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講演資料
扁鵲(へんじゃく)の三兄弟
中国春秋時代に医者の三兄弟がいた。
三男(扁鵲)は王様に仕えて、当時最先端の医療で手術
や強力な薬を調合してどんな難病も直し中国全土に名
医として尊敬された。
次男は住んでいる地域の住民に対して病気の軽いうち
に重症にならないような治療をするので、たくさんの患
者から信頼され、やはり名声を得て金持ちになった。
長男は、病気にならない方法を説いて回り、その周辺で
は病気が少なかったが、あまりみんなから評価されず、
貧乏のままさびしく死んでいった。
日経 2005年6月11日
沖縄からの警鐘
・アメリカ占領時代の食生活を経験した世代に心筋梗塞が40代で多発
・特徴として軽度の糖尿病,高脂血症,高血圧の合併が診られた。
・軽症でも軽視せず、生活習慣病の治療を行なうガイドラインが必要
沖縄男性の寿命2005年に26位に転落
ー沖縄クライシスー
1位
1位
1位
1位
1位
5位
1位
1位
4位
26位
1980
1990
2000
琉球新報 2002年12月18日より作図
都道府県別肥満度ランキング
政府管掌健康保険生活習慣病予防検診受診者におけるメタボリックシンドロームリスク保有者について
第21回政府管掌健康保険事業運営懇談会(2006.2.16)
世界各国における肥満者(BMI>30)の頻度
<女性>
西サモア(都市部)
クウェート
東ドイツ
米国
サウジアラビア
西ドイツ
チェコ共和国
英国
カナダ
オランダ
オーストラリア
ブラジル
日本
中国
<男性>
※ 1988年と1994年の間に行われた調査で、
利用可能な直近のデータを使用。
対象者
年齢幅
25-69
18+
25-64
20-74
15+
25-69
20-65
16-64
18-74
20-59
20-69
15-64
25-64
20+
20-45
80 70 60 50 40 30 20 10 0 10 20 30 40 50 60 70
人口における割合(%)
高度肥満の頻度が低いのに、
糖尿病の頻度は米国とほぼ同じ
糖尿病
7.0%
2007
1億2千7百万人
糖尿病
7.8%
2007
3億百万人
つまり日本人は軽度の肥満でも生活習慣病が発症しやすい
肥満の程度だけが肥満関連疾患の発症を決めるのではない
高度肥満でも糖代謝と
脂質代謝は正常を保つ
太った人が全て生活習慣病になる
わけではない。
少し太っただけで生活習慣病を発症
する人がいる。
太る程度、つまり脂肪の蓄積量のみ
が病気の発症を決めるのではない。
Tokunaga K, Matsuzawa Y, et al., Int J Obes 1983
内臓脂肪蓄積が多彩な代謝疾患、心血管病の発症要因となる
2型糖尿病
脂質異常
インスリン抵抗性
Fujioka S et al.
Metabolism 1987; 36: 54-9
左室機能異常
Yamashita S et al.
Diabetes Care 1996; 19: 287-91
Nakajima T et al.
Am J Cardiol 1989; 64: 369-73
睡眠時無呼吸
症候群
高血圧
Kanai H et al.
Hypertension 1990; 16: 484-90
Kanai H et al.
Hypertension 1996; 27: 125-9
Source: International Chair on Cardiometabolic Risk
www.cardiometabolic-risk.org
Shinohara E et al.
J Intern Med 1997; 241: 11-8
冠動脈疾患
Nakamura T et al. Int J Obes Relat
Metab Disord 1997; 21: 580-6
Nakamura T et al. Atherosclerosis
1994; 107: 239-46
あずしも
Number of Risk Factors
男性 (n:2702)
*
4
3
*
*
4
*
*
女性 (n:850)
*
*
*
*
*
3
2
2
1
1
n
0
0
内臓脂肪面積(cm2)
内臓脂肪面積(cm2)
* p<
0.001
メタボリックシンドローム
診断基準
内臓脂肪蓄積(ウエスト増加)
女性
≧ 90cm
男性
≧85cm
+
1.血圧上昇
2.脂質異常
3.高血糖
の2つ以上
メタボリックシンドロームの診断基準
内臓脂肪蓄積 必須項目
ウエスト周囲径
男性≧85 cm
女性≧90 cm
(内臓脂肪面積 男女とも ≧100 cm2に相当)
上記に加え以下のうち2項目以上
高トリグリセライド血症
かつ/または
低HDLコレステロール血症
収縮期血圧
拡張期血圧
空腹時高血糖
かつ/または
≧150 mg/dl
<40 mg/dl
男女とも
≧ 130mmHg
≧85 mmHg
≧ 110 mg/dl
メタボリックシンドロームとは
• 高コレステロール血症とは独立した動脈硬化
のハイリスク病態
• 糖尿病、脂質異常(高TG, 低HDLコレステ
ロール血症)、高血圧が一個人に集積する複
合型リスク症候群
• 上流に過栄養と運動不足による内臓脂肪の
蓄積がある。
• 動脈硬化性疾患予防のための疾患概念で、
対策は生活習慣の改善による内臓脂肪減量
2008年4月 新健診スタート
~腹囲とBMIで内臓脂肪蓄積リスクを判定~
1.健診
対象者は40~70歳の国民、
健康保険組合など公的医療保険の
運営主体がその加入者に対し実施
2.保健指導
①と②から
リスク要素が
多いと
健診も指導も民間企業
などへの委託可能
指導必要度
高
積極的支援
目標をつくって
3~6ヶ月で生活習慣
を改善へ
面談や電話、メール
などで指導
①
②
腹囲とBMI(下の注
参照)で内臓脂肪蓄
積リスクを判定
腹囲が
男性85cm以上
女性90cm以上
またはBMI25以上
はリスクが高い
検査結果などから
その他のリスクを
判定
血糖、脂質、血圧
など
指導必要度
リスク要素が
少しあれば
中
動機付け支援
1回の面談などに
よって生活改善の
必要性などを説明
指導必要度
リスク要素が
ほとんどないと
低
2015
削年
減度
がま
目で
標に
。生
狙活
い習
は慣
医病
療有
費病
抑者
制・
予
備
軍
の
25
%
情報提供
生活改善に関する
情報を提供
(注)BMIは体重kg÷(身長m×身長m)。①に該当しない人でも
保険運営者の判断で保健指導などの対象にすることは可能
必要度
高
の人にも提供
中
2007年(平成19年)3月25日 日本経済新聞
炎
症
肥 満
(内臓脂肪)
糖
尿
病
2011 Metabolic Syndrome Symposium
Newspaper: China Daily News report 19/Sept/2011
So many people were asking why
your waistline standards are 85 cm
for male and 90 cm for female, it
was so great that you bring the
answer and reason this time.
I was surprised JP government
communicates with people on
"visceral fat" basis, and everybody
uses the term "Metabo". The
Public Health tracking system is
well-established, too. It is difficult
for us now; however, I decide to
put more efforts next year.
Dr. Nishizawa
Q1.なぜ内臓脂肪が蓄積すると多彩な
生活習慣病が発症するのか?
Q2.なぜ動脈硬化が発症するのか?
これを解明するため、脂肪細胞の発現
遺伝子を網羅的に解析し、その性質を
明らかにした。
脂肪細胞はエネルギーを蓄える機能
だけでなく、多彩なホルモン、サイト
カイン、増殖因子などいわゆる生理
活性物質を分泌する内分泌細胞で
あった!
アディポサイトカインの概念の確立
Frequency (%)
0
20
30
0
Energy
production
Signal
transduction
Cytoskeleton
proteins
Membrane
proteins
Mitochondrial
proteins
30
Nuclear
proteins
Cytoplasmic
Proteins
Secretory
proteins
Ribosomal
proteins
Frequency (%)
脂肪組織は巨大な分泌臓器
内臓脂肪
20
10
10
皮下脂肪
Gene 1997
脂肪細胞から分泌される活性物質(アディポサイトカイン)
血管症
糖尿病
PAI-1
HBEGF
アディポネクチン
TNFα
遊離脂肪酸
レプチン
脂肪細胞
アンジオテンシノーゲン
高脂血症
FFA
高血圧
PAI-1
内臓脂肪
PAI-1
動脈硬化
アディポネクチンの発見
Anti-metabolic Syndrome Adipocytokine
Adiponectin発見の経緯
・ ヒトゲノムプロジェクトの一環としての脂肪組織発現遺伝子の解析結果
BBRC (1995), Maeda et al.(大阪大学グループより報告)
Adipose Most Abundant Gene Transcript 1: apM1
・ J.Biochem (1996), Nakano et al.(昭和大学グループより)
Gelatin-binding protein of 28 kDa: GBP28
・ Adipocyte complement-related protein of 30 kDa: Acrp30
・ AdipoQ
apM1の特徴
■ 脂肪細胞特異的に発現
■ 244アミノ酸からなり collagen repeat domain,
補体C1qに相同性の globular domain を有する。
■ 血中では多様な分子量域に分布し、後に
高分子adiponectinと名付けた巨大分子を同定
アディポネクチンの発見
18
1
SS
41
Collagen
Repeats
107
Globular
244
Domai
n
adipose specific
secretory protein
anti-atherogenic,
anti-inflammatory
properties
(Circulation 1999,2000,
2001, Blood 2000)
Human Adiponetin Latex Kit
Available in Autoanalyzer System
内臓脂肪が蓄積すると
PAI-1が増加しアディポネクチンが減少
mg/ml
20
ng/ml
Plasma
adiponectin
80
15
60
10
40
5
20
0
0
0
100
200
300
Visceral Fat Area (cm2)
0
Plasma
PAI-1
100
200
300
Visceral Fat Area (cm2)
アディポネクチンレベルと糖尿病
p<0.001
p<0.001
Insulin Sensitivity
(GIR mg/kg FFM/min)
Plasma Adiponectin
12
10
8
6
4
2
0
6
5
4
3
2
r=0.66
P<0.05
1
0
0
NGT
CAD(-)
CAD(+)
5
10
15
Plasma Adiponectin
20
DM
ATVB 2000
Diabetes 2001
アディポネクチンレベルと血圧
25
20
Insulin Resistance (-) :
r=-0.31, p<0.01
Insulin Resistance (+) :
r=-0.35, p<0.01
(μg/mL)
25
20
15
15
10
10
5
5
0
80
0
40
100
120
Systolic BP (mmHg)
140
Insulin Resistance (-) :
r=-0.38, p<0.01
Insulin Resistance (+) :
r=-0.38, p<0.01
60
80
100
Diastolic BP (mmHg)
Hypertension 2004
アディポネクチンレベルと心筋梗塞の発症
2.1
1.0
Prospective Study
(MI development)
Relative Risk
Relative Risk
Case-Control Study
(CAD prevalence)
1.0
Low High
Low
plasma adiponectin
2003 ATVB
Kumada et al.
0.70
High
2004 JAMA
Effect of Adiponectin on Vascular Cells
NF-B
VCAM-1
mRNA
5
4
3
2
1
0
Adiponectin
Adiponectin
Scavenger
Receptor
p-ERK
4
3
2
1
0
Macrophages
PDGF-BB
10 ng/ml
100
Cholestery
Ester (%)
Adiponectin
Smooth Muscle
Cells
Cell Proliferation
Endothelial
Cells
50
0
Adiponectin
Circulation 1999, 2000, 2001, 2002
‘Adiponectin’
Bound 125I-Adiponectin
(102 cpm/well)
Injured
30
20
10
Non-injured
0
I
II
III
IV
Collagen
V
Mechanism of Anti-atherogenicity
of Adiponectin
Monocytes
Adhesion Molecules
Plaque Rapture
Endothelial Cells
TIMP-1↑
HB-EGF
TNFa
Macrophages
v
v
Smooth Muscle Cells
WT
KO
Fibrosis area (%)
アディポネクチンが欠乏すると
肝臓に著明な線維化が起こる
p<0.05
6
4
2
0
WT
KO
CCl4
Gastroenterology 2003
アディポネクチンを補充すると肝線維化が防がれる
Control
CCl4 12w
AdenoAdiponectin
Lac-Z
アディポネクチン欠損で肝腫瘍出現
WT
Hepatic
Tumor 0/15
KO
CDAA diet for 24 weeks
6/14
J Hepatology 2007
内臓脂肪蓄積
低アデイポ
ネクチン血症
遺伝素因
糖尿病
高血圧
動脈硬化
腎障害
肝硬変
癌
肥満の進展に伴う脂肪組織の形質転換
病的肥満
(高度代謝異常)
軽度肥満
(軽度代謝異常)
非肥満状態
Crown-like structure
 Inflammation
 Metabolic control
Vascular Function
Anti-inflammatory Adipocytokines
Adiponectin
SFRP5 (Science 2010)
CD4+ T Cell
Adipocyte
CD8+ T Cell
M2 Macrophage
Blood Vessel
M1 Macrophage
↑ Inflammation
↓ Metabolic control
 Vascular Function
↑ ↑ Inflammation
↓ ↓ Metabolic control
↓ Vascular Function
Pro-inflammatory Adipocytokines
Leptin
Resistin
RBP4
Lipocalin 2
ANGPTL2
TNF
IL-6
IL-18
CCL2
CXCL5
NAMPT
Ouchi et al. Nature Rev. Immunol. 2011
メタボリックシンドロームの対策は?
内臓脂肪を減らす
アディポネクチンを増加させる
運動療法における内臓脂肪の減少
運動療法 治療前
運動療法 3ヶ月後
減量によるアディポサイトカイン改善
BMI
0
-5
%change
アディポネクチン
PAI-1
**
0
60
-20
40
-10
*
20
-40
**
-15
0
-60
-20
前
後
前
後
-20
前
後
* : p<0.01 ** : p<0.001
ATVB, 2000
アディポネクチンを増やす食べ物
低脂肪・澱粉質食
AM J Clin Nutr 83:774, 2006
大豆蛋白
Horm Met Res 34:635, 2002
食物繊維
Diabetes Care 29:1501, 2006
木の実、穀類
Am J Clin Nutr 84:328, 2006
魚
Cardiovas Rec 76:303, 2007
大豆たんぱくは
アディポネクチンを上げる
アディポネクチン
産生量
5.0
*
150
mg/ml
arbitrary unit
200
アディポネクチン
血中濃度
100
*
4.0
3.0
50
〜
0
0
対照
大豆たんぱく
対照
大豆たんぱく
Adipocytokines
Oversecretion
Offense
PAI-1
HB-EGF
TNF-a
Hyposecretion
Defense
Adiponectin
数百万年
数十年
脂肪細胞機能異常
内臓脂肪症候群
メタボリックシンドローム概念の提唱
Reports of adiponectin-related studies
1400
1200
1000
800
600
400
0
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
200
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