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第13章 環境に配慮した生活文化の形成

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第13章 環境に配慮した生活文化の形成
⑬
第13章
1
環境に配慮した生活文化の形成
環境に配慮した生活文化の形成
けることが必要です。
環境教育・学習の推進
北見市では昭和45年から市民を対象とした、身
近な動植物の自然観察会を年間5回程度実施し、
(1) 環境教育の推進
自然環境に対する関心を高めるよう努めていま
す。
1) 北見市の取り組み
環境基本計画では、「みんなが学び協力できる
また、夏休みの子どもたちを対象に、身近な自
仕組みをつくるために」という目標を掲げ、各種
然とのふれ合いから、知的好奇心と科学的な思考
取り組みを行っています。
力や判断力を高め、主体的に課題を解決する方法
を身につけるとともに、命と自然環境の大切さを
イ
体験を通じて理解することを目的とした「夏休み
「北見市環境家計簿」の製作・配布
「環境家計簿」は通常の家計簿と違い、生活の
自然体験教室」を開催し、平成22年度はのべ64
名の児童が参加しました。
中でのエネルギー消費量などを記入することに
また、平成3年度から毎年、小学生を対象に川
よって、地球温暖化の原因となっている二酸化炭
素がどれだけ排出されたかを計算するものです。
で水生昆虫の観察や水遊びをしながら環境保全
また、同時に家計費のチェックもできるようにな
の大切さを学ぶ「せせらぎスクール」を実施して
っています。
おり、平成22年度は37名の児童が参加し、訓子府
「北見市環境家計簿」は市民の皆さんが楽しみ
町のオロムシ川で開催しました。なお、平成18
ながら、また家計費の節約を励みとしながら、自
年度より、「オホーツク森の案内友の会」に森林
然に環境保全に配慮した生活様式を営むことが
ウォッチングの指導をいただいており、22年度は
できるように工夫したものです。
モイワスポーツワールド内の植生について学び
また、環境にやさしい行動に役立つ情報も数多
ました。
く紹介していますので、「エコライフ」のヒント
集としても利用できるようになっています。
利用者の声を反映し、初版から合計3回の改訂
を行っています。
また、北見市で実施している出前講座「ミント
宅配便」の中でも環境家計簿に関する講座を実施
しており、環境家計簿を通したエコライフの普及
に努めています。
環境課窓口で配付しており、のべ2,000部を市
民の皆さんにお配りしました。
せせらぎスクール
ロ
自然観察会・せせらぎスクール等の開催
北見の澄みきった青い空と豊かな自然を守り、
ハ
明日の世代に引き継いでいくためには、市民一人
こどもエコクラブ
「こどもエコクラブ」事業は、21世紀を担う子
ひとりが、人と環境のかかわりについて理解と認
どもたちが将来にわたり環境を大切にする意識
識を深め、さらによりよい環境の保全と創造のた
を持ち、環境にやさしいライフスタイルを実践し
め、責任ある行動がとれるよう学習する機会を設
てもらうことを目的に平成7年度から環境庁が
- 79 -
⑬
環境に配慮した生活文化の形成
実施しているもので、数名のグループが生き物調
年
度
協力校数
査や町のエコチェック、空き缶のリサイクル活動
などを自主的に行うものです。
協力校の状況
H18
H19
H20
9
10
11
H21
10
市内では平成8年度から活動が開始され、北見
市からも自然観察会への講師派遣や啓発資材の
提供などの支援を行っています。
平成21年度、市内では4クラブ、102名の子ど
もたちが活動を行いました。
表9-1 こどもエコクラブ登録状況
年度
H17 H18
H19
H20
団体数
2
4
3
3
人数
14
92
77
85
ニ
H21
4
102
田植えの様子(端野小学校)
環境教育実践モデル校の取り組み
北見市における環境教育及び環境学習のさら
ホ
こども環境ウォッチング
なる推進を目指して、普段から環境保全活動を
子ども達に北見の自然や環境に触れる機会を
実践している保育園、小・中学校に環境教育実
提供することで、北見の将来の環境を考え行動
践モデル校としてご協力いただき、その取り組
できる人材を育成し、自然と共生するまちづく
みを広く紹介する「環境教育実践モデル校事業」
りに繋げることを目的に、平成20年度より北見
を平成15年度から実施しています。
市各自治区在住の小学生5~6年生を対象に実
平成21年度は、ひかり保育園、相内小学校、
施しています。
北小学校、上常呂小学校、端野小学校、錦水小
平成22年度は、常呂川でさけ・ますの「川の
学校、三輪小学校、東相内小学校、相内中学校、
ぼり」を見学、農業体験として野菜を収穫しそ
仁頃中学校の10校にご協力をいただきました。
の食材を使用しての調理実習やソーラーシステ
各モデル校は、田植え・稲刈り、野菜の栽培、
ムの教材学習等を2泊3日の宿泊を通して実施
植樹、カヌー体験(川下りによる河川目視調査)
しました。
などの自然体験学習や、ごみの収集・分別を通
最終日にはこれまでの体験活動を振り返る短
じた地球環境問題についての学習など、様々な
冊を作成し、「エコマップ」としてまちきた大
活動を実施しました。
通りビル5階に展示し一般公開しています。
こういった取り組みが他の模範となるべく、
各モデル校の活動を取りまとめ、ホームページ
を通じて広く紹介すると共に、活動報告書を市
内小中学校へ配付しました。
なお、平成22年度は、小泉小学校、緑小学校、
大正小学校、相内小学校、上仁頃小学校、上常
呂小学校、端野小学校、錦水小学校、相内中学
校、仁頃中学校の10校にご協力をいただいてお
ります。
こども環境ウォッチング
「エコマップ」展示
- 80 -
⑬
環境に配慮した生活文化の形成
2) 常呂川水系環境保全対策協議会の取り組み
常呂川水系環境保全対策協議会では、次代を担
う子どもたちに水への親しみと環境保全の大切
さを学んでもらうため、以下のような事業を行っ
ています。
イ
常呂川ウォッチングの開催
常呂川環境こどもサミット
常呂川流域に位置する1市2町(北見市、置戸
町、訓子府町)の子どもたちを対象に毎年開催し
ハ
ています。
常呂川水かんきょうポスター図案コンクー
ル
常呂川水系の河川での水生生物観察や、水と生
活のつながりを学ぶことができる施設の見学、野
水環境を保全することの大切さを広く周知す
外活動等を通して、水質保全の大切さを学んでい
ることを目的に、平成20年度より置戸町、訓子府
ます。
町、北見市在住の小中学生を対象に実施しており
今年度は平成22年8月5日に実施し、北見市の小
ます。平成22年度は応募総数144点のなかから、
学生24人を対象に常呂川と海のつながりや、川の
常呂小学校5年
佐々木 那奈さんの作品を最優
環境と生活について理解を深めました。
秀賞に選んだほか、優秀賞3点、佳作5点を選定
しました。
また、優秀作品を図案としたポスターカレンダ
ー(常呂川水環境カレンダー2011)を作成し、流
域の小中学校、公共施設等に掲示していただくと
ともに、流域住民へ配付し、常呂川の水環境保全
意識の高揚を図りました。
常呂川ウォッチング
(常呂川水系環境保全対策協議会)
ロ
常呂川環境こどもサミットの開催
常呂川の水環境の現状について理解を深め、環
境保全に対する意識を高めることを目的として
平成22年11月27日に開催し、336名の流域住民が
参加しました。
おさかなライフ・コーディネーターの「さかな
クン」による講演、流域の小中学生による河川環
境保全に関する意見・活動発表を行うことにより、
河川環境保全思想の普及啓発並びに環境教育の
推進を図りました。
- 81 -
常呂川水環境ポスターコンクール
最優秀賞
⑬
環境に配慮した生活文化の形成
(2) 普及啓発
2
1)
(1) 新エネルギー活用への取り組み
「環境月間」と「環境の日」
新エネルギーの活用推進
「国連人間環境会議」は、1972年6月5日から
2週間、ストックホルムで開催されました。この
1)
北見市新エネルギービジョンの策定
北見市では地球温暖化の防止に努め、環境への
会議において、日本の提案を受けて、6月5日を
「世界環境デー」とすることが定められました。
負荷の少ないソーラーエネルギーをはじめとす
日本では、環境庁の主唱により、平成3年から
る地域特性にあった新エネルギーの導入を盛り
6月を「環境月間」とし各種の催しが全国的に実
込み、今後のまちづくりにおける新エネルギー導
施されています。
入の指針となる「北見市新エネルギービジョン」
また、平成5年に制定された「環境基本法」に
を平成14年2月に策定しました。
おいて、6月5日を「環境の日」とすることが定
2) オホーツク新エネルギー開発推進機構の設
められました。
立
2)
北見市の環境月間行事
イ
環境フェアくるるん・きたみ
平成14年5月、北見市新エネルギービジョンに
基づき、新エネルギーの推進体制を構築するため
に「オホーツク新エネルギー開発推進機構(以下
市民にリサイクルや環境のことについてPR
し、ものを大切にする心や資源の有効利用を推進
推進機構)」が設立されました。
推進機構は、新エネルギーの必要性について次
するために、平成10年から実施されています。
フリーマーケット、リサイクル自転車抽選会な
世代を担う子どもたちへの啓発活動や新エネル
どが実施されています。(詳細は第9章に掲載さ
ギーの利活用についての調査研究を行っていま
れています)
す。
3)
3)
ごみ減量化シンボルマークの決定
北見市住宅用太陽光発電システム導入費補
助制度の創設
平成21年3月に策定した北見市一般廃棄物処
理基本計画のスローガン「みんなでごみの減量化
北見市では、環境への負荷の少ない新エネルギ
に挑戦!」のシンボルマークとして、市民からマ
ーの普及促進に寄与するため、平成14年度から住
スコットキャラクターを募集し決定しました。
宅用太陽光発電システムを設置する個人に対し、
「エコロン」という愛称で、ごみの減量化や資
補助金を交付する制度を創設しました。
源化が少しでも緑につながるエコの種として羽
平成21年度においても、1kWあたり40,000円
ばたいていくよう願いが込められており、リサイ
(上限は3kW、120,000円)の補助金を交付して
クルマークの三角形が大きな特徴です。
います。
今後、各種環境施策のPRに活用していきます。
<補助実績>
年度
件数
4)
H17
52
(単位
H18
50
H19
50
H20
51
件)
H21
90
北見市木質ペレットストーブ導入支援事業
補助制度
木質バイオマスの有効活用と普及を図るため、
エコロン
平成19年度から平成21年度を期限として、木質
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環境に配慮した生活文化の形成
ペレットストーブの購入に対し、費用の一部を
ネルギーフェスティバル2009」が開催され、話題
支援する補助制度を創設しました。(購入費の
のハイブリッド車の展示、ソーラーカーの試乗や
半額、最大20万円まで)
ソーラークッカーの実演などが行われました。
平成19年度には9件、平成20年度には7件、
平成21年度には7件の補助を行いました。
5)
BDF(バイオ・ディーゼル・フューエル)
による公用車の走行実験の実施
平成21年度については、過去2年間の公用車
によるBDFの走行実証試験により良好な結果
であったことから、公用車7台で約6ヶ月間(4
ソーラー&新エネルギーフェスティバル2009
月下旬から10月)の実用化走行を実施し、延べ
走行距離66,793kmでBDF14,012㍑を使用しま
2)
した。
ソーラークリエイティブ in 北見
新エネルギーの普及啓発を図るため、次世代を
担う子どもたちを対象として、平成3年から毎年
開催されているソーラーキット工作教室です。
スーパーソーラーカーやソーラー噴水などの
工作キットを作成し、走行競技を行うなど、子ど
も達の自然エネルギーに対する理解が深まるよ
う取り組んでいます。
BDF車(清掃指導車)
3)
(2) 普及啓発
1)
新エネルギー教室
新エネルギー教室は、次世代を担う小学生を対
象に、地球温暖化問題や新エネルギーについて理
ソーラーイベント
北見市では、平成3年9月に「ソーラーチャレ
ンジ・イン・北海道’91」が、全国で初めて公道
を使用したソーラーカーレースとして開催され、
全国から注目を集めました。
解を深めてもらうことを目的として「新エネルギ
ー勉強会」とミニソーラーカー教室などの「新エ
ネワークショップ」を実施するものです。
経済産業省北海道経済産業局と新エネルギー
財団と北見市が主催し、平成16年8月には小泉小
平成9年からは会場を北見市内の常呂川河川
敷に移し、平成15年までに6回開催されています。
平成17年からは小学生を対象としたソーラー
カート・レース大会へと転換し、平成19年9月1日
に開催された「2007ソーラーカート・レース大会」
では、北見市のほか近隣自治体の子どもたち27
チームによる白熱したレースが開催されました。
併せて、「ソーラー&新エネルギーエキシビショ
ン2007」が開催され、多数のエネルギー関連企業
の出展により、新エネルギーに関する情報や技術
などが紹介されました。
また、平成21年10月24日には「ソーラー&新エ
学校、平成18年8月には三輪小学校、平成19年11
月には三輪小学校と端野小学校で開催しました。
4)
新エネルギーの公共施設等での利用
小泉小学校、三輪小学校、端野中学校では校舎
の改築や新築に合わせて10kWの太陽光発電シス
テムを導入し、校内には発電量を表示する省エネ
ナビ(パネル)を展示し授業に活用しています。
また、平成20年度に完成した相内支所に木質ペ
レットストーブを設置したほか、廃食用油を原料
としたBDF燃料を清掃指導車やごみ収集車の
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環境に配慮した生活文化の形成
ISO14001の認証を取得する企業をはじめハイブ
燃料として利用し、市民PRに努めています。
リッド車の社用車への導入、菓子容器やクリーニ
5)
バイオマスエネルギー活用に向けた今後の
ング用ハンガー、食品トレイの回収・再利用、買
展望
い物袋持参推奨など様々な取り組みが積極的に
北見市では、地球環境に配慮したクリーンなエ
行われています。
ネルギーとして太陽光発電システムの普及以外
にも、近年、二酸化炭素の新たな排出のない「カ
(3) 北見市環境会議の活動
ーボンニュートラル」の循環型エネルギーとして、
平成12年11月、環境基本計画を市民参画により
バイオマス燃料のBDF及び木質ペレットの利
推進するための組織として、北見市環境会議が発
用促進に取り組んでいます。
特に、BDFについては、市民(家庭)から資
源として回収した廃食用油が、市内の事業者によ
足されました、各種啓発事業への参加を始め、様
々な活動を行いました。
なお、北見市環境会議は平成17年11月30日をも
って精製され、地域で循環しています。
今後、さらに分別徹底の市民周知に努め、廃食
って5年間の任期を終えました。
用油の収集拡大を図り、また利用者の裾野を広げ、
(4) エコスクールの取り組み
身近なエネルギーとして循環するシステムづく
りを目指します。
また、平成21年度からは、ふるさと雇用再生特
平成17年11月30日、北見市環境会議(解散)が、
別対策推進事業として、留辺蘂自治区内で地域材
市民参画による環境保全活動の在り方について
を利用したペレットの試験製造に取り組んでい
市長へ提言を行いました。
そういった中で、市民相互の環境情報の共有化、
ます。
交流の場を提供すべく、環境問題をテーマとした
3
勉強会、見学会(エコスクール)を企画すること
市・市民・事業者の環境保全の取り組み
としました。
平成18年7月、市民との協働により企画を行う
(1) 市民団体の活動
べく、公募による11名の委員で構成されるエコス
市内には、自然保護団体や消費者団体、女性団
体など数多く活動しています。絶滅の危機に瀕し
クール企画委員会を発足し、現在は、9名の委員
により運営委員会として活動しています。
平成18年度は2回、平成19年度は5回、平成20
たエゾヒメギフチョウの食草の植栽といった環
境保全活動のほか、環境に関するセミナー、自然
年度は3回のエコスクールを開催しました。
観察会、フリーマーケットなどが活発に行われて
平成21年度も、環境について学び交流する場を
います。また、会報誌を発行している団体も数団
広く市民に提供するため、定例の運営委員会で議
体あります。
論を行い、9月に「エコ照明の紹介と資源ごみの
北見市ではこれらの団体と連携・支援を図りな
回収」に関する講演会、10月に「オホーツクの森」
の見学会、平成22年1月には「うちエコ
がら、環境保全の推進に努めています。
ステッ
プアップ講座」と称し、日常生活のなかで実践で
きる、衣食住に関する省エネについての講座を開
(2) 事業者の活動状況
催しました。
また、今後も、環境問題について、さらなる市
環境保全の高まりの中、市内の事業所において
も環境に配慮した事業活動がみられます。
環境マネジメントシステムの国際規格である
民の環が広がることを願い、議論を重ね、エコス
クールを開催したいと考えております。
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環境に配慮した生活文化の形成
「文化財」の保存と活用を図っていくことは将
来の北見発展のため、非常に重要なことといえる
でしょう。
環境基本計画においても、快適に生活できる環
境をつくるために以下の目標を掲げています。
(1) 指定文化財
現在、市内には以下のとおり、国指定史跡1件、
道指定天然記念物1件、北見市指定文化財13件
があります。
平成21年度第2回北見の環境を学ぶエコスクール
1)
4
国指定史跡:常呂遺跡
常呂町の常呂川右岸からサロマ湖東岸にかけ
歴史的文化的資産の保存活用
て広がる遺跡の総称で、2,500以上の竪穴住居が
北見市には常呂川とその支流域を中心に、海岸
窪みとなって残されています。
から平野、丘陵、山岳地帯と、多様な環境のなか
縄文・続縄文・擦文・オホーツクと時代も多
で育まれ、遺されてきた貴重な文化財が多数あり
岐にわたり、北方を中心とした当時の文化を解
ます。これらの文化財は北見の自然や歴史、風土
明する貴重な遺跡です。平成16年、「オホーツ
を理解する上で欠かすことのできないものです。
ク沿岸の古代遺跡群」のひとつとして北海道遺
北見の位置するオホーツク海沿岸部は、日本で
産に選定されました。
もっとも冷涼な地域であり、また海底火山噴火の
時代や氷河期など、地史や自然環境の変遷をたど
2)
道指定天然記念物:温根湯エゾムラサキツツ
ジ群落
ることのできる場所が各地に残されています。
留辺蘂町温根湯温泉の東側丘陵地斜面に、約
地形や地質、動物や植物等の「天然記念物」は、
これら過去から現在にいたる自然の歴史を物語
2.5haにわたって群生しています。自然繁殖によ
ってくれています。
りおよそ30万本もの純群落が形成され、毎年5
ヒトの暮らしは今のところ、約2万年前までさ
月上旬には紅紫色の花が最盛期を迎えます。地
内には風穴もあり、植生環境にも特徴をもって
かのぼることができます。
石器や土器、住居遺構などが出土検出された遺
います。
跡は、北見市内で数多く見つかっており、日本で
も貴重であり、代表的な資料や遺跡は少なくあり
3)
北見市指定文化財
北見市の歴史や自然、文化を語るうえで特に
ません。
明治時代前後からは開拓が始まります。
重要なものについて、13件を北見市指定文化財
建物・仕事や生活の道具などの「有形文化財」、
としています。(表13-1)
芸能・口承文芸などの「無形文化財」、重要な場
屯田兵に関するものとして、屯田兵とその家
所であった「史跡」は、北見を築いてきた人々の
族が暮らしていた「屯田兵屋」、当時使用して
歴史を知る拠りどころといえます。
いた「ピーボディ・マルチニー銃」、屯田兵の
これらの歴史や自然等に関わる文化的資産は、
遺徳を顕彰するため制作された「屯田兵人形」、
あわせて「文化財」として位置づけられ、市民共
公的施設として唯一残っている「被服糧秣庫」
有の財産です。
の4件があります。
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⑬
環境に配慮した生活文化の形成
開拓・発展時代の大きな礎や役割を担ったも
この情報は遺跡台帳・分布図として市の関係
のとして、道路開削に動員され斃死した囚人を
部署等に備え付け、関係者の閲覧と埋蔵文化財
弔う「鎖塚」、留辺蘂奥地の移住者や旅行者の
の保護・指導に対応しています。
支えであった「武華駅逓」、矯風運動や慈善活
埋蔵文化財包蔵地は、歴史や文化を理解する
動で足跡を遺したピアソン牧師夫妻の住宅は、
大切な資料として現状のまま保存することを基
W.M.ヴォーリズ氏の設計で現在は「ピアソ
本としていますが、宅地造成等の各種開発行為
ン記念館」として、北見発展の原動力ハッカの
により現状維持が困難な場合には記録保存のた
中核であったホクレン北見薄荷工場の事務所は、
めに発掘調査を行います。
北見市では貴重な埋蔵文化財を保存するとと
当時の貴重な洋風建築物で現在は「ハッカ記念
もに、市民の学習・研修の場として広く活用し
館」として、以上4件があります。
ています。
考古学に関するものとして、後期旧石器時代
終末期の広郷型細石刃石核を中心とした「広郷
(3)かおり風景100選
遺跡の出土遺物」、同じく峠下型細石刃石核を
中心とした「北進遺跡の出土遺物」、縄文時代
平成13年度には、環境省において良好なかおり
晩期の舟型土器を中心とした「中ノ島遺跡の出
とその源となる自然や文化-かおり環境-を保
土遺物」の3件があります。
自然に関わるものとして、樹齢300年以上で幹
全・創出しようとする地域の取り組みの支援の一
周は全国有数の「緋牛内の大カシワ」、国内分
環として、かおり環境として特に優れたもの100
布のほぼ東限で自家和合性の高い「カタクリと
地点を認定する「かおり風景100選」事業が実施さ
周辺の北方性落葉広葉樹林」の2件があります。
れました。
北見のハッカは昭和10年代に世界市場の約7
このうち、「屯田兵人形」と「ピアソン記念
割を占めたといわれ、環境基本計画においてもハ
館」は北海道遺産にも選定されました。
ッカの利用を推進しており、現在もハッカによる
(2)
まちづくりが進められています。
埋蔵文化財
こうした活動が認められ、「北見のハッカとハ
ーブ」がかおり風景100選に認定されました。
埋蔵文化財は、一般的に地中に埋もれている
土器・石器等の遺物、住居祉・お墓・焼土等の
遺構のことをいい、これらを包蔵している土地
を埋蔵文化財包蔵地または遺跡といいます。
北見では約20,000年前の後期旧石器から縄文、
続縄文、オホーツク、擦文からアイヌまで、各
時代にわたる埋蔵文化財が確認されており、開
拓が始まるずっと以前から人々の暮らしがあっ
たことを伝えています。
北見市ではこれら埋蔵文化財の調査・研究と
調和のとれた都市づくりを推進するため保護・
指導に努めるとともに、必要に応じ発掘調査を
ハッカとハーブ(ハーブ公園)
実施しています。
また、市内のどこに遺跡があるのかを把握す
る分布調査を進めており、現在446ヵ所が確認さ
れています。
- 86 -
⑬
環境に配慮した生活文化の形成
表13-1
北見市の指定文化財
文化財名
指定年月日
所有者
所在地
備考
屯田兵屋
昭和44.11.3
北見市
北網圏北見文化センター
1棟
屯田兵人形
昭和44.11.3
加藤芳明氏
信善光寺
75体
ピーボディ・マルチニー銃
昭和45.6.6
北見市
北網圏北見文化センター
2点
広郷遺跡の出土遺物
昭和62.4.15
北見市
北網圏北見文化センター
1,510点
中ノ島遺跡の出土遺物
昭和62.4.15
北見市
北網圏北見文化センター
28点
北進遺跡の出土遺物
昭和62.4.15
北見市
北網圏北見文化センター
367点
鎖塚の区域
平成4.2.27
端野町緋牛内
963㎡
旧野付牛屯田第四大隊
第一中隊本部被服糧秣庫
平成4.2.27
端野町一区
1棟
緋牛内の大カシワ
平成8.4.26
早坂佳一・北見市
端野町緋牛内
1本
ピアソン記念館
平成8.7.8
北見市
幸町
1棟
ハッカ記念館
平成8.7.8
北見市
南仲町
1棟
武華駅逓
平成12.3.27
北見市
留辺蘂町滝ノ湯
1棟
カタクリ及び周囲の
北方性落葉広葉樹林
平成17.4.6
北見市ほか
端野町二区
47,820㎡
北見市
緋牛内鎖塚保存会
屯田兵中隊本部
被服糧秣庫保存会
有形文化財:ハッカ記念館
ピアソン記念館
- 87 -
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