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7.川で起こる災害
7.川で起こる災害 28 7.川で起こる災害 川はいつも穏やかなばかりではありません。ひどく雨が降った次の日や台風の通り過ぎ た後では、川は茶色く濁り、さまざまなものを押し流すおそろしい一面を見せます。時に は洪水や土石流となって、人家に被害をもたらすこともあります。 長野県で起きた災害を例に、どのような時に川で災害が起きるのか、またその危険につ いて考えてみましょう。 雨が降るだけでこれだけ川の様子が変わります ※大雨が降ったときや増水した川には、絶対に近づかないようにしましょう。決して河原 に降りることがないようにしましょう。 ――――――――――――――――――川で起こる災害―――――――――――――― ○洪水 大雨などによって河川の水の量が急激に増えることをさします。川の水が堤防を越えて しまうと川の水が私たちの暮らしている土地に流れ込み、多くのものが流されたり、浸水 してしまう被害が出ます。 ○土石流 土石流は水を含んだ大量の土砂や岩 石が急激に流れ下ってくるものをさし ます。質量がとても大きいためエネルギ ーも大きく、家や車、時にはビルや橋な どを押し流し、破壊します。大雨や地震、 雪解けによる山地斜面の崩壊、火山の噴 火など様々な原因によって発生します。 28 7.川で起こる災害 29 ―――――――――――――長野県で起こった災害の代表例――――――――――――― 昭和 36 年梅雨前線豪雨、1961 年、6 月 24 日~7 月 10 日(通称:三六災害) 6 月 24 日から梅雨前線の停滞と台風 6 号の影響により、日本列島一帯で大雨となりま した。全国各地で莫大な被害となり、死者 302 名、行方不明者 55 名を記録しています。 長野県はその中でも特に被害の大きかった地域です。天竜川で洪水が発生し、周辺地域 は浸水の被害にあいました。さらに伊那谷地域を中心に多数の土石流が発生しました(1 万か所を超えたと言われる) 。これにより多くの家々が流出し、壊滅状態まで陥った集落も ありました。 上:信濃毎日新聞、昭和 36 年 6 月 27 日の朝刊一面 大鹿村では 32 戸の家が一気に押し流され、26 名が死亡 し、20 名が行方不明となったと報道されました。また、 長谷村では橋が流されるか使用不能となり、2 千人が孤立 状態になったとも。 右:同新聞、昭和 36 年 7 月 1 日の朝刊 一連の豪雨で、千曲川流域でも堤防が決壊し、多大な被害 が出ました。 29 7.川で起こる災害 30 平成 7 年姫川流域における洪水、土砂崩れ 1995 年(平成 7 年)の 6 月末から 7 月にかけて、時折、梅雨前線の活動が活発になり ました。そのなかでも 7 月 8 日から 12 日にかけて、前線が日本海から北陸にかけて停滞 し、周辺地域に大雨を降らしました。この大雨により、姫川流域では洪水が起こり、土石 流などの被害にも見舞われました。鉄橋は流され、国道は不通になるなどし、小谷村は一 時孤立状態となりました。 左:信濃毎日新聞、平成7年 7 月 13 日朝刊の一面 写真は国 界橋(JRの鉄橋)が流されて しまった後の写真。 ここ姫川流域では河川による災害が頻発しています。それも地質的に、非常に不安定な 場所であるからです。姫川は糸魚川―静岡構造線上を流れ、周辺地域の地層は断層運動に より破壊されています。加え、姫川自体の浸食作用が激しく、どんどん山の下部を削って いきます。ここ周辺地域は災害に見舞われやすい地域なのです。 1911 年には姫川の支流で大規模な山体の崩壊が起こりました。 「稗田山崩れ」と呼ばれ、 日本三大崩れの一つに数えられています。この時、崩れた土砂は土石流となって川を下り、 姫川地域の村に大きな被害をもたらしています。 関連ポイント:稗田山の大崩落地跡 http://kyoushoku.shinshu-u.ac.jp/smap/modules/sozai/sozai104_1.html 30 7.川で起こる災害 31 平成 18 年 7 月豪雨、2006 年 7 月 15 日~7 月 24 日 九州から本州付近にのびた梅雨前線が停滞し、南から流れ込む温かく湿った空気の影響 により前線の活動が活発となりました。これにより全国各地が記録的な豪雨に見舞われま した。 特に長野県での降水量が多く、多くの被害が発生しています。県内での死者は 12 名に のぼりました。岡谷市を中心に土石流が起き、上伊那郡箕輪町で天竜川が決壊しました。 諏訪湖周辺でも水があふれ、広範囲に渡って浸水の被害をもたらしました。 左:信濃毎日新聞 平成 18 年 7 月 20 日の朝刊一面 岡谷での土石流被害状況を報じています。 右の写真は土石流で流れ下ってき た土砂を後日撮影したものです(岡 谷市秦地区) 。2,3m をゆうに超え る礫も少なくありません。このよう なものが、猛スピードで山から下っ てきます。人はおろか、家や建物、 村や町までも破壊されます。 ここには船魂社という神社があり ましたが、一気に流されてしまって います。 関連コンテンツ 長野県岡谷市土石流災害 http://kyoushoku3.shinshu-u.ac.jp/smap/modules/medialinks/list.php?keyid=2&start=40 関連ポイント:土石流被害地 http://kyoushoku.shinshu-u.ac.jp/smap/modules/sozai/sozai70_1.html 31