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「アジアのウォールストリート」目前の上海・浦東新区

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「アジアのウォールストリート」目前の上海・浦東新区
2010年2月9日
Vol.1
「アジアのウォールストリート」目前の上海・浦東新区
はじめまして。SBI証券の森永と申します。
現在、BRICsを初めとする新興国への投資が非常に盛り上がっています。しかし、実際に現地へ行ってみないと投資する
のが不安という方も多いのではないでしょうか?そこで、既に現地へ足を運び、企業や金融機関、地元で働く人々を取材し
た私の経験が役に立つのではないかと思い、この企画が立ち上がりました。ぜひ皆様に、取材を通じて肌で感じてきたこと
を自分の言葉でお伝えしたいと思い、今回始めてこうした場所に書かせていただきます。よろしくお願い致します。
今回の目的地は上海。金融危機後、世界に先駆けて経済を立
て直し、5月に万博を控えたこの都市の空気を、自らの眼で確か
めるためです。今回は広州での調査の後に上海へ向かったため、
中国の国内線で移動しました。しかし、東京の中心部から上海に
直接行くのであれば、最近は成田ではなく、羽田から出発し、上
海虹橋(ホンチャオ)国際空港へ行く経路が主流なのでしょう。虹
橋空港から上海へ向かったときの記録も交え、上海の発展をお
伝えすることができればと思います。
羽田∼虹橋の定期便は、わずか3年前の2007年9月に就航し
たばかり。これまでは都心から1時間以上かけて成田に行き、そ
こから上海郊外の浦東(プードン)国際空港に着いて、さらに1時
間以上かけて上海中心部を目指すという経路しかありませんで
した。これだと、東京の中心部から7時間近くかかります。
しかし羽田∼虹橋の就航により、2時間以上も短縮され、現在
では東京から最短だと4時間半程度で、上海の中心部にいくこと
ができます。人、モノのアクセスが格段に向上したわけです。
虹橋空港 (筆者撮影)
写真上の虹橋空港は、もともと中国国内線専用の空港だったため
中規模程度の大きさですが、近年は日本以外の国からも多数の乗り
入れがあり、羽田空港と同じようにターミナルビルや滑走路の拡張工
事が急ピッチで進んでいます。 慌ただしくイミグレーションを通過し
て、タクシー乗り場に行くと、この混雑です。
写真左のように、並んでいるのはタクシーですが、それ以上に並ん
でいるのが飛行機から降りた乗客です。その多くがビジネス客のよう
です。欧米系、インド系、アラブ系、アジア系など様々な人種が待って
いますが、中国の周辺国からの乗客が増えているからでしょう。もちろ
ん観光客もいますが、タクシーを使うのはビジネスマターの客が圧倒
的に多いようです。結局、30分待ってようやく乗車し、高速で中心部へ
向かいます。
ズラリと並ぶ空港前のタクシー乗り場 (筆者撮影)
本資料の免責事項・注意事項
本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮してい
るものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客様
が損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で
転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
株式会社SBI証券(金融商品取引業者) 関東財務局長(金商)第44号 加入協会/日本証券業協会、(社)金融先物取引業協会
2010年2月9日
Vol.1
アジアのウォールストリートへ
高速はもちろん無料。しかも車線が多くて渋滞は少ないため、上海の交通インフラは、すでに東京以上の水準です。
目指すは、浦東新区の金融街。皆さんが「発展する上海」のイメージ写真でよく見る、摩天楼群で有名なエリアです。
東方明珠電視塔をシンボルとする浦東新区 (筆者撮影)
浦東新区で一際目立つのが、近代中国のシンボルともいえる、
東方明珠電視塔(オリエンタルパールタワー)。その他のビルも、
日本ではまず見ることのできない独特で斬新なデザインです。
目的地は、右の写真にあるオリエンタルパールタワーの次に高い
ビル、「上海環球金融中心」(上海ワールドフィナンシャルセンター
/SWFC)です。
SWFCは高さ492mで、2010年1月現在、ドバイのブルジュ・ハリファ
(高さ818m)、台湾の「台北101」(508m)に次いで世界第3位の高層
ビルです。米国シカゴのスパイア(高さ609.6m)、フリーダム・タワー
などが今後続々と竣工予定のため、世界第3位の座は短命になり
そうですが、アジアではトップレベルの建造物であることには間違い
ありません。
私の目的は、この SWFCの展望フロアから、上海のリアルな成長
を俯瞰することです。
上海ワールドフィナンシャルセンター(SWFC) (筆者撮影)
本資料の免責事項・注意事項
本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮してい
るものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客様
が損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で
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2010年2月9日
Vol.1
中国のウォール街
右の写真がSWFCから、上海中心部を貫く川、黄浦江(ホァン プー ジャ
ン)の方向を見下ろしたものです。試しに、ここから見える開発工事を数
えてみると、赤印の通り約 7 カ所。①∼③のあたりには大きな道路がで
きるとのことですから、この一体の“動脈”になるのでしょう。また④∼⑦
は高層ビルの基礎工事のようです。このエリアに、さらに道路とビルが
増えることがよくわかりました。
というのも、中国政府はここに“中国のウォール街”をつくり、上海を
国際金融センターとする方針なのです。“眠れる獅子”中国が金融に
目覚め、街づくりが始まったといったところでしょうか。アジアにはすで
に東京、香港、シンガポールなどの金融都市が地位を確立しています
が、規制の厳しさや市場の難しさから外資が撤退する東京とは勢いが
違うことを肌で実感しました。
SWFCの展望フロアからの風景 (筆者撮影)
「上海中心部の開発ぶりはどのようになっているか?」。このビルに
上った目的は、これだけといっても過言ではありません。目前には、金融
街を作るため次々とビル建設が行われ、その先にははるか地平線まで
続くコンドミニアムやオフィスビル群。ありきたりではありますが、この事
実を五感で感じられたのは大きな収穫でした。
滞在時間に限りがあるため、この後、足早に上海証券取引所を見学し
て、タクシーで外灘(バンド)地区に向かいます。
上海証券取引所 (筆者撮影)
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るものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客様
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2010年2月9日
Vol.1
もはや先進国のような上海
そのタクシーの中で、面白いものを見つけました。
前部座席のヘッドレストの部分に、モニターがついていて、後部座席
から見ることができます。このモニターは、今をときめくiPhoneと同じ
「タッチパネル方式」で、いろんな情報を検索することができるのです。
右の写真の画面は、どうやらアンケートのよう。質問は「中国建国60
年で、もっとも大きな事件は?」という意味らしく、「複数選択可能」と表示
してあります。要はタクシーの乗客に向けて、市民意識のマーケティン
グを行っているのです。他にも、ロレアルやリーバイスの広告のアイコン
が出たりしていました。
タクシーに附属しているタッチパネル (筆者撮影)
こういったものは、日本でもあまり見かけませんね。内陸部では「家電下郷」などで白物家電を普及させているのに、都市
部ではタクシーのタッチパネル画面で意識調査。恐るべき成長の速度です。
運転手の方に建築中のビルの話を伺うと、「交代制で24時間建設中だから、竣工するのが早い」そうです。そしてタクシー
の外では、これでもかとビルの建設現場を見かけます。
加速する上海の不動産建設 (筆者撮影)
上海の不動産価格は、かつて2003年頃に高騰し、当時は「バブル」と言われ
ました。その後、政府の金融引き締めでいったんは沈静化しましたが、ここに
来て再度高騰し、「バブル再来」を懸念する声もあります。
しかしながら、今回の視察で上海の不動産価格の高騰は、バブルではない
のかもしれない、と感じました。現に、中国では膨大な貿易黒字と内需を背景
に上海への流入人口が多く、オフィスや住宅の需要が高まって います。
そびえ建つ超高層ビル (筆者撮影)
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2010年2月9日
Vol.1
私が向かったバンド地区は戦前、日本や西洋列強
がたむろする自治区(租界)としていたため、コロニア
ル風の建築物が建ち並び、現在は上海随一の観光
エリアとなっています。
右の写真は川を右手に見ながらバンド地区を北上
しているときのものですが、見ての通り、川沿い(写
真右半分)は建設現場の看板だらけ。万博に向けた
上海の不動産開発は、ここでも例外ではないようで
す。古い顔から新しい顔へと変貌する上海。そのスピー
ドは、私の想像をはるかに超えていました。
コロニアルな建築物と建設現場 (筆者撮影)
視察を終えて、夜はバンド地区で夕食。100年は経
過している建物のペントハウスをお洒落に改装し、最
新の上海料理を出すレストランへ行きました。左の写
真はその屋上から川を挟んで対岸の浦東新区を撮影
したもの。旅行ガイドでは定番の写真ですが、思わず
撮影してしまいました。
食事をしているテーブルの周りからは、中国人の標
準語である北京語に混じって、広東語、アメリカン・イ
ングリッシュや、アジアン・イングリッシュが聞こえてき
ます。上海はすでに東京をしのぐ国際都市であり、ア
ジアのウォールストリートになるのは、そう遠くない未
来だと感じました。
上海の夜景 (筆者撮影)
投資調査部
森永 康平
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