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第13回 および期末レポート課題 (12/5更新)
量子力学演習-1 6 Sep. ’16 ■1.1 波動関数が Gaussian 分布型のとき、波束は時間とともに広がること(教科書 (2.11))を示せ。 ■1.2 1 次元の波束で、運動量 (p) 空間における波動関数が ϕ̃(p) = p2 N + a2 と与えられているとき、 (i) 座標 (x) 空間の波動関数を求めよ。 ∫ ∫ (ii) 物理量 A の期待値は ψ ∗ (x)Aψ(x)dx または ϕ̃∗ (p)Aϕ̃(p)dp で与えられることを用いて、不確定性関 係 ∆p∆x > ℏ が a の選び方によらず得られることを示せ。 ここで、N, a は定数である。 ■1.3 次の Hamiltonian H= p2 + α|x|ρ 2m に従う系に対して、不確定性原理を用いることにより最低エネルギー固有値を評価せよ。またこの最低エネル ギーが存在するために α, ρ が満たすべき条件を定めよ。得られた結果を見て、物理的考察をせよ。 量子力学演習-2 ■2.1 13 Sep. ’16 運動量空間における波動関数 ψ̃(p, t) = を用いれば ⟨p⟩ = ∫ 1 (2πℏ)3/2 ∫ ψ(r, t)e−ip·r d3 r ψ̃ ∗ (p, t)pψ̃(p, t)d3 p と表せることを用いて、 ∫ ⟨p⟩ = ψ ∗ (r, t)(−iℏ)∇ψ(r, t)d3 r で与えられることを示せ。 ■2.2 球面波 ψ± (r, t) = N (±ipr−i p2 t)/ℏ 2m e r は、原点を除き Schrödinger 方程式を満たしていることを示せ。 さらに、原点を除いて連続方程式 ∂ρ ∂t + ∇ · j = 0 を満たしていることを示し、その物理的な意味を考察 せよ。 ■2.3 3次元空間の波動関数が ψ(r) = N e−αr で与えられている。 (i) 規格化定数 N を定めよ。 (ii) 期待値 ⟨x⟩, ⟨r⟩, ⟨r2 ⟩ を求めよ。 (iii) 不確定性 (∆x)2 , (∆r)2 を求めよ。 (iv) この粒子が領域 r > ∆r に見出される確率を求めよ。 量子力学演習-3 ■3.1 20 Sep. ’16 無限大のポテンシャル障壁 { V (x) = ∞ x < 0, x > a 0 0<x<a に閉じ込められた1次元量子力学的粒子の定常状態における波動関数とエネルギー準位を求めよ。さらに、 E < 0 であるような波動関数は存在しないことを示せ。 ■3.2 階段型ポテンシャル { V (x) = V0 0 x>0 x<0 に左 (x = −∞) からエネルギー E の粒子が入射する状況を考える。 (i) E ≥ V0 の場合の反射率 R と透過率 T を求め、R + T = 1 を示せ。 (ii) E < V0 の場合の反射率 R と透過率 T を求め、R + T = 1 を示せ。 ■3.3 ポテンシャル障壁 { V (x) = V0 0 0<x<a x < 0, a < x (V0 > 0)に左からエネルギー E > 0 の粒子が入射する。 (i) E > V0 のとき、反射率 R と透過率 T (教科書 (3.46) および (3.47))を求めよ。 (ii) E < V0 のとき、0 < T < 1 であることを示せ(教科書 (3.51))。この結果より a ≫ 1 のとき、反射率は 急激に減少すること (3.53) を示せ。 量子力学演習-4 ■4.1 井戸型ポテンシャル { V (x) = 27 Sep. ’16 −|V0 | 0<x<a 0 x < 0, a < x に左からエネルギー E > 0 の粒子が入射する。 (i) 反射率 R と透過率 T を求め、無反射 (R = 0) 条件を示せ。 (ii) 透過率 T を E/|V0 | の関数として、その概形を示せ。 ■4.2 周期的ポテンシャル障壁 { V (x) = 0 V0 0<x<a −b < x < 0 mod d := a + b の下で運動する量子力学的粒子に対して、その許される固有エネルギーに対する条件を求めよ (3.92) (3.94)。 量子力学演習-5 ■5.1 4 Oct. ’16 運動量固有関数を一辺の長さ L の箱を用いて規格化する (4.48) (4.49)。このとき、固有関数系が直交 性 (4.50) ∫ L3 および完全性 (4.52) ∑ ϕ∗P ′ (r)ϕP (r)d3 r = δP P ′ φp (r)φ∗p (r ′ ) = δ(r − r ′ ) p をみたすことを示せ。ここで、右辺は周期性 δ(r + L) = δ(r) をもつ δ-関数である。 ■5.2 ポテンシャル障壁 V (x) = V0 1 + e−αx に左から入射する E > V0 の粒子を考える。 (i) x → ∞ において ψ ∼ eik2 x , k2 := √ 2m(E − V0 )/ℏ となるような解を見つけよう。新しい変数 ξ = −e−αx を導入し、ψ = ξ −ik2 /α w(ξ) とおけば、w(ξ) は ( ) 2ik2 k2 − k2 ξ(1 − ξ)w + 1 − (1 − ξ)w′ + 2 2 1 w = 0 α α √ を満たすことを示せ。ここで k1 = 2mE/ℏ である。 ′′ (ii) この方程式は Gauss の超幾何関数によって解けることを示し、x → ∞ (ξ → 0) において波動関数が求 める形になっていることを確認せよ。(各種公式集等が参考になるはず) (iii) このポテンシャル障壁による反射率は ( R= となることを示せ。(挑戦課題) sinh π(k1 − k2 )/α sinh π(k1 + k2 )/α )2 量子力学演習-6 ■6.1 Hermite 多項式 Hn (x) は g(t, x) := e−t 2 +2tx 義できる。 11 Oct. ’16 = ∞ ∑ 1 Hn (x)tn のように母関数 g(t, x) を用いても定 n! n=0 (i) H0 (x), H1 (x) を求めよ。 (ii) 母関数表示を用いて漸化式 Hn+1 (x) = 2xHn (x) − 2nHn−1 (x), Hn′ (x) = 2nHn−1 (x) (n ≥ 1) を示せ。 (iii) これらの漸化式から H2 (x), H3 (x), H4 (x) を求めよ。また、Hn (x) は Hermite の微分方程式 Hn′′ (x) − 2xHn′ (x) + 2nHn (x) = 0 を満たすことを導け。 (iv) g(t, x) = e−t 2 +2tx = ex e−(t−x) とも表せる。 2 2 2 ∂ −(t−x)2 ∂ e = − e−(t−x) を用いて ∂t ∂x Hn (x) = (−1)n ex を示せ。 ∫ ∞ (v) 直交関係式: −∞ 2 dn −x2 e dxn √ 2 Hm (x)Hn (x)e−x = 2n πn!δmn を示せ。 量子力学演習-7 18 Oct. ’16 角運動量演算子 L = r × p を極座標を用いて表せ (5.16)。これを用いて ■7.1 { L2 = −ℏ2 1 ∂ sin θ ∂θ ( sin θ ∂ ∂θ ) + 1 ∂2 sin2 θ ∂ϕ2 } となることを示せ (5.17)。 角運動量演算子 L = −iℏr × ∇ は ■7.2 [Lx , Ly ] = iℏLz , [Ly , Lz ] = iℏLx , [Lz , Lx ] = iℏLy および [L2 , Li ] = 0, (i = x, y, z) をみたすことを示せ。 ∞ ■7.3 Legendre 多項式 Pl (z) は g(t, z) = √ できる。 ∑ 1 Pl (z)tl のように母関数 g(t, z) を用いて定義 = 1 − 2zt + t2 l=0 (i) P0 (z), P1 (z), P2 (z) を求めよ。 (ii) 母関数表示を t で微分し、漸化式 (2l + 1)zPl (z) = (l + 1)Pl+1 (z) + lPl−1 (z) を示せ。同様に z で微分 ′ ′ することにより、漸化式 Pl+1 (z) + Pl−1 (z) = 2zPl′ (z) + Pl (z) を示せ。 (iii) これらを組み合わせて、漸化式 ′ Pl+1 (z) = (l + 1)Pl (z) + zPl′ (z) ′ Pl−1 (z) = −lPl (z) + zPl′ (z) (1 − z 2 )Pl′ (z) = lPl−1 (z) − lzPl (z) を確認し、微分方程式 (1 − z 2 )Pl′′ (z) − 2zPl′ (z) + l(l + 1)Pl (z) = 0 ⇔ − d d (1 − z 2 ) Pl (z) = l(l + 1)Pl (z) dz dz d d (1 − z 2 ) と 定 義 す れ ば 、Legendre 多 項 式 は LPl (z) = dz dz が 成 立 す る こ と を 示 せ 。L := − λl Pl (z), λl = l(l + 1) のような固有値方程式を満たすことがわかる。 (iv) 一般に u(z)Lv(z) − v(z)Lu(z) = {(1 − z 2 )(vu′ − v ′ u)}′ が成り立つことを用いて、l ̸= m のとき、 Legendre 多項式は区間 [−1, 1] で直交すること ∫ 1 −1 を示せ。 2 −1 (v) 母関数表示より (1 − 2tz + t ) = ∫ (∞ ∑ Pl (z)Pm (z)dz = 0 )( Pl (z)t l l=0 1 間 [−1, 1] で積分することにより −1 Pl (z)2 dz = ∞ ∑ ) m Pm (z)t m=0 2 を示せ。 2l + 1 である。この両辺を z について区 量子力学演習-8 ■8.1 25 Oct. ’16 Bessel の微分方程式(次数 ν ) ( ) d2 u 1 du ν2 + + 1− 2 u=0 dz 2 z dz z の解を Jν (z) とする。次数 ν が半奇数 ν = ℓ + 12 , (ℓ ∈ Z) の場合、 √ jℓ (z) := π Jν (z) 2z および、 √ ℓ+1 nℓ (z) := (−1) π J−ν(z) 2z は自由粒子の動径方程式 (5.56) を満たしていることを示せ。 ■8.2 Laguerre 陪多項式 Lkm (z) は Lkm (x) = 1 x −k dm ( −x m+k ) e x e x m! dxm のように定義される (Rodorigues の公式) 。 (i) Lk0 (x), Lk1 (x), Lk2 (x) を求めよ。 (ii) Lkm (x) が m 次の多項式であり、直交性 ∫ ∞ e−x xk Lkn (x)Lkm (x)dx = δm,n 0 (n + k)! n! が成り立つことを示せ。 (iii) Rodorigues の公式に z m をかけて、非負整数 m について総和する。 ∑ Lkm (x)z m = ex x−k ∑ 1 dm ( ) e−x xm+k z m m m! dx m≥0 m≥0 このとき、右辺に対して Cauchy の積分公式(導関数の積分表示)を適用することにより、母関数表示 g(x, z) := ∞ ∑ e−xz/(1−z) = Lkm (x)z m (1 − z)k+1 n=0 を求めよ。また、どのような積分路が適切であるかを示せ。 (iv) 母関数 g(x, z) をそれぞれの変数で微分することにより、漸化式 (m + 1)Lkm+1 (x) = (2m + k + 1 − x)Lkm (x) − (m + k)Lkm−1 (x) x d k L (x) = mLkm (x) − (m + k)Lkm−1 (x) dx m を示せ。 (v) この母関数表示から、Laguerre 陪多項式は Laguerre 陪微分方程式 x を満たすことを示せ。 d d2 k Lm (x) + (k + 1 − x) Lkm (x) + mLkm (x) = 0 2 dx dx 量子力学演習-9 ■9.1 1 Nov. ’16 中心力ポテンシャル V (r) = −V0 e−r/a , V0 > 0 の下での運動を考える。 (i) ℓ = 0 のとき、動径方程式は変数変換 z = e−r/2a により Bessel 方程式になることを示せ。その場合の適 切な境界条件を求めよ。 (ii) Bessel 関数 Jν (ξ), (ν > 0) の正の零点は、一般に J0 (ξ) の最小の零点 ξ0 ≃ 2.405 より大きいこと、また これらの零点は 1 位であることを用いて、束縛状態が存在するために V0 が満たすべき条件を求めよ。 ■9.2 中心力ポテンシャル V (r) = A B − , A, B > 0 の下で運動する粒子の束縛状態を考える。 2 r r r (i) 動径方程式において ρ := √ 2 −2mE r ℏ および s(s + 1) = ℓ(ℓ + 1) + B 2mA , n= ℏ2 ℏ を導入すれば、方程式は水素原子と同様の形になることを示せ。 (ii) 束縛状態のエネルギー準位を求めよ。 √ m −2E 量子力学演習-10 ■10.1 8 Nov. ’16 1次元の調和振動子を考える。消滅演算子 â の固有状態で固有値 λ に属するものを |λ⟩ と書き、 coherent 状態と呼ぶ。 (1) |λ⟩ を個数演算子 N̂ の固有状態 |n⟩ の重ね合わせで表せ。規格化因子も求めよ。 (2) |λ⟩ の座標表示を求めよ。 (3) |λ⟩ の時間発展を求めよ。 ∫ 1 (4) d2 λ|λ⟩⟨λ| = 1 を示せ。ただし、d2 λ := dλR dλI , (λ = λR + iλI ) である。 π ■10.2 1次元調和振動子の Green 関数 ) i G(q , q ; t) = ⟨q | exp − Ĥt |q ′ ⟩ ℏ ′′ を求めよ。 ′ ′′ ( 量子力学演習-11 ■11.1 15 Nov. ’16 電子や陽子・中性子はスピン 1/2 をもつ粒子であり、スピン演算子 S の各成分は Sj = ℏ σj , 2 (j = 1, 2, 3) と表せる。ここで σj はパウリ行列である。以下ではこれらの粒子の状態空間のうち、スピンの自由度を表す 部分空間だけを考える。また S3 の固有値 ±ℏ/2 に属する固有状態をそれぞれ |±⟩ とする。 (1) ある方向の単位ベクトルを n̂ = (sin θ cos ϕ, sin θ sin ϕ, cos θ) とする。n̂ · S の固有値・固有状態を求めよ。 (2) 各固有状態においてスピンが上向き(|+⟩)である確率を求めよ。 (3) 外部磁場 B = B n̂ の下で、この系のハミルトニアンが Ĥ = λB · S で与えられるとする。このハミルト ニアンの物理的意味を述べよ。また、初期状態 |+⟩ の粒子が、時刻 t において |±⟩ をとる確率をそれぞれ 求めよ。 (4) 時刻 t におけるスピン演算子の期待値を求めよ。特に、磁場を x 方向にかけた場合には、スピンの期待値 は yz-平面で回転運動を起こすことを示せ。 量子力学演習-12 ■12.1 22 Nov. ’16 電荷 e で帯電した 1 次元の調和振動子に、弱い一定電場 ε が加わった場合のエネルギー変化を計算 する。 (1) 摂動ポテンシャルはどのように与えられるか。 (2) 1次の摂動エネルギーを求めよ。 (3) 2次の摂動エネルギーを求め「分極率」を求めよ。ここで分極率 α は ∆E = −αε2 /2 のように定義され るものとする。 (4) このエネルギーのずれは、摂動論を用いずに計算することができる。その理由を考察せよ。 ■12.2 1次元の調和振動子に V̂ = λx4 が加わった系のエネルギーのずれを、1次の摂動により求めよ。 (Hermite 多項式の漸化式を用いれば計算を簡略化できる。) 量子力学演習-13 ■13.1 29 Nov. ’16 1次元調和振動子の原点に、撃力的な斥力がはたらく系を考える。摂動ポテンシャル V0 δ(αx) が加 わったとして、エネルギー準位のずれ、および固有関数の変化を調べよ。ここで α = √ mω/ℏ とする。 量子力学演習-14(期末レポート課題) 6 Dec. ’16 以下の課題のどちらかを選び、期日までに提出せよ。 ■14.1 自然現象または科学技術の中で、量子力学に拠らなければ説明できないもの、つまりニュートン力学 では説明不可能な事項を一つ挙げ、それについて可能な限り詳細な解説を与えよ。 ■14.2 摂動論や WKB 法など、量子力学における近似法の具体的な問題を一つ挙げ、それを解け(講義およ び演習で扱った問題は除く)。