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海外ニュース - 国民生活センター
生活知識情報 海外ニュース 香 港 (文 / 安藤 佳子) 【HKCCホームページ】 http://www.consumer.org.hk/website/ws_en/news/press_ releases/2014020601.html 2013年の苦情相談を総括 HKCC(香港消費者委員会)では、このほど2013 以下、3位は家電(1,623件) 、4位が家具(1,512 年の苦情・相談の統計を発表した。それによると、 件) 、5位が旅行関連(1,463件・対前年比55%増、 相談件数の総数は対前年比10%増の30,006件で、過 その半数以上が航空券関連) 。2013年7月施行の改 去4年間で最多であったという(内訳はサービス関 正商品説明条例により、虚偽・誤表示、強制・威 い かく 連の相談が16,427件、商品関連の相談が13,579件) 。 嚇、おとり広告などの悪質商法に関する相談も多く 件数順にみると、1位は携帯電話・インターネッ (特に通信関連・漢方薬などの分野) 、供給不足を理 ト・汎用パケット無線システムなど通信サービスに 由に高値で幼児用の特殊調整粉乳を販売した小売店 関連する相談(6,410件)で、その半数以上が料金 への苦情も対前年比195%と目立った。 に関するものであった。また、2位が通信関連機器 2014年、HKCCは創立40周年を迎える。今後は に関する相談(2,371件・対前年比21%増)で、その さらなる消費者の権利の確保と保護に力を入れた活 大多数が携帯電話の修理や品質に関する内容であっ 動を目標とし、諸外国に遅れをとっているクーリン た。1位と2位だけで全体件数の約3分の1を占め、 グ・オフ制度の早期導入をめざす。また、中国本土、 新しいテクノロジーのサービス・商品に関し、消費 台湾、 マカオなど近隣の各消費者関連団体との同盟・ 者側のニーズやアフターフォローの要望に事業者側 協力関係の構築を目的とした初の合同シンポジウム が応えられていない実態を表しているといえる。 を4月に開催する。 アメリカ (文 / 安藤 佳子) 【コンシューマー・リポーツ】 http://www.consumerreports.org/cro/2014/02/dangers-of-hot-yoga/index.htm 【ACEホームページ】 http://www.acefitness.org/prosourcearticle/3353/ace-sponsored-study-hotyoga-go-ahead-and ほか ホットヨガ、その効果とリスク 室温32 ~ 40℃、湿度40%という高温多湿の環境 運動すると、脱水によるめまいや吐き気、筋肉のけ で行うホットヨガが人気である。筋肉を温めて柔ら いれんなどの熱疲弊の症状を起こしやすく、最悪の かくすることでヨガの効果が高まり、体内の脂肪燃 場合、心肺・腎・肝機能が停止し死に至るケースもあ 焼や大量の発汗によるデトックスやダイエットも期 る。50歳以上の人や妊娠中の人、慢性疾患で服薬中 待できるといわれるのがその理由で、アメリカでは の人は特に高リスクであるという。2点目は、から 40 ~ 46℃の環境下で90分間のメニューを行うビク だが柔らかくなったと感じて自分の限界を超えての ラムヨガが大人気である。しかし、ウィスコンシン大 曲げ伸ばしをすると、関節や筋肉を損傷する危険性 学の研究室がNPO団体のACE(アメリカエクササ がある点。そして3点目が感染症。高温多湿は細菌 イズ評議会)の協力で行ったホットヨガと通常のヨ の温床となり得るからである。 同誌では、 施設のマッ ガの比較実験では、ボルグスケール*1はホットヨガ トを使用する際はアルコールで除菌するか清潔なタ のほうが明らかに高かったものの、深部体温や心拍 オルでくるむようアドバイスするとともに、十分な 数などに有意の差は認められなかったという*2。 水分補給と適度な休憩の必要性を呼び掛けている。 一方『コンシューマー・リポーツ』でも、ホットヨ *1 運 動中の人がどの程度「きつい」と感じているかを数値で表すもの。 自覚的運動強度(RPE)。 ガに潜む3つの懸念を指摘している。まず1点が熱 *2 ただし今回の実験は33℃で行われたもので、40℃以上での実験も必要 であるとしている。 中症。深部体温の調節ができないほどの暑い環境で 2014.4 国民 生 活 12 生活知識情報 海外ニュース ドイツ (文 / 岸 葉子) 【エコ・テスト出版『エコ・テスト2013年特集号』】 効果や副作用は未解明な植物性製品 http://www.oekotest.de/cgi/index.cgi?artnr=100961&bernr=0 6&gartnr=1&suche=rotklee 【BfR ホームページ】 http://www.bfr.bund.de/cm/343/isolierte_isoflavone_sind_ nicht_ohne_risiko.pdf ドイツでは、更年期女性の約3分の1が不快症状 性がすべてうつ症状を訴えるとは限らないこと、両 に悩むが、ホルモン補充療法には消極的だという。 成分の相互作用が懸念されることを理由とする。ま そのようななか、女性ホルモンと化学構造が似てい た、ブラックコホシュの副作用は未解明であること るとして注目されるのが、大豆に含まれるイソフラ から、使用上の注意表示がない商品も減点された。 一方、大豆などを主成分とする栄養補助食品は、 ボンである。大豆製品をよく食べる日本人女性は更 年期障害とは無縁という“神話”まである。そこで 低めの評価となった。成分が凝縮されたイソフラボ エコ・テスト出版は、エストロゲン類似作用のある ンの長期・大量摂取によるリスクを否定できないと 植物成分を含む更年期障害対策の製剤27商品(大豆 するBfR(連邦リスク評価研究所)の見解を重視し やレッドクローバー抽出物を含む12栄養補助食品、 たためである。ただしBfRでは、食事から摂取する ブラックコホシュ*1配合の15医薬品)のテストを 通常量のイソフラボンまで問題視していない点に注 委託した。 意を要する。 その結果、ブラックコホシュ配合の医薬品はおお *1 キンポウゲ科の多年草。日本では厚生労働省が利用に関する注意喚起 を行った。 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/ hokenkinou/dl/blackcohosh.pdf むね評価が高かったが、うつ症状緩和効果があると されるセント・ジョーンズ・ワート*2が同時配合さ *2 セイヨウオトギリソウ。多くの薬物と相互作用があることから、日本 では厚生労働省が注意喚起を行った。 http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1205/h0510-1_15.html れた商品は大きく減点された。更年期障害に悩む女 EU(欧州連合) (文 / 岸 葉子) 【欧州委員会『RASFF年報2012』】 乾燥イチジク、ナッツ類のかび毒に注意 http://ec.europa.eu/food/food/rapidalert/docs/rasff_ annual_report_2012_en.pdf 【EU規則第165/2010号】 http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri= OJ:L:2010:050:0008:0012:DE:PDF 2012年に新規通報された3,516件のうち、アフ RASFF(Rapid Alert System for Food and Feed)とは、EU一般食品法規則に基づき、危険な ラトキシン関連は484件。厳格な監視が功を奏し、 食品・飼料がEU圏内に流通するのを防ぐための警告 2005年の946件に比べると通報件数はほぼ半減した システムである。危険な食品・飼料などに関する情 が、依然として高い割合を示している。特に目立つ 報を入手した関係国が商品名、製造者名、危険内容 のが乾燥イチジク、ピーナッツ、ピスタチオ、飼料 等の詳細をEC(欧州委員会)に通報すると、ECが などの通報で、専門機関では、外見や味に違和感が すべての関係国に連絡し、情報共有を図るしくみに ある場合は決して食べないよう助言する。 なお日本では、総アフラトキシン(アフラトキシ なっている*1。 RASFFへは、食品や飼料から基準値超過のアフ ンB1、B2、G1およびG2)の検出が1㎏当たり10µg ラトキシンが検出されたという情報が頻繁に通報さ (マイクログラム)を超える食品は、食品衛生法違反 れる。アフラトキシンとはアスペルギルスなどのか とされている。 び毒の一種で、発がん性物質としても知られている。 *1 ウェブ版『国民生活』2012年8月号 http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201208_05.pdf EUでは、ナッツ類や乾燥フルーツについて、直接消 *2 EU規則第165/2010号。例えば、そのまま食べたり、食品の原材料と して使われる乾燥フルーツでは、アフラトキシンB1が2.0μg/kg、総 アフラトキシンが4.0μg/kg。一方、その前に選別やその他の物理的 処理が行われる場合は、アフラトキシンB1が5.0µg/kg、総アフラトキ シンが10.0µg/kg。 費用と加工用の2段階に分けてアフラトキシンの基 準値(上限)を設定している*2。 2014.4 国民 生 活 13