...

三次元培養ヒ ト皮膚モデルを用いた薬物の皮膚透過性および皮膚刺激

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

三次元培養ヒ ト皮膚モデルを用いた薬物の皮膚透過性および皮膚刺激
薬剤学,67(2),89−95(2007)
《R&D》
三次元培養ヒト皮膚モデルを用いた薬物の皮膚透過性および皮膚刺激性評価
一動物実験代替法確立に向けて一
杉林堅次K剣iSugibayashi
城西大学薬学部
た研究とその有用性について論じる.
1.はじめに
皮膚局所に適用する医薬品製剤には,皮膚組織や
2.三次元培養ヒト皮膚モデル
その周辺部位での薬効(局所作用)を期待するもの
ヒトや哺乳動物の皮膚は表皮(epidemis)と真
だけでなく,いわゆる全身作用を期待する経皮吸収
皮(demiS)から構成される.このうち皮膚表面側
型製剤(皿ansderma1DmgDe1iverySystems,
に位置する表皮は主に角化細胞(keratin㏄ytes)か
TDS)があり,さらに,最近では機能性を有する化
らなる.表皮はまた,深部から基底層,有疎層,穎
粧品も市場を賑わすようになってきた.したがっ
粒層,透明層(手掌と足裏にのみ存在),そして角
て,現在では,治療薬だけでなく化粧品有効成分の
層(Stratum Comeum)と,分化過程が異なる層か
皮膚透過性や経皮吸収性を正しく評価する方法論の
らなる.ここで,角層は角化細胞が分化した,死ん
確立が以前にも増して必要とされるようになった.
だ角質細胞(Come㏄y七eS)とそれをとりまく細胞間
また一方で,効果が高くなれば皮膚局所での刺激性
脂質とからなる.薬物や化粧品成分の皮膚透過にお
などの副作用についても正しく予測することが重要
いて多くはこの角層の透過性が律速となる.一方,
となり,加えて,主薬およびその濃度,さらには基
真皮は線維芽細胞(五brobIas七s)がコラーゲン線維
剤の選択基準の確立が必要となってきた.
中に分散した形状を示している.
現在,薬物の皮膚透過量や透過速度はヒト皮膚を
三次元培養皮膚モデルはBe11らによって最初に
用いて主に加oかo実験法で評価されている.しか
調製された1).彼らはまず,コラーゲンに線維芽細
し,特に本邦では新鮮なヒト皮膚が必要な量を入手
胞を加え,培養して真皮モデルを作成した.次に,
できるとは限らない.そこで,動物皮膚や人工膜が
表皮の細胞である角化細胞を真皮モデルの上で成長
使われることとなるが,動物皮膚使用に当たっては
させると,発生初期の皮膚と同じ構造体となるのを
動物愛護の問題を回避することができないし,ま
発見した.また,この多層膜を空気に接触させ表皮
た,人工膜の使用では代謝酵素やトランスポーター
膜表面を角化させると角層となり,三次元培養皮膚
が関与する皮膚透過を表現することができない.こ
モデルが完成した.Fi&1に,三次元培養皮膚モデ
のような状況下,特に三次元培養ヒト皮膚モデルが
ルを調製する現在の主な操作手順を示す.なお,こ
物質の皮膚透過性を評価する代替材料として有用で
れらのモデルは現在,tiSSue engineeringの研究領
ある可能性が考えられた.加えてヒトに適用する前
域で多用されている2).
に実験動物を用いず皮膚刺激性を予測するための一
TabIe1に現在簡便に入手できる三次元培養皮膚
手段にも三次元培養ヒト皮膚モデルの利用が考えら
モデルとその販売機関,特徴をまとめて示す.
れた.そこで,ここでは三次元培養ヒト皮膚モデル
を皮膚透遇性および皮膚刺激性評価材料として用い
薬剤学Vo1.67,No.2(2007)
89
k㎝幽㏄y㈱
固b㎜b13s㎏
↓
3.物質の皮膚透過性評価材料としての
三次元培養ヒト皮膚モデルの有用性
血e皿虹81co㎜3g㎝喧㈱㎞1㎝t
(丁脳1①o皿8ge冗,0.1N N80H
榊EDTA一㎜tm6皿t
我々は,水溶性から脂溶性の種々低分子薬物の水
Ge18宙o11 I)Ml…:M,FCS個㎜M)
↓ ・・㎜㎜舳・㎞・皿t
溶液をヒト摘出皮膚,ヘアレスラット摘出皮膚およ
C阯O咽do皿
び三次元培養ヒト皮膚モデル(TESTS孤NTM二LSE−
↓
high)に適用して,これらの膜を介した薬物透過性
C血Ov3tio皿㎜od6r a巨r
u
をside−by−side型の拡散セルを用いて調べた3).
TbreedimenSi0皿釧6凹1t㎜マωh迦m3聰S㎞皿㎜0幽1
Fig.1.SchematicPresentation ofPrep趾ationMethod.
of Th∫ee−DimensionaユCu1tured Hum−an Skin
MOae1.
Fig.2にその典型例として水溶性の一硝酸イソソル
ビド(ISMN)と脂溶性の二硝酸イソソルビド
(ISDN)の3種皮膚を介する透過データを示す.図
から明らかなように,8時間に亘るヒト皮膚および
丁肥LE1. 皿1ree Dimensiona1Cu1turedHuman S虹nMode1s如ai1ab1e inWor1dandJapaneseM趾kets.
Brand name
工岨anufaCturer
Site of skin f;or the mode1
Used−site
EpiDem
“征atTek/Kurabo
Stratum COmeum mOde1
ECVA1M1/J盆pan
EPISKIN
Episkin−SNC
Strat㎜COme㎜mOde1
ECVんM1
SkinEthic
SkinEthic Lab,
BIOPREDIC
Stratum COmeum皿Ode1
Stratum COmeum皿Ode1
ECV八M1
PREDISKIN
TESTSKIN
MATREX LDlMl
Organogenesis
Toyob0
Toyob0
dermis Inode1
Vitro1並e−Skin
G皿皿e
epid.er㎜is/d−ermis
LabCy七e Epi−mode1
J−Tbch
epidemismode1
TESTSE=[N LSE−high
Ratskin
3C0
b血
弍
)120
暮
電
200
蔓60
l00
Human skin
手
50
0
0 2 4 6 8
0 0、ユ 0.2 0.3 0.4 0.5
亜
250
イ、250
賃
{200
望
言150
婁
0 2 4 6 8
180
2◎o
12C
150
暮m
隻50
−00
60
50
苫o
0
0 0.ユ 0.2 0.30,4 0.5
T㎞eφ)
90
200
100
苫0
Fig.2.
250
150
竃
㎜N
Japan
Japan
Japan
Japan
epidem鮒e㎜is
Cu1turedhum㎜skin
聡MN?1・q
ECV八Ml
epiderm二is/der工n−is
02468 02468
T…me(h) 丁虹鵬⑭)
Time Course of the Cumu1ative Amount of ISMN and ISDN Pemeated through Three−
DimensionaユCultured Human Skin,Excised Hair1ess Rat Ski皿and Excised Human Skin。
薬剤学Vo1.67,No.2(2007)
ヘアレスラット皮膚を介する両薬物の累積透過挙動
三次元培養皮膚モデルを用いて評価し,促進剤や皮
が30分間の三次元培養ヒト皮膚モデルを介する透
膚中代謝の評価にも培養皮膚モデルが利用できるこ
過挙動と極めて類似している.これは,これら薬物
とを明らかにした45).また我々は,水溶性高分予
の水基剤から皮膚への分配性については実皮膚と三
が毛嚢経由で皮膚透過されることを証明する一手段
次元培養皮膚モデルで極めて類似していること,ま
として,毛嚢のない三次元培養ヒト皮膚モデルが対
た,皮膚バリアーにおける薬物拡散性については三
照として利用できることに注目している.この研究
次元培養皮膚モデルが実皮膚より10倍程度高いこ
は,現在進行中である.
とに起因していた.Fi&3にヘァレスラット皮膚,
三次元培養皮膚モデルを用いた皮膚透過性評価法
ヒト皮膚および三次元培養ヒト皮膚モデルを介する
の間題点は培養ウェルをそのまま用いることができ
各種薬物の透過係数(permeabi1iもy coe箭cient,P)
ないことである.すなわち,ウェルをそのまま用い
の関係性を示す.ラット皮膚とヒト皮膚を介する透
て透過試験を行うと,大部分の物質の透過経路が角
過性がほぼ1:1相関を示すものの,三次元培養皮
化不十分または角層が薄い培養膜周辺に集中する.
膚モデルを介する薬物透過が対数軸で約1オーダず
また,全ての三次元培養皮膚モデルがTEST−
れることに注意いただきたい.しかし,いずれにし
S㎜NTM LSE−highのような挙動を示すと隈らない
ても三次元培養ヒト皮膚モデル透過性とヒトまたは
(例えば物質の実皮膚への分配性が培養皮膚モデル
ラット皮膚透過性とに高い相関性がみられたことか
と異なる場合も当然存在する).また,同じ皮膚モ
ら,種々物質のヒトやラット皮膚透遇性を予測する
デルでも,培養日数や培養時における条件のわずか
代替膜として三次元培養ヒト皮膚モデルが極めて有
な違いで同様なバリアー能を有する培養モデルがで
用であることが明らかである.
きるとは限らない.
我々はその後,経皮吸収促進剤のスクリーニング
ここで注意しておくべきは,ヒト皮膚透過性を予
や代謝過程を有する物質の皮膚透過過程の解析にも
測するのに重要なことは,ヒト皮膚と同じ透遇性を
砂’Huma皿sk〃LSE
勿Rat sk〃LSE
一3
一3
⑭
セ
&
■
召
⋮⋮1
§
4
⑤
ミ。
4
9q
一5
逗一6
ご
一6
岩
お
も
3
§
』・7
ξ
一7
も・
一8
一8 −7 −6 −5 −4 ,3
Log1)fbr LSE(c㎜ノs)
一3
3 4 4 イ 石 4 4
LogP{br LSE(cr〃s)
づRatsk㎞他㎜anskin
ノ1ろろ”〃jαだ0”
⑭
岩
・4
婁
一5
AMlP:Am=皿opyrim
ANP:Am価pyHm
⋮⋮1
3
l■≡‘A:Be皿zoic acid
一6
岩
CAF:Caf胞i11e
FP:F1mrbipmj㎝
・7
お
ISDN:Isosorb旭e dimitrate
も㌻
ISMlN:Isoso耐ae mOm血trate
3
_7 _6 ・5 一一 .3
Log戸{br rat ski皿(c】m/s)
Fi&3.Re1a七ionships ofMembrane PermeabiIity Coe脆cients,只ofDmgs.
薬剤学W1.67,No.2(2007)
91
示す培養皮膚モデルを探すことではなく,できるだ
そこで,まず種々起炎物質を三次元培養ヒト皮膚モ
け早く確実にヒト皮膚透過性を予測できる培養皮膚
デルに適用後の皮膚刺激性の速度論についてMTT
モデルを探すことにある.そのことを考慮すると,
試験法を用いて測定した⑥7).
TESTSK工NTM LSE一虹ghのような三次元培養皮膚
Fi&4にその代表例として3%,10%および30%
モデルはその有用な評価材料であると考えることが
できる.なお現在,企業と共同してHigh−through−
乳酸を三次元培養ヒト皮膚モデルTESTS皿N㎜
LSEに適用したときのMTT試験によって求められ
put scree㎡ngに対応できる,三次元培養皮膚モデ
た生細胞数率(曲bi1ity)の経時変化を示す.3%,
ルを用いた同時多量サンプル経皮吸収予測システム
10%および30%乳酸適用後全てのケースで,最初
について検討中である.
の遅いviabi1ity滅少とその後に続く速いviabi1ity
4.物質の皮膚刺激性評価材料としての
三次元培養ヒト皮膚モデルの有用性
の滅少が見られたまた,遅い速度から速い速度へ
の移行時間は乳酸濃度が高くなるに従い短くなるこ
とがわかった.Fi巴5には陽イオン性界面活性剤で
薬物の皮膚透過性と並んで薬物または製剤自体の
ある塩化セチルピリジニウム(CPC)の1%水溶液
皮膚刺激僅の評価法の確立も非常に重要な間題であ
を無傷皮膚(in七actskin)と角層を取り除いた
る.また,安全性評価における代替法の確立は,医
strippedskinに適用したときのviabi1ity変化を示
薬品よりも化粧品分野でより切実である.EUで
は,2009∼2013年には,動物実験を使用して安全
性評価を行った原料を含む化粧品のEU域内での販
している.図から明らかなように,intactskinでは
F喜4で見られたときと同様の材abi1ityの2相性滅
少が見られたものの,strippedskinでは1相性で変
売が禁止となり,そのため代替法の導入を加速して
100
いる.本邦でも,EUおよび米国について設立され
た代替法普及のためのコーディネート機関(それぞ
れECVAMとICCVAM)に対応するJaCVAM(Japa−
邑
nese Center fbr the Va1id−ation of Aユternative
倉
Methods)が2005年11月にスタートした.
我々はこのような状況下,皮膚一次刺激の評価材
○,剛一thic㎞esssk虹
75
○,stdpPed skin
} 50
{
ヌ
25
料としての三次元培養ヒト皮膚モデルの可能性につ
いて注目し研究を開始した.まず,Neut蝸1Red法
やMTT試験法による細胞障害反応を使って皮膚刺
0 6 12 18 24
激を評価できるのではないかという当時の現状が
T㎞e(h)
あったが,皮膚刺激性を起炎物質適用後いつ測定す
ればよいかについては評価が定まっていなかった.
F喜5.
Ti二me Course of the Viabi1ity(%)of In七act
and Stripped1LS正】a批er App1ication of1%
CPC.
3% 10%
30%
1oo
Ioo
1oo
(75
$
75
75
50
50
25
25
)
蓄・・
事25
0 6 12 18 24 0 6 12 18 24 0 6 12 18 24
0
0
0
Time(h) Time(h) Ti㎜e(h)
Fig.4.
92
Ti1me Course of七he Viabi1ity(%)ofLSE a允er Application of3,10and30%Lactic Acid一.
薬剤学Vo1.67,No.2(2007)
a) Stripped skin
o
4
8
3
c) Stlipped and intact skin
,L)
h
4
2
c)
Q)
1
N
Ce
L
3
O
O
o 2
(,
O
O 5 10 15 20
Applied conc, ("/o)
Nc ,
.-
I
O
O
O
O
C,
O
N
1
b
b) Intact skin
O 30 60 90 120
Ce
Conc. at reaction site (olo)
O 5 10 15 20
Applied conc. (olo)
Fig. 6.
CPC Concentration-Response Curve (Draize Test in Guinea Pigs).
a) stripped skin (CPC application concentration-response curve), b) intact skin (CPC application
concentration-response curve), c) stripped and intact skin (CPC skin concentration-response curve).
a) Stn'pped skin
OO
li
¥J
c) Stripped and intact skin
::
C1
lOO
p¥o
:,ee
.20
O 5 10 15 20
80
60
Applied conc. ('/.)
!
s::} 40
o 20
a
b) Intact skin
lc
t
o
OO
f¥
b
v
:!!c:
do
I O
-20
OConc,
3 atOreaction
60 site
90(o/o)
1 20
1:'
c 5
O] -20
O 5 10 15 20
Applied conc. (olo)
Fig. 7. CPC Concentration-Response Curve (MTT Assay in Guinea Pigs).
a), b), c) : same as in Fig. 6.
i
: Vol. 67, No. 2 (2007)
93
極点は見られなかった.また,これら遅い速度とそ
にその試験縞果を示す.両図から明らかなように,
の後の速い速度はそれぞれ1次反応に従い,適用24
Draize法による加ぬo試験でもMTT試験を用い
時間でほぼ一定値に収東することがわかった.すな
た加び加o試験でも,皮膚刺激性(Draizeスコアま
わち,角層バリアーが堅固なときは比較的遅い速度
たは死細胞率,1)とCPC適用濃度(0)にはEm。。
で切abi1ityが減少するものの,起炎物質が角層バリ
モデル(Hi11式)*で示される関係にあった.さらに
アーを透過すると急に遠い㎡abiIity滅少が引き起
興味あることに,適用濃度より皮膚中濃度で表記す
こされることが示唆された.
ると,intacts㎞とsthppeds㎞でも皮膚中濃度
次に,CPCをモルモットに(皮膚刺激反応が一定
が同じなら同様な皮膚刺激が見られることも明らか
となる)48時間適用し,皮膚刺激性をMTT試験(加
となった(Figs.6c,7c).加えて,Draize法による
○かo評価法)と従来からの評価法であるDraize法
スコア結果とMTT試験法による死細胞数の相関を
(加伽o評価法)によって評価した8).Figs.6,7
見ると,Fi&8に見られるように極めて良好な直線
関係が見られ,Draize法の代替法としてのMTT試
4
験法の有用性が認められた.
これらの緒果に勇気づけられ,次にCPCを三次
3
9
元培養ヒト皮膚モデルに(皮膚刺激反応が一定とな
竃2
る)24時間適用し,皮膚刺激性をMTT試験法に
8
塞
よって評価した.結果をFi&9に示す.モルモット
1
Fig.8.
に対するMTT■試験緒果(Fi&7)とほぼ同様の関係
が認められた.さらに興味あることに,Fig.7と
O
_20 0 20 40 60 80 100
F晦9の死細胞数のデータを皮膚中濃度x(1050・モル
Dead ce11number(%)
モット皮膚)/(1050.三次元培養皮膚)に対してプロットする
Corre1ation between Draize Irritation Score
and MTT Assay Resu1ts in Guinea Pigs.
1m甑・0γ
Draize score呂2,820x10−2・%位action of
dead ce11number+1,272.
*1=
1050γ十0γ
ψSt[ipped−LSE−hi皇h
§80 ③
θStdpPed−an沮j皿tact LSE−h室h
お
100
毛
θ
昌
80
ω
○
勺
§
8
ρ一20
ぷ
O O.25 0.5 0,75 1
⋮≡l
昌
ApP1ied conc.(%)
§10◎
o○
勿htact LSE_hg=h
で
毛
40
20
8
●
お
●
○
60
ρ
三・・
一20
i
3 6 9 12
○
で
8
q Conc.atreaction site(%)
・20
0 ◎.25 0.5 0,75 1
ApP1ied conc.(%)
Fig.9.CPC Concentration−Response Curve(1MTT Assay in LSE−High).
a),b),c):sa1=ne as in lFig二6.
94
薬剤学Vo1,67,No.2(2007)
と,両図はほぼ同じような挙動を示すことがわかっ
た.
引 用 文 献
以上より,例えばモルモットを用いて行ったDra−
1)E.BeI1,亘.P Ehr1ich,D.J.Butt1e,T Nakats功i,
ize試験はモルモットにおけるMTT試験で代替で
skin−equiva1ent tissue of fi111thickness,8c加〃cε,
き,さらに,モルモットにおけるMTT試験は三次
211.1052_1054(1981)1
2)N.Morikawa,K.1Morota,K Ton㎡hata,T Taira,
元培養皮膚モデルのMTT試験で代替評価できるこ
とから,現在汎用されている動物を用いたDr虹ze
試験(加痂o試験)に替わって三次元培養皮膚モデ
ルで代替評価できることが示唆された.
Li耐㎎tissue fomed加リかo and accepted as
Y Takahasbi,S.lMlorita,lM1.Suzuki,Three d−imen−
siona1cuItured−skin mode1used fbr tissue engi−
neering research,Jl Jカ〃.A880α 1∼θgε〃ε7α去加θ
1)ε〃¢.,3,12_22(2005).
3)T Watanabe,丁一Hasegawa,H.Tak出ashi,T.Ishi−
bashi,K.Takaya㎜a,K Sugibayashi,Uti1ity of
七he three−dimensionaI cu1tured h㎜1an skin
mode1as a too1to eva1uate skin permeation of
5.おわりに
動物実験またはヒト試験代替法としての三次元培
養ヒト皮膚モデルの有用性をさらに確立していくに
は,まず①三次元培養ヒト皮膚モデルの晶質を高く
かつばらつきのないようにすることが重要である9).
また,②より実皮膚に似せるために,表皮中にケラ
チノサイト以外のメラノサイトやランゲルハンス細
d.rugs,A〃εグ犯.Aπ乏肌αZ Zと8た1恥ρ8rj〃}θ〃f.,8,1_14
(2001).
4)T.Watanabe,T.Hasegawa,H.Takahashi,T.Ishi−
bashi,K Sugibayashi,E蘭ect of penetration en−
hancers on the permeation ofdrugs across three一
伍mensiona1cu1turea human skin mode1:Com−
pahson with the e価ects using excised hair1ess rat
sk三n,Aκθ7れ.Aπ加zαZ1セ8た亙κpθrオ〃}ε犯ま.,8,15_22
(2001).
胞をも構築すること,さらに,③毛嚢や汗腺などの
5)K.Sugibayash,T Hayashi,K lMatsumoto,T.
付属器官を付与することも必要に応じて対応してい
Hasegawa,Uti1ity of a three一砒mensionaユcu1−
かねばならない.加えて,④三次元培養ヒト皮膚モ
simu1taneous砒sion and㎜etabo1ism of ethyI
デルにも実皮膚のように乳頭層状の非平面構造が必
要になるように思う.しかし,上述したことと重複
するが,実皮膚と同じ膜を作ることが重要ではな
く,実皮膚と比較しやすい培養皮膚を作ることが重
要であることを認識すべきである.
tured human skin m−ode1as a too1to eva1uate亡he
nicotinate in skin,Drαg〃助α6oκ81ηPんαr〃ωco肋〃.,
19,352_362(2004).
6)K Sugibayashi,T Watanabe,T.Hasegawa,H.
Takahashi,T.Ishibashi,Kinetic ana1ysis on亡he
in v此ro cytoto虹city using Li㎡ng Skin1…】quiva1ent
fbr rankhg the toxic potentia1of derm−a1irri−
tants,1bz{coム1〃V;τro,16,759−763(2002).
今回紹介したのは,経皮吸収試験と皮膚一次刺激
7)S.Kano,K Sugibayashi,Kinetic ana1ysis on the
skin disposition of cytotoxicity as an index of skin
試験の代替法に関するものである.このほか,皮膚
irritation prod.uced by cety1pyhdiniu二m ch1oride:
感作性試験に関する問題もあるが,これに関しては
Compa㎡son of加U伽o d−a亡a using a three−dimen−
まだまだ研究途上である.また,今回紹介した経皮
su1ts in ha辻1ess mice,1〕んαr肌.肋8.,23,329_335
吸収試験と皮膚一次刺激試験の代替法に関してもさ
らに検討が必要なものも多い.ただ,動物試験やヒ
ト試験なしに医薬晶や化粧晶を開発する時期も迫っ
てこよう.三次元培養ヒト皮膚モデルを用いた代替
法の今後のさらなる進展が望まれる.
siona1cu1turedhuman s虹n㎜ode1with加リ加o re−
(2006).
8)T.Watanabe,丁一Hasegawa,H.Takahas㎞,T.Ishi−
bashi,H.Itagaki,K.Sugibayashi,Uti1ity ofM1TT
assay in t㎞ee−d−imensiona1cuItured human s虹n
Inode1as an a1terll1ative{br draize skin irr此ation
test:apProach using倣sion1aw of i㎜itant in
shn and−toxicohnetics−to池cod岬amics corre1a−
tiOn,Pんαrη}.Rε8.,19,669−675(2002)、
9)R.Rog−u−et,The use of stand.ardized human skin
mode1s{br cutaneous pha工macotoxico1ogy studi−
es, S冶{κ pんα7η一αcoム AρPZ− S治ε〃 Pんツ8オoZ1, 15
(supp1.1),1_3(2002).
薬剤学Vb1.67,No.2(2007)
95
Fly UP