
D
d : 測定用パイプの内径(cm)
D : 試験区間の直径(cm)
L : 試験区間の長さ(m)
s1,s2 : 孔内水位と自然水位との水位差
t1,t2 : s1,s2 に対応する時間(sec)
4) 調査結果及び考察
試験結果を表3-2-12および図3-2-36に示すとともに、現場透水試験の結果について以下に考
察する。
表 3-2-12 現 場 透 水 試 験 結 果
調査地点
早田西公園
京町公園
菊地公園
試験深度
(GL− m)
対象地盤
(地層名称)
透水係数
k (㎝/sec)
11.00∼11.45
玉石混じり砂礫層
3.65×10-3
1.35×10-3
14.00∼14.40
10.00∼10.35
砂礫層
15.00∼15.40
11.20∼11.50
15.20∼15.70
試験方法
2.63×10-1
1.69×10
玉石混じり砂礫層
- 72 -
-1
1.85×10-1
1.68×10-2
ピエゾメータ法
(非定常法)
菊地公園井
(GL=10.33m)
▽
京町公園井 (GL=13.48m)
▽
試験前水位
早田西公園井 (GL=15.21m)
試験前水位
▽
試験前水位
k=2.63×10-1
k=3.65×10-3
-1
k=1.85×10
-2
k=1.68×10
k=1.69×10-1
k=1.35×10-3
k:透水係数(cm/sec)
図 3-2-36 土質柱状図と現場透水試験結果
試験の結果、透水係数は長良川の北側に位置する早田西公園において10−3㎝/secのオーダー
を示し、南側に位置する京町公園,菊地公園では、概ね 10−1㎝/secのオーダーを示す。
表3-2-13に透水係数の一般値を示すが、試験対象土質に相当する砂および礫について、対応
する一般値と試験値は高い整合性を示している。
表 3-2-13 単孔式現場透水試験結果による透水性評価
←市街地地盤の透水性
(出典:土質試験の方法と解説)
- 73 -
3-3 地下水位・水温一斉観測
(1) 調査概要
岐阜市街地とその周辺地域を対象とした広域の地下水位及び地下水温分布特性を把握すること
を目的として、岐阜市全域において地下水位・地下水温の一斉観測を実施した。本観測は、岐阜
市内に設置される約200箇所の既設井戸(家庭用井戸、灌漑用井戸および消防用井戸)に対し、テス
ター式水位計・ハンディ式水温計を用いた地下水位と地下水温の手動観測を行っている。なお、
本観測に関しては「平成22年度 豊水期・渇水期地下水位観測調査業務委託」の結果も併せて整理
を行った。ここで、調査対象である既設井戸200箇所のうち市街地における位置図を図3-3-1に示
すとともに、既設井戸諸元を表3-3-1、表3-3-2にまとめる。
根尾川扇状地
山塊
長良川扇状地
扇頂域
扇端域
扇央域
扇端域
自然堤防
氾濫平野
:既設井戸
図 3-3-1 地下水位・水温一斉観測地点位置図 (S=1:100,000)
- 74 -
表 3-3-1 既
設
井
- 75 -
戸
諸
元
(1)
表 3-3-2 既
設
井
戸
諸
元
(2)
(2) 調査方法
調査方法を以下に列記する。
・ 地下水位・水温の一斉観測は個人所有井戸、消防水利用井戸、農業用井戸の計200箇所を対
象に、日の出から日没までの時間帯に行った。
・ 観測の実施は、夏季と秋季の2回行った。
・ 水温観測は、井戸深度が30m程度の深井戸については深度10m地点と20m地点の2箇所において
行った。深度10m以浅の浅井戸については井戸底付近において行った。
・ 観測された水位データは、基準高に基づき標高表示にて整理した。
・ 観測された水温データは、摂氏(℃)表示として整理した。
・ 地下水位及び水温は、2回以上観測した平均値をその調査対象井戸の観測値とした。
- 76 -
・ 観測に際し、個人井戸については所有者、消防水利用井戸については井戸を所管する消防署、
および農業用井戸については管理者に承諾を得て実施した。
・ 当該対象井戸が、道路あるいは公共施設敷地内に設置されている場合の観測については、通
行人、車両などの障害にならないように注意するとともに、調査終了後の現況復旧について
は、井戸蓋など所定の場所への格納を確認するなど万全の処置を講じた。
・ 観測は、テスター式水位計(表3-3-3)とハンディ式水温計(表3-3-4)を用いた。
項 目
名 称
最小目盛
電 源
センサー
ロープ形状
ロープ長さ
重 量
項 目
名 称
温度測定範囲
電 源
外形寸法
測定方式
測定精度
最小表示
表 3-3-3 テスター式水位計仕様
仕
様
1-30型 テスター水温計(アルファ工学社製)
1cm
ボタン型電池 LR-44
φ13×135mmステンレス製 耐熱温度100℃
丸形ロープ φ4.0mm
30m
1.6kg
表 3-3-4 ハンディ式水温計仕様
仕
様
MC1000型 ハンディ水温計((株)チノー製)
0∼50℃
単三乾電池2本
本体部 :164×76×36mm,W250g
センサー:φ15×150mm
半導体センサー
±0.1%±1℃以内
水温:0.1℃
(3) 調査結果及び考察
観測結果は、観測結果表としてとりまとめ、巻末資料として添付した。以下、地下水位及び地
下水温一斉観測結果について考察する。
1) 地下水位観測
岐阜市街地を対象とした地下水位等高線図を図3-3-2に示す。以下に観測結果についての考察
を列記する。
・長良川扇状地の扇頂域に位置する雄総地区付近と、扇央域に位置する金華橋付近及び岐阜市
役所付近では、地下水流動が非常に活発である。
・雄総地区では長良川右岸方向への地下水流動が顕著である。
・金華橋付近では長良川左岸方向への地下水流動が顕著である。
・扇端域から氾濫平野にかけては地下水流動が鈍化傾向にある。
・長森地区では年間を通じて山塊方向からの地下水流動が顕著である。
・黒野地区付近では根尾川扇状地からの地下水流動が活発である。
・夏季と冬季を対比した場合、地下水位等高線図より示される岐阜市街地の地下水流動状況に
は大きな相違は見られない。
・黒野地区では秋季∼冬季にかけて2m前後の水位低下が見られる。
- 77 -
平成 22 年 7 月 26 日
平成 22 年 9 月 28 日
平成 22 年 11 月 29 日
図 3-3-2
平成 23 年 1 月 26 日
地 下 水 位 等 高 線 図
- 78 -
(S=1:150,000)
以上のように、岐阜市街地における地下
水流動は、市街地以南に比べて長良川水系
や根尾川水系が流下する市街地∼市街地北
部の地下水流動が活発であると推察される。
また、1 年を通じて地下水流動状況には相
違がほとんどみられない。ここで、図 3-33 に調査結果をもととした地下水面分布の
鳥瞰イメージを示す。
2) 地下水温観測
岐阜市街地を対象とした水温等値線図を
深度10m(図3-3-4)、深度20m(図3-3-5)に分
けてそれぞれ示す。以下に観測結果につい
ての考察を列記する。
・ 7月下旬に扇頂域から扇央域にかけての
図 3-3-3 地下水面分布の鳥瞰イメージ
(平成22年7月26日観測)
長良川流域付近において、15℃以下の
低温域の分布がみられる。しかし、この低温域は9月下旬には縮小傾向にあり、11月下旬に
は18℃以上の高温域へと遷移する。特に深度10mの浅層部ではその傾向が顕著である。
・ 市街地南東域(厚見・長森地区)においては、深度10mの浅層部及び深度20mの深層部とも年
間を通じて18℃以上を示し、相対的に水温の高い状況にある。
・ その他の地区については、概ね10mの浅層部及び深度20mの深層部とも年間を通じて16∼18℃
程度を示す。
以上より岐阜市街地における地下水温は、長良川扇状地の扇頂域∼扇央域にかけての長良
川流域付近では、他地区と比べて特異的な変動を示すことが判明した。一般に地下10m以下の
地下水は恒温層と呼ばれ、その土地の年間平均気温と同じか1∼3℃高い温度に保たれると言
われている。岐阜市における平成22年の年間平均気温は16.4℃であり、これによると恒温層
は17∼19℃前後となる。よって、上記地区については一般的な恒温層の地下水温とは異なり、
地下水温が季節変化しているものと考えられる。
一方、それ以外の地区では一般的な恒温層が分布すると推察され、16∼18℃程度の水温変
動を示すが、図3-3-4の等値線図を参照すると地区による温度差が判読される。すなわち、長
良川扇状地の扇端地域とそれに続く範囲の地区では、期間を通じて16∼17℃程度と一般的な
水温変動を示し、範囲外では17∼19℃程度とやや高温の水温変動を示す。
- 79 -
平成 22 年 9 月 28 日
平成 22 年 7 月 26 日
平成 22 年 11 月 29 日
図 3-3-4
平成 23 年 1 月 26 日
地 下 水 温 等 値 線 図
- 80 -
(GL-10m)
(S=1:150,000)
平成 22 年 9 月 28 日
平成 22 年 7 月 26 日
平成 22 年 11 月 29 日
図 3-3-5
平成 23 年 1 月 26 日
地 下 水 温 等 値 線 図
- 81 -
(GL-20m)
(S=1:150,000)
3-4 地中温度検層
3-4-1 地中温度自動検層(連続観測)
(1) 調査概要
本観測は、長良川扇状地を対象とした地下水温の連続的な変動や季節変化を把握する目的で
実施した。長良川近接地で2箇所(早田西公園・京町公園)及び対比箇所として遠隔地(菊地公園)
において地下水温の連続観測を行った。水温連続観測は深度方向に設置した7箇所の熱電対水中
温度計を用いて、地上気温と併せてインターバル1時間として行った。また、長良川扇状地の地
下水位変動について、降水や長良川河川水位との連動性あるいは揚水による影響等の検討に資
するため、自記水位計を用いた連続観測についても行った。なお、本観測に関しては「平成22
年度 地下水位定点・定時観測調査業務」の結果、及び国土交通省の長良川水位データ(忠節観
測所)も併せて整理に使用した。ここで、調査対象である観測井6箇所及び国土交通省忠節観測
所の配置を図3-4-1,観測用井戸諸元を表3-4-1にまとめる。
根尾川扇状地
山塊
早田西公園
萱場
長良川(忠節)
京町公園
長良川扇状地
菊地公園
天満公園
前一色
自然堤防
氾濫平野
●:本業務観測地点 ●:岐阜市定点・定時観測地点
:河川水位観測地点
図 3-4-1 地下水温連続観測地点位置図(S=1:100,000)
表 3-4-1 観測用井戸諸元
- 82 -
(2) 調査方法
調査方法を以下に列記する。
・ 地下水位、水温の連続観測は図3-4-2の調査概要図に示したように、地表気温・深度6.5m、
9.5m、12.5m、15.5m、18.5m、22.5m、26.5mの深度方向に設置された8箇所の水温センサー
及び水位センサーを用いて実施した。
・ インターバルは1時間とし、多チャンネルデータロガーに集積されたデータは機器メンテナ
ンスを兼ね定期的(月1回程度)に回収した。
・ 回収した水温データは摂氏(℃)表示として整理した。
・ 回収した水位データは、基準高に基づいて標高表示として整理した。
・ 観測に際し、個人井戸については所有者、消防水利用井戸については井戸を所管する消防
署、および農業用井戸については管理者に承諾を得て実施した。
・ 対象井戸が道路あるいは公共施設敷地内に設置されている場合の観測については、通行人、
車両などの障害にならないように注意するとともに、調査終了後の現況復旧については、
井戸蓋など所定の場所への格納を確認するなど万全の処置を講じた。
・ 観測は、それぞれの機器(表3-4-2∼3-4-4参照)を用いた。
早田西公園
菊地公園
京町公園
図 3-4-2 調 査 概 要 図
- 83 -
表 3-4-2 水温センサー熱電対仕様
項
名
目
仕
様
フッ素樹脂モールド熱電対
((株)メテオ電子製)
JIS C 1602-1995
-30∼90℃
非接地形
T線経φ0.65
クラス2
称
規格
使用温度範囲
測温接点形状
素線
許容差の分類
項
名
目
称
測定範囲
精度
分解能
測定方式
記録媒体
電源
仕様環境
表 3-4-3 水 位 計 仕 様
仕
様
水圧式水位計RT510
((株)環境モニタリング研究所製)
0∼10m
±0.1%
1mm
半導体圧力(大気補正型ゲージ圧)
MMCカード
内蔵単二乾電池4本(通常使用で約100日間)
-20∼+50℃
表 3-4-4 多チャンネルロガー仕様
項 目
仕
様
多チャンネルロガー Multi Card1
名
称
((株)メテオ電子製)
入力点数
アナログ8点、パルス2点
測定分解能
各レンジに対して±0.025%
インターバル
1∼60分
記録媒体
コンパクトフラッシュカード
電源
内蔵006P型乾電池
(3) 調査結果及び考察
1) 地下水温連続観測
観測結果は、「地中温度検層結果表(連続観測)」としてとりまとめ、巻末資料として添付し
た。以下、地点ごとに観測結果について考察する。
① 早田西公園
図3-4-3に日平均水温、水位変動図、図3-4-4に深度別日平均地下水温変動図をそれぞれ示
す。また、図3-4-5に各月ごとにピックアップした地下水温鉛直分布を示す。以下に観測結果
についての考察を列記する。
・ 年間を通じて最も水温が高いのは深度6.5mであり、16∼17℃付近で推移している。
・ 年間を通じて最も水温が低いのは深度12.5mであり、8∼9月には14℃前後で推移している
が、12月以降では15℃前後まで上昇し、深度9.5m、18.5m、15.5mとほぼ同じ水温となる。
・ 図3-4-5に示されるように、夏季∼秋季にかけて中間層である深度9.5∼18.5m間に低温域
を形成する傾向にあるが、冬季に向けてこの低温域は減少傾向にある。
- 84 -
・ 全般に地表気温や長良川水温の変動に相反し、夏季∼冬季にかけて水温が上昇する。
・ 岐阜市における恒温層の地下水温は17∼19℃前後と想定される事から、本地点については
観測期間を通じて相対的に低温で推移している。
以上より、本地点の地下水温は期間を通じて14∼17℃前後と相対的に低温で推移しており、
全般に長良川の季節的な水温変化とは異なる変動を見せる。さらに、特定の深度層である深
度9.5∼18.5m間では地下水温に季節変動がみられる。長良川水温との水温変動の差異は後述
する長良川水温との位相差によるものと推測される。
図 3-4-5 各月ごとの地下水温鉛直分布
- 85 -
地下水温
地下水温
図 3-4-3 日 平 均 水 温 変 動 図
- 86 -
(早田西公園)
図 3-4-4 深度別日平均地下水温変図 (早田西公園)
- 87 -
② 京町公園
図3-4-6に日平均水温、水位変動図、図3-4-7に深度別日平均地下水温変動図をそれぞれ示
す。また、図3-4-8に各月ごとにピックアップした地下水温鉛直分布を示す。以下に観測結果
についての考察を列記する。
・ 9月以降は深度6.5∼22.5mの水温はほぼ同等程度で推移している。
・ 上記深度層では図3-4-8に示されるように水温が大幅に変動しており、8月に12℃程度を示
していたものが11月には23℃程度まで水温上昇する。
・ 全般に水温変動は地表気温や長良川水温に相反して夏季∼冬季にかけて上昇する。
・ 11月、12月の水温は8月、9月の長良川水温とほぼ同等となる。
・ 深度24∼26m付近に分布するシルト層を境界に様相が異なり、深度26.5mの水温は年間を通
じて14∼15℃前後を示す。
・ 上記深度層は恒温層としては相対的に低温である。
・ 岐阜市における恒温層の地下水温は17∼19℃前後とされることから、本地点の深度6.5∼
22.5m間の水温は恒温層とは異なる水温分布となる。深度26.5mの水温も相対的に低温であ
る。
以上より、本地点の地下水温はほぼ全層において季節変動しており、調査期間において
10℃以上の水温幅を有する。長良川水温に相反した変動を見せており、夏季に13℃前後、冬
季に22℃前後となる。本地点の地下水温は図3-4-6を見ても分かるように12月頃の地下水温が
8月頃の長良川水温とほぼ同等となることから、長良川水温を約5ヶ月遅れで再現しているも
のと推測される。長良川水温との位相差については次節で述べる。
図 3-4-8 各月ごとの地下水温鉛直分布
- 88 -
地下水温
地下水温
地下水温
図 3-4-6 日 平 均 水 温 変 動 図
- 89 -
(京町公園)
図 3-4-7 深度別日平均地下水温変動図 (京町公園)
- 90 -
③ 菊地公園
図3-4-9に日平均水温、水位変動図、図3-4-10に深度別日平均地下水温変動図をそれぞれ示
す。また、図3-4-11に各月ごとにピックアップした地下水温鉛直分布を示す。以下に観測結
果についての考察を列記する。
・ 年間を通じて最も水温が高いのは深度6.5mであり、18∼20℃付近を推移している。
・ 年間を通じて最も水温が低いのは深度26.5mであり、16∼17℃前後を推移している。
・ 最も季節的な影響を受けているのは深度6.5mであり、3℃程度上昇しているのに対して、
深度26.5mは1℃程度の水温上昇に留まる。
・ 深度20∼30m以深は水温変動から恒温層であると推定される。
・ 全般に地表気温や長良川水温に相反して夏季∼冬季にかけて水温上昇が見られる。
・ 期間を通じて深度とともに水温が低くなる傾向がある。
・ 岐阜市における恒温層の地下水温は17∼19℃前後とされることから、本地点については期
間を通じて相対的に低温で推移している。
以上より、本地点では期間を通じて一般的な恒温層が形成されていると推測されるが、そ
の深度は20∼30m以深である。また、全般に長良川水温に相反した水温変動を見せる。長良川
水温との水温変動の差異は後述する長良川水温との位相差によるものと推測される。
図 3-4-11
各月ごとの地下水温鉛直分布
- 91 -
地下水温
地下水温
地下水温
図 3-4-9 日 平 均 水 温 変 動 図
- 92 -
(菊地公園)
図 3-4-10 深度別日平均地下水温変動図 (菊地公園)
- 93 -
2) 地下水位連続観測
観測を開始した8月中旬以降の日平均地下水位変動を、岐阜市における地下水位定点観測記
録と併せて図3-4-12に示す。なお、「H.22 地下水位定点・定時観測調査業務」の経時変動も重
ねて表記している。以下、観測結果についての考察を列記する。
・ 全箇所において降雨後に水位上昇が見られ、長良川河川水位の変動と類似している。
・ 長良川河川水位との連動性を把握するため、9月8日の降雨時(日降水量55mm)の各観測井
水位と長良川河川水位と関係を図3-4-12及び表3-4-5に示す。
・ 地下水位変動は長良川水位測定点である忠節からの直線距離と整合しており、長良川の水
位変動は長良川扇状地全域において影響を与えていると考えられる。
・ 長良川に近いほど降雨による水位上昇幅が大きく、遠方程小さくなる傾向にある。
・ 氾濫平野に位置する前一色においては、長良川河川水位との連動性は不明であり、水位一
斉観測の結果によると北部の山塊からの影響が考えられる。
表 3-4-5 各観測地点と長良川との関係
地点
ピーク
時間差
長良川(忠節)
9月 8日 13:00
−
直線距離
京町公園
9月 9日
8:00
約 19 時間
約 0.8km
早田西公園
9月10日
4:00
約 39 時間
約 1.2km
9月10日 16:00
約 51 時間
約 2.0km
菊地公園
9月11日
9:00
約 68 時間
約 2.5km
天満公園
9月13日
5:00
約 112 時間
約 2.6km
-
約 5.5km
萱 場
前一色
連動性不明
以上より長良川扇状地の観測地点においては長良川河川水位との連動性が確認され、扇状
地地域の地下水流動が活発であることが推察される。一方、氾濫平野に位置する前一色井に
おいては明確な連動性が確認されないことから、氾濫平野地域の地下水流道は比較的鈍いも
のと推察される。
- 94 -
(地下水位・河川水位経時変動図)
時間差 h
前一色井(連続性不明)
早田西公園(39h)
京町公園(19h)
萱場井(51h)
:ピーク水位
:ピーク水
菊地公園(68h)
天満公園(112h)
図 3-4-12 日平均地下水位・日平均河川水位変動図
- 95 -
3-4-2 地中温度検層(定期観測)
(1) 調査概要
長良川扇状地及び周辺地域を対象とした3次元的な地下水温の変動や、季節変化を把握するこ
とを目的として実施した。本観測では地下水位・水温一斉観測で対象とした深度20∼30mの既設
井戸の中から20箇所程度を選出し、インターバル1ヶ月とした定期観測を行った。なお、本観測
に関しては前述した連続観測実施箇所の結果も併せて整理した。ここで、調査対象である観測
井20箇所の配置を図3-4-13に示すとともに、既設井戸諸元を表3-4-6に示す。
長良東 1
常磐 2
鷺山 8
木田 3
長良西 4
扇頂域
早田西公園
扇央域
早田 4
則武 4
島8
長良川扇状地
山塊
京町公園
扇端域
市役所
木之本 1
扇央域
徹明 1
白山 2
菊地公園
市 橋
三里 2
扇端域
華陽 3
加納東 3
自然堤防
三里 8
市橋 16
氾濫平野
厚 見
鶉4
●:定期観測地点 ●:自動観測地点
図 3-4-13 地下水温定期観測地点位置図 (S=1:50,000)
- 96 -
表 3-4-6 既 設 井 戸 諸 元
(2) 調査方法
調査方法を以下に記述する。
・ 地下水温の定期観測は、図3-4-14の調査概要図に示したように、深度方向に1m間隔で実施し
た。
図 3-4-14 調 査 概 要 図
- 97 -
・ インターバルは原則として1ヶ月とした。
・ 地下水温は、2回以上観測した平均値をその観測値とした。
・ 観測した水温データは摂氏(℃)表示として整理した。
・ 観測に際し、個人井戸については所有者、消防水利用井戸については井戸を所管する消防署、
および農業用井戸については管理者に承諾を得て実施した。
・ 対象井戸が道路あるいは公共施設敷地内に設置されている場合の観測については、通行人、
車両などの障害にならないように注意するとともに、観測終了後の現況復旧については、井
戸蓋など所定の場所への格納を確認するなど万全の処置を講じた。
・ 観測は地下水位一斉観測と同じくテスター式水位計とハンディ式水温計を用いた。
(3) 調査結果及び考察
一般に地下水温が変動するのは深度10∼15mまでと言われており、それより深部ではその土地
の年間平均気温と同じか、1∼3℃程度高い温度に保たれる恒温層(岐阜市における平成22年の年
間平均気温16.4℃)が分布する。しかし、本調査の結果、岐阜市街地においては、季節により地
下水温が大幅に変動する箇所など、様々なタイプの地下水温変動が確認された。
今回は表3-4-7に示したように恒温層上面深度あるいは深度方向や季節的な水温分布の変化か
ら、岐阜市街地における地下水温鉛直分布の特徴を5種類のタイプに区分した。以下、各地下水
温鉛直分布タイプについての考察を列記する。
- 98 -
表 3-4-7 岐阜市街地における地下水温鉛直分布の特徴とタイプ区分
タイプ
内 容
恒温層上面位置が浅く、深
度10m以浅に確認される。
木田 3
華陽 3
三里 8
厚見 8
徹明 1
島8
恒温層上面位置が深度10∼
20m付近に確認される。
白山 2
加納東 3
常磐 2
鶉4
市橋 1
1
2
恒温層上面位置が深度20∼
30m以深と深い。
菊地公園
三里 2
鷺山 8
市橋 16
地下水温が鉛直勾配をあま
り示さずに季節変化する。
長良西 4
早田 4
京町公園
3
4
分布区分
長良川扇状地の扇
端域及び氾濫平野
域
長良川扇状地の扇
頂域から扇央域
長良東 1
深度10∼20m間の中間層で
水温が季節変化する。
5
観測井
早田西公園
則武 4
岐阜市役所
木之本 1
長良川扇状地の扇
央域
- 99 -
水温変動模式図
長良東 1
常磐 2
鷺山 8
木田 3
長良西 4
氾濫平野
扇頂域
扇頂域
扇央域
扇央域
早田西公園
早田 4
則武 4
島8
長良川扇状地
山塊
扇端域
扇端域
京町公園
市役所
木之本 1
扇央域
扇央域
徹明 1
白山 2
菊地公園
市橋 1
扇端域
扇端域
三里 2
華陽 3
加納東 3
扇端域
三里 8
市橋 16
氾濫平野
厚見 8
鶉4
図 3-4-15 地下水温鉛直分布のタイプ区分
- 100 -
1) タイプ 1
・ 恒温層上面位置が浅く、深度10m以浅に分布する特徴を示す。
・ 本タイプの水温分布の模式図と分布図を図3-4-16に示すとともに、図3-4-17には本タイプ
に区分される観測地点の地下水温鉛直分布を示す。
・ 長良川扇状地の扇央から扇端域に位置する徹明1や島8、及び氾濫平野域に位置する木田3、
華陽3、三里8、厚見8 が本タイプに該当する。
・ 岐阜市域の場合、前述したように恒温層の水温(年平均気温と同等もしくは1∼3℃程度高
い状態)は、平成22年の年平均気温16.4℃より概ね17∼19℃程度に想定される。これに対
し、本タイプに区分される観測地点のうち、市街地南東域に位置する華陽3,厚見8の恒温層
では類似した17∼19℃程度の水温分布を示すものの、市街地西域の木田3、島8、三里8 及
び市街地中心域に位置する徹明1の恒温層では、15∼17℃程度と相対的にやや低い傾向を示
す。
氾濫平野
扇頂域
長良川扇状地
扇端域
扇央域
扇端域
氾濫平野
タイプ 1 模式図
図 3-4-16
タイプ 1 模式図及び分布図
- 101 -
図 3-4-17
タイプ 1 に該当する観測地点の地下水温鉛直分布
- 102 -
2) タイプ 2
・ 恒温層上面位置が深度10∼20m付近に分布する特徴を示す。
・ 本タイプの水温分布の模式図と分布図を図3-4-18に示すとともに、図3-4-19には本タイプ
に区分される観測地点の地下水温鉛直分布を示す。
・ 長良川扇状地の扇端域に位置する白山2、加納東3 や氾濫平野域に位置する常磐2、鶉4、市
橋1 が本タイプに該当する。
・ 岐阜市域で想定される恒温層の水温分布(17∼19℃程度)に対して、市街地北縁域及び南
縁域に分布する常磐2、鶉4 の恒温層では類似した17∼18℃程度の水温分布を示す。これに
対し、市街地西域に位置する市橋1や市街地中心部に位置する白山2、加納東3 の恒温層で
は、15∼17℃程度と相対的にやや低い水温分布を示す傾向にある。
氾濫平野
扇頂域
長良川扇状地
扇端域
扇央域
扇端域
氾濫平野
タイプ 2 模式図
図 3-4-18 タイプ 2 模式図及び分布図
- 103 -
図 3-3-19 タイプ 2 に該当する観測地点の地下水温鉛直分布
- 104 -
3) タイプ3
・ 恒温層上面位置が深度20∼30m以深と深い特徴を示す。
・ 本タイプの水温分布の模式図と分布図を図3-4-20に示すとともに、図3-4-21には本タイプ
に区分される観測地点の地下水温鉛直分布を示す。
・ 長良川扇状地の扇端域に位置する菊地公園、三里2、鷺山8 や氾濫平野域に位置する市橋16
が本タイプに該当する。
・ 市橋16(深度25m付近が恒温層上面位置)を除き、他の観測地点では明確な恒温層が確認で
きない。
・ 岐阜市域で想定される恒温層の水温分布(17∼19℃程度)に対して、恒温層が確認できる
市橋16では 15∼16℃とやや低い傾向を示す。また、明確な恒温層が確認されない他の観測
地点では、市街地北縁部に位置する鷺山8 (16∼18℃)を除き、市街地南西域に位置する
菊地公園と三里2 では、最深部において15∼17℃程度とやや低い水温分布を示している。
氾濫平野
扇頂域
長良川扇状地
扇端域
扇央域
扇端域
氾濫平野
タイプ 3 模式図
図 3-4-20 タイプ 3 模式図及び分布図
- 105 -
図 3-4-21 タイプ 3 に該当する観測地点の地下水温鉛直分布
- 106 -
4) タイプ 4
・ 地下水温が鉛直勾配をあまり持たず、季節的に変化する特徴を示す。
・ 本タイプの水温分布の模式図と分布図を図3-4-22に示すとともに、図3-4-23には本タイプ
に区分される観測地点の地下水温鉛直分布を示す。
・ 長良川扇状地の扇頂域から扇央域に位置する、長良東1、長良西4、早田4、京町公園が本タ
イプに該当する。
・ 恒温層が不明確であり、深度方向に一定水温を示すものの水温分布は季節的に変化する。
・ 長良川に近接した京町公園で季節的な水温変動が最も大きく、夏季から冬季にかけての水
温変化は10℃以上を示す。
・ 京町公園と早田4 では、長良川の水温変動と対照的に夏季から冬季にかけて水温が上昇傾
向を示す。
氾濫平野
扇頂域
長良川扇状地
扇端域
扇央域
扇端域
氾濫平野
タイプ 4 模式図
図 3-4-22 タイプ 4 模式図及び分布図
- 107 -
図 3-4-23 タイプ 4 に該当する観測地点の地下水温鉛直分布
- 108 -
5) タイプ 5
・ 本タイプは、深度10∼20m間の中間層で水温が季節変化する特徴を示す。
・ 本タイプの水温分布の模式図と分布図を図3-4-24に示すとともに、図3-4-25には本タイプ
に区分される観測地点の地下水温鉛直分布を示す。
・ 長良川扇状地の扇央域に位置する早田西公園、則武4、岐阜市役所、木之本1 が本タイプに
該当する。
・ 本タイプでは、長良川の水温変動に反して、中間層を中心に夏季から冬季にかけて水温が
上昇傾向を示す。
・ 深部における水温分布の収束性には観測地点によってばらつきが見られる。また、岐阜市
域で想定される恒温層の水温分布(17∼19℃程度)に対しては、各観測地点とも深度20m以
深において14∼17℃以下とやや低い水温分布を示す傾向が見られる。
氾濫平野
扇頂域
長良川扇状地
扇端域
扇央域
扇端域
氾濫平野
タイプ 5 模式図
図 3-4-24 タイプ 5 模式図及び位置図
- 109 -
図 3-4-25 タイプ 5 に該当する観測地点の地下水温鉛直分布
6) 地下水温鉛直分布のまとめ
調査結果及び地下水温定期観測のデータをもとに、岐阜市街地におけるタイプ別の区分推定
域を描くと図3-4-26のようになる。ここで、各地域の特徴を以下にまとめる。
・ 長良川扇状地の扇頂域、扇央域には氾濫平野域には見られない特異的な水温変動を示すタ
イプ4、タイプ5が分布する。
・ タイプ4は、長良川扇状地の扇頂域から扇央域にかけて分布し、長良川との交流が最も盛ん
な地域であると推定される。恒温層が特定できず全層において水温が季節変化する。
・ タイプ5は、長良川扇状地の扇央域に分布し、タイプ4と同様に長良川との交流が盛んであ
ると推測される。特定の深度層(深度10∼20m付近)において水温が季節変化する。
・ タイプ1、タイプ2、タイプ3は長良川扇状地の扇端域及び氾濫平野域に広く分布する。本タ
イプでは、深度が異なるものの年間を通じて一定水温を示す恒温層が確認される。
以上のように、岐阜市域では、地下水温が深部にかけて季節変化を見せる地域(図3-4-26に
示す赤線と長良川で挟まれたタイプ4、タイプ5)と、深度は異なるものの恒温層が確認できる
- 110 -
地域(扇状地扇央域から扇端域及び氾濫平野域に位置するタイプ1、タイプ2、タイプ3)とに大
別されることが判明した。
長良川扇状地
氾濫平野
図 3-4-26 岐阜市街地におけるタイプ別区分図
(4) 地下水流向方向における 2 次元地下水温分布
地下水位一斉観測で得られた地下水流向方向の断面的な水温分布を把握することを目的とし
て、図3-4-27に示した3測線において地下水温2次元断面図を作成した。
A-A
断面は、長良川以北の地下水流動方向における地下水温の変動を、B-B
断面は長良川
以南の地下水流動方向における地下水温の変動特性を把握する。C-C 断面は長良川よりやや離
れた岐阜市役所∼岐阜駅を中心とした地下水温の変動特性を把握する。以下に断面ごとに考察
を列記する。
- 111 -
長良川扇状地
※水温分布タイプは、図 3-4-24 に準じる
氾濫平野
図 3-4-27 地下水温 2 次元断面図における測線配置図 (S=1:50,000)
1) A-A 断面(図3-4-28)
・ 扇頂域に位置する長良西4 は季節的な水温変動を示すが、早田4、早田西公園と比べて水温
変動が微小であることに加えて、周囲より比較的低温で推移している。
・ 扇央域に位置する早田4、早田西公園は季節的な水温変動が顕著であり、夏季から冬季に水
温が上昇していく傾向にある。
・ 扇央∼扇端域に位置する則武4∼島8間は季節的な水温変動も極少なく、相対的に高温とな
る。
以上のように扇頂∼扇央域に位置する早田西公園、早田4 付近は季節変動が顕著に見られ
- 112 -
るのに対し、長良西4 付近も季節変化を見せるものの、その水温変動幅は小さく、年間を通
じて相対的に低温で推移する。一方、扇央∼扇端域に関しては年間を通じて恒温層が形成さ
れ、年間を通じて岐阜市における恒温層に相当する17∼19℃の範囲の水温で推移している。
タイプ 1
島8
タイプ 5
則武 4
タイプ 5
早田西公園 タイプ 4
早田 4
タイプ 4
長良西 4
タイプ 4
長良東 1
水温(℃)
図 3-4-28 地下水温 2 次元断面図
(A-A 断面)
- 113 -
2) B-B 断面(図3-4-29)
・ 扇央域に位置する京町公園は季節的な水温変動が顕著であり、夏季から冬季にかけて水温
が上昇していく傾向にある。
・ 扇央∼扇端域に位置する木之本1 は季節的な水温変化を示すが、京町公園と比べて水温変
動が微小であることに加えて、周囲より比較的低温で推移している。この水温変動の差異
は後述する長良川水温との位相差によるものと推測される。
・ 扇端∼氾濫平野域に位置する菊地公園∼市橋16 間は季節的な水温変化も極少なく、相対的
に高温となる。
以上のように、扇央から扇端域に位置する京町公園と木之本1では、ともに季節変動がみら
れるものの、観測期間内における水温変動幅や変動状況(季節的な水温変化)には相違が見
られる。一方、扇端域∼氾濫平野域では年間を通じて恒温層が形成されており、岐阜市域で
想定される恒温層の水温(17∼19℃)と同等もしくはやや低温側で推移している。
タイプ 3
市橋 16
タイプ 1
三里 8
水温(℃)
図 3-4-29 地下水温 2 次元断面図 (B-B 断面)
- 114 -
タイプ 3
菊地公園
タイプ 5
木之本 1
タイプ 4
京町公園
3) C-C 断面(図 3-4-30)
・ 本断面は、岐阜市役所を中心とするB断面よりやや南側に位置する。
・ 扇央域に位置する岐阜市役所は深度10∼20m付近を中心に季節的な水温変化が顕著であり、
夏季から冬季にかけて水温が上昇していく傾向にあるのに対して、徹明1 は全層において
水温が低下していく傾向にある。この水温変動の差異は後述する長良川水温との位相差に
よるものと推測される
・ 扇端域に位置する三里2は季節的な水温変動も極少なく、相対的に高温となる。
以上のように、岐阜市役所付近では当該深度において季節変動が顕著に見られるのに対し、
徹明1における季節変化は岐阜市と比較して小さく、しかも年間を通じて相対的に低温側で推
移している。一方、扇央∼扇端域に関しては年間を通じて恒温層が形成されており、岐阜市
域で想定される恒温層の水温分布(17∼19℃)に類似した範囲で推移している。
タイプ 3
三里 2
タイプ 1
徹明 1
水温(℃)
図 3-4-30 地下水温 2 次元断面図 (C-C 断面)
- 115 -
タイプ 5
岐阜市役所
(5) 地下水温の 3 次元分布
岐阜市街地における地下水温の3次元分布を把握するために、観測結果をもとに地下水温3次
元分布図を作成した。
図3-4-31に位置図を示すとともに、図3-4-32、図3-4-33に深度10m、20m、30mでスライスした
地下水3次元分布図を示す。以下に地下水温の3次元分布についての考察を列記する。
・ 早田4、長良西4 に代表される長良川流域付近は、夏季(平成22年8月26日観測)に最も水温
が低くなるが、秋季∼冬季にかけて徐々に上昇していく傾向にあり、季節変化が最も顕著
に現れている。
・ 厚見8 に代表される市街地南東域付近は、1年を通じて一般的な恒温層が形成されているが、
他地区に比べて若干高温傾向を示す。
・ 上記以外の地域では1年を通じて、恒温層が形成されている。
・ 京町公園では、図3-4-33に示されるように局所的に冬季の顕著な水温上昇がみられる。この
現象については、周辺に観測地点が設置されていないため明確なことは言えないが、同様の
傾向は、前述したタイプ4の領域に該当する長良川流域でみられる可能性が高い。
以上のように、地下水温の3次元分布図からも、長良川流域の扇頂域∼扇央域付近では季節変
化が顕著に表れていることが判読される。また、それ以外の地区では全般に水温変動が比較的
少ない恒温層が形成されることがわかる。
木田 3
鷺山 8
島8
常磐 2
則武 4
長良東 1
早田西公園
早田 4
市橋 1
木之本 1
(スライス図概略図)
三里 8
長良西 4
京町公園
菊地公園
市役所
徹明 1
三里 2
白山 2
市橋
加納東 3
華陽 3
鶉4
厚見 8
図 3-4-31 地下水温 3 次元分布位置図及びスライス図概略図
- 116 -
長良川
木田 3
鷺山 8
島8
常磐 2
則武 4
長良東 1
早田西公園
早田 4
市橋 1
水温(℃)
木之本 1
京町公園
菊地公園
三里 8
長良西 4
市役所
長良川
徹明 1
三里 2
白山 2
市橋 16
加納東 3
華陽 3
鶉4
厚見 8
7 月 26 日
長良川
8 月 26 日
9 月 28 日
長良川
長良川
深度 10m スライス面
深度 20m スライス面
観測井
深度 30m スライス面
図 3-4-32 各 深 度 ご と の ス ラ イ ス 図
- 117 -
(7 月∼9 月)
木田 3
鷺山 8
島8
常磐 2
則武 4
長良東 1
早田西公園
早田 4
市橋 1
水温(℃)
木之本 1
三里 8
長良西 4
京町公園
菊地公園
市役所
長良川
徹明 1
三里 2
白山 2
市橋 16
加納東 3
華陽 3
鶉4
厚見 8
10 月 27 日
12 月 22 日
1 月 26 日
京町公園
長良川
長良川
長良川
深度 10m スライス面
深度 20m スライス面
観測井
深度 30m スライス面
図 3-4-33 各 深 度 ご と の ス ラ イ ス 図
- 118 -
(10 月∼1 月)
(6) 各観測地点と長良川水温との位相差について
本調査で得られた半年分(8月∼1月)の地下水温データ(自動観測、定期観測)をもとに、近似
式を用いて年間における再現値を算出し、長良川扇状地における長良川水温との平均、振幅、
位相差を推定した。なお、定期観測は月1回のデータしか得られていないため、参考値として推
定した。
再現値は22年3月∼23年3月の期間を1周期として式(3.4.1)を用いて計算した。
⎡ 2π
⎤
T = Ta + T f sin ⎢
(t + α ) ⎥
⎣ 366
⎦
(3.4.1)
ここで、Tは水温(℃)、Taは平均水温(℃)、Tfは水温振幅(℃)、tは日数(day)、αは位相
(day)である。
計算結果は、図3-4-34(深度10m)、図3-4-35(深度20m)にそれぞれ示すとともに、表3-4-8、34-9に、長良川河川水温と各観測地点における地下水温との平均(℃)、振幅(℃)、位相差(day)、
及び長良川からの最短距離をまとめる。
表 3-4-8 長良川水温と各観測地点における地下水温との
平均(℃)、振幅(℃)、位相差
〔深度 10m〕
長良川
推定値
長良川との差
推定値
早田西公園
長良川との差
推定値
菊地公園
長良川との差
推定値
(参考)長良西4
長良川との差
推定値
(参考)早田4
長良川との差
(参考)岐阜市役所 推定値
長良川との差
推定値
(参考)則武4
長良川との差
推定値
(参考)徹明1
長良川との差
京町公園
平均水温 振幅
長良川との位相差(day) (month) 長良川との最短距離(km)
15.5
10.0
310
15.3
7.2
179
0.5
0.2
2.8
131
5
15.8
1.4
48
0.9
-0.3
8.7
262
9
18.2
2.1
173
1.4
-2.7
7.9
137
5
15.0
1.0
50
0.5
0.5
9.0
260
9
16.8
2.3
90
0.6
-1.3
7.7
220
8
15.2
2.6
100
0.9
0.3
7.4
210
7
17.3
0.8
50
0.9
-1.8
9.2
260
9
16.1
0.9
340
1.3
-0.6
9.1
335
11
表 3-4-9 長良川水温と各観測地点における地下水温との
平均(℃)、振幅(℃)、位相差
〔深度 20m〕
長良川
推定値
長良川との差
推定値
早田西公園
長良川との差
推定値
菊地公園
長良川との差
推定値
(参考)長良西4
長良川との差
推定値
(参考)早田4
長良川との差
(参考)岐阜市役所 推定値
長良川との差
推定値
(参考)則武4
長良川との差
推定値
(参考)徹明1
長良川との差
京町公園
平均水温 振幅
長良川との位相差(day)(month) 長良川との最短距離(km)
15.5
10.0
310
15.0
7.2
183
0.5
0.5
2.8
127
5
16.0
1.9
55
0.9
-0.5
8.2
255
9
16.8
0.8
110
1.4
-1.3
9.2
200
7
14.7
1.2
40
0.5
0.8
8.8
270
9
16.8
2.3
90
0.6
-1.3
7.7
220
8
14.7
0.8
100
0.9
0.8
9.2
210
7
16.8
1.0
40
0.9
-1.3
9.0
270
9
16.0
0.9
340
1.3
-0.5
9.2
335
11
- 119 -
京町公園
31
早田西公園
31
位相差
26
26
21
16
水温℃
GL-9.5m測定水温
GL-9.5m再現値
長良川水温変動
GL-9.5m測定水温
GL-9.5m再現値
長良川水温変動
16
11
11
6
6
day
2/1
1/1
12/1
11/1
9/1
10/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
1
京町公園
平均水温:15.3℃
振幅:7.2℃
位相差:131day
3/1
2/1
1/1
12/1
11/1
9/1
10/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
3/1
1
day
早田西公園
平均水温:15.8℃
振幅:1.4℃
位相差:262day
菊地公園
31
31
26
26
21
21
16
11
11
6
6
day
(参考)
岐阜市役所
2/1
1/1
12/1
11/1
早田 4
31
26
26
21
21
GL-9.5m測定水温
GL-9.5m再現値
長良川水温変動
11
11
6
6
day
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
1
岐阜市役所
平均水温:15.2℃
振幅:2.6℃
位相差:210day
3/1
2/1
1/1
12/1
11/1
9/1
10/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
3/1
1
GL-9.5m測定水温
GL-9.5m再現値
長良川水温変動
16
4/1
16
水温℃
day
長良西 4
早田4
平均水温:16.8℃
振幅:2.3℃
位相差:220day
徹明 1
31
31
26
26
21
21
11
11
6
6
day
day
2/1
1/1
12/1
11/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
1
長良西4
平均水温:15.0℃
振幅:1.0℃
位相差:260day
3/1
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
3/1
1
GL-10.0m測定水温
GL-10.0m再現値
長良川水温変動
16
4/1
16
水温℃
GL-9.5m測定水温
GL-9.5m再現値
長良川水温変動
10/1
水温℃
長良川水温
平均水温:15.5℃
振幅:10.0℃
day
31
水温℃
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
1
5/1
菊地公園
平均水温:18.2℃
振幅:2.1℃
位相差:137day
3/1
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
3/1
1
2008年長良川水温
2009年長良川水温
長良川水温変動
4/1
GL-9.5m測定水温
GL-9.5m再現値
長良川水温変動
16
水温℃
水温℃
徹明1
平均水温:16.1℃
振幅:0.9℃
位相差:335day
則武 4
31
26
21
GL-9.5m測定水温
GL-9.5m再現値
長良川水温変動
16
11
図 3-4-34 深度10m付近における
地下水温再現値と長良川水温の位相曲線
6
day
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
1
3/1
水温℃
振幅
水温℃
21
則武4
平均水温:17.3℃
振幅:0.8℃
位相差:260day
- 120 -
京町公園
早田西公園
31
31
26
26
21
11
11
6
6
2/1
1/1
12/1
11/1
9/1
10/1
8/1
7/1
6/1
2/1
1/1
12/1
11/1
9/1
10/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
3/1
day
早田西公園
平均水温:16.0℃
振幅:1.85℃
位相差:255day
1
3/1
京町公園
平均水温:15.0℃
振幅:7.2℃
位相差:127day
1
GL-18.5m測定水温
GL-18.5m再現値
長良川水温変動
16
5/1
16
4/1
GL-18.5m測定水温
GL-18.5m再現値
長良川水温変動
水温℃
水温℃
21
day
菊地公園
31
31
26
26
GL-18.5m測定水温
GL-18.5m再現値
長良川水温変動
16
11
21
水温℃
16
2008年長良川水温
2009年長良川水温
長良川水温変動
11
6
6
day
(参考)
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
岐阜市役所
早田 4
31
31
26
26
21
11
11
6
6
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
1
岐阜市役所
平均水温:14.7℃
振幅:0.8℃
位相差:210day
3/1
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
3/1
day
GL-20.0m測定水温
GL-20.0m再現値
長良川水温変動
16
4/1
16
水温℃
GL-20.0m測定水温
GL-20.0m再現値
長良川水温変動
1
day
長良西 4
早田4
平均水温:16.8℃
振幅:2.3℃
位相差:220day
徹明 1
31
31
26
26
21
21
GL-20.0m測定水温
GL-20.0m再現値
長良川水温変動
16
水温℃
11
GL-20.0m測定水温
GL-20.0m再現値
長良川水温変動
16
11
6
6
day
長良西4
平均水温:14.7℃
振幅:1.2℃
位相差:270day
day
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
1
3/1
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
3/1
1
4/1
水温℃
長良川水温
平均水温:15.5℃
振幅:10.0℃
day
21
水温℃
6/1
1
5/1
菊地公園
平均水温:16.8℃
振幅:0.8℃
位相差:200day
4/1
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
3/1
1
3/1
水温℃
21
徹明1
平均水温:16.0℃
振幅:0.85℃
位相差:335day
則武 4
31
26
GL-20.0m測定水温
GL-20.0m再現値
長良川水温変動
16
11
図 3-4-35 深度20m付近における
地下水温再現値と長良川水温の位相曲線
6
day
2/1
1/1
12/1
11/1
10/1
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
1
3/1
水温℃
21
則武4
平均水温:16.8℃
振幅:1.0℃
位相差:270day
- 121 -
(9 ヶ月)
9 ヶ月
(8 ヶ月)
(4 ヶ月)
(9 ヶ月)
5 ヶ月
(10 ヶ月)
(7 ヶ月)
矢印:地下水流向
(1 ヶ月)
(1 ヶ月)
5 ヶ月
(1 ヶ月)
(9 ヶ月)
図 3-4-36 深度10mにおける
長良川水温との位相差分布状況
(9 ヶ月)
9 ヶ月
(1 ヶ月)
(8 ヶ月)
(9 ヶ月)
5 ヶ月
(9 ヶ月)
(7 ヶ月)
矢印:地下水流向
7 ヶ月
(1 ヶ月)
(1 ヶ月)
(1 ヶ月)
(9 ヶ月)
図 3-4-37 深度20mにおける
長良川水温との位相差分布状況
- 122 -
3-5 水 質 調 査
(1) 調査概要
既往の水質調査結果を整理し、岐阜市街地における水質特性を把握した。また、水質特性から
みた地下水流動や地下水利用に伴う空調機器・配管等の劣化・スケール付着等への影響について
検討した。既往水質データは、平成17年度∼20年度にかけて実施された岐阜市内の各消防署・分
署・出張所の防火水槽性能試験時のデータ(約620箇所)を利用した。
根尾川扇状地
山塊
長良川扇状地
自然堤防
氾濫平野
:観測地点
図 3-5-1 水質調査対象地点配置図
- 123 -
(S=1:100,000)
(2) 調査方法
調査方法を以下に記述する。
・ 岐阜市街地における既往水質データをもとに水質等値線図を作成した。
・ 表3-5-1に示した冷却空調機器用水質ガイドライン((社)日本冷凍空調工業会)に基づいて地
下水の配管等空調機器への影響を与える地区について把握した。
・ 対象とする方式は冷却水系一過式とした。
・ 水質データは、本ガイドラインにおける基準項目については8項目、及び参考項目について
は水質データが得られている3項目(鉄・アンモニウムイオン・遊離炭酸)に対して整理を行
った。
表 3-5-1 冷凍空調機器用水質ガイドライン((社)日本冷凍空調工業会)
(3) 調査結果
図3-5-2には水質ガイドラインの基準項目と水質分析結果、図3-5-3には水質ガイドライン参考
項目と水質分析結果の濃度等値線図をそれぞれ示す。
以上の結果によると、参考項目である遊離炭酸を除けば、岐阜市街地南部地区を含めた長良川
扇状地の大部分は、水質ガイドラインの基準に適合するエリアに相当する。図3-5-4に基準項目に
対する水質基準値への適合性、図3-5-5に参考項目を含む水質基準値への適合性をそれぞれ示す。
- 124 -
(基準項目)
pH
EC(μS/cm)
塩化物イオン(mg/l)
酸消費量(mg-CaCO3/l)
全硬度(mg-CaCO3/l)
※ 図中の太線は基準値を示す
硫酸イオン(mg/l)
※ 図中の太線は基準値を示す
カルシウム硬度(mg-CaCO3/l)
※ 図中の太線は基準値を示す
※ 図中の太線は基準値を示す
イオン状シリカ(mg/l)
※ 図中の太線は基準値を示す
図 3-5-2 水質ガイドライン基準項目と水質分析結果 (濃度等値線図)
- 125 -
アンモニウムイオン(mg/l)
※ 図中の太線は基準値を示す
鉄(mg/l)
遊離炭酸(mg/l)
※ 図中の太線は基準値を示す
※ 図中の太線は基準値を示す
※ 破線は 10mg/l 以上を示す
図 3-5-3 水質ガイドライン参考項目と水質分析結果 (濃度等値線図)
水質基準を満足
するエリア
金華山
金華山
水質基準を満足
するエリア
水質基準を満足しない
エリア(着色部)
水質基準を満足しない
エリア(着色部)
図 3-5-5 水質基準値への適合性
(参考項目含む)
図 3-5-4 水質基準値への適合性
(基準項目のみ)
(4) 考
察
前節で整理した各項目の等値線図を重ね合わせたものを図3-5-4∼図3-5-5に示す。各図に示さ
れるように、金華山の西方に広がる長良川扇状地を中心に濃度が低い地域が広がっており、その
周囲を濃度が高い基準値超過域が取り囲む形となっている。すなわち、地下水が長良川から涵養
された後に長良川扇状地の砂礫層を比較的短時間で流動することにより、地層との反応が生じる
時間が短く、溶存成分が少なくなっていると考えられる。図3-5-6に示す地下水位一斉観測結果に
おいて、当該地区が地下水流動の非常に活発な地区とされていることからも裏付けられる。
- 126 -
一方、参考項目に指定されている遊離炭酸は、岐阜市街地の広い範囲で基準値である4mg/lを超
過している。しかし、昔より岐阜市街地では地下水を空調熱源として利用しており、遊離炭酸が
基準値をわずかに超過している場合でも問題なく利用されている事例がある。今回行ったアンケ
ート結果からも当該エリアで地下水を利用している施設が多く見られる。
以上のことより遊離炭酸については、冷凍空調機器用水質ガイドラインの基準値以上を示す領
域が多いものの、現状の水冷式空調機器の利用状況より基準値をわずかに超えていても利用に関
する大きな障害は生じていない。よって、長良川扇状地を中心とする市街地中心部においては概
ね地下水利用に適した水質であると考えられる。
金華山
図 3-5-6 岐阜市街地における地下水流動
(平成22年11月29日観測)
- 127 -
3-6 河川流量調査
(1) 調査概要
長良川扇状地への地下水涵養量を推定するための基礎的資料を得る目的で、市街地部の長良川
において流量観測を行った。
(2) 調査方法
表3-6-1ならびに図3-6-1に示す位置に5測線を設定し、表3-6-2に示す2回に亘って以下の流速計
測法により流量の算出を行なった。なお、各測線における水深計測間隔と流速計測間隔は、表36-3に基づいて設定した。
表 3-6-1 河 川 流 量 観 測 位 置 一 覧 表
測線名
位 置
河川距離標
長良川 1
鵜飼大橋上流
56.0km
測線長
(横断杭間距離)
160m
長良川 2
長良橋上流
53.8km
90m
長良川 3
金華橋上流
51.6km
67m
長良川 4
大縄場大橋下流
49.0km
107m
長良川 5
鏡島大橋下流
47.2km
100m
表 3-6-2 河川流量観測日一覧表
表 3-6-3 水面幅と各測線間隔の関係
(出典:建設省河川局監修、建設省河川砂防技術基準(案)同解説・調査編)
長良川2
長良川1
長良川3
長良川4
長良川5
図 3-6-1 河 川 流 量 調 査 測 線 配 置 図
- 128 -
【 流速計測法(断面法)】
断面法による流量観測は、以下のように断面を区分して得た小断面の断面積に電磁流速計で
計測した各小断面での平均流速を乗じて、断面全体の流量を求めるものである。
① 図3-6-2のように、河川横断線上に表3-6-3の
間隔で水深と流速の測線を設定する。
② 設定した測線において、水深は2回、流速は4
回の計測を行い、測定値の算術平均を測点の
水深および流速とする。流速の測定は、水深
が50cm以上の場合は水深の2割と8割の位置で、
水深が50cm未満の場合は水深の6割の位置で
行う。
③ 流量は、隣接する流速測点間の中央を境界と
する小断面の断面積と測定値から得た平均流
速を乗じて求める。なお、小断面の断面積は
台形と仮定して求める。
図 3-6-2 断面法による流量観測の概要
(3) 調査結果
表3-6-4ならびに図3-6-3に、河川流量観測結果を示す。
表 3-6-4 河 川 流 量 観 測 結 果 一 覧 表
観測日
平成22年 9月22日
長良川 5
距離標 47.2km
78.96
平成22年12月10日
51.35
河川流量 (m3/sec)
長良川 4
長良川 3
長良川 2
距離標 49.0km 距離標 51.6km 距離標 53.8km
96.65
97.89
92.68
62.21
64.36
長良川 1
距離標 56.0km
97.82
62.28
66.06
図表中に見られるように、9月22日
120
の観測時には80∼100m3/secの流量が
観測された流量は50∼70m3/secと約6
割に減少している。
また、距離標49.0kmと51.6kmに相当
100
河川流量 Q (m3/sec)
得られているのに対して、12月10日に
9月22日
12月10日
80
60
40
する長良川3と長良川4における流量観
20
測値は、直上流の長良川2における観
0
長良川5
測値に対して3∼5%の増加を生じてい
長良川4
長良川3
長良川2
長良川1
測 線
るが、これを除けば河川流量観測値は
図 3-6-3 河川流量観測結果
流下とともに減少している。この流量
減少は長良川から扇状地の地下水系に補給が生じていることを示しており、流量の減少分がほぼ
涵養量に相当すると考えることができる。
ここで、図3-6-4は河川の距離標と河川流量の関係を図化したものである。長良川3と長良川4の
- 129 -
観測値を除外すると、流量減少の程度は
120
図中の実線のように示すことが可能とな
とその関係は図3-6-5のようにまとめる
ことができる。
なお、長良川2と長良川3 の観測結果
に見られる流量増加傾向については、原
100
河川流量 Q (m3/sec)
り、前述の地下水位観測結果を勘案する
80
60
40
因として以下の2点が考えられるが、本
20
業務における観測回数が2回と少なく、
0
9月22日観測値
12月10日観測値
46
現時点で詳細に言及することは困難であ
る。
48
50
52
距離標 S (km)
54
56
58
図 3-6-4 流下距離と河川流量の関係
・ 周辺地域から長良川への地下水流出
・ 増加の程度が河川流量の数パーセントと微少なことから、各測線の流況の相違による測定上
の誤差。
長良川 1∼長良川 5 の間で想定される
地下水涵養量の推定値
・H22. 9.22 160 万トン/日(2.1m3/sec/km)
・H22.12.10 130 万トン/日(1.7m3/sec/km)
図 3-6-5 流量観測結果に基づく長良川からの地下水涵養量推定結果
- 130 -
4. 地下水賦存量と地中熱利用可能性の検討
4-1 地下水賦存量(涵養量)の検討
3-2節で地下水賦存量を推算した図3-2-24の総面積50.9km2の範囲について地下水収支を検討する。
(1) 検討方法
水収支の推算は以下による。
1) 領域境界を図4-1-1のように透水境界と不透水境界に区分した。
︵本巣市︶
(山県市)
(関市)
A
B
E
︵北方町︶
長良川
金華山
C
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
D
(岐南町)
メッシュサイズ
東西方向:800m
南北方向:600m
水収支の検討範囲
(笠松町)
総面積 50.9km2
(羽島市)
【不透水境界】
A:北側境界(鳥羽川近傍)
B:東側境界(長良川沿)
C:東側境界(金華山南側)
D:南側境界
E:西側境界
【平成22年9月15日
図 4-1-1 水 収 支 を 検 討 す る 範 囲
- 131 -
【透水境界】
承認番号:岐阜市第22号】
2) 前述した細区分メッシュの透水境界部における水位差ΔHは、境界を挟んで隣接する2点間の
水位差として求めた。また、帯水層厚Hは、3-2節における賦存量の推計に用いた表3-2-7(平
成19年11月29日)と表3-2-9(平成20年2月5日)より算出した。
3) 透水境界を挟んで隣接する2点間の距離ΔL、水位差ΔH、透水係数k、帯水層厚H、及び2点を
画する境界の辺長をBとして、式(4.1.1)より境界での流出入量Qbを求めた。
⊿H
Qb = B・H・k・
⊿L
(4.1.1)
4) 境界での流出入量に揚水量を加算して、領域全体での水収支を推算した。
(2) 検討対象地盤の透水性
精度の高い透水係数値が得られる多項式現場揚水試験が実施された地点を図4-1-2に示す。これ
らは深度15∼30m程度までの浅層地盤を対象としており、表4-1-1に見られるように2.66×10-1∼
1.13×100cm/secの透水係数が得られている。
S4
金華山
長良川
S2
S3
S1
JR 岐阜
0
2km
図 4-1-2 揚水試験実施地点配置図
(出典:平成19年度地下水、地質情報把握・分析調査業務
調査地点
S1
S2
S3
S4
表 4-1-1 各地点における揚水試験結果
揚水井深度
透水係数
対象土層
(GL- m)
(cm/sec)
15
1.13×100
12
2.66×10-1
沖積礫質土
12
3.25×10-1
30
3.54×10-1
報告書)
貯留係数
1.24×10-1
1.43×10-2
6.06×10-4
1.02×10-3
(出典:平成19年度 地下水、地質情報把握・分析調査業務
- 132 -
報告書)
ここで、宇野(「井戸揚水式の考察:(Ⅰ)半径の取り扱い」;地下水技術
Vol.44
No.11 pp.31∼
38)は以下の手順により、揚水井での揚水量 Q と水位低下量 S0 で求められる比湧水量と、帯水層の
透水係数 k と帯水層厚 H の積である透水量係数 T の関係を示している。
半径r0の井戸で揚水量Qを汲み上げたとき、揚水井内で水位低下量s0が生じたとする。このとき、
透水係数k、帯水層厚H とこれらの積で定義される透水量係数T、影響圏半径R、揚水量Qのとき、
揚水井中心からの距離rにおける水位低下量sは次式で表される。
s =
2.303 Q
R
Q
R
log(
)=
ln(
)
2πT
r
2πT
r
(4.1.2)
このとき、揚水井内における水位低下量s0は、次式のようになる。
s0 =
Q
R
ln(
)
2πT
r0
(4.1.3)
式(4.1.3)を次式のように変形する。
Q
s0
=
2π
・T
ln ( R/r0 )
(4.1.4)
R/r0の値は通常大きく、例えば、井戸半径r0が0.25mで影響圏半径Rが1∼5kmとすると、R/r0=
4,000∼20,000の範囲となる。
式(4.1.4)の右辺の係数部分を計算すると次式のようになる。
Q
s0
≒ (0.75 ∼ 0.63)・ T
T = (1.33 ∼ 1.59 )・
(4.1.5)
Q
s0
(4.1.6)
式(4.1.6)によれば、揚水量Qを汲み上げたときの揚水井内で水位低下量s0に関する情報が得ら
れれば地盤の透水係数の概略値が推定可能となる。
また、計算に使用される影響圏半径Rは揚水により地下水位を低下させた影響が及ばない半径で
あり、水位低下量s、揚水量Q、揚水時間t、透水係数k等に比例する値とされている。これまで影
響圏半径Rについては様々な実験式や経験式が提唱されてきた。
ところで、式(4.1.6)による推定では有利なことに、透水係数kはln(R/r0)に比例するのでR
の変化には鋭敏でない。例えば、井戸半径r0を0.25mのまま影響圏半径Rに0.1∼0.5kmと式展開時
の1/10の値を設定しても式(4.1.7)に見られるように係数の変化は3∼4割にとどまる。
T = (0.95 ∼ 1.21 )・
Q
s0
(4.1.7)
一方、国土交通省土地・水資源局国土調査課は深度30m以上の井戸を対象とした「全国地下水資
料台帳」をWEBにて公開している。
そこで、「全国地下水資料台帳」に収録されている岐阜市内の資料より位置、揚水量と揚水時の
水位低下量、帯水層厚に相当するストレーナ長の情報が完備された164箇所の資料を抽出、式
(4.1.6)で井戸ごとの透水係数を推算し、図4-1-3の地図情報レベル1000のメッシュ(東西800m×南
- 133 -
北600m)ごとに透水係数の分布を整理した。
ここで、表4-1-1ならびに図4-1-3によれば、市域の主要な帯水層を形成する礫質土層の透水係
数は、5×10-2∼3×10-1cm/sec程度の水準にあるものと推察される。
︵本巣市︶
(山県市)
(関市)
長良川
︵北方町︶
金華山
(各務原市)
︵瑞穂市︶
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
(羽島市)
メッシュサイズ
南北方向:600m
東西方向:800m
【平成22年9月15日
図面承認番号:岐阜市第22号】
図 4-1-3 全国地下水資料台帳に基づく地域メッシュごとの透水係数の分布
- 134 -
(3) 水収支の検討結果
岐阜市街地における平均的な地盤の透水係数として、1.0×10-1cm/secとした場合の水収支の推
算結果を表4-1-2ならびに図4-1-4に示す。図中の正の値は領域への流入を、また負の値は領域か
らの流出を示している。
北側及び長良川沿いの東側境界からの流入量は0.9∼1.3千m3/dayにとどまる。これは基盤面が
浅部に想定されることや谷の規模が小さいことによる。
一方、地形的に開けた金華山南側の境界では、11.2∼15.5千m3/dayの流入量が算定されている。
また、西側境界における流出量は10.6千∼20.8千m3/dayと比較的規模が大きくなっているが、こ
れは帯水層厚が大きく、水面勾配の僅かな変化が大きな流量変動としてあらわれたものである。
これに対して、南側境界では62.2千∼65.3千m3/dayと流出規模は大きいものの安定した流出量
が推算されており、水位と水面勾配に変化の少ないことがうかがわれる。
ここで、すべての境界における流出入量を合計すると概ね約60千∼70千m3/day程度の流出超過
となる。さらに、135千m3/day前後の揚水量を考慮すると、領域全体では概ね190千∼210m3/dayの
流出超過となる。領域内で恒常的に200千m3/day規模の収支不足が生じているとすると、領域内の
地下水位は一定規模の低下を生じることが想定されるが、地下水位観測結果にはそのような水位
低下は生じていない。すなわち、検討領域に対しては、河川流量観測の結果に示されたような長
良川からの伏流水が上記の収支不足分を補う主要な涵養源になっているもの判断できる。なお、
表4-1-3∼表4-1-4に各検討時期の境界における流量分布の詳細を示す。
表 4-1-2 水収支推算結果一覧表
検討時期
平成19年11月
平成20年2月
北側境界 鳥羽川近傍
+ 1.0千m3/day
+
1.3千m3/day
東側境界 長良川沿
+ 0.9千m3/day
+
0.9千m3/day
東側境界 金華山南側
+ 15.5千m3/day
+ 11.2千m3/day
南側境界
− 62.2千m3/day
− 65.3千m3/day
西側境界
− 10.6千m3/day
− 20.8千m3/day
揚水量
−132.9千m3/day
−136.2千m3/day
総 計
−188.3千m3/day
−208.9千m3/day
一方、3-6節に示した河川流量観測結果によれば、市街地区間約9kmの長良川からは1,300∼
1,600千m3/day程度の地下水涵養がなされていることになり、図4-1-4に示す結果とはかなりの相
違がある。この結果に対しては、同図に示す推算では領域境界の透水係数を一定値に仮定、ある
いは揚水量についても領域内の総量を想定しておらず、水収支において詳細な不足分を表現する
ことは難しいと言える。しかし、領域内では安定した地下水位が維持されており、水収支で表現
される不足水量に対しては、長良川からの豊富な地下水涵養が大きく寄与していることは間違い
なく、上記した流量観測値に匹敵する地下水賦存量(涵養量)が期待できるものと思われる。
- 135 -
<推算の条件>
1.領域面積 50.9km2
2.透水係数推定値 1.0×10 -1 cm/sec
3.貯留係数推定値 0.3
○揚水量内訳
<平成19年11月>
北側境界流入量
(鳥羽川近傍)
3
+ 1.0 千m /day
揚 水 量
3
−132.9 千m /day
東側境界流入量
(長良川沿)
3
+ 0.9 千m /day
【領 域】
西側境界流出量
3
− 10.6 千m /day
●長良川北側
3
− 14.9 千m /day
●長良川南側
3
−118.0 千m /day
●領域内総地下水量推定値
あ
1.平均帯水層厚 92.7m
3
2.総地下水量 1.42km
●水収支
3
1.境界での流入量 + 17.4 千m /day
3
2.境界での流出量 − 72.8 千m /day
3
3.領域での水収支 −188.3 千m /day
東側境界流入量
(金華山南側)
3
+ 15.5 千m /day
南側境界流出量
3
−62.2 千m /day
○揚水量内訳
<平成20年2月>
北側境界流入量
(鳥羽川近傍)
3
+ 1.3 千m /day
揚 水 量
3
−136.2 千m /day
【領 域】
西側境界流出量
3
− 20.8 千m /day
●領域内総地下水量推定値
あ
1.平均帯水層厚 92.6m
3
2.総地下水量 1.41km
●水収支
1.境界での流入量 + 13.4 千m3/day
2.境界での流出量 − 86.1 千m3/day
3
3.領域での水収支 −208.9 千m /day
南側境界流出量
3
− 65.3 千m /day
図 4-1-4 水 収 支 の 推 算 結 果
- 136 -
●長良川北側
3
− 15.2 千m /day
●長良川南側
3
−121.0 千m /day
東側境界流入量
(長良川沿)
3
+ 0.9 千m /day
東側境界流入量
(金華山南側)
3
+ 11.2 千m /day
- 137 0.0E+00
0.0E+00
3.3E+01
-2.5E+03
1.5E+03
1.9E+03
2.2E+03
2.7E+03
3.3E+03
3.1E+03
-3.3E+03
-3.2E+03
-2.7E+03
-2.0E+03
-7.9E+03 -5.8E+03 -5.6E+03 -6.1E+03 -6.5E+03 -6.3E+03 -5.5E+03 -4.1E+03 -4.0E+03 -5.1E+03 -5.8E+03 -4.8E+03 -2.6E+03
:検討範囲
D
6.9E+02
0.0E+00
-3.3E+03
0.0E+00
金 華 山
-3.7E+03
-3.8E+03
0.0E+00
2.4E+03
0.0E+00
0.0E+00
2.7E+03
3.2E+03
0.0E+00
1.9E+03
※ 単位:m3/day
※
長 良 川
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
C
0.0E+00 -8.1E+01
0.0E+00
0.0E+00
8.8E+01
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
1.2E+03
5.5E+01
0.0E+00
3.7E+02
※ 平成19年11月29日観測値による。
E
4.0E+02
4.1E+02
4.1E+02
9.1E+02
1.8E+02
A
8.0E+02
8.3E+02
9.0E+02
8.5E+02
8.2E+02
1.1E+03
1.4E+03
1.3E+03
0.0E+00
0.0E+00
8.8E+02
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
4.9E+02
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
2.6E+02
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
1.2E+02
0.0E+00
領 域 境 界 に お け る 流 出 入 量 の 分 布 (1)
0.0E+00
0.0E+00
表 4-1-3
B
- 138 0.0E+00
0.0E+00
-4.0E+02
-2.9E+03
1.0E+03
1.3E+03
1.9E+03
2.6E+03
3.2E+03
-3.0E+03
-2.5E+03
-1.9E+03
-8.2E+03 -6.3E+03 -6.0E+03 -6.4E+03 -6.7E+03 -6.3E+03 -5.6E+03 -4.6E+03 -4.5E+03 -5.6E+03 -6.2E+03 -5.0E+03 -2.2E+03
:検討範囲
D
7.7E+02
3.9E+02
0.0E+00
-3.3E+03
0.0E+00
金 華 山
-3.5E+03
-4.0E+03
-4.3E+03
0.0E+00
1.8E+03
0.0E+00
0.0E+00
1.9E+03
2.4E+03
0.0E+00
1.1E+03
※ 単位:m3/day
※
長 良 川
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
C
0.0E+00 -8.3E+01
0.0E+00
0.0E+00
9.3E+01
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
5.5E+02
2.5E+01
0.0E+00
4.0E+02
※ 平成20年2月5日観測値による。
E
5.8E+02
4.7E+02
4.9E+02
1.2E+02
1.9E+02
A
-9.1E+01
-3.1E+01
9.7E+01
2.1E+02
3.7E+02
8.6E+02
1.3E+03
1.2E+03
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
7.6E+02
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
4.0E+02
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
2.0E+02
0.0E+00
0.0E+00
0.0E+00
9.5E+01
0.0E+00
領 域 境 界 に お け る 流 出 入 量 の 分 布 (2)
0.0E+00
0.0E+00
表 4-1-4
B
4-2 将来的な気候変動に伴う賦存量変動予測の検討
地球温暖化に伴う異常気象の影響は、集中豪雨の激化や干ばつなど様々な降雨形態の変化、ある
いは夏期における異常高温の発生など、地下水環境にも大きな影響を及ぼす気象現象の変化として
表面化しつつある。このような将来的にも進行が予測される気候変動が、当地域の地下水環境(水
量・熱量・水質)に与える影響を予測するためには、当地域の地下水流動を支配する要因の抽出と影
響度を把握しておく必要がある。ここでは、地下水流動の指標となる地下水位に着目し、統計的手
法である単純モデル式を用いた分析を行った。
4-2-1 単純モデル式と分析方法
単純モデル手法は、「地下水位は、降水等の涵養があれば上昇し揚水があれば低下するので、近
似的に降水量等の各影響因子によって線形重回帰式で近似的に表現できる」とする手法である(宇
野尚雄:岐阜・大垣における地下水位変動を表現する「単純モデル」,地下水技術,Vol.35,No.2,
pp.38-46,1993)。本検討では、2-1節で示した地下水流動区分に基づき、岐阜市域を図4-2-1に示
す5ブロックに分割し、各ブロック内の地下水位変動に支配的な要因を抽出・検討するため、下記
の条件および手順に従って分析を行った。ここで、ブロック内の地下水位h は次の線形重回帰式
で表現されるものとする。
h = a R + bi Wi ‒ ci Qi + f
(4.2.1)
ここで、a (m/mm)は降水影響係数、bi (m/m)は河川影響係数、ci (m/(m3/月))は揚水影響係数、
fは定数である。
根尾川(山口)
5
長良川(忠節)
中西郷井
1
萱場井
2
4
3
前一色井
天満公園井
華陽フロンティア高井
図 4-2-1 回帰分析対象ブロック及び観測地点位置図
- 139 -
(1) 分析条件
・ 各ブロックに対しては、水理境界となる長良川の北部エリアと南部エリアについて、表4-21に示す説明変数(揚水量・河川水位・降水量)を設定した。
表 4-2-1 検 討 ブ ロ ッ ク 別 説 明 変 数
揚水量 Qi (m3/月)
エリア
河川水位 Wi (T.P.m)
ブロック
降水量
R
(mm)
ブロック1
ブロック2
ブロック3
ブロック4
ブロック5
長良川
(忠節)
根尾川
(山口)
1
○
−
−
−
○
○
○
○
5
○
−
−
−
○
−
○
○
2
−
○
○
○
−
○
−
○
3
−
○
○
○
−
○
−
○
4
−
○
○
○
−
○
−
○
北部
南部
・ 地下水位h は、各ブロック内に設置される地下水位定点観測地点(萱場井・中西郷井・天満
公園井・華陽フロンティア高井・前一色井)の観測データより、月平均地下水位を採用した。
・ 揚水量Qi は、岐阜市地下水保全条例に伴う届出揚水量(月総揚水量)について、ブロックご
とに集計した値を採用した。ここで、各ブロックごとの揚水量の特徴を図4-2-2∼図4-2-5に
示す。
・ 河川水位は、長良川(忠節)及び根尾川(山口)における国土交通省の自動観測データより、月
平均河川水位を採用した。
・ 降水量は、岐阜地方気象台における観測記録より月総降水量を採用した。ここで、降水量と
各河川水位との関係を図4-2-6に示す。
・ 分析対象期間は、平成17年4月から平成21年10月までの55ヶ月間とした。
35
H.17
H.18
H.19
H.20
ブロック4
6%
ブロック3
22%
ブロック5
16%
ブロック1
37%
年度総揚水量 (百万m 3 )
30
25
20
15
10
5
ブロック2
19%
0
ブロック1
ブロック2
ブロック3
ブロック4
ブロック5
図 4-2-2 届出揚水量のブロック別割合
図 4-2-3 ブロック別年度総揚水量の比較
(H.17∼H.20年度の平均値)
- 140 -
北部エリア
南部エリア
6.0
月総揚水量 (百万m3)
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
4
5
6
7
8
9 10 11 12 1
2
3
4
H.17
5
6
7
8
9 10 11 12 1
H.18
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 1
H.19
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 1
2
3
H.20
4
5
6
7
8
9 10
H.21
図 4-2-4 エリア別月総揚水量の経年変化
3.5
ブロック1
2.5
ブロック2
2.0
ブロック3
1.5
ブロック4
1.0
ブロック5
0.5
0.0
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
H.17
H.18
H.19
H.20
H.21
図 4-2-5 ブロック別月総揚水量の経年変化
47.5
11.2
根尾川(山口)
長良川(忠節)
47.4
10.8
月平均河川水位 (T.P.m)
月平均河川水位 (T.P.m)
月総揚水量 (百万m3)
3.0
47.3
47.2
47.1
47.0
10.4
10.0
9.6
9.2
46.9
46.8
8.8
0
100
200
300
400
月総降水量 (岐阜降水,mm)
500
0
100
200
300
400
月総降水量 (岐阜降水,mm)
500
図 4-2-6 月平均河川水位と月総降水量の関係
(2) 分析手順
① 手順−1
式(3)に従って、すべての説明変数を用いた最小二乗法による重回帰分析を行い、各回帰係数
(影響係数)を求めるとともに、その係数を用いた場合の危険率P値を算出する。そして、影響係
数(a、Bi、ci )の危険率が50%以上の場合には、式(2)からその説明変数(R、Wi、Qi )を取り
除いたときの回帰式に書き改めて、その式により再度回帰分析を繰り返す。
② 手順−2
次に、以下の条件を満足しない影響係数が得られた場合は、その説明変数を取り除いたとき
の回帰式に書き改めて再度回帰分析を行う。
「降水量の増加あるいは河川水位の上昇があれば地下水位は上昇する。(影響係数は正値を示
す)」
「揚水量が増加すれば地下水位は低下する。(影響係数は負値を示す)」
- 141 -
4-2-2 地下水位支配要因と影響係数
相関性が認められた説明変数を地下水位支配要因とした場合の影響係数を表4-2-2-に示す。
表 4-2-2 地下水位支配要因の影響係数と重相関係数
エリア
ブロック名
揚水影響係数 c
c1(ブロック1) c2(ブロック2.) c3(ブロック3) c4(ブロック4) c5(ブロック5)
(m/(m3/月)) (m/(m3/月)) (m/(m3/月)) (m/(m3/月)) (m/(m3/月))
北部
南部
1
×
−
5
×
−
−
−
-7
−
×
×
−
2
−
-2.85×10
3
−
-2.14×10-7
-3.54×10-7
×
−
4
−
×
×
×
−
定数
f
(m)
重相関係数
2.510
0.873
10.647
0.614
1
北部
南部
×
-8
-7.98×10
河川影響係数 W
降水影響係数
ブロック名 長良川( 忠節)根尾川(山口)
R
(m/mm)
W1 (m/m)
W2 (m/m)
エリア
−
0.617
×
×
-3
5
×
×
2
0.496
−
×
2.014
0.615
3
0.446
−
×
-0.079
0.804
4
×
−
8.410
0.537
8.83×10
-3
4.88×10
※上記表中の「―」印はその説明変数を関連付けていないことを表し、「×」印は繰り返し回帰
分析によって説明変数が取り除かれたことを表す。
実測水位
ブロック1(萱場井)
12.00
計算水位
長良川(忠節)
地下水位 h (m)
11.00
10.00
9.00
8.00
7.00
h=0.617×W(忠節)+2.510
H.17
H.18
H.19
H.20
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
6.00
H.21
図 4-2-7 単純モデル手法による回帰分析結果と再現性(萱場井)
ブロック 5(中西郷井)
ブロック5(中西郷)
15.00
実測水位
計算水位:W
14.00
12.00
11.00
10.00
9.00
h=0.00883*R+10.647
H.17
H.18
H.19
H.20
図 4-2-8 単純モデル手法による回帰分析結果と再現性(中西郷井)
- 142 -
H.21
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
8.00
4
地下水位 (m)
13.00
ブロック
2(天満公園井)
ブロック2(天満公園)
7.00
実測水位
計算水位
地下水位 (m)
6.50
6.00
5.50
h=-2.85E-07×Q2-7.98E-08×Q3+0.496×W(忠節)+2.014
H.17
H.18
H.19
H.20
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
5.00
H.21
図 4-2-9 単純モデル手法による回帰分析結果と再現性(天満公園井)
ブロック3(華陽フロンティア高井)
5.00
実測水位
計算水位
地下水位 h (m)
4.00
3.00
2.00
h=-2.14E-07×Q2-3.54E-07×Q3+0.446×W(忠節)-0.079
H.17
H.18
H.19
H.20
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
1.00
H.21
図 4-2-10 単純モデル手法による回帰分析結果と再現性(華陽フロンティア高井)
ブロック4(前一色井)
12.00
実測水位
計算水位
11.00
9.00
8.00
7.00
6.00
h=0.00488×R+8.410
H.17
H.18
H.19
H.20
H.21
図 4-2-11 単純モデル手法による回帰分析結果と再現性(前一色井)
- 143 -
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
4
2
12
10
8
6
5.00
4
地下水位 h (m)
10.00
4-2-3 気候変動に伴う賦存量への影響予測
地球温暖化による気候変動への影響は、様々な気象現象の変化として表面化しつつある。この
ため、地中熱利用の可能性を検討する上では、このような将来的にも予測される気候変動が、地
下水や地中熱等の賦存量あるいは水質環境に与える影響について考えておく必要がある。
(1) 地下水賦存量への影響予測
河川からの豊富な地下水涵養に支えられた長良川扇状地では、地下水揚水型の地中熱利用が
可能と言えるが、異常渇水時の少雨や河川水位低下の影響に伴って地下水涵養量が一時的に減
少した場合には、自然水位の低下や汲み上げに伴う過剰な地下水位低下の範囲拡大が懸念され
る。また、渇水の影響は、表流水の不足を補うための地下水利用量の増大を招き、同様に汲み
上げに伴う地下水位低下に繋がる可能性がある。
ここで、図4-2-12∼図4-2-15は、回帰分析により求められた地下水位支配要因に対する影響
係数値(表4-2-2参照)に基づいて、河川水位低下量、降水減少量、揚水増加量に対する月平均地
下水位低下量の関係を示したものである。
月総降水量減少量 (mm)
月平均河川水位低下量 (m)
0.0
0.5
1.0
1.5
0
2.0
200
300
400
500
0.0
0.0
-0.2
-0.4
ブロ
ッ
-0.6
ブロ
ク
3
ック
2
ッ
-0.8
月平均地下水位低下量 (m)
-1.0
ロ
ブ
1
ク
月平均地下水位低下量 (m)
100
ブロ
ッ
-2.0
ブ
ロ
ック
ク4
5
-3.0
-4.0
-1.0
ブロック 1∼ブロック 3 では相関が
認められない。
ブロック 4,ブロック 5 では相関
が認められない。
-1.2
-5.0
図 4-2-12
河川水位低下量と地下水位低下量の関係
図4-2-13
月総降水量減少量と地下水位低下量の関係
ブロック3の月総揚水量増加量 (万m3)
ブロック2の月総揚水量増加量 (万m3)
0
100
200
300
0
400
100
200
300
400
0.0
0.0
-0.4
ブロ
ッ
ブロ
ック
月平均地下水位低下量 (m)
月平均地下水位低下量 (m)
ブロック
2
ク3
2
-0.8
-1.2
-0.4
-0.8
ブ
ロ
ック
3
-1.2
ブロック 4 では相関が認められない。
ブロック 4 では相関が認められない。
-1.6
-1.6
図4-2-15
月総揚水量増加量と地下水位低下量の関係
図4-2-14
月総揚水量増加量と地下水位低下量の関係
- 144 -
各図のうち、渇水等の影響で将来的に河川水位が低下した場合の地下水位への影響は、各ブ
ロックとも低下量のほぼ5∼6割程度となる。また、降水が支配的であるブロック4とブロック5
では、月総降水量100∼200mmの減少に対して0.5∼1.8m程度の水位低下の影響を受けることにな
る。対象地域の場合、地下水位の変動要因として各ブロックとも河川水位もしくは降水量が抽
出されていることから、異常渇水時には少なからず地下水位低下の影響を受けることになる。
一方、渇水時に予測される揚水量の増大に対しては、ブロック2とブロック3において影響を
受けることになる。この場合の影響度は、ブロック2の揚水増加量100万m3/月(約3.3万m3/日)に
対して0.21∼0.29m程度、ブロック3の揚水増加量100万m3/月(約3.3万m3/日)に対しては0.08∼
0.35m程度となり、渇水時の影響はさらに大きくなる。
ここで、最近の異常渇水年としては平成6年が代表年としてあげられる。同年は、7月(降水量
29mm)から8月(降水量74mm)にかけての降水量が極めて少なく、濃尾平野の広い範囲で夏期を中
心に顕著な地下水位低下が確認されている。図4-2-16に示す月平均地下水位の経年変化からも
わかるように、天満公園井や華陽フロンティア高井では、平成6年夏期を中心に大きな水位低下
傾向を示しており、揚水量が一時的に増大した状況を示唆している。
16
14
中西郷井
月 平 均 地 下 水 位 (TP.m)
12
10
西改田井
前一色井
萱場井
8
岐阜井
天満公園井
6
柳津井
4
華陽フロンティア高井
2
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11
H.5
H.6
H.7
H.8
H.9
H.10
H.11
H.12
H.13
H.14
H.15
H.16
H.17
H.18
H.19
図 4-2-16 月 平 均 地 下 水 位 の 経 年 変 化
(岐阜市:H19年度 地下水 地質情報把握・分析調査業務 報告書)
- 145 -
0
降 水 量 (mm)
0
500
(2) 地中熱量(地下水温)への影響予測
本業務で実施した地下水温に関する連続・定期・一斉の各観測結果より、対象地域の地下水
温分布は、地盤の蓄熱・熱伝導に起因した季節的な変化や長良川からの流入による影響など、
複数の要因によって変化している状況が判明した。特に、長良川に近接する市街地部では、深
度20∼25mに及ぶ範囲まで鉛直方向への水温変化が見られず、しかも季節的に大きく水温が変化
する特徴がみられ、河川からの流入による影響が深部まで及んでいることが想定される(図4-217)。
(河川隣接地域)
(長良川扇状地先端地域)
図 4-2-17 鉛直方向地下水温分布の対比
一般に、地中温度は熱伝導と熱移流によって形成されるが、上記のように長良川近接地域で
は、優勢な地下水流動に伴う熱移流の影響が支配的で、地表部からの熱伝導に伴う影響は小さ
いと言える。これに対し、市街地周辺部では、恒温層において地下水温が一定値に収束するよ
うな鉛直方向への熱伝導タイプを示す観測地点が多い。この場合の恒温層上面深度は場所によ
って大きく異なるが、対象地域では深度10∼20m程度の範囲にある。
地球温暖化による気候変動に伴って、年平均気温の上昇や、特に夏期を中心に異常高温に見
舞われるケースが増えつつあるが、このような地表温度の上昇は結果的に地中温度の上昇を促
すことになり、空調設備等への地下水利用に際しては、特に冷房時の効率を低下させる原因に
なる。また、長良川隣接地域では、河川水温の変化が地下水温の変化に影響を与える要因とな
り、温暖化によって河川水温の上昇があった場合には地下水温の上昇がもたらされる結果にな
る。
(3) 水質への影響予測
3-4節に示した水質特性からも分かるように、対象地域では河川近傍ほど溶存成分の濃度が低
い特徴を示している。ここで、図4-2-19は、河川水と地下水の水質の一致性を調べるために、
濃度相関マトリックス法(木羽敏泰、寺田喜久雄、本浄高治、松本 健、飯野 清:濃度相関マ
トリクスによる河底でい試料の相関性の検討、分析化学, Vol.24, No.1, pp18-25, 1975)を用
いて、河川水に対する各観測井戸における地下水の主要7成分、すなわち、ヘキサダイヤグラム
の相関数を求めたものである。なお、相関数の算出に必要な判定基準値は1.3とした。
同図に示すように、相関数の値が1に近いほど地下水の主要成分は長良川のものに近いことを
- 146 -
表しているが、長良川扇状地では、相関数が0.6程度以上にあり、特に河川付近では相関数が
0.8以上の大きさにあって地下水質と河川水質の一致性が高いことが分かる。これに対し、地下
水流動の下流域にあたる扇状地外の南西部では、地下水と地層との反応や他地域からの地下水
との交流もあって水質が変化するためか、河川との一致性が低くなる。
このように、対象地域の水質は長良川扇状地を中心とした地下水流動によって形成されてい
ると言っても過言ではない。したがって、将来的な気候変動に伴う地下水賦存量の変化が当該
地域の地下水流動に変化をもたらした場合には、地中熱利用に望ましい良好な水質領域の縮小
など、地下水の水質環境にも変化が及ぶものと予測される。
図 4-2-18 地形区分と地下水流動状況
図 4-2-19 長良川河川水と地下水質の相関数
- 147 -
4-3 給湯や冷暖房への地中熱利用の可能性検討
4-3-1 2次利用を含めた効率的な地中熱利用システムの検討
(1) 地中熱利システムの分類
現状の地中熱利用システムとしては、次の2種類に大別することができる。
a) 地盤や地下水が有するエンタルピー(熱含量)を熱源や排熱吸収源として利用するシステム
b) 地盤を蓄熱体として利用するシステム
上記のうち、a)のシステムにはヒートポンプを有するものと有さないものがあるが、ヒート
ポンプを利用する方法が一般的であり、これを地中熱ヒートポンプシステムと称する(GSHP)。
一方、b)は地中蓄熱(UTES)と総称され、これには、帯水層蓄熱(ATES)、掘削孔蓄熱(BTES)、岩
洞蓄熱(CTES)の3種類がある。
さらに、地中熱ヒートポンプシステムは、使用するヒートポンプの方式によって以下の2種類
に区分される。
a) 直膨方式:ヒートポンプの冷媒管を地中に埋設し、地盤との間で直接熱交換する方式
b) 間接方式:ヒートポンプと地中熱交換器の間に熱交換器を設置し、この中を循環する不凍
液等の媒体を介して熱交換を行なう方式
上記した両方式のうち、a)は運転効率や省エネルギー性が高いが、高い施工精度が要求され
ること、および対応するヒートポ
ンプが入手し難いため、我国では
オープン型
【開放型】
実用化されていない。このため、
ここでは図4-3-1に示すb)間接方
式について検討する必要がある。
ボアホール方式
垂直埋設型
基礎杭方式
クローズド型
【密閉型】
一般に、間接方式のうち、オー
水平埋設型
プン型は初期投資に対して利用可
な方式であり、当地域のような豊
井戸方式
【放流】
地中熱交換器
【間接方式】
(2) システム選定条件と対応策
能な熱量が大きいため非常に有利
井戸方式
【還元井設置】
(出典:北海道大学地中熱利用システム工学講座、
地中熱ヒートポンプシステム に一部加筆)
富な地下水賦存量が期待できる地
域では有効な方式と考えられる。
クローズド型(ボアホール方式)
オープン型 (還元井設置)
特に、地盤の透水性が良好で、揚
水に伴う周辺への地下水位低下等
の影響が少ない場合には、オープ
ン型の中でも熱交換後の地下水を
クローズド型
オープン型
河川等へ直接放流する方式の採用
が最も効率的かつ経済的なものと
判断できる。ただし、以下に示す
ような条件下では、オープン型の
採用が難しくなることもあり、間
図 4-3-1 地中熱交換器の分類
(出典:「地中熱利用の現状と課題」地中熱利用促進協会
笹田政克 2010年7月1日再エネ政策シンポ第2部)
- 148 -
接熱交換器の併用や、クローズド型のシステムを検討する必要がある。
a) 地下水の水質特性により、配管内等にスケールを生じる可能性が高い場合
b) 揚水に伴う過大な地下水位低下や地盤沈下の発生が懸念される場合、あるいは放流先の水
路等に排水能力不足等の問題がある場合
上記のうち、a)のスケール問題が懸念される場合には、スケール除去が可能な間接熱交換器
の併用やクローズド型のシステムを検討する必要がある。一般に、地中熱ヒートポンプでは管
内にスケールが付着した場合に除去することが困難であるため、水質条件が悪い場合にはスケ
ールの除去が可能な間接熱交換器が併用される。間接熱交換器にはプレート式や多管式があり、
揚水井戸とヒートポンプ間に設置され、間接的な熱交換が行われる(図4-3-2に設置状況を、図
4-3-3にプレート式間接熱交換器の構造を示す)。
また、b)の揚水に伴う諸現象が問題となる
場合には、クローズド型もしくは還元井を有
するオープン型の検討が必要となる。なお、
クローズド型としては数10∼100m程度の深度
大きい。近年は基礎杭を利用した方式も注目
されており、コスト面での有利性から、今後、
施工例が増えるものと考えられる。
地中熱ヒートポンプ
方式が代表的であるが、コスト面での負担が
間接熱交換器
までボーリング掘削を必要とするボアホール
滞水層
図 4-3-2 間接熱交換器設置状況
プレート式熱交換器は出入り口ノズルを有する
フレームの間に独特の波形状をプレス成形した
プレートパックを挟み、締付ボルトにて締結し
ただけという非常に簡単な構造をしています。
流体は、ガスケットの組み合わせにより、プレ
ート 1 枚おきに流れます。 ノズル1から入っ
た液体はノズル4へ、ノズル3から入った液体
はノズル2へ流れます。(対向流)
したがって、異なる流体は互いに混交すること
無くプレートを介して熱交換します。又、プレ
ートは凹凸に成形されているので、この間を流
れる流体は乱流となり非常に高い伝熱係数が得
られます
図 4-3-3 プレート式間接熱交換器における流体の流れと構造
(出典:株式会社ベルテクノのホームページより)
- 149 -
一方、b)の還元井方式では、時間とともに水中の鉄分や細粒分、バクテリア等によって「ス
クリーン(集水管)の目詰まり」が発生しやすく、注水量の減少を招くケースが多い。この目詰
まり現象は、注入水の水質や対象地盤の土質条件により発生の状況が大きく異なるため、事前
の短期的な調査での定量的予測は難しい。このため、還元井の計画・利用に際しては、以下の
ような措置が必要となる。
■ 還元量と還元圧の日常的な観測
還元量と還元圧の観測を日常的に実施し、目詰まりの進行程度を定量的に把握する。このよ
うな観測を還元井の洗浄前後で継続すれば、後の目詰まりの発生に関する特性の把握も可能と
なり、維持管理の指標を得ることができる。
■ 洗浄可能な還元井の構造とスクリーン(集水管)の開口率の確保
還元井は、スワビングやブラッシング等による井戸洗浄が可能な構造とする。このため、ス
クリーン(集水管)には巻線型などの高強度のものを利用する。また、井戸損失(揚水量に対し
て井戸内部への地下水流入量が少なく、井戸内部の水位が過度に低下すること)を少なくする
ためにスクリーン(集水管)の開口率は25%程度を確保することが望ましい。
■ 目詰まり原因の抑制
揚水した地下水を空気や光に極力触れさせない構造とする。
スワブ玉を利用
ブラシ器具を取
して井戸に衝撃
付け、上下運動
を与え地下水誘
によりスケール
導を行う
除去を行う
図 4-3-4 井 戸 改 修 (洗 浄) 方 法
(出典:大泉開発株式会社ホームページより)
(3) 対象地域に適した効率的なシステム
図4-3-5は、地中熱利用システムの種類と選定手順をまとめたものである。対象地域の場合、
地下水賦存量の規模や水質特性から、長良川扇状地を中心とした市街地部ではオープン型によ
るシステムの採用が可能といえる。また、冷凍空調機器用水質ガイドラインに示される水質条
件を満足しない市街地周辺部でも、間接型の熱交換器を用いることにより、CO2 排出量や排熱
量の削減効率がやや低下するものの、オープン型システムの採用は可能であり、地中熱利用に
伴う周辺環境への影響評価の結果によっては、十分適用できるシステムである。
- 150 -
地盤・地下水位・地下水質情報
スケールの発生に
関する水質条件
O UT
熱交換器等の
設備による対応
OK
水位低下
圧密沈下
放流能力
OUT
OK
OUT
還元井の設置
OUT
クローズド型
【密閉型】
OK
OK
オープン型
【開放型】
井戸方式
【放流】
オープン型
【開放型】
井戸方式
【還元井設置】
図4-3-5 対象地域に適した効率的な地中熱利用システムの選定フロー
(4) 2 次利用の可能性
還元井を用いないオープン型の地中熱利用では、以下に列記する2次利用が可能である。
・ 都市河川等への放流による河川の維持流量の確保と水質改善
・ 消防用水利や災害時の緊急用水源としての活用
・ 夏季における路面や花壇等への散水用としての利用
・ 冬季における融雪水としての利用
さらに、最近では給湯機能を付加した地中熱対応のヒートポンプも開発されており、冷房排
熱を給湯として2次利用することにより、より高効率のシステムを構築することも可能である。
なお、給湯への2次利用の場合、ヒートポンプシステムでは一般に使用水量分を水道水温度か
ら使用温度レベルまで瞬間的に高めるような大出力を用意することはないため、貯湯槽と組み
合わせて利用される場合が多い。この時、ピークシフト(昼間電力消費の一部を夜間電力に移行
させること)に有効で、単価も魅力的な深夜電力を利用して1日分の給湯量を貯湯しておくのが
一般的である。なお、貯湯温度はレジオネラ属菌が繁殖しない60℃以上にすることが必要であ
る。また、デ・スーパーヒーター(過熱低減器)を用いることで、出力は減るものの、省エネル
ギー上有効な性能を確保しながら60℃以上の温水を取り出すことも可能である。このように、
貯湯槽やデ・スーパーヒーター回路、冷暖房回路との組み合わせを工夫することで優れたシス
テムの構築が可能である。
- 151 -
4-3-2 地中熱利用に伴う周辺環境への影響検討
対象地域において還元井を用いないオープン型の地中熱利用を計画した場合には、地下水の汲
み上げに伴う周辺地域への地下水位低下の影響のほか、利用後の地下水放流による河川水温や周
辺地中温度への影響、あるいは水質面への影響検討が必要となる。ここでは、空調設備として吸
収式冷温水発生機を用いたオープン型地下水利用が行われている、岐阜市役所本庁舎(図4-3-6 既
存システムの概要 参照)での既往の実証調査資料をもとに、諸影響を検討する。
なお、対象となる吸収式冷温水発生機では、井水槽に蓄えられた地下水が冷温水発生機内で冷
媒と熱交換されるものであり、その方式は地中熱ヒートポンプと同等である。
実証調査施設の概要
出典:環境省 平成19年度 クールシティー推進事業
「大型施設での地下水揚水型冷房機器の長期稼動に伴う地下水・地盤環境への影響評価事業
報告書」;国立大学法人 岐阜大学 ※以下「実証調査報告書と称す」
冷却水
冷房機器稼動時期:6月∼9月
冷媒
雑用水等
冷水
一部循環
冷却水
ポンプ
揚水ポンプ
冷水ポンプ
【冷温水発生機】
【揚水井】
2本
【空気調和機】
岐阜市役所本庁舎位置図
放流:温水(30∼40℃)
【井水槽】
地下水
数km下流で
小河川に放流
【暗渠】
井戸深度:60m
スクリーン深度:30m以深
図 4-3-6 岐阜市役所本庁舎における空調設備の概要
表 4-3-1 冷房空調システムの諸元
機 器 等
仕
様 等
揚水井(2 本)
各井戸:井戸径400mm、井戸深度60m、スクリーン深度30m以深
揚水ポンプ(2 基)
各ポンプ:出力37.0kw、ポンプ能力4.5m3/min
井水槽
容積400m3程度(=19.5m×21.3m×1.2m−支柱体積(約100 m3))
1 次冷却水ポンプ
出力11.0kw、ポンプ能力1.64m3/min
2 次冷却水ポンプ
出力22.0kw、ポンプ能力4.90m3/min
吸収式冷温水発生器
(4 基)
1基当たり、出力2.87kVA、冷凍能力281kW、冷却水量1.22 m3/min、
冷水量0.81 m3/min、都市ガス消費量21.6N m3/h以下
1 次冷水ポンプ
出力18.5kw、ポンプ能力3.30m3/min
地下排水路
2.5m×1.2m(全断面積3.0m2)
対象床面積
約14,000m2
- 152 -
(1) 周辺地下水位低下への影響
1) 実証調査結果に基づく影響検討
岐阜市役所本庁舎における2箇所の揚水井と観測井の配置を図4-3-7に示す。
観測井No.1、No.2、No.3は、いずれも深度45m、スクリーン深度33∼45mであり、揚水井のス
クリーン深度と同じ帯水層の地下水位を観測対象としている。これに対して、観測井No.4は井
戸深度10m、スクリーン深度6∼10mであり、GL-25m付近に分布する粘性土層よりも上位の帯水
層を観測対象としている。
ここで、2箇所の揚水井において、1分間隔で測定された揚水量とそのパターンを図4-3-8に
示す。また、これに対応する各観測井での地下水位の変動を図4-3-9に示す。なお、図4-3-8に
示す平均的な揚水量は、揚水井No.1(北部)で3.8m3/min、揚水井No.2(南部)で3.3m3/min程度で
あり、揚水量の規模としては比較的大きなものである。
ここで、図4-3-9において、揚水対象となる帯水層の地下水位は、揚水に伴って0.5m程度の
水位低下が生じているものの、揚水の停止とともに速やかな回復がみられる。また、浅層地下
水を対象とした観測井No.4では、揚水に伴う僅かな水位低下が生じているものの、揚水に対応
した実質的な水位低下はみられない。以上の結果より、岐阜市役所本庁舎が位置する岐阜市街
地では、地下水の汲み上げに伴う周辺地下水位低下が少なく、また揚水後の水位回復が極めて
早いことから、地下水利用に伴う周辺地下水位低下への影響は非常に小さいものと判断される。
また、深層部での地下水利用が、粘土層(不透水層)を隔てた浅層地下水位に対してはほとんど
水位低下の影響を与えておらず、周辺の地下水利用実態に応じた井戸深度計画を検討する上で
参考となる。
図 4-3-7 各揚水井と観測井の配置(実証調査報告書より引用)
- 153 -
図 4-3-8 冷房空調稼動時における揚水量とそのパターン(8 月 14 日)
(出典:実証調査報告書より)
図 4-3-9 冷房空調稼動時における地下水位変動(8 月 14 日)
(出典:実証調査報告書より)
2) 水理計算に基づく影響検討
本業務でボーリング調査を実施した3地区(早田西公園・京町公園・菊地公園)の市街地を対
象に地盤の透水性を考慮した水理計算を行い、示された揚水量と周辺地下水位低下量の関係か
ら各市街地地区における影響度を検討した。以下に、試算条件と試算方法をまとめる。
① 試算条件
・ 揚水地区は、地下水観測井を設置した菊地公園、京町公園、早田西公園の近傍とする。
・ 揚水井戸半径はr=0.2mとする。
・ 帯水層厚は20mとする(浅層の地下水利用を想定してシルト層上位の滞水層を対象とする)。
・ 地盤の透水係数
表4-3-2に示す地盤の透水係数は、対象地区近傍の既往揚水試験結果に基づいて決定した。
ただし、早田西公園地区については既往の揚水試験結果がないため、図4-1-3に示す地下水資
料台帳による透水係数の推定値より、図4-3-10に示す近接メッシュの平均値を採用した。
表 4-3-2 各地点における揚水試験結果
採用した透水係数
検討地域
透水係数推定方法
(cm/sec)
早田西公園地区
1.20×10-1
図4-3-8による
京町公園地区
2.60×10-1
菊地公園地区
0
1.13×10
揚水試験結果(金町7)
揚水試験結果(橋本町2)
(出典:平成19年度地下水、地質情報把握・分析調査業務
- 154 -
報告書)
︵本巣市︶
(関市)
(山県市)
長良川
︵北方町︶
早田西公園近傍
透水係数設定値
k=1.20×10-1cm/sec
金華山
︵瑞穂市︶
(各務原市)
高山本線
(岐南町)
(笠松町)
(羽島市)
図 4-3-10 地域メッシュごとの透水係数分布と透水係数の設定値
② 試算方法
・ 帯水層厚H、透水係数k の不圧帯水層で、揚水井より単位時間当たりQ の揚水を行うとき、
影響圏半径R とすると揚水井戸中心からの距離rにおける水位h は次式で表される。
H 2−h
2
=
Q
πk
R
)
r
ln(
(4.1.8)
・ 各地点における水位低下量sは、次式より求める。
s =
H − h
(4.1.9)
・ 揚水に伴う影響圏R については様々な経験式があるが、本報告では水位低下量s と透水
係数k の平方根に比例するとしたSichardt による次式によって推定する。
R = 3000・ s ・
k
(4.1.10)
・ なお、式(4.1.8)と式(4.1.10)のいずれにも影響圏R と水位低下量s が含まれており、そ
のまま計算することが困難となる。このため、揚水量の確保に必要な井戸内の水位低下量
を試行的に変化させ、式(4.1.8)と式(4.1.10)の双方を満足する影響圏 R と水位低下量s
の関係を求める。
- 155 -
井戸中心からの距離
0.0
0
50
100
150
200
250
300
(m)
350
400
水
位
450
550
600
早田西公園近傍
0.5
透水係数 1.20×10 -1 cm/sec
井戸半径 0.2m
低
下
500
揚水量 1.0 m 3 /min
<影響圏R=68.1m>
1.0
揚水量 2.0 m 3 /min
<影響圏R=159.6m>
量
揚水量 3.0 m 3 /min
<影響圏R=264.5m>
(m)
揚水量 4.0 m 3 /min
<影響圏R=382.3m>
1.5
揚水量 5.0 m 3 /min
<影響圏R=514.7m>
2.0
図 4-3-11 早田西公園近傍における揚水量と周辺地区での地下水位低下量の関係
井戸中心からの距離
0.0
0
50
100
150
200
250
300
(m)
350
400
水
位
450
550
600
京町公園近傍
0.5
透水係数 2.60×10 -1 cm/sec
井戸半径 0.2m
低
下
500
揚水量 1.0 m 3 /min
<影響圏R=42.0m>
1.0
揚水量 2.0 m 3 /min
<影響圏R=98.3m>
量
揚水量 3.0 m 3 /min
<影響圏R=160.8m>
(m)
揚水量 4.0 m 3 /min
<影響圏R=228.2m>
1.5
揚水量 5.0 m 3 /min
<影響圏R=300.0m>
2.0
図 4-3-12 京町公園近傍における揚水量と周辺地区での地下水位低下量の関係
井戸中心からの距離
0.0
0
50
100
150
200
250
300
水
位
400
450
500
550
菊地公園近傍
0.5
透水係数 1.13×10 0 cm/sec
井戸半径 0.2m
低
下
(m)
350
揚水量 1.0 m 3 /min
<影響圏R=16.6m>
1.0
揚水量 2.0 m 3 /min
<影響圏R=39.7m>
量
揚水量 3.0 m 3 /min
<影響圏R=65.4m>
(m)
揚水量 4.0 m 3 /min
<影響圏R=92.6m>
1.5
揚水量 5.0 m 3 /min
<影響圏R=121.0m>
2.0
図 4-3-13
菊池公園近傍における揚水量と周辺地区での地下水位低下量の関係
- 156 -
600
③ 試算結果
試算結果を図4-3-11∼図4-3-13に示し、算出された水位低下量の特徴を以下にまとめる。
・ 早田西公園近傍では、比較的大きな水位低下量が試算されている。5m3/min揚水時には、
揚水井から100mの地点において水位低下量が約1mとなる。
・ 京町公園近傍と菊地公園近傍における水位低下量の試算結果は、早田西公園近傍で算出さ
れた水位低下量に対して1/100∼1/10程度と小さい。特に、菊地公園近傍の水位低下量は
5m3/min揚水時でも、揚水井から100mの地点で1cm程度と非常に小さい。
3) 周辺地下水位低下への影響
実証調査の結果および水理計算結果より示された、地下水の汲み上げに伴う周辺地下水位低
下への影響は、対象とした市街地地域では非常に小さいものである。特に、長良川左岸から岐
阜駅周辺地域にかけての市街地部では、3∼5m3/minの揚水量に対しても、揚水井戸から100m地
点の隣接地で0.5m以下の水位低下量であり、既設井戸への影響度は非常に小さいと言える。
なお、同様の傾向は、比較的大きな透水性を示す市街地周辺部についても適用できるといえ、
地中熱利用に際して必要な、地下水の汲み上げに伴った周辺地下水位低下への影響は小さいと
いえる。
(2) 放流に伴う排水路や河川水温への影響及び周辺地盤の地中温度への影響
実証調査施設で利用される吸収式の冷温水発生機やオープン型の地中熱ヒートポンプでは、
冷房時(採熱)や暖房時(放熱)の熱交換によって発生する冷水(10℃前後)や温水(25∼30℃前後)
を、河川等に放流することになる。この場合の河川水温への影響や周辺地盤の地中温度への影
響について、実証調査資料に示されるデータをもとに検討する。
実証調査では、排水路内の放流位置に対して、図4-3-14に示す上下流の4地点において水温測
定が実施されている。また、排水路周辺地盤内では、図4-3-15に示す3地点において地中温度測
定が実施されている。
1) 河川水温への影響
図4-3-14に示すように、放流水の日平均温度は30∼35℃程度、平均放流量は80m3/hr程度で
比較的安定した状態にある。ここで、図4-3-17∼図4-3-18は、排水路内の水温変化を示したも
のであるが、これらの図によれば、冷房空調の稼動によって、放流箇所上流側のNo.1地点に対
し下流側のNo.2地点では、6℃程度の水温上昇がみられる。その後、No.2地点からNo.3地点ま
での約30m区間では、水温変化がほとんど無い状態で流下するものの、No.3からNo.4地点まで
の約100mの区間では5℃ほどの水温低下が生じている。このように、放流水による河川水温へ
の影響は、河川流量や支川の合流状況によっても異なるが、比較的短い区間で平温化の傾向を
示しており、地中熱利用の結果排出される放流水の水温の影響は小さいものと考えられる。
2) 地中温度への影響
図4-3-19及び図4-3-20は、冷房空調稼働時間内外の気温と地中温度の変化を示したものであ
る。なお、地中温度No.3は、調査途中で追加設置されたものであり、測定値は9月下旬以後に
限られている。各図に示されるように、深部のNo.1とNo.2における地中温度に日間の変化は認
められないものの、浅部のNo.3では0.5℃程度の日変化が見られる。しかし、放流による排水
- 157 -
路内の水温上昇に起因した地中温上昇は確認されておらず、放流に伴う周辺地盤の地中温度へ
の影響が表面化する可能性は非常に小さいと考えられる。
図 4-3-14 排 水 路 内 の 水 温 測 定 ① (出典:実証調査報告書より)
図 4-3-15 排水路周辺の地中温度の測定位置
(出典:実証調査報告書より)
図 4-3-16 放流水の温度と流量の日変化 (出典:実証調査報告書より)
図 4-3-17
排水路内の水温と気温 [8月10日(平均気温31.1℃)]
(出典:実証調査報告書より)
- 158 -
図 4-3-18 排水路内の水温と気温 [9月26日(平均気温23.2℃)]
(出典:実証調査報告書より)
図 4-3-19 地中温度と気温 [8月16日(平均気温32.7℃)]
(出典:実証調査報告書より)
図 4-3-20 地中温度と気温 [9月27日(平均気温24.1℃)]
(出典:実証調査報告書より)
(3) 放流による河川水質環境への影響
前述したように、実証調査施設における吸収式冷温水発生機では、井水槽に蓄えられた地下
水が冷温水発生機内で冷媒と熱交換されるものであり、その方式は地中熱ヒートポンプと同等
である。従って、実証調査施設で得られたシステム流入前後の水質情報は、同様に地中熱ヒー
トポンプを採用した場合の水質特性を表すものであり、水質環境への影響を検討する上で参考
となる。ここで、実証調査では、2箇所の揚水井戸から汲み上げた地下水、井水槽内の貯留水、
冷温水発生器での熱交換後の放流水について、下表の項目に対する水質分析が行われている。
- 159 -
表 4-3-3 水 質 分 析 項 目
測定の区分
現地計測
分析項目
pH、電気伝導率、水温、気温
溶存イオン
<陽イオン>Na、K、Ca、Mg
<陰イオン>Cl、NO2、NO3、SO4
他の項目
CO2(遊離炭酸)、アルカリ度、
非解離性成分SiO2
室内分析
表4-3-4は、水質分析結果について、平均値と標準偏差をまとめたものである。
表中の上段は、10回にわたる分析値の平均値を、下段は同標準偏差を示しているが、北部揚
水井と南部揚水井での水質分析結果を対比すると、南部揚水井では電気伝導率に代表されるよ
うに僅かに溶存成分が多く、CO2 濃度がやや高いものの両者の水質に大差はみられない。
さらに、各揚水井戸からの地下水が混合する井水槽や、熱交換後の放流水についても水質面
では大きな変化は認められない。なお、ガス成分である遊離炭酸は、大気開放や水温上昇に起
因して放流水では低下する傾向にあるが、地下水とほぼ同程度の水質を示すものが放流されて
いる。
表 4-3-4 水質測定地点の平均値と標準偏差
(出典:実証調査報告書より)
一方、排水路内では放流口上流側から地下水質と類似した水が流下しているようである。こ
のため、放流後の水路内では水温上昇がみられるものの、水質的にはほとんど放流箇所上流側
との差違が認められない。
以上のように、地中熱ヒートポンプでの熱交換後に排出される放流水には、システム内での
大きな水質変化は予測されず、ほぼ揚水時の地下水質が維持されるものと評価できる。
- 160 -
(4) 地中熱利用に伴う周辺環境への影響のまとめ
地中熱利用に伴う周辺地下水位への影響、および水温・水質への影響を表4-3-5にまとめる。
表 4-3-5 地中熱利用に伴う周辺環境への影響
影響項目
影 響 評 価 結 果
地下水位への影響
・地下水の汲み上げに伴う周辺地下水位低下への影響は、長良川周辺の市街
地部では非常に小さい。
・特に、長良川左岸から岐阜駅周辺地域にかけての市街地部では、3∼
5m3/min程度の揚水量に対して、揚水井から100m付近の隣接地では0.5m以
下の水位低下量であり、既設井戸への影響は非常に小さい。
・同様の傾向は、比較的大きな透水性を示す市街地周辺部についても適用で
き、地中熱利用に際して必要な地下水の汲み上げに伴う周辺地下水位低下
への影響は小さい。
水温への影響
・実証調査資料によれば、放流水による排水路等への水温の影響は、河川流
量や支川の合流状況によっても異なるが、比較的短い区間で平温化の傾向
を示しており、地中熱利用の結果排出される放流水の水温の影響は小さ
い。
・放流による排水路内の水温上昇に起因した地中温度上昇は確認されておら
ず、放流に伴う周辺地盤の地中温度への影響が表面化する可能性は非常に
小さい。
水質への影響
・地中熱ヒートポンプでの熱交換後に排出される放流水には、システム内で
の大きな水質変化は予測されず、揚水時の地下水質が維持されるものと評
価できる。
(5) オープン型地中熱利用システム採用時の留意点
長良川扇状地域では、豊富な地下水賦存量を背景にオープン型の地中熱利用システムが採用
可能である。特に、京町公園近傍から岐阜駅周辺にかけては、揚水に伴う地下水位低下の影響
も小さく、システムの採用に適した地域であると判断できる。
しかし、本節で行った諸検討は、種々の条件や仮定のもとで行ったものであり、これらの条
件を事前に詳細に確定することは困難である。このため、システムの採用に際しては、周辺環
境への影響把握を目的としたモニタリングを実施する必要がある。
ここで、地下水位と水温に関するモニタリング計画を表4-3-6にまとめる。
表 4-3-6 地中熱利用システム採用時のモニタリング計画
項
目
地下水位
水
温
モニタリング計画内容
・放流型のシステムに限らず、地下水の汲み上げに伴う水位低下量を確認す
るため、想定される影響圏内の水位変動をモニタリングする必要がある。
・揚水パターンが空調システムの稼働状況によって変化することが想定され
るため、モニタリングは揚水開始後1年を通じて実施されることが望まし
い。
・揚水に併せて還元を計画する際には、還元井戸による水位変化も把握可能
なモニタリング計画とすることが肝要である。
・放流型のシステムでは放流先の排水路等、還元井を有するシステムでは還
元される水と還元井の下流側に相当する帯水層を対象に、水温のモニタリ
ングを行い、排熱による熱収支を分析する必要が考えられる。
・放流型の水温モニタリングに際しては、全体の排熱量を把握するため、放
流先の流量を水温計測と併せて行う必要がある。
- 161 -
4-4 設備導入効果・概算事業費算定及び補助制度等
本業務で実施した地中熱利用に向けた地下水の水量・熱量・水質に関する各調査結果をもとに、
岐阜市域において地中熱ヒートポンプシステムを採用した場合の概算事業費の算定、および設備導
入効果等の検討結果を示す。なお、本節では地下水を利用した地中熱ヒートポンプを「水冷式ヒー
トポンプ」を称す。
4-4-1 地中熱利用上の特徴と賦存量評価
岐阜市域を、図4-4-1に示す地下水流動系に基づいて分割した 5地区のブロックについて、地下
水の水量・熱量・水質に関する特徴と賦存量の評価を表4-4-1∼表4-4-5にまとめる。
5
1
2
3
図 4-4-1 岐阜市域の地下水流動系とブロック分割図
- 162 -
4
表 4-4-1 地中熱利用可能性評価(ブロック1)
評価事項
特 徴
賦存量の評価
・地形は、長良川扇状地と北部の後背湿地
に区分される。基盤岩上面は東部から西
部にかけて深度50∼200mと変化する。
・堆積層の土質は砂礫を主体とし、地盤の
透水性と地下水流速はともに大きい。
・地下水は、長良川扇状地面に沿って扇頂
部から扇端部にかけて流動している。
・地下水位変動には、長良川河川水位が支
配的であり、揚水に伴う影響は表面化し
ていない。
・河川沿いの一部地域で集中的な地下水利
用が見られるが、ブロック全体での揚水
規模は小さい。
熱 量
・地下水温は、長良川近接地域と背後地域
で異なる鉛直分布を示す。
・近接地域では、鉛直方向の水温変動が小
さく、夏季から冬季にかけて水温が徐々
に上昇する季節的な変化が見られる。
・背後地域では、深度とともに温度分布が
収束傾向を示し、深度10∼20m以深では
年間を通じて16℃∼18℃程度の安定した
水温分布を示す。
・本ブロックは長良川右岸の市街地部に該
当し、多数の事業所や住宅等が密集する
地域である。
・地盤の透水性が大きく、長良川からの豊
富な地下水涵養にも支えられて、賦存量
のポテンシャルは高い。特に、旧河道に
沿った地域では、優勢な帯水層が形成さ
れている可能性が高く、大きな賦存量が
期待できる。
・地下水位変動と長良川河川水位変動とが
非常に密接な関係にあるため、異常渇水
時には一時的に賦存量が減少しやすい。
・影響度は、月平均河川水位の低下量1.0m
に対して、月平均地下水位低下量が0.6m
程度である。
・扇状地背後のブロック北部地域では、恒
温層上面深度が地区によって異なるもの
の、深度10∼20m以深ではほぼ17℃前後を
示しており、安定した地中熱利用が可能
である。
・長良川近接地域は、夏季に水温が低く秋
季から冬季にかけて水温上昇がみられる
ことからも、空調設備への地下水利用に
適した水温変動を示すエリアといえる。
水 質
・冷凍空調機器用水質ガイドラインの水質
基準に対しては、長良川沿いの扇状地地
域で基準値を満足する。
・扇状地背後の北部地域では、pH及び酸消
費量の濃度が基準値を超過する傾向にあ
る。
・長良川扇状地では、河川水質との高い相
関性を示し、地中熱利用に際して水質面
での問題は少ない。
・北部地域では、一部の水質項目で基準値
を満足しておらず、設備計画上、間接的
な熱交換等の配慮が必要となる。
水 量
夏季水温分布
(深度 20m)
冬季水温分布
(深度 20m)
水質基準に対する
適合性
対象ブロック
高温域
(18℃以上)
低温域
(15℃以下)
水質基準不適合範囲(着色部)
可能性評価
賦存量のポテンシャルは高く、安定した地中熱利用が可能。水質的にも適合する。
- 163 -
表 4-4-2 地中熱利用可能性評価(ブロック2)
評価事項
水 量
熱 量
特 徴
賦存量の評価
・長良川扇状地にあり、基盤岩は深度150
∼190m付近に想定される。
・堆積層の土質は砂礫を主体とし、地盤の
透水性と地下水流速は非常に大きい。
・地下水は、長良川扇状地面に沿って扇頂
部から先端部にかけて流動している。
・地下水位は長良川河川水位及びブロック
2とブロック3の揚水の影響を受けて変
動している。
・市街地でもあり、全体に地下水利用が盛
んな地域である。
・長良川左岸の市街地部に該当し、多数の
事業所や住宅等が密集する地域である。
・地盤の透水性が大きく、長良川からの豊
富な地下水涵養にも支えられて賦存量の
ポテンシャルは高い。
・地下水位変動に揚水の影響が見られるた
め、過大な揚水量の増大には留意が必要
となる。
・試算として、本ブロック内の平均地下水
位低下量を0.2m許容した場合、本ブロッ
クの揚水量を70万m3/月(2.3万m3/日)程度
増やすことが可能となる。
・岐阜駅付近を境とした南西域の扇状地扇
央部から扇端部では、年間を通じ浅部か
ら深部にかけて16℃∼17℃程度の安定し
た水温分布が期待できる。
・扇頂部の長良川近接地域では、浅層地下
水 に お い て 、 夏 季 に 15 ℃ 以 下 、 冬 季 に
18℃以上の水温が期待でき、空調設備へ
の地下水利用には、非常に適した水温変
動を示すエリアである。
・地下水温は、長良川近接地域と背後の地
域とで異なる鉛直分布を示す。このうち
近接地域では、深度25m付近に分布する
シルト層を境に以浅では鉛直方向の水温
変動がみられず、季節的な変化が支配的
となる。
・長良川扇頂付近では、夏季に地下水温が
低下傾向を示し、秋期から冬季にかけて
上昇傾向を示す水温変動を示す。
・冷凍空調機器用水質ガイドラインの水質
基準に対しては、本ブロック内の大部分
が基準値を満足するエリアに該当する。
水 質
夏季水温分布
(深度 20m)
・本ブロック内の地下水質は、長良川河川
水質と非常に密接な関係にあり、相関性
も高い。
・水質ガイドラインの基準値に対しては、
特に問題の無い水質状態が維持されてお
り、地中熱利用上、水質面での設備への
影響は小さい。
冬季水温分布
(深度 20m)
水質基準に対する
適合性
対象ブロック
高温域
(18℃以上)
低温域
(15℃以下)
水質基準不適合範囲(着色部)
可能性評価
賦存量のポテンシャルは高く、安定した地中熱利用が可能。水質的にも適合するが、過
剰な地下水の汲上げには留意が必要。
- 164 -
表 4-4-3 地中熱利用可能性評価(ブロック3)
評価事項
特 徴
賦存量の評価
・長良川扇状地背後の氾濫平野に位置し、
後背湿地と自然堤防に地形区分される。
・基盤岩は深度300m以上に想定される。
・表層部を除く堆積層の土質は砂礫を主体
とし、地盤の透水性も比較的大きい。
・扇状地部と比較すると地下水の流速は
徐々に小さくなる。
・地下水位は長良川河川水位及びブロック
2とブロック3の揚水の影響を受けて変
動している。
・地下水利用が6月∼9月の夏季に増大する
特徴を示す。
・市街地南西域の沖積低地に該当し、北部
の国道21号沿いには多くの事業所が立地
している。
・長良川扇状地及び東部地域からの地下水
涵養を背景に、豊富な地下水賦存量が見
込める地域であるが、当地区は濃尾平野
における地盤沈下観測地域でもある。
・このため、地中熱利用に伴う過大な揚水
は地盤沈下の原因となり留意を要する。
・試算として、本ブロック内の平均地下水
位低下量を0.2m許容した場合には、本ブ
ロックの揚水量を56万m3/月(1.8万m3/日)
程度増やすことが可能となる。
・ブロック内東部地区の一部を除き、年間
を通じて概ね17℃程度の地下水温が得ら
れ、安定した地中熱利用が可能である。
熱 量
・地下水温は、深度と共に徐々に収束傾向
を示し、深部では年間を通じて17℃程度
を示す。
・恒温層上面深度は地区により異なるが、
概ね深度10∼20mの範囲で変化する。
・本ブロックの東部からブロック4にかけ
ては、年間を通して18℃程度と水温の高
いエリアが広がっている。
水 質
・冷凍空調機器用水質ガイドラインの水質
基準に対しては、酸消費量やカルシウム
硬度及び全硬度を中心とした水質項目が
基準値を超えている。
・南部地区では、水質データがなく判別は
難しい。
・ブロック全体に複数の水質基準項目の濃
度が高く、地中熱利用に際しては、設備
計画上、間接的な熱交換等の配慮が必要
となる。
水 量
夏季水温分布
(深度 20m)
冬季水温分布
(深度 20m)
水質基準に対する
適合性
対象ブロック
高温域
(18℃以上)
低温域
(15℃以下)
水質基準不適合範囲(着色部)
可能性評価
豊富な賦存量が見込めるが、過剰な汲上げは地盤沈下の原因となるため留意を要する。
水質基準に適合しないため、間接熱交換器の併用が必要。
- 165 -
表 4-4-4 地中熱利用可能性評価(ブロック4)
評価事項
水 量
熱 量
水 質
特 徴
賦存量の評価
・市街地東部で北側の山地部と長良川扇状
地に挟まれた氾濫平野に位置し、後背湿
地と自然堤防に地形区分される。
・基盤岩は、深度150∼200m以深に想定さ
れる。
・表層部を除く堆積層の土質は砂礫を主体
とし、地盤の透水性も比較的大きい。
・地下水は南西から西方向に流動してい
る。
・地下水位変動には、降水量が支配的であ
り、長良川河川水位や揚水に伴う影響は
みられない。
・住宅や事業所等が多数立地するものの、
地下水利用量の規模は比較的小さい。
・市街地東部地区に該当し、地下水涵養の大
部分を山地部からの流出と東部地域からの
地下水流動に依存している。
・砂礫を主体とした地盤状態と良好な透水性
から、賦存量のポテンシャルは高い。
・地下水位変動に対しては降水量が支配的要
因となっており、異常渇水時の少雨に対し
ては賦存量が影響を受けやすい。
・この場合の影響度は、月総降水量100mmの
減少に対して、月平均地下水位の低下量が
約0.5m程度である。
・地下水温は、深度と共に徐々に収束傾向
を示し、深部では年間を通じて18℃程度
を示す。
・恒温層上面深度は地区によって異なる
が、概ね、深度10∼20mの範囲で変化す
る。
・恒温層の地下水温18℃は、他のブロック
と比較して年間を通じ高い傾向にある。
・年間を通じて、概ね18℃程度の地下水温が
得られ安定した地中熱利用が可能である。
・恒温層の水温がやや高い状態は、夏季の冷
房時にはやや不利な条件であるが、冬季の
暖房に対しては有利な条件として作用し、
暖房時の効率向上に繋がる要素である。
・冷凍空調機器用水質ガイドラインの水質
基準に対しては、北東域の一部を除いて
pHや酸消費量及びイオン状シリカ等の水
質項目が基準値を超えている。
・北東域は水質基準項目に適合する。
・ブロック南部を中心に複数の水質基準項目
の濃度が高く、地中熱利用に際しては、設
備計画上、間接的な熱交換等の配慮が必要
となる。
夏季水温分布
(深度 20m)
冬季水温分布
(深度 20m)
水質基準に対する
適合性
対象ブロック
高温域
(18℃以上)
低温域
(15℃以下)
水質基準不適合範囲(着色部)
可能性評価
賦存量のポテンシャルは高いが、異常渇水時の少雨には影響を受けやすい。
水質基準に適合しないため、間接熱交換器の併用が必要。
- 166 -
表 4-4-5 地中熱利用可能性評価(ブロック5)
評価事項
水 量
熱 量
水 質
特 徴
賦存量の評価
・根尾川扇状地の一部及び長良川扇状地と
の間に形成された氾濫平野にあり、後背
湿地と自然堤防に地形区分される。
・基盤岩は、深度200m以深に想定される。
・扇状地及び氾濫平野の表層部を除き、堆
積層の土質は砂礫を主体とし、地盤の透
水性も大きい。
・地下水流動は、根尾川扇状地に沿った南
東∼南に向かうものが主体である。
・地下水位変動には、季節的な上昇と下降
が顕著に見られ、降水量が支配的要因に
なっている。
・地下水利用規模は比較的小さいが、ブロ
ック3と同様、6月∼9月の夏季に揚水量
が増加する特徴を示す。
・市街地北西部の水田地帯に該当し、住宅や
事業所の密集度は低い。
・地下水涵養は主に根尾川扇状地面に沿って
行われているが、地下水位変動に対しては
降水量が支配的であるように、異常渇水時
には賦存量の減少が予測される。
・根尾川扇状地の扇央部にあたる地域では、
地下水面深度が10m以深と大きいため、地
中熱利用に際しての井戸深度の規模は他地
区に比べて大きくなる。
・降水量の減少に対する影響度は、月総降水
量100mmの減少に対して、月平均地下水位
低下量が約0.9m程度と大きい。
・ブロック内での鉛直方向の地下水温分布
は、深度と共に徐々に収束傾向を示し、
深部では年間を通じて17℃程度を示す。
・季節的にも地域的にも、水温分布の変化
が小さい特徴を示す。
・年間を通じて、概ね17℃程度の地下水温が
得られ安定した地中熱利用が可能である。
・本ブロックの場合、北部エリアにおける地
下水温データが得られていないため、詳細
は不明である。当該エリアは、地形的に根
尾川扇状地とは異なり、伊自良川に沿った
谷底平野に該当するため地下水温分布にも
相違が予測される。
・水質情報が得られていない北部エリアを
除き、水質基準項目のうち複数の項目
(ph・全硬度・カルシウム硬度・酸消費
量)に対して基準値を満足してない。
・複数の水質基準項目で濃度が高く、地中熱
利用に際しては、設備計画上、間接的な熱
交換等の配慮が必要となる。
夏季水温分布
(深度 20m)
冬季水温分布
(深度 20m)
水質基準に対する
適合性
対象ブロック
高温域
(18℃以上)
低温域
(15℃以下)
水質基準不適合範囲(着色部)
可能性評価
賦存量のポテンシャルは高いが、異常渇水時の少雨には影響を受けやすい。
水質基準に適合しないため、間接熱交換器の併用が必要。
- 167 -
4-4-2 概算事業費とコスト削減効果
表4-4-1∼表4-4-5に示す特徴に基づき、各ブロック内で同一の空調負荷(空調対象延べ床面積
2000m2)を想定した場合の概算事業費、及びコスト削減効果と投資回収期間について、水冷式ヒー
トポンプ、空冷式ヒートポンプ、吸収式冷温水発生器との比較検討を行った。また、本業務で実
施したアンケート調査の結果、回答があった図4-4-2に示す29事業所のうち、対象ブロック内に位
置し、且つ、現状の空調設備が対象とする延べ床面積についての情報が寄せられた18事業所(表44-6)を対象に、将来的な施設更新を想定した事業費等の比較検討を行った。
図 4-4-2 アンケート調査において回答があった 29 事業所の位置
表 4-4-6 試算対象とした 18 事業所における井戸水の用途
施設
番号
業 種
1
4
5
7
8
9
10
12
13
16
17
18
20
21
22
25
28
29
サービス1
製造3
製造4
サービス2
学校・医療1
金融・保健1
金融・保健2
その他1
サービス3
学校・医療2
その他2
金融・保健4
製造8
サービス5
サービス6
サービス8
運輸・通信1
その他3
井戸水の用途
洗面・トイレ用
冷却用
冷暖房用
冷却用
冷暖房用
冷暖房用
冷暖房用
冷却用
ボイラ用(蒸気)
冷暖房用
洗面・トイレ用
冷暖房用
冷却用
冷却用
冷暖房用
洗面・トイレ用
冷暖房用
冷暖房用
ボイラ用(蒸気)
冷却用
飲料用
ボイラ用(温水)
冷却用
洗面・トイレ用
ボイラ用(蒸気)
洗面・トイレ用
ボイラ用(温水)
洗車用
洗面・トイレ用
洗面・トイレ用
洗面・トイレ用
冷却用
散水用
洗面・トイレ用
冷却用
洗浄用
洗面・トイレ用
冷房用
散水用
飲料用
洗面・トイレ用
洗車用
原料用
散水用
洗面・トイレ用
飲料用
洗車用
洗車用
散水用
洗浄用
飲料用
洗車用
水質等分析業務
散水用
散水用
ボイラ用
飲料用
散水用
ボイラ用(温水)
- 168 -
散水用
洗面・トイレ用
飲料用
散水用
洗面・トイレ用
散水用
客室風呂用
洗面・トイレ用
散水用
飲料用
(1) 検討条件
1) 設定地下水温
平成22年7月26日(夏季)と平成23年1月26日(冬季)に実施した地下水温の一斉観測結果のうち、
地下水利用で対象となる深度20m地点の地下水温分布にもとづき、各ブロック内の夏季水温と
冬季水温を図4-4-3のように設定した。また、各事業所に対しては、一斉観測結果に準じて、
より詳細な温度設定を行った(各事業所の設定温度については個々の算定結果表に示す)。
2) 水質条件
冷凍空調機器用水質ガイドラインの基準項目に対し、水質基準に適合するブロックと適合し
ないブロックを図4-4-4のように設定した(水質基準に適合しないブロックでは、間接熱交換
器を併用)。
3) 設定井戸深度
各ブロック内で地下水採取を行ううえで、地盤条件や地中熱利用を考慮した場合に必要とな
る標準的な井戸深度を設定井戸深度とした。
4) 透水係数推定値と推定影響半径
透水係数推定値は、各ブロック内で実施された揚水試験結果及び地下水資料台帳より推定さ
れた透水係数値より、ブロック内の平均的な値として設定した。また、揚水に伴う推定影響半
径は、4-3-2節に示した式(4.1.8)及び式(4.1.10)より、試行的に求めた。
5) 各方式(水冷式・空冷式・吸収式)によるCOPと能力を以下に示す。
水冷式における水温と COP 及び能力の関係
水温
冷却COP(夏季)c1
12℃
7.1
5.7
水温
冷却COP(夏季)c1
15℃
6.2
5.0
水温
冷却COP(夏季)c1
冷却能力
冷房時熱源水加熱能力 加熱COP(冬季)c2
3.1
2.9
―
3.4
冷却能力
―
3.4
冷却能力
3.0
―
―
―
3.4
水温
冷却COP(夏季)c1
冷却能力
17℃
5.7
4.7
3.5
3.1
水温
冷却COP(夏季)c1
18℃
5.4
4.5
―
3.4
冷却能力
3.4
3.2
加熱能力
4.3
3.9
3.7
3.3
冷房時熱源水加熱能力 加熱COP(冬季)c2
2.9
2.8
加熱能力
4.2
3.8
冷房時熱源水加熱能力 加熱COP(冬季)c2
2.9
2.8
加熱能力
4.1
3.8
冷房時熱源水加熱能力 加熱COP(冬季)c2
6.0
16℃
―
―
冷房時熱源水加熱能力 加熱COP(冬季)c2
3.0
2.9
加熱能力
―
―
―
3.4
加熱能力
4.3
4.0
3.8
3.4
※下段:間接熱交換器を併用した場合 (能力単位:kW/HP)
空冷式における COP 及び能力の関係
外気温
30℃
冷却COP(夏季)c3
3.6
冷却能力
外気温
2.7
0℃
加熱COP(冬季)c4
2.3
加熱能力
1.9
(能力単位:kW/HP)
吸収式における COP
外気温
冷却COP(夏季) c5
外気温
加熱COP(冬季) c6
30℃
1.0
0℃
0.8
6) 稼働時間及び負荷等
稼働時間
(t)
1000 (h)
単位空調負荷 (b)
- 169 -
0.18 (kW/m2)
夏季設定温度
深度 20m 地点の地下水温分布
平成 22 年 7 月 26 日
17
15
zzzzzzzzzz
17
18
17
(単位:℃)
深度 20m 地点の地下水温分布
平成 23 年 1 月 26 日
冬季設定温度
17
17
z
16
18
17
(単位:℃)
図 4-4-3 ブロック別季節別地下水温の設定
ブロック別水質条件
不適合
適合
適合
不適合
水質基準未適合エリア(着色部)
図 4-4-4 ブロック別水質設定条件
- 170 -
不適合
7) 各種単価
電力単価
(d1)
A重油発熱量 (e) A重油単価
(d2)
ヒートポンプ馬力単価
上記単価の掛け率
ボーリング費用流量単価(d3)
間接熱交換器(配管,ポンプ含)
熱源水能力1kWあたり
15
10.86
68
330
0.7
35
(円/kWh)
(kWh/L)
(円/L)
(千円/HP)
吸収式 冷温水発生器kW単価
クーリングタワーkW単価
新鮮空気ダクト
煙 突
貯水槽
75
16
8
8
9
(千円/kW)
(千円/kW)
(千円/kW)
(千円/kW)
(千円/kW)
(千円/(L/min))
20 (千円/kW)
(2) 算定式
空調負荷
[kW]
夏季
冬季
夏季
冬季
夏季
冬季
水冷式ヒートポンプ
電力使用量
{kWh]
空冷式ヒートポンプ
吸収式ヒートポンプ
A重油使用量
[ L ]
水冷式ランニングコスト
空冷式ランニングコスト
吸収式ランニングコスト
ランニングコスト
[ 円 ]
水冷式ヒートポンプ必要熱源水流量
ボーリングコスト
[L/min]
[ 円 ]
水冷式ヒートポンプ (工事費別)
イニシャルコスト
[ 円 ]
空冷式ヒートポンプ (工事費別)
吸収式ヒートポンプ (工事費別)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
=ab (a:空調面積)
=abt/C1 ---①
=abt/C2 ---②
=abt/C3 ---③
=abt/C4 ---④
=(abt/C5)×0.045 ---⑤
=(abt/C6)×0.045 ---⑥
=(abt夏季/C5+abt冬季/C6)/e ----- ⑦
=(①+②)×d1
=(③+④)×d1
=(⑤+⑥)×d1+⑦×d2
=ab(1-1/C2)/熱源水入出口温度差
×860/60 ----- ⑧
=⑧×d3
=馬力単価×必要馬力数×掛け率
+ボーリングコスト+(間接熱交換器コスト)
=馬力単価×必要馬力数×掛け率
=空調負荷×(冷温水発生器kW単価
+クーリングタワーkW単価)×掛け率
※括弧内は水質基準に適合しない場合
(3) 算定結果
1) ブロック別概算事業費とコスト削減効果
上記の算定条件と算定式に基づく概算事業費及びコスト削減効果や償却年数の試算結果を
表 4-4-7 ブロック別概算事業費等試算結果一覧表
空調対象延べ床面積[m2]
試
算
夏季
設定温度 [℃]
条
冬季
件 水質基準適合性
イニシャルコスト [千円]
水
電力使用量
[kWh]
冷
[L/min]
式 必要熱源水流量
ランニングコスト [千円]
空 イニシャルコスト [千円]
冷 電力使用量
[kWh]
式 ランニングコスト [千円]
イニシャルコスト [千円]
吸
A重油使用量
[L]
収
電力使用量
[kWh]
式
ランニングコスト [千円]
年 償 吸収式→水冷式
数 却 空冷式→水冷式
ブロック1
2000
15
17
適合
55,671
141,786
792.0
2,127
43,890
256,522
3,848
29,232
74,586
36,450
5,619
7.6
6.8
ブロック2
2000
17
16
適合
56,354
149,282
785.1
2,239
43,890
256,522
384
29,232
74,586
36,450
5,619
8.0
7.7
※年 2000 時間の稼働を想定した場合
ブロック3
2000
17
17
不適合
61,071
168,904
767.4
2,534
43,890
256,522
384
29,232
74,586
36,450
5,619
10.3
13.1
ブロック4
2000
18
18
不適合
61,271
169,823
774.0
2,547
43,890
256,522
384
29,232
74,586
36,450
5,619
10.4
13.4
ブロック5
2000
17
17
不適合
61,071
168,904
767.4
2,534
43,890
256,522
384
29,232
74,586
36,450
5,619
10.3
13.1
※水質基準不適合のブロックでは、間接熱交換器を採用
※「水冷式」は地下水利用を想定
- 171 -
ブロックごとに表4-4-12∼表4-4-16に示す。また、各ブロック内の18事業所に対する試算結
果を表4-4-17∼表4-4-34に示す。
ここで、表4-4-7は、表4-4-12∼表4-4-16に示す各ブロックの試算結果を対比したものであ
る。
各ブロックでは、同一の空調負荷(空調対象延べ床面積2000m2)を想定した場合でも、水質条
件や夏季と冬季における設定温度の違いにより、地下水を利用した水冷式ヒートポンプでは
設備導入時の費用や電力使用量に若干の相違がみられる。特に、水質基準に適合しないブロ
ックでは間接熱交換器の併用を考慮しており、水質条件の良いブロックと比較してコストの
増大が生じている。また、今回の試算では、地下水利用に伴う新たな揚水井戸の設置を想定
しているため、水冷式では井戸設置費用が必要となり、空冷式や吸収式と比較した場合の初
期費用は大きくなっている。しかし、ランニングコストの有利さから空冷式に対しては7∼13
年程度、吸収式に対しては8∼10年程度で償却可能な結果が得られている。
ここで、表4-4-8は、水冷式ヒートポンプ方式において既設井戸が活用できる場合(揚水井
戸の新規設置なし)の初期設備導入費を対比したものであるが、新規の井戸設置費用を考えな
い場合には設備導入費が概ね半減し、吸収式とほぼ同程度、空冷式に対しては約7割程度のコ
スト削減となる。なお、18事業所を対象とした既設井戸使用時の試算結果は巻末資料に示す。
表 4-4-8 新規井戸設置を考慮しない場合の設備導入費用の比較
ブロック 1
ブロック 2
ブロック 3
ブッロク 4
ブロック 5
水冷式 [千円]
27,951
28,876
34,212
34,181
34,212
空冷式 [千円]
43,890
43,890
43,890
43,890
43,890
吸収式 [千円]
29,232
29,232
29,232
29,232
29,232
※「水冷式」は地下水利用を想定
- 172 -
2) 事業所別概算事業費とコスト削減効果
各事業所より提示された空調設備が対象とする延べ床面積についての試算結果を、表4-49(1)と表4-4-9(2)にまとめる。地下水利用の水冷式ヒートポンプ方式を採用した場合のコスト
増に対する償却年数は、水質基準に適合する地域では7∼9年、適合しない地域では13年前後と
なっている。
表 4-4-9(1) 事業所別概算事業費等試算結果一覧表
水冷式ヒートポンプ
No
水質条件
空調負荷
イニシャル
コスト
[m ]
[kW]
80
4000
3500
31000
19503
16070
7000
1476
36000
5540
740
4000
400
37670
5000
2400
11300
12000
14.4
720.0
630.0
5580.0
3510.5
2892.6
1260.0
265.6
6480.0
997.2
133.2
720.0
72.0
6780.6
900.0
432.0
2034.0
2160.0
延床面積
業 種
2
1
4
5
7
8
9
10
12
13
16
17
18
20
21
22
25
28
29
水質不良
水質不良
水質不良
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質不良
水質良好
水質不良
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
サービス1
製造3
製造4
サービス2
学校・医療1
金融・保健1
金融・保健2
その他1
サービス3
学校・医療2
その他2
金融・保健4
製造8
サービス5
サービス6
サービス8
運輸・通信1
その他3
空冷式ヒートポンプ
電力使用量
必要熱源水
流量
ランニング
コスト
イニシャル
コスト
電力使用量
ランニング
コスト
千円
[kWh]
[L/min]
千円
千円
[kWh]
千円
2,636
122,078
106,701
856,968
547,974
443,708
193,196
41,529
974,605
155,786
22,587
110,398
12,300
1,041,241
137,997
66,239
317,418
338,415
6,885
344,261
295,581
2,234,928
1,462,913
1,174,110
511,435
110,157
2,493,164
415,553
63,210
292,249
33,965
2,715,798
365,311
175,349
843,445
881,273
30.7
1,534.8
1,342.9
12,169.2
7,723.2
6,308.4
2,747.9
579.3
14,045.3
2,193.8
281.9
1,570.2
154.8
14,787.5
1,962.8
942.1
4,435.9
4,752.0
※年 2000 時間の稼働を想定した場合
103
5,164
4,434
33,524
21,944
17,612
7,672
1,652
37,397
6,233
948
4,384
509
40,737
5,480
2,630
12,652
13,219
1,848
87,549
76,692
678,447
426,888
351,813
153,384
32,340
787,941
121,275
16,401
87,549
8,778
824,439
109,494
52,668
247,401
262,647
10,261
513,043
448,913
3,976,087
2,501,472
2,061,152
897,826
189,290
4,617,391
710,565
94,913
513,043
51,304
4,831,587
641,304
307,826
1,449,348
1,539,130
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
表 4-4-9(2) 事業所別概算事業費等試算結果一覧表
単純償却年数
吸収式冷温水発生器
No
水質条件
1
4
5
7
8
9
10
12
13
16
17
18
20
21
22
25
28
29
水質不良
水質不良
水質不良
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質不良
水質良好
水質不良
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
業 種
イニシャル
コスト
A重油使用量
電力使用量
L
[kWh]
千円
サービス1
製造3
製造4
サービス2
学校・医療1
金融・保健1
金融・保健2
その他1
サービス3
学校・医療2
その他2
金融・保健4
製造8
サービス5
サービス6
サービス8
運輸・通信1
その他3
1,169
58,464
51,156
453,096
285,056
234,879
102,312
21,571
526,176
80,973
10,816
58,464
5,846
550,585
73,080
35,078
165,161
175,392
2,983
149,171
130,525
1,156,077
727,322
599,296
261,050
55,037
1,342,541
206,602
27,597
149,171
14,917
1,404,820
186,464
89,503
421,409
447,514
※年 2000 時間の稼働を想定した場合
1,458
72,900
63,788
564,975
355,442
292,876
127,575
26,897
656,100
100,967
13,487
72,900
7,290
686,536
91,125
43,740
205,943
218,700
ランニング
吸収式→水冷式 空冷式→水冷式
コスト
千円
225
11,237
9,833
87,088
54,790
45,145
19,665
4,146
101,134
15,563
2,079
11,237
1,124
105,826
14,046
6,742
31,745
33,711
[年]
[年]
12.1
10.5
10.3
7.5
8.0
7.6
7.6
8.0
7.0
8.0
10.4
7.6
10.5
7.5
7.6
7.6
8.0
8.0
15.6
13.6
13.0
6.8
7.8
6.9
6.9
7.7
5.9
7.8
13.0
6.9
13.5
6.8
6.9
6.8
7.7
7.7
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 173 -
154
7,696
6,734
59,641
37,522
30,917
13,467
2,839
69,261
10,658
1,424
7,696
770
72,474
9,620
4,617
21,740
23,087
4-4-3 CO2 削減効果及び人工排熱削減量
地中熱を利用した場合のヒートアイランド緩和効果について、CO2 削減量と人工排熱量に関し
て、空冷式ヒートポンプ及び吸収式に対する削減率の算出を行った。
試算では、前項と同様に各ブロックで同一規模の地中熱利用システム(地下水を利用した水冷式
ヒートポンプ)を採用した場合について比較を行うとともに、各ブロック内の18事業所に対して個
別に行った。
以下に、算定条件と算定方法をまとめる。
(1) エネルギー・CO2 換算係数値
電力及びA重油に対する換算係数は次表に準じる。
熱
源
換算係数
出典
① 一次エネルギー(電力)
9.76
MJ/kWh
エネルギーの使用の合理化に関する法律施行
規則別表第1∼3(第4条関係)
② CO2 排出係数(電力)
0.474
kg-co2/kWh
環境省
③ CO2 排出係数(A重油)
2.71
kg-co2/L
算定・報告・公表制度における算定方法・排出
係数一覧(環境省)
④ 吸収式冷温水器効率
0.80
⑤ A重油発熱量
39.1
報道発表資料 (平成22年12日27月)
−
MJ/L
エネルギーの使用の合理化に関する法律施行
規則別表第1∼3(第4条関係)
(2) 算定式
1) CO2 排出量 [t-CO2]
・ 水冷式、空冷式の場合
CO2 排出量 = ②×(電力使用量(夏季)+電力使用量(冬季))
・ 吸収式の場合
CO2 排出量 = ③×(A重油使用量)+
②×(電力使用量(夏季)+電力使用量(冬季))
2) 人工排熱量 (一次エネルギー) [GJ]
・ 水冷式、空冷式の場合
排熱量 = ①×(電力使用量(夏季)+電力使用量(冬季))
・ 吸収式の場合
排熱量 = ⑤×(A重油使用量)+
①×(電力使用量(夏季)+電力使用量(冬季))
3) CO2 削減率 [%]
・ 空冷式→水冷式
削減率 = (空冷式CO2排出量−水冷式CO2排出量)×100/空冷式CO2排出量
・ 吸収式→水冷式
削減率 = (吸収式CO2排出量−水冷式CO2排出量)×100/吸収式CO2排出量
4) 人工排熱量削減率 [%]
・ 空冷式 → 水冷式
削減率 = (空冷式人工排熱量−水冷式人工排熱量)×100/空冷式人工排熱量
・ 吸収式 → 水冷式
削減率 = (吸収式人工排熱量−水冷式人工排熱量)×100/吸収式人工排熱量
- 174 -
(3) 算定結果
上記の算定条件及び算定式に基づき、各ブロックごとのCO2 排出量と人工排熱量、及び空冷
式ヒートポンプや吸収式冷温水発生器に対するCO2 、排熱量の削減率算定結果を表4-4-12∼表
4-4-16に示す。また、各ブロック内の18事業所に対する試算結果については表4-4-17∼表4-434に示す。
1) ブロック別CO2 削減効果及び人工排熱削減量
表4-4-10は、各ブロックにおけるCO2排出量と人工排熱量及び削減率をまとめたものである。
CO2排出量でみると、水冷式ヒートポンプは空冷式ヒートポンプの60∼65%程度、吸収式冷温
水発生器に対しては30∼35%程度の排出量となっており、削減率としては35∼65%が期待でき
る。
また、人工排熱量では、水冷式ヒートポンプは空冷式ヒートポンプの55∼65%程度、吸収式
冷温水発生器に対しては45∼50%程度の排熱量で、削減率としては35∼55%が期待できること
になる。
表 4-4-10 ブロック別CO2 削減効果及び人工排熱削減量一覧表
CO2 排出量
[t-CO2]
ブロック 1
ブロック 2
ブロック 3
ブッロク 4
ブロック 5
水冷式ヒートポンプ
67.2
70.8
80.1
80.5
80.1
空冷式ヒートポンプ
121.6
121.6
121.6
121.6
121.6
219.4
219.4
219.4
219.4
219.4
水冷式ヒートポンプ
1383.8
1457.0
1648.5
1657.5
1648.5
空冷式ヒートポンプ
2503.7
2503.7
2503.7
2503.7
2503.7
3272.1
3272.1
3272.1
3272.1
3272.1
吸収式冷温水発生器
人工排熱量
[GJ]
吸収式冷温水発生器
CO2 削減率
[%]
空冷式→水冷式
44.7
41.8
34.2
33.8
34.2
吸収式→水冷式
69.4
67.7
63.5
63.3
63.5
人工排熱量
削減率[%]
空冷式→水冷式
44.7
41.8
34.2
33.8
34.2
吸収式→水冷式
57.7
55.5
49.6
49.3
49.6
※年 2000 時間の稼働を想定した場合
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
2) 事業所別CO2 削減効果及び人工排熱削減量
表4-4-11(1)∼表4-4-11(2)は、アンケート結果による18事業所での試算結果をまとめたもの
である。CO2排出量や人工排熱量は、各事業所の空調負荷の大小に応じてかなりの相違がみら
れるものの、CO2削減率では、空冷式に対して30∼40%程度、吸収式に対しては60∼70%程度
が期待できる。また、人工排熱量においても、空冷式に対して30∼45%程度、吸収式に対して
は50∼60%程度が期待でき、都市部におけるヒートアイランド現象に対しての緩和効果は大き
いといえる。
- 175 -
表 4-4-11(1) 事業所別 CO2 削減効果及び人工排熱削減量一覧表
CO2排出量
No
1
4
5
7
8
9
10
12
13
16
17
18
20
21
22
25
28
29
水質条件
水質不良
水質不良
水質不良
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質不良
水質良好
水質不良
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
業 種
排熱量(1次エネルギー)
水冷式ヒートポンプ
空冷式ヒートポンプ
吸収式
水冷式ヒートポンプ
空冷式ヒートポンプ
吸収式
[t-CO2]
[t-CO2]
[t-CO2]
[GJ]
[GJ]
[GJ]
サービス1
製造3
製造4
サービス2
学校・医療1
金融・保健1
金融・保健2
その他1
サービス3
学校・医療2
その他2
金融・保健4
製造8
サービス5
サービス6
サービス8
運輸・通信1
その他3
3.3
163.2
140.1
1,059.4
693.4
556.5
242.4
52.2
1,181.8
197.0
30.0
138.5
16.1
1,287.3
173.2
83.1
399.8
417.7
4.9
243.2
212.8
1,884.7
1,185.7
977.0
425.6
89.7
2,188.6
336.8
45.0
243.2
24.3
2,290.2
304.0
145.9
687.0
729.5
8.8
438.8
384.0
3,400.8
2,139.5
1,762.9
767.9
161.9
3,949.3
607.8
81.2
438.8
43.9
4,132.5
548.5
263.3
1,239.6
1,316.4
67.2
3,360.0
2,884.9
21,812.9
14,278.0
11,459.3
4,991.6
1,075.1
24,333.3
4,055.8
616.9
2,852.3
331.5
26,506.2
3,565.4
1,711.4
8,232.0
8,601.2
※年 2000 時間の稼働を想定した場合
100.1
5,007.3
4,381.4
38,806.6
24,414.4
20,116.8
8,762.8
1,847.5
45,065.7
6,935.1
926.4
5,007.3
500.7
47,156.3
6,259.1
3,004.4
14,145.6
15,021.9
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
表 4-4-11(2) 事業所別 CO2 削減効果及び人工排熱削減量一覧表
CO2削減率
No
1
4
5
7
8
9
10
12
13
16
17
18
20
21
22
25
28
29
水質条件
水質不良
水質不良
水質不良
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質不良
水質良好
水質不良
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
水質良好
業 種
サービス1
製造3
製造4
サービス2
学校・医療1
金融・保健1
金融・保健2
その他1
サービス3
学校・医療2
その他2
金融・保健4
製造8
サービス5
サービス6
サービス8
運輸・通信1
その他3
排熱量削減率
空冷式→水冷式
吸収式→水冷式
空冷式→水冷式
吸収式→水冷式
[t-CO2]
[GJ]
62.8
62.8
63.5
68.8
67.6
68.4
68.4
67.7
70.1
67.6
63.1
68.4
63.3
68.8
68.4
68.4
67.7
68.3
[%]
32.9
32.9
34.2
43.8
41.5
43.0
43.0
41.8
46.0
41.5
33.4
43.0
33.8
43.8
43.0
43.0
41.8
42.7
[%]
48.7
48.7
49.6
57.0
55.3
56.4
56.4
55.5
58.7
55.3
49.0
56.4
49.3
57.0
56.4
56.4
55.5
56.2
32.9
32.9
34.2
43.8
41.5
43.0
43.0
41.8
46.0
41.5
33.4
43.0
33.8
43.8
43.0
43.0
41.8
42.7
※年 2000 時間の稼働を想定した場合
- 176 -
130.9
6,544.1
5,726.1
50,716.8
31,907.4
26,290.9
11,452.2
2,414.5
58,896.9
9,063.6
1,210.7
6,544.1
654.4
61,629.1
8,180.1
3,926.5
18,487.1
19,632.3
※「水冷式」は地下水利用を想定
表 4-4-12
概略事業費等算出結果(ブロック1)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 177 -
表 4-4-13 概略事業費等算出結果(ブロック2)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 178 -
表 4-4-14 概略事業費等算出結果(ブロック3)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 179 -
表 4-4-15 概略事業費等算出結果(ブロック4)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 180 -
表 4-4-16 概略事業費等算出結果(ブロック5)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 181 -
表 4-4-17 概略事業費等算出結果(事業所 No.1)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 182 -
表 4-4-18 概略事業費等算出結果(事業所 No.4)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 183 -
表 4-4-19 概略事業費等算出結果(事業所 No.5)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 184 -
表 4-4-20 概略事業費等算出結果(事業所 No.7)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 185 -
表 4-4-21 概略事業費等算出結果(事業所 No.8)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 186 -
表 4-4-22 概略事業費等算出結果(事業所 No.9)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 187 -
表 4-4-23 概略事業費等算出結果(事業所 No.10)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 188 -
表 4-4-24 概略事業費等算出結果(事業所 No.12)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 189 -
表 4-4-25 概略事業費等算出結果(事業所 No.13)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 190 -
表 4-4-26 概略事業費等算出結果(事業所 No.16)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 191 -
表 4-4-27 概略事業費等算出結果(事業所 No.17)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 192 -
表 4-4-28 概略事業費等算出結果(事業所 No.18)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 193 -
表 4-4-29 概略事業費等算出結果(事業所 No.20)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 194 -
表 4-4-30 概略事業費等算出結果(事業所 No.21)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 195 -
表 4-4-31 概略事業費等算出結果(事業所 No.22)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 196 -
表 4-4-32 概略事業費等算出結果(事業所 No.25)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 197 -
表 4-4-33 概略事業費等算出結果(事業所 No.28)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 198 -
表 4-4-34 概略事業費等算出結果(事業所 No.29)
※「水冷式ヒートポンプ」は地下水利用を想定
- 199 -
4-4-4 補助・支援制度
地中熱利用に関する利用可能な補助・支援制度について、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・
産業技術総合開発機構)及び環境省等の各行政機関における平成22年12月現在の状況を、表4-4-35
にまとめる。
- 200 -
表 4-4-35 地中熱利用に関して利用可能な補助・支援制度一覧
施
策
名
- 201 -
1
地域新エネルギー導入促進事業
2
エネルギー使用合理化事業者支援事業
3
住宅・建物高効率エネルギーシステム導入促進事業
(建築物に関するもの)
(平成20年度で終了)
4
5
対象者
関係省庁等
地方公共団体・NPO
全業種
事業
補助金
NEDO
補助金
補助率
補助対象経費に1/2 (1/3)
( )内は第3セクター・PFI事業者
普及啓発は補助対象事業の1/2以内
単独事業1/3以内
大規模事業1/3以内
複数連携事業1/2以内
企業・大学等
地方公共団体・個人
補助金
1/3
地方公共団体対策技術率先導入補助事業
地方公共団体
補助金
対象経費に1/2を乗じた額もしくは1
億円のうちいずれか小さい方を上限
業務部門対策技術率先導入補助事業
地方公共団体
補助金
1/2
補助金
1/2
民間
補助金
1/2
民間事業者・ESCO事
業者・リスト事業者
補助金
1/2
補助金
省エネルギー改修に係る設計・建設
工事費(設備費含む)の1/2
補助金
補助対象経費の2/3
上限は1,500万円
6
地球温暖化対策ビジネスモデルインキュベーター事業
7
再生可能エネルギー高度導入地域整備事業
8
住宅・建築物省CO2推進モデル事業
9
既存住宅・建築物省エネ改修緊急推進事業
10
岐阜県新エネルギー等導入モデル支援事業費補助金
民間企業
公益法人等
民間企業
地方公共団体
民間事業者・NPO
組合等
環境省
国土交通省
岐阜県
(※平成 22 年 12 月現在)
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