Comments
Description
Transcript
第3章 食育推進の基本的な取り組み(P18-P43)(PDF:1.8MB)
第�章 � 食育推進の基本的な取り�� ��の目標 第 2 章の課題の解決と岡山市の食育を推進していくために、目標を次のようにします。 �����なに支えられた明るい家庭で、�しい食事づくりとふれあい体験を 通じて�来を�うこころ豊かで自立する��な「岡山っ子」を育てよう 「食」は、体の成長だけでなく、心の成長にも大切です。 子どもたちは、食事づくりや農業体験などのいろいろな食の場面での経験を通じて、 食事をつくることやつくってあげることの喜び、食事や食材をつくってくれる人への 感謝、命の大切さ、地域の食文化等を実感し、家族をはじめ周りの大人との温かなふ れあいの中で安心感や基本的信頼感を得ることにより豊かな人間性を、また「食」に 関する知識と「食」を選択する力を習得することにより自ら生きる力を身につけるこ とができるようになります。 また、食を取り巻く環境の変化により、食の中心的な場であり食育の拠点となるべ き家庭が、本来の役割を果たしにくくなっています。地域や関係機関が連携し様々な 機会において家庭を支えることで本来の役割を取り戻すと同時に、明るい雰囲気のな かで味わうおいしい食事や食事づくりによって食への関心を育成し、こころ豊かで自 立する岡山っ子を育てましょう。 18 (�)���人�とりが生�を��て心身ともに��であるため、日本型食生活 の良さを見直し、バランスのとれた��正しい��な食生活を実践しよう 人は誕生してから、生命を維持していくためには、食べなくては生きていけません。 そのため、私達は日々「食」と向き合い、食事をいかにおいしく楽しみながら、か つ体に必要な栄養を適切な形態でバランス良く取り入れることができるのかという ことが生活の質を高める上で重要となります。 しかしながら、ライフスタイルの変化による食の欧米化が進み、過食・朝食の欠食 など食生活の乱れが肥満や過度の痩身、生活習慣病の増加などの問題が顕在化してい ます。米・魚・野菜を中心とした多様な食品を組み合わせる日本型食生活の良さを見 直し、正しい食習慣・知識を身につけることを目標とします。 (�)食に感謝する気持ちを�み、食�化を伝えよう 飽食の時代にあって、農業体験など食に関する体験も乏しくなり食(生命)をいた だくという意識が薄れつつあります。食を担う様々な活動、食事のマナー、食への関 心、感謝の気持ちについて見直す必要があります。 家庭の味や郷土(伝統)料理を大切にし、先人の知恵を世代間交流により次世代に 伝えることも大切です。 (�)地産地消を実践しよう 「地産地消」とは、地域で生産したものをその地域で消費するという意味です。 地産地消の実践には多くのメリットがあります。 19 ① 旬の食べ物を新鮮なうちに食べることができます。 ② 生産者と消費者が身近にいることで、お互いの責任感や信頼感が生まれ、安心 して食べることができます。 ③ 地域の食べ物を知ることで、伝統的な食文化を守り、次世代へと伝えることが できます。 ④ 輸送の無駄を省くことで、環境に配慮した農林水産物の流通に役立ちます。 ⑤ 需要が拡大し、地域経済の活性化につながり、郷土への愛着心も育まれます。 ⑥ 地場産物の消費拡大は、国内の食料自給率の向上につながります。 ���食の安全�安心に関する知識と理解を深めよう インターネット等情報機器の普及により、食に関する膨大な情報が取得できるよう になりましたが、同時にそれらの情報を適切に選択し活用することが難しくなってい ます。そのため食品関連事業者は正確かつ適切な情報を適時に公開することが必要で あり、市民は食品の安全性をはじめとする食に関する正しい知識と理解を深めるよう 努め、自ら食べるものは自らの判断で正しく選択していくことが必要です。 20 � ��������� ����������������������������� ������������������������� ��������������������������� ����������������������������� �������� ���������������������������������� ������ ��� ������� ���� ��� ������� ����� ���� ���� � ��� ��� ��� � 岡山っ子 (市民) ����� ��� ����� ����� � � � � � ����� ������� � � ������������������������� 21 � � 食育推進の取り組� (�)家庭で食育をすすめよう 子どものころに身に付いた食習慣を大人になって改めることは困難であり、子ども のうちに健全な食生活を確立することは、成長段階にある子どもが、必要な栄養を摂 取し健やかな体を作り、生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくん でいく基礎となります。 このため、日常生活の基盤である家庭において、子どもへの食育の取組を確実に推 進していくことは重要な課題です。 特に、家族が食卓を囲んで共に食事をとりながらコミュニケーションを図る共食は、 食育の原点であり、子どもへの食育を推進していく大切な時間と場であると考えられ ることから、家族との共食を可能な限り推進します。 家族との共食の際は、子どもたちに、食卓を囲む家族の団らんによる食の楽しさを 実感させるとともに、食事のマナーや挨拶習慣など食や生活に関する基礎の習得がで きるように配慮することが大切です。 もとより、ライフスタイル、家庭の態様や家族関係は多様化しており、家庭におけ る食育は決して一律には推進できないが、家庭が子どもへの食育の基礎を形成する場 であることには変わりありません。 そこで、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を踏まえ、学校、保育所 等、更には地域社会とも連携して、家庭における食育の推進の充実を促進、支援する ことが期待されます。 22 �家�で保護者等が�うこと� 子どもを育てる保護者は、子どもの発達段階に応じて、食に関する基本マナーの実 践や基礎の理解、健全な食習慣等を身に付けさせる役割と、自らも「食」についての 意識を高め、健全な食生活を実践することが期待されます。 ���事�� ◇ 食に関する基礎の習� ・家族で食卓を囲む機会を増やし、おいしく楽しく食べる ・食物の命をいただく感謝の気持ちを育み、 「いただきます」、「ごちそうさま」の挨拶の実践 ・手洗い・良い姿勢など正しいマナー・作法による食事を心掛ける ◇ 食の基礎の理解と実践 ・地産地消や農林漁業体験で食文化を実感し食への感謝の気持ちを理解する ・親子で調理など楽しい食事づくりを通じて正しい栄養知識を理解する ・「もったいない」のこころで無駄や廃棄を少なくする 23 ◇ ��と選択力の��・健全な食生活の�� ・食品の安全性に関する情報を的確に理解・判断する選択力を身に付ける ・「食事バランスガイド」などの活用で食事バランスを向上させる ・「早寝、早起き、朝ごはん」の規則正しい生活リズムと間食・夜食の抑制 � �ラム � �どもの食を��力の��を�う � つの�� 〈保育所における食育に関する指針より〉 「食と健康」�����食を通して、健康な心と体を育て、自ら健康で安 全な生活をつくり出す力を養う。 「食と人間関�」���食を通して、他の人々と親しみ支え合うために、 自立心を育て、人とかかわる力を養う。 「食と文化」�����食を通して、人々が築き、継承してきた様々な文 化を理解し、つくり出す力を養う。 「いのちの育ちと食」�食を通して、自らも含めたすべてのいのちを大切 にする力を養う。 「�理と食」�����食を通して、素材に目を向け、素材にかかわり、 素材を調理することに関心を持つ力を養う。 24 (�)保育�(園) ・幼�園・��で食育をすす�よう �保育関���行う�と� 乳幼児期は、生涯にわたる人間形成の基礎を培う大切な時期です。食材との触れ合 いや食に関する様々な体験や指導を通じ、適切な食事のとり方や望ましい食習慣の定 着、豊かな人間性の育成を図ります。 ���事�� ◇ ��との�� ・給食だよりや給食の展示等を通じた情報提供 ・栄養バランスのとれた簡単なレシピの配布 ・「早寝、早起き、朝ごはん」運動の推進 ・公立保育園給食試食会の開催 ◇ ��等との�� ・野菜の栽培 ・季節の行事にまつわる食べ物・おやつ(もちつき、夏祭りなど) ◇ 「食育保育��」の�成 ◇ 「食育の�(�����) 」や「食育�間(��)」の�� 25 �学校関係者�行��と� 小学生・中学生の頃は、生涯にわたって健康で豊かな心と体を育む基礎づくりのた め重要な時期です。「生きた教材」としての学校給食の充実を図り、給食の時間 をはじめ各教科や特別活動等、学校教育活動全体で行われている食育を組織的・ 計画的に推進し、指導内容の充実を図ります。 特に学校や給食センターに配置されている栄養教諭・学校栄養職員の専門性 を生かし、食育に係る情報発信の拠点としての機能を高めます。 地場産物の使用や、体験活動を通した食育について関心を深めます。 �重点��� ◇ 栄養教諭・学校栄養職員の活用及�教職員の食育に関する��の高� ・校内における食に関する指導の充実 ・隣接する学校(園)との連携 ・保護者や地域との連携・協力体制の整備 ・総合的な学習の時間の活用 ◇ 家庭との連携 ・給食だよりやパンフレットの家庭への配布 ・学校給食試食会等の開催 ・親子料理教室等の開催 ・スクールランチセミナーの開催 ・保護者会等を通じた食に関する指導や啓発 ・「食育の日(毎月19日)」や「食育月間(6月)」の普及 26 ◇ 地�等との連携 ・PTA、生産者団体、栄養士会、ボランティア団体、幼稚園・保育所等との 連携・協力 ・学校給食に地場産物の活用 ・学校菜園の活用 ・特別非常勤講師制度やボランティアの活用 ・関係団体の実施する出前授業の活用 ◇ �地�の PTA による取り組み ・PTA の積極的な取り組みを促すための働きかけ ・親子料理教室の開催や学校給食試食会への積極的な参加など、 子どもとの食事づくりの実践 ・「早寝、早起き、朝ごはん」運動の推進 (資料:スクールランチセミナー調理実習より) 27 (�)地域で食育をすすめよう ○健康市民おかやま21(第2次)の推進 市民の健康と健康なまちづくりをめざす「健康市民おかやま21(第2次)」の推 進に取り組みます。食生活の正しい理解と望ましい食習慣が身につけられるように、 健康市民おかやま21(第2次)推進員、地域ボランティア、学校等と連携しながら、 食生活に関する教育や指導の充実を図っていきます。 � 地域ボランティアによる正しい食生活の普及��活動の展開 市民一人ひとりが食育を理解し、食生活において実践していくためには、食育の推 進にかかわる市民ボランティアの役割は重要です。地域の健康づくりをすすめる岡山 市栄養改善協議会☆3 や岡山市愛育委員協議会☆4 などのボランティア組織は、地域の 特性を把握した上で、様々な機会を活用し、正しい食生活の重要性を広め、親子料理 教室・男性料理教室・高齢者への食事サービス・郷土料理や食文化の継承などライフ ステージに応じた活動を展開しています。 地域における食育の推進にあたっては、ボランティア団体等との協働による栄養・ 食生活の改善への取り組みが必要です。 ☆3 岡山市栄養改善協議会 「私たちの健康は私たちの手で」をスローガンに市民一人ひとりが充実し た豊かな人生を過ごせるよう食生活の改善や健康づくりのための普及活動を 行っている地域の健康づくりボランティア組織。 ☆4 岡山市愛育委員協議会 乳幼児から高齢者まで、生活習慣病予防をすすめ、地域住民の健康づくり を目指して活動しているボランティア組織。 � 正しい食生活の普及 平成17年に厚生労働省と農林水産省が連携し策定された、バランスのとれた食事 の選択ができるよう、「何を」、「どれだけ食べたらよいか」が簡単にわかる「食事バ 28 ランスガイド」を活用し正しい食生活の普及を進めます。 米を主食に野菜、水産物、畜産物など副食を組み合わせた「日本型食生活」は栄養 バランスに優れており、特に地域の食材を使った旬の料理や食文化を伝承していくこ とも大変重要なことです。 食��の充実 � 外食や中食(なかしょく)の機会が増加する中で、市民が健康的な生活を送るため には、栄養成分が表示されたメニューや健康に配慮したメニューの提供が必要です。 そのため、行政と関係機関等は、外食料理の栄養成分表示や健康に配慮したメニュー を提供する小売店や外食業者・食堂等を通じて市民への普及啓発に取り組みます。 � 食育をすすめる人材の育成・活用 市民一人ひとりが食に関する知識を持ち、自らこれを実践できるようにするため、 食に関して専門知識を備えた管理栄養士、栄養士等の養成施設と連携し、食育が多面 的に推進されるよう取り組みます。 �保健所・保健センター・医療機関等が行うこと� 保健所・保健センター・医療機関等には、食育を通じて健康づくりや生活習慣病の 予防を積極的に推進するため、ライフステージに応じた栄養指導や運動指導の充実、 食生活を支える口腔機能の獲得と維持についての指導の充実、食育に関する普及や啓 発活動を実施する等の役割が期待されるとともに、家庭や地域と連携した取り組みが 期待されます。 29 【��事�� ◇ ラ��ス�ー�に��た栄養指導や��指導の充実 ・パパママスクール、離乳食講習会、赤ちゃんすこやか相談、親子料理教室、 アレルギー予防教室、健康づくり教室、栄養教室の充実 ◇ メタボリックシンドロームや���等の��習��予防のた�の��の普及啓発 ・職場等におけるメタボリックシンドロームの概念や若い女性を中心とした 過度の痩身傾向改善に関する普及啓発 ・健康市民おかやま21(第2次)の推進 ◇ ��ボラン��アの育成 ・栄養改善協議会、愛育委員協議会、おやこクラブなどの組織育成 ◇ 関�者�の�� ・特定給食施設指導、特定給食栄養管理者講習会、給食施設従事者研修会等 の開催 30 (4)地産地消をすすめよ� 地域で生産された産物を地域で消費する、いわゆる「地産地消」の推進によって、岡 山市内産の農林水産物の生産拡大を目指すとともに、生産者と消費者の交流や、子ど もたちの農業体験などにより、食に対する関心と理解を深めていきます。 �学校が行�こと� 岡山市は多彩な農産物の生産地域であり、さらに瀬戸内の海の幸にも恵まれ ていることから、学校給食では積極的に地場産物を活用した献立や地場産物を 生かした郷土料理を児童生徒に提供しています。 学校給食での地場産物の使用は、子どもたちに地域の農業や文化、産業等に ついての理解を深めさせ、食への感謝の念を育成することができる有効な手段 となっています。また、学校給食を生きた教材として活用し、教科等の指導と 関連付けて指導を行っています。 学校給食では、地産地消の拡大に向けた取り組みを推進し、市内産物や県内 産物を使用する献立の工夫により、引き続き県内地場産物を使用する割合(食 材数ベース)を40%以上とすることを目指します。 �農林漁業者等が行�こと� 農林漁業に関する体験活動等が食への関心を高める上で非常に効果的であるため、 農林漁業者等には農林漁業に関するさまざまな体験の機会を積極的に提供すること により、自然の恩恵と食に関わる人々の活動の重要性等について、理解を深める役割 が期待されるとともに、学校や家庭、地域と連携した取り組みが期待されます。 31 ��点事�� ◇ 行�との��による取り組み ・産直市などの開催 ・子ども食農体験事業 ・米消費拡大推進事業(米粉の推進活動等) ・学校給食における地場農産物の利用促進 ・農地でショッピング事業 ・地産地消の情報提供(ホームページ、パネル展示等) �食品��事業�等が行うこと� 地場農産物をできるだけ地元で消費する取り組みとして、農協等が中心となって地 場農産物を提供する直売所の設置や地場農産物を使った加工食品の製造が行われて います。 また、流通段階では、JAS 法等に基づき、原産地等食品情報の適切な提供を行い、 小売等の量販店においては、市民が商品選択をしやすくなるような生産情報の提供や 地場農産物コーナーの設置が期待されます。 また、岡山市は中央卸売市場を有しており、中央卸売市場において私達の生活に欠 くことのできない野菜、果物、鮮魚等を衛生的な設備のもとに、円滑な集荷、適正な 価格形成、分荷機能等をはたしながら、岡山市民や周辺地域住民への安定供給に努め ています。 中央卸売市場では、平成24年3月に「成熟した岡山市中央卸売市場戦略的経営展 望」を策定し、地域の拠点市場として市場が目指す3つの目標像として「市民・県民 の食を支える拠点市場」、 「中国地方東部の物流を支える拠点市場」、 「農業・漁業を支 32 える拠点市場」を掲げ、それらを実現するための基本戦略及び短中長期行動計画を定 めました。 「市民・県民の食を支える拠点市場」の実現のための行動計画に「地域密着型流通 の充実」を掲げ、その取り組み事項を「食育による新たな消費価値の創造」として、 市場関係業者が中心となって、地域の消費者団体や学校等と連携して新たな消費価値 の周知・啓発のための食育に、市とともに取り組んでいくこととしています。 また、生鮮食料品等を直接取り扱う中央卸売市場関係者は、生産者と市民の間に位 置し、両者を結びつける役割を担っており、双方の立場から食に関するタイムリーな 情報や知識等を提供する役割が期待されるとともに、家庭や地域と連携した取り組み が期待されます。 ��点事項� ◇ 食�に関する情報の提供と食育に対する�及啓発 ・親子料理教室や親子市場勉強会等の開催 ・小中学生を対象にした市場見学会等の実施 33 ◇ 市場開放等の行事を利用した市民�の普及啓発 ・市場開放等の行事を利用した普及啓発 また、市のホームページや広報紙等の活用により、食に関する情報の提供を図るほ か、一般市民からの意見聴取にも取り組んでいきます。 � 食コ�ム � 米粉��め��とは� 米は、国内で唯一自給できるものですが、食生活の変化などにより、 一人あたりの消費量は40年ほど前に比べ、約2分の1に減っています。 しかし最近は、米を粉にした米粉が、パン、ケーキや麺類の材料とし て、あるいはてんぷら粉の代わりとして料理に使用されており、米の新 たな利用法として今後の普及が期待されています。 米粉で作ったパンは、水分を多く含んでいるため、小麦で作ったパン より、しっとりしてモチモチとした食感があり、腹持ちがよいのが特徴 です。近頃はスーパーやコンビニエンスストアでも時々見かけるように なりましたので、ぜひ一度ご賞味下さい。 また、一部では米粉100%で作られた 米粉パンなども販売されており、小麦アレ ルギーのある方も安心して食べられます。 ※家庭で米粉パンを作ってみました → 34 (�)食の安全・安心を��� 「岡山市食品衛生監視指導計画」の策定 � 保健所、食肉衛生検査所に関する業務については、毎年度、市民への意見募集をし た上で「岡山市食品衛生監視指導計画」を策定し、実施結果を公表します。 食品関連事業者に対する監視指導 � 保健所に配置された食品衛生監視員や検査員が市内の飲食店、学校、保育所(園) 等の給食施設、食品製造・加工施設及び販売店等に対して監視指導を行い、食中毒や 違反食品を排除するため、食品の検査(食品添加物などの理化学検査及び細菌検査) を行います。併せてJAS法等に基づく適正表示の推進も関係部署と連携して行いま す。 また、食品関連事業者及び消費者に対し、正しい知識の普及の為、食品衛生講習会 などを実施します。 � 中央卸売市場での�り�� 中央卸売市場に配置された食品衛生監視員が、せり場や仲卸店舗を中心に監視指導 を行います。また、青果物の残留農薬検査、生鮮魚介類の細菌検査を実施します。 � と畜場での�り�� 岡山県営と畜場にある岡山市食肉衛生検査所のと畜検査員が、処理されるすべての 牛、豚等に対し、と畜検査(生体検査、解体検査)及び衛生管理について指導・助言を 行います。また、BSE 対策として、特定部位の除去及びスクリーニング検査を実施 します。 � 保育所(園)・学校給食での�り�� 安全・安心な給食を提供するため、衛生管理マニュアルに基づき、衛生的な調理を 行います。また、栄養士・調理員に対し、定期的な研修会を実施し、衛生知識の向上 35 を図ります。 また、食物アレルギーのある園児・児童生徒に対しては、可能な限り対応します。 � 情報の発�、知識の普及に関する取り�� 食中毒事件等の食の安全・安心に係わる事件が発生した場合には、被害拡大防止の 観点から、市民に対し必要な情報提供を行います。また、食の安全・安心に関わる庁 内の関係課10課で「岡山市食の安全に係る関係課連絡会議」を設置し、市民及び食 品関連事業者に対し迅速かつ適切な情報提供が行える体制づくりに努めます。 併せて、市ホームページ、広報誌「市民のひろば おかやま」、給食だより並びに 講習会等を通じて、わかりやすい形で知識の普及を行い、リスクコミュニケーション の推進を図ります。 ~ 食コラム ~ HACCP とは? HACCPとは、1960年代にアメリカで宇宙食の安全性を保証するシ ステムとして策定されたもので、食品の原料から製品に至るまでの一連 の工程において起こりうる危害をあらかじめ分析(Hazard Analysis: HA)し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を 講じればより安全な製品を得ることができるかという重要管理点 (Critical Control Point:CCP)を定め、その管理状況を連続的に 監視・記録することにより、製造施設から出荷されるすべての製品の安 全の確保を図る衛生管理手法です。 現在日本では、この HACCP の概念を取り入れた食品の製造過程を厚 生労働大臣の承認制度として位置づけ、乳・乳製品、清涼飲料水、食肉 製品、魚肉ねり製品等が対象とされていますが、その他の食品でも民間 の認証制度などで HACCP の導入促進が図られています。多くの食品企 業で HACCP の概念に基づいた衛生管理手法の導入、 定着が望まれます。 36 � ライ�ス�ー�に��た食�の�� (1)妊�期 この時期は自分自身やおなかの赤ちゃんの健康な身体づくりのために、食の大切さ に気づき、食に対する意識も高くなります。しかし、食に関する知識や技術の不足、 食生活の乱れから10~30歳代の女性において、栄養の偏りや痩身(低体重)の者 の割合が増加するなど健康上の問題が指摘されています。 目 � 食の大切さを実感し、正しい食生活を身につけて実践できるように「妊産婦のため の食事バランスガイド」も活用しながら、妊婦や家族に対して親子手帳交付時に健康 相談を実施し、パパママスクール等の教室を通して、本人のみならず、子どもや家族 の健康づくりにつながることを自覚し、実践できるよう働きかけ、望ましい食習慣の 定着を目指します。 37 (�)乳幼児期 �就園前� この時期は、発育・発達や食生活に影響を及ぼす大切な時期にあるにもかかわらず、 最近では保護者の生活に子どもを合わせることによる生活リズム(就寝時間や起床時 間が遅くなる等)の乱れや食習慣(朝食の欠食、不規則な食事時間、栄養の偏り等) の乱れが見られます。特に乳幼児期の食生活は、保護者にゆだねられており、保護者 を巻き込んだ食育を行っていく必要があります。 目 � 赤ちゃんすこやか相談や離乳食講習会、ゼロ歳からの食育推進事業、アレルギー 予防教室といった講習会や、1歳6か月児・3歳児健康診査等の健診時に、保護者 が食について考えたり、気軽に相談できる場を提供し、子どもが望ましい基本的生 活習慣を身につけ、おいしく楽しくしっかりかんで食べることを目指します。 また、地域で乳幼児の成長をともに学び合い、育ちあえる場であるおやこクラブ ☆5 の活動を通じて、保護者が自主的に食生活について学び、考え、実践できるよう に支援をしていきます。 ☆5 おやこクラブ 子どもたちの健やかな心と体を育てるために、就園前までの乳幼児とその保 護者同士がつどい子育ての喜びや悩みをともにしながら、親子の仲間づくりを 進めているクラブ。 38 �保育所(園)・幼稚園� 生涯にわたる人間形成の基礎を培う大切な幼児期に、子どもたちの豊かなこころを はぐくみ、健やかな身体をつくることを目指します。 集団生活の中で、食に関する様々な体験の積み重ねを通して、次のようなことを保 育の中に計画的に位置づけて指導していきます。 目 � ・ 食事をする楽しさを感じる。 ・ 望ましい基本的生活習慣や食のマナーを身につける。 ・ 規則正しい生活をし、身体を動かす楽しさを感じ、健康な身体をつくる。 ・ 野菜の栽培・収穫・調理等の体験を通して、自然の恵みである食材や調理への 興味や関心をもつ。 ・ 食べものに対して命の尊さを感じたり、調理する人等への感謝の気持ちをもつ。 ・ 地域や保育所(園)・幼稚園・小学校等、様々な人と連携・協働し、人や食と の出会い・ふれあいを豊かにする。 また、「早寝、早起き、朝ごはん運動」を推進し、バランスのよい食事の大切さや 規則正しい生活リズムの確立などについて保護者にも働きかけ、家庭における食育の 意識向上に努めます。 39 ���学�期 家庭、学校を中心とした生活の中で、心豊かな暮らしを送ることのできる基礎が形 成される時期で、成長が著しく、体力、運動能力が急速に高まる頃です。この時期に 児童生徒が、日々、生き生きと活動し、生涯を健康に過ごすための自己管理能力を育 成するとともに、発達段階に応じて、食に関する知識と食を選択する力を身につける ことができるよう指導の充実を図ります。 �学校における食育 児童生徒にとっては、学校生活において友だちと共に教科や給食を通じて、食の知 識や大切さを学び、食の楽しさやマナー等を体験することが重要です。 ��学生� 児童が食に関する正しい知識と望ましい食習慣の基礎基本を身に付けることが重 要な時期です。 目 � 食に関する指導の全体計画をもとに、全教職員による指導体制を整え、給 食時間、特別活動、各教科等、教育活動全体で学校給食を生きた教材として 活用するなどして、栄養教諭・学校栄養職員の専門性を生かした指導計画の 充実を目指します。 また、学校農園等での稲作、野菜作り等の体験学習の機会をもつことで、自 然の恵みや勤労に感謝し食に関心をもたせる取り組みを行います。 40 �中学生� 中学生は心身の発育・発達が著しい時期であり、将来の食生活の形成に大き な影響を及ぼす重要な時期であることから、小学校で取得した知識を応用して、 自分の将来の健康を考えた正しい食生活のあり方を理解し、実践することがで きるよう、全教職員の共通理解のもと中学校で食育の充実を図ることとし、小 学校と同様に将来に向けて食生活の自立を目指します。 特に、朝食欠食、肥満や過度の痩身、清涼飲料水の過剰摂取など将来の健康 に影響を及ぼすような健康課題もみられることから食生活の実態を見直します。 �家庭・地域と連携した食育 子どもの食生活については、学校と家庭・地域社会が連携して望ましい食習慣の形 成の育成に努め、楽しく実践できるように、関係機関との連携体制の充実を図り、親 子料理教室などの開催を推進します。 子どもを取り巻く人々に子どもの食生活に対する理解を深め、教育力を高めていく ためには、学校からの情報発信が必要であることから、保護者・地域住民等、対象者 を広げた試食会の開催を推進します。 41 �����期・��期 この時期は、就学や就労で一人暮らしを始めたり、仕事などで生活リズムが不規則 になったり、結婚・子育てなどにより生活が大きく変化します。食生活では、外食や 中食の利用頻度も増し、食への関心が日々の生活の中で薄れがちになります。 また、女性については極端なダイエットや偏食、欠食をする人が増えてきます。男 性の肥満も目立ち始めます。 そこで、外食産業や流通事業者等と協働し食の環境整備を行うとともに、バランス がとれた食事の選択や健康づくりに配慮できるように「食事バランスガイド」の普及 啓発等を通して望ましい食習慣の定着を図ります。 42 ���高齢期 高齢者が住み慣れた地域で生き生きと生活していく上でも、健康で過ごせる期間を 長くすることが重要であり、健全な食生活を心がける必要があります。 しかし、身体的、精神的な機能の衰えなどにより、食生活にも様々な変化が現れま す。例えば、歯の変化で、食べることが出来る食品が少なくなることにより、栄養の 摂取が不十分となり、体調を崩すといったことも起こります。 そこで、病気の予防や健康づくりのために、「毎日3回、規則正しい時間に、栄養 バランスの良い食事を適量に取る」という食生活のリズムを整えることが大切になり ます。また、家族や友人と楽しく食事をしたり、四季折々に収穫される旬の食材を使 った料理を楽しく食べたりするなど、「食事を楽しむ」ことも大切で、心にも活力を 与えてくれることになります。 また、地域で暮らしてきた高齢者には、その地域の伝統や気候風土と結びついた料 理など食に対する豊富な知識や経験があり、次世代への「郷土料理・食文化の継承」 も大切な役割となってきます。 43