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QIAGEN eyes
QIAGEN
eyes
10
News & Topics from QIAGEN
July 2014
Contents
Worldwide Research ̶ Hot News
シングルセル遺伝分析
究極のがん分析になるか?
2∼4
Biobanking Review
千葉大学医学部バイオバンク事業と
バイオバンクネットワーク
10 ∼ 11
Interview
着床前診断におけるシングルセル解析の意義
5∼6
遺伝子検査教室
トランスレーショナルリサーチを始めよう
12 ∼ 13
Pathway Application
生物学者のためのシステムサイエンス入門
7∼9
Letter from Technical Service
14 ∼ 15
QIAGEN クイズ
15
Information ̶ ご案内および次号予告
16
Sample & Assay Technologies
Worldwide Research ̶ Hot News
シングルセル遺伝分析 ̶ 究極のがん分析になるか?
by Andrew M. Porterfield
新しい効果的ながん治療法の探求は、何十年にもわたる研究と治療法開発の努力にもかかわらず遅々として進まなかった。がん発生から成長まで
の機序も細胞、
分子レベルではかなり解明されてきたが、
現在用いられているがん治療法の大部分は 30 年以上も前から進歩していない。遺伝子ベー
ス、分子ベースの治療法が開発されてもターゲットになるパスウェイに対する抵抗力が現れ、往々にしてごく一時的な効力しかない。
このような抵抗力は、治療によるターゲット・パスウェ
1 個程度)
、成長する原発腫瘍から飛び出し、転移を引
イの変化が原因と見られており、一部の研究者は、「モ
き起こすため、循環腫瘍細胞(CTCs)が、転移のリス
グラ叩き」と呼んでいる。一つの遺伝子やパスウェイ
クと関連があると考えられている。現在、米国 FDA 認
を標的にしたがん治療は、がんがバイパスを使って成
可の CTC アッセイを製品化しているのは CellSearch 社
長する結果に終わる。がんが抵抗力を得る原因は、一
だけである。
つには腫瘍その他のがん細胞の不均一性にある。最近
の研究でがんの中に多数の細胞と異なる表現型を示す
新しい分離技術
細胞が混じっているケースが見つかっている。周辺組
シングルセルを調べるためには単離しなければならな
織、免疫系、治療法などいくつかの特定の要因に反応し、
い。研究室で採用している CTC を捉える方法としては、
突然変異による多様化で進化し、原発腫瘍から離れて
レーザー捕捉マイクロダイセクション、フロー・サイ
他の組織の中で独自に成長するため、さらに固有の変
トメトリー、細胞操作などいくつかの方法がある。
異が進んでいく。
■ レーザー捕捉法:直接細胞を組織から分離する方
つい最近まで、がんの生物学的分析はこの不均一性の
法で、臨床現場に適したテクニック。顕微鏡に搭
問題をうまく解明できなかった。これまでの分析法は
載したレーザーで標的とする組織を周辺組織か
個別細胞や細胞の小グループを対象にするのではなく、
ら 切 り 取 り、 標 的 細 胞 の 濃 度 を 高 め た 標 本 が 得
3
6
10 個から 10 個という大きな数の細胞の塊を調べ、
られる。
全体の中の平均的な遺伝子型や表現型を分析するとい
■ 顕微操作法:培養試料または唾液や血液などの液体
うものだった。このような平均分析法では細胞群の中
試料からトランスファー・ピペットを使って細胞を
の個別細胞の特性が見逃されていた。しかも、がんや
分離する。簡便だが、手間暇がかかる上に細胞を切
その他の様々な疾患の効果的治療法を見つける秘密は
断してしまうこともある。
この不均一性の解明に隠されていたといえる。
■ フロー・サイトメトリー法:FACS® を用いて懸濁液
不均一性の解明
中の細胞を分離する方法。流液中の細胞の回収には
固形がんの細胞構成は単純ではない。がん細胞に加え
選別基準を設定することができ、血液がんから細胞
て、繊維芽細胞、内皮、リンパ球、マクロファージなど
を選別回収するために一般に用いられている。
の非がん性細胞も混じっている。がん細胞と非がん性
■ マイクロ流体技術:微小な液滴をつくり、ハイスルー
細胞との比率は 50%対 50%程度になることもあり、バ
プット効率を維持したまま液滴の大きさを調節す
イオマーカーや遺伝子プロファイルなどのためのがん
る。その後にシングルセルに対してマルチプレック
細胞分析を難しくしている。しかし、現在ではシングル
ス PCR 分析をする。
セルを取り出す技術や次世代シークエンシング技術な
どにより、シングルセル遺伝分析が可能になっている。
その結果、遺伝子やタンパク質の発現、突然変異その
他の遺伝子変異の抑制、環境ストレスや化学療法への
対応にも大きな違いがあることが解明され始めている。
臨床的にも有望なのは循環腫瘍細胞の研究である。この
次世代シークエンシング(NGS)を使ってすべての
がん細胞のゲノム全体を低コストで解明できるように
なる日も遠くない。そうなれば、がん細胞の異型接合
性、不均一性を比較することも、がん細胞内の DNA
と RNA の動きを完全に分析することも可能になる。
種の細胞は非常に数が少ないが(腫瘍細胞 1 x 106 個に
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www.qiagen.co.jp
Issue10/2014
X/2014
Issue
Worldwide Research ̶ Hot News
展望
MD Anderson Cancer Center, Nicholas Navin 博士とのインタビュー
Nicholas Navin 博士(右写真)は、テキサス州ヒューストン市、MD Anderson Cancer Center の遺伝学
准教授を務めている。彼の研究室では、分子生物学とインフォマティクス技術を用いてがんゲノム進化
解明の研究を続けている。トランスレーショナルリサーチも進めており、メディカル・クリニックでは
どのツールが最も有用になるかの評価を行なっている。
がん遺伝学分野でのシングルセル研究の現況は?
臨床的な展望
RNA シークエンシング技術はかなり進んでいる。一つの細胞の
臨床現場でのシングルセル解析の利点は、極微量のがん細胞も
中には RNA 分子が多数存在するので RNA は割合作業がしやすい
プロファイルし、対応する転移と照合できること、化学療法に抵
のではないか。Whole transcriptome methods で、ナノグラム量
抗する希な変異も検出できることなどがある。現在のところ、米
の DNA を増幅することも可能になっている。まだ開発段階だが、
食品医薬品局(FDA)が認可した診断用循環腫瘍細胞アッセイはた
シングルセルの DNA シークエンシングがある。
だ一つしかない。また、転移性の乳がん、前立腺がん、腸がんを
シングルセル中の DNA シークエンシングの問題点は?
RNA で qPCR はできるが、DNA の検証ははるかに難しい。アレル
ドロップアウト、擬陽性、ゲノム増幅プロセスで起きる単発の突
然変異など技術的なエラーも考えられる。
診断された患者のモニターには CellSearch アッセイが用いられて
いる。
それでも、臨床現場でシングルセルアッセイを用いることを支持
する研究結果も増えてきている。今年初め、ドイツの研究チーム
が全ゲノム増幅技術と aCGH マイクロアレイをテストし、個別播
現在、研究室ではどんな作業を?
種性がん細胞や CTC の構造コピー数の解析を行なった結果、それ
半分が実験、半分が in silico。現在、ゲノムや DNA エクソームを
らの細胞の詳細な解析が可能であることを突き止めている。
調べるテクニックを開発している他、コピー数を調べる研究も手
更にシングルセル解析は、分子標的治療への抵抗の研究に有効と
がけている。さらには一つのがんにどれほどクローン多様性があ
考えられる。HER2 陽性乳がん患者の場合、がん治療ガイドライン
るか、この多様性はどのように進化するかという疑問も解明した
により、トラスツズマブでの治療の後、HER2 の再評価を義務づけ
いと考えている。早期形質転換事象と化学療法への反応を研究す
られているが、そのようなフォローアップはしばしば困難な作業
るためにシングルセルツールも使っている。
であり、転移の不均一性により問題が複雑化することも多い。個
別細胞の CTC 解析であれば個別細胞の薬剤に対する反応を予測で
最近の発見の例を教えてください
がん進行についての定説では、年齢とともに突然変異と悪性がん
が増えていくことになっている。しかし、私たちの研究では、一
定速度で徐々に進む変化ではなく例えば侵襲性の高い乳がんでは
細胞進化が爆発的に増え、コピー数が突然変化することを突き止
めた。このモデルに基づいて、乳がんではごく少数の多数派細胞
タイプがあるのではないかと見るようになった。
きるため、現在治験が実施されている。
不均一性の研究では、拡散する多様性や化学治療に対する抵抗の
増大などが焦点になるが、がん細胞は、免疫系、酸素欠乏、栄養
変化、化学療法などのプレッシャーにさらされた場合に不均一性
で対応するようである。しかし、Navin 博士は、「このようなスト
レスがかかる前から不均一性が存在するのか、それともストレス
が作り出すものなのかさえわかっていない」と述べている。
シングルセル技術は臨床にうまく採用されていますか?
臨床で直ちに応用できるとすれば、非侵襲性のモニタリングと早
期発見だろう。循環腫瘍細胞は 7.5 ml の血液試料から単離できる
が、それでも一人の患者から 1 個 ∼ 50 個の細胞を得ることができ
るだけだ。しかし、がんによっては、例えば腎がんの場合、生検
そのものが命に関わるので、生検の代替として活用できる。もう
一つの臨床分野としては、がん内部の不均一性の度合いを判定で
きるようになることが考えられ、患者の生存率と相関性を見つけ
ることも可能となる。
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Sample & Assay Technologies3
Worldwide Research ̶ Hot News
出生前診断とシングルセル
シングルセル解析技術の未来
シングルセル解析技術応用分野としては、がん研究と
出生前診断はシングルセル解析に規制当局の認可を得
臨床検査が最も適用範囲が広く、1970 年以降から臨
るためにかなりのところまで進歩しているが、出生前
床現場において出生前診断にこの技術が応用され始め
診断技術もがん診断もその手法をゲノム解析に応用す
ている。
る場合には同じような問題を抱えている。遺伝解析で
播種性がん細胞や循環腫瘍細胞などと同様に、母体血
中の胎児細胞も数はごくわずかであり、検査の大部分
はシングルセルよりもセル・フリー DNA を用いている。
現在のところ 4 社が規制当局からセル・フリー DNA
遺伝検査の認可を受けている。しかしながら、単一が
ん細胞の検出や解析に用いられる技術は胎児細胞への
適応が可能であり、出生前診断は迅速な FISH、QF-PCR
と共に直接的なシングルセルの解析の可能性をも秘め
ている。実際にいくつかの疾病はシングルセルを用い
た出生前診断にて同定が可能となっている。
は、単離やエラー削減など技術的な難問の他、がんに
おける多様性の意味、治療成果向上の方法などデータ
読解にも難問を抱えている。ただし、シングルセル研
究でがん細胞中の遺伝子発現には特異なパターンがあ
ることが突き止められている。Stanford University の研
究チームが、試料の細胞をプールすることなく、乳が
ん転移に関連する遺伝子の転写の増大を突き止めてい
るのである(NPTN、S100A4 および S100A9)。この
ようにいくつかの研究から、シングルセル解析法でど
のようながんのシングルセルにも応用できる臨床的に
有効な結果が得られている。
参考文献
1.Chan W.K., Kwok Y.K., Choy K.W., et al. “Single fetal cells for non-invasive prenatal genetic diagnosis: old myths new perspective,”
Medical Journal of Obstetrics and Gynecology, 1, 1004. (August 31, 2013).
http://www.jscimedcentral.com/Obstetrics/Articles/obstetrics-1-1004.php
2.Nicholas E. Navin. “Tumor evolution in response to chemotherapy: phenotype versus genotype,” Cell Reports, 6, 417-419, (February 13
2014). http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2014.01.035.
3.Nicholas E. Navin and James Hicks. “Future medical applications of single-cell sequencing in cancer,” Genome Medicine, 3, 1-12. (May
31 2011). http://genomemedicine.com/content/3/5/31
4.Ashley A. Powell, AmirAli H. Talasaz, Haiyu Zhang, et al, “Single cell profiling of circulating tumor cells: transcriptional heterogeneity
and diversity from breast cancer cell lines,” PLoS ONE, 7, e33788, (May 07 2012).
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0033788
5.Caitlin Smith, “Single cell analysis,” Biocompare (July 30, 2013).
http://www.biocompare.com/Editorial-Articles/142211-Single-Cell-Analysis/
6Czy˙z Z.T., Hoffmann M., Schlimok G., et al. “Reliable Single Cell Array CGH for Clinical Samples,” PLoS ONE, 9, e85907, (January
21, 2014). http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0085907
7.Anja van de Stolpe, Klaus Pantel, Stefan Sleijfer, et al., “Circulating tumor cell isolation and diagnostics: toward routine clinical use,”
Cancer Research, 71, 5955-5960, (September 13, 2011). http://cancerres.aacrjournals.org/content/71/18/5955.long
8.Yong Zeng, Richard Novak, Joe Shuga, et al. “High-performance single cell genetic analysis using microfluidic emulsion generator
arrays,” Analytical Chemistry, 82, 3183-3190, (March 1 2010). http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ac902683t
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Issue
Interview
着床前診断におけるシングルセル解析の意義
末岡 浩 准教授(慶應義塾大学 医学部 産婦人科)
重篤な遺伝病、妊娠の成立や流産の可能性を調べるために行なう着床前診断。今回、着床前診断の現状やその課題、また、着床前診断における
シングルセル解析の重要性について、慶應義塾大学医学部産婦人科 末岡 浩 准教授に伺った。
着床前診断とは
シングルセル解析をする意義についてのお考えをお聞
現在日本では、赤ちゃんの約 35 人に 1 人が体外受精
かせください。
による妊娠によって生まれています。凍結保存胚によ
単一の細胞に何が起きているかという情報は、生殖細
る妊娠はそのうち 65%で、世界一の多さです。着床前
胞のみならず、あらゆる分野で非常に大切なものです。
診断とは、体外受精による妊娠の前の段階で、初期胚
特にヒトの受精卵は、ヒトの個体を作るという点で極
の一部を採取して遺伝子や染色体検査を行なうことで、
めて重要な細胞であり、1 細胞、1 胚ごとに何が起き
重篤な遺伝病や障害の有無を診断するものです。日本
ているかを調べることができれば、遺伝病や染色体異
では、2004 年に Duchenne 型筋ジストロフィーの遺伝
常、妊娠の成立や流産の可能性などを予測できます。
子診断を日本産科婦人科学会が慶應義塾大学医学部に
施設承認を認めたのが最初になります。
例えば、着床条件についてみてみると、海外では着床
前診断で染色体異常が見つからなかった胚だけを着床
着床前診断は、具体的にどのような方法で行なうので
させると妊娠が約 70%の確率で成立したという報告さ
しょうか。
れた事実があり、また、私たちは、染色体の構造異常
遺 伝 子 の 診 断 は PCR 法、 染 色 体 の 診 断 は FISH 法
(fluorescence in situ hybridization)や全ゲノム増幅後にア
レイ CGH 法で解析します。最近では、染色体と遺伝子の
両方の異常をマイクロアレイを用いた網羅的解析によっ
をもつ夫婦の受精卵で調べた結果、約 69%に染色体の
構造ではなく、数の異常が発生していたことを報告し
ています。一つ一つの胚の持つ情報は、妊娠成立の鍵
を握るのです。
て同時に診断するケースが多くなってきました(図 1)
。
PCR 法のような古典的な解析にはどのような課題があ
現在、生殖過程の細胞機能の解析には、特殊な顕微鏡
りますか。
による紡錘糸の観察や、各卵の酸素消費量の測定によっ
遺伝子診断では、多様な遺伝子変異に合わせて、クラ
て細胞のエネルギー代謝を培養中に調べる方法など、
イアントごとに異なる診断系を調整する必要がありま
新しい解析法や診断法が開発されており、内部情報を
す。ただ、PCR 法だと見たいところしか解析すること
形態異常にフィードバックして細胞の機能に対して多
ができないですし、Multiplex PCR 法では、複数の増幅
角的に見ることもしています。
条件を合わせる必要がありますが、着床前診断で
図 1. 単一胚細胞に対するマイクロアレイ解析
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Sample & Assay Technologies
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Interview
は 1 細胞しかないので、複数の遺伝子の同時増幅が上
かってくると思います。卵という非常に活性の高い細胞
手くできないこともあり、大変ストレスです。
に何が起きているのかを詳細に科学的に解明することに
また、この方法は、診断の正確性は高いものの、トリ
よって医療の関与の方向性が見えてくると思います。
プレットリピート病の 1 つで患者も多い筋緊張性ジス
1 細胞解析の全ゲノム増幅に QIAGEN の REPLI-g Single
トロフィーなど、診断が難しいという遺伝子型も存在
します。この疾患の原因である CTG トリプレットリ
ピートは、長い遺伝子の増幅が難しい上に、病年の診
断には 38 リピート以上の長いリピート配列の解析が
必要であり、さらに診断が難しいため、両親からの短
い反復配列を 2 つのアレルに持っているかどうかで診
断します。ところが、健常な人のトリプレットリピー
トは、CTG 配列の反復数が短く、近似しているためそ
の配列を増幅しても差を識別しづらいのです。
Cell Kit をお使いになってみて、いかがですか。
REPLI-g Single Cell Kit の一番のメリットは、Phi29 の酵
素が室温で、同一温度で使えること、そして増幅効率
が良いことです。PCR 法に基づく全ゲノム増幅法の場
合、300 bp ∼ 1 kb の増幅産物になるので、その後の
解析が上手くいくかどうかは解析方法に依存するとこ
ろもあります。単一遺伝子の PCR は上手く増幅が掛か
らなかった経験もあります。全部を試したわけではあ
りませんが、私たちの研究グループでは、このキット
全ゲノム増幅の技術がもたらしたメリットを教えてく
で行なう MDA 法(multiple displacement amplification)
ださい。
が、染色体異常を除く、多くの遺伝子変異の解析に向
全ゲノム増幅の利点は、大きく 2 つあり、遺伝子の網
いていると感じています。
羅的な解析を可能にしたことと、繰り返し遺伝子解析
ができることが挙げられます。網羅的解析を行なうこ
とで、クライアントごとの試薬の調製が不要になりま
す。つまり、全ての検体に対して、同じ方法で自動化
した解析が可能となるのです。効率の向上や、検査の
精度向上やコスト削減にもつながります。
また、全ゲノム増幅後に小分けにして使えば、無理な
MultiPlex PCR を一度にしなくても、各々別の条件で診
断できるようになります。
近い将来、次世代シークエンサーの出番になるのでしょ
うか。
クライアントのことを考えると、コストの問題は重要
です。アレイ CGH 法や、マイクロアレイはコントロー
ルやターゲット数の問題で、意外とコストが高くなり
ます。一方、次世代シークエンサーは、エクソーム解
析等、解析領域を限定すれば、無駄が無くコストパ
フォーマンスの点でメリットがあります。倫理面での
課題はありますが、将来的には次世代シークエンサー
さらに複合ヘテロ接合体や、染色体
と遺伝子の異常が合併しているケー
スでは、PCR 法の遺伝子増幅によっ
での解析の方向になっていくかもしれません。
着床前診断の今後の見通しについて教えてください。
て比較することは困難です。しかし、
現在、日本で着床前診断を行なっている施設は 12 あり、
全ゲノム増幅後に遺伝子の網羅的解
厚生労働科学研究班としてそれぞれの施設における診
析を行なえば、目的遺伝子だけでな
断事例について、事例毎に集計していますが、症例数、
く周囲のマーカー遺伝子も同時に調
診断方法、精度やコストなどの実態把握とともに課題
べられるため、より正確かつ迅速な
の抽出、解決は不可欠です。
診断ができます。
臨床研究でエビデンスを求めながら良い点、悪い点を明
さらに、全ゲノム増幅後に網羅的解析
確にしていくプロセスが必要であると強く感じています。
を行なうことで、調べたい部分だけで
なく、たまたま発生した遺伝子や染色
体異常も明らかになります。そして、
染色体や遺伝子の異常がいつ、どの部
分に起きるかを明らかにすることによ
り、卵の成育を規定するような因子や、
修復するような機能を解明することに
もつながる可能性があります。また、
末岡 浩 准教授
6
胚のモザイクに関しても今後段々わ
www.qiagen.co.jp
参考文献
Tajima, H. et al., “The development of novel quantification assay for
mitochondrial DNA heteroplasmy aimed at preimplantation genetic
diagnosis of Leigh encephalopathy,” Journal of Assisted Reproduction
and Genetics, 24(6), 227-232, 2007
Fiorentino, F. et al., “PGD for reciprocal and Robertsonian
translocations using array comparative genomic hybridization”
Human Reproduction 26(7), 1925-1935, 2011
Senthilkumar, A. Natesan et al., “Genome-wide karyomapping
accurately identifies the inheritance of single-gene defects in
human preimplantation embryos in vitro,” Genetics in Medcine,
gim.2014.45, 2014 (Online publication 8 May 2014)
Issue 10/2014
Worldwide
Research ̶ Hot News
Pathway Application
生物学者のためのシステムサイエンス入門(第 5 回)
北野 宏明 博士(特定非営利活動法人 システム・バイオロジー研究機構 代表)
ここまで、ロバストシステムを構成するいくつかの制御原理に関して述べてきた。これらは、各々のフィードバック制御などのミクロレベルの制御
システムに関するものであった。同時に、生体全体を俯瞰したマクロレベルでのネットワーク構造にもロバストシステムとしての特徴が現れている。
今回は、ロバストシステムとしての生命という視点から、進化可能でありロバストであるシステムを構成するネットワークの基本的なアーキテクチュ
アに関して議論したいと思う。
蝶ネクタイ型と砂時計型ネットワーク
つまり、保存されたコアモジュール群に対して、環境
生物は進化的に適応する複雑システムだと考えると、
からの刺激を処理するモジュール群や応答に関わる遺
その機能を発現させる分子とそのネットワークの構
伝子群、さらにはシステム全体の制御に関わると思わ
造は、evolvability(進化可能性)と robustness(頑健
れる遺伝子群が拡大しているという解釈も可能である。
性)を兼ね備えたものになると考えられる。まず、生
物ネットワークが evolvability という要請には何が必
要かを考える。Gerhard と Krishner が、生命システム
が evolvable であることの特徴として、①少ない数の
変異によって新たな phenotype を生み出すことができ
ること、②変異が致死性にならないこと、などを挙げ
ている(1、2)
。さらに、このような特徴を可能とす
る構造として、①保存されたコアプロセスと新たな形
質を獲得できるフレキシブルな部分が存在すること、
②モジュール構造や区画化などで、変異の影響がシス
テム全体へのダメージにつながらないこと、③ weak
linkage と呼ばれる共有化された基本機構が存在するこ
と、などを挙げている。これらの要請は、ネットワー
クの構造に一定の制約を与える。それは、以下の 3 点
である:①ある程度のモジュール構造が形成されてお
り、そのモジュールはロバストであること、②汎用性
より具体的にネットワークの構造を見ても、同じよう
なことが観察される。実際に代謝経路の特徴をその
相互作用の方向性も考慮して調べた研究では、Giant
Strong Component (GSC)と呼ばれる大きく密結合し
ているネットワークと、それに結合するこれに対して
入力と出力の役割を担う二つのネットワーク、さらに、
それ以外のネットワークに分類されることがわかった。
GSC には、TCA サイクル、ペントースリン酸回路、解
糖系などの基本的な代謝経路が含まれ、Streptococcus
pneumoniae と Pyrococcus furiosus の比較においては、
非常によく保存されていることが示された(4)。さら
に、大局的構造は、出芽酵母やヒトの代謝系ネットワー
クにおいても同様な構造が見られることが確認されて
いる。このようなネットワークの構造を Bow-Tie 構造(蝶
ネクタイ構造)と呼ぶ。
のある機能モジュールが存在すること、③保存された
また、多くのシグナル伝達系などに関しても、多様な
コアプロセスと柔軟に付加されるプロセスという大局
受容体が、保存されたコアを経由して、多様な転写制
構造であること(1、2)。面白いことに、この様な要請は、
御へとつながっているという構造を持っている(5、
6)。
システムが robustness を有するということとほぼ同じ
例 え ば、GPCR シ グ ナ ル 伝 達 系 で は、cAMP や PKA、
要請であるということである。
Ca2+ などが、この保存されたコアの部分であり、色々
言い換えると、進化的に保存され効率的なコア・ネット
ワークと、その周辺に接続されより多様な進化を遂げ
ているプロセスが多く存在するという構造である。最も
抽象的なレベルでこれを解釈すると、機能分類レベル
での議論となる。これは、比較ゲノムの観点から、一
なシグナルがこれらの分子の動態を制御することで、
その細胞の挙動を変化させている(7)。これも一種の
蝶ネクタイ型ネットワークであるが、代謝ネットワー
クに見られる構造と区別するために、Hour-Glass 型(砂
時計型)ネットワークと呼びたい。
定の妥当性があると議論できる研究がある(3)
。進化
代謝ネットワークでは、多くの分子が密に相互作用す
的に、細胞周期、代謝、遺伝子修復などの基本的な機
るコアであったが、シグナル伝達系では、ごく少数の
能に関わる遺伝子群の全遺伝子数に対する比率は、遺
分子を経由するコアであり、二つのタイプの構造があ
伝子数の増大に対して低下傾向にあり、シグナル伝達、
るということである。代謝ネットワークでは、コアの
免疫系、イオンチャンネル、転写制御などに関わる遺
擾乱に対してロバストであるが、シグナル伝達系は、
伝子群の比率が明確に増大しているというものである。
コアの擾乱に対して必ずしもロバストではない。
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Issue 10/2014
北野 宏明 博士
Sample & Assay Technologies7
Worldwide
Research ̶ Hot News
Pathway Application
シグナル伝達系ネットワークの大域構造の
意味
フィードフォワード型ニューラルネットワーク(図 1)
次に、シグナル伝達系のネットワーク構造を見てみよ
この仮説に基づけば、特定のシグナル伝達系において、
う。例えば、GPCR シグナル伝達系では、多様な受容
同じような細胞応答を生じさせる刺激は、コアとなる分
体複合体が広範な環境刺激に応答し、シグナルをトリ
子の活性度や量的変化によって形成される相空間上でク
ガーする。しかし、それらの刺激は、cAMP やカルシ
ラスター化されるはずである。実際に、コア分子の動態
ウムなどの少数のコアを形成する分子を経由して、状
だけを取り出すと、一定のクラスターが形成されている
況に応じた細胞応答と遺伝子群転写制御へとつながる
ことは観察される。実際に、転写制御とコア分子の動態、
(7)
。この様な特徴は、RTK シグナル伝達系においても
さらには刺激パターンも含めて網羅的な実験が行なわれ
Toll-Like Receptor シグナル伝達系でも、見いだすことが
れば、この仮説の妥当性が検証・反証されるであろう。
できる(5、6)。多様な入力層、出力層と、非常に少
ない数の中間分子群という構造である。
と同じような原理を獲得したとしても不思議ではない。
タンパク質相互作用の統計的構造
生物ネットワークのマクロ構造は、統計的な分析も盛
この一つの解釈は、コアとなる少数の分子の活性度の
んに行なわれている。最も有名なのは、ネットワーク内
比率が、入力刺激パターンに対する Classifier の役割を
の分子の相互作用数の統計であり、これは所謂、冪乗
果たしているという可能性である(7)。数学的には、
分布(Long-Tail 分布や Heavy-tail 分布とも呼ばれる)を
三層構造のフィードフォワードニューラルネットワー
なしているというものである。一部の複雑系の研究者
クである。この構造のニューラルネットワークでは、
は、この統計をもって、このネットワークはスケールフ
入力層と出力層に、N 個のニューロンを仮定し、中間
リーである、つまり明確なスケール(相互作用数に特
層に M 個のニューロンを仮定する。中間層のニューロ
徴的なネットワークの性質)は存在しない、という主張
ンの個数 M が、N に近い場合、全ての学習パターンを
をする場合もある(8)
。確かに、全ての相互作用に対
正確に学習できるが、未知のパターンに対する正解の
する統計ではその通りであるが、これは、生物ネット
予測能力は低くなる。逆に、M を少なくすると、学習
ワークの本質的特徴を捉えていない。Imperial College
パターンに対する正解度は低下するが、未知のパター
London の田中は、色々な細胞機能に対応する分子は、
ンに対する正解度は向上する。これは、M の個数が制
特徴的な相互作用分布を有しており、それはスケール
限されたことにより、一般化が行なわれると考えられ
リッチとも呼べるものであり、それらの重ね合わせが、
ている。
冪乗分布統計になるということを示した(9)
。
シグナル伝達系は、環境刺激に対して、適切な細胞の
我々は、出芽酵母とヒトのタンパク質相互作用(Protein-
応答に至るプロセスを活性化させる必要がある。その
Protein Interaction:PPI)のデータをもとに、その大域構
中で、未知の刺激パターンに対してどれだけ適切な応
造を別の角度から解析した(10)
。その解析での問いは、
答ができるのか、別の言い方をすれば、どれだけの
「PPI に、何らかの大域的階層構造が存在するのか」とい
学習と一般化能力があるかが生存にとって重要にな
うものである。これは、いくつかの研究で主張されてい
る。そう考えると、進化的な最適化プロセスにおいて、
る「生物学的ネットワークが、スケールフリーであり、
図 1. シグナル伝達系の Hour-glass 構造とフィードフォワードニューラルネットワーク
8
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Issue10/2014
X/2014
Issue
Worldwide
Research ̶ Hot News
Pathway Application
大局的に明確な階層性は存在しない」という主張を、田
中とは別の角度から再検証しようとするものである。
この解析において、我々は、各々の分子が、どの程度
の数の相互作用相手を有しているかを分類し、相互作
用数が、35 以上(大)、
35 から 6 の間(中)、
6 以下(小)
の 3 グループごとに、それらの分子の相互作用相手が
どの程度の相互作用を有しているかを調べた。その結
果、相互作用数が大のハブとなるタンパク質は、相互
作用が小のタンパク質と相互作用していることが多く、
中間領域の相互作用数を有しているタンパク質同士が、
密に相互作用していることがわかった。全体の構造を
可視化すると図 2 のようになる。面白いことに、これは、
インターネットのルータレベルのネットワークと数学
的にほぼ等価のネットワーク構造であるということが
わかった。「分子相互作用は、インターネットみたいな
ものだ」という表現が、わかりやすい比喩として使わ
れることもあるが、実際に数学的に非常に似ていると
いうことが、この研究で初めて明らかにされた。
ここで重要なことは、インターネットは、非常に詳細
に研究されているネットワークだということだ。ネット
ワークのバックボーンを形成する部分は、超高バンド
幅であるが、比較的コネクションは少なく、その周辺に
接続されるノードが、非常に多くの低バンド幅のコネク
ションをもつという構造になっている。このネットワー
クは、自己非相似であり、Barabási の主張するスケー
ルフリー構造にはなっていない。また、インターネット
は、ノードの除去には極めてロバストであり、非常に多
くのノードに、最も効率的にデータを伝送する形態が、
インターネットの構造である。これが、生体内の PPI に
も見られたということは、タンパク質相互作用ネット
ワークでは、タンパク質の活性化などの情報が、最も効
率的にネットワーク全体に伝達され、さらに、単独のタ
ンパク質の欠失(実際には、Loss-of-function 遺伝子変異)
に対して極めてロバストである、つまり、Phenotype と
して容易には現れないネットワークであるということで
ある。逆に、このタイプのネットワークの弱点は、ノー
ド自体は機能するが、不適切な挙動を続けるような故障
やウイルス、スパムなどが問題となるということである。
さらに、FDA によって承認された薬のターゲットとなる
タンパク質を相互作用の数で分析すると、相互作用が
非常に多い分子をターゲットとする薬の比率は極めて少
なく、多くは、中間領域の相互作用を有する分子をター
ゲットとする薬であり、相互作用数が非常に少ない分子
をターゲットとする薬も一定の割合で存在することもわ
かった(図 2)
。この統計の意味することは、
重要である。
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つまり、機能的に重要な遺伝
子(多くの場合、非常に大き
な相互作用がある)の多くは、
Druggable ではない危険があ
るということであり、むしろ、
相互作用が統計的分類におい
て中間から少ないグループに
創薬ターゲットとしての可能
性があるということを示唆し
ている。問題は、
それらのター
ゲットが、単一では十分に効
果のある変化に至らない場合
である。これは、複数のター
ゲットの相乗効果を検討する
段階に入るであろう。それは、
二つや三つのターゲットの複
図 2. ヒトのタンパク質相互作用の全体像
合の場合から、非常に多くの
ターゲットの複合の場合もあるであろう。
今回議論したネットワークの大域構造は、我々が対象
とする生物のネットワークに関する一つのマクロ的側
面の理解を深めるものである。ただし、この様な知識は、
直接、創薬ターゲットの同定やメカニズムの理解につ
ながるわけではない。株式投資をする時に、マクロ経
済の勉強をするようなものである。しかし、その成り
立ちや、個別のメカニズムの理解を進める上で、この
ような俯瞰した理解を持っておくのも有用であろう。
参考文献
1.Gerhart, J., “Cells, Embryos, and Evolution: Toward a Cellular
and Developmental Understanding of Phenotypic Variation and
Evolutionary Adaptability,” Malden, Massachusetts: Blackwell
Science, 1997
2.Kirschner, M., “Evolution in the light of developmental and cell
biology, and vice versa,” Proceedings of the National Academy
of Sciences of the United States of America, 95(15), 84208427, 1998.
3.van, Nimwegen, E., "Scaling laws in the functional content of
genomes," Trends in Genetics, 19(9), 479-484, 2003
4.Ma, H.W., "The connectivity structure, giant strong component
and centrality of metabolic networks," Bioinformatics, 19(11),
1423-1430, 2003
5.Oda, K., "A comprehensive map of the toll-like receptor signaling
network," Molecular Systems Biology, 2, 2006.0015, 2006
6.Oda, K., "A comprehensive pathway map of epidermal growth
factor receptor signaling," Molecular Systems Biology, 1,
2005.0010, 2005
7.Polouliakh, N., "G-Protein Coupled Receptor Signaling Architecture
of Mammalian Immune Cells," PLoS One, 4(1), e4189, 2009
8.Barabási, AL., “Network biology: understanding the cell's functional
organization,” Nature Reviews Genetics, 5(2), 101-113, 2004
9.Tanaka, R., "Scale-rich metabolic networks," Physical Review
Letters, 94(16), 168101, 2005
10.Hase, T., "Structure of protein interaction networks and their
implications on drug design," PLoS Computational Biology,
2009. 5(10), e1000550
Sample & Assay Technologies9
Biobanking Review
千葉大学医学部のバイオバンク事業と、
千葉県内に広がるバイオバンクネットワーク
松原 久裕 教授(千葉大学 大学院医学研究院 先端応用外科)
松下 一之 准教授(千葉大学 大学院医学研究院 検査部・遺伝子診療部)
解析技術の進歩とともに、生体試料から細胞の遺伝子変化やゲノム情報が容易に得られるようになり、がんなどの予後や薬剤応答性の予測、
将来の発病リスク評価などが可能になってきた。これらの本格的な臨床応用を目指して国家規模のバイオバンク事業が進んでいるが、千葉大学
医学部は品質を重視した独自のバイオバンクを運用し始めた。その中心となって事業を進める松原久裕 大学院医学研究院 先端応用外科 教授と
検査部・遺伝子診療部の松下一之 准教授にお話を伺った。
現在、オールジャパン体制で様々なバイオバンク事業が進んでいる。
バイオバンク事業は、人件費、設備費、維持費などで莫大なコストを要
例えば、厚生労働省による「ナショナルセンター・バイオバンクネッ
する。
「まずは COE スタートアッププログラムから始め、
先端応用外科、
トワーク(NCBN)」、文部科学省による「バイオバンク・ジャパン
松下一之准教授の所属する検査部・遺伝子診療部(野村文夫部長)や
(BBJ)」、内閣府が「医療イノベーション 5 カ年戦略」の一貫と位置づ
消化器内科(横須賀收医学研究院長・腫瘍内科教授)が連携し、
食道がん、
ける東北大学 東北メディカル・メガバンク機構による長期健康調査
胃がん、大腸がん、肝臓がん 4 つのがんを対象に試料収集と解析を行
事業、環境省主体の環境が親子のゲノムにどのような影響を与えるか
なうことにしました。その後、肝がん、膵がん(宮崎勝前病院長・臓器
を長期的に調査する「エコ・チル調査」などである。いずれも、患者
制御外科教授)
、肺がんへと広げつつあり、将来的には乳がんを含めた
や協力者の生体試料を保存し、ゲノム、プロテオミクス、メタボロー
がん全般をと考えています」と松原教授。食道がん、胃がん、大腸がん
ムなどの解析を行なうことで、新たな診断法や治療法、創薬、個別化
の症例は、松原教授が率いる先端応用外科において自らも扱っている。
医療の開発などに役立てようというのが狙いである。
いずれの症例においても、患者さんの治療前後の血液(血漿と血清)を
このような中で、千葉大学は、国立大学としては数少ない「イノベー
採集し、手術症例では組織についても冷凍保存するとしている。
ションと直結する、品質を重視したバイオバン
ク事業」を立ち上げた。この事業は学長裁量の
「COE スタートアッププログラム」として採択
され、5 年の設立準備期間を経て、本格的に開
始されたものである。
4 種のがん検体を系統的に集める
約 140 年の歴史をもち、千葉県の中核医療機
関としての機能を果たす千葉大学医学部附属病
千葉県・千葉大学バイオバンク関連の取り組み
バイオバンク設立準備・関係各部署との調整
2009.4
千葉大バイオバンク設立のスタートアップ
2009.6 研究グループ・人材育成・生命倫理書類の作成
2011.3
2011.4
他施設との情報交換(千葉県がんセ、かずさDNA研、横市大、神奈川県がんセ)
千葉大VBLプロジェクト・COEスタートアップ
院。「診療科は 28 にわたり、千葉大派遣の医
日本におけるバイオバンクと今後の課題
師が働く医療機関を含め、いずれにおいてもハ
2011.5
イレベルで均質な診療を行なっています。各科
千葉県バイオサイエンスネットワーク会議(産業振興課)
2011.8
はかなり前から独自に臨床検体を集めての研究
を続けてきましたが、解析技術の向上なども鑑
み、検体を系統的に集めて日々の診断や治療に
役立てたいとの思いが大きくなっていました」。
2011.12
これまでに行われた
研究会やシンポジウム
医師のみが独自のやり方で検体を集め、医師の
異動などにともない、試料やデータが統合され
設備費のみ採択
ヒト生体試料研究会技術分科会
@国立がん研究センター
2013.1
2013.12
NGS設置(病院検査部)
TRとバイオバンク
2012.3 附属病院在外派遣研修支援事業
千葉県バイオバンクシンポジウム
バイオバンク事業を統括する、松原久裕医学研
究院教授はそう話す。今までは、一部の熱心な
平成24年度概算要求の申請
2013.3
長期凍結保存における臨床検体
(血清、血漿)の品質評価法の検討
千葉大COEスタートアップシンポジウム
2014.1 NGS(Ion torrent)稼働
検査部遺伝子検査室
バイオバンク運用開始予定
ることなく、埋もれてしまうこともあった。
10
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Issue 10/2014
Biobanking Review
臨床情報と検体情報を揃えて
臨床に
松原教授は「千葉県立がんセンター、か
臨床応用することでバイオバンクを社会に
理、クオリティーコントロールなどを統
役立てるには、検体の品質や保存の標準化、
一していきたい。その上で、企業に使っ
データ解析の精度など、多くの課題が残さ
てもらえる検体として、県内の新たな産
れている。
「かつての放射線治療の臨床研
業創成に寄与できると良いとも考えてい
究において、照射線量が同じ 50 グレイで
ます」と話す。そして今後は、連携の範
ずさ DNA 研究所などと連携し、検体の管
ありながら、照射方法や実際の線量がバラ
囲を、千葉県近隣の神奈川県や筑波地域
バラだったこともあり、治療における品質
にも広げていきたいとしている。
管理が問題視されました。検体も単に集め
意味がありません。私たちは COE スター
日本のバイオバンクを発展させ
るには
トアッププログラムに応募する時点で、企
国や県が主導するバイオバンク事業は盛
画情報部(部長・高林克日己教授)
、臨床試
んになっている一方で、国立大学単独の
るだけでなく、クオリティーも揃えないと
験部(部長・花岡英紀教授)や病理部(部長・
運営はまだ少ない。その点について松下
中谷行雄教授)とも協議し、どのように保
准教授は「最大の問題は、専属のスタッ
管するのが望ましいかを検討してきました」
フをつける予算がつかないこと。専門ス
と松下准教授。2012 年には、松原教授ら
タッフとしてきちんと教育し、持続でき
とともにイギリスのマンチェスター、ニュー
る仕組みづくりが必要です」とし、松原
ヨークの大学、ドイツ、スイスの各バイオ
教授も「競争的研究資金を獲得して人材
バンクを視察し、勉強を重ねたという。
を確保せよとの声もありますが、年次が
限られた予算では良い人材を長く雇用す
「その中で、ハンブルグのバイオバンクは
唯一、企業が運営するものでしたが、質
の高さに感銘を受けました。検体には、摘
るのは大変難しい」と声を揃える。
病院のスタッフ 11 名で、スイスとドイツのバイオバンクを
視察した。
出方法、手術時の血管結紮のタイミング、
人材については、先のハンブルグのバイ
オバンクに、外科手術に立ち会う専門の
保存までの時間など、極めて詳細な情報が添付されているのです。そ
スタッフが配置されていたことを挙げ、「検体に関する詳細な情報収
の様子を見て、質が高ければ検体数がそれほど多くなくても成果が出
集と厳密な管理を担っている他、検体の劣化やクオリティー維持につ
せるのではないかと思い至りました」と松原教授。これまでに松原教
いての多角的な議論を日常的に行なっています」と話す。これまでの
授は食道がんの Fra-1 という因子が予後の指標となりうることなどを
日本はといえば、検体収集、保管を行なうのは主に外科医で、多様な
報告しており、この先数年のバイオバンク事業においても新たな腫瘍
スタッフによる開かれた議論の場はなかった。
マーカーや miRNA の探索を進め、一定の成果を出したいとしている。
ただし、国立大学の附属病院が日本の高次医療を担っていることを考
既に、先端応用外科の検体の多くが、患者さんからの同意を得た上で
えると、国立大学によるバイオバンク事業は必須といえる。松原教授
臨床試験部で匿名化され、保存され始めているという。
「最大の目的は、
も「検体をめぐる倫理問題や企業との連携を考えると、中立性を保て
新たな診断や治療に生かすことで患者さんの利益に資すること。その
る国立大学でハンドリングするのは最適だと思います」と話す。松下
ために、臨床情報と検体情報とをきちんと揃え、次代の患者さんを匿
准教授は「欧米のバイオバンクには、イギリスのウェルカム財団のよ
名化したまま両者を連結できるシステムも構築してきました」。松下
うな寄付金ベースの資金が投入されていますが、日本にはそのような
准教授はそう話す。
慣習もなく、大学で進めるのはチャレンジングです」と吐露する。
周囲との連携と課題
こうした状況をすぐに変えることはできないが、松原教授は「国立大
松原教授らは、千葉大学医学部におけるバイオバンクを構築する一方
学でバイオバンクが複数運営されるようになれば、その中からうまく
で、千葉県や県内の民間企業との連携やインフラ整備も模索している。
いくものが現れるはず。互いに連携や統合を図って、予算にかかわら
例えば、千葉県とともに、環境庁と協同したエコ・チル調査を展開し
ず一定レベルを維持、運営していくことも可能になると思います」と
ている。また、千葉県が設置した「千葉県バイオ・ライフサイエンス・
話し、「長期的な展望でバイオバンク事業を展開し、多彩な人材育成
ネットワーク会議」において、千葉県立がんセンター、かずさ DNA
や国産の治療薬・解析機器開発にも波及させることが、国益につなが
研究所などとの連携も図っている。
るはずです」と締めくくった。
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Sample & Assay Technologies11
遺伝子検査教室
第3回
トランスレーショナルリサーチを始めよう
佐々木政人(株式会社キアゲン MDx マーケティング部 部長)
トランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)という言葉が聞かれるようになって、
もう 10 年以上が経過しています。
ここでは 3 回にわたり、遺伝子検査を主体とした体外診断薬の開発を考えた
トランスレーショナルリサーチ(TR)について解説していきたいと思います。
はじめに
これまで大学や製薬会社に関連する TR について紹介してきました。最終回では次世代シークエンサー(NGS)を用いてヒトゲノム情報が比較的
簡単に入手できるようになった今日、ヒト遺伝子情報を医療に活用していくための取り組みとしての TR の例とその課題についてご紹介します。
NGS による実際の検査の流れ
対象となっています。がんの検査では検査の時間・費
下記はその操作の参考となる一例です。
用を考慮して、疾患と関連する遺伝子のエクソン領域
Step 1:ヒト組織・血液試料から核酸を抽出し、DNA
を定量。
Step 2:ゲノムのような大きなサイズの DNA はその
ままではシークエンスができないため、超音波処理な
どにより断片化し、
配列決定に必要な大きさの DNA(数
百塩基対)のみを回収。
Step 3:回収した DNA の両端にアダプターとなる合成
DNA を連結させ、ライブラリー DNA 化。
Step 4:このライブラリー DNA の中から、エクソンを
含む DNA を DNA プローブなどを用いて特異的に回収。
なっています。しかしながら、既に広く普及している
リアルタイム PCR による診断システムと比較して、前
述のごとく NGS の実際の作業プロセスはルーチン検査
からはほど遠い状態です。
それでも小児領域における遺伝性疾患の解析やがんの
治療において様々な遺伝子の変異や発現レベルを同時
に調べ、治療方針を立てていく研究が実際に始まってい
ます。またキメラなど発生頻度の少ない遺伝子変異に基
づくがんの原因を究明するためにも NGS は有用です。
研究者は研究段階で得た成果より、NGS を利用した診
Step 5:回収したライブラリー DNA を定量し、必要量
断薬の開発を始めています。先行する対象疾患は主と
をシークエンス専用の容器に取り、シークエンシング。
して遺伝性疾患やがんとなっており、肝がん、卵巣が
シークエンス反応が終わると、得られた膨大な DNA 配
んや膵臓がんなど、これまでに早期診断方法が見いだ
列情報をバイオインフォマティックスを利用して確認
されていない領域への期待が高まっています。試料と
し、ヒトの参照配列と照らし合わせ、そのエクソーム配
しては病理検査と連動したパラフィン包埋組織(FFPE)
列に見いだされる変異・挿入・欠失などを判定します。
の他、血液成分から抽出した核酸が主流となりつつあ
これらの一連の操作は専門性の高い技師が担当し、通常
ります。
1 週間以上を要します。得られた膨大な個人ゲノムデー
タは適切に保存管理されます。また、このような工程を
経て得られた高い品質の配列データをこれまでに蓄積
された臨床情報と結び付け、医師に報告するには更に時
間がかかります。
12
を選択的にシークエンスするエクソーム解析が主流と
NGS 検査のルーチン化を目指した挑戦
NGS を用いた検査では前述のような複数の工程を経て、
複数の遺伝子の僅かな変化を正確に読み取り、その情
報を組み合わせて臨床的な判断を下すことになります。
そのためには再現性に優れた標準化システムを構築す
NGS を利用した医療の現状
ることが必要です。標準化のため企業では一連の試薬
日本国内では既に 30 台を超える NGS が医療の現場で
のキット化を進め、頑健性の担保を実施しています。
主として研究に利用されていると推定されます。また医
いくつかの企業において、複雑なマニュアル操作を回
療の中でも遺伝病、がんおよび感染症などがその応用
避できる自動化システムのプロトタイプが開発されて
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遺伝子検査教室
体外診断薬
■ ライブラリー作製試薬 ■ シークエンシング試薬
NGS 医療機器
試薬の搭載
試料調製装置
■ 核酸調製
■ ライブラリー作製
シークエンシング
装置
バイオインフォマ
ティックスによる
生データの QC
情報
診断ソフト
ウェア
情報
自動化システム
医療
います(図 1)
。NGS により読み取られた結果から正確
の医療機器化や診断薬化に向けた活動を展開し始めて
な塩基配列情報を読み取るプログラムの開発は配列情
います。進歩の激しいゲノム情報と連動する NGS シ
報の品質管理上重要になります。また、そこから得ら
ステムを利用する検査をどのように国内で運用させる
れた正確な配列情報を使い、蓄積されたデータベース
べきなのか?日本の薬事法や保険償還にどう対応させ
との比較・参照から医療に有用な情報を導き出す診断
ていくべきなのか?厚生労働省との意見交換が必要に
ソフトウェアの開発も進んでいます。
なっています。
第 1 回、第 2 回で繰り返し紹介したように、診断薬の
現段階では、比較的規制ハードルが低い検診や自由診
開発では早い段階から専門企業と連携することが重要
療の領域をまず目指し、将来的に体外診断薬を申請す
です(図 2)
。遅い段階からの共同開発の結果、開発の
るなどの導入方針も一つの考え方です。
やり直しが生じていた例は過去のものとなり、今後は
より早い段階から企業との連携を開始し、円滑な TR が
成立することを期待しています。
欧米では NGS のルーチン検査応用の動きが活発化して
います。米国では CLIA 認定されたラボでの運用から始
まり、既に医療機器としての NGS が登場し、遺伝性疾
患の診断を目的とした FDA 承認された診断薬も登場し
ました。日本国内でも外資系企業が中心となり、NGS
図 1. 診断薬企業が提供する
NGS システム
おわりに
3 回にわたり、TR について遺伝子検査を中心として紹
介してきました。ここで紹介した事例が皆様の TR の出
口としてお役にたてれば幸いです。私たちは今、日本
にどうやって NGS を利用した医療を普及させるかを真
剣に考え、取り組んでいます。NGS を利用した遺伝子
診断がルーチン化されるのはもう 10 年先の話では無く
なっています。
開発の時間の流れ
対象疾患の選定
■ 遺伝病
■ がん
■ 感染症
対象試料の選定
■
■
■
■
循環血中核酸
エキソソーム
白血球/全血液
FFPE 組織
導入領域判断
■ 検診領域
■ 診断領域
分析妥当性の検証
■
■
■
■
予備試験
感度
臨床性能評価
承認申請・販売
■ 臨床試験
■ 先進医療
■ 薬事・保険
■ 販売準備
特異度
再現性
標準化システムの採用
参画タイミング
過去
現在
将来
図 2. NGS の医療応用とパート
ナー企業の参画タイミング
Issue 10/2014
Sample & Assay Technologies13
Letter from Technical Service
Spotlight on Expertise
シングルセルからの NGS 解析 ̶ REPLI-g® システムでの全ゲノム増幅のご提案
Q
1 細胞単位のゲノムを次世代シークエンシング(NGS)で解析したいのですが、微量なため解析が難しく、効率
的に収量を得る方法、製品はありませんか?
A
全ゲノム増幅(WGA)もしくは全トランスクリプトーム増幅(WTA)に特化した REPLI-g シリーズをご存知で
すか?シングルセルまたは微量サンプルから高収量の DNA を増幅する場合は REPLI-g Single Cell Kit が最適です。
貴重な臨床検体であれば、細胞数に限りがあったり、十分な量のスタートサンプルを入手するのが難しく、遺伝子
情報を得ることはなかなか容易ではありません。しかしシングルセルからゲノム情報を解析するニーズは確実に
増えてきており、そのソリューションが REPLI-g システムです。
ただ「実際どれくらいの収量が得られるの?」
「増幅バイアスは大丈夫?」
「そもそも REPLI-g システムのどのキット
を選べばいいの?」と疑問に思われる方も多いかと思います。
この REPLI-g システムでは、Phi DNA ポリメラーゼによる DNA 増幅、Multiple Displacement Amplification(MDA)
法を用いており、均一性が高く、偏りのない増幅が可能で、ユーザー様からも信頼性が高いとフィードバックを
いただいています。その詳細データや、その他選択ガイド、収量の一覧表はウェブサイトにまとめて掲載中です。
下記の手順に従ってご確認ください!
1. QIAGEN ウェブサイト www.qiagen.co.jp の“技術情報”
( A )をクリック。
”
( C )を選択。
2. “テクノロジー”
( B )の一覧から“全ゲノム増幅(WGA)
n 均一性のデータ:偏りのない増幅(
D
)をクリック
n 選択ガイド:選択ガイド( E )をクリック
収量の目安:選択ガイド( E )をクリック
A
B
C
D
E
REPLI-g の原理と操作手順や REPLI-g システムによって研究の幅がどう広がっていくのかなど、“テクノロジー”には
様々な技術情報を提供しておりますので、是非ご一読ください!
14
www.qiagen.co.jp
Issue 10/2014
Letter from Technical Service / QIAGEN クイズ
Did you know?
QIAGEN ウェビナー開催!
Q
次世代シークエンサー(NGS)でのシングルセル研究がホットトピックスと聞くけれど、シングルセルでの解
析ってどのようにしたら良いの?何か最新情報含めて、アプリケーションがまとまった資料はありませんか?
A
QIAGEN ウェビナーは情報収集にとても有用なツールです。是非ご活用ください!
何故シングルセルでの解析ニーズが高まっているのか、具体的に何から始めれば良いのか、どこが解析ボトルネック
になっているのか、わからないこともあるかと思います。実際に必要なテクノロジーと共に QIAGEN ウェビナーで
わかりやすくご紹介しています。
ウェビナーの検索、視聴方法
1. QIAGEN ウェブサイト www.qiagen.co.jp の“技術情報”から“e-Learning”をクリック。“ウェビナー”を選択し、
“次世代シークエンシング”へお進みください。
2. 一覧から“Sequencing and Genomic Analysis of Single Cells”を選択し、ご視聴ください。
その他の最新ウェビナーも分野別に一覧表になっています。今後開催予定のウェビナーは“これから開催される
ライブウェビナー”から登録、お申し込みください。QIAGEN のテクノロジー、ノウハウと共にアプリケーション
や最新情報をお届けしています。是非ご活用ください!
ご不明な点、ご質問はテクニカルサポート(E-mail:[email protected])へお問い合わせください。
QIAGEN クイズ
シングルセルから、RNA 精製なしに直接トランスクリプトーム増
幅を行なうキットとして、REPLI-g WTA Single Cell Kit が販売開始
ヒント:弊社ウェブサイト(www.qiagen.co.jp)の検索ボックスに
されました。既にご好評いただいている、シングルセルから全ゲ
“REPLI-g WTA Single Cell Kit”を入力後クリックし、製品の詳細の
?
ノム増幅が可能な REPLI-g Single Cell Kit にも使用されている酵
タブをチェック!
素で、MDA(Multiple Displacement Amplification)テクノロジー
に基づく DNA 増幅を行なう酵素は、次の番号のうちのどれで
しょうか。
1)HotStarTaq® Plus DNA Polymerase
2)REPLI-g SensiPhi DNA Polymerase
応募方法:
クイズの解答と氏名、所属(施設名、学部、研究室名)
、住所、電話
番号、メールの件名に“QIAGEN クイズ応募”とご記入の上、電子メー
ル([email protected])にてご応募ください。抽選で 30 名様に
3)QuantiTect Reverse Transcriptase
弊社から粗品を送付させていただきます。
4)HotStar HiFidelity Polymerase
応募期間:2014 年 8 月 29 日(金)まで
®
またご応募された方には、定期的に弊社の製品、アプリケーション情報
2
前号の QIAGEN クイズの正解:4 番(RT FFPE PreAMP テクノロジー)
満載のメールマガジンを送付させていただきます。
注:当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせて頂きます。
Issue 10/2014
Sample & Assay Technologies15
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応募者全員に QIAGEN 特製筆記帳をプレゼント!
QIAGEN クラブ会員の皆様に特製筆記帳をプレゼント致します。
ウェブサイト www.qiagen.com/QIAGEN-Club から“会員限定ウェブサイト”にお
進みいただき、“QIAGEN 特製筆記帳”よりご応募ください。
QIAGEN クラブへのご入会はウェブサイト www.qiagen.com/QIAGEN-Club の“QIAGEN クラブ会員登録”
よりご登録いただけます。
疑問に思ったこともその場で解決!QIAGEN のウェビナーにご参加ください!
QIAGEN 製品をよりお役立ていただくためのノウハウや、最新のアプリケーションおよびテクノロジーをご紹介する
ウェブ上のセミナーをご存知でしょうか?
ライブでの参加だけではなく、開催済みのウェビナーのアーカイブもございますので、お忙しい方でも気軽にご覧い
ただけます。開催日時・内容の最新情報はウェブサイト(www.qiagen.com/knowledge-and-support/webinars/)に
て随時更新されております。また、日本語版のウェビナーも開催しておりますので、こちらも是非ご覧ください!
次号予告
近年、細胞から分泌された小胞(エキソソーム)の中に存在する miRNA の存在と機能が確認され、
これらを分析することで疾病・疾患に関係するバイオマーカーの発見に繋がることが期待されています。
次号では 6 号に続き、現在のエキソソームを含む小胞を用いたバイオマーカー探索の現状をご紹介し
ます。
記載の QIAGEN 製品は研究用です。疾病の診断、治療または予防の目的には使用することはできません。最新のライセンス情報および
製品ごとの否認声明に関してはウェブサイト www.qiagen.co.jp の“Trademarks and Disclaimers”をご覧ください。QIAGEN キットの
Handbook および User Manual は www.qiagen.co.jp から入手可能です。
Trademarks: QIAGEN®, RNeasy®, REPLI-g®, HotStarTaq®, QuantiTect® (QIAGEN Group); FACS® (Becton Dickinson and Company).
本文に記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。 2302233 06/2014
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株式会社 キアゲン n 〒 104-0054 n 東京都中央区勝どき 3-13-1 n Forefront Tower II
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