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飼料製造に関する記録の作成・保存
全般 計画 51 必 須 土づくり 苗づくり 植付け 食品安全 栽培 収穫 環境保全 出荷 労働安全 飼料作物 管理全般 飼料製造に関する記録の作成・保存 「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」(以下、「法」)に基づ き、飼料の製造等について、帳簿を作成し保存をしなければなりません。 また、帳簿の作成・保存は問題発生時の対応にも必要となります。 取組事項 ○ ○ 製造・販売の帳簿を作成し、その都度記載する。 帳簿は8年間保存する。 【帳簿の作成・保存】 飼料製造業者(届出不要の場合も含む)は、法第52条により、帳簿の備え付け及び 8年間の保存が義務付けられています。 <記載する事項> (1) 飼料又は飼料添加物の製造時に遅滞なく (製造台帳) ・その名称、数量 ・製造年月日 ・製造に用いた原料又は材料の名称及び数量 ・製造に用いた原料又は材料が譲り受けたものであるときは、譲り受けの年月日及 び相手方の氏名又は名称 (2) 飼料又は飼料添加物を譲り渡し時にその都度 (出荷台帳) ・その名称、数量 ・譲り渡し年月日 ・相手方の氏名又は名称 ・荷姿 なお、飼料用米については、用途限定米穀としての取扱いも必要ですので、40を ご覧ください。 - 121 - <違反飼料の流通・有害畜産物の生産等が確認された場合> ・早急にその実態の把握、原因の究明等を行うこと。 ・原因となった飼料の出荷停止、回収その他必要な措置を講じて違反飼料の流通停 止等を行うこと。 ・行政機関が行う実態の把握、原因の究明に協力すること。 ・再発防止のため、確実な改善措置を講ずること。 日頃から、品質管理を適切に行うとともに、法や成分規格及び指導基準等の関係 省令の遵守に努め、有害飼料が流通することを未然に防ぐことが重要です。 【製造台帳の記載例】 飼料の名称:△ ロット番号 △ 製造年月日 荷姿 数量 原料 名称 原料の名称:□ 仕込量 ロット番号 □ ロット番号 入荷年月日 入荷先 荷姿 入荷量 使用年月日 使用量 残量 【出荷台帳の記載例】 飼料の名称:△ 出荷年月日 △ 出荷先 荷姿 出荷量 ロット番号 【根拠法令等】 ○ 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和28年法律第35号) ○ 米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律 (平成21年法律第26号) ○ 飼料の安全性の確保に係る家畜事故等発生時等の措置指針の制定について (平成15年度農林水産省通知) - 122 - 全般 計画 52 推 奨 土づくり 苗づくり 植付け 食品安全 栽培 環境保全 収穫 出荷 労働安全 飼料作物 管理全般 飼料成分を考慮した施肥 飼料中の成分は、家畜の生産性に大きく影響します。牧草中のミネラルバ ランスや有害成分の蓄積を回避する施肥や堆肥施用を検討しましょう。 取組事項 ○ 土壌分析を行い、適切な施肥を行う。 ○ 堆肥施用による肥料成分投入量を計算し、全体の施肥体系を整える。 ○ 必要に応じて牧草の成分を測定し、硝酸態窒素による家畜の中毒を防ぐ。 植物と動物では、必須要素及び要求量が異なることから、牧草中のミネラルバラン スに配慮した施肥に努めることが大切です。 【適切な施肥】 土壌、気象等の環境条件に対応した牧草の収量目標を設定し、それに必要な養分 量を把握するとともに、土壌診断結果や堆肥の分析結果を活用するなどにより、適 正な養分量を施用しましょう。 原則として、堆肥を活用し、不足する肥料成分については化学肥料で補填するこ とを基本としましょう。 【堆肥等の活用】 肥料費を削減するため、家畜ふん尿を原料とした堆肥を活用しましょう。 活用する際には、過剰施用とならないよう注意が必要です。 【硝酸態窒素による家畜の中毒に注意】 牧草中の硝酸態窒素は、乾物当たり0.22%以下と定められています。これは、牛 の体内における牧草の消化の過程において、硝酸態窒素が亜硝酸に還元され、呼吸 阻害、チアノーゼ、心拍低下、反すう減退などの中毒症状を引き起こすためです。 特に、生長速度の速いイネ科の若い草で中毒症状の発生が多く見られますが、窒 素肥料の多用や家畜ふん尿の大量投入でも危険性が高まります。必要に応じて、牧 草中の硝酸態窒素を測定し、事前に危険を把握しましょう。 - 123 - 表1 施肥例 表2 県内草地土壌の調査結果 グラフ内数値は実数を示す 1)非火山性草地土壌の目標値 2)ブレイⅡ法 乾物あたり% 図1 畜種別堆肥中の肥料成分 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 -1 牛ふん堆肥 豚ふん堆肥 可給態窒素 リン酸 注)縦軸は乾物当たり% 【根拠法令等】 ○ 草地管理指標(平成19年度農林水産省公表) - 124 - 鶏ふん堆肥 加里 全般 計画 53 重 要 土づくり 苗づくり 植付け 食品安全 栽培 環境保全 収穫 出荷 労働安全 飼料作物 管理全般 草地における適切な除草等 草地への雑草の侵入は、生産性の低下や利用年限の短縮を招き、侵入雑草 が有毒植物の場合には家畜が中毒を起こす場合がありますので、適切な雑草 の除去が必要です。 取組事項 ○ ○ ○ 適切な草地更新や収穫調製で牧草の密度を維持し雑草の侵入を防止する。 有害雑草を確認した場合には、抜き取りによる早期の除去を行う。 除草剤による除草が必要な場合には使用方法に留意し、登録農薬を使用 する。 全国的に、輸入穀物等に混入する雑草種子が家畜ふん等を通してほ場に侵入し、定 着後に繁殖してまん延する等、問題になっています。 繁殖力の旺盛な有害雑草が侵入した場合は、飼料作物の減収、雑草が混入した飼料 の採食量の減少、有毒植物による中毒の発生等の問題が生じます。 【有毒植物の除去等】 雑草は裸地に侵入しやすいので、草地では牧草密度の維持により増殖を抑えるこ とが基本です。しかし、雑草の侵入が見られた場合、飼料作物の減収や有毒植物に よる中毒の発生等を防止するため、抜き取りや農薬の局所散布等による早期防除 等、積極的な除去を行う必要があります。 また、中毒予防には、牧柵で囲い採食しないよう隔離することも必要です。特に 新たに造成した草地等で発生が多いので気をつけましょう。 【除草剤使用の留意点】 除草剤による雑草防除にあたっては、登録された農薬から、雑草の種類や発生量 を把握して除草剤を選択し、散布後の採草や放牧の予定等に支障が生じないことを 確認した上で行いましょう。 - 125 - 表1 県内の代表的な有毒植物等について ○ 参 考 動物衛生研究所毒性物質制御研究室(2003)写真で見る家畜の有毒植物と中毒 http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/plants/contents.html 【根拠法令等】 ○ 草地管理指標(平成18年度農林水産省公表) - 126 - 全般 計画 54 重 要 土づくり 苗づくり 植付け 食品安全 栽培 環境保全 収穫 出荷 労働安全 飼料作物 管理全般 飼料用米・飼料用稲における農薬使用 飼料用米等を給与し生産される畜産物への農薬の残留を防ぐため、稲用に 登録されている農薬を散布の時期を考慮して使用しましょう。また、給与方 法に制限がある場合があるので留意しましょう。 取組事項 <飼料用米> ○ 稲に適用がある農薬を使用する。 ○ 出穂以降に農薬の散布を行う場合には、籾すりをして玄米で家畜に給餌 する。 ○ 籾米のまま、もしくは籾がらを含めて家畜に給餌する場合、出穂以降の 農薬散布は控える。 <稲発酵粗飼料用稲(WCS用イネ)> ○ 農薬を使用する場合は、「稲発酵粗飼料生産・給与技術マニュアル」に記 載された農薬の種類・使用方法により、適正に使用する。 水稲を飼料用として用いる場合、稲わらや籾の部分を活用することになります。 稲に適用がある農薬は、飼料用稲に対しても使用できますが、茎葉部分を飼料とす る稲発酵粗飼料や籾米のまま給与する飼料用米については、畜産物を生産する上で、 その安全性が確認されていない農薬があります。このため、稲発酵粗飼料や飼料用米 の安全確保に万全を期すとの観点から、「飼料として使用する籾米への農薬の使用に ついて」や「稲発酵粗飼料生産・給与技術マニュアル」等について、取組事項が定め られています。 【飼料として使用する籾米への農薬の使用について】 農薬登録上の作物として「稲」に登録がある農薬を使用することができますが、 ラベルに記載されている薬剤の使用方法、使用量等農薬使用基準を遵守することが 不可欠です。さらに、飼料用米の安全性を確保するため、ア~ウの対策により農薬 残留の低減措置が必要です。 - 127 - ア 飼料用米について、出穂以降(ほ場において出穂した個体が初めて確認され る時点以降をいう。以下同じ。)に農薬の散布を行う場合には、家畜へは籾摺 りをして玄米で給餌する。 イ 籾米のまま、もしくは籾殻を含めて家畜に給餌する場合は、出穂以降の農薬 の散布は控える。 ウ 但し、上記ア及びイの措置を要しない農薬成分があるので「飼料として使用 する籾米への農薬の使用について」を参照し、確認する。 ○ 留意事項 「飼料として使用する籾米への農薬の使用について」は、今後、新たなデータ が得られれば、適宜、本措置の見直しが行われるので、最新の見直し内容に留 意することが必要です。 【稲発酵粗飼料生産・給与技術マニュアル】 「稲発酵粗飼料生産・給与技術マニュアル」 (平成23年1月全国飼料増産協議会編、 平成23年12月改訂)に記載された農薬から選定し、適正に使用する。 なお、内容については定期的に改訂されるため、常に最新情報をもとに使用する。 ○ 留意事項 ・農薬の使用に当たっては、当該農薬のラベルに記載されている「○日前まで」 という使用時期の「収穫」をWCS用イネの収穫期にそのまま適用するため、 防除可能な期間が食用イネより早まることに留意する。 ・農薬は登録内容の変更等もあり得るので、農薬使用時には農薬容器や包装ラベ ル等に記載の適用作物、使用量・希釈倍率、使用時期、使用総回数や注意事項 等について再度確認を行い、農薬使用者が責任を持って使用する。 【根拠法令等】 ○ 飼料として使用する籾米への農薬の使用について (平成21年度農林水産省通知) ○ 稲を適用農作物とする農薬を使用した飼料の取扱いについて (平成21年度農林水産省通知) ○ 稲発酵粗飼料用稲に係る農薬使用について (平成22年度農林水産省通知) - 128 - 全般 計画 55 重 要 土づくり 苗づくり 植付け 食品安全 栽培 環境保全 収穫 出荷 労働安全 飼料作物 管理全般 飼料の変質等防止のための適切な調製・保管 飼料の調製・保管にあたっては、変質、かびの発生や異物混入等によりサ イレージ等の安全性が損なわれないように、適切な飼料の調製等が必要です。 取組事項 ○ 乾草調製では水分含量を15%以下、サイレージ調製では水分含量を50% 程度とする。 ○ 乾草はかび発生防止のため、十分な換気量のある通風の良い場所で保管 する。 ○ ロールベールラップサイレージのラップフィルムの巻き方は4層巻き以 上とする。 ○ ロールベールラップサイレージの保管は、直射日光を避け、縦置き2段 重ねとし、水はけのよい場所とし、広々配置や鳥害防止ネットでの被覆等 による鳥獣害対策等を行う。 飼料の調製時には、飼料中の養分の損失、かびの発生防止のため、以下の点に注意 しましょう。 【ほ場での乾燥】 牧草は刈り取った後も呼吸を続けるため、牧草中の糖分を消費します。 そこで、呼吸は水分含量40%を下回ると停止するので、速やかに乾燥させること が、養分の損失を防ぐために大切です。 天候が湿潤な日本では、乾燥・調製に適した日数は限られているので、収穫適期を 逃さぬよう、気象予報も十分活用して、収穫しましょう。 【かびの発生予防】 かびは、飼料の水分含量が15~20%以上で発生する可能性があるので、貯蔵には 十分な換気量のある通風の良い貯蔵環境が必要です。20%以上の水分含量では、良 質な乾草貯蔵は期待できず、かびの発生やくん炭化を招くので、貯蔵にあたっては 水分含量15%以下を目指しましょう。 また、貯蔵性を改善するために、アンモニアや尿素を添加する処理方法等もある ので、状況に応じて検討しましょう。 - 129 - 【ロールベールラップサイレージ】 ラップフィルムはサイレージの品質安定のため、ベールラッパのフィルム繰り出 し装置との適合性に留意し、性能(復元性・均一性・粘着性等)の優れたラップフ ィルムを選定し、50%重ね巻きで4層巻き以上としましょう。 また、保管場所は平坦で水はけの良い場所に縦置き2段重ねを基本とし、鳥獣害 対策は「稲発酵粗飼料貯蔵中のネズミ対策マニュアル」(独立行政法人 産業技術総合研究機構 農業・食品 東北農業研究センター発行)や「稲発酵粗飼料生産・給与 技術マニュアル」(平成23年1月全国飼料増産協議会編、平成23年12月改訂)を参考 に実施しましょう。 密封が破れた場合、空気にさらされて、好気性微生物(好気性細菌やかび)によ り腐敗します。 密封が維持されるよう、ガムテープ等で補修することが必要です。 ロールベールラップサイレージの広々配置(鳥獣害対策) 【根拠法令等】 ○ 草地管理指標(平成12年度農林水産省生産局公表) ○ 草地管理指標(平成14年度農林水産省生産局公表) ○ 反すう動物用飼料への動物由来たん白質の混入防止に関するガイドラインの制定 について(平成15年度農林水産省通知) - 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