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バドミントンのスマッシュレシーブ時におけるプレーヤーの視線
「視る」 と 「スポーツ」 を医科学する 第11回 バドミントンのスマッシュレシーブ時におけるプレーヤーの視線 sv 研究集会 1. ○境 広志、清水 裕(成蹊大学) 目的 バドミントンのスマッシュは、初速300kmちかいスピード で、レシーバー側のコートへシャトルが打ち込まれてくる 。レシーバーは、それを返球するために、短時間で体制を 整えて、コースやスピードを予測しなければならない。 本研究では、このような状況において、プレーヤーがど こに注視点を置き、どのように情報収集をして、スマッシ ュレシーブに備えているかを明らかにすることを目的とし て、実験を行った。 2. 方法 被験者はS大学のバドミントン部員2名と同大学のコーチ、 バドミントン未経験者の大学生の4名。バドミントン経験は 。先行待機については、経験13年が平均0.18秒(全体の10%) であったのに対して、9年が0.29秒(22%)、4年が0.54秒(29%) 、未経験者が0.67秒(36%)と、経験年数が長いほど短時間で あることが分かった。おそらく経験により、スマッシュの タイミングを心得ていて、打球直前まで情報収集をするこ とに時間を費やしている(優先させている)と思われる。 情報収集の手がかりとしていると考えられる部位は、相手 の足元、膝、腰、肩・胸部、頭部、左腕、左手、ラケット 側の腕、ラケットなど多部位にわたった。経験年数との関 係性は見られず、個々の特徴などは若干見られたが、一貫 性があるともいえなかった。経験13年の最も長いプレーヤ ーは、短時間に多くの部位へ注視点が移動していく動きが 見られたのが印象的であった。 、13年、9年、4年、0年(未経験者)である。 EMR-8を被験者に装着し、コート内のレシーブに適当な位置 に立たせ、合計10本のスマッシュをレシーブさせた。 記録された測定結果から、ロビングが打ち出されてから、 相手がスマッシュをヒットする瞬間までのアイマークの位 置(0.03秒毎)を確認した。 3. 結果および考察 4. まとめ バドミントンのスマッシュレシーブでは、シャトルを追 従している時間は全体の48∼66%で、その他は、相手の身体 やラケットに注視点を置いて、情報収集を行っている。情 報収集に費やされる時間は、経験の長いプレーヤーほど多 く、逆に、スマッシュ直前の先行待機の時間は経験の長い プレーヤーほど短い傾向が見られた。 シャトルが打ち上げられてから、スマッシュがヒットされ るまで(平均2.01秒)の注視点の動きについては、4名に共 通した傾向が見られた。最初、プレーヤーは、天井に上が っていくシャトルを確認するべく注視点がシャトルの軌道 を追っていくが、シャトルが頂点付近に到達するあたりで 先行待機 (相手の頭 上) 10% 経験9年 経験13年 先行待機 (相手の 頭上) 22% 、相手プレーヤーの身体あるいはラケットへと急激に移動 (下降)をする。身体やラケットなどの部位から情報収集 を行った後、シャトルが落下してくる途中のタイミングで 、相手の頭上の空間(予想されるスマッシュの打点位置) に先行待機をさせ、ヒットの瞬間は、シャトルと注視点が 情報収集 (身体・ラ ケット) 31% 位置確認 (シャトル) 59% 情報収集 (身体・ラ ケット) 30% 位置確認 (シャトル) 48% 一致する。シャトルを中心視していない時間がどのプレー ヤーにも確認されたが、この時間の割合は全体の34∼52%で あった。経験年数との関係性は見られなかったが、バドミ ントン未経験者にこのような視線のパターンが見られたの 未経験 経験4年 先行待機 (相手の頭 上) 29% 先行待機 (相手の 頭上) 36% は予想外であった。 経験年数との関係性が見られたのは、情報収集に費やす 時間の割合と、先行待機の時間であった。情報収集に関し ては、経験13年のプレーヤーが全体の31%であったのに対し て、9年が30%、4年が5%、未経験者が4%と、経験年数が長い ほど時間をかけているのが分かる 情報収集 (身体・ラ ケット) 5% 位置確認 (シャトル) 66% 情報収集 (身体・ラ ケット) 4% 位置確認 (シャト ル) 60% スポーツビジョン 研究会 R 東京都中央区日本橋人形町1-15-6 東京メガネ日本橋ビルTEL03-3668-4729 FAX03-3661-3782 [email protected]