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第 131 号 リウマチ診療 雑感
第 131 号 平 成 21 年 2 月 青森県立中央病院 (題字は吉田院長) 関節リウマチと診断できるとされています。他の 膠原病でも同様に診断基準を使用しますので、各 リウマチ診療 雑感 臓器障害の有無について細心の診察が必要です。 中でも、関節リウマチの診断には関節所見がも 特定診療部門長 っとも重要です。すなわち、一つ一つの関節の腫 リウマチ膠原病内科部長 れと圧痛を診なければなりません。したがって、 竹森 弘光 関節に触らないリウマチ診療はありえません。現 在、DAS28という指数(圧痛関節数、腫脹関節 痛、赤沈またはCRP、患者さんの体調評価10㎝ 「古いやつほどーーー」と鶴田浩二の唄にあり ます。成人病内科時代「インフォームド コンセ スケール)が活動性評価として世界的に使われて います。 ント」について書かせて頂きましたが、医籍登録 33年目、県病に赴任17年目、古兵として筆をとら 現在DAS28指数を記録することがリウマチ医 として私の最低義務と考えています。 せていただきました。 成人病内科、リウマチ・血液内科を経て、平成 2 )治療は匙加減、テーラーメード治療。 19年11月リウマチ膠原病内科が分科しました。現 抗リウマチ薬は関節リウマチ治療の中心的な薬 在、当科には1,200名の関節リウマチの患者さん、 剤ですが、実にユニークな薬剤です。すなわち、 300名のその他の膠原病の患者さんが通院してい 抗リウマチ薬は、治療効果発現に 2 ∼ 3 ヶ月要す ます。一リウマチ医の独白です。 る、人により効果が異なる、効果が減弱すること がある、副作用としての臓器障害が薬剤により異 1 )診療でもっとも大事なこと 1 に診察、2 に なる、などの特徴があります。 診察、3 に診察。 すなわち、患者さん一人一人にあわせた治療が 「リウマチの原因は何ですか?」とよく患者さ んに聞かれます。 必要です。また、治療効果の確認、副作用のチェ ックを定期的に行う必要があります。薬剤の少量 21世紀の今も、返答に窮します。感染症が引き の増量が治療効果を増強したり、副作用を引き起 金になって、免疫異常が関係するのは確実のよう こしたりしますし、減量が病気の再燃を引き起こ ですが、その詳細はいまだ不明であり、30年前私 したりします。 が医師となった頃と大きな違いはありません。悪 いわゆる、古の匙加減がいまだ生きています。 性腫瘍であれば組織診断、感染症であれば病原微 また、薬剤の副作用の出現に関しては、遺伝子レ 生物の検出によって診断が確定しますが、リウマ ベルでの解析がなされつつあります。文字通り、 チの診断にはアメリカリウマチ学会の診断基準が リウマチ診療は、昔からテーラーメード治療が必 使われています。これは臨床徴候と検査所見を組 要な疾患であるといえます。 み合わせ、診断基準項目が 7 項目中 4 項目あれば ― 1 ― 3 )リウマチ膠原病は全身病。 治療してもよくならない、将来は寝たきりだ、の リウマチ膠原病は多臓器疾患です。全身のいろ イメージがあったと思います。しかし、生物学的 いろの臓器に病変が出現します。それこそ、頭の 製剤が導入されて様変わりしました。現在は、寛 てっぺんからつま先まで診察が必要です。また、 解が現実の目標ですし、早期治療により治癒させ 使用する薬剤によりさまざまの副作用が起きる可 ることも可能となってきました。リウマチ膠原病 能性があります。消炎鎮痛剤では胃潰瘍や腎障害、 の診療に従事するものとして、このような時代を 副腎皮質ホルモン剤では日和見感染、糖尿病、骨 迎えることができ、感涙の至りです。今後、さら 粗鬆症、骨壊死、肥満、満月様顔貌など、抗リウ に多くの患者さんを手助けしていきたいと考える マチ薬では、間質性肺炎、骨髄障害、肝障害、腎 このごろです。 障害など、最近の生物学的製剤では結核、肺炎な どの感染症など、常に注意が必要です。 電子カルテの時代です。患者さんに「画面ばっ かり見ていないで! 診察して!」と言われない 私は平成 5 年当時の成人病内科に赴任しまし た。それまでは、弘前大学第1内科でリウマチ膠 よう、気を引き締めて診療に当たりたいと思って います。 原病の他、消化器疾患、血液疾患、がん化学療法 について勉強させていただきました。それゆえ、 昭和62年当時から、MTXをリウマチ治療に違和 感なく導入することができましたし、現在、全身 病であるリウマチ膠原病の診療で大変役立ってい ます。 若い先生たちに、告げたい。人生に無駄なし、 苦労は買ってでもせよ、それが医療人としての幅 をひろげる。 4 )医療の進歩、リウマチ診療のパラダイムシフト。 関節リウマチはこれまで、一生ものの病気だ、 (写真)地域医療支援室 坂本勇一 (1) 所属(2) 氏名(3) 出身地 転入者及び新採用者の紹介です。(4)趣味(5)性格(6)ひとこと (1)総合診療部・医師 かさい (2) (1)臨床検査部・技師 よしたけ よこさわ 西 孝健 (2)横沢 ひとみ (3)青森県つがる市(旧柏村) (3)弘前市 (4)音楽鑑賞・ドライブ (4)音楽鑑賞・アロマテラピー (5)マイペース (5)熱しやすく冷めやすい (6)約 4 年ぶりに津軽に戻って来ま (6)青森市内は初めてで、慣れるの した。よろしくお願い致します。 (1)臨床検査部・技師 あさり に大変ですが、頑張ります。 (1)看護管理室・看護師 ともか こばやし あきこ (2)浅利 知加 (2)小林 昭子 (3)青森県青森市 (3)八戸市 (4)映画鑑賞 (4)園芸 (5)穏和かな (5)真面目 (6)いつも笑顔で頑張ります。 (6)宜しくお願いします。 ― 2 ― 当院ではこの申し出をありがたく頂戴し、早速 車椅子の寄贈を受けて 外来ホールに置かせていただきました。患者さん 運 営 部 のために末永く使わせていただきます。ありがと うございました。 このたび当院では、車椅子 2 台の寄贈を受けま した。 今回の寄贈は、市内造道で住宅建築施工事務所 を営んでいる空間工房 キュービック・フォー㈲ 代表取締役 佐々木尚人さんから受けたもので す。佐々木さんは地域に貢献したいという強い思 いをお持ちで、同じ地域に住む者として、是非中 央病院で治療を受けている患者さんに役立てて欲 しいとの申し出があったものです。 この3月に県病を定年退職される方々にご執筆いただきました。 ●退職にあたって● ●退職にあたって● 夢まぼろしのごとくなり、・・・・」と舞い、四 十九年の生涯を閉じた。自分は還暦を無病息災に 退職にあたって してむかえることができ、信長より十年以上長生 臨床検査部主査 きしていることになる。それで今、「生」を受けて 平野 秀則 いることを天に感謝し、そして大地をしっかりと 踏みしめ<わが人生にくいはなし>を目標にして この世に新しく生を授かる者あり、しかしまた、 人生を送りたいと思っている。 薬効なくしてこの世を去る者ありと、これらのこ 最後に、県病で職員の方々に支えられて、三十 とは院内では日常のことである。生とは人が土の 九年勤務できたことを感謝申し上げ、「三・九 上に立つと書き、死とは人が無(ム)となり仏と サンキュウ」と結んで退職させていただきます。 して天に昇り、亡骸は土に還るとされている。生 でもっとも力強く感じるのは、公園で大地にしっ かり根を下ろし、天高くそびえ立つ孤高の大木ポ プラがあり、また、断崖絶壁に根を張り、風雪に 耐えている木々の雄姿などがあげられる。これら の木々は、光と水と炭酸ガスから炭水化物合成し 酸素を供給し、人は木々からのめぐみを食料とし、 酸素を吸ってエネルギー源としている。 織田信長は「人間五十年下天の内をくらぶれば、 ― 3 ― ごくろうさまでした 退職にあたって 【退職者】 患者・家族相談支援室 主幹看護師 ■医 師 石脇 敬子 心臓血管外科副部長 新田 能郎 東北大学附属病院へ 昭和49年に看護師として採用されて35年、早い NICU医師 中村 秀勝 もので定年を迎えることになりました。 7 部署で 市立室蘭総合病院へ 勤務した中、 5 西で頚髄(C4)損傷患者を主治 呼吸器科医師 下山 亜矢子 医、看護師 4 人でアンビューバッグを押しながら NICUシニアレジデント 須佐 史信 車椅子で移動し、中庭で桜を一緒に観たことがあ 市立函館病院へ りました。患者はサングラス下で微笑んでいまし た。看護の魅力を体感した瞬間でした。 仕事と子育てを両立できたのは、院内保育所を 就学前まで利用できたこと、両親のサポートと職 編 集 後 記 場の方々の支援があったからと感謝しておりま す。 遅ればせながら、あけましておめでとうご 昭和54年に保育所を利用していた母親 7 人で、 ざいます。今年も、ふれあいをよろしくお願 保育所の利用を 3 歳から就学前までにしてほしい いします。 皆さんは今年の目標を決めましたでしょう と当時の北村県知事に陳情に出かけたことも懐か か?目標に向かって動いていますか? しく思い出されます。 私の友人は毎年100個の細かい目標をノー 平成16年から勤務した看護相談室では一人勤務 トに書き出して、その年末に何個達成できた でした。翌年 7 月、新聞に県病と施設などをつな か自己評価しています。とっても感銘を受け ぐ橋渡し役として取り上げられる機会があり、多 ましたが、私の乏しい想像力では100個も浮 くの人に顔を知ってもらい仕事の励みになりまし かばないし、そのノートの存在を年末には忘 た。又、橋渡し職員の合同研修会、交流会などに れてしまいそうなので、とりあえず今年も私 積極的に参加し、顔の見える関係づくりに努めて の目標はひとつ。「体力向上」プロゴルファ きました。 4 年間担当した中には、保健・福祉に ー石川遼君の目標と一緒です。えへへ、偶然 おける連携不足を感じた事例も経験しました。幸 ですね。体育会系の友人や先輩に教えてもら いながら筋トレ、ランニング、ヨガなど中途 い、平成20年は人員が充実し、患者・家族の意向 半端にいろいろと手をだしています。目標は に沿った退院調整ができ達成感が得られました。 テニスプレイヤーのクルム伊達公子さん(テ これまで、仕事の仲間や自分自身の健康、家族 ニス抜きの)。年末にこの編集後記を見て赤 の健康に恵まれたことに感謝します。 面しないで済むようがんばります。皆さんも 健やかで楽しい一年をお過ごし下さいね。 発 行 所 青森市東造道 2 丁目 1 番 1 号 青森県立中央病院 発行年月日 平成21年 2 月 1 日 ― 4 ―