...

中国内陸部の砂漠化防止及び開発利用に関する研究

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

中国内陸部の砂漠化防止及び開発利用に関する研究
日本学術振興会
拠点大学交流事業
「中国内陸部の砂漠化防止及び開発利用に関する研究」
中間評価報告書
審査希望領域:農
学
審査希望分野:農学、農芸化学、境界農学
日本側 : 鳥取大学
中国側 : 中国科学院水土保持研究所
2005 年 11 月
JSPS Core University Program
Combating Desertification and Enhancing Rural Development in Inland of China
Tottori University (JAPAN)
Institute of Soil and Water Conservation, CAS (CHINA)
November 2005
目
次
・
要約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
・
Summary of the Project ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1. 事業の目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2. 実施状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2-1.事業の全体的な体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2-2.共同研究の体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2-3.セミナーの実施状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
2-4.研究者交流など、その他の交流の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
2-5.事業に対する相手国拠点大学、対応機関との協力の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
3. これまでの交流を通じての成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
3-1.交流による学術的な影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
3-2.共同研究を通じて発表された研究業績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
3-3.セミナーの成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
3-4.若手研究者の交流に関する成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
3-5.交流を通じての相手国からの貢献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
3-6.交流を通じての相手国への貢献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
3-7.成果の社会への還元・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56
3-8.予期しえなかった成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58
3-9.課題・反省点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
4. 今後の計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60
4-1.事業の組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60
4-2.事業の枠組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60
4-3.共同研究・セミナー・研究者交流の計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61
5. 今後の交流で見込まれる成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64
6. 参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
要
約
本事業の目標
砂漠化とは、世界の陸地の約半分を占める乾燥地における気候変動や人間活動に起因
する土地の劣化を意味する。中国の砂漠化は特に深刻で(毎年、四国以上の面積の緑地
が消失)アジア全体の環境変動にも影響が大きく、わが国も中国内陸部から飛来する黄砂
の影響(粉塵被害、日照不足等)を受けている。本研究は、中国と共同して中国内陸部の
乾燥地帯のベンチマークにおいて砂漠化防止の実践的研究を行い、世界に応用できる砂
漠化防止と開発利用の総合的対策モデルを構築することを目標としている。
実施の体制
日本側拠点:鳥取大学、中国側拠点:中国科学院水土保持研究所
以下の 5 課題で構成:①砂漠化の過程と影響の解明、②砂漠化防止計画の作成、③適
正技術と代替システムの開発、④住民参加と環境教育に関する計画作成、⑤緑化と環境保
全のあり方に関する総合的研究
交流の成果
日本と中国で開催地を交互にして、毎年度セミナーを実施した。これまでに日本側から
は 242 名、中国側からは 133 名の参加者があった。また若手研究者の国際交流にも力を注
いだ。日本人の大学院生やポスドクは現地に長期滞在し、調査・観測を行い、中国側の若
手研究者は本事業を通じて日本に招聘され、観測や解析手法を取得した。この結果、日中
研究者による共著論文が数多く生産され、すでに日本での学位取得者が出るなどの交流
の成果があがった。
研究活動の成果
以下のような研究活動を通して、これまで査読付き論文は 277 編(うち SCI 誌は 138 編)、
その他 61 編の研究業績が生産された。①水食を引き起こす降水量の分布を気象衛星から
高い精度で推定できる手法の開発、風食の程度を決定する大きな要因である土壌水分量
を推定する土壌3層モデルの開発などの成果が得られた。②乾燥地域における伝統的な
技術(たとえば魚鱗坑による水収穫)と先端的な技術(耐乾性品種の作出)との適切な組み
合わせからなる砂漠化防止技術パッケージを提示するとともに、その核となる要素技術につ
いての開発・改良をすすめた。③中国黄土高原延安地区の原植生(リョウトウナラ林)と人工
林(ニセアカシア林)を対象に、両者の生理生態特性や森林構造、生物多様性を比較する
ことによって、延安地域における持続的な緑化や生態系の回復の方法が明らかになった。
社会への還元
研究の成果は、中国の砂漠化防止当局にも提供され、砂漠化防止の基礎的な知見として
活用されるなど、すでに砂漠化防止の実用面においても成果があらわれてきている。またす
でに研究成果は多くの論文として発表されているが、日中研究者の共著による書籍の出版
も予定しており、一般の方々へも成果を十分に伝えていきたいと考えている。
1
Summary of the Project
Research Objective
About 1/4 of the world’s land surface and 1/6 of the world’s population are influenced by
desertification. The desertification in China is especially serious, an area larger than
Shikoku district disappears every year, and it greatly influences the environment of all Asia,
including Japan. This program seeks to construct a model for combating desertification and
enhancing rural development, which will be useful all over the world.
Organization
The core university in Japan is Tottori University, and the core university in China is the
Institute of Soil and Water Conservation, the Chinese Academy of Sciences.
Activities of this project fall into five subjects areas.
1. Analyzing the Process and Influence of Desertification
2. Studying Planning to Combat Desertification
3. Developing Technologies for Combating Desertification
4. Planning Local Residents’ Participation and Environmental Education
5. Conducting Comprehensive Research on Forestation Planning and Conservation of the
Environment.
Exchange Results to Present
To promote international exchanges, we hold the Japan-China Joint Open Seminar every
year, alternating locations between Japan and China. So far, 242 Japanese and 133 Chinese
have participated in the seminars. As a result of such international exchanges, this program
has achieved benefits such as producing co-authored articles by Chinese and Japanese
researchers and Chinese students obtaining PhD degrees in Japan.
Research Results to Present
Research activities produced,
277 inspected theses (including 138 SCI theses) and 61 other theses.
1. Our achievements also included developing methodology to estimate precipitation
distribution using meteorological satellite datasets and developing a three-layered soil model
to predict soil moisture, which influences the degree of wind erosion.
2. We improved the traditional agrotechnology (such as Yulinkeng) and introduced modern
agrotechnology (creating drought-tolerant breeds) in dry land so that a biologically
sustainable production system can be established. We produced a technology package of
desertification prevention measures that appropriately combines traditional knowledge and
advanced technologies.
3. We set up long-term monitoring sites in both natural vegetation (Quercus forest) and
planted vegetation (Robinia forest), and compared the structure and function (vegetation
structure, biodiversity, water and nutrient cycling, and eco-physiological characteristics of
plants).
Returns to Society
The results of this program are provided to Chinese authorities responsible for
desertification prevention, and the research achievements are practically applied.
We are also trying to convey the results to the public by publishing a book of general
interest and by other means.
2
1.事業の目標
砂漠化とは、世界の陸地の約半分を占める乾燥地における気候変動や人間活動に起因
する土地の劣化を意味する。陸地の約 4 分の 1、人口の約 6 分の 1 が砂漠化の影響を受け
ており、深刻な地球環境問題の一つとなっている。
中国の砂漠化は特に深刻で(毎年、四国以上の面積の緑地が消失)アジア全体の環境変
動にも影響が大きく、わが国も中国内陸部から飛来する黄砂の影響(粉塵被害、日照不足
等)を受けている。
砂漠化防止は村、地方、国、地域(大陸)
といった様々なレベルで取り組まれる必要が
あるとともに、自然科学的アプローチだけで
なく、社会科学的アプローチも必要とされ
る。
砂漠化に対する個別対策はあるが、総合
的な対策はまだ確立されていない。わが国
は 1998 年、砂漠化対処条約を批准し、砂漠
化に対する科学技術的支援を行う義務を有
している。
本事業は、中国科学院水土保持研究所と
侵食の広がりつつある延安周辺の山々
共同して「中国内陸部の砂漠化防止及び開
発利用に関する研究」を行うものである。研究は中国内陸部の乾燥地域に位置する黄土高
原を対象として行われている。黄土高原は、本来、緑に覆われていたが、永い人類の歴史
の中で植生が破壊され、砂漠化が進んできた地域である。現在は侵食による砂漠化がより
深刻な問題となっており、砂漠化対処の研究や施策が急がれているところである。そこで黄
土高原の中でも、森林成立の限界ラインである年降水量 500mm を境として、それよりも降水
量の少ない神木地区と、より降水量が多い延安地区を主要砂漠化ベンチマーク地域とし、
砂漠化防止の実践的研究を行い、世界に応用できる砂漠化防止と開発利用の総合的対
策モデルを構築することが本事業の目標である。
黄土高原と砂漠化ベンチマークの位置
左図の神木と延安が主な研究対象地
3
研究の目的を前半 5 年間と後半 5 年間に分け、
前半(第1フェーズ)では、
総合的砂漠化防止対策に基づく中国黄土高原の持続的発展方法の提示
後半(第2フェーズ)では、
世界に応用できる砂漠化防止と開発利用の総合的対策モデルの構築
を掲げ、本事業を開始した。
4
2.事業の実施状況
2-1. 事業の全体的な体制
本拠点大学交流の日本側実施組織としては、拠点大学である鳥取大学の学長を代表者
として、その下に、コーディネーター、各課題代表者を配して、拠点大学参加研究者及び協
力大学の協力を得て本事業を実施している。中国側も同様な実施組織で事業に取り組ん
でいる。
本事業の全体計画、実施状況、課題等に関して、運営委員会での議論やアドバイザリー
ボードの意見を基に、日中双方のコーディネーターが打合せ、確認を行なっている。
日本側実施組織
拠点大学
鳥取大学
実施組織代表者
学長・道上正規(13~16 年度)
学長・能勢隆之(17 年度)
コーディネーター
乾燥地研究センター・教授・稲永 忍(13~16 年度)
乾燥地研究センター・教授・恒川篤史(17 年度)
協力大学
東京大学、九州大学、京都大学、千葉大学、山口大学、東京成
徳大学、総合地球環境学研究所、国立環境研究所
事務組織
事務局 研究・国際協力部-国際交流課-国際交流係
乾燥地研究センター事務室
運営委員会
恒川篤史(委員長)、山中典和(副委員長)外 10 名
アドバイザリーボード
4名
中国側実施組織
拠点大学
中国科学院水土保持研究所
実施組織代表者
所長・李 鋭(Rui LI)
コーディネーター
中国科学院水土保持研究所・教授・田 均良(Junliang TIAN)
5
協力大学
西北農林科学技術大学、北京師範大学、中国農業大学
西安理工大学、新疆農業大学、陝西省砂漠治理研究所
陝西省延河流域世界銀行プロジェクトオフィス技術課、陝西省
水利庁、中国科学院石家荘農業現代化研究所(現中国科学院
遺伝与発育生物学研究所農業資源研究センター)
2-2. 共同研究の体制
本事業の目標を達成するため、平成13年度~平成17年度までは、以下の5つの研究課
題を設けて事業を実施した。
第1課題:砂漠化の過程と影響の解明
第2課題:砂漠化防止計画の作成
第3課題:適正技術と代替システムの開発
第4課題:住民参加と環境教育に関する計画作成
第5課題:緑化と環境保全のあり方に関する総合的研究
なお、第2フェーズ(平成18年度~平成22年度)では、①これまで研究内容と研究対象地
がセットになっていたのを改め、主たる対象地である神木(草地を主体とする半乾燥地域)
及び延安(森林を主体とする乾性半湿潤地域)の両者において比較研究が行えるような
仕組みを整えること、②新たな研究課題に対応し、より総合的な研究体制を構築すること、
③課題間の連携を深め、本事業全体としての統合性を高めるため、研究課題を3課題(第1
課題:砂漠化のプロセスと影響に関する解析(基礎的プロセス研究)、第2課題:適正技術と
代替システムの開発(砂漠化対策技術の開発)、第3課題:砂漠化防止に対する総合的アプ
ローチ(3課題の総括))にすることについて、日中間で合意された。詳細については、「4.
今後の計画」の項で述べる。
各課題の研究目的
第1課題:砂漠化の過程と影響の解明
砂漠化の過程と地域・社会への影響を明らかにすることを目的とする。そのため、黄土
高原の中でも特に侵食が激しい陝西省神木県六道溝流域を砂漠化ベンチマーク地域と
し、砂漠化のモニタリングを行う。モニタリングは衛星画像を用いたリモートセンシング、数
値解析モデル及び直接観測による地上モニタリングを組み合わせて行う。また、モニタリ
ングにあたっては、自然科学的アプローチだけではなく、社会科学的アプローチも行う。
モニタリングによって得られたデータベースを基本にして、GIS 等の技術を駆使して、砂漠
化の過程と影響の相互作用を解明することを目指す。以上により、「リモートセンシングに
よる砂漠化地域における植物・水資源などの動態予測」と「土地利用分類及び評価法」が
確立される。さらに、砂漠化データベースが構築され、かつ砂漠化の過程と影響の相互
6
関係を自然科学的側面と社会科学的側面の両面から定量的に評価できる砂漠化モデル
が構築される。これらは、砂漠化の事前予測や砂漠化防止対策を検討するうえで役立つ
ことが期待される。
第2課題:砂漠化防止計画の作成
砂漠化防止計画の作成を目的とする。そこで、他の課題との連携を図りながら、砂漠化
防止計画の骨格を作成するとともに、その肉付け作業を行い、最終的に総合的砂漠化防
止対策を構築する。また、塩類集積及びその前兆と考えられているウォーターロギングを、
本課題において対象とする主な砂漠化現象として取り扱い、そのメカニズムの解明と、防
止対策の確立を行う。そのベンチマーク地域を陝西省の洛恵渠灌区(52,000ha)とし、当
該地域における灌漑農地の塩類化の現状と灌漑管理が地下水挙動・塩類集積に及ぼす
影響等を明らかにした上で、適切な灌漑管理法を提案する。また、空間的・時間的に不
均一である土壌の塩類集積状態と塩類集積要因との関係を広域的かつ長期にわたって
調査・解析し、土壌塩類化機構を明らかにするとともに、塩類化の防止・修復のための対
策を提言する。さらに、塩類集積やウォーターロギング等の環境劣化を生起させない栽培
システムや、耐塩性植物を利用した塩類除去技術についても提言する。
第3課題:適正技術と代替システムの開発
持続的農業の確立に欠かせない適正技術と代替システムの開発を目的とする。ここで
は、砂漠化ベンチマーク地域の陝西省延安地区を対象に、現地に伝わる伝統的な農業
技術と近代的農業技術から、それぞれの有利な点を融合・改良することによって、農業生
産性の向上と生態環境の保全、農村経済の発展が図れる持続的な農業技術システムの
確立を図る。そのため、傾斜地におけるテラス工の効果、冬季ビニルハウス栽培における
キュウリの連作障害の原因究明と対策、などについて研究を進める。
第4課題:住民参加と環境教育に関する計画作成
砂漠化対処に不可欠な住民参加システムと環境教育のあり方について提言することを
目的とする。そのため、中国側が基礎データを有する砂漠化地域の中から、ベンチマー
ク地域を複数(黄土高原延安地区、河北省北部、新疆ウイグル自治区ウルムチ地域など)
選定し、そこにおける自然、砂漠化指標植物、土地利用、経済、産業、社会組織、女性の
役割、伝統的知識、家庭・学校・社会における環境教育などについて、系統的に聞取り
調査を行い、問題点を抽出する。他地域における砂漠化対処の先進的事例についても、
聞取り調査や文献調査を行い、ベンチマーク地域と比較する。
第5課題:緑化と環境保全のあり方に関する総合的研究
土壌の劣化が進み、その対策として緑化が進められている黄土高原において、今後の
半乾燥地緑化と環境保全の方向性を検討することを目的とする。そのため、砂漠化ベン
チマーク地域の黄土高原延安地区を対象に、その自然環境に適した持続的な緑化法の
検討に必要な、畑地跡に植栽された外来樹種と郷土樹種の生理生態的特性、森林の回
7
復に伴う森林構造や生物多様性及び環境の回復過程、及び外来樹種からなる人工林と
自然林の比較による持続的な生態系機能について解明する。
8
2-3. セミナーの実施状況
本事業開始の平成 13 年度から毎年実施している日中合同セミナーは、研究成果の発表
と日中双方の研究者による課題別討議と全体討議を行い、日中双方の研究者の理解を深
め、課題間の連携強化と本事業の目指すべき目標と研究計画をより明確化することを目的
としている。なお、平成 16 年度の日中合同セミナーでは、参加していただいたアドバイザリ
ーボードから、研究発表の内容、拠点大学交流事業が今後目指すべき方向等について意
見や助言をいただいた。
また、平成 16 年度から、日本側においては公開勉強会・セミナーを随時開催し、参加メン
バーが基礎的知識を共有するとともに、今後の研究の方向性を既存の課題の壁を越えて
議論し、課題間の連携を深めている。
日中合同セミナー
タイトル:中国内陸部の砂漠化防止及び開発利用に関する日中合同セミナー
第1回
開催期日:平成 13 年 11 月 14、15 日
開 催 地:鳥取大学乾燥地研究センター
参 加 者:日本側 81 名、中国側 16 名、計 97 名
第2回
開催期日:平成 14 年 11 月 15、16 日
開 催 地:中国科学院水土保持研究所
参 加 者:日本側 17 名、中国側 25 名、計 42 名
第3回
開催期日:平成 15 年 11 月 14、15 日
開 催 地:中国科学院水土保持研究所
参 加 者:日本側 21 名、中国側 25 名、計 46 名
第4回
開催期日:平成 16 年 11 月 4、5 日
開 催 地:鳥取大学乾燥地研究センター
参 加 者:日本側 90 名、中国側 18 名、計 108 名
第5回
開催期日:平成 17 年 9 月 3、4 日
開 催 地:中国科学院水土保持研究所
参 加 者:日本側 33 名、中国側 38 名、計 71 名
9
平成 16 年度日中合同セミナー
日本、中国等から 100 名以上の研
究者が参加した。
(鳥取大学乾燥地研究センター)
公開勉強会・セミナー
平成 16 年度:5 回開催
開催年月日
タ
イ
ト
ル
平成 16 年
9 月 21 日
黄土高原における熱収支・水収支
平成 16 年
9 月 28 日
黄土高原の植生
平成 16 年 10 月 12 日
黄土高原の降水特性
平成 16 年 12 月 15 日
黄土高原の農業
平成 17 年 1月 25 日
私の中国理解
平成 17 年度:5 回開催(11 月現在)
開催年月日
タ
イ
ト
平成 17 年
7月 7日
乾燥地保健医学の構築
平成 17 年
7 月 28 日
黄土高原六道溝流域の自然環境
乾燥地に関連する適正技術
ル
平成 17 年 9 月 29 日
中国の砂漠化対処について
平成 17 年 10 月 21 日
黄土高原の植生と緑化、黄土高原の地形的特徴と
土地被覆
平成 17 年 11 月 17 日
土壌に関する適正技術
10
2-4. 研究者交流など、その他の交流状況
両国のコーディネーター等が本事業の進捗状況・問題点・事業計画等について討議・確
認を、面談やメール等によって行っている。初年度(平成 13 年度)は、本事業の基本的な進
め方、砂漠化ベンチマーク地域の選定について議論した。翌年度以降については、当該
年度の成果及び課題について確認するとともに、次年度の研究計画の詳細ならびに日中
合同セミナーの実施時期、内容・方法等について議論を行っている。平成 15 年度には、重
症急性呼吸器症候群(SARS)発生に伴う研究計画の見直し、日本側観測器材の中国持
込みに関する通関の問題点について協議を行った。
なお、中国側拠点大学、協力大学との本事業以外の研究交流も、研究者レベル、研究グ
ループレベルで活発に行なわれており、それらの交流は本事業と相互補強的に作用して、
情報の集積や研究者同士の理解が深まるなど日中双方に良い結果をもたらしている。
また、本事業では、若手研究者の育成にも力を注いでおり、本事業内の経費のみならず、
他の経費(委任経理金等)も投入して、大学院生やポスドクを現地調査に帯同、あるいは単
独滞在型研究も実施している。また、平成 17 年度の日中合同セミナーでは、日中双方の若
手研究者によるワークショップを実施し、次世代を担う日中双方の若手研究者の交流を深
めた。
2-5. 事業に対する相手国拠点大学、対応機関との協力の状況
ベンチマークでの観測に必要な日本側器材の中国への持ち込みに関して、平成 14 年度
は、中国側拠点大学である中国科学院水土保持研究所の懸命の努力と、対応機関である
中国科学院本部の協力を得て無税通関とすることができたが、平成 15 年度は、中国税関
規則の改正による観測器材の通関の遅れや、持込時保証金といった問題が生じた。これら
の問題についても中国側の懸命な努力により解決することができた。
また、本事業開始の前年(平成 12 年度)には、本事業の重要性から、中国側拠点大学の
中国科学院水土保持研究所、協力大学の中国科学院石家荘農業現代化研究所(現中国
科学院遺伝与発育生物学研究所農業資源研究センター)との学術交流協定を締結し、交
流の強化を図ってきた。事業が始まった後も、平成 15 年度には中国農業大学、平成 17 年
度には新疆農業大学、北京師範大学と、本事業を通じて交流が深まり学術交流協定を締
結した。新疆農業大学においては、「日中乾燥地研究共同実験室」を設置するなど、本事
業実施に積極的に協力してくれている。
なお、今年度 8 月には、中国科学院水土保持研究所との学術交流協定の更新を行い、さ
らに 5 年間協定が延長されることとなった。
このように、相手国拠点大学等との協力状況は、極めて緊密で良好なものとなっており、
本事業は円滑に進んでいる。
11
学術交流協定の締結(本事業の交流による)
締結相手機関
締結年月
1
中国・北京師範大学
平成17年 7月
2
中国・新疆農業大学
平成17年 2月
3
中国・中国農業大学
平成15年 6月
4
5
6
中国・中国科学院
水土保持研究所
中国・中国科学院石家荘農
業現代化研究所
中国・西安理工大学
平成12年10月
備考
平成17年10月に更新
(現中国科学院遺伝与発育
平成12年11月
生物学研究所農業資源研究セ
ンター)
平成12年2月
平成17年2月に更新
*平成17年11 月現在
12
3.これまでの交流を通じての成果
3-1.交流による学術的な影響
交流による学術的な影響の概要は以下の通りである。
(1)日本側では本事業に関連して以下のような研究プロジェクトが立ち上げられた。
① 21世紀COEプログラム『乾燥地科学プログラム』
平成 14~18 年度、文部科学省
② 科学研究費補助金・基盤研究(B)(海外学術調査)
『中国黄土高原下流域における物質循環を利用した塩害対策と農地の保全』
平成 16~18 年度、日本学術振興会
③ 戦略的国際科学技術協力推進事業『砂漠化を抑制する乾燥耐性植物の開発(黄土
高原緑化を目指して)』
平成 16~19 年度、独立行政法人科学技術振興機構
(2)本事業の学術的成果をもとに以下のような学術イベントが実施・計画された。
① 日中国際研究シンポジウムの開催(平成 17 年 5 月 20 日、鳥取市)
② 8th International Conference on Dry Lands Development
(平成 18 年 2 月 25 日~28 日、中国・北京)
(3)本事業に関連し、日本側では以下のような学術的な称号を受けた。
① 本交流に対する功績から、稲永は平成 15 年に中国科学院黄土高原土壌侵食・乾燥
地農業国家重点実験室学術委員会委員の任命、中国農業大学客座教授、北京師範
大学客座教授、平成 16 年に新彊農業大学名誉教授の称号を授与された。
(4)中国側では、本事業に関連して、複数の大型研究プロジェクトが立ち上げられた。
① プロジェクト名「黄土高原における土壌保全と生態建設に関する研究と実証」、期間:
2000~2004 年、研究資金:1000 万元(1億 4000 万円)。研究資金提供機関:中国科学
院 CAS(No. KZCX1-06 )。
② プロジェクト名「黄土高原中部における生態農業のモデルと技術に関する研究」、期
間:2001~2005 年、研究資金:130 万元(1800 万円)。研究資金提供機関:中国科学
技術省(MOST)。
③ プロジェクト名「黄土高原における生態回復の環境影響評価」、期間:2006~2009 年,
④ 研究資金:150 万元(2100 万円)。研究資金提供機関:NSFC(No. 90502007)。
⑤ プロジェクト名「土壌・水の保全・生態建設と持続可能な開発に関する研究と実証」、
期間:2005~2010 年、究資金:1000 万元(1億 4000 万円)。研究資金提供機関:
CAS。
⑤ プロジェクト名「黄土高原における生態復元-中核的国際共同プロジェクト」、期間:
2005~2007 年、究資金:15 万元(210 万円)。研究資金提供機関:CAS。
(5)本事業に関連し、中国側では以下のような学術的な賞を受けた。
① 延安における中規模生態建設に関する研究に対して、第2級科学技術進歩賞を、陝
西省政府から授与された。
13
3-2. 共同研究を通じて発表された研究業績
(第1課題)
「砂漠化の過程と影響の解明」
第1課題では、砂漠化の過程と影響の解明を大きな柱として、マクロ的に砂漠化(中国黄
土高原)を診断する方法、及び流域レベル(陝西省六道溝流域)で砂漠化を診断そして対
処する方法を開発することを目的として研究を行った。具体的には、土壌、植生、気象、水
資源を含んだ生態学的診断・治療方法の開発であり、次のように要約できる。
診断方法の開発
(1)土壌・・・水分・熱動態モニタリング手法の開発
(2)水資源・・・水文量のモニタリング手法の開発、流域水循環モデルの開発
(3)植生・気象・・・バイオマスや土壌水分、リモートセンシングの手法を用いた砂漠化モニタリ
ング
対処方法の開発
現状の流域水収支を評価したうえで、適切な土地利用シナリオを水量、水利用効率とい
う観点から提示すること
以下に、それぞれの研究結果を要約する。
(1) 土地被覆と大気の間でやりとりされる熱エネルギーの定量的解明を目的に土壌 3 層モ
デルを開発し、現地と鳥取砂丘の観測データを用いて検証した。その結果、土壌温度、
土壌水分量及び熱収支の計算値は観測値をほぼ再現できた。また、5 種類の土壌に
ついて、土壌水分特性曲線、アルベド、水蒸気の拡散距離を土壌水分量の関数として
表現し、検証した結果、各土壌のモデル計算の結果が観測値と一致した。
(2) 地下水位や河川流量、蒸発散量の連続観測を行った結果、地層は大まかに 3 層構造
で、降雨時と無降雨時で流出特性が著しく異なること、河道内には灌漑用のダム建設
が行われているが、土壌流出によるダム堆砂のため 10 年程度で畑として利用されてい
ること、河道のダムや畑の状況で流出特性が変化しており、ダムや畑の評価が重要で
あること等が分かった。また、流域に優先する自然草地の蒸発散量は植生期間では裸
地面の 1.5 倍、年間では 1.2 倍であること、草地の蒸発散量を支配する要因は主に土壌
水分量であることが分かった。
(3) (1)で開発された 3 層モデル及び黄土高原に存在する 43 の気象ステーションのデータ
を用い、黄土高原の熱収支・水収支及び土壌水分の空間分布を算出し、その物理的
特徴について考察した。さらに、土壌水分量の季節変化から高原全域の乾燥度合いを
示し、その分布と現存の植生分布(リモートセンシングによる)を重ね合わせることで、植
物分布力の潜在性を求めた。これにより、過去の研究には見られない乾燥度の概観を
示すことができ、砂漠化の進行度合いをより的確に示すことが可能になった。
降水量分布を気象衛星(GMS-5)の IR データから推定する方法を提案した。IR のデ
ジタルカウント値と降水量の間に良好な相関が認められたことや精度の向上には可視
14
域のデータも必要であること
40
などが分かった。また、降水
0.4
量を統計的に分析するととも
39
に、総観場的解析や地形因
38
0.4
0.6
子解析を用いた月降水量
0.6
1
1
0.8
37
1km メッシュ分布推定モデル
0.8
1
36
を作成した。本研究により、黄
1
0.8
1
土高原の砂漠化に支配的な
35
降雨量を細かなメッシュで再
102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112
現することが可能になった。
Longitude (deg)
葉面積指数(LAI)と植物活性
黄土高原における潜在的な植物分布
(クロロフィル)の変化を分離
するため、群落の分光反射特性を用いた指標を提示した。さらに、植物活性と蒸散量の
関係が直線的であることを利用し、指標を用いた蒸発散量推定方法を提示した。
(4) (2)における流域の水収支をモニタリングする手法の開発に加え、流域における各土地
被覆からの蒸発散量を推定するためのアルゴリズム(数値計算モデルとリモートセンシ
ングの手法を併用したもの)を開発し、流出量の観測値と併用することで、流域の土地
利用を評価した。本研究では、「消費された水分量に対する土壌侵食からの保護力」を
水利用効率と定義し、自然草地の水利用効率が他の土地利用と比較して優れているこ
とを示した。すなわち、自然草地は消費する水分量が少なく、土壌に保持する水分量も
比較的大きいことに加え、土壌侵食に対する効果も大きいことが分かった。また、現地
におけるインタビューや土壌pH、窒素含量、土壌固結度などの観測からも自然草地の
有用性が認められた。しかしながら、流域に暮らす人々にとって土地利用をすべて自然
草地に変えることは得策ではなく、畑地、牧草地等をも考慮に入れた土地利用を考え
ていく必要がある。適切な土地利用を提示することがこれからの課題である。
Forest
Shrub
Latitude (deg)
Typical grass
Short grass
Others
(第2課題)
「砂漠化防止計画の作成」
第2課題は、砂漠化防止計画の作成を研究目標としており、他の課題と連携を取りながら、
研究を進め、最終的に総合的砂漠化防止対策を構築する。また、他の課題で扱われてい
ないウォーターロギング、塩類集積の問題を、本課題において対象とする主な砂漠化現象
として取り扱い、そのメカニズムの解明と、防止対策の構築を行うことを目的としている。本課
題の共同研究を通じて発表された成果の主なものは以下のとおりである。
砂漠化とその防止対策に関する研究
1. 中国における砂漠化防止に向けた取り組み
中国は 1997 年に国連砂漠化対処条約を批准し、中国砂漠化対処条約実施委員会
(CCICCD)という国内機関を設けて、複数の省庁にまたがる砂漠化防止の行政を横断的
15
に統括している。これまでに実施された国レベルの計画、各地の砂漠化防止モデルプロ
ジェクトの成功例、失敗例、退耕還林等の砂漠化防止対策について、調査・分析を行っ
た。
2.アジアの砂漠化とその防止対策
アジア地域 10 カ国(中国、モンゴル、インド、パキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、
トルクメニスタン、シリア、レバノン、イエメン)を対象に各国の砂漠化とその防止対策の現
状について、調査し、考察した。
3.サブサハラ・アフリカ地域における砂漠化問題
サブサハラ・アフリカ地域の砂漠化の現状、とりわけ食料と農村地域の水問題にスポッ
トをあて、これらの問題を分析し、解決するための方策について検討し、提案した。
農地の塩類化の防止に関する研究
1. ベンチマーク地域の洛東区に散在する約 80 の観測井を選定し、各井の地理情報、地
下水位、水質(電気伝導度(EC)、各イオン濃度、ナトリウム吸着比(SAR))及び周辺の土壌
間隙水の ECp、ECe、各イオン濃度、SAR について、継続的に観測・分析を行った。その
結果、地下水の EC 値、SAR、各イオン濃度は、地下水の深さ、下層土の土性、塩類分
布等と密接な関係があることが明らかとなった。また、このような地域における異常降雨
に伴う湛水は、地区内の地下水水質(EC、SAR)を大きく変化させることが明らかになっ
た。特に、SAR は大降雨後継続的に上昇傾向を示した。これは下層土の Na が Ca や Mg
に比して多く地下水中に溶出したためと考えられる。SAR は上昇の一途をたどっており、
今後の動静に注意する必要がある。
一連の調査と分析結果から、本地域における塩類集積プロセスを類型化(付記(1)参
照)し、さらにそのプロセスを引き起こす要因(付記(2)参照)を明らかにした。そして、これ
らのプロセスを阻止・回避し、その誘因を除去する対策(付記(3)参照)について提案を行
った。
付記
(1)塩類集積プロセスの類型化:
本地域の灌漑農地における塩類集積プロセスは、次の4タイプに類型化できることを明ら
かにした。
①地下水の毛管上昇による塩類集積
②高塩類濃度地下水の継続的灌漑利用による塩類集積
③井戸の掘削残土(高塩類濃度)を圃場面に締固め盛土したことによる塩類集積
④地区内の地形特性及び排水特性に起因して起こる排水不良部の塩類集積
(2)上記プロセスをおこす要因:
上記の塩類集積プロセスを助長する要因は以下のとおりである。
①地下水位が高いこと(特に、地下水深が3m以内の場合は大きな要因となる) (北部及
16
び中央部)
②地下水の塩類濃度が高いこと(北部及び中央部)
③下層土に可溶性塩類が集積していること
④下層に難透水性の土壌が存在していること(特に、上位段丘面)
⑤水路の搬送損失が大きく(特に未舗装、舗装部欠損水路)、圃場内浸透損失が大きい
(長い畦長のもとでの畦間・ボーダー灌漑)こと
⑥排水路管理と地下水管理が不十分なこと(特に地下排水は殆ど機能していない)
⑦排水システムに管理上の問題があること(灌漑システムと排水システムの管理者が異な
る)
(3)灌漑農地における二次的塩類集積の防止対策:
本地区における二次的塩類集積を防止するための広域水管理のあり方として、次の点を
提案することができる。
①排水システムの効率を高め、地下水位が適正な高さになるように管理する。そのために
は、地表排水だけでなく、地下排水も考慮に入れた検討が必要となる。
②塩類濃度の高い地下水については、利用を制限する。塩類濃度に応じた使用基準を
設ける。
③井戸の掘削にあたり、塩類濃度の高い掘削土については影響の及ばないところへ搬
出する。
④地表排水を阻害するような行為を禁止するとともに、排水が阻害される危険性のある箇
所の修復・整備を推進する(住民に対する啓蒙活動も重要)。
⑤黄土高原よりの流出土砂を活用した流水客土を積極的に導入し、普及する。
⑥ウォーターロギング(過湿状態)を防止するために水路沿い、あるいは圃場周辺部への
植林を奨励する(バイオ排水を積極的に導入する)。
⑦灌漑効率の改善を推進する(搬送損失、圃場水適用損失の削減を徹底する)。そのた
めには、
a)水路舗装を推進し、欠損部の補修を徹底させ、舗装の高度施工に注意を払う。
b)圃場の畦長(長辺方向長さ)を極力短くし、水足を速めるために圃場均平作業の精度
を上げる。
⑧現在灌区が管理している灌漑システムと大茘県人民政府が管理している排水システム
について、これら両システムの一元管理化を図り、管理体制を整備する。
2.ベンチマーク地域の土壌塩類集積状況を、ジオスタティスティクスによって面的に調査・
解析し、塩集積の実態、要因を明らかにした。灌漑区内における表層土の塩類の集積量
及び組成は面的に多様な分布状況を示し、それらは地形、土壌の物理的性質(土性、排
水性)の分布とよく対応していた。本地域は3つの段丘で形成されているが、最も年代の
古い高位段丘面は下層に粘質な層が存在して排水性が悪く、塩類集積の危険性が非常
に高いと判定され、大量の塩類集積箇所が局所的に点在していた。一方、低位段丘面は、
17
シルト、細砂に富んで透水性にすぐれ、塩類の集積量は少なかった。しかし、ナトリウム割
合の高い塩類組成で、8~8.5 の高い土壌 pH を示し、アルカリ化の進行が認められた。リ
ンゴ、ナツメ等の落葉果樹の大半にはアルカリ化に伴う障害が発生していた。これらの結
果から、地域内における灌漑・土壌管理は、決して画一的に行うのではなく、地形、土性
に適応させて行う必要のあることを明らかにした。
3.植物体中の塩と耐塩植物の利用については、一連の実験結果から次のことが明らかとな
った。(1)乾燥地研究センターに自生する植物の葉の灰分は 2~6%程度であったのに比
較して、ベンチマーク地域の植物の葉の灰分は 4~20%程度であり、塩害危険地の植物
は乾燥地研究センターに自生する植物に比べてほぼ2~3倍の灰分を含んでいた。 (2)
洛恵渠灌漑区で採集した雑草の中には塩生植物として知られる植物が含まれていた。(3)
植物体中の灰分含量とそれが生育する土壌の電気伝導度との間には明瞭な相関を認め
ることができなかった。まれに負の相関が見られた。この理由として3つのことが推測され
た。①1時期における土壌電気伝導度は必ずしも全生育期間を通じた土壌電気伝導度を
表していないかもしれない、②植物の側にある範囲の土壌塩類に対して一定量の塩だけ
を吸収するように調節する能力があるのではないか、③イオンの間に競合があるのではな
いかということである。③についてはその可能性が低いものと推測されたが、更に灰分の
内容として Na、K、Ca、Mg の4元素の他の元素、陰イオン種についても分析する必要が
ある。(4)根や茎下部の灰分より茎上部、葉、実の灰分の方が多い傾向にある。(5) ヨモギ
3種に比べて塩蓬、ホウキグサ、猪毛菜は根に灰分が多く、茎下部に少ない傾向があっ
た。
(第3課題)
「適正技術と代替システムの開発」
第3課題では、長年その風土に密着した伝統的な農業技術を尊重し、さらに持続的な農
業を行うために、近代農業技術の導入を図る。農業生産性の向上と生態環境保全、農村経
済の向上のために、より適切な農業技術を確立することを目的としている。
研究面での成果
研究プロジェクト開始初年度の平成 13 年度は現地を見て資料を集め、研究協力者と交
流を深め、5 カ年間の基本的な研究の骨格を決めた。水土保持研究所の研究者とベンチマ
ークを調査した結果、(1)延安市南東部の傾斜地におけるテラス工の効果、(2)延安市北部
の冬季ビニルハウス内のキューリ栽培における連作障害の原因究明と対策、(3)中国の楊凌
市にある水土保持研究所内の実験圃場での耐乾性作物の作出と遺伝子レベルの研究、の
3 つの研究テーマを柱とした。しかし、(1)のテーマは中国側の研究プロジェクトの継続がなく、
その後は、(2)、(3)の研究テーマが中心となった。基本的に拠点交流の共同研究は、海外
18
研究プロジェクトであり、現地実験を主体とする研究であるから相手国の協力が必須条件と
なり、現地での継続実験が必要となる。
(1)傾斜地テラスの試験
研究対象地域の陝西省延安市南部では降雨依存型農業が多くを占め、最近の降水量
の減少は直接的に生産量の減少を引き起こしている。この地方では、黄土高原の土壌侵
食の防止とともに、集水技術が重要で、小規模な灌漑事業が必要である。年降水量が
300-700mm の傾斜地テラスのトウモロコシ、ポテト、大豆などの栽培試験と流域の水収支、
養分調査などが研究テーマとなる。平成 13-14 年度に、黄土高原の土壌侵食の防止に
有効なテラス試験区を設けて、斜面区と比較試験を行った。実験では、低施肥区、高施
肥区、マルチ区、保水剤添加区などの試験区を設けて、ジャガイモの栽培試験を行った。
テラス試験区と斜面区との生育収量に有意な差異がなかったが、土壌水分に関して、低
施肥区の根群域の土壌水分が高施肥区よりも土壌断面の水分量が多い傾向があった。
これは、高施肥区の生育が良好で、根の吸水による土壌水分の減少が反映されたと推察
された。
(2)中国式無加温ハウス栽培の連作障害
従来は斜面で作物を栽培していたが、「退耕還林」の政策の下で、高い収益が期待で
きる換金作物を主体とした施設農業が盛んになった。しかし、高収益を得るために過剰施
肥、過剰灌漑による土壌の過湿と病害虫の発生、その対策としての薬剤散布と食の安全
が問題となってきた。平成 14 年度に、耕作履歴が8、4、1年と初めて耕作するキュウリの
栽培試験区を設定し、実験を開始した。その後、毎年継続して実験を行った。その結果、
最初に2年間は収量が増加したが、その後、耕作履歴が増すに従って、生産量が減少し、
キュウリの病気が増加する傾向が認められた。
(3)中国式無加温ハウス栽培の土壌水分・微気象環境
この理由を解明するための基礎的実験を行った。平成 15 年度から、栽培期間中の水
管理、肥培管理を追跡するためにプロファイル水分計を持ち込み、土壌水分の経時変化
を測定した。また、ハウス栽培の微気象観測では、日射量、気温、湿度、地温、壁面温度
などの多くの気象要素を測定した。その結果、現地の農家の灌漑では土壌水分貯留量
の増加傾向が認められ、灌漑水量が多いことを指摘した。また、中国式無加温ハウスの
外部気温が氷点下であっても、ハウス内は 10℃前後の温度を確保できること、ならびに、
相対湿度が夜間はほぼ 100%、日中でも 90%程度で推移し、高湿度条件で栽培している
こと、湿度の高いことがキュウリの病気増加傾向と関連があること、などが認められた。また、
対策として、中国式無加温ハウスの天井部を開放し、日中の換気を行うことによって、ハウ
ス内気温の上昇緩和に効果があることが確認できた.しかし、微風速計で計測できるほど
の温室内風速は発生しておらず、換気効率は低い。さらに、水収支モデルを用いた灌漑
19
シミュレーションを行い、適切な灌水量と間断日数を選択することで、土壌水分を一定の
水準に保ち、かつ、灌漑水量を最少化する灌漑スケジューリングが存在しうることを明らか
にした。
土壌、植物の無機成分及び土壌微生物、作物の収量、病気の発生について調査した。
前者の土壌環境調査に関しては日本側が、後者の植物状態調査に関しては中国側が担
当した。中国式無加温ビニルハウスの気象データを用いて多変量回帰分析を行い、温室
内の温湿度環境に対する影響因子の同定の結果、日中の温度に対しては日射の影響が
支配的であり、夜間では壁温の影響が大きいことが明らかとなった。湿度に対しては、壁
温と土壌水分の影響が大きいことが示された。また、遺伝アルゴリズムを応用した水収支
モデルによる解析から本圃場では 40cm 以深への浸透水損失はほとんど発生しておらず、
蒸発散量は 1.5 mm/d 程度であることが明らかとなった。
さらに、土壌サンプルを日本に持ち帰らない方法として、内部排水法、定水位浸潤法
の原位置試験法を確立し、これらの実験を中国の現地圃場で行い、数値モデルによる逆
解析などを用いて、土壌水分特性曲線、現場飽和透水係数、不飽和透水係数を推定し
た。
(4)ハウス内栽培におけるキュウリ果実収量・品質・成長に及ぼす灌漑水量の影響
一方、比較研究のために、鳥取大学農学部敷地内ビニルハウスにおいて、キュウリ果
実収量・品質・成長に及ぼす灌漑水量の影響調査を行い、土壌水分状態が一定範囲内
(土壌水分張力:10-35、 45-65、 80-125cmH2O)では、果実の収量、品質、成長は影響
を受けないが、果実カルシウム含有率を低下させる土壌水分状態の域値を提案できた。
ビニルハウスにおけるキュウリの節水栽培法の確立のために、鳥取大学農学部ビニルハ
ウス内で灌漑水量を変化(乾燥区;85-120cmH2O・2.04m3、標準区;45-65cmH2O・4.16m3
湿潤区;10-35cmH2O・23.03m3〔それぞれ土壌水分張力・総灌漑水量〕)させてキュウリを
栽培し、成長量(全乾物重、果実収量)及び果実品質(総ビタミン C、カルシウム、カリウム、
硝酸態窒素)を調査した。その結果、標準灌漑水量を半減させても成長量は影響を受け
ず果実品質も大きな影響を受けないことが明らかとなった。また、延安地域のビニルハウ
スで栽培されたキュウリの生育状態を数種の酵素のアイソザイムの変動から評価できる可
能性があることを確認した。
(5)耐乾性作物の作出と遺伝子レベルの研究
平成 15 年度から、水土保持研究所実験圃場における研究課題「小麦品種の乾燥耐性
機構解明」について、実現可能な実験計画を中国側担当者と打ち合わせ、具体的な実
験計画の作成作業に取り掛かった。比較研究として、鳥取大学農学部附属農場におい
て、耐乾性コムギ品種の選抜のために強耐乾性が期待される品種の成長・無機元素吸
収特性を調査した結果、一般的に栽培される品種とは異なる無機元素吸収特性を示すこ
とが明らかになった。耐乾性の異なるコムギ 6 品種(Wild Einkorn,Cultivated Einkorn,
20
Wild Emmer,Cultivated Emmer,Common Wheat,Xiaoyan No.6)を鳥取大学農学部附属
農場に標準栽培し、収穫期に吸収無機元素を調査した。その結果、乾燥ストレスで毒性
を示す活性酸素を消去する酵素の一つであるグルタチオン還元酵素の発現量が大きい
Common Wheat 及び Xiaoyan No.6 では、他の品種と比較してカリウム及びリン含有率が
著しく高くナトリウム含有率が低いことを明らかにした。耐塩性の高い小麦において活性
酸素消去系酵素のグルタチオン還元酵素活性が増加し、スーパーオキシドジスムターゼ
の特殊なアイソザイムが増加することも確認された。
(第4課題)
「住民参加と環境教育に関する計画作成」
第4課題は、砂漠化対処に不可欠な住民参加システムと環境教育のあり方について提言
することを最終目的としている。この目的を達成するため、中国側が基礎データを有する砂
漠化地域の中からベンチマーク地域を選定し、そこにおける自然、土地利用、経済、産業、
社会組織、女性の役割、伝統的知識、家庭・学校・社会における環境教育などについて系
統的に調査・分析し、問題点を抽出する。これと並行して、他地域における砂漠化対処の先
進的事例についても文献・聞き取り調査を行う。調査結果の比較検討を通じて最終目標で
ある提言を作成する。
以上の目的を達成するため、以下複数のベンチマーク地域を選定した。
地区
問題
調査対象
黄土高原地区
水食害・過度開墾
延安市、安塞県(黄土地帯)
河北省北部
風食害・過度開墾・過放牧
豊寧県、涸源県(砂地地帯)
新疆ウィグル自治区
風食害・過度開墾・過放牧
ウルムチ市、自治区南部地域
内モンゴル自治区
風食害・過放牧
アラゼン蒙
研究結果
1.住民参加
①砂漠化対処事業が活発な延安市燕溝流域全体と砂漠化対処モデル地区の呉棗元村
の調査結果から、以下のことが明らかになった。
農民は砂漠化対処の必要性を認識しているものの、実際の参加は「退耕還林」をスロ
ーガンとする、補助金を中心とした行政の誘導によるものである。参加の拡大を促すには、
平地での高収入の農業システムの構築などの対策が不可欠である。
②河北省北部豊寧県の砂漠化対処区域での調査結果によって、以下のことが明らかに
21
なった。
中国の砂漠化主導官庁が林業部であるため、植林が優先され、農地が減少し、収入が
減少した農民から不満が続出している。多面的経済価値のある樹種(葉、果実などからも
収益が得られる樹種)が選定されていない。県の林業局局長と郷長(県の下に位置する
牛姓組織の長)が同格であるため、郷の希望や計画が県の施策に取り入れられにくい。
③新疆ウィグル自治区での調査結果から、以下のことが明らかになった。
砂漠化対処が進まない原因は、土地の国有と、植林により減少する農地で収益を上げ
ようとする農民に対する悪徳商法(粗悪種子の販売、詐欺を目的とした契約栽培など)の
横行にある。砂漠化防止に関する政府部門と研究者への調査では、背策と技術を住民
に教えることだけを重視し、住民の環境意識を高めることが重視されていない。新疆ウィグ
ル自治区南部地域では、住民の環境意識は他地域よりも高いが、資金不足によって砂漠
化対処の進展が遅い。
生物生産モデルと農家経済モデルを用いて環境に影響を及ぼす要素の抽出を行った
結果、政府の政策が住民の生活形態と大きく関わり、環境に対してもっとも大きな影響を
及ぼすことを明らかにした。
2.環境教育
複数のベンチマーク地域の調査結果により、中国では近年環境教育が大変重要視さ
れている。しかし、いずれの環境教育も市民を対象としたもので、農民を対象とした環境
教育がほとんどないことは大きな問題である。その上、農民たちは比較的閉鎖的な生活を
しているため、社会で行われている環境教育活動は農民たちにあまり影響を及ぼしてい
ないのが現状である。
農民に対する環境教育は、国の環境回復に関する政策の実行がそれにあたるとされて
いるが、実際に政策を実行するときに環境回復だけを強調し、農民の利益を無視する場
合もある。農民の利益を重視しない環境教育に問題があることが明らかである。
教育を担当する人材不足と経費不足のため、小規模な範囲で環境教育を行うことが成
功のカギである。成功した例をモデルとして社会に宣伝し、あらゆる活動の中で環境教育
を浸透させ、最小のコストで環境教育を行うことも重要である。農民自身の分析により、農
民の基礎学力が低いことが環境教育の内容理解の支障となっていることが分った。そこで、
環境教育をより効果的に行うためには、まず農民たちの基礎教育・義務教育を強化しな
ければならない。また、資源を共有している農民たちにほぼ同レベルの環境意識を持た
せる必要があることがこれまでの研究で示された。さらに、責任と利益を明白にすることは、
農民たちに環境を破壊する行為を放棄させることに有利に働くことが分った。
適切な環境教育教材がないことも教育が遅れている原因の一つである。わずかにある
農民向けの出版物でも、農民の理解力を考えず難しく論述したものが目立つ。農民たち
の現実を考慮に入れ、分かりやすく、面白く、そして受け入れやすい教材の開発をしなけ
ればならない。調査により、テレビは環境情報を獲得するための最も重要な情報源である
とが明らかになったので、ビデオ番組の開発は効果的であると考えられる。また対話形式
22
で直接行われる教育が農民に対して最も有効であるので、今後はそのような形の教育を
強化すべきであると考えられる。また、女性の環境意識は男性より低い傾向があるので、
教育を行う際に、特に女性たちに対して力を入れるべきである。
(第5課題)
「緑化と環境保全のあり方に関する総合的研究」
第5課題は緑化と環境保全に関する総合的研究を行った。
中国の半乾燥地域に位置する黄土高原では森林の伐採、過放牧、過開墾等によりもた
らされる侵食が深刻な環境問題となっている。土壌の侵食を防止し、持続可能な生態環境
を作り上げるため中国政府は 1999 年より「退耕還林」政策を推し進めてきた。この政策によ
り大面積の緑化が行われ、少しずつ環境の回復が図られつつあるが、一方で「土壌中の乾
燥層の拡大」や「生物多様性の消失」という問題も生じつつある。これらの問題の解決と現
地の環境条件に適した植林システムの開発や生態系管理を目的として以下の3つの研究
を行った。研究拠点となった場所は黄土高原の中心都市である延安市南部に位置する公
路山周辺である。
研究1: 外来樹種と郷土樹種の生理生態特性の解明
研究 2: 森林の回復と生物多様性に関する生態学的研究
研究 3: ニセアカシア人工林とリョウトウナラ天然林における生態系機能の比較研究
以下にそれぞれの研究についての主要な結果を要約する。
(研究1): 延安市周辺に生育する樹木種について乾燥耐性の種間差が明らかにされた。
特に北アメリカ原産の外来樹種であるニセアカシアの耐乾性は調査樹種の中で最も低いこ
とが明らかとなった。主要郷土樹種であるリョウトウナラの耐乾性はニセアカシアとほぼ同等
であったが、その他の郷土樹種である Pyrus betulaefolia Rosa, hugonis, Syringa oblata,
Caragana microphylla , Armeniaca sibirica 等は強い耐乾性を示した。また外来樹種のニセ
アカシアとリョウトウナラの間で水利用の特性が異なることも明らかとなった。ニセアカシアの
光合成や蒸散速度はリョウトウナラよりも大きく、外来樹種であるニセアカシアは水を多く消
費しつつ速く成長することが明らかとなった。乾燥地においては水利用の観点から、植林に
は郷土樹種使用が望ましいと考えられた。
(研究2):外来樹種であるニセアカシア人工林とリョウトウナラ天然林では森林の構造や生
物多様性に差が見られることが明らかになった。特に下層植生の種構成において大きな違
いが認められた。ニセアカシア人工林ではニセアカシアの稚樹がほとんどなく、イネ科や広
葉草本が多く生育していた。これに対しリョウトウナラ天然林では多くのリョウトウナラ稚樹が
生育しており、その他の低木も多く生育していた。出現植物の種数はリョウトウナラ林で多く、
豊かな生物多様性が認められた。
また黄土高原にわずかに残存するリョウトウナラ天然林の林分構造や成長過程も明らかと
なった。調査が行われたすべてのリョウトウナラ林は 30-50 年生の個体からなる二次林であ
23
り、北向き斜面の上部から尾根にかけて成立していた。尾根筋に成立したリョウトウナラ林は
多くの後継樹を有し、持続的な森林構造を有していた。リョウトウナラの成長過程に関しては
直径 21.9cm、樹高 9.83mに達するのに約 50 年を有することが明らかとなった。
(研究3):ニセアカシア林とリョウトウナラ林の間で生態水文学的な違いが存在することが明
らかになった。ニセアカシア林の林床は裸地に類似した厳しい環境を示したのに対し、リョウ
トウナラ林の林床は比較的穏やかな環境であった。
ニセアカシア林の土壌は春に特に乾燥し、温度も高温になることが明らかとなり、この時
期における水分欠乏をもたらすことになる。またニセアカシア林はリョウトウナラ林に比べ林
内雨が多い反面浸透能が低いことが明らかとなり、さらにニセアカシア林はリョウトウナラ林
に比べ蒸散や蒸発による水消費が大きい傾向を示した。
また、ニセアカシアのリターの分解はリョウトウナラよりも速く、その結果として、ニセアカシ
ア林での有機物層の消失が認められた。このニセアカシア林土壌における有機物層の不
在が上記のような林床における厳しい環境を生じさせているものと考えられた。
これら3つの研究の結果から、黄土高原において従来行われている外来樹種ニセアカシ
アを用いた緑化システムを評価すると、生物多様性、水利用、養分循環等々の点で天然の
森林に劣り、問題点も多いことが明らかとなってきた。
緑化のシステムや生態系管理は持続性という観点から、本来の植生分布を十分に考慮し
ておこなうことが原則である。この点から、本来草原が成立する地域では、本来の植生であ
る草本や低木等からなる植生に戻すべきであり、水消費が大きく、本来存在しない高木性
樹種の植裁は極力控えるべきである。また、自然環境が高木種の生存を許容する地域にお
いては、高木種を用いた緑化が適当である。しかし、持続性や環境保全の観点から多くの
問題を有する外来樹種を用いた緑化はできるだけ控えるのが良いと考えられる。黄土高原
においてもニセアカシアの人工林を郷土樹種からなる森林に変えてゆくことが望ましいと考
えられた。
第5課題:緑化と環境保全のあり方に関する総合的研究
自然植生
(リョウトウナラ林)
vs
人工植生
(外来樹種ニセアカシア林)
どちらが持続的?
比較研究結果
先枯れや枯死が目立つニセアカシア人工林
郷土樹種から成るリョウトウナラ自然林
①不適切な場所に植えられたニセアカシア林では先枯れや枯死が目立
②今まで植林が進められてきたニセアカシアは乾燥耐性において郷土樹種に劣
③ニセアカシアは郷土樹種のリョウトウナラに比べ水消費が大き
④ニセアカシア林の生物多様性はリョウトウナラ自然林に劣
持続的な森林の造成を目指した緑化計画
環境が厳しく、環境保全を目的とした緑化では郷土樹種を主体とした
緑化が必要
24
(第1課題:砂漠化の過程と影響の解明)
1)SCI 論文
Kato, T., R. Kimura and M. Kamichika, Estimation of Evapotranspiration, Transpiration Ratio and Water
Use Efficiency from a Sparse Canopy using a Compartment Model, Agric. Water. Management, 65,
173-191 (2004)
Kimura, R., S. Okada, H. Miura and M. Kamichika, Relationships among the leaf area index, moisture
availability, and spectral reflectance in an upland rice field, Agric. Water. Management, 69, 83-100
(2004)
Kimura, R., Y. Liu, N. Takayama, X. Zhang, M. Kamichika and N. Matsuoka, Heat and water balances of
the bare soil surface and the potential distribution of vegetation in the Loess Plateau, China. Journal
of Arid Environments, 63, 439-457 (2005)
Kimura, R., J. Fan, X. Zhang, N. Takayama, M. Kamichika and N. Matsuoka, Evapotranspiration over
the grassland field in the Liudaogou basin of the Loess Plateau. Acta Oecologica (2005) (in press)
2)査読付論文
東季実子・小林達明, アズマネザサ(Pleioblastus chino Makino)の生育に及ぼす植生・土壌・地形の影
響, 日緑工誌, 29, 131-134 (2003)
市川貴大・高橋輝昌・浅野義人・小林達明, FDA(フルオレセイン・ジアセテート)加水分解活性を用い
た森林土壌の微生物活性の簡易測定, 森林立地, 44, 15-22 (2002)
伊藤健吾・江塚友康・大槻恭一・神近牧男, 反射スペクトルによる芝の塩・水ストレス診断, 農業気象,
59(2), 199-204 (2003)
木村玲二・高山成・神近牧男・松岡延浩, 黄土高原における土壌水分と熱収支 -土壌 3 層モデル内
のパラメーターの決定とモデル計算の結果-, 農業気象, 60(1),55-65 (2004)
Kimura, R., M. Kamichika, N. Takayama, N. Matsuoka and X. Zhang, Heat balance and soil moisture in
the Loess Plateau, China, J. Agr. Meteorol, 60(2), 103-113 (2004)
Kimura, R., Y. Liu, N. Takayama, M. Kamichika, N. Matsuoka and X. Zhang, Heat balance and soil
water content for bare soil surfaces in the Loess Plateau, China, J. Agr. Meteorol, 60(5), 1013-1016
(2005)
小林達明, 砂漠化研究における風食の予測モデルと地域研究の重要性, ランドスケープ研究, 66(2)
1-5 (2002)
小林達明, 砂漠化研究における風食の予測モデルと地域研究の重要性, ランドスケープ研究, 66,
86-90 (2002)
Kobayashi, T., S. Nakayama, L. Wang, G. Li and J. Yang,Socio-ecological analysis of desertification in
the Mu-Us Sandy Land with satellite remote sensing, Landscape Ecol. Eng., 1, 17-24 (2005)
今久・山本雄介・松岡延浩, 日本における気候学的 UV-B メッシュ図の作成, 農業気象, 59(1), 35-41
(2003)
Liu, L., H. Kon and N. Matsuoka, Measurement of Stomatal Conductance and Transpiration in Maize
(Zea mays L.) in Fields, J. Agr. Meteorol., 60(5), 533-536 (2005)
Matsuoka N., S. Hoshikawa, K. Deguchi, M. Shirahata and H. Kon, Estimation of Water Loss from Cut
25
Timothy Swaths in the Field by Meteorological Factors, Proc. of Int. Conference on Research
Highlights and Vanguard Technology on Environmental Engineering in Agricultural Systems,
293-297 (2005)
Matsuoka, N, S. Nakano, K. Yamagiwa, M. Kamichika, G. Yu, T. Inoue, H. Kon and L. Liu, Change of
Precipitation Distribution in Yellow River Basin for Recent 40 Years, J. Agr. Meteorol, 60(5),
893-896 (2005)
松浦光明・小林達明・有田ゆり子, 大径木化したコナラ二次林の萌芽更新規定要因, 日緑工誌, 28,
115-120(2002)
松浦光明・東季美子・小林達明, 狭山丘陵のコナラ二次林における伐採・下刈管理と草本層種組成の
関係, 日本緑化工学会誌, 30, 121-126 (2004)
Nakano, S., N. Matsuoka, M. Kamichika, G. Yu, H. Kon and L. Liu, Variation of Minimum Water
Requirement for Plants in Yellow River Basin, J. Agr. Meteorol, 60(5), 1017-1020 (2005)
Nakano S., N. Matsuoka, M. Kamichika, R. Kimura, H. Kon and X. Zhang, Estimation of Soil Water
Content by Simple Meteorological Components in the Loess Plateau, China, Proc. of Int.
Conference on Research Highlights and Vanguard Technology on Environmental Engineering in
Agricultural Systems, 17-23
岡田周平・神近牧男, 鳥取砂丘における砂移動と気象因子の関係, 日本砂丘学会誌, 49(1), 11-20
(2002)
Okatsu, K., R. Kimura and M. Kamichika, Estimation of evaporation from a bare soil surface using a
zero-flux plane method, J. Agr. Meteorol, 60(5), 1089-1092 (2005)
小澤徹三・小林達明, 樹幹における熱収支の検討, 森林立地, 45, 75-80 (2003)
白龍・小林達明・李裕元・張興昌・邵明安・神近牧男, 中国黄土高原北部の六道溝試験地における植
生発達抑制とその要因に関する研究, 日本緑化工学会誌, 30(1), 187-192 (2004)
白龍・高橋輝昌・小林達明・張興昌・邵明安・神近牧男, FDA 加水分解活性法による黄土高原北部の
半乾燥地帯における土壌微生物活性の測定と活性支配要因, 日本緑化工学会誌, 31, 87-91,
(2005)
齊藤忠臣・安部征雄・安田裕・山田興一, 乾燥地植林のための高透水性溝による流出水捕集浸透促
進と蒸発抑制, 沙漠研究, 12, 107-116 (2002)
佐々木喜一・木村玲二・伊志嶺正人・大田守也, 宮古島サトウキビ畑における蒸発散量,農業気象,
61(1), 77-81 (2005)
下瀬龍・木村玲二・石島英, 沖縄本島都市域における熱収支の季節変化, 水文水資源学会誌, 15(1),
51-59 (2002)
鈴鹿淳一・安田裕・猪迫耕二・田熊勝利・大野香織, 塩類集積時に生じる塩結晶のデジタル解析, 砂
丘学会誌, 51, 27-32 (2004)
Takayama, N., R. Kimura, M. Kamichika, N. Matsuoka and X. Zhang, Climatic features of rainfall in the
Loess Plateau, China, J. Agr. Meteorol, 60(3), 173-189 (2004)
安田裕・川戸渉・安部征雄・山田興一, 乾燥地月降雨量時系列と海水面温度、南方振動及び太陽黒
点周期変動との関係について, 沙漠研究, 13, 131-138 (2003)
Yasuda, H., K. Wang, M. A. E. M. Ahmed, H. Anyoji and X. Zhang, Analyses of Rainfall Time Series in
26
the Loess Plateau of China. Periodical fluctuation and links with sea surface temperature, J. Agr.
Meteorol, 60(5), 617-620 (2005)
Yu, Gui-Rui, T. Kobayashi, J. Zhuang, Q. Wang and L. Qu, A coupled model of
photosynthesis-transpiration based on the stomatal behavior for maize (Zea mays L.) grown in the
field, Plant and Soil, 249, 401-416(2003)
3)その他の論文
木村玲二, 中国黄土高原における裸地面の熱収支・水収支と植物分布力の潜在性, 畑地農業, 554,
14-20 (2005)
松岡延浩, 黄河流域の農業地帯に近年頻発する干ばつの発生機構の解明と対策のための現地調査,
平成 13 年度~15 年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(1))研究成果報告書 (2004)
西川僚子・村上拓彦・大槻恭一・木村玲二・溝上展也・吉田茂二朗, リモートセンシングデータおよび地
上測定データからみた竹林の分光反射特性の季節変動, 九州森林研究, 58,119-112 (2005)
矢野裕幸・岡田周平・高山成・木村玲二・神近牧男, 鳥取砂丘の砂移動について-砂面変動の面的
解析-, 中国四国の農業気象, 17, 2-7 (2004)
4)著書
木村玲二(分担執筆), 生物環境物理学の基礎 第 2 版 久米篤・大槻恭一・熊谷朝臣・小川滋監訳,
pp.39-53, 森北出版, 東京 (2003)
木村玲二(分担執筆), 日本農業気象学会中国・四国支部 中国四国地域の農業気象, pp.20-37, 農
林統計協会, 東京 (2003)
木村玲二(分担執筆), 局地気象学 堀口郁夫・小林哲夫・塚本修・大槻恭一,pp.115-123, 森北出版,
東京 (2004)
小林達明(分担執筆), 生態遷移, 亀山章編「生態工学」, 朝倉書店, pp.68-73 (2002)
小林達明(分担執筆), 緑地植物の生理と生態・緑地植物の生育と気象条件, 緑と環境設計編集委員
会編「緑と環境設計」, エヌジーティ, pp.67-73, 87-90 (2002)
小林達明ほか編, 「環境緑化の事典」, 朝倉書店, 484p (2005)
(第2課題:砂漠化防止計画の作成)
1)SCI 論文
Aydin, M., S. L. Yang, N. Kurt and T. Yano, Test of a simple model for estimating evaporation from bare
soil in different environments, Ecological Modelling, 182, 91-105 (2005)
Endo, T., S. Yamamoto, T. Honna and A. E. Eneji, Sodium-Calcium Exchange Selectivity as Influenced
by Clay Minerals and Composition, Soil Science, 167, 117-125 (2002)
Eneji, A. E., B. B. Ayade, B. F. D. Oko, S. Yamamoto, T. Honna and T. Endo, Influence of Forest
Clearing Methods on Nutrient Uptake of Some Tropical Food Crops. Journal of Forest Research, 6,
31-35 (2001)
Eneji, A. E., S. Yamamoto and T. Honna, Rice Growth and Nutrient Uptake as Affected by Livestock
Manure in Four Japanese Soils, American J. Plant Nutrition, 24, 333-343 (2001)
Eneji, A. E., S. Yamamoto, T. Honna and A. Ishiguro, Physicochemical changes in livestock feces during
27
composting, Communications in Soil Science and Plant Analysis, 32(3&4), 477-489 (2001)
Eneji, A. E., T. Honna and S. Yamamoto, Manuring effect on rice grain yield and extractable trace
elements in soils, American J. Plant Nutrition, 24, 967-977 (2001)
Eneji, A. E., T. Honna, S. Yamamoto, T. Saito and T. Masuda, Nitrogen transformation in four Japanese
soils following manure + urea amendment, Communications in Soil Science and Plant Analysis, 33
(1&2), 53-66 (2002)
Eneji, A.E., A. Agboola, E.A. Aiyelari, T. Honna, S. Yamamoto, M. Irshad and T. Endo, Soil Physical
and Micronutrient Changes Following Clearing of a Tropical Rainforest, J. For Res., 8, 215-219
(2003)
Eneji, A.E., M. Irshad, T. Honna, S. Yamamoto, T. Endo and T. Masuda, Potassium, Calcium and
Magnecium Mineralization in Manure-Treated Soils, Comm. Soil Sci. Plant Anal.,34,1669-1679
(2003)
Eneji, A.E., T. Honna, S. Yamamoto, T. Masuda, T. Endo and M. Irshad, Changes in Humic Substances
and Phosphorus Fractions during Composting, Comm.Soil Sci.Plant Anal.,34,2303-2314 (2003)
Eneji, A.E., T. Honna, S. Yamamoto and M. Irshad, The Relationship Between Total and Available
Heavy Metals in Composted Manure, Journal of Sustainable Agriculture, 23 (1), 125-134 (2003)
Eneji, A.E., T. Honna, S. Yamamoto and T. Masuda, The influence of composting conditions on plant
nutrient concentrations in manure compost, J. Plant Nutr., 26 (8), 1595‐1604 (2003)
Honma, H., T. Honna, S. Yamamoto and H. Shindo, Microscopic observation of charred plant fragments
isolated from several ando soil samples by the specific gravity method, Soil Sci. Plant Nutr., 48(6),
871-875 (2002)
Horikawa, Y., T. Kitamura and T. Honna, Semiquantitayive determination of imogolite and Al-rich
allophane (Si/Al=1:2) in some volcanic ash soils in San'in region by combination of thermogravimetry
-Differential thermal analysisi and trimethylsilyation analysis of soil clays, Soil Science and Plant
Nutrition, 48(6), 779-786 (2002)
Irshad, M., S. Yamamoto, A. E. Eneji, T. Honna and T. Endo, Urea and Manure Effect on Growth and
Mineral Contents of Maize (Zea mays L.) under Saline Conditions, American J. Plant Nutrition,25,
189-200 (2002)
Irshad, M., T. Honna, A. E. Eneji and S. Yamamoto, Wheat Response to Nitrogen Source under Saline
Conditions, Am. J. Plant Nutrition, 25(12), 2603-2612 (2002)
Irshad, M., T. Honna, S. Yamamoto, A. E. Eneji and N. Yamasaki, Nitrogen Mineralization under Saline
Conditions. Commun. Soil Sci. Plant Anal., 36 (11 &12), 1681-1689, (2005)
Shindo, H., T. Honna, S. Yamamoto and H. Honma, Contribution of charred plant fragments to soil
organic carbon in Japanese volcanic ash soils containing black humic acids, ORGANICGEOCHEMISTRY, 35 (3), 235-241 (2004)
Yang, S. L., T. Yano, M. Aydin, Y. Kitamura and S. Takeuchi, Short term effects of saline irrigation on
evapotranspiration from lysimeter-grown citrus trees, Agricultural Water Management, 56, 131-141
(2002)
Yang, S.L., S. Takeuchi, T. Yano and Y. Kitamura, Evapotranspiration from citrus trees growing in
28
sandy soil under drip irrigation with saline water, Science in China (Series D), 45, 41-46 (2002)
Yang, S.L., M. Aydin, T. Yano and X. Li, Variations in evapotranspiration of orange trees in greenhouse
lysimeters, Irrigation Science, 21(4), 145-149 (2003)
2)査読付論文
Anyoji, H. and Yasuda, H., Procedure for determining the parameters in linear and non-linear
infiltration equations, 日本砂丘学会誌, 51(3), 131-144 (2005)
遠藤常嘉・本名俊正・井上光弘・井上敦央・本城和則・藤巻晴行・山本定博・山本太平, 砂質土壌下に
おける連続および間断灌漑に伴う塩と水の動態 -塩分動態モニタリングシステムの適用-, 日本砂
丘学会誌, 49(3), 63-83 (2003)
Eneji, A. E., S. Yamamoto, G. Wen, S. Inanaga and T. Honna, A comparative evaluation of wet digestion
and dry ashing methods for the determination of some major and minor nutrients in composted
manure, Toxicological & Environmental Chemistry, 87(1), 1-12 (2005)
Haytham, E., M. Irshad, A. M. El-Serfy, T. Honna, A. K. S. Hassan, T. Mohamed, E. Mahmoud and S.
Yamamoto, Effect of Water Quality on Grain Yield and Nutrient Uptake of Rice (Oryza sativa L.),
Acta Agronomica Hungarica, 52(2), 141-148 (2004)
Haytham, E., A. K. S. Hassan, M. Irshad, T. Honna, T. Endo and S. Yamamoto, Effect of Water Quality
on Bioavailability and Extractability of Heavy Metals in Paddy Soil Conditions, J. Sand Dune
Research, 51, 111-120 (2005)
飯村康二・本名俊正・山本定博・岡崎宏樹・沖田智・川上健太郎, 鳥取県 の砂丘における土壌生成 ・
砂丘土壌中の粘土鉱物について, ペドロジスト, 45(2), 84-93 (2001)
Irshad, M., S. Yamamoto, A. E. Eneji, T. Honna and T. Endo, Influence of Composted Manure and
Salinity on Growth and Nutrient Content of Maize Tissue, J. Sand Dune Research, 49(1), 1-10
(2002)
Irshad, M., A. E. Eneji, T. Honna, S. Yamamoto and T. Endo, Nitrogen Use and the Relationship
Between Maize Biomass and Nutrient Uptake under Saline and Non-saline Soils, J. Sand Dune
Research, 49(2), 49-56 (2002)
Irshad, M., S. Yamamoto and T. Honna, Trace Elements Solubilization in Waste Amended Saline-Sodic
Conditions, J. Food, Agriculture & Environment, 2(3&4), 254-258 (2004)
Irshad, M., T. Endo, T. Honna, S. Yamamoto and A. E. Enji, The Reclamation of Saline Wastelands by
Halophytes, J. Arid Land Studies, 14(4), 199-207 (2005)
Irshad, M., T. Honna, S. Yamamoto, M. Kato, T. Endo and A. Zahoor, Interaction of Saline Water and
Nitrogen on the Partitioning and Statistical Correlation of Mineral Elements in Maize Plant, Acta
Agronomica Hungarica, 52(2), 149-156 (2004)
Irshad, M., T. Honna, S. Yamamoto, T. Endo, A. E. Eneji and N. Yamasaki, The Effect of Salt Types on
Nitrogen Release in Manured Soil, Sand Dune Research, 51(2), 67-74 (2004)
韓文軍・濱村邦夫, アッケシソウ属植物(Salicornia bigelovii Torr.)の生育及び養分吸収に及ぼす塩処
理の影響, 沙漠研究, 14(2), 75-80 (2004)
29
韓文軍・濱村邦夫・劉書潤, 内モンゴル中西部の塩集積地の主要植物の特徴及び目録, 沙漠研究,
14(3), 147-155 (2004)
Kitamura, Y. and T. Yano, Irrigation infrastructure needed to secure self-sufficiency in food in
Sub-Saharan Africa, Jpn. J. Trop. Agr., 45(4), 266-274 (2001)
北村義信・矢野友久, 中央アジア灌漑農地の塩類集積による水土の劣化と防止対策, 農業土木学会
誌, 70(7), 21-25 (2002)
北村義信・矢野友久, SSA 地域における食料問題と灌漑・農村開発の展望, 農業土木学会誌, 70(11),
23-27 (2002)
北村義信, サブサハラ・アフリカにおける食料・水問題と農村開発の展望, 沙漠研究, 13(2), 109-122
(2003)
近藤謙介・中田昇・西原英治・濱村邦夫, 紅色非硫黄細菌(Rhodobactor sphaeroides)処理廃糖蜜液が
ホウレンソウの生育と品質に及ぼす影響, 農業生産技術管理学会誌, 11, 2, 49-54 (2004)
Miyamoto, K., T. Yamamoto and H. Anyoji, Crisis management of water shortage in an irrigation area
with a pipe line network system, Paddy and Water Environment, 2, 59-65 (2004)
Ogata, H., S. Sato, S. Yamamoto, K. Otsuki, K. Hassan and K. Hattori, Durability of concrete soaked in
drainage water of salt accumulated fields, J.Sand Dune Research, 48(3), 109-114 (2002)
Oko, B. F. D., A. E. Eneji, W. Binang, M. Irshad, S. Yamamoto and T. Honna, Effect of Foliar
Application of Urea on Reproductive Abscission and Grain Yield of Soybean, J. Plant Nutrition, 26
(6), 1223-1234 (2002)
進藤晴夫・牛島夏子・本名俊正・山本定博・本間洋美, 黒ボク土における植物炭化物の分布と腐植組
成あるいは非晶質 Al 成分との関係,日本土壌肥料学雑誌,74(4), 485-492 (2003)
Solomon, H., Y. Kitamura and K. Hasegawa, The periodic droughts and food insecurity in Ethiopia: from
water resources perspectives, Journal of Arid Land Studies, 14(2), 91-103 (2004)
Solomon, H., Y. Kitamura, Z. Li, S. Yamamoto, S. L. Yang, P. Li, A. Waleed and K. Otagaki,
Classification of Salinization Processes in Luohui Irrigation Scheme, China -Part of water
management research to prevent salinization in semiarid land-, Journal of Arid Land Studies, 15(2),
23-39 (2005)
Tospornsampan, J., I. Kita, M. Ishii and Y. Kitamura, Operating rule curves for multiple reservoir
system -a case study in Mae Klong River Basin, Thailand, Journal of Rainwater Catchment System,
9(2), 11-19 (2004)
Tospornsampan, J., I. Kita, M. Ishii and Y. Kitamura, Discrete differential dynamic programming and
neural network on deriving a general operating policy of a multiple reservoir system -a case study in
the Mae Klong system, Thailand-, Journal of Rainwater Catchment System, 11(1), 1-9 (2005)
Tospornsampan, J., I. Kita, M. Ishii and Y. Kitamura, Optimization of a multiple reservoir system
operation using a combination of genetic algorithm and discrete differential dynamic programming: a
case study in Mae Klong system, Thailand, Journal of the International Society of Paddy and Water
Environment Engineering, 3(1), 29-38 (2005)
Tospornsampan, J., I. Kita, M. Ishii and Y. Kitamura, Optimization of a multiple reservoir system using
a simulated annealing -a case study of genetic algorithm and discrete differential dynamic
30
programming: a case study in Mae Klong system, Thailand, Journal of the International Society of
Paddy and Water Environment Engineering, 3(3) (2005) (in press)
内山知二・山本定博・藤山英保・本名俊正, 光学式水分センサーによる砂質土壌の水分計測における
塩類の影響, 日本砂丘学会誌, 50(3), 105-110 (2004)
Waleed, A., Y. Kitamura, H. Solomon, M. Meleha and K. Hasegawa, Effect of Subsurface Drainage on
Rice Cultivation and Soil Salinity in the Nile Delta, Transactions of The Japanese Society of
Irrigation, Drainage and Reclamation Engineering, 73(2), 43-52 (2005)
Xu, Z., G. Cheng, A. Long, Z. Zhang and K. Hamamura, Applying information entropy to decide sample
amount and content in contingent valuation survey, Pakistan Journal of Social Sciences, 2(3),
171-175 (2004)
Yamada, M., M. Uehira, L. S. Hun, K. Asahara, T. Endo, A.E. Eneji, S. Yamamoto, T. Honna, T.
Yamamoto and H. Fujiyama, Amelioraitive effect of K-type and Ca-type artificial zeolite on the
growth of beets in saline soils, Soil Sci. Plant Nutri., 48(5), 651-658 (2002)
Yamada, S., Y. Kawai, M. Yamanouchi, N. Yamanaka, T. Endo, and H. Manab, Comparison of the
Mineral Distribution Characteristics of Seven species of Plant Growing on Tottori Costal Sand Dune
during Summer and Early Autumn, J. Sand Dune Research,51,75-81 (2004)
山田俊雄・秋場宣吉・矢野友久・北村義信, 葉温測定によるトウモロコシ圃場からの蒸散量の推定, 沙
漠研究, 14(1), 17-26 (2004)
山田俊雄・大東信仁・北村義信, 地表面近くの地温測定による乾燥裸地面における純放射量の推定,
沙漠研究, 15(1), 19-26 (2005)
Yasuda, H., K. Wang, A. Mohamed, H. Anyoji and X. Zhang, Analyses of rainfall time series in the Loess
Plateau of China - periodical fluctuation and links with sea surface temperature -, J. Agr. Meteorol,
60(5), 617-620 (2005)
3)その他の論文
安養寺久男, ルーマニアにおける環境保護への取り組み, 畑地農業, 544, 20-31 (2004)
安養寺久男, ルーマニアにおける環境保護への取り組み(その2), 畑地農業, 545, 11-30 (2004)
安養寺久男, ルーマニアの灌漑施設が直面している課題, 農林水産技術研究ジャーナル, 27(11),
49-52 (2004)
安養寺久男, 畑地灌漑に関する研究の推移, 畑地農業, 546, 11-24 (2004)
安養寺久男・安田裕, 灌漑における水の利用効率向上の必要性, 日本砂丘学会誌, 52(2), 51-68
(2005)
遠藤常嘉, 過酷な栽培環境 -乾いた大地に豊かな農地に-, 日本砂丘学会市民公開講座, 17-25
(2003)
Eneji, A. E., T. Honna, S. Yamamoto, T. Masuda, T. Endo and M. Irshad, The Changes in Total and
Available Heavy Metals during Manure Composting. International Symposium Compost Utilizatio,
(Proceedings),1420-1428 (2002)
濱村邦夫,アジアの砂漠化問題,アジア遊学 No.75 特集:「黄河は流れず アジアの水問題」,勉誠出
版,pp.27-36 (2005)
31
北村義信, 乾燥地の灌漑農地における水管理の実態と今後の課題,農業環境工学関連4学会 2001
年合同シンポジウム「21世紀の水資源問題を考える」, 346-353 (2001)
北村義信, サブサハラ・アフリカにおける食料需給の現状と将来展望からみた灌漑の重要性, ARDEC,
22, 20-23 (2001)
北村義信, Key Note サブサハラ・アフリカに希望を見出すことができるか~食料問題の解決に向けて
~, 海外情報誌 ARDEC, 23, 13-18 (2002)
北村義信, 巻頭言 サブサハラ・アフリカの食料・貧困問題解決に向けて-ひとすじの光明:ネリカ米普
及の兆し-, 世界の農林水産, (社)国際食糧農業協会, 7月号:2-3 (2002)
北村義信, カザフスタンの灌漑農地保全対策 -クジルオルダ州における塩類集積の実態と対策-,
日本砂丘学会市民公開講座「砂丘研究の明日をめざして(Ⅴ)-乾燥アジア諸国における自然と農
業」, 1-11 (2002)
北村義信, 中央アジア灌漑農地の塩類集積による水土の劣化と防止対策, 国際協力フォーラム in
ISHIKAWA 日本砂丘学会市民公開講座「世界各国における乾燥地農業振興と水環境」, 4-7
(2002)
北村義信, 西アフリカの地理的条件と水資源の利用, JIRCAS アフリカ農業研究セミナー, 国際農林水
産業研究センター (2003)
北村義信, 中央アジア灌漑農地の塩類集積による水土の劣化と改善対策, 日本農業工学会第 19 回
シンポジウム「地球環境問題と農業生産環境の改善」, 25-33 (2003)
Kitamura, Y., T. Yano, T. Honna and S. Yamamoto, Irrigation-induced salinity problems and remedial
measures in the Aral Sea Basin -Research on water management to prevent secondary salinization in
rice-based cropping system in arid land-, Proc. 1st International Conference on Hydrology and
Water Resources in Asia Pacific Region (APHW2003), 2, 631-637 (2003)
Kitamura, Y., T. Yano, S. Yamamoto, T. Honna and K. Inosako, Mechanism of Secondary Salinization
Related to Water Management in Irrigated Lands under Rice-Based Cropping System in Lower Syr
Darya Region of Aral Sea Basin, APHW, 2, 914-921 (2004)
北村義信,シルダリヤ川流域におけるソ連崩壊後の水問題,地理月報 487, 二宮書店, pp.5-8 (2005)
北村義信・猪迫耕二・山本定博,国際河川流域における上下流間の利水競合と調整(中央アジア諸
国)-小アラル・シルダリア川流域におけるソ連崩壊後の水問題-,国際協力の最前線から-途上
国の食料・農業・農村-,まなびピア鳥取 2005 in 鳥取大学,23-36 (2005)
山本定博, 黒ぼく土の腐植を特徴づけるための簡易な腐植分析法-室温抽出腐植腐植溶液の光学
性により腐植の性質を判定する(1)- 現代土壌肥料学の断面[23], 農業および園芸, 77(12),
1321-1326 (2002)
山本定博, 一目瞭然, ペドロジスト, 46(2), 57 (2002)
山本定博, 黒ぼく土の腐植を特徴づけるための簡易な腐植分析法-室温抽出腐植腐植溶液の光学
性により腐植の性質を判定する(2)-現代土壌肥料学の断面[24], 農業および園芸, 78(1), 84-87
(2003)
4)著書
本名俊正・山本定博・遠藤常嘉(分担執筆), 地球環境問題と土壌の劣化,三枝正彦,木村眞人編,土
32
壌サイエンス入門,pp.249-260,文永堂出版,東京 (2005)
Kitamura, Y.(分担執筆), Characteristics of the hydrologic environment, Restoration of inland valley
ecosystems in West Africa, Edited by S. Hirose and T. Wakatsuki, Association of Agriculture &
Forestry Statistics, Tokyo, pp.137-173 (2002)
Kitamura, Y.(分担執筆), Climatic characteristics, Ecological Environment of West Africa, Restoration
of inland valley ecosystems in West Africa, Edited by S. Hirose and T. Wakatsuki, Association of
Agriculture & Forestry Statistics, Tokyo, pp.83-91 (2002)
北村義信(分担執筆),熱帯農業事典,日本熱帯農業学会編,養賢堂,東京 (2003)
(第3課題:適正技術と代替システムの開発)
1)SCI 論文
Ahmed, N. E., H. O. Kanan, S. Inanaga, Y. Ma and Y. Sugimoto, Impact of pesticide seed treatments on
aphid control and yield of wheat in the Sudan, Crop protection, 20(10), 929-934 (2001)
Ahmed, N. E., Y. Sugimoto, A. G. T. Babiker, O. E. Mohamed, Y. Ma, S. Inanaga and H. Nakajima,
Effects of Fusarium solani isolates and metabolites on Striga germination, Weed Science, 49 (3),
354-358 (2001)
An, P., S. Inanaga, U. Kafkafi, A. Lux and Y. Sugimoto, Different effect of humidity on growth and salt
tolerance of two soybean cultivars, Biologia Plantarum, 44 (3), 405-410 (2001)
An, P., S. Inanaga, A. Lux, X. J. Li, M. E. K. Ali, T. Matsui and Y. Sugimoto, Effects of salinity and
relative humidity on two melon cultivars differing in salt tolerance, Biologia Plantarum, 45(3),
409-415 (2002)
An, P., S. Inanaga, Y. Cohen, U. Kafkafi and Y. Sugimoto, Salt tolerance in two soybean cultivars,
Journal of Plant Nutrition, 25 (3), 407-423 (2002)
Badawi, G.H., Y. Yamauchi, E. Shimada, R. Sasaki, N. Kawano and K. Tanaka, Enhanced tolerance to
salt stress and water deficits by overexpressing superoxide dismutase in tobacco (Nicotiana
tabacum) chloroplasts, Plant Sci., 166(4), 919-928 (2004)
Badawi, G.H., Y. Yamauchi, E. Shimada, R. Sasaki, N. Kawano, A. Kubo and K. Tanaka, Enhanced
tolerance to salt stress and water deficits by overexpressig ascorbate peroxidase in tobacco
(Nicotiana tabacum) chloroplasts, Physiol. Plant., 121, 1-8 (2004)
DehghaniSanij, H., T. Yamamoto, V. Rasiah, J. Utsunomiya and M. Inoue, Impact of biological clogging
agents on filter and emitter discharge characteristics of microirrigation systems, Irrigation and
Drainage, 53(4), 363-373 (2004)
Deng, X., L. Shan, S. Inanaga and M. Inoue, Water-saving approaches for improving wheat production,
Journal of Science of Food and Agriculture, 85(8), 1379-1388 (2005)
Ella, E.S., N. Kawano, Y. Yamauchi, K. Tanaka and A.M. Ismail, Blocking ethylene perception enhances
flooding tolerance in rice seedlings, Func. Plant Biol., 30, 813-819 (2003)
Eltayeb, A.E., N. Kawano, G. H. Badawi, H. Kaminaka, T. Sanekata, I. Morishima, T. Shibahara, S.
Inanaga and K. Tanaka, Enhanced tolerance to ozone and drought stresses in transgenic tobacco
overexpressing dehydroascorbate reductase in cytoso, Physiologia Plantarum (2005) (in press)
33
Fujimaki H. and M. Inoue,Flux-Controlled Steady Evaporation Method for Determining Unsaturated
Hydraulic Conductivities in Low Pressure Range,Soil Science,168 (6), 1-11 (2003)
Fujimaki, H., S. Shiozawa and M. Inoue,Effect of Salty Crust on Soil Albedo,Agricultural and Forest
Meteorology, 117(3-4), 125-135 (2003)
Fujimaki, H., M. Inoue and K. Konishi, A Multi-step Inflow Method for Estimating Hydraulic
Conductivity at Low Pressure under Wetting Process, Geoderma, 120, 177-185 (2004)
Haraguchi T., S. K. Saptomo, K. Inosako, K. Yuge, K. Mori and Y. Nakano, Numerical estimation of
evapotranspiration rate in a greenhouse, J. of Agri. Meteorol., 60(5), 669-672 (2005)
Inosako K., F. Yuan and S. Miyamoto, Simple methods for estimating outflow salinity from inflow and
reservoir storage, Agricultural Water Management (2005) (in press)
Kosugi, K. and M. Inoue,Estimation of Hydraulic Properties of Vertically Heterogeneous Forest Soil
from Transient Matric Pressure Data,Water Resources Research, 38(12), 1322, doi:10. 1029/2002
WR001546 (2002)
Lux, A., M. Luxova, T. Hattori, S. Inanaga and Y. Sugimoto, Silicification in sorghum (Sorghum bicolor)
cultivars with different drought tolerance, Physiologia Plantarum, 115(1), 87-92 (2002)
Matsui, T., S. Inanaga, T. Shimotashiro, P.An and Y. Sugimoto, Morphological characters related to
varietal differences in tolerance to deep sowing in wheat, Plant Production Science, 5(2), 169-174
(2002)
Nishihara, E., M. Inoue, K. Kondo, K. Takahashi and N. Nakata,Spinach yield and nutritional quality
affected by controlled soil water matric head,Agricultural Water Management, 51, 217-229 (2001)
Nishihara, E., K. Kondo, M. M.Parvez, K. Takahashi, K. Watanabe and K. Tanaka, Role of
5-aminolevulinic Acid (ALA) on active oxygen-scavenging system in NaCl-treated spinach (Spinacia
oleracea) , J. Plant Physiol., 160(9), 1085-1091 (2003)
Osaki, M., T. Shinano, T. Kaneda, S. Yamada and T. Nakamura, Ontogenetic changes of photosynthesis
and dark respiration rates in relation to nitrogen content in individual leaves of field crops.,
Photosynthetica, 39(2), 205-213 (2001)
Osaki, M., S. Yamada, T. Ishizawa, T. Watanabe, T. Shinano, S. J. Tuah and M. Urayama, Mineral
characteristics of leaves of plants from different phylogeny grown in various soil types in the
temperate region, Plant Foods for Human Nutrition, 58, 117-137 (2003)
Osaki, M., S. Yamada, T. Ishizawa, T. Watanabe, T. Shinano, S.J. Tuah and M. Urayama, Mineral
characteristics of the leaves of 166 plant species with different phylogeny in the temperate region,
Plant Foods for Human Nutrition, 58, 139-152 (2003)
Osaki, M., T. Shinano, M. Yamada and S. Yamada, Function of node unit in photosynthate distribution
to root in higher plants, Photosynthetica, 42, 123-131 (2004)
Qi, Y., Y. Yamauchi, J. Ling, N. Kawano, D. Li and K. Tanaka, Cloning of a putative
monogalactosyldiacylglycerol synthase gene from rice plants (Oryza sativa L.) and its expression in
response to submergence and other stresses, Planta, 219, 450-458 (2004)
Qi, Y., Y. Yamauchi, J. Ling, N. Kawano, D. Li and K. Tanaka, Identification and cloning of a
submergence induced gene OsGGT (glycogenin glucosyltransferase) from rice (Oryza sativa L.) by
34
suppression subtractive hybridization, Planta, 221, 437-445 (2005)
Qi, Y., Y. Yamauchi, J. Ling, N. Kawano, D. Li and K. Tanaka, The submergence induced gene OsCTP
in rice (Oryza sativa L.) is similar to Escherichia coli cation transport protein ChaC, Plant Sci.,
168(1), 15-22 (2005)
Sugimoto, Y., H. A. A. Babiker, T. Saisho, T. Furumoto, S. Inanaga and M. Kato, Chlorinated alkaloids
in Menispermum dauricum DC. root culture, Journal of Organic Chemistry, 66 (10), 3299-3302
(2001)
Sugimoto, Y., M. Miyamoto, S. Inanaga and N. E. Ahmed, Non-host plant tissue cultures produce
haustorial inducing substance for root parasitic weedStriga hermonthica, Recent Research
Developments in Phytochemistry, 5, 1-10 (2001)
Sugimoto, Y., N. E. Ahmed, N. Yasuda and S. Inanaga, Trichothecene inhibitors of Striga hermonthica
germination produced by Fusarium solani, Weed Science, 50(5), 658-661 (2002)
Toride, N., M. Inoue and F.Leij,Hydrodynamic Dispersion in an Unsaturated Dune Sand,Soil Sci. Soc.
Am. J.,67, 703-712 (2003)
Wen, G., J.J. Schoenau, T. Yamamoto, M. Inoue,A model of oxidation of an elemental sulfur fertilizer in
soils,Soil Science 166(9),607-613 (2001)
Wen, G., T. Mori, T. Yamamoto, J. Chikushi and M. Inoue,Nitrogen recovery of coated fertilizers and
influence on peanut seed quality for peanut plants grown in sandy soil,Communications in Soil
Science and Plant Analysis, 32(19&20), 3121-3140 (2001)
Wen, G., J. J. Schoenau, S. P. Mooleki, S. Inanaga, T. Yamamoto, K. Hamamura, M. Inoue and P. An,
Effectiveness of an elemental sulfur fertilizer in an oilseed-cereal-legume rotation on the Canadian
prairies,Journal of Plant Nutrition and Soil Science, 166, 54-60 (2003)
Xu, G., U. Kafkafi, S. Wolf, Y. Sugimoto, Mother plant nutrition and growing condition affect amino and
fatty acid compositions of hybrid sweet pepper seeds, Journal of Plant Nutrition, 25(8), 1645-1665
(2002)
Yamada, S., A. Takeoka and M. Yamanouchi, 22Na+ and 36Cl-Mobility in Salinized Excised Leaf of
Several Crop Plants., Soil Science and Plant Nutrition. 48(1), 23-29 (2001)
Yamada, S., M. Osaki, T. Shinano, M. Yamada, M. Ito and A. T. Permata, Effect of potassium nutrition
on current photosynthesized carbon distribution to carbon and nitrogen compounds among rice,
soybean, and sunflower., Journal of Plant Nutrition, 25(9), 1957-1973 (2002)
Yamanaka, T., M. Inoue and I. Kaihotsu, Effects of gravel mulch on water vapor transfer above and
below the soil surface, Agricultural Water Management, 67, 145-155 (2004)
Yamauchi, Y., Y. Ejiri, Y. Toyoda and K. Tanaka, Identification and biochemical characterization of
plant acylamino acid-releasing enzyme, J. Biochem. 134, 251-257 (2003)
Yamazaki, C., K. Itoh, N. Higashi, H. Ishiga, K. Suyama and H. Yamamoto, Arsenic Extractability with
Phosphate and Citrate from Peat Collected in Bangladesh, Soil Sci. Plant Nutr., 49(6), 859-865
(2003)
Yasuda, N., Y. Sugimoto, M. Kato, S. Inanaga and K. Yoneyama, (+)-Strigol, a witchweed seed germination
stimulant, from Menispermum dauricum root culture, Phytochemistry, 62 (7), 1115-1119 (2003)
35
2)査読付論文
Arai, M., R. Keren, T. Yamamoto and M. Inoue,Effect of Water Quality on Hydraulic Properties of the
Niigata Smectitic and Tottori Kaolonitic Soils,Trans. of JSIDRE, 224, 11-17 (2003)
Arai, M., R. Keren, T. Yamamoto and M. Inoue,Aggregate Stability Evaluation of Sodic Soils using
Ethanol-water Mixtures,Trans. of JSIDRE, 224, 65-71 (2003)
趙長民・西山壮一・深田三夫・井上光弘, 曲がり管流量計によるオリフィスの径がバイパス回路の流量
に及ぼす影響, 日本砂丘学会誌 52(1), 21-25 (2005)
趙長民・西山壮一・深田三夫・井上光弘, 灌漑システム管理用流量計の開発, 農業土木学会論文集,
238, 85-89 (2005)
張経華・山田智・岡崎正規・但野利秋・大久保明・山崎素直, 黄河および長江の夏期の水質に関する
調査, 環境科学会誌, 16, 179-184 (2003)
DehghaniSanij, H., T. Yamamoto and M. Inoue, Practical aspects of TDR for simultaneous
measurements of water and solute in a dune sand field, 土壌の物理性, 98, 21-30 (2004)
遠藤常嘉・本名俊正・井上光弘・井上敦央・本城和則・藤巻晴行・山本定博・山本太平, 砂質土壌下に
おける連続および間断灌漑に伴う塩と水の動態 ―塩分動態モニタリングシステムの適用―, 日本
砂丘学会誌, 49(3) 105-112 (2003)
池浦弘・山本太平・井上光弘, 中国毛烏素砂地の丘間低地における塩類化土壌のイオンの分布特性,
沙漠研究, 11(2),79-88 (2001)
猪迫耕二, 鏡面冷却式露点法を用いたサイクロメータによる土壌水ポテンシャルの測定, 日本砂丘学
会誌, 50(2), 75-79 (2003)
井上光弘・白石英彦・北島秀行・角野和美・飯嶋孝史, 中国西部開発と農業水利技術の発展方向, 農
業土木学会誌, 69(5), 528-533 (2001)
井上光弘, 乾燥地の経済的・持続的農業技術の発展, 農業土木学会誌, 69(5), 521-523 (2001)
井上光弘, 乾燥地・半乾燥地の節水灌漑, 日本砂丘学会誌, 48(2),86-95 (2001)
井上光弘・森井俊広・西村拓・藤巻晴行, プロファイル水分計を用いた不飽和透水係数の原位置試験
法, 農業土木学会論文集, 231, 39-45 (2004)
井上光弘, 農業土木分野におけるフィールド計測技術(その 7) ―土壌の水理特性計測技術―, 農業
土木学会誌, 72(2), 127-132 (2004)
森也寸志・木原康孝・井上光弘・福島晟, マルチステップ流出法による不撹乱土壌の不飽和透水係数
の推定, 農業土木学会論文集, 213, 61-68 (2001)
Rasiah, V., M. Imai, T. Yamamoto and M. Inoue, Evaporation Losses from Dune Sand - Influence of
Column and Gravel Mulch Size -, 沙漠研究, 11(3), 177-186 (2001)
坂口巌・望月秀俊・井上光弘・稲永忍, 塩類を加えた非膨潤性粘土中の水蒸気潜熱輸送, 土壌の物
理性, 98, 3-10 (2004)
坂口義英・山本太平・井上光弘, 高濃度塩水潅漑下における砂丘砂土壌での水分および塩分測定,
農業土木学会論文集, 232, 35-41 (2004)
坂口義英・山本太平・井上光弘, 塩水灌漑下の砂質土壌における塩類集積の特性とリーチング計画,
農業土木学会論文集, 237, 89-97 (2005)
鈴鹿淳一・安田裕・猪迫耕二・田熊勝利・大野香織, 塩類集積時に生じる塩結晶のデジタル解析, 日
36
本砂丘学会誌, 51(1), 27-32 (2004)
竹下祐二・八木一雄・森井俊広・井上光弘, 原位置透水試験による砂質土地盤の不飽和浸透特性値
の測定法, 地下水学会誌, 44(1),21-33 (2002)
徳本家康・取出伸夫・井上光弘, 団粒構造を持つ黒ボク土の溶質分散について, 水文・水資源学会誌,
18(4), 401-410 (2005)
Yamada, S., Y. Kawai, M. Yamanouchi, N. Yamanaka, T. Endo and H. Manabe, Comparison of the
mineral distribution characteristics of seven species of plants growing on Tottori coastal sand dune
during summer and early autumn, Sand Dune Research, 51, 75-81 (2004)
3)その他の論文
Bai, Y., K. Inosako, S. Yamada, K. Takuma, M. Inoue, Y. Liang, and Xi. Deng, Multiple Regression
Analysis of a Micro-meteorological Environment in a Chinese Style Greenhouse, Proceedings of
annual meeting of the Chugoku-Shikoku branch of JSIDRE in Okayama (2004)
Inosako, K., Y. Bai, M. Inoue, S.Yamada and Y. Liang, Micrometeorological Conditions and Water
Balance of a Crop Field in a Chinese Style Greenhouse, Proceedings of Annual meeting of
Chugoku-Shikoku branch of Japanese Society of Agricultural Meteorology in Tottori, 16-18 (2004)
猪迫耕二・白艶梅・井上光弘・山田智・梁銀麗・田熊勝利, 原位置測定データに基づく中国式温室圃
場の土壌物理特性の推定 -黄土高原における事例-, 平成 17 年度農業土木学会大会講演会
要旨, 790-791 (2005)
Inosako, K., Y. Bai, S. Yamada, Y. Liang and M. Inoue, Water balance assessment of a cucumber field in
a Chinese style greenhouse, Proceedings of Core University Program Japan-China Joint Open
Seminar on Combating Desertification and Development in Inland China of Year 2005, 50-52 (2005)
渡辺雄一郎・山田智・真鍋久・山中典和, 鳥取砂丘におけるケカモノハシおよびコウボウムギに無機元
素分布特性に及ぼす養分添加の影響, すげの会会報, 11, 33-36 (2005)
4)著書
Babiker, H. A. A., H. Nakajima, S. Inanaga and Y. Sugimoto, Biological activities of oxoisoaporphines
isolated from Menispermum dauricum root cultures, In: Recent Research Progress in Medicinal
Plants, Vol. 4 - Biotechnology and Genetic Engineering (eds. J. N. Govil, P. A. Kumar & V. K.
Singh) SCI TECH Pub., USA, pp.163-174 (2002)
Inosako, K., Y. Nakano, M. Kuroda, K. Takuma, Effect of root distribution on change in soil moisture, J.
J Gou (ed) , Advanced in Hydraulics and Water Engineering, vol 1, World Scientific, Singapore,
pp.505-510 (2002)
井上光弘(分担執筆),新編「土壌物理用語事典」 土壌物理学会編,養賢堂,p.182 (2002)
井上光弘(分担執筆), 不飽和地盤の挙動と評価 地盤工学会編,第2章 保水性および透水性,サク
ション・水分量の計測,資料1章 計測,資料2章 室内試験,マルチステップ流出法,pp.14-25,
191-195,202-204 (2004)
西岡秀三・井上光弘(監修),「いい環境」をハイテクでつくる,第3巻:ゆたかな森をつくりだせ, PHP研
究所, (2002)
37
Simunek, J., M.T. Genuchten, D. Jacques, J. W. Hopmans, M. Inoue, and M. Flury,Solute Transport
During Variably Saturated Flow Inverse Methods. In: Methods of Soil Analysis, Part 4, Physical
Methods,Jacob H. Dane and G Clarke Topp, Co-editors,Soil Science Society of America, USA,
p.1692 (2002)
Sugimoto, Y., In vitro culture and the production of secondary metabolites in Stephania, Biotechnology
in Agriculture and Forestry, (eds.) T. Nagata, Y. Ebizuka, Vol. 51, Medicinal and Aromatic Plants
XII, pp.281-305 (2002)
取出伸夫・井上光弘監訳,HYDRUS-2Dによる土中の不飽和流れの計算,農業土木学会土壌物理
研究部会HYDRUSグループ発行, pp.270 (2004)
(第4課題:住民参加と環境教育に関する計画作成)
1)SCI 論文
Ahmed, N.E., H.O. Kanan, S. Inanaga, Y.Q. Ma and Y. Sugimoto, Impact of pesticide seed treatments
on aphid control and yield of wheat in the Sudan. Crop Protection 20: 929-934 (2001)
Ahmed, N.E., H.O. Kanan, Y. Sugimoto, Y.Q. Ma and S. Inanaga, Effect of imidacloprid on incidence of
tomato yellow leaf curl virus, Plant Disease, 85(1), 84-87 (2001)
Ahmed, N.E., Y. Sugimoto, A.G.T. Babiker, Y.Q. Ma, S. Inanaga and H. Nakajima, Effects of Fusarium
solani isolates and metabolites on Striga germination, Weed Science, 49, 354-358 (2001)
An, P., S. Inanaga, U. Kafkafi, A. Luxand and Y. Sugimoto, Different effect of humidity on growth and
salt tolerance of two soybean cultivars, Biologia Plantarum,44(3), 405-410 (2001)
An, P., S. Inanaga, A.Lux, X.J. Li, M.E.K. Ali, T. Matsui, and Y. Sugimoto, Effect of salinity and relative
humidity on two melon cultivars differing in salt tolerance,Biologia Plantarum, 45(3), 409-415 (2002)
An, P., S. Inanaga, Y. Cohen, U. Kafkafi and Y. Sugimoto, Salt tolerance in two soybean cultivars,
Journal of Plant Nutrition, 25(3), 407-423 (2002)
An, P., S. Inanaga, H. Shimizu, K. El-sidding, X.J. Li, Y. Zheng, T. Hibino, S. Morita. and Y. Sugimoto,
Ameliorating effect of calcium on primary root elongation of soybean under sodium stress, Biologia,
59(13), 129-135 (2004)
An, P., S. Inanaga, X.J. Li, A.E. Eneji, H. Shimizu, and N.W. Zhu, Interactive effects of salinity and air
humidity on two tomato cultivars differing in salt tolerance, Journal of Plant Nutrition, 28, 459-473
(2005)
An, P., S. Inanaga, H. Shimizu, X.J. Li, K. El-Siddig, T. Inoue, and M. Mars, Identification of plant
species as indicators of desertification degree, African Journal of Ecology (in press)
Araki H. and M. Iijima, Stable isotope analysis of water extraction from subsoil in upland rice (Oryza
sativa L.) as affected by drought and soil compaction, Plant and Soil, 270, 147-157 (2005)
Deng, X., L. San and S. Inanaga, High efficient use of limited supplement water by dryland spring wheat,
Transactions of the CSAE, 18(5), 84-91 (2002)
Deng, X., L. San and S. Inanaga, Sensitivity and resistance of seedling establishment to water stress in
spring wheat, Cereal Research Communications, 30(1-2), 125-132 (2002)
Deng, X., L. San, S. Inanaga and M. Inoue, Water-saving approaches for improving wheat production,
38
Journal of the Science of Food and Agriculture, 85, 1379-1388 (2005)
El-Siddig, K., A.M. Ali, P. An and S. Inanaga, Response of Tamarindus indica L.to iso-osmotic
solutions of NaCl and PEG during germination, Journal of Applied Botany, 78(1), 1-4 (2004)
El-Siddig, K., J. Gebauer, G. Ebert, A.M. Ali and S. Inanaga, Influence of Salinity on emergence and
early seedling growth of Tamarindus indica L., Europ. J. Hort. Sci. 69(2)S, 79-81 (2004)
Gao Y., G. Qiu, H. Shimizu, K. Tobe, B. Sun and J. Wang, A 10-Year Study on Techniques for
Vegetation Restoration in a Desertified Salt Lake Area, Journal of Arid Environments, 52(4),
483-497 (2002)
Hattori, T., S. Inanaga, E. Tanimoto, A. Lux, M. Luxova and Y. Sugimoto, Silicon-induced changes in
viscoelastic properties of sorghum root cell walls, Plant Cell Physiol., 44(7), 743-749 (2003)
Hattori, T., S. Inanaga, H. Araki, P. An, S. Morita, M. Luxova and A. Lux, Application of silicon
enhanced drought tolerance in Sorghum bicolor, Physiologia Plantarum, 123, 459-466 (2005)
Inoue, T., S. Inanaga, Y. Sugimoto and E.A.A. Kamal, Contribution of pre-anthesis assimilates and
current photosynthesis to grain yield, and their relationships to drought resistance in wheat cultivars
grown under different soil moisture, Photosynthetica, 42(1), 99-104 (2004)
Inoue, T., S. Inanaga, Y. Sugimoto, P. An and A.E. Eneji, Effect of drought on ear and flag leaf
photosynthesis of two wheat cultivars differing in drought resistance, Photosynthetica, 42(4),
559-565 (2004)
Ito, K., S. Morita, J. Abe, and S. Inanaga, Growth direction of nodal roots with reference to root cap
development in field-grown maize (Zea mays), Biologia 59(Suppl.13), 41-47 (2004)
Komatsu, Y., A. Tsunekawa and H. Ju, Evaluation of agricultural sustainability based on human carrying
capacity in drylands-a case study in rural villages in Inner Mongolia, China. Agriculture, Ecosystems,
& Environment, 108, 29-43 (2005)
Kondo, M., P.P. Pablico, D.V. Aragones, R. Agbisit, J. Abe, S. Morita and B. Courtois, Genetypic and
environemtal variations in root morphology in rice genotypes under upland field conditions, Plant
and Soil, 255, 189-200 (2003)
Li, J., S. Inanaga, Z. Li and A.E. Eneji, Optimizing irrigation scheduling for winter wheat in the North
China Plain, Agricultural Water Management, 76, 8-23 (2005)
Li, X.J., P. An, A.E. Eneji, K. Hamamura, A. Lux and S. Inanaga, Growth and yield responses of two
soybean cultivars to defoliation and water stress, Biologia, 60(4), 467-472 (2005)
Lux, A., M. Luxova, T. Hattori, S. Inanaga and Y. Sugimoto, Silicification in sorghum (Sorghum bicolor)
cultivars with different drought tolerance, Physiologia Plantarum, 115, 87-92 (2002)
Lux, A., M. Luxova, J. Abe, S. Morita and S. Inanaga, Silicification of bamboo (Phyllostachys
heterocycla Mitf.) root and leaf, Plant and Soil, 255, 85-91 (2003)
Lux, A., S. Morita and J. Abe, An improved method for clearing and staining free-hand sections and
whole-mount samples, Annals of Botany, 96, 989-996 (2005)
Ma, Y.Q., J.M. Cheng, S. Inanaga and J.F. Shui, Induction and inhibition of Striga hermonthica (Del.)
Benth. germination by extracts of traditional Chinese medical herbs, Agronomy Journal, 96(5),
1349-1356 (2004)
39
Ma, Y.Q., J. Shui and S. Inanaga, The inducement of Houttuynia cordata Thunb. To seed germination of
Striga hermonthica (Del.) Bench, Allelopathy J., (in press)
Matsui, T., S. Inanaga, T. Shimotashiro, P. An and Y. Sugimoto, Morphological characters related to
varietal differences in tolerance to deep sowing in wheat, Plant Production Science, 5(2), 169-174
(2002)
Sugimoto, Y., H.A.A. Babiker, T. Saisho, T. Furumoto, S. Inanaga and M. Kato, Chlorinated alkaloids in
Menispermum dauricum DC. root culture, J. Org. Chem., 66(10), 3299-3302 (2001)
Sugimoto, Y., M. Miyamoto, S. Inanaga and N.E. Ahmed, Non-host plant tissue cultures produce
haustorial inducing substance for root parasitic weed Stiga Hermonthica, Recent Res. Devel.
Phytochem., 5, 1-10 (2001)
Sugimoto, Y., N.E. Ahmed, N. Yasuda and S. Inanaga, Trichothecene inhibitors of Striga Hermonthica
germination produced by Fusarium solani, Weed Sci., 50, 658-661 (2002)
Sugimoto, Y., A.M. Ali, S. Yabuta, H. Kinoshita, S. Inanaga and A. Itai, Germination strategy of Striga
hermonthica involves regulation of ethylene biosynthesis, Physiologia Plantarum, 119, 137-145
(2003)
Tsuji, W., M.E.K. Ali, S. Inanaga and Y. Sugimoto, Growth and gas exchange of three sorghum cultivars
under drought stress, Biologia Plantarum, 46(4), 583-587 (2003)
Wen, G., T.E. Bates, S. Inanaga, R.P. Voroney, K. Hamamura and D. Curtin, A yield control approach
to assess phytoavailability of Zn and Cu in irradiated, composed sewage sludges and composted
manure in field experiments: II. Copper, Plant and Soil, 246, 241-248 (2002)
Wen, G., R.P. Voroney, T.P. McGonlgle, and S. Inanaga, Can ATP be measured in soil treated with
industrial waste?, J. of Plant Nutri. and Soil Sci., 166, 1-7 (2003)
Wen, G., J.J. Schoenau, S.P. Mooleki, S. Inanaga, T. Yamamoto, K. Hamamura, M. Inoue and P. An,
Effectiveness of an elemental sulfur fertilizer in an oilseed-cereal-1egume rotation on the Canadian
prairies, J. of Plant Nutri. and Soil Sci., 166, 54-60 (2003)
Yasuda, N., Y. Sugimoto, M. Kato, S. Inanaga and K. Yoneyama, (+)-Strigol, a witchweed seed germination
stimulant, from Menispermum dauricum root culture, Phytochemistry, 62, 1115-1119 (2003)
Zheng, Y., Y. Gao, P. An, H. Shimizu and G.M. Rimmington, Germination characteristics of
Agriophyllum squarrosum, Canadian Journal of Botany, 82, 1662-1670 (2004)
Zheng, Y., Z. Xie, Y. Gao, L. Jiang, H. Shimizu and K. Tobe, Germination responses of Caragana
Korshinskii Kom to light, temperature and water stress, Ecol. Res., 19, 553-558 (2004)
Zheng, Y., G.M. Rimmington, Y. Gao, L. Jiang, X. Xing, P. An, K. El-Sidding and H. Shimizu,
Germination characteristics of Artemisia ordosica (Asteraceae) in relation to ecological restoration
in northern China, Can. J. Bot., 83, 1021-1028 (2005)
Zheng Y., A. Specht and H. Shimizu, Desertification: towards integrated management. Journal of Arid
Environment (Accepted)
Zhu, N.W., P. An and X.Z. Wang, Crystal structure of bis[(μ-4-nitrophenoloato (nitrato) (1,10phenanthroline)-lead(II)), [Pb(OC6H4NO2)(C12H8N2)(NO3)]2, Zeitschrift Fur Kristallographie- New
Crystal Structures, 219, 1-2 (2004)
40
2)査読付論文
Ali, M.E.K., S. Inanaga and Y. Sugimoto, Sources of resistance to Fusarium wilt of chickpea in Sudan,
Phytopathologia Mediterranea, 41(3), 163-169 (2003)
Araki, H., S. Morita, J. Tatsumi and M. Iijima, Physiol-morphological analysis on axile root growth in
upland rice, Plant Production Science. 5(4), 286-293 (2002)
Deng, X.P., L. San, S. Kang, S. Inanaga and M.E.K. Ali, Improvement of wheat water use efficiency in
semiarid area of China, Agricultural Sciences in China, 2(1), 35-44 (2003)
Li, X.J., P. An, S. Inanaga, A.E. Eneji and M.A. Abdelbagi, Mechanisms promoting recovery from
defoliation in determinate and indeterminate soybean cultivars, Jouranl of Food, Agriculture and
Environment, 3(3/4), 178-183 (2005)
Li, Y., Q. Unus, and P. An, Effect of osmotic stress on leaf membrane lipid peroxidation and protective
enzymes in Elaeagnus angustifolia L. seedlings, Journal of Xinjiang Agricultural University, 28 (2),
47-50 (2005)
Lux, A., M. Luxova, J. Abe and S. Morita, Root cortex: structural and functional variability and
responses to environmental stress, Root Research, 13(3), 117-131 (2004)
Mohamed, O.E., N.E. Ahmed, A.E. Eneji, Y.Q. Ma, E. Ali and S. Inanaga, Effect of sowing dates on the
incidence of bacteria blight and yield of cotton, Basic and Applied Ecology, 4, 433-440 (2003)
森田茂紀・阿部淳・ルックス アレキサンダー, 植物機能形態学における蛍光顕微鏡の利用, 日本作物
学会紀事, 74(4), 459-461 (2005)
Morita, S., T. Sakaigaichi, J. Abe, K. Kobayashi, M. Okada, H. Shimono, Y. Yamakawa, H-Y, Kim and T.
Hasagawa, Structure and function of rice root system under FACE condition, Journal of Agricultural
Meteorlogy, (in press)
Shamas, G.R., A.E. Eneji, M. Al-Rawahi, F. Al-Raisi, F. Al-Raisi, O. Ahmwd, M.E.K. Ali, K. Hamamura
and S. Inanaga, Influence of mulching and salt content of irrigation water on the performance of fruit
vegetables in the arid sandy soil of Oman; II: Watermelon growth and yield, Sand Dune Research,
49(1), 21-29 (2002)
Shamas, G.R., A.E. Eneji, O.S. Ahmed, M. Al-Rawahi, F. Al-Raisi, M.E.K. Ali, K. Hamamura and S.
Inanaga, Influence of mulching and salt content of irrigation water on the performance of fruit
vegetables in the arid sandy soil of Oman; I: Tomato growth and yield, Sand Dune Research, 48(3),
115-120 (2002)
Tsuji, W., S. Inanaga, H. Araki, S. Morita, P. An, K. Sonobe, Development and distribution of root
system in two grain sorghum cultivar originated from Sudan under drought stress, Plant Production
Science (in press)
Tsunekawa, A., T. Ito, M. Shinoda, M. Nemoto, T. Suhama, H. Ju and H. Shimizu, Methodology for
Assessment of Desertification based on Vegetation Degradation using Net Primary Productivity
(NPP) as a Key Indicator, Phyton, 45(4), 185-192 (2005)
Zheng, Y. and H. Shimizu, Relationship between water use efficiency and stable carbon isotope
discrimination of four conifer tree seedlings under different air humidity, Eco-Engineering, 17, 27-32
(2005)
41
Zuo, S., Y.Q. Ma, S. Inanaga and X. Li, Allelopathic effect of wheat stubbles with different genotypes on
weed suppression (In Chinese with English summary), Acta Phytophylacia Sinica, 32(2), 195-200 (2005)
3)その他の論文
阿部淳・安萍・荒木英樹・馬七軍・稲永忍,中国河北省における半乾燥地の緑化・農業改善の研究-中
国科学院石家荘農業現代化研究所の研究事例から-, 根の研究, 14(1), 9-14 (2005)
阿部淳・荒木英樹・安萍・清水英幸・李建民・郭玉海・稲永忍, 中国内蒙古自治区阿拉善盟における砂
漠化防止と緑化の試み, 根の研究, 14(2), 51-58 (2005)
阿部淳・アレキサンダー ルックス・服部太一朗・森田茂紀・谷本英一・稲永忍・安萍, X線微量分析を
用いた葉や根におけるケイ素の特異的分布の検出, 農業および園芸, 80(3), 381-386, (2005)
阿部淳・森田茂紀, 栃木県農家水田において乳苗移植栽培した水稲の根系調査事例-ファイトマー
に基づく形態解析と出液速度による機能評価-, 根の研究 (in press)
An, P., S. Inanaga and Y. Sugimoto, Effect of humidity elevation on soybean growth under saline and
non-saline conditions, Proceeding of International Symposium on the Integration and Regional
Researches to Combat Desertification -Present State and Future Prospect- The 16th Global
Environment, Tsukuba, Japan. H. Shimizu (eds), ISSN1341-4356, 309-316 (2002)
An, P., S. Inanaga, X.J. Li, H. Shimizu and E. Tanimoto, Root characteristics in salt tolerance, Root
Research, 12(3), 125-132 (2003)
Fujimori, M., K. Yamada and H. Shimizu, Systematic Identification and Categorization of
Desertification/Land Degradation Control Technologies. Proceeding of International Symposium on
the Integration and Regional Researches to Combat Desertification -Present State and Future
Prospect- The 16th Global Environment, Tsukuba, Japan. H. Shimizu (eds), 186-191 (2002)
Gao, Y., H. Shimizu, K. Tobe and Y.Q. Guo, Vegetation Indicators of Grazingland Desertification.
Proceeding of International Symposium on the Integration and Regional Researches to Combat
Desertification -Present State and Future Prospect- The 16th Global Environment, Tsukuba, Japan.
H. Shimizu (eds), ISSN1341-4356, 295-301 (2002)
Guo, Y.Q. H. Shimizu, K. Tobe and Y. Gao, Plant as Desertification Indicators in Mu Us Sandy Land.
Proceeding of International Symposium on the Integration and Regional Researches to Combat
Desertification -Present State and Future Prospect- The 16th Global Environment, Tsukuba, Japan.
H. Shimizu (eds), ISSN1341-4356, 69-76, (2002)
市丸和世・森田茂紀・阿部淳, 根の発育形態学からみたイネ科作物の吸水特性, 農業および園芸,
77(11), 1235-1239 (2002)
Inanaga, S., Aiming to realize sustainable dryland farming, Farming Japan, 36(3), 16-20 (2002)
稲永忍, 拠点大学交流:中国黄土高原の砂漠化防止と修復, 学術月報, 56(11), 1177-1181 (2003)
稲永忍, 海外フィールド農業研究には後方支援が不可欠, 農業および園芸, 79(5), 596-598 (2004)
伊藤香織・森田茂紀・阿部淳・稲永忍, 根系の形態を規定している根の傾斜重力屈性, 農業および園
芸, 78(1), 88-92 (2003)
伊藤香織・森田茂紀・阿部淳・稲永忍, 圃場で栽培したトウモロコシおよびソルガム節根の伸長方向と
根冠の形態, 根の研究, 13(1), 9-13 (2004)
42
伊藤香織・森田茂紀・阿部淳・稲永忍, 根の伸長およびストレス反応の発育形態学的解析, 農業およ
び園芸, 80(11), 1212-1216 (2005)
古林秀峰・阿部淳・森田茂紀, 過湿条件における根系の形態的適応, 農業および園芸, 78, 318-322
(2003)
松本直也・阿部淳・森田茂紀, 静電容量を利用した根量・根の生理的活性の評価, 農業および園芸,
77, 1327-1330 (2002)
森田茂紀, 新しい「栽培学」を目指して, UP 360(2002 年 10 月号), 34-39 (2002)
森田茂紀・阿部淳, 水田で栽培した水稲の出液速度の日変化および生育に伴う推移, 日本作物学会
紀事, 71, 383-388 (2002)
Shimizu, H., Integration of Desertification Studies and Systematization of Diverse Technologies to
Combat Desertification. Proceeding of International Symposium on the Integration and Regional
Researches to Combat Desertification -Present State and Future Prospect- The 16th Global
Environment, Tsukuba, Japan. H. Shimizu (eds), ISSN1341-4356, 169-172 (2002)
田島亮介・森田茂紀・阿部淳, マメ科作物の個体レベルの窒素固定能と根系形成・根粒形成との関係,
農業および園芸, 79(7), 810-814 (2004)
田中丸耕治・森田茂紀・阿部淳・稲永忍, 側根の生育に対する土壌の水分・窒素条件ならびに体内条
件の影響, 農業および園芸, 78(11), 1212-1217 (2003)
Tian, J., P. Liu, H. Shimizu and S. Inanaga, “A case study on combating desertification at a small
watershed in the hills-gully area of Loess Plateau, China” in “Plant Responses to Air Pollution and
Global Change (Ed. Omasa et al)” Springer-Verlag (in press)
Tobe, K., L. Zhang, X. Li, H. Shimizu and K. Omasa, Seed germination of Chinese desert plants
distributed at locations differing in the degree of desertification. Proceeding of International
Symposium on the Integration and Regional Researches to Combat Desertification -Present State
and Future Prospect- The 16th Global Environment, Tsukuba, Japan. H. Shimizu (eds),
ISSN1341-4356, 302-308 (2002)
Tsunekawa, A., H. Shimizu and T. Okayasu, Integrated Modeling Approach for Desertification
Monitoring and Assessment. Proceeding of International Symposium on the Integration and
Regional Researches to Combat Desertification -Present State and Future Prospect- The 16th
Global Environment, Tsukuba, Japan. H. Shimizu (eds), ISSN1341-4356, 173-185 (2002)
姜始龍・森田茂紀・原田二郎・山崎耕宇, 日印交雑稲における根系の形成-第2報 分枝根の形成-,
日本作物学会紀事, 71, 368-375 (2002)
4)著書
松浦朝奈・稲永忍, 蒸散速度を測る・茎内流速度を測る・根の吸水速度を測る, ファイトテクノロジー研
究会著, ファイテク How to みる・きく・はかる-植物環境計測-, 養賢堂, 東京, 32-36,86 (2002)
ファイトテクノロジー研究会編, ファイテク How to みる・きく・はかる-植物環境計測-.養賢堂,東京.
(2002)
森田茂紀編, 根のデザイン-根が作る食糧と環境-, 養賢堂, 東京 (2003)
森田茂紀編, 根の研究の最前線4, 根研究会, 東京 (2003)
43
森田茂紀, メキシコ-作物栽培と水資源の有効利用, 東京大学環境三四郎「環境の世紀」編集プロジ
ェクト編 エコブームを問う、東大生と学ぶ環境学, 学芸出版社, 京都 (2005)
森田茂紀・阿部淳編, 根の研究の最前線5, 根研究会, 名古屋 (2005)
下田代智英・稲永忍, 根の成長を測る,ファイトテクノロジー研究会著, ファイテク How to みる・きく・
はかる-植物環境計測-, 養賢堂, 東京, 82-83 (2002)
(第5課題:緑化と環境保全のあり方に関する総合的研究)
1)SCI 論文
Adams, M., P. Ineson, D. Binkley, G. Cadisch, N. Tokuchi, M. Scholes and K. Hicks, Soil Functional
Responses to Excess Nitrogen Inputs at Global State, Ambio, 33(8), 530-536 (2004)
Al-Busaidi, A., P. Cookson, and Tahei Yamamoto, Methods of pH Determination in Calcareous Soils:
Use of electrolytes and suspension effect, Australian Journal of Soil Research, 43, 541-545 (2005)
DehghaniSanij, H., T. Yamamoto and V. Rasiah, Assessment of evapotranspiration estimation models for
use in semi-arid environments,Agricultural Water Management, 64, 91-106 (2004)
DehghaniSanij, H., T. Yamamoto, V. Rasiah, J. Utsunomiya and M. Inoue, Impact of biological clogging
agents on filter and emitter discharge characteristics of microirrigation systems, Irrigation and
Drainage Journal, 53(4), 339-361 (2004)
Du, S. and F. Yamamoto, Is ethylene essential for reaction wood formation IAWA Journal 23, 461-462
(2002)
Du, S. and F. Yamamoto, A study on the role of calcium in xylem development and compression wood
formation in Taxodium distichum seedlings, IAWA Journal, 24, 75-85 (2003)
Du, S. and F. Yamamoto, Ethylene evolution changes in the stems of Metasequoia glyptostroboides and
Aesculus turbinata seedlings in relation to gravity-induced reaction wood formation, Trees, 17(6),
522-528 (2003)
Du, S., H. Uno and F. Yamamoto, Roles of auxin and gibberellin in gravity-induced tension wood
formation in Aesculus turbinata seedlings, IAWA (International Association of Wood Anatomists)
Journal, 25(2), 75-85 (2004)
Du, S., M. Sugano, M. Tsushima, T. Nakamura and F. Yamamoto, Endogenous indole-3-acetic acid and
ethylene evolution in tilted Metasequoia glyptostroboides stems in relation to compression-wood
formation, Journal of Plant Research, 117(2), 171-174 (2004)
Fujimaki, R., R. Tateno, M. Hirobe, N. Tokuchi and H. Takeda, Fine root mass in relation to soil N
supply in a cool temperate forest, Ecological Research, 19, 559-562 (2004)
Haga, H., T. Kumagai, K. Otsuki and S. Ogawa, Transport and retention of coarse woody debris in
mountain streams: An in situ field experiment of log transport and a field survey of coarse woody
debris distribution, Water Resource Research, 38(8), 10.1029/2001WR001123, (2002)
Hirobe, M., K. Koba and N. Tokuchi, Dynamics of the internal soil nitrogen cycles under moder and mull
forest floor types on a slope in a Cryptomeria japonica D. Don plantation, Ecological Research, 18(1),
53-64 (2003)
Hirobe, M., N. Tokuchi, G. Wachrinrat and H. Takeda, Fire history influences on the spatial
44
heterogeneity of soil nitrogen transformation in three adjacent stands in a dry tropical forest in
Thailand, Plant and Soil, 249(2), 309-318 (2003)
Hirose, S., A. Kume, S. Takeuchi, Y. Utsumi, K. Otsuki and S. Ogawa, Stem water transport of
Lithocarpus edulis, an evergreen oak with radial-porous wood, Tree Physiology, 25(2), 221-228
(2005)
Hishi, T., M. Hirobe, R. Tateno and H. Takeda, Spatial and temporal patterns of water-extractable
organic carbon (WEOC) of surface mineral soil in a cool temperate forest ecosystem, Soil Biology
and Biochemistry, 36, 1731-1737 (2004)
Hobara, S., K. Koba, T. Osono, N. Tokuchi, A. Ishida and K. Kameda, Nitrogen and phosphorus
enrichment and balance in forests colonized by cormorants: Implications of the influence of soil
adsorption, Plant and Soil, 268, 89-101 (2005)
Hobara, S., N. Tokuchi, N. Ohte, K. Koba, K. Katsuyama, S. Kim and A. Nakanishi, Mechanism of
nitrate loss from a forested catchment following a small-scale, natural disturbance, Canadian Journal
of Forest Research, 31(8), 1326-1335 (2001)
Ishimaru, K., N. Tokuchi, N. Osawa, K. Kawamura and H. Takeda, Behavior of four broad-leaved tree
species used to revegetate eroded granite hill slopes, Journal of Forest Research, 27-34 (2005)
Kim, S.J., N. Ohte, M. Kawasaki, M. Katsuyama, N. Tokuchi and S. Hobara, Interactive responses of
dissolved sulfate and nitrate to disturbance associated with pine wilt disease in a temperate forest,
Soil Science and Plant Nutrition, 49(4), 539-550 (2003)
Koba, K., M. Hirobe, L. Koyama, A. Khozu, N. Tokuchi, K. Nadelhoffer, E. Wada and H. Takeda,
Natural 15N abundance of plants and soil N in coniferous temperate forest, Ecosystems, 6(5),
457-469 (2003)
Koyama, L. and N. Tokuchi, Effects of NO3- availability on NO3- use in seedlings of three woody shrub
species, Tree Physiology, 23(4), 281-288 (2002)
Kumagai, T., H. Nagasawa, T. Mabuchi, S. Ohsaki, K. Kubota, K. Kogi, Y. Utsumi, S. Koga and K.
Otsuki, Sources of error in estimating stand transpiration using allometric relationships between
stem diameter and sapwood area for Cryptomeria japonica and Chamaecyparis obtusa, Forest
Ecology and Management, 191-195 (2005)
Mizumachi, E., N. Osawa, R. Akiyama and N. Tokuchi, The effects of herbivory and soil fertility on the
growth patterns of Quercus serrata and Q. crispula at the shoot and individual levels, Population
Ecology, 46, 203-211 (2004)
Nanami, S., H. Kawaguchi, R. Tateno, C. Li and S. Katagiri, Sprouting traits and population structure of
co-occurring Castanopsis species in an evergreen broad-leaved forest in southern China,
Ecological Research, 19, 341-348 (2004)
Nishimura, T., T. Yamamoto, S. Suzuki and M. Kato, Effect of gypsum and polyacrylamide application on
erodibility of an acid Kunigami Mahji Soil, Soil Sci. Plant Nutr., 51(5), 641-644 (2005)
Ohte, N., N. Tokuchi, H. Shibata M. Tsujimura, T. Tanaka and M.J. Mitchell, Hydrobiogeochemistry of
Forest ecosystems in Japan: Major Themes and Research Issues, Hydrological Processes, 15,
1771-1750 (2001)
45
Ohte, N., M. Tokuchi, S. Hobara, Y. Asano, K. Koba and M. Katsuyama, Episodic increases in nitrate
concentrations in streamwater due to the partial dieback of a pine forest in Japan: runoff generation
processes control seasonality, Hydrological Processes, 17 (2), 237-249 (2003)
Osada, N., R. Tateno, A. Mori and H. Takeda, Changes in crown development patterns and
current-year shoot structure with light environment and tree height in Fagus crenata (Fagaceae),
American Journal of Botany, 91, 1981-1989 (2004)
Osada, N., R. Tateno, F. Hyodo and H. Takeda, Changes in crown architecture with tree height in two
deciduous tree species: developmental constraints or plastic response to the competition for light,
Forest Ecology and Management, 188, 337-347 (2004)
Rasiah, V., J.D. Armour, T. Yamamoto, D.H. Heiner, and S. Mahendrarajah, Nitrate dynamics in
groundwater under sugarcane in the wet tropics of Australia, J. Water, Air, and Soil Pollution,
(accepted)
Rasiah, V., J.D. Armour, T. Yamamoto, S. Mahendrarajah and D.H. Heiner, Nitrate dynamics in
shallow groundwater and the potential for transport to off-site water body, Water, Air, and Soil
Pollution, 147, 183-202 (2003)
Sato, Y., T. Kumagai, A. Kume, K. Otsuki and S. Ogawa, Experimental analysis of moisture dynamics of
litter layers -the effects of rainfall conditions and leaf shapes-, Hydrological Process, 18(16),
3007-3018 (2004)
Tateno, R. T. Hishi and H. Takeda, Above- and belowground biomass and net primary production in a
cool-temperate deciduous forest in relation to topographical changes in soil nitrogen, Forest
Ecology and Management, 193, 297-306 (2004)
Tateno, R., N. Osada, M. Terai, N. Tokuchi and H. Takeda, Inorganic nitrogen source utilization by
Fagus crenata on different soil types, Trees, 19, 477-481 (2005)
Tateno, R., T. Aikawa and H. Takeda, Leaf-fall phenology along a topography-mediated environmental
gradient in a cool-temperate deciduous broad-leaved forest in Japan, Journal of Forest Research, 10,
269-274 (2005)
Tokuchi, N., N. Ohte, S. Hobara, S. Kim and M. Katsuyama, Changes in biogeochemical cycling
following forest defoliation by pine wilt disease in Kiryu experimental catchment in Japan,
Hydrological Processes, 18, 2727-2736 (2004)
Wen, G., J.J. Schoenau, T. Yamamoto and M. Inoue, A model of oxidation of an elemental sulfur
fertilizer in soils, Soil Science, 166(9), 607-613 (2001)
Wen, G., T. Mori, T. Yamamoto, J. Chikushi and M. Inoue, Nytrogen Recovery of Coated Fertilizers
and Influence on Peanut Seed Quality for Peanut Plants Grown in Sandy Soil, Communications in Soil
Science and Plant Analysis, 32(19, 20), 3120-3140 (2001)
Wen, G., T.E. Bates, R.P. Voroney, T. Yamamoto, J. Chikushi and D. Curtin, A yield control approach
to assess phytoavailability of Zn and Cu in irradiated, composted sewage sludges and composted
manure in field experiments: I. Zinc, Plant and Soil, 246, 231-234 (2002)
Wen, G., J.J. Schoenau, S.P. Mooleki, S. Inanaga, T. Yamamoto, K. Hamamura, M. Inoue and P. An,
Effectiveness of an elemental sulfur fertilizer in an oilseed-cereal-legume rotation on the Canadian
46
prairies, J. Plant Nutr. Soil Sci., 166, 1-7 (2003)
Yamada, M., M. Uehira, S.H. Lee, K. Asahara, T. Endo, A.E. Eneji, S.Yamamoto, T. Honna, T.
Yamamoto and H. Fujiyama, Ameliorative Effect of K-type and Ca-type Artificial Zeolites on the
Growth of Beets in Saline and Sodic Soils,Soil Sci. Plant Nutr., 48, 651-658 (2002)
2)査読付論文
Ahmed, O.A.B., T. Yamamoto, H. DehghaniSanji and A.E. Enegi, Characteristics of Meteorological
Factors in Semi-Arid Lands, Mauritania, 沙漠研究, 14(3), (2004)
Arai, M., R. Keren, T. Yamamoto and M. Inoue, Effect of Water Quality Properties of the Niigata
Smectitic and Tottori Kaolinitic Soils, 農業土木学会論文集, 224, 11-18 (2003)
Arai, M., R. Keren, T. Yamamoto and M. Inoue, Aggregate Stability Evaluation of Sodic Soils Using
Ethanol-Water Mixtures, 農業土木学会論文集, 224, 65-71 (2003)
渥美裕子・玉井重信・山本福壽・山中典和, 冷温帯林構成樹種 20 種の水分特性, 日本林学会誌
84(4), 271-275 (2002)
渥美裕子・山本福壽・玉井重信・山中典和, 異なる水分条件下におけるヤナギ属 3 種の生理生態的反
応, 日本緑化工学会誌, 27(1), 102-107 (2001)
DehghaniSanij, H., T. Mohammadreza and T. Yamamoto, Evaluation of Factors affecting emitter
clogging of microirrigation in southeast Iran, 農業土木学会論文集, 217, 1-8 (2002)
DehghaniSanij, H., T. Yamamoto and M. Inoue, Practical aspects of TDR for simultaneous
measurements of water and solute in a dune sand field, 土壌の物理性, 98, 21-30 (2004)
DehghaniSanij, H., T. Yamamoto, B.O. Ahmad, H. Fujiyama and K. Miyamoto, The effect of chlorine on
emitter clogging
induced by algae and protozoa and the
performance of drip irrigation,
Transactions of American Society of Agricultural Engineers, 48(2), 519-527 (2005)
Du, S., T. Honma and F. Yamamoto, Effects of EGTA and LaCl3 applied in culture media on
compression wood formation in decapitated and tilted Taxodium distichum seedlings, Proceedings of
the 112th conference of Japanese Forestry Society, 649 (2001)
遠藤常嘉・本名俊正・井上光弘・井上敦央・本城和則・藤巻晴行・山本定博・山本太平, 砂質土壌下に
おける連続および間断灌漑に伴う塩と水の動態 ―塩分動態モニタリングシステムの適用―, 日本
砂丘学会誌, 49(3), 105-112 (2003)
藤木大介・山中典和・玉井重信, 鳥取砂丘における植生タイプと埋土種子集団の関係, 日本緑化工学
会誌, 26(3), 209-222 (2001)
Fujimaki, R., T. Tateishi, A. Kohzu, M. Saito and N. Tokuchi, Characteristics of arbuscular mycorrhizal
colonization among 4 plant species in a Japanese red ceder plantation, 土と微生物, 55, 121-128
(2001)
Haga, H., K. Otsuki and S. Ogawa, Relationship between baseflow and soil moisture on a forested
catchment in Hiroshima, Japan, Proc. Intl. Cong. INTERPREVENT 2002 in the Pacific Rim, 951-959
(2002)
芳賀弘和・大槻恭一・小川滋, 広島県江田島流域における土層貯留水量の季節変化, 第 6 回水資源
に関するシンポジウム論文集, 667-670 (2002)
47
芳賀弘和・大槻恭一・小川滋, 広島県江田島流域での山火事後役 20 年間における基底流出の変化,
水文・水資源学会誌, 15(6), 584-593 (2002)
Hirobe, M., N. Tokuchi and G. Iwatsubo, Spatial and vertical differences in in-situ soil nitrogen
availability along a slope in a conifer plantation forest, Applied Forest Science, 10(2), 19-25 (2001)
池浦弘・山本太平・井上光弘, 中国毛烏素砂地における塩類化土壌のイオンの分布特性, 沙漠研究,
11(2), 79-88 (2001)
Koyama, L., N. Tokuchi, M. Hirobe and K. Koba, The potential of NO3-N utilization by a woody shrub
species Lindera triloba: a cultivation test to estimate the saturation point of soil NO3--N for plants,
The Scientific World 1, 514-519 (2001)
Mangio, H.R., T. Yamamoto, F.C. Oad, D.M. Koondhar, Z.A. Abro and N.L. Oad, Mechanism of
salinazation in waterlogged condition in the sloped soil condition, Pakistan Journal of Applied
Sciences, 1(2), 211-213 (2001)
松村光子・大手信人・小杉緑子・徳地直子・高梨聡・松尾奈緒子・勝山正則, ヒノキ人工林における土
壌-植物間の無機態窒素の移動プロセス, 緑化工学会誌, 29(1), 301-304 (2003)
Miyamoto, K., T. Yamamoto and H. Anyoji, Crisis management of water shortage in an irrigation area
with a pipeline network system, Paddy and Water Environment, 2(2), 59-65 (2004)
Nagafuchi, O., J. Ide, K. Otsuki, A. Kume and S. Ogawa, Runoff nutrients from a small watershed
covered by an afforested area of Japanese Cypress, Proc. 9th. Intl. Specialised Conference on
Watershed and River Basin Management, PP006.pdf (2002)
Oda, A. and F. Yamamoto, Effects of aluminum and phosphorus on growth and biomass allocation in
hydroponically cultured Quercus acutissima seedlings, J. Jpn. Soc. Reveg. Tech., 28(3), 431-437
(2003)
Ohte, N., N. Tokuchi, M. Katsuyama, S. Hobara, Y. Asano and K. Koba, Episodic rising in nitrate
concentration of streamwater due to partial dieback of pine forest in Japan: Runoff generation
processes as a controlling factor of the seasonality, Freiburger Schriften zur Hydrologie, 13, 68-74
(2001)
Otsuki, K., N. Yamanaka, S. Du, F. Yamamoto, Z. Xue, S. Wang and Q. Hou, Seasonal Changes of
Forest Ecosystems in an Artificial Forest of Robinia pseudoacacia in the Loess Plateau in China,
Journal of Agricultural Meteorology, 60( 5), 613-615 (2005)
Rasiah V. and T. Yamamoto, Maximum potentially dispersible and stabilizable clays under cropping in
soils with inherent textural differences, 土壌の物理性, 89, 3-14 (2002)
Rasiah V., M. Imai, T. Yamamoto and M. Inoue, Evaporation losses from dune sand-Influence of column
and gravelmulch size-, 沙漠研究, 11(3), 177-186 (2002)
坂口義英・山本太平・井上光弘, 塩水灌漑下の砂質土壌における塩類集積の特性とリーチング計画,
農業土木学会論文集, 237, 89-97 (2005)
坂口義英・山本太平・井上光弘, 高濃度塩水灌漑下における砂丘砂土壌での水分および塩分測定,
農業土木学会論文集, 232, 35-41 (2004)
佐藤嘉展・久米篤・大槻恭一・小川滋, 樹冠構造の違いが樹冠通過雨の分布特性に及ぼす影響 -ス
ギ林とマテバシイ林における雨水配分特性の比較-, 水文・水資源学会誌, 16(6), 605-617 (2003)
48
佐藤嘉展・大槻恭一・小川滋, リター層による降雨遮断量の推定, 第 6 回水資源に関するシンポジウム
論文集, 609-614 (2002)
Sato, Y., K. Otsuki and S. Ogawa, Experimental studies on litter interception of Cryptomeria japonica
and Lithocarpus edulis, Proc. Intl. Cong. INTERPREVENT 2002 in the Pacific Rim, 973-980 (2002)
佐藤嘉展・大槻恭一・小川滋, 常緑樹林地におけるリター遮断損失量の推定, 水文・水資源学会誌,
16(6), 640-651 (2003)
佐藤嘉展,大槻恭一,小川滋, スギ林およびマテバシイ林におけるリター遮断量の推定, 九州大学演
習林報告, 84,1-20 (2003)
澤田篤志・山上悟・岩城美知子・石川知明・徳地直子・太田明・小島永裕, 生物(珪藻)を指標とした森
林伐採時の流域河川環境評価, 日本林学会中部支部森林研究, 50, 192-194 (2002)
島谷健一郎・齋藤大輔・川口英之・舘野隆之輔・井鷺裕司, 空間的遺伝構造と分化の図示 ―その変
化で gene flow を観る試み― 日本生態学会誌, 54, 165-178 (2004)
Tokuchi, N., A. Nakanishi, W. Chongrak and H. Takeda, Soil N fluxes in three contracting dry tropical
forests, The Scientific World 1, 534-538 (2001)
徳地直子・藤巻玲路・寺井雅一・城下幸彦・黒木宏二, 温帯針葉樹林の土壌中の窒素動態-上賀茂氏
見地ヒノキ林における事例-, 森林研究, 74, 47-52 (2002)
Yamada, S., Y. Kawai, M. Yamanouchi, N. Yamanaka, T. Endo and H. Manabe, Comparison of the
Mineral distribution characteristics of seven species of plants growing on tottori coastal sand dune
during summer and early autumn, Sand dune research, 51, 75-81 (2004)
山上悟・澤田篤志・岩城美知子・石川知明・徳地直子・太田明・小島永裕, 林道開設等の森林施業と治
山ダム工事が渓流水質及び藻類に与える影響, 日本林学会中部支部森林研究, 50, 189-192
(2002)
山本牧子・玉井重信・徳地直子・山中典和, 施肥がヤナギ属 4 種の成長に及ぼす影響, 日本緑化工学
会誌, 29(1), 95-100 (2003)
山本太平・アムメンサ フレドリック・藤巻晴之・宇都宮淳, アフリカのサヘル地帯における気象特性と持
続的な灌漑計画, 農業土木学会誌, 70(11), 43-46 (2002)
山本太平・山田美奈・Guang Wen・祐谷有恒, 乾燥地農業における劣化土壌とリサイクル資材の活用,
農業土木学会誌, 70(7), 597-600 (2002)
山中典和・張国盛・坂本圭児・王林和・吉川賢, 中国内蒙古毛烏素沙地における看護植物の除去が臭
柏稚樹の生存に及ぼす影響, 日本緑化工学会誌, 27(1), 120-124 (2001)
山中典和・川崎絵里子・玉井重信, 鳥取県における海岸クロマツ林の林分構造と広葉樹の侵入状況,
森林応用研究, 14, 27-33 (2005)
山中典和・永益英敏・梅林正芳, 芦生演習林産樹木の実生形態 8. グミ科、シナノキ科、ウコギ科,
植物地理・分類研究 (in press)
3)その他の論文
東智洋・井手淳一郎・大槻恭一・小川滋, ライパリアンゾーンの水分状態と流域スケールの流出の関係
-御手洗水試験流域における観測例-, 九州大学演習林報告, 86,1-13 (2005)
藤山洋介・廣瀬茂樹・大槻恭一・小川 滋, Granier 法による樹液流測定に基づくヒノキ林における蒸散
49
量の推定-御手洗水試験流域における観測例-, 九州大学演習林報告, 86,15-31 (2005)
4)著書
堀江郁夫・小林哲夫・塚本修・大槻恭一(編), 局地気象学,森北出版,東京 (2004)
井上晋・内海泰弘・大槻恭一・岡野哲郎・古賀信也・田代直明・中井武司編, 九州大学の森と樹木,政
府刊行物普及株式会社 (2002)
久米篤・大槻恭一・熊谷朝臣・小川滋監訳, 生物環境物理学の基礎第 2 版(G.S.Campbell and
J.M.Norman 著),森北出版 (2003)
大槻恭一, 森林的水收支模型,「黄河流域的水循環,水质 和水利用模型 –日本的研究成果介绍 -
(編:杨 大文,楠田哲也)」,中国水利水電出版社,北京 (in press)
崎尾均・山本福壽, 水辺林の生態学, 東京大学出版会、206p (2002)
山中典和(分担執筆), 植生の構造と立地 環境緑化の事典日本緑化工学会編, 朝倉書店 pp.50-57
(2005)
吉川賢・山中典和・大手信人編著, 乾燥地の自然と緑化-砂漠化地域の生態系修復に向けて-, 共
立出版, 東京 (2004)
50
3-3. セミナーの成果
本拠点交流事業におけるセミナーは「中国内陸部の砂漠化防止及び開発利用に関する
日中合同セミナー」と題し、日本及び中国で平成 13 年から 17 年度まで計 5 回開催された。
1 年目に当たる平成 13 年度は日本側コーディネーターによる研究計画の概要説明が行
われるとともに中国側コーディネーターによる「中国内陸部とくに半乾燥地に位置する黄土
高原の砂漠化の現状とその防止の取り組み状況について」という講演が行われ、研究の全
体像と共同研究対象になる中国黄土高原の現状と問題点が参加研究者により共有された。
その後研究課題別討議が行われ、それぞれの研究課題についての研究体制、詳細な研究
計画、成果の取り扱い等について、日中双方で合意をみた。課題別討議での合意事項は、
引き続き行われた全体会議で報告され、活発な質疑応答のもと、各課題の目的と意義が本
研究参加者の共通認識とすることができた。
平成 14 年、15 年、16 年度に行われた日中合同セミナーでは、各研究課題からの研究成
果報告と課題別討議及び全体会議がおこなわれた。研究成果報告では前年の合同セミナ
ー以降に得られた研究成果について口頭、またはポスターによる報告が行われた。平成 14
年度は日本側7題、中国側 13 題、計 20 題の研究成果発表がなされた。平成 15 年度には
日本側 9 題と中国側 12 題の計 21 題、平成 16 年度は日本側 17 題、中国側 17 題の計 34
題にのぼる研究成果発表が行われた。年を経るに従い、研究成果が蓄積されるとともに関
心も高まり、研究発表の件数も増加した。各年の課題別討議は、その年の研究成果につい
て検討するとともに、翌年に向けての研究計画についての議論がなされた。課題別討議で
合意に至った事項は全体会議で報告され、本研究参加者の共通認識となった。課題別討
議、全体会議ともに活発な意見交換がなされ、実質的な研究成果をもとにした研究者交流
が行われたのが大きな成果であった。また平成 16 年度のセミナーでは中国科学院水土保
持研究所の山侖院士による特別講演「Eco-Construction and Agricultural Development in
Semi-arid areas of Loess Plateau, China」が行われ、日中双方の研究者が黄土高原というフ
ィールドの持つ様々な問題点を再認識し、共有できたことも大きな成果であった。
5 年目にあたる平成 17 年度は、5 年間の研究の中間成果報告を主体とした日中合同セミ
ナーが行なわれた。初日は課題毎に 5 年間の研究総括がなされ、その後中国側と日本側
のコーディネーターによる全体的な総括が行われた。全体総括の中では、5 年間に行われ
た研究成果を踏まえ、次期 5 年間に向けての研究方針が出された。次期の 5 年間では従来
の 5 課題を以下の 3 つの課題
①Analysis on Process and Influence of Desertification (process study)、
②Development of appropriate technologies and alternative systems (technology
development)、
③Comprehensive plan to combat desertification (general management of all themes))
に再編統合し、従来の課題の枠を越えて、黄土高原の砂漠化対処に対し、より具体的かつ、
実践的な研究が行われるように提案がなされ、了承された。午後からは個別の研究発表が
行われ 28 題のポスターによる研究成果発表が行われた。
翌日は、次期 5 年に向けての研究戦略を受け、現状の 5 課題による課題別の次期研究内
51
容についての討議が行われた。その結果は引き続き行われた全体会議で報告され、次期 5
年間に向けての研究戦略についての共通認識と意識向上がなされた。また、この時間に別
セッションとして、若手研究者による日中交流が行われ、次世代を担う日中の研究者間で有
益な研究交流が行われたことも平成 17 年度の大きな成果であった。
このような日中合同セミナーの他、日本国内では拠点大学交流事業で得られた成果をも
とにした、セミナーや勉強会が平成 16 年から平成 17 年度にかけて計 10 回(平成 17 年 11
月現在)行われた。このセミナーと勉強会を通じて、日本側研究者間に、中国黄土高原の
現状や問題点に関する共通認識の向上がなされた。また課題の枠を越えた問題や研究テ
ーマも浮き彫りになり、課題間の共同研究も一部動き出すなどの成果が出てきている。また、
このセミナーは拠点大学交流事業関係者のみならず一般に広く公開されて行われ、学部
学生や大学院生、交流関係者以外の研究者の参加も得ることができ、参加者に大きなイン
パクトを与えることができた。特に学生に対しては乾燥地の現場に立脚した研究成果発表
は大きな教育効果を与えることができた。
平成17年度日中合同セミナー
(中国科学院水土保持研究所)
2004 年度日中合同セミナー新聞記事
(H16.11.7 新日本海新聞)
52
3-4. 若手研究者の交流に関する成果
本事業は若手研究者の育成を大変重要視しており、毎年大学院生を参加研究者に入れ
ている。参加研究者以外の若手研究者についても、事業経費の他、科学研究費補助金、
委任経理金等の経費も投入して、共同研究やセミナーに参加できる機会を積極的に与え
ている。
以下に若手研究者の派遣人数を示す。
年度
`平成 13 年度
平成 14 年度
平成 15 年度
平成 16 年度
平成 17 年度
6
16
34
36
36
若手研究者
派遣人数
年度別若手研究者派遣実績
(人)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
拠点経費以外
拠点経費
13年度 14年度 15年度 16年度 17年度
(ポスドク及び学部・修士課程・博士課程学生)
(17 年度は 17 年 11 月までの実績)
乾燥地研究センターでは随時公開勉強会「黄土高原セミナー」を開催し、乾燥地に関す
る基礎的教育と研究分野にとらわれない教育を行っている。この結果、現地調査をはじめと
する研究推進の中核として活躍するポスドク、大学院生もでてきている。
また、本事業の参加研究者である杜盛が平成 17 年 8 月 8~13 日にオーストラリアで開催
された IUFRO 国際会議(International Union of Forest Research Organizations) において
研究成果を発表した(The effect of climate on radial growth of Quercus liaotungensis forest
trees in loess plateau, China)。さらに、平成 18 年 2 月北京で開催されうる予定の国際砂漠
開発会議等においても多くの若手研究者が発表予定であるなど、本事業により若手研究者
の育成が飛躍的に発展している。
平成 17 年に行われた日中合同セミナーにおいては、事業経費及びその他の経費を使
用して、修士・博士課程等の学生を同行させ、ワークショップ(Satellite Workshop for Young
53
Scientists) を開催した。
本ワークショップは、将来の両組織(両国)の拠点交流を担う若手研究者と学生の交流を
深めることを目的として、各課題別討議と並行して開催された(H17.9.4 9:00 - 11:00)。
中国科学院水土保持研究所側 Fan J.博士と、鳥取大学側望月秀俊研究員が議長役を
務めた。セミナーは英語で行われ、双方の大学院生を中心に中国側 15 名、日本側 7 名、
計 22 名が参加した。
若手研究者と学生の交流を深めるため、本セミナーが学術的かつ専門的なものに終始し
ないことと、参加者同士が名刺交換や自由に話ができる時間を充分に取ることに配慮するこ
とを確認し、セミナーのプログラムを以下のように設定した。
1)
2)
3)
4)
5)
大学院生による研究紹介
日本側代表者による、大学院生の生活と乾燥地研究センターの紹介
参加者全員による自己紹介
ティーブレイク(中国茶)
中国側大学院生の案内による水土保持研究所見学
英語による発表の経験や相手国研究者との交流は、これら学生のその後の研究・学習意
欲向上に大きな効果があり、その後の研究の基礎となる例も出てくるなど、大変有意義なも
のとなった。
ワークショップ(Satellite Workshop for Young Scientists)の様子
54
3-5. 交流を通じての相手国からの貢献
(1)研究活動に対する直接的な支援
①本事業は、日本側と中国側で技術やデータをカバーしあいながら進めており、例えば、
日本側が土壌表層と大気の間での熱収支と水収支、地下水位と河川流動を取り扱い、
中国側はその中間層である土壌内水収支を取り扱うことで互いにデータのない部分を
共有して研究をスムーズに進行させた例等がある。
②観測機器の管理、監視、データ取得等に関しての協力。具体的には、データは月に
一度のペースで取得され、その都度電子メールで送付されたり、データ異常の際の対
応、機材等のメンテナンスに関しても迅速かつ適切な協力を得た。また、ベンチマーク
の一つである延安においては、延安市の協力により、地元住民が観測機器の見回りを
行ってくれている。
③砂漠化防止に関する研究は自然環境、地域特性、経済、文化、政治、人文社会、生
活と密接に関係しており、これらを把握するために必要な情報(各種データ、文献、経
験と知識等)を相手国の研究者から得ることができた。また、相手国関係省庁等(中国
林業局、地方政府)の行政官、研究者を紹介され、意見交換の機会を得ることができ
たことにより、研究の新しい方向性について助言を受けたり、情報の分析と解釈に役立
っている。
④現地住民の協力が不可欠である聞取り調査やアンケート調査について、相手国の研
究者の協力により、調査がスムーズに実施できる。
(2)研究活動の後方支援に対する貢献
① 観測機材の輸送、持込みに際して相手国側の税関等の問題に適切な対応を得た。
② 空港での送迎には相手国側カウンターパートが常に立ち会うため、通関時等に問
題が生じた場合に適切なサポートを受けることができる。
3-6. 交流を通じての相手国への貢献
(1)研究活動に対する直接的な貢献
①相手国側がカバーできない研究領域についてサポートを行った。具体的には、リモ
ートセンシングによる流域の情報、気象データ、土壌水分のデータ提供等であり、相
手国側の研究者・学生等はこれらのデータを有効に活用している。
②日本側持込機材により、相手国側研究者の効率的な観測を可能にした。具体例とし
て、現地では、気温・湿度、地温測定では最大最小温度計、地中温度計を用いて毎
朝定時に手動で観測していたが、これに対しては温湿度自動記録計と地温自動測定
器を提供した。
③日本側研究者は研究に対する思案、理論とモデルを提供し、相手国の研究者に新し
い視点を与えた。
④日本側研究者の研究方法、データの処理方法は相手国の研究者及び学生等にとっ
て参考になる点が多かった。
55
(2)中国側研究者の人材育成・研究者交流に対する貢献
①これまでに、相手国側留学生等 13 名(内 1 名は論文博士)が学位(博士)を取得して
いる。その内の 2 名(杜盛、楊勝利)は、大学院生の時、本事業の参加研究者に加え、
その課程で学位を取得した。なお、楊勝利は平成 16 年度に日本学術振興会外国人
特別研究員に、杜盛は平成 16 年度に 21 世紀COEプログラム研究員、平成 17 年度
に日本学術振興会外国人特別研究員に採用されている。
②平成 17 年 10 月現在、相手国側協力大学(北京師範大学、中国農業大学、中国科学
院石家荘農業現代化研究所(現中国科学院遺伝与発育生物学研究所農業資源研
究センター))から 4 名(張 清涛、魏斌、殷俐娜、李偉強(拠点枠))の留学生を受け
入れている。また、新疆農業大学からは、21 世紀COEプログラム研究員 1 名(黄俊
華)を受け入れている。
③交流を通じて、日本での研究体制や関連分野の動きなどを相手国の研究者に紹介
するとともに、日本の他の研究機関・研究者を紹介し、相手国研究者のネットワークを
広げることができた。
④現地調査時、また日本においてもメール等で連絡を取ることにより、相手国の学生
(修士課程・博士課程学生等)に対して研究指導を行っている。
このように、本事業を通じて、相手国側研究の発展及び人材育成に大きく貢献している。
3-7. 成果の社会への還元
(1) 日本における社会への還元
成果の実用化、産業化された事例はないが、本事業の研究成果等を機会を捉えて発
信している。具体的な内容は次のとおりである。
①日本砂漠学会及び 21 世紀 COE プログラム「乾燥地科学プログラム」共催の日中
国際研究シンポジウム(黄土高原の自然、沙漠化、沙漠化対処/平成 17 年 5 月 20 日)
において研究成果を発表した。
② 「砂漠化に挑む」と題して、山陰中央新報社に平成 16 年 10 月 9 日から計 21 回の半
年連載した中で、本事業の必要性、成果等を紹介した。
③乾燥地研究センターの展示室(休日も公開)に黄土高原コーナーを設置するとともに、
年 2 回実施している乾燥地研究センター一般公開で、研究対象地である中国黄土高
原における砂漠化対処の取り組みについて講演を実施するなど本事業の成果を広く
社会に紹介している。
④市民公開講座等で研究成果の紹介を行った。
(a)日本砂丘学会市民公開講座
「世界各国における乾燥地農業振興と水環境」(平成 14 年 3 月)
「過酷な栽培環境-乾いた大地に豊かな農地に」(平成 15 年 11 月)
(b)国際協力の最前線から-途上国の食料・農業・農村-、まなびピア鳥取 2005 in 鳥
取大学、(平成 17 年 10 月)
56
⑤次代を担う高校生に対して、研究成果を通して砂漠化等地球環境問題を考えてもらう
ための授業を行った。
(a) 和歌山桐蔭高校:同校が実施している「桐蔭総合大学」にて「地球の砂漠化に立
ち向かう」と題して講演した(平成 15 年 3 月)。
(b) 鳥取県立鳥取東高校:同校が実施している「サイエンスゼミ」にて、「乾燥地農業」
についての授業を2回にわたり行った(平成 16 年 6 月)。
(c )鳥取県立鳥取工業高校:同校が進めている連携型科学技術・理科教育推進事業
(サイエンス・パートナーシップ・プログラム)事業において、「乾燥地の水問題」に
ついて授業を行った(平成 17 年 10 月)。
(d) 兵庫県立川西緑台高校:模擬授業で「乾燥地の農業と砂漠化防止」について授
業を行う予定(平成 17 年 12 月実施予定)。
本事業の取り組みを紹介した新聞記事「砂漠化に挑む」(山陰中央新報社)
(2)相手国の社会への還元
本事業は、中国黄土高原における砂漠化防止に資することを目的としており、中国の
砂漠化防止に対して、本事業の成果が貢献したことが、本事業の大きな成果である。
①本事業の成果は、相手国の拠点大学である中国科学院水土保持研究所から中国科
学院の情報システムにより中央政府に報告書が提出されている。その中で、砂漠化防
止の主要な政策手段の一つである「退耕還林(耕地を林地にもどす)」に関連する問題
についての提言を行っている。また、中国における政府関連機関により組織された調
査・研究に参加し、砂漠化防止に関する提言を盛りこんだ報告書の提出や陝西省延
安市(日本で言う県のレベル)地方政府に対しても、専門委員会の場、あるいは政府に
対して直接的な提言を行った。
57
②中国側拠点リーダーである田均良教授は、国家レベルの専門家会合である中国林業
局の砂漠化防止専門家委員会の一員として、中国における砂漠化防止に重要な提言
を行った。
③本事業の成果が、活用されている事例として、当研究課題「ビニルハウス栽培キュウリ
の成長及び品質に及ぼす灌漑水量」の結果が、現地のビニルハウス栽培において灌
漑水量調節の面で大きく貢献している。また、緑化システムの評価に基づいて、中国側
が植栽した郷土樹種が、中国での砂漠化対処の緑化植林として大いに成果を上げて
いる。
また本事業の成果は、新聞、雑誌、テレビ等マスメディアを通じて一般に紹介され、中国
の砂漠化防止活動を間接的に支援した。
① 地方テレビ局により、本事業の成果が数回紹介された。
② 陝西テレビ局に研究者が招かれ、温室の土壌荒廃の問題についてレクチャーを行っ
た。
③ 学時報、陝西日報などの地方新聞により、本事業の成果が紹介された。
④ 本課題の活動が平成 16 年 8 月中国新疆ウィグル自治区のテレビ番組、新聞で紹介さ
れた。
3-8. 予期しなかった成果
(1)論文として公表された成果が浸透し、他の研究プロジェクトからも共同研究の依頼がくる
など、本事業の思わぬ派生成果が見られた。
(2)平成 17 年度の文部科学省「大学国際戦略本部強化事業」及び「国際化推進プログラ
ム」に鳥取大学の「持続性ある生存環境社会の構築に向けて-沙漠化防止国際戦略
-」及び「持続性ある生存環境に向けての国際人養成-沙漠化防止海外実践教育カリ
キュラム」が採択された。これらの採択理由は「沙漠化防止という特色ある分野に特化した
魅力的な計画であり、一つのモデルケースになる可能性がある」とされ、本事業を含むこ
れまでの鳥取大学の取り組み、成果が大きく評価された結果である。
(3)鳥取大学における教育組織に国際乾燥地に関するコースが設置された。
・大学院連合農学研究科博士課程に国際乾燥地農学連合講座設置(平成 15 年度)
・農学部に国際乾燥地科学コース設置(平成 17 年度)
・大学院農学研究科修士課程についても、現在、乾燥地科学に関するコースを新設す
ることが検討されている。
(4)3-1に記述したように、本事業の成果として、新たな研究プロジェクトの立ち上げや国
内外研究機関との学術イベントが実施・計画されている。特に、来年 2 月に中国(北京)
で開催される「8th International Conference on Dry Lands Development」は国際会議委員
会、国際連合大学、国際乾燥地域農業研究センター(ICARDA)中国科学院寒区旱区環
境予工程研究所と日本側拠点大学である鳥取大学乾燥地研究センターが共催するもの
で、本事業参加研究者等が参加し、本交流事業の研究成果を公表することとしている。
(5)九州大学大学院農学研究院、生物資源環境科学研究院及び農学部と中国科学院水
土保持研究所との間で学術交流協定が締結された(平成 15 年 8 月 9 日)。
58
3-9. 課題・反省点
(1) 研究組織に関する課題・反省点
研究内容と研究対象地がセットになっていたので、たとえば緑化に関する研究は延
安に限定されていた。研究活動の内容によっては、たとえば草地を主体とする神木地
区と森林を主体とする延安地区の双方で調査・研究を行い、その比較を行うことにより、
より有効な成果をあげることができる。
解決に向けた方策
第2フェーズ(平成 18 年度~平成 22 年度)においては、神木及び延安の両者にお
いて比較研究が行えるような仕組みを整える(4-2で詳述)。
(2) 研究活動に関する課題・反省点
3-2に記述したとおり、本事業により生み出された研究業績は、論文数としては、一
定の水準を満たしていると思われる。しかし、日中双方の研究者の共著論文がより多く
生産されることが望ましい。またさらに研究を高度化することが必要である。
解決に向けた方策
本事業に参加している日中双方の研究者に対して、日中共著論文の作成と、インパ
クトファクターの高い SCI 誌への投稿を増やすことを要請。
(3) 研究成果の社会への還元に関する課題・反省点
本事業開始当時に比べて、中国における砂漠化問題への対応はさらに喫緊の課題
となってきた。そこで本事業の成果をできるだけ早く、確実に地域に還元させていくこと
が課題である。
解決に向けた方策
適正技術を主として即効性のある技術開発を積極的に推進すること。開発された技
術を現地に普及させるために、技術移転・能力開発の仕組みを整えること、企業との連
携を強化し、開発された技術の市場化を検討すること。
59
4.今後の計画
4-1. 事業の組織
2-1.で述べたとおり、本事業は、拠点大学、実施組織代表者、コーディネーター、協力
大学、事務組織、運営委員会、アドバイザリーボードから成る実施組織で運営されている。
現在、効率的に事業は推進されていると判断されたので、今後とも基本的にはこの形態を
維持する。
ただし、第2フェーズ(平成 18~22 年度)では、黄土高原で得られた研究成果の他の砂漠
化地域への適用可能性を検討することが必要になること、及び近年、海外有識者からの外
部評価が求められていることを考慮し、日中公開セミナーへの招聘、あるいは電子メール、
文書の送付等の手段により、日中以外の海外の有識者の意見を本事業の推進に反映させ
ることを検討している。
4-2.事業の枠組み
2-2.で述べたとおり、平成 13 年度~平成 17 年度では、以下の5つの研究課題を設けて
事業を実施してきた。
第1課題:砂漠化の過程と影響の解明
第2課題:砂漠化防止計画の作成
第3課題:適性技術と代替システムの開発
第4課題:住民参加と環境教育に関する計画作成
第5課題:緑化と環境保全のあり方に関する総合的研究
第2フェーズ(平成 18 年度~平成 22 年度)では、この研究課題を3つに再編する。
その理由は、以下の通りである。
① これまで研究内容と研究対象地がセットになっていたので、たとえば緑化に関する研究
は、延安に限定されていた。そこで、これを改め、主たる対象地である神木(草地を主体
とする半乾燥地域)及び延安(森林を主体とする乾性半湿潤地域)の両者において比較
研究が行えるような仕組みを整える。
② 乾燥地医学、農業経済的研究等の新たな研究課題に対応するため、より総合的な研究
体制を構築する。
③ 課題間の連携を深め、本事業全体としての統合性を高める。
そこで、第2フェーズでは、以下のような新しい研究の体制を構築することが、平成 17 年 9
月に中国で開かれた日中合同セミナーで合意された。現在、各研究グループ間でその詳
細を検討している段階であり、来年度の研究計画書には、その新しい研究課題と体制(研
究者の配属)を盛り込むことを計画している。
60
第 1 課題:砂漠化のプロセスと影響に関する解析(基礎的プロセス研究)
第 2 課題:適正技術と代替システムの開発(砂漠化対策技術の開発)
第 3 課題:砂漠化防止に対する総合的アプローチ(3課題の総括)
研究内容の詳細については、4-3で述べる。
4-3. 共同研究、セミナー、研究者交流の計画
(1) 共同研究
4-2で述べたように、第1フェーズでの5研究課題を第2フェーズでは3研究課題に再編
する。
最終的な研究内容については、現在、日中間で検討を続けているが、平成 17 年 9 月に
中国で開かれた日中合同セミナーで合意された案は以下の通りである。
Subject 1. Analysis on Process and Influence of Desertification
1-1 Influence of climate change and human activities on ecosystems and societies in drylands
1-1-1 Development of the hazard map for desertification
1-2 monitoring environmental change in climate, hydrology, land use/ cover and so on
1-2-1 Development of diagnosis method
1-2-2 Development of treatment method
61
Subject 2. Development of appropriate technologies and alternative systems
2-1 Development of soil and water conservation technology
2-1-1 Research for the stability of check dam
2-1-2 Research on the relationship between landscape & soil loss
2-1-3 Development of hydrological model of basins
2-1-4 Research on root system for anti-erodibility
2-1-5 Research on salinization & sodification processes of reclaimed lands by check dam
2-2 Development of agricultural technology
2-2-1 Establishment of appropriate system for cultivation in greenhouse
2-2-1-1 Establishment of appropriate control of soil water and micro-meteorological conditions for cash
crops
2-2-1-2 Determination of adequate amount of applied water and nutrition for high yield and quality of
cash crops
2-2-1-3 Prevention of soil degradation in continuous cropping system
2-2-2 Generation of drought tolerant transgenic plants
2-2-2-1 Characterization of mineral absorption and water use efficiency of plant genotype with drought
tolerance
2-2-2-2 Isolation of drought tolerance-related genes
2-3 Development of revegetation technology taking account of ecosystem service
2-3-1 Establishment of revegetation technology using native plant species
2-3-1-1 Research on ecological and physiological characteristics of native plants
2-3-1-2 Development of appropriate planting system using native plants
2-3-2 Development of conservation technology enhancing biodiversity
2-3-2-1 Effect of “Vegetation Protection” on biodiversity
2-3-2-2 Effect of “Prohibition of Pastoral Use” on biodiversity
2-3-2-3 Technology development to shift forest system from monoculture plantation to mixed forest
2-3-3 Monitoring and evaluation of ecosystem function and service
2-3-3-1 Monitoring and evaluation of energy, water and nutrient dynamics in forested ecosystems
2-3-3-2 Monitoring and evaluation of water quality and quantity derived from different land-use types
of watershed
Subject 3. Comprehensive Approach to Combat Desertification
3-1 Diagnosis and numerical modeling of nature and society in drylands and assessment of the effect of
countermeasures
3-1-1 Economic approach to realize richer society and overcome poverty
3-1-2 Medical approach to prevent illness and improve health
3-1-3 Ecological approach to keep ecosystems sustainable
3-2 Institutional approach for planning to combat desertification
3-2-1 Consideration of educational measures to encourage community participations
62
3-2-2 Evaluation of effectiveness of measures and systematization of comprehensive measures to combat
desertification
(2)セミナー
これまで年 1 回のペースで日中合同セミナーを開催してきた。今後の 5 年間でもこのペー
スでセミナーを開催していくことを計画している。
とくに、平成 18 年は、国連によって「砂漠と砂漠化に関する国際年 (International Year of
Deserts and Desertification)」に定められており、国内外で砂漠・砂漠化関連の行事が開催
される。
そこで、本事業でも、国連砂漠化対処条約 (UNCCD) 事務局及び国連大学との共催で
乾燥地科学と砂漠化に関する国際シンポジウムを開催することを計画している。平成 18 年
度の日中合同セミナーについては、この国際シンポジウムの一環として開催することによっ
て、本事業の成果を広く世界の研究者に発信するとともに、一般市民にもその成果をわかり
やすく伝えることを計画している。
(3)研究者交流
研究者交流については、これまで以上に積極的に取り組む。
とくに若手研究者の交流をさらに増やすために、中国人研究者を拠点大学及び協力大
学の留学生枠を最大限活用することにより、大学院修士・博士課程に留学できるように努め
る。
63
5.今後の交流で見込まれる成果
今後の交流で見込まれる成果及び今後の改善点は、以下の通りである。
(1) 交流による学術的な影響
・ 日本側研究者には科学研究費補助金等、中国側研究者には中国科学院等の競争的
研究資金の獲得に向けた努力を呼びかけている。今後、これらの中から今まで以上に
日中国際共同研究プロジェクトが生まれて来ることが期待される。
・ 若手研究者の学術的交流を促している。研究申請書を作成する際にアドバイスを与え
ること等により日中の若手同士の国際共同研究プロジェクトの創成を積極的に支援す
る。
(2) 共同研究を通じて発表される研究業績
・ これまで査読付き論文は 277 編(うち SCI 誌は 138 編)、その他 61 編の研究業績が生
産されてきた。今後の 5 年間は、さらに加速して研究業績が生産されることは確実であ
る。
・ とくにインパクトファクターの高い SCI 誌への投稿と日中共著論文の作成を研究者に促
しているところであり、今後の 5 年間でその成果が期待される。
(3)セミナーの成果
・ 今後とも年 1 回のペースで日中合同セミナーを開催する。
・ 平成 18 年度は、とくに砂漠と砂漠化に関する国際年であることから乾燥地科学と砂漠化
対処に関する国際シンポジウムを日本で開催することにより、本事業の成果が広く世界に
発信されることが見込まれる。
(4)若手研究者の交流に関する成果
・ 中国人研究者が日本に留学する機会を増やすため、拠点大学及び協力大学の留学生
枠を最大限活用する。このことにより、大学院修士・博士課程の留学が増えることが見込
まれる。
・ 日中公開セミナーでの若手交流の場を活用することにより、さらに若手研究者の公私に
わたる交流が盛んになることが見込まれる。
(5)交流を通じての相手国からの貢献
・ 中国側研究者が政府の専門委員会等に参加することにより、本事業の成果が政府の砂
漠化対策に貢献することが見込まれる。
・ 中国側研究者が本事業により得られた成果にもとづき砂漠化対策に関する報告書を中
国政府に提出することにより、本事業の成果が中国政府の砂漠化対策に貢献することが
見込まれる。
64
(6)成果の社会への還元
・ 本研究で得られた成果を一般書籍として出版することを予定している。すでに原稿は集
まっているので早期に出版されることが見込まれる。
・ 本研究で得られた成果を一般雑誌で特集号として紹介してもらうことを予定している。
・ 本研究で得られた成果をもとに民間企業との技術開発の連携を模索しているところであ
り、今後、企業との連携による成果が見込まれる。
65
6.参考資料
(1)年度別交流の推移
拠点事業経費
区
分
(人/人日)
13 年度
14 年度
15 年度
16 年度
17 年度
研究者交流(派遣)
16/107
6/ 52
3/ 19
2/ 19
2/ 10
共同研究(派遣)
22/223
45/422
48/420
46/503
28/281
共同研究(受入)
0/ 0
1/ 29
0/ 0
0/ 0
0/ 0
セミナー(派遣)
※ 4/ 12
17/ 68
18/ 67
※ 6/ 23
20/ 80
セミナー(受入)
16/ 96
0/ 0
0/ 0
16/ 64
0/ 0
日本側
42/342
68/542
69/506
54/545
50/371
相手国側
16/ 96
1/ 29
0/ 0
16/ 64
0/ 0
計
※は、日本開催時の、拠点事業経費を負担した日本側研究者数。
(参考)他経費による交流の推移
区
分
13 年度
(人/人日)
14 年度
15 年度
16 年度
17 年度
派
遣
4/ 28
13/131
32/288
48/516
39/479
受
入
1/ 90
0/ 0
9/293
7/197
2/ 11
1/ 90
0/ 0
7/107
2/ 67
1/ 4
新疆農業大学
0/ 0
0/ 0
1/ 96
4/ 85
0/ 0
中国農業大学
0/ 0
0/ 0
1/ 90
1/ 45
0/ 0
石 家 荘 農 業現代 化
研究所(現中国科学
院 遺 伝 与 発育生 物
学 研 究 所 農業資 源
研究センター)
0/ 0
0/ 0
0/ 0
0/ 0
1/ 7
中国科学院水土
保持研究所
(2)年度別セミナー要旨集(プログラム等)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・資料(1)
(3)燥地研究センター展示室「黄土高原コーナー」展示パネル内容・・・・・・資料(2)
(4) 中間成果報告書「黄土高原の砂漠化とその対策」・・・・・・・・・・・・・・・・・別冊(1)
(5) 報告書「中国黄土高原における熱・水収支特性に関する研究」・・・・・・別冊(2)
(6) 研究資料「緑化と環境保全のあり方に関する総合的研究」・・・・・・・・・・別冊(3)
66
資料(2)
鳥取大学の取り組み
中国内陸部の砂漠化防止及び開発利用に向けて
拠点大学交流事業 :中国科学院との共同研究
日本側拠点を鳥取大学乾燥地研究センター、中国側拠点を中国科学院水土保持研究所として平成13年
度に共同研究が開始されました。
研究対象は中国内陸部の砂漠化地域であり、特に黄土高原の砂漠化地域を重点研究地域として、砂漠
化とその防止に関する様々な問題について日中の研究者が協力し研究を行っています。
これらの研究成果を基にして、総合的な砂漠化防止対策を確立し、地域社会の持続的発展方向を提示
することがねらいです。
鳥取大学乾燥地研究センター
中国科学院水土保持研究所
第1課題 砂漠化の過程と影響の解明
砂漠化の進行過程とそれが自然環境に与える影響について明らかにすることを目的としています。黄土高原の
中でも特に侵食が激しいと言われている河川流域で,水収支に関する実証的な研究を行っています。現在の土
地利用が水収支に及ぼしている影響,そしてモデル計算で土地利用を変えた場合の水収支の変化について予測
します。
降雨時
無降雨時
黄土高原における流出の特徴
黄土
黄土
紅土
紅土
自然河道
砂岩
② 土壌水分あるいは地下水
は降雨特性に大きく影響さ
れる.
砂岩
黄土
黄土
紅土
紅土
ダム有河道
黄土
黄土
紅土
紅土
畑有河道
砂岩
水文量のモニタリング
流量観測
砂岩
雨量観測
③ 河道内に建設されているダ
ム・畑(潅漑を含む)の影響
が無視できない.
The year of 1993
The year of 2004
Farmland
Shrub
Glass
Forest
Others
④ 自然斜面(未攪乱)と河道
内畑(攪乱)で同じ土壌でも
特性が異なっている.
砂岩
砂岩
① 地表の鉛直浸透能が高く,
強降雨時のみ表面流出が
発生する.
⑤ 流出水には高濃度の黄土
が含まれており,測定に及
ぼす影響を無視できない.
⑥ 長期流出特性には,蒸発
散量が支配的である.
神木県六道溝流域における1993年と
2004年の土地利用。退耕還草の政策
等が浸透してきています。
地下水(土壌水分)観測
-1
ET,ET0,E (mmday )
黄土高原における雨水流出過程に対応した
水文量のモニタリング手法。
10
ET
ET0
E
8
6
4
2
0
ma(=ET/ET0 )
1.5
1.2
0.9
0.6
0.3
0
150
180
210
DOY
240
270
神木県六道溝流域で優占する草地の蒸発散量の
季節変化。ETは蒸発散量,Eは土壌からの蒸発量,
ET0はポテンシャル蒸発散量。
神木県六道溝流域における地下水位
および微気象や土壌水分の観測。
第2課題
砂漠化防止計画の作成
他の4課題と連携を取りながら、各課題の成果を取り込んで、総合的な砂漠化防止対策を立案提示す
ることが目的ですが、特に、砂漠化の一つの象徴でもある塩類集積に着目して研究を進めています。
研究対象地区は、黄土高原に源流を持つ洛河下流域に位置する洛恵渠灌区で、この地区では塩類集積
問題が最大の課題です。この問題解決に向けて、農地での灌漑と地下水挙動が塩類集積に及ぼす影響
を解明し、その上で農地の塩性化を防止するための水管理・圃場管理技術の開発を目指しています。
24dS/m
土壌間隙水の電気伝導度を測定して、農地における塩類集積状況を測定します。
洛恵渠灌区
(3.2万ha)
黄土高原
黄河
洛河
砂丘
渭水
約80箇所の地下水位、水質を定期的に観測します。 洛恵渠灌区の位置を示す衛星画像です。地区内の小
さな黒い点は地下水観測点(約80点)を示します。
第3課題
適正技術と代替システムの開発
乾燥地域における伝統的農業技術の改良とともに、近代農業技術の導入を図った、持続的な作物生
産システムの構築を目指しています。砂漠化が進む黄土高原の延安地区では、急傾斜地での粗放な
作物栽培をやめて森林に戻す政策が現在進められています。森林に戻す畑地の代替として、高い現
金収入を狙ったビニ-ルハウス栽培が普及しつつありますが、現状のビニ-ルハウス栽培では、
様々な問題が出てきています。より持続的で効率的な作物栽培技術の確立をめざして研究を続けて
います。
北側の壁と両側面が黄土を
固めて作られた無加温ビニー
ルハウスが多く見られます。
ハウス内の同じ土壌で繰り返し栽培すると、生産
量が減少し、品質が低下します。この連作障害を
減らすために、環境測定とキュウリの品質調査を
行っています。
乾燥地に強い品種を見出すために、異なる品種の小麦
を栽培して、乾燥に対する耐性や様々な生理、成長に
関する特性について研究を行っています。
第4課題
住民参加と環境教育に関する計画作成
砂漠化対処に不可欠な住民参加システムと環境教育のあり方について提言することを目的としています。こ
れまでの調査で、農民の多くは砂漠化対処の必要性を認識していますが、それへの参加は政府補助金の受領
が目当てであることが明らかとなってきており、砂漠化対処に向けての住民の意識や問題点がはっきりして
きました。
住民の意識を高めるため、山の斜面に環境改善のス
ローガンが掲示されています。
中国環境教育用教材・雑誌・専門書の例 (農民向けの教育材料
は少ない)
第5課題
農民の意識調査風景(黄土高原)
緑化と環境保全のあり方に関する総合的研究
乾燥地域における持続的な緑化や生態系の回復に関する研究を行っています。延安地区を対象として、わず
かに残された原植生であるリョウトウナラ林と外来樹種ニセアカシア人工林の比較研究を通じて、どのよう
な緑化が当地域で適当なのかを調べています。
設置した観測機器からデータを回収。
ニセアカシア人工林で水や物質の移動を調べています。
木の上に登って、気象や、樹木の生理状態を測定します。
黄土高原とは?
日本にもっとも近い乾燥地を持つ国・中国
日本にもっとも近い乾燥地は中国にあります。下の衛星画像をみても良くわかりますが、褐色の部分
が乾燥した地域で、中国の北西部から遠く中央アジアをとおり中東にまで広がっています。黄土高原
はその中でも日本に近く、西安(昔の長安)から北に広がる乾燥地帯です。
黄土高原
北京
タクラマカン砂漠
西安
中国における砂、レキ(礫)、黄土の分布
日本人がイメージする乾燥地の姿は砂の砂漠が一般的でしょうが、実はそれだけではありません。
中国の乾燥地にも砂の砂漠の他、レキ(礫)からなる砂漠、土からなる砂漠が存在します。黄土高原
は粒子の細かな土(黄土)からなり、遠く海を越えて日本にも降ってくる黄砂が厚く堆積してできたも
のです。
黄土高原の自然環境
Boundary of the Loess Plateau
Forest
Shrub
Typical grass
Short grass
Others
From Kimura et al. (2004)
黄土高原の植生分布(左:衛星画像,右:植生分布図)
1 Heavy loam
2 Medium loam
3 Light loam
4 Sandy loam
5 Sand
39
38
5
Ertuokeqi
Yinchuan
3
37
36
4
Yuling
Taiyuan
4
Yanan
Langzhou
Tongchuan
2
35
1
Xian
102
103
104
105
106
107
108
109
110
111
112
113
Longitude (deg)
Content (%)
Soil texture
>0.05 mm
0.01-0.05 mm
Heavy loam
9
42
49
Medium loam
11
50
39
Light loam
21
54
25
Sandy loam
48
39
13
Sand(Mu US)
98
1
1
<0.01 mm
From Kimura et al. (2004)
黄土高原の土壌分布,粒径組成および土壌による土壌水分の季節変化
黄土は約半分がシルト,そして残りが砂および粘土によりどのように構成されているかで土壌の物理特性が異なります。
(θは体積含水率 θ1:2cm,θ2:2-22cm,θ3:22-70cm)
(mm)
6月
7月
0-10
10-20
20-30
30-40
40-50
50-60
60-70
70-80
80-90
90-100
100-110
110-120
120-130
130-140
140-150
150-160
160-170
170-180
8月
雨季の降水量1kmメッシュ推定分布(Takayama et al., 2004)
黄土高原の雨はほぼ蒸発散によって供給されています。裸地をその土地固有の植生で覆ってやることが非常に大切です。
From Kimura et al. (2004)
From Takayama et al. (2004)
Forest
40
Shrub
0.4
Latitude (deg)
Latitude (deg)
40
39
38
Typical grass
Short grass
Others
0.4
0.6
0.6
1
1
0.8
37
0.8
36
1
1
35
1
0.8
102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112
Longitude (deg)
土壌水分を用いた湿潤度の指標
θe≧1.0
Forest area
0.8≦θe <1.0 Shrub and typical grass area
θe <0.8
Short grass area
(θe:湿潤度を示し1に近づくほど湿潤)
夏季の降水量の集中度分布
閉じた部分は集中的な雨が多いことを示しており,
このような場所では水による侵食が激しくなります。
黄土高原の砂漠化
水食(水による大地の侵食)
中国の黄土高原では長年にわたり植生が
改変され、山の頂上まで畑が作り続けられ
てきました。
その結果、地表を一面に覆う緑を失った大
地は、わずかな雨でも表面が削られ、土砂
が流されてゆきます。土砂が流れる谷がど
んどん拡大し、努力して開墾した畑も次第
に狭められてゆくのです。
水による大地の侵食、これが黄土高原に
生じている砂漠化を象徴するものです。
大地を覆う緑がないとすぐに洪水が起こる
2002年7月31日、黄土高原の中心都市、延安近郊で調査をしていると午後から天気が悪くなり、雨となりました。この
雨は局地的なもので、7mm程度のものでしたが、はげ山状態の山地に降った雨は、ほとんど地中に吸収されることなく、
大地の表面を流れ下り、川へと流入します。結果、普段はほとんど水の流れていない川の水位が上がり、濁流が流れま
した。水はけの悪い場所では洪水になりました。乾燥地では雨が少ないのですが、一度降ると、植生がないため洪水状
態に陥ることが珍しくありません。土砂を巻き込んだ水は最終的に黄河へと流れ込みます。
延安市内を流れる川(通常の状態)
(2002年7月31日)
黄土高原は細かい粘土質
の土からできています。こ
の大地に雨が降ると、わず
かの量でも土の表面はズ
ルズルになり非常に滑りや
すくなります。車はスリップ
して通行不能となり(写真
左)、雨が続けば道路はえ
ぐられてしまいます(写真
右)
その他の砂漠化現象
風食と砂嵐:黄土高原の北部では砂に覆われた地域が広がっ
塩類集積:黄土高原の低地部では、農地での灌漑の失敗や
ています。ここでは風が吹くと砂が動き大地が削られ(風食)、砂
嵐が起こります。
地下水位の高い場所で、地表面に塩が集積し、大地が不毛
化する塩類集積問題が深刻です。
黄土高原の北部、楡林で遭遇した砂嵐
果樹園に吹き出した塩(白い部分) (写真:北村義信)
黄土高原の植生と緑化
退耕還林・還草
砂漠化の進む黄土高原
土砂の流亡を防ぐため、急傾斜地での耕作
をやめ、森林や草原に戻す活動が進められ
ています。
これを退耕還林・還草と呼びます。
左の写真中、左下付近の急傾斜地に白い点
が並んでいる部分が見えます。これが新しく植
林されたところです。
魚鱗坑造林
乾燥地域の植林には、植えた苗木が枯れ
ないような工夫が必要となります。
右の写真にみられるように、苗木は半月
形の穴の中に植えられています。半月形
の穴は斜面を流れ降りる水を集め、苗木
に水を供給するのです。
半月形の植え穴が並んでいる様子を遠く
から見ると魚の鱗状にみえます。このこと
から、魚鱗坑造林と呼ばれます。
乾燥地域の緑化で必要なこと
砂漠化の進行に対し、緑化は有効な対抗手段の一つで
す。しかし、植物は生きるために多量の水を使います。水
不足で、元々森林が成立しない場所に無理やり樹木を植
えても、その将来は明白です。
左写真は、元々森林が成立しない場所に植えられたニセ
アカシアです。大部分が枯れ、生き残ったものも成長不良
で、先端が枯れているのがわかります。
さらに、山羊や羊の適正な
放牧管理も必要です。せっ
かく再生した緑が食害で消
えてはなりません。
延安地域の自然植生:リョウトウナラ林
黄土高原の中心都市である延安付近の降水量は約550mm。この付近がぎりぎり森林の成立する限界地です。現実に森林
はほとんど見られませんが、わずかに、写真のような美しいリョウトウナラ自然林も残っています。時間と手間をかければ、
このような森林の再生も可能です。
黄土高原の農業
天水農業
(雨水を利用した農業)
黄土高原は乾燥が非常に厳しいにもかかわらず、農地面積の10%しか灌漑農地がありません。そのため、
農業は天水に依存しています。そこで、黄土高原ではこれまで耕作技術の改善により農業が発展してきました。
斜面をそのまま利用した畑
黄土高原では、傾斜地での農耕は耕地面積のおおよそ
80%を占めています。単位面積当たりの収量は低く、水
と土壌の流失が起こり易い農地です。
水の有効利用を考えた梯田
(段々畑)
傾斜地で雨水を農地に蓄えさせるひ
とつの方法は、傾斜地を段々畑に整
備することです。梯田はそのままの傾
斜地より約1.5倍増産できます。同時
に、土壌流失も防げます。
その他
の土地
農地
29%
耕地面積の
変化
1999年
その他
の土地
農地
20%
2003年
集約的な農業形態へ
中国政府による「退耕還林」政策の実行により、黄土高原での
農耕地の面積は減少すると思われます。そのため、限られた
農地で集約的に耕作することが、黄土高原での総農業生産を
増加させる唯一の手段です。
主要作物:コムギ、トウモロコシ、アワ、ジャガイモ、アブラナ、ダイズ、ワタ、ソラマメ
コムギ畑
トウモロコシ畑
段々畑とソバ畑
ロバを用いた作業
(写真の一部は中国科学院鄧西平教授提供)
収穫
人々の暮らし
黄土高原の中心都市・延安
中国内陸部の大都市、西安から北に400km、車で約4時間のところに黄土高原の中心都市、延安があります。我々
の調査拠点の一つであり、町は活気にあふれています。
道ばたの野菜売り
人々が集まる延安の市場
食事の定番は麺料理。 「好吃!」(うまい!)
延安の朝は饅頭と油条(揚げパン)から始まる
農村部の暮らし
黄土高原の伝統的住居、ヤオトン(窑洞):黄土を掘って作られた住居で奥行きは8m, 天井までの高さは3.3m 。
内部は夏涼しく、冬は暖かい。
太陽エネルギーの利用:太陽光の熱を利用して
農閑期の楽しみ「廟会」 : 道教の神様を祭る寺院の縁日。
お湯を沸かします。
舞台が作られ演劇が上演されたり市がたちます。
2004.8.2
Fly UP