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2013年版 カスタマーエクスペリエンス・ マネジメント・ガイドより抜粋 カスタマーエクスペリエンスが持つ意味 なぜ重要なのか? 作者: ブレット・ショックレー アバイア シニア・バイスプレジデント兼チーフ・テクノロジー・オフィサー 「現状に満足している顧客をロイヤル・カスタ マー(企業にとって忠誠心の高い顧客=優良 顧客)に変え、ロイヤル・カスタマーをさらにブ ランド支持者に変えることを最終目標として、 お客様との関係を管理し、それを財産として扱 う考え方」 優れたカスタマーエクスペリエンスは利益 を生む 研究ではブランド構築の際に、適切な価格の提供の 次にカスタマーサービスが重要であることが明らか になっています。顧客に細かく合わせたカスタマーエ クスペリエンスを提供するために、企業は顧客を理解 しなくてはいけません。なぜ買うのか、何を買うのか。 そしてなぜ、いつ、 どのようにコンタクトを取ってくる のか。 よいカスタマーエクスペリエンスを経験した顧 客は、その企業に対してより多くの金額を使います― ―なおかつ、その見返りは意義深いものです。 • 顧客の82%は、買うのがより簡単な企業から より多く購買する (Avaya and BT research, 2013) • 顧客の70%は、優れたカスタマーサービスを 提供している企業により多くの金額を使う (2010年の調査では58%) (Echo research, 2012) • 顧客の15%は、サービスの良い企業で購買す る時に20%余分に金額を使う (2010年の調査 では5%) (Echo research, 2012) それに対し、企業が顧客のことを理解していない、あ るいは不十分なカスタマーエクスペリエンスしか与え ていない場合に、顧客がより多くの金額を使うはずは ありません。 • 26%の顧客が、カスタマーサービスセンター への最初のコンタクトでは要求が満たされて いない(callcentres.net, 2011) • 36%の顧客が、たった2、3度問い合わせをし ただけで購買をやめることを検討する ( callcentres.net, 2011) • 27%の顧客が、カスタマーサービスセンターと のやり取りの結果として他社への乗り換えをし ようとしているか、すでに乗り換えている (Avaya and BT research, 2013) (忠誠心) • 44%の顧客が、企業へのロイヤリティ は過去の遺物であると考えている (Avaya and BT research, 2013) アクセンチュアの最新年度のGlobal Customer Satisfaction Surveyでは、顧客の購買における決め手 や長期的なロイヤリティ、 また顧客が企業・商品・ サービスを嗜好する (あるいか忌避する)方法を決定 するという点で、サービスエクスペリエンスが死活問 題である動かぬ証拠が提示されています。 企業は顧客行動を把握しなけ ればなりません。 カスタマーエクスペリエンスの重要性を理解する事 は大切ですが、 カスタマーエクスペリエンス、顧客行 動の全工程とプロセスを通して管理する必要があり ます。 顧客と企業の二重性 顧客と企業のニーズは時に対立するものですが、以 下に挙げる同一のニーズは両者を結びつけます。 • 顧客は企業の全部門から優れたサービスを 受けたがっている。 その時対応に当たっている部門を問わず、 首尾一貫して同じ態度で扱われ、自らが認 知されていることを望む。また、問題がた だちに解決されることを望む。最高の商品 とサービスを望む。利便性を望む。また、 企業によって価値のある存在であると見な されたいと思っている。 これらのニーズは全く正反対のように見えるかもしれ ませんが、企業はカスタマーエクスペリエンスを管理 することによって、顧客のニーズを叶えながら同時に 企業のニーズを満たすことが可能となります。例えば 、バックオフィス(非対面・非営業部門)業務の専任者 を顧客対応に参加させるなど、内部での効率性を改 善することによりサービス改善と問題解決がなされ、 ひいてはロイヤリティと一生涯の購入金額の増大に 繋がります。 このような二重性を成功裏に管理するためには、企 業はカスタマーエクスペリエンスに対して長期的な アプローチを取らなければなりません。顧客が企業 に直接コンタクトを取る前から顧客行動はすでに始 まっており、最初の買物をしてからずっと後まで続き ます。 • 企業は成長と収益を望んでいる。効率性と コストカットを求めている。 また、顧客が使う総額を可能な限り長期間 にわたって増やしたいと考えている。 2013年版カスタマーエクスペリエンス・ マネジメント・ガイドより抜粋 図 1.1 顧客行動 所有 購買 更新 リサーチ プロモート /非難 購入 ニーズ/ 欲求 選択 使用/ サポート の要求 初期利 用期間 出典:アバイア内部リサーチ 顧客行動 • 選択。このフェーズでは顧客は購買を決心 顧客行動の中で顧客はいくつかのフェーズを経由す ることになりますが、 どのフェーズにいるかによって 目的・行動・期待が異なります。 図 1.1 の概要の通り、顧客行動の主なフェーズは以下 の通りです。 • リサーチ。このフェーズでは、顧客は幅広 くインターネット検索を行い、オンライン の比較ガイドや商品レビューを読み、友人 に相談し、口コミで情報を取得し、ソーシ ャルサイトでフィードバックを求め、企業 のWebサイトをチェックし、小売店に立ち 寄り、対面・Facebook・Twitter・電話で 営業担当者と交渉をしたりします。顧客側 からのインタラクションにより販売機会の ドアが開く一方で、このフェーズの間、企 業は積極的に顧客の関心を引くことができ ます。例えば、企業は顧客のツイートに応 えてオファーもできますし、検索エンジン 最適化をして簡潔で参考になる製品情報を 提供することもできます。 しています。しかしながら、実際の買い物 がすぐに行われるとは限りません。 • 購入。このフェーズは、顧客が購入するた めに行う全てのステップ(オンライン通販 、小売店、電話通販)と、何を買いたいか を伝えるためのアクション、支払い、注文 完了のお知らせの受領が含まれます。たと え顧客がWebチャットなどのセルフサービ ス手段で購入しようとしていたとしても、 このフェーズの間、企業は積極的に顧客を 引き込むことができます。例えば、もしシ ョッピングカートの保管期限が切れそうに なっている時に、Webチャットを始めるこ とで最終的な購入フェーズに移行させるこ とができるかもしれません。 • 初期利用期間。このフェーズは主に、新規 顧客が製品あるいはサービスを使用中にヘ ルプが必要になりがちな、購買後90日から 120日間を指します。このフェーズの間、 顧客はセットアップや使用法、商品の設置 などでカスタマーサービスにコンタクトを 取る可能性があります。 2013年版カスタマーエクスペリエンス・ マネジメント・ガイドより抜粋 Webサイトのトラブルシューティングの手 引きを見たり、さらなるヘルプを求めてサ ポートセンターに電話をしたりします。こ れは顧客が商品/サービスに順応するプロ セスの中で、極めて重要なステップです。 顧客と企業、そして購入商品/サービスの 間に発生する感情的な繋がりを固める機会 となります。顧客はしばしばサービス要求 をしますが、企業側も再び積極的に接触す ることができます。例えば、Eメールでtips を送って、商品の活用方法を説明したりす ることです。 上記のフェーズは全て「購買」か「所有」いずれか のカテゴリーにグループ分けされますが、カスタマ ージャーニーの3分の2(そしてインタラクション と機会の大半)は「所有」のフェーズで起こります 。カスタマージャーニーの各ステップにおける顧客 の認識及び経験は――これら全てのインタラクショ ンがどう扱われているかも含め――総合的なエクス ペリエンスの一部となります。 顧客は一貫した対応とメッセージを全ての窓口にわ たって受けるべきで、営業、小売り、マーケティン グ、カスタマーサービスなど、企業内の異なる部門 • 使用/サポートの要求。このフェーズの定 義は、実際の行動を起こして商品/サービ スを使える状態にすることです。顧客が商 品/サービスに馴染んで機能を活用できる ようになる過程で、様々なレベルでの使用 が考えられます。また、商品/サービスの 保存やケアにも関わってきます。特に、維 持したり動作コンディションを保つために 現在進行形でメンテナンスを必要とする場 合はそうです。 • プロモート/非難。顧客が購入・使用した 企業(ブランド)、商品またはサービスを 友人や同僚、あるいは大勢の「友達」や「 フォロワー」に紹介したり、支持したりす る時がこのフェーズにあたります。ポジテ ィブなレビューを投稿したり、ソーシャル メディアを使って企業や商品をプロモート したりといった、様々なアクションを含み ます。ネガティブなエクスペリエンスの場 合は、明らかに、顧客が公に企業や商品を 批判することに繋がります。このフェーズ は、企業のNet Promoter Score®(ネット プロモータスコア)に直接的なインパクト を与えます。 • 更新。極めて重要なこのステップは、顧客 が企業から離れるかとどまるか、購入した 商品またはサービスを使い続けるか、使う のをやめるかを決断する場面、そして追加 の購買を行う可能性のある場面で発生しま す。ジムの年間会員権の更新、健康保険の 継続、当座預金口座の解約といったものは 全てこの更新フェーズの間に起こるもので す。決断を下す前に、顧客はしばしばカス タマーサービスの担当者と交流を持ちたが り、質問や不安に思っていることを聞こう と接触します。更新フェーズは、カスタマ ー・ライフタイム・バリュー(CLV)と直 接的に関係します。 差別化を行動に移す 中国銀行の江蘇省支店はビ デオ機能のあるコンピュータ ーをコンタクトセンターに追 加し、顧客が手持ちのビデオ 機能付きデバイスから担当者 にライブで迅速にアクセスで きるようにした。 と顧客が関わる時にも同じ対応を受けるべきです。 カスタマーエクスペリエンスを能率的に活用するた めには、それを企業のカルチャーに組み入れること です。事実、カスタマーエクスペリエンス戦略全体 は企業全体で実践されるべきものであり、コンタク トセンターのためだけにある訳ではありません。例 えば、もし企業のメッセージが「至れり尽くせりの おもてなし」である場合、顧客が売掛けや大量の卸 買いのために接触してきても反映させることができ るでしょうか。これらの部門は、そのメッセージを 軽んじることにならないでしょうか? カスタマーエクスペリエンスを管理し顧客行動を理 解することは、カスタマーサービスと顧客の相互利 益のために欠くことができません。それを達成する ためにCEMの新しい規律が発展したのです。 2013年版カスタマーエクスペリエンス・ マネジメント・ガイドより抜粋 顧客行動全体を通してカスタマーエクスペリエンスを改善する ことは、最終的にはロイヤリティ、顧客の定着、支持――そし てライフタイム・バリューの増加に繋がります。各インタラク ションを最適にし、顧客との絆を築くことによって、CEMは、 関係のはじめから終わりまで顧客が企業に対して抱くバリュー を改善する努力をします。それが購買のリピート、顧客の定着 、紹介、価格プレミアム、そしてサポートコストの低減に繋が るのです。 企業の戦略、目的、ダイナミックに変化する顧客のニーズや期 待に沿ったオペレーションに照準を合わせることが、優れたカ スタマーエクスペリエンスを提供するうえで非常に重要です。 カスタマーエクスペリエンスの期待にリアルタイムで適応し、 それを積極的に管理するため、企業はコミュニケーション窓口 、情報そしてプロセスを進化させ、統合する必要があります。 差別化を図り成長を促進するためにインタラクションポイント 、コミュニケーション窓口、サービスルートを追加するうえで 難しいことは、それはまた顧客に不満を抱かせるリスクを増大 させることにもなるからです。リスクを考慮に入れても、得ら れる機会と見返りは企業にとって巨大なものであり、カスタマ ーエクスペリエンスは企業のブランドであるとともに、顧客の ライフタイム・バリューをもたらすものです。 CEMに注目する企業は、ポジティブなカスタマーエクスペリエ ンスを提供することに集中します。そうすることで、企業は競 争的差別化、顧客の定着、全体的なブランドの支持をもたらし 、売上げを伸ばすのです。 顧客行動の3分の2は顧客 が企業の製品を購入した 後から始まります ブレット・ショックレーはAvayaのシニア・バイスプレジデント兼チーフ・ テクノロジー・オフィサーで、25年以上にわたってテレコミュニケーシ ョン及びコンタクトセンター市場でオピニオンリーダーを務めてきた業界 のベテランです。 2013年版カスタマーエクスペリエンス・ マネジメント・ガイドより抜粋