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「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」 中間評価報告書

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「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」 中間評価報告書
参考資料 2-3
「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」
中間評価報告書
平成 26 年 8 月
「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」中間評価委員会
目
次
頁
はじめに ········································································ 4
Ⅰ
橋渡し研究加速ネットワークプログラムの概要 ·································· 7
1.目的 ········································································· 7
2.実施内容 ····································································· 7
3.実施期間 ····································································· 8
4.予算 ········································································· 8
5.実施体制 ····································································· 8
6.公募・選定の経緯 ····························································· 9
7.橋渡し研究支援推進プログラムにて採択した個別課題について ···················· 10
Ⅱ
中間評価の概要 ····························································· 12
1.目的 ········································································ 12
2.評価項目 ···································································· 12
3.評価方法 ···································································· 12
4.評価基準 ···································································· 13
Ⅲ
中間評価の結果 ····························································· 14
1.プログラム全体の評価 ························································ 14
1-1 総合評価 ····························································· 14
1-2 運営 ································································· 14
1-3 プログラムの進捗状況 ················································· 15
2.各拠点の評価 ································································ 20
2-1 北海道臨床開発機構(北海道大学・札幌医科大学・旭川医科大学)
「オール北海道
先進医学・医療拠点形成」 ··················································· 20
2-2 東北大学「医工連携を基盤としたトランスレーショナルリサーチ拠点形成」 · 23
2-3 東京大学「先端医療の開発支援拠点形成と実践」 ························· 26
2-4 名古屋大学「持続可能なネットワーク型中部先端医療開発拠点の形成」 ····· 28
2-5 京都大学「創薬・新規医療開発のアカデミア拠点形成」 ··················· 29
2-6 大阪大学「TR 実践のための戦略的高機能拠点整備」 ······················ 31
2-7 九州大学「革新的バイオ医薬医工学の医療技術開発拠点」 ················· 33
3.サポート機関の評価 ·························································· 35
Ⅳ
今後のプログラムの方向性 ··················································· 37
1.オールジャパンの支援拠点としての体制構築について ···························· 37
2.プロジェクトマネジメントの徹底について ······································ 38
3.臨床研究の質の向上について ·················································· 38
4.イノベーションの創出に向けて ················································ 39
おわりに ······································································· 41
参考資料 ······································································· 42
(参考 1)事前評価票 ······················································· 43
(参考 2)設置要綱 ························································· 45
(参考 3)委員名簿 ························································· 46
(参考 4)シーズパッケージ制度 ············································· 47
(参考 5)研究費支援対象シーズ B、C 一覧 ···································· 49
(参考 6)研究費支援対象シーズの分野内訳 ··································· 52
はじめに
橋渡し研究とは、基礎研究の成果を臨床現場での活用へ「橋渡し」するために実施する研
究であり、英語では Translational Research(以下、TR)1と言われるものとほぼ同義である。
2003 年に米国 National Institutes of Health(以下、NIH)がトランスレーショナル科学基
金(Clinical and Translational Science Awards、以下 CTSA)2と呼ばれる臨床研究・橋渡
し研究の整備事業を発表し、TR の推進が本格的に開始となった。その後も新しい診断、治療、
予防につながる生物学・医学研究の産業応用が将来の経済成長の原動力になるとの認識から、
TR に対する官民の取組は活発化している。2012 年には NIH 内に新たに国立先進トランスレー
ショナル科学センター(National Center for Advancing Translational Sciences、以下 NCATS)
が設立され、CTSA も NCATS の管轄となり、現在全米の 63 拠点とともに運営されている。NCATS
は、所内研究及び所外研究の両方を、基礎研究から臨床研究まで支援するとともに、大学、
企業、そして臨床現場が橋渡し研究において協力可能なプラットフォームの整備を行うなど、
米国では TR について積極的な施策が打たれている 3,4 。一方、欧州委員会(EC、European
Commission)では、科学技術研究開発計画 Framework Program 7(FP7)において、産学連携
による橋渡し研究を促進するイニシアチブにより、革新的医薬等について戦略的投資が展開
されるとともに、各国の実情に合ったかたちで橋渡し研究支援体制が整備されつつある。中
国においては、疾病予防、治療技術開発への投資を重視した国家戦略が展開されている5。韓
国でも、集中的な投資により、この 10 年で臨床試験数が急増しており、2004 年には、臨床
試験に対する支援を開始し、インフラ構築資金を複数の臨床試験センターに供与している6。
我が国では、第 3 期「科学技術基本計画」(平成 18 年 3 月 28 日閣議決定)に基づき、総
合科学技術会議が策定したライフサイエンス分野の「分野別推進戦略」において、戦略重点
科学技術のひとつとして、
「臨床研究・臨床への橋渡し研究」が掲げられた。
また、
「革新的医薬品・医療機器創出のための 5 か年戦略」
(平成 19 年 4 月文部科学省・厚
生労働省・経済産業省決定、平成 21 年 2 月改定)においても、橋渡し研究の取組強化が掲げ
られている。
こうした状況を踏まえ、文部科学省では平成19年度に5か年の計画で、橋渡し研究の支援機
関を拠点的に整備することを目的とした「橋渡し研究支援推進プログラム」7(第一期プログ
ラム)を開始、①橋渡し研究支援機関の機能強化、②橋渡し研究支援を行うための人材の確
保・登用・育成、③橋渡し研究支援、④橋渡し研究支援機関の活動・連携の促進、を4つの柱
1
Nature 453, 840-842 (2008)
2
Clinical and Translational Research Awards, http://www.ctsaweb.org/
3
NCATS Fiscal Year 2015 Budget Justification, http://www.ncats.nih.gov/files/NCATS-FY15-justification.pdf
4
http://www.nature.com/news/2010/101208/full/news.2010.650.html
5
文部科学省ライフサイエンス委員会 「新たなライフサイエンス研究の構築と展開」
http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n464_01.pdf
6 「韓国における臨床試験環境の最新状況
http://www.phrma-jp.org/archives/data/letter/nl2009/phrma-today-no-27/090421-1000.php
7 文部科学省橋渡し研究支援推進プログラム
http://www.tr.mext.go.jp/first/
4
として、公募により、平成19年度に6拠点を採択し、併せてこれらの拠点の整備状況を把握し
拠点間のネットワーク形成などをサポートする機関を採択した。平成20年度に1拠点を公募で
追加採択し、これら計7拠点に対しては、プログラムの具体的な成果として、「プログラム期
間内に、1機関(拠点)あたり有望な基礎研究の成果が、2件ずつ薬事法に基づく治験の段階
に移行すること」を目標として課した。
また、平成21年度には、文部科学省・経済産業省・NEDOが共同で、
「橋渡し研究推進合同事
業」の公募を実施した。本合同事業において、文部科学省は全国の大学・研究機関等におけ
る有望なシーズを対象に、本プログラムで整備した橋渡し拠点機能を活用して、臨床への橋
渡し研究を加速するための研究費の支援を行うため、①スーパー特区で採択となったテーマ
で、期間内にヒト対象の臨床研究を行う研究課題(スーパー特区研究)、②①以外のテーマで、
期間内にヒト対象の臨床研究を行う研究課題(拠点活用研究A)、③①以外のテーマで、臨床
研究に達するための非臨床研究(拠点活用研究B)
、の3段階の研究課題の公募を実施し、「ス
ーパー特区研究」4件、
「拠点活用研究A」6件、「拠点活用研究B」4件を採択した。これら14
件についても、拠点が橋渡し研究支援を行っており、平成25年度までに、臨床でのPOC、ある
いは非臨床におけるPOCの取得を目標としてしている。
平成23年度末の「橋渡し研究支援推進プログラム」の事後評価には、治験2件の目標は概ね
達成され、プログラムの成果は評価できる水準に達したとされたが、一方で、まだ多くの困
難な課題が残されていることも指摘された。シーズ育成の面では、出口を見据えたマネジメ
ント、シーズ早期発掘システムの構築、重複・類似研究への方向付けが必要であることが指
摘された。また、ネットワークの強化等による戦略的かつ安定的なシーズ創出や、治験の実
施及び薬事承認の難易度を見据えたシーズの「目利き」も重要であるとされた。拠点の自立
化も困難であると考えられ、人材の定員化、アウトソーシング化などによる人件費の確保、
各拠点のCPC維持費用等の確保のための業務の受託、企業からの支援による産学官共同研究を
含む、多様な研究資金確保等を行うことが提言された。さらに、臨床研究・治験において、
複数の施設で共同研究を行うなどの連携が十分に図られたとはいえず、患者レジストリの整
備や被験者登録システムの構築、全国レベルでの多施設による臨床試験のネットワーク化や、
拠点間ネットワークの構築も課題であった。
一方でこの間にも、TR に関する研究開発の国際競争はさらに激化してきており、我が国に
おいても TR をさらに強化・推進する必要性が指摘されてきた。
健康研究推進会議アドバイザリーボードの「健康研究推進戦略に向けた提言」(平成 21 年
6 月 3 日提出)においても、再生医療等、最先端医療の実現を目指した橋渡し研究・臨床研
究機能の強化が明記されている。また、
「新成長戦略」
(平成 22 年 6 月 18 日閣議決定)では、
ライフイノベーションによる健康大国戦略の一環として日本発の革新的な医薬品、医療機器、
介護技術の研究開発推進が掲げられ、ライフサイエンスを次世代の成長分野ととらえ、医療
ニーズに基づいて革新的な研究成果の医療への実用化を促進するため、基盤整備を進め、研
究開発の促進を図ることとされた。
「第 4 期科学技術基本計画」(平成 23 年 8 月 19 日閣議決
定)においても、医薬品・医療機器を国民へ効率的・効果的に還元し、ライフイノベーショ
5
ンを創出するため、橋渡し研究支援拠点の充実、強化等の重要性が上げられ、研究提案を公
募し、全国の大学や企業等に開かれた医療機関ネットワーク構築を推進することが提言され
ている。
これらの課題を克服し、画期的な医薬品・医療機器等を効率的・効果的に国民へ還元する
ことを目指し、平成24年度より5か年の計画で「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」を
開始した。この第二期プログラムにおいては、第一期プログラムで整備してきた拠点のシー
ズ育成能力を強化し、拠点における自己収入の確保を促進すること等により恒久的な橋渡し
研究支援拠点を確立させることを目的としている。体制としては、第一期プログラムの拠点
に加え、公募により名古屋大学を新たな拠点として選定するとともに、先端医療振興財団を
拠点からサポート専属の機関とすることにより、7拠点で実施することとなった。プログラム
の3つの柱として、①シーズ育成機能の強化、②拠点の自立化、③ネットワークの構築を据え、
各拠点、医師主導治験3件以上の開始と自立化を達成目標としている。
なお、拠点の機能強化及び充実、シーズ育成機能の大幅強化、ネットワークの強化を行う
とともに、革新的な医薬品・医療機器等を効率的・効果的に国民へ還元するという本プログ
ラムの目的を達成するため、平成26年6月より新規拠点の公募を開始し、拠点を新たに原則1
機関追加することとしている。
一方で、国際水準の臨床研究・治験の実施環境の整備を行う厚生労働省の臨床研究中核病
院整備事業等との、府省の枠を超えた連携も進みつつある。平成25年度からは拠点調査や成
果報告会を合同で実施しており、平成26年度からは、健康・医療戦略推進本部の下、両省事
業の一体的な運営により、基礎研究から実用化までの一貫した支援を行い、我が国発の革新
的な医薬品、医療機器を更に創出する体制を構築することとしている。さらに、平成27年度
からは、文部科学省、厚生労働省それぞれから支援していた拠点の基盤整備費や研究費が、
日本医療研究開発機構(AMED)から一体的に配分され、両省の事業は革新的医療技術創出拠
点プロジェクトとして、さらに一体化が進められる予定となっている。
平成26年度は、5か年の事業である本プログラムの中間年度に該当するため、進捗状況や研
究成果、今後の計画を評価し、プログラムの適切な予算配分と計画の見直しを行うことを目
的として中間評価を実施し、本プロジェクトに残された今後2年間の方向性を考慮するととも
に、今後の取組に対する提言を含め本報告書をとりまとめた。
6
Ⅰ
橋渡し研究加速ネットワークプログラムの概要
1.目的
画期的な医薬品・医療機器等を効率的・効果的に国民へ還元することを目指し、大学等発
の有望な基礎研究成果の臨床研究・治験への橋渡しをさらに加速するため、
「橋渡し研究支援
拠点のシーズ育成能力を強化する」こと、及び「拠点における自己収入の確保を促進するこ
とで恒久的な橋渡し研究支援拠点を確立させる」ことを目的とする。
具体的な目標として、「プログラム期間内に、1機関(拠点)あたり有望な基礎研究の成果
が、3件以上薬事法に基づく医師主導治験の段階に移行すること」を課す。
2.実施内容
拠点は、下記(1)~(3)の内容を実施することで、橋渡し研究支援基盤を整備し、総合
的なシーズ育成能力を強化するとともに、自己収入の確保を図ること等により自立化を進め、
恒久的な拠点の確立を目指す。
(1)橋渡し研究支援を行う基盤の整備
拠点は、シーズ開発支援の為に必要な基盤整備として、以下に挙げる機能を強化する。
・ 試験物の製造あるいは製造等の支援
・ 臨床試験及び非臨床試験の準備
・ 治験に対応した試験薬/機器の製造施設
・ データセンター
・ 橋渡し研究支援を行うための下記人材の確保・登用・育成
医薬品等開発及び事業化に精通した人材(製剤・薬事・非臨床試験等、臨床試験管
理)、ライフサイエンス分野の知的財産の確保・活用及びその事業化に精通した人
材(知的財産・法律・契約を担う弁護士、弁理士、企業経験者等)、プロトコル担
当者、CPC管理の専門家、データマネジャー、生物統計家、CRC、モニタリング及び
監査の専門家、医療情報の専門家、安全性情報の管理の専門家、信頼性保証の専門
家、システムエンジニア、医学研究倫理に精通した人材、臨床試験に経験のある医
師、研究に精通した薬剤師・看護師、治験事務の手続き文書作成の専門家 等
・ 基礎研究者・臨床研究者・理工系研究者・医薬品の審査担当者のような橋渡し研究
に関わる人材が情報交換する場の設置
・ 橋渡し研究に対する国民の理解を高めるための普及・啓発活動
(2)拠点のシーズ育成能力の強化
拠点は、5年間で新規シーズ3件以上の医師主導治験の開始を目指し(治験不要の承認
申請、先進医療・高度医療の開始、ライセンスアウト等も同様に評価)、シーズ研究者
と連携し、拠点の判断により様々な開発段階にあるシーズ(シーズA、B、C)に関して最
適な資金配分を実施する仕組みを含めた橋渡し研究支援を実施する(シーズパッケージ
制度。詳細は参考4参照)。
① シーズ A:関連特許出願を目指す基礎研究課題
② シーズ B:関連特許出願済みである以下の研究課題
7
・非臨床 POC(Proof of Concept)取得及び治験届提出を目指す医薬品及び
医療機器の研究課題
・薬事申請用臨床データ取得を目指す体外診断用医薬品の研究課題
③ シーズ C:関連特許出願及び非臨床 POC 取得済みであり、健常人又は患者を対象
とし、臨床 POC 取得を目指す臨床研究課題
拠点は、これらのシーズの実用化加速のため、以下の内容を実施する。
・ 拠点外シーズを含むシーズ探索、選考
・ シーズの実用化に向けた開発戦略の策定支援
・ シーズの進捗管理、評価
・ シーズの国際展開を目指した、国際的に通用する基準での支援、海外の共同研究機
関対応、海外規制当局対応支援
・ 企業とのマッチング活動支援
・ 戦略的な知的財産の確保・活用の支援
・ 迅速な治験完遂を可能とする等を目的としたネットワーク構築
(3)恒久的な橋渡し支援拠点の確立
拠点は、事業開始後2年~5年以内に、国からの基盤整備に係る補助を受けずとも運営
できるよう、人員の定員化や自己収入等により充当可能な体制になるよう整備を進める
とともに、シーズ育成を通じて自己収入を確保する。(例 戦略的な開発プロトコルの
作成、CPC使用料徴収、企業等とのマッチング活動による特許等の知的財産の移行等)
3.実施期間
平成24年度~平成28年度(拠点・サポート機関。開始後3年度目に中間評価を実施)
4.予算
文部科学省が補助事業、委託事業として実施している。
平成24年度
32.7億円(6拠点及びサポート機関を第一期プログラムから継続して採
択、1拠点を新規採択、シーズB 5課題・シーズC 6課題の支援課題を
採択)
平成25年度
29.7億円(シーズB 12課題・シーズC 4課題支援課題を新規採択)
平成26年度
65.1億円(シーズB 24課題・シーズC 18課題の支援課題を新規採択、1
拠点程度新規採択予定、さらに「医療分野の研究開発関連の調整費」
12.8億円を充当し追加でシーズB 11課題・シーズC 6課題の支援課題
を新規採択)
5.実施体制
1.目的及び2.実施内容を選定基準に、第一期プログラム実施機関を対象とした継続実施
拠点の募集・審査・選定を実施するとともに、第一期プログラム実施機関以外の機関を対象
として、新規拠点の公募・審査・選定を実施した。併せて、拠点の整備状況を把握し、拠点
間のネットワーク形成などを行うサポート機関の継続審査・選定を実施した。さらには、プ
8
ログラム全体の運営に対して提言を行うプログラムディレクター(PD)とプログラムオフィ
サー(PO)を配置した。
文部科学省により設置され、PD、PO及びサポート機関の代表者から構成される推進委員会
を組織し、年2回程度のサイトビジットにおける拠点整備やシーズ育成の進捗管理や、拠点及
びシーズへの予算配分計画、支援中止についての検討等を実施している。
また、各拠点の代表者から構成され、サポート機関が事務局を担う運営連絡会を組織し、
ノウハウや各拠点の活動、進捗状況等について情報交換等を実施している。
【プログラムディレクター(PD)】
猿田
享男
慶應義塾大学名誉教授
【プログラムオフィサー(PO)】
稲垣
治
日本製薬工業協会 医薬品評価委員会
景山
茂
東京慈恵会医科大学
委員長
特命教授 臨床研究支援センター長
【サポート機関】
公益財団法人先端医療振興財団
【拠点】
北海道臨床開発機構: 代表機関 国立大学法人北海道大学
分担機関 北海道公立大学法人札幌医科大学
国立大学法人旭川医科大学
国立大学法人東北大学
国立大学法人東京大学
国立大学法人京都大学
国立大学法人大阪大学
国立大学法人九州大学
国立大学法人名古屋大学(平成 24 年 10 月から)
6.公募・選定の経緯
本プログラムにおける拠点及びサポート機関は、次の経緯で選定している。
(1)継続審査(拠点及びサポート機関)
平成24年1月27日~2月16日
募集の実施
平成24年2月16日~2月22日
サポート機関
平成24年2月16日~3月8日
拠点 書面審査
書面審査
平成24年2月24日 サポート機関 ヒアリング審査
平成24年3月9日 拠点 ヒアリング審査
平成24年3月14日 実施機関の決定
・拠点
6拠点(8機関)
・サポート機関 1機関
(2)新規拠点公募(拠点)
平成24年5月21日~6月20日
公募の実施(応募8件)
9
平成24年6月25日~7月10日
書面審査
平成24年7月24日 ヒアリング審査
平成24年8月10日 実施機関の決定(採択1拠点)
7.橋渡し研究支援推進プログラムにて採択した個別課題について
文部科学省は、平成21年9月に文部科学省・経済産業省・新エネルギー産業技術総合開発機
構(NEDO)「橋渡し研究推進合同事業」において、スーパー特区で採択になったテーマをは
じめ、全国の大学・研究機関等における有望なシーズを対象に、橋渡し研究支援推進プログ
ラムで整備した7拠点の橋渡し研究支援機能を活かして、臨床への橋渡し研究を加速するため
の研究費の支援を行うことを決定した。平成21年度に以下の3つの研究と目標を設定して公募
を行い、採択課題については、各拠点がその開発の支援を行った。
(1)スーパー特区研究:スーパー特区で採択となったテーマで、5 年内にヒト対象の臨床
研究を行う研究課題。期間内に臨床での POC を取得することを目標とする。
(実施期間
5 年)
(2)拠点活用研究 A:
(1)以外のテーマで、5 年内にヒト対象の臨床研究を行う研究課題。
期間内に臨床での POC を取得することを目標とする。(実施期間 5 年)
(3)拠点活用研究 B:(1)以外のテーマで、臨床研究に達するための非臨床研究。3 年内
に非臨床における POC を確認することを目標とする。(実施期間 3 年)
採択した課題は、以下のとおりであった。
(1)スーパー特区研究
課題名
胎児心電図実用化促進のための橋渡し研究
低侵襲手術支援システムの実用化開発と臨床研究
γδ型 T 細胞を標的とした癌免疫療法の開発
虚血肢治療用低侵襲ナノ粒子製剤の実用化
10
代表研究者
東北大学
(木村 芳孝)
浜松医科大学
(山本 清二)
京都大学
(湊 長博)
九州大学
(江頭 健輔)
支援拠点
東北大学
北海道臨床
開発機構
京都大学
九州大学
(2)拠点活用研究 A
課題名
アカデミアの TR 拠点が創出する膵島移植確立のための戦
略的アプローチ
①安全で高性能な細胞分離用酵素剤の臨床応用
アカデミアの TR 拠点が創出する膵島移植確立のための戦
略的アプローチ
②新規免疫抑制療法を併用する臨床膵島移植の開発
脳梗塞患者に対する自家培養骨髄間葉系幹細胞の静脈内
投与による細胞療法の検討
患者心臓幹細胞と人工心臓の心不全臨床試験
卵巣癌を対象とした分子標的治療薬 BK-UM の臨床開発
遺伝子組換えウイルスを用いたがん治療開発
多能性幹細胞フィーダーフリー培養基材の開発
代表研究者
支援拠点
東北大学
(後藤 昌史)
東北大学
福島県立医科大学
(後藤 満一)
東北大学
札幌医科大学
(本望 修)
京都府立医科大学
(松原 弘明)
大阪大学
(目加田 英輔)
東京大学
(藤堂 具紀)
大阪大学
(関口 清俊)
北海道臨床
開発機構
北海道臨床
開発機構※
代表研究者
大阪大学
(関口 清俊)
理化学研究所
(藤井 眞一郎)
京都大学
(田畑 泰彦)
山口大学
(坂井田 功)
支援拠点
大阪大学
東京大学
大阪大学
(※)平成 23 年度までは先端医療振興財団が支援拠点
(3)拠点活用研究 B
課題名
多能性幹細胞フィーダーフリー培養基材の開発※
人工アジュバントベクター細胞の開発
成熟血管新生治療のための徐放化 DDS 開発
骨髄由来 liver repair cell(LR 細胞)の開発
大阪大学
東京大学
京都大学
先端医療振
興財団
(※)平成 24、25 年度は拠点活用研究 A にて実施
平成 23 年度に、スーパー特区研究及び拠点活用研究 A については中間評価を、拠点活用研
究 B については事後評価をそれぞれ行った。中間評価対象課題に関してはいずれも「次年度
以降も引き続き実施することが適当である。」との評価を得て、継続して支援を行った。事後
評価対象課題のうち「多能性幹細胞フィーダーフリー培養基材の開発」については「進捗状
況及び得られた成果は特に顕著で「拠点活用研究 A」への移行を推薦する」とされ、
「拠点活
用研究 A」として支援継続が決定された。本課題を含め、スーパー特区研究及び拠点活用研
究 A については、平成 24 年度以降は橋渡し研究加速ネットワークプログラムにて支援を継続
し、平成 25 年度をもって終了した。
11
Ⅱ
中間評価の概要
1.目的
平成 26 年度が、5 か年の事業である橋渡し研究加速ネットワークプログラムの中間年度に
該当するため、本プログラムにおける進捗状況や研究成果、今後の計画を評価し、プログラ
ムの適切な予算配分と計画の見直しを行う。
また、平成 25 年度までに終了したスーパー特区研究及び拠点活用研究 A(以後、「個別課
題」とする)の進捗状況や研究成果についても評価し、プログラムの見直し等に反映させる。
2.評価項目
(1)プログラム全体に対する評価
・総合評価
・進捗度
・運営について
(2)拠点に対する評価
(拠点全体に対する評価)
・支援機能の整備状況
・シーズ育成機能
・ネットワーク形成
(個別課題に対する評価)
・研究の進捗及び成果について
・拠点との連携について
・今後の計画について
(3)サポート機関に対する評価
・拠点に対する支援
・拠点間における競争意識や情報交換
・普及・啓発活動等、その他サポート活動
3.評価方法
本プログラムの進捗状況や研究成果、今後の計画を評価し、プログラムの適切な予算配分
と計画の見直しを行うことを目的として設置された、中間評価委員会(設置要綱を別紙 2、
委員名簿を別紙 3 に示す)による評価を実施した。
(1)評価の対象
・プログラム全体に対する評価
・拠点に対する評価 7 件
(※)個別課題 11 件(スーパー特区研究 4 件、拠点活用研究 A 7 件)に対する評
価は、各課題の支援拠点に対する評価と併せて実施。なお、今回の評価対象と
する拠点は、個別課題の事業終了時点(平成 25 年度末)の支援拠点とする。
・サポート機関に対する評価 1 件
12
(2)評価の進め方
① 成果報告票の作成
拠点及びサポート機関は、成果報告票を作成する。(個別課題については、各課
題の代表研究者及び支援拠点が作成)
② 評価の実施
評価委員は、成果報告票及び拠点代表者からのヒアリングを踏まえ、評価シート
の各項目に評価点(5~1 の 5 段階)とコメントを記入し、文部科学省に意見を述
べる。なお、利益相反に該当する委員については、該当する拠点、サポート機関及
び個別課題の評価に加わらないこととする。
(3)委員会開催実績
平成26年5月13日 第1回評価委員会
評価の進め方についての審議
平成26年7月4日
ヒアリング評価
第2回評価委員会
平成26年7月22日 第3回評価委員会
中間評価報告書案についての審議
4.評価基準
評価項目ごとに、5~1の5段階評価を実施した。
5:大変優れている
4:十分である
3:十分とは言いがたい
2:当初の目標に達していない
1:当初の目標にはほど遠い
13
Ⅲ
中間評価の結果
1.プログラム全体の評価
1-1 総合評価
橋渡し研究加速ネットワークプログラムの中間時点における成果は、優れた水準に達して
おり、評価できる。評価項目、視点は、表 1-1 のとおりである。
表 1-1 総合評価結果
評価項目
国益から見て、橋渡し研究推
進支援プログラムの中間時点
における成果は水準に達して
いるか
視点
・拠点のシーズ育成能力は強化されたか
・拠点が恒久的に確立する基盤ができているか
・画期的な医薬品・医療機器等を国民へ還元し、ライフイノ
ベーションが創出されているか
・目標「治験 3 件×7 拠点」は達成されるか
橋渡し研究支援拠点の基盤は、
「橋渡し研究支援推進プログラム」
(文部科学省 平成 19 年
度~23 年度)において、拠点により若干進捗度に差があるものの、おおむね整備されたが、
本プログラムにおいてもさらに進捗が認められ、基盤的な整備はほぼ完了したと考えられる。
また、拠点のシーズ育成能力についても、拠点間に多少の差は認められるものの、全体とし
て大学発のシーズの探索・育成能力は確実に向上している。拠点の自立化について、支援人
材の定員化、企業へのライセンスアウトやシーズ支援による資金の獲得は、プログラム開始
時よりも進捗しており、恒久的な拠点を確立する基盤はできつつある。画期的な医薬品・医
療機器等の創出にはまだハードルがあるが、既に保険適用等の実用化に至ったシーズもあり、
基盤は構築されつつある。
シーズの内容も、がんや脳・神経系疾患、希少疾患などのアンメット・メディカルニーズ
の高い疾患領域のものが比較的多く、また、ペプチド・抗体・核酸医薬、細胞治療、ワクチ
ン、ウイルス治療、新規診断機器などの革新的技術への取組が見られる(参考 6)
。
各拠点で目標とする治験 3 件の新規開始についても、一部の拠点においては既に目標を達
成しており、それ以外の拠点についても治験準備段階のシーズが複数認められており、プロ
グラム終了時には十分に達成可能と思われるため、目標については上方修正する必要がある。
このように、拠点の整備が進んだ一方で、他の大学、研究機関との格差が明らかになってき
ており、オールジャパンで橋渡し研究を推進する体制の構築については今後の課題であると
思われる。
1-2 運営
プログラムの目標管理及び運営に関しては、各拠点の橋渡し研究支援推進組織の努力と、
PD・PO・サポート機関との連携により、拠点による格差はあるものの、全体的に進歩は認め
られ、適切であると評価できる。評価項目、視点は、表 1-2 のとおりである。
表 1-2 運営に関する評価結果
評価項目
視点
14
本プログラムの目標管理及び
運営方法は適切か
・目標が明確で適切か
・目標に向けての全体の運営体制は整備されているか・PD・
PO・サポート機関は機能しているか
プログラム開始時の目標として、期間内に各拠点あたり医師主導治験 3 件とし、この目標
達成に向けてサポート機関は TR 支援機能の強化のために、①国際競争、②シーズ育成、③パ
イプライン管理、④自立化、⑤ネットワーク化の 5 つの視点を抽出し、各項目について定量
的かつ客観的な成果指標を提示した。そのうえで、運営連絡会において各拠点に独自の目標
設定を依頼することにより成果目標を設定しており、基盤整備及び開発目標は具体的になさ
れていたと考えられる。これらの目標達成に向けた全体の運営体制として、PD・PO、サポー
ト機関の代表者から構成される推進委員会により、プログラムの運営方針を決定するととも
に、これに基づき年 2 回程度のサイトビジットを実施し、拠点整備やシーズ育成の進捗確認
が行われている。進捗管理のために使用した、サポート機関提供の R&D パイプライン管理支
援システムについても、十分活用されており、機能している。さらに、サポート機関が事務
局を担い、各拠点の代表者から構成される運営連絡会を開催し、自主的なノウハウ集約、各
拠点の活動、進捗状況等について情報交換等を行う会議を定期的に開催している。これらの
活動により、本プログラムの運営及び目標管理はほぼ適切に行われたと考えられる。
1-3 プログラムの進捗状況
事前評価において「必要性」に設定された各項目については、現時点においても適切であ
る。評価項目、視点は、表 1-3 のとおりである。
表 1-3 事前評価における「必要性」の進捗状況
評価項目
事前評価において「必要性」
に設定された以下の項目は現
時点においても適切か(
「必要
性」が認められるか)
視点
・橋渡し研究拠点の充実、強化
・拠点のオープンアクセス化
・拠点の特色化
・ネットワーク化
本プログラムは、大学等発の革新的な成果を医薬品・医療機器等としての臨床応用するこ
とを目的としているが、アカデミア発シーズは全く新しい発想に基づく極めて画期的かつ挑
戦的な医療技術であるがゆえに、企業主体での開発が進みにくいものも多い。また、難病・
希少疾患についても採算性の低さから、企業における開発は進みにくい。欧米諸国では創薬
や医療機器開発においてベンチャー企業が積極的にリスクを取って開発を進めているが、本
邦ではそのような環境も十分に整っていない。このようなアカデミア発シーズの研究開発を
積極的に進めることは、大学及び国としての重要な役割の一つであると考えられる。また、
我が国においては、政府の方針として、ライフイノベーションを重要な項目として掲げてお
り、今後も橋渡し研究支援拠点の充実、強化をはじめ、我が国の TR 全般を推進していく必要
があると考えられる。
アカデミア発シーズを医薬品・医療機器等として実用化するためには、企業への情報提供・
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マッチング等、開発の早期から企業連携や連携支援を行うことが極めて重要である。また、
医療現場のニーズと企業のシーズを適切にマッチングさせることも、新たなシーズの創出に
繋がると考えられる。一部の拠点においては、所有するシーズ情報をデータベース化してホ
ームページ上で開示することや、医療現場のニーズをデータベース化して、企業とマッチン
グするなどの試みがなされているが、具体的な成果の創出にはさらなる推進、強化が必要で
ある。今後も拠点のオープンアクセス化については強力に推進することが望まれる。
また、拠点間の連携や、拠点を中心とした地域連携等のネットワークも一層強化すること
が必要である。各拠点において、臨床研究・治験ネットワークが構築されつつあり、多施設
共同研究の事務局としての機能を果たしつつあるが、このようなネットワークがさらに効果
的・効率的に機能すれば、症例の確保が促進される等により、臨床研究・治験の進捗が更に
加速すると考えられる。また、拠点を含む病院、研究機関のネットワーク構築により、全国
的なシーズの探索が行われることも必要である。
現在は、これまでに構築した基盤を活用して、急増する各分野のシーズに対応するための
強化を行う段階ではあるが、それとともに、拠点機能の専門化・高度化は必須であり、将来
拠点が目指す方向性を明らかにした上で、特色化を図っていくことも必要と思われる。現在、
各拠点の支援機能の個性が見えつつあるが、今後はプログラム終了後の自立運営をにらみ、
「得意分野」といえるレベルにまで支援機能の特色化を図る努力が期待される。また、一部
の機能については拠点間の連携を強めて苦手分野を補完するなど、個々の拠点の特色が相乗
効果を生むような方策も検討すべきである。
事前評価において「有効性」に設定された各項目については、進捗している。評価項目、
視点は、表 1-4 のとおりである。
表 1-4 事前評価における「有効性」の進捗状況
評価項目
事前評価において設定された
「有効性」について、適正な
進捗が見られるか
視点
・研究費の拡充によりシーズの橋渡しが加速され、国民へ医
療として還元される
・有望なシーズを次々と革新的医療として実用化するための
機能の整備が図られる
本プログラムの約 2 年間の拠点における橋渡し研究支援拠点の充実、強化についてはおお
むね順調であったと判断できる。①シーズの評価・選定、②試験物の製造を促進・管理、③
臨床試験の準備、④臨床試験の実施、そして、⑤研究開発プロジェクト管理、各々を実行す
るための基盤について、各拠点の整備はほぼ完了したと思われる。拠点におけるシーズの評
価・選定により多くのシーズがパイプラインに組入れられ、各拠点が支援するシーズ数は、
平成 24 年度 200 課題、平成 25 年度 245 課題、平成 26 年度 349 課題と急速に増加している。
一方で、拠点が整備を完了したと判断しているにもかかわらず、医師主導治験の準備・実施
に時間を要する拠点もある。一通りの人材や設備は整備されているものの、特にプロジェク
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トマネジメント、モニター等の人材不足が各拠点において顕著であり、今後シーズの増加も
予想されることから、さらなる機能強化が求められる。
自立化については、各拠点において人材の定員化を進めており、ライセンスアウトによる
収入の獲得も認められるが、多くの拠点においてはいまだ具体的な道筋が立っていない。CPC
等の業務受託や、オープンラボスペースの活用などの取組も認められており、今後も幅広い
収入源を確保する努力が必要である。
研究費の支援を行うシーズ B、C の採択数は、平成 24 年度 11 課題、平成 25 年度 16 課題、
平成 26 年度 59 課題と増加しており、研究費の拡充を行っている(参考 5)。シーズ育成の実
績として、平成 26 年 4 月時点で、すでに 3 拠点(北海道臨床開発機構、東北大学、大阪大学)
が本プログラム期間内の目標である医師主導治験届出数 3 件を達成するとともに、7 拠点合
計で 15 件(拠点あたり 2.1 件)に到達しており、プログラム終了時には全拠点で目標達成の
可能性が高いと考えられる。特許出願や、シーズパッケージのステップアップなどの実績も、
目標達成に向けて順調に進捗している(参考 6)
。
ただし、本プログラムで扱ったシーズが、革新的医療として実用化し、臨床現場で普及す
るにはまだハードルがある。シーズの実用化の見極めが可能となるのはシーズ C の第Ⅱ2a 相
段階であり、企業におけるシーズ開発においても臨床段階での成功確率は高くない。このた
め、革新的医薬品・医療機器等の創出の成功確率を上げるためには、シーズ C となりえるポ
テンシャルのあるシーズ A 及びシーズ B の数を飛躍的に増加させる必要があり、その方策を
検討すべきである。また、画期的な研究課題については、重点的に支援する等のインセンテ
ィブを与えることにより、研究を加速させることも提案する。国民の医療への還元という面
では今後も多方面からの一層の努力が必要である。
事前評価において「効率性」に設定された各項目については、進捗している。評価の視点
及び評点等は、表 1-5 のとおりである。
表 1-5 事前評価における「効率性」の進捗状況
評価項目
事前評価において設定された
「効率性」について、適正な
進捗が見られるか
視点
・基礎研究の臨床段階へのシームレスな橋渡し
・研究者が研究費を獲得し拠点を活用することで、オールジ
ャパンの支援拠点として活用される
・ネットワーク化による研究支援の相乗効果
・シーズの研究開発段階別の振り分けによる進捗管理
本プログラムにおいては、第一期で整備した橋渡し研究支援基盤を活用し、また、これま
で支援を行ってきたシーズを引き続き支援することにより、基礎研究の臨床段階への橋渡し
をシームレスに行うことを目標とした。また、第一期では基盤整備が主たる目的であったが、
第二期においては、研究費部分を拡充することにより、研究者が研究資金を獲得し、橋渡し
研究支援拠点を活用することに重きを置いた。これにより、拠点自身が成功体験を積み、効
率的・効果的な支援が行えるようになるとともに、各拠点の特色化・オープンアクセス化が
進み、オールジャパンの支援拠点として活用することが可能となると考えられる。
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基礎研究から臨床段階へシームレスな橋渡しを行うためには、各開発段階において計画や
目標を明確化して開発を行うとともに、開発ステージ全体を見据えた計画立案が重要であり、
プロジェクトマネジメントの果たす役割が極めて大きいと考えられる。しかしながら、GMP
(Good Manufacturing Practice)製造や医師主導治験への移行等において進捗が遅れている
シーズが散見される。各拠点におけるプロジェクトマネージャーは不足しており、人員雇用
のための財政的な配慮、役割と責任及び権限の設定、人材育成、キャリアアップのための体
制構築等、適切なプロジェクトマネジメント体制の構築を各拠点共通の課題として戦略を立
案する必要がある。本プログラムの残りの期間で、重点的に強化すべきであり、
「効率性」の
項目に「プロジェクトマネジメントの強化」の追加を提案する。
また、今後、本プログラムは厚生労働省の臨床研究中核病院等(臨床研究中核病院、早期・
探索的臨床試験拠点、グローバル臨床研究拠点)整備事業と一体化する予定であり、本プロ
グラムにおいて育成したシーズについて、厚生労働省事業の基盤を活用して国際水準の質の
高い臨床研究・治験を実施・支援するなど、アカデミア等における革新的な基礎研究の成果
を一貫して実用化に繋ぐ体制の構築を目指している。既に平成 25 年度から拠点調査や成果報
告会を合同で開催しており、平成 26 年度には PD・PO 体制の統合や、運営連絡会の合同開催
を予定している。さらに平成 27 年度からは、文部科学省、厚生労働省それぞれから支援して
いた拠点の基盤整備費や研究費が、日本医療研究開発機構から一体的に配分され、両省事業
で相互利用が可能な設備、人材等を合理化、共有化するなど、効果的・効率的な体制を構築
することが可能となる予定である。
拠点が支援するシーズや、本プログラムで研究費支援を行うシーズは増加しており、研究
者による拠点の活用は急速に進んでいる。また各拠点において他の大学・研究機関のシーズ
の受け入れも始まっており、拠点の担当者が拠点外の機関を定期的に訪問するなど、拠点外
シーズの棚卸しについての取組がなされている。また、平成 26 年度のシーズ B、C の募集に
おいては、拠点外シーズの申請を応募数の上限に含まないこととし、選考においても拠点外
シーズであることを重視した結果、シーズの応募のうち、約 3 分の 1 が拠点外シーズとなり、
多くの拠点外シーズが採択された。しかしながら、全体としてはまだ自拠点のシーズが多い
ので、現在の 7 拠点はオールジャパンの拠点として、拠点外シーズの探索・支援を強く推進
することが望まれる。そのため、
「効率性」の項目に「拠点外シーズの支援促進」の追加を提
案する。
ネットワーク化についても各拠点において進捗が認められる。各々がシーズ探索のための
ネットワークを形成し、他機関を定期的に訪問することや、共同会議を開催する等の取組を
開始している。また、周辺の医療機関と連携することにより、多施設共同研究の実施や、共
同 IRB の設置を目指すなどの試みも認められる。また 7 拠点間においては、東北大学拠点が
事務局機能を果たして連携し、①被験者リクルート促進体制構築、②相互モニタリング体制
の構築、③共有リソース活用の 3 つのネットワーク構築事業を実施している。被験者リクル
ート促進体制構築事業においては、拠点間連携のもと、症例集積にも利用可能な EDC
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(Electronic Data Capture)システムを用いた拠点間被験者リクルートシステムの構築や、
リクルート範囲を広げるための拠点内ネットワークの構築を目指しており、これまでに 4 つ
のシーズで体制構築を行っている。相互モニタリング体制の構築においては、モニタリング
監査の費用対効果の向上を目指し、各拠点が質の高いモニターを配置し、自拠点のみならず
拠点間での相互モニタリング体制を構築することを目的としており、これまでに 3 つのシー
ズで相互モニタリング体制の構築を進めるとともに、モニター研修会を開催しモニターの質
の向上に努めている。また、共有リソース活用においては、共有可能な拠点リソースの有効
活用によるシーズ開発の加速を目指し、拠点リソースの共有システムを構築することを目的
とし、全拠点の双方向アクセスが可能なオンラインカタログを作成し、共有可能なリソース
を有効利用することとしている。また、拠点間での CPC(Cell Processing Center)の共同
利用に向けた取組も進捗している。設備の共同利用や共同試験の実施など、拠点間のネット
ワーク化が進むことで、その特色が橋渡し研究の支援活動において相乗効果を生むことも期
待され、このような拠点間の連携についての取組は、今後もさらに継続することが必要であ
る。
シーズに対する研究費支援については、拠点がシーズ研究者と連携し、それぞれのシーズ
に関して最適な資金を直接配分する仕組みが構築されている。拠点は支援するシーズを研究
の進捗に応じてシーズ A~C に振り分け、このうち、拠点支援活動費(拠点がシーズを支援す
るのに必要な経費)及び研究費の補助を行うべきシーズについて、拠点内にて審査の上、文
部科学省に申請する制度となっている(シーズパッケージ制度)(参考 4)
。シーズ A は、拠
点内審査に基づく申請課題に補助金を充当することとなっており、拠点の裁量に委ねられて
いる。このように、拠点が自らの裁量によりシーズを集め、シーズを評価し、支援対象を決
定することは、拠点の自立化にも必須であり、拠点内外からのシーズの棚卸しにも貢献して
いる。しかし、拠点における審査の質に差がある可能性があり、シーズ A の適切な審査・管
理方法の確立が今後の課題であると考えられる。シーズ B、C は、拠点内審査に基づく申請課
題について、文部科学省が設置し外部有識者から構成される課題選考委員会の審査に基づい
て補助金支援課題が採択される。採択されたすべての課題に対して、研究活動のフォローア
ップとして、年度末に推進委員会によるヒアリング審査を行っており、進捗状況の適切な管
理がなされている。各拠点が支援するシーズ数は年々増加しており、シーズ B、C の募集につ
いても、多数の課題の応募がなされている。今後もさらに応募シーズ数が増加することが予
想され、審査の質を確保するための、新たな審査方法の確立も望まれる。
事前評価において「必要性」
「有効性」「効率性」に設定された各評価項目は妥当である。
しかし、オールジャパンの支援拠点として活用されるための「拠点外シーズの支援促進」や、
シーズの適切な進捗管理を行うための「プロジェクトマネジメントの強化」については、本
プログラムの残りの期間において重点的に強化する必要があると考えられるため、「効率性」
の項目に追加することを提案する。
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2.各拠点の評価
2-1 北海道臨床開発機構(北海道大学・札幌医科大学・旭川医科大学)
「オール北海道先
進医学・医療拠点形成」
【評価】
進捗状況及び得られた成果は優れている。
【支援機能の整備状況】
「オール北海道先進医学・医療拠点形成」では、北海道内の北海道大学、札幌医科大学、
旭川医科大学の 3 大学法人により北海道臨床開発機構(HTR)が設置され、一つの拠点として
一体的な体制の構築を目指している。平成 24 年 4 月より HTR の組織を再編成し、3 大学や他
の拠点との連携を推進する部門を設置することにより、さらなる連携を深めることとしてお
り、拠点として適切に整備・運営がなされている。ただし、組織体制はやや重層的であるた
め、拠点の意思決定が効率的・効果的に行えるような仕組みや、3 大学の有機的な連携体制
の構築も必要と思われる。人員の定員化については順調に進捗しているものの、受託研究や
事業収入等による収入の比率が少なく、自立化については更なる具体的な計画を示す努力が
望まれる。国際競争力強化に対しては、technology のみに焦点を当てずにマーケティングを
意識した競争力を推進して欲しい。
【シーズ育成機能】
これまでに既に 4 件の医師主導治験を開始しており、今後も 3 件の医師主導治験が予定さ
れるなど、十分な実績がある。また、FDA で Pre-submission meeting を開催するなど、海外
展開についても順調に進捗している。シーズ数に比して、ステップアップの数が少ないので、
適切な進捗管理によるシーズ育成が望まれる。今後は、HTR の 3 大学がそれぞれの強みを活
かしたシーズ発掘・支援をおこなえるよう、各大学で役割分担を行うことも検討して欲しい。
【ネットワーク形成】
北海道内外のシーズの発掘に意欲的であり、シーズ数が順調に増加していることは評価で
きる。また、HTR ネットの活動を通じ、北海道内の医療機関 356 施設に活発に働きかけてお
り、臨床研究や治験の支援などにも多く活用されるなど効果が出始めている。一方で他拠点
や企業との連携については必ずしも十分とはいえず、今後の課題であると思われる。
【総評】
HTR のシーズ育成機能は体制・実績ともに充実していると考えられる。自立化については
やや遅れており、ビジネスプランや対価収入の徴収など、具体的に推進してくことが重要で
ある。
【個別課題①】
「低侵襲手術支援システムの実用化開発と臨床研究」
進捗状況及び得られた成果は十分である。
本研究は、新規立体内視鏡、内視鏡手術ナビゲーター、局所ナビゲーターを組み合わせた、
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より安全・安心な低侵襲手術に貢献する「低侵襲手術支援システム」の実用化を目指すもの
である。論文発表や特許出願も十分に行われており、
「手術器具の先端位置を示す内視鏡手術
ナビゲーター」はクラスⅡ薬事承認を取得し保険収載されるなど、成果が認められる。しか
し、各装置の完成品の作製には至っておらず、全体を統合したシステムの臨床試験に向けて
加速させる必要がある。
非臨床試験の拠点による信頼性調査や PMDA への対応支援などが行われており、成功確率向
上のための拠点としての支援がなされている。薬事戦略相談の活用が効果的に機能していた
と考えられる。
高機能版の内視鏡手術ナビゲーターは、本プログラムの支援シーズに採択されるなど、い
ずれの装置も新たな公的・競争的資金を獲得し研究開発を継続しており、早期の承認申請を
目指している。
三つの装置を統合した「低侵襲手術システム」の実現に向けて進捗が認められる。今後の
開発を加速させることにより承認申請が速やかに施行されることを期待したい。
【個別課題②】
「脳梗塞患者に対する自家培養骨髄間葉系幹細胞の静脈内投与による細胞療
法の検討」
進捗状況及び得られた成果は十分である。
本研究は脳梗塞に対する再生医療の実用化を目指すものである。当初は先進医療へ移行す
る計画であったが、研究開発戦略の変更により医薬品としての開発を目指し、医師主導治験
(Phase Ⅲ)に移行したことは妥当と思われる。本研究に関する論文発表も多くその成果は
評価できる。
北海道臨床開発機構による生物統計の支援、九州大学での標準治療データ解析、先端医療
振興財団によるプロトコール作成支援等、多機関との連携による研究の質の向上が認められ
ており、プロジェクトマネージャーによる推進体制が機能していたと思われる。また、医師
主導治験の開始支援についても拠点の貢献が認められる。
医師主導治験の円滑な実行と、期間内で着実に目標症例に達するため、定期的な進捗管理
が必要と思われる。HTR 関連施設、各橋渡し研究支援拠点、学会等に対して被験者リクルー
ト促進の支援が得られるように取り組んでおり、今後も取組を継続する必要がある。
医薬品としての開発を目指し、第Ⅲ相の医師主導治験に移行したことは評価できる。再生
医療分野でアカデミアの CPC で GMP 製造した細胞生物製剤を用いた医師主導治験は本邦発で
あり、今後も現在の取組を継続し、治験を着実に終了することで良好な結果を示すことが期
待される。
【個別課題③】
「患者心臓幹細胞と人工心臓の心不全臨床試験」
進捗状況及び得られた成果は当初の目標に達していない。
本プロジェクトは重症心不全患者の細胞治療の確立のため患者心臓から採取した心筋幹細
胞を培養後患者に移植する再生医療であり、先端医療振興財団臨床研究情報センターの支援
を受けて、自主臨床研究(第Ⅰ相試験:虚血性心不全患者への自己心筋幹細胞移植治療の探
索的試験)を開始し、平成 23 年度までに目標の症例登録が終了した。平成 24 年度に橋渡し
研究加速ネットワークプログラムが開始となり、先端医療振興財団が拠点から外れたため、
21
平成 24 年 4 月から HTR が本シーズの支援を開始した。
拠点の支援としては、研究者と連携して開発戦略を策定し、自主臨床研究の成績に関する
解析方法を検討し助言を行っていた。また、高度医療評価制度または治験として実施予定の
多施設共同型第Ⅱ相臨床試験の実施計画案の策定に関する支援を行っていた。
しかし、代表研究者の期中の突然の辞任により研究開発体制を維持することが困難となっ
た。本研究自体に不正が確認された訳ではないが、プロジェクト責任者の研究グループにお
いて多数の論文・研究結果に研究不正が発覚したこともあり、中止に至った。このような事
案の発生を踏まえ、各拠点においては、適切なリスクマネジメントの在り方について検討を
行って欲しい。
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2-2 東北大学「医工連携を基盤としたトランスレーショナルリサーチ拠点形成」
【評価】
進捗状況及び得られた成果は優れている。
【支援機能の整備状況】
組織形成・設備・人材整備については、第一期の時期よりもさらに充実してきている。TR
の支援部門と臨床試験・治験を推進する部門を統合させ、シーズ育成から臨床までに効率的
に支援できる体制とするなどの工夫も見られる。プロジェクトマネジメント、モニタリング
関連の人材がやや少ないように思われるため、今後強化が必要である。拠点の強みである東
北大学が得意とする医工連携については、メディカルサイエンス実用化推進委員会を立ち上
げ、学内 15 部局による全学的なシーズ開発を推進し、うまく機能していると思われる。さら
に医療機器の開発を担う人材の育成にも注力している。自立化については、オープンラボス
ペースを活用するなど、自己収入の確保に努めているところは評価できるが、さらなる戦略
立案が必要である。
【シーズ育成機能】
医師主導治験届 5 件を達成しており、それぞれが異なる分野のシーズの成果であることは
評価できる。また、新規シーズの組入れやステージアップシーズの実績も優れている。増加
したシーズに対応するため、各業務を横並びで確認する担当を設け、支援の質を底上げし平
均化するための工夫も認められ、全体的な支援の質の向上による効率的な開発支援を目指し
ている。また、医療現場に企業や学内研究者を受け入れ、ブレーンストーミングを行い、新
規開発シーズを創出していく試みには大いに期待したい。
【ネットワーク形成】
東北地域の 6 大学による東北トランスレーショナルリサーチ拠点形成ネットワーク(TTN)
を形成し、共同 IRB の構築や、臨床研究・治験を協力して実施することにより、一つの拠点
として機能させることを目指している。実際の臨床研究等の実績については今後に期待した
い。拠点間ネットワークについても、7 拠点の事務局を担っており、被験者リクルート構築
事業に 4 件のシーズを組み入れるなど、拠点間連携の構築に向けた積極的な取組も評価でき
る。
【総評】
プロジェクト推進のためのシステムが機能してきており、シーズパイプラインがほぼ確立
しつつある。今後は医工連携を基盤とした全学的な TR の推進、東北地方のネットワークを更
に発展させて欲しい。
【個別課題①】
「胎児心電図実用化促進のための橋渡し研究」
進捗状況及び得られた成果は大変優れている。
本プログラムにおいては、胎児心電図装置の機器の安定性、利便性を確保し、早期臨床試
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験、実用化を達成することを目標としていた。平成 25 年内に治験を終了させ、日本におけ
る申請が可能な状況となっており、順調に進捗している。また、多数の論文発表や特許出願、
受賞などの成果も大変優れている。
薬事法の許認可申請に向けて、書類作成の支援や臨床データ管理、統計指導等を実施して
いる。また、頻回のシーズ進捗会議やサイトビジットを通じて、治験実施体制の構築や適切
な進捗管理による開発推進等、積極的な支援を実施している。今後の海外展開においては、
申請国の薬事、治験実施環境等を考慮した、これまでとは異なる支援が必要になると思われ、
これまで構築した連携体制をさらに高めて欲しい。
日本発の医療機器として国際展開が期待でき、今後は海外での薬事申請・承認を目指して、
国内での上市、国内での多施設共同研究の実施、国際共同治験と進めていく計画となってい
る。国際共同治験の実施が必ずしも唯一の方法ではないので、国際展開の際に必要なパート
ナー企業の選定を迅速に行ない、企業の目から見た総合戦略を策定していく必要がある。ま
ずは、国内の上市と多施設共同試験を早期に完了させる必要がある。
プログラム期間内に治験を完了させ、今まで不可能であった妊娠 24 週から 31 週までの科
学的な胎児モニタリングに道を開いたことは評価できる。パートナー企業の選定を早期に行
い、真のゴールである実用化に向けたプロジェクトの推進を期待する。
【個別課題②】
「アカデミアの TR 拠点が創出する膵島移植確立のための戦略的アプローチ(安
全で高性能な細胞分離用酵素剤の臨床応用)」
進捗状況及び得られた成果は十分とは言い難い。
開発中の新規酵素剤は、製造ロット格差、成分比の操作が不可能、動物成分の混入が不可
避という既存品が有する課題を解決するものであり、本プログラムにおいては、GMP 製造を
確立し、臨床 POC を獲得することを目標としていた。非 GMP 品では、ヒト膵臓における探索
的臨床試験を実施し、期待させるレベルでの膵島分離性能を確認でき、論文発表や特許出願
などの成果も認められる。しかし、試薬の規格化や GMP 化においては当初の計画より遅延し
ており、日本発の技術として早期に実用化することが期待される。
開発酵素剤を生産する企業と産学連携体制を構築し、GMP 製造を行う生産プラントの整備
が可能となったが、結果として当初の計画よりも遅れており、適切なプロジェクトマネジメ
ントがなされていたか検証が必要である。今回の GMP 製造体制の構築など、不確実性の高い
業務については、予め複数の代替案を用意するなど、全体計画への影響を最小化できる Work
Breakdown Structure を作成することも重要と考える。今後の臨床 POC 取得に向けて、臨床
試験のプロトコール作成、倫理委員会申請、統計解析等の支援が積極的に行われることを期
待する。
既に、産学連携体制下にある企業において、医療グレードの開発酵素の事業化体制を整え
ており、平成 26 年度中に POC を確立し、平成 27 年度より、本プロジェクトの目標であった
世界にむけて医療グレードの細胞分離用酵素剤を事業化する予定となっている。
事業化を目標として企業との強固な産学連携体制を構築し、学問的にも幾つかの新知見を
見出した。的確なプロジェクトマネジメントの体制の構築と進捗管理が課題である。
【個別課題③】
「アカデミアの TR 拠点が創出する膵島移植確立のための戦略的アプローチ(新
24
規免疫抑制療法を併用する臨床膵島移植の開発)
」
進捗状況及び得られた成果は十分とは言い難い。
本研究では膵島移植における新規免疫抑制プロトコールを、探索医療の手法を用いたアプ
ローチの導入により検証することを目標としている。薬事法の承認等が得られていない医薬
品の使用を伴うため、厳格な登録基準と高いクオリティのデータ管理を可能とする実施体制
を整備した。心停止ドナー数の減少を受け、脳死ドナーも含めた膵島移植の実施を目指して
先進医療 B として承認され、ドナー情報の提供件数が増加したが、目標とする症例数への到
達からは大きく遅れている。最終目標である、膵島移植の重症インスリン依存性糖尿病の標
準治療としての確立に向け、研究を加速させて欲しい。
福島県立医科大学が膵島移植班事務局として膵島移植を実施し、拠点である東北大学がデ
ータセンターを、先端医療振興財団がプロジェクト管理を担当するという体制を構築してい
る。拠点はデータセンターとしてプロトコール支援から始まりデータ管理、統計解析業務等
のプロセスを実行しており、連携の成果を挙げている。しかし、結果として臨床試験の進捗
が遅れ、試験期間の延長に至っていることから、臨床試験の進捗に向けた積極的な支援も期
待される。
脳死ドナーへのドナーソース拡大により有効な臓器提供情報は増えたものの、依然として
ドナー数の不足により被験者リクルートが遅れており、さらなるドナー拡大の方策など戦略
の見直しを検討すべきと思われる。移植ネットワークや関連学会などのネットワーク化をど
のように進展できるかが目標症例の達成のためにも重要であると思われる。
本邦でのドナー数減少に対して様々な対策を実施し、膵島移植臨床試験の実施・強力体制
が構築されていることは評価できる。ドナーアクセスに関する協力連携体制を強化し、臨床
試験の加速を行う必要がある。
25
2-3 東京大学「先端医療の開発支援拠点形成と実践」
【評価】
進捗状況及び得られた成果は優れている。
【支援機能の整備状況】
組織体制の構築は順調に進捗しており、第一期の課題であった知財戦略における機能の不
足 に つ い て も 整 備 が 完 了 し て い る 。 プ ロ ジ ェ ク ト マ ネ ー ジ ャ ー の 増 員 や シ ニ ア URA
(University Research Administrator)の雇用によりマネジメントを強化するほか、専任の
特許担当者を雇用することで特許取得の支援強化を図っている。しかし、シーズの進捗管理
や一元管理を行うための指導体制・マネジメント体制についてはさらなる強化が必要であり、
トップダウン型の明確な指示系統とすることも検討して欲しい。ライセンス活動等を通じた
自己収入確保の努力もなされているが、自立化計画については実現性がまだ不明であり、今
後明確な道筋を早期に確立する必要がある。
【シーズ育成機能】
拠点におけるシーズ数は豊富であり、新規組入れシーズも多い。また、ライセンスアウト
やシーズのステージアップの件数が多く、シーズの発掘・育成は十分に行われている。しか
しながら、本プログラムにおいて医師主導治験の開始には至っておらず他の拠点と比較して
進捗が大きく遅れており、その理由については十分に検討を行い、改善を図る必要がある。
今後メディカルライターの雇用等を通じて支援体制の強化を目指しており、終了時には 3 件
以上の医師主導治験の実施は達成可能と思われる。
【ネットワーク形成】
大学病院臨床試験アライアンスの枠組みをもとにネットワーク形成を進め、さらに複数の
私立大学に橋渡し研究の支援を紹介して連携を深めることにより、積極的にシーズの探索と
申請を行ったことは評価できる。拠点外シーズに対する支援も行われているが、関東地域の
大学や医療機関は多く、更なるネットワークの構築を進める必要があると思われる。
【総評】
シーズ開発を支援する体制の整備はほぼ完了しているため、東京大学における豊富なシー
ズを適切に評価し、進捗管理を行う体制を構築する必要がある。また、医学部附属病院と医
科学研究所附属病院の連携によって、どのような特色を示すのかを明確にし、より効果的・
効率的な支援を目指して欲しい。
【個別課題】遺伝子組換えウイルスを用いたがん治療開発
進捗状況及び得られた成果は十分である。
がん細胞特異的に複製する遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス 1 型(HSV-1)である G47Δ を
用い、悪性脳腫瘍を対象とした臨床開発を展開することを目的としている。G47Δ 製剤の GMP
製造を経て、平成 21 年より世界に先駆けて、膠芽腫の再発患者を対象とした FIH 試験を開始
26
し、更に再燃前立腺癌と再発嗅神経芽細胞腫に対する臨床研究も開始している。膠芽腫では
有用性を示唆する所見も一部観察されており、安全性やウイルス排泄等の新たな臨床データ
も蓄積しつつある。しかし、治験としての開発には至っておらず、早急に開発計画を明確に
して効率的な開発を目指すべきである。
拠点として、PMDA との相談・資料作成等の薬事関連の支援、CPC 製造施設の整備、臨床試
験実施支援などを行った。臨床研究開始後には、TR センターのホームページを活用した臨床
研究参加申し込み体制を確立し、TR コーディネーターやデータマネジメント業務についても
支援を行っており、十分な支援がなされている。
今後は医師主導治験を実施し、G47Δの製造販売承認を目指しており、開発計画は妥当と考
える。また、将来のライセンスアウトや共同研究に向け、企業とのマッチングを推進する必
要がある。
本プロジェクトは、日本で前例のない創薬分野において、アカデミア主導で臨床開発を確
実に推進してきたことは評価できる。日本発の革新的医療技術として積極的に推進し、早期
に医師主導治験を実施・完了することが期待される。
27
2-4 名古屋大学「持続可能なネットワーク型中部先端医療開発拠点の形成」
【評価】
進捗状況及び得られた成果は優れている。
【支援機能の整備状況】
組織体制の整備や人材の確保は順調に進捗している。支援機能整備に関しては、プロジェ
クトマネージャーを中心に多職種の人材から構成されるチームを組織するとともに、規制当
局との対応を密に行えるよう戦略的な支援体制の構築が図られている。拠点がシーズを支援
する基準として、シーズ A、B、C のステージ毎の支援判断基準や支援期間を明確に示してい
る。また、プロジェクトの選考は、知財や企業ニーズ等も踏まえてプロジェクト選考委員会
が行い、GO/NO GO の判断も行う体制となっていることは評価でき、今後の成果が大いに期待
される。臨床研究の支援体制も十分に構築されていると思われるが、モニタリングやプロジ
ェクトマネジメントの人材が不足していると考えられるため、さらなる充実が望まれる。後
で述べるとおり、産学連携が良好であると考えられるため、企業との共同研究やライセンス
アウト等の資金の獲得することにより、自立化の道筋を立てることが望まれる。
【シーズ育成機能】
新たに設計・構築したシーズ情報収集管理システムにより、学内外のシーズの登録や進捗
管理を行うなど、適切にシーズ進捗管理がなされている。平成 26 年 7 月までに 2 件の医師主
導治験を達成しており、シーズの組入れやステージアップの実績も進捗が認められる。また、
シーズの育成を加速するため、医学部内外のシーズに対して病院収入の投入を実施している
ことも評価できる。今後もこうした取組を継続していくために、病院に対してどのようなメ
リットがあるかを明確にすべきと思われる。特許出願の件数も増加してきており、今後はラ
イセンスアウトや先進医療についても実績をあげることが期待される。
【ネットワーク形成】
中部先端医療開発円環コンソーシアム(C-CAM)を構築し、中部地区のシーズの探索を行う
とともに、関連病院とも連携して臨床試験ネットワークを構築している。また、中部地区の
企業とも連携した中部医療産業化ネットワークを構築し、産業者側との企画会議を通じた企
業とのマッチング活動についても実績をあげている。さらに名古屋商工会議所メディカルデ
バイス産業振興協議会、中部医療機器工業協会ともネットワークを構築し、シーズ・ニーズ
マッチングシステムの運用を開始するなど、産学連携に関する取組が積極的に行われている
ことは高く評価できる。
【総評】
名古屋大学は平成 24 年度の第二期からの参加であるが、約 2 年という短い期間で組織体制
や人員、設備等の基盤整備はほぼ完了していると考えられる。今後は拠点機能の強化・充実
とともに、構築した独特な思考に基づいたシステムの実績の輩出と自立度の向上に力を注い
でいただきたい。
28
2-5 京都大学「創薬・新規医療開発のアカデミア拠点形成」
【評価】
進捗状況及び得られた成果は優れている。
【支援機能の整備状況】
京都大学拠点は、第一期プログラムの開始前より既に TR センターとして探索医療センター
を設置し、TR を推進してきた。第二期プログラムにおいては探索医療センターをさらに発展
的に改組して臨床研究総合センターを設立し、多施設共同試験への支援機能を強化するなど
臨床研究組織の充実を図ることにより、知財確保から臨床試験・治験までの一貫した管理体
制の整備を完了させている。多施設共同医師主導治験も開始し、調整事務局としての支援を
行うなどの実績も認められる。コア人材の定員化は 9 割以上を達成しており、自立化に向け
た収入確保、人材育成に一定の目処を付けている。今後は、各部局にまたがる知財、技術移
転機能の効率的運用や、iPS 細胞研究所(CiRA)と積極的に連携強化を図るなど、さらなる
機能強化を目指して整備を進めて欲しい。
【シーズ育成機能】
これまで多分野のシーズを発掘し、特許出願の支援から医師主導治験や先進医療を実施し、
企業などへ早期にライセンスアウトする努力がなされている。既に目標数を上回る特許出願
を達成するとともに、全学及び拠点内ネットワーク各機関におけるシーズ発掘体制も整備し
た。ただ、医師主導治験届出の達成は 1 件にとどまっており、拠点の総合力からすると進捗
が遅れていると言わざるをえず、さらなる努力を期待したい。支援対象とするシーズを厳選
しているものと思われるが、支援シーズの数が相対的に少なく、今後新規組入れシーズを増
加させる必要がある。
【ネットワーク形成】
拠点内ネットワークとして主に西日本地区 14 大学との連携ネットワークを構築し、シーズ
発掘、臨床研究支援体制構築、共同医師主導治験の実施などに向けた支援を行っている。ま
たネットワーク参加施設間において人材育成のための OJT(on the job training)も実施し
ている。海外との連携についても積極的な取組がなされ、欧州・米国・アジアの臨床研究支
援組織と連携協定を締結し、国際共同試験などを目指した交流を開始している。
【総評】
シーズ開発の体制整備はほぼ完了し、機能面でも着実に強化されている。拠点内ネットワ
ークや国際ネットワークにおける連携をさらに深めることにより、今後の多施設共同医師主
導治験の成果を期待したい。
【個別課題】γδ型 T 細胞を標的とした癌免疫療法の開発
進捗状況及び得られた成果は十分である。
本プロジェクトにおいては、進行性泌尿器系癌及び乳癌に対する革新的癌免疫療法を開発
29
し、生存率と QOL の向上を目標とした。前者はγδ型 T 細胞による細胞療法で、臨床試験で
CR を含む一定の効果を認めたが、
重篤な有害事象の発生等により試験中断に至った。後者は、
ゾレドロン酸のγδ型 T 細胞活性化による乳癌のホルモン療法への上乗せ効果を検討する多
施設共同第Ⅱ相臨床研究であり、先進医療承認の遅れにより計画から遅れているが、症例登
録は各施設順調に進んでおり、特徴的なγδ型 T 細胞サブセットの活性化所見も得られつつ
ある。
進行性泌尿器系癌については、拠点として細胞療法製剤の供給とデータマネジメント、モ
ニタリング等の支援を行った。乳癌についても、多施設共同臨床試験を実施するため、調整
事務局として規制当局対応や施設間調整等の支援を行っており、拠点として適切に支援がな
されていたと考える。
乳癌の試験においては、早期に予定症例数を完了させるとともに付随研究により奏効予測
バイオマーカーを確立し、奏功期待患者に限定した検証的な試験を進める方針としている。
各共同研究組織からの臨床検体の搬送体制に課題があり、早急に解決されることが望まれる。
症例登録は進みつつあるものの計画よりも遅延しており、今後も被験者リクルート促進等
の積極的な取組を行って欲しい。実用化まではハードルがあるものの、付随研究の成果に期
待したい。
30
2-6 大阪大学「TR 実践のための戦略的高機能拠点整備」
【評価】
進捗状況及び得られた成果は優れている。
【支援機能の整備状況】
大阪大学拠点は第一期事業の開始前より未来医療センターを設置し TR を推進してきたが、
第二期プログラムにおいて、臨床研究・治験を行う臨床試験部と統合し、新体制の未来医療
センターを設立し、支援体制をさらに強化した。得意とする再生医療の分野については、支
援シーズの増加に対応するため CPC ユニットをさらに増築するなど整備を進めている。また、
治験薬 GMP でポジトロン標識が可能な施設を整備し、既に企業発注の PET マイクロドーズ試
験を実施しており、他施設にはない機能も有している。人材の定員化も進んでおり、自己収
入率も毎年増加していることから、自立化にも道筋を立てている。人材育成についても、海
外の医薬品・医療機器開発のプロフェッショナルを養成するプログラムの導入を計画するな
ど、積極的に取り組んでいるが、プロジェクト数の増加に対応するため、プロジェクトマネ
ジメントや、モニタリング関連の人材については強化を行う必要がある。
【シーズ育成機能】
シーズの評価システムや、知財権の評価システムが機能しており、シーズ募集や管理体制
が整備されている。すでに FIH 試験を含む医師主導治験 3 件を達成しており、今後も数件の
医師主導治験やライセンスアウト、先進医療の計画があり、活動度は高い。保有シーズ数も
多く、特許出願も比較的多いことから、パイプラインとしてほぼ確立していると思われる。
【ネットワーク形成】
本プログラムの拠点間ネットワーク構築事業について積極的に推進している。大阪共同治
験ネットワークでは、共同 IRB の実施やレジストリ構築など、地域の医療機関とも連携して
いる。さらに、製薬企業及び医療機器メーカーとともに未来医療交流会を組織し、研究者と
企業とのマッチングを行うなど、産学連携活動へも積極的に取り組んでおり、今後の成果が
期待される。拠点外からのシーズ探索については ACT Japan と呼ばれる拠点外の研究者から
の支援依頼を受け付ける体制を構築して全国よりシーズ探索を行っているものの、拠点外シ
ーズのシーズ B、C への採択実績が比較的少ないため、今後さらに強化を行い機能させること
を期待する。
【総評】
組織体制・設備・人材の整備は、順調に進んでおり、拠点の特色化についてもさらなる進
捗が認められる。今後も他の拠点のモデルケースとなるような先進的な取組をさらに推進し
て欲しい。
【個別課題①】
「卵巣癌を対象とした分子標的治療薬 BK-UM の臨床開発」
進捗状況及び得られた成果は十分とは言い難い。
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本プロジェクトは卵巣癌に対する分子標的薬 BK-UM の実用化を目指すものである。医師主
導治験(第 I 相)は計画通り平成 22 年度中に終了したが、当初予定していた併用薬が販売
中止となったため、新たな非臨床試験の実施が必要となったこと等により、1 年遅れで平成
25 年より次相の医師主導治験(第Ⅱ相)を全国 5 施設で開始し、試験継続中である。
第Ⅱ相試験の実施に向けて、プロトコル作成、PMDA 対応を行い、治験調整事務局として他
施設との調整を行うなどの支援を行っている。治験開始の遅れについては、やむを得ない事
情があるものの、現在の第Ⅱ相試験についても症例登録が遅れており、拠点の支援が不足し
ていたと言わざるを得ない。強力な支援のもと症例登録を加速させることが望まれる。
今後は、現在継続中の第Ⅱ相試験を完了し、製薬企業へ導出を図ることとしている。抗が
ん剤開発においては、早期の企業治験への移行が重要であり、ライセンスアウトを強力に推
進する必要がある。第Ⅱ相試験の結果に基づいて適格な GO/NO GO 判断を行うことが重要であ
る。
研究代表者らが新規に開発した分子標的薬の実用化を目指し、第Ⅰ相試験を計画通りに遂
行し、第Ⅱ相試験の実施まで開発したことは評価できる。実用化まではハードルがあり、現
在以上の支援が必要と考えられる。
【個別課題②】
「多能性幹細胞フィーダーフリー培養基材の開発」
進捗状況及び得られた成果は大変優れている。
本研究では GMP 準拠のヒト組換えラミニンの活性フラグメントの製造法を確立し、移植治
療用ヒト幹細胞フィーダーフリー培養基材としての有用性を実証することを目標とした。
関連企業の実施許諾のもと、GMP 規格に準拠した商品の製造と事業化に成功したことは評価
できる。また、本研究に関しては多数の論文発表や特許出願の実績があり、さらに本培養法
は、京都大学 iPS 細胞研究所で行っている医療用 iPS 細胞ストックの作製にも使用され、臨
床応用を目指す移植治療用細胞の製造においても有用性が確認されており、その成果は大変
優れている。
拠点の支援により特許調査を実施し、有効な知財戦略の立案がなされた。さらに国内外の
企業交渉についても支援を行い、国内企業との共同研究やライセンスアウトに貢献しており、
十分な支援が行われたと考えられる。
本培養法は、国内では既に広く普及し、製品の製造と販売も順調に進んでいる。今後は、
広く海外に普及させ、本培養法がヒト多能性幹細胞の世界標準となることを目指しており、
そのためには広く情報発信を行っていくことも必要と思われる。海外展開の戦略については、
国内外の企業と協議・情報交換し、戦略策定を行う必要がある。また、より高機能な第 2 世
代のフィーダーフリー培養法の確立にも注力する予定としており、今後の開発が期待される。
本プログラムによる培養基材が多能性幹細胞の培養法として確立され、本邦の再生医療の
実現と推進に貢献することを期待したい。
32
2-7 九州大学「革新的バイオ医薬医工学の医療技術開発拠点」
【評価】
進捗状況及び得られた成果は優れている。
【支援機能の整備状況】
ARO(Academic Research Organization)として機能する組織体制の完成を目指した整備が
順調に進行している。データセンターを拡充して機能強化し、モニターリングユニット、監
査ユニット、メディカルライティングユニットを設置し、必要な専門家を雇用し、TR 支援機
能・設備・人材の整備を行っている。プロジェクトマネジメント、モニタリング人材につい
ては不足しており、今後もさらに強化が必要である。また、自立化については人員の定員化
や、収益項目の確立など、更なる努力が望まれる。拠点の強みとして、循環器、腫瘍疾患、
医療機器分野の 3 領域を柱として重点的に強化・支援を行う予定としており、拠点の特色を
見出そうとしている点は評価できる。また、企業製品に大学の研究・知財を組み合わせて新
規医療を開発する Drug repositioning に関しても積極的に取り組んでおり、今後も重要な分
野であるため、大きな柱として推進して欲しい。
【シーズ育成機能】
シーズ進捗管理に際しては、シーズ A に関してはシーズ開発会議を設置した上で毎月の報
告書の提出を課して管理しており、それ以外のシーズについても定期的に ARO 推進室会議に
おいて研究者から進捗状況報告を受けており、適切に進捗管理がなされている。現時点で医
師主導治験の 1 件を開始しており、管理しているシーズ数からも終了時までの 3 件の目標達
成は可能と考える。新規シーズの組入れも多く、今後は増加するシーズに対応するためのプ
ロジェクトマネジメント体制、知財戦略策定体制の充実が必要と思われる。
【ネットワーク形成】
拠点外シーズの探索については、西日本アカデミア TR ネットワーク(WAT-NeW)を構築し、
積極的にシーズの探索と育成を行っており、シーズ B、C についても 4 件の拠点外シーズが採
択となっている。また、福岡県内の 4 大学や 5 基幹病院で構成され、中央 IRB を有する治験
ネットワーク福岡とも連携している。さらに、企業との窓口であるアジア太平洋研究開発ネ
ットワーク(ARDENT)を設置しシーズの円滑な導出も図っている。他にも久山スタディとの
連携や、種々の疾患レジストリーネットワークとの連携を行うことにより、効率的なシーズ
開発・支援を行う体制を構築している。
【総評】
拠点の体制整備は整いつつあり、今後は具体的な成果を継続して発信していく段階となっ
ている。拠点機能強化、自立化に向けた全学的な取組をさらに推進して欲しい。
【個別課題】
「虚血肢治療用低侵襲ナノ粒子製剤の実用化」
進捗状況及び得られた成果は十分である。
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本プログラムにおいては、独自に開発した血管内皮細胞選択性ナノ DDS 技術を重症虚血肢
に対する治療として実用化することを目標としている。動物モデルにおいて、非臨床 POC を
取得した後、医師主導治験(第 I/IIa 相)を開始、第 1 用量の 4 症例の治験薬投与を終了し
ている。基礎実験から臨床開発まで順調に進捗していると判断できる。また、特許出願や論
文発表の業績も十分である。
薬事、GCP 助言、データマネジメント、薬物動態解析、安全性情報管理、臨床試験コーデ
ィネーター(CRC)
、治験事務局、知的財産管理等の支援が行われており、医師主導治験を実
施するための各プロセスを ARO として十分に支援が行われている。今後、臨床開発が進む際
に一段と充実した支援が求められる。
今後、被験者リクルートを加速し、早期終了を目指し、協力企業にライセンスアウトを行
い、次相以降の治験は企業主導で実施する計画としている。また、PMDA から指摘を受けてい
る事項についても速やかに検討を行うことが望まれる。
非臨床 POC の取得から医師主導治験まで着実に進展していることは評価できる。開発の最
終的な着地点が見えてきており、今後は医師主導治験の早期終了を目指して努力して欲しい。
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3.サポート機関の評価
先端医療振興財団「橋渡し研究加速ネットワークプログラムにおける拠点サポート」
【評価】
進捗状況及び得られた成果は優れている。
【拠点に対する支援】
① 国際競争、② シーズ育成、③ パイプライン管理、④ 自立化、⑤ ネットワーク化を 5
つの柱に据え、各項目に具体的な目標を設定することにより、拠点整備の方向性を適切に意
識付けている。さらにプログラムマネジメントツールとして各種の調査票を策定し、情報収
集手段として利用するとともに、書式をデータベース化(R&D パイプライン管理システム)
することによりシーズ情報の集約や一元的・一気通貫的管理を可能としており、パイプライ
ン管理に大いに寄与したと考えられる。各拠点を年に 2 回調査・訪問し、拠点機能強化会議
とシーズ開発進捗会議を開催し、多面的な意見交換を通じて TR 支援機能の強化を促している。
その結果、シーズの治験移行、製造販売、保険医療化などの成果を挙げており、支援体制は
十分であったと判断する。今後は現場との意思疎通をさらに深め、拠点の事情を考慮したき
め細やかな支援を行うとともに、国際競争力の強化や自立化についても具体的な支援が期待
される。
【拠点間における競争意識や情報交換】
各拠点代表者の参加の下で 4 回の運営連絡会を開催し、拠点機能の整備状況やシーズ開発
状況等について情報共有と意見交換の場を設けるなど、他拠点との重要な情報交換の場とな
っている。拠点間の連携強化を図るために、東北大学が事務局を担うネットワーク構築事業
の立上げと運営も支援している。また、各拠点には近隣研究機関との連携強化を促してきた
結果、個々の拠点を中心とするネットワークが形成され、他機関有望シーズの獲得競争が始
まりつつあることは成果として認められる。拠点間の競争意識は第二期になり相当醸成され
てきたと考える。
【普及・啓発活動等、その他のサポート活動】
各年度に開催している成果報告会は、平成 25 年度からは厚生労働省の臨床研究中核病院等
とも合同で行っており、普及活動として評価できる。企業からの参加も見られるが、開発の
決定に携わるような企業担当者とのマッチングの機会とはなっておらず、企業側への働きか
けや、別の機会を設けるなどの工夫も必要と思われる。TR に関する国民と研究者の理解を深
めるための普及・啓発活動を実施する必要性は極めて高いが、本プログラムの拠点となって
いる大学を除いた一般的な認知度はまだ十分であるとはいえず、今後も広く国民に普及・啓
発させる活動が期待される。拠点における知財戦略を支援するため、拠点が支援するシーズ
の中で優先度が高いものについて特許・競合技術の調査を行い、拠点担当者と意見交換する
ことで調査ノウハウの蓄積を支援しており、拠点側も非常に有用な支援活動として高く評価
している。開発においては知財戦略が極めて重要であり今後も拠点における各シーズの知財
戦略についてさらに洗練させるため、各拠点と議論して課題を解決するとともに、啓発活動
35
についてもさらに積極的に行って欲しい。海外の TR センターの取組や成功事例の調査、及び
TR センターの指導者を招聘してのワークショップは非常に有意義であり、これらの先進的な
TR センターのノウハウを各拠点に還元することを期待する。
【総評】
拠点サポート活動は具体的な支援を行っており、方向性は良いものと考えられる。各拠点
のパイプラインが着実に稼働しており、薬事承認を取得するシーズが順次出始めるなど、各
拠点が稼働し続けられる体制が完成するようサポート活動を続けていくことが重要と考える。
今後、真に国際的に競争力のある TR センターとして強化・育成されることを期待する。
36
Ⅳ
今後のプログラムの方向性
我が国の橋渡し研究を推進させるために、本プログラムにおいて、今後何をなすべきかと
いった観点から検討を行った。本プログラムの評価において指摘された問題点等を検証し、
今後の我が国の橋渡し研究支援のあり方について、以下のとおり提言する。
1.オールジャパンの支援拠点としての体制構築について
我が国全体としての TR 基盤整備の適正な規模の判定は困難であるが、現在、北陸・中国・
四国地区は橋渡し研究支援拠点の空白地帯であり、また、関東地区も多くの医学系大学やラ
イフサイエンス系の研究機関を有しており、相対的な基盤機能が不足していると思われる。
これらの空白地帯を補うために、協力する機関とのネットワークを強化するなどの方策を検
討することが求められる。現在、本プログラムにおいては、新規拠点の公募を行っているが、
これらの地域的分布についても再検討の余地がある。
トップダウン型の迅速な意思決定が出来ている拠点は比較的整備がうまく進んでおり、指
示系統が複雑な拠点については、そうした体制を参考にしながら組織体制の改革についても
検討を進めることが必要である。本プログラムで整備している 7 つの拠点については、今後
は各々の特色を深めた独自の戦略性を持って、シーズ開発を進めていくことが求められる。
当面は、シーズの開拓を含め、拠点間の競争を促していくことが適切と考えられる。今後、
具体的な成功事例を多く創出した拠点に有望なシーズが集まることで、拠点が成長し、持続
可能性が高まるような仕組みの検討が求められる。
オールジャパンの体制の構築に向けて、全国的なシーズの探索を行なうことが必要である。
平成 26 年度のシーズ B、C の募集においては、拠点外シーズの増加が認められたものの、十
分であるとは言えない。新規シーズの受入窓口をつくり、希望機関の申入れを待つ体制には
限界があり、今後も拠点外の大学・研究機関への積極的な関与が図れる施策が必要である。
シーズ探索においては、特に科学研究費助成事業等の外部資金を獲得している各研究室に
おけるシーズになりうる成果を、各大学のマネジメントにより適切に収集できるように取り
組むべきである。
拠点において支援中のシーズについては、知財戦略が十分かどうかも再確認する必要があ
る。シーズ B、C の段階に入っていても、国内特許のみのシーズが散見されており、各プロジ
ェクトにおける知財戦略も、まだまだ洗練されているとは言えない。サポート機関や拠点同
士で連携しながら、課題を解決していって欲しい。
これまで整備してきたネットワークを一層強化することも重要である。今後拠点間・拠点
内ネットワークが効果的・効率的に機能すれば、症例の確保の促進、リソースの共有等によ
り、臨床研究・治験の進捗を加速できると考えられる。これまでの我が国の臨床研究・治験
は、複数施設による共同研究において、必ずしも十分に連携が図られていなかったことから
症例登録に長期間を要しており、多くの企業が国内での治験を敬遠する理由になっていたこ
37
とは否定できない。さらにオールジャパン体制を効率よく構築するためには、PhaseI 病床等
の臨床試験専用ベットを有し、臨床薬理学の専門家のもと精力的に臨床試験・治験を実施す
る機関とも積極的に連携し、各機関の既存の特長、強みを利用することも今後必須である。
拠点を含む臨床試験・治験ネットワークの連携が完成すれば、今後ネットワークを活用した
企業との共同研究も活発化すると考えられ、拠点の自立化にも大いに役立つと考えられる。
各拠点の活動を横断的に評価し、確実な成果につなげるための適切な介入は非常に重要で
あり、本プログラムでは、研究者及び研究全体を統括する PD・PO 及びサポート機関が各拠点
に対して適切なアドバイスを行っている。橋渡し研究の推進には、研究機関としての専門性
と、シーズを客観的に判断して資金やリソースを分配する合理性の両方の観点を併存させる
必要があり、組織のガバナンスを強化する上でも、PD・PO のような外部評価者による適切な
介入を継続してほしい。一方で、個々の大学等の自立性が尊重される中で、国内の橋渡し研
究が統合的に推進され、結果として日本の橋渡し研究がレベルアップすることを期待したい。
そのためには、各拠点が別々にシーズを管理するのではなく、一つの機関がシーズ情報を一
元的に管理し、開発戦略拠点として集中的に疾患ごとに戦略を立案するなど、シーズ候補の
集約も検討すべきと思われる。我が国の橋渡し研究全体の司令塔の役割を担える人材の確保
や、組織の構築について、検討を進める必要がある。
2.プロジェクトマネジメントの徹底について
各拠点が保有するシーズはかなりの数に上るが、組入れシーズとしての評価基準、評価・
決定方法、見直し時期・方法が不明瞭である。拠点がシーズ支援の根拠となるシーズ評価方
法を確立することも必要である。今後、各拠点に対してシーズ選定・評価基準の設定を求め
ることも考慮すべきである。また、支援のマイルストーンをはっきり決めることも重要であ
り、特にシーズ C については、あらかじめ GO/NO GO を決定するマイルストーンを設定し、そ
れまでは支援することを検討してはどうか。例えば第Ⅱa 相、第Ⅱb 相終了時等の各時点をマ
イルストーンとして設定することを提案する。
通常、企業の平均的な医薬品の開発期間は、第Ⅰ相試験開始決定時から申請時まで約 5 年
とされており、これに比べると各拠点の支援期間は大幅に長期となっている。試験の加速に
ついてもシーズ育成の評価項目に加えるべきである。また、革新的シーズについては重点的
に研究費の支援を実施する等のインセンティブを与えて、研究を加速させることも必要であ
ると思われる。
3.臨床研究の質の向上について
近年、特定の高血圧症治療薬に関する研究論文のデータ不正操作・利益相反行為等が明ら
かとなり、大きな問題となっている。本プログラムの実施機関においても、本プログラムで
直接支援を受けた研究ではないものの、臨床研究倫理指針違反等の不適切な臨床研究事案が
認められている。このような事案の再発防止に向けて、「研究活動の不正行為への対応のガ
イドライン」「臨床研究に関する倫理指針」等の見直しや、新たな法的措置を含めた検討が
38
行われている。本プログラムの拠点は、厚生労働省の臨床研究中核病院等と革新的医療技術
創出拠点として一体化し、国際水準の質の高い臨床研究・治験を実施・支援する体制の整備
を目指していることから、臨床研究倫理指針違反等の事案が起こった場合にはその社会的影
響は非常に大きいものとなる。このようなことが二度と起こらないよう臨床研究に関する情
報公開、監査、モニタリング、利益相反管理、医師・薬剤師・研究者等への卒前・卒後の研
究倫理の教育など、研究開発現場におけるコンプライアンス遵守への取組を徹底して欲しい。
また、臨床研究に係る不適切な事案に厳正に対処し、再発防止を強く求める観点から、各機
関において不適切な臨床研究の実施が発生した場合は、本プログラムにおいても予算の減額
や事業の中止等の措置を考慮すべきである。
4.イノベーションの創出に向けて
イノベーションの創出には人材育成が重要であり、大学等において専門人材の育成の重要
性について啓発を継続的に行っていくべきである。シーズの目利きを行う人材、医療現場の
ニーズを集めて企業とマッチングを行う人材、プロジェクトマネジメントを行う人材、知財
戦略を策定する人材等が不足しており、人材交流等も含めて、このような人材の育成に向け
た取組は今後も強力に推進して欲しい。現在、文部科学省においては URA(University
Research Administrator)の増加にも取り組んでいるが、プロジェクトマネジャーと業務や
求められる役割が重複している部分があり、これらの施策との整理を行う必要がある。
拠点における人材育成と人材登用を将来にわたって維持していくためには、専門人材のイ
ンセンティブを高める業績評価やキャリアパスの形成が不可欠であり、大学等において整備
されることが求められる。一部の拠点においては、海外の人材育成プログラムを導入するこ
とや、異分野の人材がベッドサイドで医療現場のニーズを抽出し研究開発を行うアカデミッ
クサイエンスユニットを設立するなど、イノベーションを創出する専門人材の育成が始まっ
ており、今後もこれらの取組は強力に推進して欲しい。
今日、企業を含め創薬の生産性の低下が指摘されており、ドラッグ・リプロファイリング
などの創薬分野が想定されている。既存薬の新規効能発見など医療現場ならではのアカデミ
アの特性を生かした研究開発にも眼を向けるべきであろう。
一方、欧米においては、従来製品の価値を破壊するかもしれない全く新しい価値を生み出
す破壊的イノベーション(Disruptive innovation)の考え方を、医薬品・医療機器等の研究
開発に導入する必要性が提唱されている。破壊的イノベーションとは、従来の価値基準では
性能が劣るため、当初は大規模な主流市場では地位を得られないが、新しい価値基準では優
れた特徴を有しており、新しい製品であるが故にその後の開発の進化が早く、たちまち従来
技術を代替するようなイノベーションのことを言う8。医療機器開発等においては、顧客の意
見に耳を傾け、ハイエンド市場の顧客向けに製品を販売・改良することが重要であるが、破
壊的イノベーションの開発初期段階は低価格・低性能のローエンド市場向け製品である場合
も多く、新たな価値観を評価基準に加えなければ真のイノベーションの創出には繋がらない。
8
Bower, Joseph L. & Christensen, Clayton M. (1995). "Disruptive Technologies: Catching the Wave" Harvard Business
Review, January-February 1995.
39
我が国においてもこのような概念を取り入れ、研究開発を行うべきと考える。
40
おわりに
大学発シーズの育成によって、革新的な医薬品・医療機器等の創出に資するプロジェクト
として、良い方向で進捗が見られた。国際的に開発競争が激化する中で「橋渡し研究」は、
ライフサイエンス分野における次世代の産業を振興していくための戦略的展開として、その
重要性は増している。世界の医療市場は年々成長を続けているなかで、我が国の医薬品・医
療機器についての貿易赤字は平成23年には2兆円に達し、その後も拡大傾向にある。一方で、
革新的な医薬品・医療機器等を開発するための基礎研究や、医療機器のベースとなる技術力
については、国際的にも競争力を保っている。したがって、我が国が医療分野の研究開発を
推進し、医療イノベーションを推進する観点から、橋渡し研究に対して大きな期待が寄せら
れている。
本プログラムは、シーズ育成機能の強化、拠点の自立化、ネットワークの構築を3つの柱と
して取り組んできたが、プログラムとして優れた成果が得られたとして一定の評価はできる。
一方で、画期的な基礎研究の成果が、医薬品・医療機器等として国民に還元され、ライフイ
ノベーションに貢献するにはまだハードルがある。今後のプログラムの方向性において提案
した各項目については、シーズをより早く実用化するためにも、推進して欲しい。
本プログラムの参画機関は、プログラム開始時に設定した目標への到達を目指して基盤整
備やシーズ育成を行うとともに、各拠点独自の取組を実施することにより、自らの拠点の持
つ価値を高め、特色化する努力も認められた。拠点はアカデミックシーズを社会に普及させ
ていくことが求められるが、知財戦略、産学連携等の取組の中で、各々の拠点が今後どのよ
うに橋渡し研究を推進していくのかについては大いに期待したい。
今後の支援のあり方の検討を進めてきた中で、自立化については一定の道筋を立てている
拠点も出始めているが、現状では困難であるという評価が目立った。しかし本プログラムは
既に第二期の半ばまで達しており、いつから本格的に自立させ、各拠点自立運営に移行する
かについても真剣に検討すべき時期に差し掛かったものと判断する。これまで各拠点は、橋
渡し研究支援拠点に望まれる機能をすべて整備することを目指してきた面があるが、すべて
の拠点が同様の機能を持つことは非効率的であり、一部の機能は共有化あるいはアウトソー
シングするなど、経営面での努力も今後必要になってくると思われる。
各拠点の成果は当初に設定した目標にほぼ達しており十分な進捗が認められたが、中間評
価で厳しい評価もあったことは、本プログラムに対する大きな期待の裏返しである。第二期
の残された2~3年間は今まで以上に緊張感をもって、本プログラムの推進に取り組んでもら
いたい。橋渡し研究支援拠点が真のイノベーションを創出し、我が国の経済成長に寄与する
とともに、国民の健康寿命の延伸に大いに貢献することを期待したい。
41
参考資料
参
考
資
42
料
(参考 1)事前評価票
事前評価票
1. 課題名 橋渡し研究加速ネットワークプログラム
2. 開発・事業期間 平成 24 年度~平成 28 年度
3. 課題概要
がん等の医療としての実用化が見込まれる有望な基礎研究シーズを有している大学等を
対象に、それらのシーズを着実に実用化させ、国民の医療に資することを目指し、開発戦
略や知財戦略の策定、試験物の製造などの橋渡し研究の支援を行う拠点を整備・強化する
とともに、これら拠点から支援を受ける橋渡し研究に対し、公的研究費による支援を行う。
平成 19 年度より開始した第一期では、公募により採択した 7 拠点の拠点整備を進め、4
つの柱である①支援機関の機能強化、②人材の確保・登用・育成、③橋渡し研究支援、④
支援機関の活動・連携促進等、はおおむね目標に到達している。また、プログラムの具体
的な成果として、
「プログラム期間内に、1 機関(拠点)あたり有望な基礎研究の成果が、2
件ずつ薬事法に基づく治験の段階に移行すること」を目標として課し、現時点で、全拠点
で達成の可能性があると考えられる。
平成 24 年度からの事業開始を目指す第二期では、さらに拠点の特色化、ネットワーク化
及びオープンアクセス化、拠点における人材確保・育成の強化、及び拠点を活用した橋渡
し研究に対する研究費の拡充を図ること等を検討している。
4. 各観点からの評価
(1)必要性
○事後評価において「本プログラムの 4 つの柱である①支援機関の機能強化、②人材の
確保・登用・育成、③橋渡し研究支援、④支援機関の活動・連携促進等、はおおむね目
標に到達している」とされており、橋渡し研究を支援していくための基盤は整備された。
他方、以下のように、橋渡し研究支援推進プログラムに対する期待はプログラム開始当
初以上に高まっており、本プログラムをさらに強化していく必要がある。
○第4期科学技術基本計画に関した答申「科学技術に関する基本政策について」に関する
意見具申(平成23 年7月29 日 総合科学技術会議決定)において、
「国は、大学、公的
研究機関、産業界との連携の下、新たな創薬や医療機器開発につながるシーズを生み出
し、その実用化を加速するため、官民をあげた創薬・医療技術支援基盤の整備を実施す
る。特に、
「橋渡し」研究拠点を充実、強化するとともに、研究提案を公募し、全国の
大学や企業等に拓かれた医療機関ネットワークを構築する。
」と記述されている。
○「革新的医薬品・医療機器創出のための 5 か年戦略」(平成 19 年 4 月文部科学省・厚
生労働省・経済産業省決定、平成 21 年 2 月改定)においても、ライフサイエンス関連
予算の中で医薬品・医療機器開発分野の重点化・拡充や、「橋渡し研究拠点」における
臨床に向けた橋渡し研究の取組の強化があげられている。
43
○内閣府、文科省、厚労省、経産省の 4 大臣及び有識者から構成される健康研究推進会
議に設置されたアドバイザリーボードが策定した「健康研究推進戦略に向けた提言」
(平
成 21 年 6 月 3 日)においても、最先端医療の実現を目指した橋渡し研究拠点機能の強
化や、拠点の特色化、ネットワーク化及びオープンアクセス化が明記されている。
(2)有効性
本プログラムを強化する主な有効性は、以下のとおりである。
○研究費の拡充により、研究開発が停滞している、がん等の有望な基礎研究シーズの臨
床への橋渡しが加速され、国民へ医療として還元されることが期待される。
○人材確保・育成の強化とともに拠点の特色化、ネットワーク化、オープンアクセス化
を図ることで、がん等の有望な基礎研究シーズを次々と革新的医療として迅速に実用
化していくための機能の整備が図られる。
(3)効率性
本プログラムを強化する主な効率性は、以下のとおりである。
○第 1 期で整備した橋渡し研究支援基盤を活用し、また、これまで支援を行ってきた研
究シーズを引き続き支援することにより、基礎研究の臨床段階への橋渡しをシームレ
スに行うことができる。
○第 1 期では基盤整備が主たる目的であったが、第 2 期においては、研究費部分を拡充
することにより、研究者が研究資金を獲得し、橋渡し研究支援拠点を活用することで、
拠点自身が成功体験を積み、効率的・効果的な支援が行えるようになるとともに、各
拠点の特色化・オープンアクセス化が進み、オールジャパンの支援拠点として活用す
ることが可能となる。
○また、あわせて特色化した拠点間の連携を強め、設備の共同利用や共同試験の実施等
拠点間のネットワーク化が進むことで、その特色が橋渡し研究の支援活動において相
乗効果を生むことも期待される。
○シーズを研究開発のプロセスであるコンセプト段階、シーズ候補段階、前臨床段階、
臨床試験段階に振り分け、シーズの次の段階への移行を目標とし進捗管理する。例と
して、各年度毎に、2 件の次の段階への以降、あるいは企業へのライセンスアウトを目
指すなど、事業の効果的・効率的な推進方策は今後更に詳細を詰めていく予定である。
5. 総合評価
○大学でしかなし得ないような稀少疾患、難病を対象とした研究についての橋渡し研究
は重要であり、今後さらに大学間の協力体制を整備して、製薬会社の協力を得られる
ような臨床体制の検討が必要である。
○橋渡し研究を加速させるために、個々の大学が抱える共通課題を文部科学省、厚生労
働省および経済産業省とともに協働して調整することが重要である。
○自立運営を目指すために、人件費含む資金手当の問題を大学の中でも検討することが
必要である。
44
(参考 2)設置要綱
26 文 科 振 第 67 号
平 成 26 年 5 月 1 日
文部科学省研究振興 局
「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」中間評価委員会設置要綱
1.目的
橋渡し研究加速ネットワークプログラム(以下、「プログラム」という。)の進捗状況や
研究成果、今後の計画を評価し、プログラムの適切な予算配分と計画の見直しを行うこと
を目的とする。
2.構成
(1)委員会の委員(以下、
「委員」という。)は、外部の有識者や専門家で構成する。
(2)委員会に、主査及び副主査を置き、委員の中から文部科学省研究振興局ライフサイエン
ス課が指名する。
(3)委員会は、主査が召集する。
(4)主査に事故があった場合には、副主査がその代理を務める。
(5)委員会は、委員の 2 分の 1 以上の者の出席がなければ開会することができない。
(6) 委員会に出席できない委員は、主査又は他の委員にその権限を委任することができる。
この場合、当該委員は委員会に出席したものとみなす。
(7)委員の任期は、委嘱した日から当該日の属する年度の末日までとする。
3.情報公開
委員会は特定機関の利害に関わる検討を行うため、会議及び議事については非公開とす
る。ただし、特定機関の利害に関わる議事(個別課題の評価等)を除き、委員会の資料及
び議事録を適切な方法で公開することができる。
4.守秘義務
委員は、委員会において知り得た情報について他に漏らしてはならない。
5.庶務
委員会に係る庶務は、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課において処理する。
45
(参考 3)委員名簿
「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」中間評価委員会委員名簿
【主査】
北島 政樹
国際医療福祉大学
学長
【副主査】
岩﨑 甫
山梨大学大学院 医学工学総合研究部臨床研究開発学講座 特任教授
【委員】
大滝 義博
(株)バイオフロンティアパートナーズ 代表取締役社長
菊地 眞
(公財)医療機器センター
理事長
小林 真一
昭和大学 臨床薬理研究所
所長
近藤 達也
(独)医薬品医療機器総合機構 理事長
竹内 正弘
北里大学薬学部 臨床医学(臨床統計学・医薬開発学) 教授
谷岡 寛子
日本医療機器産業連合会 臨床評価委員会
中島 唯善
日本製薬工業協会
中村 博安
前
委員長
医薬品評価委員会臨床評価部会
部会長
武田バイオ開発センター株式会社 代表取締役社長
46
(参考 4)シーズパッケージ制度
シーズパッケージ制度とは、拠点はシーズ研究者と連携し、それぞれのシーズに関し、最適な
資金を直接配分する仕組みを含めた橋渡し研究支援を行う制度である。
拠点は支援するシーズを研究の進捗毎にシーズ A~C に振り分ける。このうち、拠点がシーズを
支援するのに必要な経費(拠点支援活動費)及び研究費の補助を希望するシーズについては、文
部科学省に申請する。シーズ A、B、C 毎に選考方法は異なる(以下、参照)
。文部科学省は、申請
されたシーズについて審査する際、他の競争的資金に対して応募経験があるかどうか確認する。
原則、他の競争的資金に採択されなかったシーズについて補助するものとし、他の競争的資金の
獲得を目指し、毎年申請することを前提とする。
シーズ A:
関連特許出願を目指す基礎研究課題を対象とする(目安として 2 年以内に特許出願をし、シー
ズ B への移行を目指すものとする)
。
橋渡し研究支援拠点は、支援するシーズ A のうち、拠点支援活動費及び研究費の補助を希望す
る研究課題につき、別途文部科学省が指示する額を上限として複数の研究課題をシーズ A として
登録することができ(登録数に制限はない)
、文部科学省の元に設置される PD、PO 等から構成さ
れる推進委員会等の審査を受けることなく、拠点内の審査に基づき、文部科学省に補助金交付申
請書を提出することができる。文部科学省は、課題当たり最大 500 万円の研究費を拠点に交付し、
拠点からシーズ研究実施機関へ必要な研究費を配分することとする。当該補助期間は、原則 1 年
間とする。
拠点は、支援するシーズ A について、進捗管理や成果のとりまとめ等を実施することとしてい
る。
シーズ B:
関連特許出願済みである以下の研究課題を支援対象とする。
・ 非臨床 POC 取得及び治験届提出を目指す医薬品及び医療機器の研究課題
・ 薬事申請用臨床データ取得を目指す体外診断用医薬品の研究課題
橋渡し研究支援拠点は、支援するシーズ B のうち、拠点支援活動費及び研究費の補助を希望す
る研究課題につき、文部科学省に複数の研究課題を申請することが出来る。なお、拠点支援活動
費及び研究費補助の募集対象は、3 年以内に上記の目標への到達を目指す研究課題である。採択
の可否については、課題選考委員会の意見を踏まえ文部科学省が決定する。文部科学省は、1 課
題当たり年間最大 5,000 万円※の研究費を拠点に交付し、拠点から実施機関へ必要な研究費を配分
することとする。当該補助期間は、原則 1 年間とする。
文部科学省が研究費を支援する全課題を対象に、状況に応じて、サイトビジットやヒアリング
等において推進委員会による評価を実施し、次年度の補助継続の可否について検討することもあ
る。
シーズ C:
関連特許出願及び非臨床 POC 取得済みであり、健常人又は患者を対象とし、臨床 POC 取得を目
指す臨床研究課題を対象とする。
47
橋渡し研究支援拠点は、支援するシーズ C のうち、拠点支援活動費及び研究費の補助を希望す
る研究課題につき、文部科学省に複数の研究課題を申請することが出来る。なお、拠点支援活動
費及び研究費補助の募集対象は、3 年以内に目標(臨床 POC 取得)への到達を目指す臨床研究課
題である。採択の可否は、課題選考委員会の意見を踏まえ文部科学省が決定する。文部科学省は、
1 課題当たり年間最大 8000 万円※の研究費を拠点に交付し、拠点から実施機関へ必要な研究費を
配分することとする。当該補助期間は、原則 1 年間とする。
文部科学省が研究費を支援する全課題を対象に、状況に応じて、サイトビジットやヒアリング
等において推進委員会による評価を実施し、次年度の補助継続の可否について検討することもあ
る。
※ 平成 26 年度募集時の金額
表 1 各シーズに対する条件
対象課題
シーズ A
シーズ B
シーズ C
関連特許出願を
関連特許出願済みである以
関連特許出願及び非臨床
目指す基礎研究
下の研究課題
POC 取得済であり、健常人又
課題
・非臨床 POC 取得及び治験
は患者を対象とし、臨床 POC
届提出を目指す医薬品及び
取得を目指す研究課題
医療機器の研究課題
・薬事申請用臨床データ取
得を目指す体外診断用医薬
品の研究課題
研究費等の補 助
※1
の対象課題
上記「対象課題」 上記「対象課題」のうち、3
上記「対象課題」のうち、3
と同じ。
年以内に目標への到達を目
年以内に目標への到達を目
指す研究課題
指す臨床研究課題
研究費等の申 請
拠点から文部科
拠点から文部科学省へ計画
拠点から文部科学省へ計画
方法
学省へ交付申請
書を申請
書を申請
最大 500 万円
原則、最大 5000 万円
原則、最大 8000 万円
原則 1 年
原則 1 年
原則 1 年
研究費等の補 助
状況に応じて、サイトビジ
状況に応じて、サイトビジ
継続等の可否
ットやヒアリング等にて推
ットやヒアリング等にて推
進委員会による評価を実施
進委員会による評価を実施
し、次年度の補助継続の可
し、次年度の補助継続の可
否について検討
否について検討
(拠点内の審査
に基づく)
補助額※2
(1 課題当り)
研究費等の補 助
期間
※1 研究費等の補助対象課題となるシーズ B、C は、関連特許の出願人に原則研究代表者の所属す
る研究機関が含まれるものとする。
※2 平成 26 年度募集時の金額
48
(参考 5)研究費支援対象シーズ B、C 一覧
● 平成 24 年度採択シーズ B:5 課題
申請拠点名
課題名
代表研究者(所属)
北海道臨床開発機構
脊髄損傷患者に対する自家培養骨髄間葉系幹細胞の静脈内投与による
細胞療法の検討
山下
敏彦(札幌医科大学)
東京大学
結紮を必要としない微細縫合糸の臨床応用
小野
稔(東京大学)
東北大学
神経・血管温存下に最大限の病変摘出を行う手術用治療器(パルスウ
ォータージェットメス)の開発
冨永
悌二(東北大学)
大阪大学
皮質脳波を用いたワイヤレス体内埋込型運動・意思伝達機能補填装置
吉峰
俊樹(大阪大学)
九州大学
急性心筋梗塞症治療用ナノ粒子製剤の実用化のための橋渡し研究
江頭
健輔(九州大学)
● 平成 24 年度採択シーズ C:5 課題
申請拠点名
課題名
代表研究者(所属)
北海道臨床開発機構
動体追跡陽子線治療の先進医療認可取得
白土
博樹(北海道大学)
北海道臨床開発機構
炭素 11 標識メチオニンによる PET 診断
玉木
長良(北海道大学)
東京大学
軟骨と粘膜上皮の複合再建を実現する再生気管軟骨の臨床展開
高戸
毅(東京大学)
大阪大学
角膜上皮幹細胞疲弊症に対する自己培養口腔粘膜上皮細胞シート移植
法の多施設共同臨床試験
西田
幸二(大阪大学)
大阪大学
新規前立腺癌治療薬の医師主導治験の推進
金田
安史(大阪大学)
九州大学
高性能国産新規 RNA ウイルスベクターによる虚血肢治療製剤の開発
米満
吉和(九州大学)
● 平成 25 年度採択シーズ B:12 課題
申請拠点名
課題名
代表研究者(所属)
北海道臨床開発機構
プロバイオティクス由来の活性物質ポリリン酸を用いた新規炎症性腸
疾患治療薬の開発
藤谷 幹浩(旭川医科大学)
北海道臨床開発機構
空中超音波ドプラシステムを用いた新規尿流測定装置の実用化
松本 成史(旭川医科大学)
東京大学
癌治療用組換え麻疹ウイルスの開発
甲斐 知惠子(東京大学)
東京大学
生活習慣病の鍵分子アディポネクチン受容体/アディポネクチンシグ
ナル活性化薬の創出
岩部 美紀(東京大学)
東京大学
NMJ 形成増強治療の創出
山梨 裕司(東京大学)
東京大学
不活化全粒子経鼻インフルエンザワクチンの臨床応用に向けた研究
俣野 哲朗(東京大学)
京都大学
固形癌診断・治療用高分子ミセル型放射性医薬品の開発
木村 俊作(京都大学)
京都大学
キナーゼを標的とした抗ウイルス薬の開発
萩原 正敏(京都大学)
大阪大学
芳香族アミン誘導体の抗腫瘍効果の確立と非臨床 POC の取得
金井 好克(大阪大学)
九州大学
再生医療の基盤技術となる 小口径 Scaffold free 細胞チューブを用い
た血管様構造体の橋渡し研究
中山 功一(佐賀大学)
九州大学
非接触迷走神経磁気刺激システムによる劇的な急性心筋梗塞サイズ縮
小、心不全予防による生命予後改善治療実用化研究
砂川 賢二(九州大学)
● 平成 25 年度採択シーズ C:4 課題
申請拠点名
課題名
代表研究者(所属)
北海道臨床開発機構
脊髄損傷患者に対する自家培養骨髄間葉系幹細胞の静脈内投与による
細胞療法の検討
山下 敏彦(札幌医科大学)
東京大学
ゼノフリー&フィーダーフリー培養により安全性を高めた角膜上皮再
生医療の実現
天野 史郎(東京大学)
名古屋大学
次世代レトロウイルスベクターによる難治性造血器腫瘍に対する T 細
胞レセプター改変 T 細胞輸注療法
珠玖 洋(三重大学)
大阪大学
自然免疫を刺激する次世代トラベラーズマラリアワクチンの開発
堀井 俊宏(大阪大学)
49
● 平成 26 年度採択シーズ B:35 課題
申請拠点名
課題名
代表研究者(所属)
北海道臨床開発機構
羊膜由来間葉系幹細胞を用いた肝硬変の治療法の開発
坂本 直哉(北海道大学)
北海道臨床開発機構
カラー蛍光診断システムの開発と応用
大崎 能伸(旭川医科大学)
東北大学
失明患者の視機能再建
冨田 浩史(岩手大学)
東北大学
HDAC/PI3K 2 重阻害作用を有する新規デプシペプチド類縁体の開発
石岡 千加史(東北大学)
東北大学
サイクロフィリン A を用いた心血管病の新しい早期発見・予防・治療
法開発
下川 宏明(東北大学)
東北大学
ミトコンドリア病の新規治療薬開発
阿部 高明(東北大学)
東北大学
β単相超弾性材料創製及びそれを用いた次世代 IVR デバイスの臨床応
用
山内 清(東北大学)
東北大学
ヒト精子の質的機能評価に応用するハイスループット DNA メチル化解
析システムの開発
有馬 隆博(東北大学)
東北大学
低弾性率チタン合金を用いた骨粗しょう症患者向け脊椎固定器具の開
発
新家 光雄(東北大学)
東北大学
核酸誘導体
1-(2-Deoxy-2-fluoro-4-thio-b-D-arabinofuranosyl)thymine
(S-FMAU)は選択的に EBV 感染細胞を細胞死に導く
児玉 栄一(東北大学)
東北大学
中枢神経系内広範囲局所薬剤送達技術
冨永 悌二(東北大学)
東京大学
免疫・炎症性疾患治療を目指した miRNA 阻害核酸医薬の研究開発
伊庭 英夫(東京大学)
東京大学
核酸特異的 Toll 様受容体を標的とした抗体医薬の開発
三宅 健介(東京大学)
東京大学
Hippo シグナル抑制剤を用いた卵胞発育誘導薬の開発
河村 和弘
(聖マリアンナ医科大学)
東京大学
次世代型がんワクチン・人工アジュバントベクター細胞の開発
藤井 眞一郎(理化学研究所)
東京大学
バイオマーカーとしてのリゾリン脂質産生酵素:臨床検査への応用
矢冨 裕(東京大学)
東京大学
抗アレルギー炎症性脂質メディエーターを用いたアレルギー治療法の
開発
國澤 純(東京大学)
名古屋大学
非腫瘍性多能性幹細胞 Muse 細胞を用いた心筋再生による心不全治療法
開発に関する研究
湊口 信也(岐阜大学)
名古屋大学
RNA 測定による血液を用いた大腸癌検診法の実用化研究
金子 周一(金沢大学)
名古屋大学
滑膜肉腫に対する次世代型ベクターによる TCR 改変 T 細胞を用いた有
効な免疫細胞輸注療法の開発
影山 愼一(三重大学)
京都大学
高圧処理母斑皮膚および自家培養表皮を用いた先天性巨大色素性母斑
の新規治療法の開発
森本 尚樹(関西医科大学)
京都大学
マイクロ RNA-126 封入ナノ粒子積層ステントによる血管治療法
尾野 亘(京都大学)
大阪大学
脈絡膜上-経網膜刺激法による歩行可能な人工網膜の開発
不二門 尚(大阪大学)
大阪大学
アミノ酸誘導体による特異性の高いがん診断技術の非臨床 POC 取得
金井 好克(大阪大学)
大阪大学
欠損を有する半月板損傷に対するコラーゲン半月板補填材を用いた治
療法の開発
中田 研(大阪大学)
大阪大学
IgG 糖鎖解析による慢性炎症性疾患診断法の開発
三善 英知(大阪大学)
九州大学
脱落乳歯幹細胞を用いた立体肝組織移植による小児代謝性肝疾患根治
療法の開発
田口 智章(九州大学)
九州大学
アルツハイマー病・脳血管性認知症に対する脳機能改善薬の開発
福永 浩司(東北大学)
九州大学
ニーマンピック病 C 型の新規治療薬の開発
江良 択実(熊本大学)
九州大学
バイオ 3D プリンターを用いた細胞チューブによる血液透析用シャント
の開発
中山 功一(佐賀大学)
九州大学
臨床試験に向けた新規腫瘍溶解性コクサッキーウイルス療法の開発
谷 憲三朗(九州大学)
九州大学
難治性悪性腫瘍用自家細胞加工ワクチン(VaccellⓇ)の開発
米満 吉和(九州大学)
九州大学
急性心筋梗塞や脳梗塞等の虚血性臓器障害を劇的に改善する虚血-再
灌流部位選択的ナノ薬物送達システムの実用化
江頭 健輔(九州大学)
50
● 平成 26 年度採択シーズ C:35 課題
申請拠点名
課題名
代表研究者(所属)
北海道臨床開発機構
非放射性水分子プローブを用いた次世代脳血流 MRI 検査法の確立
佐々木 真理(岩手医科大学)
北海道臨床開発機構
羊膜由来間葉系幹細胞の再生医療製品化と急性 GVHD に対する治療応用
山原 研一(国立循環器病研究
センター)
北海道臨床開発機構
インテリジェント内視鏡手術ナビゲーションシステムの実用化開発と
臨床研究
山本 清二(浜松医科大学)
東北大学
国際展開を目指した All Japan 研究体制確立による胎児心電図 POC 試
験
木村 芳孝(東北大学)
東北大学
新規脳梗塞治療薬 SMTP-7 の開発
蓮見 惠司(東京農工大学)
東北大学
ハイドロキシアパタイト厚膜形成による新規歯科治療システムの開発
と臨床応用
佐々木 啓一(東北大学)
東北大学
神経・血管温存下に最大限の病変摘出を行う手術用治療器(パルスウ
ォータージェットメス)の開発
冨永 悌二(東北大学)
東北大学
ニコチンアミドによる妊娠高血圧腎症の新規治療法の開発
高橋 信行(東北大学)
東京大学
遺伝子組換えヘルペスウイルスを用いたがんのウイルス療法の臨床開
発
藤堂 具紀(東京大学)
東京大学
腸管下痢症コメ型経口ワクチンの治験
清野 宏(東京大学)
東京大学
不活化全粒子経鼻インフルエンザワクチンの臨床応用に向けた研究
俣野 哲朗(東京大学)
東京大学
自己骨髄由来培養骨芽細胞様細胞を用いた歯槽骨再生法のネットワー
ク化による推進
各務 秀明(東京大学)
東京大学
完全切除された非小細胞肺がんに対する術後補助化学療法後の
S-588410 によるペプチドワクチン維持療法の第 2 相試験
醍醐 弥太郎(東京大学)
名古屋大学
腫瘍切除等顎骨欠損症例に対し、予後 QOL 向上に向けた顎骨再生医療
法の最適化研究
片桐 渉(名古屋大学)
名古屋大学
重症心不全患者に対するテイラーメイド方式心臓サポートネット開発
秋田 利明(金沢医科大学)
京都大学
独自開発の増殖制御型ウイルス医薬の難治癌への医師主導治験
小戝 健一郎(鹿児島大学)
京都大学
抗 PD-1 抗体(Nivolumab)を用いたプラチナ抵抗性再発・進行卵巣癌
に対する治療効果と安全性の評価
小西 郁生(京都大学)
大阪大学
カスタムメイド手術ガイド及びカスタムメイド骨接合プレートを用い
た上肢骨の変形を矯正するためのデバイス・インプラントの安全性及
び有効性に関する臨床試験
村瀬 剛(大阪大学)
大阪大学
卵巣癌を対象とした分子標的治療薬 BK-UM の臨床開発
目加田 英輔(大阪大学)
九州大学
虚血肢治療用低侵襲ナノ粒子製剤の実用化
江頭 健輔(九州大学)
九州大学
癌幹細胞を標的とした進行非扁平上皮非小細胞肺癌におけるシスプラ
チン+ペメトレキセド+スルファサラジン併用療法の第 I 相試験(医師
主導治験)
佐谷 秀行(慶應義塾大学)
九州大学
HDMAC を用いた骨軟骨組織再生 First in human 臨床試験
岡崎 賢(九州大学)
九州大学
無侵襲の眼底酸素飽和度測定装置の開発と臨床評価
江内田 寛(佐賀大学)
51
(参考 6)研究費支援対象シーズの分野内訳
低分子
ペプチド・
ウイルス製剤
機器
診断薬
細胞製剤
2
1
1
3
10
脳・神経系疾患
1
1
2
1
5
循環器疾患
2
1
1
化合物
癌
2
タンパク製剤
核酸医薬
1
ワクチン
その他
2
骨・関節疾患
6
0
眼疾患
1
感染症
1
代謝性疾患
1
炎症性疾患
2
3
2
1
3
1
1
1
その他
3
4
2
3
1
泌尿器科領域
小計
小計
1
2
10
2
9
7
1
6
4
38
(平成 24 年度、25 年度研究費支援シーズ B、C を対象、京都大学作成のシーズ分類表より改変)
52
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