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日銀短観(2012年3月調査)でみる関西経済

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日銀短観(2012年3月調査)でみる関西経済
No.2012-002
2012年4月3日
http://www.jri.co.jp
日銀短観(2012年3月調査)でみる関西経済
(1) 4月2日公表の日銀短観(近畿地区,2012年3月調査)によると、業況判断DI(全産業、
%ポイント)は▲9と、前回調査と同水準にとどまった(図表1)。全国の業況判断DIが
1ポイントの改善であったのと比較すれば、業況回復の勢いは弱い。
(2) 業況判断DIを業種別にみると、製造業は▲10と前回調査より2ポイント悪化(図表2)。
悪化幅は全国と同水準であったが、震災直後の2011年6月調査からの改善ポイントをみると、
全国が8ポイントであるのに、関西は1ポイントに過ぎず、回復の足取りが重い。
背景は、輸出が低迷し生産が伸び悩んでいること(図表3)。このところの円安や米国・
中国向け輸出の堅調な増加など輸出環境が好転する可能性はあるものの、中国を除くアジア
向け輸出が引き続き減少しており、輸出・生産の急拡大は見込み難い。
(3) 非製造業は▲10と前回調査より1ポイント悪化し、全国が2ポイント改善したのとは対照
的な動き。全国では改善した建設業が横ばいにとどまるなど、震災復興需要が関西では生じ
にくいことが背景とみられる。今後、復興需要が顕在化するにつれ、全国と関西との景況感
の乖離は広がる見込み。
(%ポイント)
50
40
30
20
10
0
▲ 10
▲ 20
▲ 30
▲ 40
▲ 50
▲ 60
1990
(図表1)業況判断DI(全国と関西、全規模・全産業)
全国
関西
1995
2000
2005
2010
2012
(年/期)
(資料)日本銀行大阪支店「全国企業短期経済観測調査-近畿地区-」
(注)業況判断は「良い」-「悪い」(回答社数構成比)。網掛け部分は景気後退期。短観調査先の見直しにより調査
の計数の間には不連続が生じている。
(図表2)関西企業の業況判断DI(業種別)
(%ポイント)
20
10
製造業
非製造業
全産業
0
(図表3)関西の鉱工業生産・輸出額の推移
(季節調整済)
(2007年=100)
110
105
▲ 10
95
90
▲ 20
85
▲ 30
80
▲ 40
75
輸出
70
▲ 50
65
▲ 60
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
(年/期)
(資料)日本銀行大阪支店「全国企業短期経済観測調査」
(注)業況判断は「良い」-「悪い」(回答社数構成比)。
生産
100
60
2007
2008
2009
2010
2011
2012
(年/月)
(資料) 近畿経済産業局「鉱工業生産動向」、大阪税関「貿易統計」
(注)輸出額季節調整値は日本総研による試算。
《ご照会先》日本総研調査部関西経済研究センター 西浦瑞穂([email protected] , 06-6479-5750)
-1-
(4) 関西企業の収益は悪化の見込み。2012年度経常利益計画は前年度比▲21.8%と大幅減益(図
表4)。
業種別には、製造業は同▲12.2%の見込み。法人企業統計調査をもとに製造業の収益力を分
析すると、昨年10~12月期は売上が減少する一方で損益分岐点売上高は上昇し、減益に(図表
5)。損益分岐点売上高上昇の主因は人件費の増加。製造業においてコスト削減の動きが再び
活発化する可能性大。なお、非製造業も同▲46.5%と大幅悪化の見込みである。
(5) 2012年度の設備投資計画(含む土地投資額)は、全規模全産業ベースで前年度比0.0%と前年
度と同水準(図表6)。設備投資の水準はピークであった2007年度を100とすれば、全産業では
79。業種別には非製造業が92であるのに対して、製造業は66。リーマンショック以降、製造業
の国内投資抑制スタンスが継続していることが明確化(図表7)。関西のエネルギー供給体制
がはっきりしないなか、今後、生産拠点の海外シフトの動きなどを注視する必要があろう。
(図表5)関西製造業の損益分岐点比率の推移
(1社当たり、季節調整値)
(図表4)関西企業の経常利益計画修正状況
(%)
(2007年度=100)
110
100
40
損益分岐点比率
(右目盛)
100
90
80
(10億円)
60
30
(
実際の売上高(左目盛)
80
損
左40
益
目分
盛20
岐
点
売
0上
高
70
)
20
60
50
10
40
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
(年度)
(資料)日本銀行大阪支店「短観」をもとに日本総研作成
(20)
20 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(年/期)
(資料)近畿財務局「法人企業統計調査」をもとに日本総研作成
(注)対象は関西2府4県に本店を有する資本金10億円以上の法人
(金融・保険を除く)。売上高、損益分岐点売上高の季節調整値は
日本総研による試算。
(図表6)関西企業の設備投資計画修正状況
(2007年度=100)
110
(図表7)関西企業の業種別設備投資計画修正状況
(2007年度=100)
120
製造業
非製造業
110
100
100
90
90
80
80
70
70
60
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012 (年度)
2005
2012
(年度)
(資料)日本銀行大阪支店「短観」をもとに日本総研作成
(注)含む土地投資額。
(資料)日本銀行大阪支店「短観」をもとに日本総研作成
(注)含む土地投資額。
2006
2007
2008
2009
2010
2011
《ご照会先》日本総研調査部関西経済研究センター 西浦瑞穂([email protected] , 06-6479-5750)
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