N-Methyl-2-anilinonaphthalene-6-sulfonyl 基の結合した Gramicidin S
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N-Methyl-2-anilinonaphthalene-6-sulfonyl 基の結合した Gramicidin S
Title Author(s) Citation Issue Date N-Methyl-2-anilinonaphthalene-6-sulfonyl基の結合した Gramicidin Sの調製 小野寺, 昌彦; 田中, 恭介; 高沢, 俊英; 塩川, 洋之 北海道大学免疫科学研究所紀要 = Bulletin of the Institute of Immunological Science, Hokkaido University, 38: 56-58 1978-03 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/26510 Right Type bulletin Additional Information File Information 38_P56-58.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP N M e t h y l 2 ・ ani 1 in o n a p h t h a l e n e 6・s u l f o n y l基の 結合した G r a m i c i d i nSの 調 製 小野寺昌彦 田中恭介 白沢俊英 塩川洋之 (北海道大学免疫科学研究所生化学部門) (昭和 5 2年 1 2月 2日受付) ハプテンに対する抗体を得るためには,通常血清アル c h l o r i d e は Sachdv等制の方法で合成した。 Grami- ブミンやへそシアニンのような分子量の大きな蛋白質 c i d i nS は Sigma社 製 GramicidinJの塩酸滋を用い ( c a r r i e r )に,多数のハプテンを結合させて調製した抗原 た 。 SephadexLH-20は Pharmacia社製,カラムクロ を動物に注射する必要がある。このようにして得られた i e s e l g e l マトグラフィー用シリカゲルは Merck社製 K 抗ハプテン抗体て、は, 0.05~0.2 多くの場合不均一な分子の集団 m m( 7 0 3 2 5meshASTM)を用いた。薄層ク (結合定数や等電点分画法によるパターンについて)とな C-Alufolieren ロマトグラフィーには Merck 社 製 D 3 )。 しかし;最近ジニトロフェニル基やアデニン環を る1 k i e s e l g e l6 0を用いた。 Gramicidin S ( 5種類のアミノ酸が 1 0個環状に結合し GramicidinS と MANS-GramicidinS 複 合 体 の これらの化合物を 6NHCl で たペプチド)のオルニチン残基の 2個のアミノ基に結合 構成アミノ酸の検出は, ramicidinS 複合物を抗原として用 させたハプテン G 1 1 00C,2 3時間加水分解した後 HClをエパポレーターで いると,著しく抗ハプテン抗体の不均一性が減少するこ 除いて,薄層クロマトグラフィーを行ない,ニンヒドリ ミエ ramicidinS と (MANS)2 ン反応によって行なった。 G ローマ蛋白質で、行なわれたような,クローンの比較や化 GramicidinS のアミノ酸分析は, 1 1 00Cで 6NHClに 学構造の研究が 7, 8 ),誘発された抗ハプテン抗体でも可 よ る 加 水 分 解 物 を 目 立 ア ミ ノ 酸 分 析 器 (ModelKLA- 能となると期待されている。 3B)を用いて行なった。 加水分解時間は とが示された 4-6)。 この不均一性の減少によって, 我々は, a r ウシ血清アルブミンやへモシアニンを c r i e r として用いて,ケイ光色素 N・m e t h y l 2 a n i l i n o n a - Gramicidin 4時間, (MANS)γGramicidinSの場合 Sについては 2 4,7 2,9 6時間であった。 は2 pht h a l e n e 6 s u l fony1基 (MANS基)に対する抗体(抗 結果と考察 MANS抗体)をウサギに産生させる方法を示した9, 1 0 )。 また, MANS基のケイ光は,抗 MANS抗体に結合す ( 1 ) MANS2-GramicidinS の合成 ると数百倍に増加することと,結合 MANS基のケイ光 0.5msのアセトンに 4 3 . 5mgの MANSc h l o r i d eを 極 大 波 長 が 抗 MANS 抗体結合部位の構造を反映して 溶解する。このアセトン溶液に 5 0m MBorax(pH9 . 3 ) 1 2 )。これらのことから, MANS 変化することを述べた 11, 溶 液 0.5ms加える。さらに 50mgの G ramicidinS の 基は,抗体量の変化, 溶解した lmsアセトン溶液を加え,反応を開始し一昼夜 クローンの比較,結合部位構造の 5C恒温槽中で放置する。 室温または 2 0 研究に適したノ、プテンで・あると結論された。 この報告では, MANS基の 2個結合した, Grami 司 を用いて溶媒を除き乾燥させる。 エパポレーター lmsのエタノールで、 cidinSの調製法を述べる οMANSc h l o r i d eと Gramト 溶解し(完全には溶けなし、),この全量をエタノールで平 c i d i nS とをアルカリ性アセトン水溶液中で、反応させ, 3 5cmx1c m c i ) 衡化しである SephadexLH-20カラム ( SephadexLH-20 カラムクロマトグラフィー, 続いて に供し,エタノールで、溶出し最初に溶出するケイ光画分 シリカゲルカラムグロマトグラフィーを行なし、,容易に を集めた。 (MANS) z-GS を得ることが出来た。 液 b utanol /a c e t i ca c i d= 2 0 / 1 )で大まかに 3つの成分に この物質の同定は アミノ酸分析により行なった。 この画分は,薄層クロマトグラフィー(展開 ) 。すなわち,最先端まで 分離することが示された(図 1 泳動した大きなケイ光スポット, Rf0.5~0.6 のスポット 実験方法及び試薬 MANSate は Cory等 の 方 法 で 合 成 し 1 3 ), MANS および原点にとどまるスポットの 3個である。 Rf0 . 5の スポットはケイ光を発し,かつニンヒドリン反応陽性で 5 7 あったので, MANS基の 1個結合した G ramicidinS ィーで単一のケイ光スポットを示した(図 2 ) 0 (実験の初 と思われる。また原点のスポットもニンヒドリン反応陽 t h y l a c e t a t eを用いていたが, 期には,溶出液として e ramicidinS と考えられる。最先 性であり未反応の G この場合ごく小さなスポットが主スポットに遅れて泳動 端まで泳動したスポットはニンヒドリン反応陰性で、あり するのが見られたので, (MANS)2-Gramicidin S と思われるので, 液でシリカケ守ルクロマトグラフィーを繰りかえすことに この画分を さらに精製するために,次にシリカゲルカラムクロマト グラフィーを行なった。 e t h y l a c e t a t e / b e n z e n e ;1 / 1溶 より,この小さな成分を除く必要があった)。 ( 2 ) 得られた主成分のアミノ酸分析 ( 1 )の薄層クロマトグラフィーで均ーな物質と Gram i c i d i n S とを各々 6NHCl,1 1 00 Cで2 3時間加水分 解した後, HClをエパポレーターで除いた後,薄層クロ マトグラフィーを行な¥",ニンヒドリン反応によって検 ramicidinS の構成アミノ酸の Orn,Leu, 出した。 G Phe,Val, Pro も対照として同時に泳動した。展開液 u t a n o l 酢酸水 ( 3 :1 :1 )を用いた。 Leu と として b Pheは同位置に泳動し,続いて Val,Pro,Orn の順に ramicidinS の分解物では,これら 遅れて泳動した。 G 4個のスポットすべてが見られたが, ( 1 )で得られた最終 精製物では 4個のスポットの内特に Orn のスポット が著しく弱くなり,新たに, Leu+Pheのスポットより 医1-1 MANS-GramicidinSの薄層 クロマトグラム も先に泳動した,ニンヒドリン反応陽性で、かつヶい光を 発するスポットが出現した。加えて, ニンヒドリン反 応陰性で,弱いながらケイ光を発するスポットがさらに 3個出現した。これらの結果は,最終精製物は Ornが MANS化された GramicidinS であることを強く示唆 している。 表-1 GramicidinS および MANS-Gramicidin S の構成アミノ酸のモル比 化合物 l 2 出r 仇 包 加水分解時問( μ 捕 時問 MA l ' 附 N 釧 4 叩 胤 S叫 1 24時間 1 72時間 1 9 6時間 (モル比) (モル比 ) I (モノレ比 ) i (モノレ比) 図-2 G ramicidinS および MANS-GramicidinS 複合体の加水分解物の薄層クロマトグラム ア Orn 0 . 8 6 10 . 1 3 Pro 0 . 9 3 11 .0 2 10 . 9 7 10 . 9 9 ノ Val 0 . 9 4 I0 . 8 2 I0 . 9 2 I0 . 9 8 酸 I Leu I 0 . 9 8 I1 .0 4 I0 . 9 8 I0 . 9 8 1 .0 1 .0 1 .0 1 .0 Phe SephadexLH-20 カラムクロマトグラフィーで溶出 I 0 . 3 9 I 0油 した最初の画分を集め,シリカゲ、ルを少量加え,濃縮し, シリカゲルに溶出物を出来るだけ均一に吸着させる。こ の溶出物を吸着したシリカゲルをあらかじめ e t h y l a c e - 表 -u こG ramicidinSおよび MANS-GramicidinS 複合物の構成アミノ酸のモル比を示した ( Pheを 1とし t a t e / b e n z e n e ;1 / 1溶液で平衡化したシリカゲルカラム 0 GramicidinS においても MANS-GramicidinS た) ( 3 5cmx1 .5cm</1)の上に重層した後(約 2cm),平衡化 複合体においても Orn以外のアミノ酸のモル比は 1に に用いたものと同じ溶液で溶出する。最初に溶出する画 ramicidinS では 近い値を示している。 Orn の値が G 分を集め, 45~500C で溶媒を除き乾燥させる。 10.5 mg 0 . 8とやや低いのは, の白色粉末が得られた。このものは薄層クロマトグラフ るために, 2 4時間の加水分解時聞が短かったことによる このペプチドが環状ペプチドであ 5 8 ものであろう。 MANS-GramicidinS は Orn の{直が 低く 2 4時間の加水分解ではわずかに 0 . 1 3であり,分 6時間にしても 0. 49という値しか示 解時聞を延長して 9 さなかった。これは MANS基と Ornの結合がペプチ ド結合に比べて非常に強く, 9 8時間後においても約半数 の Ornが MANS と結合したままであると思われる。 SephadexLH-20 およびシリカゲルクロマトグラフ ィーによって精製された MANS-GramicidinS複合物 は , ( 1 )b u t a n o l a c e t i ca c i d系の薄層クロマトグラフィ ーにおいて,ケイ光は発するが,ニンヒドリン反応陰性 であるスポットを与えること, ( 2 ) さらに加水分解によ りGramicidinSの構成アミノ酸である Phe,Leu,Val, Pro,Ornを与えることから, MANS基が Gramicidin こ結合した (MANS)2-GramicidinS S の 2個の Orn I であると考えられる。ただし, Ornの回収率は 9 6時間 の加水分解によっても約 50%であり,この点加水分解の 条件を検討する必要がある。 結 論 N m e t h y l 2 a n i l i n o n a p h t h a l e n 6・s u l f o n y l(MANS) c h l o r i d e と GramicidinS を反応させた後, Sephadex LH-20 およびシリカゲルクロマトグラフィーにより, (MANSh-GramicidinS複合体を調製した。この複合物 は,薄層クロマトグラム上でケイ光発光とニンヒドリン ) z 発色および加水分解物のアミノ酸分析により (MANS Gramicidin S であることを確認した。 文 献 1 ) Eisen,H. N. and S i s k i n d,G . W.・ B i o c h e mistry ,3 ,9 9 6,1 9 6 4 . 2 ) Kreth,H. W. and Williamson,A.R.: Euro‘ peanJ .lmmuno , . l3 ,1 4 1,1 9 7 3 . 3 ) Margoi 1e s,M.N.,Cannon,L .E .I I I,Strosberg, A. D . and Haber,E . : P r o . Natl . Acad. S c i ., USA,7 2,2 1 8 0,1 9 7 5 4 ) Montgomery ,P .C .,Rockey,J . H. and W illiamson,A. R.: P r o . Natl .A cad. S c i .USA, 6 9,2 2 8,1 9 7 2 . .C .,Rockey,J .H.,Kahn ,R.L 5 ) Montgomery,P . A.: J . lmmuno , . l 1 1 5,9 0 4, and Skandera,C 1 9 7 5 . 6 ) Cameron,D .J . and E rlanger,B .F . : lmmunochem.,1 3,2 6 3,1 9 7 6 . .F .,Konigsberg,W.H.,Rosenstein, 7 ) Richards,F ,J . M.: Science,187,130, R . W. and Varga 1 9 7 5 . , 妊S .,Varga,M.,Rao,D.N. 8 )P o t t e r,M.,Rudiko .B . : Cold Spring Harbar and Mushinski,E .B io , . l4 1,6 6 1,1 9 7 6 . Symp. Quat 9 ) Onodera,M.,Shiokawa,H. and Takagi,T.: J . Biochem.,7 9,1 9 5,1 9 7 6 . 1 0 ) 小野寺昌彦・ 蛋白質・核酸・酵素別冊, p.189,共 立出版,東京, 1 9 7 4 . 1 1 ) Onodera,M.and Shiokawa,H.: J . Biochem., 8 1,8 9 1,1 97 7 . 1 2 ) 小野寺昌彦・塩川洋之. 化学の領域別冊, p.79, 9 7 6 . 南江堂,東京, 1 .,Becker,R .R . , Rosenbluth ,R. and 1 3 ) Cory,R.P lsenberg,1 . : J .Am.Chem.S c i .,9 0,1 6 4 3,1 9 6 8 . .P .,Brownstein,A D .and Fruton, 1 4 ) Sachdeu,G J . :J .B iol . Chem.,2 4 8,6 2 9 2,1 9 7 3 1 5 )S t a h l, E .( E d i t o r ) :T h i n l a y e rChromatography, p8 8 9,Springer-Verlag,B e r l i n,1 9 6 9 . 目 目 Preparation and Puri五 cation of Bis-N ・methyl-2 ・ anilinonaphthalene-6-sulfonyl-Gramicidin S Masahiko ONODERA,Kyδsuke TANAKA,Toshihide TAKASAWA and Hiroyuki SHIOKAWA n i l i n o n a p h t h a l e n e 6・s u l f o n y l G r a m i c i d i n S was prepared and p u r i五e d by c h r o Bis-N-methyl-2・a matographyonSephadexLH-20ands i l i c agel . Aminoa c i da n a l y s e sandt h i nl a y e rchromatography 1nonaphthaleneふ sulfonyl group are bound t o one molecule o f i n d i c a t et h a t two N m e t h y l 2 a n ii GramicidinS .