Comments
Description
Transcript
米沢市公共施設白書 ~平成 25 年度・概要版~
米沢市公共施設白書 ~平成 25 年度・概要版~ はじめに 近い将来、高度経済成長期に整備された公共施設の更新時期を迎えることになり、建替えや大規模改修の 時期が集中することが懸念されます。今後、ますますの人口減少や高齢化の進行により、税収の減少、社会 保障費の増加が見込まれることから、公共施設の維持・更新費等の財源確保が困難になることが予測されま す。 このような現在の社会情勢を踏まえると、現状どおりに維持・更新していくことが果たして本市の将来に とって望ましいのかどうか、公共施設全体のあり方について検討する時期に至っていると考えています。 こうした状況を踏まえ、本市の公共施設について、総合的な視点から現状を把握・分析し、市民の皆様と 情報を共有し、今後の公共施設の適正な配置と効果的・効率的な管理運営について検討するための基礎資料 とすることを目的として、本書を作成したところです。 公共施設白書で対象とする施設 この白書では公有財産のうち、以下の施設を除いた公共施設を対象としています。 ・企業会計の施設(上水道、病院) ・インフラ系施設(道路、橋りょうなど) ・土地のみの施設(延床面積 50 ㎡未満の建物(例:トイレ)のみ建つ施設を含む。 ) ・消防施設 ・文化財施設 1 公共施設の整備状況 本市が所有する公共施設は 126 施設(公共施設白書の対象とした施設。以下同じ。)あり、その延床面積 は約 33.1 万㎡となっています。特に、高度経済成長期の後半から様々な公共施設を整備してきました。 延床面積の内訳は小中学校が約 14.5 万㎡で全体の 44%、市営住宅が約 5.2 万㎡で全体の 16%と、小中 学校と市営住宅で全体の 60%を占めています。 図表 1)整備年別延床面積 ※1 ※1 用途は「平成 22 年度地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会」の施設分類表に基づき分類しています。 -1- 2 公共施設の維持管理・事業運営にかかるコスト 本市所有の 126 施設と借上げしている 2 施設の維持管理・事業運営に要した平成 25 年度のコストは約 35.7 億円です。使用料等の収入約 9.3 億円を差し引いた約 26.4 億円(実質コスト)は税金で負担している ことになります。 実質コストと人口(平成 25 年 10 月 1 日現在 85,950 人)から公共施設の維持に必要な額は、市民 1 人 あたり年間約 3.1 万円となります。 図表 2)分類ごとのコスト状況 № 大分類 1 市民文化系施設 2 社会教育系施設 3 スポーツ・レクリエーション施設 4 産業系施設 5 学校教育系施設 36 6 子育て支援施設 7 保健・福祉施設 8 行政系施設 9 公営住宅 10 下水道施設 11 その他 12 借上施設 施設数 22 3 コスト A (万円) Aの内訳(万円) 人件費 施設維持管理費 23,808.29 43,018 17,774 事業運営費 収支(A-B) 収入 B (万円) (万円) 22,052 3,192 2,174 40,844 4,725.94 26,119 12,481 7,000 6,638 2,448 23,671 25,184.55 21,588 7,060 14,222 306 2,304 19,284 3,425.70 3,741 1,420 2,321 1,255 2,486 145,543.00 94,853 54,002 40,851 34 94,819 7 4,860.17 40,108 29,675 7,238 3,195 5,683 34,425 4 9,444.05 23,972 15,150 5,697 3,125 12,049 11,923 1 11,694.51 13,637 819 12,818 228 13,409 12 51,817.40 7,855 2,903 4,952 4 29,252.81 40,132 2,100 38,032 39,682 450 17 20,904.54 39,018 5,516 29,423 4,079 13,378 25,640 1,740.16 2,785 418 2,246 121 84 2,701 332,401.12 356,826 149,318 186,852 20,656 92,724 264,102 16 4 2 合計 延床面積 (㎡) 128 13,405 ※1 △5,550 ※1 公営住宅の収支差額 5,550 万円は、市営住宅にかかる地方債償還金に充当しています。 3 公共施設の更新費用の推計 今後 40 年間において、建替え及び大規模改修に要する費用は、総額約 1,435 億円で、平均すると年約 35.9 億円の費用が必要になると推計されます。 これは直近 5 年間の投資的経費のうち、公共施設に要する経費は年平均 18.0 億円なので、約 2 倍の費用 を要する計算となります。 図表 3)更新費用推計 ※1 耐用年数(一律 60 年)に達した翌年に同規模、同構造で建替えると仮定し、延床面積に単価を乗じて建替費用を算出しています。 ※2 建築してから 30 年後に大規模改修を実施すると仮定し、延床面積に単価を乗じて大規模改修費用を算出しています。 ※3 更新費用は(財)地域総合整備財団によって開発された更新費用推計ソフトにより推計しています。 -2- 4 本市における課題 (1)維持管理コストの住民負担の増大 少子高齢化により人口が減少し、とりわけ生産年齢人口が減少していくことが確実視される中、将来 の税収増は難しく、社会保障費の増加や交付税の縮減によって、公共施設に充用できる財源はますます 縮小していくことが予測されます。 公共施設の維持以外にも様々な行政需要がある中、必要な公共サービスの水準を下げることがないよ うに、公共施設にかかるコストを可能な限り縮減するための取組みが急がれます。 ①市民 1 人あたりの延床面積 公共施設の延床面積は 1975 年と 2013 年を比較すると、この 38 年間で 78.6%増加しています。 一方で、人口はこの 38 年間で 7%減少しています。人口と延床面積から市民 1 人あたりの公共施設の 面積を算出すると、1975 年は 2.03 ㎡でしたが、2013 年は 3.89 ㎡となっており、この 38 年間で 約 1.9 倍に増加しています。 図表 4)市民 1 人あたりの延床面積と人口の推移 ※1 延床面積は「米沢市財産に関する調書」 (各年の 3 月 31 日現在)より抜粋 ※2 人口は住民基本台帳(各年の 10 月 1 日現在)より抜粋 ②人口の推移(推計) 本市の人口は、1975 年は 92,063 人でしたが、1994 年から人口減少が始まり、2013 年には 85,950 人となりました。図表 4 のグラフのとおり人口減少の速度は急激に早まっており、過去 10 年 間で約 7 千人減少しています。また、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口」 (平 成 25 年3月推計)によると、本市の人口は 2025 年には 77,587 人、2035 年には 69,404 人にな ると推計されています。 図表 5)人口内訳の推移 ※1 1975 年は年齢不詳が 22 人いることから内訳と合計が一致しません。 ※2 2020 年以降は国立社会保障・人口研究問題所の「日本の地域別将来推計人口」 (平成 25 年 3 月推計)による推計です。 -3- (2)施設の老朽化と大量更新 高度経済成長期に整備されたものを筆頭に公共施設の老朽化が進み、一斉に建替えや大規模改修が必 要になります。現在の総量を維持し、耐用年数に応じて更新した場合、今後 40 年間で約 1,435 億円、 年約 35.9 億円の費用が必要になると推計しています。 (P2) 市税や交付税の歳入が縮減していくことが見込まれる中、現在の公共施設の総量維持はほぼ不可能と 考えられます。持続可能な財政運営を図るには、公共施設の総量を見直し、計画的・効率的な更新を行 い、各年度における更新費用を平準化することが必要です。 (3)インフラ資産の更新 この公共施設白書の対象外としている道路や橋りょう、上下水道などのインフラ資産も都市化の進展 によって一斉に整備されており、同様な更新問題を抱えています。公共施設は、複合化や統廃合などで 総量を抑制したとしても機能を維持することが可能ですが、重要な生活基盤として供しているインフラ 資産の削減は難しく、更新費用縮減の余地が少ないと考えられます。将来において、インフラ資産の更 新を可能とし、真に必要な公共サービスを低下させないためにも、公共施設の総量縮減を早急に進める 必要があります。 以上、本市が抱える公共施設に関する課題は、次の 3 つの事項にまとめることができます。 ①持続可能な財政運営を図り、必要な公共サービスを維持するためには、公共施設の総量を最適化し ていくこと ②公共施設にかかる経費を可能な限り縮減すること ③計画的・効率的な維持管理を行い、財政負担の平準化を図ること 5 今後の展望 これからは誰も経験したことのない人口減少、超高齢社会に突入していくことになります。持続発展可能な 自治体として、次の世代に繋ぐためには、これまで以上に全体最適の視点による施策の「選択と集中」と、ム ダ・ムリ・ムラの無い効率的な行政運営を実行していくことが重要です。 今後とも必要な公共施設を維持していくためには、これまでのサービス目的ごとに施設整備する「施設重視」 から、施設保有量を減らしても機能は維持する「機能重視」へ転換していくことが必要です。 この白書は、本市の公共施設のあり方を考える「市民と行政」の共通のプラットホームとして利用できるよ う、分かりやすく作成したものです。本市の公共施設の課題については、市民の皆様と情報を共有し、公共施 設全体のあり方も含めて早急に検討していかなければならないと考えています。 公共施設白書の全文は米沢市役所のホームページ(財政課のページ)でご覧いただくことができます。 URL:http://www.city.yonezawa.yamagata.jp/1069.htm 平成 26 年 10 月発行 米沢市総務部財政課 〒992-8501 米沢市金池五丁目 2-25 TEL0238-22-5111 -4-