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「日韓次世代学術フォーラム第12回国際学術大会」開催

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「日韓次世代学術フォーラム第12回国際学術大会」開催
第31号
東西大学校
DONGSEO UNIVERSITY THE JAPAN CENTER 東西大学校 日本研究センター
┃本部┃
釜山広域市 沙上区 周礼路47 東西大学校 国際協力館 8F
http://www.japancenter.or.kr
発行日 2015年 12月 30日 発行人 趙世暎 発行所 東西大学校 日本研究センター
TEL 051-320-1900~1 FAX 051-320-1902
┃ソウル事務所┃ ソウル特別市 鍾路区 セムンアン路92(新門路1街) 光化門オピシア2331号
TEL 02-723-2270~1
E-MAIL [email protected]
FAX 02-723-2272
「日韓次世代学術フォーラム第12回国際学術大会」
開催
『私たち(日韓)はお互いにどう向き合うか』
を全体テーマに-
8月22日(土)、
23日(日)の両日、
韓国ソウル市の高 『次世代人文社会研究第12号』
に掲載される予定で
麗大学校安岩キャンパスにて日韓国交正常化50周
ある。
し、
日韓両国は法律や制度、
人間の死と生に関する
見方で共通する部分が多い」
とし、
臓器移植や延命
年記念行事
「日韓次世代学術フォーラム第12回国
開会式では先ず、
フォーラム代表の張済国東西
治療などの社会問題解決での協力の可能性と必要
際学術大会」
が開催された。
「私たち(日韓)はお互い
大総長が開会の辞を述べた。
張代表は
「戦後70年、
国
性について語った。
また、
宗教学が専門のソウル大
にどう向き合うか」
という全体テーマが掲げられた
交正常化から50年を迎えるが、
日韓の間の葛藤が
の新里善宣さんは、
「韓国シャーマニズムの研究を
今回の大会には、
日韓両国そして中国など66の大
様々な形で表出し、
諸問題妥結への道筋もなかなか
通じ、
韓国文化や宗教を日本という枠組みで理解す
学から250名を越える大学院生と引率教授が参加
見えない状況にある。
今回のフォーラムを通じ、
日
るのではなく、
韓国の文脈に沿って理解しなければ
し、
分科別発表会、
公開パネルディスカッション、
調
韓関係の重要性の如何とその理由、
葛藤を越えた真
ならないと考えるようになった」
とし、
日韓両国が
の友好協力関係構築のための方法について、
参加者
お互いを異なる存在として認識し、
相手の文脈を理
査旅行などの各種プログラムが行われた。
本フォーラムのメインプログラムである分科会
一人一人が既存の枠に捉われずに議論してほしい」 解しようとすることの重要性を述べた。
その他に
では、
国際関係、
法律・政策、
経済・経営、
歴史、
言語・文
とフォーラムの意義について述べた。
続いて、
廉載鎬
も、
「相互依存性と連携性が深化する現在の国際環
学Ⅰ/Ⅱ、
社会・ジェンダー 、
宗教・思想Ⅰ/Ⅱ、
民俗・
高麗大総長と金杉憲治在大韓民国日本国大使館総括
境の中で求められる役割を日韓両国が果たすべ
人類、
文化・芸術の9つの専門分野、
11の分科にて、 公使がそれぞれ歓迎の辞と祝辞を述べ、
十有余年続
き」
「お互いへの否定的イメージが強調される状況
、
72本の多様な研究発表が行われた。
また、
今大会で
いている本フォーラムの功績を称え、
ここに集う日
でこそ、
日韓両国の多様性を客観的かつ正確に捉え
は共同主管機関の一つである高麗大BK21+中日
韓の若手研究者たちが両国の発展に大きく寄与して
ることのできる研究者の役割が重要になる」
といっ
言語文化教育事業財団による企画パネルも設けら
くれるであろうとの強い期待を語った。
た意見が出された。
れ、
イギリスやミャンマーの大学からの発表者も加
開会式の後には、
大学院生公開パネルディスカ
その他にも、
分科会終了後のレセプションや、
翌
わり、
言語や文化、
日韓関係などをテーマにした発
ッション
「私たち(日韓)はお互いにどう向き合うか」 23日(日)の昌徳宮、
故宮博物館、
朝鮮時代の王陵を
表と討論が行われた。
普段なかなか接する機会のな
が行われ、
日韓を代表する6名の大学院生がパネリ
巡る調査旅行など、
2日間にわたる多様なプログラ
い多様な専門分野の若手研究者が集まるため、
自分
ストとして壇上に上がった。
日韓両国が良好な関係
ムへの参加を通じて、
日韓両国の若手研究者たちが
の所属分野はもちろん、
隣接分野で関心のある発表
であるべき理由とその方法について、
パネリストが
交流し、
理解を深め合った。
今回のフォーラムへの
が行われる際には、
会場を移動しながら日韓の多様
それぞれの専門と関連づけながら意見を述べ、
それ
参加は、
彼らにとって学問的な刺激を受けるととも
な研究に接することができるというのが本フォー
を基に参加者全員での討論が行われた。
法律や宗教
に、
日韓関係をより重層的に捉え直す契機になった
ラムの特徴である。
この度の大会で発表された優秀
など多角的な視点から日韓の人工妊娠中絶問題を
ものと思われる。
論文は、
今後の審査を経て、
2016年3月発刊予定の
研究する東京大の金律里さんは、
「他文化圏と比較
釜山-福岡フォーラム
「釜山-福岡フォーラム第10回福岡会議」開催
-『これまでの10年、
これからの10年』
をテーマに -
9月4日(金)、
5日(土)の両日、
東西大日
レッジ」
という国際連携による新たな
本研究センターと九州大韓国研究セン
高等教育の枠組みとその成果が報告さ
ターが共同で主管する
「釜山-福岡フォ
れ、
日韓海峡圏の発展に繋がる人材育
ーラム第10回福岡会議」
が、
福岡市のソ
成の重要性が確認された。
ラリア西鉄ホテルにて開催された。
両市
2
第2セッション
「福岡-釜山:これから
の企業、
マスコミ、
大学などの代表26名
10年の未来ビジョン」
では、
袴着賢治福
(釜山側:14名、
福岡側:12名)で構成され
岡市特区部長と鄭起龍釜山市経済特別
る本フォーラムは、
2006年に民間の提
輔佐官/副市長による発表が行われた。
言機関として発足して以来、
毎年1回、
両
袴着部長は、
産業構造や人口構成、
都市
市にて交互に国際会議を開催してきた。
機能の面から福岡市がいかに創業に適
10周年を迎えた今年の会議では
「これま
した都市であるかを示した後、
創業者
での10年、
これからの10年~釜山-福岡
支援とMICE誘致によりグローバル創
フォーラム10周年目の課題と展望~」
と
業都市を目指す国家戦略特区としての
いうテーマが掲げられ、
石原進福岡側代表(JR九州相談役)、
李棖鎬釜山側会長(BNK金融
福岡市の多様な取り組みを紹介した。
一方、
鄭起龍副市長は、
高い個人所得を誇りなが
持株顧問)をはじめ、
両市の各界リーダーが参加し、
熱い議論が繰り広げられた。
らも産業構造の転換に遅れ、
人口減少と高齢化が加速化する釜山経済の現況に触れ、
釜
4日(金)には晩餐会が行われ、
福岡市文化芸術振興財団提供による公演
「Beyond
山市が打ち出した経済政策
「TNT(Talent&Technology)2030」
を紹介した。
これは今後
the border 福岡-釜山 だ・댄・Da ダンスプロジェクト」
が催された。
翌5日(土)には、
河村
20年間に30兆ウォンの公的資金を投入し、
人材と技術を育てることにより、
革新生態
建夫日韓親善協会中央会会長と申起旭スタンフォード大学アジア太平洋研究センタ
系を造成し、
2030年には釜山市が韓国を代表する革新都市となることを目指すとい
ー長による基調講演、
続いて3つのセッションからなる主題発表と自由討論、
高島宗一
うものである。
郎福岡市長・徐秉洙釜山市長による両市ビジョンの発表など、
多様なプログラムが行わ
れた。
第3セッション
「福岡-釜山:これから10年のビジョンを若者と共に考える(福岡-釜
山地域の大学生との対話)」
では、
釜山-福岡大学生未来フォーラム所属の大学生20名が
5日(土)午前に行われた第1セッションでは、
「次の10年に向けた福岡-釜山の新たな
参加し、
パート別(経済・文化・教育)の発表や釜山-福岡フォーラムメンバーとの対話が
成長戦略と課題」
というテーマが掲げられ、
先ず経済分野について、
高木直人九州経済
行われた。
文化パートの発表では、
両市を代表するビーチを舞台に国際音楽フェスティ
調査協会理事長と姜成哲釜山発展研究院長による発表が行われた。
高木理事長はビジ
バルを開催し、
両市の学生たちがボランティアとして運営に関わるといった大学生な
ネス相談窓口や通訳の拡充、
規制緩和など、
両市のビジネス協力推進に向けた環境整備
らではの提言もなされた。
その後のフォーラムメンバーとの対話を通じ、
フォーラム側
の重要性を指摘し、
姜成哲院長は国際空港や国家戦略特区の共同活用、
アジア創業大会
がこれらの提言を積極的に検討、
支援するとの内容が議長総括にも盛り込まれた。
の開催などを通じ、
両市がアジアの中心都市となることを目指すべきと提案した。
続い
て、
人的交流・人材育成分野について、
久保千春九州大総長と金琪燮釜山大総長による
最後に
「第10回福岡会議議長総括」
が発表され、
今回の会議も成功裏に幕を閉じた。
次回の第11回会議は、
2016年秋に釜山で開催される予定である。
発表を行われた。
両大学が取り組む
「キャンパスアジア・プログラム」
と
「アジア太平洋カ
第10回福岡会議 議長総括
1.本フォーラムの発足以来、
福岡-釜山両地域の各界各層において、
様々な交流が
4.本フォーラムの発足以来、
福岡-釜山両地域の大学間交流が大いに活性化したこ
開始されたことを歓迎するとともに、
その交流の幅をより広げ、
実質的なものと
とを歓迎する。
特に、
本フォーラムが提唱・支援してきたアジア太平洋カレッジ
していくためには、
福岡-釜山両市に設置された経済連絡事務所などの活用を促
の常設化及び福岡-釜山大学間コンソーシアムの一層活発な活用が必要である
進すべきであるという点で意見の一致を見た。
という点で意見が一致した。
また、
将来的には、
キャンパスアジア・プログラムの
2.両地域が制度的障壁を乗り越えて福岡-釜山超広域経済圏を実現すべく、
今後と
ような年間を通じた一層発展した交流が必要だという点で認識が一致した。
も所管官庁などに対する働きかけに努めるとともに、
10年後の将来を見据え、 5.次の10年の日韓海峡圏の未来を見据えたとき、
福岡-釜山両市が
「アジアのリー
両地域がアジアの学術経済をリードするために必要な課題や、
新たな地域・分野
への交流拡大を検討すべきであるという点で認識を共有した。
3.本フォーラム10周年を迎え、
福岡-釜山大学生未来フォーラムで企画・提示され
ダー都市」
として、
世界的競争力のある産業の集積、
コミュニティビジネス創出、
イノベーション創出が必要であるという点で、
認識が一致した。
また、
約1000万
人が居住する日韓海峡圏において増大する人的・物的交流を支えるインフラ基
た学生たちの提言について、
具体的な実践案を検討し、
支援するという点で意見
盤として、
両地域の空港及び港湾の拡充・整備を強力に進め、
一日生活圏を可能
が一致した。
とする交通網の充実を図ることが、
今後10年間における重要な課題であるとい
う点でも意見が一致した。
日韓コラム/中国研究センター開所式
所長コラム
日韓国交正常化50周年を締めくくるに当たって
趙世暎 東西大学校日本研究センター所長
日韓国交正常化50周年である2015年が暮れようと
実な必要性が日韓間の摩擦を抑制する役割を果たして
を実現することである。
朝鮮半島問題の解決と統一実現
している。
幸い11月にソウルで開催された日中韓首脳会
いた。
しかし、
冷戦が終息し、
韓国が急速な経済成長に成
のためには、
日本の支持と協力を確保するのが必須の課
談の際に日韓首脳会談も別途開催され、
少なくとも閉塞
功してからは、
このような摩擦抑制のメカニズムが大き
題である。
このような脈絡での統一に向けた協力は、
日韓
した雰囲気を緩和することはできた。
しかし、
国交正常化
く弱まり始めた。
間の協力を促進し、
葛藤を抑制する新たな柱になり得る
50周年を大々的に祝うような明るい雰囲気を目にする
のは難しく、
物足りなさの残る一年であった。
その上、
民主化に加えてインターネットなどの技術発
展により、
国民世論が外交政策に対し、
次第に直接的かつ
朴槿惠政権と安倍政権が発足して以来、
3年近くの間、 強力な影響を与えるようになった。
国民感情が敏感に反
であろう。
また、
現在の東アジア地域の最大の関心事は、
中国の
台頭にともなうパワーバランスの変化である。
東アジア
日韓関係は予想とは全く異なる展開を見せた。
国交正常
応する対日政策の領域でこのような傾向が特に顕著と
化後のどの政権とも異なる日韓関係の様相を見せたので
なり、
2000年代以降、
歴史認識や独島・竹島問題などで日
いくことは、
韓国はもちろん日本にとっても戦略的に大
ある。
先ず、
大統領の任期序盤の良好な関係が、
任期後半に
韓間の葛藤が強く噴出した。
変重要である。
この地域の新たな秩序がアメリカや中国の
地域において平和で安定した秩序が今後も維持されて
入って悪化するというパターンが完全に崩れた。
朴槿惠
問題は国内世論の強力な影響力のために、
両国政府が
政権での日韓関係は発足直後から冷ややかな様相を見せ
日韓間の外交的摩擦を早期に積極的に収束させる努力
にとっても望ましいことではない。
このような側面から、
自体が難しくなったという点である。
日韓関係の類例の
東アジアの平和と安定に向けた協力も日韓関係を支える
ない閉塞状態にもかかわらず、
両国政府間の摩擦を解消
新たな柱として重要な役割を果たし得るであろう。
ると、
その後も続けて閉塞状況と対立を深めていった。
1965年の国交正常化以来、
日韓関係におけるいわゆる
「1965年体制」
を支える二つの柱は安保協力と経済協力で
あった。
冷戦時代には共産陣営を牽制するため、
韓国と日
しようという力が大きく弱まったのには、
このような背
景が作用しているのである。
主導する形で一方的に築かれてしまうのは、
日韓のどちら
このように安保協力と経済協力に加え、
朝鮮半島統一
と東アジアの平和安定という新たな柱を模索すること
本はアメリカを介して、
緊密な安保的協力関係を維持し
日韓関係が中長期的に全面的協力関係のレベルまで
こそ、
1965年体制の構造的変化に対処する根本的な解
てきた。
また、
経済成長が緊急の課題であった韓国の立場
に改善されるためには、
1965年体制を支えてきた安保協
決策であると言える。
日韓関係も単純な両者関係ではな
上、
日本からの資本と技術協力は絶対的に重要であった。
力と経済協力の二つの柱に加え、
第三の柱が必要である。
1965年体制にあっても歴史認識や独島・竹島などの
韓国外交の最も切実な目標は、
北朝鮮の核・ミサイル問
葛藤要因がなかったわけではないが、
安保・経済協力の切
題の解決を通じ、
朝鮮半島に平和と安定をもたらし、
統一
く、
朝鮮半島と東アジアを視野に入れた立体的で戦略的
な思考が切実に求められる時代に入ったのである。
中国研究センター開所式および開所記念講演討論会
2015年9月16日(水)、
東西大語文
韓国の国家利益を考えれば、
アメリカと
館7階にて中国研究センター開所式
の同盟を維持しつつも中国との戦略的
が開催された。
東西大中国研究セン
パートナー関係を深化、
拡大させるべき
ターは釜山発の対中国未来戦略を
だ。
アメリカと中国の相互競争と協力の
樹立し、
実践することを目的に掲げ
過程で、
両国の葛藤を最小化し、
協力へ
ている。
今後、
釜山地域における中国
と促す仲介外交(bridging diplomacy)
研究の拠点として、
政治・経済・文化
を展開せねばならない」
と主張した。
基
面で現実的な中韓協力の政策提案
調講演の後には、
辛正承所長の司会で討
を行い、
中国および北東アジアの中
論会が行われた。
先ず、
「中国政治・外交研
長期傾向を予測するといった役割
究、
いかにすべきか?」
というテーマで、
を担うものと見られる。
この日の開
所式では、
先ず辛正承初代所長(元駐中韓国大使)が歓迎
の辞を、
続いて張済国東西大総長と在釜山中国総領事館
の閻鳳蘭総領事が祝辞を述べた。
張済国総長は祝辞の中
で
「中国はこの30年余りの急速な経済発展を通じて世界
第2位の経済大国となり、
国際舞台における影響力を持
続的に拡大している。
今後、
東西大中国研究センターは韓
国の東南圏(釜山・蔚山・慶尚南道)の中国研究の水準を向
上させ、
中国研究のハブとして成長していくであろう」
と
期待を述べた。
鄭在浩ソウル大政治外交学部教授の発
表があった。
続いて、
「釜山における中国研究、
いかにすべ
開所式の後、
民石図書館6階国際会議室に場所を移し、 きか?:問題と提案」
というテーマで李弘揆東西大中国研
開所記念講演討論会が行われた。
先ず、
基調講演では韓国
における中国研究第一世代に属する徐鎭英高麗大名誉
教授が
「21世紀新朝鮮策略を求めて」
というテーマで講
演をした。
徐鎭英教授は
「韓国は独自外交路線を追求でき
る強大国ではないが、
かといって強大国の保護のみに依
存する無気力な弱小国でもない」
とし、
「21世紀における
究センター副所長・国際学部教授の発表が行われた。
これ
らの発表に対し、
金材澈カトリック大国際学部教授、
金泰
萬韓国海洋大東アジア学科教授が討論者として加わり、
熱を帯びた討論が繰り広げられた。
3
日中韓国際シンポジウム
「第7回日中韓国際シンポジウム」
開催
-北東アジアの平和と日中韓三カ国協力-
東西大中国研究センター・日本
院主任が祝辞を述べた。
そして、
申鳳
研究センターが共同主催する
「第
吉国立外交院外交安保研究所長が
7回日中韓国際シンポジウム」
が
「日中韓三カ国、
葛藤を越えて統合へ」
10月17日(土)、
釜山ロッテホテル
というテーマで基調講演を行った。
41階のエメラルドルームにて開
基調講演に続いて分科別セッシ
催された。
今回の国際シンポジウ
ョンが行われた。
第1セッションでは
ムは韓国側から東西大中国研究
「現在の北東アジア情勢の評価と展
センター・日本研究センター、
日本
望」
というテーマで朴鍵一主任が司
側から慶應大東アジア研究所現
会を担当し、
李熙玉成均館大教授、
金
代韓国研究センター、
そして中国
景一北京大教授、
添谷芳秀慶應大教
側から中国社会科学院アジア太平洋グローバル戦略研究院が参加し、
エアプ
授が発表を行った。
第2セッションでは
「日中韓経済協力:課題と展望」
という
サン、
東西大孔子学院、
東北アジア歴史財団が後援した。
テーマで辛正承東西大中国研究センター所長が司会を担当し、
朱显平吉林大
7年目を迎えた今年のシンポジウムは
「北東アジアの平和と日中韓三カ国
協力」
をテーマに掲げ、
日中韓30余名の専門家たちが参加した。
現在の東アジ
ア情勢に対し、
各国の立場からの深い分析がなされ、
同地域の平和と共同発展
4
学教授、
池上寛JETROアジア経済研究所企業・産業研究グループ長代理、
郭福
墠慶星大教授が発表した。
第3セッションでは
「習近平時代中国の東アジア政
策」
というテーマで小此木政夫慶應大名誉教授が司会を担当し、
青山瑠妙早稲
のために今後三カ国間でいかなる協力がなされるべきか、
その方策と課題に
田大教授、
文興鎬漢陽大教授、
黃大慧人民大教授の発表が行われた。
最後の総
ついて熱を帯びた討論が行われた。
合討論は鄭求宗日本研究センター顧問の司会で進行されたが、
熱を帯びた雰
開会式では先ず、
辛正承東西大中国研究センター所長が開会の辞を述べ、 囲気の中、
当初予定された時間を30-40分延長して議論がなされた後、
シンポ
続いて張済国東西大総長が歓迎の辞、
添谷芳秀慶應大東アジア研究所現代韓
ジウムは成功裏に幕を閉じた。
国研究センター長、
朴鍵一中国社会科学院アジア太平洋グローバル戦略研究
この他にも以下のような14名の日中韓専門家らが、
ラウンドテーブルの討論者として参加した。
金時中(西江大教授)、
金泰萬(韓国海洋大教授)、
辛貞和(東西大教授)、
柳洲烈(韓日協力委員会事務総長)、
元
韓国側
中国側
日本側
東郁(東亜大教授)、
李鍾國(東北アジア歴史財団研究委員)、
趙世暎(東西大日本研究センター所長)、
劉尙哲
(中央日報中国研究所選任専門委員)、
金銀英(釜山日報国際チーム長)
李成日(中国社会科学院アジア太平洋グローバル戦略研究院研究員)、
張小明(北京大教授)
若宮啓文(東西大客員教授/元朝日新聞主筆)、
西野純也(慶應大教授)、
米村耕一(毎日新聞ソウル支局長)
第7回日中韓国際シンポジウムのセッション別発表テーマは下記の通り。
セッション
第1セッション
発表主題
中国の台頭と北東アジア秩序変換の性格
李熙玉
北東アジアにおける主な葛藤と朝鮮半島問題
金景一
安全保障法制:10の法改正とひとつの新法
第2セッション
添谷芳秀
日中韓協力
朱显平
国際物流における日中韓経済協力についての一考察:課題と展望
池上寛
日中韓経済協力:課題と展望
郭福墠
アジアにおける中国の戦略的展開と日中関係
第3セッション
発表者
青山瑠妙
習近平執権期中国の東アジア戦略「
:三個和諧」
を中心に
文興鎬
第18回全国代表大会以降の中国における東アジア政策の変化
黃大慧
日中韓国際シンポジウムは毎年三カ国を巡回しながら開催されている。
昨年は中国、
今年は韓国で開催され、
来年2016年は日本で開催される予定
である。
釜山-福岡ジャーナリストフォーラム
「釜山-福岡ジャーナリストフォーラム2015」開催
10月22日(木)、
23日(金)の両
になる過渡期にあるのではない
日、
「釜山-福岡フォーラム」
が主
か。
私は全然心配していない」
との
催し、
東西大学校日本研究セン
意見を述べた。
また、
「メディアにと
ターが主管する
「釜山-福岡ジャ
って重要なのは、
読者に多くの判断
ーナリストフォーラム2015」
が
材料を提供すること。
多様な意見を
東西大センタムキャンパス(釜
紹介しつつ、
冷静に報道する必要が
山市海雲台区)にて開催された。
ある」
とし、
メディアと読者との信
日韓両国の大都市間の交流の中
頼関係の重要性を強調した。
では最も緊密に協力関係を築い
続く第2セッション
「日韓関係報
てきた釜山と福岡の両市が、
「メ
道の現況」
では、
東西大メディアコ
ディア間の交流」
という新たな
ミュニケーション学部李完洙教授
試みに乗り出した。
今回のフォーラムでは、
日韓関係報道の比較と意見交換、
相手国の
(元ヘラルド経済国際部長)が、
安倍首相の韓国政策に対する韓国メディアの見方につ
報道の制約要因、
そして日韓関係改善に向けたメディアからの提案など、
多様な議論が
いて発表した。
李完洙教授は
「韓国と日本という国家間の利害に関わる葛藤について
繰り広げられた。
本フォーラムは釜山と福岡、
そして韓国と日本の間の協力強化への道
は、
保守・進歩を問わず民族主義的観点から報道される傾向がある」
とし、
現在の報道の
筋について二つの都市のメディアを中心に議論を行う場であり、
釜山日報、
朝鮮日報、
あり方を批判した。
また、
「日韓両国間の葛藤の解決には両国政府の努力が最も重要で、
西日本新聞社、
朝日新聞など日韓両国の有力報道機関の関係者とジャーナリズム専門
日韓関係の早急な改善が求められているとの認識の下、
慰安婦問題の解決など過去の
家30余名が参加した。
清算と反省および歴史認識の溝を埋めることを通じ、
葛藤を解決して関係改善および
22日(木)には釜山ロッテホテルにて歓迎レセプションが開催された。
張済国東西大
正常化を成し遂げなければならない」
と語った。
総長は開会の辞で
「建設的な日韓関係を模索する意味あるフォーラムになることを願
第3セッションでは、
「日韓関係と釜山-福岡メディア協力」
というテーマで自由討論
う」
と本フォーラムへの期待を述べた。
続いて
「釜山-福岡フォーラム」
会長の李棖鎬
がなされた。
西日本新聞社の川崎隆生社長は
「最近のメディアは日韓関係において双方
BNK金融持株顧問、
松井貞夫在釜山日本国総領事、
安炳吉釜山日報社長、
寺﨑一雄テレ
の応援団のようになっており、
いたずらに論争を煽っているようである。
真のメディア
ビ西日本会長らが壇上に上がり、
挨拶を述べた。
安炳吉社長は
「今回のフォーラムが両
は応援団になるのではなく、
距離を置いて冷静な指摘と主張をすることが何より重要
国交流の羅針盤となり、
望ましい日韓関係のためにメディアが真剣に頭を絞る場にな
である」
とし、
メディアの現状を批判し、
あるべき姿について提言した。
また、
読売新聞の
れば」
と述べた。
寺﨑会長も
「二つの都市のメディアが今回のフォーラムを契機に日韓
山根浩二経済部主任は
「釜山で古里原発1号機の廃炉をめぐって激しい葛藤がもたら
協力の橋渡し役となるよう期待する」
と語った。
されたように、
九州でも原発再稼働問題に関する熱い議論がなされている」
とし、
「日韓
翌23日(金)は東西大センタムキャンパスに場所を移し、
開会式とともにジャーナリ
のメディアが共通の懸案である原子力発電所やPM2.5などの中国からの大気汚染粒
ストフォーラムが幕を開けた。
先ず、
第1セッション
「言論人が見た最近の日韓関係」
で
子拡散問題で共同企画報道をすれば、
より深みのある報道が可能になるであろう」
と提
は、
釜山日報蒋芝泰首席論説委員が日韓関係の問題点と現在の悪化した両国関係につ
案した。
いて指摘し、
国内外のメディアで日韓関係がいかに報道されているのかを紹介した。
そ
最後に、
張済国東西大総長が
「両国の懸案を解決し、
閉塞状況を解消しようとの意図
して、
「日韓関係の改善策と地域メディアの役割について考えるべきで、
『釜山-福岡フォ
で開催された大規模フォーラムは今回が初めてであり、
このように二つの都市の主要
ーラム』
のような日韓両国のより一層の努力が成されねばならない」
と語った。
次に、
毎
メディアの関係者が一堂に会したことだけでも大きな意味を持つ」
と閉会の辞を述べ、
日新聞西部本社代表室の堀信一郎委員の発表が行われた。
堀信一郎委員は
「最近の日韓
第一回目となる
「釜山-福岡ジャーナリストフォーラム」
は成功裏に幕を閉じた。
フォー
関係は10年前の状況と似ている」
とし、
「最悪の状況ではあるが、
日韓関係は普通の関係
ラムを定例化して開催を継続するかについては、
今後の話し合いにより決定される。
釜山側
福岡側
李棖鎬(釜山-福岡フォーラム 会長/BNK金融持株 顧問), 安炳吉(釜山日報
寺﨑一雄(TNCテレビ西日本 会長), 川崎隆生(西日本新聞社 社長), 植田祐一
社長), 張済国(東西大学校 総長), 具亨謨(KNN 報道局長), 金承日(釜山日報
(西日本新聞社 ソウル支局長), 河原一郎(朝日新聞社 熊本総局 記者), 菊池
文化部長), 金銀英(釜山日報 副局長 兼 国際TEAM長), 金珍基(釜慶大学校
勇次(九州大学 韓国研究センター 助教), 木村洋一郎(NHK福岡放送局 放送
日語日文学部 教授), 金泰賢(韓国経済新聞 嶺南取材本部長), 盧主燮(THE
部Chief Producer), 神屋由紀子(西日本新聞社 文化部 次長), 篠崎和弘
FINANCIAL NEWS 編集局 副局長), 柳時浩(釜山文化放送 制作局長), 朴柱
(TNCテレビ西日本 総務局 総務部長), 小路克明(産経新聞社 編集局 九州総
榮(朝鮮日報 釜山取材本部長), 宋奉根(中央日報 釜山総局 次長), 吳琴娥(釜
局 次長), 高藤秋子(RKB毎日放送 報道部 記者), 中野雄策(西日本新聞社 釜
山日報 編集部 次長), 李完洙(東西大学校 Media Communication学部 教
授), 李元範(東西大学校 日本語学科 教授), 蔣芝泰(釜山日報 首席論説委員),
鄭致燮(韓国日報 記者), 河仁湜(韓国経済新聞 社会部 次長)
山駐在記者), 野村友弘(九州朝日放送 報道部 編集長), 掘信一郎(毎日新聞
西部本社 代表室委員), 松原孝俊(九州大学 教授), 三村龍一(西日本新聞社
国際部長), 山根浩二(読売新聞 西部本社 経済部 主任)
5
韓日関係国際シンポジウム
東西大日本研究センター・韓日協力委員会共同主催 2015年韓日関係国際シンポジウム
東アジア地域秩序と日韓関係の未来
-日本の安保政策の変化と東アジアの課題-
東西大日本研究センターと韓日協力委員会が共同主
定(GSOMIA)や物品役務相互供給協定(ACSA)が依然と
催した
「第6回韓日関係国際シンポジウム」
が、
10月20日
して締結できない状態が続いている。
これが、
先に述べた
(火)、
ソウル市のプレジデントホテル31階で開催された。
防衛協力の大きな障害の一つになっていることは間違
国交正常化50周年を迎え、
新たなレベルの協力関係を摸
いない」
とし、
「日米韓が最大限の防衛力が発揮できるよ
索することが求められる日韓関係をはじめ、
東アジア地
う、
今回の日本の安全保障法制を生かすためにも、
日韓両
域の安定と変化に関する発表および討論が繰り広げら
政治家のさらなる努力が求められる」
と語った。
れ、
80余名の聴衆が熱心に耳を傾けた。
第2セッションは
「東アジア地域秩序と日韓関係」
をテ
今回のシンポジウムは
「東アジア地域秩序と日韓関係
ーマに、
崔喜植国民大教授、
佐々山拓也駐韓日本大使館総
の未来」
をテーマに、
日本の安保政策の変化に対する東ア
ジアの反応、
中国の台頭と東アジアの勢力バランスの変
化、
それにともなう地域秩序と日韓関係などに関して、
活
をテーマに、
南基正ソウル大教授、
牧野愛博朝日新聞ソウ
崔喜植教授は
「日米韓首脳会談と日中韓首脳会談が開
発な議論が行われた。
ル支局長が発表し、
金斗昇韓国国防研究院研究委員、
井関
催される前に、
日韓首脳会談および外務会談を開催し、
議
共同主催機関である韓日協力委員会の李承潤会長は
6
務公使が発表し、
辛貞録朝鮮日報論説委員、
米村耕一毎日
第1セッションは
「日本の安保政策の変化と東アジア」 新聞ソウル支局長が指定討論を行った。
至康駐韓日本大使館参事官が指定討論を行った。
題について論じ合うメカニズムを確保するべきである。
開会の辞の中で、
「日韓両国が新たに迎える安保環境に対
南基正教授は
「最悪のシナリオを避け、
最高のシナリ
安保と歴史の積極的分離を通じ、
普通国家化と歴史修正
していかなる形で協力していくべきか、
政府はもちろん
オが現実性を帯びるよう努力すべき」
と述べ、
韓国外交に
主義をめぐる日・米・中・韓の間の複雑な力学関係を安定
民間レベルでも活発な議論が必要である。
日中韓三ヶ国
3段階からなる順次的な解決策を提案した。
すなわち、
①
化させる必要がある」
と述べた。
『逆』
連係政策」
、
②
「韓国、
北朝鮮、
日本を頂点
首脳会談、
日韓首脳会談まで10日余りという時期に開催 「歴史と安保の
佐々山総務公使は
「今年日韓国交正常化50周年を迎
された今回のシンポジウムは時宜を得ており、
東アジア
とする核心トライアングルの安定化に繋がるよう、
南北
え、
日韓関係は徐々に改善の流れが見え始めたが、
両国国
の地域秩序の変化にともなう新たな日韓関係構築のた
関係改善を図るとともに、
日韓関係改善を通じて日朝関
民の間では互いに重要なパートナーであるとの認識が
、
③
「2段階で試みた核心トライアン
めのロードマップや政策が提案されることを期待する」 係改善へと進ませる」
むしろ希薄になっている状況にある」
とし、
「地域および
グルの安定化で強化される日韓関係をテコに、
米中ロを
世界の秩序が大きく変わりつつある中で、
日韓関係の重
張済国東西大総長は歓迎の辞の中で
「東アジアの平和
頂点とする背景トライアングルの安定化を試みる」
とい
要性を早急に再認識し、
様々な課題に共同対処していく
と述べた。
と安定のためにも、
韓国と日本の役割と未来志向のパー
うものである。
そして、
「この3段階解決策を成功裏に成し
形を多く作りあげねばならない。
それを両国民に提示す
トナーシップが他のいかなる時代よりも強調されねば
遂げることで、
軍備管理、
経済協力、
平和構築の
『東アジア
ることで、
日韓両国の協力がこれだけ重要だということ
ならないのが現在である。
今日のシンポジウムでの深い
平和繁栄共同体』
樹立への道が開けるであろう」
と語った。 が認識できるであろう。
そのような良い循環を作ってい
議論を通じ、
未来志向の日韓関係構築のための建設的な
牧野支局長は
「安倍政権は
『積極的平和主義』
を掲げる
提案について十分に論じられ、
ここでの議論が日韓首脳
が、
平常時における他国との信頼醸成措置なしに、
この目
会談でも参考にされることを願う」
と語った。
的は達成できない。
実際、
日韓間では軍事情報秘密保護協
けるよう、
日本政府も努力していきたい」
と語った。
「韓日関係50年」
日本語翻訳版出版
東西大日本研究センター趙世暎所長が執筆し、
昨年韓
徴である。
日韓関係が韓国大統領の任期にしたがって多
立つが、
韓国側の視点からは日韓関係をいかに見ている
国で出版された
『韓日関係50年、
葛藤と協力の足跡』
(発行
くの変化を見せてきたため、
本書の内容も朴正熙政権か
のであろうか。
本書がそれについて冷静に考えてみる機
所:大韓民国歴史博物館)が、
この度日本語に翻訳され、
11
ら李明博政権に至るまで、
大統領の任期別に構成されて
会を提供し、
多くの日本人たちに有益な示唆を与えられ
いる。
特に外交官として日韓外交の第一線で活躍した趙
るのではというのが、
平凡社側の出版趣旨である。
月に日本でも出版された。
『韓日関係50年、
葛藤と協力の足跡』
は、
1965年の日韓
国交正常化から50年間の日韓関係を総まとめしてみよ
うと試みて執筆したものである。
1973年の金大中拉致
世暎所長が、
自らの現場経験を基に原稿を執筆している
点が、
他の書籍とは異なる本書の長所である。
今回出版された日本語版は
『日韓外交史、
対立と協力
事件や1982年の40億ドル安保経済協力のように、
その
の50年』
というタイトルである。
在日韓国人で通訳・翻訳
当時には社会全体を騒がせた事件も今では記憶する人
家の姜喜代さんが翻訳し、
平凡社から新書で出版された。
も多くない。
韓国語版の出版から1年以上が経ったため、
日本語版に
過去50年の間、
日韓両国の間にどのようなことがあ
り、
日韓関係は大きく見たときにどのような流れにあっ
たのかが一目瞭然となるようにまとめたのが本書の特
は新たに朴槿惠政権2年半の日韓関係に関する内容が追
加されている。
最近、
日本では韓国に対し批判的な論調の出版物が目
東西サランバン
第60回東西サランバン(9月24日)
中韓自由貿易協定(FTA)は自由化レベルが開発途上国並みの非常に低いものである
ため、
日韓FTAはWTOに認められるほどの相当高いレベルの自由化率を目指さねばな
深川由起子 早稲田大教授
活用、
政府とビジネス界のパートナーシップ構築、
地方への波及効果の考慮、
FTAや
EPAの締結のような海外との連係など、
多様な成長戦略が実行に移されている。
らない。
日韓FTAは政治的に複雑に絡み合っており、
実現可能性については困難な問題
教育改革の面では、
英語の必要性や留学、
インターンシップ、
資格などの重要性を日
が山積しているが、
韓国側が日本側との経済統合を通じ、
自国の発展の加速化を期待す
本の学生たちに訴え続け、
何とかして彼らを海外に進出させることが望ましい。
それが
るという意味で非常に重要だと考える。
難しいようであれば、
海外の非常に優秀な才能を備えた人材を積極的に誘致すべきで、
アベノミクスは
「三本の矢」
と呼ばれるマクロ政策から成っている。
最初の矢が大胆
な金融政策、
二本目の矢が機動的な財政政策、
三本目の矢が民間投資を喚起する成長戦
大学と研究所、
そして企業の間の人材ネットワークを活性化させるシステムを整備し
なければならない。
略、
これら三本の矢をアベノミクスと称している。
前の二本の矢は量的金融緩和と財政
医療改革の面では、
高齢層が多いため、
効率の良い医療を考慮するべきであり、
水素
支出拡大を繰り返しながら、
デフレ脱却を目指すマクロ政策である。
2%の物価上昇政
自動車の商用化、
メタンハイブリッドの開発、
高齢層のための自動運転技術ロボットの
策により不動産景気回復への期待感が出てくれば資金が流通するというストック面、 実用化など、
変化するエネルギー事情への対応なども試みられている。
2%近く物価が上昇すれば賃金もこれに伴い上昇するであろうという期待感から実行
地方では農業分野(TTP)や観光においても、
県を中心に地方自治体が積極的に対策
してきたフロー面から見ることができるが、
失業率が下落したことを鑑みれば、
2015
を講じているが、
それらのアイデアをFTAと連係して実行しようといった動きが、
大き
年はノーマルな成長率に回復したと考える。
しかし、
本格的な景気回復のためには、
賃
な変化だと言える。
金が上昇して消費が増え、
サービス価格が上昇して賃金がさらに引き上げられるとい
う好循環へと導くことが先決課題である。
国家体制で交渉が行われる時代は過ぎ、
企業単位や個人単位による交渉が実現する
時代が到来した。
政府は配分を担当して判断を行うべきで、
企業ができるだけ自由に経
三本目の矢はさらなる好循環へと導くこと、
すなわち循環が重要だという点がポイ
済活動ができるよう、
危険な状況を生み出さないようなルールを制定しなければなら
ントで、
すぐに効果の表れる規制緩和が特徴の一つとして挙げられる。
その他にも、
民
ない。
できるだけ小さい単位で協力を実行している個人、
企業、
地方自治体、
そして大企
間主導での経済成長に向けた取り組み、
ヒューマンキャピタル(人的資本)の積極的な
業と中小企業などが、
日韓関係で最も明るい部分だと考える。
第61回東西サランバン(10月26日)
武貞秀士 拓殖大大学院特任教授・前防衛研究所総括研究官
去る9月19日に衆議院本会議にて可決成立した安保関連法制をめぐっては、
多様な
論点が挙げられる。
先ず、
東アジアにおいて軍事衝突はなくなったのかという点であ
る。
もし衝突がなくなったのだとすれば、
現時点でなぜ安保法制が必要なのかというこ
とになり、
安保法制は不穏な発想と見なされよう。
しかし、
南シナ海での最近の動きや
尖閣諸島、
8月の金正恩国防委員会第一委員長の朝鮮半島準戦時体制突入宣言などか
ら見て、
やはり東アジアでは軍事衝突の可能性があると考えられる。
そして、
日本は海
外で戦闘行為をする準備をしているのか、
安保法制は国際連合の精神に反するのか、
日
本は徴兵制を準備する方向に進んでいるのかといった論点もある。
安保法制は国連の精神に反するどころか、
国連憲章第51条の内容に鑑みれば、
むし
ろ制定されない方が間違いであり、
徴兵制に関しては日本政府の高官が揃って強く否
定している。
その他、
安保法制成立により日本は戦争をしやすくなったのか、
安保法制
に基づいて日本は韓国の同意なしに北朝鮮へ自衛隊の派遣ができるのか、
あるいは韓
国の同意なしに韓国内での自国民救出作戦ができるのかなどについても論じられた。
最後に東アジアの現状を考えると、
韓国とアメリカの同盟関係の緊密化が求めら
れ、
日米韓が防衛分野での情報交換が常時可能で、
有事の際には日韓が軍事情報を直接
交換できるよう、
軍事情報保護協定(GSOMIA)の締結も必要である。
安保法制成立後の各自衛隊の法整備と行動基準の修正については、
順調に進められ
ると見ている。
国際世論でおかしな現象は中国と韓国、
ロシア、
北朝鮮は批判している
が、
その他の国家は積極的に賛成しているという点である。
安倍首相が世論を無視して強引に強行採決に踏み切り、
安保法制を通過させたとい
うのが一般的な見方であり、
もちろん安保法制に反対する意見もある。
しかし、
現政権
の特定階層の個人的なキャラクターにより、
今回の安保法制が成立したという認識は
誤っている。
実際に日本の戦後レジームの中で理解するならば、
敗戦直後の日本の平和
宋和燮 韓国国防研究院責任研究委員
日本の安保法制通過により、
朝鮮半島有事の際に日本がいかに関与するのかという
シナリオと、
今後韓国が深刻に憂慮すべき点は何なのかについて、
考えてみたいと思う。
安保法制が通過した後、
韓国では安倍政権は平和憲法を捨てるのかという憂慮と、
日本を利用することも今後考慮しなければならないという二種類の反応が見られた
が、
朝鮮半島有事の際に日本が軍事介入することには不安を感じるとの見方が大半を
占めた。
日本では韓国がそのように反対する状況で、
なぜ日本が関与しなければならな
いのか、
しなくてもよいのではないかという議論もなされている。
日本は吉田ドクトリンを70年間堅持したが、
安倍総理によって集団的自衛権行使
が可能になったことは、
新たな時代に突入したことを意味する。
よって、
専守防衛の原
則が日本の今後の新たな政策にどれだけ抑止力を発揮するのかに焦点を合わせ、
日本
の安全保障政策を注意深く見守らねばならない。
国内で活発に議論されている朝鮮半島有事の際の日本の介入の仕方について予想し
てみる。
現在の日本が韓国に関与し得る最初のケースは、
日米同盟により米軍への支援の
ために朝鮮半島問題に関与するというものである。
二つ目は日本人救出と安全確保のた
めの行動である。
韓国と日本の間で協議されている三つ目のケースは、
日本の領域が北朝
鮮から攻撃を受けた場合の対処である。
最後は自衛隊が公海上で北朝鮮と遭遇し、
衝突状
況が日本と北朝鮮の戦争へと拡大する場合で、
このような四種類の状況が想定される。
日本の安保法制通過による最も大きな変化は、
日本におけるアメリカの抑止力が強
化され、
中国に対する牽制がますます強化されているということである。
中国が領海と
主張する南シナ海の人工島12カイリ内へ米海軍駆逐艦が進入して緊張が高まってい
るが、
日米同盟により日本が米軍とともに行動する場合、
南シナ海問題にどこまで日本
が介入するのであろうか。
これも安保法制の最も大きな争点の一つになるであろう。
日本は北朝鮮を軍事的脅威としてきたため、
日本の安全保障において韓国は一つの
重要な役割を果たし、
日韓関係の最も重要な要素として日本の意志判断にも大きな影
主義、
専守防衛、
シビリアンコントロール、
憲法9条などの枠組みが維持できない状況に
響を及ぼしてきた。
北朝鮮から中国へと日本の軍事的脅威が変化してきており、
今後日
対処するため、
安保法制という課題が浮上したと言えよう。
本の安保認識も次第に変化していくであろう。
7
日本研究センター動静
研究コラム
クリスマスが1ヶ月先に迫ったが、
ヨーロッパやアメリカなど伝統的なキリ
はならない。
スト教国家では11月13日のフランス・パリでのテロ以降、
追加テロを憂慮し、
公
現代社会で移民の増加は避けられない傾向にある。
したがって、
彼らが疎外
共施設や人々がたくさん集まる場所での警備を強化している。
警備が強化され
されないように人種・宗教・理念的少数派との疎通と配慮の姿勢が必要である。
「クリスマスマーケット」
であるが、
キリスト教最大の行事とい
た場所の一つが
韓国と日本もやはり多様な文化と宗教が共存する多文化社会になってき
今日、
う象徴性のため、
イスラム過激派など宗教関連テロ勢力の標的になる危険があ
ている。
両国には移民者との疎通と和合を通じ、
彼らを抱え込む努力が必要と
るという理由からだ。
される。
それにもかかわらず、
多文化・多宗教間の葛藤を根本的に解決するため
今回のパリでのテロ以降、
多くの人々がアメリカの9.11テロと関連させ、
イ
の政府の対応策は、
現状では具体的に打ち出されていない。
ただそれなりに幸
スラムフォビア(イスラム恐怖症)が広がっている。
しかし、
二つの事件は本質的
いと言えるのは、
日韓で関連研究が多少蓄積されてきているという事実であ
に異なる事件であると言える。
パリのテロは内部の問題、
すなわちイスラムと
る。
両国で多くの比率を占める移住民
(例えば、
韓国では結婚移住女性と外国人
関係がない移民二世、
三世が体験する差別と人権侵害に対抗した事件である
労働者、
北朝鮮離脱住民、
日本では日系人と在日コリアン、
中国残留邦人帰国者
が、
9.11テロはアメリカに向けられたイスラムによるテロであるという点で異
など)
を対象に、
彼らをめぐる懸案とその原因、
そして解決法に対する具体的な
なる。
言い換えれば、
パリでのテロはヨーロッパの移民政策に対する警鐘を鳴
考察がなされている。
今後これらの研究に基づいて具体的な対応策が用意さ
らした事件としてイスラムとは別個であり、
彼らがなぜそのような行動をした
れ、
フランス・パリで起きたテロが日韓両国で繰り返されないことを願う。
かに焦点を合わせねばならない問題である。
よって、
過激派武装組織イスラム
李賢京 東西大学校日本研究センター研究教授
国(IS)のテロ犯と宗教が同じだという理由で、
ムスリムに非難の矛先を向けて
8
日韓次世代学術フォーラム第12回国際学術大会
大学院生公開パネルディスカッション
釜山-福岡フォーラム第10回福岡会議
中国研究センター開所記念講演討論会
第7回日中韓国際シンポジウム
主要日程(2016年 1月~3月)
寄贈図書(10月~12月)
1.30
2月上旬
3月上旬
3.31
10.7
日韓次世代学術フォーラム日本側運営委員会議
日韓次世代学術フォーラム韓国側運営委員会議
日韓次世代学術フォーラム第13回国際学術大会募集開始
日韓次世代学術フォーラム論文集
『次世代 人文社会研究』
第12号発刊
11.5
12.6
韓日協力委員会
『韓日協力』
冬、
2015
ソウル大学校 アジア研究所
『アジアリビュー』
第5券第1号(通巻9号)、
2015
東国大学校文化学術院日本学研究所
『日本学』
第41輯、
2015
・ 編集委員長 小笹克行 ・ 編集委員 山口達見、金珉志
Fly UP