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事 業 概 略 書 パーソナル・サポート・サービスとしての“ユニバーサル農業

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事 業 概 略 書 パーソナル・サポート・サービスとしての“ユニバーサル農業
事
業
概
略
書
パーソナル・サポート・サービスとしての“ユニバーサル農業”の
モデル事業実施と普及促進のための販路拡大に関する調査・研究事業
社会福祉法人生活クラブ
事 業 目 的
高齢化や産業構造の変化により休耕地が増えている状況において、休耕地を活用し
た“ユニバーサル農業”の普及促進を図る。障害者や高齢者、引きこもりなど社会的
困窮者にとって農業は精神的な効果が見込まれ就労場所として期待がかけられている
。しかし、小規模事業所単体では、独自で販路を拡大したり、安定供給を維持するこ
とが難しい状況にある。その影響で障害者などの経済的自立の阻害要因となっている
。今回の事業では、複数の支援団体が共同することで安定供給を確保し商品価値を高
め、少量多品目、形状の品質に難がある商品でも、顔の見える生産者としての安心感
を強みとして、新たな販路を開拓するともに、供給と需給のバランスについて調査研
究を行った。あえて、少量多品目、形状の品質に難がある商品の販路拡大にこだわる
ことで、均一の商品製造が難しい人たちでも就労できる場所としてのあり方を研究す
る。既存店舗での購買時間の確保が難しい就労者の多い企業等を対象に 企業登録者へ
の定期配達販売の可能性を調査し、モデル事業を行い新たな販路のしくみを構築する
。
事 業 概 要
具体的調査研究は、下記の5つの事業を通して行った。各事業の実施にあたり、農業
を通して障害者等との関わりのある各種団体を中心としたユニバーサル農業検討委員
会を開催し、検討を進めた。本事業を進めるにあたり、アンケート 票原案作成、集計
業務、モデル事業業務フロー原案作成および 購入者ヒアリング調査等を株式会社川原
経営総合センターに委託した。
① 購入側アンケート調査(企業向け)
“ユニバーサル農業”の供給者と協力者・消費者という関係から地域理解者の
拡大の可能性を調査する。また、既存店舗での購買時間が充分にとれない就労
者の多い職場を対象として“ユニバーサル農業”の生産物に対するニーズ調査
を行う。社会貢献の要素も含めた生産者の見える商品としての安心感と一般の
流通システムや規格等にあわせた生産が難しい農産物を職場に配達する販売
形態の可能性を調査する。
② 供給側アンケート調査(施設向け)
“ユニバーサル農業”の主旨を説明し浸透を図るとともに、生産者もしくは協
1
力者としての意向把握や生産者としての能力を調査する。
また、生産者としての実施の可能性、実施上阻害要因となるものを調査し、農
作業への参入の可能性を見出す。流通・販売・商品化・消費者確保などその
他の活動への協力の意向や可能性を把握する。
③ 供給側アンケート調査(新規就農者向け)
供給側として、障害者施設の安定供給を補完するとともに新規就農者の事業の
定着を促すため“ユニバーサル農業”の浸透とともに、現状の課題や生産量、
販路、障害者等との関連について調査を行う。
④ モデル事業(企業内登録者への定期配達による販売)
1つの企業に協力を得、3 週間のモデル事業を実施。複数の新規就農者による
農産物を、障害者福祉事業所の利用者とともにパッケージ詰めしたパック野菜
を職場に配達するしくみを構築、実施、ニーズ調査を行い、販路としての可能
性を検証する。
⑤ 委託事業報告会の開催
“ユニバーサル農業”の主旨の普及とともに、モデル事業、調査結果等の報告
を通して、供給者、購入者、協力者の開拓を図りユニバーサル農業に賛同する
地域ネットワーク構築の布石とする。
開催日
3 月 15 日 13 時~15 時 千葉市生涯学習センター内メディアエッグ
〔報告会概要〕
 本事業の概要説明
 アンケート調査結果報告
 モデル事業実施報告
 モデル事業成果と課題
 ユニバーサル農業の様々な取り組み
2
調査研究の過程
(1)アンケート調査(①~③)
ユニバーサル農業の主旨と合わせて調査票を発送、返信用封筒にて調査機関に
返送する方法で行った。アンケートの配布状況と調査票構成は下記の通りである。
調査実施期間:平成23年12月9日~12月20日
1.購入者
(企業対象)
2.供給者(障害者福
祉事業所等対象)
回収数
63
87
12
回収率
11.4%
16.8%
26.1%
調査票
対象
配布数
調査票
の構成
3.供給者
(新規就農者等対象)
佐倉市内の新規就農の 会、
木更津市、君津市の農 業委
千葉市、佐倉市、木
員会、千葉県農林水産 部担
更津市、柏市の民間 千 葉 県 全 域 の 障 害 者
い手支援課会合にて配 布。
企業と行政機関、社 福祉作業所
その他、千葉農産株式 会社
会福祉法人
経由にて新規就農者を 中心
に配布。
555
518
46
Ⅰ 法人概要
Ⅰ 法人概要
Ⅰ 団体概要
Ⅱ 地域の地場産業 Ⅱ 現在の農作業等の Ⅱ 現 在の 農 作業 等の 規模
としての農業
実施状況
等
Ⅲ ユニバーサル農 Ⅲ 現在の農作業等の
業の普及と消費
規模等
の可能性
調査実施期間が 12 月であったため、企業や施設の年間業務の多忙な時期と重なった。
回答協力の依頼連絡を行ったが、回収率を高めることが難しかった。 提出期限を超過
し調査機関に届いた調査票全てを集計に含めた。
新規就農者への配布は、行政機関の協力を得、各種会合等で配布の協力は得られた
ものの、個人情報の関係上配布先の集約が困難であった。それだけ、新規就農者に対
する行政以外の協力体制やネットワーク不足、団体としての交渉力、実態の把握等が
不足している傾向がうかがえる。 なお、供給側として障害者福祉事業所等と新規就農
者等を対象とした。事業特性が異なる両者は、現在の障害者等との関係性が全く異な
ることが予測されたため調査票を別々に作成し、共通の設問について両者の実施状況
を整理した。
(2)モデル事業購入者ニーズ調査(④)
モデル事業を実施し、購入者を対象にニーズ調査を行った。グループヒアリングの
事前資料として3回の納品終了後にアンケート調査票を配布した。アンケートは、調査
機関に各自が直接FAXする形式にて回収(回収率95%)を行った。
3
グループヒアリングは、購入者および窓口担当者を含め 8名が参加し佐倉市役所会議
室にて実施した。業務の都合で購入者 全員がグループヒアリングに参加することが難
しかったため、毎回の配達時に得た購入者の感想を、窓口担当者経由で調査機関にメ
ールで送ってもらうことで補完し調査を行った。
モデル事業実施
ヒアリング実施
モデル事業検証会
2月2日、2月9日、2月16日(全3回 販売個数 各回20パック)
購入者 佐倉市役所経済環境部農政課、福祉部障害福祉課職員
3月 5日 10:00~11:00
2月29日 10:30~12:00
事 業 結 果
今回のモデル事業は、障害者施設からの安定供給が難しいため、佐倉市役所の協力
を得て新規就農者を中心とした農作物を商品とし、障害者施設から援農する方法にて
実施した。企業向けアンケート結果からも全国 2 位の農業生産県である千葉県内で休
耕農地が増えていることに対して、多くの企業が課題として認識していることが明確
となった。本モデル事業は、障害者等と農業を結びつけるだけでなく、小規模の新規
就農者に対して販路、ネットワーク拡大の契機を生んだことが大きな成果といえる。
企業内に家庭で消費する農作物を配達するという想定は、今回 は、佐倉市役所の購
入者を対象としたため、受入れの素地ができていた。一般企業に普及させるには、
“ユ
ニバーサル農業・野菜お届け便”を広く認知させる必要がある。そのためには、賛同
の可能性が高い法人から段階的に「需給者」を開拓し、「需給」に見合った「供給」体
制を整備していく必要がある。生産者としての賛同者を開拓するとともに、生産者同
士のルールを整備することが必要となる。農業は生産までに期間を要するため、今後
の普及拡大の規模を見越して計画生産に取り組んでいくことが必要となる。
今回のモデル事業を通して次の商品コンセプ トが普及の可能性が高いと考えられる。



朝穫り無農薬野菜(味の良さ)
社会貢献(障害者の社会参加への支援)
社会貢献(地域の農業の活性化)
企業の社会的責任の向上を商品の主目的と定義することで、企業経営者の賛同を得
た上で、企業内に野菜を配達することを認める職場風土へと後押しをする。そのため
にはポスターやステッカーなど、企業の社会的責任の活動を外部に明示する方法を考
える必要がある。
“ユニバーサル農業・野菜お届け便”の利用を通して買物労力の削減
という社員の生活支援の一端を担うとともに、ワークライフバランスを受 入れる組織
風土の土壌作りに貢献する。また、その試みは年配者に退職後の生きがいの一つとし
て農作業への参画の意識を芽生えさせることもつながる可能性がある。
佐倉市では、昨年度、佐倉市新規就農者の会を結成しネットワークを進めている段
階であり、今回モデル事業として協力を得た新規就農者 3 者も、新規就農者の会のメ
ンバーである。新規就農者向けアンケート結果では、1,2 名の小規模事業がほとんどで
あり、無農薬や有機農法という共通点はあるものの、独自の手法や考え方で行ってい
る様子がうかがえた。協働して供給体制を構築することでネ ットワークを深化させ技
術向上のスピードが促進する可能性が考えられる。安定顧客の獲得による経営の安定
だけでなく、精神的にも安定する可能性がある。
4
障害者施設にとっては、利用者の社会参加や地域ネットワーク拡大の可能性がある。
新規就農者との連携により農作業のノウハウを得る機会を設けやすくなり、担当者が
変わっても継続した農作業がしやすくなる。また、障害者が配達を担うことで、障害
者の理解を促す可能性がある。その他、土地が無くても援農という形で利用者に農作
業の機会を設けることができる。今回の事業では、障害者が農作業との 関わりを通し
て“体力維持”、“やりがい”、“楽しさ”だけでなく、環境の違いによる能力開花の可
能性があげられている。
本モデルは、多くの機関が協働で行うことで実現できるものである。購入者の拡大
だけでなく、賛同者の開拓や賛同者同士のルールなど多くの課題が残されている。し
かし、障害者施設、新規就農者、企業というほとんど接点のない事業体が“ユニバー
サル農業・野菜お届け便”を通して共感を深めていける可能性がある。特に農業生産
県では、そのネットワークは、現在、社会保障制度で求められている地域包括ケアシ
ステム実現への一つの布石となるであろう。
5
企業登録者への定期配達販売の効果と可能性
障害者施設
〔課題〕
新規就農者
企業
〔課題〕
休耕農地の増
加への問題意
識高い。
〔課題〕
利 用 者 の社 会 参加 と 工賃 向上
顧 客 獲 得と 経 営の 安 定
多 様 な 労働 力 確保 の 必要 性
農 作 業 のノウハウ・人 材 不足
技 術 向 上& ネットワーク不 足
ワークライフバランスの実 現 への 課 題
農 作 業 技術 の 継続 困 難
人手不足
企 業 内 登録 者 への 定 期配 達によ る 販 売
〔効果〕
〔効果〕
導入
〔効果〕
利 用 者 の活 動 と工 賃 の確 保
安 定 顧 客の 獲 得に よ る事 業安定
CSR の 向 上
利 用 者 の体 力 維持 能 力開 花
ネットワーク深化 に よる 技 術向 上
社 員 の 生活 支 援
農 作 業 の協 力 者の 確 保
協 力 者 の獲 得 &人 手 不足 解消
職 場 内 の WLB 意 識 醸 成
〔 可 能 性〕
〔 可 能 性〕
〔 可 能 性〕
 農 作 業 の労 働 力
 繁 忙 期 の労 働 力不 足 解消
 CSR の 向 上
 梱 包 作 業受 託
 孤 立 感 の解 消
 社員の農業への興味の
 農 産 加 工品 の 生産
 協 力 者 の獲 得
 事 務 局 代行
 理 解 者 の獲 得
 無 農 薬 野菜 の 魅力 周 知
 送 迎 車 を利 用 した 配 達
 質 の 向 上へ の 意欲 醸 成
 多 忙 な 職員 の 生活 支 援
 農 作 業 のノ ウ ハウ 獲 得
 CSR の 向 上
 顧 客・生 産者 とし て の可 能
 商 品 周 知ル ー ト確 保
 ワークライフ バラン スを 受 入 れ
る 組 織 土壌 の 構築
醸成
 安 定 購 入者 の 開拓
性
 障害に関する理解者の開
 新 規 就 農者 の 開拓
拓
・自然な形でのノーマライゼーションの概念の普及
・地域の休耕農地の解消による地域課題の緩和
・ワークライフバランスへの意識醸成と多様な人材を受入れる企業風土の醸成
地域ネットワークの構築により、地域包括ケアシステム
への基盤整備への貢献
事業実施機関
社会福祉法人生活クラブ
〒285-0837 千葉県佐倉市王子台1-28-8 ちばぎん臼井ビル4F
TEL 043-309-5812
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