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賃金構造と企業別労働組合

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賃金構造と企業別労働組合
賃金構造と企業別労働組合
野田知
桃山学院大学
本稿では、クロスセクションの強人データとパネルデータを用いて、組合の黄金
効果と労蝕者の属性が護金に与える影響の格裁を分析したが、 2つのデータの分析
から得られた結果は、1.組合会業では非組合企業に比べて、勢子の場合に勤続、
あるいは年歯舎の繋金に対する効果が高くなっており、
.女子の場合には、組
になっているが、女子の場合にはこのような効果はない。 2
合企業の方が賃金が高くなっている。また男女簡の賞金格差は組合企業の方が小さ
い。組合は男女の賞金格差怒号含嬢小させること会過して、女子の場合について組合会
と非組合企業との関の賃金格差を発生させる c 男子の場合には、組合企業と
.学聾格差については、男子の場合には組合、
合会業との聞で策金格差はない。 3
非組合の関で格差がなかったが、女子丹場合には、組合企業では学膝聞の業金格差
か消首ィ、している
O
1
. はじめに
現在、日
システム
きな変化に夜欝している。いわゆる年功序列黄金、
終身悪用、企業5.jIJ労欝組合という B本的経常のげ種の神器」のうち、
金、終身濯現について詰盛んに分析が行われているが、企業別労働組合や労銀関部
心、まだ不十分で、あると言えよう。労鐘組合の経済的な蕩果
の液化についての分析 l
についての研究誌歌米では盛んに行われているが、日本においては、黄金に対する
効果をとってみても穿究の蓄積は十分とは雷えない。その理由の一つには、これら
の研究を進めるために謡、婆なデータの議識が不十分であることがあげられる。
2蓮類のデータを使って労鋤組合の賃金に対する影響を分析するが、労
欝組合の存在が露金を上昇させるか否かにとどまらずに、年齢、勤綾年数、性別な
どの労働者の賎生の重金に対する影響が、組合の組織されている企業{以下、
企業と将ぷ〉と組識されていない企業(立下、非組合企業と時ぶ)との関でど的ょう
二
26
日 本 経 済 研 究 ぬ3
5,
1
9
9
7
.
1
2
に違うかに誌意を払って分析を行う。また、従来、臼本では用いられることのな
かったパネルデータを用いて、組合の策金効果を推定する。
2
. 組合の賃金効果についての研究
日本においては、労働組合の黄金に与える影響を分析した研究は多くはないが、
いくつかの研究が存在する o
B
r
u
n
e
l
l
o(
1
9
9
2
)は「会社総鑑J 未上場合社寂の 1
9
8
7
年販を用いて、組合の基準
内賃金に与える効果を誰定し、組合の存荘が賃金を 2.8-2.9%引き下げるとともに、
年齢の麓金に対する効果を高めることを明らかにした。また、組合ダミーと女子従,
業員辻率の交差墳がマイナスであるので、組合企業で、は男女の震金格差が拡大する
と解釈できる。労働の賞を表す変数のコントロールが不十芳であることや年齢の麓
に対する効果が組合企業で大きいことについても解釈をしていないなどの問題点
がある。 また、企業規模を表す変数が賃金関数の中に入って担らず、企業規模のコ
ントロールも十分に行っているとは醤い難い。
権木・野田(19
9
3
)は連合総研がおこなった「労轍条件と労使コミュニケーション
調 査j で得た槙準労齢者のモデル費金に対して、努子の場合には組合の賛金上昇効
果が認められないこと、あるいは、女子について辻、組合の効果がプラスなること
を晃出した。この研究では、勤続や年齢、学鰹をコントロールしているデータを
イ実っていることもあり、労勤者の属性の舞金に与える影響の企業規模開や組合企業
と非組合企業聞での格義については分析を仔っていない。
TsuruandR
e
b
i
t
z
e
r(
19
9
5
)は首都題の労働者を対象とした独自
により持
られたデータをもとに男女別に震金関数を推定し、男女ともに組合は賃金を引き上
げる効果を持たないという結論を持ている。この研究で辻、組職労音義者と未組織労
働者の費金関数を別々に推定しているが、労齢者の!献金の賃金に与える影響の組織
労働者、未組識労働者の障での格差については関心が払われていない。また、労働
者の j
高性の繋金に与主る影響の企業規模開での格差については十分なコントロール
がされていない。
石川・出島(19
9
4
)では、
「鑓金労働時捕制度等総合調査」と補完的に「黄金構造
の佃粟を接合して用い、 10-14%
穏度組合が賃金を高めることを見出し
た。しかしながら、勤続年数や外部経験年数などの労働者の麗性の賃金に与える
響の食業規模による違いをコントロー/レしていない。また、これらの労{勤者の属性
3
愛会話奪遂と食業別労働級会
27
と非組合企業との賠でどのよう
が震金に与える
とについて
うのかというこ
っていない。
以上のようにお本における労欝組合の賃金に対する勢巣立ついて法議定した結論
が出ているわけで:まない。先行諸諜究の問題点を替えた場合誌、本稿のこの分野で
の貢献は次の 2点であると考えられる。
第 1には、本稿では、企業規模聞と組合企業一非組合企業聞で労髄者の震性の賞
金に対する効果がどのように違うか、ということに住窓を払うことにする。よく知
られているように、労働組合の組織率をみると大企業では高く、企業規模が小さく
なるにしたがって組織率は低くなっている c したがって、組合企業は大企業中心、
中小食業中心ということになる
G
このような規模の格差に注意を払わ
ずに組合企業と非組合企業の賃金関数をずれ!;f,得られた結果は組合と
との義で誌なく、大企業と中小企業との棒義を民執したものになってしまう
がある
O
る彰響は企業規模によっ
性別など
うはずである。組合の賃金水準や費金構造
る影響を正確に推定しようと
よる違いをコントロールし
すれば、労働者の属性の賃金に与える
で、それらの属性の賃金に与える
ミ
カ
と非組合との聞でどのよう
る必要がある。この点は、
つ
はほとんど関心が払われてい
なかったと言ってもよい点である。
(
19
9
7
)では、労欝組合の存立が男子の平均年齢の生産性に対する効果を
1
9
9
6
)で
ることによって生産?主を上昇させていることを鳴らかにした。また、野賠 (
可様の分析を行い、労幾重豆合が勤続年数のさ在最i
おこ
は、上場企業のデータを鎧って i
を高めていることを明らかにしたが、このように労髄題合の存主主が耗議
の食業への定着度や労使の一体感を高めて、企業特珠的な技能、
しているとすれば、組合の組織さ?れている企業のほうが勤続年数の麓金に
る効果は大きくなり、組合企業と非組合企業との聞で賃金構造に迷いが生まれ
る可能性がある。この点には従来の研究ではほとんど注意が払われていない。
構造訟の組合企業と非組合企業との慌の格穫を研究することは、企業別労働組合の機
を分析することにつながると考えられる o
2に辻、パネルデータを龍熊して分析を行うことである。 B
r
u
n
e
l
l
o(
1
9
9
2
)は
と需と「会社慈墾」を熊いて、クロスセクショ
に対する影響を分析しているが、ミクロデータは橿局経誇主体の議'I~主や一時的な
28
日本経済研究 N
0
.
35,1
9
9
7.
1
2
ショックの影響を受けるので、一時点のクロスセクション分析で検出された組合の
効果は、一時的ショックを表している可能性がある。組合の鶏果を正確に按討する
ために誌この可能性を排除する必要がある c また、組合の効果を正確に推定するた
めには、経営能力、労動力の賞、あるいは、人的資源管理の方法などの企業関での
格差を表す観察不可能な企業国有の要理をコントロールしたうえで推定を行う必要
がある。
に、重要な問題として、セレクション・バイアスの問題がある。クロスセク
ションデータによる組合効果の推定では、観説不可能な企業固有の要閤と労動組合
の有無との相関によるいわゆる、セレクション'バイアスの存在が指捕されてきた。
このことを藍感的にいえば、組合が組織されているから賃金が高いのではなし組
合が組離される以龍から質の高い労働者が組合を組識しているに通ぎないというこ
y
とになる。
このバイアスは労働経合の有無 i
こ関する決定式を別途推定し、バイアスを修正す
去を用いれば解摘されるが、按定結果が不安定になる愈績性がある。本稿では、
る予j
!日来のクロスセクション i
こよる推定では不可避だったバイアスをパネルデータを用
いて企業屈有の要国をコントロールすることによって解治した。これらの点は先行
の研究では注意が払われていなかった点である。
3
. データと推定方法
本稿では 2種類のデータセットを留って組合の賃金効果を検討する。最初のデー
タセットは連合総合生活開発研究所が 1
9
9
1年記行った下仕事と職場環境に関する調
の嫡入データである(以下、連合データと呼ぶ〉。このアンケート鵠査は労鍛組
合の組織されている企業に働く
と労働組合が艦織されていない企業に鶴く従
業員に対して行われたのが特徴である。アンケートの盟校率は組織労{勤者の場合
63.3%(
8
4
7人)であり、来組織労齢者の場合には 42.6%(
8
7
4入)である。弱者のサン
プノレ構成は、総数、男女比、年齢でほぼ拐、通っているが、組織労{勤者の職撞の構成
で「生産・技能」の占める比率が怯いことと「大卒・大学説卒J の比率の高いこと
が特徴としてあげられる c
業種の構成立ついては、組識労勤客と来組織労働者で大きな相違がみられる。組
p
織の場合には、
「製造業 J (32.7%
に
「サーピス業 J (
25.9%)、 「卸売・
(24.6%)という業壊の溝成になっているが、未組織で、は、
「サーゼス業 J (
53.7%)
賞金構造と会3
齢J
I
労鮫親会
2
9
二
が半数を占めている。
r
卸売・小売業 J(
10.3%に
(
9
.
6
%
)などは 1割前
f
麦である。
企業現模についても組畿、未組織聞で大きく異なっている。紘犠労働者の場合で
r1000-4999AJ (36.2%に r
5
0
0
0人以上J に、未組織で辻 r
l
OO
人 2
9
9人J
辻
、
(48.7%に 勺0
0人未溝 J(
1
8
.
8
%
)にそれぞれ集中している。能業員の平均舗と中
4
8
0入
、 3
9
1
0入、来組織の場合は 2
3
0入
、 1
2
2
0入である。組
央髄は組織の場合には 3
織辻大企業中心、来組織は中小企業主ト心ということになる c
重寄金関数の推定にあたっては、未来E
識労働者の男子の場合に管理職が金まれてい
る可能性があるので¥組畿、未組織ともにお才以上の労館者を除いた。ま
規模をできるだけ合わせるために、従業員 1
0
0人未満と 5
0
0
0人以上の企業に働いて
いる労樹者を分析対象から外している。また、分析の対象:立正規従業員立設定して
いる。
2つめ吟データセットは「会社総畿J来上場合社援で、ある。 B
r
u
n
e
l
l
o(
1
9
9
2
)は
このデータを用いてクロスセクション分析を行っているが、本積では、来上場企業
の 7年揮のパネルデータを用いた分析を任うことにする。白本経済新聞社の米上場
9
8
9
年肢から何年胞を使ってパネルデータ
データを掲載した「全社総鑑」の 1
987-1993
年度でみる。
を作成する。従って、分析の対象にしたのは 1
上場金業を対象とした場合に辻、その誌とんどが組合の組織されている金業と
なってしまう。未上場企業が対象の「会社総監」では、組合の組織されている企業
と組識されていない企業とがよと較的よく分けられているので、来上場企業を対象ぷ
分析を行うことはする。
この「会社総錐」の未上場編で辻、次の 4点の基準を満たした企業を掲載してい
る。すなわち、日本経議新聞社の rNEEDS-COMPANYJ (総合企業データパン
ク)に掲載されている企業のうち、1.米上場企業(ただし来上場公開会社である
言明記して謁載してある)、 2.資本金(または出
頭登鉢会社、活顕管理全社はその E
資金)が3
0
0
0
7
5丹以上の企業、
貸イ背対照義、
3.売上高、また辻営業収入がら議再以上の企業、 十
いて出苓のあった企業、の条件を満たす企業が揚載さ
れている。
推定期間についてデータの欠損がない企業について、つまり、 7年間「会社総
0
0人以上の企業じ対象を
にデータが揚載されている企業の中から従業員が 1
絞って、ランダムにサンプノレを抽出してパネルデータを作成した。先;まどの基準を
満たしている金業が「会社総鑑J に掲載されるわ汁であるが、長年比渡って掲載さ
30
総 本 経 済 研 究 ぬ3
5,1
9
9
7‘1
2
れつづ !
tでいる企業辻、来上場企業の中でもかなりの優良企業と考えてよいだろう。
したがって、我々のサンプルでは、企業の質という点でバイアスがかかっている
0である。
能性が考えられる。対象にしたのは、製造業の企業であり、対象企業数は 9
なお、決算期が 1-3月の企業に誤定している。
このデータを馬いる場合のデ、メリットの第
u土、このデータでは母集出が上の基
みたしている企業に特定北されているために、日本の製造業の全体の中からの
ランダムサンプリングでf
等られたと
えないということである o したがって、得
本にー殻化できるもので;まない点
られた結論は、日本の製造業金f
る必要が
ある。
第 2には使照できる変数の問題である。このヂ…タには、勤続年数や学歴構成と
いった労動者の属性を表す変数が十分に合まれていないために、組合の効果を純粋
に輪出するには不十分で、ある。
一方、メリットは、何といってもパネルデータを使用して分析ができるというこ
とである
G
パネルデータによる組合効果の分析は、日本においては決定的に欠落し
ていた点であるので、分析を行うことには十分な意義があると考えられる ο 先にも
述べたようにパネルデータを用いた分析では、観測不可能な企業固有の要因をコン
トロールできるので、セレクション・バイアスを霞避することができる。このメ
リットのほかにふ組合と非組合のサンフ勺レが比較的良く分 i
すられているという点、
また、中小企業のデータが多く存在するというメリットがあるて
2種類のデータセットともザンブルの代表症という点で問題があるが、可能な眠
り企業規模や業種などをコントロールして推定を行うことにする。
表 1と護 2はそれぞれのデータの要約統計撃が記載されている
C
タでは、
舞金辻年収である。アンケ…トでは年i
況については、臨級に区切った開き方をして
遣をとった。また、
いるので、業金調数を指定する場合に辻、それぞれの階級の中央f
最上位と最下電のサンプルには、年枝データを対数正規分布に当てはめることに
よって算出した年収額を現いたて
パネルデータでは、
額基準内賃金である
O
また、労散時間で
調整した時間話会たり賃金も推定に用いる。労働時聞については、企業別のデータが
存在しないので、
「毎月勤労統計調査J の産業別の所定内労融持簡を科用する。労
働時簡はついては、組合一非組合開で格差が存在するので、この点を考躍にいれて
それぞれの労働時間を算出したて
3
雪金構議をと会議尾治労働造立令
31
表 1 連合データの要約統計量
組織労働者
'
+
1
9
標準偏差
hづ
l'
'
十
hづ
平
未組織労働者
平
標準偏差
7
.
6
4
4
.
3
5
5
.
6
4
4
.
1
1
2
8
.
2
2
3
.
7
6
2
7
.
5
0
4
.
0
8
2
3
6
6
1
1
0
0
7
2
2
.
8
1
0
1
2
大企業ダミー
0
.
7
4
8
0
.
4
3
5
0
.
1
6
0
0
.
3
6
8
短大・高専夕、ミ一
0
.
0
8
0
0
.
2
7
2
0
.
1
9
0
0
.
3
9
4
大学・大学院卒ダミー
0
.
4
8
5
0
.
5
0
1
0
.
5
2
2
0
.
5
0
0
平均年間収入
4
1
7
.
7
1
4
2
.
2
3
6
2
.
0
1
1
9
.
7
男子平均勤続年数
男子平均年齢
企業規模(雇用者数)
女子平均勤続年数
女子平均年齢
9
.
5
1
6
.
6
6
6
.
0
7
5
.
6
4
3
3
.
0
5
1
1
.
6
9
3
0
.
9
4
1
0
.
2
5
1
4
7
8
1
3
4
0
5
2
2
.
3
8
2
7
.
2
大企業ダミー
0
.
4
3
2
0
.
4
9
6
0
.
0
9
7
0
.
2
9
7
短大・高専ダミー
0
.
1
5
7
0
.
3
6
5
0
.
4
7
6
0
.
5
0
0
大学・大学院卒ダミー
0
.
0
8
7
0
.
2
8
3
0
.
1
2
8
0
.
3
3
5
平均年間収入
3
2
6
.
6
1
3
2
.
6
2
7
1
.
2
9
9
.
8
4
企業規模(雇用者数)
注)年収の単位は万円。男子の場合、組織労働者 1
7
5人、未組織労働者 1
9
9人。女子の場合には、組織労働者
1
7l人、未魁織労働者 1
9
5人である。
表 2 パネルデータの要約統計量
組織企業 (N=436)
Ili~1
平
t
今
標準偏差
男子平均年齢
3
9
.
0
0
3
.
2
9
2
3
5
.
9
4
3
.
8
4
3
3
0
.
9
6
5
.
7
3
9
2
9
.
2
6
4
.
8
9
5
男女平均年齢
3
7
.
9
3
3
.
5
2
6
3
4
.
4
8
3
.
8
2
8
男子平均賃金
2
9
6
.
4
4
9
.
4
6
2
8
4
.
3
4
7
.
6
3
女子平均賃金
1
7
1
.
9
2
6
.
1
4
1
6
8
.
9
2
2
.
1
1
男女平均賃金
2
7
3
.
6
4
9
.
9
9
2
5
8
.
6
4
3
.
5
1
7
0
6
.
6
1
1
5
8
4
2
4
.
1
2
01
.5
1
7
0
.
6
7
8
.
6
0
1
1
8
0
.
0
5
9
.
0
8
8
男子時間当たり賃金
1
.7
4
7
0
.
3
4
0
1
.5
8
7
0
.
2
9
9
女子時間当たり賃金
1
.0
1
2
0
.
1
8
2
0
.
9
4
3
0
.
1
5
3
所定内労働時間
男女平均時間当たり賃金
1
.6
1
2
0
.
3
3
4
1
.
4
4
2
0
.
2
7
0
女子従業員比率
0
.
3
3
0
0
.
6
8
1
0
.
3
4
9
0
.
3
8
7
企業設立からの年数
41
.4
8
1
4
.
4
8
3
3
.
0
4
1
2
.
0
4
注)賃金の単位は千円。所定内労働時間は 1ヵ月の値。
32
標準偏差
女子平均年齢
雇用者数
1
hづ
+
1
9
平
未組織企業 (N=194)
日本経済研究
N.
o
3
5
.
1
9
9
7
.
1
2
4
. 葉金関数の推定
4.
1 連合データによる推定
l
n
W=
f
(
U
n
i
o
n,
Age,
Tenu,
S
e
x,
Sd,
S
i
z
e,
I
d
)
(
1
)
lnW:年収の対数値
U
n
i
o
n
:労働組合ダミー
Age:年齢
Tenu:勤続年数
υ
日
)
S
e
x
:性別ダミー〈男子エト女子
、
、一
、
、
部:
S
d
1
(
短大・
1、 その龍
。
)
、
S
d
2
1、
その後口約
12ノ
υ
ハ
ABI
治
同
,
S
i
z
e:企業規模ダミー(従業員が1000人以上の企業に勤めている労勤者コム
I
d
:産業ダミー
その
とその地の産業を基準に製造業からサービス業まで 6つの
ダミー)
誌である。勤続年数や年輪、
賃金関数の被説明変数は年収の対数f
金に対する効果誌企業規模によって
ること
1
0
0
0人法上の大企業について、大企業ダミ
えられる
(
S
i
z
e
)を作成し、
を表す変数の究去を項を賃金関数
い。つまり、
したがって、
このダミ
と労働者
る。その上で、龍合企業と非組合企
との間で、各議性の護金に対する効果がどのよう
男子についての結果を見てみよう。
O
性別の貧
うかを検討するて
3の(
1
)によると組合ダミーの採数は統計的
について辻組合は震金を上昇させる効果をもってい
ないと雪える。
(
2
)には、組合ダミ
と他の変数の交差項が導入されている。
自すべきなのは、
勤続年数と組令ダミーの交去を項がフ ラスで省議であるということである。勤続年数
G
まうが高い。企業規模と勤殺年数の交差1
都立統計
の賞金にそ子える量生饗誌組合企業の L
的に有意で、はない。大卒ダミ
は統計的に有意だ、が、大卒ダミーと組合ダミーの交
差墳は統計的 l
こ有意で;まない。 したがって、学墜龍の賃金棒差については、組合金
y
と非組合企業との間では差;まないと
切には年齢と組合ダミ
うことになる。
の突き長項が入れてあるが、 この項は統計的
と
賀会構三設と会主義烈労官襲量立会
33
表 3 男子労働者の賃金関数の推定結果
Union
Tenu
Tenu2a
Age
Sd1
Sd2
S
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z
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(
1
)
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2
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S
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S
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ホ
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ホ
UnionSd2
ホ
Union*Age
AdjR2
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.
4
8
3
5
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.
2
2
注) ( )内は t値
。 aは係数を 1
0
0
倍しである。
0
.
4
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2
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.
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.
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0.
49
5
3
1
.
1
5
えない。したがって、年齢の賃金に対する効果については、組合一非組合の間で格
差がないと言える。
女子の場合について見てみよう。表 4の(1)では組合ダミーは統計的に有意で、ある。
したがって、組合は女子の場合には賃金を高めているといえる。組合企業のほうが
14%
程度賃金が高くなっている。
(
2
)には、勤続年数と組合ダミーの交差項が導入しであるが、この項は統計的に有
意で、はない。この結果は男子とは対照的な結果である。また、大卒ダミーと組合夕、
ミーの交差項は統計的に有意で、ある。従って、学歴聞の賃金格差は組合企業のほう
カf小さい。
34
日本経済研究
No
.
3
5,1
9
9
7
.
1
2
表 4 女子労働者の賃金環数の推定結果
(
1
)
Union
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.
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.
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6
島
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i
滅
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は
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委
主
を1
0
0
1
をしてある。
i
(
3
)では、
と艦合ダミーの交差壌は統計的に有意で、はない。年齢の黄金に対す
る効果は組合と非組合との揮で差がない。これは男子の場合と同じである。
5の男女を合わせて推定した結果についてみてみよう。組合のダミー辻
ラス
ある。
ぷ
:
.
.〕
1、
マ
瞬
、
、
ダミーは
ラス
ダミーと組合ダ
ミーの交差項はマイナスで有意である。したがって、女性の場合誌は組合のほうが
14%
鏡金が高い i
J
昔、男性の場合には係数の憶を考議すれば、組合と非組合の簡でほ
とんど語差なし、そして、男女の賃金格差は組合企業の場合では 12先、非組合企業
の場合では 2
7克と、組合企業の i
まうが男女閣の賃金格差が小さいということになる。
労散組合は男女間の繋金格差を穣小していると言える。そして、このことが、
金寄金構造と金量長)JIJ労働組合
35
表 5 男女労働者の駕食関数の推定結果
U
n
i
o
n
Tenu
2
す記n
u
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1
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.
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本
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x
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.
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.
9
8
注) ( )
内l
立tイ
銭
。
の場合に組合と非組合との関に賃金格差まを生じさせている
4
.
2
と考えられる
a
r
会 社 総 鑑j のパネルデータによる分析
次に、
のノマネ
タによる分析を行う。設説明変数 l
土、男子平均基
準内賃金、女子平均基準内繋金、男女平均基準内議金の 3種類とそれぞれを所定持
労動時間で調整し
l
n
W
i
t
36
たり黄金である。推定するモデルは以下の通りである。
,
!
iU
n
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i
t,
A
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t,
S
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t
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(
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t
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(
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(
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'
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S
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Z
e
i
t,
F
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i
t,
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t
)
日 本 経 漆 研 究 恥3
5,1
9
9
7
.
1
2
lnA
W/Hour
t
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(CJli4,
Un
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i
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m
i
t,
S
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z
e
i
t,
F
a
i
t,
Houri
t
)
(
5
)
lnW:男子平均基準内黄金、女子平均基準内賃金の対数龍
lnAW:男女平時基準内議金の対数値
lnW/Hour:男子持鰐当たり黄金、女子時間
り黄金の対数飽
l
nA
W/註our:男女平均時間当たり
Union:労働組合ダミ…
Age:男子平均年齢、女子平均年齢
Aage:男女平均年輪
Fem:女子従業員比率
S
i
抗:企業規模ダミー(雇用者数5
0
0
人以上の企業=1, そ の 地 =0
)
Fa:企業の設立からの年数
Hour:所室内労勤時間
街は企業問宥の要因である o この企業臨有の要問で、企業ごとの労働力の鷲の格
差や人約資源管理政策の違い、経営者の能力の格差をコントロールする o 設説明変
数については、平均基準内賃金と所定舟労働時間で調整した時開当たり震金の対数
値である。
この震金関数の推定結果は表 6である。まず、男子平均基準内賃金について、(1)
をみてみると組合ダミーは統計的に荷意ではない。つまり、組合の存在は賃金を
めているとは蓄えない。次に、イ也の変数と組合ダミーとの交さを覆を入れた結果につ
いて見でみると、年齢と組合ダミーの交差壊は統計約
ある。つまり、年齢
に与える影響辻組合企業のほうが大きい。組合企業のほうが、高年齢者に
とってより有利な黄金体系となっていると言える。
次l
二、女子平均恭準内黄金についてみてみると、 (
1庁、は、組合ダミーは統計的に
ある。女子の場合には、組合は震金を有意に高めているといえる。組合企業
のはうが 8%
平均賞金が高い。(訟をみてみると、男性の平均黄金との遠い辻年齢と
組合ダミーの交差噴が統計的に有意ではないということで、ある。女性の場合には、
年齢の黄金に対する効果について組合企業と非組合企業との関で格差がないという
ことになる。
最後に、男女の王子均器準内賃金について克てみよう。この場合、組合ダミーは有
意である。これは、女子の場合 l
二ついて組合の麓金格差がプラスであることが反映
霊童金構霊童とぎな業別労働組合
37
表 s パネルデータによる愛会欝数の推定詰畏〈基準内霊会〉
(
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Union
(
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AdjR2
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.
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.
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.
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.
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.
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.
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総合ダミーと女子比率の交差壌はプラス
のマイナス
が縮小すること
しているので、
えられる。
之、そ
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を所定内労犠持揮で言語っ
いて晃てみよう。畿 7では 3謹類の被説明変数につい
しない場
合と閉じような結果が得られている o すなわち、
る
効果を持たないが、年齢の費金に対する効果は組合企業の
の場合、組合の衛合に対する効果はプラスであるが、
非組合との
い。また、女子比率が黄金
企業のほうが小さく、男女の賃金搭差について
れる。
38
B本棄を液凝多記 ぬ 3
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い。また、女子
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. 結果の解釈について
誌上、 2覆類のデータをイ変って組合の賃金に対する効果を検討したわけだが、
ま次のようなことが言えよう。まず、第 1に主主話すべきなの
金関数の推定結果から l
連合データの場合、男子の場合に動続年数の賃金に対する効果について組合企
業と非組合企業との問で、格菱があったということである o つまり、組合企業の思う
に有利な舞金体系を作っているということになる。このこと
合企業のほうがより従業員の定蕃度を高める必要があるということであり、企業特
殊的な人的資本に対する投資が組合企業でより活発に行われているということ
えられる。
女性の場合はは、動続の効果については組合金業と非組合企業との龍で轄さをがな
かった。女子の場合に辻男子と比べれば定着度がイ尽く、人的資本投資も活発に符わ
賃金者専造と会業別労鍛造立合
39
れていないことが予想されるので、勤続の賃金に対する効果が組合企業と非組合企
業の間で、差がなかったと考えられる。言い換えれば、組合は、男子については、人
的資本投資を促進し、定着度を高めていると考えられるが、女子の場合には、その
ような機能を有していないと考えられる。
また、年齢の賃金に対する効果については、男女とも組合と非組合との聞で格差
がなかったが、これは、一般的な人的資本に対する収益率については、組合と非組
合との聞で格差がないと言うことであろう。
パネルデータによる結果を解釈すれば次のようなことが言えるだろう。組合企業
のほうが年齢の賃金に対する効果が高かったが、組合企業のほうが高年齢者に有利
な賃金体系をつくっているということになる。高年齢者ほど、一般的に勤続年数が
長いと考えられるので、組合企業のほうが長期勤続者に対して有利な賃金体系を
イ乍っている。年齢の係数についてどのように理解するかという問題があるが、組合
の存在がどこででも通用するような一般的な人的資本の投資を促進することは考え
にくい。従って、年齢の効果として表れたものは勤続の効果として考える必要があ
ると考えられる。
女子の場合には、年齢の賃金に対する効果が男子の場合とは違って格差がなかっ
たが、女子の場合には定着度が低く、人的資本投資も活発に行われていないと考え
られるので、年齢の賃金に対する効果が組合一非組合間で、差がなかった理由と考え
られる。年齢の効果を勤続の効果として理解すると、年齢効果の男女差を教育訓練
投資に対する格差として理解できるし、パネルデータと連合データの結果が整合的
に理解できる。
労働組合の活動が賃金構造に具体的にどのような影響を与えたかを分析すること
はできないが、 2つのデータによる分析から言えるのは、賃金構造が組合企業と非
組合企業の間で異なっているということであり、組合企業では、長期勤続者にとっ
てより有利な賃金構造になっているということである。このことは、組合の存在が
労使の一体感を強めたり、離職率を低下させることによって、企業特殊的な人的資
本への投資を促進し、定着度を高めていることの反映として解釈することができる。
また、逆に、仕事に学習や訓練の機会が多く存在し、企業特殊的な技能、人的資
本に対する投資が活発になされているような企業では、従業員の離職を防いだり、
従業員と企業との一体J
惑を強める必要があり、そのために労働組合が組織されてい
るということが考えられる。また、そのような企業で働く従業員にとっては、離職
することは大きな損失となるので、不満を発言してくれる組合のような組織が必要
40
日本経済研究
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3
5,1
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7~ 1
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になるとも考えられる
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2に註百すべきなのは性別の黄金格きをむついてである。連合データでは女子の
場合には組合の葉金効果註プラスで有意であった。また、男女間の賃金語差は組合
まうが小きかった。組合の存在は企業向の男女の賃金格義を縮小すると零え
企業の i
られる。男子の場合に組合と非組合との関に重金格差がなく、組合企業の場合に男
女間の糞金格差が縮小していることが、女子の場合に組合と非組合との関
を発生させている理由と考えられる。
ネノレデータを使用した場合にも、女子の場合には組合企業の i
まうが集金が高く
ノf
なっている。また、男女平均賃金を使ノ弔した場合には、組合企業のほうが女子比率
のマイナスの効果が小さくなっており、持女の粛金韓三設が小さいと考えられる c つ
まり、組合は企業内の男女の賞金格差を縮小することを通して、女子の場合に組会
j
l
jの震金接義 i
こついてもパネルデータと
と非組合との繋金搭義を生じさせる。性,'i
タの結果が整合的に解釈できる。
さて、我々の分析から得られた結果を先行諸研究の結果とよと較してみよう。
水準に対しての効果については、典子の場合に賃金立対する効果が確認できなかっ
たことは先行研究とほ諒一致している o 石川・出島 (199 心では、 10~14% という
い組合の効果が得られているが、この高い数髄辻、一部は女性についての組合のプ
ラスの効果を反映していること、また、勤続年数や年齢、学擦などの葉金に対する
効果の企業規模による速いをコントロールしていないことが嘉屈と考えられる。
男女の賃金格去をについては、構木・野田(19
9
3
)では女子の場合立組合の賃金効果
runello(
1
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2
)では、女子従業鼠比率と組合ダミーの交差項
があるとしている。 B
がマイナスであるので、組合企業では男女の賃金格差が拡大していると考えられる。
年齢や勤統年数、学歴などの要閣の橋義について培、先行研究でほ詳しい分析が
runello(
19
9
2
)において組合ダミーと従業
行われていないが、年齢については、 B
員平均年齢の交差噴がプラスになっているから、組織企業のはうが年齢の賃金記対
する効果が大きいと解釈できる。しかしながら、そのことの持つ意味については
まったく檎討されていない。勤続年数や学墜について組合一非組合間格差を詳しく
検討した研究はない。
野田 (
1
9
9
7
)では、未上場企業のパネルデータを用いて労働組合の生憲性に対する
主に対する効果を高める
効果を分析した。その結果、組合は男子の平均年齢の生鹿i
ことを通して生産性を上昇させることを明らかにしている。この論文で辻、震金を
させる効果を持たないとされる労犠組合が、情故、自ら;こ語日分されないパイの
3
愛金機造と護主主義lJ
J
l
労霊訪組合
41
増大に寄与するのかという問題が残されたが、本稿の結果をもとに考れば、組合が
生産性を高めるということは次のように理解できる。つまり、労働者が長期勤続す
る場合には、非組合企業より組合企業のほうがより有利になるような賃金構造に
なっているので、長期間にわたって組合のある企業に勤続していれば、労働者は生
産性上昇の恩恵にあずかれるということになる。
6
. 結論
本稿では、組合の賃金効果と労働者の属性が賃金に与える影響の格差を分析した
が
、 2つのデータから得られた分析の結果は整合的なものであると考えられる。本
稿の分析から得られた結果は、
1.組合企業では非組合企業に比べて、男子の場合
に勤続、あるいは年齢の賃金に対する効果が高いが、女子の場合にはこのような効
果はない。 2.女子の場合には、組合企業の方が賃金が高くなっている。また、男
女聞の賃金格差は組合企業の方が小さい。組合は男女の賃金格差を縮小させること
を通して、女子の場合について組合企業と非組合企業との聞の賃金格差を発生させ
る。男子の場合には、組合企業と非組合企業との聞で賃金格差はない。 3.学歴格
差については、男子の場合には組合、非組合の聞で、格差がなかったが、女子の場合
には、組合企業では学歴聞の賃金格差が縮小している。
本稿の分析で使用した 2種類のデータはサンプノレの代表性の点で問題があるので、
得られた結果の日本の労働市場への一般化については留保が必要で、ある。本稿の分
析で得られた結果が日本の労働市場全体について当てはまるかどうかについて検討
するためには、全国的な代表性をもっ賃金調査で、労働者の属性について詳しい情
報を持つデータを用いた詳細な研究が必要で、あることは言うまでもない。
注釈
本誌レフェリーに貴重なコメントを項いたことに記して感謝したい。もちろんありうべき誤謬
は筆者の責任によるものである。
1
) 企業規模だけでなく産業もコントロールして推定を行う必要がある。パネルデータでは製
造業に限定して分析を行ったが、連合データでは産業をコントロールできるだけのサンプル
42
日本経済研究 N.
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2) パネルデータの企業規模の分布は次の通りである。 7年間の平均濠用者数1
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3) 昨年の税込の年間給与総額については、 1
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)1000万円以上まで
勤続年数については以下のように開いている。1)2
年未満、 2)
2年以上5年未満から 5年間
隔
4
才以下、 2)25-29
才から 5
才間限
年齢については以下のように開いている。1)2
賃金関数の推定にあたっては、勤続年‘数、年歯車ともそれぞれの中央値をとった。
:
;
;
手
、
年
齢2
2二ずで計算した。
また、最下位のサンプノレについては、勤続年数 10
9
才、言語毒事・短大卒の場
勤続年数、年齢とも最下伎の場合には、高卒以下の学歴の場合には 1
1
才、大卒・大学院の場合には 2
3二?として計算した。
合には 2
従業主主数については以下のように開いている。 1)
10
0人未満、
2)10
0人以上 3
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0人未満、 3)
3
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り
組合と非組合の労働時間の計算は次のように行った。 NodaandTachib
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(
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9
9
5
)の所定
内労働時間に関する回帰分析によれば、組合企業と非組合金業の所定内労働時間の格差は
5%である。この格差を利関して、組合念業と非組合企業のそれぞれについて所定内労働時
間の予測伎を求めた。そして、それぞれの予測値とこの回帰分析で使用したサンプルの所定
内労働時間の平均値との格差を求めた。こうして得られた平均値からの格差を「毎月勤労統
計調査J の所定内労働待問に当てはめて組合と非組合の所定内労働時間を算出した。この方
法では、組合と券組合の所定内労働待問の格差がすべての農業と企業規模で一定と仮定して
いるという問題がみる。
日
連合データの場合には、個人データなので厳密には組織労働者と未組織労働者の賃金関数
を推定していることになるが、これより以下では簡単イとのために、組合企業と券組合企業と
いうように表現する。
6) ここでの分析で得られた結果は、従業員数1
0
0人未満と 5
0
0
0人以上の企業に勤める労働者の
サンフツレを加えて分析を行った結系とほぼ閉じである。
7) 勤続の食念に対守る効果が高いところに、すなわち、企業特殊約な人的資本や技能に対す
る投資が活発になされているところに組合が組織されているのか、ぞれとも組合が組織され
ることによって離職率の穏下や労使の一体感がもたらされて人的資本への投資が促進され、
勤続の賃金に対する効果が高まるのかを識別する必婆がある o 恐らく両方の効果があると考
えられるが、これらの効果を識別ゆするためには検定期間の間に組合が組織された企業だけか
らなるデータ制使用して、組合の総織される前後の年齢や勤続の繁金に対する効果の変化を
0数社なので十分な分
確かめればよい。本穏で用いたパネルデータでは、このような企業は 1
析ができない。今後の課題としたい。
食会事毒造と金霊長別労働総合
43
参考文献
石川経夫、出島敬久(19
9
4
)r
規模額賃金格差に対する
とその効果J
中小企業労働福
第6
8
3
) r;tウイトカラ
小池和努(19
橋木俊諮・野間矢11~ (l 993)
デル J
8
0年代の労使関係』日本労働協会
i
'
と労働級会 j ず労働組合の経済学』第 1
0
霊祭、東洋経
r
賃金、
済新報社
) ~労働総合は本当に役に立っているか J 総合労滋研究所
中村麦介・佐藤博樹・衿苓拓王子(1弼8
(
1
9
9
6
)r
労働組合と生産量性 上場会業のデータを用いた分析-J m
imeo.
労働組合と生産性 来上場企業のパネルデータそ用いた分析 - J 日本労働研究
(
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9
9
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